賃金のデジタル払い

賃金は従業員の銀行口座へ振り込むのが一般的ですが、「○○Pay」など、一部の「資金移動業者」の口座へ支払うこともできます。まだあまり普及していませんが、今後、従業員のニーズが高まることも予想されます。本稿では、賃金のデジタル払いのしくみや注意点について説明します。

1 労使協定と個別同意

労働基準法では、賃金は現金払いが原則とされています。例外として、労働者が同意すれば、銀行口座や証券総合口座への振り込みが認められ、現在はこちらのほうが一般的です。

政府は、キャッシュレス決済が広がっている状況を踏まえ、令和5年4月、労働基準法の施行規則を改正し、労働者の同意があれば、厚生労働大臣指定の資金移動業者口座への支払いも認めました。

企業が賃金のデジタル払いを導入するには、次の手順をふまなくてはなりません。

  • ①厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)の確認
  • ②導入する指定資金移動業者のサービスの検討
  • ③労使協定の締結等
  • ④労働者への説明
  • ⑤労働者の個別の同意取得
  • ⑥賃金支払いの事務処理の確認・実施

※厚生労働省リーフレット「賃金のデジタル払いを導入するにあたって必要な手続き 雇用主向け」より

労使協定は、事業場に労働者の過半数でつくる労働組合がある場合はその労働組合と、ない場合は労働者の過半数を代表する者と締結します。協定により、デジタル払いの対象となる労働者の範囲、対象となる賃金の範囲と金額、賃金移動業者の範囲、実施開始時期を定めます。続いて、労働者へ説明し、個別の同意を得ます。説明する事項は次の通りです。

  • 受け取り額は適切に設定を
    指定資金移動業者口座は、「預金」をするためではなく、支払や送金に用いるためのものであることを理解の上、支払などに使う見込みの額を受け取るようにしてください。また、受け取り額は、1日当たりの払出上限額以下の額とする必要があります。
  • 口座の上限額は100万円以下です
    口座の上限額は100万円以下に設定されています。上限額を超えた場合は、あらかじめ労働者が指定した銀行口座などに自動的に出金されます。この際の手数料は労働者の負担となる可能性がありますので、指定資金移動業者にご確認ください。
  • 口座残高の現金化も可能です(月1回は口座からの払い出し手数料なし)
    ATMや銀行口座などへの出金により、口座残高を現金化(払い出し)することもできます。少なくとも毎月1回は労働者の手数料負担なく指定資金移動業者口座から払い出しができます。払出方法や手数料は指定資金移動業者により異なります。
  • 口座残高の払い戻し期限は少なくとも10年間
    口座残高については、最後の入出金日から少なくとも10年間は、申し出などにより払い戻してもらうことができます。

※厚生労働省リーフレット「賃金のデジタル払いが可能になります!」より

企業は、賃金のデジタル払いを労働者に強制することはできません。希望しない労働者には、これまで通り銀行口座などへ振り込むことになります。また、労働者が希望すれば、賃金の一部を資金移動業者の口座へ、残りを銀行口座などへ支給する必要があります。

2 普及はこれから

ただ、厚生労働大臣の指定を受けた業者は、PayPay株式会社(令和6年8月9日指定)、株式会社リクルートMUFGビジネス(令和6年12月13日指定)の2社だけです(令和6年12月13日現在)。全国の財務局等に登録されている資金移動業者は80社(令和6年11月30日現在)あるので、まだごく一部です。

実質的にスタートして間もないこともあり、エン・ジャパン株式会社が行った調査(令和6年9月26日~10月28日、有効回答数:4,830名)では、勤務先での賃金デジタル払い導入は1%にとどまりました。

■現在お勤めの会社では、“給与のデジタル払い”は導入されていますか?(離職中の方は、直近お勤めの会社についてお答えください)

“給与のデジタル払い”は導入されていますか?

※エン・ジャパン株式会社「『給与のデジタル払い』に関する意識調査」の結果より

また、「給与のデジタル払いを利用したいですか?」という問いでは、「とても利用したい」3%、「利用したい」12%、「あまり利用したくない」42%、「利用したくない」28%などとなっています。

3 さいごに

賃金のデジタル払いを労働者の同意なく行ったり、強制したりすると、雇用主は労働基準法違反となり、罰則が科される可能性もあります。従業員へのニーズ調査を行い、丁寧に手順を踏んで導入することが欠かせません。また、厚生労働省のウェブサイトに、労使協定や同意書の様式例があるので活用するとよいでしょう。

※本内容は2025年1月10日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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【入社1年目の教科書】「上座」を知るのが席次の攻略法。後は相手の意向と愛で対応

書いてあること

  • 主な読者:初めて取引先を訪問したり、会食に参加したりすることになった新入社員
  • 課題:「偉い人の席」はどこか、「自分が座るべき席」はどこかが分からない
  • 解決策:入口から遠い席、居心地がよい席が「上座」。後は相手の意向を尊重する

おいおい、取引先と商談した後に軽く会食をするなんて聞いてないよ。先輩も人が悪い。事前に教えてくれればいいのに。今日はノンアルコールだから無礼講ってわけにもいかないし。あぁ~、あと「セキジ」っていうのだっけ? どこに座ればよいのか全く分からない。会食は中華料理で円卓らしいけど、円いテーブルに上座なんてあるのかな……。

1 席次とは、親族が集まった際に席順を決める「あれ」です

冠婚葬祭などで親族が集まると、誰がどこに座るかを決めるのに時間がかかることがあります。もし、皆さんにそんな経験があったら、ちょっと思い出してみてください。通常、偉い人が座る「上座」は、出入口とは反対の奥の席です。となると、その席にはおじいさんや、おばあさんが座ることになります。これは押さえておくべきマナーです。

でも、決してこれにはこだわりませんよね。例えば、おじいさんや、おばあさんが皆と話しやすいようにとテーブルの中央に座ってもらったり、「奥は冷暖房が利きすぎるから」と出入口の近くに座ってもらったりすることはありませんか?

これが席次の全てです。つまり、

基本はしっかり覚え、現場では臨機応変に相手の意向やシーンに対応する

ということです。

今どきは、相手も「上座に座らせてもらえないなんて失礼だ!」と立腹することはほとんどないと思いますが、逆にこんな時代だからこそ基本はきちんと押さえておきましょう。

2 応接室での席次

応接室の上座は、「入口から遠い席」「正面に絵が見える席」です。

臨機応変ポイントは、例えば、「上座以外の席からきれいな景色が見える」「上座は空調が利きすぎる」などのケースです。こうした場合は、相手の意向を尊重しつつ、上座以外の席を勧めてみましょう。

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また、コロナ対策の観点から、密を避ける座り方をする場合もあります。この辺りも臨機応変に対応すれば大丈夫です。

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3 会議室での席次

会議室の上座は、「入口から遠い席」「対面の3人掛けでは中央の席」「会議ではテーブルの形状に関係なく、議長が一番奥」「議長の隣で入口から遠い席が1番目」です。中華料理などで利用する円卓でも考え方は同じです。

臨機応変ポイントは、例えば、「上座の近くにプロジェクターやホワイトボードがあって窮屈」「上座からは全体が見渡しにくい」などのケースです。こうした場合は、相手の意向を尊重しつつ、上座以外の席を勧めてみましょう。

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4 自動車での席次

自動車の上座は、「『相手の役職者が運転する場合』は助手席」「『タクシーの場合』は運転席の後ろ」です。

臨機応変ポイントは、例えば、「相手の役職者が運転に集中したいと言っている」「タクシーからすぐに降りたいと言っている」などのケースです。こうした場合は、相手の意向を尊重しましょう。

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5 列車での席次

列車の上座は、「窓側の席」「向かい合わせの場合、進行方向を向く席」です。

臨機応変ポイントは、例えば、「通路に出やすいから通路側がよいと言っている」「左右の人と話をするために中央がよいと言っている」などのケースです。こうした場合は、相手の意向を尊重しましょう。

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6 エレベーターでの立ち位置

エレベーターにおける上位者の立ち位置は、「左奥」です。

臨機応変ポイントは、例えば、「エレベーターからすぐに降りたいと言っている」などのケースです。こうした場合は、相手の意向を尊重しましょう。

なお、エレベーターの乗り降りの基本は、「上位者は最後に乗り込み、最初に降りる」です。新入社員は最初に乗り込み、操作盤の前に立つのですが、このルールを知らない人は、新入社員が先に乗り込むことを「失礼だ」と勘違いするので、念のため「お先に失礼します」などと断ってから乗り込むとよいでしょう。

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以上(2024年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業務効率化】総務省統一ルールから学ぶ Excelデータ入力の作法

1 ご存じですか? 総務省が示したデータ入力の統一ルール

総務省が2020年末に公表した「統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法」(以下「総務省統一ルール」)をご存じですか? もともとは各府省を対象として、Excelでデータ入力するときの注意点をまとめたものですが、一般事業者も必見の資料です。

■総務省「統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法」■

https://www.soumu.go.jp/main_content/000723626.pdf

例えば、誰かが作ったExcelファイルを加工編集しようとしたとき、

  • セルが結合されていて並び替えができない
  • 1つのセルに数値と単位が書かれていて、関数を使った計算ができない

といった事態に遭遇し、それに対応するために余計な手作業が発生していないでしょうか?

Excelの使い方は各人任せになりがちで、体裁を整えるためによかれと思ってやったことなどが、後々、作業の妨げになってしまうことがあります。

Excelでデータ入力をするときの作法として、総務省統一ルールを基にポイントを押さえ、関数を使った計算やRPA(Robotic Process Automation)による自動処理などができるようにして、業務効率化に活かしましょう。

2 データ入力の作法として押さえておきたい8つのポイント

以降で総務省統一ルールの中から、データ入力の作法として押さえておきたいポイントを、「8つ」紹介します。修正前後のイメージを交えて説明するので、ぜひご確認ください(修正前=悪い例、修正後=良い例です)。

1)1つのセルには1つのデータだけ

1つのセルに複数のデータが入力されていると、関数を使った計算や昇順・降順の並べ替え、機械判読が正確にできなくなります。すぐに加工編集できるように、

1つのセルに入力するのは1つのデータだけ

にしましょう。

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2)数値データは数値属性とし、文字列を含まない

数値データに、「円(通貨単位)」「▲(マイナス表記)」「,(カンマ)」などを文字列として入力すると、Excel上は数値ではなく文字列として扱われるため、関数を使った計算ができなくなります。また、昇順・降順の並べ替えも正確にできなくなることがあります。

数値データは数値属性とし、文字列を含まない

ようにしましょう。

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3)セルの結合をしない

1件のデータは、横1行(または縦1列)で表記し、

セルの結合または不必要な分離は行わない

ようにしましょう。セルが結合または分離されていると、機械判読には適しません。

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4)スペースや改行などで体裁を整えない

例えば、「合計」の内数であることを表すのに、本来の情報が「A」「B」「C」であるのに、「□A」「□B」「□C」とスペースを挿入して体裁を整えた場合、他のデータとうまく結合できなくなります。

また、セルの中で文字を入力中、Windowsの場合「Alt+Enter」で改行できますが、その改行に意味があるのか機械では判断できません。

体裁を整えるためのスペースや改行などは解除(削除)

しましょう。

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5)項目名などを省略しない

例えば、項目の一番上に「鎮静剤A-1」と入力され、その下に「2」「3」「4」と続いている場合、人が見れば「鎮静剤A-」が省略されているに違いないと分かりますが、機械では「2」「3」「4」という項目が何を意味するのか判断できません。見た目が冗長であったとしても、

項目名などは省略せずに全て入力

しましょう。

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6)オブジェクトを使用しない

例えば、「{(左中かっこ)」などのオブジェクトを挿入して体裁を整えても、機械では判別できません。

オブジェクトを削除した上で、それぞれのセルにデータを入力

しましょう。

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7)データの単位は別セルに記載

データの単位(物理単位、通貨単位など)は、データ処理に必須です。

単位は数値とは別セルに記載

しましょう。

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8)機種依存文字を使用しない

例えば、「①」などの丸囲み数字、「㈱」「㈲」といった囲み文字などは、機種依存文字で、利用者の環境によっては正しく表示されません。

機種依存文字を使用しない

ことを徹底しましょう。

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■(参考)デジタル庁「e-Gov電子申請 入力可能な文字について」■

https://shinsei.e-gov.go.jp/contents/help/notes/letters.html

3 機械的に読み取れるようにデータを整えるのが大切

Excelで行う作業の多くは、データ入力や集計作業などの定型業務かもしれません。やり方が決まっており、繰り返し行う作業であれば、RPAで自動化できる可能性があります。

RPAは、人間が普段パソコン上で行っている作業の手順を、ソフトウエアロボットに覚えさせて自動化する仕組みです。ノンコードやローコードで扱えるツールも多く登場しているので、ExcelのマクロやVBA(Visual Basic for Applications:マクロで呼び出した機能を実行するためのプログラミング言語)の知識がなくても、ある程度は使いこなせるでしょう。

また、Excelのマクロで効率化・自動化できるのはMicrosoft Officeのソフト内の動作に限られますが、RPAは他のソフトやアプリ、システムなどと柔軟に連携でき、より広範囲で複雑な作業の効率化・自動化も実現できるかもしれません。

ただし、RPAでは人間の判断や感性が必要になる作業は自動化できません。例えば、集計作業をRPAで自動化する場合、どのデータが何を意味しているのか、人間の判断が介在しないでも、機械的に正しく読み取れるようにデータを整えておく必要があります。

以上(2025年2月更新)

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画像:Kaspars Grinvalds-shutterstock

イベントレポート「音声×AIがもたらすビジネス革命」2025/1/27開催

2025年1月27日月曜日。多くの人と熱気に包まれたイベントがありました。経団連会館で行われた株式会社RevComm(レブコム)主催のイベント「音声×AIがもたらすビジネス革命」です。オフライン会場にはどんどん参加者が増えてびっしり埋まり、オンラインも加えると参加者は数百人に達しました。音声AI元年、マルチモーダルAI元年とも言われる今年、注目度の高さを実感しました。

ご登壇もそうそうたる方々です。主催企業のRevCommはラスベガスで開催されたCES®2025にて、AI部門においてイノベーションアワードを受賞。2023年にはアジアで唯一、米国「Forbes AI 50 2023」にも選出されました。このRevComm代表取締役・會田武史氏がまずご登壇。

加えて、セールスフォース・ジャパンの王小芬(オウショウフン)氏、日本オラクルの廣瀬一海氏、アマゾンウェブサービスジャパンの小林正人氏と、この3社が一緒に登場することがあるのかと驚きのご登壇陣でした。

「1900年のニューヨークの写真を見てください。交通手段は馬車が普通でした。しかしわずか13年後、同じニューヨークの写真を見ると、交通手段として、自動車が普通に使われているのです。同じ街でも光景がまったく違います。人々の生活、ビジネスの流れ、全てが、たった13年間であっという間に変わった。
生成AI、マルチモーダルAIが登場している今はまさに、同じくらい、いやもっと早い速度で世の中が変わっていこうとしている真っ只中にあるのです」

冒頭から會田氏の力強い発言があり、参加者は皆、現状認識のマインドセットを新たにしました。進化のうねりの大きさ、スピード感。そしてチャンス。これらは今までに経験したことのないものだと感じました。

「対面、電話、MTGなど自社にはどんな音声データが蓄積されており、それをもとに、どのようなビジネスが創れるか。今が大きなチャンス」と続ける會田氏。
音声で蓄積されていく自社のデータには非常に価値があり、それを活用できるものにすることが大事。録音された音源と、音声データは異なるものであり、AIで活用するためには「音声データ」にしなければならない。そうしたことがインプットされていきます。

今回、期せずして、登壇者4名全員がデータの重要性を語ったのが印象的でした。そして、現状では多くのデータが、AIが活用できる状態になっていない、とも。このメッセージは、参加者にもしっかり伝わっていると思います。

また、AIエージェントによる実際の電話応対デモンストレーションも大いに興味深いものでした。「注文した商品のサイズが合わないから取り替えたい」と言うと、AIエージェントはすぐに対応してくれる上に、その人に合うであろうサイズを提案してくれます。
そして、「もっと早く商品を受け取れるようにしたい」という新たな要望にも応えられるよう、AIエージェントをすぐに管理画面的なところで調整できるのも驚きでした。こうした調整ができるようにするためには、自社の業務フローを細分化する、これまでの対応内容をデータ化しておくといったことも必要なことだと理解できました。

何より凄さを感じたのはAIエージェントの会話のスピード感。問いかけに対してストレスを感じない速さで応えてくれますし、会話も自然です。ここまで進化しているのかと唸る参加者も多かったように思います。

デモンストレーションや4名の方のお話から、人とAIが、一緒にビジネスを創り、当たり前に回していく世界、今までの価値観を大きく飛び出したワクワクする未来が、そう遠くなくやってくると感じました。

4名のお話で脳みそがかなりアップデートされ、多くの参加者の熱気がみなぎった後は懇親会も大盛況で、あちこちでAIの未来、そして課題を語り合う、情報交換し合う姿が見られました。

ご登壇の皆さま、主催の皆さま、とても面白く勉強になるイベントを有り難うございました!

主催企業:株式会社RevComm

以上(2025年1月28日)

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画像:株式会社RevCommよりご提供

3月7日(金)特別セミナー「徳島における最先端の橋づくりの歴史と布橋活動」を開催します!

平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
阿南高専×とくぎんサクセスクラブ 技術セミナー(オンライン)のご案内です!

本セミナーは、阿南高専ととくぎんサクセスクラブがコラボレーションし、阿南高専の先生方の専門知識を学べる、年に一度の特別なセミナーです。
今回は、建設コース教授 森山卓郎氏にご登壇いただき、徳島の橋づくりの歴史や、これまで行ってきた布橋活動(徳島の橋について知ってもらう活動)についてお話いただきます。ふだん何気なく通りかかっているあの橋にも、最先端の技術が詰め込まれているかも…?! 
なお、当日ご参加いただいた方にはもれなく、阿南高専オリジナルのクリアファイルもプレゼントします!(とくさくnaviにご登録いただいている住所へ、2種のうちどちらかを郵送いたします)

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【開催概要】

セミナー詳細のご確認、またお申し込みは、以下のページにてお願いいたします。

お申し込みはこちらから!

なお、当日は質疑応答のお時間もございます。阿南高専で教壇に立つ教授のお話を聞ける貴重な機会ですので、皆さまぜひ、この機会をご活用いただけますと幸いです。

【問合せ先】
とくぎんサクセスクラブ事務局
088-623-3111

(2025年法改正に対応) ネットで誹謗中傷されたらどうする?

1 誹謗中傷や虚偽の書き込みには冷静かつ毅然とした対応を

SNSや口コミサイトを通じた誹謗中傷や虚偽の書き込み(以下「誹謗中傷等」)が、深刻な社会問題となっています。もし、御社が誹謗中傷等のターゲットになってしまったら、どうしますか?

誹謗中傷等は、いつ、何をきっかけに書き込まれ、拡散されるか分かりませんし、風評被害も不安ですから、放っておくわけにはいきません。かといって、怒りに任せて感情的な対応をしてしまうと、逆に会社のほうが「炎上」してしまう恐れがあります。

誹謗中傷等には冷静かつ毅然とした対応を取りましょう。そのために重要なのは、

のポイントを押さえることです。幸い、誹謗中傷等への迅速な対応などを目的として、

2025年5月16日までに、「情報流通プラットフォーム対処法」(旧:プロバイダ責任制限法)が施行される予定

であり、対策を進めたい会社にとっては追い風となります。

この記事では、法改正の内容を押さえた上で、誹謗中傷等への対応のポイントなどを紹介します。

2 2025年施行の「情報流通プラットフォーム対処法」とは?

現行は「プロバイダ責任制限法」により、インターネット接続サービスを提供する事業者(アクセスプロバイダ)や、SNSや口コミサイトなどのプラットフォームを提供する事業者(コンテンツプロバイダ)の責任等について、次の内容が定められています。

【損害賠償責任の制限】

SNSやサイト上で誰かの権利が侵害された場合、関係するプロバイダ等は一定の範囲内で、被害者に対する損害賠償責任を負わない

【発信者情報の開示請求等】

SNSやサイト上で権利を侵害された場合、その被害者は関係するプロバイダ等に、発信者(投稿者)の特定につながる情報の開示を請求できる

【発信者情報開示命令事件に関する裁判手続き】

発信者の特定につながる情報の開示を請求する際は、裁判手続きにより行う(2022年10月以降、それまで複数回の手続きが必要だったのが、一体的に行えるようになった)

ただ、プロバイダ責任制限法には「情報の削除を求める権利」についての定めがないため、この問題を解消すべく、2024年5月17日に「情報流通プラットフォーム対処法」と名称を改めた新法が公布され、総務大臣の指定を受けた「大規模プラットフォーム事業者」というプロバイダ等に対し、次の措置が義務付けられます。

【対応の迅速化】

情報の削除を求めるための「削除申出窓口」と、窓口からの削除申出の手続きを整備・公表する。削除申出に対応するための体制を整備し、申出に対する判断・通知を行う

【運用状況の透明化】

情報を削除する際の「削除基準」を策定・公表する。情報を削除した場合、発信者への通知を行う

この改正により、例えば次のような問題を解消することが期待されています。

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「情報流通プラットフォーム対処法」の施行日は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日なので、遅くとも2025年5月16日までに施行されます。

今後、必要な政省令が定められ、ガイドラインの見直しなどが行われます。情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会(旧:プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会)のウェブサイト内で公表される予定です。

■情報流通プラットフォーム対処法ガイドライン等検討協議会■
https://www.isplaw.jp/

法改正の内容を踏まえた上で、誹謗中傷等への対応のポイントを見ていきます。

3 誹謗中傷等への対応のポイント

1)事実関係の確認と情報開示

誹謗中傷等を認識したとき、まずは事実関係を正確に把握することが大切です。書かれている内容に対して「根拠のないデマだ!」と頭から否定してかかって、後から事実だったことが判明すると、そのときに受けるダメージは、より深刻なものになります。

まずは、実際に誹謗中傷等の内容が掲載されているページを確認し、SNSや口コミサイトの名称、URL、発信者、書き込み日時、内容等を記録します(裁判等で証拠として必要になります)。その上で、書き込まれた内容が事実なのか、どうかを確認します。

そして、できるだけ速やかに自社のウェブサイトを通じて情報開示することが望ましいと考えられます。まだ真偽不明の状況であれば「事実関係を調査中」ということを掲載し、調査結果が判明次第、あらためて情報を開示します。なお、

SNSや口コミサイト上で直接反論はしないほうが無難

です。一部が切り取られるなどして曲解されたり、誤った情報がさらに拡散されたりする恐れがあるからです。

2)書き込みの削除請求と法的措置の検討

情報流通プラットフォーム対処法にのっとると、前述した通り、大規模プラットフォーム事業者(プロバイダ等)の削除申出窓口から、書き込みの削除を請求することになりますが、後々の法的措置のことも検討するとなると、

書き込みの削除請求を行うに当たっては、まず弁護士に相談

するのがよいでしょう。

また、総務省委託事業として、「違法・有害情報相談センター」も相談窓口を開設しています。誹謗中傷等について、削除するにはどうすれば良いのか、書き込んだ相手を特定するにはどうしたらよいのかなど、同センターのウェブサイトを通じて利用登録をすると、無料で相談できるようになります(ウェブフォームからの相談のみ受け付けています)。

■違法・有害情報相談センター■
https://ihaho.jp/

4 誹謗中傷等が後を絶たない背景

令和5年版情報通信白書において「インターネット上での偽・誤情報の拡散等」の背景として指摘されているのが、「アテンション・エコノミー」「フィルターバブル」「エコーチェンバー」です。それぞれ押さえておきたい用語です。簡単に見ていきましょう。

1)アテンション・エコノミー

インターネット上には膨大な情報が流通していますが、興味や関心、注目をひくような情報によって、クリックを促し、より多くの広告を見たり、サービスを使ってもらおうとしたりする仕組み(経済モデル)を「アテンション・エコノミー」といいます。

閲覧者数、クリック数を増やすことが経済的価値を持つようになっている中、過激なタイトルや内容、憶測だけで作成された事実に基づかない記事が次々と生み出されています。

2)フィルターバブル

インターネットで目にする情報は、その人の思考に合わせて表示されるようになっています。アルゴリズムによって検索履歴やクリック履歴が分析、学習され、見たい情報が優先的に表示されるからです。このように自身の考え方や価値観の「バブル(泡)」の中に孤立するという情報環境を「フィルターバブル」といいます。

自身が見たい(とされる)情報しか見えなくなり、そうなっていることすら意識しない状態になってしまっているかもしれません。

3)エコーチェンバー

SNSでは、自身と似たような興味・関心を持つ人をフォローする結果、自身の考えと同調する記事や意見ばかり目にすることになります。こうした状況を、閉じた小部屋で音が反響する物理現象にたとえて「エコーチェンバー」といいます。

何度も同じような意見を聞くことで、自身の考えは正しい、間違いないと、より強く信じ込んでしまいます。

5 参考:サジェスト汚染の対処法(Googleの場合)

「○○(自社の社名や商品・サービス名)」をキーワード検索(エゴサーチ)し、自社の評判やイメージを確認しているところも多いのではないでしょうか?

そうしたとき、サジェストとしてネガティブなキーワードが表示されることがあります。こうした現象は「サジェスト汚染」と呼ばれます。

検索エンジンの仕組み上、仕方のないこととはいえ、悪意のある事実無根のネガティブワードをそのままにしておくのは気分の悪いものです。

Googleの場合、検索窓にキーワードを入れると表示されるサジェスト一覧の右下に小さく「不適切な検索候補の報告」があり、そこから簡易に削除申請をすることができます。

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また、GoogleのLegalヘルプのフォームを経由して削除申請をすることもできますが、こちらの方法は入力項目も多く、削除申請の根拠を提示するなど、やや専門的な対応が必要です。

■Google「Legalヘルプ 法的削除に関連する問題を報告する」■
https://support.google.com/legal/contact/lr_legalother?product=searchfeature

※画面最下部で表示言語を日本語に変更できます

以上(2025年2月作成)
(監修 弁護士 坂東利国)

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画像:mw-Adobe Stock

人材育成のための「1on1」ミーティングの教科書(2025年2月号)

1on1ミーティングとは、上司とメンバーが1対1で定期的に行なう対話のことを言います。対話することでメンバーとの信頼関係を深め、生き生き活躍することや、ありたい姿へ成長することを支援します。多くの企業が「自律型人材育成」の手法として採用していますが、1on1ミーティングの本質をつかんで実施しないと、必ずしもよい結果は出ません。そこで、1on1ミーティングの大切なポイントと留意点について解説します。

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【業務効率化】覚え切れないパスワード。メモや使い回しが絶対ダメな理由とは

1 個人任せのパスワード管理は超危険!

システム(オンラインサービスやアプリなど)の利用にID・パスワードは欠かせませんが、人間の記憶力には限界があり、たくさんの複雑なパスワードをずっと覚えていることは不可能です。とはいえ、パスワード管理を個人任せにすると、次のような危険な状況に陥ります。

この記事ではそんなリスクを抑えるため、組織としてパスワード管理をする方法、すなわち

ID管理(アイデンティティー管理)ツール・サービスの導入

をご提案します。

2 ID管理ツール・サービスの例

ID管理ツール・サービスは、企業で運用するシステムにアクセスするのに必要な、ID・パスワードといったユーザー情報を一括管理するためのシステムです。国内外からさまざまなツール・サービスが登場しており、複数のシステムにおけるユーザー情報の管理ができ、新しい従業員が増えた場合の登録、従業員が退職した場合の削除などが可能なものもあります。

例えば、次のようなツール・サービスがあります。

■インターナショナルシステムリサーチ「CloudGate UNO」■

https://www.cloudgate.jp/lineup/uno.html

■GMOグローバルサイン「GMOトラスト・ログイン」■

https://trustlogin.com/

■Okta「シングル・サインオン」■

https://www.okta.com/jp/products/single-sign-on/

■1Password「1PASSWORD ENTERPRISE」■

https://1password.com/jp/enterprise-password-manager/

■エクスジェン・ネットワークス「Extic」■

https://www.exgen.co.jp/extic/

■HENNGE「HENNGE One」■

https://hennge.com/jp/service/one/

■Siber Systems「RoboForm for Business」■

https://www.roboform.com/jp/business

3 もう一度おさらい。こんなパスワード管理は超危険!

1)なぜ、パスワードの使い回しは絶対ダメなのか

例えば、2024年11月にオイシックス・ラ・大地の宅食サービス「Oisix.com」において、第三者による不正ログインが発生した事案では、いわゆる「リスト型攻撃」が行われ、不正ログインされた可能性のあるID数は約9万7533件に上りました。

リスト型攻撃とは、何らかの手段により他者のID・パスワードを入手した第三者が、これらのID・パスワードをリストのように用いてさまざまなサイトにログインを試みることで、個人情報の閲覧などを行うサイバー攻撃です。

繰り返しになりますが、パスワードの使い回しが超危険なのは、他のウェブサービスやアプリにも不正アクセスされて、芋づる式にアカウントを乗っ取られる恐れがあるためです。同じパスワードを設定しないことが、リスト型攻撃を防ぐ方法の1つです。

2)1秒以内に破られる、使ってはダメなパスワード

プライバシーとデジタルセキュリティに関するソリューションを提供する大手プロバイダーであるNode Securityが公表する「Top 200 Most Common Passwords」によると、日本では、「123456789」「password」「12345678」「1qaz2wsx」「asdfghjk」「asdf12345」「aa123456」「asdf1234」「123456」「1234567890」などが最も一般的なパスワードとなっています。これらの大半は、1秒以内に破られてしまいます。

すぐ破られてしまうパスワードを使っていないか、確認してみるとよいでしょう。

■Node Security「Top 200 Most Common Passwords」■

https://nordpass.com/most-common-passwords-list/

3)デバイス紛失時に漏洩しかねない「ウェブブラウザへの記憶」

ID・パスワードをウェブブラウザに記憶させておくこともできます。便利な機能ですが、デバイスを紛失してしまったときのことを考えると、あまり好ましくありません。比較的簡単な操作でID・パスワードが漏洩してしまう危険があります。

4)パスワードの定期的な変更が裏目に出ることも

これまではパスワードの定期的な変更が推奨されていましたが、最近は変わってきています。

定期的な変更でパスワードの作成方法がパターン化することのほうが問題である

という考えが広まっているためです。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)からも、パスワードを定期変更する必要はなく、流出時に速やかに変更する旨が示されています。

■内閣サイバーセキュリティセンター「インターネットの安全・安心ハンドブック」■

https://security-portal.nisc.go.jp/handbook/

以上(2025年2月更新)

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画像:Aurielaki-Adobe Stock

【朝礼】常識を疑え! 会社には「赤くないイチゴ」も必要だ

【ポイント】

  • 白イチゴは、色が白く熟していないように見えるが、実はとてもおいしい
  • 「イチゴは赤い」という常識にとらわれすぎないことが大切。社員教育などでも同じ
  • 常識を疑うことが大切だが、外してはならないポイントもあるので注意する

先日、知り合いがイチゴを送ってくれました。そのイチゴは皆さんが知っているような赤い色ではなく、雪のように真っ白な「白イチゴ」。一瞬、熟していないものが出荷されたのかと思いましたが、1つ食べてみたら個性的な甘さでとてもおいしく、新しい発見をした気持ちになりました。

実はこの白イチゴ、突然変異で生まれたものを、何年も品種改良を続けて「甘くて白い」イチゴにしたそうです。イチゴといえば赤いのが当たり前で、それ以外の色があるなどとは普通は考えもしません。そういった意味で、白イチゴはまさに常識を超えた商品といえるでしょう。

「常識とは違う」ことに注目し、価値や才能を見いだして育てていくのは、社員教育でも同じです。これから入ってくる新入社員の中にも、白イチゴのような「常識とは違う」人材がいるかもしれません。皆さんは、そうした新入社員を見て、接し方に悩んだり、理解に苦しんだりして困ってしまうことでしょう。中には否定的に見る人もいるかもしれません。

しかし、皆さんが持っている「常識」が常に正しいわけではありません。私たちが当たり前だと思っている「常識」が、世の中ではすでに時代遅れになっている可能性だってあるのです。商品やサービスについても同じこと。既に新しいものがどこかで誕生し、当社が主流から外れつつある状況かもしれません。白イチゴの新入社員は、私たちに、そうした目に見えにくい危機を気付かせてくれる存在です。むしろ、常識と違う異質な人材を、その良さを壊さず、“もっととがる”ように育てなければならないかもしれません。

とはいえ、個性を尊重する一方で、ビジネスパーソンとして通用するようにしっかり指導することも必要です。白イチゴが商品として魅力を発揮することができたのは、「白い」という物珍しさからだけではありません。「甘い」「大きい」という、私たちが普通のイチゴに期待する要素が備わっているからです。ビジネスパーソンの場合であれば、基本である「時間を守る」「あいさつをする」などのマナーやルールを指導しながら、個性はつぶさず、教えるべきことはしっかり教えていかなければなりません。簡単なことではありませんが、これからの当社を担う、白イチゴのような新人たちを、希望と期待を持って皆で育てていきましょう。

以上(2025年1月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

職場に貼って使える 職場ポスター「インフルエンザの感染防止にご協力ください」

印刷して職場に掲載できるポスターです。

今回は、インフルエンザの感染防止のため、社員に心がけてほしいことをまとめました。


こちらからポスターのPDFをダウンロードできます。社員への呼びかけのため、職場や店舗に貼ってご活用ください

こちらからダウンロード

以上(2025年1月作成)

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画像:日本情報マート