習慣とは何か?

1 変えたい習慣

 健康や美容、仕事のために今の生活を変えようとしたことはありませんか? 食べ過ぎや飲み過ぎ、スマートフォンの使い過ぎなど、何らかの習慣が過剰になると、生活全体に悪影響を与えることがあります。しかも、いざやめようとしても、最初何日かは我慢できるものの、数週間後にはたいてい元に戻ってしまうのです。

 習慣を変えるのが難しい理由はいくつもあります。よくある悩みは、気付かないうちにやってしまう、我慢しているのに効果がすぐに出ない、新しい習慣が定着したと思ったのに何かのきっかけで古い習慣が再開してしまったなどです。新しい習慣を身に付けるためには、こうした問題に対処するポイントを知り、長い目で取り組む必要があります。

 この記事では、習慣が身に付く仕組みと、習慣を変える方法を紹介します。習慣化のプロセスを知ることで今より結果を出しやすくなるはずです。

2 習慣とは何か

 習慣という言葉を辞書で見ると「同じ状況のもとで繰り返された行動が、状況に応じて安定化し、自動化されて遂行される」など、いくつかの意味が載っています。

 この記事では主に個人の習慣に焦点を当てるため、「学習によって後天的に獲得され、反復によって固定化された個人の行動様式」という意味で用います。朝目覚めるとほとんど無意識に顔を洗ったり、歯を磨いたりできるのは、習慣のたまものです。最初はいちいち注意してやっていた行動が、習慣化するとほとんど何も考えずに行えるようになります。

 習慣になる行動は、単純な動きだけではなくかなり複雑な行動も含まれます。日ごろから運転する人は、駐車のような神経を使う動作でも、今はほとんど何も考えずにできるでしょう。脳が日常的な行動の一部を自動化してくれるおかげで、私たちはもっと重要な問題に神経を使えるようになるのです。

3 欲求が習慣の原動力

 繰り返し行っているだけで全ての行動が習慣になるというわけではありません。習慣のプロセスについてはさまざまな研究が進み、習慣として繰り返されやすい行動には次のような特徴があることが分かってきました。

繰り返されやすい行動:「欲求が満たされる結果」を導く行動
(繰り返されにくい行動:「不快な結果」を生み出す行動)

 脳は欲求を満たしてくれる行動を優先的に記憶し、望ましい報酬を効率的に得ようとします。しかも、私たちが望んでいると思っているものと、脳が感じる欲求はいつも一致するわけではありません。頭では健康になりたいと思っていても、多くの人にとって、サプリメントよりポテトチップスやチョコレートのほうがずっと魅力的に見えるのです。

欲求が習慣の原動力

 現代は高カロリーな食品があふれており、あえて意識しなくても糖分や脂肪などの必要摂取量をとれます。そのため、本来なら食べ過ぎないよう注意しなければならないのですが、脳の本能的な部分は食料が乏しい時代のことを覚えていて、糖分や脂肪分を効率的にとれる食品を好みます。私たちは今の環境に合った食生活をしたいと考えているつもりでも自分でも気付かないところで、違うことを望んでいるのです。

 自覚している希望と脳が感じている欲求の違いは、古い習慣をやめ、新しい習慣を始める妨げになります。習慣を効率よく変えていくためには、こうした認識のズレを埋め、隠れた欲求をコントロールする方法を学ぶ必要があるのです。

<参考書籍>
「ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣」(ジェームズ・クリアー(著)、牛原眞弓(訳)、パンローリング、2019年11月)
「習慣の力 新版」(チャールズ・デュヒッグ(著)、渡会圭子(訳)、早川書房、 2019年7月)

以上(2023年6月更新)

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習慣と意思

1 意思が強くないと習慣は変えられない?

 世の中には、特定の行動を習慣化して望んだ結果を出せる人と、数カ月でサボりがちになってしまう人がいます。あるデータによると、フィットネスクラブの新規入会者は6カ月以内に40%以上が退会するようです。継続していても実際はフィットネスクラブに通っていない人を合わせれば、6カ月以内に半分以上が挫折してしまうといえるでしょう。

 何故そのような結果になるのでしょうか? 決めたことを実行できる意思力が先天的に強い人でなければ、良い習慣を身に付けることはできないのでしょうか?

 もちろん、そんなことはありません。確かに、新しい習慣を身に付けるには誘惑を拒み、前の習慣に戻りたくなる衝動にあらがわなくてはなりません。しかし、その衝動にあらがう力が先天的なもので生涯変わらないとすれば、何度もダイエットに失敗していた人があるとき成功する理由が説明できません。モチベーションなどの影響もゼロではないでしょうが、一定数の人は失敗するうちに要領を覚え、自分に合う方法を見つけられると考えたほうが自然です。

 「自分は意思が弱い」と習慣化を諦めてしまっている人のために、この記事では意思の強さに頼らないでも習慣を変えられるコツを紹介します。

2 意思の強さに自信がない人が習慣化を成功させるには

1)得意なことから始める

 習慣化のために大事なのは何度も繰り返し行うことですが、苦手なことを何度も繰り返し行うのは苦痛を感じやすいものです。習慣化に慣れていない場合は、まずは得意な分野で試して、成功体験をつくりましょう。

 例えば、掃除好きの人なら、どの部屋をどれくらいの頻度で、どのように掃除するか、計画を立てて実行してみてください。得意なことであれば慣れるのも早く、成果も出やすいはずです。もしもうまくいかなくても、試行錯誤しているうちにノウハウがたまってきます。ある程度自信がついたら、自分が本当に変えたい習慣にチャレンジしましょう。

2)事前に誘惑やストレスへの対処法を準備する

 いくら忍耐力や自制心に自信がない人であっても、いつも誘惑やストレスに負けてしまうわけではありません。いつもは我慢できていることができなくなるのは、イレギュラーな出来事や過度なストレスにさらされたときが多いようです。

 例えば、数週間毎日1日1万歩ウォーキングしていても、残業で疲れた日やパートナーとけんかしてイライラしている日に、習慣が中断してしまうことがあります。それで気が抜けて、せっかく身に付きかけたルーティンをやめてしまうのはもったいないことです。

 予想できる誘惑やストレスがある場合は、そういう状況のときにどんな対応をすればいいか、事前に対処法を考えておきましょう。ストレスが実際に起きた瞬間、どうやって耐えるかを詳しくシミュレーションし、誘惑やストレスがあっても平静で居られるよう、心構えをしておくのです。

3)誘惑の少ない環境をつくる

 意思の強い人でも、誘惑が近くにあればなかなか我慢することはできません。ダイエット中に自宅に高カロリーのお菓子が置いてあるとつい手を伸ばしたくなりますし、スマホを近くに置いていると仕事中でも開きたくなってしまいます。

 誘惑に弱い自覚があるならば、それらを意識的に避けるべきです。仕事をするときはスマホをかばんにしまい、休憩時間以外開かないようにします。それが難しければ、メッセージの通知音を消すなど、集中力を乱さない工夫をしましょう。

 誘惑を避ける工夫は、身に付けたい習慣を何度も繰り返すのと同じくらい重要です。環境をコントロールすることで、自分の精神力に頼る必要がなくなります。

4)忍耐力や自制心自体を高める

 意思の強さというと、先天的な性格によって決まっていると思うかもしれませんが、実際には筋肉のように後天的に鍛えられるものだといわれます。

意思の強さは筋肉のように鍛えられる

 ある実験では、筋トレや勉強、金銭管理など、一つの分野で集中的にトレーニングすることで、その分野とは異なる方面(食事や仕事、メンタルなど)でも誘惑や衝動に対するコントロールも上達するという結果が出ています。

 こうしたトレーニングでは、目標の難易度設定の仕方など、習慣化全般に必要な能力の向上が期待できます。本格的に習慣改善をしたい人は、一度筋トレなどに集中的に取り組んでみてもよいかもしれません。

<参考書籍>
「ジェームズ・クリアー式複利で伸びる1つの習慣」(ジェームズ・クリアー(著)、牛原眞弓(訳)、パンローリング、2019年11月)
「習慣の力 新版」(チャールズ・デュヒッグ(著)、渡会圭子(訳)、早川書房、 2019年7月)

以上(2023年6月更新)

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業績と連動し、社員にも分かりやすい「業績連動式」賞与のポイント

書いてあること

  • 主な読者:社員のモチベーションが上がる賞与制度を実施したい経営者
  • 課題:業績と連動し、社員にも分かりやすい制度にしたい
  • 解決策:「業績連動型」賞与を導入し、賞与原資の決定基準を社員に示す

1 なぜ、賞与のありがたみが社員に伝わらないのか?

業績連動型とは、

会社の業績や社員の勤務成績に応じて賞与を決定する仕組み

です。日本の会社の65.4%が「業績連動型」賞与を導入しています(厚生労働省「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査」)。一方、「支給額=基本給×○カ月分」といった単純な仕組みに比べると計算過程が不透明で、社員が「こんなに頑張っているのに賞与が下がった……」と不満を覚えることがあります。

賞与を支給するか否かは会社の自由です。それでも多くの経営者は「頑張った社員に報いて、今後もモチベーション高く仕事をしてほしい」と思うからこそ、賞与を支給します。社員が不満を覚えるようでは、「そもそも賞与を支給する意味があるのか」ということになってしまいます。賞与も含め、報酬に対する会社と社員のギャップを埋めることは難しいのですが、

できるだけ社員に分かりやすい制度にして不透明感をなくす

ことで、ある程度不満は和らぎます。この記事では、業績連動型に着目して、社員にとって分かりやすい賞与制度にするためのポイントを紹介します。

2 何を業績指標とするか?

業績連動型の手順をおおまかに言うと、

  • 業績指標を基準に「営業利益×○%」などで賞与原資を決める
  • 賞与原資の範囲内で各社員の勤務成績を基準に支給額を決める

という形になります。

業績指標には次のようなものがあります。

  • 「売上高」基準(売上高、生産高など)
  • 「利益」基準(営業利益、経常利益、当期純利益など)
  • 「付加価値」基準(付加価値)
  • 「キャッシュ・フロー」基準(営業CFなど)
  • 「株主価値」基準(ROA、ROE、ROIなど)

ちなみに、日本経済団体連合会・東京経営者協会の調査によると、業績連動型を採用している社員数500人未満の会社では、

「営業利益」を基準とする会社(60.0%)が最も多く、次に多いのは「経常利益」を基準とする会社(38.2%)

となっています(日本経済団体連合会・東京経営者協会「2021年夏季・冬季賞与・一時金調査結果」、複数回答)。

こうして業績指標が決まったら、それを基準に賞与原資の額を計算します。どの程度を賞与原資にするかは会社次第ですが、

「営業利益×○%」だけだと、業績の好不調によって賞与原資が大きく変動し社員に不安を与えるので、最低保障額を設ける

ことも検討しましょう。

3 支給対象者をどうするか?

賞与原資が決まったら、次は支給対象者を明らかにします。一般的には、

考課の対象期間内に勤務実績があって、支給日に在籍している社員

を対象とします。また、賞与を支給してから一定期間内に退職することが決まっている社員などは、対象から除外します。なお、非正規社員(パート等)に賞与を支給しない会社も多いですが、こうした対応は同一労働同一賃金に違反する恐れがあります。業務内容や労働時間などについて、正社員と働き方が同じ非正規社員がいないかを確認した上で、慎重に判断しましょう。

支給対象者が決定したら、支給対象者ごとの配分を決めます。一般的には、次のような要素を複数組み合わせて配分率を計算します。

  • 部門業績(所属部門の経常利益が○万円以上なら配分率○%など)
  • 人事考課(A評価なら配分率○%など)
  • 資格等級(○級なら配分率○%など)
  • 出勤率(週○時間勤務なら配分率○%など)

参考までに、日本経済団体連合会・東京経営者協会の調査によると、賞与・一時金の1人当たり平均支給額を100とした場合、非管理職・管理職ともに「考課査定分(人事考課)」「定額分(最低保証額など)」の配分割合が高いようです(日本経済団体連合会・東京経営者協会「2021年夏季・冬季賞与・一時金調査結果」)。

  • 非管理職:考課査定分39.4、定額分30.2、定率分27.7、その他2.7
  • 管理職:考課査定分51.1、定額分28.2、定率分17.5、その他3.2

以上(2023年6月)

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画像:Eisenhans-Adobe Stock

【朝礼】この件は、君と何度でも話し合うよ

上司の皆さん、毎日、部下の方と話をしていますか。特に部下と毎日顔を合わせているマネジャークラス(課長クラス)の方は、昨日、部下全員と話をしましたか。

上司と部下のコミュニケーションは、ビジネスの指示や報告が基本です。上司の皆さんのコミュニケーションは部下への一方的な指示になっていませんか。あるいは、部下からの報告を受けるだけになっていませんか。

上司と部下がコミュニケーションを図るためには、その「内容」が大切です。ビジネスの現場では、ビジネス上の指示や報告がメーンとなりますが、その際に上司からの一方的な指示や部下からの報告だけでは、コミュニケーションは不十分です。

上司が指示する際には、抽象的な指示でなく、個別具体的な指示をしてください。こう言うと、部下が自分で考えることをせず指示待ちになるので、部下の指導には適していないと言う人がいます。しかし、これはビジネスの最前線を知らない評論家の考えのように思えてなりません。ビジネス経験の乏しい部下に、すべてを任せる方が無責任というものです。

上司は個別具体的な指示をいくつか出し、部下に選択させるのです。上司の個別具体的な指示により、部下はすべきことが明確になります。選択肢があればそれぞれのメリットやデメリットまで考えるでしょう。こうしたことを、部下に熟慮させて、実行する案を選択させるのです。人は具体的な課題があれば、その解決に前向きになります。また、ゴールに近づくと「もう少しでゴールだ。頑張ろう」とやる気が出るものです。

部下への選択制の個別具体的な指示は、目の前に課題を示すと同時に、その解決がゴールに結びつくということを教えてあげることなのです。

次に、部下の報告です。仮に、上司が示した個別具体的な指示から、部下が一つを選択することとしましょう。自分が選択した理由を、詳細に説明できなければなりません。上司からはさまざまな質問が出るでしょう。例えば、「なぜ、この案を採用するのか」「成功の定義をどこに設定するのか」「誰かに相談したのか」「実行性はどちらが高いのか」「過去に同様のことを実施した経験があるのか」「失敗したら代替はどうするのか」などです。まだまだ質問は出るでしょう。上司が質問し部下が答え、分からないところは一緒に考えることになるでしょう。こうすることで、単なる部下の報告ではなく、上司と部下の意見交換になります。

上司と部下は、この件について、真剣に、時間をかけて、互いが納得するまで意見交換することになるでしょう。上司は「部下が選択するに至ったプロセスが大事」であることを知っているからです。

部下の方は安心してください。上司は「時間がないから」とは決して言いません。上司は「この件は、君と何度でも話し合うよ」と言ってくれます。それは、上司は部下が成長する姿を見ることが何よりうれしいからです。

以上(2023年6月)

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画像:Mariko Mitsuda

豪雨時の水没リスク(2023/6号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

近年は、梅雨の時期に大雨による災害が発生することも珍しくありません。集中豪雨やゲリラ豪雨など局地的大雨により、日頃走行している道路が冠水し、自動車が水没するといったリスクが以前より高まっています。

今回は、豪雨により冠水した道路を走行する場合の自動車の水没リスクについて考えます。

豪雨時の水没リスク

1.冠水道路の走行に伴うリスク

都市部などでは舗装面積が多いため、集中豪雨やゲリラ豪雨が発生すると、周囲より低い場所では雨水の排水処理能力が限界を超えてしまい、道路が冠水することがあります。道路が冠水すると、運転者は路面状況が分からず深みにはまったり、側溝へ脱輪したりするおそれがあります。特に周囲に比べて道路の高さが低くなっているアンダーパスでは水没リスクが高く、注意が必要です。

冠水した道路を走行する場合、一般的な自動車はある程度の浸水に耐えられるように設計されていますが、エンジン内部やマフラーに水が入ってしまうと故障するおそれがあります。冠水した道路では水深により自動車に以下のような不具合が生じます。

冠水道路の走行に伴うリスク

出典:国土交通省Webサイト「水深が床面を超えたら、もう危険!-自動車が冠水した道路を走行する場合に発生する不具合について-」より当社作成
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha08_hh_003565.html

2.水没リスクを回避するために

アンダーパスは全国に3,700箇所ほどあり、 それ以外にも周囲より低く水はけが悪いといった豪雨時に冠水しやすい場所は思った以上に多いものです。 日頃通勤や業務で走行している道路に冠水しやすい場所がないか一度確認しておくのがよいでしょう。

また、気象情報を確認することを習慣にして、集中豪雨やゲリラ豪雨などに関する情報を早期に把握し、予め危険を回避できるようにしておくことが大切です。

・道路冠水想定箇所の確認
 国土交通省「重ねるハザードマップ」
https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=36.097938,139.87793&z=7&base=pale&vs=c1j0l0u0t0h0z0

・大雨・洪水の危険度の確認
気象庁「浸水キキクル(危険度分布)」、「洪水キキクル(危険度分布)」
https://www.jma.go.jp/bosai/#pattern=rain_level&area_type=japan&area_code=010000

浸水キキクル

万一の場合に備え、脱出用ハンマーやシートベルトカッターなどの避難用具を車内に常備しておくようにしましょう。避難用具はいざというときに手の届く範囲にあることが重要です。

国土交通省webサイト「いざというときのために、緊急脱出用ハンマーを備え付けましょう!」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/carinf/rcl/carsafety_sub/carsafety023.html

3.冠水道路を走行する場合の注意点

道路が冠水するような豪雨時の運転では、無理をしないことが大切です。

やむを得ず冠水した道路を走行する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • アンダーパスには入らない。
  • 前車の水しぶきや急停車を想定し、車間距離を十分に取る。
  • 水を巻き上げないように速度を十分落とし、ゆっくりと進む。

アンダーパス

豪雨により短時間で道路が冠水するような場合、水深も急速に増していくおそれがあります。

「これくらいの冠水なら進めるのでは」といった油断は禁物です。

<走行後は>

  • ブレーキの効きが悪くなったと感じたらブレーキを数回踏んでブレーキパッド等を乾かしましょう。
  • エンジンや電気装置が浸水した場合は、故障や車両火災のおそれがあるので、エンジンをかけてはいけません 。ロードサービスや自動車販売店、整備工場等に連絡しましょう。

以上(2023年6月)

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小さな会社が大企業をぶっ飛ばすために知っておくべき「ランチェスター戦略」

書いてあること

  • 主な読者:「ランチェスター戦略」の基本が知りたい経営者
  • 課題:経営資源が限られる中小企業が取るべき戦略が知りたい
  • 解決策:地域・顧客・商品などの戦う領域を絞って市場シェア1位になる

1 中小企業は「ランチェスター戦略」で勝つ

ランチェスター戦略とは、

弱者が強者に勝つための戦略であり、言い換えるなら「中小企業が限られた経営資源で勝ち残るための戦略」

でです。もともとは、第1次世界大戦のときに英国人のフレドリック・W・ランチェスターが導き出した戦い方で、それを第2次世界大戦の際に進化させました。そして、戦後にマーケティングコンサルタントの田岡信夫氏がマーケティング活用などで使えるように体系化したといわれます。

ランチェスター戦略は「勝つための戦略」であり、兵力、つまり経営資源の乏しい中小企業が、いかにして勝ち残っていくかのヒントが多くあります。この記事では、ポイントをまとめています。

2 ランチェスター戦略とは

1)弱者向けの「ランチェスター第一法則」

ランチェスター第一法則とは、刀を持って戦うような接近戦や局地戦で、基本的には1人が1人としか戦うことができない状況を想定した場合、

武器の性能が双方同じであれば、兵力数の勝るほうが勝利する

というものです。

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兵力が小さいB軍が勝つためには、武器効率を上げる必要があります。例えば、B軍が武器効率を1から2に上げることができれば、

2×3(B軍)-1×5(A軍)=B軍は1人が生存

することになり、B軍が勝利します。範囲が限定された戦場で武器効率が同じなら、兵士の数が多いほうが勝つという意味で、ランチェスター第一法則は弱者向きだといえます。

2)強者向けの「ランチェスター第二法則」

ランチェスター第二法則とは、マシンガンや戦闘機を投入して戦うような広域戦や遠隔戦、確率戦で、基本的には1人が複数の敵を狙える状況を想定した場合、

戦闘開始時の兵力数の2乗対2乗の力関係で戦う

というものです。

画像2

ランチェスター第二法則でも、兵力が大きいA軍が勝ちます。しかも、兵力が小さいB軍の損害は圧倒的に大きくなります。ここから分かるのは、

弱者は、ランチェスター第二法則で戦ってはならない

ということです。

以上のランチェスター戦略の第一法則、第二法則から、

  • 武器効率(質)が同じなら、兵力(数)の多いほうが有利
  • 弱者はランチェスター第一法則、強者はランチェスター第二法則で戦うべき

ということになります。

3 弱者とは誰か?

ランチェスター戦略から、中小企業が勝ち残っていくためには、

全国展開よりも地域限定、フルラインアップよりも一点突破で戦うことが望ましい

ということが分かります。

ちなみに、戦闘ではなくビジネスを想定しているランチェスター戦略では、強者=市場シェア1位の企業、弱者=市場シェア2位以下の企業のことを指します。強者=大企業、弱者=中小企業と考えがちですが、例えば、

ある地域に限れば、中小企業が大企業を抑えて、市場シェア1位=強者になる

ことができます。このため、ランチェスター戦略は、弱者が強者になるための戦略を示しているとされます。

ランチェスター戦略では、強者になるためには、

  • ナンバーワン主義
  • 「足下(そっか)の敵」攻撃の原則
  • 一点集中主義

という3つのポイントが重要だとされています。次章で確認しましょう。

4 ランチェスター戦略から導く中小企業の戦い方

1)ナンバーワン主義

ナンバーワン主義とは、

2位以下を圧倒的に引き離して「ナンバーワン」になることを重視した考え方

です。ナンバーワンの目安とは、市場シェアに占める割合が41.7%(安定目標値)以上を指します。ただし、当初から41.7%の市場シェアを占めている必要はなく、まずは強者と弱者の境目とされる市場シェア26.1%(下限目標値)を目指します。そして、ほぼ独り勝ちの状態とされる41.7%を経た後、73.9%(上限目標値)に達することができれば理想的です。73.9%が理想的とされるのは、2位以下に逆転されることがなくなると考えられているためです。

また、ナンバーワンを目指す際は、

  • 地域
  • 顧客
  • 商品

の順で、自社がシェアを確保する余地があるかを検討します。例えば、世界初の画期的な商品をゼロから生み出して市場シェアナンバーワンを目指すよりも、自社製品を限られた地域で販売して市場シェアナンバーワンを目指すほうが容易です。そのため、1.~3.の順でナンバーワンとなる方法を検討するのです。

2)「足下の敵」攻撃の原則

「足下の敵」攻撃の原則とは、

自社がナンバーワンとなるために、まずは自社の1つ下にいる企業から攻撃する

という考え方です。足下の企業は、自社より弱者であり、勝ちやすい相手です。勝ちやすい相手からシェアを奪い、自社の市場シェアが上位の企業と拮抗した時点で対決に挑みます。

この「足下の敵」攻撃の原則で重視されているのが、競争目標と攻撃目標を分けるという考え方です。具体的には、自社よりも市場シェア上位の企業を目標(競争目標)として定めながら、攻撃を仕掛ける相手は自社よりも市場シェアが下位の企業(攻撃目標)とします。

 競争目標と攻撃目標に対する戦い方は異なります。競争目標に対する戦い方は、差別化戦略です。数に劣る自社は、質を高める必要があり、競合先と同じことをしていては勝てません。足下の競合先をたたいた後は、差別化戦略によって質を高め、上位の競合先と戦う必要があります。

一方、攻撃目標に対する戦い方は、ミート戦略(競合先と同じことをする、合わせる)です。同質であれば、数に勝るほうが勝利するため、強者である自社は競合先と同じことをすればよいのです。

3)一点集中主義

一点集中主義とは、

ナンバーワンになるために、一点を決めて集中的に投資する

という考え方です。「1.地域」「2.顧客」「3.商品」の視点から市場を細分化し、自社が強者となることができる、集中的に経営資源を投入していく重点化市場を定めます。

これによって、「兵力的な優位を築き→差別化によって質を高め→収益性が増す余力を生み→その余力で次なる重点化市場を攻略する」というサイクルを生むことができます。ランチェスター戦略では、このサイクルを繰り返しながら、ナンバーワンを目指すのが基本です。

4)重要なのは差別化

以上で紹介した3つの戦い方で重要なのは差別化です。弱者が強者に勝つためには、差別化によって競合先(強者)とは異なる、自社独自の取り組みを実施することが必要です。自社を競合先と差別化する際、市場を細分化し、次の6つの視点から検討します。

  • 製品(Product):例)商品に機能を加えるなど
  • 価格(Price):例)3つ買うと1つ無料とするなど
  • 流通(Place):例)インターネットで販売するなど
  • プロモーション(Promotion):例)手書きのDMを送付するなど
  • サービス:例)アフターサービスを無料で提供するなど
  • 地域:例)自社から片道30分以内の地域だけに配達するなど

差別化を検討する際には、「競合相手よりも、価格を低く抑え、アフターサービスを無料で提供し、地域限定で販売する」など、上記6つの中から3つ以上を組み合わせることが効果的だとされています。

【参考文献】
「世界一やさしいイラスト図解版! ランチェスターNo.1理論—小さな会社が勝つための3つの結論」(坂上仁志、ダイヤモンド社、2013年3月))
「小さな会社の稼ぐ技術」(栢野克己(著)、竹田陽一(監修)、豊倉義晴(取材・執筆協力)、日経BP社、2016年12月)

以上(2023年5月)

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新型コロナ5類移行にともなう実務上の注意点

令和5年5月8日より、新型コロナウイルス感染症が、感染症法による2類相当から季節性インフルエンザと同様の「5類感染症」に引き下がりました。

厚生労働省が示した「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の療養期間の考え方等について」によると、新型コロナウイルスに感染した場合は、感染症法に基づき、行政が患者に対し、外出自粛を要請することはなくなり、外出を控えるかどうかは、季節性インフルエンザと同様に、個人の判断に委ねられることになりました。

本稿では、新型コロナウイルス感染症の5類引き下げ以降に労働者が感染した場合の就業措置(労働安全衛生法)と感染または濃厚接触者となった場合の傷病手当金(健康保険法)の請求について、実務上の注意点を解説していきます。

1 労働者の就業に当たっての措置

感染症法によると、1類感染症から3類感染症に罹患した場合は、就業制限の措置をとる必要があるとされています。また、労働安全衛生法では、「伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものに罹った労働者については、その就業を禁止しなければならない。」とあります。

つまり、2類相当に分類されていた新型コロナウイルスは、労働者が感染した場合、就業制限の措置をとる必要がありました。

感染症法上の類型

(「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」「労働安全衛生法」)

新型コロナウイルスの5類引き下げは、就業制限も撤廃されることになります。労働者が新型コロナウイルスに感染した場合でも、会社として、就業を制限する(就業を禁止する)ことはできなくなるため、今後は、コロナ感染を含む体調不良時には、無理に出社をせず、有給休暇を取得するなど、自主的に休暇が取得できるような労働環境を構築する必要があります。

2 傷病手当金について

5類移行後も、業務外の事由で、新型コロナウイルス感染症に罹患し、労務不能となったときには、健康保険の傷病手当金が請求できます。

傷病手当金支給申請書

(「全国健康保険協会」)

新型コロナに係る傷病手当金の注意点として、令和5年5月7日までの支給申請については、臨時的な取扱いとして、療養担当者意見欄(申請書4ページ目)の証明が不要でしたが、5類に移行したことにより、令和5年5月8日以降の支給申請については、他の傷病による支給申請と同様に、傷病手当金支給申請書の療養担当者意見欄に医師の証明が必要となります。

3 さいごに

法律による就業禁止は、いわゆる「使用者の責に帰すべき理由による休業」には該当しないため、会社は休業補償の支払いをする必要はありません。しかし、今後、新型コロナに感染した労働者に、従来の就業制限を継続していると、法律上「休業手当」の支払いが必要となります。

また、傷病手当金は、労働者本人に自覚症状がなく、家族等が感染し濃厚接触者になった場合、労働者自身が労務不能と認められない限り、給付の対象とはなりません。

こうした状況下においても、労働者を無理に出社させることは得策ではなく、今後は、職場での感染拡大を阻止するために、新たなルール作りが求められるでしょう。

※本内容は2023年5月15日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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新型コロナ5類移行にともなう実務上の注意点

令和5年5月8日より、新型コロナウイルス感染症が、感染症法による2類相当から季節性インフルエンザと同様の「5類感染症」に引き下がりました。

厚生労働省が示した「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付け変更後の療養期間の考え方等について」によると、新型コロナウイルスに感染した場合は、感染症法に基づき、行政が患者に対し、外出自粛を要請することはなくなり、外出を控えるかどうかは、季節性インフルエンザと同様に、個人の判断に委ねられることになりました。

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日本の歴史人物(斎藤道三)

1 親子二代にわたる下克上 戦国時代の申し子「斎藤道三」

 「権謀術数(他人を巧みに欺く策略)」に長け、仕えた主君を次々に倒してのし上がったといわれる斎藤道三。かつては、油売りから大名へと、道三が一代で上り詰めたと考えられていましたが、近年の研究では父・長井新左衛門尉と親子二代をかけて国盗りを成し遂げたことが分かってきました。

 道三は、したたかに相手の懐に入り込み、自身の才能と非道な謀略でのし上がりました。しかし、道三は自分の息子によって殺されるという非業な最期を遂げました。

斎藤道三(および父・長井新左衛門尉)の生涯

2 道三の有名エピソード

 道三にまつわるエピソードには諸説ありますが、この記事では代表的なものを紹介します。

1)油売りとして情報を集め、人心を掴む

 道三の父・新左衛門尉は、幼い頃に京都の妙覚寺に預けられましたが、成長すると還俗し、油売りの家に入り婿として入りました。

 当時の油売りは、諸国を自由に往来できるため情報収集がしやすく、野心的で優秀な人が集ったそうです。中でも新左衛門尉は、高くかざした柄杓から一文銭の穴を通して油を注ぐなど、大道芸じみたパフォーマンスで人気を得たといわれています。

 その後、新左衛門尉は、美濃守護家土岐氏の家老・長井長弘と知り合い、その長弘を通じて土岐頼芸に引き合わせられました。そして、頼芸に気に入られた新左衛門尉は、長井家の家老に引き立てられていきます。

 新左衛門尉が長弘と出会った経緯は分かっていませんが、恐らく偶然もあったでしょう。運を引き込み、チャンスをものにするには、日ごろからチャンスを狙い、人の心をつかみ続ける才覚が必要です。さまざまな情報を集め、人の懐に入り込む新左衛門尉のしたたかさは、油売り時代の経験によって鍛えられたのではないでしょうか。

2)「美濃のマムシ」の実力

 新左衛門尉と道三の親子が「美濃のマムシ」と呼ばれるようになったのは、主君を押しのけ、その地位を略奪する冷徹さがゆえんです。新左衛門尉は、自分と頼芸を引き合わせた長弘が謀反を企てていると頼芸に讒言(ざんげん)し、長弘を妻と一緒に殺害しました。

 しかし、同年新左衛門尉は亡くなってしまいます。跡を継いだ道三は、頼芸の兄・政頼を追放して頼芸を守護大名の地位に就けますが、結局は頼芸も美濃から追放してしまいます。

 すると、政頼が頼った越前の朝倉氏、頼芸が頼った尾張の織田氏(信長の父)らが2度にわたって美濃を進攻しました。家督争いで弱体化した美濃なら倒せると思ったのかもしれませんが、道三は難攻不落の稲葉山城でもって、これを退けます。

 その後、道三は娘・帰蝶(濃姫)を信長に嫁がせ、同盟を結んで美濃の支配を安定させます。それをきっかけに信長に出会った道三は、当時「うつけ者」といわれていた信長の類いまれな才能を見抜いたといわれています。

斎藤道三

3)最期は息子に殺される

 戦国時代は目上の者を引きずり降ろしたり、親子や兄弟で争ったりすることありましたが、それでも周囲の反感を買うことは避けられません。道三はそうした中でも実力で敵を退け、上り詰めていきました。

 しかし、そんな道三も、最終的には自分の息子に殺されることになります。道三は嫡男・義龍を冷遇していました。義龍の母はもともとは頼芸の妾であり、義龍の本当の父親は頼芸であるという噂があったことが、確執の原因ともいわれます。

 そうした確執を収拾するため、道三は一旦隠退することにします。しかし、家督を義龍に譲った後も、道三は義龍を排除して、別の息子に跡を継がせようと画策しました。そうした道三の動きを察知した義龍は、2人の弟を殺害し、最終的には長良川の戦いで道三をも討ちました。周囲からの恨みを買っていた道三に味方するものは少なく、この戦いの義龍の戦力は道三の7倍近かったといわれます(明智光秀は道三側として戦ったといわれています)。

 敵から領土と家臣を守り、大名家を存続させるためには、身内同士の結束は不可欠です。自分の主君を裏切って成り上がった道三には、息子たちに結束を固めるよう促すのは難しかったのかもしれません。

【参考】
山川出版社「戦国大名 歴史文化遺産」(五味文彦監修)
成美堂出版「戦国の合戦と武将の絵事典」(高橋伸幸(著)、小和田哲男(監修))

以上(2023年5月更新)

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日本の歴史人物(明智光秀)

1 「謀反の逆臣」はつくられたイメージ? 謎が多い「明智光秀」

光秀といえば、自分を重臣に取り立ててくれた織田信長を本能寺で自害させた「裏切り者」として有名です。さらに、その本能寺の変からたった11日後の山崎合戦で豊臣秀吉に敗れた「三日天下」でも知られています。

こうしたマイナスイメージの多い光秀ですが、実は光秀の人生は謎が多く、生誕年や父親の名前、そして信長を裏切った動機などはほとんど分かっていません。近年研究が進められており、後世にできた創作と実在した光秀とは違う一面が少なくないようです。

明智光秀の生涯

2 光秀の有名エピソード

光秀にまつわるエピソードには諸説ありますが、この記事では代表的なものを紹介します。

1)光秀の誕生年は、江戸時代の物語が出所?

光秀の歴史的な資料は、その多くが本能寺の変や山崎合戦に関するもので、1568年に足利義昭(室町幕府・最後の将軍)に臣従した以前のことはほとんど分かっていません。

1528年生まれといわれていますが、これも光秀が亡くなってから100年以上後に書かれた伝記「明智軍記」が基になっています。「明智軍記」は歴史書というよりは物語であり、信ぴょう性が疑問視されていますが、他に信頼できる資料がないことなどから、現在でも通説として定着しています。

これに対し、最近は光秀の誕生年は1516年だとする、新たな説が出てきています。ただし、細川忠興に嫁いだ娘の玉(ガラシャ)が1563年生まれと、47歳のときの子どもとなることや、信長よりも20歳も年上になることなどから、現在も1528年生まれ説が有力のようです。

2)非情? 良識人? 比叡山焼き討ちの功労者の見えない素顔

信長の苛烈さを象徴して語られることの多い「比叡山焼き討ち」。司馬遼太郎「国盗り物語」などの影響で、光秀は比叡山焼き討ちに反対したイメージが強いかもしれませんが、実際は光秀が中心となって攻め落としたようです。その功績を認めて、信長は光秀に比叡山延暦寺の遺領を与え、自分の城を築くことも許可しています。この時期の光秀は、共に信長に仕えた秀吉よりも信長の信頼を得ていたともいわれています。

では、光秀は「裏切り者」のイメージ通り、非情な人物だったのかというと、一概にそうともいえません。領内となった比叡山延暦寺に対し、穏便な対応をしたという伝承や、光秀が治めた京都・福知山の地では善政を敷いた領主として慕われていたという伝承が現代にも残っています。

3)最大の謎「なぜ本能寺の変を起こしたのか」

光秀のイメージを決定付けている「本能寺の変」にも謎が残されています。信長を討った理由が分かっていないのです。

信長のパワハラに対する「怨恨説」、下克上をして天下統一を企てた「天下取り野望説」、朝廷の高官に唆された「朝廷黒幕説」など、さまざまな説がありますが、極秘で進められた計画のためか、資料がほとんど残っていません。

これらの中で、近年有力になりつつあるのは「長宗我部元親関与説」です。これは、光秀の重臣・斎藤利三の妹が嫁いだ長宗我部元親の四国全土の所領を信長が認めると約束したものの心変わりをしたため、元親が光秀に信長を討たせたという説です。

歴史の真実を知るのは難しいことですが、光秀は秀吉とライバル関係にあったこともあり、「勝者の歴史」から切り落とされた部分もあるかもしれません。光秀がどういう思いで主人である信長を討ったのか、手掛かりになる資料が発見されることが望まれます。

明智光秀

【参考】

  • 吉川弘文館『明智光秀 (人物叢書)』(高柳光寿)
  • 河出書房新社『光秀からの遺言 本能寺の変436年後の発見』(明智憲三郎)
  • NHK出版『麒麟がくる 明智光秀とその時代』(NHKシリーズ NHK大河ドラマ歴史ハンドブック、2020年1月)

以上(2023年5月)

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