1 メタボと加齢臭との深い関係

本コラムの登場人物を紹介します。
鶴橋さん 大阪府出身の45歳男性、趣味はラーメン・カレーの食べ歩き。
内心、メタボな体型を気にしている。
麻布さん 神奈川県出身の32歳男性、現在単身赴任中。
趣味は筋トレとランニング。自他ともに認める「健康オタク」
最近、家族に加齢臭を指摘された鶴橋さん。
健康に詳しい麻布さんに加齢臭をどうしたらいいか相談しているようです。
鶴 橋:『こないだカミさんから、わしの体を嗅いで「加齢臭ちゃうか?」って言われてん。
毎日風呂にも入ってるし、この年齢にしては結構きれい好きやと思ってたからショックやったわ。』
麻 布:『加齢臭とは中高年特有の体臭のことなんです。
原因はノネナールという中高年になると増える「不飽和脂肪酸」が酸化分解されて生成される物質です。
汗のニオイは「汗腺」という場所から出てくる汗のにおいですが、加齢臭は「皮脂腺」という場所からにじみ出てくるニオイで、汗のニオイとは発生場所が違うんです。』
鶴 橋:『そうなんやあ…。年やから加齢臭はどうしようもないんかなあ?』
麻 布:『いえいえ、予防策はあるんです。
肉や乳製品などといった動物性脂肪の酸化がニオイの発生源となりやすいんです。
皮脂腺にも脂肪が増え分解される脂肪が増えるということは、加齢臭のもとであるノネナールの量も多くなるといわれています。
また、ノネナールとは別の要因の活性酸素はお酒や香辛料、たばこによって活発に働きます。生活習慣病予防として、動物性食品、お酒やたばこを控えることは加齢臭対策にもなるんですよ。』
鶴 橋:『まさか、メタボ対策と加齢臭対策とがつながっていたとは…。深いなあ。』
麻 布:『体臭も体調や体内の状態を知るバロメーターの一つなんです。
からだの臭いを指摘されたら、まずは生活習慣を見直すことをオススメします。』
2 年末年始ここに気を付けよう
今年も早いものであっという間に「師走」です。
今回は年末の忙しいときに気をつけておきたいポイントをご紹介します。
■通院・服薬をされている方
定期的に通院をして服薬をされている方は、年末の休みの期間中にもいつもどおりの服薬ができるように医師から処方をしてもらいましょう。
年末の多忙で、「今月は診察を受けるのを忘れていた」という方は毎年多くいらっしゃいます。
医師から定期的に服薬するように指示されている薬は、年末年始といえども変わらず服薬することがとても大切です。
健康を維持するために大切なのは、医師の指示を守ること。
定期通院をされている方は12月も忘れずに通院をしましょう。

■定期的な体重測定
年末年始は「忙しくて、ふと気が付いたら体重が増えていました。」というお話をよくお伺いします。
普段なら気が付くことも、忙しいと気が付かないことはよくあります。
だからこそ、年末年始のこの時期は毎日体重測定をしましょう。
体重測定をすることで、感覚ではなく数字で自分の体の状態を客観的に確認できます。
年末年始を楽しく過ごすためにも、気をつけていきましょう。
以上(2022年12月)
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廃止か、制度変更か? 中小企業が退職金制度を見直す際の方向性
書いてあること
- 主な読者:自社の退職金制度の方向性に悩んでいる経営者
- 課題:退職金制度の導入率が下がっているが、何らかの形で社員の頑張りに報いたい
- 解決策:制度を廃止して賃金に上乗せする、支払いの負担が少ない制度などに移行する
1 退職金制度の導入率は10年間で15.4ポイント低下
中小企業の退職金制度の導入率は、2020年時点で65.9%です。2010年は81.3%だったので、10年間で15.4ポイント低下しました(東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情」)。

退職金制度には、一時金で支給する「退職一時金」、年金形式で支給する「退職年金(企業年金)」があります。中小企業の71.8%は退職一時金のみの導入で、一般的には長く勤めれば支給額が増える年功型の制度設計になっています。
しかし、定年まで1社に勤め続ける社員が減った昨今、こうした退職金制度は実情に合わない面があり、それが制度の導入率を押し下げる一因になっています。一方で、経営者としては、退職金制度を見直すにしても、何らかの形で社員の頑張りに報いたいという思いがあります。
そこで、この記事では、退職金制度の見直しの方向性として、
- 退職金制度の廃止(制度を廃止して賃金に上乗せする)
- 退職金制度の変更(支払いの負担が少ない制度などに移行する)
の2つを紹介します。
2 退職金制度の廃止の方向性
1)退職金前払い制度
退職金制度を廃止して、賃金に上乗せする方法です。次のように、「会社に勤め続けるか分からないから、それなら賃金が増えたほうがよい」と考える社員に寄り添ったものになります。

常用雇用の社員1人1カ月当たりの労働費用(社員を雇用することで発生する費用)を見た場合、現金給与額(賃金)と退職給付等の費用(退職金)の関係は次のようになっています。

退職給付等の費用を現金給与額に回せば、他社を上回る賃金水準にすることもできるかもしれません。ただし、賃金の上げ幅によっては、社会保険の標準報酬月額(月例賃金を一定の金額幅で区分したもの)が上がり、社員と会社の社会保険料負担が増えるので注意が必要です。
2)iDeCo+(イデコプラス)
iDeCo(イデコ)とは、社員が自分で掛金を拠出して運用し、60歳以降に受け取る個人型確定拠出年金です。このiDeCoの制度の中に、
拠出限度額の範囲内(5000円以上、2万3000円以下)で、iDeCoに加入する社員の掛金に追加して、会社が掛金を拠出できる「iDeCo+(イデコプラス)」
という制度があります(正式名は「中小事業主掛金納付制度」)。
会社が拠出した掛金は全額損金に算入されます。また、個人の運用をサポートする制度なので、通常の退職金制度より事務負担が軽減できます。ただし、次の点に注意が必要です。
- 対象は、社員(厚生年金の被保険者)が300人以下で、企業型確定拠出年金(企業型DC)、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金を実施していない中小企業に限定される
- 導入するには、過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の同意が必要になる
- 会社が、掛金(社員拠出分と会社拠出分)をまとめて実施機関に納付する必要がある(社員拠出分の掛金は、給与天引き)
3 退職金制度の変更の方向性
中小企業が導入できる退職金制度には次のようなものがあります。制度ごとに特徴が異なるので、支払いの負担などを考慮して、自社に合ったものを選定しましょう。

退職金制度の選択肢は、退職一時金と退職年金のどちらを採用するか、または併用するかです。支払いの負担を考えると、年金形式で支給する退職年金は、退職一時金に比べて負担を平準化しやすいですが、一方で、退職年金には「60歳以降など、一定の年齢にならないと引き出せない」というルールがあり、退職金を早くもらいたい社員からは敬遠されるかもしれません。
また、退職金の準備を自社で行うか、外部機関で行うかも重要です。例えば、中小企業退職金共済制度を利用していない場合、中小企業は自社で引当金を積むケースが多いですが、その場合、損金算入が認められないという問題があります。一方、外部機関に積み立てる場合、損金に算入できる部分があるため、税法上のメリットがあります。
退職金制度の種類は、どれも一長一短です。1つの退職金制度に絞り込むのではなく、退職金前払い制度なども含め、複数の仕組みを組み合わせるのも一策です。
4 廃止と制度変更の「折衷案」
ここまで、退職金制度の廃止と変更の方向性について考えてきましたが「折衷案」として、
賃上げと退職金制度の実施を同時に実施する
という方法もあります。

例えば、企業型DCを導入している場合、
賃金の一部を、引き続き賃金(手当など)として受け取るか、企業型DCの掛金にするかを社員が選択できる「選択制DC」
という制度があります。今の収入を多くしたい社員などは賃金として受け取り、将来に備えたい社員などは掛金にすることを選択します。掛金にすることを選択した場合、当然賃金は減りますが、その分、社会保険料負担なども下がる可能性があります。
退職金前払い制度に似ていますが、こちらは社員に受け取り方の選択肢を与えることで、実質的に賃上げと退職金制度の縮小を同時に実施するイメージです。
以上(2022年11月)
(監修 社会保険労務士 志賀碧)
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画像:Ljupco Smokovski-shutterstock
【朝礼】本多静六に学ぶ、自分の成長を促す「最大可能」の計画づくり
皆さんには、何歳になるまでにこれを成し遂げたいという「人生計画」はありますか? まだ漠然としか考えていない人もいるでしょうが、今日は、明確な目標があって自分なりの人生計画を立てているという人にこそ、聞いてほしい話があります。明治から昭和に活躍した林学博士、本多静六(ほんだせいろく)氏に関する話です。
本多氏は、明治神宮の森や日比谷公園など、数百の公園の設計を手掛け、「日本の公園の父」と呼ばれました。また、40代で、現在の価値にして100億円余りを稼いだ「投資家」であり、生涯で376冊もの本を書いた「文筆家」でもありました。そんな本多氏は、25歳で東京帝国大学農科大学(現在の東京大学農学部)の助教授になった際、次のような人生計画を立てています。
40歳までの青年期は、バカと笑われようが、ケチとののしられようが、懸命に働き、貯蓄にいそしみ、生活が安定する基盤を築くこと。
60歳までの壮年期は、大学教授として学問に専念し、国や社会のために働き抜くこと。
60歳を超えて高年期になったら、国や社会、先人に支援してもらった恩に報いるため、名声や利益を求めず、世のため人のために尽くすこと。
70歳以上に生き延びることができたら、住まいを温泉郷に移し、晴耕雨読を楽しむこと。
そして、85歳まで生きた本多氏は、晩年に書いた自著で、この人生計画を「断固死守の決意で行い、予定以上の成果を収めた」と総括しています。
本多氏がさまざまな分野で成功したのは、こうした自分の立てた人生計画に真剣に向き合った結果だといえます。本多氏は幸福な人生を送るためには、「最大の努力をもってあがない得る最大可能の計画を立てることが望ましい」と言っています。つまり、計画達成のために限界まで努力することが幸せにつながるということです。
ここで、冒頭の自分なりの人生計画を立てているという人たちに質問します。皆さんの人生計画は、本当に「最大可能の計画」でしょうか。無難な達成しやすい目標になっているとしたら、それを成し遂げたとき、皆さんは本当に幸福な人生を送れるのでしょうか。ぜひ考えてみてください。
これは、人生計画だけでなく、会社の計画にも当てはまることです。社内ではさまざまなプロジェクトが進んでいますが、無難な達成しやすい目標では、達成したとしても成果は限られますし、そもそもプロジェクトに参加する皆さんは、達成感を抱きにくいのではないでしょうか。皆さんがご存じの通り、当社の経営計画は、あえて挑戦的な数値で予算を設定しています。経営陣が高い目標を掲げるのは、会社の業績のためだけではありません。もう二歩頑張れば届く予算を設定するから、前年より頑張らなければならず、新しい発想やイノベーションを起こすことができるのです。
努力して目標が達成した先にこそ、成長と喜びがあります。ぜひ人生も仕事も高い目標を持って、充実した1年にしてください。
以上(2022年12月)
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画像:Mariko Mitsuda
【朝礼】質問します。答えてください
皆さん、おはようございます。「風邪がはやっていますが体調は万全ですか」「昨夜はよく眠れましたか」「現在抱えている仕事は順調にはかどっていますか」「今日すべき仕事の段取りはできていますか」
今、私は皆さんに4つの質問をしました。この質問を投げかけて、皆さんの反応をうかがうことで、皆さんの体調の良しあしや仕事に取り組む姿勢などをある程度判断できると思ったからです。今日はこの「質問」についてお話しします。
アメリカの著名な数学者であるリチャード・ベルマンは「良い質問は答えより重要である」という言葉を残しています。この言葉は学問の世界だけではなく、ビジネスの世界でも通用します。
例えば、私(上司)が皆さん(部下)から仕事の報告を受けようとする際の質問で考えてみましょう。「プロジェクトに問題は生じていませんか」「プロジェクトの進捗(しんちょく)状況は計画通りですか」「プロジェクトの進捗状況は計画対比で何%ですか」
仮に、プロジェクトの進捗状況が同じでも、私(上司)の質問によって皆さん(部下)の答えは変わります。私(上司)が問題は生じていませんかと問えば、皆さん(部下)は順調に進んでいます、あるいは特に問題はありませんと答えるでしょう。また、進捗状況は計画通りですかと問えば、「ほぼ計画通り」と答えるでしょう。しかし、進捗状況は計画対比で何%ですかと問えば、100%でない限り、98%というように数値で答えが返ってきます。
この場合の質問における重要なポイントは、私(上司)が「状況を具体的に把握することができる」答えが得られることです。そこで、私(上司)は数値で答えられる質問をしたのです。
このように、質問者が欲している情報を、回答者から上手に導きだす質問が、一般によい質問といわれるようです。
実は、私(上司)が質問をすることにはもう一つの狙いがあります。それは、コミュニケーションを活発化させる、言い換えればコミュニケーションの量を増やすことです。
先の例でいうと「プロジェクトに問題は生じていませんか」という質問がこれに当たります。皆さん(部下)が「順調に進んでいます」と答えれば、「順調に進んでいるのは素晴らしい。最も貢献している人は誰ですか」「このまま順調に進捗すれば、計画よりも早く業務が終了しますか」「そうそう、プロジェクトのメンバーの残業は増えていませんか」といったように、さらに質問をすることで、皆さん(部下)とのコミュニケーションが深まりますし、プロジェクトの状況もよく把握できます。
質問には、欲しい情報を得るためにするものと、コミュニケーションを深めるためにするものがあることを覚えておいてください。
私(上司)は皆さん(部下)のことをできる限り多く知りたいと思っています。私(上司)が仕事のことや趣味のことについて質問したときは、快く答えてください。
以上(2022年12月)
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画像:Mariko Mitsuda
路面凍結に注意!~冬の安全運転~(2022/12号)【交通安全ニュース】
活用する機会の例
- 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
- 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
- マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など
冬の運転で気を付けたいのが路面の凍結です。運転中に車がスリップして初めて路面の凍結に気が付いたという経験をされたドライバーも多いのではないでしょうか。凍結した路面は「アイスバーン」と呼ばれ、非常に滑りやすいためスリップ事故を起こす危険があります。
今回は凍結した道路を安全に運転するためのポイントについてご紹介します。

1.路面凍結(アイスバーン)とは
路面凍結とは、道路上の水分が凍結することをいいます。気温が氷点下まで下がらなくても路面の温度は気温より3℃~5℃程度低くなることがあります。そのため気温が5℃以下になると路面凍結が発生する可能性があります。特に晴れた日の夜や翌朝は放射冷却で路面凍結が起こりやすいので注意が必要です。
路面凍結(アイスバーン)には以下の3種類があります。
◆圧雪アイスバーン
雪がタイヤによって踏み固められて、硬く圧縮された状態の路面です。昼間に車が多く通るところで、夜間に気温が下がると発生しやすくなります。

◆ミラーバーン
圧縮された路面の雪がタイヤで磨かれ、鏡のように反射するほどツルツルになった路面です。特に交通量の多い交差点付近などで発生しやすくなります。

◆ブラックアイスバーン
道路が薄い氷で覆われた状態の路面です。降雪がなくても、路面が濡れて気温が下がると発生しやすくなります。

※濡れているだけの路面と見分けることが難しく、スリップ事故を起こす危険性が高いため、特に注意が必要です。
2.路面凍結(アイスバーン)が発生しやすい場所
夜間や早朝はもちろんのこと、昼間でも陰になっている道路では路面凍結の可能性があります。次のような場所では路面凍結の発生に気が付かないことがあるので特に注意が必要です。
◆橋や立体交差などの橋梁
橋の上は風通しが良く、路面の温度が下がりやすい場所です。周辺の道路は凍結していなくても、橋の上だけが凍結していることがあります。

◆トンネルの出入口付近
トンネル出入り口付近の雪は、トンネル内部からの温かい空気により溶けやすく、気温が下がると、凍結することがあります。またトンネルの両側で気温が異なることがあるので、入口で路面凍結がなくても、出口では路面凍結が発生していることがあります。

◆交差点付近
交通量の多い交差点付近では、路面の雪がタイヤで磨かれ、ミラーバーンが発生しやすくなります。

3.冬の安全運転のポイント
冬の運転では、路面凍結(アイスバーン)を想定することが大切です。路面が凍結している道路、または凍結のおそれがある道路を走行する際には、次のポイントを踏まえて慎重な運転をこころがけましょう。

<安全運転のポイント>
①急ハンドル・急ブレーキをしない。
②スピードを十分に落として、等速走行をする。
③車間距離を十分にとる。
※早めにスタッドレスタイヤに交換するなど事前の準備をしておきましょう。
以上(2022年12月)
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画像:amanaimages
新人・若手社員のOJTに関する問題点と改善策
新人・若手社員の社内研修におけるOJT(職場実習)は、ほとんどの企業で行なわれているプログラムであり、新人に業務を覚えてもらい、実務的なスキルを身に付ける上で非常に有効な教育手段と言えます。
本稿では、新人・若手社員のOJTを行なう上で、企業が抱く問題点とその改善策をご紹介するとともに、企業にとって、より効果的なOJTの進め方を解説いたします。
新人・若手社員のOJTに関する問題点と改善策
新人・若手社員の社内研修におけるOJT(職場実習)は、ほとんどの企業で行なわれているプログラムであり、新人に業務を覚えてもらい、実務的なスキルを身に付ける上で非常に有効な教育手段と言えます。
本稿では、新人・若手社員のOJTを行なう上で、企業が抱く問題点とその改善策をご紹介するとともに、企業にとって、より効果的なOJTの進め方を解説いたします。
1 OJTの主な課題
(株)日本能率協会マネジメントセンターが実施した「新人・若手社員のOJTに関するアンケート」によると、回答企業(回答者数1000名)の約9割が「OJTに課題がある」と考えていることが明らかになりました。その課題(複数回答)感は次の通りです。
■OJTにどのような課題があると感じていますか。(複数回答)

((株)日本能率協会マネジメントセンター「新人・若手社員のOJTに関するアンケート」)
この通り、主に「指導者側」に課題があることが明らかになっています。
2 有効な改善策
近年のOJT指導者は人材不足などにより若年化傾向にあり、新入社員とそれほど職歴が変わらない若手社員が担当することも増えています。こうした状況において、より効果的なOJTを行うにはどうしたら良いか、下記の視点に着目してみましょう。
①社内組織の連携強化
「新人・若手社員」「OJT担当者」「上司・会社」の連携を強化する。面談などでコミュニケーションを図り、定期的な状況把握やフォローを行うなど、職場全体でサポートできる環境を構築する。
②OJT教育のマニュアル化と指導者研修
OJT担当者の指導スキルのばらつきなどを出さないために、OJT実施マニュアルなどを作成し、それを元に「教える技術」の研修(勉強会)を行い、指導者としてのレベルアップを図る。
③OJTの目的設定
研修プログラム(育成計画)の設計のみならず、指導を行う上での指針を明確化し、最終ゴール(目的)の設定にとどまらず、中間ゴールを設定して、どんなステップで必要な成果をあげ、スキルを身に付けるか、都度分解し検証していく。
④マインドセットの把握と指導
「マインドセット」とは、考え方や物事の見方の「癖」のようなものを意味します。新人・若手社員のマインドセットを把握し、企業のマインドセット(企業理念や組織文化、行動規範、経営戦略などの社風)を意識させながら、同じ目的・方向に向けて行動できるようにOJT指導を行っていく。
3 さいごに
OJTの効果を高める上では、企業組織として、社内間の連携強化、OJTのマニュアル化、指導者研修、育成計画作成などの事前の準備が重要となります。OJT品質の底上げを図るため、前述の改善策も参考としながら検討してみては如何でしょうか。
※本内容は2022年11月11日時点での内容です
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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画像:photo-ac
不動産の処分時に役立つ「不動産M&A」とは?
書いてあること
- 主な読者:不動産の処分を検討している経営者
- 課題:不動産を処分したいが、どのような方法があるのか分からない
- 解決策:不動産を処分する1つの方法として、不動産M&Aを検討する
1 知っていますか? 不動産処分で活用できる「不動産M&A」
不動産M&Aとは、
会社が保有する不動産を切り離して新会社を設立し、その新会社の株式を売却する
ことです。
本業とは関係のない不動産(賃貸ビルやマンションなど)がある場合、資金調達のために不動産の処分を検討することがあります。近年の不動産価格は上昇傾向にあるので、多額の含み益が出る不動産もあるでしょう。あるいは、廃業を考えている経営者は、会社が保有する不動産の処分を検討します。
会社が不動産を処分する場合、通常は買手と不動産譲渡契約を締結して、不動産自体を売却する方法が考えられますが、それ以外に「不動産M&A」という方法もあるのです。不動産の処分を検討している経営者は、この記事を読んでみてください。不動産M&Aの方法、不動産売却と比較した場合の税金面の違いなどを説明します。なお、この記事では、不動産に含み益があることを前提としています。
2 不動産M&Aと不動産売却の違いは?
早速、不動産M&Aの肝を紹介します。
不動産M&Aでは、会社分割によって事前に不動産を新会社に切り離す必要があります。会社分割とは、
既存の会社の事業を別の会社(新会社または別の既存の会社)に切り離すM&Aの手法の1つ
です。事業を新会社に切り離す会社分割の場合は、1つの会社が2つの会社になるわけです。また、その会社分割には、2つの会社が兄弟関係となる会社分割(「分割型」といいます)と、2つの会社が親子関係となる会社分割(「分社型」といいます)があります。
ここでは、一般的な不動産売却と2つの会社分割の方法の概要とともに、お金(売却代金)の流れについて説明します。
1)不動産売却
A社は、保有する不動産を買手であるB社に売却します。売却代金はA社に入ってきます。後日、オーナーに対し売却代金相当の配当を実施することで、最終的に売却代金相当はオーナーに入ってきます。

2)分割型の会社分割+株式売却
事前に、会社分割(分割型)の方法により、不動産を新会社(兄弟会社)に移管します。この会社分割に伴い、オーナーは新会社の株式を取得します(分割型の場合はオーナーが新会社を直接的に支配)。その後、オーナーは取得した新会社(兄弟会社)の株式を、買手であるB社に売却します。売却代金は直接、オーナーに入ってきます。

3)分社型の会社分割+株式売却
事前に、会社分割(分社型)の方法により、不動産を新会社(子会社)に移管します。この会社分割に伴い、A社は新会社の株式を取得します(分社型の場合はA社が新会社を直接的に支配)。その後、会社は、新会社(子会社)の株式を買手であるB社に売却します。売却代金はA社に入ってきます。なお、後日、オーナーに対し売却代金相当の配当を実施することで、最終的に売却代金相当はオーナーに入ってきます。

4)3つの方法の比較
この3つの方法をご覧いただくとお分かりだと思いますが、売却代金の入ってくる流れが異なります。
- 「2)分割型の会社分割+株式売却」では、オーナーに直接売却代金が入ってくる
- 「1)不動産売却」と「3)分社型の会社分割+株式売却」では、会社に売却代金が入ってくるため、配当を実施しないとオーナーに売却代金相当は入ってこない(もし、資金調達が目的であれば、配当を実施する必要はありません)。さらに、配当を実施すると、配当金を受けたオーナーは配当所得として課税が生じる
それでは、税金のことを考えると「2)分割型の会社分割+株式売却」の方法が一番良いのでしょうか。次の章では、税金の観点から3つの方法を説明します。
3 不動産M&Aと不動産売却の税務の取扱いは?
1)不動産売却
A社は、不動産の売却により売却益を計上するため、法人税等の納税が必要となる可能性があります。
不動産売却後に配当を実施する場合、オーナーが受領する配当金は配当所得に区分され、原則として、確定申告(総合課税)が必要となります。この場合の所得税の税率は最高45%です(さらに復興特別所得税と住民税がかかります)。
2)分割型の会社分割+株式売却
税務上、会社分割による不動産の切り離しは、
不動産を売却したものとみなされ、売却益(分割譲渡益)を計上
します。そのため、A社は法人税等の納税が必要となる可能性があります。
会社分割に伴いオーナーは一旦、新会社株式を取得しますが、税務上はみなし配当(配当名目での金銭の受け取りはありませんが、配当があったとみなされること)として認識します。このみなし配当は、金銭による配当と同様に配当所得に区分され、原則として確定申告(総合課税)が必要となります。この場合の所得税の税率は最高45%です。さらに復興特別所得税と住民税がかかります。
オーナーによる新会社株式の売却は、譲渡所得に区分されますが、原則として、税務上は売却損益が出ないように計算(株式譲渡原価と株式売却代金が同額となるように計算)がされます。
3)分社型の会社分割+株式売却
税務上、会社分割による不動産の切り離しは不動産を新会社に売却したものとみなされ、売却益(分割譲渡益)を認識します。そのため、A社は法人税等の納税が必要となる可能性があります。
A社による新会社株式の売却については、原則として、税務上は売却損益が出ないような計算(株式譲渡原価と株式売却代金が同額となるように計算)がされます。
新会社株式売却後に配当を実施する場合の取扱いは、「1)不動産売却」と同じです。
4)3つの方法の比較
3つの方法の課税関係について整理しますと、いずれの方法も、
- 不動産の売却または切り離しにより売却益を認識し、法人税等が課税される
- オーナーは配当所得に対して所得税が課税される
ことになります。
厳密な計算をすると、3つの方法の納税額に相違は生じるとは思いますが、基本的な課税関係はいずれも同じです。特に、「2)分割型の会社分割+株式売却」の方法は、A社に売却代金が入ってこないにも関わらず、法人税等を納付することになる可能性があります。
ちなみに、不動産の売却に伴い、不動産を取得した買手に対し、不動産取得税と不動産登録免許税が課されます。会社分割により不動産を切り離した場合においても、不動産を取得した新会社は、原則として、不動産取得税(一定の要件を満たす会社分割については、不動産取得税が非課税となる可能性があります)と、不動産登録免許税が課されますが、通常は買手に負担してもらいます(買手との交渉が必要です)。
4 不動産M&Aと不動産売却の手続き比較
1)不動産売却
- 他の方法と比較すると手続きが簡単。契約は不動産譲渡契約書のみ
- 他の方法と比較すると、経理処理や税金計算が簡単
2)分割型の会社分割+株式売却と、分社型の会社分割+株式売却
- 分割契約書(計画書)と株式譲渡契約書の2つの契約が必要。また、会社分割については債権者保護手続きなどの法的手続きが必要
- 会社分割手続きと不動産移転登記手続きが完了しないと、株式売却ができない
- 「1)不動産売却」と比較すると、経理処理や税金計算が複雑
以上のことを考えますと、実際には税金シミュレーション等による比較検討が必要となりますが、基本的な課税関係は同じであり、手続きについては、不動産売却が最も容易であるということになります。
5 税負担が軽く済む不動産M&Aの応用的な方法
最後に、応用的な方法として上記の方法以外の方法をご紹介します。この方法は、不動産の処分による売却益を認識しないため法人税等が課税されず、また、オーナーは配当所得ではなく、譲渡所得による課税となりますので、大幅に税金負担が軽く済む余地がある方法となります。
その方法とは、
会社分割により不動産を切り離すのではなく、不動産以外の事業を新会社に切り出して、A社(旧会社)自体を売却する方法
です。

事前に、会社分割(分割型の会社分割)の方法により、不動産以外の事業を新会社(兄弟会社)に移管します。その後、オーナーは、不動産のみとなったA社の株式を買手であるB社に売却します。売却代金は直接、オーナーに入ってきます。
税務上、一定の要件を満たす会社分割に該当する場合は、課税が生じない分割(適格分割)になり、事業の切り出しによる売却益(分割譲渡益)を認識しません。この場合、オーナーはみなし配当を認識しません。
オーナーによるA社株式の売却は譲渡所得に区分され、売却益に対して20%の所得税及び住民税が課税されます。さらに復興特別所得税がかかります。
不動産の移管(株式の売却のみで、不動産はA社所有で変わらない)をしないことから、買手であるB社に対しても、不動産取得税および不動産登録免許税が課税されません。
上記の通り、不動産の含み益に対して課税されず、オーナーに対して約20%の課税のみとなります。しかしながら、主な留意事項として次の点が考えられますので、実際にこちらの方法を採用する場合には、必ず、税務や法律の専門家のアドバイスを受けるようにしてください。
- 課税が生じない会社分割は、税務上、一定の要件を満たす必要があります。いくつかある要件のうち、特に注意すべき事項として、会社分割後に事業の廃業や新会社の売却が見込まれている場合は、会社分割時に、A社は、事業を売却した場合と同様に売却益(分割譲渡益)を認識することとなります。場合によっては、不動産売却の方法を取った場合よりも多くの納税が必要となる可能性があります
- 買手は、不動産自体や不動産を保有する新会社を取得するのではなく、株式取得を通じて、もともと事業を行っていたA社を取得することになりますので、A社に過去から蓄積された潜在的リスクがある場合には、買手はリスクの低い不動産売却の方法を選択する可能性があります
以上(2022年11月)
(執筆 アクシアパートナーズ税理士法人 税理士 大塚行親)
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画像:ronstik-Adobe Stock
【朝礼】面倒なことをお願いされる人になりましょう
皆さんは、上司や取引先様から「ちょっと難しいな」と思うことを頼まれる機会はありますか。「そういった機会がまったくありません」という人は、日ごろの言動を見直してください。すでに、面倒なことや難しいことを、よく頼まれるという人は、こうした頼まれごとについて、これからもしっかりと応えてください。
人は、本当に面倒なことや難しいことは、信頼している相手にしか頼まないものです。逆にいうと、そうしたことを頼まれているということは、相手から信頼されている証拠であり、非常に喜ばしいことなのです。
このことを友人関係に置き換えて考えてみてください。親しい友人には、面倒なことや難しいことでも、申し訳ないと思いつつも、お願いできるものです。場合によっては「お願い」でなく、「相談」かもしれません。こうしたお願いや相談を受けた友人は、「自分は頼りにされている」と感じるでしょう。頼りにされていることが分かるからこそ、「仕方ないな。一肌脱ぐか」となる訳です。
こうした関係はビジネスでも成り立っています。ですから、上司に面倒なことや難しいことを頼まれたときは、上司が自分を信頼しているのだと理解し、笑顔で「はい、分かりました」「はい、やってみます」と答えてください。
もし、頼まれた仕事の進め方がイメージしにくい場合には、「はい」と答え、その後に「もう少し詳しく教えてください」と指示を仰ぎましょう。
上司は部下の能力を、皆さんが思っている以上に分かっています。だからこそ、性格が素直で粘り強い部下や仕事のできる部下に面倒なことや難しいことを頼むのです。
相手が社外の人でも、これは同じです。仮に、取引先様があなたに難しいことを頼んできたとしたら、それは取引先様があなたの力量を認めていることの証です。まずは、しっかりと話を聞いてあげてください。
仕事ができるといわれるビジネスパーソンは、相手の期待に応えることがとても大事であることを知っています。だからこそ、相手から面倒なことや難しいことを頼まれても、それに応えるように努力するのです。
皆さんが面倒なことや難しいことを引き受けるようになれば、次の機会には、相手からもっと高度なことを頼まれるようになります。そんなときでも「それは大変だ」と思わないでください。これは相手とより強い信頼が築けるチャンスと思ってください。
程度の差こそあれ、ビジネスはギブアンドテイクです。面倒なことや難しいことを頼まれ、それに応え続ける人は、いつの間にか、自分が困ったときに頼む相手がたくさんできています。こうした活きた人脈はビジネスパーソンの宝です。
最初は簡単なことで構いません。人から頼みごとをお願いされるようになりましょう。信頼が強まれば、いずれ面倒なことや難しいことを頼まれるようになります。そして、それに応えていくことで、自分自身にも、面倒なことや難しいことを頼むことができる人脈が築かれていくのです。
以上(2022年11月)
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画像:Mariko Mitsuda
【朝礼】見切り品や型落ち品は堂々と買えばいい
私はスーパーマーケットで、いわゆる閉店前の「見切り品」を買うのが好きです。仕事帰りに立ち寄ったときに、総菜や生鮮品が10%引き、30%引きといった商品が売られていると、ここぞとばかりに買います。とはいえ、自分でも「ちょっとセコいな」と思っていて、見切り品ばかり買わずに通常価格の商品も買うようにしていました。
ところが、あるスーパーマーケットで、ふと値引きのラベルを見たときに、「食品ロス削減にご協力いただき、ありがとうございます」と書かれているのに気付き、私は考え方が変わりました。
私はものを買うときに、自分の欲しいものを、なるべく安い価格で買うことだけを考えていました。ですが、売る側のスーパーマーケットにとっては、私がものを買うことで売り上げとなり、利益の一部が店員の方々の給料になり、その家族の生活を支えるわけです。閉店前の、売れ残ってしまうかもしれない見切り品が売れることで、通常価格の商品まででなくても、いくらかの利益を得ることができますし、食品を廃棄せずに済みます。
そう考えると、ものを買うという行為は、一見すると利己的なことのように思いますが、実は世の中にとって意味がある、社会貢献につながる行為なのだということを、私は改めて感じました。特に見切り品や型落ち品を買うことは、ロス削減にも貢献する行為ですので、堂々と買えばいいのではないかと思うようになりました。
それと同時に、買い物をするときには、商品の品質や価格だけでなく、自分が買うものは、誰がどのようにつくって、買うと誰の生活に影響するのかも意識するようになりました。いわゆる「エシカル消費」まではいきませんが、どうせ買うなら、少しでも社会に貢献したい、社会に貢献していることを感じたい、と思うようになりました。
それから、ものを買うということが社会に貢献することだとするならば、逆にものを売るということは、社会に貢献する機会を提供しているのではないかと思うようにもなりました。だとすれば、ものを買う人と売る人の関係は、「買ってあげる人」と「買ってもらう人」だけではなく、「売ってもらう人」と「売ってあげる人」と見ることもできるはずです。結局、ものを買う人も売る人も、共に社会に貢献している、対等な関係なのではないでしょうか。
今までの話は私の個人的なことですが、これは仕事でも活かせることです。たとえ大切な取引先であっても、社会に貢献するという意味では、対等な関係になっていいと思います。また、これから取引をする際には、商品・サービスの魅力や価格だけでなく、この商品・サービスを買うとこんな社会貢献ができます、というアプローチの仕方でも説明しようと思います。そのためには、もっと自社の商品・サービスのルーツや社会的な意義をしっかりと学び、取引先にも説明できるようになろうと思います。
以上(2022年11月)
pj17130
画像:Mariko Mitsuda