新法では、企業がフリーランスに業務委託をする際に守らなくてはいけない事項などが定められています。とくに資本金が1千万円に満たず、今まで「下請法」の適用がなかった中小企業にとっては、新法対応のための社内制度をゼロから作り上げる必要があり、負担が大きいといえるでしょう。そこで今回は、フリーランスと取引をする場合のポイントと法改正対応についてご説明いたします。
公的年金シリーズ 第1弾 退職前に知っておきたい老齢年金の基礎知識
公的年金を理解した上で、生活に困らない老後を迎えるためには、若いうちから無理のない範囲で自助努力をしておくことが老後を生き抜くための最善策になると思われます。そこで、今回は老齢年金の基礎知識を中心に自助努力のための方法をいくつか紹介していきます。
産業別にみる外国人雇用の特徴と注意するポイント
令和5年10月末現在、厚生労働省より公表された「外国人雇用状況の届出状況のまとめ」によると、我が国における外国人労働者の数は、2,048,675人(前年比225,950人増)と初めて200万人を超えて過去最高を更新し、今後もさらに増加していくことが見込まれています。そのような中でこの度は、予定されている技能実習制度の廃止と新制度の概要を説明した後、主に現場で働く労働者が多い産業別の外国人雇用の特徴や注意するポイントについてご説明いたします。
災害時に使える“税の特例”。損金算入できるのは?
書いてあること
- 主な読者:地震や台風などの自然災害の被害を受けた企業の経営者、税務担当者
- 課題:自然災害により生じた損失や費用の取り扱いなどの税金に関する特例措置を知りたい
- 解決策:被災により滅失・損失した資産や、撤去などに要した費用などは損金に算入できる
1 災害が起きる前に、できることをざっくり把握
地震や台風などの災害によって社屋が損傷・倒壊などの被害を受けると、想定外の修繕費や、被災者に対する見舞金など、災害時特有の費用が発生します。これらの費用には、通常時とは違って損金(税務上の費用)の額に算入できるケースがあります。ただし、災害直後の優先順位として、税務周りの対応はそれほど高くはなく、後回しになってしまいます。もし、
特例を知らずにいつも通りの処理をしていたり、申告をしなかったりすると、受けられる特例措置などを受けずじまいになることも
あります。
受けられる特例の取りこぼしがないよう、事前に税務上の取り扱い(損金にできる費用や申告・納期限の延長など)をざっくり把握しておきましょう。
2 「法人と個人で共通」する災害時における税務上の取り扱い
1)災害により滅失・損壊した資産など
法人の有する商品、店舗、事務所などの資産が災害により被害を受けたことに伴い、次のような損失または費用が生じたときは、その損失または費用の額は損金に算入されます。
- 商品や原材料などの棚卸資産、店舗や事務所等の固定資産などの資産が災害により滅失又は損壊した場合の損失の額
- 損壊した資産の取壊し又は除去のための費用の額
- 土砂その他の障害物の除去のための費用の額
2)復旧のために支出する費用
法人が、災害により被害を受けた固定資産(以下「被災資産」)について、支出する費用に係る資本的支出と修繕費との区分については、次の通りとなります。資本的支出とは、原状回復を超えて資産価値を高めるための支出などをいいます。資本的支出に該当する支出は、資産として計上し、減価償却を通じて損金に算入します。一方、修繕費はその支出の額が損金に算入できます。
- 被災資産について、その原状を回復するための費用は修繕費となります。
- 被災資産の被災前の効用を維持するために行う補強工事、排水または土砂崩れの防止などのために支出する費用について、修繕費とする経理をしているときは、この処理が認められます。
- 被災資産について支出する費用(1または2に該当するものを除きます。)の額のうち、資本的支出か修繕費か明らかでないものがある場合、その金額の30%相当額を修繕費とし、残額を資本的支出とする経理をしているときは、この処理が認められます。
3)従業員などに支給する災害見舞金品
法人が災害により被害を受けた従業員や親族などに対して、一定の基準に従って支給する災害見舞金品は、福利厚生費として損金に算入されます。また、法人が自己の従業員などと同等の事情にある専属下請先の従業員などまたはその親族などに対して、一定の基準に従って支給する災害見舞金品についても、同様に損金に算入されます。事業を営む個人においても同様に取り扱われます。
4)災害見舞金に充てるために同業団体などへ拠出する分担金など
法人が、所属する同業団体などの構成員の有する事業用資産について災害により損失が生じた場合に、その損失の補填を目的とする構成員相互の扶助などに係る規約などに基づき、合理的な基準に従って同業団体などから賦課され、拠出する分担金などは、その支出する事業年度の損金に算入されます。
5)申告・納付期限について
1.個別指定による期限延長
納税地を管轄する税務署長に対し、災害等のやんだ日から相当の期間内に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出した場合には、その承認を受けることにより、税務署長等が指定した日(災害等のやんだ日から2カ月以内)まで申告・納付などの期限が延長されます。
災害等のやんだ日とは、申請者に特別な事情がある場合を除いて、客観的に見て、申告・納付などの期限延長の申請をした人が、申告・納付などの行為をするのに差し支えないと認められる程度の状態に復した日となります。例えば、交通の途絶があった場合には、交通機関が運行を始めた日などが災害等のやんだ日になります。
2.地域指定による期限延長
2011年3月11日に発生した東日本大震災のときには、地域を定めて申告・納付期限を延長する対応が取られました。例えば、福島県の一部の地域については、申告・納付期限が2011年3月11日以降に到来するものが、2015年3月31日まで延長されました。
2024年1月1日に発生した能登半島地震についても、富山県、石川県の申告・納付期限を延長する対応が取られ、例えば、富山県、石川県のうち、石川県七尾市、輪島市、珠洲市、羽咋群志賀町、鳳珠群穴水町・能登町を除いた地域については、申告・納付期限が2024年1月1日から同年7月30日までに到来するものが、2024年7月31日まで延長されました。
なお、地域指定された地域に納税地がある個人または法人については、特段の手続きを経ることなく、自動的に申告・納付の期限が延長されます。
また、申告・納付期限延長措置の終了に関しては、各地域の復興などの状況を踏まえ、順次、国税庁のウェブサイトなどで告示されます。そのため、地域指定に関する情報は定期的に確認するようにしましょう。
3.顧問税理士が被災した場合
顧問税理士が被災した場合には、税理士自身が事務所に入れないことや、避難所に避難していることがあります。このような場合には期限までに申告ができないことが想定されますので、上記1の「災害による申告、納付等の期限延長申請書」に必要事項を記載し、納税地を管轄する税務署長に提出し、その承認を受けることにより、税務署長等が指定した日(災害等のやんだ日から2カ月以内)まで期限が延長されます。
6)延滞税・利子税・加算税
災害等により国税の納期限が延長された場合には、その延長された期間については、その国税に係る延滞税および利子税は課されません。
また、申告・納付などが適正に行われない場合に課される加算税については、認められた延長期限内に申告を行えば課されません。なお、加算税とは、申告・納付が遅れた場合に、通常の納付額に加算して課される罰金的な性格を有する税のことをいいます。例えば、期限後に申告が行われた場合に課される無申告加算税や、源泉徴収税額が期限後に納付された場合に課される不納付加算税などがあります。
2 「法人」に対する災害時の主な税務上の取り扱いについて
1)取引先に対する災害見舞金など
法人が、その得意先などの慶弔、禍福に際して支出する費用は、慰安、贈答その他これらに類する行為として、交際費として取り扱われ、一定の金額以上については損金に算入することができません。ただし、被災前の取引関係の維持・回復を目的として、取引先の復旧過程においてその取引先に対して行った災害見舞金の支出、事業用資産の供与などのために要した費用は、交際費などに該当しないものとして全額損金に算入されます。
2)取引先に対する売掛金などの免除など
法人が、その得意先などの債権を合理的な理由がなく免除した場合には、原則として得意先などに対して寄付金を支出したものとして取り扱うことになり、一定の金額以上については損金に算入することができません。ただし、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として売掛金、貸付金などの債権を免除する場合には、その免除することによる損失は、寄付金または交際費等以外の費用として、全額損金に算入されます。また、既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免を行う場合および災害発生後の取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様に取り扱われます。
3)取引先に対する低利または無利息による融資
法人が、災害を受けた取引先の復旧過程において、復旧支援を目的として低利または無利息による融資を行った場合における、通常収受すべき利息と実際に収受している利息との差額は、寄付金に該当しないものとされます。
取引先の復旧過程における復旧支援を目的として行われる融資は、取引先の復旧支援をすることにより、自らが被る損失を回避するためのものとして一定の経済合理性を有すると考えられるため、寄付金に該当しないものとされます。
4)自社製品などの被災者に対する提供
法人が、不特定または多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品などの提供に要する費用は、寄付金または交際費などに該当しないもの(広告宣伝費に準ずるもの)として損金に算入されます。災害という緊急性のある中において、倫理的・社会的要請により自社製品の提供が行われることが考えられますが、これは、国が被災者を支援することと同様の側面があり、また、広告宣伝費に準ずる性質を有するとも考えられるため、寄付金に該当しないものとされます。
5)災害による損失金の繰越し
法人の各事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度において生じた欠損金額のうち、棚卸資産、固定資産などについて、災害により生じた損失に係るもの(以下「災害損失欠損金額」)がある場合には、その事業年度が青色申告書を提出しなかった事業年度であっても、その災害損失欠損金額に相当する金額は、その各事業年度において損金に算入されます。
なお、2018年4月1日前に開始する事業年度において生じた災害損失欠損金額の繰越期間は9年となります。
6)災害損失の繰戻しによる法人税額及び地方法人税額の還付
災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は当該災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間(以下「災害欠損事業年度」)において生じた欠損金額のうち、災害損失金額に達するまでの金額(以下「災害損失欠損金額」)がある場合には、その災害欠損事業年度開始の日前1年(青色申告書である場合には前2年)以内に開始した事業年度(「還付所得事業年度」)の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について、還付請求することができます。
また、災害損失の繰戻しによる法人税額の還付が行われる場合には、地方法人税の還付金の額に相当する金額として、法人税の還付金の額の10.3%に相当する金額が合わせて還付されます。
7)義援金を支払った場合
1.県の災害対策本部や義援金配分委員会に対して支払った義援金
「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金に算入されます。
2.日本赤十字社に対して支払った義援金
法人が、日本赤十字社の「令和6年能登半島地震災害義援金」口座に対して支払った義援金は、「国等に対する寄附金」に該当し、その全額が損金に算入されます。
ただし、日本赤十字社に対して支払った義援金であっても、例えば、日本赤十字社の事業資金としてのものなど、最終的に地方公共団体に拠出されるものでないもの(財務大臣が指定する寄付金に該当しないものに限ります)については、「特定公益増進法人に対する寄附金」に該当し、特別損金算入限度額の範囲内で損金に算入されます。
3 「個人」に対する災害時の主な税務上の取り扱いについて
1)個人が支払いを受ける災害見舞金
個人が支払いを受ける災害見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位や贈与者との関係などに照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとされています。
2)低利または無利息により生活資金の貸付けを受けた場合の経済的利益
災害により臨時的に多額の生活資金を要することとなった役員または従業員などが、使用者からその資金に充てるために低利または無利息で貸付けを受けた場合に、その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける利息相当額の経済的利益は、課税しないとされています。これは、災害を受けた人の担税力を考慮した措置といえます。
3)被災事業用資産の損失の繰越し
事業を営む個人のその年の前年以前3年以内の各年において生じた純損失の金額のうち、棚卸資産、固定資産などについて災害により生じた損失に係るもの(以下「被災事業用資産の損失の金額」)がある場合には、その損失の生じた年に青色申告書を提出していなかった場合であっても、その被災事業用資産の損失の金額に相当する金額は、その年分の総所得金額等の計算上控除することとされています。
4)義援金を支払った場合
1.県の災害対策本部や義援金配分委員会に対して支払った義援金
「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
2.日本赤十字社に対して支払った義援金
「特定寄附金」に該当し、寄附金控除の対象となります。
以上(2024年9月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)
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【規程・文例集】「防災管理規程」のひな型
書いてあること
- 主な読者:防災対策を見直すに当たって「防災管理規程」のひな型が欲しい経営者
- 課題:具体的に何を定めればよいかが分からない
- 解決策:防災管理体制と各担当者の職務、消防計画、設備管理、防災訓練などを定める
1 能登半島地震が起こった今年、改めて防災を考える
2024年1月1日に発生した能登半島地震は、痛ましい数多くの被害をもたらし、100以上の事業所が廃業を決断するに至りました。また同年8月には、宮城県の日向灘にてマグニチュード7.1の大地震が発生。多くの被害を出すとともに、南海トラフ地震に影響する可能性があるとし、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されました(注)。
(注)8月15日17時に「特別な注意の呼びかけ」は終了しています。
日本においては、地震に限らず、様々な災害が発生します。万一の際、社員の安全や自社の資産を守るための拠り所となるのが防災管理規程です。もし、防災管理規程をまだ作成していないようであれば、これを機に検討してみましょう。防災対策に関する情報をまとめた行政機関のウェブサイトもあります。参考にしてください。
■内閣府「企業防災のページ(内閣府防災担当)」■
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/
■東京都防災ホームページ「防災ブック」■
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1028036/
2 防災管理規程のひな型
以下で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容は異なります。規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
【防災管理規程のひな型】
第1条(目的)
本規程は防災管理の徹底を期し、災害における人的・物的被害を最小限にとどめるために必要な事項について定める。なお、本規程でいう災害とは、火災、地震、暴風雨、洪水などに起因する災害をいい、労働災害、交通事故、テロ、ミサイル、感染症は除く。
第2条(適用範囲)
本規程は、消防法などの関連法令に基づき全社に適用する。
第3条(防災管理体制)
会社は、防災管理の推進・維持のため、次に定める管理者および会議体を置く。
- 全社防災対策本部長
- 地域防災対策責任者
- 防火管理者
- 火元責任者
- 防災対策本部
- 防災対策委員会
- 自衛消防隊
第4条(全社防災対策本部長の任命および職務)
1)全社防災対策本部長は、本社に置くものとし、総務部長がその任に当たる。
2)全社防災対策本部長は、全社的な防災対策の統括をするものとする。
第5条(地域防災対策責任者の任命および職務)
1)地域防災対策責任者は、拠点ごとに置くものとし、労働安全衛生法に基づいて選任した総括安全衛生管理者とする。ただし、総括安全衛生管理者を置かない拠点においては、労働安全衛生法に基づいて選任した安全管理者などの中から会社が個別に指名する。
2)地域防災対策責任者は、拠点における防災対策の統括をする。また、災害に際しては臨機応変な処置を講じるとともに、速やかに全社防災対策本部長に状況を報告しなければならない。
第6条(防火管理者の任命および職務)
1)防火管理者は、拠点ごとに置くものとし、法的資格者の中から全社防災対策本部長が任命する。また、防火管理者を置かない場合は、地域防災対策責任者が防火管理者の職務に準じて防火管理事項を実施・推進するものとする。
2)防火管理者は火災の予防および災害の防止を図るため、次の職務を誠実に行うものとする。
- 消防計画の作成および変更
- 建物、火気使用設備器具、危険物施設などの検査および危機管理
- 避難通路および避難設備などの維持管理
- 消防用設備などの点検および整備
- 火気の使用または取り扱いに関する監督
- 収容人員の管理
- 消火、通報および避難などの訓練の実施
- 従業員などに対する防災意識の啓発
- 火災およびその他の災害に対応できる体制、対策の維持管理
- その他、防災管理上必要な業務
3)防火管理者は前項の職務を遂行するに当たり、必要に応じて第7条に定める火元責任者および建物・諸設備などの点検を行う者(以下「設備点検員」)を任命するものとし、消防管理上必要な命令および指示をしなければならない。
第7条(火元責任者の任命および職務)
1)火元責任者は、各部門の責任者もしくはそれに準ずる従業員の中から防火管理者が任命する。
2)火元責任者は、防火管理者の命令および指示に従い、防火措置の実施、確認、その他の責任を負うものとする。
第8条(防災対策本部および活動)
会社は、重大な災害が発生した場合、本社に防災対策本部を置き、対策を決定する。また、必要に応じて、防災対策本部の決定した対策を講じるための全権を委嘱した役員を被災地に派遣する。
第9条(防災対策委員会)
1)防災対策委員会は、拠点ごとに置く。
2)防災対策委員会の委員長は、地域防災対策責任者とする。
3)防災対策委員会は、防火管理者、火元責任者、設備点検員、拠点内の各部門から任命された1名以上で構成する。
4)防災対策委員会は、原則として2カ月に1度開催する。
第10条(防災対策委員会の活動)
防災対策委員会は、主として次の事項に関する審議を行い、必要な事項を実施・推進する。
- 消防計画の立案
- 防災に関する諸規程の立案
- 防火対象物の防火構造および避難施設並びに消防用設備などの維持管理
- 消防設備の改善強化
- 消火・通報および避難訓練などの立案
- 防災意識の啓発
- 防災予防上必要な教育および消防・避難訓練の計画並びに実施
- 火災の際の隣接防火対象物の応援協定
- その他防災に関する必要事項
第11条(自衛消防隊)
1)自衛消防隊は、拠点ごとに置くものとし、火災のみならずその他の災害発生時に、人的・物的被害を最小限にとどめるための活動を行う。
2)自衛消防隊の隊長は、地域防災対策責任者とする。
3)自衛消防隊の隊長補佐は、防火管理者とする。
4)自衛消防隊には、隊長および隊長補佐の下に次の班を置く。
- 通報連絡班
- 初期消火班
- 避難誘導班
- 応急救護班
- 安全防護班
5)第4項に定める各班には、班長を置く。班長は各部門の責任者、もしくはそれに準ずる従業員の中から地域防災対策責任者が任命する。また、各班の班員は地域防災対策責任者が任命する。班員数については拠点の規模などを勘案の上、防災対策委員会が決定する。
第12条(自衛消防隊の活動)
自衛消防隊は、火災やその他の災害が発生した場合に、所有する組織力や装備を有効に活用して、人的・物的被害を最小限にとどめることを目的に、次の活動を実施する。
- 消防機関への通報
- 初期消火活動
- 人命の救助
- 関係者以外の者の立ち入り禁止処置
- 消防活動の障害となる物件の排除
- 従業員の避難誘導
- 必要な資器材の調達
- その他、人的・物的被害を最小限にとどめることに資する活動
第13条(消防計画)
防火対象物全般にわたる消防計画は防火管理者が企画・立案し、防災対策委員会で決定する。なお、消防計画については消防法など法令の定めるところによる。
第14条(防火点検)
建築物・火気・電気・危険物などにおける各施設の自主点検は、火元責任者が週1回実施し、点検結果は記録して、必要な整備事項があれば地域防災対策責任者に報告し処置するものとする。
第15条(設備管理)
1)消防用諸設備および用水については、火元責任者が管理状況を確認するものとし、防火管理者は巡回点検を定期的に行い、実施状況を監督しなければならない。
2)電気設備、警報設備、避難設備など、専門的な点検を要するものは、防火管理者が点検依頼先を指定し、社内外の専門技術者の点検を受けるとともに、点検結果を記録しなければならない。
第16条(防災訓練)
1)防災対策委員会は防火管理者が中心となり、防災訓練と防災教育の講習会を年1回開催する。
2)従業員は防災訓練並びに防災教育の講習会に参加しなければならない。
第17条(火災予防)
1)社内における指定場所以外の喫煙は厳禁とし、社内外における工事や大量の危険物取り扱いの際の喫煙場所は、事前に防火管理者の承認を受けなければならない。
2)臨時に火気を使用する場合、防火管理者並びに火元責任者の許可を得なければならない。
第18条(災害防御)
災害防御のため、該当者は次の項目に努めるものとする。
- 通報連絡
- 消火活動
- 避難誘導
災害(特に火災)発生において発見者は、所轄の消防署へ通報するとともに、地域防災対策責任者などの関係者もしくはそれに準ずる者に連絡する。連絡を受けた者は、社内放送または口頭連絡により、災害発生を知らせる。
自衛消防隊は、社内放送および連絡に基づき、直ちに消火活動に当たる。
自衛消防隊の誘導により行う。
第19条(安否確認)
従業員は各自、自身と家族の安全措置を講じた後、速やかに所属拠点へ安否情報を報告する。
第20条(災害復旧)
1)地域防災対策責任者は、事業を速やかに回復させるため、次の項目に努めるものとする。
- 勤務環境の整備
- 土地、施設および設備の復旧
- 備品などの調達および修繕
- その他、災害復旧に必要な事項
2)地域防災対策責任者は、応援要員、復旧資材、宿泊施設、食料、復旧日程などの計画を策定し、全社防災対策本部長に報告する。
3)地域防災対策責任者は、復旧計画の実施に当たって、自治体、防災関係機関などと密接な連絡を取りながら復旧を行う。
第21条(罰則)
役員および従業員が故意または重大な過失により、本規程に違反した場合、就業規則に照らして処分を決定する。
第22条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会の承認による。
附則
本規程は、○年○月○日より実施する。
以上(2024年9月更新)
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さまざまな法人税対策の考え方をとことん分かりやすく整理する
書いてあること
- 主な読者:適法で自社に合った法人税対策をしたい経営者
- 課題:法人税対策といっても、どのような方法があるのか分からない
- 解決策:法人税対策として「所得の平準化」と「税制上の優遇・制限」を知る
1 2つの性質に分けられる法人税対策
利益が増えると、法人税対策への関心度は高まります。ただ
目先の納税額を少なくすることを考えても、長期的にはあまり意味がないものであったり、無駄に資金の支出を増やしているものであったりする
ことがあります。法人税対策は、
- 所得の平準化によるもの
- 税制上の優遇・制限によるもの
ごとに大別されます。それぞれ会社の資金に与える影響や効果や性質を考えた上で、自社に合った対策を講じることが大切です。
この記事では、法人税対策の考え方を紹介します。なお、より具体的に法人税対策を検討したい方は、以下のコンテンツをご参照ください。
2 ひと目で分かる多様な法人税対策
法人税対策の概略をまとめると次のようになります。
1)所得の平準化によるもの
「今年度の税金を少なくする(所得の平準化によるもの)」ということであれば、
- 費用の前倒し計上(さらに資金の支出を伴うものと、伴わないものに細分化)
- 収益の繰延処理
- 資産の評価損の計上
が有効です。これらは今年度の税金を少なくしますが、翌年度以降に反動が出てきます。また、法人税は毎年平均的に所得を計上したほうが、総額の税額は低くなる(詳細は後述)ので、こうした点も考えながら節税対策を検討します。
1.費用の前倒し計上
費用の前倒し計上は資金の支出を伴うものと、伴わないものとに区分されます。
資金の支出を伴うものは、
- 決算賞与の支給、あるいは未払い計上
- 消耗品や固定資産を利用した費用の創出
に区分されます。
また、資金の支出を伴わないものは、
- 優遇税制の利用
- 未払い計上が可能な費用などの確認
に区分されます。
2.収益の繰延べと資産の評価損
収益の繰延べは今年度に入金があったものの、翌年度以降の収益として計上する繰延処理を行うもので、前受収益の計上と、一定の要件を満たす場合の圧縮記帳(一定の方法により得た収益と同じ金額を取得金額から控除するなどして、課税を繰り延べる制度)とがあります。
また、その他に資産の評価損があります。これは年度末時点で保有している資産の評価損(帳簿価額と時価の差額)を認識するものです。
2)税制上の優遇・制限によるもの
「税金の額を永久に少なくする(税制上の優遇・制限によるもの)」ということであれば、
- 税額控除を利用する
- 損金性を否認される費用を減らす
- 特別課税の適用を受けないようにする
- 欠損金繰越控除の期間を有効に活用する
という4つに区分することができます。これらの節税対策は会社に資金の負担を掛けません。一方、前述した資金の支出を伴う法人税対策は、一時的にその期の節税額以上に資金繰りを悪化させるので要注意です。
3 所得の平準化がなぜ法人税対策として効果があるのか
個人の所得税は累進課税(所得が増えるほど税率が大きくなる課税制度)であるため、所得を平準化したほうが税金の総額が少なくなります。一方、法人は一定税率であるため、所得の平準化による節税効果はないと思われがちです。
しかし、法人も資本金が1億円以下であれば、中小法人(資本金の額が5億円以上の大法人の100%子会社を除く)の軽減税率により、2段階の累進課税となっているので、複数年度の所得を累進させる手前の段階でとどめておくことができれば、節税効果が生じます。また、特定同族会社(資本金1億円以下を除く)では、留保金課税が追加発生するので、留保金課税が発生する手前で平準化できれば節税効果が生じます。
4 法人税対策の基本的な進め方
上記で説明した分類に基づいて「法人税対策」を考えた場合、まず行うべきは「税制上の優遇・制限によるもの」です。それらは、適用を受ける、または適用を受けないようにすることで、必ず効果が出ます。
それらを検討して改善の余地がなければ、「所得の平準化によるもの」について考えます。これは、現在手を着けなくても後日にその分の効果が出るものです。後日の節税効果より、現在手を着けたことによる節税効果のほうが大きい場合に検討します。
本稿で紹介したことは当たり前のことともいえますが、これができていないために、払わないで済む余分な税金を払っている場合が多いのです。まず、当たり前のことがきちんとできているかどうかを確かめることから始めましょう。
以上(2024年9月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)
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【法人税対策】決算前に必ず確認したい13の対策
書いてあること
- 主な読者:自社に合った法人税対策をしたい経営者や担当者
- 課題:具体的な法人税対策を知りたい。ただし、過度な対策は税務調査で指摘されるため、注意点も知りたい
- 解決策:自社が利用できる法人税対策の手法を確認し、必要に応じて専門家に相談する
1 2つの性質に分けられる法人税対策
シリーズの「さまざまな法人税対策の考え方をとことん分かりやすく整理する」では、法人税対策を講じる際に知っておきたい考え方を紹介しました。これを知っておかないと、目先の納税額は減っても長期的にはあまり意味がなかったり、無駄な支出をしてしまったりすることがあるからです。
続くこの記事では、具体的な法人税対策について紹介しますので、参考にしてください。
2 決算賞与の支給、あるいは未払計上
翌年度に支給予定の賞与を今年度中に支払うことで、今年度の決算で損金(税務上の費用)にできます。資金繰りなどの都合で決算後でないと支給できない場合は、未払賞与として決算書に計上することで損金にできます。
ただし、未払賞与を計上する場合、
- その支給額を従業員ごとにかつ同じ時期に支給を受ける全ての従業員に対して通知すること
- 通知をした金額をその通知をした全ての従業員に対し、その通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1カ月以内に支払うこと
の2つの要件を満たす必要があります。
仮に就業規則などで賞与の支給対象を「支給日に会社に在職している従業員」に限定している場合、未払賞与の全額を否認される恐れがあるので、就業規則などの変更が必要です。一方、決算賞与について就業規則などに定めておらず、支給日に在職していなくとも支給している実績があれば問題ありません。決算賞与の支給実績を示す資料(通知書やメールなど)があれば理想的です。
なお、役員賞与は、「事前確定届出給与」に該当するものを除き、年度末までに支払いをしても損金にはなりません。
3 消耗品や固定資産を利用した費用の創出
翌年度以降に必要になる消耗品や固定資産があれば、今年度の法人税対策として少し早めの購入を検討してみましょう。
消耗品や固定資産であれば、要件次第では、
その年度に全額経費にできたり、通常の減価償却より大きく計上できたりする
からです。
使用可能期間(実際の使用状況や補充などのサイクル)が1年未満であるものや、取得価額が10万円未満のものは、全額経費で処理することができます。
一括償却制度は、取得価額が20万円未満の固定資産(一括償却資産という)は、通常の減価償却より短い期間(3年間)で償却でき、
1年当たりの減価償却費を大きく計上する
ことが認められています。
少額減価償却資産(中小特例)は、中小企業者等に限り、取得価額30万円未満の固定資産(少額減価償却資産という)を、
取得価額の全額を1年で損金に
できます。なお、少額減価償却資産として取り扱えるのは、1年度でその取得価額の合計額が300万円以内までです。
4 優遇税制の利用
一定の要件を満たしていたり、特定の目的で取得したりした固定資産は、通常の減価償却費に追加して特別償却することが認められ、より多くの償却費を損金にすることができます。自社で適用できるものがあれば検討してみましょう。
例えば、中小企業者等が自然災害への対策強化を目的として設備を取得した場合に適用されるもの(2025年3月31日までに事業継続力強化計画等の認定が必要)などがあります。
5 未払計上が可能な費用などの確認
決算作業時に、年度末後2カ月以内(2025年3月決算であれば、翌年度2025年4月~5月)に支払う費用の一覧を見てみましょう。じっくり検討すると、今年度中にサービスが完了し、今年度の決算で未払計上できる費用があるかもしれません。
また、貸倒引当金を設定できる(貸倒引当金繰入額として損金にできる)のに設定していない金銭債権(売掛金や受取手形など)があることがあります。貸倒引当金が設定できる金銭債権は、相手先の債務超過が継続している場合や、災害の急変などで損害が生じて、債権の回収見込みが薄くなった場合などに計上することができます。なお、資本金1億円以下の中小法人(資本金の額が5億円以上の大法人の100%子会社を除く)以外は、一部の業種(銀行、保険会社など)を除いて廃止されています。
6 収益の繰延処理
前受収益(まだ、サービスを提供していないものの、代金を受け取っている際に計上する収益)がある場合、これを処理することで、
本来当年度に計上すべきではない売上を翌年度以降に計上する
ことになります(結果、当年度の所得を下げる)。あまりなじみがないため、会計担当者が前受処理を忘れていたり、処理に手間が掛かるため前受処理をしていないことがあったりするので、前受処理が可能かどうか再検討してみましょう。
その他、圧縮記帳という、
補助金や保険金などを利用して固定資産を取得した場合などに適用できる課税の繰延(後送りにする)制度
があります。詳細な説明は省略しますが、圧縮記帳とは、一定の方法により得た収益と同じ金額を固定資産の取得金額から控除するなどして、課税を繰り延べる制度です。適用するには一定の条件を満たす必要があります。契約時には圧縮記帳の条件を満たしていても、決算時に適正な処理をしていないなど条件の一部を満たさないと、適用することはできません。圧縮記帳のできる可能性のある契約は、稟議が上がってきた際に、会計や税務担当者と協議するようにしましょう。
7 棚卸資産の評価損の計上
原則として、資産の評価損(期末時点の時価で評価した際の損失)の計上は認められません。ただし、一定の場合は例外です。一定の場合とは、「災害による著しい損傷」と「政令で定める」場合です。ここでは「政令で定める」場合で見落としがちな点を検討します(後述する有価証券、固定資産についても同じ)。
棚卸資産の評価損が計上できるのは、
- 著しく陳腐化している(物質的な欠陥がないにもかかわらず、経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあること)
- 破損、型崩れ、たなざらし、品質変化などにより、通常の方法によって販売することができないようになったことなど
です。著しく陳腐化しているとは、例えば次のような事象が生じた場合が該当します。
- いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売できないことが、これまでの実績、その他の事情に照らしても明らかである
- 当該商品の用途の面ではおおむね同様のものではあるが、型式、性能、品質などが著しく異なる新製品が発表されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができない
8 有価証券の評価損の計上
有価証券の評価損が計上できるのは、
- 上場有価証券など市場価格のあるものについては、期末時価が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回り、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない場合
- 市場価格のないものについては、期末1株(1口)当たりの純資産価額が当該株式(出資)取得時のそれと比べて、おおむね50%以上下回ることとなったこと(比較する価額には一定の調整あり)、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない場合。また、当該株式(出資)を取得して相当の期間を経過した後に、当該発行法人について民事再生法の再生手続き開始決定などの事実が生じた場合や、これらに準ずる事実が生じた場合
です。
9 固定資産の評価損の計上
固定資産の評価損が計上できるのは、
- 1年以上にわたり遊休状態にある場合
- 本業の用途に使用することができないため、他の用途に使用された場合
- 資産の所在する場所の状況が著しく変化した場合
- 災害による著しい損傷および上記に準ずる特別の事実が生じた場合
です。
10 税額控除の利用
税額控除とは、一定以上の賃上げを行ったり、特定の設備や機器などを購入(一部はリースも可)したりした場合、計算された納税額から直接差し引くことができる税制上の優遇制度です。通常は、
追加的な減価償却を認める方法(特別償却)と税額控除の二者択一
です。特別償却を選択した場合は、所得の平準化による節税効果に限られるので、税額控除のほうが節税対策としては有効なことが多いです。例えば、前年度より一定率以上の賃上げを行った場合に適用ができる賃上げ促進税制などがあります。
税額控除は政策的観点から認められているので、適用対象や条件などは頻繁に変更が行われます。自社に適用可能なものがないか、また、税額控除できるのに、特別償却を選択しているものがないかを検討してみましょう。
11 損金不算入制度の回避
損金にできる役員給与として「定期同額給与」や「事前確定届出給与」などがあります。事前確定届出給与では、役員報酬か役員賞与かにかかわらず、税務署に事前確定届出給与の手続きをして適正に処理されれば、損金にできます。
なお、役員退職金も役員報酬と同様に損金にできますが、どちらも不相当に高額な部分は損金にできません。役員報酬の不相当に高額な部分の算出式はありませんが、役員退職金は算出式(功績倍率法など)があります。功績倍率法では、
退職時の月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率(一般的に2.0~3.0)
の算式で役員退職金の金額を決定します。
近い将来退任が予定されている役員については、想定される退職金額と見合う役員報酬の額を従前の定時株主総会で議決・支給しておきましょう。なかには役員報酬の額が適正な金額よりも低額となっているケースもあります。その場合、十分な役員退職金が出せないこともあり得ます。
12 特別課税制度の回避
特別課税制度の典型的なものは、同族会社の留保金課税制度です。留保金課税とは、
利益のうち配当しない金額に対して法人税を追加的に徴収する仕組み
です。本来、会社は稼いだ利益を配当しようと、内部留保して設備投資しようと自由ですが、同族会社の場合には、留保金課税により、一定の制限が取られています。なぜなら、同族会社の場合、株主と経営者が同一人物であるため、所得税(配当所得に対して課されるもの)の課税を回避することを目的に、配当せず自身が自由に使える(用途の決定権を持つ)内部留保を選択するといったことが比較的容易にできるからです。
この制度は、後日に配当して、個人所得税が課税されても留保金課税分の法人税を返してくれるわけではないので、完全な二重課税となります。留保金課税を受けないに越したことはありません。
留保金課税を受けない最も簡単な方法は、配当することです。配当することによる所得税と、配当しないことによる留保金課税による税額を比べてはいけません。後日に配当しても、配当による所得税は発生するからです。留保金課税を受けている会社は、なぜ留保金課税を受けているのか、なぜ適用停止の条件を満たさないのか、といった理由を再検討するようにしましょう。
なお、留保金課税制度は、資本金1億円以下の中小会社(資本金の額が5億円以上の大法人の100%子会社を除く)と、株主グループによる持株保有割合が50%超(特定同族会社)の会社以外は適用されません。同じく特別課税制度として、いわゆる「土地重課」があります。これは、現在適用停止となっているので、気にする必要はありませんが、条文は現在も残っていることを知っておいてください。
その他、「使途秘匿金の支出があった場合」の特別課税制度というものもあります。使途秘匿金とは、会社がした資金支出のうち、相当の理由がなく、その相手方の氏名などを帳簿書類に記載していないものをいい、
その支出額に対して40%相当の法人税が通常の法人税の他に追加して課税
されてしまいます。
13 欠損金繰越控除の期間制限の有効活用
欠損金(税務上の最終損失)や災害による損失金は、その後10年間に限り繰越すことができます。翌事業年度以降で所得が出た場合、その所得から繰り越した欠損金を控除することができます。なお、2018年4月1日より前に開始する事業年度において生じた欠損金については繰り越せる期間が9年となります。
以上(2024年9月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)
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異動してきたBさんが新しい取り組みを提案するも失敗、どう声をかけますか?/武田斉紀の『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』【実践編】(3)
書いてあること
- 主な読者:会社経営者・役員、管理職、一般社員の皆さん
- 課題:コミュニケーションに関わる知識やノウハウは、頭では理解できても、実際の場面で使いこなせるようになるまでには高いハードルがあるものです。
- 解決策:前回シリーズ『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』での知識やノウハウを聞いただけではまだ一歩を踏み出せない、あるいはトライしてみたがうまくいかないという方のために、新シリーズでは【実践編】として社内の“あるある”場面を想定した質問に対して一緒に考えながら、実践イメージを膨らませていただきます。またリーダー側の視点とは別に、若手社員側の視点による上司世代との上手な付き合い方のヒントも紹介していきます。リーダー世代と若手社員とのコミュニケーションギャップを埋めることは、世界を舞台にスピーディな成長をめざす日本企業にとっても喫緊の課題だからです。
1 異動してきたBさんが新しい取り組みを提案するも失敗、どう声をかけますか?
前シリーズ『次世代リーダーに必須のコミュニケーション習慣』の実践編としてスタートした今シリーズです。
知識やノウハウは分かったけれど、「現場で実践するにはまだハードルが高い」「うまく一歩を踏み出せない」という方のために、毎回実際にありそうなさまざまなシチュエーションを想定して、どんなコミュニケーションを取るのが望ましいかを一緒に考えていきます。
第2回の事例解説はいかがだったでしょうか。今回は課題[事例2]です。以下に再掲しますので、考えた解答を思い出してみてください。まだ考えていなかったという方もぜひ考えてみてください。解説だけを読んでいても、実行や応用はままなりませんよ。
—————————
Q. Bさんに対して、あなたはこの後、最初にどんな声をかけますか? またそれを考える際に注意するべきポイントを3つほど挙げてください。書かれているさまざまな要素を考慮してみましょう。
[事例2]
〇若手社員Bさんが異動してきて3カ月。はりきって新しい業務に取り組んでくれていましたが、ある日のこと、課のミーティングで提案があるというので時間を取ることにしました。内容は部署での従来のやり方を根本から見直す新しいアプローチの提案でした。
〇いきなり聞かされた他のメンバーからは、「今までのやり方が間違っていたとは思わないが……」と後ろ向きな意見が出てきます。上司であるあなたは、新天地でやる気に燃えているBさんからのせっかくの提案だけに、まずは1カ月、一部業務でやってみればいいと受け入れ、他のメンバーにも協力を促しました。しかし、1カ月後に結果は出ませんでした。
〇Bさんはあなたに「メンバーの反対を押し切って受け入れてくれたのに、失敗に終わってすみません」と謝罪。異動したての頃の仕事への意欲をすっかり失っているようです。
—————————
ヒントとしては、[事例1]の解説でお話ししたポイントも思い出しながら、[事例2]の文章を丁寧に読み返してみてください。
2 起こっている事象を整理し、根本的な問題を洗い出す
事例を読んで多くの方が真っ先に気付いたのは「1カ月という設定に無理があったんじゃないの?」といった、目標設定についてかもしれませんね。もちろん、その視点は間違っていないのですが、そこが根本的な問題点でしょうか。
前回も申し上げましたが、ここは実際の現場ではありません。相手の表情や行動を直接“観察する”ことはできないといったデメリットがある一方で、文字情報なのでトレーニングとして何度も読み直してじっくり考えることができるメリットがあります。
前回のポイントの1つ目「相手をよく観察する」、2つ目「起きている問題は何かに立ち戻る」も思い出して、起こっている事象を整理し根本的な問題を洗い出してみましょう。状況を冷静に判断することが肝要という点では、リアルも事例も同じです。
今回のテーマは「異動」です。成長ステージや企業文化によっても頻度や人数は異なるでしょうが、社員の異動、新卒・中途を含めた人材の新たな配属は年に1度くらいは定期的にあるでしょう。では、社員の異動は何のために行われているのでしょうか。
今回のポイントの1つ目は「人事異動の目的に立ち返る」です。人事異動の目的は本来、「異動先のセクションと異動した本人を活かす=“活性化する”こと」ではないですか。
人手が足りない部署ならば人材を追加することで“活性化する”、停滞している部署なら異なる経験を持つ人材を投入することで“活性化する”のです。
もし「この人材はうちではいらないから、外に出してしまおう」といった後ろ向きな理由だけで異動が行われている組織があるとすれば、「じゃあ、何のためにその人を採用したのですか?」「『採用ミスでした』で片付けて、本人が辞めると言うまでたらい回しにするつもりなですか?」と聞きたくなります。
配属してみたものの本人も組織もフィットしないことなど、よくあることと考えましょう。それは失敗ではなく、前向きな異動への一歩なのです。
本人の才能や個性を活かす目的で異動を活用できている組織ならば、人は辞めないどころか、一人ひとりを最大限に活かせて成果にもつなげられていることでしょう。
そう考えれば、異動してきたBさんが部署の仕事を覚えて慣れてきたところで「従来のやり方を見直す提案をしてくれた時点で成果である」といえるのではないですか。これがポイントの2つ目です。
私が上司なら課のミーティングで提案があると言ってきた時点で感謝の気持ちを伝えたいです。もしまだ言ってなかったとしたら、今回の事例である「1カ月で結果を出せませんでした、すみません」とBさんが謝罪してきた時点の最初の一言にしてはどうでしょう。
「Bさん、提案してくれてありがとう。異動してきてくれてありがとう」
感謝の言葉ですが、「褒める」「前向き発想」なコミュニケーションに当たります。
3 「今までのやり方が間違っていたとは思わないが……」ではない
今回の3つ目のポイントは、「業務のやり方は常に見直し続けるべきで、それは全員の仕事である」ということです。
Bさんからの提案は、そのことを改めて気付かせてくれたのではないでしょうか。
人間は同じ組織にいると次第に保守的になっていきます。現状のやり方を否定したり、変えていったりすることは、面倒だしストレスに感じるものです。でも、それでは次々と競合が生まれ、新たな価値とそのスピードが求められる世の中で、変化に対応できず生き残ってはいけません。
「業務のやり方は常に見直し続けるべきで、それは全員の仕事」なのです。Bさんが提案してくれた時点でそのことに気付いていれば、上司としては、他のメンバーからの「今までのやり方が間違っていたとは思わないが……」という後ろ向きな意見に対して、言うべきことがあったはずです。
そろそろ『新たな3つのコミュニケーション習慣』の使いどころも含めて、順に整理していきましょう。Bさんが1カ月後に「結果は出なかった、失敗に終わってすみません」と謝罪してきた時点からです。最初の一言は先ほどの感謝を伝える「褒める」から始めます。
その場はあなたとBさんの1対1でしょうから、一緒にこの1カ月の活動を振り返ることにします。まずは「傾聴」して本人の自己分析をじっくりと聞いてみましょう。くれぐれも
途中で決めつけたり、せかしたり、自分の意見を言ったりしないこと。全ては本人の成長のためです。
「傾聴」が終わり、もし本人が結果を正しく捉えられていなければアドバイスをしましょう。小さな変化の兆しであっても1つの成果です。
次に分析の冒頭で申し上げた「1カ月の目標設定」の妥当性も含めて、Bさん本人が振り返った上でこれからどう取り組んでみたいか聞いてみましょう。もう1カ月、少しやり方を変えて続けてみたいのか。失敗なら失敗で、次からは失敗しない別のやり方を考えて取り組みたいのか。
なるべく本人のアイデアと意思を尊重しながら、上司であるあなたからのアドバイスがあれば、本人の納得いく範囲で取り入れてそれを課のミーティングで共有しましょう。
その際に、メンバーのみんなには最初の提案があった時に伝えるべきだった次のことを「前向き発想」で話しましょう。
「必ずしもこの課の今までのやり方が間違っていたという意味ではなく、もっと良いやり方がないか、全然違うやり方がないかと試行錯誤して新しい価値を生み、生産性を上げていくのがわれわれの仕事です。Bさんだけでなく、課の全員の仕事です。Bさんの提案を応援してほしいし、みんなもどんどん提案してください」
Bさんの提案に対しては、本人に議事を進行させながら他のメンバーからのアドバイスや協力を引き出しましょう。その上で、「私だったら、Bさんとは違うこういう見直しにトライしてみたい」といった新たな提案が出てくればしめたものです。
【今回の3つのポイント】
1 人事異動の目的に立ち返る
2 異動して来た人が現状を変える提案した時点で1つの成果である
3 業務のやり方は常に見直し続けるべきで、それは全員の仕事である
最後に、私から上司の方へのお願いです。「人事異動」を経験したことがある人なら分かると思うのですが、異動者本人にとっては経験のない部署、新たな部署の一員となる時点で不安は小さくありません。
上司は最大の歓迎者でありかつ最大の理解者として、しばらくは意識して本人に寄り添ってあげてください。
それは決してひいきなどではなく、人事異動の本来の目的を達成するために必要なことなのです。
4 チーフのCさんから「若手が仕事をしない」とクレーム、どう声をかけますか?
次回に向けた[事例3]を紹介します。
—————————
Q.部下のベテランCさんに対して、あなたはこの後、最初にどんな声をかけますか? またそれを考える際に注意するべきポイントを3つほど挙げてください。書かれているさまざまな要素を考慮してみましょう。
[事例3]
〇部下でチーフとして若手2人を任せているベテランのCさんから、悲痛な形相で上司のあなたにクレームのような相談がありました。「若手2人に毎日指示を出して仕事をやらせようとしているんですが、反発や口答えばかりして、ちゃんとやらないんですよ。上司から直接注意してください。私にはもう無理です」。
〇実は最近別のチーフから、Cさんのところの若手2人が会社を辞めたがっているようだとのうわさを聞いたばかりです。若手とはいえ大事な戦力、今後への期待も含めて採用した以上、会社としても課としても辞められては困ります。
—————————
ヒントとしては、事例1,2と同様に最初に起こっている事象を整理し、根本的な問題を洗い出してみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。実際の場面では、事例と似たようなシチュエーションであっても全く同じということはないでしょう。今回私がご提示した声かけや注意すべきポイントを参考にしながらも、目の前の状況に合わせてご自身で判断し、実行してみてください。
次回もお楽しみに。
<ご質問を承ります>
ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで
Mail to: brightinfo@brightside.co.jp
※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。
『新スペシャリストになろう!』 https://amzn.asia/d/e8GZwTB
『なぜ社長の話はわかりにくいのか』 https://amzn.asia/d/8YUKdlx
以上(2024年9月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/
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重要な情報(電子データ/書類)をバックアップしよう【中小企業のためのBCP】
書いてあること
- 主な読者:重要な情報(電子データ/書類)のバックアップ体制が確立されていない会社の経営者、情報システム担当者
- 課題:重要な情報が消失すると、事業を早期に復旧できなくなる恐れがある
- 解決策:重要な情報のバックアップの方法を理解して、自社に合った手段を整備する
1 電子データや書類のバックアップが不可欠な理由
突然ですが、今、地震が発生し、会社のパソコンやサーバーが壊れてしまったとしたら、あなたの会社は元通りに業務を再開できるでしょうか?
電子データや書類のバックアップが不可欠なのは、
それが使えなくなると事業の存続に関わる危機的な影響が及ぶ
からです。
会社には、社員や顧客などの様々な情報が、電子データや紙の書類として蓄積されており、これらが滅失したり毀損したりすれば業務に支障を来すでしょう。また、漏洩すれば社会的な信用を失うことにもなりかねません。
では、電子データと書類はどうやってバックアップすればよいでしょうか。また、バックアップ体制を整えるに当たってどのようなことを考え、日ごろからどのような備えをしておくべきでしょうか。具体的に見ていきましょう。
2 電子データをバックアップする3つの方法
電子データのバックアップは、主に3つの方法があります。
- 外部記憶媒体を利用する
- ネットワークストレージを利用する
- オンラインストレージを利用する
1)外部記憶媒体を利用する
外付けハードディスク、DVD、USBフラッシュメモリなどに電子データをバックアップする方法です。電子データの容量に応じて適切な記憶媒体を購入し、基本的には、必要な電子データを都度、手作業でバックアップします。
比較的手軽な方法ですが、定期的にバックアップする必要があります。また、外部記憶媒体の紛失や、ウイルス感染に注意しなければなりません。
2)ネットワークストレージを利用する
いわゆる「NAS(Network Attached Storage)」に電子データをバックアップする方法です。NASは、ネットワークを介して複数のパソコンなどから、同時接続できるハードディスクです。
外部記憶媒体よりも高額ですが、数テラバイト以上の大容量のNASを購入すれば、容量をあまり気にせずにバックアップできます。また、あらかじめ深夜帯や休日に設定しておけば、自動的にバックアップすることも可能です。
3)オンラインストレージを利用する
クラウドサービスを利用し、インターネット上に電子データをバックアップする方法です。電子データを自社とは離れた遠隔地に保存できるため、大地震や火災などによって社内のパソコンやサーバーが損傷しても、電子データは無傷で守られます。
サービスの多くは、保存するデータ容量に応じた料金体系になっています。どのくらいの費用がかかるのかを把握するために、バックアップするデータ容量を事前に算出しておきましょう。安全性、速度、運用のしやすさなども、サービスを選ぶ際のポイントになります。
バックアップ方法はどれか1つを選ぶのではなく、複数を組み合わせることで、大切な情報が失われるリスクを低減できます。参考になるのが、情報処理推進機構(IPA)が理想的なバックアップ方法として勧めている「321ルール」です。これは、
データを3つ持ち(運用データ1つ、バックアップデータ2つ)、
2種類の異なる媒体でバックアップし、
そのうち1つは異なる場所(オフサイト)で保管する
というルールです。
図表のように、電子データのコピーを複数作り、保存する媒体を異なるものにするだけでなく、地理的にも離すことで、ウイルス感染に加えて、大地震や火災などにも対応できるようにします。ただし、電子データを社外に持ち出すことにもなるので、漏洩には十分に注意する必要があります。
3 書類をバックアップする2つの方法
紙の書類のバックアップは、主に2つの方法があります。
- コピーを取る
- スキャナーなどで電子データ化する
これらについては細かく説明するまでもないでしょう。
大切なのは、原本とそのコピー(もしくは電子データを記録した媒体)を離れた場所で保管する「二元管理体制」を整えることです。大地震や火災などで同時に被災してしまうのを避けるために、なるべく遠隔地に保管するのが理想的です。
ただし、原本のコピーを取ることで情報漏洩の危険性が高まります。機密情報や個人情報などの取り扱いは特に細心の注意を払い、慎重に行わなければなりません。
4 バックアップ体制を整えるときに考えておきたいことは?
バックアップ体制を整えるに当たって、バックアップ方法の選択以外に、どのようなことを考えておくべきでしょうか。重要になってくるのが、次の3つのポイントです。
- どの情報を優先的に保護するのかを決める
- 自社が被災する可能性の高い災害を把握する
- 目標復旧時間内にコンピューターシステムが機能回復できるかを検証する
これらは「事業継続計画」(BCP:Business Continuity Plan)のプロセスでもあります。BCPについて考えてこなかった方も、これを足掛かりに策定を検討してみてください。
1)どの情報を優先的に保護するのかを決める
BCPでは、策定の第一歩として、会社の存続に最も重要な「中核事業」を決めます。
災害発生時は、事業を継続するために必要な経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を、平常時と同じように確保することが難しくなります。中核事業を決めるときは、経営資源が平常時の約30%しか利用できないと仮定し、その範囲で継続すべき事業を考えます。
電子データや書類については、中核事業の継続に必要となる情報は保護の優先度が高くなります。経営者や事業部長、現場の業務責任者などを交えたプロジェクトチームを立ち上げ、優先度を検討するとよいでしょう。
2)自社が被災する可能性の高い災害を把握する
BCPでは、中核事業が影響を受けると思われる災害を把握します。
会社が被災する可能性のある災害は、大地震や火災、水害など様々です。行政機関が公表している地震被害想定や河川氾濫浸水マップ、土砂災害ハザードマップなどをチェックし、自社の周辺で災害が起こると、どの程度の被害となるのかを把握しましょう。
国土交通省「ハザードマップポータルサイト」では、土砂災害や津波などの被害を受けそうな地域を確認できる「重ねるハザードマップ」と、市区町村作成のハザードマップを検索できる「わがまちハザードマップ」を参照できます。
■国土交通省「ハザードマップポータルサイト」■
3)目標復旧時間内にコンピューターシステムが機能回復できるかを検証する
BCPでは、災害が経営資源に与える影響を考え、中核事業の目標復旧時間を設定します。
中核事業が中断した場合、顧客や市場がいつまで復旧を待ってくれそうか、経営者が日ごろの取引で培った経営感覚で予測を立てます。顧客と意見交換や調整をしながら合意を得ることも重要です。
コンピューターシステムが被災により滅失・毀損してしまった場合、バックアップした電子データから復旧を試みることになります。事前に、目標復旧時間内に回復できるかどうかを検証し、それまではどのような手段で代替するのかを決めておきましょう。
5 日ごろから備えておきたいことは?
1)パソコンやサーバー本体は、停電・水没・転倒・ほこりに注意
電子データを保存しているパソコンやサーバー本体の保管にも注意が必要です。
例えば、
- 落雷などによる停電に備えて無停電電源装置(UPS)を導入して接続しておく
- 水害などで水没しないように高い場所に置く(サーバールームは地下に設置しない)
- 地震などの揺れで転倒しないように、耐震マットや固定器具を使用する
- トラッキング現象による火災に備え、電源プラグやその周りにほこりがたまらないように定期的に掃除する
などの対策をしましょう。
2)重要書類の原本は、保管場所と取り出し方法をルール化
災害などの緊急時に備え、重要書類の原本の保管場所と取り出し方法を取り決め、責任者や担当者だけでなく、全ての社員にルールを共有しておくことが重要です。
例えば、経理部門や総務部門には、会計帳簿・契約書・社員台帳などの重要書類が集中していますが、
- 書類の重要度が分かるように分類する
- 施錠できるキャビネットに整理・保管する
ようにしておくとよいでしょう。
なお、クリアファイルは書類をまとめるのに便利な半面、保管場所の環境によっては書類にカビが生える恐れがあるため、長期保管には向きません。
3)危機管理意識の高い組織を目指す
いざというときに動ける組織であるためには、BCPのような計画やルールの運用に対して、社員と経営者が前向きである必要があります。そのためにも、BCPでは、防災に関する勉強会を開くこと、定期的に訓練を実施することなどが推奨されています。
重要度を問わず、日ごろから書類の整理整頓を行い、コンピューターシステムの「いつもとはちょっと異なる動き」を無視せずに担当者に報告するなどのルールを、社員に徹底することも重要です。
以上(2024年9月更新)
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産業別にみる外国人雇用の特徴と注意するポイント
令和5年10月末現在、厚生労働省より公表された「外国人雇用状況の届出状況のまとめ」によると、我が国における外国人労働者の数は、2,048,675人(前年比225,950人増)と初めて200万人を超えて過去最高を更新し、今後もさらに増加していくことが見込まれています。そのような中でこの度は、予定されている技能実習制度の廃止と新制度の概要を説明した後、主に現場で働く労働者が多い産業別の外国人雇用の特徴や注意するポイントについてご説明いたします。
1 はじめに ~「技能実習制度」の廃止と新しい制度の制定~
(1)「外国人技能実習制度」の廃止
外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的として創設されました。
技能、技術等の習得段階によって「技能実習1号」(1年目)、「技能実習2号」(2年目~3年目)、そして「技能実習3号」(4年目~5年目)の区分に分かれて在留資格が存在し、技能実習1号及び2号の期間は原則、技能実習生本人の希望による企業の変更、転籍は認められていません。このことが、昨今の人権に対する世論、関心の高まりにより、諸外国の人権団体などから「強制労働」などと批判されてきました。
また、我が国における生産年齢人口(15歳以上64歳以下の人口)が今後益々減っていく中、また他国との人材獲得競争も激化していく中、現在の制度の実態と「国際協力」を目的としているところに乖離が生じているとの意見も多くあり、昨年11 月まで行われていた「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」での最終報告を基礎に国会にて議論され、先の通常国会にて、技能実習制度の「発展的解消」、言い換えれば「廃止」が決定しました。
(2)新しく制定される「育成就労制度」の概要
育成就労制度は、「育成就労産業分野(特定技能制度と原則同一の分野)において、特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保することを目的とする。」とされており、「人材確保」と「人材育成」を目的とした制度となります。以下、受け入れ企業に影響がでる代表的な箇所についてご説明します。
まずは、育成就労の期間ですが、これまでの技能実習制度では、企業によって「1年」、「3年」あるいは「5年」と異なっていましたが、これが原則「3年」に統一されます。3年かけて「特定技能1号」の水準となるよう育成することが求められます。
特定技能制度とは、深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる制度で、平成31年に創設されました。特に、国内で充分な人材が確保できない分野を「特定産業分野」と位置づけ、特定産業分野に限って外国人が現場作業等で就労できるようになりました。現在は介護業、建設業、宿泊業、農業、飲食料品製造業、外食業など12の業種です(今後、工業製品製造業、自動車運送業、林業、木材産業、鉄道といった業務区分、分野の追加が予定されています。)。
特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」という2種類の在留資格があり、特定技能1号の期間は上限5年間ですが、特定技能2号になると期間の上限なく在留することができるようになり、家族帯同(配偶者と子)も認められることになります。
次に、これまでは「技能実習2号」を良好に修了した場合、特定技能1号に変更するにあたっての「日本語試験」「各業界団体の特定技能試験等」は免除されていましたが、育成就労制度では変更の際に受験が必須になる見込みです。
また、これまでは技能実習制度で前述のとおり、原則3年は本人希望による企業の変更、転籍は認められていませんでしたが、育成就労制度では仕事の内容(分野)によって、早ければ1年、遅くとも2年を超えたら、同一業務区分内において、本人希望による転籍が認められるようになります(当初、有識者会議では全業種1年の転籍制限で検討が進められていましたが、地方への影響等を鑑みて当分の間、このようなかたちとなりました。)。
上記以外にも技能実習制度との相違点はありますが、細かなことはまだ決まっておらず、今後、政省令にて定められることとされており、現在技能実習生を受け入れている企業においては今後も注視していく必要があります。
なお、育成就労制度は「公布日(令和6年6月21日)からから起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行することとされているため、現状では令和9年春頃から開始される見込みとなっております。
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