共に活きるクラブ会員様限定 PC・セキュリティ安心チェックのご案内

突然ですが、今、お使いのパソコンでこのようなお悩みはありませんか?

  • 知らない間にウイルスに感染しているかも…
  • セキュリティソフトが正しく機能しているか分からない…
  • パソコンの動作が遅い…

独立行政法人情報処理推進機構 セキュリティセンターによると、2024年のコンピュータ不正アクセスは、166件の届出がありました。不正アクセスの原因として「古いバージョンの利用や修正プログラム・必要なプラグイン等の未導入によるもの」が最も多く、今一度、お使いのパソコンのセキュリティ対策を見直すことが求められます。

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そこで、きらやか銀行では、共に活きるクラブ会員様限定で、PC・セキュリティ安心チェックを行います。

相談料は無料で、先着10社限定となります。応募期間が定められていますので、ご興味ある方はこちらの申込フォームからお早めにお申し込みください!

きらやか銀行 PC・セキュリティ安心チェックお申し込みフォーム


【PDF】印刷して貼れる職場ポスター「仕事中に熱中症になってしまったら」

印刷して職場に掲載できるポスターです。

今回は、仕事中に熱中症になってしまったときの対応策を作成しました。


こちらからポスターのPDFをダウンロードできます。社員への呼びかけのため、職場や店舗に貼ってご活用ください

こちらからダウンロード

以上(2025年5月作成)

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画像:日本情報マート

【PDF】印刷して貼れる職場ポスター「STOP 熱中症 水分の補給と適度な休憩を!」

印刷して職場に掲載できるポスターです。

今回は、熱中症予防のため、社員に水分の補給と適度な休憩を推奨するものを作成しました。


こちらからポスターのPDFをダウンロードできます。社員への呼びかけのため、職場や店舗に貼ってご活用ください

こちらからダウンロード

以上(2025年5月作成)

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画像:日本情報マート

うつ病から復職した社員に 「もう一度休みたい」と言われたら?

1 復職した矢先に再び症状が悪化するケースは珍しくない

「休職(私傷病休職)」とは、

社員が私傷病(仕事以外の理由によるケガや病気)で働けない場合、労働契約を維持したまま、一定期間労働義務を免除する制度

です。就業規則で定めた休職期間が満了するまでに社員が働ける状態に回復したら「復職」、そうでなければ「自然退職」となるのが一般的な流れです。

もちろん復職できるのが理想ですが、うつ病のように完治の判断が難しい病気の場合、

社員が復職した矢先に、再び症状が悪化してしまうケース

は珍しくありません。経営者としては、「社員に働く意思があるなら、症状が改善するまで根気強く待ってあげたい」という気持ちもあるでしょう。ただ、他の社員との兼ね合いもあり、ある程度はルールに基づいて対応せざるを得ないのがつらいところです。

そこで、この記事では、「復職した社員の症状が再び悪化しても、雇用を継続できるようにするにはどうすればよいか」を、次の3つに注目して考えていきます。

  • 休職期間の「通算」の規定を確認する
  • 雇用形態の変更などによって働き方のルールを変える
  • 社員の生活保障(傷病手当金や退職金)にも注意する

2 休職期間の「通算」の規定を確認する

休職制度は、法律上の制度ではなく、会社が就業規則で独自にルールを定めて実施します。そして、休職制度がある会社の中には、一定期間内に同じまたは類似の傷病で再び休職したら、休職期間を「通算」する規定を設けているところがあります。具体的には次の通りです。

復職した社員が、その後○カ月以内に、同じまたは類似の傷病により再度欠勤をした場合、もしくは通常の労務提供ができなくなった場合は復職を取り消し直ちに再休職とする。この場合、以後連続または断続する欠勤は、復職前に休職した期間と通算する。

このような「通算」の規定があった場合の流れを確認します。例えば、休職期間が最長6カ月間の会社で、社員がうつ病で2カ月間休職したとします。この場合、復職後すぐにうつ病が再発したら、休職期間は通算され、再休職できる期間は4カ月間(6カ月間-2カ月間)となります。ただし、うつ病以外の病気であれば、それが原因で再休職しても、休職期間は通算されません。

仮に1回目の休職で6カ月間休んだ場合、休職期間の上限に達してしまうので、再休職はできません。その場合、一般的には、休職期間の満了までに復職できなかったとして、自然退職になります(就業規則に定めが必要。なお、うつ病以外の病気による再休職は6カ月間まで可)。

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なお、休職期間の通算と併せて、就業規則に休職期間を延長できる規定が設けられていないかを確認することも必要です。就業規則では、「必要に応じ、これを延長することができる」というような規定が設けられていることも多く、会社の裁量によって休職期間を延長できます。

3 雇用形態の変更などによって働き方のルールを変える

休職期間が残っていない社員をそれでも雇用し続けたいのであれば、「雇用形態の変更や部署移動などによって働き方のルールを変える」ことを検討します。

例えば、

社員の雇用形態を正社員からパート等に変更することで、業務の負担を減らす

という方法で雇用を継続することができます。次のように労働日を調整することで、正社員が休んだ場合は「欠勤」扱いとなる日を、「休日」扱いにできる可能性があります(「欠勤」扱いにならなければ、休職制度を適用する必要がない)。

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ただし、雇用形態の変更は会社の一存では行えません。社員との合意が必要です。特に正社員からパート等に転換する場合、一般的には、

  • 業務内容や責任が変わることで、賃金が下がる
  • 所定労働時間が変わることで、年次有給休暇の付与日数が少なくなる
  • 退職金の支給の有無が変わる

など、従前よりも労働条件が引き下げられるケースが多いです。ですから、書面などで労働条件の変更部分を明確にした上で、合意を得るようにします。

なお、社員と労働条件について相談する際は、

正社員として業務を行える状態に回復した場合、パート等から正社員に戻れるか否かについても明らかにして社員に伝える

ようにしましょう。

その他、雇用形態の変更に合意が得られない場合には、短時間勤務制度やフレックスタイム制度、テレワークを適用するなどとして、雇用を継続することも考えられます。

4 社員の生活保障(傷病手当金や退職金)にも注意する

最後に、復職した社員が再び働けなくなってしまった場合の生活保障について、「休職期間が残っている場合」と「休職期間が残っていない場合」とに分けて考えてみます。

1)休職期間が残っている場合

社員が一定の要件を満たせば、再休職中に健康保険の「傷病手当金」がもらえます。支給額は「おおむね休職前の賃金の3分の2」です。通常、傷病手当金は、療養のために連続3日以上休んでからでないともらえませんが、

同じ傷病であれば、2回目以降は再び会社を休んだ日(再休職した日など)から支給

されます。ただし、支給期間は、同一の傷病について最初に支給が開始されてから通算1年6カ月間が上限なので、例えば、1回目の休職で傷病手当金を2カ月間もらった場合、再休職での支給期間は1年4カ月間(1年6カ月間-2カ月間)までとなります。

ただし、雇用形態を正社員からパート等に変更した場合、

社員が健康保険の被保険者でなくなり、傷病手当金がもらえなくなる可能性がある

ので注意が必要です。

なお、社員の年次有給休暇(年休)が残っている場合、休職に入る前に取得してもらうことも併せて検討しましょう。一度休職に入ると、労働義務が免除された状態になり、年休が取得できなくなってしまうので注意が必要です。

2)休職期間が残っていない場合

前述した通り、雇用形態が変わると賃金は従前よりも下がるケースが多いので、社員は不安です。こうした場合の対策として、

正社員からパート等に転換した時点で退職金を支給し、当面の生活に充ててもらう

という方法があります。退職金規程などで「雇用形態が正社員からパート等に変更され、かつ社員が雇用形態の変更時に退職金を受け取ることを希望した場合、退職金を支給する」という旨の規定を設けておけば対応可能です。ただし、その場合、

パート等に転換した社員の症状が改善し、再び正社員に戻った場合の退職金の取り扱い

に注意が必要です。退職金規程などに「社員が退職した場合、退職金を支給する」という定めがあれば、パート等が正社員再転換後に退職する際にも退職金を支給することになりますが、その場合、図表3のように「パート等への転換時に退職金をもらったか否か」によって退職金の算定方法が変わり、支給額に差が出ることがあります。

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以上(2025年5月更新)
(監修 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:琢也 栂-Adobe Stock

エアコン「暑い派」VS「寒い派」問題!平和的解決の方法とは?

1 「暑い派」と「寒い派」それぞれへのケアを叶えるには?

コロナ禍で浸透したテレワークが見直され、オフィス勤務中心の働き方に戻った会社も多いと思います。しかし、暑くなってきたこの時期に多くの社員がオフィスに集まるとなると、“あの”問題が勃発します。それは、

エアコン温度の「暑い」vs「寒い」バトル

です。

例えば、エアコンの設定温度を下げた暑がりの社員を寒がりの社員が睨んでいるのを目撃したり、逆に汗だくになりながらやせ我慢をしている暑がりの社員を目撃したり……皆さんも、一度は経験があるのではないでしょうか。

今年も去年に引き続きまたもや猛暑となる予想ですが、オフィスでは一人ひとりの好みに合わせた室温の調整はできないので、会社としては何とかこのバトルの対策を講じておきたいところです。また、

快適に働くための環境づくりは、業務の生産性向上という面でもとても大切

です。

そこでこの記事では、オフィスにおける適温や、「暑い派」「寒い派」それぞれへのケア方法など、猛暑の中でも社員が快適に働けるようにするポイントを紹介していきます。

ちょっとした工夫や心掛けで業務中の快適さは一気に変わりますので、今一度オフィス環境について振り返り、改善することをご提案します。

2 「快適さ」は多角的に捉えるべし

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1)室温の変化でオフィスの生産性も変わる?

暖冷房・換気、給水・排水、衛生設備など生活と密着した設備を主に研究している空気調和・衛生工学会の研究によると、室温の変化がオフィスでの生産性も影響をすることが明らかになっています。

同学会の西原 直枝氏(日本女子大学家政学部准教授)、2020年まで会長を務めた田辺 新一氏(早稲田大学創造理工学部教授)などが発表した論文「コールセンターにおける中程度の高温環境が作業効率に与える影響の評価-2004年と2012年の比較-(空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集{2014.9.3~5 秋田}29-32)」によると、空気温度が26.5度を超えると生産性が大きく低下するという結果も実証されています。こうしてみると、

オフィスでの快適な環境を用意することは、会社の業績や仕事の生産性の上昇につながる

といえるでしょう。

2)バトルの原因は「PMV」だった

まずは、快適なオフィス環境を整えるために知っておくと良い知識、

「PMV(Predicted Mean Vote)、予測平均温冷感申告」

についてご紹介します。PMVとは「快適さを表す国際規格」で、

  • 室温
  • 湿度
  • 着衣量
  • 放射(日当たりや熱からの距離)
  • 気流(直接エアコンの風が当たるかどうか)
  • 活動量(体を動かしているか)

の6つの要素によって、その数値が左右されます。

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「PMV」では、暑さ・寒さの度合いを-3~+3の値で示します。そしてISO(国際標準化機構)が定めた基準によると、約9割の人にとって「快適」な数値は、上図のように「-0.5~+0.5」と、かなり狭い範囲です。

つまり、同じオフィスで働いていても、皆が感じている快適さの数値は同じではないということです。これが「暑い派」vs「寒い派」のバトルの原因で、

快適なオフィス環境を整えるためには、エアコンの温度設定だけでなく、「PMV」を構成する指標の多角的な要素を捉えて対策する必要がある

といえるでしょう。

3)段階を踏んでバトルの鎮火を目指そう

次に、この「PMV」を快適温度範囲に近い数値で平均化するために、経営者が社員のためにできることを紹介します。

ポイントは、次の3段階でオフィス環境を調整することです。

  • 【対・全体】まずは部屋全体で「室温」や「湿度」という最低限の環境を整える
  • 【対・陣営ごと】次に社員の「暑い」「寒い」という体感に合わせて席の移動を許可することで、「気流」「放射」を調整する
  • 【対・個人】最後に個人の「着衣量」に柔軟に対応することで、「活動量」や個人の代謝の差に対して微調整をかける

次章以降では、各要素をコントロールする方法を解説していきます。

3 【対・全体】まずは「室温」や「湿度」を調整

一番に整えておかなければいけないのが、対・全体の環境。PMVの中で、確実に操作できる「温度」と「湿度」がこれに当てはまります。

オフィスの衛生管理に関する法令「事務所衛生基準規則」では、室内にエアコンなどの空調設備がある場合「室の気温が18度以上28度以下、相対湿度が40%以上70%以下になるよう努めなければならない」と定められています。

ただし、これはエアコンの設定温度の話ではなく、オフィスの「室温」や「湿度」の基準

です。

たとえエアコンの設定温度が28度でも、実際の体感温度は、湿度やオフィスにいる社員の人数などによっても大きく左右されます。温度計や湿度計を用意し、エアコン設定の調整や除湿機の活用を検討してみるのもよいでしょう。

また、環境省はクールビズ下で28度の室温を推奨していますが、これはいまから20年近く前に設定された指標です。それを考えると、

室温28度、湿度70%以下を基準にしつつも、近年記録的な猛暑が確認されていることも鑑みて、柔軟な対応を心がける

ことがお勧めです。

4 【対・陣営ごと】フリーアドレスで「気流」「放射」を調整

一旦の目標点としてオフィス全体の温度・湿度を設定できたとしても、「暑い派」vs「寒い派」バトルの根本的な解決には至りません。そこで、

この夏は、フリーアドレスで放射・気流を調整

してみましょう。フリーアドレスとは、「職場で従業員の席を固定せず、空いている席を自由に使う制度」(小学館 デジタル大辞林より引用)のこと。

例えば、

「寒い派」陣営が窓の近くのデスクに、「暑い派」陣営が日陰のデスクに移動することで、2つの陣営に「放射」の差をもたらす

ことができます。紫外線の問題もあるので、基本的には夏場のブラインドは下げておくのがベターですが、窓の近くは放射で他の場所より暖かくなります。

また、

「暑い派」陣営はエアコンの風が当たる場所に、「寒い派」陣営はエアコンの風が当たらない場所に移動することで、「気流」の数値も調節

することが可能です。普段であればあまり気にすることはないですが、改めて天井を見上げ、エアコンの位置や風がよく当たる席を確認してみるのもよいでしょう。

業務上の都合でフリーアドレスを取り入れることができない場合は、エアコンにアクリル板を取り付けて「寒い派」の社員に直接風が当たらないようにするなどの対策もできます。

5 【対・個人】「着衣」を柔軟に! 個人差を調整

単なる「暑い派」vs「寒い派」の戦いで終わってくれないのが、夏場のエアコン調節問題の怖いところです。「暑い」「寒い」陣営のみに着目し、個々へのケアを怠ると、

  • 暑い派陣営の中でも一番の暑がりは「熱中症」
  • 寒い派陣営の中でも一番の寒がりは「冷房病(クーラー病、体が急激な温度差についていけず、自律神経に異常をきたす症状)」

などになってしまう恐れがあります。

また、個人が「暑い」か「寒い」かは、そもそもその時にどれだけ体を動かしているかという「活動量」の違いや、PMVを構成する要素以外でも、外的調整ができない代謝の影響が大きいことも覚えておきたいポイント。

それをカバーするために活躍するのが、「着衣量」で個々のPMVを調整する

という方法です。

身近で分かりやすい例は、ネクタイを外すと体感温度が2度下がる「クールビズ」です。

「全員が快適」をかなえることが難しくても、個人個人ができる限り快適さと健康をかなえられるよう、ネッククーラーを許可する・ブランケットを羽織るのを許可するなど、柔軟な対応を心掛けましょう。

こちらのコンテンツで最新の熱中症対策グッズを紹介していますので、ぜひご確認ください。

6 快適なオフィスで猛暑を乗り切ろう

ここまで紹介してきたように、フリーアドレスや自由な服装などを取り入れるだけでも、社員が快適に仕事をする環境を整えることが可能です。

オフィスで働く社員の健康を保つためにも、また気温差による生産性の低下を防ぐためにも、今夏は快適な環境維持に努め、猛暑を乗り切りましょう!

以上(2025年6月更新)

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画像:illustAC

【熱中症対策】熱中症予防で使えるグッズを一挙紹介!

1 熱中症対策は「予防」が肝心!

最近はテレワークをする企業も減ってきましたが、真夏のオフィスでは個人に合わせて細かな室温調整をすることが難しい場合もあります。また、今年も猛暑になる可能性が高く、営業や屋外での作業などに従事する社員には、常に熱中症のリスクが付き纏います。

なお、2025年6月1日から労働安全衛生規則が改正され、会社に対し、

  • 作業者に熱中症の自覚症状があるときや、作業者が熱中症の疑いがある同僚などを発見したときは、会社にその旨を報告させるよう体制を整え、周知すること
  • 熱中症のリスクがある作業を行う場合、あらかじめ作業場ごとに、症状の悪化を防ぐための措置やその手順を定め、周知すること(体を冷やす、医師の診察を受けさせるなど)

が義務付けられます。違反した場合、労働安全衛生法により、

6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

の対象になります。今年からは例年以上に熱中症対策を徹底して、夏場の業務に取り掛かりましょう!

この記事では、職場で使用できる熱中症対策グッズについて、最新の動向を交えて紹介します。具体的な分類は、以下の図の通りです。

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熱中症対策グッズは、水分や塩分を補給するもの、冷感を与えるものなどさまざまです。会社で支給したり購入費用を補助したりして、熱中症になりにくい環境を整えるように社員に指示しましょう。

2 水分や塩分を補給するグッズ

熱中症対策の基本は、こまめな水分補給です。ただし、大量に汗をかいたときは体内の塩分やミネラルも失われるため、水分と併せて塩分の補給も必要です。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)目盛り付きのタンブラー・ウォーターボトル

一般的に、夏場の水分の摂取目安は1.2リットル/1日程度とされていますが、仕事中に自分で摂った水分を細かく把握していることは稀でしょう。

最近は自分がどれくらい水分を摂っているのか一目でわかる、目盛り付きのタンブラーやウォーターボトルなどが販売されています。容量は1リットル以上のものが多いので、

デスクの上に置くようにすれば、あまり水分を摂っていなさそうな社員に水分補給を促すことも出来る

でしょう。

2)塩分を含む食品

汗をかく状況で水分を補給する際には、一緒に塩分も補給するように指導しましょう。水分だけを摂取すると体内のミネラルのバランスが崩れるため、熱中症になるおそれがあります。

例えば、塩分は、塩あめ、塩分タブレット、梅干しなどで補給できます。また、スポーツドリンクは水分と塩分を同時に補給できるので便利ですが、糖分が多量に含まれているケースもあるので、飲み過ぎには注意です。最近は糖分が控えめなものも販売されていますので、恒常的にスポーツドリンクで水分を摂取する場合は、そちらの導入も検討しましょう。

3 風を送るグッズ

風通しが悪い場所では汗が蒸発しにくく、体温の調節に無効な発汗が増えて脱水状態に陥りやすくなります。そこで、空調設備の整っていない場所で社員が作業するときには、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)空調服

腰や脇に小型のファンが付いた服です。長袖のジャケットから袖のないベストまで、さまざまな製品があります。専用のウエア、ファン、バッテリーをそろえる必要がありますが、空調服を着ることで、エアコンの使えない場所でも涼しく過ごせます。

空調服の中に着るインナーは、できるだけ吸汗性、透湿性、速乾性の高いものを選ぶことが重要です。綿などの汗が乾きにくい素材のインナーを着ていると、体が冷えすぎてしまい、逆に体調が悪くなる場合もあるので注意しましょう。

2)扇風機

首に掛けたり、手に持ち歩いたりして使える小型の扇風機は、通勤中やオフィスでの細かな体感温度の調整方法として主流になってきました。

ただし、

気温が高く乾燥した環境で扇風機を使うと、汗が体から熱を奪う前に乾いてしまい、体温が上がり続ける恐れがある

ことには留意が必要です。そのため、扇風機を使用する際は、水を霧状に噴射するスプレー、濡れたタオルなどを併せて用意するようにしましょう。

4 冷感を与えるグッズ

首元、わきの下、足の付け根など、太い血管が体の表面近くを通るところを冷やすと、効率良く体温を下げることができ、熱中症の予防に繋がります。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)ネッククーラー

首元を冷やし、体温の上昇を抑えるネッククーラーは熱中症対策にも役立ちます。中に保冷剤や冷却ジェルを入れて使うスカーフのようなタイプや、USB端子につないで動く電動のタイプなどさまざまなものがあるので、テレワークや通勤などのシーンに合わせて使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

2)ミスト冷房

水を細かい霧状にして噴出する装置です。周辺を水で濡らすことなく身体を冷やすことができます。屋外や工場で使用する大型のものに限らず、USB端子につないでデスク周りで使える小型の製品もあります。

3)アイスパック(氷のう)

アイスパック(氷のう)は、休憩時などに額や首筋に当てて体のクールダウンを図ることができるほか、熱中症の症状が出た社員への緊急対処としても使用できます。

最近は魔法瓶構造になっているアイスパックも発売されており、従来のものより長時間、冷たさを維持することが出来るので、職場に多めに常備しておくと、いざというときに安心です。

4)接触冷感マスク

業務中にマスクを着ける場合、接触冷感の糸を使用したり、ミントやメントールなどの爽やかさを感じる成分を生地に配合したりしたものを使うとよいでしょう。

なお、高温多湿の状況でマスクを着けていると、皮膚からの熱が逃げにくくなったり、喉が渇いていることに気付かなかったりすることから、体温調節がしづらく、熱中症になるリスクが高まります。屋外で人と2メートル以上の十分な距離が確保できる場合や、会話を行わない場合は、マスクを外して休みましょう。

5 危険時に警告して知らせるグッズ

熱中症の初期症状は目まいやふらつきなど、「単に疲れているだけ」と誤解しやすいものが多く、対処が遅れてしまうことがあります。管理者がこまめに社員の体調をチェックすることが一番ですが、見た目に表れなかったり、業務が忙しかったりするときには、社員の体調不良に気が付けないケースもあるでしょう。

そこで、熱中症の危険が高まったことを、客観的に把握できる状況をつくり出すことが必要です。次のようなグッズを用意しておくと、熱中症が重症化する前に対処できます。

1)ウエアラブル端末

ウエアラブル端末は、リストバンドや腕時計などの機器を体に取り付けて脈拍を測り、熱中症の危険がある場合にアラームやバイブレーションなどで通知することが可能です。利用者本人だけでなく、管理者側(社内の健康管理の担当者など)で異常を検知できる製品もあるため、異常を確認した管理者が利用者と連絡を取れば、重症化する前に健康への影響を防ぐことができます。

2)温湿度計・センサー

カバンなどに取り付けたり、屋内に据え置いたりして使用します。屋外で使用する場合、熱中症の危険性はWBGT値(暑さ指数。気温と湿度に加えて、日射や地面からの照り返しによる熱を含めた数値)で測ることができますので、リスクの高い環境を早めに察知し、対策を打つことができます。

3)スマートフォンアプリ

その日の気温、湿度、気象条件などを基に熱中症の危険を通知します。アプリによっては時間単位や地域を指定して熱中症の危険を確認でき、また無料で提供されているものもあります。

始業前や休憩ごとなどにチェックし、その日のリスクに合わせた熱中症対策を講じるとよいでしょう。

以上(2025年6月更新)

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画像:KUSAMURA Aki-Adobe Stock

「この会社、ゆるいな」ストイックな若手が去る職場の落とし穴

1 「優しすぎる会社」は、ストイックな若手からすると不安?

若手にはたくさん経験を積ませ、いずれは会社の中核を担ってほしい。なのに、成長する前に若手が辞めてしまう……。こうした問題に頭を悩ませる経営者は少なくないでしょう。若手が辞めてしまう理由はさまざまですが、今どきのケースとして押さえておきたいのが、

会社が優しすぎるために、「この会社、ゆるいな……」と感じて転職してしまう

というものです。

昨今は、働き方改革やハラスメント関連の法規制などの影響で、若手にあまり残業をさせない、ミスがあっても叱らないなど、良くも悪くも「優しい会社」が増えました。一方で、若手のほうは、終身雇用などかつての日本的な雇用が当たり前でなくなりつつある中で、経営者や上司が考えている以上に「早くどこでも通用する人材に成長しなければ……」と焦っています。

ですから、会社の優しさが行きすぎると、若手はかえって「このまま今の会社で働いていても、自分は成長できないんじゃないか……」と不安に感じ、転職してしまうのです。実際、

20代の正社員191人に、「今の会社で成長を実感できているか」などをアンケートで聞いたところ、26.7%が「成長を実感できない」でいて、うち27.5%が「転職を考えている」

ということが分かりました(アンケート結果の詳細は後述)。

自分で何の努力もせず、会社が成長させてくれるのを待っているだけの若手ならともかく、勉強をしたり、社外の人に会ったりと本人なりに努力をしている「ストイックな若手」が、その努力を活かせないまま辞めてしまうのはもったいないことです。これを防ぐには、

  • 若手がなぜ「この会社はゆるい(成長できない)」と感じるのかを分析すること
  • 分析を基に、若手が成長を実感できる機会を与えること(挑戦できる環境を整えるなど)

が肝心です。まずは、前述したアンケート結果の詳細から見ていきましょう。

2 今の会社はゆるい? 20代の正社員191人に聞きました

20代の正社員191人に対し、「今の会社と自分の成長」に関するアンケート調査を実施しました(実施期間は2025年3月4日から3月5日まで)。その結果を紹介します。

1)あなたは、今の会社に勤めていて「成長している」と実感できますか?

まず、191人全員に「今の会社での成長の実感」について聞きました。「全く実感できない」が7.9%、「あまり実感できない」が18.8%、計26.7%が成長を実感できずにいるようです。

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さらに、成長を「全く(あまり)実感できない」と回答した51人に、「転職の意向」について聞きました。「既に転職活動をしている」が5.9%、「1年以内に転職活動を始めようとしている」が21.6%、計27.5%が転職を考えているようです。

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2)今の会社で成長を実感できない(できる)と回答した理由は何ですか?

図表1で成長を「全く(あまり)実感できない」と回答した51人、「少し(大いに)実感できる」と回答した131人に、それぞれ理由を聞きました。結果を上位順に並べたのが図表3です。

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成長を実感できない理由の1位は「やりがいのない仕事ばかりさせられている(単純作業など)」の17.6%、2位は同率で「事業のレベルが低い(技術や社会への貢献度など)」「『事業を大きくしよう、新しくしよう』という気概が感じられない」「間違いがあっても、どこが悪いのかを指摘してくれないの11.8%でした。

成長を実感できる理由の1位は「やりがいのある仕事を任されている(創意工夫が必要など)」の38.9%、2位は「『事業を大きくしよう、新しくしよう』という気概が感じられる」の36.6%、3位は「成長に応じて新しい仕事を任せてくれる」の32.8%でした。

アンケート結果を見る限り、「事業の意義」「若手に任せる仕事の内容」「上司の接し方」に、若手が成長を実感できるか否かのカギがあるようです。これを踏まえた上で、若手を成長させるために会社は何ができるのかを考えていきましょう。

3 若手に「ゆるい」と思われないために会社は何ができるか?

1)事業の将来ビジョンは、経営者自ら若手に伝えよう(経営者)

アンケート結果からは、「事業のレベルが低い(技術や社会への貢献度など)」「『事業を大きくしよう、新しくしよう』という気概が感じられない会社では若手が成長を実感しにくく、逆の場合は成長を実感しやすいことが分かりました。

事業のレベルについては、もちろん会社の状況によって現時点で実現できること、できないことがありますが、少なくとも現状を変えていこうという気概が感じられないと、若手は離れていきます。特にもったいないのは、

経営者の頭の中には事業の将来ビジョンがあるのに、それが若手に伝わっていないケース

です。例えば、経営者は、3年から5年先の「会社のあるべき姿」、それを実現するための課題ややるべきことを中期経営計画に落とし込みますが、その計画も社内に周知されていなければ、若手に伝わりません。仮にイントラネットなどで計画を閲覧できる状態にしていたとしても、経営者が事業に懸ける思いというのは、文字だけではなかなか伝わらないものです。

ですから、

会社のこれからの事業の在り方などについて、経営者が自ら若手にプレゼンする

など、若手に事業の将来ビジョンを語る機会を設けるようにしましょう。まだビジネスの知識や経験が少ない若手でも、経営者が「今から10年後の203X年に、我が社は○○のような姿になっている」などの理想を語れば胸をおどらせるでしょうし、経営者の話に突っ込んだ質問をしてくることもあるはずです。

2)あえて新しい仕事にチャレンジさせてみよう(経営者、上司)

「やりがいのない仕事ばかりさせられている(単純作業など)」会社では若手が成長を実感しにくく、逆の場合は成長を実感しやすいという結果も出ていました。

若手の仕事を管理するのは上司の役目です。上司は、若手の成長に合わせて任せる仕事の内容を調整しますが、例えば、

  • 上司は「若手が成長してきた、もう少ししたら別の仕事を任せてみよう」と考えている
  • 若手は「上司は自分の成長を認めてくれていない、だから、いつまでたっても同じ仕事しか任せてもらえないんだ」と考えている

など、仕事について両者の認識がかみ合っていないケースがあります。

ですから、まずは1on1ミーティングなどで両者の認識のすり合わせをすることが大切です。上司は、今の仕事をあとどのぐらいの期間若手に任せるつもりなのか、次に何の仕事を任せる用意があるのかなどを明らかにしつつ、若手にも今の仕事に対する不満などを聞いてみます。

若手が「新しい仕事に挑戦したい」と考えているなら、その仕事について何を勉強しているのか、今任せている仕事に支障が出ないかなどを確認した上で挑戦させてみる

のも1つの手です。

また、別のアプローチとして、

経営者から若手に働きかけて、新しい事業などを提案させてみる

という方法もあります。例えば、会社が新しいツール(AIなど)を導入した際に、それを使ってどんな事業ができそうかを幅広く募集します。事業にできそうな提案を若手が上げてきたら、そのプロジェクトに参画させて事業の立ち上げを経験させてみるのもよいですし、事業にならない場合でも、考えが足りない部分をフィードバックすることで若手の成長に役立つでしょう。

3)教えるべきことはしっかり教えよう(上司)

「間違いがあっても、どこが悪いのかを指摘してくれない」というのも、若手が成長を実感しにくい会社の特徴でした。

昨今は、ハラスメントに対する法規制が進んだり、パワハラやセクハラの他にもさまざまなハラスメントが出てきたりして、「若手に何か言ったらハラスメントと言われるのでは……」と指導に臆病になっている上司が少なくないようです。ただ、これでは部下を管理するという上司の本来の仕事に支障を来しますし、アンケート結果を見る限り、若手は上司に対し、腫れ物に触るような接し方ではなく、必要な指導をしてほしいと思っているようです。

ですから、上司は

若手に知らないことやできていないことがあれば、恐れず自信を持って教えるよう徹底

しましょう。暴言などを吐かないよう注意する必要はありますが、若手に「何が足りないのか」を事実として指摘するのは、ハラスメントではなく正当な指導です。単にできていないことを指摘するだけでなく、「どう軌道修正すればいいのか」をヒントだけでもいいので教えてあげると、若手も「上司は自分を成長させようとしてくれている」と実感できるでしょう。

逆に、若手が上司の期待通りかそれ以上の働きをした場合は評価すべきですが、その際は

「褒めて伸ばそう」として、若手を持ち上げすぎることがないよう注意

する必要があります。あまり簡単なことで褒められると、若手は「上司からなめられている」と感じます。「仕事で何を評価するのか」の軸をしっかり持っておきましょう。

以上(2025年5月更新)

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【熱中症対策】「暑熱順化」で暑さに強い体づくりにチャレンジ

1 暑さに体を慣らす「暑熱順化」に取り組んでみませんか?

2024年に熱中症で救急搬送された人数は9万7578人(消防庁「令和6年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」)にのぼり、2025年も引き続き注意が必要です。

熱中症のピークは7月下旬から8月上旬ごろですが、一般的に、体が暑さに慣れるには数日から2週間程度が必要とされています(個人差があります)。そのため、夏本番を迎えてから急に水分・塩分の補給などをしても対策としては不十分なところがあります。

そこで、この記事でご提案するのが、

暑熱順化:時間をかけながら暑さへの耐性を身に付けていくアプローチ

です。暑熱順化とは、「ジョギングやウォーキングなどによって汗をかき、体を暑さに慣れさせていく」というもので、厚生労働省や環境省も推奨しています。夏の熱中症対策として取り入れてみてはいかがでしょうか。

暑熱順化のスタートは、夏本番を迎えるより少し前の6月ごろが最適です。早速、ポイントを確認していきましょう!

2 なぜ、暑熱順化が推奨されるのか?

熱中症を引き起こす要素は、下図のように大きく分類すれば環境・体・行動の3つに分類されます。

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そして、暑熱順化の仕組みを理解するにあたり注目したいのが、

「体」に分類される「暑さに慣れていない」状態

です。

体温が上がると、ヒトの体はその機能によって、次のように体温を調節します。

  • 皮膚への血流を増やして体の表面から熱を逃がす(熱放散)
  • 汗が蒸発することで熱を逃がす(気化熱)

しかし、体が暑さに慣れていない状態で気温が上昇すると、この体温調節がうまくできず、結果的に熱中症につながってしまうことがあります。

仕組みとしては、体内の熱を逃がそうとして皮膚の血流量が増える「熱放散」は、暑熱順化ができていないと機能しにくくなります。すると、気化熱による体温調節で汗をたくさんかきますが、今度は水分・塩分が多く失われ、血液の流れが悪くなります。その結果、体内に熱がどんどんたまり、熱中症になってしまうということです。

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一方で、早いうちから暑熱順化に取り組んでいると、皮膚の血流量が増加しやすくなり、汗に含まれる塩分量も減るので、血液の流れが悪くなるリスクを低減できます。つまり、

夏本番を迎えて気温が上昇しても、熱を逃がしやすくなり、体温調節がうまく機能する

のです。

3 暑熱順化のポイント3つと具体的なやり方4選

1)暑熱順化のポイント3つ

暑熱順化のポイントは、

  • 本格的に暑くなりそうな時期の2週間前から始める
  • トレーニングを持続する
  • 無理はしない

の3つです。

前述した通り、体が暑さに慣れるまでには数日から2週間程度の時間がかかります。そこで、気象庁の「2週間気温予報」などを確認しながら本格的に暑くなりそうな時期の2週間前からトレーニングを開始しましょう。

また、暑熱順化の効果はあまり続かないことも、注意しておきましょう。個人差はありますが、トレーニングを中断すると数日で元の状態に戻るといわれます。梅雨寒の日が続いたり、夏休み中に涼しいところで過ごしたりした後は暑さへの耐性が弱まりますが、そんなタイミングで一気に気温が上昇すると、熱中症になるリスクも高まります。

2)暑熱順化の具体的なやり方4選

暑熱順化において大切なのは、「脳と体を夏モードに切り替えさせること」です。そして暑さに備えた体をつくるためには、夏の暑さを再現して汗をかくことが最重要。環境省による熱中症対策では、暑熱順化として

「やや暑い環境」で「ややきついと感じるくらいの運動」をすること

を推奨しています。

また、厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」では、暑熱順化に有効な対策として次の4つの取り組みが紹介されています。なお、時間や頻度は全て目安なので、自身の年齢や体力、気温や室内の環境を考慮しながら取り組んでみましょう。

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図表3のように、暑熱順化に有効な対策としては、次の4つのやり方を推奨しています。

1.歩く・走る

ウォーキングであれば30分、ジョギングであれば15分の運動を、週5回行うことを目安として推奨されています。移動の際にできるだけ階段を利用するのも、汗をかくのに効果的です。

2.自転車

サイクリングであれば、30分の運動を週3回行うことを目安として推奨されています。時速20キロメートルで走れば10キロメートルの距離です。

3.適度な運動(筋トレ・ストレッチなど適度に汗をかくもの)

室内でできる取り組みとしては、筋トレやストレッチなどがあります。この場合、30分の運動を週5回から毎日実施することが推奨されています。

4.入浴・サウナ(お風呂はシャワーだけでなく、湯船につかる)

入浴であれば、2日に1回以上はしっかりと湯船に入ることが推奨されています。なお、サウナが暑熱順化に有効という意見もありますが、水分補給の状況によっては脱水症状を引き起こす恐れもあるので注意が必要です。

暑熱順化の基本は「やや暑い環境」で「ややきついと感じるくらいの運動」をすることです。あくまで暑さに慣れることが目的ですから、無理をしすぎて熱中症になっては本末転倒なのでご用心。

また、2025年6月1日から労働安全衛生規則が改正され、会社に対し、

  • 作業者に熱中症の自覚症状があるときや、作業者が熱中症の疑いがある同僚などを発見したときは、会社にその旨を報告させるよう体制を整え、周知すること
  • 熱中症のリスクがある作業を行う場合、あらかじめ作業場ごとに、症状の悪化を防ぐための措置やその手順を定め、周知すること(体を冷やす、医師の診察を受けさせるなど)

が義務付けられます。違反した場合、労働安全衛生法により、

6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

の対象になります。暑熱順化も大切ですが、今一度職場の熱中症対策も見直し、万全の体制で夏本番を迎えましょう。

以上(2025年6月更新)

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【熱中症対策】熱中症予防の工夫9選~チェックリスト付き

1 「熱中症」予防の基本は体づくりと外部環境の整備

熱中症になりやすいケースとして挙げられるのは、「高温多湿な場所に長時間いる」という典型的なものに限ったことではありません。例えば、寝不足や食欲不振などで体調が優れない、下痢や二日酔いなどで脱水症状気味といった体調不良の場合も、熱中症になるリスクが高いとされています。

そのため、熱中症の予防には、

  • 熱中症になりにくい体づくりをすること
  • 外部環境を整えること

の両方に気を使うことが重要です。この2つに分類して熱中症対策のポイントを整理すると、図表1のようになります。

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2025年6月1日から労働安全衛生規則が改正され、会社に対し、

  • 作業者に熱中症の自覚症状があるときや、作業者が熱中症の疑いがある同僚などを発見したときは、会社にその旨を報告させるよう体制を整え、周知すること
  • 熱中症のリスクがある作業を行う場合、あらかじめ作業場ごとに、症状の悪化を防ぐための措置やその手順を定め、周知すること(体を冷やす、医師の診察を受けさせるなど)

が義務付けられるようになります。違反した場合、労働安全衛生法により、

6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

の対象になります。今年からは例年以上に熱中症対策を徹底して、夏場の業務に取り掛かりましょう!

2 体づくりの工夫(1)水分・塩分をこまめに補給する

熱中症の予防において最も基本的な対策は、水分・塩分の補給です。

そもそも熱中症とは、「体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血液の流れが滞るなどして、体温が上昇して重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症する障害の総称(環境省「熱中症環境保健マニュアル」)」のこと。気温が高くなり汗を大量にかくと、水分とともに塩分やミネラルも失われてしまうため、

ただ水分を補給するのではなく、スポーツドリンクや食塩水などで塩分も一緒に補給することが重要

になってきます。もちろんこれは、熱中症の症状が疑われるときの対処法としても重要です。

また、状況(マスクをしているなど)によっては喉の渇きを感じにくく、気付かないうちに脱水症状になってしまう恐れもあります。そのため、夏はたとえ喉が渇いていないとしてもこまめに水分補給をし、同時に塩分も摂取することが大切です。屋外でたくさんの汗をかく作業に従事する社員には、塩あめや塩分タブレットなどを携行させることを促してもよいでしょう。

3 体づくりの工夫(2)水分・体を上手に冷やす

顧客訪問でスーツの着用が必要なケースなどを除き、

業務内容によっては、暑さをしのぎやすい軽装での勤務を認める

とよいでしょう。具体的には、

  • ノーネクタイ・ノージャケット
  • 半袖シャツ・ポロシャツ
  • スニーカー

などの着用を許可することが考えられます。いわゆる「クールビズ」です。

また、オフィス内では扇子やうちわ、携帯型扇風機などで風を起こして体を冷やすのも効果的です。屋外での作業現場では、送風機が内蔵されているヘルメットや作業着を着用するという手も考えられます。

4 体づくりの工夫(3)栄養バランスの良い食生活を心掛ける

熱中症予防には食生活への配慮も必要です。夏場は食欲が落ちるため、冷たく口当たりの良いものばかりを食べがちです。例えば、そうめんやうどんなどの麺類、アイスクリームやゼリーなどのデザート類、炭酸ジュースなどがそうです。

ただ、これらの食品は、糖質を多く含んでいます。糖質は体にとって重要な栄養素の1つですが、一方で

ビタミンB1を一緒に摂取しないと代謝が上手くいかず、エネルギーを作り出すことができない

という問題があります。エネルギーが不足すると体力が落ちて、いわゆる「夏バテ」状態になり、さらに食欲が落ちて糖質ばかりを摂取するようになるという悪循環に陥る恐れがあります。

食生活の乱れから体調を崩したり、夏バテで体力を失ったりすると、もちろん熱中症になるリスクも高まります。社員にも栄養バランスの良い食生活を促しましょう。

ちなみに、ビタミンB1を多く含んでいる身近な食材としては、

  • 豚肉
  • 大豆
  • 玄米
  • ほうれん草

などが挙げられます。昼食を買うときなどにうまく取り入れると、熱中症対策に効果的です。

5 体づくりの工夫(4)健康状態をこまめに確認する

体調の悪そうな社員には、積極的に声を掛けるよう心掛けましょう。前述した通り、2025年6月1日からは、熱中症の疑いがある社員がいたら会社に報告するよう、社内体制を整えることが義務になります。

熱中症の症状は、

軽度であれば目まいや立ちくらみなど、ちょっとした体調不良と区別が付かない

場合があるので、症状が進行する前に対処することが大切です。

経営者や管理職は、元気がなかったり、顔色が悪かったりする社員に対して、周囲が気遣う職場づくりを心掛けましょう。テレワーク中の社員に対しても、ウェブ会議システムなどを使って積極的に声掛けすることが効果的です。

6 体づくりの工夫(5)暑さに体を慣らす

体を冷やして暑さを感じにくくするだけでなく、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」によって暑さに体を慣らすことも、熱中症予防に効果があります。

暑熱順化とは、時間をかけながら暑さへの耐性をつけていくアプローチ

です。ジョギングなどの軽い運動や、湯船に漬かる入浴などによって意識して汗をかくようにすると、本格的に暑くなる前から暑さに強い体づくりにつながります。朝礼などの機会に、経営者が社員に勧めてもよいでしょう。

暑熱順化の方法は、こちらの記事をご覧ください。

7 環境を整える工夫(1)日差しや熱が発生する場所を避ける

次に、熱中症対策に有効な「環境を整える工夫」について、ポイントを4つに絞って紹介していきます。

まずは、オフィス内でできる対策として、

日差しをカーテンで遮ったり、背の高い観葉植物を窓際に置いたりして暑さをしのぐ

ことが挙げられます。エアコンの温度を低く設定していても、窓際などは日が当たるため、他の場所より気温が高くなりがちです。

また、

サーバールームなど、熱が発生する業務機器がある場所では、熱を遮る遮蔽物を設置する

のも効果的です。日差しを避けられない屋外での業務が発生する場合は、比較的涼しい午前中や夕方に、作業を集中して行うことも検討しましょう。

8 環境を整える工夫(2)エアコンと扇風機を併用する

空調をエアコンだけに頼ると、冷気が特定の場所に滞留しがちになり、室内の過ごしやすさに差が生まれてしまいます。そんなときは、

扇風機やサーキュレーター(空気を循環させるための機器)を活用して、冷気を循環

させると、冷気が室内に満遍なく行き渡ります。また、窓を開けて換気する際にも、扇風機やサーキュレーターを外に向けて使えば、効率良く換気をすることができます。

なお、エアコンは夏になると購入や修理の依頼が混み合い、暑さが本格化する時期にエアコンが使えない場合があります。そのため、オフィスや自宅のエアコンは早めにクリーニングや試運転を行い、不具合がないか確認しておくようにしましょう。

9 環境を整える工夫(3)温度や湿度を「見える化」する

また、

温度計や湿度計、暑さの指数を調べる測定器などを用意し、熱中症の危険度を把握できるようにする

ことも、対策の1つとして挙げられます。

屋外での業務が発生する場合、熱中症の危険度が高まるとブザーで通知する携帯型熱中症計や、発汗量から熱中症の予兆を検知するウエアラブル端末(身に着けられる端末)などの導入を検討してもよいでしょう。

10 環境を整える工夫(4)「テレワーク手当」で快適な労働環境を実現する

テレワークをする社員の中には、部屋にエアコンがない人もいます。また、光熱費がかさむことから、エアコンの使用を控えている社員もいるでしょう。

しかし、十分な空調設備のない中で作業を続けると、熱中症のリスクが高まります。そこで、

「テレワーク手当」を支給して、熱中症になりにくい環境の実現を支援する

ことも1つの手です。テレワーク手当の金額は職場によって様々ですが、一般的な相場は月額数千円程度です。

自宅から会社までの距離が離れている場合、通勤中に熱中症になってしまう恐れもあります。猛暑が予想される日にはテレワークを推奨して、日割りでテレワーク手当を支給するなど、柔軟な対応を心がけましょう。

11 もし、社員が熱中症になってしまったら……?

社員が熱中症になった場合、適切かつ迅速に対処しなければなりません。必要に応じて救急車の出動を要請、もしくは医療機関へ搬送します。主な流れは図表2の通りです。

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熱中症が疑わしい場合、涼しい場所へ移動させて着衣を緩め、頸(けい)部、わきの下、足の付け根などを中心に体を冷やします。もし、「呼び掛けに答えない」「水分を自力で摂取できない」「症状が一向に改善しない」などの場合、すぐに救急車の出動を要請、もしくは医療機関に搬送します。

いざというときに迅速な対応が取れるよう、上記の対処の流れ、搬送先になる病院の所在地や連絡先をあらかじめ社内に周知しておきましょう。テレワークをする社員には、熱中症になった際に受診できる最寄りの病院を確認するように促し、必要に応じて緊急連絡網(本人および家族の緊急連絡先)を整備しておくことも大切です。

参考:熱中症予防対策に役立つチェックリスト

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図表3は厚生労働省「職場の熱中症予防対策は万全ですか?」を基に、熱中症予防対策として確認しておきたい事項をまとめたものです。オフィスだけではなく、在宅勤務における熱中症対策としても有効です。

以上(2025年6月更新)

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令和7年度に新設・改正された雇用関係助成金のポイントとおすすめの助成金

令和7年度の助成金は新設も廃止も少ないですが、助成金の「細分化」が目立っています。厚生労働省はなるべく助成金の額は減らし、種類は維持しようとしています。そのため複数の助成金を調べて併給を検討してみてはいかがでしょうか。今回は、新設・改正された助成金のポイントや、おすすめの助成金をコース別に挙げてみました。

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