社会の趨勢にあわせて目まぐるしく変化している「年収の壁」について、『令和7年度税制改正大綱』や厚生労働省の情報などをもとに最新動向および企業の実務対応についてご説明いたします(※2025年2月執筆時点の情報です)。
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社会の趨勢にあわせて目まぐるしく変化している「年収の壁」について、『令和7年度税制改正大綱』や厚生労働省の情報などをもとに最新動向および企業の実務対応についてご説明いたします(※2025年2月執筆時点の情報です)。
給付金とは、主に国や地方自治体などの行政から、事業や生活を支援するために給付されるお金のことです。給付条件を満たしてさえいれば、基本的に申請することで受給が可能です。本レポートでは、おすすめの給付金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。
ある日突然、社員から、
「今月末で退職します。今日から退職日まで有休(年次有給休暇)をいただきます」
と申し出があったらどうしますか? 今、退職を申し出た社員が、残りの有休を全て消化して出社しないケースは増えています。昨今話題の退職代行サービスを使って、会社とのコミュニケーションを完全に遮断するケースも多いです。
正直なところ、あまり戦力になっていない社員であれば、突然の退職でも残りの社員で十分にカバーできるので、むしろ論点は、負担がかかる残りの社員へのフォローとなります。
一方、管理職など幅広く仕事をしている社員が退職する場合や、テレワークなどの影響もあって組織がサイロ化し、そこそこ重要な業務を“自分色”に染めてしまっている社員が退職する場合は、引き継ぎが必須です。となると、「引き継ぎもせずに突然いなくなるなんて無責任だ!」という憤りはさておき、会社が冷静に対応しなければ、残された社員のためになりません。
では、どうすればよいのか。それは、
出社しない社員に対し、「引継書の記入を依頼する」「有休の買い取りを打診する」などの方法で、“引き継ぎなし退職”の問題を乗り切ること
です。以降で詳しく説明しますので、確認していきましょう。また、引継書については、次章でダウンロードして使えるひな型を紹介していますので、必要に応じてご活用ください。
社員が退職日まで出社してこない場合は、「引継書」の記入を求めましょう。
引継書とは、退職する際に現職者から後任者へ業務を円滑に引き継ぐための文書
です。社員には有休を取得する権利があるので難しいですが、出社して引き継ぎをするのに比べればハードルは低いですし、「後任者や取引先がどうしても困ってしまうから……」と説明すれば、応じてもらえる可能性はあります。
次の書面は、筆者が作成した簡易的な引継書のひな型です。下のボタンからワード形式でダウンロードできますので、自社の特性を踏まえて修正してください。
退職時引継書
作成日: 作成者:
所属部署: 退職予定日:
なお、引継書の作成は、社員が退職の意向を示した直後に着手させましょう。ケースによりますが、この時期であれば、まだ心理的な距離も近く、詳細な情報を引き出しやすいこともあるからです。
引継書の記入依頼と並行してもう一つ、必要に応じて検討したいのが「有休の買い取り」です。原則として有休の買い取りは禁止されていますが、退職時については、
会社が有休の買い取りを予約することや、本来なら請求できるはずの有休日数を減らしたり与えなかったりすることは違法である
という行政通達(昭和30年11月30日基収4718号)がある一方で、
結果的に取得されない有休について、日数に応じて賃金を支給することは違法ではない
とした裁判例(昭和29年3月19日神戸地裁判決)があります。
簡単に言えば、
会社と社員が合意すれば、有休の買い取りが認められる余地がある
ということです。あくまでも合意があればということなので、会社が「有休を買い取るから出社しろ!」と強制したり、社員に不利益となる情報をちらつかせて合意に持っていったりすることは認められません。しかし、条件(買い取る日数や金額など)も含めて交渉の余地は十分にあるはずです。
今や退職代行サービスのラッピングバスが繁華街を走る時代。社員が退職代行サービスを利用しても不思議ではありません。この場合、社員との直接的なやり取りは著しく制限されるので、引き継ぎだけでなく、会社備品の返却や退職金の支払いなどの問題も出てきます。
そのため、退職代行サービスを運営する業者(以下「退職代行業者」)には次のような対応で臨みましょう。
退職代行業者の正体が、「弁護士」「労働組合」「民間事業者」のいずれであるかによって法的権限が異なります。例えば、弁護士資格のない民間事業者が、退職の条件について会社と交渉することは、非弁行為に当たり認められません。まずは、退職代行業者の法的権限を確認しましょう。
退職の申し出が、社員本人の意思によるものかを確認しましょう。例えば、退職代行業者に対して、社員本人が自筆で記入した退職届の提出を求めることが可能です。
いつ退職したいか、有休を消化する意向があるかなどについて、書面での確認を求めます。
会社備品の返却や引継書の作成を、退職代行業者を通じて社員に要求します。
退職代行業者に対し、退職金や未払い給与の支払いについて、退職代行業者を介さず直接社員と連絡を取りたい旨を伝え、その方法を提案します。
退職で問題が発生した場合、会社と社員の話し合いなどで解決するのが望ましいですが、次のような深刻な状況の場合においては、弁護士への相談が必要になるケースもあります。
会社の機密情報が関係していたり、個人情報保護に関わる問題があったりする場合です。
重要書類の破棄や隠匿、システムへの故意の損害行為などがある場合です。
取引先との関係に重大な支障を来していたり、業務の長期停止で損害が出ていたりする場合です。
例えば、引き継ぎがされないことにより、業務が長期停止して大きな損害を被った場合(上記の3)に該当)などは、弁護士を通して損害賠償を請求できる可能性があります。
とはいえ、法的手段の検討は慎重に行う必要がありますので、あくまでも話し合いによる解決が困難な場合の最終手段として考えておきましょう。
以上(2025年3月作成)
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画像:k_yu-Adobe Stock
おはようございます。突然ですが、皆さんは「雁行(がんこう)」というのをご存じでしょうか。これは雁という渡り鳥が、群れで長距離を旅する際に見せる飛び方です。雁の群れは一列に並んで飛ぶのではなく、先頭の鳥の後ろから左右に広がり、アルファベットの「V」の形になるように列を組んで飛びます。このことを雁行、V字飛行などと呼ぶのです。
なぜ、V字に列を組むのかと思うでしょうが、これにはちゃんとした理由があります。雁が羽ばたくと、その後ろには体が浮きやすい気流ができます。だから、列の後ろを飛ぶ鳥は、仲間が作った気流に乗って、疲れずに飛び続けることができるのです。ただ、この飛び方だと、仲間の力を借りられない先頭の鳥には負担が集中します。そのまま放っておけば先頭の鳥は疲弊して羽ばたけなくなり、そうなると仲間も気流に乗って飛べなくなります。だから、雁たちは長距離を旅する際、先頭の役割を交代しながら順番に回し、ローテーションしながら飛行するのです。
私はこの雁行のシステムを初めて知ったとき、「雁ってとても賢い鳥なんだな」と感心すると同時に、ふと「自分の会社が雁の群れだとしたら、どんな状態だろう」と考えてみました。私たちの会社では、上司や先輩が、私のような若手の進むべき方向を照らして引っ張ってくれています。ですが、私自身はどうなのかというと、正直なところ、上司や先輩の指示にただ従うだけで、自分が皆を引っ張るという経験をあまりして来なかったように思います。雁の群れでいうなら、「先頭の役割を1人だけ交代せず、楽をし続けている状態」といえるかもしれません。
もちろん、会社の指揮系統に従うことは大切なのですが、いつまでも上司や先輩に引っ張ってもらっていては、その人たちに負担が集中します。そんな状態が続けば、やがて組織は成り立たなくなってしまうでしょう。だから、私たち若手は、ただ誰かに任せきりにするのではなく、定期的に「自分がやります!」と手を挙げて、チームを引っ張る意識を持たなければなりません。
もうすぐ新年度が始まりますが、新年度の私のテーマは「前に出る」です。チーム全体が空を飛び続けられるよう、積極的に手を挙げていきたいと思います。
以上(2025年3月作成)
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画像:Mariko Mitsuda
近年、同一労働同一賃金に代表されるように、「パート等」の労働条件の改善が進められています。パート等とは、この記事で便宜上使っている言葉で、
の総称です。詳しくは、いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」で定められているので確認してみてください。
さて、法令改正などに合わせて労働条件を見直していかなければトラブルのもとになります。差し当たり、今、皆さんがすべきことは、
パート等と労働契約を締結する際(雇入時、定年後の再雇用時、契約の更新時など)に、会社が交付する「労働条件通知書」の内容を精査すること
です。直近では、2024年4月1日から労働基準法施行規則が改正され、パート等に労働条件通知書を交付する際、次の3つを新たに明示することが義務付けられています。
この記事では、最新法令に対応した「パート等の労働条件通知書」のポイントと記載例を紹介します。「ここしばらくパート等の採用がなく、労働条件通知書のひな型を更新していない」という人や、「すでにひな型は見直したが、ヌケモレがないか不安」という人は、自社の労働条件通知書と照らし合わせながらご確認ください。
まず、とても大切なポイントをお伝えします。それは、
正社員とパート等では、雇入時に明示すべき労働条件の項目が違う
ということです。図表1の「必ず書面で明示」の赤字部分がパート等特有の項目です。

「2.契約更新に関する事項」は、契約更新があるか否か、更新する場合は何を基準に判断するのか具体的な内容を記載します。2024年4月1日からは、通算契約期間または更新回数の「更新上限」についても記載が必要になっています(詳細は後述)。
「3.無期転換に関する事項」は、2024年4月1日から明示が義務付けられている項目です。
無期転換とは、パート等の通算契約期間(同じ会社でのもの)が5年を超えて更新された場合、本人が会社に申し込めば契約期間の定めのない「無期契約」に転換できる制度
です。雇用形態はパート等のまま変わらず契約期間のみ無期契約に切り替わります。
なお、無期転換権が発生する(または発生している)パート等に対しては、無期転換の申込機会、転換後の労働条件について記載します(詳細は後述)。
「10.昇給の有無、11.退職金の有無、12.賞与の有無」は、これらの制度があるか否か(原則書面で明示)、また、それらの計算方法や支給・実施時期(口頭でも可能)を記載します。
「14.雇用管理に関する相談窓口」は、正社員との待遇の違いなどについて、パート等から相談された場合の窓口を記載します。ちなみに、この相談窓口は「ハラスメント相談窓口」と一体的に運用しても問題ありません。
図表2は、最新法令に対応したパート等の労働条件通知書のイメージです。赤字部分は、前述した法令改正やトラブル防止の観点から注意が必要な内容です(それぞれのポイントは後述)。

契約期間の始まりと終わりを「○年○月○日~○年○月○日」などの形で記載します。
無期転換権の行使により無期契約に切り替わった場合、契約更新の開始日を記載し、「〇年〇月〇日(期間の定めなし)」など、無期契約であることが分かるよう注釈を併記します。
次の1.から4.について記載します。3.は2024年4月1日から明示が義務付けられています。
なお、図表2の例では更新上限を「通算契約期間:10年まで、更新回数:10回まで」としていますが、前述した通り、通算契約期間が5年を超えると、そのパート等は無期転換を会社に申し込めるようになります。無期転換の申込みは原則拒否できないので、長期雇用を想定していないなら、通算契約期間の上限は5年未満に設定しておいたほうが無難です。
また、無期転換権を行使により無期契約に切り替わった場合、更新自体がなくなるので明示は不要になります。ただし、定年等の定めをする場合は別途明示が必要です(詳細は後述)。
次の2点について記載します。どちらも2024年4月1日から新たに明示が義務付けられている項目です。ただし、無期転換申込権がない場合(通算契約期間が5年以内)、明示は不要です。
なお、現在の通算契約期間が5年以内であったとしても、新たな契約を更新した結果、契約期間の途中で5年を超える場合(例:3年契約を繰り返すなど)については、新たな契約更新をする際に、あらかじめ無期転換に関する事項を明示しておく必要があります。
パート等特有の項目ではありませんが、テレワークでオフィス以外の場所でも勤務することがある場合は、その旨を記載します。また、2024年4月1日からは契約締結時の就業場所だけでなく、配置転換等の際の「変更範囲」の記載も義務付けられています。変更範囲については、想定される就業場所を1つずつ記載する必要はなく、
などの書き方も認められます。また、出向の可能性がある場合はその旨の記載も必要です。
ちなみに、変更範囲は未来永劫についての可能性ではなく、あくまで当該契約期間内における可能性を明示すればよいとされています。
よく見かける「○○業務その他会社が指示するあらゆる業務」といった記載だと、正社員と同じ働き方をしているとみなされ、同一労働同一賃金の観点から賃金などに差をつけにくくなります。書き方が難しいですが、
本業を逸脱しすぎないよう、「○○の業務その他これに付帯する業務」といった程度の記載にとどめるのが無難
です。なお、2024年4月1日からは就業場所と同じく、業務内容についても「変更範囲」の記載が義務付けられています。こちらについても
などの書き方が認められますが、実際に業務内容を変更する場合、変更後の業務について正社員との不合理な待遇差が生じていないかを都度チェックする必要があります。
こちらも、変更範囲については未来永劫についての可能性ではなく、あくまで当該契約期間内における可能性を明示すればよいとされています。
シフト制の場合の始業・終業時刻に注意が必要です。労働条件通知書に「シフトによる」と記載するだけでは不十分で、
労働日ごとの始業・終業時刻を明示するか、原則的な始業・終業時刻を記載した上で、一定期間分のシフト表などと併せて交付する必要
があります。
休日についても、シフト制で働く場合の記載に注意しましょう。具体的な曜日などが確定していなくても、
休日の基本的な考え方として、「週○日以上の休日が確保できるようシフトを組む」
といったように記載する必要があります。
パート等も、6カ月以上勤務し、その全労働日の8割以上出勤すると、年次有給休暇(年休)が付与されます。付与日数は、所定労働時間と所定労働日数によって変わります。
パート等の賃金の金額は、同一労働同一賃金で示されている均等待遇と均衡待遇に違反しないようにします。
基本的に、業務の内容などが明らかに違うのであれば、正社員と差を設けても問題ありませんが、逆に言うと、
通勤手当などのように業務の内容と関係がない手当は、パート等にも支給
しなければならないでしょう。
また、時間外労働、休日労働、深夜労働に対する手当(割増賃金)は、パート等の労働時間の実態に応じて支払います。なお、この記事で対象としているパート等は、所定労働時間が法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間)より短いので、
所定労働時間を超え、法定労働時間に満たない時間の割増賃金率を記載
しておく必要があります。これは0%にすることも可能です。
昇給があるか否かを記載します。昇給がある場合、可能であれば昇給の条件などを記載するほうが望ましいでしょう。
退職金があるか否かを記載します。退職金がある場合、可能であれば支給要件などを記載するほうが望ましいでしょう。
賞与があるか否かを記載します。賞与がある場合、可能であれば支給要件などを記載する方が望ましいでしょう。
パート等は契約期間が満了し、更新されない場合に退職となります。この他、本人の希望による退職や、就業規則の解雇事由に該当したことによる解雇があります。これに対応し、
を記載します。
また、無期転換権の行使により無期契約に切り替わった場合、契約期間が青天井になることを避けるため、正社員と同じように定年を設定する対応が考えられます。その場合は定年後の継続雇用についても併記して明示します。
相談窓口の担当部署、連絡先(電話番号、メールアドレス)などを記載します。
以上(2025年2月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)
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画像:ChatGPT
先月号「交通信号の意味を再確認!」では信号の各色の点灯状態・点滅状態の意味や、信号機のない、または作動していない交差点における優先道路のルールについても改めて確認しました。
今月号では、特に信号のない交差点=無信号交差点での事故について、その原因と対策を具体的な事例を基に考えます。

警察庁が公開している「交通事故統計情報のオープンデータ」※1では、過去5年分の全国の交通事故発生地点や事故類型などがわかります。
このオープンデータを分析した朝日新聞社の記事※2によると、2019~2020年に発生した人身事故のうち28万件超が交差点付近で発生し、うち6割が無信号交差点(信号機が設置されていない、または機能していない交差点)での事故であることがわかりました。

歩行者、自転車が関連する事故の発生した無信号交差点の特徴を、車道幅や速度規制別に分類し集計したところ、「車道の幅が13メートル未満の小、中規模、かつ規制速度が時速20から40キロ以下の交差点で事故が集中していた。」とのことです。事故が「指定の速度規制なし等」の条件に分類されるケースでも、車道の幅が狭いなど小さい交差点で発生する事故が多いことが示されています。

※1 警察庁, 交通事故統計情報のオープンデータ https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/opendata/index_opendata.html(2025.2.10閲覧)
※2 (株)朝日新聞社, みえない交差点 分析編 https://www.asahi.com/special/jiko-kosaten/analysis/?iref=mienaikosaten_map(2025.2.10閲覧)
※3 道幅が13m以上の道を「大」、5.5m以上13m未満を「中」、5.5m未満を「小」と分類。「大‐小」とは幅13m以上の道と5.5m未満の道が接続する交差点、の意味。
最近の5年間で10件以上の事故が起きた全国の無信号交差点を詳しく調べると、以下のような特徴がみられました。
死角をつくるもの(建物、地形、橋脚など)により左右確認が難しい交差点が目立ちます。このような場所ではカーブミラーが重要ですが、右図の例では①ミラーが遠くにあるため鏡像が見にくくなっています。また②前方道路と鋭角で交差するため、停止線を越えて交差点に進入しないと左方の直視が困難で、リスク増加の一因となりえます。

非優先道路(交差点では一時停止)でも③遠くまで見通せるような直線の道路で事故が起こりやすいようです。その背景には「ついスピードが出やすい」「朝日・西日が眩しい」等が考えられるほか、元は直線単路だった場所に④新たに道路が整備され、新しく交差点ができたケースもあり、慣れない車が単路だったときと同様の走り方をしてしまうかも知れません。

その他、五差路など複雑な形状のため危険予測が難しい交差点や、高速道・幹線道路から分岐した直後の交差点(速度感覚が速いまま差し掛かる)において事故多発の傾向があるようです。
以上(2025年3月)
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画像:amanaimages
皆さんは日々、会社で多くの仕事をしてくれています。ウチは小さな会社ですから、一人一人が担当する業務の幅も広く、上手に「優先順位」を付けないと仕事が回りません。この優先順位、皆さんは何を基準に決めていますか? 今日は私が若い頃、2人の上司に言われた言葉をお伝えします。
まずは、私が新入社員の頃にお世話になった、1人目の上司の話です。あるとき、その方からこんな質問を受けました。「お客さまからの依頼と、同僚からの依頼、君だったらどっちを優先する?」。私は「お客さまからの依頼です」と答えました。同僚は社内の人間なので依頼を後回しにしても支障がなさそうですが、お客さまだとそうはいかないと思ったからです。ですが、上司は言いました。
「相手が社外の人間か、社内の人間かは関係ない。仕事の優先順位は、その仕事に関わる人の数で決めるんだ」。仮に同僚から依頼された仕事が重大なプロジェクトの一端だった場合、お客さまを優先して同僚の仕事を後回しにすれば、同僚の次工程に控える多くの社員の仕事がストップして損失が出るかもしれない。だから、仕事に関わる人がどのぐらいいるのかを見極める必要がある。これが1人目の上司から教わったことでした。
次は、そこから数年後にお世話になった、2人目の上司の話です。その方は、1人目の上司のかつての部下でもありました。あるとき、先ほどのエピソードをその方に話したら、こんな言葉が返ってきました。
「確かに、あの人の考え方は理にかなっている。ただ、私はその考え方が全てだとは思わないな。例えば、自分が今一番エネルギーを注げる仕事を後回しにして、他の仕事を優先したために、得られたはずの成果を逃してしまったとしたらどうだろう? これも一つの損失かもしれないね」。成果を上げられるタイミングを逃してはいけない。これが2人目の上司から教わったことでした。
いかがでしたか。仕事に関わる人の数も、成果を上げられるタイミングも、仕事の優先順位を決める重要な要素です。そして、それらを天秤(てんびん)にかけた上で、自分がベストだと思う仕事を選択し、その選択に責任を持つ。これが皆さんに求める、仕事の優先順位の付け方です。
以上(2025年3月作成)
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画像:Mariko Mitsuda
令和7年4月、雇用保険制度に育児関係の新しい給付金が創設されます。「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」です。本稿では、この二つの給付金について概要をお伝えします。
令和7年4月、雇用保険制度に育児関係の新しい給付金が創設されます。「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」です。本稿では、この二つの給付金について概要をお伝えします。
子どもが生まれた直後の一定期間に、夫婦がそれぞれ14日以上の育児休業を取ると、最大28日間、出生後休業支援給付金が支給されます。「一定期間」とは、父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内です。
給付金の額は、休業開始前賃金の13%相当です。従来の育児休業給付金または出生時育児休業給付金(休業開始前賃金の67%)に上乗せされ、給付率は計80%となります。

※厚生労働省の資料「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」より
育児休業給付金、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金はいずれも非課税です。さらに育児休業中は、健康保険・厚生年金の保険料が免除され、勤務先から給与が支給されなければ雇用保険料も発生しません。このため、給付率80%で、手取り10割相当の給付となります。
また、次の場合には、配偶者が育児休業を取らなくても、出生後休業支援給付金が支給されます。

※厚生労働省のリーフレット「2025年4月から『出生後休業支援給付金』を創設します」より
2歳未満の子供を育てるために、時短勤務を行い収入が減った場合に、それを補うのが育児時短就業給付金です。性別に関係なく受け取ることができます。給付率は、時短勤務中に支払われた賃金額の10%です。ただし、時短勤務前の賃金額を超えないように、給付率が調整されます。
育児時短就業給付金は、原則として時短勤務を始めた日の属する月から、時短勤務を終えた日の属する月までの各月に支給されます。次の事例では、4/1~4/30(支給対象月①)から3/1~3/31(支給対象月⑫)まで12か月間、育児時短就業給付金が支給されます。

※厚生労働省のリーフレット「2025年4月から『育児時短就業給付金』を創設します」より
育児時短就業給付金は、次の①②の両方を満たす人が対象です。
そのうえで、次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給されます。
出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金は、性別にかかわらず、労働者が仕事と子育てを両立できるよう、経済的に支援するのが目的です。どんな小さな企業であっても、従業員が希望したら、給付金を受給するための申請をハローワークに対して行わなければなりません。
どちらの給付金もしくみが複雑なので、厚生労働省のウェブサイトで詳細を理解しておくとよいでしょう。
※本内容は2025年2月10日時点での内容です。
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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画像:photo-ac
2024年度は、フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行による「フリーランスの保護」、改正景品表示法の施行による「不当表示等に関する自主的な是正の促進や、違反行為に対する抑止力の強化等」が行われました。また、知財一括法の施行により、「デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化」が図られました。
2025年度は、情報流通プラットフォーム対処法による「誹謗中傷防止のための大規模プラットフォーム事業者への規制」、流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法の改正による「物流効率化と特定事業者への規制強化」が行われます。また、建設業法等の改正により、「建設業の処遇改善・働き方改革・生産性向上」も図られます。2024年度・2025年度の法務3大ニュースは次の通りです。

2024年度の各種法改正は、いずれも主に中小企業にとって大きな影響がありました。特に、フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されたことで、フリーランスに業務を発注する会社の多くが、体制の見直しを迫られたのではないでしょうか。
また、一般消費者向けの商品やサービスを販売・提供する会社としては、景品表示法違反による直罰規定の新設や課徴金制度の見直し等で制裁の強化もあり、不当表示等を行った場合の社内体制の構築も求められるようになりました。
その他、知財一括法により、特にスタートアップや中小企業を中心として、商標登録のハードルが下がり、また、データ保護が強化されて、新事業の展開が後押しされたことと思います。
インターネット上における誹謗中傷被害を防止するため、2025年5月16日までに、従来のプロバイダ責任制限法に代わり、情報流通プラットフォーム対処法が施行されます。この法律の規制の対象となるのは、
「大規模特定電気通信役務提供者」(大規模特定電気通信役務を提供する者として、総務大臣に指定された事業者。いわゆる大規模プラットフォーム事業者のこと)
で、主にSNSや匿名掲示板等の運営事業者が該当します。
「誹謗中傷は主に大規模プラットフォームで行われるので、被害を食い止めるには大規模プラットフォーム事業者に迅速かつ十分な対応を義務付けるべきだ」というのが同法の趣旨で、主要なものとして次の5つの義務が設けられます。
「1.削除申出窓口・手続の整備・公表」「2.削除申出への対応体制の整備」「3.削除申出に対する判断・通知」は、
投稿の削除対応の迅速性を求めるもの
です。大規模プラットフォーム事業者には、利用者からの削除申請を受け付ける窓口や手続を整備し、その情報を公表することが義務付けられます。また、誹謗中傷等の情報を削除してほしいと申出があった場合、
十分な知識経験を有する「侵害情報調査専門員」が遅滞なく調査を実施し、一定期間内にその情報が権利を侵害しているかを判断、その後、結果を申請者に通知
しなければなりません。
「4.削除基準の策定・公表」「5.発信者への通知」は、
削除対応に関する運用状況の透明性を求めるもの
です。一般の利用者からしても、どのような投稿が削除の対象となるのか明確でなければ、自由に情報発信を行うことができません。そのため、大規模プラットフォーム事業者は、
削除対象となる投稿がどのようなものか、どのような行為があった場合にアカウントが停止されるのか、基準を策定した上で事前に公表
する義務を負います。そして、投稿の削除やアカウントの停止を行った場合、その旨を発信者に対して通知しなければなりません。
これらの義務に違反した場合、大規模プラットフォーム事業者は、行政指導・行政命令を受けたり、行政命令に違反した場合には刑事罰を受けたりします。
いわゆる「2024年問題」による、物流停滞への懸念や死亡・重傷事故の増加に対処するため、2025年4月1日より、改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法が施行されます。
まず、改正流通業務総合効率化法のポイントは次の通りです。
2024年4月1日より、物流業界にも労働基準法の「時間外労働の上限規制」が適用されるようになり、物流の停滞が懸念されています。そのため、
を行って、荷待ち・荷役時間の短縮や積載率の向上等を図ることで、この問題を乗り切ろうというのが改正法の趣旨です。
具体的には、「荷主(発荷主、着荷主)」「物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)」それぞれに、次のような措置を講じる努力義務が課せられます。

続いて、改正貨物自動車運送事業法のポイントは次の通りです。
真荷主と運送事業者が運送契約を締結するとき、また、運送業務を受託した事業者(元請事業者)がその仕事をさらに下請けに出すときには、原則として以下の事項を記載した書面を交付しなければなりません。
また、これと併せて、元請事業者には、
実際の運送体制を記録した管理簿(実運送体制管理簿)の作成・保存が義務付けられ、下請け発注に関する一定の健全化措置を講ずること
も義務付けられます。
2024年6月14日に建設業法等の改正法が公布され、一部の規定を除き、2025年12月13日までに施行される予定です。今回の建設業法等の改正のポイントは次の通りです。
建設業は、住居やオフィス、商業施設の建設や地域のインフラ構築を担う重要な役割がある一方で、他産業より賃金が低く、就労時間も長いため、担い手の確保が困難な状況にあります。そのため、従業員の処遇改善・働き方改革・生産性向上を促し、建設業の担い手を確保しようというのが改正法の趣旨です。
「1.従業員の処遇改善」では、
建設業者に対して従業員の処遇を確保する努力義務を課すとともに、国が処遇確保に係る取り組み状況を調査・公表
していくことが求められます。これと併せて、
著しく低い労務費等による見積もりや見積もり依頼を禁止
することで、適正な労務費等の確保を目指しています。また、「2.資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」のために、契約時のルールとして
が義務付けられます。
その他、長時間労働を抑制するために著しく短い工期による契約締結を禁止したり、ICTを活用した生産性の向上を求めたりする等、「3.働き方改革と生産性向上」の定めも置かれています。
2025年度も、2024年度と同様に、様々な法改正が行われます。
まず、情報流通プラットフォーム対処法については、インターネット上の誹謗中傷の被害防止と被害者の迅速な救済が期待されています。主に大規模プラットフォーム事業者を対象としていますが、その他のプラットフォームを運営する事業者も、同法の考えを理解した上で、自社として誹謗中傷等にどう向き合うかを検討していくとよいでしょう。
改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法については、実際に運送を担う末端の事業者が適正な報酬を得られるようになることが期待されています。多重下請構造が出来上がっている物流業界が対象ということで、影響を受ける会社も多いでしょうから、自社に求められる取り組みの内容を確認しておきましょう。
建設業法等の改正についても、趣旨はおおむね同じです。今後の建設業の担い手を確保するためには、従業員に対して処遇の改善や働き方改革を促すことが必要ですから、法改正を機に、自社の体制を見直していきましょう。
以上(2025年3月作成)
(執筆 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)
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