町中華の経済学 多品種、丼勘定は本当か?

書いてあること

  • 主な読者:飲食店や小売業など多品種少量販売の事業を行う経営者
  • 課題:原材料の値上げやコロナ禍の影響を受ける中、事業を継続するヒントを知りたい
  • 解決策:丼勘定ではなく、管理会計でポイントを押さえる

1 丼勘定は本当か?

「安い・うまい・早い」の三拍子そろった町中華。どこの街にでもありますが、長く続く秘訣は何でしょうか? 低価格で、客数はさほど多くもなさそう。でも潰れない。

町中華探検隊として町中華を食べ歩くライターの北尾トロ氏は、町中華を「昭和以前から営業し、1000円以内で満腹になれる庶民的な中華店。単品料理主体や、ラーメンなどに特化した専門店と異なり、麺類、飯類、定食など多彩な味を提供する。カレーやカツ丼、オムライスを備える店も。大規模チェーン店と違ってマニュアルは存在せず、店主の人柄や味の傾向もはっきりあらわれる」と定義づけています(「町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう」北尾トロ、下関マグロ、竜超著、KADOKAWA、2018年9月)。

丼勘定のイメージがありますが、本当にそうでしょうか? 町中華がいかにして生き残っているのかを探り、他の飲食店や小売業などの経営者が、管理会計で押さえるべきポイントを紹介します。

2 町中華が強い3つの秘訣

1)多品種に対応できる使い回しが利く仕入れ

町中華の特徴は豊富なメニューです。しかし、原材料となる食材は実は共通の食材が多いのです。町中華によくあるメニューと食材の例を挙げました。

町中華のメニュー例と主な原材料

こうして見ると、豚バラ肉など汎用性の高い食材が多く使われていることが分かります。仕入れや在庫管理の工夫はあるのでしょうか。公認会計士・税理士で、自身も青森県八戸市でラーメン店を経営し、『会計の基本と儲け方はラーメン屋が教えてくれる』(日本実業出版社)の著書もある石動龍氏は次のように教えてくれました。

「お客さんへ魅力を感じてもらえるよう、豊富なメニューを用意するとしても、食材のロスのないよう、メニュー構成や、原材料の仕入れ、管理を工夫する必要があります。例えばレバニラ炒めにしか使わないレバーを大量に仕入れるわけにはいかないでしょう。共通の食材で、いかに幅広いメニューを用意するか。食材のロスがないように仕入れ、管理するか。品質を保ちながら冷凍保存するのも一案でしょう」

2)適正な利益を確保できる価格設定

価格帯が異なるメニューが共存できるのも町中華の強みであると、石動氏は指摘します。中華料理には、北京ダックやフカヒレスープ、つばめの巣といった高級メニューがあります。町中華でもエビチリくらいはラインアップとしてあるところも少なくないでしょう。町中華でチャーハンが750円でエビチリが1500円で販売されていても違和感はありませんよね。一方、よほどのマーケティング的な狙いがない限り、価格帯の大きく異なるメニューを並べるのは、ラーメン屋やファストフード店では難しいでしょう。1杯750円が相場のラーメン屋に、1500円のラーメンがあったら違和感を覚えますよね。つまり、

町中華は適正な利益を確保できる価格設定がしやすい業態

ともいえるわけです。

3)居心地の良さが利益を生む

町中華に行くと、おつまみを数品頼んでお酒を飲んでいるお客さんを見かけます。この点も町中華の強みであると、石動氏は自著で述べています。つまり

長居をしてもらって、原価率が低いおつまみやお酒を頼んでもらうことで利益を確保

しているのです。例えば800円の炒め物が原価率30%だとして(粗利560円)、加えておつまみとお酒を2000円分オーダーし、その原価率が10%だったとします(粗利1800円)。そうすると、客1人当たりの限界利益は2360円になります。

町中華の店主がそのように狙っているかは分かりませんが、町中華には手軽な「居酒屋」という側面もあります。ファストフード店などが努力して取り込もうとしている居酒屋需要が町中華にはあるのです。

3 ココだけは押さえたい管理会計のポイント

1)FLR比率に注目する

本当に丼勘定でやっていると、自分の店が苦戦している理由として、固定費が高いのか、原材料費が高いのかすら分からなくなります。一般的に、飲食店経営で大切な指標といえばFLRコストです。それぞれ、

  • F(Food):食材費
  • L(Labor):人件費
  • R(Rent):賃料

を指しています。店の状況によってさまざまですが、一般的に、

F比率は30%程度、FL比率は60%程度、FLR比率は70%程度

に抑えるのが理想とされています。

FLR比率=(食材費+人件費+賃料)÷売上

とはいえ、R(Rent/賃料)は、都市部と地方とで大きな差があります。都市部の好立地では、賃料は高くなりますが、それに見合う人通りもあります。ちなみに、昔ながらの商店街で数十年と続いている町中華がありますが、

「そのような店の多くは、持ち物件で営まれているのかもしれませんね。さらにもし家族経営だったとすれば、それだけで固定費の大半がカットできます。コストはほぼ食材のみとなり、あとは利益となるのです」(石動氏)

2)固定費と変動費に分ける

コストには、売上高に関係なく発生する固定費と、売上高に応じて発生する変動費があります。FLRコストに注目すると、

  • 固定費:人件費、賃料
  • 変動費:食材費

となります。これを軸に考えると、

月の売上高から食材費を引いたものを「限界利益」と呼び、この限界利益で人件費や賃料を賄えるか否か

が重要となります。これは、一般的な損益分岐点の考え方です。

3)利益構造を把握する

石動氏によると、押さえておきたいポイントは、

  • 客単価
  • 来客人数
  • コスト:固定費(主に人件費、賃料)
  • コスト:変動費(主に食材費)

です。客単価をベースとして、何人の来客数があれば、コストがどれくらいかかり、どれくらいの利益が残るのかという利益構造を把握していれば、食材費などが高騰したときも、どこに影響が出て、どこをやりくりすれば賄えるのかという打ち手がイメージできるようになります。

例えば、麺の仕入れ価格が、1玉当たり5円値上がりしたとすると、

5円×月の来客数=月の原材料コストがいくら上がるか

がすぐに分かり、ダメージの小さいうちに対処することができるのです。町中華の店主は、このあたりの計数感覚を自然と身に付けているのかもしれません。

以上のようなポイントを押さえ、管理会計を経営に活かしましょう。

以上(2022年10月)

pj50519
画像:和久 澤田-Adobe Stock

【朝礼】よい結果を出すために、気持ちを共有しよう

「皆さんにお願いがあります。明日の午後3時までに、皆さんが日々行っている業務内容を箇条書きにした資料を上長に提出してください」

ではもう一つ、「皆さんにお願いがあります。皆さんが日々行っている業務を整理し、業務の効率化につなげたいと考えています。本人以外が知らない細かな作業を、簡単なことでも把握したいと思います。そこで、明日の午後3時までに、皆さんの業務内容を箇条書きにした資料を上長に提出してください」

どうでしょう。前者と後者、どちらの方が、より正確な資料を作ることができそうですか? もちろん後者です。

前者では、私は単に必要な項目を提示しただけであり、それが何のために必要なのか、何に使うものなのかについて一切言っていません。これでは、資料を作る皆さんはきっと「これから一体何が起こるのか」と不安に思うでしょう。

vビジネスで頻繁に話題となる「見える化」というテーマは、簡単にいうと「現場における目に見えない活動の様子を目に見える形にしようとする取り組み」です。スタートからゴールに至るまでの過程を明らかにすることで、よりよい結果を出そうとする試みでもあります。

例えば、上司が部下に対して「新商品についてまとめたプレゼン資料を作っておくように」などといったように、作成すべきものだけを指示したとしましょう。部下は上司に指示された通りの資料を作成するわけですが、用途や目的が分からないままなので、部下は「これでよいのだろうか?」という疑問を抱くでしょう。自分なりの創意工夫や提案を盛り込むことにもちゅうちょしてしまうかもしれません。これでは上司が満足する資料ができない可能性があるだけでなく、部下にとっても経験・成長する機会にならず、お互いにとってよい仕事ができません。

そこで、上司が「来週、取引先を訪問する際に新商品を案内したい。新商品の概要をまとめたプレゼン資料を作ってほしい。特に機能面をアピールしたい」と伝えればどうでしょう。これなら部下は上司の意図や目的を理解できますから、それに沿うように自分で考え、調べ、工夫するでしょう。結果として、期待以上の資料が完成する可能性も高くなります。

このように、スタートからゴールに至るまでの過程を明らかにし、周囲の人と共有することは、自分以外の人に対して自分の考えを説明・説得するときにとても大切なことです。

人の気持ちや考えは当人にしか分かりません。他人が皆さんの頭や心をのぞくことはできないのです。ですから、皆さんが誰かに何か指示や依頼をするときは、相手がその意図を理解し、理由について納得できる話をするように努めましょう。過程とゴールを相手と共有できれば、必ずよい結果が出るはずです。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】マラドーナ選手の“神の手”ゴールを批判から伝説に変えたプレー

けさは皆さんに、1986年にメキシコで開催されたサッカーワールドカップ(以下「W杯」)でのエピソードを話したいと思います。昔の話ですから知らない人も多いでしょうが、優勝したアルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ選手のプレーは、映像で見たことがあるかもしれません。

中でも有名なのが、準々決勝のイングランド戦で、ボールを手に当ててゴールを決めたプレーです。本来は反則ですので、ゴールは無効となるべきで、イングランド側から審判に対して抗議があったのですが、審判は判定を覆さずにゴールとして認めてしまいました。このプレーは、試合後にマラドーナ選手自身が、「ただ神の手が触れた」とコメントしたことで、“神の手”ゴールと呼ばれるようになりました。

当時はビデオによる判定が制度化されていなかったという事情はありますが、テレビの視聴者も明らかにハンドだと分かったくらいですから、試合後に審判やマラドーナ選手に対する批判が集まってもおかしくない状況だったと思います。

ちなみに、W杯の主催者であるFIFA(国際サッカー連盟)ですら、2004年の創立100周年を記念して制作したDVDの中で、W杯での「10大誤審」の第1位に“神の手”ゴールを選んでいます。

ところが、“神の手”ゴールは、後に「伝説のプレー」と呼ばれるようになったものの、審判もマラドーナ選手も、強く批判されることはありませんでした。

その大きな理由は、“神の手”ゴールのわずか4分後に、マラドーナ選手自身が世界中を魅了した、さらなる「伝説のプレー」を披露したことでした。ビデオで映像を見たことのある人も多いと思いますが、約60メートルをドリブルで独走し、相手ディフェンスを5人も抜き去ってゴールを決めたプレーです。そのプレーがあまりにも印象的だったため、その前の“神の手”ゴールに対する批判のトーンは一気に和らぎ、2つのプレーがセットになって「伝説」となっていったのです。

このエピソードは、サッカーに限らず、私たちが仕事をする上での心構えにも通じるものがあります。皆さんは多かれ少なかれ、仕事で失敗をして、クライアントに迷惑をかけてしまった経験があるかもしれません。大きな失敗であれば、人によっては、「クライアントの信頼を失った……もうダメだ」と思うこともあるでしょうが、素直に自分の誤りを認めて真摯(しんし)に謝罪し、ミスを帳消しにするぐらいの活躍を見せれば、クライアントの信頼は取り戻せるのです。

仕事に失敗はつきもので、特に前例がない、難しい業務をやるときはなおさらです。もちろん、誰しも失敗したくありませんが、仮に失敗しても、立ち止まって落ち込むのではなく、「取り返そう」と前を向ける意志の強さこそが大切です。間もなく今年も終わりです。来年も細心の注意を払いつつ、しかし失敗を恐れることなく、仕事に取り組んでください。期待しています。

以上(2022年10月)

pj17126
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】仕事と勉強、できない人の6つの共通点

突然、変な質問をしますが、皆さんは自分自身を、仕事ができる人間だと思いますか? できない人間だと思いますか? 実は恥ずかしながら、若手だった頃の私には「自分は仕事ができる」と信じきっていた時期がありました。ただ、ある程度月日がたち、それがうぬぼれだったことに気付きました。なぜ、うぬぼれだと気付いたのかをお話しする前に、ぜひ聞いてほしいことがあります。

私は、仕事ができない人には、学生時代、勉強が苦手だった人が多いと考えています。私が考える、勉強が苦手な人というのは、

  • 同じ問題を何度も間違える
  • 一冊の問題集をやり遂げられない
  • ノートをきれいに作りすぎる
  • 勉強時間の長さにこだわる
  • 理想が高く難問ばかりに挑戦する
  • 志望校などの情報に、やたら詳しい

のいずれかに当てはまる人です。この1.から6.のタイプ、実は学校だけでなく会社にもいます。

まず、1.は、学習効果の薄い人です。仕事で同じミスを繰り返す人は評価が低いですし、特に若い社員は、失敗も含めた経験を次に活かすことが大事なはずです。

2.は、根気と実行力のない人です。途中で次々と新しい問題集に手を出す学生がいるように、仕事でも、最初の掛け声や返事は良いのに、少したって「あれはどうなった?」と聞くと、「実は、進んでいません」と答える人がいます。

3.は、手段と目的を明確にできない人です。例えば、きれいなプレゼン資料を作ることに満足してしまい、プレゼンで提案を通すという本来の目的を忘れてしまうようなタイプです。

4.は、結果でなく努力だけを重視する人です。結果を出すための工夫をせずに、非効率であっても、ただ頑張ったことだけを誇るタイプです。

5.のような理想が高い人は、自分自身の現時点での実力を受け入れられない人です。一見、仕事ができそうに感じますが、ただ背伸びをして、基礎を固めていないので、しばらくするとメッキが剥がれるタイプです。

6.は、情報通で、ゴシップ好きな人です。情報収集力は高いのですが、その力の発揮する方向が社内に限定され、仕事に費やすべきエネルギーについて、間違った使い方をしているタイプです。

怖いのは、周囲から仕事ができると評価されている人が、実はこの6つのタイプに当てはまるケースがあるという点です。特に若手のうちは「頑張り」が見えれば評価されますが、ある程度月日が経過すると、それだけでは通用せず、結果を求められるようになっていきます。私が自分のうぬぼれに気付けたのも、月日がたって、そうしたメッキが剥がれてきたからなのです。

「自分は仕事ができる」と思っている方、ぜひこの6つのタイプに当てはまっていないか確認してみてください。私も若手の頃の過ちを繰り返さないよう、謙虚に自分を見つめていきます。

以上(2022年10月)

pj17125
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】整理整頓ができなければ、思い切って捨ててしまえ

オフィスを見回すと、デスクの上が片付いている人、片付いていない人がいます。デスクが雑然としていると、必要なときに探し物が見つからず、仕事の効率が悪くなります。中には「片付けなくても、私はどこに何があるか分かっている」という人がいるかもしれません。そういう人に聞いてみましょう。「デスクの上や引き出しの中には何があるのかすべて覚えていますか? 必要なものをすぐに取り出せますか?」。どうですか? すべてを把握している人はいないでしょう。

仕事を効率的に進めるためにも不要なものを整理し、使い勝手よく整頓することは欠かせませんが、整理整頓が苦手な人もいるようです。私がみたところ、そんな人の多くは不要なものを捨てることができていないようです。そういう人は「不要なものを保管しておくのは、収納スペースがもったいない、探し物をする時間と労力がもったいない」と、視点を変えて整理整頓に取り組んでみてはどうでしょうか。

ここで、私が実際に整理整頓を実践する際の秘訣を紹介したいと思います。整理整頓は、まず不要なものを捨てることからスタートしますが、人によって要不要の判断基準は異なると思います。私はまず、それがすぐに使うものかどうかという点でそれを判断します。例えば、毎日使うカレンダーをデスクにしまい込む必要はありませんが、3カ月に一度しか使わない画びょうをデスクの上に出したままにしておくのはおかしいですね。

もし、すぐに使うかどうか判断に迷う場合は、しばらく置いておくのもよいでしょう。その場合もただ置いておくのではなく、判断に迷うものを入れる箱を用意して、そこに入れて1週間たっても使わないようなら片付けるか、捨ててしまいます。

また、資料などであれば、すぐに手に入るか否かで判断します。インターネットで簡単に入手できる資料を印刷して保存するのは無駄ですが、図書館に行かなければ手に入らないものはファイリングして保存しておく必要があります。

このほか、なくしてしまいがちで、整理が面倒なメモ書きなどはバラバラに保管したり、ノートに内容を書き写したりするよりも、スキャナでパソコンに取り込んだり、ノートにまとめて張り付けてしまうのもよいでしょう。

不要なものをためこんでしまうから、デスクは雑然としてしまい、肝心なときに必要なものを見つけられなくなってしまいます。要不要を判断して、不要なものは思い切って捨ててしまうことです。そして、要不要の基準は、頻繁に使うものか、再度入手することが容易なものかです。さらに、バラバラなものはとにかくまとめてしまう。これが、私の整理整頓の秘訣です。

デスクやオフィスの収納スペースには限りがあります。もったいないと思わず、思い切って捨ててしまいましょう。今日紹介した要不要の判断基準や、自分なりの判断基準を基に整理整頓に努めて、仕事の効率化につなげていただきたいと思います。

以上(2022年10月)

op16549
画像:Mariko Mitsuda

【特別企画】Z世代起業家がZ世代の学生に向けて「起業」を語る講座/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回ご紹介するのは、
特別企画、埼玉大学で行われた講座「実践ベンチャー論:Z世代スタートアップ実践の実情を聞く」(2022/6/24開催)です。

この講座は、「Z世代に向けて、Z世代起業家がスタートアップの実情を語る」内容で、他では聞くことのできない、志も高く実績もある起業家4名による講義です。事業や起業の実情を詳しく語った4名の起業家。そして、真剣に耳を傾け、時間が足りなくなるほど質問もたくさんしてくれていた埼玉大学の学生などの聴講生。講義後、「起業の志が固まりました!」と決意も新たに顔つきがすっかり変わった聴講生もいたほどです。
本当に大げさでなく、聴講生たち(年齢問わず)の今後の人生に影響を与えたであろう、かけがえのない暑いアツい夏の一日が凝縮されていました。この記事では、講義の中で4名のZ世代起業家がお話してくださった内容を一部ご紹介します(とても伝えきれない、盛りだくさんで素晴らしい内容と熱量!)。なお、起業家4名の中には、かつてこの「岡目八目シリーズ」でご紹介した方々もおられます。後ほどそれぞれの岡目八目シリーズ記事へのリンクもご案内しますので、ぜひ覗いてみてください。

●登壇 Z世代起業家
後藤 学氏 :株式会社Helte 代表取締役
福田 駿氏 :株式会社Diary 代表取締役、就活YouTuber
西側 愛弓氏:株式会社COXCO 代表取締役
大槻 祐依氏:株式会社FinT  代表取締役

●モデレート
杉浦 佳浩氏:代表世話人株式会社 代表取締役

1 どのような事業をしているか?

まずは自己紹介を兼ねて、「どのような事業をやっているか」「なぜその事業をやっているか」といったことを最初にそれぞれお話してくださいました。そこからしてもう、面白くて勉強になる情報が満載です。お話してくださった順番にご紹介します。

1)大槻さん 株式会社FinT

大槻さんの株式会社FinTでは、主に、メルカリなどの企業のSNSマーケティング支援や運用、ライブ配信、メディア運用などを行っています。とにかく勉強家で実績もあり、突破力も実行力もハンパない大槻さん。ビジコンで優勝したこともある大学時代には、インターンながら一事業部を担当し、力強く仕事をして社員のマネジメントもしていたそうです。
 ビジコン優勝特典でシリコンバレーに行ったり、シンガポールに1年間留学したり、大学3年のうちに起業したりとさまざまな経験をしてきた大槻さん。聴講生向けにさっそく「私自身、たくさんチャレンジしてたくさん失敗してきました。皆さんも多くのチャレンジと失敗をしてください。今私たちの会社は、インターン生20人くらい社員40人くらいで、インターン生もすごく活躍していて年齢は関係ないなと感じてます。ぜひ頑張ってください」と激励を。場作り、リーダーシップも素晴らしいと感じました。
 会社としてのパーパスを変えたという大槻さん。その思いを次のように話していました。
「今のパーパスは“みんなの強みを活かして、日本を世界を前向きに”です。日本を、世界を前向きにしたい、それが今一番やりたいこと。日本の技術など日本の『何か』を使ってグローバルスタンダードをつくっていけるようにしようとしています」

●株式会社FinTのウェブサイトはこちら

大槻さんの画像です

2)後藤さん 株式会社Helte

後藤さんの株式会社Helteでは、日本のアクティブシニア層と海外の人たちがオンライン上で、“日本語で”交流できるプラットフォーム「Sail」を開発展開しています。「Sail」はまさに、すぐに海外とつながれる、自分の世界を広げる窓。参加国は実に154カ国、総利用者数は26,000人以上(2022年9月時点)とすごい数です。海外の人たちを集めるために、コネ無し知り合い無しの状態でタイなどの海外を“飛び込み”で回った泥臭いガッツの後藤さん。その様子を、まるで当たり前のように飄々と語る感じがまた、聴講生を惹きつけていました。
「Sail」を使って交流した後の分析にハマっているという後藤さん、そうした中で海外の人が日本で就職する際の支援のようなこともやっているそうです。
また、東京大学と一緒に、「Sail」を使ったことによる人の行動変容(ICTの理解度が上がった、海外の人に対する偏見が減ったなど)の分析なども行っており、これに関心を持った自治体などとも連携が実現。これからもどんどん全国各地、そして世界に拡がっていきそうです。
 海外の人たちが参加した日本語スピーチコンテストを実施した後藤さん。こう語ります。
 「今回は、全世界80カ国を超える1500人が参加、日本語でビジコン的にプレゼンしてもらいました。彼らの大きな夢を日本語で聞いて本当に感動した。これからの日本を支えるのはきっと彼らのような海外の人たち。ぜひ一緒に色々な事業ができたらと思います」

●株式会社Helteのウェブサイトはこちら

後藤さんの画像です

3)福田さん 株式会社Diary、就活YouTuber

福田さんは株式会社Diaryの代表かつ、就活生向けのYouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」を持つ就活YouTuberでもあります。YouTubeで11万人、TikTokで9.7万人の登録者がいて(2022年9月時点)、そこを軸に就活サービスを展開。また、企業の採用広報も手掛けています。
YouTuberとして、日頃から色々な人にインタビューもしている福田さん、今回の講義でも自分の話をしつつも聴講生に「しゅんダイアリーって聞いたことある人、手を挙げてもらっていいですか?」とインタラクティブに展開。
続けて「僕は石川県金沢市出身で金沢大学に行っていて、留学もインターンもしたことなかったんです。でもどうしても東京の大学に来たかったし、東京で仕事したかった」「埼玉大学と金沢大学はなんか雰囲気が似ていてめちゃめちゃ親近感あります」「中学生のころから起業を考えていたけれど、自分は何者でもないし何もできないので、とりあえずYouTubeで結果を残したいと思った」「最初は旅行系の動画とか配信してまったくうまくいかず、『自分の言いたくないことを言おう』と仮面浪人に失敗した体験談をアップしたら初めて10万回再生」「仮面浪人人口は2万人しかいないと気づいて、大学3年の就活タイミングで就活系に切り替えて、毎週東京に行って東京の会社で自分がガチで面接を受ける様子を動画にしたらちょっとずつウケて今につながる」などなど、聴講生から見るととても分かりやすく親近感がわく、そしてぐんぐん引き込まれるストーリー。聴かせます。福田さんは目指す未来もしっかり語ります。
 「僕は中学生のころから世界と戦いたいと思ってきた。時価総額という会社の『企業価値』というものがありますが、時価総額10兆円の会社にすることが今の目標であり課題です」

●株式会社Diaryのウェブサイトはこちら

福田さんの画像です

4)西側さん 株式会社COXCO

今回、西側さんはなんと、フィリピンからのオンライン参加でした。こういうスタイルも、聴講生にとってはとても良い刺激になります。
西側さんが展開するのは社会課題と向き合うアパレルブランドです。西側さんは「服の形をしたメディア」とも表現しています。「大学時代にバックパッカーをした経験から、貧困問題などさまざまな社会課題を肌で感じた」という西側さん、ファッションを通して社会にとっていいことをしたいと考えるようになったそうです。例えば、不要になった繊維(洋服)からつくられた再生ポリエステルを使って、できるだけ長く愛されるデザインの服を仕立てる、しかも受注生産で気に入ってくれた人にだけ提供するなどを行っています。
そして今は、「フィリピンでファッションスクールをつくる」というチャレンジもしているそうです。
フィリピンではファッションショーも開催している西側さん、その思いを語ります。
 「2015年から、フィリピンで暮らす子どもたちが思い出になる場所をつくろうと、ファッションショーをやっています。今回で8回目になります。ファッションを通してみんなで夢を描く、みんなで胸を張って生きていこうという体験をつくりたいです」

●株式会社COXCOのウェブサイトはこちら

西側さんの画像です

「挑戦」。4名の自己紹介含めた事業の話からまず感じるのはこの言葉です。グローバルな目線を持っている、そもそも生き方が枠にとらわれていない。そして難しいこと、でもやりたいことに果敢に挑み続けていることがうかがえます。

2 なぜ、どうやって起業したか? 起業ストーリー

起業の理由、起業ストーリーも各者各様で、特に今回は起業を志す聴講生も多かったため、かなり聞き応えがあったのではないでしょうか。「海外留学」「バックパッカー」といった、世界に触れられる環境も起業要因の一つと思いますが、そうした環境以上に「これをやりたい、やってみる。やり切ってみる」という志、そして行動することがとても大事だと感じました。ここでは、それぞれが講義で語っていた濃い起業ストーリーの特徴的な点をご紹介します。

●大槻さん

  • 起業した理由は、広く言うと「自分が生まれてきた意味を持ちたい、私が生まれたから世界が良くなったという風にしたい」から
  • シンガポール留学時代から「金融課題を解決するサービスをやろう」と一緒に練っていた仲間と大学3年のときに起業。後にサービスは変化
  • 起業当初は両親が大反対。起業して、オフィスに寝泊まりするくらいずっと仕事漬けで必死だったがうまく行かず。お金もなくなり。仲間とは解散したり。そうした過酷な毎日でも、1人でやり切ると頑張っているうちに親の見る目が変わってきた
  • 今では、税理士事務所で働く母が経理担当として会社をとても支えてくれている

●後藤さん

  • 誰もが知る大企業に就職するも1年で辞めて起業。泥船でもいいから早く出航したかった
  • 大学時代にシアトルに留学、インドにも行き、その他にも色々とバックパッカーで世界を放浪する日々。それが後に「海外の仕事に貢献したい」につながって、その気持ちが爆発
  • 起業していく中でさまざまな人のご縁を感じる。フランス人の事業家が最初に出資してくれたり、中国人の投資家がいてくれたり
  • 事業がしんどい局面は何度もあったが、ふと誰かが助けてくれたり、そういうご縁の中で「生かされている」と感じる。感謝の気持ち、恩返しをしたい気持ちがとてもある

●福田さん

  • 金沢の大学で就活生をしているときは「大企業に行っている人が勝ち組」と思っていた
  • サイバーエージェントやDeNAのインターンに参加してショックを受ける。東京の大学生は1年次からインターンやってるとか起業しているとかいう人がゴロゴロ
  • 東京と地方では、大学生が使っている言語、見ている景色、情報がまったく違うと、大きな格差を感じる。そうした格差をなくしたいと、就活チャンネルを立ち上げ起業した
  • お金はクラウドファンディングなどで120万円、商工会議所で一人1万円ずつなど人力で180万円くらい集めて、300万円くらい集まったタイミングで東京に引っ越してきた
  • 親を説得する自信はなかったので、起業については事後報告

●西側さん

  • 起業した理由は「(ファッションという)好きなことができたから」
  • 起業する前はサイバーエージェントに就職し、2年ほど働いた
  • 大学3年のとき、現在フィリピンで活動している団体を立ち上げた。そこから、ファッションスクールをつくろうと頑張ってきている
  • ファッションスクールをつくるなら、卒業生の将来を考える必要があると思い、起業した
  • 社会課題解決のためにアパレルブランドを立ち上げたが、「会社」という体がないと話を聞いてもらえない、契約してもらえないという観点からも起業した

3 キラキラばかりではない。課題、失敗の連続。それでもその先を考える

インターン、海外留学、バックパッカー、起業、スタートアップなどのキーワードから、何も知らないとキラキラしたイメージを持ちそうですが、それだけではありません。というより、そうではありません。課題も失敗もたくさんあります。それが実情です。この4名のZ世代起業家もそうです。そして、課題や失敗がどれほどあろうとも、今後の展開を考え続け、前に進み続けます。それぞれの課題感、そして今後について印象的な点をご紹介します。

●大槻さん

「課題はたくさんあります。常にあります。起業をしていてとても面白いと感じるのは、目の前に毎回、壁が出てくること。例えば、組織がよくない感じになっているという壁があったとして、やっとその壁をよじ登って超えたと思ったら、また別の壁が出てくる。それが病みつきになります。これをずっと繰り返す、成長ってそういうもんだなあと楽しくて、社長やっててよかった、起業してよかったと思います」
「今後3〜4年後には海外展開というか、日本のものを海外に出していく軸もつくりたいです」

●後藤さん

「日々の仕事に追われてインプットが難しいときがあるのが課題。余白が生まれたほうが新しいチャレンジやコミュニケーションの方法などが分かってきて、それが事業につながると思うので、そういう余白があるようにしたい」
「今後はグローバル展開のギアを上げていきたい。今年に入ってから、積極的に英語やフランス語でプレゼンするようにしている」
「会社も、インド人やフランス人など色々な人がいるようになってきたので、そういう色々な考え方をまとめて編集して力を付けていく、これも課題」

●福田さん

「僕らの一番の課題は採用。自分たちよりも優秀で素直な人を仲間にしていくのが課題。凡人が後天的に努力していく、そういう仲間。自分たちもそうありたい」
「採用するときは一緒に山に登る。山登りは苦しいから本音が見える。スマホも使えないので、みっちり話ができる」
「採用するときは、親にも会いに行って、娘さんおよび息子さんを私にください、一緒に社会をよくする会社をつくっていくと伝える」
「今後は、世の中の人に行動してもらえるようにWeb3の領域で事業展開も考えている。試験的にやっていることもある」

●西側さん

「起業するとお金周りも課題になると思う。お金を借りるとなると大きな責任も負うし、本当に大変」
「起業はキラキラしたイメージかもしれないが、実際に人に見せないところで起業家は皆大変だし、根気がいること」

4 講座の最後。途切れない質疑応答

もっともっと話を聞いていたいところでしたが、最後の質疑応答へ。4名のZ世代起業家の話に、質問したい聴講生がたくさん。もしかしたら、今までにない質問の多さだったかもしれません。中には、4名の会社でインターンをしてみたいという聴講生もいました。
 聴講生からの質問は、例えば次のようなものでした。登壇してくださったZ世代起業家、熱心に参加されていたZ世代が中心の聴講生。本当にアツくて濃い時間、有り難うございました!

●聴講生からの質問例

  • 海外とビジネスをやっていく中で、どうやって海外の方とつながったのか?
  • 就活サービスについて、他のナビサイトとどうやって差異化を図っていくのか?
  • パーパスが変わったことで、社員の行動変容、変わったアクションはあったか?
  • どうやって自分のビジョンに合う人(仲間)を見つけてきたのか?
  • VCからの資金調達を考えているか?

集合写真です

以上(2022年10月作成)

Z世代に聞いてみた どんな会社で働きたい?

書いてあること

  • 主な読者:Z世代を採用したいが、なかなか応募をしてもらえないと悩む経営者
  • 課題:会社として、どんな対策や準備をすればZ世代が関心を持つのか分からない
  • 解決策:Z世代を特別扱いせず、迎合もせず、会社としての「ありのまま」を伝える。ただし、「中で働く人」にフォーカスするなど、伝え方や届け方には工夫が必要

1 Z世代を採用するにはまず、「Z世代の声」を聞いてみよう 

会社の今後のためにも「若い人を採用したい」と、Z世代(この記事でのZ世代は10代から25歳くらいまで)に注目している経営者は多いものです。Z世代は、どのような価値観やキャリア観、人生観を持ち、どのような会社で働きたいと考えているのでしょうか。

Z世代といっても考え方は人それぞれで、環境によっても違います。実際にZ世代の方々に話を聞くと、中学・高校の頃から起業を意識し、そのための勉強をしている人、何か一つに特化した中小企業で働きたい人、大企業がいい人、芸術分野に進みたい人などさまざまです。

「Z世代」とひとくくりにするのはもはやナンセンスかもしれませんが、一方で、世代が離れているからこそ、「どんなふうにアプローチすれば響くのか、せめて傾向が知りたい」という人もいるでしょう。

そこで今回は、自らもZ世代であり、就活YouTuberとしてご活躍し、日ごろからたくさんのZ世代と接している株式会社Diaryの代表取締役社長、福田駿(ふくだ しゅん)さんにお話をお聞きしました。この記事では、その内容をまとめてご紹介します。

取材を通して見えてきたのは、変にZ世代に迎合せず、会社や経営者のリアルや本音、情熱を、嘘偽りなく発信し伝えることの大切さでした。

なお、記事の最後には、Z世代に「どんな働き方をしたいか」などを聞いたアンケート結果も掲載していますので、考え方の傾向についてご参考になれば幸いです。

2 「人検索」の信頼度。人とのつながりに価値を置くZ世代

1)Z世代の選択肢に入るには? SNS活用が有効

昔からある、学生の人気企業ランキング。大企業、世に名の知られたITベンチャーやコンサルティング会社などが上位に入っているイメージです。今のZ世代の場合はどうでしょうか。

結論からいうと、昔から変わらず、

「大企業」「知名度の高い会社」に行きたい

というニーズは、Z世代にもあります。

ただし、注意したいのは、

単にそういう会社しか知らないから、「その他」が選択肢に入らないというだけである

ということです。

「そもそもあまり世の中の会社を知らない」人たちに自社を認知してもらうには、フォローが必要です。その手段としてSNS、YouTubeなどは有効に活用したいものです。

一方で、福田さんによると「もう一つの軸として、ベンチャー企業やスタートアップ企業に入社したい人も増えています。その中でも、やはり見せ方やブランディングが上手な会社は、志望されやすいと思います」とのこと。

例えば、社員の働いている様子を伝えるSNSやYouTube、TikTokなどの動画配信をやっている会社は、新卒や第2新卒の採用に強い印象があるといいます。実際に、Z世代222人に「就職・転職に関する情報の入手方法」をアンケートしたところ、「SNSで入手する」が28.4%。これは、「就職・転職サイトで入手する」の47.3%に次いで、実に、2番目に多い回答でした(アンケートは2022年9月に実施)。

2)つながりが大切な「人検索」の時代

また、人とのつながりに価値を感じるZ世代は、「人検索」も大切にするのだと福田さんは教えてくれました。人検索とは、文字通り「人を軸にした検索」で、

  • 先輩がいる会社だから
  • 友達がインターンシップに参加した会社だから

といった「人とのつながり」から、情報を求めていくことをいいます。

Z世代の間で、人検索の信頼度はどんどん増しているといい、

  • 「あの人」が言っているから
  • 「あの人」がメディアで紹介していたから

などに価値を感じる人が多いそうです。

「人検索」はある意味、中小企業にとってチャンスな面もあります。大企業の場合、すぐに上長からの許可が下りなくて、SNS運用や動画配信がやりにくいかもしれませんが、中小企業だと、こまやかな配慮をしつつ、「小回りの利く運用」がやりやすいのではないでしょうか。

また、従来のサイト検索では、どうしても知名度の高い大企業しか検索されませんでした。しかし「知らないから検索されようがない」というところから、「人検索」であれば、人を介することで、認知される可能性があるのです。

3)情報感度が高い=若手を受け入れる態勢があるのでは

会社を検索しても、文字や写真だけでは、いまひとつ実態は伝わりづらいものです。恐らく多くの会社で、アットホームな雰囲気の写真や言葉が並んでいることでしょう。

文字と写真だけでは伝わらないものを、いかに伝えるか。SNSを活用するとしても、それぞれをどう使うのか。リアルに会う機会を設ける工夫なども必要です。

福田さんいわく、例えばTikTokなどを経営者がやっていると、「情報感度がかなり高い、ということは若手を受け入れる態勢があるんじゃないか」とも感じるそうです。ワンクリックで簡単にエントリーできてしまう時代ですから、「この会社に入ってみたい」という、ある意味「ファン」をどれだけ増やせるかが重要なのかもしれません。

また、社会的な信頼度が高いとされるメディアから、取材を受けたり紹介されたりした場合も、その事実をSNSや動画で発信することが大切です。それぞれの会社にもともとついているフォロワーを介して、興味のある学生に拡散される可能性があるからです。第三者という「人」、あるいは社会的な信用のあるところから発信されたことが、さらなる信用を築きます。

なお、Z世代の就活生は、次のような傾向があるそうです。

  • OB・OG訪問など、自分のなりたい人、憧れている人が受けていた会社を志望する
  • ランキングやリサーチを見て会社を選ぶ
  • 人材系のエージェントを利用し、ベンチャーなどを受ける

いずれにも共通しているのは、Z世代側は情報感度が高く、とてもよく調べているということです。やはり、Z世代に届く可能性を広げられるよう、SNSなどでこまめに情報発信するのが効きそうです。

4)近い世代と和気あいあいと働きたい。会社の平均年齢も重要な要素?

実際にZ世代の方に話を聞くと、「大企業は人間関係が難しそうだからあまり行きたくない」という声もありました。これは、どういったイメージを抱いているのでしょうか。

考えられる理由の一つとして、会社の規模が大きいと、一緒に働く人を選びにくい(どういう人と一緒に働くのか分からない)など、恐れを感じているというのがあるかもしれません。

また、社員の平均年齢も、Z世代が気にかける要素の一つだといいます。「ちょっと年の近い若い先輩がいたほうがよい」という声は多く聞かれます。

50代の社員しかいない会社に、20代前半の新卒社員が入社するとしたら、仕事の内容ややりがいなど、よほどの動機が必要なはずです。会社の状況にもよるので一概にはいえませんが、段階的に会社の平均年齢を下げていくというのも一策かもしれません。

5)裁量を大きく、休日しっかり、副業も。憧れる働き方のモデルは?

では、Z世代が憧れる働き方のモデルは、どのようなものなのでしょうか。

「人検索」にもあったように、やはり「憧れる会社」という面でも「人」は大事なようで、福田さんからは、Z世代が魅力を感じる会社の一つは、「憧れる人が働いている会社、かもしれません」という答えが返ってきました。

具体的には、自分たちが普段使っているサービスを運営する会社で、かつ若手の頃から裁量権を持って活躍している人が多い会社は、憧れの対象になるといいます。例えば、入社3年目で事業責任者の立場など、上の役位で物事を動かしている人。かつ休みもしっかり取り、週休3日で副業もといった働き方は、憧れられるそうです。ただ、福田さんはこう続けます。

「裁量権があるかどうかは、よく就活生から気になると言われることではあります。でも、それを意識しすぎて、実態と乖離(かいり)している情報を伝えたりするのはよくないですよね。やはり、リアルを伝えるというのが大事だと思います」

3 キラキラは必要ない。本音やリアルな実態を発信

ここまでZ世代の気持ちを考えてきましたが、とはいえ福田さんも言っていたように、彼らに迎合し、無理をして「キラキラ」に見せようとするのはよくありません。大切なのは、やはり、

本音やリアルな実態を、偽ることなく伝えること

です。無理をしてZ世代の気に入る感じに見せ、それで採用に至ったとしても、いざ実際に一緒に働けば、どこかでほころびは出るはずです。それは労使双方にとって不幸でしかありません。

「うわべだけのきれいごとを言っているようでは、信用できないと感じてしまう。本音をきちんと言っているのか、リアルな実態を発信しているのかを、包み隠さず伝える。そういうところは『この会社に入りたい』と思う要素として、とても大きいはずです」

結果としてエントリー数が少なかったとしても、それが本音やリアルな実態を伝えた上でエントリーしてきた人たちならば、「辞退率は低いのでは」と福田さん。

福田さんの言葉を借りると、変にZ世代を意識したり、短絡的に「憧れられる」会社や経営者、社員を目指したりする必要はありません。それよりも、ありのままを、熱意を持ってきちんと伝えることが重要です。デジタルに慣れており、プロモーションも見慣れているZ世代相手だからこそ、嘘をつかない、妙にきれいに見せない伝え方や発信の仕方が大切です。

経営者や社員が「うちの会社はこういうことを実現したいから、一緒にやりたい人、ぜひ1週間でもいいから、まず見にきてほしい」「私はうちの会社のこういうところ(仕事でも雰囲気でも)、めちゃ好きなんです。一緒に盛り上げてください!」くらいのほうが、臨場感や熱量が伝わり、Z世代の胸に迫るものがあるのではないでしょうか。

また、インターンシップを取り入れて、1週間など実際に一緒に働いてみると、お互いに実情が分かっていいかもしれません。その様子を経営者、社員、インターンシップ生(Z世代)がSNSや動画配信すると、リアルな姿が伝わりやすいでしょう。

株式会社Diary 代表取締役社長、就活YouTuber:福田 駿(ふくだ しゅん)さん

福田 駿

■株式会社Diary■
https://diary-inc.com/
■YouTubeチャンネル「しゅんダイアリー」(チャンネル登録数11万人以上)■
https://www.youtube.com/channel/UCdo3Z5oFt04IDMjpjaXN5hw

補足:Z世代に「就活・働き方」について聞いたアンケート

アンケート結果はあくまで一例です。世の中の全てのZ世代にあてはまるわけではありませんが、傾向を知るヒントになるかもしれません。会社を選ぶときには、やりがいや業種などもそうですが、給与の他、休日日数や勤務時間、勤務地といった働く環境も大切にしたいようです。

会社の何を見るか

「有名ではないが業績が安定している中小企業」で働きたいと考えるZ世代も多いようです。

働きたい会社

切磋琢磨(せっさたくま)し合えることより、「和気あいあい」を重視しているようです。

働きたい会社の雰囲気

どちらかといえば、人のサポートをする仕事のほうが望ましいようです。

希望の働き方

以上(2022年10月)

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画像:j.ennifer-shutterstock

【朝礼】趣味がないなら、ボランティアをやってみなさい

私は日ごろから皆さんに、「仕事以外の趣味に費やす時間を大切にしてほしい」と伝えています。それは、没頭できる趣味というのは人生を豊かにするし、職場以外の場所で得た経験というのは、仕事に活かせることも多いからです。

けれど、残念ながら当社には、「趣味は特にありません」という社員が少なくありません。そんな人にお勧めしたいのが、ボランティアです。

知っている人もいると思いますが、私はここ数年、休日を利用して地元の老人ホームで、「傾聴ボランティア」というものをやっています。75~90歳の幅広い年齢の方々から、これまでの体験や日々思っていることを伺うのです。

老人ホームの方々はご高齢なので、聞き取りが難しく、普段の会話よりも時間がかかります。けれど、戦中戦後の体験や私が生まれる前の地元の話を伺うと、驚きや感動があります。

また、老人ホーム内の恋の話を聞くと、いつになっても恋は人を元気にさせるものだなと感心するとともに、「老人ホームの方々に比べたら、私は若輩者。もっと若い気持ちでいなければ」と励まされることがあります。

歌が好きでいきなり歌い出す方や、お手玉が得意で80歳を過ぎて4つ、5つ投げられる方もいて、ヒヤヒヤしつつ、楽しく充実した時間を過ごせます。最後には皆さんからとても感謝されますので、うれしさと満足感を覚えて、気分もリフレッシュします。

そして、最初にお話ししたように、ボランティアは単に人生を豊かにするだけでなく、仕事に活かせることもたくさんあります。

老人ホームでの体験談は、誰もが関心を持って聞いてくれるので、仕事の打ち合わせの際のアイスブレークとして非常に役立っています。また、人生の先輩方のお話から、新しいビジネスのヒントを得ることもあります。

例えば、指が震えてスマホの画面を上手にタップできないとか、箸でうまく食べ物が持てないといった話を聞くと、手入力ではなく音声入力の精度を高めるスマホや、ピンセットのようなバネ付きの箸があるといいなとか、思いますよね。目の前で困っていることがあると、解決してあげたいと思うのが人情で、そういう目線で見ると、高齢者というのはアイデアの宝庫ともいえます。すでに商品化されているものも多いですが、このように、ボランティアの最中にビジネスに関するアイデアがひらめくことがよくあります。さらに、同じボランティア仲間を通じた人脈づくりも進んでいます。

どうでしょう? ボランティアは皆さん自身にとっても、会社にとっても、メリットがあると思いませんか? 社内で学んだことができるようになるだけでは、会社にとって新たな力にはなりません。けれど、皆さんが社外で学んだことを社内に持ち込んでくれれば、会社は新しい力を得ることができ、もっと成長するはずです。 

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】あなたの仕事力を決めるのは「段取り力」です

皆さんは「段取り7分・仕事3分」という言葉を知っていますか。これは仕事のできる大工さんの条件で、「腕の良い大工は、段取り7分・仕事3分」といわれるそうです。能率的で、良い仕事をするためには、事前の段取りが大切であり、段取りをしっかり組める人こそが、腕の良い大工さんであるということです。確かに、大工さんに限らず、仕事ができる人というのは、仕事前のちょっとした時間を使ってうまく段取りを組んでいるものです。段取りが上手な人と一緒に仕事をすると、自分もテキパキと動くことができ、大変だと思われた仕事もあっという間に片付いてしまったという経験はみなさんもあるのではないでしょうか。

段取りを上手に組める能力を「段取り力」といいます。皆さんにも段取り力を上げていただいて、こうした「段取り上手な人」になってもらいたいと思っています。そこで、今日は、私なりの段取り力向上のためのコツをお伝えしようと思います。簡単なことですので、ぜひ、参考にしてみてください。

それは、「常に逆算して段取りを組む」ということです。仕事には必ず「いつまでに終わらせなければならない」という期限があります。ですから、期限から逆算して、それぞれの仕事をいつスタートすれば間に合うかを判断した上で、それらを整理しながら段取りを組むのです。

「そんなの、当たり前のことじゃないか」と思うかもしれません。確かに、これは社会人としてのイロハのイです。しかし、肝心なのは、ただ「逆算して段取りを組む」ことではありません。これが「常にできる」ことこそがこのコツの要点となる部分です。毎日の仕事は、上司からの指示、お客様からのクレームへの対応など、急な用件が次々と入ってきます。このように、あわただしく仕事をしているときにこそ、皆さんの段取り力の真価が問われます。

段取り力の足りない人は、急な仕事が重なると、余裕を失って「逆算して段取りを組む」ことができなくなってしまいます。そして、気持ちばかりが焦って、「とにかく仕事を片付けなければ」とバタバタと目の前の仕事から片付けようとするでしょう。しかし、段取りを忘れたこんな仕事の進め方は、思うようにはかどらない上にミスも発生して、能率が悪いことこの上ありません。

一方、段取り力の高い人は、どんな状況でも焦らず「逆算して段取りを組む」ことを忘れません。ですから、忙しいときでも、次から次へと着実に仕事をこなしていくのです。

「私は、バタバタしがちだな」。そう思う人は、忙しいときに、仕事から離れて5分程度の短い休憩を取るようにしてください。すると、焦っていた気持ちが落ちつくはずです。そうしたら、「常に逆算して段取りを組む」ということを思い出して、冷静な頭で仕事の段取りを組んでみましょう。

すると、その仕事がどんなに大変であったとしても、今まで以上に能率的にこなせるようになるはずです。

以上(2022年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

居眠り運転防止に向けて(2022/10号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

秋の行楽シーズンを迎え、長時間の運転も増えるのではないでしょうか。そこで気を付けたいのが居眠り運転です。運転中に眠気を経験したドライバーも多いと思いますが、運転中の居眠りは重大な事故を招きかねず大変危険です。

今回は、居眠り運転の原因と防止策について取り上げます。

居眠り運転防止に向けて

1.居眠り運転の原因

居眠り運転は、危険への注意や回避ができず、死亡事故など重大事故につながる可能性があります。では、なぜ居眠り運転をしてしまうのか、主な原因を考えてみましょう。

(原因1)睡眠不足

まず最初に睡眠不足があげられます。睡眠は7時間程度が理想と言われています。睡眠時間が短くなるほど事故発生率が高まります。 (図1)

また、睡眠不足が続くと、疲労が蓄積し、居眠り運転や漫然運転を誘発し、信号の見落としや追突事故などを起こしかねません。

睡眠時間による事故発生率

出典:米高速道路交通安全局と全米自動車協会交通安全財団の調査データから当社作成

(原因2) 眠気のリズム

人には12時間周期の眠気のリズムがあり、2~4時と14~16時(起床から8時間後)は眠気が強くなる時間帯です。また、人の生体リズムにより夜半~早朝は眠くなる時間帯です。居眠り運転での死亡事故は
これらの時間帯に多く発生しています。(図2)

なお、これらの時間帯は交通量が比較的少なくなるため、ドライバーは単調な運転になりがちです。

居眠り運転死亡事故の発生時間帯

出典: (警察庁委託調査研究)「睡眠障害と安全運転に関する調査研究報告書」(平成19年3月)から当社作成

(原因3)道路状況

人は単調な環境のもとでは2時間ごとに眠気を感じると言われています。居眠り運転は、空いている道路や直線道路で多く発生しています。(図3)

高速道路などを長時間運転する場合は、居眠り運転に十分注意する必要があります。

居眠り運転発生時の道路状況

出典:公益財団法人 高速道路調査会 平成27年3月「高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究報告書」

2.居眠り運転の防止策

居眠り運転を防ぐには、日頃から適度な睡眠を確保することが大事です。

規則正しい生活を送ることで質の良い睡眠を取ることができます。また、睡眠不足で蓄積した疲労は、睡眠をまとめて取得しても解消しにくいと言われています。

日頃から生活のリズムを意識して、睡眠を7時間程度取得するようにしましょう。

睡眠を確保

運転中に眠気が生じた場合は、以下のような対策をお薦めします。

・仮眠(15分程度)を取得

運転中の眠気の解消には15分程度の仮眠の取得が効果的です。

仮眠が30分以上になると深い眠りに入り、逆効果になりますので注意しましょう。

仮眠を取得

・カフェイン(コーヒーなど)を摂取

カフェインには疲労回復、集中力向上、眠気抑制などの効果があると言われています。ただし、効果が現れるまでに15分程度かかります。

仮眠の前にカフェインを摂取するのもよいでしょう。

カフェインを摂取

・ガムを噛むなど五感を刺激

ガムを噛むと脳の血行が良くなり、眠気を抑えられます。目薬をさす、水を飲む、ストレッチをする、声を発するなど五感を刺激することで眠気を抑えられます。

・長時間運転する場合は、こまめに休憩

長時間の運転では、2時間ごとに眠気が生じやすくなります。この生体リズムを意識して、無理をせず、こまめに休憩するようにしましょう。

3.睡眠時無呼吸症候群

眠気対策をいろいろ試しても、日中に強い眠気を感じる場合、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がれ、いびきや無呼吸を繰り返す症状があり、その影響で日中に強い眠気を感じ、居眠り運転が発生しやすくなります。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に症状が現れるため、本人では気づきにくい病気と言われています。家族からいびきを指摘されたり、日中に強い眠気を感じるようになった場合は、早めに専門医の診断を受けるようにしましょう。

早期発見で適切に治療をすれば、症状の改善が期待できます。

【参考】

公益財団法人 国際交通安全学会のビデオアーカイブのサイト内にある以下の動画をご紹介します。

  • 「睡眠時無呼吸症候群運転絵巻」
  • 「睡眠時無呼吸症候群と交通事故」

https://www.iatss.or.jp/movie/

以上(2022年10月)

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画像:amanaimages