労働基準監督署の労働基準監督官は、労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法に基づき、労働者を使用している事業場(工場や事務所など)に強制的に立入る権限が認められており、法に定める労働条件や安全衛生の基準の遵守状況を点検し、法令違反が認められた場合には、是正勧告(行政指導)や使用停止等命令を行います。
5分でわかる! 新リース会計基準のポイント
2027年4月から、新しいリース会計基準がスタートします。対象は上場企業などに限られますが、設備投資の計画等に影響を及ぼす可能性があるため、中小企業にも少なからず影響はあるでしょう。
たとえば、機械製造の分野では、発注元のリースの会計処理が変わることで、発注のタイミングや内容が見直される可能性もあります。会計基準そのものよりも、実際にどのような影響が出るのか――そこに注目すべきかもしれません。
本記事では、新しい基準の背景や実務上のポイントを、中小企業の目線でわかりやすく整理していきます。
従業員の健康管理を強化しよう!中小企業ができること
健康的に働き続けることのできる職場環境は、人材の定着やあらゆる企業リスクの軽減にも繋がります。健康管理を軽視してしまうと、心身の不調による遅刻や欠勤が発生したり、本人のみならず職場全体の意欲低下、さらには労働災害の発生等、多くのリスクが生じる可能性があります。
2025年版 小規模事業者持続化補助金のご紹介
「小規模事業者持続化補助金」とは、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等が、販路開拓や業務効率化、事業再建などに取り組む際、その費用の一部を補助してくれる制度です。
2025年版では、一般型、創業型、共同・協業型、ビジネスコミュニティ型の4つの支援型で公募が行われます。
地域密着の新規事業を支援!「ローカル10,000プロジェクト」のご紹介
「ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)」とは、都道府県または市区町村(以下「地方公共団体」といいます。)が地域の金融機関等と連携しながら、地域の人材・資源・資金を活用した新たなビジネスを立ち上げようとする民間事業者等の初期投資費用を支援するものです。
ローカル10,000プロジェクトは、総務省が地方公共団体に交付金を交付し、地方公共団体が民間事業者等に補助を行う仕組みです。そのため、申請は必ず地方公共団体を通じて行う必要があります。
【熱中症対策】夏本番前に確認しておきたい「熱中症」の基礎
1 夏本番を迎える前に「熱中症」対策を講じよう
例年、熱中症で救急搬送される人数は5月ごろから徐々に増え始め、7月から8月にピークを迎えます。総務省消防庁「救急搬送人員及び死亡者数(年別推移)」によると、2024年7月に救急搬送された人数は4万3195人、5月から9月の累計では9万7578人となっています。
2025年2月時点の気象庁「全国の季節予報」によると、
2025年の6月から8月の東日本の平均気温は、70%の確率で平年以上、北日本・西日本でも、60%の確率で平年以上になる
予想です。
外の現場で稼働する社員はもちろん、通勤時やオフィスにいる社員にも、熱中症のリスクは付き纏います。また、2024年は10月に入っても東京都心で気温が30度を超える日があり、熱中症対策が必要な期間も、年々長期化しているといえます。
なお、2025年6月1日から労働安全衛生規則が改正され、会社に対し、
- 作業者に熱中症の自覚症状があるときや、作業者が熱中症の疑いがある同僚などを発見したときは、会社にその旨を報告させるよう体制を整え、周知すること
- 熱中症のリスクがある作業を行う場合、あらかじめ作業場ごとに、症状の悪化を防ぐための措置やその手順を定め、周知すること(体を冷やす、医師の診察を受けさせるなど)
が義務付けられます。違反した場合、労働安全衛生法により、
6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
の対象になります。
職場の熱中症対策は、夏本番を迎える前に手を打っておくのが吉です。手始めとして、この記事で具体的な症状と熱中症になりやすい条件を確認していきましょう!
2 熱中症はどのような状態なのか?
熱中症の定義は、次の通りです。
体温を平熱に保つために汗をかき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血液の流れが滞るなどして、体温が上昇して重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症する障害の総称(環境省「熱中症環境保健マニュアル」)
暑い場所などで作業をし続けると、体内で熱が発生して体温が上昇します。通常は体温調節機能が働き、汗をかいて熱を体外に逃がすことで体温が下がりますが、体内の水分や塩分のバランスが崩れると、体温調節機能が働きません。その結果、体温が下がらず熱中症になることがあります。
熱中症の主な症状とその程度は、次の通りです。
熱中症は軽症の場合、目まいや立ちくらみなどの軽度な症状で済むこともあります。しかし、重症化すると意識障害などを引き起こし、最悪のケースでは死に至ることもあります。そのため、いち早く症状に気付き、重症化する前に対処することが重要です。
3 どんな人が熱中症になりやすい?
同じ環境で同じ作業をしていても、個人の体質、普段の生活習慣、その日の体調など、熱中症のなりやすさは人によって違います。
例えば、寝不足や食欲不振などで体調が優れない、下痢や二日酔いなどで脱水症状気味といったときには、特に注意が必要です。また、肥満の人や、運動習慣がなく体力や持久力のない人も、熱中症になりやすいとされています。
その他、高齢者や持病のある人、体に障害のある人、(日焼けを防ぐために)暑い中でも厚手の長袖を着ている人なども、注意が必要です。
普段からマスクを着用している人も注意が必要です。特に高温多湿の状況でマスクを着用していると、皮膚からの熱が逃げにくくなったり、喉が渇いていることに気付かなかったりすることから、体温調節がしづらく、熱中症になるリスクが高いとされています。
4 高温多湿でなくても熱中症になりやすい環境は?
熱中症になりやすい環境としては、
- 風が弱い
- 日差しが強い
- 急に暑くなった日
- 熱帯夜の翌日
- 照り返しが強い場所
- 熱波が襲来するとき
などが挙げられます。
空調が効いたオフィスであっても、熱が発生するサーバーや複合機などの業務機器が近くにある場所で作業するときには、注意が必要です。
また、テレワークの場合、電話やウェブ会議の音声を聞き取りやすくしたり、仕事に集中したりするためにドアや窓を閉め切ることがあります。作業する場所にエアコンがないという人もいますので、長時間作業し続けることを避けて、適度に休憩を取るように促しましょう。
以上(2025年6月更新)
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画像:Lamyai-shutterstock
ルール違反ではないが態度が悪い社員のマネジメント
1 社員のための取り組みがかえってマイナスに……?
2 社員が生意気になるパターンは2つある
3 大きなメッセージと小さなつぶやきを組み合わせる
4 職務記述書(ジョブディスクプリション)も活用する
1 社員のための取り組みがかえってマイナスに……?
デジタル技術の進歩による市場環境の変化、少子高齢化から来る労働力不足など、日本国内のビジネス環境は大きく変化しています。そして、こうした変化を受け、多くの経営者が「このままではマズい。社員がもっと力を発揮できる会社にしなければ」と、働き方改革などに取り組んできました。
テレワークやフレックスタイム制で働く場所や時間を工夫し、若手にチャンスを与えるために仕事の権限を委譲し、なるべく本音で話せるようコミュニケーションにも気を使う……。ただ、残念ながら社員の中には、そんな経営者の苦労も知らず、むしろこうした取り組みをきっかけに生意気になるという、困った人がいます。イメージは、次のような社員です。
- 働き方が自由になったら、勤務態度までルーズに。服装もマナーも悪化している
- テレワークに慣れ、周囲に無関心に。他の人の仕事は手伝わない。挨拶もしない
- 権限委譲した途端、自分勝手に。誰にも相談せずに仕事を進めてトラブルを起こす
- 上司は優しくて当たり前だと勘違い。少しでも注意されると機嫌が悪くなる
- 今以上の働きやすさをさらに会社に要求。要求が聞き入れられないとやる気を失う
経営者としては、働きやすい環境を作った以上、社員にはそれに見合う働きをしてほしいのですが、実は経営者の優しさに甘えるだけで、期待には応えてくれない社員がいるのです。社員に就業規則の懲戒事由に当たる言動(無断欠勤、命令違反など)が見られれば、懲戒処分にして反省を促すこともできますが、生意気というだけではそれも困難です。
腹が立つことこの上ないですが、もしかしたら社員が生意気になった原因は、経営者が
「何を実施するか」にとらわれ、「なぜ実施するか」をおざなりにしてしまったから
かもしれません。「なぜ働き方改革などに取り組むのか」「社員に何を期待しているのか」といった経営者の思いを明確に伝えないまま、取り組み先行で動いてしまったために、社員は会社の取り組みを表面的にしか捉えられないのです。言うなれば「仏作って魂入れず」の状態です。
この状況を打開するには、こうした経営者の思いを、いま一度社員に発信する必要があります。以降で、働き方改革などで生意気になってしまった社員に対する思いの伝え方を紹介します。
2 社員が生意気になるパターンは2つある
経営者の思いの伝え方を紹介する前に、押さえておいていただきたいことがあります。それは社員が生意気になるパターンには、次の2つがあるということです。
- 本人なりに働き方改革などに適応しようとしているが、「ここまでなら許される」という線引きが間違っていて、結果として生意気に見えてしまっている
- 働き方改革など環境の変化を機に、隠れていた性格などが顕在化して、本当に生意気になってしまっている
1.と2.の社員の違いを、前述した「働き方が自由になったら、勤務態度までルーズに。服装もマナーも悪化している」というケースに当てはめて考えてみましょう。
1.の社員の場合、服装やマナーが悪化しているのは、「ここまでならフランクにいっても大丈夫だろう」という線引きが誤っているだけの可能性があります。もともと働き方改革などに適応しようという気はあるので、「自分は間違っていたんだ」と気付けば考えを改めてくれることが期待できます。ですから、経営者が考えるべきは、
1.の社員に焦点を当てて、働き方改革などに関する自身の思いを積極的に発信すること
です(こちらは第3章で具体的な方法を紹介します)。
2.の社員の場合、働き方が自由になり、上司の監視の目が緩くなったことなどが原因で、もともと持っていた自分勝手な性格や怠惰な性格が顕在化してしまった可能性があります。もちろん、誰しも自分勝手な部分や怠惰な部分はありますが、もともと持っている性格というのは、経営者が思いを伝えるだけではなかなか改善されません。従って、
2.の社員については「最悪、分かり合えなくても仕方がない」とある程度割り切った上で、仕事に支障が出ない環境を整えること(上司の目の届くオフィスで仕事をさせるなど)
が必要な場合もあります。
3 大きなメッセージと小さなつぶやきを組み合わせる
経営者が自身の思いを社員に伝えたいとき、真っ先に思い浮かぶのは「朝礼」でしょう。社員が一堂に会するタイミングで、例えば次のようなメッセージを発信するイメージです。
これまで働き方改革などのため、さまざまな取り組みを実施してきました。ただ、それは「皆さんを甘やかすため」ではなく、「皆さんがもっと力を発揮できるようにするため」です。皆さんは今、本当に力を発揮できているといえますか? 会社が働きやすさを提供する代わりに、皆さんは何をしてくれますか?
もちろん、こうした問いかけをするだけでも、多くの社員は一旦、自分の言動を顧みようとするでしょう。ただ、こうしたメッセージはその場では社員の心に響いても、時間がたつと次第に印象が薄れてしまうものです。
そこでお勧めしたいのが、こうした大きなメッセージを発信するのとは別に、小さなつぶやきをこまめに発信するという方法です。イメージは、
社員全員が閲覧可能なSNSに、経営者個人のつぶやきを発信する「社長チャンネル」などを作って、経営者のうれしかったことや疑問に思ったことなどをこまめにつぶやく
というものです。例えば、
- クライアントを訪問した際、受付の人の対応がとても心地よかった。やっぱり笑顔って大事!
- プライベートは大事! でも、仮に3人で20分残業すれば終わる業務を、1人でやろうとしている人がいたら、自然とその人に手を差し伸べられる社員が私の理想です
など、日々の業務に関連したちょっとしたつぶやきは、社員も情景を思い浮かべやすく、納得感があります。
4 職務記述書(ジョブディスクプリション)も活用する
職務記述書(ジョブディスクリプション)とは、
社員が担当する業務内容やその難易度、必要なスキルなどの職務内容をまとめた書類
です。専門職採用や中途採用などの際に使われる書類ですが、すでに雇用している社員の職務内容が配置転換や雇用形態変更などで変わった際にも活用できます。
職務記述書は、あらかじめ特定の職務をこなせる社員を雇用する「ジョブ型雇用」の考えに基づく書類であり、
職務記述書に記載された職務をこなせることが、社員としての最低条件
になります。このことを社員に説明した上で、「経営者が社員に何を期待しているのか」をジョブディスクリプションに落とし込めば、社員を経営者の理想とする方向へと引っ張れます。具体的には職務記述書に「期待される特性」などの欄を設けることが考えられます。次の職務記述書は、アプリ開発を行う会社がシステムエンジニアを募集する場合の例です。
以上(2025年5月更新)
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画像:metamorworks-shutterstock
【中堅社員のスピーチ例】趣味のコミュニティを大切に!
【ポイント】
- 会社や家庭はもちろん、それ以外のコミュニティも大切にしたほうがいい
- 普段と違うコミュニティでの出会いや経験が、会社や家での生活に変化をもたらす
- 新しいコミュニティに入るきっかけは、どこにでもある
おはようございます。突然ですが、皆さんは会社や家庭以外のコミュニティに入っていますか? 例えば、私は学生時代の部活動でブラスバンドをやっていたのですが、昨年から社会人のブラスバンドサークルに入り、仕事が終わった後や休日に仲間と練習をしています。
以前、上司から「会社や家庭はもちろん、それ以外のコミュニティも大切にしたほうがいい」と言われたことがありますが、私も1年ほどサークル活動を続けてみてその大切さが身に染みました。特にありがたかったのは、同じ志や悩みを共有できる仲間に出会えたことです。今だから言いますが、ブラスバンドサークルに入る前、入社したばかりの私は正直、会社で心細い思いをしていました。中途採用で「同期」と呼べる存在が社内におらず、年の近い先輩もいなかったからです。
しかし、サークルに加入しブラスバンドを再開してみると、サークル内には私と年の近い人がたくさんいました。なかでも大きかったのは、最近私たちの会社に仲間として加わったAさんとの出会いです。Aさんとは、発表会後の打ち上げでたまたま向かいの席になり、仕事の話をしたのですが、ちょうど転職先も探しているところで、当社の仕事の話をしたら興味を持ってくれたのです。
そのときの私は、口下手なりに「うちの会社はここが素晴らしいんだ」とAさんにプレゼンしたのですが、自然と熱が入り、普段どんな思いで仕事をしているのか、この会社で何を実現したいのかなど、自分の思いに正面から向き合う良い機会になりました。また、年の近いAさんからは、自分と同じような仕事の悩みを抱えているという話を聞くことができ、「つらいのは自分だけではないんだ」と知って心が楽になりました。今やAさんは、仕事も趣味も一緒にこなす間柄ですが、相談したり協力したりできる仲間がいることで、今までより前向きに仕事に打ち込めるようになりました。
一歩外に出てみると、そこには予想しない出会いが待っていて、会社や家での生活に少なからず変化をもたらしてくれます。「趣味の時間が取れない」で終わらせてしまうのはもったいないです。SNSで気の合う人と話す、行きつけの飲食店の常連客と話す、地域のイベントに参加するなど、新しいコミュニティに入るきっかけはどこにでもありますから、ぜひ探してみてください。
以上(2025年5月作成)
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画像:Mariko Mitsuda
【賃金データ集】初任給のモデル支給額
【賃金データ集】シリーズとは?
【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。
この記事で取り上げるのは「初任給」(基本給が中心)です。
なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。
1 初任給のトレンド
前年からの初任給を引き上げたと回答した企業は29.9%(前年比12.7ポイント減)となりました。
基本給の体系によって異なるものの、一般的な賃金カーブでは、50歳頃まで賃金支給額が緩やかに増加し、その後は減少に転じます。加えて、60歳以降は定年退職する従業員もいて人数が減るため、企業の賃金負担は軽くなります(退職給付を除く)。
現在、会社は「65歳までの雇用確保」の措置として、「定年廃止」「定年延長(65歳まで)」「継続雇用制度の導入(65歳まで)」のいずれかを実施する義務を負っています。また、70歳まで働くことを希望する社員に対し、「業務委託契約」なども含めて就業機会を与える努力義務を負っています。こうした法改正による賃金負担増を回避するためには、賃金のスタートである初任給や昇給ピッチを見直し、生涯賃金を調節するという考え方があります。
2 厚生労働省と日本経済団体連合会の統計資料によるモデル支給額
3 地域の状況(東京)
4 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)
この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。
■新規学卒者決定初任給調査結果■
http://www.keidanren.or.jp/policy/index09.html
■賃金構造基本統計調査■
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
■中小企業の賃金・退職金事情
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/koyou/chingin/
以上(2025年5月更新)
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画像:ChatGPT