【管理会計】売上が増えているのに、利益が増えないのはなぜ?

書いてあること

  • 主な読者:感覚だけでなく、定量的な基準や根拠を持ってビジネスの判断をしたい人
  • 課題:売上ほど利益が伸びておらず、その原因をしっかりと把握したい
  • 解決策:管理会計用の損益計算書を作成し、コスト構造を把握する

1 質問:なぜ、売上ほど利益が伸びないのか?

売上ほど利益が伸びない、あるいはその逆で予想以上に利益が伸びているなんてことがあります。感覚と実際の利益が違うのは、自社のコスト体質(売上と変動費・固定費との連動状況)に起因するので、その要因を分析しなければなりません。

しかし、いつもの損益計算書を見ても、その要因が分からないことはありませんか?

次の2つの損益計算書を見比べてみてください。いずれも同じ会社の損益計算書ですが、左側は財務会計、右側は管理会計のものです。売上と営業利益は同じですが、費用の項目が違っています。早速、それぞれの違いや分析ポイントなどを見ていきましょう。

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2 ポイントは「限界利益」と「営業利益」

管理会計用の損益計算書では、費用を売上高に連動する「変動費」と、売上高に連動しない「固定費」に分けています。そして、以下の2つの利益を示しています。

  • 限界利益:売上高に連動する利益で、「売上高-変動費」で計算
  • 営業利益:限界利益から固定費を差し引いた利益

限界利益を導く変動費は売上高に連動するものなので、「額」ではなく「率」で把握するのがポイントです。次の計算式を覚えておくと便利です。

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売上高と変動費(率)、限界利益の関係がシンプルになったところで押さえておきたいのが、

限界利益を高くするには、変動費率を下げること

という、ごく当たり前のことです。

次に営業利益です。営業利益が出るかどうかは、限界利益が固定費を回収できているかどうかにかかってきます。また、

営業利益を高くするためには、固定費を下げること

という、こちらもごく当たり前のことが必要です。

売上ほど利益が伸びていないと感じたら、管理会計用の損益計算書を作成し、限界利益と営業利益を確認します。そうすることで、

  • 限界利益が少ない商品の売れ行きが伸びたことで売上が増えた
  • 労務費や減価償却費などの固定費がかかりすぎている

など、財務会計用の損益計算書からは分からない要因が浮かび上がってきます。

以上(2022年4月)
(執筆 管理会計ラボ株式会社 取締役・公認会計士 福原俊)

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画像:apinan-Adobe Stock

【朝礼】憧れは大切。しかし、最後は「自分」だ

皆さんには、仕事に関して「あの人のようになりたい」「あの人には負けたくない」といった憧れやライバル視する対象はいますか? もしかしたら、社会人になったばかりのとき、こうしたベンチマークとなる人を早く見つけるよう上司などから指導されてきたかもしれません。

考え方はそれぞれですが、私には今、ベンチマークになる人はいません。むしろ、そうした人をつくらず、あくまでも「自分は自分だ」と考えています。誰かを手本にして追いかけたりすると、知らず知らずのうちにその人のまねをしたり振り回されたりするようになり、自分自身の意思や考えが薄くなっていく気がするからです。

私は、経営者という今の立場になってすぐの頃、他の経営者がどのような考えを持ち、行動しているのかを知るために、著名な経営者の書籍を何冊も読み、講演も聴きました。実際にさまざまな業種の経営者に会いに行き、直接お話を聞いたことも数えきれないほどあります。

他の経営者の考えや生きざまはとても勉強になりましたし、「あの人のようになりたい」「あの人には負けたくない」という憧れの人やライバルもでき、その背中を懸命に追いかけた時期もあります。しかし、ふと、「ベンチマークを追いかけることが私自身の意思といえるのだろうか」「自分で必死に考え抜いているだろうか」と疑問を覚えました。私にとっては、ベンチマークをつくるのは、ある意味、「楽な道」だったのです。

臨済宗の僧侶、山田無文(やまだむもん)老師は、「何ものにもとらわれるな。全てのものを断ち切り、己の肚(はら)の中から出てきた言葉に従って生きよ」という教えを説いたといいます。

己の肚の中から「こうしたい」という意思や言葉が出てくるまで己と向き合うのは、苦しく険しい道かもしれません。何もよりどころにせず、自分だけで考えなければならないからです。自分の意思が正しいのかどうか迷いもするでしょう。失敗するかもしれない、それどころか、何が起こるか分かりません。

それでも、ひたすら己と向き合い、必死に考え抜いて実行すれば、その先に大きな喜びと成長があります。皆さんには、その喜びと成長を体感してほしいのです。「どうしたらよいですか?」と皆さんから聞かれたとき、私が「あなたはどうしたいの?」と聞き返すのはそのためです。

ただし、皆さんと私は立場や権限が違います。今日からすぐに、私と同じように何事も自分の意思で決めて実行するのは難しいかもしれません。

そこで、皆さんに提案です。一つ一つの仕事に取り組むとき、「本当に自分はこれでよいと思うか」「自分は本当はどうしたいか」を考えてみてください。前例や役職にとらわれたり、誰かに遠慮したりせず、自分の力で考えることが大切です。

皆さんにベンチマークは必要ありません。ベンチマークがなくても、一人ひとりが、自分で考え実行できる力を秘めているはずです。

以上(2022年5月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】時には競合他社の商品をお薦めしてもいい

けさは、私の知人から聞いた、お子さんを歯科医院に連れて行ったときの話から始めます。

知人のお子さんは小学校低学年で、歯並びを治したくて歯科医院に相談に行きました。そこは、通常の治療法と異なる独自の治療を行う歯科医院でした。知人によると、歯科医院に入るなり、お子さんの口内を診察しないまま、歯科衛生士が治療法についての説明を始めました。しかも、歯並び以外も含めた歯科矯正全般の治療法についてのマニュアルを読み上げ、その治療法で治った人の口内の写真を繰り返し見せられたそうです。

さらに、その治療法には、毎日のトレーニングに加え、夜寝ている間も口内に治療器具を着け続ける必要があるのに、その説明はほとんどなく、最後は「今、治療を受けないと、値上がりするかもしれません」と念押しされたとのことでした。

その後、知人はやっと会うことのできた歯科医師に、その治療法の「成功率」を聞いてみたところ、「それは分かりません。きちんと毎日宿題ができる子供であれば成功率は高いです」と言われました。通常の治療法との治療期間や成功率の違いを聞いてみても、「自分たちがやっていない治療法のことは分かりません」という返答。

揚げ句の果てに、知人のお子さんの口内を診察した途端、その歯科医師は「この子の歯の状態では、まだ治療ができません」と伝えてきたといいます。これには知人もあきれ返り、二度とその歯科医院に行かないと心に決めたそうです。

知人が感じたのは、「この歯科医院は子供の歯並びを治したいのではなく、独自の治療法を売りつけたいだけだ」ということでした。

これは、他山の石とすべき話です。我が社でも新商品のキャンペーンをやっていますが、もし、お客さまに新商品を販売すればそれでいいと考えている人がいるとしたら、それは間違いです。会社の方針を守るのと、お客さまが求めているものを提供するのは全く別の話です。仮に我が社が推す新商品と、お客さまの悩みを解決する従来の商品の、どちらを提案するかと問われたら、私は迷わず従来の商品を提案します。

場合によっては、競合他社の商品だってお薦めしていいのです。お客さまのニーズに合う商品を提供できていない私たちの努力不足こそ問題視し、商品を改善していくのが、本来のあるべき姿だと思うからです。それに、今はさまざまな情報が容易に入手できる時代。仮に競合他社より劣った商品を一時的に販売することができても、後でお客さまが競合他社の商品のことを知れば、もう二度と我が社の商品は使ってくれないでしょう。

大切なのは、「商品を売る」ことではなく、「お客さまの信頼を得る」ことです。そのためには、何がお客さまのためになるのかを常に考えることが重要です。そうした積み重ねによってお客さまからの信頼を得られれば、次回は必ず、我が社が自信を持ってお薦めする商品を購入していただけるはずです。

以上(2022年5月)

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画像:Mariko Mitsuda

経常利益率7%、自己資本比率50%が普通になる!/「人を大切にする経営」で業績アップ(1)

書いてあること

  • 主な読者:業績は上がらないし、社員は生き生きと働いていない。会社の経営指針を根本的に見直したいと考えている経営者
  • 課題:社員の幸福や会社の社会的意義も大事だが、業績が悪ければそれどころではない
  • 解決策:会社に関係する全ての人の幸福を最優先する「人を大切にする経営」を実践することで、業績の改善にもつなげる

1 今、「人を大切にする経営」が時代の潮流に!

  • 弊社への新規受注が殺到していますが、対応しきれないので、全て断っています
  • 大手さんより安心、安全とおっしゃっていただき、お客さまからのご依頼が以前より増えました
  • コロナであっても売上高110%アップは確実です

これらは、全て新型コロナの影響下において、「人を大切にする経営」を実践する中小企業の生の声です。人を大切にする経営とは、

人を経営の軸に据えた経営

のことであり、

業績や効果・効率を追求し、競合企業との勝ち負けを争う経営ではなく、その組織に関係する全ての人々の幸せこそを、最優先・最重視する理念を体系化した経営

です。

ここ最近、多くの新聞、雑誌において、「自社の存在意義は何か」「パーパスをつくろう」「経営理念はどうあるべきか」といった、企業経営の在り方を問うキーワードがにぎわうようになりました。政府も新しい資本主義への取り組みの中で過度な株主資本主義の修正を打ち出し、働く社員の賃金上昇を含めた人的資本経営に大きくかじを切るような施策を次々に打ち出しています。こうした中、人を大切にする経営は、さまざまな関係機関や業界の経営者から注目を集めるようになっています。

この連載では6回にわたり、今、時代の潮流になりつつある「人を大切にする経営」について、具体的な取り組みや事例などを交えながら分かりやすく解説していきます。

2 人を大切にする経営の驚異の実力

1)人を大切にする経営にかじを切って業績が上向く

人を大切にする経営は、『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズの著者、「人を大切にする経営学会」会長の坂本光司先生が提唱された経営の在り方について、時代を超えた普遍の法則をまとめた経営体系です。

有志による草の根活動で設立された人を大切にする経営学会は、日本の著名な経営者や経営学者、実務家が数多く参画して中小企業経営について真面目に議論する、他に類例のない経営学会となっています。

学会の活動によって、人を大切にする経営と業績相関は、すでに多くの会社の取り組みで証明されています。人を大切にする経営を実践している会社は、

経常利益率は7~10%を継続的に維持している

自己資本比率についても50%以上が普通であり、中には80%以上の会社も多い

1人当たりの付加価値額で業界平均を大きく上回っている会社がほとんど

です。

どの会社も最初から業績が高かったかというと、そうではありません。何らかの要因で人を大切にする経営の必要性に気が付き、それまでの経営の在り方を変えることで、長期的な発展、つまり安定的に好業績を上げる会社に変化していったのです。

2)人を大切にする経営で復活した岡山のソフトウエア会社

例えば、岡山県にあるソフトウエア会社は、リーマンショックの折に、大口取引先から業績不振を理由に取引停止を言い渡されました。その結果、500人の社員をリストラせざるを得なくなりました。経営者は心底疲れ果て、いつ辞めようかと考えていたときに「人を大切にする経営」に出合いました。

そして、それを実践している会社を訪問し経営者を知る中で、「自分も必ずや過度な価格競争やリストラで人を不幸にする経営ではなく、人を大切にする経営を実践しよう」と、経営のかじを切りました。経営理念を「社員の幸福実現」と定め、人事制度、給与制度、権限制度を一新するとともに、自社のコア領域における技術を確立。取引先の分散化や下請け仕事の排除を行いました。

その結果、今では地域を代表する会社に復活し、リストラを余儀なくされたかつての状況が嘘のように発展しています。

このような事例は、全国各地、業種業態に関係なく、至る所で存在します。「48年間増収増益」「上場企業より平均賃金が高い」「高い業績を維持しながら、休みが上場企業より多い会社」など、人を大切にする経営を実践していけば不可能ではありません。

3 人を大切にする経営の定義は、「五方良し経営」

通常、経営学では3つの要素として「人、もの、金」といわれてきました。しかし、人を大切にする経営では、ものや金は人を活かすための手段にすぎません。経営における目的を、以下の5人を幸せにする諸活動だと定義付け、「五方良し経営」と呼んでいます。

  • 社員とその家族
  • 社外社員とその家族
  • 現在顧客と未来顧客
  • 地域住民、とりわけ障がい者や高齢者など社会的弱者
  • 出資者、並びに関係機関(支援機関や金融機関など)

初めて知った方は、「え、顧客が3番目ですか」と驚かれることもあります。顧客第一主義という経営方針を掲げている会社が、中小企業においては多く見られます。しかし、この考え方は、経営の側面から見ると時代遅れになってしまっています。全国各地の成長している会社を訪問すると、その理念や在り方には共通点があります。その共通点とは、社員や取引先、そして業界や地域社会についての文言が、顧客とともに必ず入っているということです。

なぜなら、顧客を満足させるにはまず、社員がその会社に満足して働いていることが条件になりつつあるからです。会社に不平、不満を抱いている社員が、本質的に顧客により良い商品提供、サービス提供をすることができるでしょうか。答えはノーでしょう。

会社の業績を高めたければ、顧客にとってより良い商品やサービスを提供するのが当たり前になります。しかし、外部環境変化が激しい今日、顧客の支持を受け続けることは困難を伴います。それを克服する唯一の担い手が社員であり、さらに5人の支持、協力を得ることで、より強固な基盤の上に会社経営を行っていくことが可能になるのです。

4 人を大切にする経営で業績が向上する「成長サイクル」

「そうは言っても、それは理想論だよ」「人件費や外注費などのコストが上がるような、効率や利益を最重視しない経営では会社が潰れてしまうのでは」という方も多くいらっしゃいます。

会社の業績向上のためには、何から始めればよいでしょう。次の図表は、会社が長期間にわたって発展する成長サイクルを示しています。

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まず、取り組みの第一として、何よりもモチベーションの高い社員をつくることが必要です。そのためには当然、待遇改善や福利厚生の質の向上なども図っていくことが求められます。

さらにその過程で、業績向上のためには商品、サービス、品質の向上を常に図り、顧客を会社のファンにしていくことが必要となります。顧客づくりはファンづくりであり、その結果、会社の味方となり、口コミや、会社にとって耳の痛いアドバイスもしてくれるようになるのです。

そして、そのプロセスを通じて社員が成長し、新たな分野や領域への開発機能が強化されていきます。こうして、社員の幸福度や会社への信頼が増大することとなり、より高いレベルでの成長が期待できるようになります。いうなれば、業績の向上は、あくまでもこれらの取り組みの結果なのです。

このサイクルを恒常的に回し続けることが、他社が追随できない好業績会社へと発展していくための王道なのです。

5 人を大切にする経営の実践会社の社員は子だくさん!

1)社員の子供の数が総平均1.9人

さらに、人を大切にする経営においては、自社の業績が高いだけではなく、さまざまな社会的課題も解決することが分かっています。今、日本において最大の問題は人口減少であり、特に少子化であるといえます。2021年の出生数は戦後最少の84万人(厚生労働省速報値)でした。このままでは、さらに現役世代の負担は増え、深刻な未来が訪れることは確実です。中小企業の経営においても、更なる人不足やお客さまの減少などの影響を及ぼすでしょう。

この課題に関して、人を大切にする経営学会主催の「人を大切にする経営大学院事業EMBAコース」が2018年に、「この会社はなぜ子供の数が多いのか」という調査を行いました。その結果、

人を大切にする経営を実践している会社の社員の子供の数は、そうでない会社と比較して多い

ことが分かってきました。この場合の「人を大切にする経営を実践している会社」とは、

  • 業績ではなく関係する人々を大切にする経営を行っている会社
  • 関係する人々が自分たちは大切にされていると実感している会社
  • モチベーションが高く、働きがいを実感している会社

を指します。

人を大切にする経営を実践している全国の51社にヒアリング調査を行ったところ、社員の子供の数の総平均は1.9人で、2.0人以上の会社が全体の3分の1を占めていました。2018年の日本人の合計特殊出生率が1.42人だったのと比べると、驚くべき結果です。

2)社員1人に平均2.33人の子供がいる沖縄の会社は、朝礼に子供が参加できる

この調査で最も子供の数が多かった沖縄県の会社は、社員1人当たりの平均が2.33人でした。この会社は、ある商品の地域におけるシェアが70%を占めており、創業以来、黒字かつ無借金の経営を続けています。

この会社は毎月、子供1人につき一定額の「子育て応援手当て」を支給しており、男性社員に対しても育休制度を奨励しています。社員からは、「先輩社員の多くが子供を持ち、家庭円満に過ごしている姿に憧れて入社しました」「この会社であれば安心して子育てができると思いました」という声が聞かれました。

また、この会社は毎朝、全社員による1時間に及ぶ朝礼からスタートします。朝礼では仕事での気付きや、家族との出来事などを共有しています。一般に朝礼というと、業務連絡や上長からの指示など仕事に関する情報共有が目的ですが、同社の朝礼はモチベーションを高めるために行います。さらに、朝礼には社員の子供も参加することができます。普段家庭では見ることのない、社会人として輝く親の横顔を見るという体験を、子供たちがしているのです。

3)人を大切にする経営が社会課題を解決する

これらの会社の実践例から分かることは、出生数の大幅な低下という問題は、保育所の不足や補助金・給付金といった行政の力というよりも、働いている会社の経営の在り方や取り組みで解決できるということです。これから日本社会は、人口減少を起因とする数多くの課題と向き合い、解決していかなければなりません。その担い手が、中小企業であり、すなわち人を大切にする経営の実践にあるといえるのではないでしょうか。

6 会社は何のためにあり、誰のものなのか?

日本の会社は「失われた30年」といわれる期間、効果・効率や株主利潤を追求する経営を、「グローバル競争」「改革」「再編」の名の下に展開してきました。しかし、その結果、経済の成長率は低いままで、賃金は上がらず、経営者と社員の距離が離れていき、モチベーションの低い社員を大量生産してしまいました。この原因は、経営の「やり方」のみを追求し、本来指針となるべき会社の「在り方」や「考え方」を置き去りにしてしまったからにほかなりません。

今、会社経営は過渡期にあります。ノーベル経済学者のミルトン・フリードマンが提唱した「企業経営の目的は株主利益の最大化」という、経営学における前提を変える時期に来ているのです。

本稿において最初に触れた「パーパス」や「経営理念」を制定、見直す会社が増えているのも、ここ30年に対する経営者の反省からではないでしょうか。会社は誰のものか、何のためにあるのか? 「会社は株主、出資者のもの」「経営者のもの」なのか、はたまた「社員のもの」なのか?

しかし、この見方自体が大きな間違いであり、経営がうまくいかない大きな要因の一つのように思えます。会社は誰のものでもなく、あえて言うのであれば、人を大切にする経営でいう5人、すなわち「社員、取引先、顧客、地域社会、そして会社に関わる全ての人々のもの」が正しい答えといえるでしょう。いうなれば「会社は社会的な公器」であり、「社会みんなのもの」なのです。

次回の第2回は、人を大切にする経営についての具体的な考え方を、より深く解説していきます。お楽しみにしてください。

以上(2022年4月)
(執筆 人を大切にする経営学会事務局次長 坂本洋介、水沼啓幸)

【著者紹介】
坂本洋介(さかもと ようすけ)

1977年静岡県生まれ。東京経済大学大学院経営学研究科修了。株式会社アタックス「強くて愛される会社研究所」所長、コンサルタント。人を大切にする経営学会事務局次長。著者画像1
主な著書に「社員にもお客様にも価値ある会社」(かんき出版)、「小さな巨人企業を創りあげた 社長の『気づき』と『決断』」(かんき出版)「実践:ポストコロナを生き抜く術!強い会社の人を大切にする経営」(PHP研究所)他、連載、執筆多数。

水沼啓幸(みずぬま ひろゆき)
1977年栃木県生まれ。法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科修了(MBA)。株式会社サクシード代表取締役。人を大切にする経営学会事務局次長。作新学院大学客員教授。中小企業診断士。地域特化型M&Aプラットフォーム「ツグナラ」運営。著者画像2
主な著書に「地域一番コンサルタントになる方法」(同文舘出版)、「キャリアを活かす!地域一番コンサルタントの成長戦略」(同文舘出版)、「実践:ポストコロナを生き抜く術!強い会社の人を大切にする経営」(PHP研究所)他、「近代セールス」等連載、執筆多数。

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画像:fizkes-Adobe Stock

【朝礼】あなたのTipsを語ってください

今日は皆さんに、「自分の仕事を語る」ことを考えてもらいたいと思います。捉え方は人それぞれでしょうが、聞いてください。

さて、皆さんはこの1週間で、仕事を通じてどのような新しい気付きがありましたか? 何を学びましたか? あるいは、同僚や仲間に「これ知っている?」「こう進めるといいよ」と、伝えたくなった仕事関連のコツなどは何かありましたか? もし気付きや学びは何もないという人がいたら、それは、極端に言えば「この1週間、私は自分の仕事で語ることが何もない。何もしていない」ということです。

仕事時間は平均して1週間に約40時間。気付きも学びも、語ることが何もない。そんなことがあるでしょうか。よく思い出してください。分かりやすいところで言えば、オンラインセミナーで新しい知識を得たり、商談で新しいビジネスについて話したりしたかもしれません。

新しい出会いはなくても、インターネットで調べたら労務管理の効率を上げるやり方が分かった、経理処理を進める中で、新しいアライアンス先との企画が動きそうな気配を感じたなど、皆さん一人ひとりに、「その前の1週間にはなかった新しい何か」がきっとあるはずです。

皆さんには、そうした「それまではなかった気付きや学び」を、ぜひ意識するようになってほしいと思います。なぜなら、単純ですが、「そうすれば仕事時間がもっと楽しくなるから」です。

私が改めてそう思うようになったきっかけは、先日参加したSDGsに関するオンラインセミナーでした。話し手がとても素晴らしく、まず視点がユニークで、かつ他では聞けない濃い内容が盛りだくさんでした。その上、参加者が「自分も実践できそう」と思える具体的なビジネス上のTips(ティップス)、つまり助言も与えてくれました。

私は感動すると同時に、「SDGsに仕事として取り組んでいて、毎日、自ら頭と手を動かしている人だからこそできる話だな」と感じました。そして、演技も多少入っていたかもしれませんが、「この人はSDGsに携わる自分の仕事が心底楽しいのだな」ということが、心に伝わってきたのです。

この話は皆さんにも当てはまると私は思っています。皆さんが日々「自ら頭と手を動かして」実践している仕事について、一番詳しく、臨場感を持って語れるのは、皆さん自身です。そこにはきっと、実際に試行錯誤している皆さんにしか語れないTipsがあるはずです。

想像してみてください。「これ知っている?」と同僚や仲間、もしくは家族、あるいはクライアントなど社外の人に語っている自分の姿を。そうした気付きや学びがある中で、日々、仕事に向き合っていれば、皆さん一人ひとりの仕事時間はもっと楽しいものになるでしょう。ワクワクする、やりがいのある毎日を送れるかどうかは、皆さんの「心持ち」次第です。さあ、今日も何かTipsを発見していきましょう!

以上(2022年4月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】皆さん、当社の「不満足」を挙げてください

もうすぐゴールデンウイークがやってきます。今日はそれにちなみ、皆さんが休暇中に利用するかもしれない飛行機にまつわる話をしましょう。

皆さんは、米国の航空会社が行った「母の日のサプライズ」を聞いたことがあるでしょうか。これは、飛行機の中で子供が泣いた人数によって、搭乗していた人が、次回以降の航空券を割引してもらえるというサービスです。子供が1人泣けば25%オフ、2人で50%オフ、4人になれば100%オフ、つまり無料になるため、周囲の人は「子供が泣けば泣くほど」喜びます。子供連れの母親が、この日ばかりは周囲の目を気にすることなく飛行機を利用できるようにするための企画でした。

母親の「子供が泣いて周囲から白い目で見られるかもしれない」という「不安」と、搭乗している人の「飛行機の中で子供が泣きわめくのが嫌だ」という「不快」の両方を解消しようとしているのが、この企画のポイントといえるでしょう。皆の満足を実現できる素晴らしい企画です。

このように、「不安」「不快」「不便」「不満」「不足」などを解消するという視点に立って、商品やサービスを考える「不のマーケティング」は、以前からさまざまなところで実践されています。

私は、当社にも、この「不のマーケティング」の考え方を取り入れようと思っています。ただし、皆さんに考えてもらいたいのは、商品やサービスについてではありません。もっと根本的な、「当社で働くことについて」です。

皆さんには、まず、日ごろ、当社で働くことについて感じる「不」を挙げてもらいたいのです。内容はどのようなものでもかまいません。

例えば、「外出が多いのに外からメールが確認できない」という「不便」を感じている人もいるでしょう。「飲食店が周りにあまりなくてランチに困る」といった「不足」を挙げてもいいのです。もっと言えば、「仕事の割り振りが偏っていて休みたいときに休めない!」「上司(部下)と話す機会が少なくて何を考えているか分からない!」という「不満」があるかもしれません。

当社は今、大きく変わろうとしています。新しいビジネスを創造すると同時に、一人ひとりの働き方を根本から見直す「働き方改革」にも本格的にチャレンジしています。さまざまな部門で世代交代も進めています。いわば、「第二創業期」を迎えているといってもいいでしょう。

私は、皆さんに、「不」のことを挙げてもらうことで、「皆さん自身が働きたいと思う会社」を新しく創っていきたいのです。挙げてもらった内容は、一つ一つ解消すべきかどうか皆さんで議論していきましょう。中には、最終的に私が判断すべきことも出てくるかもしれませんが、それは最終手段として、できるだけ皆さんで話し合って決めていくことが大切です。

皆さんの会社は、皆さんが創るものです。働いていることが誇らしく、胸を張って自慢できる会社を、一緒に創っていきましょう!

以上(2022年4月)

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画像:Mariko Mitsuda

家事代行の枠を超えた「おせっかい」で「ほっこり」な【東京かあさん】。だから「家事代行」は、社内ではNGワード。“人が何歳になっても活躍できる場をつくりたい”おばあちゃん子の思いが、新しい文化を生む!/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、小日向えりさん(株式会社ぴんぴんころりの代表取締役)です。

小日向(こひなた)さんが語ってくださったのは「第2のおかあさんを持つ」という、一般的な家事代行の先を行く新しい文化。人と人とが出会い、ちょっとした「おせっかい」が「ほっこり」した気持ちを育む……。今だからこそ、こうした人のつながりがますます大事になっていると感じます。小日向さんがやっておられる【東京かあさん】は、利用者にだけやさしいのではありません。もともとは、「高齢になっても、人が働き活躍できる場をつくりたい」という思いから始めているものです。働き手と利用者の両方を「ほっこり」させる小日向さんのサービスと思いをご紹介します。

1 「小日向さん」と「東京かあさん」と「スタバ理論(仮)」

1)小日向さんの実現したい社会、そして小日向さんはどのような方か?

「株式会社ぴんぴんころり」。2017年7月創業のこの会社名にも、小日向さんの思いがたくさん込められています。「高齢者が寝たきりや病気にならず、人生の幕引き直前までぴんぴん元気でいること」、つまり、一人でも多くの人が生涯現役でいる社会をつくる。これが小日向さんの掲げるビジョンです。

株式会社ぴんぴんころりのビジョンの画像です

(出所:小日向さんからいただいた資料より抜粋)

2020年から、この株式会社ぴんぴんころりの経営一本に絞っている小日向さん、奈良県のご出身で横浜国立大学卒。以前は歴史アイドルでした(2022年現在は、すでに引退されています)。15歳のころから芸能活動をされていて、歴史好きが高じて「歴史アイドル・歴ドル」として書籍を発表したり、テレビやラジオなどでご活躍されていました。

一方で、インターネット大好き、かつご親族に有名な起業家さんやご自身の起業家精神も以前からかなりお持ちだった小日向さん。2012年には一社目の会社を立ち上げ、歴ドルと起業家を両立。行動力があり、地道に努力される頑張り屋さんな面もある、そしてとても素直で「世の中を良くしたい」という純粋な心持ち。加えて大のおばあちゃん子!(これが「ぴんぴんころり」の創業につながっています。詳細後述)これからますます成長が期待される起業家の方です。

小日向さんの経歴を示した画像です

(出所:小日向さんからいただいた資料より抜粋)

2)【東京かあさん】=「第2のおかあさん」とはどういうことか?

株式会社ぴんぴんころりのメーンサービス【東京かあさん】は、その名の通り、

「東京での『第2のおかあさん』を持つ」

がコンセプト。特に実家から離れて暮らしている人は、すぐにピンとくるネーミングではないでしょうか。よく、大家さんとか近所の定食屋のおかみさんとかが一人暮らしの学生さんに、「私のことを東京のおかあさんと思って、困ったことはなんでも相談してね!」と言うアレです。言ってもらったほうはとても心強いですし、何より嬉しくてグッときます。

【東京かあさん】は、家事代行やベビーシッターの枠を超えて、家事や育児のサポートをお願いしたり相談したりできるサブスク型のサービスです(月額平均は3万円くらい)。「おかあさんにちょっとヘルプをお願いする」「おかあさんが、ちょっとしたおせっかいでやってくれる」イメージのもので、小日向さんの言葉を借りれば【第2のおかあさんを持つという体験を提供している】サービス。難しいことはいっさい考える必要がありません。例えば、利用者は、LINEで「第2のおかあさん」に「いま仕事終わりました。保育園のお迎えと夕ご飯の準備をお願いします🙏」などを送ると、第2のおかあさんがやって来てくれて(事前のお顔合わせなどがあります)、家事や育児をサポートしてくれます。実に素晴らしいサービスです!

まさに「おかあさんヘルプ!」とお願いできるサービス。スマホ一つでやり取りできるこの簡単さ手軽さも、利用者と働き手(おかあさん)の両方にやさしいところ。「1分でわかる東京かあさん」動画はこちらです(出所:東京かあさんウェブサイトより)。

サブスクリプションの料金を示した画像です

(出所:小日向さんからいただいた資料より抜粋)

3)スタバ理論(仮)を家事代行にも当てはめてみる

とはいえ、小日向さんは、一般的な家事代行やベビーシッターを否定するわけではまったくありません。「大事なのはすみ分け、利用する人がサービス(家事代行など)に『何を期待するか』だと思うんです」と小日向さん。例として挙げてくださったのは「人はコーヒーを飲みに行くとき、どこを選ぶか」という話でした。とても分かりやすかったので、小日向さん流「家事代行に当てはめるスタバ理論(仮)」として、こちらにご紹介します。

「スタバに行きたい人はスタバに行くし、ドトールに行きたい人はドトールに行く。スタバを選ぶ人は店員さんとの交流などホスピタリティを期待しているのかもしれないですし、ドトールに行きたい人はドトールのコーヒーの香りや味に期待しているのかもしれません。そして、昭和の喫茶店の雰囲気が好きな人は、それを期待して昭和の喫茶店に行く。家事代行などのサービスも同じだと思います」

「例えば、とにかく家事をアウトソーシングしたいという方は、一般的な家事代行のサービスを活用するのがいいかもしれません。それだけではなく、『ほっこりしたぬくもり』を感じたい人、おかあさん世代の方々と交流したい人、知恵袋的に家事や子育ての色々を教えてほしい人とかには、【東京かあさん】で『第2のおかあさんを持つ』が合っているのではないかと思います」

『第2のおかあさんを持つ』のイメージ画像です

東京かあさんのサービス内容を示した画像です

(出所:小日向さんからいただいた資料、「東京かあさんウェブサイト」より抜粋)

2 創業のきっかけは、小日向さんご自身のおばあさん

高齢者支援をメーン事業と心に決めてブレない小日向さん。「高齢の方がいつまでも元気で働ける場、そういう社会をつくりたい」と語ります。きっかけとなったのは小日向さんご自身のおばあさんのことでした。

「もともと私はおばあちゃん子で、愛情をたっぷり注いでもらっています。祖母は30〜40代のころから何かしらのお仕事をしていて、そこからずっと働き者でした。70代になっても色々とお仕事をしていましたが80歳くらいになるとついにお仕事がなくなってしまいました。その後は家でずっとテレビを見ているという感じで、元気がなくなってしまったのです。心配していた矢先に怪我で入院してしまいました。そのころに、ハッと、『やはりお仕事をしていたことが、祖母の元気の源だったのではないか』と直感的に思ったのです」

こう語る小日向さん。おばあさんのことをきっかけに、高齢の方でもずっと元気でいられる何かをできないかと思っていた小日向さんは、あるベンチャー系イベントで、高齢者の知見を活かした就業支援の事例に出逢います。そして自分でも「高齢者の就業支援」をしたいと考えるようになり、シルバー人材センターのことを調べるなどしてその思いがどんどん膨らみ、ついには株式会社ぴんぴんころりの創業に至りました。やはり、ご自身が実感したおばあさんへの思いがあるので事業へのコミットの仕方が半端なく強い小日向さん。何より、「高齢になった方でもずっと元気でいられる何かをしたい」という考えを、考えるだけで終わらせず具体的に形にして会社を立ち上げ、そして今は会社で仲間も雇用している。この底力、根性、行動力、実現力。並々ならぬ内に秘めたパワーを感じます。

小日向さんが【東京かあさん】のサービスを具現化した裏側には、小日向さんご自身が「第2のおかあさん」に「おせっかい」をしてもらっているという話もあります。つまり、創業者自らが自分のサービスのユーザーでありファンでもある、実に理想的な形です。つい最近も掃除や洗濯をしてもらい、その後一緒にご飯を食べて映画を見に行ったそうです。本当に文字通り、「第2のおかあさん」ですね! なにしろ、小日向さんが引っ越しされるときも、「頼んでいないのに」第2のおかあさんが手伝いに来てくれて、荷解きしてくれたというのです。おかげで仮眠を取れたと感謝している小日向さん。この信頼関係、なかなかできることではないですね。【東京かあさん】の質の高さがうかがえるエピソードです。

3 こだわりの「言葉」と、第2のおかあさんやサービスを使ってみた方からの“声”

小日向さんご自身がユーザーでもある【東京かあさん】には、言葉の定義一つひとつにも、小日向さんのこだわり、意志が感じられます。例えば、働き手(ワーカー)のことは「おかあさん」。一方、利用者(ユーザー)のことは「お子さん」。「おかあさん」や「お子さん」という呼び方については、「【東京かあさん】のファミリーの一員として親しみを込めて、そのように呼ばせていただいている」と小日向さん。その他も併せてまとめると、下記などがあります。小日向さんの実現したい世界観がよく分かります。

  • おかあさん:働き手(ワーカー)
  • お子さん:利用者(ユーザー)
  • ◯◯ママ:おかあさんの呼び方
  • お見合い:事前のお顔合わせ
  • 親コンシェルジェ:スタッフのこと
  • 親子契約:事前の30分のお見合いの後、“親子”がお互いに継続希望の場合の契約
  • NGワードもいくつか(下記)
    ×お世話になっております(家族では普通言わない)
    ×引き続きよろしくお願いいたします(家族では普通言わない)
    ×家事代行(家族のおせっかいなサポートなので、家事代行ではない)

こうした世界観で実現しているので、「おかあさん」や「お子さん」からの働いてみての感想、サービスを利用してみての感想も、一般的な家事代行の感想とかなり違っています。下記にいくつかご紹介します。先に、「お子さん(ユーザー)の声」を、その後に「おかあさん(ワーカー)の声」を掲載します。グッとくる“声”ばかり、特に「おかあさん」のほうは、「高齢になっても活躍できる場」が実現できていることが本当によく分かります。必見です!(出所:小日向さんからご提供いただいた皆さまの声より)

【お子さん(ユーザー)からの声】

  • 保育園、学童、習い事の迎えのみならず、お買い物や、お料理、掃除や片付けなど、その日にお願いしたい事についてお伝えすると、その時々の状況に合わせて臨機応変にお手伝いいただき、在宅勤務の大きな支えになりました。
  • 東京かあさんを知りコンセプトがいいなと思い、詳細なリクエストを出しておかあさんを探してもらいました。マッチングに時間はかかりましたが、素敵なおかあさんを紹介してもらえました。
  • 水回りの掃除を徹底的にしてもらうので、自分はさっと掃除するだけで汚れず気持ちよく生活できます。掃除が苦手だったので、ストレスも減りました。
  • 家の整理の仕方、料理の工夫、衣類の畳み方から、家具の配置など、生活についての諸々を教えてもらえて、大変助かっています。実家もあまり片付いている方ではなく、どのように整理して生活すべきかを習う場もなかなかないので、一緒に考えてもらえたり、実際に片付けてもらえるというのは本当に助かります。
  • 登録されているおかあさんが沢山いらっしゃるお陰で、急に継続出来なくなった場合でも穴をあけずに次のおかあさんに来て頂けたのがありがたかったです。東京かあさんが用意して下さる交換ノートなど、お互いの距離を縮めたり、心を通わせやすくする工夫が随所に散りばめられている所が、温かくて良いなと思います。
  • 2人子供がいるので、今は「おかあさん」不在の生活は想像できません。洗濯物きれいに畳んでいただいたり、お料理の下ごしらえをしていただいたり、いつも細かことをしていただきありがたいと思っています。コロナで大変な時期ですが、これかもお願いしたいと思っております。

【おかあさん(ワーカー)からの声】

  • 何気ないことですが、幼稚園への送迎途中、園内の様子を楽しげに話してくれることに、日々お子さんの成長を感じながら楽しくサポートしております。
  • ○○ちゃん、○○くん(利用者さまのお子さま)が走りながら、外までお迎えに来てくれてすごく嬉しかったです。帰りも、外までバイバイをしてくれて家族になれた気持ちになります。
  • ○○ちゃん(利用者さまのお子さま)の小学校がリモート授業になったため、1人でお家にお留守番でしたが、私が訪問することで少し安心して貰えたようです。○○ちゃん(利用者さまのお子さま)も以前よりお話ししてくれるようになりました!
  • 風呂、洗面所、トイレ、キッチンと水周りや床の掃除中に洗面所の鏡が気になると言うので、ガラス用洗剤を使って掃除をしました。残った時間で、衣類を畳み直して収納して、鞄の整理をした時に、一緒に断捨離をして、スッキリしたと喜ばれました。
  • キッチンを清掃中に、○○さん(利用者さま)は「外出の予定があるため昼食をとりますね!」とお座りになり、お父様のお話しなどをして下さり、楽しく作業をしました。お掃除が終わり少し時間があったので、おせっかいですまし汁を作り大変喜んで頂きました。
  • 今日は、○○ちゃん(利用者さまのお子さま)の受験の合否をお聞きする事と思い、どきどきしながらお伺いしましたが、玄関で待っていらした○○ちゃん(利用者さまのお子さま)の笑顔を見て合格が分かりました。万が一を考えて、お好きなブルーの小さなブーケはバッグに隠してお伺いしたのですが、心配無用でした。
    春から着られる制服の写真を見せていただいたり、発表の時のご様子をお聞きしたりして、ばあば気分を満喫させて頂きました。
  • 子供さんがお料理を食べてくれない悩みを抱えての訪問でしたが、運営の皆様から応援、励まし、アドバイスをいただき感謝です。そんな気持ちが伝わったのかどうかはわかりませんが、○○くん(利用者さまのお子さま)に「○○ママ大好き〜!」とハグされちゃいました。嬉しかったです。こんな感じなので、気を張りすぎず、少しだけ頑張ってみますね。

読んでいると、何かぬくもり、ほっこり。おせっかいが大事で、それがほっこりにつながっている。感動します。

4 【東京かあさん】、そして小日向さんの今後について

ぴんぴんころり、そして【東京かあさん】のサービスは現在、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県といった関東地方で提供していますが、今後は全国展開もしていきたいと小日向さん。登録している「おかあさん」も、もうすぐ600名になるそうで、順調に伸びてきているようです。全国どの地域でも、「近所に第2のおかあさんを持つ」が実現できるようになれば、さらにニーズも増えるかもしれません。例えば、新しい土地に引っ越したばかりで近所に知り合いもいなくて子育てもあって、心細い……という人向けなど。そう考えると、「おかあさん」をどうやって集めるかが、ますます重要になってきます。例えば、生命保険会社や銀行、信用金庫、地元の大手企業の卒業生などが「おかあさん候補」になるかもしれません。

実際に、小日向さんの思い、やっておられることに共感して「一緒に何かできれば」と声をかけてくれる金融機関や大手企業などもあるようです。小日向さんご自身も「高齢者の健康ケア&保険料を抑えるという面で保険会社さんと連携などできるかも」と目を輝かせています。これからが楽しみです。

「今後、家事代行市場は6000億円規模、保育サービス市場は3兆3500億円規模と推計されます。それに対して、家事・育児サービスの市場では働き手不足が問題となっています。そうした中、ぴんぴんころり、東京かあさんはこれから増えていく働きたいシニアのために作った会社、サービスですので、こうした働き手不足を解決していけると思っています」

と将来に向けて自信をのぞかせる小日向さん。実際に高齢の方のうち約80%が「70歳以上まで働きたい」と回答しているそうで、【東京かあさん】はその場づくりとして大きな可能性があると感じます。小日向さんの語る、次の言葉が、何か今後の日本の明るい未来を予感させてくれます。

「『東京かあさんが生きがいだ』と言ってくださるおかあさんたちがどんどん増えています。『こんな私でもお役に立っていると思うと幸せです。東京かあさんに出会えて幸せです』『お子さんの日々の成長に関われてとても幸せです』『だんだん娘・孫のような存在になってしまいました』『今日は母の日ですね。我が家の東京かあさんになってくださって、ありがとうというメッセージをもらった』など、おかあさん方には、日々やりがいを持ってやっていただけているかなと思っています」

最後に、小日向さんの実現されたいことを改めてお聞きしてみたところ、次のように語ってくださいました。

「東京かあさんは、まだまだやりたいことの一つにすぎません。(高齢の方が)働いて収入を得て、その先はその収入を使って新しいことを学んだりとか、あと仲間と趣味を楽しんだり、高齢の方がずっと元気でいられることはどんどん手がけていけたらいいなと思っています」

「高齢の方がずっと元気でいられることはどんどん手がける」。2019年に、小日向さんご自身のお母さんも参加してクラウドファンディングで開催された平均年齢70歳の「めいど喫茶 ぴんころ」も、その一環なのだと思い至ります。改めて小日向さんのコミット力、アイデア、そして具現化する実行力、何より暖かいお人柄に感嘆しきりです。応援しています! ありがとうございます。

東京かあさんのサービス内容を示した画像です

(出所:以前開催のイベント告知ページより抜粋)

  • 東京かあさんウェブサイトはこちら
  • 東京かあさん発オウンドメディア「ミソシル」はこちら

以上(2022年4作成)

【損金】税理士が解説。損金になる福利厚生費、ならない福利厚生費

書いてあること

  • 主な読者:決算対策の一環などとして、福利厚生費を損金にしたい経営者
  • 課題:社員等のために使っているのだから、全額、福利厚生費にならないの?
  • 解決策:「平等」と「社会通念上(常識的に)妥当」の2つの原則を押さえる

1 福利厚生費とは

福利厚生費とは、

社食の提供やワクチンの予防接種、勤続記念品の購入など、さまざまなシーンで発生する費用

です。

福利厚生費について税務上の明確な定義はありません。一般的には、労働環境の向上のために、役員、社員、パート・アルバイト(以下「社員等」)に対する手当などであり、給料や交際費に該当しないものを指します。こうした事情から、会社としては福利厚生の目的で行ったつもりでも、税務上は、給料や交際費と判断される場合があります。

福利厚生費が損金になるかどうかのポイントは、

  • 全ての社員等に「公平」であるもの
  • 「社会通念上(常識的に)」妥当な金額のもの

です。詳しく見ていきましょう。

2 損金になる福利厚生費の2つのポイント

1)全ての社員等に「公平」であるもの

税務上の福利厚生費は、

社員等全員を対象とするもので、「役員だけ」などのように特定の人物を対象とするものではいけない

ことになっています。

ただし、これは全員参加が必須ということではありません。例えば、社員旅行や会社のイベントの場合、ポイントは、全員が実際に参加することではなく、

全員に参加の機会が与えられていること(全員に参加の有無を確認していることなど)

です。

もし、

  • 特定の社員等が利益を受けている
  • 一般的にみて高額過ぎると判断される

などの場合は、給与所得とみなされ(以下「みなし給与」)ます。源泉所得税が課されますので、会社はその支出に対して源泉徴収を行わなければなりません。

また、特定の利益を受けているのが役員の場合は、みなし給与相当額が、法人税の計算上損金とならない「役員賞与」となり、その分会社の所得が増えてしまい、法人税の納付も追加で発生することになります。

福利厚生費が公平であるかどうかの判断は、社内規定に基づいて一律に社員等に支給するものであるかがポイントになるため、規程の内容を確認してみましょう。

2)「社会通念上(常識的に)」妥当な金額のもの

税務上の福利厚生費は、「社会通念上」妥当な金額の範囲内でなければなりません。ただ、税務上の明確な定義はなく、

一般的に通用している社会常識に照らして違和感がないこと

とされています。より具体的には、社会通念は会社規模や業種、過去の慣行などさまざまな視点から判断されるものであるため、一般的には、基本通達に判定の目安が示されています。ただし、あくまで目安であり、判断に迷うケースがあります。

社会通念上妥当かどうかについては、税務調査でもよく論点となります。実際に判断する際は、事前に税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

3 福利厚生費で迷いやすい実務Q&A

1)社員食堂や弁当委託は、福利厚生費で処理していいの?

社員食堂や弁当委託などを福利厚生費の一環として設置・実施している企業があります。これらの費用を、税務上、福利厚生費として処理するためには、次の2つの要件をどちらも満たす必要があります。

  • 社員等が食事の価額の半分以上を負担していること
  • 次の金額が1カ月当たり3500円(税抜き)以下であること

(食事の価額)-(社員等が負担している金額)

この要件を満たしていなければ、食事の価額から社員等の負担している金額を控除した残額が、みなし給与として給与課税されます。例えば、1カ月当たりの食事の価額が6000円で、社員等の負担している金額が1500円の場合、上記の条件を満たしません。従って、食事の価額(6000円)と社員等が負担している金額(1500円)との差額(4500円)が、みなし給与として給与課税の対象となります。

ここでいう食事の価額は、次の金額にて判定します。

  • 社員食堂で会社が作った食事を支給している場合は、食事の材料費や調味料などの食事を作るために直接かかった費用の合計額
  • 弁当委託の場合には、業者に支払う金額

なお、残業や宿日直をした社員等を対象に会社が支給する食事は、無料で支給した場合でも(上記の福利厚生費で処理するための2要件を満たさなくても)、給与課税されません。

2)お祝い金や香典などの慶弔費は、全て福利厚生費と判断していいの?

社員等やその親族の結婚・出産・入院などに際して、社内規程に基づいて支払われた慶弔費(結婚祝い、出産祝い、香典、病気見舞金など)で、かつ金額も社会通念上妥当なものについては、福利厚生費として損金になります。また、みなし給与として給与課税もされません。

一方、社内規程がなかったり、特定の社員等に対して高額な祝い金を支給したりした場合は、みなし給与として給与課税される恐れがあります。その特定の社員等が役員である場合は給与課税のみならず、みなし給与相当額が損金にならない「役員賞与」とされます。

なお、新型コロナウイルス感染症に関連して社員等へ支給する見舞金については、次の要件をすべて満たしていれば、福利厚生費として損金になります。また、みなし給与として給与課税もされません。

  • その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものであること
  • その見舞金の支給額が社会通念上相当であること
  • その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと

3)インフルエンザ予防接種や、新型コロナウイルス感染症のPCR検査費用は、福利厚生費で処理していいの?

インフルエンザ予防接種費用や、新型コロナウイルス感染症のPCR検査費用を会社が負担した場合は、福利厚生費として損金になります。ただし、一部の人だけが対象であったり、検査費用などとして一般的な金額以上であったりする場合は、みなし給与として上記同様の取り扱いとなります。

4)社員旅行の費用は、福利厚生費で処理していいの?

新型コロナウィルス感染症拡大の影響もあり、社員旅行に慎重な会社は多いと思いますが。もし、社員旅行を行った場合、その費用が社会通念上妥当な金額内で、なおかつ次のいずれの要件も満たしていれば、原則、福利厚生費として損金になります。また、給与課税もされません。

  • 旅行の期間が4泊5日以内であること。なお、海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること
  • 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること

ただし、会社が慰安旅行に参加しなかった社員等に対し、その参加に代えて現金を渡した場合、みなし給与として給与課税される恐れがあるため注意が必要です。また、役員だけを対象とした社員旅行の費用は、みなし給与として給与課税されるのみならず、みなし給与相当額が損金にならない「役員賞与」とされます。

5)社員等の家賃を負担している場合は、福利厚生費か給与か?

会社が社員等の住宅家賃を負担している場合、会社と社員等の負担の割合によって取り扱いが異なります。

1.会社が家賃の全額を負担している場合(無償で社宅等を貸与している場合)

賃貸料相当額がみなし給与として給与課税されます。なお、賃貸料相当額の計算は、固定資産税の課税標準(課税の基礎となる金額)に一定の率を乗じた金額や、床面積などを基に計算した金額の合計額となります。また、役員の場合には、賃貸料相当額の計算式が異なるなど取り扱いが複雑です。算定する際は、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。

2.社員等から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%未満である場合

受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、みなし給与として給与課税されます。

3.社員等から受け取っている家賃が、賃貸料相当額の50%以上である場合

受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、福利厚生費として給与課税されません。

4.契約は法人名義としましょう

住宅の契約は必ず法人名義とするようにしましょう。個人名義の住宅家賃を会社が負担した場合は上記1.から3.の取り扱いに関係なく、会社が負担した金額の全部がみなし給与とされて源泉徴収をする必要が出てきます。

6)創業○○周年に社員等に配る記念品の代金は、福利厚生費で処理できる?

会社が創業○○周年などを記念し社員等に記念品を配った場合、記念品の代金が次のいずれの要件も満たしている場合には、原則、福利厚生費として損金になります。また、給与課税もされません。

  • 記念品が社会通念上記念品としてふさわしい物品であり、かつ、価額(処分見込価額により評価した価額)が10000円(税抜き)以下のものであること
  • 創業記念のように一定期間ごとに到来する記念に際し支給する記念品については、創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに配るものであること

ただし、記念品に代えて現金や商品券などを配る場合には、みなし給与として給与課税されるため注意が必要です。

以上(2022年4月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:Mariko Mitsuda

オンライン採用でも優秀な人材を見極めるテクニック

1 コロナ禍で進んだ採用のオンライン化

コロナ禍をきっかけに、企業の採用活動のオンライン化が進んでいます。パーソルキャリア社が実施した「Web面接の実態調査」では、同社が2021年7月に取り扱った求人案件のうち「Web面接可」の求人案件は63.8%となっており、2020年8月の38.4%から直近1年間でその割合は約1.7倍に増加しています。

Web面接は「感染防止の効果」をはじめ、「交通費がかからない」「日程調整がしやすい」「多くの応募者を集めることができる」などのメリットが多い一方で、「雰囲気が伝わりにくい」といった課題があるのも事実です。「採用した人材が、思っていた人材と違った」というような問題も頻発しているそうです。

このような事態に陥らないために、企業側はどのようなことに注意すればよいのでしょうか。創業時の2015年から現在に至るまで、メンバー全員の採用をオンラインで行ってきた私たち株式会社ニットが、オンライン採用でも優秀な人材に出会うために企業がすべきこと、Web面接では応募者のどこを見るべきなのかのチェックポイントなどを詳しくお伝えします。

2 SNSを活用する ①企業情報の発信

私は、企業がオンライン採用を進めるにあたって、まずはSNSを効果的に活用するべきだと考えています。

優秀な人材を確保するためには、より多くの人に応募してもらえる状況を作っておくことが重要です。そのために企業にできることの一つが、SNSを活用した企業ブランディングの土台作りです。SNSには、LINEやFacebook、Instagramなど様々ありますが、なかでもTwitterは日本国内の月間アクティブアカウント数が4,500万人(2017年10月時点)と、LINEに次ぐユーザー規模を誇ります。つまり、Twitterで採用の募集をかけると、極端に言えば4,500万人に対してそのツイートが目に留まるチャンスがあるということです。また、顔見知りでない人ともつながりやすいという点からも、私はTwitterを活用したSNS採用が有効であると考えています。

ここで注意しなければいけないのは、SNSはあくまでも「情報収集」目的で利用する人が多く、就職・転職活動のためだけに利用している人は少ないということです。つまり、企業のSNS発信がすぐに採用につながるわけではないということです。重要なのは、SNSを通じて、会社の情報を日頃からこまめに発信し、フォロワーとコミュニケーションを図ることで、「会社のファン」になってもらうことです。これにより、いざ採用がスタートした際に、「もともと応募したいと思っていました!」と言ってもらえる状態を創出することができます。

現在、広報である私のTwitterには3万人近くのフォロワーがいます。ありがたいことに、Twitter経由での応募者は増加しています。最近では私が面接する4人に1人はTwitter経由といっても過言ではないほどになっており、直近3名の入社にもつながりました。

このようなことからも、広報と人事は一緒にSNSで情報発信をして、優秀な人材を確保するための土台を作ることが大切です。

(日本法令ビジネスガイドより)

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【朝礼】“料理上手”は仕事もデキる?

私はあまり料理をしない人間でしたが、ここ2カ月ほど、自宅で料理をしています。気分転換に始めてみたところ、料理は仕事に通じることが多いと感じ、今では自分を磨くために続けています。けさは、料理をすることで得た、仕事に役立つ気付きについてお話しします。

私が料理をして気付いたのは、「頭を使うこと」と、「食べる人、つまり顧客に気を使うこと」が重要だということです。もちろん、そうしなくても料理はできますが、頭や気を使うことで料理に掛ける費用や時間を削減でき、食べた人にとても喜んでもらえます。つまり、自分の努力や工夫次第でパフォーマンスが大きく変わるのです。

料理はメニューを考えることから始まります。いわば「生産計画の立案」です。食べる人のことを考え、栄養バランスや、飽きないための工夫が必要です。1週間分ほどの献立を考えておくと、買い物に行く回数が削減できます。

買い物、つまり「仕入れ」で重要なのは、コストと品質の見定めです。チラシなど収集した情報を基に買う店や食材を決めますが、経験と実績があれば、食材の鮮度や価格に応じてメニューを決められます。作れるメニューの数、つまり「自社商品のバリエーション」が大切です。買い物をする前に、冷蔵庫内の食材と消費期限を把握しておくことも欠かせません。これは「在庫管理」です。食材は安く購入することも大切ですが、全て使い切らないと、割高になってしまいます。

実際に料理をするときに重要なのは、「時間管理や工程管理」です。食事の開始時間から逆算し、温かいうちに食べてもらえるよう、作業の時間を考慮して手順を決めます。慣れてくれば、鍋でお湯を沸かしながら食材をカットし、レンジで食材を温めながら使った容器を洗うなど、複数の作業を同時に行うことで時間を短縮できます。「5S」も重要で、使う頻度に応じて調味料や調理器具の場所を決めておくと効率が上がります。

料理で大事なのは味ですが、食べる人の気持ちを考えると、皿のデザインや盛り付け方、雰囲気づくりなど、ある意味「プレゼン」も大切だと分かりました。

そして、「感謝の気持ちを伝えること」の重要さも実感しました。「おいしい」の一言は、モチベーションに相当影響します。私は今までどこか、「会社員は仕事をするのが当たり前」と考えており、社内で仕事を手伝ってもらったときの感謝や、仕事を遂行した後輩へのねぎらいの言葉を掛けるのがおろそかになっていたと気付きました。

最後は皿洗いです。皿洗いの難敵は油汚れです。下げ膳の際は油で汚れた皿を重ねない、油汚れの皿は最後に洗う、油の多い料理を保存するにはプラスチックでなくガラスの容器にするなど、「作業効率化のための工夫」の重要さも学びました。

日常の中に仕事に役立つ気付きがあることを、特に若手の皆さんには参考にしていただくと、毎日がとても新鮮になると思います。

以上(2022年4月)

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