書いてあること

  • 主な読者:FAXの送受信はやめられないが、効率化したい経営者
  • 課題:FAX機・複合機のある場所に行かないと送受信できない状況を打開したい
  • 解決策:PC-FAX、インターネットFAXを使って「紙」のやり取りをなくす。EDIやWEB受発注システムなど、他の手段に切り替えられないか検討する

1 FAXの送受信、「紙」のやり取りをなくしませんか?

「使い慣れているから」「相手に合わせないといけないから」といった理由で、なかなか見直しが進まなかったFAX業務。コロナ禍を経て、

FAXの送受信のためだけに出社しなければならない状況は変えるべきだ

と感じた人も多いでしょう。

見積書や注文書など受発注に関する書面をFAXでやり取りする商習慣が根強い業種では、一足飛びにFAX業務を廃止するのは難しいかもしれません。しかし、

「紙」のやり取りをなくすだけなら、自社の環境を変えることで実現可能

です。その上で、FAXを他の手段に切り替えられないか、検討してみてはいかがでしょうか?

2 「紙」のやり取りをなくす方法

1)既存の複合機のPC-FAXを利用する

PC-FAXは、ネットワーク接続対応の複合機とパソコンとを連携してFAXを送受信する機能です。既にネットワーク接続対応の複合機があるのに、PC-FAXを使いこなしていないだけならば、複合機メーカーのマニュアルやサポートを頼りに、比較的容易に設定できます。

FAXを送信する際は、パソコンから印刷するのと同じ手順で、文章や画像などのファイルをそのまま送信データとして選択できます(紙の文書を読み取って送信することもできます)。また、受信したFAXは、PDF形式などのファイルに変換され、所定の場所に保存したり、メール添付で所定のメールアドレスに転送したりできます。

従前と同様、電話回線(FAX回線)を使うため、その分の通信費はかかりますが、印刷をしなければ完全ペーパーレス化も可能なので、印刷費(紙やインク、トナー代)を抑えられます。

なお、社外から社内のネットワーク環境にアクセスするためには、VPN接続やリモートデスクトップを使うなど、PC-FAXとは別に設定が必要です。

2)新たにインターネットFAXを利用する

インターネットFAXは文字通り、インターネットを通じてFAXの送受信を行うサービスです。サービス提供会社からFAX番号を取得し、メールアドレスを登録すると、そのメールアドレスを使ってFAXを送受信できるようになります。

FAXを送信する際は、登録したメールアドレスから、文章や画像などのファイルを添付して送信します。また、受信したFAXは、PDF形式などのファイルに変換され、添付ファイルとして登録したメールアドレスに届きます。

電話回線(FAX回線)を使わないため、その分の通信費はかからず、FAX機や複合機がなくてもFAXを使えるようになります。印刷をしなければ完全ペーパーレス化も可能なので、印刷費(紙やインク、トナー代)を抑えられます。例えば、次のようなサービスがあります。

■アクセルコミュニケーションズ「メッセージプラス」■

https://www.messageplus.jp/

■エディックワークス「faximo(ファクシモ)」■

https://faximo.jp/

■Karigo「秒速FAX」■

https://fax.toones.jp/

■グラントン「03FAX」■

https://03plus.net/03fax/

■j2 Global Japan「eFax」■

https://www.efax.co.jp/

■日本テレネット「MOVFAX(モバックス)」■

https://movfax.jp/

■ヤマトシステム開発「どこでもMyFAX」■

https://www.nekonet.co.jp/service/dokodemo-myfax

3 FAXに代わる他の手段

1)「中小企業共通EDI標準」の利用を検討する

EDIは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略語で、主に企業間(BtoB)の電子商取引で利用されるため、「企業間電子データ交換」ともいわれます。

受発注や納品を行う際、紙の帳票や請求書などを発行するのではなく、専用回線やインターネットを通じて電子データをやり取りするシステムで、データをやり取りする企業間で標準化された書式を利用します。紙の書類を作成しなくてよいので、データで管理でき、業務の効率化や経費の削減を図ることができます。

「中小企業共通EDI標準」は、中小企業庁の委託事業(受託者:ITコーディネータ協会)として2018年3月に初版が公開されたクラウドサービスです。バージョンアップが重ねられ、2023年5月には、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)に対応したver.4.1版が公開されました。同事業に参加したITベンダーを中心に結成された「つなぐITコンソーシアム」の会員企業などが、対応製品・サービスを開発、提供しています。

中小企業共通EDI標準対応のアプリとプロバイダーを利用する企業同士であれば、比較的少ない手間でEDIによる取引が始められます。

■ITコーディネータ協会「中小企業共通EDIポータルサイト」■

https://www.edi.itc.or.jp/

■つなぐITコンソーシアム■

https://tsunagu-cons.jp/

2)WEB受発注システムの利用を検討する

WEB受発注システムは、従来行っていた紙や電話などでの受注業務(伝票処理)、FAX・電子メール・電話での発注業務などをシステム上で完結できるサービスです。

受発注業務は業種や企業によって違いがあり、システムに求められる要件もさまざまです。請求管理、在庫管理など関連する管理業務との連携がうまくできるかどうかが重要といえるでしょう。例えば、次のようなサービスがあります。

■アイル「アラジンEC」■

https://aladdin-ec.jp/

■アクロスソリューションズ「MOS」■

https://www.mosjapan.jp/

■インフォマート「BtoBプラットフォーム 受発注」■

https://www.infomart.co.jp/asp/index.asp

■オザックス「マルチプラットフォームシステム(MPS)」■

https://www.ozaxitlab.jp/products_search/list002/item_1

■CO-NECT「CO-NECT」■

https://biz.conct.jp/

■ラクス「楽楽販売」■

https://www.rakurakuhanbai.jp/

■ラクーンコマース「COREC」■

https://corec.jp/

4 便利なサービス 比較のポイントは?

1)使いやすさ

本格導入した際に今まで通りの流れで業務が遂行できるかどうかがポイントです。トライアル期間が設けられているサービスも多いため、直感的に操作できるか、機能が多く複雑過ぎないかなど、使い勝手を確認しましょう。

2)セキュリティー

インターネットFAXなどのウェブサービスを利用する場合、情報漏洩対策がしっかり取られているかがポイントです。不正アクセスやマルウエアへの感染対策など、事前に確認しましょう。

以上(2023年9月更新)

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画像:piyaphunjun-Adobe Stock

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