【朝礼】桃栗3年柿8年。社員の成長50年

おはようございます。今朝は管理職の皆さんに、「じっくりと腰を据えた人材育成」についてお話しします。

まず、四国のお遍路めぐりをしている際に訪ねたお寺で見つけた言葉を紹介します。

早く歩くか ゆっくり歩くか

なん日で廻(まわ)るか なん回廻るか

そんな事よりしっかり歩け

そして

何かをのこせ

いかがですか。何か感じることはないでしょうか?

スピードが重視される昨今、当社も業務効率化を経営目標に掲げ、とにかく早く仕事を終わらせることや、手数を減らすことに注力しています。しかり、そればかりにとらわれてしまうと、肝心な人材育成が疎かになります。

今から10年前、新入社員には「3カ月で仕事に慣れ、半年で一人前になるように」と叱咤(しった)したものでした。ただし、これは本音ではありません。実際は1年かけてでも3年かけてでもじっくりと教育していく覚悟を決めていたものです。その間、上司と部下は文字通りの師弟関係となり、次々と課題に直面しては、泥臭く解決していきました。遠回りすることも度々ですが、そうした中で、部下は「働く喜びや意義」「当社が目指す理想の姿」「お客様と真摯に向き合う大切さ」を学びます。

そして、社内外の先輩の姿を見ながら、「自分はどんな風に成長したいのか」「何を成し遂げたいのか」をじっくりと考え、温め、実行していったのです。この、いわば「熟成期間」を若手のうちに、どれだけ早く、深く経験できるかが、その後の成長に大きく関係すると私は考えます。

最近は便利なツールが数多く登場し、これまで10の手順が必要だった仕事は、5の手順で終わるようになりました。それを使いこなす若手を見ると、「仕事が早い!」ということになるのですが、これが仕事の全てではないのです。

私は、「昔は良かった」と懐かしんでいるわけではありません。新しいものは積極的に取り入れますし、教育方法も時代に合わせて見直します。ただし、社員の成長はこれだけで測れるものではありません。すぐに実を結ぶものではありませんが、「働く喜びや意義」などをじっくりと考える時間を持たせることが、長期的には大切になるのです。

「桃栗3年柿8年」ということわざがありますが、私はここに一節を付け加えます。

桃栗3年柿8年。社員の成長50年

今は70歳まで働く時代です。20歳で働き始めてから70歳になるまでの50年間、日々、成長し続けなければなりません。これだけ長い時間をやり抜くには、土台の部分がしっかりしていないといけません。その土台を、じっくりと育てていくことが今どきの管理職の仕事です。

以上(2023年10月)

pj17156
画像:Mariko Mitsuda

現役の経営者が最も尊敬する“伝説の経営者”たちが残した名言集~経営者190人アンケート

1 経営者の心に響く “伝説の経営者”の名言

経営者はビジネスのあらゆる局面で、難しい判断を迫られます。判断の責任を一身に背負わなければならず、常に孤独。そんな経営者を支えてくれるのは、同じ苦しみを知っている経営者の言葉です。例えば、パナソニックホールディングス(旧松下電器産業)創業者の松下幸之助氏、本田技研工業創業者の本田宗一郎氏など、もはや“伝説”ともいうべき経営者の名言は、困ったり悩んだりしている今の経営者に勇気を与えてくれます。

実際、190人の経営者に対し「尊敬する経営者の名言」に関するアンケートを実施したところ、

121人に尊敬する経営者がいて、59人にその経営者の名言で印象に残っているものがある

ことが分かりました(アンケートは2023年7月実施)。

画像1

画像2

さらに、このアンケートでは、印象に残っている名言が「ある」と回答した59人の経営者に、具体的にどのような名言が印象に残っているのかを質問しました(自由回答)。その結果、名言のタイプは大きく次のように分けられることが分かりました。以降で詳しく見ていきましょう。

  • 失敗に対して前向きになれる名言
  • ストイックになれる名言
  • 決断を後押ししてくれる名言

2 失敗に対して前向きになれる名言:松下幸之助氏など

経営に失敗はつきものであり、それをどう受け止めるかが大切です。数々の失敗を糧に成功をおさめ、“伝説の経営者”となった松下氏や本田氏が、失敗に関する数多くの名言を残しています。「前向きになれる名言なので心に残っている」と回答する経営者もいました。

1.失敗を恐れて毎回「前例踏襲」に陥ってしまう人へ

「とにかく考えてみること、くふうしてみること、そしてやってみること。失敗すればやりなおせばいい」(松下幸之助*1)

松下氏は、「同じことを同じままに繰り返すだけでは、何の進歩もない」として、上の名言を残しています。「自分もものづくりに携わってきたから(この名言が印象に残っている)」と回答した経営者(60代男性)もいました。

2.一度失敗するとそこで立ち止まってしまう人へ

「成功するまで続けたならば失敗というものはない。成功あるのみである」(松下幸之助*2)

松下氏は「失敗したところでやめてしまうから失敗になる」として、上の名言を残しています。松下氏の失敗に関する名言は他にもあり、「自分の現状と重なって、これから頑張るモチベーションになった」と回答した経営者(40代男性)もいました。

3.部下の失敗につい声を荒げてしまう人へ

「成功は九九パーセントの失敗に支えられた一パーセントである」(本田宗一郎*3)

国内自動車メーカーとして後発だったホンダを先行企業と肩を並べるブランドに成長させた本田氏の名言です。「実際に本人から聞いたから(印象に残っている)」と回答した経営者(70代男性)もいました。

なお、本田氏は上の名言を述べる際、「現役時代、部下の失敗に腹が立ち、本気で怒鳴りつけるなどして、後で自己嫌悪に陥っていた時期もあった」と述懐しています。この名言には、本田氏が「失敗を受け止められる人間になれ」と自分自身に言い聞かせる意味もあったのかもしれません。

4.失敗続きで「もう成功しないんじゃないか」と思っている人へ

「色々の失敗が、将来のびる為めには良い体験であった」(豊田喜一郎*4)

国内自動車メーカーの先行企業として、国産自動車の開発に腐心したトヨタ自動車創業者の豊田氏の名言です。この他にも失敗に関する名言を残していて、「失敗が多いが、創意工夫によって成功すると信じているから(印象に残っている)」と回答した経営者(50代男性)もいました。

5.失敗続きの自分を責めてしまう人へ

「最初にあったのは夢と根拠のない自信だけ」(孫正義*5)

ソフトバンクグループを一代で築いた孫氏は、10代後半のころを振り返って、上の言葉を残しています。「開業にあたり、(心に)響いた」と回答した経営者(50代男性)もいました。

3 ストイックになれる名言:稲盛和夫氏

京セラ(旧京都セラミック)やKDDI(旧第二電電)を創業し、日本航空の再建にも尽力した稲盛和夫氏。ストイックな名言が多く、「生き方の指針となる」と回答した経営者も少なくありませんでした。

1.結果が出ないなどで、努力する意味が分からなくなっている人へ

「人生における労苦とは、己の人間性を鍛えるための絶好のチャンスなのです」(稲盛和夫*6)

稲盛氏は、「生きていくということは、苦しいことのほうが多い。それでも日々成長しようとたゆまず努力することに人間の生きる目的や価値がある」として、上の名言を残しています。「労苦があるということは、自分が前に進んでいると捉えている」と回答した経営者(60代男性)もいました。

2.仕事が嫌になり、投げ出したいと思っている人へ

「与えられた仕事を天職と思い、それに全身全霊を傾けることです」(稲盛和夫*7)

稲盛氏は、「1つのことを究めることによって初めて真理やものごとの本質を体得することができる」として、上の名言を残しています。「一生懸命に取り組むことに共感を得ました」と回答した経営者(60代男性)もいました。

3.努力を惜しんで、つい近道をしたがってしまう人へ

「人生や仕事の結果は、考え方と熱意と能力の3つの要素の掛け算で決まります」(稲盛和夫*8)

稲盛氏は、「能力を鼻にかけ努力を怠った人よりは、自分には普通の能力しかないと思って誰よりも努力した人の方が、はるかにすばらしい結果を残すことができる」として、上の名言を残しています。「うまくいってないときに、何が足りなかったかを考えるきっかけになる」と回答した経営者(70代男性)もいました。

4 決断を後押ししてくれる名言:スティーブ・ジョブズ氏

Appleの共同創業者で、Pixar Animation Studiosの創業者でもあるスティーブ・ジョブズ氏は、創業したAppleの仲間たちから一度は追放されながらも、傾きかけた同社に復帰。強力なリーダーシップを発揮して立て直しに成功し、世界的な企業に成長させました。

1.今、考えていることを実行すべきか否か迷っている人へ

「If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?(もし今日が人生最後の日だとしたら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうか?)」(スティーブ・ジョブズ*9)

ジョブズ氏が米スタンフォード大学の卒業式で、卒業生たちに送ったメッセージです。「分かりやすく、実践しやすいと思った(から印象に残っている)」と回答した経営者(50代男性)もいました。

2.「自分の決断は間違っているんじゃないか?」と足を止めてしまう人へ

「Stay Hungry. Stay Foolish.(ハングリーであれ、愚か者であれ)」(スティーブ・ジョブズ*10)

同じく、米スタンフォード大学の卒業式でのスピーチで、ジョブズ氏が残した名言です。「常識にとらわれず、前進し続ける感じがジョブズ氏の生き方を表現していると思う」と回答した経営者(40代男性)や、「説得力があります」と回答した経営者(60代男性)もいました。

5 他にこんな名言も:盛田昭夫氏など

この他、現役の経営者の印象に残っている名言には、次のようなものがありました。

1.チャレンジする会社をつくりたい人へ

「出るクイを求む」(盛田昭夫*11)

井深大氏と共にソニーの共同創業者として、「ウォークマン」などを世に送り出した盛田氏の名言として有名です。盛田氏は、社員がおとなしいだけのイエスマンにならず、自分で活躍できる場所を見つけ出すことを重視しており、他にもこうした趣旨の名言を残しています。「個性の重視、オリジナリティーの確立(が重要と感じているので印象に残っている)」と回答した経営者(70代男性)もいました。

2.一つ一つの仕事を丁寧にやる会社をつくりたい人へ

「凡事徹底」(樋口武男*12)

約20年間にわたって大和ハウス工業のトップを務め、同社の「中興の祖」とも呼ばれた樋口武男氏の名言です。樋口氏は現役時代、赤字のある支店を立て直すに当たり、「電話のベルは1コールで取り、元気な声で挨拶して担当者に回す」ということを社員に徹底させました。基本的なこと(凡事)ですが、これが社外の評判を上げることにつながったそうです。「いつも継続して仕事をこなすことによって成果が上がる(ことを示すので印象に残っている)」という経営者(70代男性)もいました。

【参考文献】
(*1)「道をひらく」(松下幸之助、PHP研究所、1968年5月)
(*2)「松下幸之助日々のことば : 生きる知恵・仕事のヒント」(松下幸之助、PHP研究所、1988年6月)
(*3)「やりたいことをやれ」(本田宗一郎、PHP研究所、2005年9月)
(*4)「豊田喜一郎文書集成」(和田一夫編、名古屋大学出版会、1999年4月)
(*5)「孫正義語録 孫氏の兵法」(孫氏の兵法製作委員会、ぴあ、2007年2月)
(*6)「『成功』と『失敗』の法則」(稲盛和夫、致知出版社、2008年9月)
(*7)京セラ「稲盛和夫 OFFICIAL SITE ものごとの本質を究める」
(*8)京セラ「稲盛和夫OFFICIAL SITE 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」
(*9)Stanford University「Stanford News, JUNE 12, 2005」
(*10)Stanford University「Stanford News, JUNE 12, 2005」
(*11)「盛田昭夫語録」(盛田昭夫研究会編、小学館、1999年3月)
(*12)「凡事を極める」(樋口武男、日本経済新聞出版社、2013年3月)

以上(2023年10月)

pj10074
画像:metamorworks-Adobe Stock

【経理人材の育成(6)】メンバーのモチベーションを上げ、成果を出すための業務分担と評価

1 モチベーションや成果に影響を与える業務分担と評価

今回は、

業務分担の決め方や評価の方法

についてお話しします。管理職の皆さんから、「業務分担は一度決めてしまうと、なかなか変えるのが難しい」という声をお聞きします。しかし、担当している本人にとっては、何年も同じ業務を続けていると飽きてしまいます。最悪、成長機会の少ないことを理由に転職してしまうケースも見られます。

評価についても、評価の仕方や、伝え方に苦労している方もいるのではないでしょうか。私自身も経験がありますが、評価結果が本人の期待よりも悪い場合には、なかなか納得してもらうのは難しいものです。

では、どのようにメンバーのモチベーションや成果に良い影響を与えられる業務分担と評価をしていけばいいのか見ていきましょう。

2 分担は勘定科目と業務量をベースに考える

経理業務の分担を決める際にまず注目すべきは、

その業務に関連する勘定科目

です。経理業務の最終成果物は決算書なので、ほぼすべての業務は、決算書の中のいずれかの勘定科目にひも付きます。メンバーが業務で成果をあげられるよう、なるべく幅広い経験を積んでもらうためには、色々な勘定科目に関連する業務を経験させることが必要です。とくに、ITツールの導入により手作業が減ってきている中で、従来のように「売掛金一筋ウン十年」といったキャリアは現実的ではありません。これまで以上に経理パーソンは決算書全体を理解する必要が高まっているのです。そのためにも、メンバー自身にとって、数多くの勘定科目の経験を早回しで経験することが重要です。

勘定科目によって業務の難しさは異なります。

  • 現金預金や固定資産などの勘定科目は、実際にかたちがあるものは確認しやすく、比較的経験が浅いメンバーでも習得しやすいでしょう
  • 売上・売掛金や仕入・買掛金など営業周りの勘定科目は、会計システムの使い方など一通りの経理の流れを理解した経理メンバーにおすすめです。営業部門など他部門とのやり取りが頻発しますし、自社事業の知識も必要になるためです
  • 税金や引当金といった高度な会計知識を必要とする勘定科目は、税法や会計基準をしっかり理解する必要があるため、経理経験をある程度積んでから担うのがいいでしょう

なお、インボイス制度の導入や収益認識会計基準など時事的に必要になる取り組みも、経理経験の高い人が担当することが多いようです。このように、

勘定科目の固有の性質に加え、各社のシステムや関係者などの状況を踏まえ、総合的な難易度を、業務ごとに一度整理しておく

といいでしょう。体系化された自社オリジナルの「業務分担表」は、「メンバー育成計画表」としても活用でき、効果的です。

このように、勘定科目の難易度や経験の有無をもとに分担を決めるのは、理想的な決め方です。しかし、現実には、業務量への配慮も不可欠です。例えば、売上・売掛金や仕入・買掛金、経費・未払金などは、件数も多く、業務量が多くなりがちです。実際にどのくらいの頻度・業務量があるのかを踏まえて、最終的な分担を決めることが必要です。ただし、これらの業務は色々なITツールの進化がもっとも多い分野でもありますので、

従来のやり方を前提にした業務量にとらわれない

ようにしましょう。「業務量が多すぎて分担の見直しが難しい」と感じた場合には、それは、業務の進め方自体を見直す必要があるシグナルかもしれません。

分担を変えるのは、個人のモチベーションのためだけではありません。担当者の不在や退職が急遽発生したとしても、経理業務を止めないためには、どの業務も2人以上が実施できる必要があります。会社のリスクマネジメントの観点からも、管理職は分担を見直し、ジョブローテーションを行う必要があるのです。

3 分担した業務の意義や成果は、何度でも口に出して伝える

決めた分担について伝える場合には、その伝え方も重要です。

例えば、売掛金の回収確認や督促は、煩雑かつ精神的な負担もあり、メンバーにとってはあまり気が進まない業務です。しかし、その重要性について疑問をはさむ人はいないでしょう。

では、その重要性について担当者に直接口頭で伝えていますか。煩雑な業務や気が重い業務ほど、会社にとっての重要性を、担当することになったときはもちろん、その後も継続的に伝えていくべきです。そうすることで、本人も業務の位置づけをより理解し、多少なりともモチベーションを上げることができます。また、業務への取組みの結果、〇〇円回収が進んだといった成果を定量的に示すのも成果が感じやすく、おすすめです。

皆さんが思っている以上に、管理職は、業務の重要性や結果を口に出して伝えることが大事です。本人にとっては日常のルーティンになってしまいがちですし、視座の高さの違いから意味を本当に理解してもらうことは難しいように感じます。

4 モチベーションを上げる業務分担の決め方

会社側から見た好ましい業務分担の決め方は、メンバー目線で分担を見ることです。

「キャリアの3要素」という考え方があります。

  1. 本人の得意分野や経験(Can)
  2. 本人の希望(Will)
  3. 会社としての必要性(Must)

この3つがかなう業務を経験することがキャリアにとってもっとも望ましいといわれています。つまり、先ほど紹介した考え方は、会社のMustの話でしたが、個人のCanやWillも合わせて考慮して決めるのがキャリア上望ましいのです。

もちろん、会社の事情もありますから、すべての特性や希望をかなえることはできません。例えば、いくら本人がある業務を希望したとしても、他にも希望している人がいたり、本人の能力に対して難易度が高かったりする場合もあるでしょう。

そこで、まずはなるべく本人の希望や特性を幅広く把握することが大事です。その上で、本人の希望の3割は1年以内の期間で叶えることを目指します。そして、別の3割については2~3年以内に叶えられるように、スキル習得とジョブローテーションの予定をたてます。

つまり、すべてをすぐに対応するのではなく、短期と中期に分けて、できることからかなえられるようにしましょう。自分の考えや希望がかなうことで、本人のモチベーションが上がり、成果も出やすくなります。

5 評価の成否は、事前の目標設定で決まる

業務分担の内容に基づいて、年度末に各人の評価を行う会社も多いでしょう。この際に、気を付けていただきたいのは、

  1. 目標はあらかじめ決まっているか
  2. 本人はきちんと理解しているのか

の2点です。

分担を決めただけでは、この業務をどのように頑張ったらいいのかが不明確です。分担というのは、何をやるか(What)という話にすぎず、それだけではまだ良し悪しの評価をすることはできません。目標として、どのくらいの時間数をかけるのか、あるいはいつまでにやるかの期限、ミスをどのくらい減らすかという正確さなど、どのくらいやるか(How Much)というモノサシを明確にしてはじめて、良し悪しが判定できるのです。

このように、分担を決めることと、目標を決めることは別ですので、評価が必要な場合には、必ず目標を決めるようにしてください。もし皆さんの部門全体の目標がある場合には、それを細分化して設定するのがベストです。このように部門全体と個人の目標を整合させることで、個人の目標が達成されれば、結果として組織目標も達成する仕組みができあがります。

6 評価面談の場ではじめて評価を伝えるのはNG

評価面談の場でメンバーともめるケースがしばしば見かけられます。もめずに評価を伝えるための最大のポイントは、「No Surprise」=びっくりさせないことです。なぜもめるかといえば、本人の予想と評価が異なることがほとんどです。もちろん、ときに評価の内容が良くないことが原因になることもありますが、それでも事前に把握できていれば、納得するかどうかは別ですが、大きくもめることは少ないはずです。

びっくりさせないためには、

まず目標設定の段階で期待値を正しく伝えておくこと

が必要です。先ほどの目標の話でもお伝えしたとおり、何をどの程度期待しているかを、具体的に事前に伝えておきましょう。

また、達成状況について途中経過を共有することも大事です。もし月次で面談などを行っているのであれば、その場を活用してもいいでしょう。多くの会社では、年度の真ん中で半期の評価面談を行うようです。これも、年度末での食い違いを防ぎ、達成に向けて調整するための取り組みといえます。このような場を使って、少なくとも1回、できたら軽く触れる程度でもいいので年に2~3回、途中経過としての皆さんの見解を伝えておくといいでしょう。

そして、3つ目は、途中経過や最終評価の面談の場で、本人のコメントに十分に耳を傾けることです。メンバー本人にも、設定された目標に対して思うところなどがあるはずです。まずはそれをきちんと聞いた上で、管理職の皆さんの見解を伝えるようにします。このとき、皆さんが評価の拠り所とした事実やエピソードも用意しておくと説得力が増します。

つまり、評価面談の場ではじめて、一方的に評価を伝えるのはNGということです。管理職をやっていると、分担や評価は気が重いイベントかもしれません。しかしながら、どちらも会社にとって重要で成果に大きく影響するものであり、かつメンバー個人のキャリアにとってもあたえる影響は大きいものです。ぜひ今後分担や評価を行う際の参考になれば幸いです。

以上(2023年10月作成)

pj35155
画像:Kittiphan-Adobe Stock

ビジネスケアラーに対する支援

高齢化や生産年齢人口(15歳~64歳)の減少が続く中で、ビジネスケアラー(仕事をしながら家族等の介護に従事する者)の数は増加傾向にあり、介護に起因した労働総量や生産性の減少が懸念されております。

介護と仕事の両立実現に向けては、職場・上司の理解が不足していることや、両立体制構築に当たっての初動支援が手薄いこと、介護保険サービス単体ではカバー範囲が限定的であること等が課題として挙がり、従業員個人のみでは十分な対応が困難な状況です。

本稿では、日本でのビジネスケアラーの人数推移を解説するとともに、企業が行える仕事と介護の両立支援について、ご紹介してまいります。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

ビジネスケアラーに対する支援

高齢化や生産年齢人口(15歳~64歳)の減少が続く中で、ビジネスケアラー(仕事をしながら家族等の介護に従事する者)の数は増加傾向にあり、介護に起因した労働総量や生産性の減少が懸念されております。

介護と仕事の両立実現に向けては、職場・上司の理解が不足していることや、両立体制構築に当たっての初動支援が手薄いこと、介護保険サービス単体ではカバー範囲が限定的であること等が課題として挙がり、従業員個人のみでは十分な対応が困難な状況です。

本稿では、日本でのビジネスケアラーの人数推移を解説するとともに、企業が行える仕事と介護の両立支援について、ご紹介してまいります。

1 ビジネスケアラーなどの推移

2030年には家族介護者833万人に対して、その約4割(約318万人)がビジネスケアラーになるとされています。また、ビジネスケアラー発生の労働生産性損失や離職に伴う経済損失額は、約9兆円に上ると推計されています。

家族介護者・ビジネスケアラー・介護離職者の人数の推移

(経済産業省「家族介護者・ビジネスケアラー・介護離職者の人数の推移」)

政府は2016年に「介護離職者数ゼロ」を掲げ、「介護離職の防止」に対する取り組みが進められてきました。しかしながら、2020年時点でビジネスケアラーは介護離職者に対して37倍超の人数がおり、深刻な問題となっていることが見て取れます。

2 仕事と介護の両立支援

2017年の法改正で、介護休業制度の見直しなどが行われ、介護離職者数は大きく増加することなく推移しています。一方で、在職しているがゆえ問題が見えづらいビジネスケアラーに対し、フォローが行き届いていない状況が生まれているのではないでしょうか。

企業としては、従業員にヒアリングなどを行いながら、以下のような法定の介護支援策の推奨や、必要に応じて法定外の支援策を検討すること、職場内での理解と助け合いを促していくことが肝要です。

《育児介護休業法に基づく介護支援》

介護休業

対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割で休業を取得できる。

介護休暇

介護や世話をするために、年5日(対象家族が2人以上の場合は、年10日)まで、1日または時間単位で休暇を取得できる。

所定外労働の制限
(残業免除)

介護をするために申請した場合、所定外労働を免除しなければならない。

時間外労働の制限

介護をするために申請した場合、1か月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせてはいけない。

深夜業の制限

介護をするために申請した場合、深夜に働かせてはいけない。

短時間勤務等の措置

短時間勤務制度、フレックスタイム制度、時差出勤の制度、介護費用の助成などの措置を講じる

3 さいごに

前述の通り、今後ますますビジネスケアラーが増加することが想定されており、看過しては生産性の低下、ひいては介護離職に至る可能性もあります。これは企業にとっても労働者にとっても不幸でしかありません。

高齢化が進展するこれからの時代を見据え、皆が介護を行う当事者になり得るという可能性について認識を共有しながら、ビジネスケアラー対策への準備を進めてみてはいかがでしょうか。

※本内容は2023年9月11日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

sj09091
画像:photo-ac

事業承継・引継ぎ補助金のご紹介

中小企業等を支援する国や自治体の補助金・助成金事業では、雇用・人材開発・IT補助・コロナ支援など幅広いジャンルの支援があります。本レポートでは、おすすめの補助金・助成金について支援の内容や対象条件、申請方法等についてわかりやすく紹介します。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf


ラグビー日本代表の元ヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフ。チームを鼓舞するための、信頼が表れた一言とは?

全部を出し切ったと思った瞬間に、さらにもう一度出し尽くす

ジェイミー・ジョセフ氏は、ラグビー日本代表のヘッドコーチとして、2019年に開催されたラグビーワールドカップ2019日本大会で、日本を初のベスト8に導きました。「ONE TEAM」のスローガンを掲げて活躍した日本チームの勇姿は、まだ記憶に新しいでしょう。ジョセフ氏は2023年9月から10月に開催される2023フランス大会でも、日本代表のヘッドコーチを務めています。

冒頭の言葉は、2019年の日本大会一次リーグで最大の難関となったアイルランド戦を前に、ジョセフ氏が選手やスタッフに語った言葉です。大会直前の世界ランキングが1位だったアイルランドとの試合は、当然ながらハードな内容になることが予想されました。このためジョセフ氏は、後半の戦い方について、冒頭の言葉を述べたのです。

ジョセフ氏は、選手たちに根性論を訴えたわけではありません。この言葉に続いて、「宮崎(での合宿)で、網走(での合宿)で、我々はそのための準備をしてきた」「お互いを信頼しろ。皆を信じている」と語っています。合宿で心も体も極限まで鍛え上げ、ONE TEAMになった選手とスタッフは、一人ひとりが全力を出し切るのはもちろん、チームのために、全力のさらに上の力を出せるための準備ができていると、ジョセフ氏は確信していたのでしょう。それは、根性論という単純な論理ではなく、「全員がチームのために、全力以上の力を出して貢献してくれる。もちろん自分もそうする」という、チーム内の固い信頼関係によって生まれた考えだといえるでしょう。

アイルランド戦では、ジョセフ氏の言葉がまさに現実になりました。前半を9対12でリードされて迎えた後半、日本チームは一丸となって力を出し尽くし、19対12で逆転勝利したのです。

会社でも社会でも、チームが弱体化する要因の一つに、メンバー間の「不公平感」があります。例えば、手抜きをしたり、ルールを守らなかったりする社員がいると、他の社員は「なぜ自分だけ真面目に頑張らないといけないんだ。不公平だ」と、やる気を失っていきます。ですが、逆に「全社員が目標に向かって全力を出している」という思いが共有されると、皆が「自分が足を引っ張るわけにはいかない」と奮起し、それが全力以上の力を引き出すきっかけになるのです。

そんなチームをつくるには、システムとして全社員が公平感を持てる仕組みをつくるか、トップが率先して全力以上のものを出す姿を見せ、社員の目線を引き上げることが重要です。

ちなみに、ジョセフ氏は日本代表の試合後に、最優秀選手を指名して表彰する制度を創設していました。ところがアイルランド戦では、最優秀選手は「誰か一人にではなく、チーム全体に」と言って、スタッフを含めた全員をたたえたそうです。ジョセフ氏は試合の勝因は、全員が全力以上を出したことだと確信していたのでしょう。

出典:「ラグビー日本代表ONE TEAMの軌跡:あの感動と勇気が甦ってくる」(藤井雄一郎、藪木宏之著、伊藤芳明文・構成、講談社、2020年7月)

以上(2023年9月作成)

pj17612
画像:Sergey Nivens-Adobe Stock

飲酒運転の防止(2023/10号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

「白ナンバー」の車を5台以上使用する事業者等に関して、12月1日から運転者の酒気帯び確認時のアルコール検知器の使用が義務化されます。

アルコール検知器を使用した酒気帯び確認は、飲酒運転を防止するための取り組みで、社用車や営業車を保有する多くの企業が対象になっています。

職場での酒気帯び確認を適切に実施するとともに、運転者一人一人が飲酒運転防止の意識を高めることが大切です。

飲酒運転の防止

1.飲酒運転による交通事故の状況

◆飲酒運転による交通事故件数

飲酒運転による交通事故件数は年々減少してきましたが、近年は下げ止まりの状況です。令和3年に千葉県八街市で発生した事故(飲酒運転のトラックが下校中の児童5名をはねて死傷させた)が今なお記憶に新しいかと思います。飲酒運転は重大な事故につながるおそれがあるため、ゼロにしなければなりません。

飲酒運転による交通事故件数

◆飲酒状況別の交通事故件数

令和4年の飲酒運転による交通事故件数を飲酒状況別にみると、「酒気帯び」の次に「基準以下」が多くなっています。前日の飲酒により二日酔い運転で事故が発生したり、あるいはアルコール摂取量が「基準以下」でも事故が発生していることが分かります。

飲酒状況別の交通事故件数

出典:警察庁「令和4年中の交通事故の発生状況」から当社作成

道路交通法により飲酒した状態での運転は禁止されています。
飲酒した場合はもちろん、二日酔いでアルコールが体内に少しでも残っている場合は運転してはいけません。

2.アルコールが抜けるまでの時間

「節度ある適度な飲酒量」は1日平均純アルコールで約20g程度であると言われています。

個人差はありますが、アルコール20g(=1単位)が体内で分解されるには、約4時間かかります。2単位では8時間、3単位では12時間かかります。

各酒類の単位換算表

出典:厚生労働省eヘルスネット「飲酒量の単位」から当社作成
(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html)

運転の前日は、飲酒の時間や酒量に注意することが大切です。飲酒した翌朝にすっきり目覚めたつもりでも飲酒運転で検挙された事案も多いようです。

注意:ノンアルコール飲料

ノンアルコール飲料とは、アルコール度数が1%未満の飲料を指し、中にはアルコールが含まれた商品もあります。運転する前にはアルコール度数が0.00%であることを確認しましょう。

3.職場での取り組み

飲酒運転で事故を起こしてしまうと、刑事罰や行政処分、社会的制裁を受けることになります。職場で以下を取り組みましょう。

◆運転業務の開始前・終了後にアルコール検知器を使用した酒気帯び確認を適切に実施する。

※法令での義務がない会社であっても、アルコール検知器を使用して酒気帯び確認を行うことは、飲酒運転を生じさせない職場づくりに有効です。

アルコール検知器

◆交通安全研修や小集団活動等を通じて、運転者一人一人が飲酒運転防止に向けた意識を高め、飲酒運転に厳しい職場をつくる。

みんなで『飲酒運転は絶対に「しない!」「させない!」』を徹底しましょう。

以上(2023年10月)

sj09090
画像:amanaimages

味噌の豆知識

1 台所に欠かせない味噌

日本人の食事といえば、ご飯と味噌汁が欠かせません。味噌汁には味噌が必要ですが、この味噌は、材料やつくり方によってさまざまな種類があります。家庭によって味噌汁の味が違うのも、生まれ育った地域や環境によって、さまざまな味噌が使われているからでしょう。

この記事では、味噌についての豆知識を紹介します。

2 味噌の歴史

味噌の起源は中国大陸にあるといわれています。日本にいつ、どのように伝わったかは定かではありませんが、飛鳥時代には味噌の前身と考えられる「醤」があったとされます。「醤」という文字が日本で初めてみられるのは「大宝律令」(701年)で、「未醤」という文字が書かれており、これが「みしょう」→「みしょ」→「みそ」と変化していったといわれています。

以来、1000年以上の長きにわたり、味噌は日本人の食生活と深くかかわってきました。味噌は、当初は寺院や貴族階級に珍重されるぜいたく品でしたが、室町時代には裕福な庶民も自家醸造するようになったといわれています。江戸時代には味噌はなくてはならない食品となり、日本全国それぞれの地域で原料・気候・嗜好により、さまざまな味噌がつくられるようになりました。

3 味噌のつくり方・効能

味噌は蒸した大豆と米麹(こめこうじ)または麦麹などと食塩を混ぜ合わせ、6カ月から2年ほどかけて発酵・熟成させてつくります。大豆のたんぱく質が酵素で分解されて生命を維持するために不可欠なアミノ酸に変化し、それがうまみの元にもなるのです。

この他にも、発酵によってビタミンB群やビタミンEなど体に良い成分が生成され、栄養価は大変優れたものになっています。体への効能としては、抗酸化作用やコレステロール抑制作用が知られています。

気候風土、嗜好の違い、発酵条件なども地域ごとに異なることから、各地で土地の名を冠したさまざまな味噌がつくられています。味噌汁は、古来、日常食に欠かせない副食であると同時に、日本人の重要なたんぱく源でもありました。

4 味噌の種類

毎日、日本人が食べている味噌には、さまざまな種類があります。原材料による分類、味による分類、地区による分類、色による分類などがありますが、一番分かりやすいのは原材料による分類です。原材料別でみると味噌は、次のように分けられます。

  • 米味噌
  • 豆味噌
  • 麦味噌

米味噌は基本的には、大豆と米麹と食塩でつくられています。米が日本の主要農作物だったこともあり、米味噌は今ではごく一般的になりました。大豆に米麹と食塩とを混合してつくる越後味噌、信州味噌、仙台味噌などの米味噌の生産量は日本の味噌の約80%を占め、全国的に利用されています。

豆味噌は大豆に香煎と豆麹を加えてつくった味噌で、主に中京地方を中心に生産されています。

麦味噌は、大豆に麦麹を使った味噌で、別名「田舎味噌」とも呼ばれ、中国、四国、九州地方で生産されています。

5 味噌を使うときの「コツ」

1)煮込み料理に適した豆味噌

味噌には、魚や肉などの食材の臭みや油分を吸着し、さらに味噌特有の香りを食材に移して料理の風味をよくしてくれる「マスキング効果」という機能があります。

通常、味噌は加熱しすぎると香りが飛んでしまいますが、豆味噌は煮込んでも香りの変化が少なく、食材への香りの吸着と油の乳化性に優れているといわれます。

豆味噌のこのような特性のおかげで、主な生産地である愛知県で、「味噌煮込みうどん」のような、よく煮込む味噌料理が発達したのかもしれません。

2)おいしい味噌汁を作るためには加熱がポイント

味噌汁を作る場合、味噌の濃い味と釣り合うように、だしはかつお節、煮干しなど好みの素材で濃いめにとったほうがよいでしょう。また、味噌の味や香りを生かすために、加熱の仕方に注意が必要です。

味噌汁を長く加熱すると、しっとりした舌ざわりが損なわれます。また、米味噌がたるの中で熟成されるとき、酵母が糖をアルコールやエステルなどの香り成分へ変化させていますが、このアルコールなどの香り成分は、90度以上になると揮発してしまいます。そのため、おいしい味噌汁を作るためには、味噌は最後に加え、入れた後は煮立てないことが肝要です。

3)味噌汁の味噌は少なめに

味噌汁に味噌を入れすぎたとき、水や湯で薄めると、だしの味ばかりでなく、味噌の風味も薄まってしまいます。初めは味噌を控えめに入れ、味見をして薄ければ味噌を追加するほうがよいでしょう。また、味噌汁を長く煮すぎたり、汁を温め直したりすると、味噌の香りが飛んでしまいます。余分に作らず、なるべく一回の人数分の味噌汁を用意し、食卓に出す直前に温めて味噌を入れ、沸騰直前に火を止めて香りのよい状態で食卓に出すことが大切です。

味噌汁

4)臭み消しの味噌は二度に分けて

煮物に使う味噌は、味噌汁と違って素材の引き立て役です。ですから、味噌を使った煮物は、味を染み込ませるためにも、臭いを取るためにも、加熱の初めに加えておく必要があります。しかし、せっかく使う味噌の香りも失いたくありません。そこで豚汁、鯉(こい)こくのように味噌で長く煮る汁ものや、肉や魚の煮込み料理は、初めに半量の味噌を入れ、ゆっくりと加熱して材料が十分に煮えたところで残りの半量を加え、香りが失われないうちに火を止めます。サバの味噌煮なども初めに味噌を加えて材料を煮含め、仕上げに酒やみりんで風味を出したほうがおいしく仕上がります。

以上(2023年9月)

pj96193
画像:Nishihama-Adobe Stock
画像:pixabay

豆腐のあれこれ

1 日本人の食生活には欠かせない豆腐

豆腐は日本人にはなじみの深い加工食品です。冷ややっこ、湯豆腐、みそ汁の具、麻婆(マーボー)豆腐、田楽など日本人の食生活には欠かせません。厚揚げ、がんもどき、油揚げなどの揚げものなどもあります。

豆腐の好みは人それぞれで、口当たりの軟らかい絹ごし豆腐が好きな人がいれば、しっかりした木綿豆腐が好きな人もいます。冷ややっこには絹ごし豆腐がよいが、すき焼きは木綿豆腐をしっかりと焼いた焼き豆腐が好みといったように、料理によっても豆腐は使い分けられています。

ちなみに、絹ごし豆腐は絹の布でこすわけでなく、組織が極めて細かく滑らかであることから付いた名称だといわれています。また、木綿豆腐の名称は、製造工程で木綿の布を用いることに由来しているとされます。

2 豆腐の歴史

豆腐は中国が発祥の地であるようですが、初めて豆腐が作られた時期は明確ではありません。日本には奈良時代に中国に渡った遣唐使の僧侶によって伝えられたとする説が一般的ですが、実際に文献に初めて豆腐という文字が現れるのは平安時代の後期です。

江戸時代になると、それまでは主に僧侶や武士の食べ物であった豆腐は、一般庶民の食べ物として普及していったようです。

3 豆腐の種類と作り方

1)豆腐の種類

豆腐

2)豆腐の作り方

次に豆腐の作り方を確認してみましょう。一般的な豆腐の製造工程は次の通りです。

一般的な豆腐の製造工程

豆腐の原料は大豆なので、ここでは、大豆から豆乳になるまでの流れを紹介します。なお、豆乳ができてから製法やその手順を変えることで、木綿豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐を作り分けることができます。

  • 精選
    割豆、破砕豆、虫喰豆、他の種子類、異物などの夾雑(きょうざつ)物を取り除きます。

  • 洗浄
    大豆の表面に付着している土・ほこりなどを十分取り除くために、水洗いを何回も繰り返します。

  • 浸漬(しんせき)
    次の工程の大豆磨砕をしやすくするために、水に漬けます。漬ける時間は、水温によって異なります。割豆、破砕豆、虫喰豆、他の種子類、異物などの夾雑物を取り除きます。

  • 磨砕(まさい)
    浸漬し水分を含んで大きくなった大豆を細かく砕きます。昔は石臼でひいていましたが、現在はグラインダーが一般に用いられています。磨砕は、大豆の細胞を破りたんぱく質等の成分の抽出に役立ちます。磨砕は注水しながら行いますが、加水量によって豆乳の濃度を加減します。

  • 加熱
    生呉(磨砕したものを呉といい、加熱したものと対比して生呉という)を加熱します。加熱は、大豆たんぱくを凝固しやすく、成分を最大に溶出させるために行います。昔は、呉を釜に入れ直(じか)火で加熱(地釜)していましたが、現在はボイラーによる蒸気加熱が主流です。加熱温度は、100度前後です。

  • 搾り
    濾過、分離などともいいますが、加熱した呉(煮呉)を豆乳とオカラに分離する工程・作業です。

4 健康食品としての豆腐

1)豆腐は栄養吸収率が高い

大豆は消化のあまりよくない食物といわれていますが、豆腐の消化吸収率は92~98%とされています。豆腐は、大豆の組織を十分壊し、たんぱく質や脂肪などをいったん遊離させたうえで、消化の悪い繊維質を除いているため、一般の人はもちろん、病人、老人、離乳食にも適しています。

2)世界の「TOFU」

良質なたんぱく質を効率的に吸収できる豆腐は、日本だけでなくアメリカなどの海外でも健康食材として知られています。肉の代わりに、揚げたりソテーしたりというような加熱調理に使うことが多く、豆腐ステーキにしたり、チーズ代わりに使ったりと、ベジタリアンはもちろん、カロリーや脂肪分を気にする人たちにも幅広く支持されているのです。

豆腐

以上(2023年9月)

pj96517
画像:Nishihama-Adobe Stock
画像:pixabay