第24回 JETRO イノベーション促進課課長(現JETRO福島所長) 吉田 悠吾 氏/森若幸次郎(John Kojiro Moriwaka)氏によるイノベーションフィロソフィー

かつてナポレオン・ヒルは、偉大な多くの成功者たちにインタビューすることで、成功哲学を築き、世の中に広められました。私Johnも、経営者やイノベーター支援者などとの対談を通じて、ビジョンや戦略、成功だけではなく、失敗から再チャレンジに挑んだマインドを聞き出し、「イノベーション哲学」を体系化し、皆さまのお役に立ちたいと思います。

第24回に登場していただきましたのは、日本社会と経済の発展に向け、オープンイノベーションやスタートアップ支援、対日投資の促進や日本企業の海外展開などを幅広く支援するJETRO(日本貿易振興機構)イノベーション促進課課長(2021年7月20日インタビュー当時、11月24日付でJETRO福島所長に就任)、吉田 悠吾氏です(以下インタビューでは「吉田」)。

1 「日本では当たり前ではないけど、海外では当たり前に起こること。それを早い段階で学べたということは、留学で得た財産ですね。」(吉田)

John

吉田さん、この度は貴重なお時間を本当に愛りがとう(愛+ありがとう)ございます!

以前もりそなCollaborareの「イノベーションの森」に登場してくださった吉田さんですが、今回は吉田さんご自身のことをもっとお聞かせいただきたいと思っております。

まずは、吉田さんの半生をお聞かせいただけますか?

吉田

こちらこそ、貴重な機会をありがとうございます。

私自身の生まれは東京ですが、母は東京で父は京都出身、また父の仕事の関係で異動が多く、いわゆる転勤族でした。
中学校に入る時に京都へ引っ越し、京都で学生生活を過ごしました。

ちょうど私が高校へ入るタイミングで、京都に英語に特化した公立高校ができたので、そこへ入学しました。

高校のうちから海外へ行く機会を与えてもらったり、第二外国語の授業で中国語を勉強させてもらったりなどの経験を通して、どんどん海外への興味が高まっていったのです。

学生ながら「中国はこれから成長する、おもしろい国だ」と感じていたため、大学は東京外国語大学の中国語学科へ進学して、北京大学に1年留学しました。

John

さすが吉田さん!高校生の頃からすでに、海外にご興味をお持ちだったのですね!
そしてその頃から「伸びる国はどこか」という視点で中国語を選ばれたという意識の高さもすばらしいです。

英語に特化した公立高校ということですが、どのような高校だったのですか?

吉田

当時、京都の公立高校として初めてできた英文系のクラスに、1期生として入りました。

英語の授業が多くて、ALT(外国語指導助手)の先生もクラスに2名ついてくれていました。

今ではそういった高校も増えていると思いますが、1年生のうちからクラスみんなで、カリフォルニア州のサンフランシスコ郊外へ1カ月留学できるなど、当時の高校としては珍しい取り組みが多かったです。

高校では英語をしっかり学んで、大学からは中国語を学ぶようになったのですが、英語と中国語は文法がほぼ同じなためか、頭の中で混同してしまうことが多々ありまして……。また仕事で英語を使うようになった時、苦労した覚えがありますね(笑)。

今では、英語・中国語・日本語を使いながら仕事ができています。

John

3カ国語を使いこなしていらっしゃるなんて、吉田さん、凄すぎます!
ビジネスで英語や中国語を使いたいと考えている方のために、語学力を磨くポイントを少し教えていただけませんか?

吉田

やはり接する量、とにかく実際に学習したい言語を聞いて、話してみることですね。

英語に関しては、すでに国際言語になっていますし、ノンネイティブ同士でも通じますので、積極的に英語を使う機会を持つことが上達のポイントです。

中国語に関しては、漢字で意味が予想できますので、読み書きは日本人にとって比較的なじみやすいと思います。

ただ、いざ中国語で話すとなると「発音がよくないと通じない」というのが壁となります。英語のように、いわゆる「カタカナ発音」では通じないのです。

逆に発音も含めてしっかり学べば、中国はもちろん、アジアの華僑の方々とのコミュニケーションが非常にスムーズになります。

例えば、シンガポールや東南アジアの華僑の方の多くは中国語を使うので、とても役に立ちます。

私もシンガポールや東南アジアでは、はじめは英語でコミュニケーションをとってみて、「この方は華僑系かな」と思ったタイミングで中国語へシフトしてみる、ということをよくしています。
親しみを持ってもらえて、本音を聞き出しやすくなりますよ。

John

3カ国語お話になるからこその気づきをシェアして頂き、愛りがとうございます。母国語での会話の方が本音が出やすいというのは興味深いです。ビジネスで大きな武器になりそうですね。

大学時代には北京大学へ留学されたとのことですが、留学時代のことで、印象に残っている出来事はありますか?

吉田

1番衝撃的だったのは、夜間に北京の街を出歩いていたところ、デモに巻き込まれかけたことですね。

1999年にNATOが在ユーゴスラビアの中国大使館を爆撃するという事件があり、それに対する抗議として、デモ隊が中国にあるアメリカ大使館の公邸などに詰め寄るという事件が起こったのです。

僕はその当時、たまたまそのアメリカ大使館の近くにいて、多くの学生たちが抗議活動をする様子を目の当たりにしたのです。一緒にいた他の留学生たちと共に、急いでその場を離れました。

特にアメリカからの留学生などは、その後も「あまり街中に出ない方がいい」と大学から注意喚起されたりしていて……。

日本にいるとなかなかこういった場面に遭遇することはできませんが、「国と国がぶつかるというのはこういうことなのか」と強いカルチャーショックを受けたことを覚えています。

John

海外では、日本では遭遇しない、日本人にとってはカルチャーショックを受けるような出来事も起こることがありますよね。

吉田

そうですよね。海外では普通にあり得ることです。

昨今のコロナ禍で、海外ではロックダウンなども起こりましたね。
日本人はロックダウンのような強硬な対応や、権利を侵害されることに敏感に反応する傾向があるように思いますが、公共の福祉・安全のためには、必要だと考える国も多いようです。

John

そういった海外現地の問題や国家間の問題が、ビジネスに影響を与えることもありますよね。日本では当たり前ではないけど、海外では当たり前に起こることを早い段階で学べることも、留学で得られる財産の一つですね。

吉田さんの画像です

2 「さまざまなプロジェクトに関わらせてもらってやりがいもあったのですが、次第に、もっと多くの企業、ひいては日本社会全体のグローバル化に貢献したいという気持ちが湧いてきました。」(吉田)

John

学生時代の留学を通し、語学はもちろん、日本と海外とのギャップや、カルチャーを学ばれたわけですが、その後のファーストキャリアは日本の大手商社を選ばれていますね。どういったお考えがあったのでしょうか?

吉田

「大学で学んだ中国語を、すぐにビジネスで使いたい」というのを就職活動の主軸にしており、総合商社のスペシャリスト採用という枠へ応募しました。

一般的な企業ですと、入社後数年間は外国語を使うような仕事をさせてもらえないことが多いそうですが、スペシャリスト採用では、若手にも海外と関わるチャンスが与えられるというところに魅力を感じたのです。

実際に入社後は、若手ながら、今では著名な企業へと成長した半導体メーカーの中国への生産移管、現地での合弁会社設立・運営など、大きなプロジェクトにいくつも携わらせてもらいました。

海外への生産移管の流れが当時は活発でしたので、他の企業でも生産移管するケースは多かったですね。

John

新卒時から今日まで、ずっと日本と海外を繋ぐお仕事に携わっていらっしゃるのですね。さすが、吉田さん、すばらしいご経歴ですね!
商社時代に得た1番の学びは、何でしょうか?

吉田

商社で身についたのは、伝統的なトレーディングと、事業投資の経験でしょうか。また、大きな組織の中でプロジェクトをどう動かしていくか、というのも今の仕事に活きている気がします。

当時、私は情報産業やエレクトロニクスの部門にいて、100〜200くらいの調達先を取りまとめ、工場が止まらないように材料や機械などを輸出するという仕事もしましたし、他社の海外展開のコンサルティングも任せてもらったので、かなり鍛えられましたよ。

社会人歴5年以内の若手でありながら、現地の経営者たちとやりとりをさせてもらったり、プレゼンテーションをしたりというのは、非常に大きな財産です。

John

吉田さんは学生時代も就職する際も目的意識を明確に持地、実際の行動に移されていますね。そのような意識の高さがあったからこそ、若手時代から重要な役割を任せてもらえたのでしょうね。

私は、何事も基本はマインドが大事だと思っています。木に例えると、マインドは根の部分。根が強く大きく育つかどうかで、同じ環境の中でも何をどれだけ吸収できるかが変わってきます。

次に必要なのが継続で、これが幹の部分です。コツコツ真っ直ぐに継続した先に、枝葉であるスキルが彩りを加えます。

そして、成果や感動、人々の喜びといった花が咲くのです。

さらに、それまでの経験をまとめた果実を次世代に手渡し、その種から持続可能な好循環が生まれると嬉しいと考えています。

吉田さんのお仕事のことに話を戻しますが、その後はJETROへ転職されていますね。どのような理由でJETROを選ばれたのでしょうか?

吉田

総合商社ではさまざまなプロジェクトに関わらせてもらってやりがいもあったのですが、次第に、もっと多くの企業、ひいては日本社会全体のグローバル化に貢献したいという気持ちが湧いてきました。

そんな組織がないものかと考えていた時に、ちょうどJETROが中途採用を行っており、応募したのです。

JETROに入ってからは、日本企業の海外展開の支援、輸出のサポートなどを中心に様々な事業を担当し、2007年に上海事務所へ赴任。中国へのアウトバウンド関連の支援を担当していました。

2014年に帰国し、対日投資部の所属となりました。
そこでは、海外企業、特にアジア企業の誘致活動に従事したり、時には大臣や知事クラスの方々にご登壇頂くような海外での日本のプロモーションイベントなどを開催したりしました。欧米だけでなく、アジアからの投資を呼び込むのがミッションでした。

日本は人口減少時代に突入していますので、JETROとしても工場のような雇用を創出する大型投資に限らず、スタートアップやイノベーティブな企業を誘致しようという方向へとシフトし始めた頃でした。

2016年には内閣官房へ出向し、農林水産物の輸出などに関わる政府戦略を立案するチームに参加しました。翌2017年、JETROに戻り「JFOODO」という日本の食品を海外へプロモーションする新組織の立ち上げにも従事しました。

その後、対日投資部へ戻りまして、2019年4月にはイノベーション促進課という日本企業と海外スタートアップとのオープンイノベーション、連携・協業を支援する新設部署の課長となりました(現在は、JETRO福島所長に就任)。

John

まさに日本のグローバル化に貢献されてきたわけですね。

現在、吉田さんがいらっしゃるイノベーション促進課でも取り組まれている「オープンイノベーション」ですが、この言葉自体はアメリカで1997年に生まれ、経営学者のヘンリー・チェスブロー氏が提唱し、2002年には広く使われるようになったと言われています。

外部と内部で力を合わせて、社会課題を解決しようということですが、クロスボーダーでのオープンイノベーション支援に取り組んでいらっしゃる吉田さんから見て、昨今の「日本企業×海外スタートアップ」、あるいは「日本のスタートアップ×海外市場」というのは、どのような状況だと思われますか。

吉田

最近では、日本の大手企業の変化に世界が注目しているというのを強く感じますね。

そもそも私たちがこの取り組みを始めたのは、海外のスタートアップが日本に注目しているという傾向が見え始めたためなのです。

その背景には、ソフトバンクさんやNTTデータさん、富士通さんといった日本のグローバル企業が、海外のスタートアップへの投資や協業に注力し始めていることもありますし、シリコンバレーで日本企業の存在感が増していることなどが挙げられます。

特に、シリコンバレーでオープンイノベーションやベンチャー投資を行っている企業数というは、国別で見ると、実は日本がNo.1だそうです。

こうした状況を受け、「日本企業が変わってきているぞ」というトレンドを世界のスタートアップが感じ始めています。

一方で、日本発のスタートアップで言いますと、ユニコーン企業を目指してはいる企業も増えているものの、まだまだドメスティックな企業が多いように感じます。

海外から日本のスタートアップへの注目度は高まっており、今がチャンスだと思うのですが、コロナ禍で海外との距離をより一層感じ、海外展開も含めた将来像を描き、実現に向けたアクションを取ることに臆病になっているスタートアップの皆さんも多いのかもしれません。

まずは日本でビジネスを確立してから海外へ、という「国内ファースト」の視点だけでは、日本独自のビジネスモデルになってしまい、海外の市場や投資家から受け入れられなくなってしまうこともあると思います。

JETROには日本発スタートアップの海外進出を支援するチームもあるので、そうした課題の解決のため、はじめから海外を意識したロードマップをつくるところから支援できるようシードやアーリーステージのスタートアップ支援にも注力しているところです。

John

ユニコーンになる企業は起業初日からグローバル展開を考えていますよね。これは米国に限ったことでなく、イスラエルや北欧、その他の国々にも共通しています。日本は、小さいと言いながらも国内にもそれなりの市場があり、言語の壁も立ちはだかっているため、なかなかスムーズにボーングローバルなスタートアップが生まれ難いですね。

日本の大手企業が世界から注目され始めているというのは、非常にうれしいお話です!かなり前向きにオープンイノベーションに取り組もうとしている企業が多いですよね。

吉田

そうですね。
課題解決や新規事業の創出のためには、自分たちの力だけではなく、異業種とのコラボレーションが必要だということは、日本企業も感じはじめているようです。

日本では昔から産学連携などの取り組みが多く行われてきましたが、民間同士、国内外の垣根を越えて、様々な連携をやっていかなくてはいけないという気運が高まっていますね。

大手企業だけではなく、中堅・中小企業、おもしろいところでは日本のスタートアップと海外のスタートアップの協業・連携に成功している事例なども、実は多数出てきています。

こうした取り組みの積み重ねが、日本のスタートアップやエコシステム自体を強くすると、私は確信しています。

また、その一方で、そうしたクロスボーダーのオープンイノベーションが進んでいる企業と、そうでない企業の差がかなり開きつつあるというのも感じています。特に今はコロナ禍もあり、海外出張にも行きにくいですし、接点が減っていることもあるかもしれません。

全体を通して、JETROへのご相談は増えているものの、二極化が進んでいます。

John

本当に、日本企業のオープンイノベーションでもおもしろい事例がどんどん出てきていますよね。

例えば、村田製作所や富士通、富士フィルムなど、海外スタートアップとも積極的にオープンイノベーションを進めておられる日本企業には私も注目しています。

中堅・中小企業やスタートアップのオープンイノベーションについても、ぜひ詳しく伺ってみたいのですが、吉田さんが注目された事例等を教えていただけますか?

吉田

最近興味深かったのは、ロボティクスの開発をしている日本の大学発ベンチャーが、全く同じようなものを作っているインドのスタートアップと協業した事例ですね。

私たちとしては、「全く同じような技術だから、競合にあたるかもしれない」と思いながらお引き合わせしたのですが、うまく棲み分けができ、相互に足りない技術を補完し合える関係でした。

よい方向で進んでおり、私たちとしてもうれしい事例ですね。

他にも、JETRO のYou Tubeチャンネルではさまざまな日本企業と海外スタートアップの成功事例をご紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

John

非常に興味深い事例ばかりです!JETROの皆様の多大なるご尽力あっての成功ですね。心より尊敬いたします。

3 「何を目的としているのか、どのような領域のスタートアップと、どう協業したいのか。それらがつくれない、明確でない会社は、スタートアップとのマッチングは難しいです。」(吉田)

John

JETROでたくさんのオープンイノベーションに携わられた吉田さんから見て、オープンイノベーションの成功要因、逆に失敗してしまう要因は何だと思われますか?

吉田

双方のニーズや方向性がマッチしていること、プロジェクト化のスピード感、フラットなコミュニケーション。これらが重要です。

日本の大手企業はどちらかと言うと上から目線でスタートアップに接しがちですが、海外スタートアップのほうがパートナーを選ぶような力関係も多々あります。

まずは「海外スタートアップに、自分たちを選んでもらう」というマインドを持ち、スタートアップにとっての協業のメリットを伝え、NDAを締結した上で自社の情報や課題を開示をすることが必要です。

また、スピード感を持って、プロジェクトのゴールや期間を設定していくというのも重要なポイントです。

とは言え、まず前提として、スタートアップとの協業は「千三つ(せんみつ)」ということも忘れてはいけません。千やって、三つ成功するという意味で、よく使われる言葉です。

私たちの中でも、協業・連携の成功事例は数えるほどしか出ていませんが、マッチングしている商談数で言えば軽く千を超えています。

スタートアップというのはそもそもリスクを伴うものですし、リスクを取って起業している人たちの集団です。

彼らが100%成功する確信があるのなら、銀行が融資をするわけで、そうなればベンチャーキャピタルは世の中にいらないことになります。
リスクがあるがゆえにベンチャーキャピタルというものが存在するのです。

100%成功することはないと思って、トライしていくのも大切ではないでしょうか。

John

おっしゃる通りですね。スタートアップはリスクを取って、通常ではなし得ない世の中にインパクトを与えるようなサービスを提供しようと果敢に挑戦しています。彼らをサポートするベンチャーキャピタルも、彼らと協業しようとする企業も共にリスクを取る部分はありますよね。

それ故に、利益だけでなくビジョンの共有が大事になりますし、うまくいっているところは、吉田さんがおっしゃった通りニーズがマッチしていますね。
そして、人と人とのフラットなコミュニケーション、スピード感、自社の情報もきちんと開示すること、メリットを伝えること、ゴール設定をすることなど、いずれも大事なポイントだと思います。

全てのプロジェクトが成功しないとしても、これらは成功の必須要件ということですね。

吉田

そうですね。
まずはスピーディに、そしてはっきりと意見を伝え合うことからです。

よくあるのが、ふわっとした情報交換で終わってしまい、「ゴールは?」「次のアクションは?」となってしまうようなケース。

ニーズがマッチしていないならマッチしていないと早く伝えた方が双方のためになるし、関心があるのかどうかよくわからないままうやむやになってしまって、結論を出すまでに時間を要してしまう、ということが、日本企業ではよくあるように思います。

John

非常によくわかります。大企業側は情報交換できただけでもよしとしていて、スタートアップ 側は具体的な次のアクションまで決められずに落胆しているというのもよく聞くケースです。

そうした状況が起こらないよう、JETROでサポートされていることはあるのですか?

吉田

日本企業のお客様からスタートアップ紹介のご相談をお受けする際には、リバースピッチのデッキなど、海外スタートアップにできる情報をあらかじめ頂くようにしています。

日本側から開示できる情報を頂かない限りは、海外スタートアップとのマッチングまではあまり行いません。

何を目的としているのか、どのような領域のスタートアップと、どう協業したいのか。そうした資料がつくれない、明確でない会社様とは、海外スタートアップとのマッチングは難しいのが実情です。

最近では日本企業から海外スタートアップについて知りたいというお声も多くいただいているので、2020年12月より、日本企業の皆様に対して、海外のスタートアップエコシステムの情報をお届けするブリーフィングサービス(注1)も行っています。

JETROの海外駐在員が、現地のイノベーターなどから集まる最新の情報をお届けしています。場合によっては現地の研究機関やスタートアップ支援機関などとおつなぎすることもありますよ。

(注1)JETROのブリーフィングサービスについてはこちら

John

画期的なサービスですね!

私も、海外スタートアップの情報というのは数多くいただくのですが、逆に日本企業の側にどのようなニーズがあるのかが不明確で、最適なマッチングまでに時間がかかるという課題を感じていたところです。

吉田

私たちもまさにその課題があったので、こうしたサービスを始めたのです。

また、今私たちが取り組んでいるコンテスト「Japan Challenge for Society 5.0(注2)」も、日本の課題解決のためのプロジェクトの1つです。

日本企業約1000社にアンケートをお送りし、要望の多かった3つの社会課題をテーマとし、その解決策を世界中のスタートアップから募集しました(注3)。

テーマ(注4)は、Environmental Friendliness(環境配慮型社会への転換)、Labor Shortage & Improving Productivity(労働力減少への対応・生産性向上)、Smart & Resilient Japan(都市・地域のバランスのとれた成長)の3つ。

イベントは日本最大級のテックカンファレンス・CEATECと一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)、私たちJETROの三者共催で行われており、内閣府にグローバルエコシステム拠点都市として認定されている各エリアの自治体や関係機関にもご参画いただいています。

世界53か国・地域から、約300のスタートアップにソリューションを提案いただき、そのうち18か国・地域45社のスタートアップを採択。CEATECで日本企業との商談会を開催しました。

(注2)Japan Challenge for Society 5.0
Webサイト(英語)

https://www.jetro.go.jp/en/events/japanchallenge/
PRTIMES(日本語)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000060.000071241.html

(注3)募集は2021年7月31日時点で終了しています。

(注4)募集テーマの詳細はこちら
https://www.jetro.go.jp/news/announcement/2021/07ba4c03356855b8.html

John

本当に素晴らしいチャレンジですね!非常に楽しみです。

吉田

ありがとうございます。
トライアンドエラーではありますが、私たちにとっても大きなチャレンジです。

特に日本の労働人口減少への対応というところで、デジタルトランスフォーメーション・デジタルツイン領域、省人化ソリューション・身体機能の拡張としてのロボティクス技術などは多く集まっており、非常におもしろいと思いますよ。

John

SDGsも、大きなテーマにされていますよね。
海外スタートアップと日本のアセットを組み合わせることで、どのようなイノベーションが起こるかワクワクしますし、吉田さんのご活動、本当に尊敬しています!

まだまだお伺いしたいことがたくさんありますが、最後に吉田さんがどういった想いで、どんな哲学を持って今のようなご活動をされているのかを教えて頂きたいです。

吉田さんの「イノベーションの哲学」とは何でしょうか。

吉田

「よりよい未来のために」。それが私のイノベーションの哲学です。

これまでの日本は、国内でビジネスモデルを形づくり輸出し、世界と競争するという時代でした。

しかしグローバル化が進み、今では日本と世界はつながっています。
そして、環境問題、人口の問題、食糧問題などたくさんの課題がありますが、それらは日本だけでは解決できるものではありません。

私には子どもがいますので、自分が日本と海外の架け橋となってさまざまな社会課題を解決したり、新しい事業を創出するような取り組みを続けることで、子どもたちの世代によりよい地球環境を残し、よりよい社会を実現したいという想いがあります。

よりよい未来、よりよい社会のため、私はこれからのイノベーションの創出に取り組んでいきます。

John

私も「Innovations For A Healthier Life(世界中、日本中の人々のより健やかな人生の為にイノベーションを起こす)」を人生と仕事のビジョンにしています。イノベーションは常に明るい未来、吉田さんのおっしゃる通りよりよい未来のために起こすものですよね。

同じ思いを共有できて非常に嬉しいです。
吉田さん、本日は貴重なお話を愛りがとうございました!

吉田さんのイノベーションの哲学を示した画像です

以上

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【業種別データ】サービス用・娯楽用機械器具製造業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年のサービス用・娯楽用機械器具製造業の事業所数は589事業所(対前年比99.7%)、従業者数は2万5363人(対前年比99.9%)、製造品出荷額等は1兆3904億1000万円(対前年比104.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は43人(対前年比100.2%)、現金給与総額は1億9600万円(対前年比103.7%)、原材料使用額等は13億500万円(対前年比103.0%)、製造品出荷額等は23億6100万円(対前年比104.6%)、付加価値額は9億4500万円(対前年比109.0%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は456万円(対前年比103.5%)、製造品出荷額等は5482万円(対前年比104.4%)、付加価値額は2194万円(対前年比108.8%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.3%(対前年比98.5%)、同付加価値額比率は40.0%(対前年比104.2%)、同現金給与総額比率は8.3%(対前年比99.1%)となっています。

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2)サービス用機械器具製造業

2019年のサービス用機械器具製造業の事業所数は162事業所(対前年比107.3%)、従業者数は5647人(対前年比104.5%)、製造品出荷額等は1713億4100万円(対前年比102.9%)となっています。

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3)娯楽用機械製造業

2019年の娯楽用機械製造業の事業所数は271事業所(対前年比96.4%)、従業者数は1万287人(対前年比91.2%)、製造品出荷額等は8920億800万円(対前年比98.1%)となっています。

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4)自動販売機製造業

2019年の自動販売機製造業の事業所数は78事業所(対前年比92.9%)、従業者数は4642人(対前年比97.5%)、製造品出荷額等は1534億3300万円(対前年比113.4%)となっています。

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5)その他のサービス用・娯楽用機械器具製造業

2019年のその他のサービス用・娯楽用機械器具製造業の事業所数は78事業所(対前年比104.0%)、従業者数は4787人(対前年比121.3%)、製造品出荷額等は1736億2800万円(対前年比141.8%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2022年1月)

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画像:pixabay

【業種別データ】有機化学工業製品製造業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年の有機化学工業製品製造業の事業所数は773事業所(対前年比102.0%)、従業者数は9万9283人(対前年比101.6%)、製造品出荷額等は10兆1738億8100万円(対前年比93.2%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は128人(対前年比99.7%)、現金給与総額は8億4000万円(対前年比98.9%)、原材料使用額等は89億7100万円(対前年比88.7%)、製造品出荷額等は131億6200万円(対前年比91.3%)、付加価値額は35億9600万円(対前年比94.1%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は654万円(対前年比99.2%)、製造品出荷額等は1億247万円(対前年比91.7%)、付加価値額は2800万円(対前年比94.4%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は68.2%(対前年比97.1%)、同付加価値額比率は27.3%(対前年比103.0%)、同現金給与総額比率は6.4%(対前年比108.3%)となっています。

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2)石油化学系基礎製品製造業(一貫して生産される誘導品を含む)

2019年の石油化学系基礎製品製造業(一貫して生産される誘導品を含む)の事業所数は10事業所(対前年比111.1%)、従業者数は5513人(対前年比116.9%)、製造品出荷額等は1兆9800億9100万円(対前年比100.3%)となっています。

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3)脂肪族系中間物製造業(脂肪族系溶剤を含む)

2019年の脂肪族系中間物製造業(脂肪族系溶剤を含む)の事業所数は61事業所(対前年比95.3%)、従業者数は1万1508人(対前年比91.6%)、製造品出荷額等は1兆3996億600万円(対前年比76.9%)となっています。

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4)発酵工業

2019年の発酵工業の事業所数は16事業所(対前年比106.7%)、従業者数は658人(対前年比107.5%)、製造品出荷額等は650億9000万円(対前年比110.0%)となっています。

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5)環式中間物・合成染料・有機顔料製造業

2019年の環式中間物・合成染料・有機顔料製造業の事業所数は137事業所(対前年比103.8%)、従業者数は1万3802人(対前年比89.8%)、製造品出荷額等は1兆3298億5600万円(対前年比82.1%)となっています。

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6)プラスチック製造業

2019年のプラスチック製造業の事業所数は252事業所(対前年比103.3%)、従業者数は3万5020人(対前年比105.4%)、製造品出荷額等は3兆3603億4300万円(対前年比96.3%)となっています。

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7)合成ゴム製造業

2019年の合成ゴム製造業の事業所数は17事業所(対前年比100.0%)、従業者数は6791人(対前年比104.5%)、製造品出荷額等は5107億1700万円(対前年比95.2%)となっています。

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8)その他の有機化学工業製品製造業

2019年のその他の有機化学工業製品製造業の事業所数は280事業所(対前年比101.1%)、従業者数は2万5991人(対前年比105.2%)、製造品出荷額等は1兆5281億7800万円(対前年比107.3%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2021年12月)

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画像:Cavan-Adobe Stock

【業種別データ】金属素形材製品製造業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年の金属素形材製品製造業の事業所数は3097事業所(対前年比98.3%)、従業者数は9万828人(対前年比97.4%)、製造品出荷額等は2兆2068億1400万円(対前年比95.0%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は29人(対前年比99.0%)、現金給与総額は1億2400万円(対前年比101.3%)、原材料使用額等は4億1600万円(対前年比96.7%)、製造品出荷額等は7億1300万円(対前年比96.6%)、付加価値額は2億5300万円(対前年比95.1%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は424万円(対前年比102.4%)、製造品出荷額等は2430万円(対前年比97.6%)、付加価値額は861万円(対前年比96.1%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は58.4%(対前年比100.1%)、同付加価値額比率は35.5%(対前年比98.4%)、同現金給与総額比率は17.5%(対前年比104.9%)となっています。

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2)アルミニウム・同合金プレス製品製造業

2019年のアルミニウム・同合金プレス製品製造業の事業所数は429事業所(対前年比99.3%)、従業者数は1万4407人(対前年比103.5%)、製造品出荷額等は4876億9900万円(対前年比90.9%)となっています。

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3)金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)

2019年の金属プレス製品製造業(アルミニウム・同合金を除く)の事業所数は2564事業所(対前年比98.2%)、従業者数は6万3892人(対前年比96.4%)、製造品出荷額等は1兆3834億3400万円(対前年比97.4%)となっています。

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4)粉末や金製品製造業

2019年の粉末や金製品製造業の事業所数は104事業所(対前年比99.0%)、従業者数は1万2529人(対前年比95.9%)、製造品出荷額等は3356億8100万円(対前年比91.9%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2022年1月)

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画像:pixabay

【業種別データ】木製容器製造業(竹、とうを含む)の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年の木製容器製造業(竹、とうを含む)の事業所数は404事業所(対前年比94.0%)、従業者数は5991人(対前年比98.3%)、製造品出荷額等は911億5100万円(対前年比100.0%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は15人(対前年比104.7%)、現金給与総額は4900万円(対前年比106.5%)、原材料使用額等は1億2600万円(対前年比106.7%)、製造品出荷額等は2億2600万円(対前年比106.4%)、付加価値額は9200万円(対前年比106.1%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は328万円(対前年比101.7%)、製造品出荷額等は1521万円(対前年比101.7%)、付加価値額は618万円(対前年比101.4%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は55.6%(対前年比100.2%)、同付加価値額比率は40.7%(対前年比99.7%)、同現金給与総額比率は21.6%(対前年比100.0%)となっています。

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2)竹・とう・きりゅう等容器製造業

2019年の竹・とう・きりゅう等容器製造業の事業所数は11事業所(対前年比78.6%)、従業者数は84人(対前年比78.5%)、製造品出荷額等は5億700万円(対前年比70.0%)となっています。

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3)木箱製造業

2019年の木箱製造業の事業所数は371事業所(対前年比94.4%)、従業者数は5606人(対前年比98.7%)、製造品出荷額等は874億6300万円(対前年比100.3%)となっています。

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4)たる・おけ製造業

2019年のたる・おけ製造業の事業所数は22事業所(対前年比95.7%)、従業者数は301人(対前年比97.7%)、製造品出荷額等は31億38100万円(対前年比97.4%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2021年12月)

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画像:pixabay

【スタートアップの新たな担い手たち】社会を変える起業「ソーシャルスタートアップ」の最新トレンドを専門家に聞く

近年、起業の裾野が広がってきています。起業を目指す人材が多様化しつつあることに加え、起業のテーマもIT・ネット系に限らず拡大し、万人が社会に向き合う手段として、起業を視野に入れる時代になりつつあります。そこで、本連載は「スタートアップの新たな担い手たち」と題して、スタートアップを立ち上げる人々と、挑戦するテーマの多様化について、スタートアップの経営支援を専門とするBlueCircleと、専門家・有識者との対談を通じて明らかにしてきます。

第1回のテーマは「ソーシャルスタートアップ」。社会的意義の高い事業テーマを掲げ、経済的価値と社会への効果(インパクト)を両立することを目指す起業のことを指します。日本最大の公益財団法人として様々な社会団体・NPOなどを支援する日本財団から助成を受けて活動している一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)で、インパクト投資を専門的に行うベンチャーキャピタル「はたらくFUND」の運営に携わる加藤氏と、ソーシャルスタートアップの現状について話し合います。

    加藤 有也氏の画像です

    第1回のゲスト:
    一般財団法人 社会変革推進財団(以下、SIIF)
    事業本部 インパクト・オフィサー
    加藤 有也氏

    社会変革推進財団(SIIF)について
    日本最大規模の社会貢献団体である日本財団の支援を受け、日本におけるインパクト投資のモデル開発と普及の中心的役割を担っている組織。社会課題解決と多様な価値創造が自律的・持続的に起こる社会を目指し、自助・公助・共助の枠組みを超えた社会的・経済的資源循環のエコシステムの実現に挑む。インパクト投資のモデル開発や実践、普及のための環境整備、調査研究・政策提言に取り組む。

    加藤 有也氏について
    総合出版社にて海外版権事業や国内外関連会社の設立・経営企画に従事した後、2014年からコーポレート・ベンチャーキャピタルの設立・運営およびスタートアップ企業との資本業務提携に携わる。2019年、経営大学院での学びと出会いをきっかけに当財団に参画。現在は、SIIFのはたらくFUND(日本インパクト投資2号ファンド)運営と創業期の社会起業家支援事業の立ち上げを担当。経営学修士。

    聞き手:
    合同会社ブルーサークル
    共同代表パートナー 山田 一慶

1 起業家の裾野は着実に広がり始めている

山田

本連載は、スタートアップの裾野が広がってきている状況を描き出すことをテーマにしております。以前はスタートアップ(ベンチャー)と言えば渋谷のIT企業で、投資家・ベンチャーキャピタルも都心に集中しているものでしたが、近年は、医療、建設、保育、教育、農業など、多様なテーマの企業が増えるとともに、東京以外でも起業家が多く登場するようになってきています。

実感として、社会的な課題を解決することを目指すスタートアップに投資するベンチャーキャピタル「はたらくFUND」に携わって加藤さんが活動をされる中で、スタートアップ、特にソーシャル系の起業家の裾野は広がっているような体感はありますでしょうか。

加藤

SIIFの活動を始めて、起業家の種類はかなり多様になってきたと実感しています。その中でも特に、インパクトを志向するソーシャルスタートアップ(※)は実は可視化されていないだけで、かなり増えてきているように感じています。

※ソーシャルスタートアップとは:教育、医療、福祉、貧困、地方創生など、一般的に企業活動では解決しにくいとされてきた問題の解決を、ビジネスを通じて狙う起業のこと。社会起業とも言う。

加藤

ただ、ソーシャルスタートアップと自分で名乗ってる会社は少ないような印象があります。そのため、あまり可視化されていません。ビジネスという観点では普通のスタートアップと見た目は変わらないところも多いのです。そのため、私たちが投資先を探す際は、先入観なしに一度広く網を掛けます。例えば、INITIAL(スタートアップのデータベース)を使って企業情報をダウンロードして、そこから手作りでリストアップもしています。

先ほどソーシャルスタートアップが増えてきた、と述べたのは、当方からいきなり連絡を送っても、起業家側からかなりの確率で「ぜひ一度話を聞かせてほしい」という前向きなお返事がもらえるようになってきたからです。また、はたらくFUNDの投資先の経営者やお付き合いのあるベンチャーキャピタルの方々から、このスタートアップとはもしかすると相性が良いのでは?とご紹介をいただくことが増えてきたことからも、変化を実感しています。

私たち「はたらくFUND」は「財務リターンとインパクトを同時に生み出す」投資を目指していますが、昔なら「インパクトとは何ですか?」と言われたかもしれません。ですが、今は「ソーシャルスタートアップ」「インパクト」という言葉が広まった上に、起業家にも当然のように社会課題の解決を目指している方が増えてきています。ですから、はたらくFUNDのようなインパクトVCから連絡が来た時に、社会課題解決を表立っては謳っていない会社からも、話を聞きたいと言ってもらえるような状況が出てきたのではないかと感じています。

山田

ソーシャルスタートアップと名乗っていないが、該当する会社は増えている、というのは興味深いですね。もしかすると、起業家側にとっては、ソーシャルと言い過ぎると投資家の方から経済価値が高くない会社だと思われるのでは、という懸念もあるのかもしれませんね。

加藤

もしかしたらそうかもしれません。「インパクト投資=儲からない」という誤認識がある。社会投資家も同様に「ソーシャル=儲からない」という先入観がついているのは、ぜひ変えていきたいです。

山田

ある上場企業役員の友人も言っていましたが、最近は機関投資家と呼ばれる巨大な資金を運営する会社たちは、環境・社会・ガバナンス(ESG)といったような視点で評価が低い会社には投資しなくなってきている、と。実際に、ESG視点での格付けが悪い上場企業の株を1年以上保有しない、といった投資運用方針を持っているところもあるそうなので、スタートアップ投資においても近々変わっていくのではないでしょうか。

加藤

そうなっていくと思います。もう一つ言えば、起業家の成長志向性も多様化しているように思います。面白いと思ったのが、NPOを運営している方が、社会を変えたいからこそ株式会社での事業化と上場を目指した方がいいと考えるようになって、NPOを離れ起業した、という例があることです。NPOは重要な収入源である助成金や補助金などが単年度であることが多い、株式会社のようなエクイティファイナンスによる増資ができないといった制約から、長期的な計画や先行投資、事業規模の拡大が難しい部分がある。だから、全国へとサービスをできる限り早く届けたいと思ったら、株式会社しかありえない、と考えたそうです。

この例のように、ソーシャル=地道な活動、とか、社会的意義は高いが経済価値が低い、といった認識は少し古くなってきていると思います。起業家側の変化と時を同じくして、私たちのような投資家も現れてきたことで、社会を変えたいと思った人が、やりたいことに合わせてNPOにするのか、株式会社にするのか、手段を自由に選べるようになってきたとすると、とても嬉しいです。

2 起業家のダイバーシティの現状は?

山田

ソーシャルスタートアップの担い手である、起業家本人のダイバーシティ(多様性)についてはいかがでしょうか。人のダイバーシティは高まってきていると感じますか?

加藤

スタートアップ全体の話でもありますが、起業家の年齢層やジェンダーの多様性は確かに広がりつつあると思います。また、起業家のバックグラウンドも多様化していると言えるでしょう。先ほどお伝えしたようにNPO出身者もそうですし、大企業に勤めていた人も起業するようになってきています。加えて、起業する目的も多様になってきていると思います。ビジネスとして成立するから、という理由だけでなく、事業で社会の変化を促したいという思いを最初から持って取り組む起業家が増えているのも感じます。

さらに、ソーシャルスタートアップに課題当事者が参入することで、その多様性はさらに広がっていくと思います。例えばフェムテックの領域です。女性の起業家が当事者の困難を深く理解しているからこそ、それまで気づかれなかった大きな市場機会を見出すことができることはあると思います。
はたらくFUNDとは別に、私たちSIIFの直接投資先に、ヘラルボニーという知的障がいのあるアーティストのためのエージェンシーがあります。その方の起業の原体験には、創業者のお兄さんが知的障がいを持っていたことがあったそうです。社会的課題が多様であるならば、事業機会も多様でありえると思います。課題を感じた人がそのままソーシャルスタートアップとして企業ができるような環境が整っていけば、もっとスタートアップは多様化していくはずです。

山田

ちなみに、投資先を選ぶ際にはダイバーシティは気にされていますか?

加藤

私たちはそこはあえて気にしていません。インパクトを出せるかどうかを純粋に評価したいと思っています。インパクトを重視していくと、自然と多様性も必要になってくると考えているためです。ただ、経営者の多様性を定量的な目標として意識するというアプローチも海外では見受けられます。それもひとつのアプローチであり、価値があることだと思います。

3 ソーシャルスタートアップを成功させるには?

山田

私たちBlueCircleでも、ソーシャルスタートアップを複数支援させていただいていますが、ソーシャル領域での起業は、他の起業に比べて経営課題も独特な部分があると感じています。ソーシャルスタートアップをいくつも支援されてきた加藤さんの視点から、社会課題解決を目指すスタートアップが陥りやすい壁があるとしたらどのようなものでしょうか。

加藤

大きく3つあると感じています。
1つ目は、目指す社会的価値と事業戦略を接続できないという事です。手元で行っている事業が、本当にインパクトをもたらすものになるかどうか自信が持てない状態のため、投資家に対して社会的意義を説明しきれなかったり、社内のメンバーや採用候補者にうまく伝わらない、という状態です。
2つ目は社会的価値を追いたい気持ちが強すぎて、ビジネスとしての成長や収益化が二の次になってしまっているケース。
3つ目は、創業者の社会課題解決に懸けるビジョンやリーダーシップが強いことの反作用として、経営チームやミドルマネジメントが育ちにくく、全てが社長からのトップダウンになってしまい、それが組織の成長を妨げるケースですね。

山田

リアリティのある分析ですね、正直なところ私たちも同様の問題を見たことがたびたびあります。

加藤

一方で、こうした問題を解消することができれば、社会課題解決を明確に志向しているからこそ、一般的なスタートアップに比べて求心力が強い会社として運営できるようになる可能性があります。結果として、営業や採用など有利な場面が増えるので、経営上の強みにもなりえます。

山田

起業したて、シード期の経営者がこうした課題に気づいたときに、どうすればいいでしょうか。

加藤

そんな時は、ぜひSIIFにご相談ください(笑)。他には先輩起業家に相談するなど、とにかく一人にならないことが大事ではないでしょうか。上手に解決している経営者は相談上手で、周りを頼って選択肢を増やしているように思えます。ネットワークを増やして、人に頼れる環境を作っています。

山田

自分で支援のリソースを育てていくイメージでしょうか。

加藤

そうですね、私たちはその繋がりの一部でしかありません。起業家の方は、支援のリソースを自分で育てていくことが成功において大事なように思います。

山田

それでいうと最近、よくご相談をいただくテーマなのですが、行政やNPOなどの機関、民間企業と連携することは成長に有効だと思いますか?

加藤

私も割とこの部分はよく聞かれますね。実は気をつけなければいけないテーマです。大企業や行政は、スタートアップとは組織文化も時間感覚も違います。リソースが限られるスタートアップには、この点は重要な問題です。大きな組織のスピード感に合わせざるを得ないことにはリスクもあると感じます。

大企業とお付き合いする際は、相手が協業を求める本当の目的を確認することが大事です。先方にとっては実はCSR活動の一環であって、その企業の主要事業とは予算もメンバーも接続されていないという場合があります。こうした場合は協業事業の規模化や継続は期待しにくいかもしれません。あまり考えたくないことですが、さらに良くないケースとして、スタートアップのリソースを一方的に利用しようとしていることもあります。有名企業からの打診はとても嬉しいことですが、実際にどのような実利が取れるか、そのために十分なリソースは用意されるか、リスクを回避できるかも見極めて検討できると良いと思います。

また、行政の場合は政策の立案や予算承認に1年単位のリズムがあります。また、行政は人事異動も多く、熱心な担当者がいなくなると改めて人間関係作りからやり直しになることもあります。このように、行政ならではの行動原理を理解しながらアプローチしていけると良いと思います。

結果、適切なタイミングでなければ断る勇気も持ち、双方のリソースの出し方を深く議論できるような、対等なパートナーとして話せるタイミングを見定めることも一つの手です。

山田

なるほどです。加藤さん、今日はありがとうございました。社会起業家をめぐる状況や変化について様々な観点からお伺いすることができました。社会に解決すべき課題は無数にあり、起業という方法でアプローチする必要性はより一層増しています。SIIFや当社のようなエコシステムをより一層確立し、今後ソーシャル領域での起業を選択肢として選ぶ方が増えてくれたら嬉しいですね。

※本稿ではソーシャルスタートアップの起業家側について対談を行いましたが、兄弟記事として、ソーシャルスタートアップの投資側の現状を専門的な観点から議論しています。BlueCircle社Webサイトに掲載しておりますので、こちらから併せてご覧ください。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2021年11月26日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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Web面接にも適した「構造化面接」。準備や実施のコツを解説

書いてあること

  • 主な読者:採用面接のミスマッチを防止したい経営者
  • 課題:応募者見極めの判断基準が曖昧、面接官が主観で質問と評価を行っている
  • 解決策:構造化面接に取り組む。特に重要なのは「質問の構造化」。応募者のどんな価値観を見極めたいのかを明確にし、応募者の話を掘り下げる

1 「構造化面接」でミスマッチを防止する

採用活動においてどんな課題を抱えているか。この質問を企業人事の方に投げかけてみると、「面接の評価において採用チーム内で意見が割れることがある」「採用計画を達成するために、採用基準がブレることがある」「入社して半年以内の早期退職者が多い」といった回答が少なくありません。これらの問題が生じる背景には、次のような共通課題があります。

  • 応募者見極めの判断基準が曖昧である
  • 面接官が主観で質問と評価を行っている

この課題を解決する切り札が、「構造化面接」です。構造化面接とは、次のように定義されています。

自社の採用要件を明確にした上で、あらかじめ質問項目と評価基準を決めておき、マニュアル通りに面接を実施していく面接手法

あまりにガチガチに面接をマニュアル化すると、面接自体が盛り上がらないのでは……とお考えかもしれません。しかし、過去の面接を振り返ってみてください。盛り上がったからといって、自社にマッチした人材が採用できたというわけではないと思います。逆にマニュアル化することで、面接の盛り上がりなどに左右されず、応募者の話に集中することができるので、妥当な評価につながります。

また、コロナ禍でWeb面接に取り組んでいる企業も多いと思います。Web面接では、表情やしぐさなどが乏しかったり、タイムラグがあったりと、スムーズな会話が難しいもの。しかし、構造化面接にすることで、会話がしやすくなったり、相手に話を聞いてもらえたという納得感が高まったりするとの指摘もあり、構造化面接とWeb面接の相性は良いといえます。

この記事では、構造化面接のメリットなどとともに、その手法について解説します。

2 構造化面接の4つのステップ

構造化面接は次の4つのステップで進めていきます。

  • 求める人物像の特定
  • 質問の固定化
  • 詳細な質問内容の特定
  • 評価基準の特定

1.求める人物像の特定

どのような人材を採用したいのか、まずは、求める人物像をしっかり特定するのが構造化面接の一丁目一番地です。自社のカルチャーにフィットした人材、あるいは現状を打開してくれそうな異能人材など、経営戦略に紐づけながら特定していってください。多くの企業が実践しているのは、優秀な社員(ハイパフォーマー)や幹部層にヒアリングを行い、それを整理して求める人物像を定めるといったものです。

2.質問の固定化と3.詳細な質問内容の特定

面接で対峙した応募者が求める人物像と合致しているかを見極める、まさに構造化面接の中核をなすステップです。ここは最も重要なポイントなので、次章で詳しく解説します。

4.評価基準の特定

評価の中点(5段階評価だとしたら3点)のレベル感を定めることから始めましょう。「非常に良い」「良い」「普通」「悪い」などのように評価基準を区分し、その判断基準も明文化しておきます。

例えば、失敗した話や苦労した話であれば、次のような評価基準を設定しておきます。

  • 非常に良い:主体的に行動して解決している
  • 良い:プロジェクトリーダーに従うなど主体的な解決策ではないものの、解決に貢献したと考えられる
  • 普通:苦労した経験がなく、主体的な動きが見られない
  • 悪い:現実味のないエピソードや再現性のない解決策である

自社の採用基準では、どの程度のスキルが求められるのかを明確にしておけば、必然的に評価基準もはっきりします。

3 想定質問と誘導質問のわな

肝心の「質問の構造化」について解説する前に、陥りがちな質問手法について触れておきます。それが「想定質問」と「誘導質問」です。

想定質問とは、応募者が事前に準備できる質問のこと。「自社の志望理由を聞かせてください」「入社したらどんなことをしたいですか」といった質問だと、応募者が「きっと聞かれるだろう」と想定し、適切な答えを用意して面接に臨んでいるケースが大半です。自分を少しでもよく見せようと入念に準備をしてくる応募者がほとんどなわけですから、面接で見せる姿や言動は取り繕ったものになりがち。こうした想定質問だと応募者の真の能力は見えづらくなります。

誘導質問は、企業側が期待している答えが相手に伝わってしまう質問のこと。「地方への転勤は可能ですか」といった質問は、「転勤してほしい」という企業の希望が暗に伝わってしまうため、とにかく入社したいと考えている応募者は、本心では転勤したくなくても、「はい、可能です」と答えてしまうでしょう。その結果、内定を出した後に「やはり転勤できない」と内定を辞退されることもあります。

細かなルールを設けず、面接官がノリ重視で自由に面接を行うと、どうしても「想定質問」や「誘導質問」に終始してしまいがちです。聞きたいことは聞けたはずなのに、終わった後に振り返ってみると、聞いた内容が浅い。結果として応募者の見極めに迷ってしまうことになります。こうした事態を避けるためにも、質問の構造化が重要なのです。

4 質問の構造化

質問の構造化は、次の2段階で進めます。

  • 「質問の固定化」=まず起点となる質問を決める
  • その上で「詳細な質問内容を特定」=起点となる質問からずれないよう、掘り下げるための質問を用意する

質問の構造化の際に有効なフレームが「STAR面接」という手法です。

  • S(Situation):そのときの状況について問いかける
  • T(Task):そのときの課題について問いかける
  • A(Action):どのような行動を取ったのかを尋ねる
  • R(Result):どのような成果を得られたのかを尋ねる

これらの英語の頭文字を取って「STAR面接」と呼ばれています。過去の行動は応募者の資質や性格から生まれてきた事実です。行動を分析できれば、その背後に隠れている真の能力や志向性、誠実さなどが測りやすくなります。分析の確度を高めるためにも、このSTAR面接というフレームを活用するのは効果的です。

5 STAR面接の活用方法と面接シーンの実践例

1)STAR面接の活用方法

STAR面接で留意すべきなのが明確な質問の意図です。でなければ、自社の採用要件に合う人物かどうかを見極めることはできません。質問項目を具体的に考える前に、応募者のどんな価値観を見極めたいのかを明確にしておく必要があります。

つまり、

「求める人材像を明確に描き」「採用において重視する評価基準を設定する」ことも併せて設計をすることで、初めて構造化といえる

のです。この2点から“逆算”してどのような質問を用意しておくべきか、が重要な作業になります。

例えば「計画力」があるかどうかを見極めたい場合には、「プロジェクト計画段階の設計が功を奏して、成果を収めた経験についてお聞かせください」など、応募者が持つ計画力についての話題を促します。その上で、失敗した話や苦労した話があれば、次のように掘り下げていきましょう。

  • 具体的にどんな問題があると考えたのか
  • いつ問題であると気がついたのか
  • どのような解決策で対応したのか
  • プロジェクト内での役割は何か など

2)面接シーンでの実践例

ここからは、面接シーンでの実践例を紹介します。「アルバイト先のシフトトラブルを乗り越えて成果を出せた過去の経験」を例に、見極めたいポイントに沿った掘り下げ方を見てみましょう。

1.Actionについての質問で、関係の構築力について見極めようとする掘り下げ方

  • 面:「シフトのトラブルを解決するために、まず何をしましたか?」
  • 応:「緊急に対応するためスタッフの増援に奔走しました」
  • 面:「誰かに助けを求めましたか?」
  • 応:「同じ管轄エリアの他店のチームリーダーに応援してもらえるよう頼みました」
  • 面:「今まであまり業務で関わったことがない人もいましたか?」
  • 応:「はい。火急の事態であることを伝えて、また店長からも事情を話してもらい、とにかく必要人員を早急に手配しました。今まで関わったことがないメンバーには、まず自分から個別に背景を説明してスタッフを貸し出す納得感に配慮しました」

2.Resultについての質問で、トラブルを成長の糧にできそうか見極めようとする掘り下げ方

  • 面:「あなたが実行した今回のシフトトラブル対応は、うまくいきましたか?」
  • 応:「はい、お客様からクレームがくることもなく、お店を回すことができました」
  • 面:「いま振り返ってみて、別のもっと良い方法はありますか?」
  • 応:「お客様からのクレームはなかったのですが、当然、他のお店には迷惑をかけてしまいました。こうした事態に備えるためには、自分の店舗で緊急対応できるスタッフを確保しておけばよかったと反省しています」
  • 面:「このトラブルから学んだことはありますか?」
  • 応:「こういうトラブル時は、どうしても店長に頼りきりになってしまいます。自分だけでなく他のバイトリーダーであってもスムーズに対応できるよう、対応マニュアルを整備しておく必要があると感じました」

構造化面接は、優秀な人材を獲得することにものすごく貪欲な、あのGoogleも構造化面接を活用していると聞けば、改めてその説得力も増すはずです。応募者を見極める精度を高め、採用面接のミスマッチを防止する。こうした採用課題を解決するために、ぜひ取り組んでみてください。

以上(2021年11月)
(執筆 平賀充記)

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画像:Andrey Popov-Adobe Stock

【業種別データ】建設用・建築用金属製品製造業(製缶板金業を含む)の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年の建設用・建築用金属製品製造業(製缶板金業を含む)の事業所数は1万1092事業所(対前年比99.8%)、従業者数は22万9226人(対前年比101.1%)、製造品出荷額等は6兆9208億5700万円(対前年比103.1%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は21人(対前年比101.3%)、現金給与総額は9000万円(対前年比102.3%)、原材料使用額等は3億5600万円(対前年比101.8%)、製造品出荷額等は6億2400万円(対前年比103.3%)、付加価値額は2億3800万円(対前年比102.0%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は437万円(対前年比100.9%)、製造品出荷額等は3019万円(対前年比102.0%)、付加価値額は1153万円(対前年比100.7%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は57.0%(対前年比98.5%)、同付加価値額比率は38.2%(対前年比98.7%)、同現金給与総額比率は14.5%(対前年比99.0%)となっています。

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2)鉄骨製造業

2019年の鉄骨製造業の事業所数は1985事業所(対前年比99.3%)、従業者数は3万6370人(対前年比102.8%)、製造品出荷額等は1兆5094億6300万円(対前年比110.1%)となっています。

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3)建設用金属製品製造業(鉄骨を除く)

2019年の建設用金属製品製造業(鉄骨を除く)の事業所数は2228事業所(対前年比101.1%)、従業者数は4万6548人(対前年比103.1%)、製造品出荷額等は1兆5539億7800万円(対前年比103.7%)となっています。

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4)金属製サッシ・ドア製造業

2019年の金属製サッシ・ドア製造業の事業所数は1105事業所(対前年比98.9%)、従業者数は3万8015人(対前年比98.3%)、製造品出荷額等は8924億9700万円(対前年比102.0%)となっています。

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5)鉄骨系プレハブ住宅製造業

2019年の鉄骨系プレハブ住宅製造業の事業所数は178事業所(対前年比98.3%)、従業者数は7184人(対前年比93.7%)、製造品出荷額等は6032億7800万円(対前年比89.7%)となっています。

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6)建築用金属製品製造業(サッシ、ドア、建築用金物を除く)

2019年の建築用金属製品製造業(サッシ、ドア、建築用金物を除く)の事業所数は1444事業所(対前年比100.3%)、従業者数は3万4214人(対前年比102.9%)、製造品出荷額等は1兆785億9500万円(対前年比105.1%)となっています。

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7)製缶板金業

2019年の製缶板金業の事業所数は4152事業所(対前年比99.4%)、従業者数は6万6895人(対前年比100.3%)、製造品出荷額等は1兆2830億4600万円(対前年比101.0%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2022年1月)

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【業種別データ】めん類、その他の食料品製造業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年のその他の食料品製造業の事業所数は7929事業所(対前年比96.4%)、従業者数は45万2498人(対前年比99.2%)、製造品出荷額等は8兆3022億3500万円(対前年比101.3%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は57人(対前年比102.9%)、現金給与総額は1億5600万円(対前年比105.0%)、原材料使用額等は5億8600万円(対前年比103.4%)、製造品出荷額等は10億4700万円(対前年比105.1%)、付加価値額は4億500万円(対前年比107.6%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は273万円(対前年比102.0%)、製造品出荷額等は1835万円(対前年比102.2%)、付加価値額は709万円(対前年比104.6%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は56.0%(対前年比98.4%)、同付加価値額比率は38.7%(対前年比102.4%)、同現金給与総額比率は14.9%(対前年比99.9%)となっています。

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2)でんぷん製造業

2019年のでんぷん製造業の事業所数は38事業所(対前年比90.5%)、従業者数は1078人(対前年比95.0%)、製造品出荷額等は687億5300万円(対前年比103.4%)となっています。

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3)めん類製造業

2019年のめん類製造業の事業所数は1760事業所(対前年比96.2%)、従業者数は5万1182人(対前年比99.0%)、製造品出荷額等は1兆857億2500万円(対前年比106.4%)となっています。

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4)豆腐・油揚製造業

2019年の豆腐・油揚製造業の事業所数は856事業所(対前年比92.7%)、従業者数は2万1734人(対前年比95.4%)、製造品出荷額等は3085億100万円(対前年比96.4%)となっています。

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5)あん類製造業

2019年のあん類製造業の事業所数は200事業所(対前年比94.8%)、従業者数は3608人(対前年比101.9%)、製造品出荷額等は764億4000万円(対前年比106.1%)となっています。

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6)冷凍調理食品製造業

2019年の冷凍調理食品製造業の事業所数は710事業所(対前年比101.1%)、従業者数は5万3309人(対前年比102.4%)、製造品出荷額等は1兆2847億8600万円(対前年比104.6%)となっています。

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7)そう(惣)菜製造業

2019年のそう(惣)菜製造業の事業所数は798事業所(対前年比98.3%)、従業者数は7万1958人(対前年比104.0%)、製造品出荷額等は1兆1433億3600万円(対前年比106.5%)となっています。

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8)すし・弁当・調理パン製造業

2019年のすし・弁当・調理パン製造業の事業所数は929事業所(対前年比96.0%)、従業者数は13万5029人(対前年比95.9%)、製造品出荷額等は1兆7075億3200万円(対前年比98.2%)となっています。

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9)レトルト食品製造業

2019年のレトルト食品製造業の事業所数は128事業所(対前年比92.1%)、従業者数は9834人(対前年比97.7%)、製造品出荷額等は1933億7600万円(対前年比82.6%)となっています。

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10)他に分類されない食料品製造業

2019年の他に分類されない食料品製造業の事業所数は2510事業所(対前年比96.7%)、従業者数は10万4766人(対前年比99.9%)、製造品出荷額等は2兆4337億8800万円(対前年比99.8%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

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3 経営指標

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以上(2021年12月)

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【業種別データ】印刷・同関連業の動向

書いてあること

  • 主な読者:各業種の産業規模、経営指標などを知りたい経営者
  • 課題:さまざまなデータを集める必要があり、時間や手間がかかる
  • 解決策:事業所数や製造品出荷額等から近年の動向を把握する。経営指標で各業種の平均値を知る

1 業界動向

1)業界全体

2019年の印刷・同関連業の事業所数9661事業所(対前年比97.7%)、従業者数は25万1733人(対前年比99.2%)、製造品出荷額等は4兆8453億2700万円(対前年比100.4%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は26人(対前年比101.6%)、現金給与総額は1億600万円(対前年比101.6%)、原材料使用額等は2億5100万円(対前年比102.4%)、製造品出荷額等は5億200万円(対前年比102.7%)、付加価値額は2億2000万円(対前年比102.8%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は408万円(対前年比100.0%)、製造品出荷額等は1925万円(対前年比101.1%)、付加価値額は846万円(対前年比101.3%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は50.0%(対前年比99.7%)、同付加価値額比率は43.9%(対前年比100.1%)、同現金給与総額比率は21.2%(対前年比98.9%)となっています。

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2)オフセット印刷業(紙に対するもの)

2019年のオフセット印刷業(紙に対するもの)の事業所数は5879事業所(対前年比97.3%)、従業者数は15万6366人(対前年比98.7%)、製造品出荷額等は3兆1684億6500万円(対前年比100.8%)となっています。

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3)オフセット印刷以外の印刷業(紙に対するもの)

2019年のオフセット印刷以外の印刷業(紙に対するもの)の事業所数は581事業所(対前年比99.7%)、従業者数は1万7557人(対前年比96.6%)、製造品出荷額等は4142億円5900万円(対前年比96.2%)となっています。

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4)紙以外の印刷業

2019年の紙以外の印刷業の事業所数は1340事業所(対前年比99.3%)、従業者数は3万7768人(対前年比100.3%)、製造品出荷額等は7610億1200万円(対前年比101.9%)となっています。

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5)製版業

2019年の製版業の事業所数は508事業所(対前年比95.5%)、従業者数は1万6895人(対前年比101.0%)、製造品出荷額等は2838億4300万円(対前年比99.0%)となっています。

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6)製本業

2019年の製本業の事業所数は658事業所(対前年比95.5%)、従業者数は1万1317人(対前年比97.7%)、製造品出荷額等は1015億6700万円(対前年比94.6%)となっています。

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7)印刷物加工業

2019年の印刷物加工業の事業所数は622事業所(対前年比99.7%)、従業者数は8456人(対前年比99.2%)、製造品出荷額等は839億5400万円(対前年比99.9%)となっています。

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8)印刷関連サービス業

2019年の印刷関連サービス業の事業所数は73事業所(対前年比107.4%)、従業者数は3374人(対前年比133.3%)、製造品出荷額等は322億2800万円(対前年比111.0%)となっています。

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2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2019年実績)は次の通りです。

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3 経営指標

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以上(2021年12月)

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