「ガンプラ」人気で市場が拡大! プラモデルの需要動向

1 プラモデル(特にガンプラ)の需要について

プラモデルは、コロナ禍に伴い外出を控えた人々が、家で楽しく過ごすための手段(いわゆる「巣ごもり需要」)の1つとして注目され、現在も市場規模が拡大しています。

実際の乗り物やアニメのキャラクターなどの様々なプラモデルがある中でも、「機動戦士ガンダム」のアニメや漫画、ゲームに登場するモビルスーツやモビルアーマーと呼ばれるロボットや戦艦などを立体化した「ガンプラ」は、次のような特徴があり、人気があります。

  • スナップフィット:パーツ同士を組み立てる際に、特別な工具や接着剤を使わずに組み合わせることが可能で、手を汚さずに組み立てできる
  • 多色成形:1枚のランナー(パーツが付いている枠)に数種類の色を同時に再現できる。そのまま組み立てるだけでカラフルな仕上がりになるため、塗装する必要がない
  • ブランドの豊富さ:スケール(大きさ)やコンセプトに合わせて複数のブランドがあり、組み立て時間や難易度を考慮しながら商品を選ぶことができる

BANDAI SPIRITS(東京都港区)が2023年12月に、18~59歳のプラモデル・フィギュアユーザー1000人を対象に行ったインターネット調査「BANDAI SPIRITS大人アンケート調査」によると、プラモデル・フィギュアを購入したきっかけとして多かったのは、

「好きなアニメやマンガのキャラクターに興味を持ったから」「自分1人でも始められるから」「作る楽しみや作りごたえがあると思ったから」など

で、好きな作品の立体物を自分の手で組み立てられる楽しさに需要があるとうかがえます。

■BANDAI SPIRITS「BANDAI SPIRITS大人アンケート調査」■

https://www.bandaispirits.co.jp/press/2024/240220.php

2 プラモデルの出荷金額などの動向

1)プラスチックモデルキット(プラモデル)製造業の産出事業所数・出荷金額など

プラスチックモデルキット製造業の産出事業所数と出荷金額の推移、並びに都道府県別の事業所数と出荷金額は次の通りです。

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また、プラスチックモデルキットの生産、販売数量、販売金額、月末在庫の推移は次の通りです。

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プラスチックモデルキットの産出事業所数と出荷金額は、静岡県が日本一となっています。静岡県は、プラモデル産業の源流となる木製模型飛行機の製造が盛んで、戦後木製からプラスチック製へと素材を変え、自動車・飛行機などの模型を中心に生産を拡大。その後も、スロットレーシングカーやキャラクター商品などをヒットさせ、プラモデルの一大産地となっています。

ガンプラも、静岡市葵区にある「バンダイホビーセンター」が生産拠点となっており、BANDAI SPIRITSによると、1980年の「1/144ガンダム」から始まり、2024年3月末時点までで約7億8745万個のガンプラを生産しています。また、今後の安定的な生産体制を確保するため、バンダイホビーセンター本館に近接する敷地内で新工場を建設する計画もあり、2026年度に新工場が本格稼働した際には、2023年度と比べて約35%の増産が可能になる見込みだそうです。

2)売上高の推移

ガンダムシリーズ(ガンプラ以外の商品・サービスを含む)の売上高の推移は次の通りです。

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ガンダムシリーズのグループ全体の売上高は、2020年3月期の781億円から、2024年3月期に1457億円と、5年間で187%も成長しています。その背景には、国内外で映像配信プラットフォームが普及し、多言語対応も進んだことで、ガンダムシリーズの認知度が向上し、新規ファンの獲得につながったことなどがあるようです。

また、海外展開も進んでおり、BANDAI SPIRITSのプレスリリースによると、2020年の発売40周年の時点で、ガンプラの年間販売額の5割が海外での売上とされています。組み立て体験会や現地モデラーによるプラモデル講習会などで認知を拡大させており、特に北米と中国市場を重点に置いているといいます。

3 プラモデルの製造・販売ルートについて

1)プラモデルの製造企業の事例

日本国内における主なプラモデルの製造企業を紹介します。

1.BANDAI SPIRITS(東京都港区)

プラモデル、フィギュア・ロボット、一番くじ、アミューズメント景品などの企画・開発・製造・販売を行っており、ガンプラは同社が手掛けています。

ガンプラ以外のプラモデルでは、「BEST HIT CHRONICLE」というシリーズ名で日清食品のカップヌードルや、ソニーのPlayStation、SEGAのセガサターンをプラモデルで再現した商品があります。

■BANDAI SPIRITS■

https://www.bandaispirits.co.jp/

2.壽屋(東京都立川市)

国内、海外のコンテンツ権利者から、人気アニメ、ゲーム、映画のキャラクターなどのライセンスを取得し、プラモデルやフィギュアなどの製造・販売を行っています。顧客のニーズを素早く社内へ反映できる「製販一貫体制(商品の開発から販売までを全て自社のみで担う体制)」を大きな強みにしており、国内に直営店が3店舗ある他、米国にも事業所を置いています。

また、創業地である立川市の活性策として、マラソンへの協賛や、社員が小学校に出向いてプラモデルの作り方を教える「出張プラモデル教室」なども実施しています。

■壽屋■

https://company.kotobukiya.co.jp/

3.青島文化教材社(静岡県静岡市)

2024年10月31日で創業100周年を迎え、乗用車・トラック・スーパーカーなどの自動車や艦船模型のプラモデルを中心に製造・販売を行っています。塗装や接着剤不要で組み立てることができ、安価な「ザ・スナップキット」や、群馬電機(群馬県みどり市)が手掛ける販促機器「呼び込み君」をプラモデル化した「スーパーサウンド『呼び込み君』ミニ」などが人気です。

また、ベネリックデジタルエンターテインメント(東京都千代田区)が運営するメタバース(インターネット上の仮想空間)の商業施設「そらのうえショッピングモール」に開設するホビーショップの第1弾に、同社が採用されています。実店舗ではスペースの制約から売り場に全ての商品を並べることが難しいですが、メタバースであればこうした問題も解消されます。

■青島文化教材社■

https://www.aoshima-bk.co.jp/

4.タミヤ(静岡県静岡市)

車やバイク、飛行機などのスケールモデル(縮尺に基づいて忠実に再現した模型)を製造・販売する模型メーカーです。フラッグシップ拠点として、東京都港区に「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO」を2024年5月にオープンし、小学生向けに、ものづくり・プログラミングの学びを提供する「タミヤロボットスクール」などのイベントを展開しています。

■タミヤ■

https://www.tamiya.com/japan/index.html

5.ハセガワ(静岡県焼津市)

飛行機、船、自動車などの乗り物、架空のキャラクターモデル、輸入品プラモデルなどの販売を手掛けており、特に飛行機や旧車のスケールモデルに定評があります。入門向けプラモデルとして、接着剤不要/接着剤必要/本格派の3段階のシリーズをそろえており、接着剤不要のシリーズには乗り物だけでなく、オフィス家具やレトロ自販機のミニチュアなどユニークな商品もあります。

■ハセガワ■

http://www.hasegawa-model.co.jp/

2)ガンプラの製造工程について

BANDAI SPIRITSのウェブサイトによると、ガンプラ製造工程の流れは次の通りです。

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3)プラモデルの流通経路について

プラモデルの流通経路の例は次の通りです。

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メーカーが問屋(メーカーから商品を仕入れて小売業へ販売する事業)を通じて玩具店、家電量販店、模型店などへ提供する形態もありますが、インターネット通販サイトによる販売も今では盛んになっています。

また、ガンプラは、玩具店や家電量販店の玩具コーナーでの販売に限らず、Bandai Namco Groupの公式通販サイトである「プレミアムバンダイ」や、ガンプラの総合施設「ガンダムベース」など、自社直営での販売にも注力しています。

4 プラモデル業界の外部環境分析

プラモデル業界を取り巻く環境について、ビジネスフレームワークのPEST分析を基に触れていきます。

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政治の面では、政府が製造業を対象に、再生プラスチックの使用拡大に向けた計画を策定するよう義務づける方針を固め、「資源有効利用促進法」の改正に向けた検討を始めており、今後、パーツやランナーの再利用に向けた動きが進むことが想定されます。

経済の面では、コロナ禍による巣ごもり需要がきっかけでのプラモデルブーム再燃をはじめ、インバウンド消費の拡大や、キダルト層を取り込むための商品展開などによって、市場が拡大しています。一方で、原材料価格や包装資材の高騰、物流コストの上昇を受けて、値上げを実施する動きもあります。

社会の面では、プラモデルは個人の趣味としてだけでなく、ものづくりの楽しさを学ぶために学校の授業で採用されたり、医療機関でリハビリプログラムに取り入れられたりするなど、利用シーンや用途が拡大しています。その一方で、需要に供給が追い付かない背景から、ネットオークションやフリマサイトでの高額転売が問題になっています。

技術の面では、ガンプラは他のプラモデルと比べて色分けや組み立てやすさの面で、他のプラモデルよりも手に取りやすいメリットがあります。また、イベントなどを通じてランナーや海洋プラスチックごみを回収し、商品の一部、もしくは全体にリサイクル素材を使用したプラモデルも製造・販売しています。

5 参考:紙資材について

ここでは、プラモデルの箱に使われる「色板紙」のデータを取り上げます。

黄・チップ・色板紙の生産数量、販売数量、販売金額、月末在庫などの推移は次の通りです。

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以上(2024年12月作成)

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画像:Sutthisak-Adobe Stock

【人事はつらいよ】病気の社員をサポートしたいのに、社内での情報共有が違法?

1 社員の体調を思えばこそ、情報共有したいのに……

最近、元気がないAさん。上司のB課長が心配して理由を聞いてみました。最初は「大丈夫です」としか言いませんでしたが、B課長が「でも体調が悪そうだよ?」と聞くと、Aさんはしばらく沈黙した後、小さな声で答えました。「実は○○という病気なんです。でも重い病気じゃないので大丈夫です。放っておいてください」

ある日、出張に出ることになったB課長は、Aさんの先輩であるCさんに伝えました。

「ここだけの話だけど、Aさんが○○という病気らしい。Cさん、私が出張に出ている間、Aさんのことを気遣ってあげてくれ。具合が悪そうだったら早めに帰すようにね」

数日後、B課長が出張から帰ると、Aさんが詰め寄ってきました。どうやらB課長の出張中、Cさんが、体調の優れないAさんを帰そうとした際に、「B課長から病気については聞いているから」と口を滑らせてしまったようです。

「なんで病気のことを勝手にCさんに話したんですか? 知られたくなかったのに……。個人情報を勝手に話すなんて非常識です!」

B課長はAさんの気持ちも分かる一方で、どこか釈然としません。

「病気が機微な情報なのも、知られたくないのも分かる。でも、私が出張中、Aさんに万が一のことがあったら困るから、Cさんにだけ伝えてフォローをお願いしたんだ。それもダメなのか? 個人情報は社員の健康よりも大事なの?」

2 個人情報と社員の健康、結局どちらが優先?

個人情報保護法では、

「要配慮個人情報」という取り扱いに注意を要する極めて機微な個人情報については、原則として本人の許可を得ずに、第三者に提供してはならない

とされています。社員の健康に関する情報であれば、次のようなものが要配慮個人情報に該当します。

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一方、労働契約法には、

「安全配慮義務」といって、社員が安全で健康に働けるよう配慮すべきという会社の義務

が定められています。体調の優れない社員を早く帰らせたり、軽い業務に転換させたりするのもこの義務の一環で、当たり前ですが、見て見ぬふりをするといった対応は許されません。

冒頭のAさんの事例は、詰まるところ「要配慮個人情報の保護と安全配慮義務はどちらが優先されるのか」という問題なのですが、ざっくり言うと、

どちらも同じくらい重要で、原則、両立させなければならない

ということになります。

3 社員の許可を得て、必要最小限の情報のみを共有する

社員の病気について本人の許可なく、第三者に提供していいのは、例えば、

社員が病気で倒れ、医師に病名を告げないと生命の危険がある

など、緊急性の高いケースに限定されます。逆にこうしたケースでなければ、本人の許可なく、第三者に話すべきではありません。ですから、冒頭の「B課長がAさんの許可なく、病名をCさんに伝える」という対応は、たとえAさんのためであっても法令違反になる可能性があります。

では、要配慮個人情報の問題をクリアしつつ、安全配慮義務を果たすにはどうすればよいのでしょうか。ポイントは、

社員本人の許可を得て、業務をサポートする上で必要最小限の情報のみを共有すること

です。細かい説明は一旦置いておいて、まずは図表2を見てください。冒頭のB課長が、Aさんからサポートに必要な情報をヒアリングする際の会話の例です。

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図表2の会話の赤字部分に注目してください。重要なのは次の3点です。

  1. どんな病気かではなく、労務を提供できる状況かを確認することを意識する
  2. 会社には安全配慮義務、社員には自己保健義務があることを伝える
  3. 必要最小限の情報を、必要最小限の社員にのみ共有する

1.どんな病気かではなく、労務を提供できる状況かを確認することを意識する

図表2では、B課長がAさんの病気の話を聞いて、まず「仕事をするのに支障がないか」を確認しています。前述した通り、要配慮個人情報は極めて機微な情報です。「どんな病気か」という視点で情報を収集しようとすると、不要な情報まで詮索してしまう恐れがあるので、「労務を提供できる状況かを確認する」という意識で、必要最小限の情報のみを収集します。

2.会社には安全配慮義務、社員にも自己保健義務があることを伝える

図表2では、仕事への支障について話したがらないAさんに対し、B課長が安全配慮義務と自己保健義務の存在を伝えています。要配慮個人情報は、本人の許可なく収集できないので、自発的に話してもらう必要がありますが、「話したくないなら話さなくていい」というスタンスだと情報を得られないので、「社員の健康を守る」ことに対する会社の本気度を伝えます。

3.必要最小限の情報を、必要最小限の社員にのみ共有する

図表2では、B課長が「Cさんには病気のことを話さず、Aさんをフォローする上で必要な措置だけを話す」と言っています。社員のサポートに支障がなければ、病気に関する情報は話しません。必要な措置について共有する相手も、社員のフォローに関わる人だけに限定します。共有する情報量や相手が増えてしまうと、社員の病気に対する臆測が飛び交ったり、腫れ物に触るような雰囲気が広がったりする恐れがあるからです。

今回は少し難しい問題を取り上げました。社員の健康を守ることは会社の義務ですが、そのために知られたくない個人情報が周囲に伝わり、会社に居づらくなってしまうようなことは避けなければなりません。逆もまたしかりです。

以上(2024年12月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 平田圭)

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画像:metamorworks-shutterstock

【朝礼】来たる巳年は「周囲を呑み込む気迫」を持とう

【ポイント】

  • 蛇には、「たとえ小さな存在であっても、自分は人には負けない」という気迫がある
  • 「自分が正しいと思うことについては、堂々と主張する気迫」を持ってほしい
  • 仮に主張が受け入れられなくても、「自分に何が足りなかったのか」を学ぶことができる

皆さん、おはようございます。12月になり、今年も残すところあとわずかです。少し気が早いですが、来年の干支は「巳(み)」、つまり蛇です。蛇というと、おどろおどろしい模様の毒蛇などをイメージして、身構えてしまう人もいるかもしれません。ですが、蛇は嫌われることも多い一方、多くの土地で、霊性をそなえた神聖な存在として扱われてもきたのです。

そんな蛇にまつわることわざに「蛇は寸にして人を呑(の)む」というものがあります。「蛇は一寸ほどの小さなものでも、すでに人を呑もうとする気迫がある」という意味です。本来は、優れた人物が、幼い頃から抜きんでた才能を示すことの例えとして使われるのですが、今回はそこではなく、「一寸の蛇」という部分に注目してください。

一寸は約3センチメートル、人を呑み込めるような大きさではありません。ですが、それでも蛇は「たとえ小さな存在であっても、自分は人には負けない」という気迫を持ち、堂々としているのです。どうでしょう、少し蛇に対するイメージが変わってきたのではないですか?

さて、私が来年、皆さんにぜひ意識していただきたいのが、「周囲を呑み込む気迫」を持つことです。皆さんの誰もが、上司や顧客の意見、会議の雰囲気などに流され、自分の言いたいことを主張できずに終わってしまった経験があると思います。かくいう私自身にもあります。

ですが、周囲に流されるばかりでは、皆さんの成長はそこで止まってしまします。だからこそ、自分が正しいと思うことについては、勇気を出して堂々と主張してほしいのです。もちろん仕事ですから、単なるわがままになってはいけませんし、皆さんの主張が常に受け入れられるとは限りません。ですが、それもまた皆さんが「自分に何が足りなかったのか」を学び、成長するチャンスです。

蛇は、脱皮を繰り返すことから「変化と再生」の象徴とされています。「自分はこれを成し遂げたい」という気迫を持って仕事に臨み、失敗してもめげずに立ち上がる。2025年はそんな「挑戦を繰り返す年」にしてください。来年、気迫のある皆さんに会えるのを楽しみにしています。

以上(2024年12月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

「じゃがいも×マーケティング」の世界史~食文化で歴史を変えたフリードリヒ2世の秘策とは?

1 もし、あの国がひとつの会社だったとしたら…

高校の授業で習った世界史……。もう記憶の彼方という人も多いでしょうが、社会人になってから学び直してみると、意外と高校生だったあの頃より面白く感じるものです。なぜなら、

世界史を知れば知るほど、「会社」と「国家」がよく似ていることに気が付く

からです。となれば、世界史上の出来事から何か学べることもあるはず……。この記事では「国家」を1つの「会社」に例え、世界史上の出来事を紹介します。今回取り上げるのは、現ドイツの原型になった国家「プロイセン」が、18世紀に行ったマーケティング戦略です。詳細は後述しますが、このプロイセンは会社に例えるなら

新しい食材を世界に流通させたいと考えている商社

です。現代でもタンパク質危機(プロテイン・クライシス)を解決しようと、昆虫食や植物性タンパク質の食品を開発する会社がありますが、それとも似ているかもしれません。

(注)この記事は巻末の参考書籍を基に作成していますが、世界史上の出来事などについて諸説ある内容が含まれます。あらかじめご了承ください。

2 フリードリヒ2世が打ち出した新商品「じゃがいも」

プロイセンは、土壌が痩せている地域が多く、元来収穫に乏しい国でした。そして、18世紀のヨーロッパでは飢饉(ききん)が頻繁に起きており、食糧問題は国民にとっても国家にとっても喫緊の課題でした。そこで、「早急になんとかしなければ!」と立ち上がったのが、

プロイセンの国王・フリードリヒ2世

です。

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フリードリヒ2世は、別名「フリードリヒ大王」とも呼ばれる偉大な王様。会社で例えるなら“敏腕経営者”です。

そんな彼が新たな主食として目をつけたのは……なんと「じゃがいも」

でした。

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現代に生きる私たちにとってはごくありふれた食材ですが、実は

当時のヨーロッパでは、じゃがいもの主な用途は「食用」ではなく「観賞用」だった

のです。私たちが食べるのは、地中にあるじゃがいもの「茎」の部分ですが、当時の人々はそこには見向きもしませんでした。むしろ、じゃがいもの「芽」などが有毒であるという理由で、

「食べると病気になる! 不純な植物だ! 悪魔の食べものだ!」

など、散々なことを言っていたのです……。

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しかし、じゃがいもは

冷涼で痩せた土地でも良く育ち、しかも茎の部分は栄養たっぷりの万能な食材

です。このことを知った“敏腕経営者”フリードリヒ2世は、プロイセンの食糧事情を立て直すため、じゃがいもを「食べ物として普及させよう!」と奔走します。

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3 成功のカギは「ブランディング」にあった!

とはいえ、食文化はそう簡単に変えられるものではありません。フリードリヒ2世は

自らじゃがいもを毎日美味しそうに食べてみせたり、国中を回ってじゃがいもの魅力を伝えるキャンペーンを実施したりしますが、ただ知名度が上がっただけ

で、食べ物としてはなかなか普及しませんでした。

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では、どうやってじゃがいもを普及させたのでしょうか? その答えは

現代にも通じるマーケティング戦略「ブランディング」です。フリードリヒ2世はなんと、じゃがいも畑を「立派な装備の軍隊に守らせた」

のです。

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噂はたちまちに広がり、国民は

「王様があそこまでして守るじゃがいもって何……?」

「そんなに貴重で美味しいものなの……?」

と好奇心を煽られ、段々じゃがいもに心惹かれていきました。その結果、プロイセンでは当時のヨーロッパではいち早く、じゃがいもが食ベ物として普及していったのです。

4 「じゃがいも×マーケティング」で歴史が変わった

じゃがいもは、

国民の食べ物として普及しただけでなく、「豚の飼料」としても活躍

しました。じゃがいもは冬の時期でも保存しておけるので、厳しい冬でも家畜に餌を与えることが可能になり、人々はいつでも肉を食べられるようになったのです。その結果、

プロイセンではじゃがいも&豚肉料理(ソーセージやベーコンなど)という、現代のドイツ料理に象徴されるような食文化が生まれ定着

していくことになります。

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美味しくて安定した食事は国力の増強につながり、

プロイセンはやがて、“ライバル会社(周辺国家)”を次々にまとめ上げて“グループ会社”とし、現代における「ドイツ」という“大会社”を作るに至った

のです。仮にフリードリヒ2世が、じゃがいものマーケティングに失敗していたら、今のドイツは存在していなかったかもしれません。

現代においても、

「ブランディング」はマーケティングの基本

です。“敏腕経営者”フリードリヒ2世は、「じゃがいもは価値のあるものだ」という意識を“消費者(国民)”に植え付けることに成功し、“会社”を大きく育てたということです。現代の日本に生きる私たちが、

「主食を米から謎の植物に変えろ!」

と言われたら、きっと戸惑いますし、誰も見向きもしないかもしれません。新しい商品やサービスを売り出す際、斬新なものほど世間に受け入れられにくいというのは世の常ですが、食文化をひっくり返したフリードリヒ2世のことを考えれば、

結局のところ「モノは売り方次第である」ということ

が分かります。

【参考文献】

「世界史を大きく動かした植物」(稲垣栄洋(著)、PHPエディターズ・グループ、2018年7月)

以上(2024年12月作成)

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画像:イラストAC・写真AC

【人事はつらいよ】「残業するな」と言っただけなのにジタハラ(時短ハラスメント)?

1 社員のために「定時で帰れ」と言っているのに……

残業が一向に減らない……。今日だってもう定時を回っているのに、誰も帰ろうとしない。ここは経営者の私が帰りやすい雰囲気を作ろう! こう思ったA社の社長は言いました。

「もう定時を過ぎているぞ。さぁ、今日は残業禁止だ! 早く帰ってくれ!」

全員すぐに帰るだろうと思った社長でしたが、みんな座ったまま動こうとしません。そのうち、社員の1人が口を開きました。

「社長、今の業務量では残業しないと終わらないです。それなのに一方的に『残業禁止』だなんて……。今の発言はジタハラ(時短ハラスメント)です!」

困ったことに他の社員もこの意見に賛同する始末……。社長は釈然としません。

「社員の体調やプライベートを考えて言っているのに。それをジタハラって言うのは、どういうことだ。この国はおかしくなってしまったのか?」

2 社員のための「時短」も行き過ぎるとハラスメントに……

コスト削減、働き方改革、SDGs……会社はさまざまな観点から、長時間労働の是正に積極的に取り組んでいます。しかし、こうした会社の姿勢が、時にジタハラになることがあります。ジタハラとは、

「時短」、つまり社員の労働時間を短くすることに関連したハラスメント(嫌がらせ)

です。法令上の定義はありませんが、一般的には、

業務量などに関係なく、会社が一方的に残業を禁止したり、シフトを減らしたりすること

を指します。

ポイントは、「会社が一方的に」という部分です。会社は社員のためを思って時短に取り組むわけですが、それが一方的だと、

  • 業務量の変わらないまま時短を強制された社員が、こっそり隠れ残業をする
  • 無理なスケジュールでの仕事を余儀なくされた社員が、ケアレスミスを連発する
  • 合理的でない時短が続くことによって、社員がやる気を失う

などの問題が発生します。ジタハラを直接規制する法令はありませんが、

このように社員の仕事に支障を来すような極端な時短は、違法なパワハラ(パワーハラスメント)とみなされる恐れがある

ので注意が必要です。

3 パワハラの「過大な要求」に該当すると違法になる

パワハラは、労働施策総合推進法で定義されたハラスメントで、

職場の上下関係など優越的な関係を利用した嫌がらせ

です。具体的には、次のような業務上必要のない(または行き過ぎた)言動によって、社員の仕事に支障を来すことを指します。

  1. 身体的な攻撃:暴行、傷害
  2. 精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損、侮辱、ひどい暴言等
  3. 人間関係からの切り離し:隔離、仲間外れ、無視
  4. 過大な要求:業務上明らかに不要・遂行不可能なことの強制、仕事の妨害等
  5. 過小な要求:不合理に程度の低い仕事を命じること、仕事を与えないこと
  6. 個の侵害:私的なことへの過度な立ち入り

会社にはパワハラなどのハラスメント防止措置が義務付けられているので、対応が不十分なために社内でハラスメントが発生すると、民法上の使用者責任などを問われる恐れがあります。

ジタハラがパワハラ(違法)になる場合、上の「4.過大な要求」に該当する可能性が高いです。違法になる例とならない例について、弁護士にヒアリングした結果は次の通りです。

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ケース1~3に共通して言えることは、

  • 社員を定時で帰らせるための対策を講じず、残業禁止を言い渡すだけだと違法になる
  • 「業務を引き取る」「改善点を指摘する」など対策を講じた上で、社員の残業を禁止するのであれば違法にならない

という点です。違法にならない例については、

  • 業務の一部を他の社員に振っていいから、今日は帰りなさい
  • 納期がきついなら取引先と交渉していいから、今日は帰りなさい

などのケースもあります。とにかく、具体策が必要なわけです。結局のところ、

ジタハラ最大の問題は、会社が社員の抱えている課題に向き合わず、時短を強制すること

であると分かります。

経営者からすれば、「決められた時間内に終業できるよう工夫するのも仕事のうちだろう、そこまで会社が面倒を見ないといけないのか」という印象かもしれませんが、法令や社員の権利意識が変わってきている今、不要なトラブルを防ぐ意味でも、会社のほうから歩み寄る姿勢を見せるのがよいでしょう。

以上(2024年12月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 栗原功佑)

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画像:metamorworks-shutterstock

【人事はつらいよ】採用面接の雑談が違法なの? 聞いてはいけない“NG質問”

1 緊張をほぐす雑談のはずが、なぜ炎上騒ぎに!?

会社のSNSが炎上している!! こんな報告がA社の社長に入ってきました。どうやら数日前に面接した相手がSNSに次のような投稿をしたようです。

「A社は採用面接で、出身地とか家族構成とか、採用に関係ないことをやたらと聞いてくるので気持ち悪い。というか、これって法律違反じゃない?」

情報は拡散し、「ひどい会社だ」という意見もあれば、「それくらいいいでしょ」という意見もあります。とにかく、A社にとって好ましくない事態なのですが、社長は釈然としません。

「確かに聞いたよ。『生まれはどちらですか?』『ご両親は何の仕事をしていますか?』って。でも、これって緊張をほぐすための雑談でしょ。なぜ、こんなにたたかれるの?」

2 “NG質問”は職業安定法などで定められている

日ごろから人と話す機会が多い社長は「コミュ力」が高いです。だからこそ、採用面接の面接官になったら、相手の緊張をほぐすための雑談もします。「お互いにリラックスして話しましょう」という優しさに他なりません。

ところが、この優しさが法律違反につながります。

求職者に聞いてはいけない “NG質問”

を尋ねると職業安定法に違反したり不法行為となったりする恐れがあり、“NG質問”の中には、「本籍・出生地」「家族」「尊敬する人物」「購読新聞・雑誌・愛読書」などが含まれるのです。

これらの質問は「就職差別につながる恐れがある」ということなのですが、「なぜ、愛読書を聞いたら就職差別になるのか?」という疑問は、一旦置いておきましょう。ルールはルール。まずは“NG質問”を確認してみたいと思います。

3 聞いてはいけない11項目の“NG質問”

厚生労働省は、就職差別につながる恐れがある情報として、

  • 本人に責任のない事項
  • 本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)

の2つを挙げ、これらに該当する質問の例を11項目紹介しています。

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採用面接でこれらの質問をしたらアウトです。身元確認の観点から、本籍・出生地、家族などは聞いておきたいという人もいるでしょうが、求職者の適性や能力には直接関係がないので、聞いてはいけません(質問する代わりに住民票を提出させるなどの対応も、採用段階では不可)。

ただ、これらの内容でも、相手が自ら進んで話す分には問題ないそうです。「私は◯◯県の出身なので寒さに強く……」「最近読んだ◯◯という本に感銘を受け……」などと話す求職者は結構いますよね。

また、“NG質問”をしても罰則はありませんが、

ハローワークから改善命令が出される場合があり、これに従わないと、厚生労働省ウェブサイトで会社名が公表されたり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されたりすることがあるので要注意

です。ちなみに、2022年度は求職者からハローワークに「本人の適性・能力以外の事項を把握された」との苦情が802件寄せられており、うち37.3%は「家族」に関することとなっています。

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4 逆に採用面接で聞いてもよい“OK質問”は?

1)求職者の適性・能力に関する質問

“NG質問”はできませんが、

求職者の適性・能力に関する質問はOK

です。例えば、

テレワークが可能かを確認するため、住宅状況について質問する

といったケースです。ただし、求職者とのトラブルを防ぐため、

「なぜ質問するのか」を求職者に説明し、了承を得た上で答えてもらうのが無難であり、また、確認のために必要となる最小限の情報に限るべき

です。

2)求職者の思想・信条に関係ない質問

求職者の適性・能力に関する質問の他に、

求職者の思想・信条に関係ない質問もOK

です。例えば、次のような質問です。

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このような質問は単なる雑談と考えられていますが、念のため、

「これは合否には関係がないのですが……」などと断ってから質問するのが無難

です。よかれと思ったことが裏目に出ることもありますので、ルールをきちんと把握しなければなりません。

以上(2024年12月更新)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 池田絹助)

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画像:metamorworks-shutterstock

中小企業における子育て・介護支援の最新動向

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脱炭素機器のリース料を補助! ESGリース促進事業のご紹介

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自社の魅力をアップさせるためには?~戦わない人材採用のススメ~

1 自社の魅力度アップについて

前回は、効果的な「自社の魅力」の伝え方についてご紹介しました。「具体的かつストーリーとして伝える」と「相手を知る」の2つがポイントでした。何だったかしら?という方は今回のテーマにもつながっていますので、是非前回の内容をもう一度ご確認いただきたいと思います。

さて今回は、どうやって「自社の魅力」をアップさせるのか、についてご紹介します。もちろん、今でも十分な魅力があるものの求職者に上手く伝えられていないことに課題のある会社もあると思います。その場合は、後程あらためてご紹介しますが、まずは自社のホームページ(以下、HP)を見直していただきたいですし、求職者向けの会社案内の作成などにも取り組んでみてください。

しかしながら、「自社には十分な魅力がある」と言い切れる会社は少数派であり、魅力が無い(少ない)、他社と差別化できるような魅力が無い(少ない)と思っていらっしゃる会社が多数派ではないでしょうか?そのような会社に向けて、自社の魅力をどうやって作ってアップさせていくのか、という点についてお伝えさせていただきます。

2 どのような魅力をアップさせるのか

前回の記事の中で、魅力は大きく分けて、商品や仕事内容などの①「仕事の魅力」、給与や福利厚生などの②「待遇」の魅力、人間関係やオフィスなどの③「環境」の魅力の3つに分けられるとお伝えしました。

「自社の魅力」整理表

どのような魅力をアップさせるのかについては、自社が採用したいと考える人材を想像していただいて、その人材がどんな価値観を持っていて何を重要視するかを考えていただくことがスタートとなります。例えば、仕事に対して熱意を持ったエネルギッシュな人材を採用したいと考えているのであれば、①「仕事」の魅力をアップさせることが重要になりますし、周りの社員と強調してチームワーク良く働ける人材を採用したいと考えているのであれば、③「環境」の魅力の中の「人間関係」に関する魅力をアップさせていくことが重要になってきます。

すべての項目にわたってまんべんなく魅力度をアップさせようとするのではなく、採用したい人材が重要視する項目を想定して、優先順位を付けて取り組んでいただきたいと思います。また、取り組みにあたっては、簡単にできることもあれば、例えば費用的な問題で、やれば魅力度がアップするのは間違いけれど、そう簡単にはできないこともあります。ただし、例えそのようなことであっても「予算的に無理」と簡単にあきらめるのではなく、それほど予算はかけなくても少しでも魅力度をアップさせる方法はないかと考えてみてください。

3 魅力度アップの方法

魅力度アップの具体的な方法については様々なことが考えられますが、ここでは2つの具体例をご照会します。

一つ目は、例えば③「環境」の魅力の中で「オフィス」についての魅力度を上げたいと考えた場合、事務所が古いので建て替えたいと思ってもそう簡単にできることではありません。しかしながら、建て替えは無理でも、例えばトイレだけなどの限定的な内装工事であっても、工夫すれば大きな魅力度アップにつなげることができるかもしれませんし、極端な話、整理整頓や清掃を徹底的にやることで、建て替えと同じレベルは難しいと思いますが、少しは魅力度のアップにつながるのではないでしょうか。

二つ目は、②「待遇」の魅力の中で「休日・休暇」についての魅力度を上げたい場合、休日(会社自体のお休み)の数を増やせば魅力度アップに直結しますが、業務の事情やお客様との関係もあってそう簡単に休日を増やすことはできません。そんな場合は、新たな休暇(社員が申請して個別にお休みする)の導入を検討していただいてはどうでしょうか?一番有名な休暇はご存知の通り年次有給休暇です。この休暇は労働基準法に基準が定められていますので、会社の意向に関わらず一定の基準を満たす社員には付与する必要があります。それとは別に「特別休暇」というものがあります。こちらは法律上付与しなければならない義務はありませんが、多くの会社ではいわゆる慶弔休暇的なものが定められていると思います。例えば、本人が結婚する場合は3日間、父母が亡くなった場合は5日間などとしています。これらに加えて、例えば「アニバーサリー休暇」や「リフレッシュ休暇」などを導入します。このような特別休暇を充実させることは、ワークライフバランスを重視する今どきの若者に響く可能性が高いです。もっと言うと、例えば「ペット忌引き休暇」や「失恋休暇」など、話題性のある休暇を設け、求人票やHPに掲載すれば、「社員のことを大切に考えている会社」ということを上手にアピールすることができます。

このように、単に「お金をかけて何かする」いうよりは他社との差別化の観点からも、社員さんからアイデアを募集し社員参加型で会社の魅力度アップにつなげていくことも考えてみてください。このような取り組みは既存の社員さんにとっても、「会社がより魅力的な会社になろうと努力している」と感じられて、定着率のアップにもつながると思います。

4 魅力の効果的な発信

さて、魅力度アップの方法についてはご理解いただけたでしょうか?あまり難しく考える必要はありませんので、社員の皆さんで、ワイガヤで話し合っていろんなアイデアを出していただくことで、楽しく取り組むことができます。

最後に、魅力の効果的な発信についてお伝えします。いくら素晴らしい魅力があったとしても、それが求職者に伝わらなければ(採用の観点では)意味がありません。効果的な発信方法は沢山考えられますが、その中でも中心となる2点についてお伝えさせていただきます。

まず1点目は自社のHPです。スマホが普及した今日では、何かあればスマホで調べるというのが一般的になっており、求職者もスマホ(又はパソコン)を使い求人票などを見て自分に合った会社を探しています。そして、「ここちょっと良いかも」と思ったら、まず間違いなくその会社のHPを見に行きます。そこで、どんな会社なのかをより詳しく知ろうとします。

よって、一般的な会社概要や商品紹介とは別に採用専用のページを設けていただき、求職者に自社の魅力をしっかりと伝えられるようなものにしていただきたいと思います。そこでのポイントは「画像」と「動画」です。「百聞は一見にしかず」ということですが、「当社の人間関係は良好です!」と文字で訴えるよりも、社員の皆さんが活き活きと仕事をしている姿や食事会や社員旅行の画像を載せる方がより伝わります。また、社員さんの声(インタビュー)などであれば、文字で伝えるよりも動画で伝えた方がより真実味がありますし、その雰囲気まで伝えることができます。動画は長いものは敬遠されがちなので、長くても2~3分のもので十分です。もちろん、動画の作成にあたっては専門業者さんに依頼するのが理想ですが、当然コストもそれなりに掛かりますので費用の捻出が難しければ、今はスマホのアプリなどで簡単に動画が作れますので、得意な社員さんにお願いしていただき、是非チャレンジしてみてください。

2点目は、求職者向けの会社案内の作成です。こちらについては、実際に興味を持っていただいた応募者に対する説明や、人材の紹介をお願いする際に使用するイメージのものです。皆さんの会社でも一般的に自社を紹介する会社案内は作成されていると思いますが、求職者向けに特化した会社案内の作成をお勧めします。この中に求職者に伝えたい自社の魅力をしっかりと掲載していただき、その他、自社の経営理念やビジョン、社員の声、募集要項などを記載します。興味を持っていただいた応募者に対して、この会社案内を使い、まずは自社のファンになっていただき「是非この会社で働きたい」と思わせてから、こちらが選考に入るイメージです。ここがしっかりできるかどうかが入社後の定着率にも影響してきますので、こちらについてもプロジェクトチームなどを作って作成されるのが良いと思います。また、注意点としては、良いことばかりではなく良くないこと(例えば、残業がある、休日出勤がある、休憩室がない)などの、入社後のギャップ(こんなはずじゃなかったという点)になりそうな点についてもしっかり伝えることが重要です。ただし、良くない点については、同時に現在取っている対策(例えば、早帰りデー、振替休日、休憩時間は外出OK)も記載していただくと会社の社員に対する姿勢も伝わり、より魅力をアピールすることができます。

大きな会社は採用にかけられる予算もふんだんにあるのでしょうが、中小企業はそこで勝負しても勝ち目はありません。「戦わない人材採用」の観点で、今回ご紹介した取り組みは、どれも工夫次第でそんなに多額な費用をかけなくても取り組むことができます。また、社員さんと一緒に取り組むことで会社全体のモチベーションアップにもつながりますので、是非積極的に取り組んでみてください。

以上(2024年12月作成)

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画像:photo-ac