1 熱中症対策は「予防」が肝心!
最近はテレワークをする企業が減少し、出社機会が増えています。直接コミュニケーションを取ることができる環境は喜ばしいものの、真夏のオフィスでは個人に合わせて細かな室温調整をすることが難しいことから、熱中症のリスクが高まるのも事実です。また、今年も猛暑になる可能性が高く、営業や屋外での作業などに従事する従業員は、常に熱中症のリスクと隣り合わせの状況にあります。
この記事では、職場で使用できる熱中症対策グッズについて、最新の動向を交えて紹介します。具体的な分類は次の通りです。

熱中症対策グッズは、水分や塩分を補給するもの、冷感を与えるものなどさまざまです。企業で支給したり、あるいは購入費用を補助したりして、熱中症になりにくい環境整備を進めることが大切です。
2 水分や塩分を補給するグッズ
熱中症対策の基本は、こまめな水分補給です。ただし、大量に汗をかいたときは体内の塩分やミネラルも失われるため、水分と併せて塩分の補給も必要です。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。
1)目盛り付きのタンブラー・ウォーターボトル
一般的に、夏場の水分の摂取目安は1.2リットル/1日程度とされていますが、仕事中に自分で摂った水分を細かく把握しているケースは多くありません。
最近は自分がどれくらい水分を摂っているのか一目でわかる、目盛り付きのタンブラーやウォーターボトルなどが販売されています。容量は1リットル以上のものが多いので、
デスクの上に置くようにすれば、あまり水分を摂っていなさそうな従業員に水分補給を促すこともできる
でしょう。
2)塩分を含む食品
汗をかく状況で水分を補給する際には、一緒に塩分も補給するように呼びかけましょう。水分だけを摂取すると体内のミネラルのバランスが崩れるため、熱中症になる恐れがあります。
例えば、塩分は、塩あめ、塩分タブレット、梅干しなどで補給できます。また、スポーツドリンクは水分と塩分を同時に補給できる点で有効です。しかし、糖分が多量に含まれているケースもあるので、飲み過ぎには注意が必要です。最近は糖分が控えめなものも販売されています。
なお、スポーツドリンクは熱中症予防には効果がありますが、実際に脱水症状(初期)が出た場合には、水分や塩分を効率よく体内に吸収させる「経口補水液」を摂取することが推奨されています。
この他、厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」では、休憩場所にアイススラリー(流動性の氷状飲料)を用意することも推奨されています。暑さの厳しい環境で長時間作業に従事する従業員がいる場合は、導入を検討してみましょう。
3 風を送るグッズ
風通しが悪い場所では汗が蒸発しにくく、体温の調節につながらない発汗が増えて脱水状態に陥りやすくなります。そこで、空調設備の整っていない場所で従業員が作業するときには、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。
1)空調服
腰や脇に小型のファンが付いた服です。長袖のジャケットから袖のないベストまで、さまざまな製品があります。専用のウエア、ファン、バッテリーをそろえる必要がありますが、空調服を着ることで、エアコンの使えない場所でも涼しく過ごせます。
空調服の中に着るインナーは、できるだけ吸汗性、透湿性、速乾性の高いものを選ぶことを心がけましょう。綿などの汗が乾きにくい素材のインナーを着ていると、体が冷えすぎてしまい、逆に体調が悪くなる場合もあるので注意しましょう。
2)扇風機
首に掛けたり、手に持ち歩いたりして使える小型の扇風機は、通勤中やオフィスでの細かな体感温度の調整方法として主流になってきました。最近では、ファンの中心部や持ち手に冷却プレートを配置し、冷たい風を送ったり、肌を直接冷やしたりできる製品もあります。
ただし、
気温が高く乾燥した環境で扇風機を使うと、汗が体から熱を奪う前に乾いてしまい、体温が上がり続ける恐れがある
ことには注意しましょう。そのため、扇風機を使用する際は、水を霧状に噴射するスプレー、濡れたタオルなどを併せて用意するようにしましょう。
4 冷感を与えるグッズ
首元、わきの下、足の付け根など、太い血管が体の表面近くを通るところを冷やすと、効率良く体温を下げることができ、熱中症の予防につながります。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。
1)ネッククーラー
首元を冷やし、体温の上昇を抑えるネッククーラーは熱中症対策にも役立ちます。中に保冷剤や冷却ジェルを入れて使うスカーフのようなタイプや、USB端子につないで動く電動のタイプなどさまざまなものがあるので、テレワークや通勤などのシーンに合わせて使いやすいものを選ぶとよいでしょう。
2)ミスト冷房
水を細かい霧状にして噴出する装置です。周辺を水で濡らすことなく身体を冷やすことができます。屋外や工場で使用する大型のものに限らず、USB端子につないでデスク周りで使える小型の製品もあります。
3)アイスパック(氷のう)
アイスパック(氷のう)は、休憩時などに額や首筋に当てて体のクールダウンを図ることができる他、熱中症の症状が出た従業員への緊急対処としても使用できます。最近は魔法瓶構造になっているアイスパックも発売されています。従来のものより長時間、冷たさを維持できるので、職場に多めに常備しておくと、いざというときに安心です。
4)手のひらの冷却用グッズ(冷却グローブ・手のひら用保冷剤)
手のひらのAVA血管(体温調節に関わる血管)を効率的に冷やすグローブ型デバイスや、手のひら用の保冷剤もあります。手のひらを冷やすと深部体温の上昇を抑制できるので、新たな熱中症対策として有効です。
5 危険時に警告して知らせるグッズ
熱中症の初期症状は目まいやふらつきなど、「単に疲れているだけ」と誤解しやすいものが多く、対処が遅れてしまうことがあります。管理者がこまめに従業員の体調をチェックすることが一番ですが、見た目に表れなかったり、業務が忙しかったりするときには、従業員の体調不良に気が付けないケースもあるでしょう。
そこで、熱中症の危険が高まったことを、客観的に把握できる状況をつくり出すことが大切です。次のようなグッズを用意しておくと、熱中症が重症化する前に対処できます。
1)ウエアラブル端末
ウエアラブル端末は、リストバンドや腕時計などの機器を体に取り付けて脈拍を測り、熱中症の危険がある場合にアラームやバイブレーションなどで通知することが可能です。利用者本人だけでなく、管理者側(社内の健康管理の担当者など)で異常を検知できる製品もあるため、異常を確認した管理者が利用者と連絡を取れば、重症化する前に健康への影響を防ぐことができます。
2)温湿度計・センサー
カバンなどに取り付けたり、屋内に据え置いたりして使用します。屋外で使用する場合、熱中症の危険性はWBGT値(暑さ指数。気温と湿度に加えて、日射や地面からの照り返しによる熱を含めた数値)で測ることができますので、リスクの高い環境を早めに察知し、対策を打つことができます。
3)スマートフォンアプリ
その日の気温、湿度、気象条件などを基に熱中症の危険を通知します。アプリによっては時間単位や地域を指定して熱中症の危険を確認でき、また無料で提供されているものもあります。
始業前や休憩ごとなどにチェックし、その日のリスクに合わせた熱中症対策を講じるとよいでしょう。
以上(2026年6月更新)
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画像:日本情報マート





























