2025年施行の改正法対応 介護休業の実務ガイド(2025年8月号)

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」が昨年改正され、ことし4月から段階的に施行されています。改正法対応は、事業主の義務というだけではなく、職場における介護離職防止のための経営課題ともいえます。
また、介護は育児と違って介護対象者の容態がさまざまで、ケアすべき期間が不明確であるなど先の見通しが立てにくく、仕事と育児の両立支援とは異なる課題があります。個々の従業員の仕事と介護をめぐる状況に適した支援を行ない、離職せずに働き続けられる環境整備を進める必要があります。
本冊子では、仕事と介護の両立支援にフォーカスし、改正内容をはじめ介護休業等に関連する実務について解説します。


4割以上の社員が悩んでいる!? 「気象病」の正体とその対処法

1 「気象病」対策で快適な職場環境を!

「気象病(天気痛)」という言葉をご存じでしょうか? 近年、メディアでも取り上げられることが増え、「もしかして自分も?」と、感じている人もいるかもしれません。

気象病とは、気圧や気温、湿度などの変化によって生じる身体的・精神的な不調のこと

です。最近は、天気予報で「頭痛警戒」などと聞くこともありますが、まさにそれが気象病の症状によるものです。日本医師会などによると、具体的な症状として、

頭痛、めまい、吐き気、関節痛、倦怠(けんたい)感など

が挙げられています。これらの症状は、社員の集中力や生産性の低下につながり、放っておくと会社全体にも影響を及ぼしかねないものです。

2025年6月に、316人の社会人(年齢不問)に対して「気象病」に関する独自アンケートを実施したところ、229人(72.5%)が気象病の存在を認知しており、さらにそのうち、

44.5%が「気象病の自覚がある、または過去に気象病になったことがある」と回答

していました。

気象病の症状の有無

会社として「気象病」対策に取り組むことは、次のように多くのメリットをもたらします。

  • 体調不良による集中力低下を防ぎ、社員が本来のパフォーマンスを発揮できる
  • 社員の健康に配慮することで、社員の会社に対する信頼感や満足度が高まる
  • 体調不良を理由とした離職を防ぎ、優秀な人材の定着につながる
  • 「社員を大切にする会社」として、採用活動などにおける会社のイメージが向上する
  • 体調不良による突発的な欠勤や早退が減り、業務計画が立てやすくなる

そこで、この記事では、アンケートの結果を参照しつつ、気象病による具体的な症状、会社でできる対処法などについて紹介します。

2 気象病の社員はどのような症状に悩まされているのか?

気象病の症状は多岐にわたります。図表1の設問で「気象病の自覚がある、または過去に気象病になったことがある」と回答した102人に具体的な症状を聞いたところ、「頭痛」の症状が出ている人が78.4%と最も多く、次に倦怠感、耳鳴りなどが続く結果となりました。

気象病の症状

また、気象病の症状の程度については次の通りです。

気象病の症状の程度

アンケートの結果を見ると、「通常通りの業務が不可能」と「休憩をはさめば通常通りの業務が可能」の合計が61.8%を占めており、気象病の症状がある人のうち約6割が、業務に大きく影響を与えるほどの症状を抱えていることが分かります。

また、「通常通りの業務が不可能(休みも視野に入る)」「休憩をはさめば通常通りの業務が可能」と答えた63人を対象にした、「気象病の症状が仕事中に強く出たとき、辛かったポイントは?」という設問への回答は以下の通りです。

仕事中に辛かったポイント

3 社員はどのような配慮を求めているのか?

気象病の症状が出たことがあると回答した102人に、「気象病の症状があるとき、会社であったら嬉しい配慮」を聞いたところ、次のような結果になりました。

気象病の際に望む対処

これを踏まえ、次章では仕事への影響が大きい症状と、会社でできる対処法の例を紹介します。ただし、

対処法の内容は、医療機関のウェブサイトなどに基づく一般的なものですので、実際に取り組みを講じる場合、必要に応じて医師や理学療法士などの専門家に相談

するようにしてください。

4 会社でできる「気象病」への対処法を検討してみよう

1)頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りなどがある人への配慮

気象病の場合、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りといった症状は、主に、

気圧の変化が内耳に影響を与え、自律神経のバランスが乱れることで引き起こされる

と考えられています。自律神経は、交感神経と副交感神経がバランスを取りながら体の機能を調整していますが、このバランスが崩れると、上のような不調が現れやすくなるのです。

会社でできる対処法としては、次のようなものが挙げられます。

1.業務中の耳栓着用の許可

内耳への気圧の影響を和らげるため、社員が業務中、耳栓を着用することを許可します。気象病に特化した耳栓もあるので、会社で購入して配布するのもよいでしょう。

2.朝食を毎日しっかり取ることの推奨

朝食を取ることは、自律神経のバランスを保つ上で非常に重要です。例えば、農林水産省では、「めざましごはんキャンペーン」という、朝食を毎日しっかり食べることを応援するキャンペーンを実施し、ウェブサイト上で朝食が体に与える影響などを分かりやすく説明しています。こうした情報を、リーフレットやポスターで社員に周知するとよいかもしれません。

3.軽い運動を促す

休憩時間に軽いストレッチやウォーキングを勧めることも効果的です。血流を促し、体温を高めの状態で保つことは、自律神経の安定や痛みの軽減につながるといわれています。

4.温かい飲み物の提供

体を温めることは、自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。例えば、オフィスに給湯器を設置し、温かい飲み物を自由に飲めるようにすることなどが考えられます。ただし、コーヒーや緑茶はカフェインを多く含むため、飲みすぎると自律神経が活性化し、かえって症状が悪化することがあるようです。ノンカフェインの飲み物を用意することも検討しましょう。

2)関節痛(関節内の圧力変化からくる症状)がある人への配慮

気圧の変化は、関節内の圧力に影響を与え、関節痛を引き起こすといわれています。

会社でできる対処法としては、次のようなものが挙げられます。

1.テレワークの許可

関節痛は、特定の姿勢を長時間続けると悪化することがあります。痛みが強い日には、通勤の負担を避けるためにテレワークを許可することも、症状の緩和につながります。

2.昇降式デスクなどの導入

長時間同じ姿勢でいることが関節痛の原因になる場合があります。高さを調節できる昇降式デスクを導入すると、立ったり座ったりしながら仕事をすることが可能になり、関節への負担を軽減できます。

3.軽いストレッチの奨励

関節を動かす体操やストレッチを行うことで関節周りが温まり、痛みが和らぐことがあります。休憩時間にできる簡単なストレッチを奨励したり、オフィスでストレッチ動画を流したりするのもよいでしょう。ただし、痛みの程度などによって、適切なストレッチ方法は異なる場合があります。

3)症状が重い人への特別な配慮

中には、気象病の症状が非常に重く、仕事に集中できないだけでなく、日常生活にも支障を来す社員もいます。このような場合、通常の体調不良と同様の柔軟な対応が求められます。

会社でできる対処法としては、次のようなものが挙げられます。

1.体調不良休暇の導入

年次有給休暇とは別に、体調不良時に取得できる特別休暇を導入することも一考に値します。無理に出社して体調を悪化させることを防ぎ、回復に専念できる環境を提供できます。

2.就業時間中の「中抜け」を認める

体調の良い時間に集中して仕事を進め、つらい時間は「中抜け」するなど、自身のペースで柔軟に働ければ、体調が悪いのに無理をして、更に症状が悪化することの防止につながります。中抜けの時間は休憩時間(無給)として扱うことも、時間単位年休(1時間単位で取得できる年次有給休暇)として扱うことも可能ですが、いずれの場合も就業規則等で定めなければいけません。また、時間単位の年休を導入するには、労使協定の締結が別途必要です。

3.産業医やカウンセラーとの連携

症状が継続的であったり、精神的な負担が大きかったりする場合は、産業医や社外のカウンセラーと連携し、サポートを受けられる体制を整えることも重要です。必要に応じて医療機関への受診を促し、適切な治療を受けられるよう支援しましょう。

5 より気象病に理解のある職場をつくるために……

最も大切なのは周囲が気象病への理解を深め、配慮する姿勢を示すことです。単に「だるいんだろう」「気分が優れないんだろう」で片付けず、社員の声に耳を傾け、困っていることを理解しようとする姿勢が、社員の安心感につながります。

1)定期的な情報発信

多くの人が気象病の症状を感じていても、それが気象の変化によるものだと自覚していないケースも少なくありません。「ただの体調不良」で片付けてしまうと、適切な対処が遅れる原因となりますので、会社として気象病に関する正しい情報を発信し、社員の認知度を高めることが重要です。例えば、次のような方法が挙げられます。

1.社内報や社内SNSでの情報発信

気象病の基礎知識、症状、対処法などを定期的に発信しましょう。専門家の監修を受けた情報であれば信頼性も高まります。

2.健康セミナーの開催

外部から専門家を招き、気象病に関するセミナーを開催するのもよいでしょう。質問の時間を設けることで、社員の疑問解消につながります。

2)ツールの利用

気象病は、天気予報や気圧予報を参考にすることで、ある程度の予測が可能です。また、自身の症状を記録することで、傾向をつかみやすくなります。次のようなツールを利用することも考えられます。

1.気圧予報アプリ・ウェブサイト

気象病の代表的な症状である頭痛に特化したアプリやウェブサイトなどもあります。社員が自身の症状と気圧変化の関連性を把握し、事前に体調管理を意識するのに役立つので、社内での活用を推奨したり、紹介をしたりするだけでも、社員のセルフケア意識を高められるでしょう。

2.気圧計

オフィスに簡易的な気圧計を設置するのも一つの方法です。社員が日常的に気圧の変化を意識し、体調管理の目安にするきっかけになります。

3.オンライン診療・健康相談サービス

症状が続く場合や、専門的なアドバイスが必要な場合に、オンラインで医師や専門家に相談できるサービスを導入することも検討しましょう。時間や場所の制約を受けずに相談できるため、社員の心理的負担を軽減し、早期の対処につながります。福利厚生の一環として導入することで、社員は安心して利用できます。

以上(2025年9月作成)

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画像:ミツキ(MiMi)-illustAC

【債権回収】破産しそうな債務者が利用できる「特定調停」の基本を押さえる

 

目次

 

1 特定調停を利用する意義

特定調停は債務者に配慮した制度であり、債務者が申し立てるものです。債務者の立場としては、相手が特定調停を申し立てたときの備えをする必要があるため、この記事で特定調停の基本を紹介します。

特定調停とは、

債務の返済ができなくなる恐れのある債務者(以下「特定債務者」)の経済的再生を図るため、特定債務者が負っている金銭債務に係る利害関係の調整を行う手続

です。特定調停はいわゆる債務整理に特化した民事調停といえます。民事調停と同じく、裁判官と一般市民から選ばれた調停委員(特定調停委員)とともに進められます。なお、民事調停と違って申立てができるのは特定債務者だけです。また、

特定債務者の状況に配慮して調停が進むのが通常のため、債務は減額される

ことは珍しくありません。ただし、

特定債務者が破産する前に、減額されたとしても債権の一部は回収できる

という点は好ましいといえます。

債権者の立場から見た場合、特定調停に応じるメリットとデメリットは次の通りです。

【特定調停のメリット】

  • 特定債務者との話し合いができる
  • 調停が成立すれば判決と同じ効力が認められる

【特定調停のデメリット】

  • 特定債務者に配慮した結果になることが多い
  • 対応のための時間・費用がかかる

2 特定調停手続の流れ

特定調停手続の流れ(債務者申し立ての場合)は次の通りです。

特定調停手続の流れ

1)特定債務者による申立書の提出

特定債務者が簡易裁判所に特定調停の申立てをし、これが受理されると裁判所から債権者に申立書等の書類が郵送されます。裁判所から金銭消費貸借契約書等の写しの提出や、債権額に係る計算書の提出を求められた場合はこれに応じます。

2)調停期日の指定

通常、調停期日は2段階で進められます。まず、特定債務者のみから事情を聴取する事情聴取期日が開かれます。その後、裁判所において調整期日が開かれます。これは、債権者も出席して返済方法などを調整する日です。電話での調整が行われることもあります。

3)調停成立

裁判所が間に入って特定債務者が返済可能な弁済計画を立て、債権者の意見も聞いた上で返済方法の調整を行います。合意に至った場合、調停が成立します。裁判所は調停の内容を「調停調書」にまとめます。特定債務者が調停調書の義務を履行しない場合、強制執行が行えます。

なお、特定調停は、通常、申立てからおおよそ2カ月の期間で終了します。

4)調停に代わる決定

債権者が話し合いに応じなかった場合や合意に至らなかった場合、裁判所は「特定調停に代わる決定」を出すことがあります。特定調停に代わる決定とは、

裁判所が当事者の言い分を衡平に考慮した上で、解決条件などを決定して双方に提示するもの

です。当事者がこれを受け取った後、2週間以内に異議の申立てがなければ特定調停が成立したのと同じ効力が生じます。しかし、いずれか一方が異議を申し立てると効力は生じません。異議は、理由を問わず任意に出すことができます。

以上(2025年7月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 栗原功佑)

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画像:Mariko Mitsuda

組織をむしばむ「静かな退職」。 早期に対応する方法とは?

1 中小企業こそ要注意! 組織をむしばむ「静かな退職」

「静かな退職」とは、

すぐに仕事を辞めるつもりはないけれど、仕事への情熱や会社への貢献意欲が薄れてしまい、与えられた最低限の業務だけを淡々とこなすような働き方

のことをいいます。「静かな退職」は、中小企業にとって注意が必要な課題の一つとなってきています。それは少人数の職場では、一人ひとりの役割が大きいからです。

もし、誰かが「静かな退職」状態になってしまうと、これまでの業務の改善提案や、部下や後輩の指導、顧客との良好な関係づくりなどが次第に行われなくなります。その分、意欲的に働いている社員の負担が重くなり、職場全体の活気や効率が下がり、チームワークやコミュニケーションもうまくいかなくなります。場合によっては、やる気のある社員のほうが先に退職してしまうことも考えられます。

一方で、遅刻や欠勤があるわけでもなく、任された仕事はそれなりにこなしているため、会社側はなかなか気付きにくい、気付いたとしても指摘しにくいというのが、「静かな退職」のやっかいなところです。

この記事では、「静かな退職」の兆候を見逃さず、早めに対応していくための方法について、特に、厚生労働省が取り組んでいる「セルフ・キャリアドック」という制度に注目してご紹介していきます。

2 「静かな退職」の兆候は、合理的な塩対応?

「静かな退職」状態の社員には、次のような言動が見られる傾向があります。

  • 定時出社、定時退社を徹底する(残業を拒む)
  • 昇進や責任あるポジションに関心を示さない
  • 業務時間外の社内イベントへの参加を避ける
  • 仕事関連のメッセージに最低限しか返信しない
  • 会議での積極的な発言やアイデア出しをしない
  • 指示された以上の業務は行わない
  • 新しいスキルや知識の習得を避ける

「静かな退職」は、社員が自らの意思で過度な労働や貢献を避けるという選択をした結果であり、「ただ何となくやる気がない」といった受け身の姿勢とは異なります。社員なりにそうする理屈があり、ある種、合理性をもって塩対応をしているわけです。

なぜこうした行動や態度を取るのかというと、実は様々な要因が複雑に絡み合っています。例えば、次のようなものがそうです。

  • かつての日本的雇用慣行であった終身雇用制度が事実上崩壊し、社員は将来的なキャリアパスを描きにくくなっている
  • ワーク・ライフ・バランスへの関心の高まりなどの影響もあって、仕事を生活の手段と捉え、プライベートを重視する社員が増えている
  • 少子高齢化と人手不足の深刻化で、新卒社員の初任給を大幅に引き上げる一方、既存社員の待遇改善まで手が回らない会社があり、「頑張っても報われない」というやるせなさを感じている社員も少なくない
  • 会社によっては、心配事や意見を安心して話せない雰囲気があったり、上司と部下の信頼関係が薄く、コミュニケーションが一方的になっていたりする

3 「セルフ・キャリアドック」で仕事への愛を取り戻せ!! 

1)「セルフ・キャリアドック」とは

「セルフ・キャリアドック」とは、

年齢や昇進などのキャリアの節目に、キャリアコンサルティング面談やキャリア研修などを行い、社員のリスキリングの支援を含めた、主体的なキャリア形成を支援する取り組み

のことをいいます。あまり聞き慣れない用語かもしれませんが、

厚生労働省の「キャリア形成・リスキリング推進事業」で、企業・団体向けに無料で導入支援が受けられる

ことをうたっています(同事業はパソナが受託・運営)。これは、セルフ・キャリアドックを実施したい会社に対して、専門家(国家資格のキャリアコンサルタント)が伴走しながら支援するもので、キャリアコンサルタントが社員と会社の間に入り、社員個人が「なりたい姿」と、会社側が社員に求める「こうなってほしい姿」の、両方を考慮したアプローチを取るのが特徴です。

■キャリア形成・リスキリング推進事業■
https://carigaku.mhlw.go.jp/
■全国各地のキャリア形成・リスキリング支援センター及び相談コーナー■
https://carigaku.mhlw.go.jp/otw/

2)「セルフ・キャリアドック」の実施で期待される効果

「セルフ・キャリアドック」では、キャリアコンサルタントとの対話を通じて、社員が自分の仕事の価値や会社での存在価値を再認識することで、自らのキャリアを深く考え、やる気を取り戻す可能性があります。また、会社からキャリアサポートを受けることは、仕事に対する満足感や充実感を高め、組織への愛着を深めることにつながります。

例えば、ある宿泊業の会社は、社員が10年、20年後の自身のキャリアプランを考える機会として、セルフ・キャリアドックを導入。キャリアコンサルタントを呼び、「ジョブ・カード(注)」を用いて社員の強み・弱みを明らかにした後、責任者との面談でこれまでのキャリアを振り返り、今後の将来設計について話し合っているそうです。

(注)ジョブ・カードとは、職務経歴・学習歴・資格・仕事への意識や希望などを一元的にまとめられる、個人のキャリアポートフォリオのことです。

セルフ・キャリアドックと、特定のスキルを学べる社外研修なども実施したことで、「同じ仕事の反復にならないように、社外からのインプットを活かして成長をしたい」という社員の期待に応えることができるようになり、社員の主体性が育まれ、日々の業務のモチベーション向上につながっているそうです。

厚生労働省の「キャリア形成・リスキリング推進事業」で紹介されている導入事例を分析してみると、セルフ・キャリアドックにより、次のような効果が期待されるとしています。

  • キャリア面談や研修、肯定的な自己理解支援により、社員のキャリア自律を促す効果
  • 1on1やチームミーティングによる相談しやすい風土をつくり、コミュニケーションが活発になる効果
  • 社員が仕事のやりがいを再発見し、主体性・モチベーションを向上させる効果
  • 会社の人材育成方針と融合した制度にしていくことで、組織としての課題を「見える化」し、社員の処遇改善などにつなげる効果
■キャリア形成・リスキリング推進事業 活用事例■
https://carigaku.mhlw.go.jp/koujirei/

4 参考

■働きがいのある会社研究所(Great Place To Work® Institute Japan)「静かな退職に関する調査2025年」■
https://hatarakigai.info/news/2025/0304_3848.html
■マイナビキャリアリサーチLab「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」■
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250422_95153/
■パーソル総合研究所「定点調査から見える『静かな退職』の動向~背景に潜む3つの就業変化~」■
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/202506120001.html
■エン・ジャパン「『静かな退職』実態調査(2025)」■
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/42001.html
■リクルートワークス研究所「『辞めない理由』の研究からわかったこと」■
https://www.works-i.com/research/project/whytheystay/found/index.html

以上(2025年8月作成)

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精神障害の労災1,000件超え

仕事によるストレスが原因で精神障害を負い、国から「労災」と認められた件数が、令和6年度に1,055件に上りました。年々増える傾向にありますが、初めて1,000件を超え、過去最多となりました。本稿では、厚生労働省が今年5月に公表した「令和6年度 過労死等の労災補償状況」から、精神障害の労災認定に絞って主なデータを紹介します。

1 10年前の2倍以上に

精神障害の労災認定1,055件は、前年度と比べ172件増えました。10年前の平成26年度(497件)と比べると、2倍以上となっています。1,055件のうち自殺や自殺未遂に至ったのは88件でした。

精神障害の労災認定件数

精神障害の労災認定件数

※厚生労働省「令和6年度 過労死等の労災補償状況」より

1,055件を業種別に見ると、多い順に「社会保険・社会福祉・介護事業」152件、「医療業」118件、「道路貨物運送業」69件、「総合工事業」46件、「飲食店」44件となっています。このほか、「その他の事業サービス業」「その他の小売業」「食料品製造業」「宿泊業」などが上位15業種に入りました。

職種別では、1,055件のうち最多が「一般事務従事者」の97件、続いて「保健師、助産師、看護師」70件、「自動車運転従事者」と「介護サービス職業従事者」がそれぞれ62件、「営業職業従事者」51件、「社会福祉専門職業従事者」47件となっています。このほか、「法人・団体管理職員」「接客・給仕職業従事者」「商品販売従事者」などが上位15職種に入っています。

2 原因はパワハラが1位

1,055件を原因別に見ると、最も多かったのは、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」の224件。続いて、「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」が119件でした。「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(カスタマーハラスメント)が108件で3番目に多く、「セクシュアルハラスメントを受けた」が105件で4番目となっています。

長時間労働も主要な原因となっています。「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」が51件、「2週間以上にわたって休日のない連続勤務を行った」も36件ありました。仕事に伴うメンタル疾患を防ぐには、まず、ハラスメントや長時間労働を防ぐことが重要なのです。

ただ、それだけでは不十分です。日頃から、会社全体で従業員のメンタルヘルス対策に取り組む必要があります。ストレスチェックや面接などで、従業員一人一人の精神の状態を把握し、不調がある場合には、医療機関の受診を勧めるほか、業務量を減らしたり、休暇を与えたりといった配慮も欠かせません。

しかし、中小企業では、人的な余裕がないことなどを理由に、取り組みが低調になりがちです。厚労省の「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業の割合は、労働者数50人以上の事業場では91.1%に上りますが、30~49人の事業場では73.1%、10~29人の事業場では55.7%となっています。

3 さいごに

仕事が原因の精神疾患については、労災の請求件数自体も増える傾向にあり、令和6年度には、過去最高の3,780件の請求がありました。企業が、精神疾患について労災を国に請求するような事態は、かなり深刻なケースです。そうなる前に、日頃から従業員の心の状態に配慮し、メンタルヘルスケアに力を入れることが重要です。

すぐに参考になるのは、厚労省の「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト こころの耳」です。このサイトには、「中小企業の事業主の方へ~メンタルヘルスケアに役立つコンテンツ~」と題した特設ページがあります。このほか、「5分でできる職場のストレスセルフチェック」「働く人の疲労蓄積度セルフチェック」など、すぐに利用できるコンテンツもありますので一度確認してみてはいかがでしょうか。

※本内容は2025年7月10日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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精神障害の労災1,000件超え

仕事によるストレスが原因で精神障害を負い、国から「労災」と認められた件数が、令和6年度に1,055件に上りました。年々増える傾向にありますが、初めて1,000件を超え、過去最多となりました。本稿では、厚生労働省が今年5月に公表した「令和6年度 過労死等の労災補償状況」から、精神障害の労災認定に絞って主なデータを紹介します。

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経営者200人に聞いた「癒やしのペット」! 1位は犬、猫どっち?

1 経営者たちの癒やしの源泉を辿ってみよう

日々、忙しく走り回る中小企業の経営者たち。この記事は、そんな経営者たちを自宅で癒やしてくれる「ペット」と、仕事中の癒やしである「ランチ」についてのコンテンツです。

今回、中小企業の経営者218人にアンケートを実施し、

  • あなたが好きな環境・好きな時間を使ってペットを飼えるなら、犬、猫、それ以外のどれを選びますか?
  • 平日のランチは、お米(定食や丼ものなど)、麺(ラーメン、そば、うどんなど)、パン(サンドウィッチやトーストなど)のどれを食べることが多いですか?

の、2つの質問をしてみました。次章からそれぞれのアンケート結果と、個性豊かな「理由」のも紹介していきます!

アンケートは2025年6月に、インターネットを通じて行いました。回答の中で、明らかに誤字と思われる表記などは修正しています。

2 もしもペットを飼えるとしたら……

まずは、

あなたが好きな環境・好きな時間を使ってペットを飼えるなら、犬、猫、それ以外のどれを選びますか?

という質問です。経営者たちの気になる回答はこちら!

ペットを飼うなら犬派?猫派?

アンケートの結果、

経営者は圧倒的に「犬派」が多い(56.4%)

ということが判明しました! では、それぞれの派閥のコメントを紹介します。

1)素直さが一番! 犬派の意見

犬派

「犬派」の経営者たちの意見はこちらです。

【コミュニケーションが取りやすい】

  • 多くのコマンドでコミュニケーションが取れる
  • 体全体を使って喜びを表現する様子に癒やされるから
  • 犬のほうが色々と教えがいがあるし、懐いてくれる
  • 犬の競技会に興味があり、犬の訓練をしているから
  • 子供のころ飼っていた。犬のほうが感情が伝わりやすい

【一緒に運動したい!】

  • 一日必ず散歩ができるから
  • 一緒に散歩したり出かけたりできるから
  • 散歩など一緒に運動ができるのと、コミュニケーションがとりやすいと思うから
  • 可愛げがある、一緒に散歩などをしたい

【従順さ】

  • 親しみや家族感は、犬が一番感じると思う
  • 頭が良い。かわいい。人に寄り添う
  • 犬は、人に忠実なので
  • 従順で飼い主を裏切らない
  • 従順で頭がいいから

2)マイペースさが魅力! 猫派の意見

猫派

「猫派」の経営者たちの意見はこちらです。

【とにかく癒やされる】

  • なぜか猫のほうが癒やされる
  • 見ていて癒される。綺麗好きそう
  • 甘えてくるときの仕草が好き
  • 猫パンチなど仕草が可愛い
  • 猫は予想外の行動をするから可愛い

【猫の姿に学ぶ経営者たち】

  • 自分勝手な行動に生き方の学びを感じるから猫が大好き
  • 飼い主に媚びない自由さ
  • マイペースな猫が好きなので
  • 猫の飼い主から少し引いた感じがいいと思う
  • ツンデレがいい

【飼いやすさはピカイチ】

  • 散歩が必要ない
  • おとなしい
  • 室内で飼える猫が好き
  • ほっといても大丈夫だから
  • 飼いやすさで猫

また、犬猫の他には鳥派の経営者も。「散歩が要らない、トイレも楽」「癒やされる」という回答が寄せられました!

3 仕事中のランチ、何食べる?

次に、

平日のランチは、お米(定食や丼ものなど)、麺(ラーメン、そば、うどんなど)、パン(サンドウィッチやトーストなど)のどれを食べることが多いですか?

という質問です。経営者たちの気になる回答はこちら!

平日のランチは何を食べる?

アンケートの結果、

「お米派」(56.4%)が1位の座に輝きました!

しかし、「麺派」も33.0%を占めるなど、中々健闘しています。では、それぞれの派閥のコメントを紹介します。

1)日本人ならやっぱりコレ! お米派の意見

お米派

「お米派」の経営者たちの意見はこちらです。

【ランチはしっかり食べたい!】

  • 腹持ちがいい
  • 昼は抜くことも多い反面、摂るときにはキチンと食事したい
  • パワーがみなぎる
  • 米を食べないと夕方までもたないから

【慣れ親しんだ味が一番】

  • 日本人だから
  • 一番自分の食生活にマッチしているから
  • やっぱりお米が一番
  • 米のほうが体に合っているから
  • お米が好きだから

【お米は健康にも良い】

  • 栄養が偏らないため
  • グルテンフリーのため小麦粉はたべない

また、「お弁当持参のため、お米になる」という回答も多く寄せられました。

2)大健闘&こだわり強め! 麺派の意見

麺派

「麺派」の経営者たちの意見はこちらです。

【食べやすさは正義】

  • 時間をかけずに食べることができる
  • 昼はサッパリと麺派だから
  • 楽に食べられるから
  • すぐに食べられスープも取れるので

【麺類は熱烈なファン多し】

  • お米もパンも食べますが、蕎麦が好きなので麺類が多い
  • うどんが一番
  • 焼きそばが好き
  • 単純に蕎麦やうどんやラーメンが好きだから
  • 麺類が大好き

【生活リズムに組み込まれている】

  • 晩はごはん、朝はパンかごはんだから、昼は麺が多い
  • 朝パン昼麺夜ご飯のサイクルが通常できている

また、「ちょうど良いボリュームだから」「その日の気分でバリエーションを分けられるから。」という回答も寄せられました。

3)パン派・それ以外派・食べない派の意見

それ以外派

少数派ですが、それぞれに個性的な意見が揃いました!

【パン派の経営者たち】

  • 近くのスーパーで買うことが多く、パンのほうがさっと食べれる
  • お昼は手軽に済ませたいので、パンが多いです
  • 年齢的に昼から米飯を食すると重く感じるようになってきた
  • パンは手間がかからなく、短時間で食べられるから効率が良い

【それ以外派の経営者たち】

  • 基本的には米派だが、ダイエット中なのもあって、昼は少なめにしているので炭水化物を控えることが多い
  • 仕事の忙しさによって変わる
  • バランス良く平均的に

【食べない派の経営者たち】

  • ダイエット
  • 昼ご飯は得てしてカロリー過多になるから
  • この40年、昼食は取っていない

以上(2025年7月作成)

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画像:いらすとや

【PDF】印刷して貼れる職場ポスター「セキュリティ意識を高めよう」

印刷して職場に掲載できるポスターです。

今回は、PCなどを扱う際に各社員に知っておいてほしい「セキュリティ対策の心得」をまとめました。


こちらからポスターのPDFをダウンロードできます。社員への呼びかけのため、職場などに貼ってご活用ください

こちらからダウンロード

以上(2025年7月作成)

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画像:日本情報マート

【朝礼】花火の歴史から考える、リスクを取ってでも良いものを!

【ポイント】

  • 花火は時代とともに華やかな形へと進化したが、花火職人は常に危険にさらされてきた
  • それでも、花火職人は「今よりも良いものを作りたい!」と花火作りに情熱を注いだ
  • リスクはゼロにはならない。リスクを取ってでも良いものを作るという意気込みが大切

皆さん、おはようございます! 夏真っ盛りで暑い日が続きますが、一方で楽しいイベントもありますね。例えば、花火大会がそうです! 夜空を彩る花火の数々は何歳になっても良いものですよね。今日は、そんな花火の歴史をひもときながら、話をしたいと思います。

日本で最初に花火を見たのは、諸説ありますが、江戸幕府の初代将軍・徳川家康だといわれています。イギリス国王の使節が献上した花火を見た家康が、それに魅せられ、三河の砲術隊に命じて、観賞用の花火を作らせるようになったそうです。やがて、8代将軍・吉宗の時代に、飢饉で亡くなった人たちの慰霊と悪疫退散を祈って水神祭を行うために花火が打ち上げられるようになり、これが花火大会の由来になったといわれています。江戸時代の花火は赤一色だったそうですが、明治時代に入り、さまざまな金属が西洋から輸入されるようになると、鮮やかな色を出せるようになり、今の華やかな形へとつながっていったわけです。

とはいえ、花火は火薬を扱うため、打ち上げには常に危険がついてまわります。実際、今ほど安全対策が徹底されていなかった大正や昭和の時代には、花火によって多くの死者が出たという記録も残っています。ですが、過去の花火師たちはそんな死と隣り合わせの状況にありながらも、火薬の配合、筒の強度、打ち上げのタイミングなど、あらゆる工程で試行錯誤を繰り返し、いかに安全に、そしていかに美しく花火を打ち上げるかに情熱を注いできました。それは、「リスクを取ってでも、今より良いものを作りたい!」という情熱があったからでしょう。彼らの努力によって、花火は危険なものから、人々を魅了する芸術へと昇華していったのです。

わが社のビジネスでは、花火師のような物理的な危険にさらされることは少ないですが、とはいえどんな仕事にも、「何か失敗をすれば、何かを失うリスク」は大なり小なりあります。誰だってできればリスクは取りたくないものですし、失敗する可能性を減らすための努力は必要不可欠ですが、どんなに頑張ってもリスクが完全にゼロになることはありません。だったら、たとえリスクがあったとしても、今より良いものを作る! 皆さんにはそんな情熱を常に持っていてほしいと思います。花火を芸術に昇華させた花火師のような、熱いチャレンジを私は心より応援します。

以上(2025年8月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【書籍ダイジェスト】『フィンランドの高校生が学んでいる人生を変える教養』

本書は、フィンランドで子育てを経験した同国在住の著者が、「人生観の知識」のクラスの内容を詳述している。小学校から高校まで選択できる科目である「人生観の知識」では、「私とは誰か」「良い人生とは何か」などの深い問いについて、自分の答えを探すための視点を提供している。対話を重視し、幅広く批判的な思考を持つあり方が提示されているようだ。

書籍ダイジェストは、こちらからお読みいただけます。pdf