少しだけ未来を見る、経営者のための月次ニュースレターです。2026年9月、経営者が押さえておきたい法令・イベント・統計・政策の動きなどを紹介します。
1 制度改正編
9月に予定されている制度改正のうち、中小企業経営者が特に注意すべき2本を紹介します。
1)生活道路における自動車の法定速度引き下げ(2026年9月1日~)
道路交通法施行令の改正で、2026年9月1日より住宅街などの「生活道路」での自動車の法定速度が、時速60キロメートルから時速30キロメートルへと引き下げられます。対象はセンターラインがない幅員5.5メートル未満の道路です。標識がない道路でも一律時速30キロメートルが上限となります。
営業車や配送車を運用する会社は、違反や事故を防ぐため全社的な周知と運行管理の見直しが急務です。
▶ 経営者のTo Do
- 営業車・配送車のドライバーへ、生活道路での法定速度引き下げ(時速30キロメートル)の新ルールを周知する
- 配送ルートや訪問スケジュールへの影響を事前検証し調整する
- 社内研修等で事故削減とコンプライアンス意識向上を図る
■警察庁「生活道路における自動車の法定速度が引き下げられます!!」■
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/seikatsudouro/seikatsudoro.html
2)国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始(2026年9月24日予定)
国税庁の基幹システム「国税総合管理(KSK)システム」が、2026年9月24日(予定)より次世代システム「KSK2」へと刷新されます。従来の税目別(法人税・所得税・相続税など)による縦割り管理から、納税者ごとにすべてのデータを横断して一元管理する仕組みへと移行します。また、外部ネットワーク接続やAI・ビッグデータ分析、金融機関等とのオンライン照会が強化されることで、法人と個人の資金移動や申告内容の不整合、申告漏れが迅速かつ自動的に検知・把握されるようになります。
▶ 経営者のTo Do
- 法人の売上・役員報酬と、役員個人の資産状況・過去の所得データ等に不自然なズレや矛盾がないか、顧問税理士と確認・検証を行う
- 電子取引データ、領収書、契約書などの根拠書類を正確に保管し、いつ税務調査が入っても速やかに提示・証明できる体制を整える
- 名義預金などの曖昧な管理を排除し、生前贈与や役員・親族間での資金移動の際は贈与契約書や理由書を交わすなど、明確な書面記録を残す
■国税庁「国税システムの更改」■
https://www.e-tax.nta.go.jp/shiyo/index.htm#anc15
2 イベント編
1)第20回アジア競技大会(2026愛知・名古屋)開幕
トップアスリートが集うアジア最大の総合スポーツ大会「アジア競技大会」が9月19日~10月4日に愛知県・名古屋市を中心に開催されます(日本での開催は32年ぶり)。オリンピック種目に加え、「柔術」「武術太極拳」「カバディ」といった地域色の濃い競技や、コンピュータゲームによる対戦「eスポーツ」などが行われます。

■第20回アジア競技大会(2026愛知・名古屋)■
https://www.aichi-nagoya2026.org/ja/
2)「シルバーウィーク」は11年ぶりの5連休
「敬老の日」と「秋分の日」に挟まれた9月22日が祝日法第3条第3項による休日となるため、土日休みの場合、9月19日(土)~23日(水・祝)まで5連休となります。
観光需要が高まる一方、物流遅延や業務過密化が生じやすいため、納品や決済スケジュールの計画的な調整が必要です。
■内閣府「国民の祝日について」■
https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html
3)国際物流総合展2026
9月8日(火)~9月11日(金)まで、東京ビッグサイトで開催されるアジア最大級の物流総合展示会です。今年は「知恵と技術で、物流の未来を切り拓く。」がテーマ。最新の自動化・省人化技術、情報技術、物流システム(ハード・ソフト)が集結し、国内外の関係者が一堂に会する貴重な機会となります。
■国際物流総合展2026■
https://www.logis-tech-tokyo.gr.jp/ltt/
4)東京ゲームショウ2026
9月17日(木)~9月21日(月・祝)まで、千葉・幕張メッセで開催される世界でも有数の規模を誇るゲームイベントです。1996年に初めて開催され、30周年を迎える今年は「史上最長、遊びづくしの5DAYS」がテーマ。生成AIやWeb3・メタバースなど最新のデジタル技術が集まる場でもあり、新規事業やマーケティングの参考になります。
■東京ゲームショウ2026■
https://tgs.cesa.or.jp/2026/
3 統計・政策情報編
2026年9月は、法人企業統計調査の「年次別調査」と「四半期別調査」の結果や、各省各庁の令和9年度概算要求、日本銀行の金融政策決定会合を受けた「当面の金融政策運営について」などが公表される予定です。図表2に、本章で取り上げる統計・政策文書の一覧を示します。

1)法人企業統計調査
「法人企業統計調査」は、日本の企業活動の財務実態を把握するための基幹統計調査です。総合的な決算状況を調べる「年次別調査」と、直近の景気動向を追う「四半期別調査」に分かれています。調査結果から、業種別・企業規模(大企業・中小企業)別の売上高、経常利益、人件費の動きや収益構造の変化が分かります。また、機械・機器やソフトウェアへの投資額の増減、企業の内部留保(利益剰余金)の蓄積状況などが確認できます。
■財務省財務総合政策研究所「法人企業統計調査」■
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/
2)令和9年度予算 各省各庁の概算要求
各省庁が8月末までに財務省へ提出する来年度予算の概算要求の取りまとめ結果が、9月上旬以降に公表される予定です。国の来年度の施策や重点投資分野を知る最速の公式情報です。中小企業向けの省エネ支援、DX・IT導入補助金、賃上げ促進策等の方向性が示されます。
■財務省「令和9年度予算」■
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2027/
3)「当面の金融政策運営について」
年8回開催される日本銀行の金融政策決定会合での議論を経て、政策委員会(総裁・副総裁2名・審議委員6名の計9名)の多数決で決定された内容をまとめたものです(次回の金融政策決定会合は9月17日、18日に開催予定)。
政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の誘導目標、国債の買入れ方針や、その他の資産(ETFなど)の取り扱い方針が明らかになり、国内景気、個人消費、設備投資、賃金、物価(消費者物価指数)などの最新状況について、日銀がどう評価しているかが提示されます。
■日本銀行「金融市場調節方針に関する公表文 2026年」■
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/state_2026/
4)中小企業景況調査報告書
中小企業庁および中小企業基盤整備機構が四半期ごとに実施している、全国の中小企業の「生の業況感」を把握するための基幹的な意識調査です。各項目(売上高、採算、資金繰りなど)について「好転(増加)」と答えた割合から「悪化(減少)」と答えた割合を引いたDI(Diffusion Index:業況判断指数)で数値化されます。
■中小企業庁「中小企業景況調査報告書」■
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/keikyo/
■中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」■
https://www.smrj.go.jp/research_case/survey/
4 話題のタネ
訪問時の雑談のきっかけに。9月ならではのトピックを集めました。
1)「防災の日」――関東大震災だけではない「9月1日」である理由
毎年9月1日は「防災の日」。1960年、政府が9月1日を「防災の日」と定めた背景の1つには、1923年9月1日に発生し、死者・行方不明者10万5000人以上といわれる「関東大震災」の記憶と教訓を継承し、都市防災や避難意識を後世に伝えるということがあります。
実は、この関東大震災以外にも「防災の日」が9月1日になった理由があります。古くから大風(台風)が急襲する時期とされてきた「二百十日(にひゃくとおか)」です。立春から210日目は毎年9月1日ころにあたり、制定前年の1959年9月にも「伊勢湾台風」により死者・行方不明者5000人以上の甚大な被害が出たことが「防災の日」制定の大きなきっかけとなりました。
大震災の悲劇を忘れない「歴史的な理由」と、毎年訪れる台風への警戒を高める「季節的な理由」の双方が合致しているため、関東大震災から100年以上の時を経ても9月1日が防災の節目として機能し続けているのです。
■東京消防庁「防災の日と二百十日」■
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/elib/qa/qa_59.html
2)「中秋の名月」は必ずしも満月ではない
「中秋の名月」は旧暦8月15日の夜に見える月のことで、2026年は9月25日です。実は、「中秋の名月」は、「満月(太陽・地球・月が一直線に並ぶ瞬間)」とは必ずしも一致しません。
これは、新月から満月になるまでの日数が一定ではないためです。月の公転軌道は楕円形をしているため、地球に近い場所ではスピードが速く、遠い場所では遅くなります。その結果、新月から満月になるまでに約13.9日~15.6日と幅が生じます。旧暦では新月の日を「1日」と数えるため、15日目の夜である「名月」は、実際の満月より1~2日手前であるケースもしばしばです。2026年は9月27日が満月となり、名月と満月の日付が2日ずれています。
■国立天文台「中秋の名月(2026年9月)」■
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2026/09-topics03.html
以上(2026年8月作成)
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画像:日本情報マート














