派遣期間を超えて派遣社員を利用するとどうなりますか。

QUESTION

派遣期間を超えて派遣社員を利用するとどうなりますか。

ANSWER

労働契約申込みみなし制度が適用される場合があります。

解説

労働者派遣法では、派遣元事業主が派遣労働者に就業条件等を明示する際に、派遣先が派遣期間の制限に違反して労働者派遣を受けた場合には、派遣先が労働契約の申込みをしたものとみなされることを併せて明示しなければならないとされています。(労働者派遣法第34条第3項)
労働契約申込みみなし制度の対象となる違法派遣は以下の項目になりますので注意が必要です。

  • 派遣労働者を禁止業務に従事させること
  • 無許可事業主から労働者派遣の役務の提供をうけること
  • 事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
  • 個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
  • 偽装請負等

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.94080

画像:Mariko Mitsuda

休職期間の延長拒否は、解雇となるのでしょうか。

QUESTION

休職期間の延長拒否は、解雇となるのでしょうか。

ANSWER

就業規則上に、休職期間の延長の対象となる場合とそうでない場合の事由や条件等を明確に規定しておけば、解雇になりません。

解説

仮に休職期間の延長の規定があっても、延長するか否かをその都度の事業主の判断によって決めていると、延長制度の運用状況にもよりますが、労働者が休職期間の延長を期待することに合理的理由があると認められる場合があります。このような場合、休職期間の延長の拒否が解雇に相当する可能性が生じます。
休職期間の延長の対象となる場合とならない場合の事由と条件等を明確に定めることで、このような問題は防止することができます。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.96050

画像:Mariko Mitsuda

解雇予告の取消しと解雇月日の変更は許されますか。

QUESTION

解雇予告の取消しと解雇月日の変更は許されますか。

ANSWER

いずれも労働者の同意が必要となります。

解説

使用者は、一度解雇の予告をした以上は事情が変更したからといって、原則としてこれを取り消すことはできません。なぜならば、使用者の単独行為である予告を一方的に取り消し得るとすると、通知を受けた労働者の法律上の地位が極めて不安定な状態になるからです。
しかし、このような状態をもたらさない取消、換言すれば労働者の同意を得て取り消すことは差し支えないと解されています。
次に、解雇予告後の解雇月日の変更についてですが、労働基準法第20条第2項の予告期間の設定は必ずしも予告した当初のみに許されると解する必要はないとして、変更を認める説もあります。
しかし一旦特定された解雇月日を変更することは、その限りにおいて解雇予告の取消しとなるため、例え変更した日数に相当する予告手当の支払いがなされても労働者の同意がない限り、解雇月日を一方的に変更することはできないと解されています。
以上のように、解雇予告の法的性格から、予告の取消し及び予告後の解雇月日の変更については、いずれも労働者の同意があってはじめて許されるものであって、使用者が一方的になし得るものではありません。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.99040

画像:Mariko Mitsuda

試用期間中の者は、予告なく即日で解雇することができますか。

QUESTION

試用期間中の者は、予告なく即日で解雇することができますか。

ANSWER

雇い入れ後14日を超えると、予告なく即日で解雇することはできません。

解説

試用期間中であっても14日を超えて引き続き使用した場合は解雇予告が必要になります(労基法第21条)。また、試用期間中に業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する場合は、当該休業期間とその後30日間は、使用者は労働者を解雇できません(労基法第19条)。
解雇事由についても、通常の解雇よりは解雇の自由は広く認められるものの、実際に解雇するにあたっては“当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至つた場合において、そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇傭しておくのが適当でないと判断することが、上記解約権留保の趣旨、目的に徴して、客観的に相当であると認められる場合”に限られます(三菱樹脂事件‐最大判昭48.12.12)。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.96040

画像:Mariko Mitsuda

親を社会保険の扶養に加入させることはできますか。

QUESTION

親を社会保険の扶養に加入させることはできますか。

ANSWER

親は子の健康保険には加入することはできても、国民年金・厚生年金保険には加入することはできません。

解説

健康保険では、被保険者の直系尊属(父母、祖父母等)配偶者・子・孫・兄弟姉妹は、生計維持関係があれば被扶養者となります。
生計維持関係は、認定対象者(この場合「親」)が被保険者と同一の世帯の場合は、認定対象者の年収が130万円(60歳以上又は障害者の場合は180万円)未満、かつ、原則として被保険者の年収の2分の1未満です。

一方、認定対象者(この場合「親」)が被保険者と同一世帯に属していない場合は、認定対象者の年収が130万円(60歳以上又は障害者の場合は180万円)未満、かつ、被保険者からの援助(仕送り)による収入額より少ない場合です。

なお、令和2年4月1日より、被扶養者の認定基準に「国内に居住していること」が新たに追加されました。

また、国民年金の第3号被保険者の要件は、

  • 第2号被保険者(注:会社員や役員、公務員)の配偶者であって、
  • 主として第2号被保険者の収入により生計を維持する者(被扶養配偶者)であり、
  • 20歳以上60歳未満の者

です。
このため、国民年金では、子に扶養されている親は第3号被保険者になることはできません。

なお、厚生年金保険では、健康保険のような被扶養者の制度はありません。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.98010

画像:Mariko Mitsuda

契約社員が期間満了によって退職する際の退職理由は「契約期間満了」か、「自己都合」のどちらになりますか。

QUESTION

契約社員が期間満了によって退職する際の退職理由は「契約期間満了」か、「自己都合」のどちらになりますか。

ANSWER

契約期間の最終日に退職する場合は、「契約期間満了」となります。契約期間の途中に本人が退職を希望した場合は、「自己都合」となります。

解説

雇用された時点から、3年未満であれば、期間の定めがある労働契約が複数回更新されていても、退職理由は「契約期間満了」となります。
ただし、失業給付上は会社から更新しなかった場合、会社都合と同等に扱われます。
また、期間の定めがある労働契約が1回以上更新され、雇用された時点から継続して3年以上引き続き雇用されている場合であり、その契約の更新をうち切る時期があらかじめ明らかにされていない場合には、離職時の具体的事情に応じて、契約期間満了でも、失業給付の受給に関しては、事業主都合による解雇と同等、自己都合による退職などとみなされます。
注)退職理由は個別の事情により異なることがあります。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.99060

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半日単位の振替休日や代休は認められるのでしょうか。

QUESTION

半日単位の振替休日や代休は認められるのでしょうか。

ANSWER

振替休日は半日単位で与えることはできませんが、代休は可能です。

解説

労働基準法35条により、休日は原則として午前0時から午後12時までの暦日単位で与えなければならないものとされています。
振替休日は本来与えるべき休日の日を変更して与えるという性質のため、半日単位で与えることはできません。
代休は、振替えをせず本来の休日に労働して割増賃金を支払った上で、代わりの休日を与えるということなので、就業規則等の定めに基づいて半日単位で与えることができます。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.93030

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労働時間の適切な把握方法はありますか。

QUESTION

労働時間の適切な把握方法はありますか。

ANSWER

適切な把握方法はあります。

解説

厚生労働省は、平成13年4月、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(労働時間適正把握基準)」(基発339号)を策定しています。
この基準を基に平成29年1月20日に同省が発出した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によれば、使用者が労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によることとされています。

  • 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
  • タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

上記の方法によることなく、やむを得ず自己申告制により行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずることとされています。

  • 自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正な自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
  • 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること。
  • 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.93110

画像:Mariko Mitsuda

年次有給休暇を取得中の労働者がいましたが、午後、緊急やむを得ない理由が発生し、本人の同意のうえ急遽出勤(業務終了後、即時帰宅)してもらいました。この場合、有給休暇は使用されたこととなるのでしょうか。また、急遽出勤していただいた時間は時間外労働として残業代を支払う必要があるのでしょうか。

QUESTION

年次有給休暇を取得中の労働者がいましたが、午後、緊急やむを得ない理由が発生し、本人の同意のうえ急遽出勤(業務終了後、即時帰宅)してもらいました。この場合、有給休暇は使用されたこととなるのでしょうか。また、急遽出勤していただいた時間は時間外労働として残業代を支払う必要があるのでしょうか。

ANSWER

年次有給休暇中に同意のうえ出勤してもらった場合には、年次有給休暇の使用は取り消されることとなります。このため、通常の出勤日と同様に賃金の計算をすることとなりますが、実際の労働時間が所定労働時間に満たない場合には、その満たない時間部分の賃金については、少なくとも会社都合による休業として休業手当を支払うべきです。
また、年次有給休暇中に出勤するといった事態が発生しないよう再発防止策を講じることが急務です。

解説

年次有給休暇取得中は、その労働者の労働義務が免除されている状態にあるため、業務上やむを得ない理由があっても、一方的に使用者側が出勤を命ずることはできず、その労働者の同意のもと出勤してもらうこととなります。この場合、年次有給休暇の使用が取り消されることとなりますので、通常の出勤日として勤怠管理や賃金計算を行う必要があります。

そうすると、実際の労働時間が所定労働時間に満たない場合には、その満たない時間分についてはノーワーク・ノーペイの原則により賃金が発生しないこととなりますが、その原因は会社側にあるため、少なくともその時間分について休業手当を支払うべきと考えられます。
また、時間単位年休の制度を導入している場合には、本人の希望を前提に、所定労働時間に満たない時間分について時間単位年休を取得してもらうという対応方法も考えられます。

いずれにしても、年次有給休暇中に出勤しなければならないといった事態は、勤怠管理上の問題だけでなく労働者のモチベーション低下にもつながりかねないので、同様の事態が発生しないよう業務体制や人員配置の見直しなどの再発防止策を講じることが急務です。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.92190

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副業を原則解禁としたところ、社会保険や雇用保険に加入している従業員が副業の申請をしてきました。副業を許可をする予定ですが、社会保険や雇用保険に関して何か手続きが必要でしょうか。

QUESTION

副業を原則解禁としたところ、社会保険や雇用保険に加入している社員が副業の申請をしてきました。副業を許可をする予定ですが、社会保険や雇用保険に関して何か手続きが必要でしょうか。

ANSWER

副業先において社会保険や雇用保険の加入要件を満たさない場合、原則として手続きは不要です。
一方、副業先において加入要件を満たす場合には、手続きが必要となったり、事務処理が煩雑となる場合があります。

解説

<副業先において社会保険、雇用保険の加入要件を満たさない場合>
副業先単体でみたときの契約期間や労働時間、賃金が、社会保険、雇用保険の加入要件を満たさないような働き方であった場合には、手続きは不要です。
ただし、本業において所定労働時間が20時間未満であることを理由として雇用保険未加入である65歳以上の労働者が副業を行う場合には、令和4年1月1日より新設されたマルチジョブホルダー制度に関する手続きが発生する可能性があります。

<副業先において雇用保険の加入要件を満たす場合>
副業先単体でみたときの契約期間や労働時間が、雇用保険の加入要件を満たすような場合には、原則として、主たる賃金を支払う事業所のみで雇用保険被保険者となります。このため、副業先において本業よりも多額の賃金の支払いを受けている場合には、本業の雇用保険被保険者資格を喪失させる手続きを行う必要があります。

<副業先において社会保険の加入要件を満たす場合>
副業先単体でみたときの契約期間や労働時間、賃金が、社会保険の加入要件を満たすような場合には、どちらの事業所においても被保険者資格を取得することとなりますので、手続きは不要です。ただし、標準報酬月額は両事業所の報酬を合算して算定され、各事業主は、支払う報酬の額により按分した保険料を、労働者が自ら手続きを行うことにより選択した年金事務所および健康保険組合に納付することとなりますので、事務処理が煩雑化する恐れがあります。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.98080

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