労働事件における要件事実の知識と実務

1 安全配慮義務の根拠

労働者が業務従事中に事故により死傷等した場合において、最高裁は、使用者は、「労働者が労務提供のため設置する場所、設備もしくは器具等を使用し又は使用者の指示のもとに労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき業務を負」う(川義事件・最判昭和59年4月10日)との判断を示し、これを受けて、労働契約法5条が「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」明記するに至りました。よって、労働者は会社に対して、労働契約法5条に基づき、労働契約上の債務の不履行として、安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求ができることになります。

2 請求原因

(1)安全配慮義務の存在

一般に、債務不履行を理由として損害賠償請求する場合、債権者において、債務者が債務を負っていることを主張・立証しなければならず、安全配慮義務に基づく損害賠償請求をする場合でも同様です。よって、労働者側から会社が安全配慮義務を負っていることを主張・立証しなければなりません。上述したように、安全配慮義務は、労働契約に基づいて、法律上当然に発生しますから、労働者側は、労働契約を締結した事実を主張・立証すれば足りることになります。

(2)安全配慮義務違反

次に、債務不履行を理由として損害賠償請求をする場合には、債権者において、債務が履行されていないことを主張・立証しなければならないため、労働者側から義務違反に該当する具体的事実を主張・立証しなければなりません。そのため、労働者としては、会社側は具体的にいかなる安全配慮義務を負っていたかを特定したうえで、どのようにかかる義務に違反したかを具体的に主張・立証する必要があり、抽象的に生命、身体を害しないようにする義務を負っているという程度の主張では足りません。

そして、安全配慮義務の具体的な内容については、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等安全配慮義務が問題となる具体的状況等によって異なるとされ(前掲川義事件)、具体的な状況を、①物的な環境に関するもの、②人的な環境に関するもの、③体制としての環境に関するもの、の3通りに分類すれば1、具体的内容として以下のようなものが考えられます2

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(3)損害・因果関係

加えて、損害および安全配慮義務違反と損害との間の因果関係を主張・立証する必要があります。

(4)小括

以上を整理すると、請求原因としては、以下の通りとなります。

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1酒井正史「職場環境に関する安全配慮義務をめぐる裁判例と問題点」判タ1192号64頁

2國井和郎「第三者惹起事故と安全配慮義務」判タ529号196頁

(日本法令ビジネスガイドより)

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【業種別データ】電子デバイス製造業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年の電子デバイス製造業の事業所数は305事業所(対前年比100.7%)、従業者数は11万8926人(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は5兆6284億4700万円(対前年比85.6%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は390人(対前年比99.8%)、現金給与総額は23億5600万円(対前年比98.7%)、原材料使用額等は101億9800万円(対前年比88.0%)、製造品出荷額等は184億5400万円(対前年比85.1%)、付加価値額は65億5900万円(対前年比74.9%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は604万円(対前年比98.9%)、製造品出荷額等は4733万円(対前年比85.2%)、付加価値額は1682万円(対前年比75.0%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.3%(対前年比103.5%)、同付加価値額比率は35.5%(対前年比88.0%)、同現金給与総額比率は12.8%(対前年比116.0%)となっています。

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2)電子管製造業

2019年の電子管製造業の事業所数は16事業所(対前年比100.0%)、従業者数は2952人(対前年比104.3%)、製造品出荷額等は942億7300万円(対前年比101.5%)となっています。

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3)光電変換素子製造業

2019年の光電変換素子製造業の事業所数は31事業所(対前年比103.3%)、従業者数は1万5742人(対前年比103.4%)、製造品出荷額等は6059億1200万円(対前年比99.6%)となっています。

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4)半導体素子製造業(光電変換素子を除く)

2019年の半導体素子製造業(光電変換素子を除く)の事業所数は91事業所(対前年比109.6%)、従業者数は2万2452人(対前年比110.6%)、製造品出荷額等は8159億9600万円(対前年比116.2%)となっています。

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5)集積回路製造業

2019年の集積回路製造業の事業所数は105事業所(対前年比96.3%)、従業者数は6万228人(対前年比97.8%)、製造品出荷額等は3兆2213億8300万円(対前年比83.8%)となっています。

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6)液晶パネル・フラットパネル製造業

2019年の液晶パネル・フラットパネル製造業の事業所数は62事業所(対前年比95.4%)、従業者数は1万7552人(対前年比95.2%)、製造品出荷額等は8911億8400万円(対前年比67.2%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2022年1月)

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【業種別データ】化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品製造業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年の化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品製造業の事業所数は524事業所(対前年比106.5%)、従業者数は4万6889人(対前年比102.4%)、製造品出荷額等は2兆2106億8500万円(対前年比103.0%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は89人(対前年比96.1%)、現金給与総額は3億4600万円(対前年比98.3%)、原材料使用額等は17億4100万円(対前年比96.0%)、製造品出荷額等は42億1900万円(対前年比96.7%)、付加価値額は22億5400万円(対前年比96.3%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は387万円(対前年比102.3%)、製造品出荷額等は4715万円(対前年比100.7%)、付加価値額は2519万円(対前年比100.2%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は41.3%(対前年比99.2%)、同付加価値額比率は53.4%(対前年比99.5%)、同現金給与総額比率は8.2%(対前年比101.6%)となっています。

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2)仕上用・皮膚用化粧品製造業(香水、オーデコロンを含む)

2019年の仕上用・皮膚用化粧品製造業(香水、オーデコロンを含む)の事業所数は316事業所(対前年比107.1%)、従業者数は3万3775人(対前年比106.4%)、製造品出荷額等は1兆6299億3700万円(対前年比104.2%)となっています。

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3)頭髪用化粧品製造業の事業所数

2019年の頭髪用化粧品製造業の事業所数は108事業所(対前年比100.0%)、従業者数は6928人(対前年比90.3%)、製造品出荷額等は3396億1500万円(対前年比96.5%)となっています。

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4)その他の化粧品・歯磨・化粧用調整品製造業

2019年のその他の化粧品・歯磨・化粧用調整品製造業の事業所数は100事業所(対前年比112.4%)、従業者数は6186人(対前年比96.8%)、製造品出荷額等は2411億3200万円(対前年比104.9%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2021年12月)

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【業種別データ】ボイラ・原動機製造業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年のボイラ・原動機製造業の事業所数は289事業所(対前年比102.5%)、従業者数は4万1975人(対前年比102.8%)、製造品出荷額等は2兆4891億1100万円(対前年比106.3%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は145人(対前年比100.3%)、現金給与総額は9億9700万円(対前年比101.2%)、原材料使用額等は54億4300万円(対前年比108.4%)、製造品出荷額等は86億1300万円(対前年比103.7%)、付加価値額は28億3900万円(対前年比108.6%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は686万円(対前年比100.9%)、製造品出荷額等は5930万円(対前年比103.4%)、付加価値額は1955万円(対前年比108.3%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は63.2%(対前年比104.5%)、同付加価値額比率は33.0%(対前年比104.7%)、同現金給与総額比率は11.6%(対前年比97.6%)となっています。

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2)ボイラ製造業

2019年のボイラ製造業の事業所数は72事業所(対前年比88.9%)、従業者数は7085人(対前年比95.1%)、製造品出荷額等は5614億7900万円(対前年比103.8%)となっています。

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3)蒸気機関・タービン・水力タービン製造業(舶用を除く)

2019年の蒸気機関・タービン・水力タービン製造業(舶用を除く)の事業所数は111事業所(対前年比111.0%)、従業者数は1万3590人(対前年比97.8%)、製造品出荷額等は5834億4300万円(対前年比96.1%)となっています。

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4)はん用内燃機関製造業

2019年のはん用内燃機関製造業の事業所数は78事業所(対前年比105.4%)、従業者数は1万3862人(対前年比115.5%)、製造品出荷額等は9301億400万円(対前年比124.9%)となっています。

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5)その他の原動機製造業

2019年のその他の原動機製造業の事業所数は28事業所(対前年比103.7%)、従業者数は7438人(対前年比99.2%)、製造品出荷額等は4140億8500万円(対前年比92.1%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2022年1月)

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【業種別データ】プラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革製造業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年のプラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革製造業の事業所数は1862事業所(対前年比99.4%)、従業者数は8万7932人(対前年比100.3%)、製造品出荷額等は3兆5652億3900万円(対前年比94.9%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は47人(対前年比100.9%)、現金給与総額は2億1800万円(対前年比100.0%)、原材料使用額等は11億5100万円(対前年比93.6%)、製造品出荷額等は19億1500万円(対前年比95.5%)、付加価値額は6億6000万円(対前年比97.7%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は462万円(対前年比99.1%)、製造品出荷額等は4055万円(対前年比94.6%)、付加価値額は1398万円(対前年比96.8%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は60.1%(対前年比98.1%)、同付加価値額比率は34.5%(対前年比102.3%)、同現金給与総額比率は11.4%(対前年比104.8%)となっています。

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2)プラスチックフィルム製造業

2019年のプラスチックフィルム製造業の事業所数は650事業所(対前年比101.2%)、従業者数は4万4813人(対前年比102.0%)、製造品出荷額等は2兆213億7300万円(対前年比93.7%)となっています。

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3)プラスチックシート製造業

2019年のプラスチックシート製造業の事業所数は142事業所(対前年比96.6%)、従業者数は5290人(対前年比98.3%)、製造品出荷額等は1926億2600万円(対前年比94.2%)となっています。

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4)プラスチック床材製造業

2019年のプラスチック床材製造業の事業所数は21事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1805人(対前年比97.6%)、製造品出荷額等は816億4700万円(対前年比99.5%)となっています。

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5)合成皮革製造業

2019年の合成皮革製造業の事業所数は19事業所(対前年比100.0%)、従業者数は2153人(対前年比98.9%)、製造品出荷額等は1079億8600万円(対前年比98.7%)となっています。

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6)プラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革加工業

2019年のプラスチックフィルム・シート・床材・合成皮革加工業の事業所数は1030事業所(対前年比98.7%)、従業者数は3万3871人(対前年比98.7%)、製造品出荷額等は1兆1616億円700万円(対前年比96.5%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2021年12月)

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令和3年版過労死等防止対策白書の公表

社員らに「過労死ライン」の月100時間以上の時間外労働をさせていたとして、人気の洋菓子店を運営する会社が、是正勧告を受けていたことが、ニュースで報道されました。勧告は3年間で2度行われており、改善が見られなかったことから、長時間労働は常態化していたとみられています。

このニュースと前後して、厚生労働省から「令和3年版過労死等防止対策白書(以下、白書)」が公表されました。これは、「業務による過重な負荷」「業務における強い心理的負荷」による死傷病にまつわる現況を取りまとめた年次報告書で、前述の労働時間やメンタルヘルス対策の状況など幅広い内容を網羅したものになっています。本稿では公表された白書のうち、精神障害の労災補償状況とその中から「カスタマーハラスメント」の状況をピックアップして、お伝えします。

1 精神障害の労災補償状況

過労死等の労災認定基準は、脳血管疾患・心疾患と精神障害の2つに大別されます。そのうち精神障害の労災補償状況については、請求件数は長期的に増加傾向にあり、令和2年度は微減の2,051件となっています。一方支給決定件数は過去最多の608件となり、うち自殺(未遂含む)件数は81件となっています。

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精神障害の発症について、令和2年度の出来事別の労災支給決定(認定)件数は、「上司などから身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が99件と最も多くなっています。

長時間労働が含まれる項である「仕事の量・質」に関しては、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が58件、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」が31件、「2週間以上にわたって連続勤務を行った」が41件となっており、合計の608件のうち「仕事の量・質」に関する出来事は、全体の約21%を占めています。

2 カスタマーハラスメント

近年話題となっている、顧客から受ける理不尽な要求・クレームなどを指す「カスタマーハラスメント」も、本白書の中で取り上げられています。

前述の精神障害の労災支給決定(認定)件数のなかでは、「顧客や取引先からクレームを受けた」は11件となっています。また「令和2年度労働安全衛生調査」によれば、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」労働者のうち、その内容が「顧客、取引先等からのクレーム」と答えた労働者の割合は18.9%となっています。このように、カスタマーハラスメントでも、労災認定が行われているという実態には目を向ける必要があります。

来年から、いわゆるパワハラ防止法が中小企業にも適用されることになりますが、その法律が定められた国会の附帯決議として「自社の労働者が取引先、顧客等の第三者から受けたハラスメント及び自社の労働者が取引先に対して行ったハラスメントも雇用管理上の配慮が求められること」(衆議院)との指摘がなされました。今後、各企業においても、カスタマーハラスメントを受けた場合にどのように対応するか、あるいはカスタマーハラスメントを行わないようにどのように管理を行うかが問われるようになるでしょう。

3 おわりに

厚生労働省では、令和3年にカスタマーハラスメントへの対策を推進するため、対応事例を含めたカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを策定し、広く周知を行うなど具体的な取組支援を行うとしています。

このように、時代の流れに応じてフォーカスされる要因は変わり、都度対策が立てられていくことでしょう。しかし、企業は業務に行う従業員の健康を守る義務があるという根幹は変わりません。健康を害する要素は企業それぞれです。従業員アンケートを取る等、継続的に課題を洗い出しながら、対策を立てていくことが望まれます。

※本内容は2021年11月12日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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運転中の感情コントロール(2021/12号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

新型コロナウイルス感染者数の減少に伴い、経済活動が再開され、また年末が近づくにつれ交通量の増加が予想されます。これからの時期、交通渋滞などにより運転中にストレスを感じる機会も多くなり、ついイライラしてしまうということもあると思われます。

運転中のストレスやイライラなどの感情は、安全運転に支障をきたすものであり、交通事故に繋がるリスクがあります。

本号では、運転中のストレスやイライラといった感情と、その対処法について考えたいと思います。

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1.運転中のストレス・感情

自動車の運転は、周囲の交通状況を認知し、適切な判断と的確な操作を繰り返し行うため、常にストレスがかかります。

ある調査※1によると、運転中のストレス・感情には、「立腹・イライラ」、「事故不安」、「焦り」が多くを占めます。

その原因としては、強引な割込みなど他のドライバーの行動や自転車や歩行者の危険な行動、そして渋滞といった周囲の交通環境などがあげられます。

※1 公益財団法人国際交通安全学会 平成20年度研究調査報告書「ドライバーの感情特性と運転行動への影響」における調査。グラフは調査結果をもとに当社作成。

運転中のストレス・感情の構成比率

実際、他車が交通ルールを守らない、あるいは他車の強引(または危険)な運転に遭遇すると、相手車に対してイライラを感じるドライバーは少なくないようです。

ある調査※2では、90.2%のドライバーが運転中にイライラしたことがあり、このうち約40%のドライバーが、あおり運転をしてしまったと感じる経験があるとのことです。

※2 日本アンガーマネジメント協会 2019年5月28日発表「あおり運転と怒りの関係性」調査結果
https://www.angermanagement.co.jp/press_release/pr20190528 (2021.11.11閲覧)

トラックの前に強引に割り込む軽自動車

昨今、ドラレコの普及と報道の影響で「あおり運転」や「妨害運転」が表面化し、その違法性が周知され、警察の取り締まりも強化されています。

ドライバーは、より一層、運転中のストレス・感情と上手に向き合うことが求められています。

2.感情のコントロール

「ハンドルを握ると人格が変わる」という言葉がありますが、ひとは誰しも自動車の運転に集中すると、交感神経が高まり、感情が現れやすくなるものです。特にストレスをため込んでいると感情に支配されやすくなります。

感情のコントロールは、安全運転に求められる重要な技能の一つです。いくら運転技能に優れていても、感情を上手くコントロールできなければ、強いストレスがかかった際、運転への集中が阻害され、重大事故に繋がる危険な運転をしてしまう可能性があります。

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3.イライラ等への対処法

運転中のイライラ等に対して、予め自分なりの対処法を考え、身に着けておきましょう。

<対処法の例>

  • 事前に渋滞情報などを確認し、時間に余裕を持って早めに出発する。
  • 好きな音楽やラジオを聴いて、リラックスできる車内環境を作る。
  • イライラを感じたら、深呼吸をする、ガムをかむ、または甘いものを摂るようにする。 など

また、周囲のドライバーをイライラさせないことも、交通事故やトラブルを防ぐうえで重要です。次のような「交通コミュニケーション」(※)の高い運転を実践しましょう。

  • 交通ルールを守りましょう。
  • 「急」のつく運転操作を避けましょう。
  • 早めの合図、わかりやすい合図を励行しましょう。

※交通コミュニケーション:車、人、自転車など道路交通の参加者同士のコミュニケーション

以上(2021年12月)

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【朝礼】北里柴三郎に学ぶ「仕事の信念」

政治、経済、社会、技術……私たちのビジネスを取り巻く環境は常に変化しています。皆さん一人ひとりが周囲の変化に敏感にならなければ、会社は生き残ることができません。しかし、周囲がどう変化していても、進むべき道を決めるのは私たち自身です。私たちの中にビジネスの確固たる「信念」がないと、結局、周囲の変化に流されるだけで終わってしまいます。今日は、そんな信念に関する話として、医学者の北里柴三郎(きたさとしばさぶろう)氏のエピソードを紹介します。

北里氏は、明治時代に感染症医学の発展に貢献した、「近代日本医学の父」として知られる人です。熊本県の庄屋の息子に生まれた北里氏は、両親からさまざまな教育を受ける中、18歳のときにあるオランダ人医師と出会い、西洋医学に強い興味を持ちます。大学を卒業後、内務省衛生局で働くことになった北里氏は、33歳のときにドイツに留学し、病原微生物学研究の第一人者、ローベルト・コッホ氏に師事します。そして、世界で初めてとなる破傷風菌の純粋培養に成功し、国際的にその名を知られることになります。

さて、幼い頃に伝染病で兄弟を失う体験をした北里氏には、医学者として生涯持ち続けた1つの信念がありました。それは「医学は、病気の診断や治療に役立つものでなければならない」というものです。北里氏は、この信念に合わないことについては、周囲の意見がどうであっても、頑として首を縦に振りませんでした。

例えば、脚気(かっけ)という病気の菌が発見されたニュースが発表された際、北里氏は医学的見地から「脚気は伝染病ではない」と否定しました。菌を発見したのは北里氏に細菌学を教えた恩師で、医学界に大きな影響力を持つ大学の医学者でしたが、北里氏は真実を明らかにするほうが大切であると、行動を起こしました。結果、北里氏は大学から疎まれることになりますが、この行動のおかげで、菌が脚気とは無関係であることが証明され、医学の発展に大きく貢献しました。

また、北里氏が所長を務める伝染病研究所が、内務省衛生局から文部省の管轄に移り、医科大学の下に入ることが決定した際、北里氏は研究所を辞めることを決意します。これは、北里氏の「大学では学問を学ぶことはできても、実践的な研究ができない」という考えによるものでしたが、これに感銘を受けた多くの門下生たちが、北里氏とともに辞表を提出し、別の研究所を立ち上げ、医学の発展に尽くしていくことになります。

北里氏は、「医学は、病気の診断や治療に役立つものでなければならない」という信念があったからこそ、重要な局面で周囲に流されず、自身で進むべき道を決めることができました。皆さんの中に、「何のために仕事をするのか」「何を大切にしたいのか」といった信念はありますか? もしあるのであれば、一生ものの財産です。いざ重要な決断を迫られたとき、皆さんの力になりますから、ぜひその信念を大切にしてください。

以上(2021年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】ビジネスの勝ち負けを判断する基準を持ちなさい

物事の勝ち負けはさまざまな形で表れます。結果が分かりやすいのは、点数やタイムを競うスポーツです。点数が高いほうや、タイムが速いほうの勝ちであることは一目瞭然です。

同様にビジネスにも勝ち負けがありますが、勝ち負けの判断は簡単にはつきません。それは、ビジネスの結果には、勝った部分と譲った部分が混在するからです。例えば、交渉事をイメージすると分かりやすいでしょう。交渉の当事者は、絶対に勝ち取りたい条件と、譲歩してもよい、つまり負けてもよい条件を決めてから交渉に臨みます。そして、交渉結果には双方の勝ち負けが複雑に絡み合うため、当事者でなければ結果を判断することはできないのです。

このことは、「ビジネスは勝ち負けの明確な基準を持って臨まなければならない」ということの示唆でもあります。これができていないと、目指すべき目標や、どこまでなら譲ってもよいというラインが曖昧になり、場当たり的な対応になってしまうからです。

また、目標に向かって正しい努力ができないことも問題です。皆さんがプロのサッカー選手になりたいのなら、サッカーの練習を一生懸命にやるべきであり、囲碁の指し方を学んでも意味がないわけです。これを聞いてサッカーと囲碁を間違えるような根本的な問題が起こるはずはない、そう感じた人が多いでしょう。しかし、実際にこのような間違いがビジネスでは起こっています。

簡単な例を挙げてみましょう。1000万円の資金を渡され、それを使って事業部の利益を1年以内に10%向上させることを命じられたら、皆さんは何をしますか。

試す価値のある施策はたくさんありますが、ここで「利益を1年以内に10%向上させる」ということにとらわれ過ぎては駄目なのです。ビジネスの結果には勝ち負けが混在し、100%思い通りになることは稀です。このケースで言うなら、「1年では期間が短すぎるが、2年なら達成できそうだ。そのため、1年目に利益が5%向上していればよいペースである」という考え方もあり得ます。目標を都合よく解釈しているわけではなく、実現可能な勝ち負けの基準を設定しただけのことです。

しかし、こうした考え方ができない人は、とにかく何とかしなければと場当たり的な対応を始めます。言うなれば、絶対に勝ち取りたい条件を決めずに交渉のテーブルにつくようなものです。当然、正しい努力もできません。

今、私はビジネスの基本についてお話ししました。幅広い選択肢の中から、何をするのか、あるいは何をしないかを決め、チャレンジするのがビジネスです。自分自身の目標を再確認してください。その目標は、皆さんが「勝算あり」で設定しているもののはずです。勝ちを手中に収めるプランにぬかりはありませんか。1年間、正しい努力を積み重ねる覚悟はありますか。新年度の始まりはすぐそこまで来ています。

以上(2021年12月)

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画像:Mariko Mitsuda

第30回 福岡から日本を元気に。福岡証券取引所の地域経済活性化の取り組み/イノベーションフォレスト(イノベーションの森)

2019.9.12Q-Board単独上場の際の写真((株)ピー・ビーシステムズ証券コード4447)

新しい生活様式の導入により、都心部から地方へ移住をする“コロナ移住”が関心を集めています。

働き手が東京一極集中から脱却していく中、企業はどのように都市部からの脱却や、地方経済への参入を考えていけばよいでしょうか。

今回はそのヒントとするために、九州周辺エリアの経済活性化を目指し、中小・ベンチャー企業支援に取り組む、福岡証券取引所 三橋 真樹氏にお話を伺いました。

三橋さん、貴重なシェア、愛りがとうございます!(愛+ありがとう)

1 福岡証券取引所は、地域経済活性化を目的とし、独自のシステムを持つ証券取引所

福岡証券取引所の地域経済活性化の施策について触れる前に、まず福岡証券取引所の基本情報をご説明します。

1)福岡証券取引所の概要

福岡証券取引所(以下、「福証」)は、1949年設立。2020年度中の売買代金は203億円、2021年3月末現在での上場社数は107社。上場している企業のうち82社は東京証券取引所などの他の証券取引所にも上場している、いわゆる「重複上場」で、25社は福証のみの「単独上場」となっています。

市場区分は、一定の企業規模・利益実績を有し、今後さらなる拡大を目指す企業に向けた「本則市場」と、九州周辺に本店があり(あるいは九州地域周辺での事業実績があり)、新しい技術やユニークな発想を持つ新興企業向け市場「Q-Board(キューボード)」の2つに分かれています。これらは、東証でいうところの「東証一部」や「東証マザーズ」のようなものと思っていただくとわかりやすいかと思います。

2)上場における基準

■本則市場

  • 上場時株主数 300人以上
  • 流通株式数
    流通株式数2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上または、上場日の前日までに公募または売出しを1,000単位または上場株式数の10%のいずれか多い株式数以上を行うこと
    または、流通株式数2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上
  • 上場時価総額 10億円以上
  • 事業継続年数 3年以上
  • 純資産の額(上場時) 3億円以上(単体:正)
  • 利益 最近1年5,000万円以上

■Q-Board

  • 上場時株主数 200人以上
  • 流通株式 500単位以上の公募
  • 上場時価総額 3億円以上
  • 事業継続年数 1年以上
  • 純資産の額(上場時) 正

3)上場費用

■本則市場

-イニシャル

  • 上場審査料 100万円
  • 新規上場手数料 定額300万円
  • 定率 公募総額の万分の2、売出総額の万分の1

→合計 400万円+α

-ランニング

  • 年賦課金 単独:42~60万円、重複:6~24万円
  • 追加上場手数料 調達額の万分の2

■Q-Board

-イニシャル

  • 上場審査料 50万円
  • 新規上場手数料 定額150万円

→合計 200万円

-ランニング

  • 年賦課金 単独:42~60万円、重複:6~24万円
  • 追加上場手数料 調達額の万分の2

4)福証の特徴

福証の2つの市場には、それぞれのコンセプトに応じて異なる審査基準が設定されていますが、Q-Boardでは「地域経済の活性化」を大きな目的とし、地元に根づいた企業と地元の投資家の方々を意識して作られているのが大きな特徴です。

上場にかかる費用が他の市場よりも比較的安価なのもそのためで、これは、多くの企業が上場し、元気になってもらうため、上場にかかる費用を少しでも抑えてもらいたいという想いからです。

また、営業部員は九州エリアの主要企業の出身の出向メンバーが多いことも福証の特徴。
三橋さんの所属する営業部は、福岡銀行、西日本シティ銀行、九州電力、西部ガス、西日本鉄道などの出身者から成り立っています。

地元・福岡経済界に強力な地盤を築く企業群と、新たに参入・拡大を目指す企業との橋渡し役を、福証が果たしているのです。

2 福岡証券取引所の強みは、複数の企業・機関と連携したサポート力

福証で上場するメリットとして、大きく以下の4つが挙げられます。

  • 信用力の向上
  • 発信力の向上
  • サポート力
  • コスト

1.に関してはどこの市場に上場しても同様なのでは? と思われるかもしれません。しかし、「地元企業を、地元の証券取引所が審査する」という信頼は、やはり地域においては特別なもの。

発信力に関しても同様で、福証は地元メディア・地元経済界との強固なネットワークを築いています。これは、「地元エリアで今後成長していきたい」「認知度向上を図りたい」と考える企業にとっては、大きなメリットとなっています。

そして、福証の最も大きな強みは3つめの「サポート力」。福証は、九州経済の中心地・天神に位置しており、多くの企業にとってアクセスがよく、相談事などにもスピーディな対応が可能です。

もちろん立地などのハード面だけでなく、支援内容などのソフト面も充実しており、福証は独自のさまざまな取り組みを行なっています。
具体的な支援活動は以下の通りです。

1)九州中小・ベンチャー企業IPO支援プロジェクト(QSP)

福証では、2005年3月に福岡県ベンチャービジネス支援協議会・九州ニュービジネス協議会・中小企業基盤整備機構九州本部・福岡証券取引所の4つの団体からなる「九州中小・ベンチャー企業IPO支援プロジェクト」(以下「QSP」)を創設しました。

監査法人や証券会社といった企業のIPOに向けた具体的支援を行う「IPOサポーター」、行政や一般財団法人・公益財団法人などの「地域サポーター」とも連携し、上場準備・上場検討段階の企業のサポートを行なっています。

IPOサポーターは、QSP独自の審査基準をクリアした企業のみで構成されており、2021年3月末時点で81社にのぼります。(IPOサポーターへの登録料は無料)

「福岡証券取引所への上場を目指す、地元企業を支援する」というコンセプトに共感している企業がサポーターとなっているので、IPOに関するセミナーの開催や、検討段階の企業の相談事などを可能な範囲で、無報酬で対応しています。

さまざまな企業・機関と連携したIPO支援というのは他の証券取引所でも見られるものの、組織として本格的に取り組んでいるのは、全国的にも非常に珍しいケース。

2)九州IPO NAVIGATE

九州IPO NAVIGATEとは、福証のホームページ上にある上場を目指す企業に向けたプラットフォームのことです。

IPOサポーターが主催しているセミナーやイベント情報の発信を日々行っている他、上場に興味がある企業が気軽に相談できる、オンライン上の相談窓口を設置。相談内容に応じて、IPOサポーターとのマッチングも行なっています。

上場経験のない経営者にとって、上場というのは未知のもの。身近に相談相手がいない場合も多く、「誰に、どのように相談したらよいのか?」「まず何から着手すればよいのか?」と悩む方も多いため、そうした不安の解消に利用してもらうことを想定しています。

3)九州IPO挑戦隊

上場を目指す企業に対し、より実践的なサポート活動として2009年に創設されたのが、「九州IPO挑戦隊」です。

九州IPO挑戦隊は、今後3~5年での株式上場を目指す企業に対し、2年程度かけて、実践的な知識の習得と企業力を高めるためのサポートを行う組織。

参加できる企業は選抜制で年度ごとに4~5社程度まで、毎年6月頃にスタートして、独自のプログラムを受講してもらいます。入会料やセミナー費用は無料です。

1年目は上場に向け必要な知識を蓄える準備期間、2年目は各社の状況に応じた上場準備の具体的なサポートをスタート。2年間のプログラム修了以降も、企業の状況や要望により、引き続きサポートを継続しています。

過去の九州IPO挑戦隊の入会者数はのべ63社、九州7県の他、沖縄県や山口県、広島県、京都府、東京都の企業からも参加者が集まっています。

また、選抜企業向けのクローズドなセミナー以外にも、上場に関心のある企業に向けたオープンセミナーを別途開催しており、そちらも好評です。
(※2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、開催なし。2021年度は、選抜制セミナー・オープンセミナー共に規模を最小限に抑えて開催中)

九州IPO挑戦隊入会式の画像です

2021.6.16第13期 九州IPO挑戦隊入会式

3 地元企業と投資家をつなぐ福証IRフェア。認知度向上のメディアとの橋渡し役も担う

企業にとって、上場はゴールではなくスタート。
福証では、上場後の企業へもさまざまな支援活動を行なっています。

その一例が、企業の魅力を投資家へ伝える、「福証IRフェア」。
福証IRフェアは、150~160名の投資家の方々を一堂に招いて、上場企業にプレゼテーションをしてもらうイベントです。

参加企業からは「個人投資家と直接やりとりができ、非常に勉強になる」といった声も上がり、人気を博しています。
(※2020年度以降は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、オンライン開催)

また福証では、上場企業支援の一環として「福証IRNAVI」という企業の情報発信を行なっています。

掲載されるのは、福証に単独上場している企業のグループ「単独上場会社の会」のメンバーのみで、Web上での閲覧が可能。福証IRNAVIは、地元での知名度向上はもちろん、掲載企業にとっての社内報のような役割も果たしています。

そしてもう1つが、企業にとってもメリットの大きい「メディアの活用」
福証が入居しているビルには、福岡金融・経済記者クラブという記者クラブが。あります。

福証に上場した企業は、同ビル内で、福岡金融・経済記者クラブを招いて「上場式」を。開催しています。

「自分たちは何をしている企業で、どのような想いで上場したのか、今後どのように成長していくか」などを記者たちの前で語り、その様子が多くの地元メディアで取り上げられるのです。

先述の「九州IPO挑戦隊」の入会式や、決算発表なども同様にメディアを招待して行われ、企業の知名度の向上に大いに役立っています。

4 地元経済界の厚い支援を受ける福証。その成り立ちとは?

ここまで見てきた通り、福証は地元経済界、IPOサポーターや地域サポーター、地元の有力メディアなど、さまざまな地域の力が集結することで、上場企業を応援するエコシステムを作り上げています。

では、どのようにその確固たる地域のネットワークを築いたのでしょうか。

その背景には、「福岡証券取引所活性化推進協議会」という1998年に設立された組織があります。

福岡証券取引所活性化推進協議会が発足した1998年は、テクノロジーの進化などにより、証券取引に関するさまざまな規制が緩和された時期でした。

例えば、規制緩和以前には「企業は、本社のあるエリアの証券取引所で上場しなくてはならない」といった決まりがありましたが、それが撤廃されました。
 また、インターネット上での証券の売買なども始まり、「エリア」という概念がなくなりつつあったのです。

エリアの概念がなくなったことで、各企業が目指す先は東証に集中し、福証をはじめとする各地方市場は衰退傾向となっていきました。

神戸・新潟・広島・京都といった地方市場は、次々と合併や閉鎖となり、現在残っている地方証券取引所は、札幌・東京・名古屋・福岡の4つとなっています。

このような状況下で、「福証は九州の中心地。資金調達の場としての機能を維持していかなくてはならない」という考えから、福岡の地元経済界・行政が一体となって、福岡証券取引所活性化推進協議会を立ち上げたのです。

協議会は今日も活動しており、企業間での情報交換の場を設けたり、IPO挑戦隊企業・新興企業などの紹介を行ったりするなどして、地元経済界の交流を活性化させています。

その他、福証ではさまざまな金融機関と「地域における企業の株式上場に向けた成長支援に関する協力協定」を締結しており、金融機関から福証への企業紹介や、福証から行員に向けたIPOセミナーなどの開催など、相互に交流を図っています。

5 「地元企業を、地元の証券取引所が審査する」。福証で上場するメリット

東証と比較すると、売買高も少ない福証。
企業にとって、福証に上場することに、どのようなメリットがあるのでしょうか。

1.福証で基礎を築き、さらに大きな市場を目指せる

福証へ上場した数年後、東証マザーズなどへの重複上場をするケースも見受けられます。

福証への上場をさらなる成長へのプロセスと捉え、企業力を蓄える。
地元企業の成長を第一に考える福証は、そうした活用方法も歓迎しています。

2.地元における知名度・信頼度の向上

福証の地元企業や金融機関などにおける認知度は非常に高く、信頼度の向上、資金調達力の向上に寄与しています。

3.優秀な人材の確保・採用における優位性

地元の証券取引所に上場していることにより、地元での知名度が向上し、「以前よりも、優秀な人材を採用しやすくなった」という企業はとても多いです。

2021年4月に公表された帝国データバンクの第24回「株式上場意向に関するアンケート調査」でも、企業が上場を目指す目的として、「知名度や信用度の向上(172社)」「優秀な人材の確保(149社)」「資金調達力の向上(132社)」などが上位に挙げられています。

上記のような成果を期待する多くの企業にとって、福証の「地元企業を、地元の証券取引所が審査する」スタイルは、大きな魅力と言えるでしょう。

6 福岡からアジアへ。福証の今後の展望

昨今、福岡を中心に、経済界・行政を巻き込んで、スタートアップやベンチャーのエコシステムが構築され始めています

こうした流れに伴って、「福証で上場したい」という地元企業が増え、今後ますます大きな役割を担う組織となっていくことを期待しています。

特にアジア圏から見た場合、九州・福岡は地理的な優位性があります。アジア圏の企業が、日本進出の第一歩として福証に上場して地盤を築き、その後東証を目指すという展開もあると考えています。

海外企業の福証上場という事例は今のところありませんが、ボーダレス化が加速していく中で、福証として海外企業が上場できる制度も整えています。

福証は今後も、地元企業を元気にし、地元経済の発展に貢献してまいります。

三橋さんの画像です

2019.9.12Q-Board単独上場の際の写真((株)ピー・ビーシステムズ証券コード4447)

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年12月6日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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