「休む=何もしない」と思っていないだろうか。じつは、休日のダラダラはかえって疲れが残るケースもあるという。重要なのは、心身を回復させるために正しく休むこと。産業医・吉田英司氏は休息の質を見直す必要性を指摘する。集中とリカバリーを繰り返して持続的に働くための休み方改革とは?
死亡リスクが「78%下がるジョギング」と「97%上がるジョギング」の違い
健康のためにジョギングをする、山に登る……中高年やシニアの体力作りや健康維持に良さそうな習慣が、思わぬ死を招くことがある。法医学者として多数のご遺体を解剖してきた高木徹也氏は、登山やジョギング、山菜採りといったアクティブな行動の裏に、意外なリスクが潜んでいると指摘する。趣味を続けるために、知っておくべきポイントとは?
【外国人雇用】自社が雇用できる外国人労働者は? ~複雑な区分を解説
1 押さえるべきは「在留資格」
日本で働く外国人の数は、2024年には過去最多の230万2587人となりました(厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況」)。外国人雇用を検討する会社は今後ますます増えるでしょうが、注意が必要なのが「在留資格」です。
在留資格とは、
外国人の住所地を管轄する地方出入国在留管理官署(出入国在留管理庁の地方支分部局、以下「入管」)に申請すると取得できる資格で、日本で行える活動と在留期間を示したもの
です。在留資格ごとに就労できる職種や在留期間が違うので、これを正しく押さえておかないと不法就労などのトラブルになりかねません。足元では2024年6月21日から3年以内に、
会社が外国人の不法就労に加担する「不法就労助長罪」の罰則が、「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可)」から「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)」に引き上げ
られることが決まっているので特に注意が必要です。
大切なのは、
- 職種の制限:制限があるかないか
- 在留期間の期限:制限があるかないか(一部は無期限)
- 労働時間の上限:日本人と同じか否か
を確認することです。
まずは、日本で就労する外国人の区分を見てみましょう。

ざっくりとまとめると、多くの外国人は、
- 職種の制限:あり
- 在留期間の期限:あり
- 労働時間の上限:日本人と同じ
となります。ただし、就労できる職種や在留期間の細かいルールは在留資格ごとに異なります。以降で、図表1の区分ごとに、在留資格の概要を紹介するので、確認していきましょう。
2 身分に基づき在留する者
活動内容に関係なく日本に滞在する外国人が該当します。

就労に関する特徴は次の通りです。
- 職種の制限:なし。単純労働なども可
- 在留期間の期限:永住者は無期限。その他の者は期限あり
- 労働時間の上限:日本人と同じ
どの在留資格も職種の制限がなく、労働時間の上限も日本人と同じなので、在留期間にさえ注意しておけば問題ありません。永住者の場合は在留期間も無期限なので、基本的に日本人と同じように雇用できます。
3 就労目的で在留が認められる者
特定の知識・スキルを活かした職業に就く外国人が該当します。

就労に関する特徴は次の通りです。
- 職種の制限:それぞれの在留資格で認められた範囲内でしか活動できない
- 在留期間の期限:高度専門職2号は無期限。それ以外の者は期限あり
- 労働時間の上限:日本人と同じ
基本的にどの在留資格も在留期間に期限がありますが、例外は高度専門職2号です。高度専門職とは、高度な知識・スキルによって日本経済に貢献することなどを期待され、ポイント制による一定の評価を受けた外国人のための在留資格で、研究者やプロ経営者が該当します。
- 最初は高度専門職1号(在留期間の上限は5年)からスタート
- 高度専門職1号として3年以上の活動など一定の要件を踏まえ、ポイント制による評価を満たすことで高度専門職2号になり、在留期間が無期限になる
という仕組みになっています。
4 技能実習
技能実習制度の技能実習生が該当します。技能実習制度とは、技能実習生が日本で実習を行う会社(実習実施者)の下で働き、母国では得がたい技能の修得などを図るための制度です。

就労に関する特徴は次の通りです。
- 職種の制限:技能実習2号、3号に移行が可能な職種・作業は省令で定められている
- 在留期間の期限:あり
- 労働時間の上限:日本人と同じ
技能実習制度は、まず技能実習1号からスタートし、所定の試験を受けることで2号、3号へと移行していくシステムです。ただし、2号、3号に移行が可能な「職種」と各職種にひもづく「作業」が、省令で細かく定められています。例えば、
「耕種農業」という職種には、「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」という作業がひもづくといった具合に、2025年3月7日時点で91の職種と168の作業(下記URL参照)
が定められています。1号には職種・作業の制限はありませんが、技能の修得などに関係ない業務(単純労働など)に従事させることはできません。
厚生労働省「技能実習計画審査基準・技能実習実施計画書モデル例・技能実習評価試験試験基準」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/global_cooperation/002.html
なお、技能実習制度については、技能の習得という本来の制度趣旨に反して、「会社が技能実習生に、技能の習得に関係ない単純労働をさせる」などの問題が頻発していることに加え、日本の労働環境においても、団塊世代の大量離職などによる将来的な人材不足が深刻さを増している状況を鑑み、
2024年6月21日から3年以内に技能実習制度に代わり、新たに「育成就労制度」が開始
されることになっています(具体的な施行日については、現時点では未定)。
育成就労制度は、「育成就労」という在留資格を設け、外国人を原則3年間で一定以上の技能を持つ「特定技能」に育成する制度です。技能実習制度と似ていますが、
- 技能実習制度は、外国人が日本で習得した技能を、将来母国に持ち帰ることを想定した「国際協力」のための制度(特定技能への移行も可能だが、制度上は「帰国」が原則)
- 育成就労制度は、外国人が技能の習得後も、日本企業の戦力として活躍することを想定した「人材確保」のための制度(帰国せず、日本に「在留」することが原則)
であり、目的が異なります。また、その他にも「技能実習制度とは、対象としている産業分野・職種が違う」「就労開始前の日本語教育が必須」といった特徴があります。
出入国在留管理庁「育成就労制度」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/index_00005.html
5 資格外活動
就労するための在留資格を持っていないものの、法務大臣から資格外活動(在留資格の範囲外の活動)の許可を与えられた外国人が該当します。

就労に関する特徴は次の通りです。
- 職種の制限:本来の在留資格に属する活動を阻害しない範囲であれば、基本的になし。ただし、風俗営業等への就労は不可
- 在留期間の期限:あり
- 労働時間の上限:日本人より短い(原則1週28時間まで)
労働時間については、日本人の場合、原則1日8時間、1週40時間が上限ですが、資格外活動を行う外国人の場合、原則1週28時間までとされています。
1日当たりの上限は特に定められていませんが、どの曜日から起算しても1週28時間以内になるようにしなければならない
ので、注意が必要です。ただし、
例外として、在留資格の本来の活動に影響がない期間に限り、労働時間の上限が1日8時間、1週40時間まで延長
されます。留学生のアルバイトを例にして考えるならば、勉強の妨げになりにくい大学の夏休み期間などがそれに該当します。
6 特定活動
特定活動(法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動)を行う外国人が該当します。

就労に関する特徴は次の通りです。
- 職種の制限:在留資格に該当しない活動を行う場合、法務大臣から個々の指定を受ける必要がある。なお、ワーキング・ホリデーの場合は、風俗営業等以外であれば制限なし
- 在留期間の期限:あり
- 労働時間の上限:日本人と同じ
特定活動の場合、外国人のパスポートに添付される「指定書」という書類に、「活動類型」(ワーキング・ホリデー、EPAなど)が記載されており、その内容に応じて就労できる職種が変わってきます。
以上(2025年10月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 小出雄輝)
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画像:pexels
【中小企業のためのM&A】「買い手」と「売り手」の立場から見たM&Aを進める際の留意点
1 「買い手」の立場から見たM&Aの注意点
1)M&Aを行う目的を明確にする
M&Aで最も大切なことは、M&Aの目的を見失わないことです。M&Aが始まると、その検討事項の多さから、いつの間にか、それらをこなすことが目的になってしまいがちですが、これは失敗するM&Aの典型です。
なぜ、M&Aをするのか?
この根本的な理由を見失わないようにしましょう。以下は一般的なM&Aの目的です。
1.事業拡大と成長加速
事業規模の拡大には新たな顧客基盤が必要です。しかし、これを一から築くには時間もコストもかかりますから、M&Aによってスピーディーに進める判断をすることがあります。この他、買収する企業が有する技術力や知的財産を獲得することもできます。
2.コスト削減とシナジー効果
買収先企業と販売チャネルや調達ネットワークを共有したり、間接部門を統合したりすることで、コスト削減ができます。また、両社の強みを活かしたシナジー効果により、売り上げや利益の拡大が期待できます。
3.人材の獲得
買収先企業の優秀な人材を獲得することで、自社の人材基盤を強化できます。特に、専門性の高い分野や自社に不足している領域の人材を獲得できることは魅力です。
4.競合他社への対抗
競合他社がM&Aを積極的に行って成長している場合、自社も買収を通じて競争力を維持・強化することで、自社も競争力を高められます。
2)買収先企業の状況を正確に把握する
M&Aでは、買収先企業の財務状況、事業内容、市場環境、経営陣の能力、企業文化などを把握します。買収先企業が提供する情報は、買収先企業の良い面を強調したものとなりがちですが、M&Aを成功させたい気持ちが強まると、ついつい甘く評価してしまいます。この点は手を抜かず、実地調査やインタビューを通じて、リスクや課題を把握しましょう。
また、買収価格の妥当性を評価するために、将来のキャッシュフローを予測し、シナジー効果(相乗効果)を定量的に分析することも必要です。正確な情報に基づいて意思決定を行うことで、M&Aの成功確率を高めることができます。なお、状況を正確に把握するために実施する調査は以下の通りです。
1.実地調査
書面では分からない買収先企業の雰囲気などは、現場で確認するのが一番です。また、本社だけでなく、工場にも足を運び、設備や商品管理の状況、従業員の雰囲気などを確認しましょう。可能であれば、役員だけでなく、従業員との面談を通じて組織風土や従業員の士気を確認したいものです。
2.専門家によるデューディリジェンス(DD)の実施
財務、法務、税務、人事などの各分野において、会計士、弁護士、税理士などの専門家チームによる調査を行うことが考えられます。コストとの兼ね合いがありますが、表面的には把握し難いリスク(貸借対照表に載っていない簿外債務等の数字に関するリスク、従業員の未払残業代などの労務リスク、事業上のリスクなど)が分かることがあります。
3.市場調査と競合分析
買収先企業が属する市場の規模や成長性、トレンドなどを調査・分析します。競合他社と比較して、買収先企業の競争力や市場でのポジショニングを評価します。買収先企業から得られる情報だけでは偏りがあるため、市場調査会社に調査を依頼したり、取引先の金融機関に相談したりするとよいでしょう。
3)M&Aの後の統合プロセスをイメージする
M&Aの成功のカギは、M&Aの後の統合プロセスにかかっているといっても過言ではありません。そのため、事前に経営体制、組織構造、業務プロセス、システム、企業文化などの統合方針を具体的に検討しておかなければなりません。
特に、人事面での統合は重要で、従業員の不安を払拭し、モチベーションを維持するための施策が求められます。また、シナジー効果を実現するための具体的なアクションプランを策定し、進捗管理も行いましょう。
統合プロセスにおける主な検討事項としては以下の通りですので、参考にしてください。
1.経営体制の確立
M&Aの後、役員を交代せずに経営を委ねるのか、新しい役員体制の下で事業を推進していくのかなど、中長期的な目線での経営体制を早期に確立しなければなりません。この点がはっきりしていないと、組織が混乱してしまいます。
2.組織・人事の統合
両社の組織構造や人事制度を統合する必要があります。この点は従業員の関心も高く、モチベーションに大きく影響するところなので、適切な情報提供やコミュニケーションを通じて慎重に進めていきましょう。
3.業務プロセスとシステムの統合
両社の業務プロセスを見直し、会計システム、人事管理システム、営業プロセスなど、重要なビジネスシステムを統合していきます。データの統合と移行を確実に行い、業務の中断を最小限に抑えていく必要があります。
4.統合後のモニタリングと評価
統合後の業績や組織の状況を定期的にモニタリングし、問題や改善点を抽出して、経営課題を的確に把握できるようにします。
2 「売り手」の立場から見たM&Aの注意点
1)情報管理を徹底して行う
M&Aに関する情報漏洩は、今でも「身売り」といったようにネガティブにとらえられる恐れがあります。そうなると、従業員の士気低下や取引先との関係悪化につながるリスクが出てきます。ですから、M&Aにおける売り手は、情報管理を徹底しなければなりません。
2)売却の目的を明確にする
事業の継続、従業員の雇用維持、株主価値の最大化など、売却の目的を明確にし、その目的に沿ったより良い買い主の選定を行うことが重要です。良い相手が見つかれば、結果的に、従業員や取引先などに不安を感じさせることもなくなります。
3)自社の価値を適切に把握して交渉する
自社の事業や資産の価値を適切に把握して、買い手側と妥当な条件で交渉できるようにしなければなりません。必要に応じて、外部の専門家を活用し、客観的な評価を得るようにしましょう。これによって、自社を安売りすることがなくなります。
4)従業員とのコミュニケーションを大事にする
会社の売却は、考え方によっては「身売り」というネガティブな印象を与えてしまいます。そのため、どの時点でM&Aに関する情報を開示するのかという点も含めて、従業員とのコミュニケーションの取り方を検討しましょう。大切なのは将来に対する不安を払拭し、モチベーションを維持することです。
5)M&A後の移行プロセスをイメージする
売却後の移行プロセスを円滑に進めるための計画を立て、売却先企業と協議をしながら具体化していきます。特に、売却後も役員が経営に関与する場合は、その権限を明らかにしておくことが重要です。
以上(2025年9月作成)
(執筆 リアークト法律事務所 弁護士 松下翔)
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画像:Mariko Mitsuda
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1 企業事例から「産学連携」のイメージをつかもう!
産学連携とは、
企業が大学や研究機関と協力し、研究者の知見や最新技術を取り入れる取り組み
です。
「産学連携とはどんなものか」というイメージをつかんでいただくため、
産学連携により、こどもたちの世界観を広げる教育プログラムを開発した企業「シンクアロット」
にインタビューを実施しました。研究者との連携をどのように始め、どんな成果を得たのかを以降で詳しくご紹介します。また、巻末では産学連携を検討する際の基本的な流れと、利用可能な支援制度についても記載しているので、興味がある人はぜひご確認ください。
なお、この記事は後編です。前編では産学連携により、今までにない美味しいデカフェコーヒーを生み出した企業の事例を紹介しています。
2 「こどもたちに、世界観を広げるための平等な機会を与えたい」シンクアロット

「こどもたちの世界観を広げる」をビジョンとして掲げるシンクアロット。代表の漆間康介(うるま こうすけ)さん。
同社は2018年の設立以来、保育園・幼稚園(以下、園)の未就学児向け教育プログラム「せかいタッチ」を中心に事業を展開しています。「せかいタッチ」は、教材を通じて海外の自然や文化、言葉に触れ、さらに現地園児とのオンライン交流を組み合わせ、こどもたちの心の育ちを支援するサービス。未就学児教育の現場に科学的な体験と学びを届けています。
1)産学連携に至った経緯
漆間さんは、自身の海外赴任経験から「新しい世界に触れる体験が人の視野を広げる」と確信。海外・異文化と交流することで、異なる人や文化に関心を持つ機会を、その環境にかかわらず与えたいと考え、サービスを立ち上げます。しかし、
教育サービスの効果を客観的に示すのは容易ではなく、科学的裏付けが不可欠
でした。
そこで、当時参加していた多摩イノベーションエコシステムを通じて、効果検証に協力してくれる大学の研究者を探すことに。数人の先生と面談を重ねた結果、国際基督教大学で発達心理学を研究している直井望(なおい のぞみ)上級准教授と出会います。
直井上級准教授が「多様性や文化がこどもたちに与える影響」に関心を示したこともあり、両者のニーズが一致して「せかいタッチ」の共同研究を行うことになりました。
2)産学連携だからこそできたこと
研究開始時、最大の課題は「こどもたちの世界観や好奇心をどう測るのか?」でした。当時はまだ効果を測るノウハウもなく、何もかも手探りの状態だったのです。
当初、シンクアロットは「こどもたちに手をあげてもらう」ことで効果を測る予定でしたが、直井上級准教授から「未就学児は肯定バイアス(『はい』か『いいえ』の質問をされたら『はい』と答えてしまう現象)が強く、単純な質問形式では正確な評価は困難である」との指摘が……。
そこで、シンクアロットと直井上級准教授は相談の上、
文字が読めないこどもたちでも視覚的に理解できる、イラストなどを多用したワークシート形式を採用しつつ、肯定バイアスがかからないよう、少人数グループにして効果を測る
という方法で、実験を行うことになりました。海外園との交流前後での変化を測定し、主体性や探究心、世界観の広がりを科学的に評価できる体制を構築したのです。

また、共同研究の過程で、サービス運営の仕組み自体を見直す契機も生まれました。当初は日本と海外、それぞれの園が1:1の交流を単発で行う想定でしたが、実験の結果、少ない回数の交流では、こどもたちはすぐに「海外のこどもたちと遊んだこと」自体を忘れてしまうことが分かりました。加えて、本サービスが「(海外・異文化に対する)バイアスを減らすことにつながっている」と科学的に実証するには、交流の回数が不十分であることも判明しました。
そこで、シンクロアットは
サービスの価格などを鑑みて複数園同時の交流に切り替え、年間の実施回数を増やす形
にサービスを再設計したのです。分析に基づいてサービスを見直した結果、現在では多くの園への「せかいタッチ」の導入が実現しています。

漆間さんは、
「産学連携があったからこそ、科学的根拠に基づいたサービス改善が可能になった」
と振り返ります。大学側の専門知識と研究手法を借りることで、単なる権威付けに留まらず、サービス内容の本質的改善につながることになりました。研究者との対話やデータ分析の結果、プログラムの構造や運用方法を見直すきっかけも得られ、事業の成長につながっています。
「権威付けだけに留めず、自社サービスの本質的価値を見直す機会として活用してほしいと思います。事業内容に共感してくださる先生と出会えれば、ハードルは決して高くなく、両者にメリットがあるのです」(漆間さん)
4 産学連携へのステップ
産学連携は想像よりも現実的な選択肢です。また、両者の取り組みを振り返ると、「教育機関側も、研究を社会に活かしたいと考えている」という見落としがちな観点もはっきりと見えてきます。
しかし、実際に一歩を踏み出そうとすると、「何から始めればいいのか」「費用はどうなるのか」といった疑問が出てきます。そこで最後に、産学連携を検討する際の基本的な流れと、利用可能な支援制度について整理します。
産学連携の一般的なステップは次の通りです。
- ニーズの整理:自社が解決したい課題や強化したい分野を明確にする
- 大学・研究機関とのマッチング:自治体や商工会議所、産業支援機関が窓口となる場合が多い
- 共同研究・試作開発の検討:技術的な可能性や知的財産の扱いを含め、協議を重ねる
- 契約・実施:契約締結後、研究や開発をスタート。進行管理や成果物の確認も重要
また、いざ共同研究先が見つかったとしても、資金面で不安を抱える企業も多いでしょう。そんなときに取り組みを後押しするのが、
国や自治体による補助金・助成金制度
です。代表的なものとしては、次の制度が挙げられます。
■中小機構「ものづくり補助金」■
https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_guide/subsidy_info/manufacturing_subsidy.html
■経済産業省「産学融合拠点創出事業」■
https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2025/k250219001.html
各自治体や金融機関でも、産学連携プロジェクトに対して独自の支援を行っている場合がありますので、自社のニーズがはっきりとしたらまずは相談してみるのも一手です。
以上(2025年10月作成)
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画像:シンクアロット