【朝礼】意見される人になろう

【ポイント】

  • 周囲の人は、「この人にもっと能力を発揮してもらいたい」と考え、意見を言う
  • 意見されるには、周囲の人が意見を言いやすい環境づくりが必要
  • 立場にかかわらず、意見してくれた人には感謝の気持ちを伝える

今朝は、いつも周囲の人から「意見される人」についてお話ししようと思います。周囲の人からいつも意見される人と聞くと、おっちょこちょいで、いつも失敗ばかりしている人や、思慮が足りず周囲から注意される人といった、マイナスの印象を与える人を思い浮かべるかもしれません。一方で、周囲の人は、「この人にもっと能力を発揮してもらいたい」「意見する価値がある人だ」と考え、意見を言います。周囲の人の意見には、自分だけではなかなか気づくことのなかったたくさんのアイデアや視点が含まれています。意見される人は、こうした意見をうまく自分の仕事に反映し、成果を得ているはずです。

豊臣秀吉と竹中半兵衛、本田宗一郎と藤沢武夫といったように、偉人や名経営者と呼ばれる人の隣には名参謀がいます。偉人や名経営者と呼ばれる人も自分だけの能力ではなく、自分に意見してくれる人材、参謀に恵まれたからこそ、十分な力を発揮することができたといえるでしょう。

それでは、周囲の人からいつでも意見される人であるには、どうすればよいのでしょうか。私は「日ごろから相手と意思疎通を図っておく」「いかなる場合も人の話に耳を傾ける」といった、周囲の人が意見を言いやすい環境づくりが必要だと思います。例えば、部下から上司に対して意見があったとしても、忙しそうにしていて話を聞いてもらえる様子がなかったり、以前に意見したときに全く取りあってもらえなかったとすれば、その部下は上司に意見を言うことはないでしょう。

従って、部下を持つ上司は、常日ごろから部下に声をかけたり、意見を求めたりすることが大切です。そして、立場にかかわらず、意見してくれた人には、感謝の気持ちを伝えましょう。時には、耳の痛い意見や、意に沿わない意見もあるかもしれません。しかし、そうした意見を言ってくれる人こそ、あなたのことを真剣に考えてくれている場合が多いものです。

一般的に、担当する仕事量が増えて忙しくなったり、役職が上がって部下の人数が増えたりするといった状況になると、人から意見されにくくなります。どのような状況にあっても、周囲の人から意見される人であるよう、周囲の人が意見を言いやすい環境づくりを忘れないように心がけ、人の意見をうまく取り入れて、自らの糧としていきましょう。

              

以上(2026年4月作成)

pj16518
画像:Mariko Mitsuda

「DDoS攻撃」の防御策と踏み台にされないための対策とは

1 IoT機器などが乗っ取られて、攻撃の踏み台に!

「DDoS攻撃」(Distributed Denial of Service attack; 分散型サービス妨害攻撃)は、

サーバーやネットワークなどに意図的に過剰な負荷をかけることで、正常なサービスを提供できなくするサイバー攻撃

です。「ディードス」と読みます。

攻撃者は、何らかの方法で乗っ取った複数の機器で構成されるネットワーク(ボットネット)を踏み台として、特定のサーバーやネットワークに対して大量のアクセスを一斉に仕掛けて高負荷状態にさせる、もしくは回線帯域を占有してサービスを利用できなくします。

IPA(情報処理推進機構)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」では、「DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)」が、組織向け脅威として取り上げられており、2026年には第9位にランクインしています。

情報セキュリティ10大脅威

「DDoS攻撃」は、ルーターやネットワークカメラなどのIoT機器を狙う「Mirai」と呼ばれるウイルス(IoTマルウェア)や、その亜種に感染したボットネットを踏み台とするのが主流でしたが、足元では「Mirai」とは異なるIoTマルウェアの感染も拡大しているといいます。

大規模な「DDoS攻撃」を受けると、ウェブサイトの停止、業務の中断といった深刻な被害が生じます。中小企業も対策を怠ると攻撃の踏み台にされてしまう恐れがあります。

この記事では、「DDoS攻撃」の防御策と、攻撃の踏み台にされないための対策を紹介します。

2 「DDoS攻撃」の防御策

1)海外に割り当てられたIPアドレスからの通信の遮断

攻撃元となるIPアドレスの多くは、海外に割り当てられたIPアドレスです。例えば、サービス対象者が国内に限られるウェブサイトを運営している場合、海外に割り当てられたIPアドレスからのアクセスを制限(ジオブロック)することで、被害を抑えられます。

2)DDoS攻撃の影響を排除または軽減するための専用の対策装置やサービスの導入

WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)、IDS/IPS(不正侵入検知システム/不正侵入防止システム)、UTM(統合脅威管理)、DDoS攻撃対策専用アプライアンス製品等を導入し、DDoS攻撃を防ぐため必要な設定を行います。

3)コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)サービスの利用

CDNは、独自に構築したキャッシュサーバーやそれにひも付くネットワークを利用して、ウェブサイトのコンテンツを配信するサービスです。元々、ウェブサイトのレスポンス向上を目的として利用されてきましたが、「DDoS攻撃」に対しても、CDNが攻撃トラフィックを分散処理することで、オリジンサーバーへの負荷軽減が期待できます。オリジンサーバーへの直接アクセスを防ぐため、オリジンサーバーのIPアドレスを隠蔽する必要があります。

4)その他各種DDoS攻撃対策の利用

インターネットサービスプロバイダーや、WAF/CDNを提供するクラウドサービス事業者が別途提供する、DDoS対策機能を利用することも有用です。

5)サーバー装置、端末及び通信回線装置、通信回線の冗長化

代替のサーバー装置などに切り替える対策です。この場合、DDoS攻撃の検知、代替サーバー装置などへの切り替えが許容される時間内に行えるようにする必要があります。

6)サーバー等の設定の見直し

代替のサーバー装置などについて、パケットフィルタリング機能、3way handshake時のタイムアウト短縮、各種Flood攻撃への防御、アプリケーションゲートウェイ機能がある場合は、有効にしましょう。

3 攻撃の踏み台にされないための対策

1)オープンリゾルバー対策

オープンリゾルバー(Open Resolver)とは、外部の不特定のIPアドレスからの、再帰的な問い合わせを許可しているDNSサーバーのことです。DNSサーバーの設定不備によるものだけでなく、ブロードバンドルーターなどのネットワーク機器に組み込まれているリゾルバーが、意図せずインターネットからアクセス可能になっているケースもあります。

JPCERTコーディネーションセンターが運用する「オープンリゾルバー確認サイト」に、ウェブブラウザでアクセスすると、自身の利用する環境がオープンリゾルバーとして機能していないか、適切な設定や対策が施されているかを確認できます。設定されているDNSサーバーやブロードバンドルーターが、オープンリゾルバーと判定されたときは、設定を見直しましょう。

■JPCERTコーディネーションセンター「オープンリゾルバー確認サイト」■
https://www.openresolver.jp/

2)セキュリティパッチの適用

サーバーやネットワーク機器の脆弱性を放置すると、攻撃者にマルウェアを仕掛けられ、DDoS攻撃の踏み台として悪用される恐れがあります。

OS、ミドルウェア、アプリケーションの定期的なアップデートが欠かせません。ベンダーからセキュリティパッチがリリースされたら、速やかに適用し、脆弱性が含まれるプログラムや設定を更新・修正しましょう。

3)フィルタリングの設定

正常な通信パケットでは、ヘッダー部分にあるIPアドレスは送信者のアドレスになっています。このIPアドレスを書き換えた詐称パケットで相手先に接続を試みるのが、「IPスプーフィング」と呼ばれる手法です。

ルーターやファイアウォールにおいて、送信元IPアドレスが詐称されているパケットをフィルタリングすることが求められます。

4 参考

■みんなで守る、IoT。NOTICE■
https://notice.go.jp/
■情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所「NICTER Atlas」■
https://www.nicter.jp/atlas

以上(2026年4月作成)

pj60383
画像:DAIN-Adobe Stock

【書籍ダイジェスト】『となりの陰謀論』

本書は、陰謀論の存在感が増す社会において、なぜこうした考え方が生まれ、広がり、力を持つようになってきたのかを考察している。
陰謀論とは、世の中の問題について、不確かな根拠のもとに「誰かの陰謀である」と決めつける考え方を指す。昔からあり、誰もがそうした考え方をする素質を持っているものだという。しかし、インターネットの出現によって陰謀論の世界は激変し、アクセスも容易になった。陰謀論は無視するのではなく、政治がそれらとどう関わっていくのかに目をこらしていく必要があるようだ。

書籍ダイジェストは、こちらからお読みいただけます。pdf

【新人経理必見】 簿記を使って、会社の取引の全体像をイメージしてみよう

1 経理担当者の基礎は簿記

財務諸表を作成するには、勘定科目とその処理方法を知る必要があります。そのために必要なのが、簿記の知識です。全ての取引を仕訳し、項目ごとに集計したものが財務諸表となるからです。取引を見たとき、会計上、どのように処理されるのかをすぐに判断するためにも、項目ごとの仕訳のパターンをイメージできるようになることが大切です。また、財務諸表の項目から仕訳をイメージすることでも、数値に変化があったときの分析に役立ちます。

この記事では、新人経理担当者向けに

  • 複式簿記の基本“貸方”と“借方”の考え方
  • 貸借対照表の表示区分ごとの各勘定の処理方法

を紹介します。

なお、簿記には、収入と支出のみを記録する簡易的な単式簿記と、収入と支出だけでなく、資産および負債の増減も含めて記録する複式簿記がありますが、この記事では複式簿記を前提に説明をしていきます。

2 複式簿記の基本“貸方”と“借方”の考え方

簿記は、企業の活動を記録するものです。例えば、商品を現金で仕入れれば、商品(資産)が増え、現金(資産)が減ります。

また、商品を現金で販売した場合、売上高(収益)が増え、現金(資産)も増えると同時に、商品(資産)が減り、売上原価 (費用)が増えます。複式簿記は、こうした

出ていく財貨と入ってくる財貨といった、2つの流れを同時に記録

します。

勘定は借方(かりかた) と貸方(かしかた)の2つに分けることができます。貸借対照表の左側(資産の部)の科目が借方勘定で、右側(負債の部と純資産の部)の科目が貸方勘定です。また、損益計算書の収益・利益に当たるのが貸方勘定で、費用・損失に当たるのが借方勘定です。

貸借対照表で見ると、貸借対照表の右側は負債の部と純資産の部ですが、これは企業活動に必要な資金の調達方法を表しています。この資金を左側の資産の部にあるさまざまな資産の形で運用します。

貸借対照表と損益計算書

簡単な簿記の仕訳例を見ながら、どのように各勘定に反映されるのかを見てみましょう。

仕訳例

  • 現金及び預金勘定は10万円の増加 (-10万円+20万円)
  • 仕入勘定は25万円の増加 (+10万円+15万円)
  • 売上勘定は45万円の増加 (+20万円+25万円)
  • 買掛金勘定は15万円の増加
  • 売掛金勘定は25万円の増加

仕訳後の各勘定の状態

勘定科目の内容は、貸方と借方に分かれます。各勘定科目の金額の増減は、次のようになります。

  • 貸方勘定の金額の増加は貸方に記帳、減少は借方に記帳
  • 借方勘定の金額の増加は借方に記帳、減少は貸方に記帳

以降では、貸借対照表の表示区分ごとの、主な勘定科目の処理方法を説明していきます。

3 流動資産

1)流動資産に含まれるもの

流動資産に含まれるものは、次の通りです。

現金及び預金、受取手形、売掛金、有価証券、商品及び製品(棚卸資産)、前渡金、前払費用、未収収益、未収入金など

2)売上債権と貸倒引当金

売上債権の仕訳例

受取手形と売掛金は売上債権といいますが、これらは必ずしも現金化できるとは限りません。こうした債権には貸し倒れリスクがついて回るからです。例えば、売掛金の期末残高が1000万円あり、このうちの2%程度が貸し倒れになるリスクがあると過去の実績から判断した場合は、20万円(1000万円×2%)の貸倒引当金を設定します。

貸倒引当金の仕訳例

貸倒引当金の仕訳例

3)棚卸資産

商品は、仕入れて保有している段階では資産です。その商品を販売して初めて売上原価(費用)となります。売上原価は次の式で算出されます。

期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高=売上原価

この期末商品棚卸高が貸借対照表の流動資産の棚卸資産を構成します。また、これが翌期の期首商品棚卸高となり、翌期以降に費用となって売上原価を構成することになります。

例えば、期首商品棚卸高200万円、当期商品仕入高1000万円、期末商品棚卸高100万円の場合、当期の売上原価は次の通りです。

当期の売上原価=200万円+1000万円 100万円=1100万円

期末商品棚卸高100万円が流動資産に表示されます。

4)前渡金、前払費用、未収収益、未収入金

1.前渡金

前渡金は商品や原材料などの仕入れや外注加工などの発注に際し、代金の一部または全部を、物品の受け入れや外注加工の完了前に交付した場合、その金額を一時的に処理する勘定です。前払金、手付金ともいわれます。前渡金は金銭債権ではなく物品やサービスの給付請求権となるため、貸倒引当金を設定できません。

仕訳例

2.前払費用

前払費用は、一定の契約に基づいて、継続して役務やサービスの提供を受ける場合、決算日においてまだ提供されていない役務やサービスに対して事前に支払った対価のことです。未経過の支払利息、賃借料などがこれに当たります。

仕訳例

これにより、翌期分の費用を翌期に繰り延べることができます。

3.未収収益

未収収益は、一定の契約に基づいて、継続して役務やサービスの提供を行う場合、決算日において既に提供した役務やサービスに対してまだ受領していない対価のことです。未収の受取利息、賃貸料などがこれに当たります。

仕訳例

これにより、当期分の収入を見越して当期の収益を計上することができます。

4.未収入金

未収入金は、売掛金以外の固定資産、有価証券売却代金などの本来の事業目的以外の財貨やサービスを提供した場合の代価の未収額を処理する勘定です。

仕訳例

4 固定資産

1)固定資産に含まれるもの

固定資産には有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産が計上されます。それぞれに含まれるものは、次の通りです。

  • 有形固定資産:建物、機械装置、車両運搬具、土地など
  • 無形固定資産: ソフトウエア、のれん、借地権、工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)など
  • 投資その他の資産投資有価証券、関係会社株式など

2)有形固定資産の減価償却

減価償却費は、営業費用の一部として損益計算をする上で費用計上されます。減価償却累計額は固定資産勘定を間接的に減額する評価勘定です。減価償却累計額は、土地などの非償却資産を除く固定資産の減価償却費の累計額です。固定資産取得価額から減価償却累計額を差し引いた価額が、償却資産の未償却残高(帳簿価額)となります。

ここでは次の前提条件で「定額法償却」について説明します。

前提条件:期首に機械装置を100万円で購入。耐用年数は10年

定額法による場合、各年度の減価償却費は次の式で算出されます。

  • 各年度の減価償却費=「取得価額×償却率」 (耐用年数ごとに定められている定額法の率)
  • 各年度の減価償却費=「取得価額×償却率」 「100万円×0.1」(耐用年数10年の場合の償却率)=10万円

また、期首資産価額、減価償却費、期末資産価額は次のように推移します。資産は備忘価額1円を残して、10年間で99万9999円を償却します。

減価償却

減価償却累計額は、原則的には貸借対照表の有形固定資産を間接的に減額する評価勘定として表示され、減価償却費は、損益計算書において営業費用として処理されることになります。

仕訳例

有形固定資産の貸借対照表での表示は、次の通りです (5年度の期末)。

仕訳例

3)投資その他の資産

投資その他の資産は、投資有価証券、関係会社株式、関係会社出資金、破産更生債権等、投資不動産などで構成されています。

例えば、取引先の経営状況が悪化して、会社更生法や民事再生法などの適用を受けることになった場合、通常の売掛金と区別するため、次のような会計処理を行い、投資その他の資産の欄に計上されるようになります。

仕訳例

5 繰延資産

繰延資産とは、支出の効果が将来にわたるため、一旦「資産」として計上し数年で費用化するものです。例えば、会社設立のための創業費、開業費、株式発行費などが分類されます。

会計処理では、資産勘定から直接償却額を差し引く直接控除方式が基本です。貸借対照表には未償却残高のみが記載され、減価償却のように累計額を別記せず直接削るのが特徴です。

6 流動負債

1)流動負債に含まれるもの

負債の部は流動負債と固定負債に分けられます。

流動負債には、次のようなものが含まれます。

支払手形、買掛金、短期借入金、リース債務、前受金、前受収益、未払金、未払費用など

2)支払手形、買掛金

仕訳例

3)前受金、前受収益、未払金、未払費用

1.前受金

前受金は商品や原材料などの仕入れや外注加工などの受注に際し、代金の一部または全部を、物品の出荷や外注加工の完了の前に受け取った場合、その金額を一時的に処理する勘定です。前受金は金銭債務というよりも、物品やサービスの給付債務となります。

仕訳例

2.前受収益

前受収益は、一定の契約に基づいて、継続して役務やサービスの提供を行う場合、決算日においてまだ提供していない役務やサービスに対して事前に受領した対価のことです。未経過の受取利息、賃借料などがこれに当たります。

仕訳例

これにより翌期分の収益を翌期に繰り延べることができます。

3.未払金

未払金は、固定資産、有価証券購入代金などの本来の事業目的以外の財貨やサービスの提供を受けた場合の代価の未払分を処理する勘定です。

仕訳例

4.未払費用

未払費用は、一定の契約に基づいて、継続して役務やサービスの提供を受ける場合、決算日において既に提供を受けた役務やサービスに対してまだ支払っていない対価のことで、未払いの支払利息、保険料、賃借料、リース料などです。

仕訳例

これにより当期分の正しい費用を計上することができます。

4)借入金

借入金は、金銭消費貸借契約により金銭を借り入れた場合に生じる債務です。この借入金は、返済期限までの期間によって次のように分類します。

  • 短期借入金:決算日から1年以内に返済期限の到来するもの
  • 長期借入金:決算日から1年を超えて返済期限の到来するもの

短期借入金の借り入れから返済までの取引の仕訳を見てみましょう。

仕訳例

また、短期借入金、長期借入金は、もし役員からのものや、親会社からのものがあれば、それぞれを区分して計上しなければなりません。

仕訳例

7 固定負債

固定負債は、社債、長期借入金、退職給付引当金などで構成されています。ここでは、社債の発行について説明します。

社債は、資金を調達するために社債券という有価証券を発行することによって生じる企業の銀行から100万円を短期で借り入れました。

仕訳例

社債発行費の償却を60カ月(運用終了までの期間5年)とした場合、社債発行費の償却、社債の額面と簿価の差額は×6年3月31日に解消します。

×6年3月31日に社債を運用終了した際の仕訳例は次の通りです。

仕訳例

8 純資産の部

1)純資産の部の表示項目

純資産の部は、株主資本、評価・換算差額等、新株予約権に区分されます。

さらに、株主資本と評価・換算差額等は次のように分けられます。

  • 株主資本:資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式
  • 評価・換算差額等:その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、土地再評価差額金

会社計算規則に基づいた純資産の部の表示項目は次の通りです。

仕訳例

2)増資の仕訳

株主総会決議に基づく取締役会の決議により、株式1000株を第三者に割当増資する(新株を割り当てること)ことになりました。

発行価額は1株につき7万円、1株当たり2万円を資本金に組み入れないことにし、かつ発行価額と同額の申込証拠金を受け入れることにしました。また、申込期日までに全額が払い込まれました。

仕訳例

3)利益配当

株主総会において、次の配当を決議しました。

  • 配当金:1000万円
  • 利益準備金:100万円

この場合の仕訳例は次の通りです。

仕訳例

4)自己株式

自己株式を1000万円で取得しました。

仕訳例

仕訳例

自己株式1000万円を1100万円で売却しました。

仕訳例

自己株式処分差益は、純資産の部のその他資本剰余金となります。

仕訳例

以上(2026年4月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

pj00000
画像:takasu-Adobe Stock

中小企業が「標的型攻撃」の踏み台にならないための多層防御とは

1 油断大敵! あなたの会社もサイバー攻撃のターゲットに

「標的型攻撃」は、

特定の企業や組織をターゲットとして、機密情報や知的財産、アカウント情報(ID、パスワード)などを窃取しようとするサイバー攻撃

です。中国や北朝鮮といった国家を背景とする犯行グループの関与が疑われる事案も後を絶ちません。

IPA(情報処理推進機構)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」では、「機密情報を狙った標的型攻撃」が、初選出の2016年から11年連続で組織向け脅威として取り上げられており、2026年には第5位にランクインしています。

情報セキュリティ10大脅威

「うちは中小企業で、狙われるような機密情報もないし、関係ないだろう」と、仮にあなたがそう考えているのであれば、その認識は甘いと言わざるを得ません。

なぜなら、第1位の「ランサム攻撃による被害」、第2位の「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」などの端緒は、標的型攻撃メールなどによる侵入のことも多く、大企業に対する攻撃の踏み台として、「取引先である中小企業」が標的にされることもあるからです。巧妙な標的型攻撃を100%防ぐことは不可能です。

この記事では、標的型攻撃の主な手法を知った上で、ネットワークに侵入されることを前提とした「多層防御」の考え方について解説します。

2 標的型攻撃の主な手法

1)標的型攻撃メール

標的型攻撃の侵入経路として多く使われるのは、今なお、電子メールです。この「標的型攻撃メール」の手法は、簡単に言うと、

添付ファイル(Word、Excel、PDF、Zipなど)の開封や本文中のURLリンクのクリックを促すことで、マルウェアに感染させるもの

ですが、メール受信者の心理的な隙を突くために、手口が非常に巧妙化しています。

例えば、実在の取引先、上司や同僚、公的機関(税務署・保健所など)になりすましたり、採用応募や問い合わせをかたったりした、不審なメールを受信したことのある人も多いのではないでしょうか。

ここ数年は、AIの技術がすさまじい速度で発展しており、「不自然な日本語に気を付ける」といった、メールを読んだときの違和感による真偽の見極めは、通用しなくなってきています。

2)不正アクセス

攻撃者が何らかの方法でネットワークに不正アクセスし、追加の認証情報の窃取や不正アカウントの作成、バックドアの設置などを行い、「踏み台」として使うものです。

コロナ禍を経てよく見られるのが、テレワークのために設置したVPN機器が初期設定のままだったり、リモートデスクトッププロトコル(RDP)のポートがインターネットに公開されていて、簡単なパスワードだったりするケースです。そうすると、総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)によって容易にネットワークに侵入されてしまいます。

3)ウェブサイトの改ざん(水飲み場型攻撃)

ターゲットが信頼している場所(=水飲み場)で待ち伏せする手口です。例えば、業界団体のニュースサイトなど、情報収集の目的でよく閲覧するウェブサイトがあったとします。そのウェブサイトのセキュリティ対策が甘いと、サイトが改ざんされ、マルウェアを仕掛けられて、そのサイトにアクセスするだけで、マルウェアに感染してしまう恐れがあります。

3 多層防御の考え方

情報システムのセキュリティ対策は、旧来、攻撃者による侵入をネットワークの入り口で防ぎ切れるという考えの下で、入り口対策に重きが置かれてきました。しかし、標的型攻撃は、入り口対策だけでは防ぎ切れません。メールフィルタリングやウェブフィルタリング、マルウェア対策ソフトの利用といった基本的な入り口対策に、内部対策、出口対策を重ね、一つの層が破られても別の層で守られるという、「多層防御」の考え方が重要です。

1)入り口対策

自社が管理するネットワーク、システムや端末などと、インターネットなどの外部環境との接続点で、不正な通信が入り込むことを防ぐ対策です。先に述べた基本的なメールフィルタリングやウェブフィルタリング、マルウェア対策ソフトの利用の他に、次のような対策が考えられます。

  • 多要素認証(MFA):VPNやRDP、クラウドサービスへのアクセスには、ID/パスワードだけでなく、MFAを必須とし、不正ログインを防ぎます。
  • パッチ管理:OSやソフトウェア、特にVPN機器などの脆弱性をなくすためのセキュリティパッチを、迅速かつ確実に適用します。

また、「標的型攻撃メール訓練」も有効です。標的型攻撃メールを疑似的に再現したメールを従業員に対して送信し、その開封状況や万が一、引っかかってしまった際の対応策が、会社のルールにのっとってきちんと実施できているか、などを可視化できます。

2)内部対策

入り口対策をすり抜けた不正な通信に対して、内部ネットワーク環境に保存・設置されている機密情報やシステム等に対する、攻撃の予兆などを検知・隔離するものです。次のような対策が考えられます。

  • ふるまい検知:旧来のマルウェア対策ソフトは、パターンファイルにマッチする既知のウイルスを検出するものでした。ふるまい検知は、プログラムの挙動から悪意のあるマルウェアを検出する仕組みで、「不審な動作」をしているかどうかを監視するため、データベースに登録されていない新種のマルウェアにも対応可能です。
  • EDR(Endpoint Detection and Response):PCやサーバーの「エンドポイント」でプログラムの動作などを監視し、その動きによってウイルスの感染を検知し、情報収集・調査や感染PCの遠隔隔離などをすることで、リスクを最小限に抑えるものです。
  • XDR(Extended Detection and Response):EDRの情報に加え、ネットワーク機器やクラウドのログも相関的に分析し、より高度な脅威検知を実現します。

また、アクセス権限の適切な設定も重要です。本来の目的に必要な最低限の権限しか与えない、「最小特権の原則」を守るようにしましょう。

3)出口対策

組織内から重要な情報が外部に送信される段階で、被害を食い止める対策です。次のような対策が考えられます。

  • 社外へのアクセス経路の制限:社内ネットワークとインターネットの間にプロキシサーバーを配置し、通信を仲介することで、有害なコンテンツや不正な宛先への通信を遮断します。
  • WAF(ウェブ Application Firewall)の導入:WAFは、アプリケーションレベルで通信の中身を解析し、特定の条件にマッチする通信を検知・遮断します。

また、万が一、データが流出してしまっても情報にアクセスできないよう「データを暗号化」しておくことや、いつ、何が起きたのか調査し対策を講じるために、サーバーやウェブアプリケーションなどの「ログを記録」しておくことも重要です。

4 対策の定期的な見直しが不可欠

中小企業が「標的型攻撃」の踏み台にならないためには、多層的な防御策を講じることが求められます。「入り口」「内部」「出口」の各所で、それぞれの対策が連携して機能することで、初めて効果を発揮します。

そして、セキュリティを取り巻く環境は常に変化します。新たな脅威に対応するため、定期的に対策を見直し、改善していく継続的な取り組みが不可欠です。

5 参考

■国民のためのサイバーセキュリティサイト「標的型攻撃への対策」■
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/business/staff/04/
■国民のためのサイバーセキュリティサイト「電子メールとウェブサイトにおける対策」■
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/business/admin/05/

以上(2026年4月作成)

pj60382
画像:WM-WoodenMannequin–Adobe Stock

【新人経理必見】 損益計算書と貸借対照表の基本を押さえよう

1 財務諸表の基本となる損益計算書と貸借対照表

一定期間の経営状態や財務状況を示す財務諸表。その中でも、

損益計算書と貸借対照表は会社の決算時に、企業規模を問わず全ての会社で作成が求められる重要な書類

です。損益計算書は1年間の事業の成果を表します。また、貸借対照表は現在の財務状態を表すものという違いがあります。

これらは株主や税務署など、外部への申告書類としてはもちろん、社員が自社の経営状態を把握するためにも欠かせない書類です。そのため、決算業務に携わる担当者はそれぞれの内容をよく理解しておく必要があります。

この記事では、損益計算書と貸借対照表について勉強したい新人経理担当者向けに、それぞれの概要と、仕入れや販売などで財政状態の変化がどのように表れるのかを見ていきます。

2 損益計算書の概要

1)損益計算書とは

損益計算書は

一定期間の企業の経営成績を表すもの

です。一番上の「売上高」から費用を引いていき、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つの利益を求める構造になっています。

図表1【損益計算書のイメージ】

2)5つの利益の見方

1.売上総利益

「売上高」から「売上原価」を引いた金額が「売上総利益」として表示されます。この金額がマイナスになるときは「売上総損失」として表示されます。

2.営業利益

「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」の合計額を引いた金額が「営業利益」として表示されます。この金額がマイナスになるときは「営業損失」として表示されます。

3.経常利益

「営業利益」に「営業外収益」を加算し、「営業外費用」を引いた金額が「経常利益」として表示されます。この金額がマイナスになるときは「経常損失」として表示されます。

4.税引前当期純利益

「経常利益」に「特別利益」を加算し、「特別損失」を引いた金額が「税引前当期純利益」として表示されます。この金額がマイナスになるときは「税引前当期純損失」として表示されます。

5.当期純利益

「税引前当期純利益」から「法人税、住民税及び事業税」を引いて、さらに「法人税等調整額」を加減した金額が「当期純利益」として表示されます。この金額がマイナスになるときは「当期純損失」として表示されます。

3 貸借対照表の概要

1)貸借対照表とは

貸借対照表は

企業の期末日など、一定時点の財政状態を表すもの

です。財政状態とは資金の運用と調達の状況を表します。また、資産合計と負債・純資産合計は同じ金額となります。

図表2【貸借対照表のイメージ】

貸借対照表は、資産の部、負債の部、純資産の部で構成されています。貸借対照表の左側が資産の部、右側が負債の部と純資産の部となります。

左側の資産の部は、資金の運用状況を表しています。右側の負債の部と純資産の部は、資金の調達状況を表しています。分かりやすくいえば、負債の部は借入金などによる資金調達を表しています。また、純資産の部のうち、株主資本は出資者からの出資による資金調達を表しています。

図表3【資金の運用と調達】

資産の部は、流動資産、固定資産、繰延資産に分けられます。固定資産はさらに有形固定資産と無形固定資産、投資その他の資産に分けられます。

負債の部は流動負債、固定負債に分けられ、純資産の部は株主資本、評価・換算差額等、新株予約権に分けられます。

図表4【資産・負債・純資産の構成科目】

2)資産の部

資産の各科目は現金及び預金、受取手形、建物その他の資産の性質を示す適当な名称を付した科目に細分しなければなりません。

1.流動資産

流動資産は、現金や当座預金、普通預金などの最も流動性の高い資産を筆頭に、売掛金や受取手形など営業に関係する債権、商品などの棚卸資産、1年以内に回収が見込まれる営業外の短期貸付金などの債権も含まれます。

商品などの棚卸資産は、仕入れた段階では費用ではなく、資産扱いとなります。その後、販売された分を費用として計上します。

売掛金などの債権には、取引先の倒産などで回収不能が予想される分を貸倒引当金として計上します。例えば、売掛金が100万円あり、このうち5%程度が回収不能になることが予想される場合、5万円(100万円×5%)を貸倒引当金として流動資産の部にマイナスの金額として計上します。

図表5【流動資産】

2.固定資産

固定資産は、次のように分けられます。

  • 有形固定資産(建物や機械装置、工具器具備品、車両運搬具、土地など)
  • 無形固定資産(ソフトウエア、特許権、借地権、のれんなど)

固定資産は、取得時に資産に計上しますが、建物にしても機械装置にしても、時間が経つにつれて劣化(価値が減少)していきます。この劣化分を考慮して、毎期、減価償却費を計上して、劣化する部分を費用計上していきます。

例えば、取得価額100万円の備品を5年かけて定額法で償却する場合、毎期の減価償却費は次の式で計算できます。

減価償却費=取得価額×償却率(耐用年数ごとに定められている定額法の率)

20万円=100万円×0.200(耐用年数5年の場合の償却率)

従って、取得から丸3年が経過した上記の備品は、次のように表示されます。

図表6【固定資産】

減価償却累計額とは、毎年の減価償却費の累計額(60万円=20万円×3年)をいいます。

または、固定資産の備品を次のように表示し、減価償却累計額を貸借対照表の下に注記事項とすることもできます。

図表7【固定資産】

無形固定資産(のれんなど)は、償却額を控除した残額を記載します。

なお、有形固定資産の償却は帳簿価額が1円になった時点で償却(耐用年数の最後の年の減価償却費は「帳簿価額-1円」)を終えますが、無形固定資産は帳簿価額が0円になるまで償却します。

2.投資その他の資産

投資その他の資産は、流動資産、有形固定資産、無形固定資産または繰延資産に属さないものが分類されます。例えば、満期まで1年超の定期預金、長期貸付金、投資有価証券、関係会社株式、破産債権、更生債権などがあります。

3.繰延資産

繰延資産とは、支出の効果が将来にわたるため、一旦「資産」として計上し数年で費用化するものです。例えば、会社設立のための創業費、開業費、株式発行費などが分類されます。

会計処理では、資産勘定から直接償却額を差し引く直接控除方式が基本です。貸借対照表には未償却残高のみが記載され、減価償却のように累計額を別記せず直接削るのが特徴です。

3)負債の部

負債の部は、流動負債、固定負債に区分されます。負債の各科目は、支払手形、買掛金、社債その他の負債の性質を示す適当な名称を付した科目に細分しなければなりません。

1.流動負債

買掛金、支払手形その他の営業取引によって生じた金銭債務は、流動負債に記載しなければなりません。

借入金その他の営業取引によって生じた金銭債務以外の金銭債務で、その履行期が決算期後1年以内に到来するもの、または到来すると認められるものは、流動負債に記載しなければなりません。

2.固定負債

流動負債に記載した金銭債務以外の金銭債務は、固定負債に記載します。

4)純資産の部

純資産の部は「株主資本」「評価・換算差額等」「新株予約権」に区分されます。

さらに、それぞれ次のように区分されます。

1.株主資本

  • 資本金:会社設立時の出資金や増資払込などの金額です
  • 資本剰余金:株主が払い込んだお金のうち、資本金に含まれなかった金額です
  • 利益剰余金:会社の活動によって得た利益のうち、社内に留保している金額です
  • 自己株式:会社が買い取った自社株式の金額です

2.評価・換算差額等

  • その他有価証券評価差額金:売買目的有価証券や満期保有目的債券、子会社および関連会社株式以外の有価証券を期末に時価評価した場合の評価差損益の税効果分を除いた金額です

  • 繰延ヘッジ損益:先物取引やオプション取引について、期末時点での時価評価による差額を翌期以降に繰り延べるときに使います
  • 土地再評価差額金:土地の再評価に関する法律に規定されている、再評価差額金です

3.新株予約権

  • 投資家などに会社が発行する株式の交付を受けることができる権利を発行し、払込を受けた代金です

会社計算規則に基づいた純資産の部の表示科目は次の通りです。

図表8【純資産の部の表示科目】

4 財政状態の説明

貸借対照表の理解を深めるため、財政状態の変化について、複式簿記の知識がない人でも分かるような簡易な例で説明します。

1)財政状態1(資本金1000万円を現金で保有しているときの財政状態)

図表9【財政状態1】

2)財政状態2(200万円を借り入れ、それを現金で保有しているときの財政状態)

図表10【財政状態2】

3)財政状態3(商品100万円を現金払いで仕入れたときの財政状態)

図表11【財政状態3】

4)財政状態4(土地400万円を現金払いで取得したときの財政状態)

図表12【財政状態4】

5)財政状態5(建物300万円を現金払いで取得したときの財政状態)

図表13【財政状態5】

6)財政状態6(商品200万円を掛けで仕入れたときの財政状態)

図表14【財政状態6】

7)期末の財政状態

最後に、商品200万円を400万円で販売し、買掛金100万円、販売費100万円、借入金の利息10万円を支払ったところで決算日を迎えたときの財政状態は次の通りです。なお、建物の減価償却費10万円を計上しています。

図表15【期末の財政状態】

損益計算書の当期純利益が貸借対照表の純資産の部の繰越利益剰余金に加算され、期末における企業の財政状態が示されます。貸借対照表は資産の合計額と負債・純資産の合計額が一致します。

以上(2026年4月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

pj35013
画像:ururu-Adobe Stock

【管理会計】その選択をしなかった場合の結果を「機会費用」として検討する

1 質問: まだ確定していない注文を見込むべきか?

自社の商品Aをいくつ製造するか決めたいと思っています。既にB社から5000個の発注を受けていますが、営業担当者によるとB社以外からも5000個の注文をもらえる可能性があるとのこと。さぁ、選択です。

B社向けに5000個だけ製造するか、B社以外の販売も見込んで1万個製造するか

営業担当者が“いける”というのなら、B社以外の販売先の注文も受けたいものですが、もし注文がこなかったらと心配になります。こうしたシーンに直面することはよくあるので、判断の基準をご紹介します。

2 「機会費用」という感覚を持つ

「機会費用」とは、

ある選択をした場合に、選ばなかった別の選択をすることで得られた利益

のことです。商品Aの販売単価は1000円、製造原価は700円です。5000個だけ製造することを選んだ場合、B社以外の販売先に5000個販売することで得られたはずの利益150万円(=5000個×利益300円)が機会費用です。

機会費用は「収益の最大化」を意識して検討します。例えば、営業担当者がB社以外の販売先を複数見込んでおり、有力な先もあるのであれば、1万個の製造を選択しやすくなります。さらに大量生産で製造単価も下がるならなおさらです。

反対に、有力な見込み先がなく、製造単価も削減できないなら、5000個だけ製造してB社に売り切ったほうがよさそうです。在庫リスクはなく、営業担当者も他の商品の営業に注力できるので、商品Aの機会費用はなくなります。

3 機会費用を意識した優先順位

もう1つ、機会費用を検討するトレーニングをしましょう。

営業先にC社とD社とがあります。C社は過去に取引実績があり、要求も厳しくありません。競合他社も存在しないので、商談はスムーズに進むでしょう。C社で期待できる利益は400万円です。一方、D社は新規であり、要求はかなり複雑です。競合他社も多数存在するので、受注できるか分かりません。しかし、D社で期待できる利益は1200万円と、C社の3倍です。

C社かD社のいずれか1社としか取引ができないとすると、皆さんはどう判断しますか?

リスクを低減するならC社を優先して400万円を獲得します。800万円の機会費用が発生しますが、営業上のトラブルや、D社に対応することでリソースが割かれ、他の営業先に悪影響が生じることはありません。

反対にD社を選択する場合は何を考えるでしょうか。1200万円の利益は魅力的で、D社の要求に応えるための努力 (技術やノウハウ) は自社の財産になるかもしれません。競合他社に敗れても、将来に向けたビジネスの可能性が広がります。

これは単純な例ですが、機会費用を意識することでより深く検討できます。

4 後ろ髪を引かれても「サンクコスト」は気にしない

管理会計では「サンクコスト(埋没費用)」という考え方も重要です。サンクコストとは、

既に投資したコストや時間など

を指すものです。例えば、人気のラーメン店の行列に並んでいるとき、

予定より待ち時間が長くておなかペコペコだけど、ここまで待ったのだから我慢する

と、それまでのコストや時間を考慮するのがサンクコストの典型です。気持ちは分かりますが、意思決定においては、既に支払っているサンクコストは考慮しないのがセオリーです。そのため、

おなかペコペコなので、別の店にいく。ここまで待った時間は意識しない (諦める)

と、判断します。

ビジネスに話を戻しましょう。ビジネスでは常に撤退プランが準備されています。「これはやるべきではないかもしれない」 「無駄かもしれない」と気付いたとき、それまで費やしたコストや時間を考慮せず、素早く撤退の判断したほうがよいのです。

5 練習問題

(問題1)

商品Aの販売単価は1000円、製造単価は1~5000個では700円、5001~1万個では690円の商品があります。

B社以外への販売を考慮せず、5000個だけ製造しました。しかし、B社以外から5000個受注したとすると、機会費用はいくらになるでしょうか? なお、商品Aを販売する際の販売費及び一般管理費などは考慮しません。

(問題1の回答)

1万個製造する場合、5000個までの製造単価は700円、残り5000個は690円で作れます。この場合、B社以外に追加で5000個販売したときの機会費用は次の通りです。

155万円=(1000円-690円) ×5000個

(問題2)

商品Aの販売単価は1000円、製造単価は1~5000個までは700円、5001~1万個では690円の商品があります。

B社以外への販売を見込み、1万個製造しました。ところが、B社以外に納品する前に1000個に欠陥があることが判明し、1000個を追加で製造しました。また、納期が遅れたため、この1000個の販売単価を1000円から990円に値下げしました。一方、作り直し分の製造単価は680円に抑えることができました。

B社への5000個、B社以外への5000個は、全て販売できたものとした場合、作り直しが発生しなかった場合と比較してどう違うでしょうか?

(問題2の回答)

答えは以下の通りです。

マイナス69万円(=236万円-305万円)

1.1000個の作り直しが発生した場合の利益 (236万円)

  • 売上高(a):999万円=1000円×9000個+990円×1000個
  • 製造原価(b):763万円=700円×5000個+690円×5000個+680円×1000個
  • 利益(a-b):236万円=999万円-763万円

2.作り直しが発生しなかった場合の利益 (305万円)

  • 売上高(a):1000万円=1000円×1万個
  • 製造原価(b):695万円=700円×5000個+690円×5000個
  • 利益(a-b):305万円=1000万円-695万円

以上(2026年4月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人税理士 安積健)

pj00277
画像:kapinon-Adobe Stock

ストレスチェックの対象は全企業へ!47項目の実務チェックリスト

1 いよいよ中小企業でも、ストレスチェック制度が義務に!

ストレスチェック制度とは、

社員が所定の質問に答えて自身のストレス状態を把握する「ストレスチェック」や、高ストレス者に対する「医師による面接指導」などの一連の施策のこと

です。現状、社員数が常時50人以上の会社は、年1回以上、ストレスチェック制度を実施する義務があります。これまでは常時50人未満の会社については現状努力義務でしたが、昨今のメンタルヘルス不調の増加などを受けて、

常時50人未満の会社においても、2025年5月14日から3年以内に、ストレスチェック制度の実施が「義務化」

されることになりました。

そのような状況となりましたので、中小企業も今のうちから義務化に向けた準備を進める必要があります。ただ、注意しなければならないのは、「健康診断と違って社員に受検を強制できない上に、受検結果も社員の同意がないと取得は不可」などストレスチェック制度特有のルールがあり、場当たり的に取り組むと法令違反や実務の抜け漏れが起きかねないという点です。

そこで、この記事では、

ストレスチェック制度で最低限押さえるべき47項目の実務チェックリスト

を紹介します。ストレスチェック制度を実施する前に、この記事の実務チェックリストを確認してみてください。

なお、厚生労働省では、ストレスチェック制度の実施が全企業で義務化されることを受け、「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表していますので、こちらもご確認ください。また、ストレスチェック制度の実施に当たって疑問や悩みがある場合は、労働者健康安全機構の「ストレスチェック制度サポートダイヤル」などもご利用ください。

厚生労働省「『小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル』を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_69680.html
労働者健康安全機構「ストレスチェック制度サポートダイヤル」
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/helpline/tabid/1008/Default.aspx

2 これだけは押さえる! 実務チェックリスト47項目

ストレスチェック制度を実施する際は、次のチェックリストを実務の抜け漏れ防止にご活用ください。

チェックリストは、こちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

(図表)【ストレスチェック制度の実務チェックリスト47項目】

区分 項目 チェック
会社の
現状
常時50人以上の社員(パート等や派遣社員を含む)がいますか?(50人以上いる場合、現時点でストレスチェック制度の実施は義務。50人未満の場合も、2025年5月14日から3年以内に実施は義務になります)  
ストレスチェック制度の対象になる社員を雇用していますか?(正社員、所定労働時間が正社員の4分の3以上かつ1年以上雇用見込みがあるパート等)  
ストレス
チェック
実施者は決まっていますか?(医師・保健師、研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師)  
実施事務従事者(実施者の補佐役)は決まっていますか?(会社の労務担当者(直接的な人事権を持たない者)など。衛生推進者や安全衛生推進者の選任義務のある50人未満の事業場は、当該者を担当とすることが望ましい)  
実施者と実施事務従事者は社内に周知されていますか?  
ストレスチェックの受検は努力義務になっていますか?(受検を強制するのは違法)  
ストレスチェックの受検をどのように社員に勧奨するか決まっていますか?(書面、メールなど)  
実施時期と頻度は決まっていますか?(年1回以上。定期健康診断などの時期に合わせることも可)  
実施媒体は決まっていますか?(書面、ICTなど。併用も可)  
質問項目(調査票)は決まっていますか?(厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」など)  
質問項目に「性格検査」「適性検査」「うつ病検査」などが含まれていませんか?(ストレス状態の把握が目的なので、目的に関係ない項目は除外)  
ストレスの程度の評価方法や高ストレス者の選定方法・基準は決まっていますか?(厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」など)  
社員に提供する受検結果の内容は決まっていますか?(ストレスの特徴・傾向、ストレスの程度、医師による面接指導の要否は必ず通知)  
実施者から社員への受検結果の提供方法は決まっていますか?(書面、メール、ICTで受検する場合は受検終了後に画面に表示するなど)  
受検結果が他人に類推されないように配慮していますか?(「高ストレスの社員だけに、職場で受検結果を配布する」などの方法は不適当)  
会社が実施者から受検結果を取得する場合、社員から同意を得るようになっていますか?(同意がなければ、受検結果の取得は不可)  
受検結果の取得について、社員から同意を得る方法は決まっていますか?(書面、メールなど。衛生委員会の合議などで包括的に同意を得るのは不可)  
受検結果を誰が保存するか決まっていますか?(実施者、実施事務従事者、会社(社員から同意を得た場合))  
受検結果をどこに保存するか決まっていますか?(社内サーバー、キャビネット、委託先である外部機関の保管場所など)  
受検結果を何年保存するか決まっていますか?(会社が保存する場合、5年間(義務)。実施者などが保存する場合も5年間が望ましい)  
第三者に見られないよう、受検結果の管理体制を整えていますか?(システムへのログインパスワードの管理、キャビネットの鍵の管理など)  
ストレスチェックを外部に委託する場合、外部機関に「サービス内容事前説明書」の作成・提出を求め、内容について説明を受けていますか?(実施体制・実施方法・料金体系・面接指導・情報管理など。社員数が常時50人未満の場合、原則外部委託を推奨)  
医師に
よる
面接指導
面接指導を実施する条件は決まっていますか?(ストレスチェックで高ストレス者に該当し、実施者が必要と認めた場合)  
面接指導の申し出を、誰が、いつ、どのように社員に勧奨するか決まっていますか?(実施者が望ましく、ストレスチェック終了後概ね1カ月以内、書面、メールなど)  
面接指導は医師のうち、誰が実施するか決まっていますか?(産業医、地域産業保健センターの医師など)  
社員が面接指導を申し出る方法は決まっていますか?(書面、メールなど)  
面接指導をいつ、どこで実施するか決まっていますか?(申し出後概ね1カ月以内、社内や地域産業保健センターの個室など)  
オンラインで面接指導を実施する場合、対応方法などを検討していますか?(衛生委員会などでの審議、社員への周知、面接環境の整備など)  
面接指導の実施時期、実施場所を社員に通知する方法は決まっていますか?(書面、メールなど)  
就業上の措置について、いつ、どのように医師から意見を聴取するか決まっていますか?(面接指導後概ね1カ月以内、書面、メールなど)  
面接指導の結果を記録・保存する体制が整っていますか?(会社が記録し、会社が5年間保存(義務))  
就業上の
措置
措置の内容(労働時間の短縮、配置転換など)の決定方法は決まっていますか?(社員との話し合いで決定するよう努める。産業医などが同席するのが望ましい)  
措置の実施、変更、解除などについて、関係者と連携する体制が整っていますか?(産業医などに随時相談する、職場の管理監督者に措置の目的や内容を説明するなど)  
社員のストレス状態が改善した場合の方針は決まっていますか?(産業医などの意見を聴いた上で、通常の勤務に戻すなど)  
集団ごとの集計・分析 ストレスチェックの受検結果を集団(部、課など)ごとに集計・分析していますか?(実施は努力義務)  
集団ごとに集計・分析する場合、個人が特定されないよう配慮していますか?(集団は10人以上とするなど。集計・分析の単位が10人を下回る場合には、個人が特定される恐れがあるため、原則として集団分析結果の提供を受けてはいけない)  
集計・分析結果の活用方法は決まっていますか?(結果を基に、ストレスチェックの実施者などから職場改善について意見を聴くなど)  
集計・分析結果を記録・保存する体制が整っていますか?(会社が記録し、会社が5年間保存するのが望ましい)  
相談窓口 ストレスチェック制度に関する情報開示や苦情対応のための相談窓口がありますか?(社内の労務担当者、外部機関など)  
情報開示の請求や苦情の申し立て方法は決まっていますか?(書面、電話、メールなど)  
窓口担当者の守秘義務について、社内に周知していますか?  
就業規則
など
ストレスチェック実施方針を定め、表明しましたか?(ストレスチェック制度の実施目的、実施要領、個人情報の保護など)  
ここまでの内容を就業規則(ストレスチェック実施規程など)に落とし込みましたか?(ストレスチェック制度の実施方法の詳細、受検結果の取扱いなど)  
制度全般において、社員に不利益な取扱いが生じないルールになっていますか?(ストレスチェックを受けない社員や受検結果が良くない社員の評価を下げるなど)  
ストレスチェック制度の実施に当たり、社内にて意見聴取を行いましたか?(常時50人以上の場合は衛生委員会など。50人未満の場合は社員から広く意見を募るなど)  
就業規則については、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴取した上で、労働基準監督署に届け出て、社内に周知しましたか?  
その他 ストレスチェックの実施後、所轄労働基準監督署への報告が必要なのを知っていますか?(心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書。常時50人未満の会社は現状不要だが、社員数のカウント方法に要注意)  

(出所:日本情報マート作成)

最後(その他)の「心理的な負担の程度を把握するための検査等報告書」については、常時50人未満の会社は現状提出不要ですが、社員数のカウント方法に注意が必要です。

ストレスチェックの「50人」は、正社員と、所定労働時間が正社員の4分の3以上かつ1年以上雇用見込みがあるパート等が何人いるかで判断しますが、心理的な負担の程度を把握するための検査等報告書の「50人」は、

ストレスチェックの対象者のように契約期間や週の労働時間によるのではなく、常態として使用されているかどうかで判断するので、労働時間が短いパート等も対象になり得る

からです。

なお、この報告書は、

「電子政府の総合窓口(e-Gov)」によるオンラインでの提出(電子申請)が原則義務化

されているので注意が必要です。

厚生労働省「労働局・労働基準監督署への申請・届出はオンラインをご活用ください」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/denshishinsei.html

以上(2026年4月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

pj00337
画像:takasu-Adobe Stock

【規程・文例集】「ストレスチェック制度実施規程」のひな型

1 50人未満の事業場もストレスチェックの実施が義務に?

ストレスチェック制度とは、

労働者が所定の質問に答えて自身のストレス状態を把握する「ストレスチェック」や、高ストレス者に対する「医師による面接指導」等の、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止を主な目的とした一連の取り組みのこと

です。労働者数が50人以上の事業場は、年1回以上、ストレスチェックを実施しなければなりません。50人未満の事業場は努力義務でしたが、昨今のメンタルヘルス不調の増加等を受け、

労働者が50人未満の事業場においても、2025年5月14日から3年以内に、ストレスチェックの実施が「義務化」

されることになりました。

ストレスチェック制度を実施するには、制度の実施体制や受検結果の取扱い等について、社内ルール(ストレスチェック制度実施規程等)を定める必要があります。問題は、

ストレスチェック制度と健康診断のルールを混同している会社が少なくないこと

です。どちらも労働者の健康状態をチェックするための制度ですが、両者は似て非なるものです。

ストレスチェック制度と健康診断のルール

「健康診断と混同している部分があるかもしれない・・・・・・」という人は、次章で専門家が監修したストレスチェック制度実施規程のひな型を紹介していますので、自社のルールと照らし合わせながら確認してみましょう。

2 ストレスチェック制度実施規程のひな型

以下で紹介するひな型は一般的な事項を一例として示したものです。実際にこのような規程を作成する際には、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【ストレスチェック制度実施規程のひな型】

第1章 総則

第1条(目的)

本規程は、株式会社○○○○(以下「会社」)が、労働安全衛生法第66条の10の規定に基づく「心理的な負担の程度を把握するための検査等」(以下「ストレスチェック制度」)を実施するに当たり、その実施方法等を定めるものである。本規程に定めのない事項は、労働安全衛生法その他の関係法令によるものとする。

第2条(定義)

本規程において使用する語句の定義は次の各号に定める通りである。

  • ストレスチェック:
    ストレスに関する質問票に従業員が記入し(またはITシステムに入力し)、それを集計・分析することで、従業員が自らのストレスの状態を調べる検査。
  • ストレスチェック制度:
    ストレスチェックの結果を踏まえた医師による面接指導や集団分析等、労働安全衛生法第66条の10に係る一連の取り組みの総称。
  • 衛生委員会:
    労働安全衛生法第18条に定められている組織で、従業員の健康障害を防止するための基本となるべき対策等を調査審議する。
  • 衛生管理者:
    労働安全衛生法第12条に定められている者で、従業員の安全または衛生のための教育の実施等、衛生にかかる技術的事項を管理する者。
  • 産業医:
    労働安全衛生法第13条に定められている者で、健康診断や面接指導の実施、作業環境の維持管理や作業の管理等の従業員の健康管理、健康教育等の業務を行う、医学に関する専門的知識を有する医師。
  • 集団分析:
    ストレスチェックの結果を、個人が特定されない一定の規模で分析すること。

第3条(適用範囲)

1)ストレスチェック制度の適用範囲は、次の各号のいずれにも該当する従業員である。

  • 会社と期間の定めのない労働契約を交わしている従業員。次のいずれかに該当する期間の定めのある労働契約を交わしている従業員を含む。
    a. 労働契約の契約期間が1年以上の従業員
    b. 契約更新により1年以上使用される予定の従業員
    c. 契約更新により1年以上継続して使用されている従業員
  • 1週間の労働時間数が、当該事業場の同種の業務に従事する通常の従業員の4分の3以上の従業員。

2)会社は、原則として人材派遣会社等から当社に派遣されている派遣労働者をストレスチェック制度の適用対象としない。

第4条(趣旨等の周知)

会社は、次の各号に定める内容を社内掲示板に掲示するほか、本規程を配布する等の方法により、ストレスチェック制度の趣旨等を従業員に周知する。

  • ストレスチェック制度は、従業員自身のストレスへの気付きおよびその対処の支援並びに職場環境の改善を通じて、メンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を目的とするものであり、メンタルヘルス不調者の発見を一義的な目的とはしないものである。
  • 従業員にストレスチェックの受検義務はない。ただし、専門医療機関に通院中等の特別な事情がない限り、受検することが望ましい。
  • ストレスチェックの結果は直接本人に通知され、本人の同意なく会社が結果を入手することはない。従って、ストレスチェックを受検するときは、正直に回答することが重要である。
  • 本人がストレスチェックの結果を会社に提供することに同意した場合や、医師による面接指導を申し出た場合、会社はそれらによって得た情報を本人の健康管理のために限って使用する。
  • 本規程第37条に定める事項。

第2章 ストレスチェック制度の実施体制

第5条(ストレスチェック制度担当者)

1)ストレスチェック制度担当者(以下「担当者」)は、ストレスチェック制度の実施計画の策定や計画に基づく実施の管理等の実務を行う。

2)担当者は人事労務課の従業員および衛生管理者とし、その氏名は社内掲示板に掲示する等の方法により従業員に周知する。

3)人事異動等により担当者の変更があった場合は、その都度、同様の方法により従業員に周知する。本規程第6条のストレスチェックの実施者、第7条のストレスチェックの実施事務従事者、第8条の面接指導の実施者についても同様の扱いとする。

第6条(ストレスチェックの実施者)

1)ストレスチェックの実施者(以下「実施者」)は、実際にストレスチェックを行うほか、ストレスチェック制度の実施計画の策定等にも積極的に協力する。

2)実施者は会社の産業医および保健師の2名とし、産業医を実施代表者、保健師を共同実施者とする。

第7条(ストレスチェックの実施事務従事者)

1)ストレスチェックの実施事務従事者(以下「実施事務従事者」)は、実施者の指示のもと、ストレスチェックの日程調整、従業員等への連絡、調査票の配布と回収、結果のデータ入力等の各種事務処理を担当する。

2)実施事務従事者は人事労務課の従業員および衛生管理者とするが、人事に関する権限を有する者は実施事務従事者になることはできない。

第8条(面接指導の実施者)

ストレスチェックの結果に基づく面接指導の実施者は会社の産業医とする。

第3章 ストレスチェック制度の実施方法

第1節 ストレスチェック

第9条(ストレスチェックの実施時期)

ストレスチェックは1年以内ごとに1回実施するものとし、実施時期は業務の状況を勘案して部門ごとに設定する。

第10条(対象者)

1)適用対象となる従業員は、専門医療機関に通院中等の特別な事情がない限り、実施時期にストレスチェックを受検するように努めなければならない。

2)ストレスチェック受検の意思があるものの、出張等の業務上の都合により、ストレスチェックの実施期間にストレスチェックを受検することができなかった従業員は、会社が別途指定する実施時期にストレスチェックを受検するものとする。

3)ストレスチェックの実施時期の全期間に休職しており、休職期間が1ヵ月以上の従業員については、ストレスチェックの対象外とする。

第11条(受検の勧奨)

会社は、従業員の受検状況を把握し、未受検の従業員に対して、実施事務従事者または各職場の管理者を通じて受検の勧奨を行うことがある。

第12条(調査票および方法)

1)ストレスチェックは、厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を用いて行う。

2)ストレスチェックは、社内LANを用いてオンラインで実施する。社内LANが利用できない従業員は、紙媒体で実施する。

第13条(ストレスの程度の評価方法・高ストレス者の選定方法)

1)ストレスチェックの個人結果の評価は、厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(以下「マニュアル」)に示されている素点換算表を用いて換算し、その結果をレーダーチャートに示すことにより行う。

2)高ストレス者の選定は、マニュアルに示されている「評価基準の例 (その1)」に準拠し、以下のいずれかに該当する者を高ストレス者とする。

  • 「心身のストレス反応」 (29項目) の合計点数が77点以上である者。
  • 「仕事のストレス要因」 (17項目) および 「周囲のサポート」 (9項目)を合算した合計点数が76点以上であって、かつ「心身のストレス反応」 (29項目) の合計点数が63点以上の者。

第14条(ストレスチェックの結果の通知方法)

ストレスチェックの個人結果の通知は、「実施者または実施者の指示を受けた実施事務従事者」(以下「ストレスチェックの結果通知者」)が実施者名で行う。通知方法は、原則として各従業員に電子メールを送信することで行うが、電子メールが利用できない従業員および電子メールを希望しない従業員に対しては封筒に封入し、紙媒体で通知する。

第15条(セルフケア)

従業員は、ストレスチェックの結果および結果に記載された実施者の助言・指導に基づき、ストレスを軽減するためのセルフケアを適切に行うように努めなければならない。

第16条(会社への結果提供に関する同意の取得方法)

実施者は、ストレスチェックの結果を従業員に通知する際、その内容を会社に提供することについて同意するか否かの意思確認を行う。従業員が同意する場合は、従業員は結果通知の電子メールに添付または封筒に同封された「同意書」(省略。以下、同様)に入力または記入し、発信者宛てに送付するものとする。同意書の提出が確認された場合、ストレスチェックの結果通知者は、実施者の指示により、ストレスチェックの結果の写しおよび「同意書」の写しを人事労務課に提供する。

第17条(ストレスチェック受検時の賃金の取扱い等)

1)ストレスチェックの受検に要する時間は業務時間として取り扱う。

2)従業員は、業務時間中にストレスチェックを受検するものとし、管理者は従業員がストレスチェックを受検する時間を確保できるように配慮しなければならない。

第2節 医師による面接指導

第18条(面接指導の申出の方法)

1)ストレスチェックの結果、医師による面接指導を受ける必要があると判定された従業員が医師の面接指導を希望する場合、結果通知の電子メールに添付または封筒に同封された「面接指導申出書」(省略。以下、同様)に入力または記入し、結果通知の電子メールあるいは封筒を受け取ってから30日以内に、発信者宛てに送付するものとする。

2)医師による面接指導を受ける必要があると判定された従業員から、結果通知後20日以内に「面接指導申出書」の提出がなされない場合は、ストレスチェックの結果通知者は、実施者の指示により、実施者名で電子メールまたは電話により申出の勧奨を行う。また、結果通知後30日を経過する前日に最終的な意思確認を行う。この際、第三者にその従業員が面接指導の対象者であることが知られないよう配慮する。

3)医師による面接指導を受ける必要があると判定された従業員以外の従業員から、面接指導の申出を受けた場合、会社はこれを拒むことができる。

第19条(面接指導の実施方法)

1)面接指導の実施日時および場所は、面接指導の実施者または面接指導の実施者の指示を受けた実施事務従事者が、該当する従業員およびその管理者に電子メールまたは電話により通知する。この際、第三者にその従業員が面接指導の対象者であることが知られないよう配慮する。なお、面接指導の実施日時は、「面接指導申出書」が提出されてから、30日以内に設定する。

2)通知を受けた従業員は、指定された日時に面接指導を受けるものとし、管理者は従業員が指定された日時に面接指導を受けることができるよう配慮しなければならない。

第20条(面接指導結果に基づく医師の意見聴取方法)

会社は、面接指導が終了してから30日以内に、「面接指導結果報告書兼意見書」(省略。以下、同様)により、面接指導の実施者から結果の報告および意見の提出を受ける。

第21条(面接指導結果を踏まえた措置の実施方法)

1)面接指導の実施者から、面接指導の結果を踏まえた就業上の措置が必要であるとの意見書が提出され、これに基づいて会社が人事異動を含めた就業上の措置を実施する場合、人事労務課の担当者が該当する従業員に就業上の措置の内容およびその理由等を説明する。なお、前記説明を行う際は面接指導の実施者も同席するものとする。

2)従業員は、正当な理由がない限り、会社が指示する就業上の措置に従わなければならない。

第22条(面接指導を受けるのに要する時間の賃金の取扱い)

面接指導を受けるのに要する時間は業務時間として取り扱う。

第3節 集団ごとの集計・分析

第23条(集計・分析の対象集団)

ストレスチェックの結果の「集団ごとの集計・分析」(以下「集団分析」)は、原則として、課ごとの単位で行う。ただし、10人未満の課については、他の課と合算する等して個人が特定されない規模で行う。

第24条(集計・分析の方法)

集団分析は、マニュアルに示されている仕事のストレス判定図を用いて行う。

第25条(集計・分析結果の利用方法)

1)ストレスチェックの結果通知者は、実施者の指示により、人事労務課に集団分析の結果(個人のストレスチェックの結果が特定されないもの)を提供する。

2)会社は、集団分析の結果に基づき、必要に応じて、職場環境の改善のための措置、管理者に対する研修を行う。従業員は、会社が行う職場環境の改善のための措置の実施に協力しなければならない。

第4章 記録の保存

第26条(ストレスチェックの結果の記録の保存担当者)

ストレスチェックの結果の記録の保存担当者は、実施事務従事者である衛生管理者とする。

第27条(ストレスチェックの結果の記録の保存期間・保存場所)

ストレスチェックの結果の記録は、会社のサーバーまたは金庫内に5年間保存する。

第28条(ストレスチェックの結果の記録の保存に関するセキュリティの確保)

保存担当者は、会社のサーバーまたは金庫内に保管されているストレスチェックの結果が第三者に閲覧されることがないよう、パスワードの設定等、必要な管理を徹底しなければならない。

第29条(会社に提供されたストレスチェックの結果・面接指導結果の保存方法)

1)人事労務課は、従業員の同意を得て会社に提供されたストレスチェックの結果の写しおよび「同意書」の写し、ストレスチェックの結果通知者から提供された集団分析の結果、「面接指導結果報告書兼意見書」を、社内の金庫に5年間保存する。

2)人事労務課は、金庫内に保管されている前項の資料が第三者に閲覧されることがないよう、必要な管理を徹底しなければならない。

第5章 ストレスチェック制度に関する情報管理

第30条(ストレスチェックの結果の共有範囲)

従業員の同意を得て会社に提供されたストレスチェックの結果の写しおよび「同意書」の写しは、人事労務課内のみで保有する。

第31条(面接指導結果の共有範囲)

「面接指導結果報告書兼意見書」は、人事労務課内のみで保有する。そのうち就業上の措置の内容等、職務遂行上必要な情報に限定して、該当する従業員の管理者および上司に提供する。

第32条(集団分析結果の共有範囲)

1)実施者から提供された集団分析の結果は、人事労務課内で保有するとともに、課ごとの結果については当該課の管理者に提供する。

2)会社は、集団分析の結果とそれに基づいて実施した措置の内容を、衛生委員会に報告する。

第33条(健康情報の取扱いの範囲)

ストレスチェック制度に関して取り扱われる従業員の健康情報のうち、診断名、検査値等の生データや詳細な医学的情報は実施者が取り扱うものとし、人事労務課に関連情報を提供する際は、適切に加工しなければならない。

第6章 情報開示、訂正、追加および削除と苦情処理

第34条(情報開示等の手続き)

従業員は、ストレスチェック制度に関して情報の開示等を求める際には、「ストレスチェック制度の情報開示等請求書」(省略)を人事労務課に提出するものとする。

第35条(苦情申し立ての手続き)

従業員は、ストレスチェック制度に関する情報の開示等について苦情の申し立てを行う際には、「ストレスチェック制度の苦情申立書」(省略)を人事労務課に提出するものとする。

第36条(守秘義務)

従業員からの情報開示等や苦情申し立てに対応する人事労務課の従業員は、それらの職務を通じて知り得た従業員の秘密を第三者に漏らしてはならない。

第7章 不利益な取扱いの防止

第37条(会社が行わない行為)

会社は、ストレスチェック制度に関して次の行為を行わない。

  • 医師による面接指導の申出を行った従業員に対して、申出を行ったことを理由として、その従業員に不利益となる取扱いを行うこと。
  • 従業員の同意を得て会社に提供されたストレスチェックの結果を理由として、その従業員に不利益となる取扱いを行うこと。
  • ストレスチェックを受検しないことを理由として、その従業員に不利益となる取扱いを行うこと。
  • ストレスチェックの結果を会社に提供することに同意しないことを理由として、その従業員に不利益となる取扱いを行うこと。
  • 医師による面接指導が必要とされたにもかかわらず、その申出を行わないことを理由として、その従業員に不利益となる取扱いを行うこと。
  • 就業上の措置を行うに当たって、面接指導の実施者から意見を聴取する等、労働安全衛生法および労働安全衛生規則に定められた手順を踏まずに、その従業員に不利益となる取扱いを行うこと。
  • 面接指導の結果に基づく就業上の措置を行うに当たって、面接指導の実施者の意見と内容・程度が著しく異なる等必要と認められる範囲内となっていないものや、従業員の実情が考慮されていないもの等、労働安全衛生法その他の法令に定められた要件を満たさない内容で、その従業員に不利益となる取扱いを行うこと。
  • 面接指導の結果に基づく就業上の措置として、次に掲げる措置を行うこと。
    a.解雇すること。
    b.期間を定めて雇用される従業員について契約の更新をしないこと。
    c.退職勧奨を行うこと。
    d.不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換や職位(役職)の変更を命じること。
    e.その他の労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること。

第8章 雑則

第38条(改廃)

本規程の改廃は、衛生委員会において調査審議を行い、その結果に基づいて変更を行うものとする。

附則

本規程は、○年○月○日より実施する。

以上(2026年4月更新)
(監修 のぞみ総合法律事務所 弁護士 坪井諒介)

pj00162
画像:ESB Professional-shutterstock

【申込締め切りました】2026年5月27日開催!従業員定着・採用力強化セミナーの開催のご案内

2026年5月27日、きらやか銀行は、リクルート、インディードリクルートパートナーズとの共催で、「従業員定着・採用力強化セミナー」を開催いたします。

このセミナーでは、離職のメカニズムと採用・定着の工夫についてわかりやすくご紹介いたします。

このページの最後に、従業員定着・採用力強化に役立つコンテンツも紹介していますので、ぜひご覧ください!

↑クリックで拡大表示↑

【お申し込みは締め切りました】お申し込みいただきました方、誠に有り難うございました

お申し込み締め切りは2026年5月20日(水)17:00です。

開催概要

  • 日時:2026年5月27日(水) 15:00~17:00(受付開始14:30)
  • 会場:きらやか銀行本社 3階大会議室(定員50名)、
    ZOOMでのオンライン(定員制限なし)
  • 参加費:無料

講師

  • 「採用定着に向けた当行の取組みについて」
    きらやか銀行 総務部 副部長 戸津 智也
  • 「『守りの“人材定着” ×攻めの“採用PR ”』の新常識」
    株式会社リクルート 小山 拓 氏
    株式会社インディードリクルートパートナーズ 武田 梨那 氏

プログラム

  • 14:30-15:00 受付開始
  • 15:00-15:05 開会挨拶
  • 15:05-15:25 「採用定着に向けた当行の取組みについて」
    きらやか銀行 総務部 副部長 戸津 智也
  • 15:25-16:45 「『守りの“人材定着” ×攻めの“採用PR ”』の新常識」
    株式会社リクルート 小山 拓 氏
    株式会社インディードリクルートパートナーズ 武田 梨那 氏
  • 16:45-16:55 質疑応答
  • 16:55-17:00 閉会挨拶
お問合わせ先
きらやか銀行 法人サポート部 担当:鈴木、福田
電話:023-628-3822(直通)

きらやか情報ステーションでは、従業員定着・採用力強化に役立つコンテンツも公開しています。ぜひご覧ください!