【新人経理必見】 会計と税務のズレを調整する 「税効果会計」の仕組みを確認

1 基本的な知識として押さえておきたい税効果会計

税効果会計とは、

会計上と税務上の収益・費用(益金・損金という)のズレを調整する決算処理

です。

会計上と税務上の収益・費用がズレるものとして、例えば、引当金(来期以降に発生する可能性が高い費用や損失に備えて、あらかじめ計上しておく見積金額)があります。引当金は会計上、費用化が可能です。一方で、税務上では、債務が確定していないとみなされ、原則として損金不算入扱いとなります。

こうした違いを調整せずに決算書を作成すると、税金費用が会計上の利益と対応しなくなり、適正な期間損益計算が行えなくなります。そこで、会計上の利益に対応する税金費用を計算するための決算処理が必要になるのです。

税効果会計が義務付けられているのは次の会社です。

  • 上場企業
  • 金融商品取引法の適用を受ける非上場会社(1億円以上の発行価額で有価証券の募集を行った場合など)
  • 会計監査人を設置している会社(非上場も含む)

中小企業では、税効果会計は任意での適用となっています。その理由は、

法人税等の額が少額だったり、株主が親族だけだったりする中小企業は、調整をしなくても特段問題が生じない

からです。

一方で、税効果会計を行うことで、自社の経営成績を正確に把握できたり、経営指標の健全化を図れたりするメリットもあります。そのため、中小企業の経理担当者も押さえておくべき知識です。

2 税効果会計の調整と効果を押さえる

税引前当期純利益と課税所得(税務上の利益)が共に1000万円で、法人税等を300万円とした場合、損益計算書の税引前当期純利益から税引後当期純利益までは次のようになります。

表示例

もし、×1年度において、会計上で500万円を費用処理したものが、税務上で損金算入できない場合、課税所得は1000万円ではなく1500万円(1000万円+500万円)になります。

この場合は次のようになります。

表示例

×2年度において、前年度(×1年度)に費用処理した500万円を税務上、損金とすることができたとします。会計上の税引前当期純利益が前年度と同じく1000万円なら、税務上500万円が損金となるので、課税所得は500万円(1000万円-500万円)となります。

表示例

税引前当期純利益が、×1年度、×2年度共に1000万円なのに、法人税等の額が、

×1年度は450万円

×2年度は150万円

と大きく違ってくるのです。

表示例

税効果会計では、会計上の費用と税務上の損金の認識時点が異なることから生じた差異(税引前当期純利益とそれに対応する法人税等が一致しない部分)を、次のように調整します。

表示例

×1年度において、法人税等450万円のうち、税引前当期純利益1000万円に対応する300万円(1000万円×30%)を超える150万円(450万円-300万円)分の法人税等、つまり、税務上損金にできなかった500万円に対する法人税等(500万円×30%=150万円)を減額することで、会計上の利益と対応した税額に調整できます。

また、×2年度において、税引前当期純利益1000万円に対応する税額は300万円なのですが、課税所得計算上は150万円です。これは×1年度の課税所得計算上損金にできなかった500万円が×2年度に損金計上できることになったためです。そこで、×1年度に税額調整した150万円を×2年度の税額に加えて300万円(150万円+150万円)に増額し、会計上の利益と対応した税額に調整します。

表示例

このようにして、税引前当期純利益と法人税等を合理的に対応させることができるのです。

3 税効果会計の対象は「一時差異」だけ

税効果会計では、会計上の費用と税務上の損金の認識時点の差異を次のように分けています。

  • 一時差異:ずれが一時的に限定されるもの(例:減価償却費、引当金など)
  • 永久差異:ずれが永久に解消されないもの(例:交際費、寄付金、役員報酬など)

税効果会計で調整が必要なのは一時差異だけで、永久差異は対象外となります。あくまで、税効果会計は認識時点にずれの生じたものを調整する手続きだからです。

さらに、一時差異は次のように分けられます。

  • 将来減算一時差異:将来の課税所得を減額させる一時差異
  • 将来加算一時差異:将来の課税所得を増額させる一時差異

それぞれ取り扱いが異なりますので、以降で具体例を確認してみましょう。

4 将来減算一時差異と繰延税金資産

次の条件を基に、将来減算一時差異と繰延税金資産について説明します。

  • ×1年度において、棚卸資産が陳腐化したため、500万円の評価減をした。ただ、これは税務上認められないので、税務上、自己否認(決算書において費用として計上した500万円の評価減の金額を税務申告書で自ら否認して、課税所得を算出)した
  • ×2年度において、評価減した棚卸資産を販売したため、×1年度に評価減した500万円が税務上、損金として認容(過去に否認した損金を、損金算入)された
  • ×1年度、×2年度の税引前当期純利益はそれぞれ1000万円で、実効税率は30%

×1年度と×2年度の税額計算、税効果会計を適用しない場合の損益計算書、税効果会計を適用した場合の損益計算書を比べると次の通りです。

表示例

法人税等の計算から分かるように、棚卸資産の評価減を自己否認した×1年度において、税引前当期純利益1000万円と課税所得1500万円の間に500万円の差異が生じています。

また、税効果会計を適用しない場合、税引前当期純利益1000万円に対する法人税、住民税及び事業税の額は、次の通り大きく異なったものとなり、一定率の対応関係にありません。

×1年度:450万円

×2年度:150万円

一方で、税効果会計を適用した場合、税引前当期純利益1000万円に対する法人税、住民税及び事業税の額は、次の通り一定率の対応した金額になります。

×1年度:300万円(450万円-150万円)

×2年度:300万円(150万円+150万円)

×1年度と×2年度の税効果会計を適用した場合の仕訳例を示すと次の通りです。

表示例

この一連の仕訳をフロー図で示すと次の通りです。

表示例

繰延税金資産は、会計上のルールに基づき、税金を実質的に前払いした分を資産として計上します。将来、その費用が税務上で認められた年度(差異が解消される年度)において、その年度の利益(課税所得)と相殺して税負担を軽減できるため、結果として将来の現金支出を抑える効果を持ちます。

ただし、将来的に利益が出ていなければ税金を安くする効果は得られないため、資産として認めるには「将来きちんと利益が出る見込みがあるか(回収可能性)」という慎重な判断が求められます。

5 将来加算一時差異と繰延税金負債

次の条件を基に将来加算一時差異と繰延税金負債について説明します。

  • ×1年度に導入した設備について、税法上500万円の特別償却が認められるため、この特別償却を剰余金処分方式により特別償却準備金として積み立て、税務申告において減額した。この準備金は積み立てた翌期から5年間にわたり均等額を取り崩す

特別償却とは、投資額の一定割合を税務上の損金に計上できる制度です。ただ特別償却は会計上では計上されないため、会計上、特別償却の処理のつじつまを合わせるために、剰余金処分の方法で準備金として積み立てる処理が行われます。積立金の取り崩し期間は税法で定められており、前述の例では5年(設備の法定耐用年数が5年以上10年未満)としています。

×1~×6年度の税額計算、税効果会計を適用しない場合の損益計算書、税効果会計を適用した場合の損益計算書を比べると次の通りです。

表示例

法人税、住民税及び事業税の計算から分かるように、×1年度において、税引前当期純利益1000万円と課税所得500万円の間に500万円の差異が生じています。

また、税効果会計を適用しない場合、税引前当期純利益1000万円に対する法人税、住民税及び事業税の額は次の通りです。

×1年度:150万円

×2年度:330万円

×3年度:330万円

×4年度:330万円

×5年度:330万円

×6年度:330万円

×1年度と×2~×6年度の法人税等は異なります。

一方、税効果会計を適用した場合、税引前当期純利益1000万円に対する法人税等の額は、次の通り一定率の対応した金額になります。

×1年度:300万円(150万円+150万円)

×2年度:300万円(330万円-30万円)

×3年度:300万円(330万円-30万円)

×4年度:300万円(330万円-30万円)

×5年度:300万円(330万円-30万円)

×6年度:300万円(330万円-30万円)

×1~×6年度の税効果会計を適用した場合の仕訳例を示すと次の通りです。

表示例

この一連の仕訳をフロー図で示すと次の通りです。

表示例

繰延税金負債とは、未払税金に相当するもので、当期の利益に対応すべき税額ですが、将来に支払うものとして負債に計上します。今は税金の支払いが安くすんでいる分、将来そのツケを払わなければならない義務のようなものです。将来、会計と税務のズレが解消されるタイミングで税金が上乗せされるため、結果として将来の現金支出を増やす原因となります。

以上(2026年4月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

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画像:Abuzar-Adobe Stock

経営のヒントとなる言葉(大久保利通)

「我一人ヲ以國家ヲ維持スルノ境界ナクテハ堅忍耐久志業ヲ成スコト能ハサルヘシ」(*)

出所:「大久保利通文書6」(東京大学出版会)

冒頭の言葉は、

「自分一人で国家を維持するほどの器(力量)がなければ、つらさや苦しみに耐え忍んで志を果たすことはできない」

ということを表しています。

幕末、幕府の威力が衰えて倒幕の機運が高まると、土佐藩脱藩浪士の坂本龍馬(さかもとりょうま)の仲介により、反目していた長州藩と手を結び、1866年に薩長同盟が成立しました。薩長同盟によって倒幕への流れは大きく加速し、王政復古の大号令によって幕府が倒され、1868年に明治新政府が成立しました。

政府の要職に就いた大久保氏は、政府の使節団として欧米を訪問し、諸国における近代産業の発展や整備された国家制度を目の当たりにして、日本の国内基盤の整備が急務であることを痛感しました。

しかし、大久保氏が帰国すると、政府は2つの派閥に割れて紛糾していました。当時、鎖国状態にあった朝鮮に出兵して開国を迫る「征韓論」を主張する派閥と、それに反対する派閥が対立していたのです。そして、征韓論派の中心とされていたのは、大久保氏の長年の盟友であった西郷隆盛氏でした。

国内基盤の整備を最優先課題としていた大久保氏は、征韓論に反対しましたが、西郷氏も自身の主張を譲りませんでした。結局、大久保氏らの働きかけによって西郷氏の朝鮮派遣は取り消され、これにより、西郷氏をはじめとする征韓論派は政府を去ることとなります。

その後、1876年に廃刀令および秩禄処分が施行され、華族や士族の俸禄(家禄)制度および身分的特権が廃されることとなりました。これをきっかけとして、かねてより政府に不満を持っていた旧武士階級の反発が高まり、全国各地で不平士族の反乱が相次ぎました。そしてついに、1877年には鹿児島県で西郷氏を中心とした不平士族が大規模な反乱を起こし、西南戦争がぼっ発しました。

大久保氏にとって、薩摩軍と戦うことは耐えがたいことでしたが、新しい国家を創造するためにやむなく討伐を決意し、政府軍は薩摩軍を破って西南戦争に勝利しました。これによって日本における内乱は終結し、日本の近代国家としての歩みが本格的に始まることとなります。

大久保氏は、日本の国家づくりに要する期間を30年間とみて、その過程を細かく計画していました。国家づくりに臨むに際して、大久保氏は次のような言葉を遺しています。

「凡(およ)そ国家の事は深謀遠慮自然の機に投じて図(はか)るにあらざれば成す事能(あた)はざるや必せり」(**)
(国家の運命を左右するような重大な事柄は、将来のことまでよく考え、計画を立て、機会をみて行わなければ成し遂げることができない)

大久保氏は、西南戦争で長年の盟友であった西郷氏をはじめとする薩摩軍を敵として戦いました。こうした過酷な状況にあっても志を曲げなかったのは、近代国家としての日本を創造するという壮大な目標があったからです。

大きな物事を成し遂げるには、長期的展望に立った綿密な計画が重要です。そしてなにより、「たとえ自分一人の力だけでも、それを必ずやり遂げてみせる」という強い決意が必要となるのです。

【本文脚注】

本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになっている情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありません。

【経歴】

おおくぼとしみち(1830~1878)。薩摩国(現鹿児島県)生まれ。青年期より同郷の西郷隆盛氏とともに藩政改革を志し、後に薩摩藩を倒幕に導く。1871年、大蔵卿就任。1873年、内務卿就任。

【参考文献】

(*)「大久保利通文書6」(日本史籍協会(編)、東京大学出版会、1983年10月)

(**)「【次代への名言】8月10日・大久保利通(産経新聞 東京朝刊(2009年8月10日付))」(産経新聞社、2009年8月)

「大久保利通」(笠原英彦、吉川弘文館、2005年5月)

以上(2026年4月更新)

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画像:日本情報マート

【株主総会】面倒でも株主総会を開催しないと「会社法」違反!

1 株主総会を開催しない株式会社はやばい?

この記事で想定するのは、中小企業に多く見られる「非公開会社」で、機関設計は「取締役会・監査役設置会社」です。非公開会社(公開会社でない会社)とは、

全ての株式の譲渡について、会社の承認が必要となる旨を定款に定めている会社

のことです。

株主が経営者とその親族などに限られているオーナー企業では、「いつでも株主と連絡が取れる」「株主総会の実務が面倒」といった理由から、実際の株主総会を開催せず、議事録だけを作成しているケースがあります。しかし、これは会社法第319条第1項で株主総会の決議の省略が認められている場合を除き会社法違反です。

なぜなら、株主総会は株式会社に必ず必要な「機関」です。また、株主総会には、

  • 定時株主総会:事業年度の終了後に開催
  • 臨時株主総会:定時株主総会以外で必要がある場合に開催

がありますが、会社法上、定時株主総会(以下「株主総会」)は事業年度に1回、必ず開催しなければなりません。つまり、原則として、

株主総会を開催しなくてよい株式会社はない

ということになります。

2 株主総会で決められることは限定的?

取締役会を設置している会社には、

  • 株主総会の決議事項は、法令で定められた事項と定款に定めた事項に限り認められる
  • 株主総会の議案として上程したもの以外は、原則としてその株主総会では決められない
  • 株主総会の議題については、事前に取締役会の決議が必要

といったルールがあります。つまり、株主総会だけで新しいことをあれこれと決めることはできません。何を決めなければならないのか、事前の取締役会の決議の時点から漏れなどがないようにしなければなりません。以降で、株主総会の主な議題と留意点を確認していきましょう。

3 株主総会の主な議題と留意点

1)計算書類の承認と事業報告の報告

計算書類とは要するに決算書のことで、株主総会で承認のための普通決議を受けなければなりません。普通決議とは、

議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席(定足数(注))し、出席した株主の議決権の過半数の賛成(決議要件)による決議

です。

(注)定款で別段の定めをすれば、定足数は排除または減らすことが可能です。ただし、役員の選任・解任決議については、定款で定足数を減らしても3分の1以上の出席が必要です。

また、取締役は株主総会で事業報告をしなければなりません。事業報告とは、文字通り、事業の状況に関する報告です。

取締役会設置会社の場合は、

計算書類と事業報告は取締役会における承認が必要

となるので注意しましょう。

2)取締役・監査役の選任

取締役・監査役の選任には、株主総会の決議が必要です。取締役の任期は原則2年、監査役の任期は原則4年です。ただし、非公開会社の場合、取締役・監査役ともに、定款に定めることで任期を最⾧10年に伸長できます。

なお、取締役の任期は定款で短縮することも可能ですが、監査役の任期については原則として短縮することはできませんので注意してください。

3)取締役の報酬

取締役の報酬は、次の事項を定款に定めるか、定めないときは株主総会の普通決議が必要です。

  • 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
  • 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
  • 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

2.は業績連動型報酬などのように事前に額を確定できないもの、3.は現物支給やストックオプションなどが該当します。中小企業では、1.に該当するものがほとんどでしょう。

なお、取締役会設置会社の場合、全取締役の報酬総額を「年額○○○万円以内とし、各役員の具体的な報酬額は取締役会に一任する」などと株主総会で決議し、報酬額は取締役会で決定することが実務上は多いです。

株主総会での決議は、一度決議をした範囲で報酬額を決定している限り、毎年行う必要はありませんが、全取締役の報酬総額の上限を超えて報酬を支払う場合や、取締役の報酬総額を決議した内容と異なる報酬額とする場合は、改めて株主総会で決議する必要があります。

4)定款の変更

定款の変更は、株主総会での特別決議が必要です。特別決議とは、

議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席(定足数(注))し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成(決議要件)による決議

です。

(注)定款で定めることにより、この定足数は3分の1以上まで減らすことが可能です

定款には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」があります。絶対的記載事項は、定款に必ず記載する必要があり、その規定を欠くと定款が無効になる事項です。相対的記載事項は、記載がなくても定款の効力自体に問題はありませんが、記載がなければその効力が認められません。任意的記載事項は、会社が任意に記載する事項です。

相対的記載事項を新たに設定する場合、本当に定款に定める必要があるか否かについて会社法の規定を確認する必要があります。絶対的記載事項と主な相対的記載事項は次の通りです。

定款の絶対的記載事項と主な相対的記載事項

以上(2026年4月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 栗原功佑)

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画像:Mariko Mitsuda

【助成金(育児サポート編)】仕事と育児の両立支援で最大1342万円!

1 両立支援等助成金で社員の子育てをサポート!

「育児休業」(以下「育休」)等をはじめ、子育てをする社員の支援制度は近年ますます手厚くなっています。社員にとっては嬉しい一方、人手不足の中小企業にとっては、「育休等を取得する社員が増えたら、仕事が回らなくなる……」という不安があるかもしれません。

ですが、

休業する社員の業務をカバーする他の社員に手当等を支給したり、代替要員を新たに雇ったりすると、最大で1342万円が支給

されるのをご存じでしょうか。この記事で紹介する両立支援等助成金がそうです。「働きやすさ」が社会的にも求められている昨今、会社に「子育てなどと仕事の両立」を求める社員もいるでしょう。このニーズに応える上で、この助成金はとても重要です。以降で、制度概要と申請上のポイントを専門家が解説します。

なお、助成金の内容は2026年4月8日時点のもので、将来変更される可能性があります。また、申請書の書き方や添付書類については、全コースまとめてこちらに記載されていますので、ご確認ください。

■厚生労働省「両立支援等助成金のご案内」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html

2 育休中等業務代替支援コース(最大1342万円)

1)育休中等業務代替支援コースとは?

社員が育休を取得したり、短時間勤務制度を利用したりしている間、その社員の業務をカバーする他の社員に手当等を支給したり、代替要員を新たに雇ったりした場合に助成金を受け取れるコースです。

2)助成金を受け取るには?

このコースは「手当支給等(育児休業)」「手当支給等(短時間勤務)」「新規雇用(育児休業)」に分かれていて、次の要件などを満たす必要があります。

1.手当支給等(育児休業)

社員が7日以上の育休(産後パパ育休を含む)を取得し、その業務をカバーする他の社員に対し、会社が手当等を支給する必要があります。手当等の内容は事前に就業規則等で定めなければなりません。

2.手当支給等(短時間勤務)

社員が短時間勤務制度(3歳未満の子を養育する社員を対象とするもの)の措置を受けられる制度を1カ月以上利用し、その業務をカバーする他の社員に対し、会社が手当等を支給する必要があります。手当等の内容は、事前に就業規則等で定めなければなりません。

3.新規雇用(育児休業)

社員が7日以上の育休(産後パパ育休を含む)を取得し、その業務をカバーする他の社員を、会社が新たに雇用し(または派遣で受け入れ)、実際に業務を代替させる必要があります。

3)受け取れる金額はいくら?

手当支給等(育児休業)・手当支給等(短時間勤務)・新規雇用(育児休業)それぞれについて、図表1の額を受け取れます。その他、

  • 育休取得者(または短時間勤務利用者)が有期雇用の場合、業務代替期間が1カ月以上であれば「有期雇用労働者加算」
  • プラチナくるみん認定を受けている場合、「プラチナくるみん認定事業主への加算」
  • 育休の取得状況を厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」で公表した場合、「育休等に関する情報公表加算」

を受けられます。

■厚生労働省「両立支援のひろば」■
https://ryouritsu.mhlw.go.jp/

育休中等業務代替支援コース

支給額の計算がややこしいですが、仮に手当支給等(育児休業)を1年度10人まで申請した場合、加算も含めると最大1342万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

子育てをする社員へのサポートに注力するあまり、その業務をカバーする周囲の社員へのフォローが手薄になり、「制度を利用する人だけが優遇されている」といった不平不満が職場から上がるケースは珍しくありません。支援制度は、対象となる社員だけでなく、その業務を引き受ける同僚にも目を配ってこそ、職場全体で納得感をもって運用できるものです。助成金額と照らし合わせつつ、手当等がカバーに回る社員の負担を考慮した額になるよう制度を設計しましょう。

また、このコースは1年度につき10人までが支給対象になるという手厚い内容ではありますが、「手当支給等(育児休業)」「手当支給等(短時間勤務)」「新規雇用(育児休業)」を合わせて10人なので、どの方法で社員の負担を軽減していくのかを計画的に決めましょう。

くるみん認定・トライくるみん認定を受けている事業主については特例があり、2031年3月31日までに1事業主当たり延べ50人までの申請が可能です。認定取得済み、あるいは取得予定の企業にとっては、さらに活用余地が広がります。

なお、コース共通の条件として、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出ていることが必要となります。申請日が行動計画期間内であることも条件となっていますので、ギリギリで動くのではなく余裕を持った対応が求められます。(プラチナくるみん認定を受けている場合、行動計画の策定・届出がなくても支給対象)。

3 柔軟な働き方選択制度等支援コース(最大197万円)

1)柔軟な働き方選択制度等支援コースとは?

3歳以上小学校就学前の子を養育する社員のために、短時間勤務などの柔軟な働き方に関する制度等を複数導入した上で、実際に対象者に利用させた場合に助成金を受け取れるコースです。

2)助成金を受け取るには?

このコースでは、「柔軟な働き方選択制度」という図表2の制度等を、最低でも3つ以上導入する必要があります(就業規則等への規定も必須です)。制度等を導入した上で、「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」という、社員の柔軟な働き方をサポートするための計画を策定します。その計画に基づいて社員が利用開始から6カ月間のうちに、制度等を一定基準以上利用すると、助成金を受け取れます。助成対象は中小企業のみです。

柔軟な働き方選択制度

3)受け取れる金額はいくら?

次の2つの場合に、図表3の額を受け取れます。

  • (制度等を導入し、対象者が利用)柔軟な働き方選択制度を3つ以上導入し、社員が1つ以上制度を利用した場合
  • (子の看護等休暇制度有給化支援)子の看護等休暇を有給化し、社員が利用した場合

また、「育休等に関する情報公表加算」の他、柔軟な働き方選択制度の全てまたは子の看護等休暇(有給)を、次の子を養育する社員が利用できるようにした場合にも、次の加算を受けられます。

  • (制度利用期間延長加算)3歳以上中学校修了前の子を養育する社員が対象
  • (障害児等要配慮支援加算)18歳到達年度の末日(3月31日)までまたは高等学校等を修了する年の末日(3月31日)までの障害児等を養育する社員が対象

柔軟な働き方選択制度等支援コース

制度等を4つ以上導入して1年度に社員5人が利用し、さらに子の看護等休暇を有給化した場合、加算も含めると最大197万円を受け取れる計算になります。

4)専門家からのワンポイントアドバイス

このコースは、育児・介護休業法の「柔軟な働き方を実現するための措置等」との関連性が深いです。会社は2025年10月1日から、図表2で紹介した「始業時刻の変更」など5つの制度から2つ以上を選択して実施する義務を負っています。

このコースも、受給の条件として、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出ていることが必要となります。

4 出生時両立支援コース(最大127万円)

1)出生時両立支援コースとは?

会社(実際は支店等の事業場単位)が、「男性社員」が育休を取得するための雇用環境や業務体制を整備し、男性社員が実際に育休を取得した場合、助成金を受け取れるコースです。「子育てパパ支援助成金」とも呼ばれます。

2)助成金を受け取るには?

このコースは「男性労働者の育児休業取得」「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」に分かれていて、次の要件などを満たす中小企業が対象となります。

1.男性労働者の育児休業取得

一定の「雇用環境整備措置」を講じた上で、就業規則等に基づいて引き継ぎなどの業務体制を整備し、男性社員が産後8週間以内に連続5日以上の育休(産後パパ育休を含む)を取得する必要があります(2人目の取得者は10日以上、3人目の取得者は14日以上)。この他、休業期間中に含まれる所定労働日数に関する日数条件もあります。

雇用環境整備措置とは、次の5つです。育休取得者の数などに応じて、2~5つの措置を講じなければなりません。

  • 育休に係る研修の実施
  • 育休に関する相談体制の整備
  • 育休の取得に関する事例の収集・提供
  • 育休に関する制度・育休の取得の促進に関する方針の周知
  • 育休の取得が円滑に行われるようにするための業務配分や人員配置の見直し

2.男性労働者の育児休業取得率の上昇等

男性社員の育休取得率が、一定の要件を満たす必要があります。また、「男性労働者の育児休業取得」と同じく雇用環境や業務体制の整備に関する要件もあります。

3)受け取れる金額はいくら?

「男性労働者の育児休業取得」「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」それぞれについて、図表4の額を受け取れます。また、育休中等業務代替支援コースと同じく、「プラチナくるみん認定事業主への加算(「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」のみ)」「育休等に関する情報公表加算」も受けられます。

出生時両立支援コース

「男性労働者の育児休業取得(3人分)」と「男性労働者の育児休業取得率の上昇等」、さらに加算を含めると、最大127万円を受け取れる計算になります。ただし、第1種と第2種を、同一年度内に申請することはできません。

4)専門家のワンポイントアドバイス

このコースも、受給の条件として、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出ていることが必要となります。

「男性社員の育休取得」を後押しするものですが、制度を整えるだけでは取得は進みません。特に中小企業では、「自分が休んだら現場が回らない」「上司や同僚に迷惑がかかる」と感じて取得をためらう男性社員が少なくありません。雇用環境整備措置の中でも「研修の実施」や「事例の収集・提供」を通じて、「取得して当たり前」という空気をつくることが大切です。

5 育児休業等支援コース(最大122万円)

1)育児休業等支援コースとは?

社員(男性・女性を問わない)の育休の取得・職場復帰が円滑に進むよう、会社が一定の取り組みをした場合、助成金を受け取れるコースです。

2)助成金を受け取るには?

このコースは「育休取得時」「職場復帰時」に分かれていて、次の要件などを満たす中小企業が対象です。

1.育休取得時

「育休復帰支援プラン」という、育休(産後パパ育休を含む)の取得・職場復帰をサポートするための計画書を策定する必要があります。まず、育休復帰支援プランを使って、育休の取得・職場復帰をサポートする旨を社内に周知し、育休取得者のプランを本人との面談を通して作成します。その上で、本人に連続3カ月以上の育休を取得させる必要があります。

2.職場復帰時

1.の育休取得者の休業終了時に、本人と面談をして原職等に復帰させ、6カ月以上継続雇用する必要があります。「育休取得時」の助成金を受給していないと申請できません。また、育休取得者を継続雇用する際は、本人が雇用保険の被保険者である必要があります。

3)受け取れる金額はいくら?

育休取得時・職場復帰時それぞれについて、図表5の額を受け取れます。どちらも社員2人(無期雇用1人、有期雇用1人)まで受給可能です。また、「育休等に関する情報公表加算」なども受けられます。

育児休業等支援コース

育休取得時(2人分)と職場復帰時(2人分)、さらに加算を含めると、最大122万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

支給要領では、育休復帰支援プランを策定する場合、少なくとも育休取得者の、

  • 業務の整理、引き継ぎに関する措置
  • 休業中の業務内容等に関する情報提供に関する措置

について定めなければならないとされています。厚生労働省ウェブサイトでは、プランの様式や、職場の状況(代替要員の確保が難しい、残業が多いなど)に応じたモデルプランを記載したマニュアルが公表されているので、参考にしながら策定を進めてください。

■厚生労働省「育休復帰支援プラン策定のご案内」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000067027.html

このコースも、受給の条件として、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局に届け出ていることが必要となります。

6 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース(最大90万円)

1)不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コースとは?

女性社員が不妊治療と仕事を両立したり、健康課題(月経や更年期)に対応したりするため、休暇制度などを導入し、実際に対象者に利用させた場合に助成金を受け取れるコースです。

なお、不妊治療部分は男女問わず対象となりますが、月経・更年期対応は女性社員が対象です。

2)助成金を受け取るには?

このコースは「不妊治療」「女性の健康課題対応(月経)」「女性の健康課題対応(更年期)」に分かれていますが、大まかな要件は共通しています。次の制度のいずれかを導入し、1年間に5日以上、対象者に利用させる必要があります。助成の対象は中小企業のみです。

  • 休暇制度(不妊治療や女性の健康課題に対応するための特別休暇。多様な目的で利用できるものも可)
  • 短時間勤務制度(1日の所定労働時間を1時間以上短縮する制度。ただし、利用しても1時間当たりの基本給等の水準の引き下げや雇用形態の変更がされないことが条件)
  • 所定外労働制限(残業免除)、時差出勤制度、フレックスタイム制度、在宅勤務等

さらに、本コースの特徴として他コースのような上司面談ではなく、「両立支援担当者」の選任と相談対応体制の整備が申請要件となっています。

3)受け取れる金額はいくら?

不妊治療・女性の健康課題対応(月経)・女性の健康課題対応(更年期)それぞれについて、図表6の額を受け取れます。加算は特にありません。

不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース

それぞれについて支給要件を満たした場合、最大90万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

このコースでは、休暇制度や短時間勤務制度を1年に5日以上対象者に利用させる必要がありますが、不妊治療や女性の健康課題対応が目的であることが明確でない場合、利用しても日数にカウントされません。

例えば、休暇制度を設ける場合、女性社員が利用しやすいよう「ファミリーサポート休暇」などの名称にすることがあります。ただし、助成金の受給を考えるのであれば、「休暇申請書などの際に利用目的を記載する欄を作ること」などを検討する必要があるかもしれません。ただ、その場合、労務担当者が男性だと申請しにくい女性社員もいるでしょう。制度の運用をスムーズにするためにも、「両立支援担当者」を男女混合の少人数チームで構成するなどの配慮も検討しましょう(両立支援担当者の選任は、本コースの要件でもあります)。

以上(2026年5月更新)
(監修 社会保険労務士 柴田充輝)

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【管理会計】部門や支店が増えた場合に役立つ「貢献利益」による業績評価

1 質問:部門ごとの利益を把握していますか?

店舗販売部門、外商部門、卸売部門の3つの部門を持つA社。会社全体の利益はすぐに出てくるものの、部門ごとの利益は売上総利益(売上-売上原価)までしか把握できていません。

創業当初はシンプルだった組織も、事業規模が拡大していくにつれ、さまざまな部門が設置され、営業所なども増えてきます。ここで問題となるのが、部門や営業所ごとの業績が見えにくくなることです。こうした状況に直面した場合における判断の基準をご紹介します。

2 部門などごとに「貢献利益」を算出する

貢献利益とは、限界利益(売上高から変動費を引いた値)から管理可能固定費を引いた値です。管理可能固定費とは、各部門でコントロールできる固定費をいいます。

貢献利益は次のように計算します。

  • 限界利益=売上高-変動費
  • 貢献利益=限界利益-管理可能固定費

貢献利益のイメージ

管理会計では、費用は売上高の増減に合わせて変動する「変動費」と、売上高の増減に関係なく発生する「固定費」とに分けられます。売上高が伸びると変動費は増えますが、固定費は一定です。

例えば小売業の場合、売上原価などは売上高に合わせて増減する変動費になります。一方、人件費や減価償却費、賃借料などが固定費となり、その中には各部門で管理可能(コントロール可能)なものと管理不能(コントロール不能)なものがあります。

各部門で決裁権のある費用は管理可能固定費となります。例えば、消耗品費、会議費、交際費などについて、各部門や支店での判断が可能ならばコントロール可能な固定費となります。

部門や支店の要請で人員補充が行われる場合、人件費も管理可能固定費とします。一方、支店、営業所、工場などの開設に伴う賃借料や減価償却費、支払利息のように経営者の経営判断によるものは、各部門にとっては管理不能固定費とします。

3 事例を用いた「貢献利益」の計算例

1)事例前提条件

A社には、店販部門、外商部門、卸売部門の3つの販売部門があります。また、自社ビルを保有し、その中にこの3部門が設置されています。

A社の部門別売上高と費用

店舗販売部門は、自社ビル内の店舗で小売販売をしています。店販部門の売上高は10億円です。商品の値入率は55%(原価率45%)です。管理可能固定費は、人件費1億4400万円(480万円×30人)とします。

外商部門は、会員顧客(年間に一定金額以上を購入する優良顧客)向けに訪問販売と通信販売を行っています。掛率(小売価格に対する販売価格の割合)は90%です。管理可能固定費は、人件費7200万円(480万円×15人)、車両費・物流費4200万円(営業車7台分の減価償却費・管理費・燃料費700万円+代金引換を含む小口配送費用3500万円)とします(便宜上、配送費用は管理可能固定費に含めています)。

卸売部門は、百貨店等の大規模小売店や専門店に対して商品を卸売りしています。掛率は65%です。管理可能固定費は、人件費7200万円(480万円×15人)と交通費・物流費2700万円(営業交通費200万円+商品配送費用2500万円)とします。商品配送費用は、売上高に応じて変動する性質の費用ですが、ここでは管理可能固定費としています。

2)店販部門の貢献利益

店販部門の売上高は10億円、商品の値入率が55%なので、売上原価と限界利益は次のように算出することができます。

  • 売上原価=売上高10億円×売上原価率45%=4億5000万円
  • 限界利益=売上高10億円-売上原価4億5000万円=5億5000万円

店販部門の管理可能固定費は、人件費1億4400万円なので、貢献利益は次のように算出することができます。

  • 貢献利益=限界利益5億5000万円-管理可能固定費1億4400万円=4億600万円
  • 従業員1人当たり貢献利益=貢献利益4億600万円/従業員数30人=1353万3300円

3)外商部門の貢献利益

外商部門の売上高は6億円、店販部門の販売価格に対して掛率90%で販売しているので、売上原価と限界利益は次のように算出することができます。

  • 売上原価=売上高6億円/90%×売上原価率45%≒3億円
  • 限界利益=売上高6億円-売上原価3億円=3億円

外商部門の管理可能固定費は、人件費7200万円と車両費・物流費4200万円なので、貢献利益は次のように算出することができます。

  • 貢献利益=限界利益3億円-管理可能固定費1億1400万円=1億8600万円
  • 従業員1人当たり貢献利益=貢献利益1億8600万円/従業員数15人=1240万円

4)卸売部門の貢献利益

卸売部門の売上高は10億円、店販部門の販売価格に対して掛率65%で販売しているので、売上原価と限界利益は次のように算出することができます。

  • 売上原価=売上高10億円/65%×売上原価率45%=6億9200万円
  • 限界利益=売上高10億円-売上原価6億9200万円=3億800万円

卸売部門の管理可能固定費は、人件費7200万円と交通費・物流費2700万円なので、貢献利益は次のように算出することができます。

  • 貢献利益=限界利益3億800万円-管理可能固定費9900万円=2億900万円
  • 従業員1人当たり貢献利益=貢献利益2億900万円/従業員数15人≒1393万3300円

5)各部門の比較

A社の部門別貢献利益を一覧で示すと次の通りです。

A社の部門別貢献利益

3部門で貢献利益が最も大きいのが店販部門で、他2部門を大きく上回っています。次いで卸売部門、外商部門となっています。

店販部門は、売上高が大きく限界利益率が高いことが特徴です。卸売部門は、限界利益率は低いものの、それを売上高でカバーしている状況です。

従業員1人当たり貢献利益では、卸売部門が最も大きく、次いで店販部門、外商部門という結果になっています。

実際には、部門別に時系列で比較し、各事業部門の貢献利益の増減を比較評価するのが効果的な方法です。

4 貢献利益を運用する際の注意点

1)目に見えないもう1つの貢献利益

部門別の貢献利益によって、部門や支店ごとの業績が把握できます。活用方法はさまざまで、例えば賞与の査定に差をつけることもできます。

ただし、慎重に運用しなければなりません。なぜなら、各部門は独立した組織であるようでいて他部門から少なからず影響を受けているものであり、各部門からのアシストについても考慮する必要があります。

各部門の貢献利益を比較する場合、他部門からの好影響(創業からの貢献度合いやブランド価値など)も考えなければなりません。これを考えずに、部門別貢献利益を他部門との比較のために用いると、部門間にあつれきが生じる危険があります。

2)適正な売上管理や労務管理が大前提

管理可能固定費というのは、各部門でコントロールが可能な費用です。部門別業績評価をする場合、各部門の売上管理や労務管理等が適正に行われていることが不可欠です。

例えば、各部門に未払いの残業代があるなどの場合が問題です。もし、部門内でサービス残業が常習化しているような場合、それを管理可能固定費に加味すると貢献利益は異なってきます。また、評価基準を利益に重きを置きすぎたときに生じる売上の粉飾もあります。不正へのきっかけとならないためにも、社員教育の徹底や管理体制の整備も同時に行っていきましょう。

5 練習問題

1.(問題1)

A事業部の売上高は5000万円(変動費率55%)、管理可能固定費は1500万円です。A事業部の貢献利益はいくらですか?

(問題1の回答)

A事業部の限界利益は、売上高の5000万円から変動費の2750万円を引いた2250万円となります。貢献利益は限界利益から、管理可能固定費を引いた利益なので750万円(2250万円-1500万円)となります。

問題1の答え:750万円

2.(問題2)

A事業部に係る費用項目は次の通りです。A事業部の管理可能固定費はいくらですか?

接待交際費180万円、福利厚生費30万円、器具備品の減価償却費80万円、

オフィス賃借料850万円、光熱費100万円、広告宣伝費130万円、旅費交通費200万円、

A事業部の役員給与1000万円、A事業部の従業員給与8640万円

(問題2の回答)

管理可能固定費とは、A事業部がコントロールできる費用です。上記の中では、接待交際費、福利厚生費、光熱費、広告宣伝費、旅費交通費、A事業部の従業員給与となります。なお、役員給与は株主総会(役員個人の給与額については取締役会または代表取締役)の決議事項であるため、管理不能固定費に該当します。

問題2の答え:9280万円

以上(2026年4月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 仁田順哉)

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【新人経理必見】 現金の出入りが一目でわかる キャッシュフロー計算書を読み解く

1 第三の財務諸表 「キャッシュフロー計算書」とは

キャッシュフロー計算書は、損益計算書、貸借対照表と並ぶ第三の財務諸表です。

キャッシュは現金、フローは流れという意味で、

一定期間の企業の現金の流れ、企業の現金収支

を表します。

企業会計は、発生主義の原則 (収益や費用が発生した時点で財務諸表に計上すること)による損益計算を中心に行われるため、現金の流入を伴わない未収収益や、現金の流出を伴わない未払費用も計上されます。また、建物や機械装置、車両運搬具、土地などの取得に伴う現金支出は費用ではなく、資産として計上されます。そのため、会計上の売上や費用を計上するタイミングと、キャッシュの出入りが一致しないことがあります。こうした損益計算書と貸借対照表では分からないキャッシュの出入りを明らかにするのがキャッシュフロー計算書の役割です。

キャッシュフロー計算書の作成が義務付けられているのは、金融商品取引法適用会社(いわゆる上場企業)と、会社法上の大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)です。

一方で、キャッシュフロー計算書を作成すると、資金繰りの状況がわかりやすくなりますし、金融機関や取引先からの信頼向上を図る上でも重要な資料となるので、中小企業でも作成することが望ましいといえます。

この記事では、キャッシュフロー計算書について勉強したい新人経理担当者向けに、各項目の概要と、キャッシュフロー計算書の作成例を紹介します。

2 キャッシュフロー計算書が対象とする資金の範囲

1)現金

手元現金及び要求払預金を指します。要求払預金とは、預金者が一定の期間を経ることなく引き出すことができる預金をいいます。例えば、普通預金、当座預金、通知預金が含まれます。預入期間が定められている定期預金は、要求払預金には該当しません。

2)現金同等物

容易に換金可能かつ、価値の変動について僅少 (きんしょう) なリスクしか負わない短期投資を指します。例えば、取得日から満期までが3ヵ月以内の定期預金が現金同等物に含まれます。

容易な換金可能性と僅少な価値変動リスクの要件をいずれも満たす必要があるため、例えば、株式などは換金が容易であっても、価値変動リスクが大きいため、現金同等物には含まれません。

なお、現金同等物として具体的に何を含めるかについては、各企業の資金管理活動により異なることが予想されるため、経営者の判断に委ねることが適当と考えられています。従って、現金及び現金同等物の内容に関しては各社の会計方針に注記する必要があります。

3 キャッシュフロー計算書の概要

1)キャッシュフロー計算書のイメージ

キャッシュフロー計算書では、その源泉によってキャッシュフローを次のように分けています。

  • 営業活動によるキャッシュフロー
  • 投資活動によるキャッシュフロー
  • 財務活動によるキャッシュフロー

また、営業活動によるキャッシュフローの表示には、直接法と間接法の2つがあります。詳細は後述しますが、以降では、間接法を基に作成の流れなどを紹介していきます。

キャッシュフロー計算書

2)営業活動によるキャッシュフロー (間接法)

営業活動によるキャッシュフローの表示方法は、直接法と間接法の2つがあります。

直接法は、商品の販売や仕入れ、経費の支出など、主要となる取引を個々に合算していく方法です。従来の損益計算とは別で新たに営業活動によるキャッシュフローを計算するための手続きを一から行う必要があり、計算手続きに労力がかかります。

一方で、間接法は損益計算書の税引前当期純利益を基に加減して計算できるため、直接法と比べると労力が少なくすみます。

間接法による営業活動によるキャッシュフローの計算は、税引前当期純利益から開始し、これに、支出を伴わない費用である減価償却費、貸倒引当金の増加額などを加算します。そして損益項目と貸借対照表項目を加減することによって、営業活動によるキャッシュフローを計算します。

1.利息及び配当金の受取額

税引前当期純利益から発生ベースによる受取利息・受取配当金(損益計算書の数値)を減算し小計を算出します。小計の後に改めてキャッシュベースによる受取利息・受取配当金を加算し、営業活動によるキャッシュフローを求めます。

2.利息の支払額

税引前当期純利益に発生ベースによる支払利息(損益計算書の数値)を加算し小計を算出します。小計の後に改めてキャッシュベースによる支払利息を減算し、営業活動によるキャッシュフローを求めます。

3.為替差額(為替レートによる差額)

為替差益は減算し、為替差損は加算することにより、営業活動によるキャッシュフローの算出過程から除きます。為替差額は現金及び現金同等物に係る換算差額の欄で改めて独立表示します。

4.有形固定資産売却損益

有形固定資産の売却益は減算し、逆に売却損は加算します。なお、有形固定資産の売却については、改めて投資活動によるキャッシュフローの計算で、有形固定資産の売却による収入として表示します。

5.投資有価証券売却損益

キャッシュフロー計算書(間接法)の様式にはこの項目はありませんが、投資有価証券売却損益についても同様の処理をする必要があります。

投資有価証券の売却益は減算し、逆に売却損は加算します。なお、投資有価証券の売却については、改めて投資活動によるキャッシュフローの計算で、投資有価証券の売却による収入として表示します。

6.売上債権(売掛金)の増減額

売上債権の増加額は減算し、逆に売上債権の減少額は加算します。売上債権は将来の現金収入につながるものですが、現金収入に至るまでの経過的な勘定です。

7.たな卸資産(期末たな卸高)の増減額

たな卸資産は売り上げの実現により、将来の現金収入につながる資産ですが、たな卸資産の取得は現金支出により取得されたものです。たな卸資産の増加額は減算し、逆にたな卸資産の減少額は加算します。

8.仕入債務(買掛金)の増減額

仕入債務の増加額は加算し、逆に仕入債務の減少額は減算します。仕入債務は将来の現金支出につながるものですが、現金支出に至るまでの経過的な勘定です。

3)投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローは、固定資産や有価証券の取得・売却、資金の貸付け・回収による資金の収支を計算するものです。

発生主義会計においては固定資産・有価証券の取得は損益計算とは関係せず、貸借対照表に資産として計上されます。また、固定資産・有価証券の売却は、損益計算では営業外損益または特別損益に、売却益または売却損のみが計上され、貸借対照表上に計上されている資産が減少します。このように、固定資産・有価証券を売却した場合、売却額(売却による現金収入の総額)が明確になりませんが、投資活動によるキャッシュフローではそれを把握できる利点があります。

4)財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローは、企業の従来の資金繰りに当たる内容になります。資金の借り入れによる収入、社債発行による収入、株式発行による収入、借入金返済による支出、社債償還による支出、自己株式取得による支出、配当金の支払額などが一覧で把握できます。

5)現金及び現金同等物の計算

営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローの合計額に現金及び現金同等物に係る換算差額を加減し、現金及び現金同等物の増減額を計算します。これに期首残高を加算し、現金及び現金同等物の期末残高を計算します。そして、期末残高は、貸借対照表に含まれる現金及び現金同等物の額と一致することになります。

4 キャッシュフロー計算書の作成例

簡単な例を使って、×1年度におけるキャッシュフロー計算書の作成例を紹介します。税引前当期純利益は1000万円とします。

下表(C/F1)~(C/F25)の記号は、キャッシュフロー計算書上で確認しやすいように付けたものです。金額の右側の(加算)(減算)は、キャッシュフロー計算書における加算と減算を表します。

キャッシュフロー計算書

以上を基にキャッシュフロー計算書を作成すると次のようになります。

キャッシュフロー計算書

以上(2026年4月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人税理士 安積健)

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画像:Rummy & Rummy-Adobe Stock

【朝礼】意見される人になろう

【ポイント】

  • 周囲の人は、「この人にもっと能力を発揮してもらいたい」と考え、意見を言う
  • 意見されるには、周囲の人が意見を言いやすい環境づくりが必要
  • 立場にかかわらず、意見してくれた人には感謝の気持ちを伝える

今朝は、いつも周囲の人から「意見される人」についてお話ししようと思います。周囲の人からいつも意見される人と聞くと、おっちょこちょいで、いつも失敗ばかりしている人や、思慮が足りず周囲から注意される人といった、マイナスの印象を与える人を思い浮かべるかもしれません。一方で、周囲の人は、「この人にもっと能力を発揮してもらいたい」「意見する価値がある人だ」と考え、意見を言います。周囲の人の意見には、自分だけではなかなか気づくことのなかったたくさんのアイデアや視点が含まれています。意見される人は、こうした意見をうまく自分の仕事に反映し、成果を得ているはずです。

豊臣秀吉と竹中半兵衛、本田宗一郎と藤沢武夫といったように、偉人や名経営者と呼ばれる人の隣には名参謀がいます。偉人や名経営者と呼ばれる人も自分だけの能力ではなく、自分に意見してくれる人材、参謀に恵まれたからこそ、十分な力を発揮することができたといえるでしょう。

それでは、周囲の人からいつでも意見される人であるには、どうすればよいのでしょうか。私は「日ごろから相手と意思疎通を図っておく」「いかなる場合も人の話に耳を傾ける」といった、周囲の人が意見を言いやすい環境づくりが必要だと思います。例えば、部下から上司に対して意見があったとしても、忙しそうにしていて話を聞いてもらえる様子がなかったり、以前に意見したときに全く取りあってもらえなかったとすれば、その部下は上司に意見を言うことはないでしょう。

従って、部下を持つ上司は、常日ごろから部下に声をかけたり、意見を求めたりすることが大切です。そして、立場にかかわらず、意見してくれた人には、感謝の気持ちを伝えましょう。時には、耳の痛い意見や、意に沿わない意見もあるかもしれません。しかし、そうした意見を言ってくれる人こそ、あなたのことを真剣に考えてくれている場合が多いものです。

一般的に、担当する仕事量が増えて忙しくなったり、役職が上がって部下の人数が増えたりするといった状況になると、人から意見されにくくなります。どのような状況にあっても、周囲の人から意見される人であるよう、周囲の人が意見を言いやすい環境づくりを忘れないように心がけ、人の意見をうまく取り入れて、自らの糧としていきましょう。

              

以上(2026年4月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

「DDoS攻撃」の防御策と踏み台にされないための対策とは

1 IoT機器などが乗っ取られて、攻撃の踏み台に!

「DDoS攻撃」(Distributed Denial of Service attack; 分散型サービス妨害攻撃)は、

サーバーやネットワークなどに意図的に過剰な負荷をかけることで、正常なサービスを提供できなくするサイバー攻撃

です。「ディードス」と読みます。

攻撃者は、何らかの方法で乗っ取った複数の機器で構成されるネットワーク(ボットネット)を踏み台として、特定のサーバーやネットワークに対して大量のアクセスを一斉に仕掛けて高負荷状態にさせる、もしくは回線帯域を占有してサービスを利用できなくします。

IPA(情報処理推進機構)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」では、「DDoS攻撃(分散型サービス妨害攻撃)」が、組織向け脅威として取り上げられており、2026年には第9位にランクインしています。

情報セキュリティ10大脅威

「DDoS攻撃」は、ルーターやネットワークカメラなどのIoT機器を狙う「Mirai」と呼ばれるウイルス(IoTマルウェア)や、その亜種に感染したボットネットを踏み台とするのが主流でしたが、足元では「Mirai」とは異なるIoTマルウェアの感染も拡大しているといいます。

大規模な「DDoS攻撃」を受けると、ウェブサイトの停止、業務の中断といった深刻な被害が生じます。中小企業も対策を怠ると攻撃の踏み台にされてしまう恐れがあります。

この記事では、「DDoS攻撃」の防御策と、攻撃の踏み台にされないための対策を紹介します。

2 「DDoS攻撃」の防御策

1)海外に割り当てられたIPアドレスからの通信の遮断

攻撃元となるIPアドレスの多くは、海外に割り当てられたIPアドレスです。例えば、サービス対象者が国内に限られるウェブサイトを運営している場合、海外に割り当てられたIPアドレスからのアクセスを制限(ジオブロック)することで、被害を抑えられます。

2)DDoS攻撃の影響を排除または軽減するための専用の対策装置やサービスの導入

WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール)、IDS/IPS(不正侵入検知システム/不正侵入防止システム)、UTM(統合脅威管理)、DDoS攻撃対策専用アプライアンス製品等を導入し、DDoS攻撃を防ぐため必要な設定を行います。

3)コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)サービスの利用

CDNは、独自に構築したキャッシュサーバーやそれにひも付くネットワークを利用して、ウェブサイトのコンテンツを配信するサービスです。元々、ウェブサイトのレスポンス向上を目的として利用されてきましたが、「DDoS攻撃」に対しても、CDNが攻撃トラフィックを分散処理することで、オリジンサーバーへの負荷軽減が期待できます。オリジンサーバーへの直接アクセスを防ぐため、オリジンサーバーのIPアドレスを隠蔽する必要があります。

4)その他各種DDoS攻撃対策の利用

インターネットサービスプロバイダーや、WAF/CDNを提供するクラウドサービス事業者が別途提供する、DDoS対策機能を利用することも有用です。

5)サーバー装置、端末及び通信回線装置、通信回線の冗長化

代替のサーバー装置などに切り替える対策です。この場合、DDoS攻撃の検知、代替サーバー装置などへの切り替えが許容される時間内に行えるようにする必要があります。

6)サーバー等の設定の見直し

代替のサーバー装置などについて、パケットフィルタリング機能、3way handshake時のタイムアウト短縮、各種Flood攻撃への防御、アプリケーションゲートウェイ機能がある場合は、有効にしましょう。

3 攻撃の踏み台にされないための対策

1)オープンリゾルバー対策

オープンリゾルバー(Open Resolver)とは、外部の不特定のIPアドレスからの、再帰的な問い合わせを許可しているDNSサーバーのことです。DNSサーバーの設定不備によるものだけでなく、ブロードバンドルーターなどのネットワーク機器に組み込まれているリゾルバーが、意図せずインターネットからアクセス可能になっているケースもあります。

JPCERTコーディネーションセンターが運用する「オープンリゾルバー確認サイト」に、ウェブブラウザでアクセスすると、自身の利用する環境がオープンリゾルバーとして機能していないか、適切な設定や対策が施されているかを確認できます。設定されているDNSサーバーやブロードバンドルーターが、オープンリゾルバーと判定されたときは、設定を見直しましょう。

■JPCERTコーディネーションセンター「オープンリゾルバー確認サイト」■
https://www.openresolver.jp/

2)セキュリティパッチの適用

サーバーやネットワーク機器の脆弱性を放置すると、攻撃者にマルウェアを仕掛けられ、DDoS攻撃の踏み台として悪用される恐れがあります。

OS、ミドルウェア、アプリケーションの定期的なアップデートが欠かせません。ベンダーからセキュリティパッチがリリースされたら、速やかに適用し、脆弱性が含まれるプログラムや設定を更新・修正しましょう。

3)フィルタリングの設定

正常な通信パケットでは、ヘッダー部分にあるIPアドレスは送信者のアドレスになっています。このIPアドレスを書き換えた詐称パケットで相手先に接続を試みるのが、「IPスプーフィング」と呼ばれる手法です。

ルーターやファイアウォールにおいて、送信元IPアドレスが詐称されているパケットをフィルタリングすることが求められます。

4 参考

■みんなで守る、IoT。NOTICE■
https://notice.go.jp/
■情報通信研究機構 サイバーセキュリティ研究所「NICTER Atlas」■
https://www.nicter.jp/atlas

以上(2026年4月作成)

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画像:DAIN-Adobe Stock

【新人経理必見】 簿記を使って、会社の取引の全体像をイメージしてみよう

1 経理担当者の基礎は簿記

財務諸表を作成するには、勘定科目とその処理方法を知る必要があります。そのために必要なのが、簿記の知識です。全ての取引を仕訳し、項目ごとに集計したものが財務諸表となるからです。取引を見たとき、会計上、どのように処理されるのかをすぐに判断するためにも、項目ごとの仕訳のパターンをイメージできるようになることが大切です。また、財務諸表の項目から仕訳をイメージすることでも、数値に変化があったときの分析に役立ちます。

この記事では、新人経理担当者向けに

  • 複式簿記の基本“貸方”と“借方”の考え方
  • 貸借対照表の表示区分ごとの各勘定の処理方法

を紹介します。

なお、簿記には、収入と支出のみを記録する簡易的な単式簿記と、収入と支出だけでなく、資産および負債の増減も含めて記録する複式簿記がありますが、この記事では複式簿記を前提に説明をしていきます。

2 複式簿記の基本“貸方”と“借方”の考え方

簿記は、企業の活動を記録するものです。例えば、商品を現金で仕入れれば、商品(資産)が増え、現金(資産)が減ります。

また、商品を現金で販売した場合、売上高(収益)が増え、現金(資産)も増えると同時に、商品(資産)が減り、売上原価 (費用)が増えます。複式簿記は、こうした

出ていく財貨と入ってくる財貨といった、2つの流れを同時に記録

します。

勘定は借方(かりかた) と貸方(かしかた)の2つに分けることができます。貸借対照表の左側(資産の部)の科目が借方勘定で、右側(負債の部と純資産の部)の科目が貸方勘定です。また、損益計算書の収益・利益に当たるのが貸方勘定で、費用・損失に当たるのが借方勘定です。

貸借対照表で見ると、貸借対照表の右側は負債の部と純資産の部ですが、これは企業活動に必要な資金の調達方法を表しています。この資金を左側の資産の部にあるさまざまな資産の形で運用します。

貸借対照表と損益計算書

簡単な簿記の仕訳例を見ながら、どのように各勘定に反映されるのかを見てみましょう。

仕訳例

  • 現金及び預金勘定は10万円の増加 (-10万円+20万円)
  • 仕入勘定は25万円の増加 (+10万円+15万円)
  • 売上勘定は45万円の増加 (+20万円+25万円)
  • 買掛金勘定は15万円の増加
  • 売掛金勘定は25万円の増加

仕訳後の各勘定の状態

勘定科目の内容は、貸方と借方に分かれます。各勘定科目の金額の増減は、次のようになります。

  • 貸方勘定の金額の増加は貸方に記帳、減少は借方に記帳
  • 借方勘定の金額の増加は借方に記帳、減少は貸方に記帳

以降では、貸借対照表の表示区分ごとの、主な勘定科目の処理方法を説明していきます。

3 流動資産

1)流動資産に含まれるもの

流動資産に含まれるものは、次の通りです。

現金及び預金、受取手形、売掛金、有価証券、商品及び製品(棚卸資産)、前渡金、前払費用、未収収益、未収入金など

2)売上債権と貸倒引当金

売上債権の仕訳例

受取手形と売掛金は売上債権といいますが、これらは必ずしも現金化できるとは限りません。こうした債権には貸し倒れリスクがついて回るからです。例えば、売掛金の期末残高が1000万円あり、このうちの2%程度が貸し倒れになるリスクがあると過去の実績から判断した場合は、20万円(1000万円×2%)の貸倒引当金を設定します。

貸倒引当金の仕訳例

貸倒引当金の仕訳例

3)棚卸資産

商品は、仕入れて保有している段階では資産です。その商品を販売して初めて売上原価(費用)となります。売上原価は次の式で算出されます。

期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高=売上原価

この期末商品棚卸高が貸借対照表の流動資産の棚卸資産を構成します。また、これが翌期の期首商品棚卸高となり、翌期以降に費用となって売上原価を構成することになります。

例えば、期首商品棚卸高200万円、当期商品仕入高1000万円、期末商品棚卸高100万円の場合、当期の売上原価は次の通りです。

当期の売上原価=200万円+1000万円 100万円=1100万円

期末商品棚卸高100万円が流動資産に表示されます。

4)前渡金、前払費用、未収収益、未収入金

1.前渡金

前渡金は商品や原材料などの仕入れや外注加工などの発注に際し、代金の一部または全部を、物品の受け入れや外注加工の完了前に交付した場合、その金額を一時的に処理する勘定です。前払金、手付金ともいわれます。前渡金は金銭債権ではなく物品やサービスの給付請求権となるため、貸倒引当金を設定できません。

仕訳例

2.前払費用

前払費用は、一定の契約に基づいて、継続して役務やサービスの提供を受ける場合、決算日においてまだ提供されていない役務やサービスに対して事前に支払った対価のことです。未経過の支払利息、賃借料などがこれに当たります。

仕訳例

これにより、翌期分の費用を翌期に繰り延べることができます。

3.未収収益

未収収益は、一定の契約に基づいて、継続して役務やサービスの提供を行う場合、決算日において既に提供した役務やサービスに対してまだ受領していない対価のことです。未収の受取利息、賃貸料などがこれに当たります。

仕訳例

これにより、当期分の収入を見越して当期の収益を計上することができます。

4.未収入金

未収入金は、売掛金以外の固定資産、有価証券売却代金などの本来の事業目的以外の財貨やサービスを提供した場合の代価の未収額を処理する勘定です。

仕訳例

4 固定資産

1)固定資産に含まれるもの

固定資産には有形固定資産、無形固定資産及び投資その他の資産が計上されます。それぞれに含まれるものは、次の通りです。

  • 有形固定資産:建物、機械装置、車両運搬具、土地など
  • 無形固定資産: ソフトウエア、のれん、借地権、工業所有権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)など
  • 投資その他の資産投資有価証券、関係会社株式など

2)有形固定資産の減価償却

減価償却費は、営業費用の一部として損益計算をする上で費用計上されます。減価償却累計額は固定資産勘定を間接的に減額する評価勘定です。減価償却累計額は、土地などの非償却資産を除く固定資産の減価償却費の累計額です。固定資産取得価額から減価償却累計額を差し引いた価額が、償却資産の未償却残高(帳簿価額)となります。

ここでは次の前提条件で「定額法償却」について説明します。

前提条件:期首に機械装置を100万円で購入。耐用年数は10年

定額法による場合、各年度の減価償却費は次の式で算出されます。

  • 各年度の減価償却費=「取得価額×償却率」 (耐用年数ごとに定められている定額法の率)
  • 各年度の減価償却費=「取得価額×償却率」 「100万円×0.1」(耐用年数10年の場合の償却率)=10万円

また、期首資産価額、減価償却費、期末資産価額は次のように推移します。資産は備忘価額1円を残して、10年間で99万9999円を償却します。

減価償却

減価償却累計額は、原則的には貸借対照表の有形固定資産を間接的に減額する評価勘定として表示され、減価償却費は、損益計算書において営業費用として処理されることになります。

仕訳例

有形固定資産の貸借対照表での表示は、次の通りです (5年度の期末)。

仕訳例

3)投資その他の資産

投資その他の資産は、投資有価証券、関係会社株式、関係会社出資金、破産更生債権等、投資不動産などで構成されています。

例えば、取引先の経営状況が悪化して、会社更生法や民事再生法などの適用を受けることになった場合、通常の売掛金と区別するため、次のような会計処理を行い、投資その他の資産の欄に計上されるようになります。

仕訳例

5 繰延資産

繰延資産とは、支出の効果が将来にわたるため、一旦「資産」として計上し数年で費用化するものです。例えば、会社設立のための創業費、開業費、株式発行費などが分類されます。

会計処理では、資産勘定から直接償却額を差し引く直接控除方式が基本です。貸借対照表には未償却残高のみが記載され、減価償却のように累計額を別記せず直接削るのが特徴です。

6 流動負債

1)流動負債に含まれるもの

負債の部は流動負債と固定負債に分けられます。

流動負債には、次のようなものが含まれます。

支払手形、買掛金、短期借入金、リース債務、前受金、前受収益、未払金、未払費用など

2)支払手形、買掛金

仕訳例

3)前受金、前受収益、未払金、未払費用

1.前受金

前受金は商品や原材料などの仕入れや外注加工などの受注に際し、代金の一部または全部を、物品の出荷や外注加工の完了の前に受け取った場合、その金額を一時的に処理する勘定です。前受金は金銭債務というよりも、物品やサービスの給付債務となります。

仕訳例

2.前受収益

前受収益は、一定の契約に基づいて、継続して役務やサービスの提供を行う場合、決算日においてまだ提供していない役務やサービスに対して事前に受領した対価のことです。未経過の受取利息、賃借料などがこれに当たります。

仕訳例

これにより翌期分の収益を翌期に繰り延べることができます。

3.未払金

未払金は、固定資産、有価証券購入代金などの本来の事業目的以外の財貨やサービスの提供を受けた場合の代価の未払分を処理する勘定です。

仕訳例

4.未払費用

未払費用は、一定の契約に基づいて、継続して役務やサービスの提供を受ける場合、決算日において既に提供を受けた役務やサービスに対してまだ支払っていない対価のことで、未払いの支払利息、保険料、賃借料、リース料などです。

仕訳例

これにより当期分の正しい費用を計上することができます。

4)借入金

借入金は、金銭消費貸借契約により金銭を借り入れた場合に生じる債務です。この借入金は、返済期限までの期間によって次のように分類します。

  • 短期借入金:決算日から1年以内に返済期限の到来するもの
  • 長期借入金:決算日から1年を超えて返済期限の到来するもの

短期借入金の借り入れから返済までの取引の仕訳を見てみましょう。

仕訳例

また、短期借入金、長期借入金は、もし役員からのものや、親会社からのものがあれば、それぞれを区分して計上しなければなりません。

仕訳例

7 固定負債

固定負債は、社債、長期借入金、退職給付引当金などで構成されています。ここでは、社債の発行について説明します。

社債は、資金を調達するために社債券という有価証券を発行することによって生じる企業の銀行から100万円を短期で借り入れました。

仕訳例

社債発行費の償却を60カ月(運用終了までの期間5年)とした場合、社債発行費の償却、社債の額面と簿価の差額は×6年3月31日に解消します。

×6年3月31日に社債を運用終了した際の仕訳例は次の通りです。

仕訳例

8 純資産の部

1)純資産の部の表示項目

純資産の部は、株主資本、評価・換算差額等、新株予約権に区分されます。

さらに、株主資本と評価・換算差額等は次のように分けられます。

  • 株主資本:資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式
  • 評価・換算差額等:その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、土地再評価差額金

会社計算規則に基づいた純資産の部の表示項目は次の通りです。

仕訳例

2)増資の仕訳

株主総会決議に基づく取締役会の決議により、株式1000株を第三者に割当増資する(新株を割り当てること)ことになりました。

発行価額は1株につき7万円、1株当たり2万円を資本金に組み入れないことにし、かつ発行価額と同額の申込証拠金を受け入れることにしました。また、申込期日までに全額が払い込まれました。

仕訳例

3)利益配当

株主総会において、次の配当を決議しました。

  • 配当金:1000万円
  • 利益準備金:100万円

この場合の仕訳例は次の通りです。

仕訳例

4)自己株式

自己株式を1000万円で取得しました。

仕訳例

仕訳例

自己株式1000万円を1100万円で売却しました。

仕訳例

自己株式処分差益は、純資産の部のその他資本剰余金となります。

仕訳例

以上(2026年4月更新)
(監修 辻・本郷税理士法人 税理士 安積健)

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画像:takasu-Adobe Stock

中小企業が「標的型攻撃」の踏み台にならないための多層防御とは

1 油断大敵! あなたの会社もサイバー攻撃のターゲットに

「標的型攻撃」は、

特定の企業や組織をターゲットとして、機密情報や知的財産、アカウント情報(ID、パスワード)などを窃取しようとするサイバー攻撃

です。中国や北朝鮮といった国家を背景とする犯行グループの関与が疑われる事案も後を絶ちません。

IPA(情報処理推進機構)が毎年公表する「情報セキュリティ10大脅威」では、「機密情報を狙った標的型攻撃」が、初選出の2016年から11年連続で組織向け脅威として取り上げられており、2026年には第5位にランクインしています。

情報セキュリティ10大脅威

「うちは中小企業で、狙われるような機密情報もないし、関係ないだろう」と、仮にあなたがそう考えているのであれば、その認識は甘いと言わざるを得ません。

なぜなら、第1位の「ランサム攻撃による被害」、第2位の「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」などの端緒は、標的型攻撃メールなどによる侵入のことも多く、大企業に対する攻撃の踏み台として、「取引先である中小企業」が標的にされることもあるからです。巧妙な標的型攻撃を100%防ぐことは不可能です。

この記事では、標的型攻撃の主な手法を知った上で、ネットワークに侵入されることを前提とした「多層防御」の考え方について解説します。

2 標的型攻撃の主な手法

1)標的型攻撃メール

標的型攻撃の侵入経路として多く使われるのは、今なお、電子メールです。この「標的型攻撃メール」の手法は、簡単に言うと、

添付ファイル(Word、Excel、PDF、Zipなど)の開封や本文中のURLリンクのクリックを促すことで、マルウェアに感染させるもの

ですが、メール受信者の心理的な隙を突くために、手口が非常に巧妙化しています。

例えば、実在の取引先、上司や同僚、公的機関(税務署・保健所など)になりすましたり、採用応募や問い合わせをかたったりした、不審なメールを受信したことのある人も多いのではないでしょうか。

ここ数年は、AIの技術がすさまじい速度で発展しており、「不自然な日本語に気を付ける」といった、メールを読んだときの違和感による真偽の見極めは、通用しなくなってきています。

2)不正アクセス

攻撃者が何らかの方法でネットワークに不正アクセスし、追加の認証情報の窃取や不正アカウントの作成、バックドアの設置などを行い、「踏み台」として使うものです。

コロナ禍を経てよく見られるのが、テレワークのために設置したVPN機器が初期設定のままだったり、リモートデスクトッププロトコル(RDP)のポートがインターネットに公開されていて、簡単なパスワードだったりするケースです。そうすると、総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)によって容易にネットワークに侵入されてしまいます。

3)ウェブサイトの改ざん(水飲み場型攻撃)

ターゲットが信頼している場所(=水飲み場)で待ち伏せする手口です。例えば、業界団体のニュースサイトなど、情報収集の目的でよく閲覧するウェブサイトがあったとします。そのウェブサイトのセキュリティ対策が甘いと、サイトが改ざんされ、マルウェアを仕掛けられて、そのサイトにアクセスするだけで、マルウェアに感染してしまう恐れがあります。

3 多層防御の考え方

情報システムのセキュリティ対策は、旧来、攻撃者による侵入をネットワークの入り口で防ぎ切れるという考えの下で、入り口対策に重きが置かれてきました。しかし、標的型攻撃は、入り口対策だけでは防ぎ切れません。メールフィルタリングやウェブフィルタリング、マルウェア対策ソフトの利用といった基本的な入り口対策に、内部対策、出口対策を重ね、一つの層が破られても別の層で守られるという、「多層防御」の考え方が重要です。

1)入り口対策

自社が管理するネットワーク、システムや端末などと、インターネットなどの外部環境との接続点で、不正な通信が入り込むことを防ぐ対策です。先に述べた基本的なメールフィルタリングやウェブフィルタリング、マルウェア対策ソフトの利用の他に、次のような対策が考えられます。

  • 多要素認証(MFA):VPNやRDP、クラウドサービスへのアクセスには、ID/パスワードだけでなく、MFAを必須とし、不正ログインを防ぎます。
  • パッチ管理:OSやソフトウェア、特にVPN機器などの脆弱性をなくすためのセキュリティパッチを、迅速かつ確実に適用します。

また、「標的型攻撃メール訓練」も有効です。標的型攻撃メールを疑似的に再現したメールを従業員に対して送信し、その開封状況や万が一、引っかかってしまった際の対応策が、会社のルールにのっとってきちんと実施できているか、などを可視化できます。

2)内部対策

入り口対策をすり抜けた不正な通信に対して、内部ネットワーク環境に保存・設置されている機密情報やシステム等に対する、攻撃の予兆などを検知・隔離するものです。次のような対策が考えられます。

  • ふるまい検知:旧来のマルウェア対策ソフトは、パターンファイルにマッチする既知のウイルスを検出するものでした。ふるまい検知は、プログラムの挙動から悪意のあるマルウェアを検出する仕組みで、「不審な動作」をしているかどうかを監視するため、データベースに登録されていない新種のマルウェアにも対応可能です。
  • EDR(Endpoint Detection and Response):PCやサーバーの「エンドポイント」でプログラムの動作などを監視し、その動きによってウイルスの感染を検知し、情報収集・調査や感染PCの遠隔隔離などをすることで、リスクを最小限に抑えるものです。
  • XDR(Extended Detection and Response):EDRの情報に加え、ネットワーク機器やクラウドのログも相関的に分析し、より高度な脅威検知を実現します。

また、アクセス権限の適切な設定も重要です。本来の目的に必要な最低限の権限しか与えない、「最小特権の原則」を守るようにしましょう。

3)出口対策

組織内から重要な情報が外部に送信される段階で、被害を食い止める対策です。次のような対策が考えられます。

  • 社外へのアクセス経路の制限:社内ネットワークとインターネットの間にプロキシサーバーを配置し、通信を仲介することで、有害なコンテンツや不正な宛先への通信を遮断します。
  • WAF(ウェブ Application Firewall)の導入:WAFは、アプリケーションレベルで通信の中身を解析し、特定の条件にマッチする通信を検知・遮断します。

また、万が一、データが流出してしまっても情報にアクセスできないよう「データを暗号化」しておくことや、いつ、何が起きたのか調査し対策を講じるために、サーバーやウェブアプリケーションなどの「ログを記録」しておくことも重要です。

4 対策の定期的な見直しが不可欠

中小企業が「標的型攻撃」の踏み台にならないためには、多層的な防御策を講じることが求められます。「入り口」「内部」「出口」の各所で、それぞれの対策が連携して機能することで、初めて効果を発揮します。

そして、セキュリティを取り巻く環境は常に変化します。新たな脅威に対応するため、定期的に対策を見直し、改善していく継続的な取り組みが不可欠です。

5 参考

■国民のためのサイバーセキュリティサイト「標的型攻撃への対策」■
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/business/staff/04/
■国民のためのサイバーセキュリティサイト「電子メールとウェブサイトにおける対策」■
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/security/business/admin/05/

以上(2026年4月作成)

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画像:WM-WoodenMannequin–Adobe Stock