【マーケティング】いまさら聞けない価格戦略のポイント

書いてあること

  • 主な読者:「マーケティング」を意識できる組織を作りたい経営者
  • 課題:マーケティングの概念は幅広く、どこから学べばよいのか分からない
  • 解決策:マーケティングの基本として「マーケティング・ミックス」を学ぶ

1 価格戦略の検討

価格戦略は、自社の売上高や利益を最大化するためのものです。大切なのは、

  • 企業の視点:コスト構造、適正利益など
  • 顧客の視点:顧客の購買力など
  • 競合他社の視点:価格水準など

のバランスを取ることです。

仮に、企業の視点が欠如していると、製品は売れても利益を確保できません。また、顧客や競合他社の情報は収集するのが難しい場合もあるので、必要に応じて外部機関に市場調査を依頼することも検討しましょう。

「いくらで販売するか?」というのは、とても難しい判断です。前述した3つの視点を考慮しながら、強気(高く販売したい)でいくか、弱気(安く販売したい)でいくかを決定する必要があるからです。この記事では、価格戦略のポイントを紹介していきます。

2 需要の価格弾力性

価格を検討する際、「需要の価格弾力性」に注目します。企業の売上高は「売上高=価格(製品単価)×販売量」と考えることができます。一般的に、価格を安く設定すると販売量は増加し、価格を高く設定すると販売量は減少します。

しかし、価格の変化によって販売量が変化する割合は製品によって異なります。この割合を「需要の価格弾力性」といい、次の式で表すことができます。また、需要の価格弾力性は、現在の価格の妥当性など、重要な視点を与えてくれます。

需要の価格弾力性=需要の変化率÷価格の変化率

需要の価格弾力性の絶対値が1よりも大きければ、「需要の価格弾力性が大きい」ということになります。この場合、価格を下げるとそれ以上の割合で販売量が増加するため、値下げすることで売り上げ増加の期待が高まります。

一方、需要の価格弾力性の絶対値が1よりも小さければ、「需要の価格弾力性が小さい」ということになります。この場合、価格を上げてもそれ以上の割合で販売量が減少しないことから、値上げすることで売り上げ増加の期待が高まります。

3 複数の製品の関連性を考慮

1)バンドリング

バンドリングとは、複数の製品をセットにして、それら個々の価格の合計金額と異なる価格で販売する方法で、「セットによる割引販売」が一般的です。ただし、例えば、希少価値の高いシリーズの書籍を、全巻セットで割高で販売するケースもあります。

バンドリングでは、関連性の高い製品をセットにすることが基本です。洋服であれば、夏物のTシャツと短パンがセットになります。つまり、相乗効果が期待できる製品でなければ、あまり意味がないということです。

2)ロスリーダー

一部の製品を非常に安く設定して“目玉”とし、集客を狙うことがあります。こうした“目玉”をロスリーダーといい、この手法は小売業で頻繁に用いられています。スーパーマーケットで「本日の特売品」と売り出されるのが典型例です。

ロスリーダー単体の収益率は非常に低く、時には赤字になります。しかし、消費者がロスリーダー以外の製品も併せて購入することで、全体としては企業の収益が向上します。そのため、ロスリーダー以外の製品の購入を促進することが重要になります。

4 時間軸を考慮

1)繁忙期・閑散期を考慮した価格戦略

消費者の需要が特定の時間・曜日・月などに変化することがあります。例えば、観光地にあるホテルの需要は週末や夏休み・冬休みの時期に集中します。しかし、ホテルの部屋数には限りがあるため、それを超えた需要には対応できません。

このようなケースでは、繁忙期には価格を高く、閑散期には価格を低く設定する「繁忙期の収益を拡大させるとともに、繁忙期の需要を閑散期に誘導する(需要の平準化)」ことで、収益の拡大を図る場合があります。

2)製品ライフサイクルを考慮した価格戦略

製品には、新規に開発されて市場に登場する「導入期」から「成長期」「成熟期」を経て「衰退期」を迎えて市場から消えていく、製品ライフサイクル(Product Life Cycle、以下「PLC」)という考え方があります。

「導入期」は競合他社が少ないので、高めの価格を設定できます。「成長期」は参入企業が増えるので、価格は低くなります。「成熟期」は市場の成長が鈍化して競争が一層激しくなるので、価格は最も低くなります。「衰退期」は生産量の減少などによるコスト上昇や競合他社の撤退などがあるので、成熟期よりも価格は高くなりがちです。

この考え方は一般論であり、実際の価格水準の推移は、個々の製品や業界動向などによって異なります。しかし、業界内における価格水準の推移を予測する上で、PLCを意識することは大切です。

5 購入量などを考慮

製品の購入量や利用回数に応じて価格を変える戦略です。例えば、大量購買による割引が代表的な例です。また、顧客を購入金額や来店頻度で区分し、優良顧客に特別な価格で販売するフリークエント・ショッパーズ・プログラム(FSP)も一例です。

この戦略は、「まとまった量を販売することで、原料・輸送などのコストが削減できる」「購入量・利用回数などに応じて価格を割り引くことで、自社製品を継続的に購入させるインセンティブを提供できる(優良顧客を囲い込むことができる)」といった場合に有効です。

6 消費者の心理を考慮

1)端数価格

「Tシャツ1枚1980円」など、小売・サービス業などの店頭には「8」や「9」の付いた価格の製品が多く並んでいます。こうした価格を端数価格といいます。金額的には20円しか違わないTシャツでも、1980円と2000円では印象が全く異なります。

多くの消費者は、1980円のTシャツに対して「1000円台の安い価格である」という印象を持つものです。また、「1」や「2」といった数字ではなく、「8」や「9」という点も重要なポイントです。

「8」や「9」が付いた価格に対して、消費者は「最大限に値引きされたお買い得な製品」という印象を抱く傾向があるようです。端数価格を付けると需要の価格弾力性は大きくなり、特に食品や日用雑貨などの最寄り品に有効とされています。

2)威光価格(名声価格)

購入頻度が低い宝飾品などの場合、消費者は、製品の品質を適切に判断できないことがあります。サービスについても、初めて利用するときは、事前にその品質を判断することができません。

こうした場合、消費者は「高価格=高品質」「低価格=低品質」として、価格を重要な品質の判断基準とします。このような傾向を鑑みて、「高品質」を訴求するために、あえて高い価格を設定するのが威光価格(名声価格)です。

3)慣習価格

業界内の価格が統一的であったり、1つの製品を長期間にわたって同一価格で販売していたりすると、消費者の心の中に「この製品の価格は○○円である」というように、固定観念が形成される場合があります。こうした価格を慣習価格といいます。

慣習価格に対して、わずかでも高い価格を設定すると、消費者は「この製品は高い」と感じるため、需要は激減してしまいます。また、製品によりますが、慣習価格よりも低い価格を設定しても、それほど需要量は増加しない傾向があるようです。

7 過度な価格競争を避ける

競合他社が多い業界では、価格競争が起こりがちです。価格競争が過熱し、どの企業も引くに引けない状況に陥ってしまうと、勝った企業ですら疲弊してしまう「勝者なき戦い」に至ります。

これを避けるためには、価格以外の面で差異化を図り、競争の軸足を他に移さなければなりません。方策としては、「製品の機能やデザインによる差異化」「付随サービスによる差異化」「製品や企業のブランド力向上による差異化」などがあります。

ただし、差異化が図れるようになるまでには時間がかかります。そこで、過度の価格競争を回避するための即効性のある方法の1つとして、「過度の価格競争を行わない」というシグナルを市場に発信することが重要になります。

例えば、相手が値下げを行っても、対抗的な値下げをしないというのも一策となるでしょう。また、「自店の価格が他店より高ければ、他店の価格より安くします」といったメッセージも有効です。

これは一見、「値引きには、更なる値引きで応じる」という徹底抗戦に感じます。しかし、一方で「価格で競争しても無意味ですから、お互い過度な価格競争はやめましょう(できれば、同程度の価格で販売しましょう)」という意味も含んでいるのです。

こうしたメッセージは、顧客に対しては「常に最安値で製品を提供します」という自社の姿勢を明確にする一方で、競合他社との過度な価格競争を抑制する役割を果たすという点で効果的です。

以上(2022年8月)

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画像:photo-ac

【朝礼】計画と準備があなたの人生を充実させる

夏の時期は、夜になっても暗くなる時間が遅く、午後6時はまだ夕方という感覚です。逆に、冬になると午後5時過ぎにはすっかり暗くなり、夜になるのは早いものだなと思います。

こんな具合に、1日の長さの感じ方というのは季節ごとに変わるものですが、実際には1日の時間は24時間であり、これは1年を通して変わることはありません。

この1日の時間、24時間というのは、誰にとっても同じです。決して、人によって長くなったり短くなったりすることはありません。つまり、時間はすべての人に平等に与えられているということなのです。そして、仕事を進める上でも、皆さん自身が何かを勉強するときでも、この限られた時間をどのように使うかが、何よりも大切なことなのです。

時間を上手に使うための方法として皆さんに心がけていただきたいのが、「計画」と「準備」を怠らないということです。

考えてみてください。皆さんが、家族や友人と旅行やレジャーに出かけるときは、入念に下調べをして、計画を立てませんか? 行き当たりばったりの旅が楽しいという方もいるかも知れませんが、限られた時間の中で最大限に旅行やレジャーを楽しむならば、事前に宿や交通機関、旅行先のお店などの情報を集めた方が、確実に効率がよいはずです。

このことを、仕事に置き換えて考えてみましょう。皆さんは毎日、行き当たりばったりで仕事をしていますか? きっと、そんなことはないと思います。

突発的な仕事が入ることはあったとしても、基本的には、仕事のスケジュールというのはある程度決まっているはずです。では、その仕事を効率的にこなすためには何が必要なのか。それが、「計画」と「準備」なのです。

今週は何の仕事をしなければならないのか、優先順位はなんなのか、それを常に考えてください。そして、できるだけムダのない方法や手順で仕事を進める計画を立ててください。そして、計画を立てたら、仕事を効率的に進めるための準備からとりかかってください。

例えば、営業提案書を作成している途中で資料が不足していることがわかって、慌てて集めに走る。あるいは、製造の途中で部品が足りなくなってしまう。これは、明らかに計画と準備の不足が生んだムダであり、あらかじめ避けることができる性質のものです。

こうしたムダがなくなれば、仕事の効率は上がり、時間をもっと有効に使うことができます。そしてそれは、皆さん自身のプライベートの時間が増えるということでもあります。

私は、皆さんには仕事を頑張っていただくのと同じくらい、個人的な勉強や私生活も充実させていただきたいと考えています。そのためにも、計画と準備を意識して、ムダのない仕事、ムダのない時間の使い方をしていただきたいと思います。

以上(2022年8月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】“良く”見せるか、“リアル”を見せるか

少し気が早いですが、来年の大河ドラマ「どうする家康」が6月よりクランクインとなったそうです。主人公は皆さんもご存じの徳川家康。織田信長、豊臣秀吉の跡を継いで、戦国の世の最終勝利者となり、約260年続く江戸時代の礎を築いた人物です。ところでこの家康、「どうする家康」の前にも過去2回、大河ドラマの主人公になったことがあります。1983年の「徳川家康」と、2000年の「葵(あおい)徳川三代」です。どちらも名作ですが、面白いのは家康という同じ人物を扱っていながら、そのキャラクター像が大きく異なるという点です。

1983年の「徳川家康」では、戦国の世を終わらせて天下泰平を成し遂げようとする求道者のような人物として描かれました。家康の生涯最後の戦いとなった「大坂冬の陣・夏の陣」でも、敵方である豊臣秀頼の命を助けようとするなど、慈悲深くヒロイックな面が強調されていました。従来のたぬきおやじのイメージを脱却した“良い”家康像は、当時としては斬新で話題になりました。

一方、2000年の「葵徳川三代」では、戦国の世を長年生き抜いてきた老獪(ろうかい)な戦略家として描かれ、徳川家の天下を盤石にするためには手段を選ばない非情な一面が強調されました。大河ドラマでは視聴者の共感を得るため、主人公の暗い側面は控えめに描写されることが多いのですが、この作品ではあえてそれらを前面に押し出した“リアル”な家康像が評判になりました。

私は、このキャラクター像の違いは、家康という人物をどの側面から描くかというところからきていると思っています。家康を約260年間の平和をもたらした人物という側面から掘り下げるなら、「徳川家康」のような描き方になるでしょうし、豊臣家から天下を奪った人物という側面から掘り下げるなら、「葵徳川三代」のような描き方になるのでしょう。

ビジネスでも同じようなことがいえます。私たちは当社の商品・サービスに誇りを持っていますが、もちろん商品・サービスは完全無欠というわけではなく、長所もあれば短所もあります。問題は、例えばお客さまや取引先と、商品・サービスについて話をする場合、どの側面を強調するかです。

恐らく皆さんの多くは、商品・サービスの話をする場合、いかに長所を強調するか、つまり“良く”見せるかが大事と考えているでしょう。もちろん、そういうケースも多いですが、お客さまや取引先の中には、長所ばかりを強調されると、うさん臭く感じて警戒する人もいます。そうした場合、あえて腹を割って短所についても話をする、つまり“リアル”を見せた上で、商品・サービスを利用するメリットをお伝えしたほうが、相手の信頼が得られることがあります。どの商品・サービスをお薦めするかだけでなく、その説明の仕方についても、お客さまや取引先が何を望んでいるかを考えながら対応してください。

以上(2022年8月)

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画像:Mariko Mitsuda

【マーケティング】いまさら聞けない製品戦略のポイント

書いてあること

  • 主な読者:「マーケティング」を意識できる組織を作りたい経営者
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  • 解決策:マーケティングの基本として「マーケティング・ミックス」を学ぶ

1 製品戦略の検討

製品戦略は、製品間の相互関係を考慮しながら製品ごとに検討します。大切なのは、

  • 製品アイテム:個々の製品。例えば、カップラーメンなど
  • 製品ライン:特定のカテゴリーの製品アイテム群。例えば、しょうゆ味や塩味など
  • 製品ミックス:企業が扱う複数の製品ライン群。例えば、レトルト食品など

の視点で考えることです。

これらについて、対象製品の現在の収益性と成長性を考えつつ、他の製品アイテム・ラインとのシナジー効果や相互依存性などを確認します。例えば、カップラーメンの「しょうゆ味」は収益性と将来性が乏しくても、最もベーシックな製品をラインアップから外すことは難しいので、「製品アイテム」「製品ライン」から補完性を考えます。

2 新製品の種類

移り変わりの激しい市場に対応するには、自社の製品アイテム・ラインに、より市場動向を捉えた新製品を加えていく必要があります。新製品には「市場にとっての新製品」と「企業にとっての新製品」とがあります。

「市場にとっての新製品」は、他の企業が製品化していない新製品です。一方、「企業にとっての新製品」は、市場にある製品に新機能を追加した製品などです。社会的には「市場にとっての新製品」のほうが重要ですが、企業としてはハイリスク・ハイリターンになります。しかも、これを次々と開発するのはほぼ不可能なので、「企業にとっての新製品」も重視する必要があります。

3 新製品開発の基本プロセス

1)アイデアの創出

新製品に関するアイデアの源泉は、社内由来と社外由来に分かれます。社内由来は、従業員の意見やアイデアが中心です。一方、社外由来は、消費者や取引先からの意見、競合他社の動向などがあります。

2)スクリーニング

アイデアが新製品としてふさわしいか否かを検討します。スクリーニングは、最初に経営戦略との整合性を確認して不適切なものを排除します。次に、調査やシミュレーションで事業性分析を行い、有望なアイデアを見いだしていきます。

3)製品開発とテスト

スクリーニングで残ったアイデアを基に、製品(試作品)を開発し、テストを実施します。テストは、機能や品質といった製品本体に関するものの他、テストマーケティングも含まれます。

テストの結果に応じて製品の改良などを行います。また、試作品の開発とは異なる量産品向けの製造工程の構築(素材の仕入れ先、製造ライン、製造委託先、物流など)についても、十分に検討しなければなりません。

4)市場導入

「新製品」を市場に導入します。その際、タイミングに注意しましょう。市場動向といった外部要因や、事前のプロモーションの進捗状況など企業の内部要因などを見極めた上で、最適なタイミングで市場に導入します。

ここで紹介したのは、一般的なプロセスです。実際は「『テスト』の段階で行った消費者への調査が芳しくないため、製品開発を初めからやり直す」といったように、さまざまな形で進行します。

4 製品差異化の基本的視点

差異化は、製品の品質・デザイン・機能だけではなく、価格・チャネル・プロモーションといったマーケティングの構成要素、あるいはブランドなど、さまざまな要因の組み合わせで実現されます。ここでは製品に限定した考え方を紹介します。

製品差異化を検討する際は、消費者が求めるベネフィットである「製品の核」を見直し、それを実現するために必要な「製品の形態」「製品の付随的機能」を考えます。

製品差異化というと、とかく既存製品にはない新たな機能(「製品の形態」や「製品の付随的機能」)の付加が考えられがちです。しかし、それを追求した結果、消費者が求めるベネフィットとは無関係の機能が付加されることもあります。

例えば、インターネットサービスの中には、セキュリティー確保のために何段階もの承認を求めるものがあります。こうしたサービスは、セキュリティーの高さで他と差異化が図られていますが、消費者は面倒だと感じ、支持していない可能性があります。

「製品の核」から見直して製品差異化に取り組むことは、こうした問題を防ぎ、消費者が本当に求めるベネフィットを提供し、消費者から支持される差異化製品を生み出す上で効果的です。

また、「製品の核」から見直された差異化製品は、必ずしも新たな機能が付加されたものではないことがあります。逆に、製品自体をシンプルにして成功している企業もあります。

このように、製品差異化のポイントは、「新たな機能の付加」を目的とするのではなく、最初に「製品の核」を見直し、それを実現するために必要となる「製品の形態」や「製品の付随的機能」を、ゼロベースで検討することにあります。

5 ライフサイクル

1)製品ライフサイクルとは

製品には、新規に開発されて市場に登場する「導入期」から「成長期」「成熟期」を経て「衰退期」を迎えて市場から消えていく、製品ライフサイクル(Product Life Cycle、以下「PLC」)という考え方があります。

「導入期」は新製品が市場に投入された段階です。企業は、さまざまなプロモーションなどを通じて、投入した新製品の認知度向上と市場拡大を図ります。

「成長期」は導入期のさまざまな企業努力が実を結び、市場が急速に拡大していく段階です。市場の成長性などを見た競合他社の参入が増加します。

「成熟期」は市場の成長が鈍化して、頭打ちになる段階です。既に多くの競合他社が参入しているため、市場内での企業間競争が激化します。

「衰退期」は市場が急速に縮小する段階です。その要因は、消費者ニーズの変化、技術の発展などによる代替製品の登場など、いろいろとあります。

2)軌跡はさまざま

PLCに準拠した過程をたどる製品が少なくないことから、PLCは製品戦略を検討する際の重要な視点を与えてくれる考え方といえます。ただし、全ての製品がPLCのような軌跡をたどるわけではありません。

新製品として市場に投入したものの、消費者の支持が得られずに市場から消えていく製品があります。つまり、「成長期」「成熟期」を迎えることなく「衰退期」に至るわけです。

3)製品ライフサイクルの留意点

PLCは、製品戦略に関して広く普及している考え方の1つです。しかし、この考え方を実際の製品戦略に活かすためには問題があります。例えば、実際に販売されている製品が、PLCのどの段階に位置しているかを把握することは簡単ではありません。

PLCには「売上高が○カ月間、横ばいで推移したら『成熟期』である」といったような明確な基準がありません。個々の製品によってPLCの時間軸が異なるため、現在、販売している製品がPLCのどの段階にあるのかを明確に把握することは容易ではないのです。

また、PLCは、消費者ニーズや技術動向の変化などによる「製品の寿命」という、企業の外的要因が及ぼす影響を重視した考え方です。しかし、実際の売上高は、こうした外的要因の影響のみによって決定するわけではありません。

例えば、マーケティング戦略の優劣によっても売上高は変わります。従って、売上高が低下傾向にあるからといって、「この製品は衰退期(あるいは成熟期後期)である」と安易に判断すると、可能性のある製品の寿命を企業自ら縮めてしまう恐れがあります。

6 陳腐化政策

1)計画的陳腐化

製品戦略の一般的な考え方は、製品の寿命を長く保ち、多くの収益を上げることです。計画的陳腐化はその逆で、製品の寿命を意図的(計画的)に短くしつつ、新製品を投入して消費者の買い替え需要を刺激して、売り上げを上げるというものです。

代表的な例は、毎年異なる流行色やデザインの製品を販売しているアパレル業界です。「寒さをしのぐ」「肌を隠す」というような、服本来の目的を果たす上では、前シーズンに購入した服でも十分なはずです。

しかし、前シーズンと異なる流行色やデザインを取り入れた服を新たに販売して、前シーズンの服を計画的に「流行遅れ」とすることによって、新たな需要を喚起しているのです。

2)計画的陳腐化の留意点

計画的陳腐化は、買い替え需要を促進する有効な手法の1つですが、注意も必要です。例えば、計画的陳腐化を実施できるのは、「買い替え需要は、自社が販売する代替製品に集まる」ことが前提です。

当然ですが、計画的に陳腐化した製品の売り上げが減少する上に代替製品も売れなければ、企業として収益を確保する道が断たれてしまいます。こうした予想が立てにくいならば、既存製品をてこ入れしたほうがよいでしょう。

また、消費者の目にも注意しましょう。計画的陳腐化は社会的なムダを意図的に発生させるものでもあります。環境保護など企業の社会的責任に対する消費者の視線が厳しくなる現在、計画的陳腐化によって企業が社会的な批判にさらされる恐れがあります。

以上(2022年8月)

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画像:pixabay

中小企業の経営者が知っておきたい 事業承継のお金や税金に関すること

前回は中小企業の事業承継で何を引き継ぐのか、概要を解説したが、今回はより具体的に、事業承継のお金や税金に関することを中心として、制度や特例にも触れていく。また、親族内承継と親族外承継の違いと問題点や解決策についても解説する。

(日本法令ビジネスガイドより)
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70歳雇用継続時代を見据えた 定年後再雇用者の活用と有期特措法第二種計画認定

今後ますますニーズが高まるであろう、有期雇用特別措置法の第二種計画認定の手続きについて解説するだけでなく、第二種計画認定を単なる手続きで終わらせない、自社の高齢労働者を活かすための措置の実施についても検討していきます。

(日本法令ビジネスガイドより)
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精神障害に関する労災を防ぐために

6月に厚生労働省より、令和3年度「過労死等の労災補償状況」が公表されました。これは過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、取りまとめたものになります。
本稿では、本資料の傾向を読み解きながら、労災に関するリスクについてご案内いたします。

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精神障害に関する労災を防ぐために

6月に厚生労働省より、令和3年度「過労死等の労災補償状況」が公表されました。これは過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、取りまとめたものになります。
本稿では、本資料の傾向を読み解きながら、労災に関するリスクについてご案内いたします。

1 労災補償状況の傾向

公表資料を見ると、「脳・心臓疾患」に関する事案の労災支給決定件数については、減少傾向がみられるものの、「精神障害」に関する事案については、増加傾向かつ過去最高の件数となっており、喫緊の対策が求められていることが見て取れます。

■脳・心臓疾患の労災補償状況

脳・心臓疾患の労災補償状況

■精神障害の労災補償状況

精神障害の労災補償状況

2 「精神障害」の労災支給決定の原因となった出来事

それでは、増加が懸念される「精神障害」に関する事案について、具体的にどのような出来事を原因として労災が認定されているのでしょうか。資料を見ると、ハラスメントに関わる支給決定件数が約3割を占めていることが見て取れます。

■精神障害の出来事別決定及び支給決定件数一覧

精神障害の出来事別決定及び支給決定件数一覧

※支給決定件数上位6件を記載
※「特別な出来事」は、心理的負荷が極度のもの等の件数

3 ハラスメントが発生する職場の特徴

昨年公表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」では、パワハラを受けた方がいる職場の特徴として次のものがあがっています。

■職場の特徴(パワハラ経験有無別)現在の職場でパワハラを受けた方の数値

職場の特徴(パワハラ経験有無別)現在の職場でパワハラを受けた方の数値

※上位5件を記載

4 さいごに

パワハラという一事を取り上げましたが、前述の労災認定の出来事すべてにおいても、上司と部下との職場のコミュニケーションがあれば、「精神障害」の労災を回避できる可能性は高まるのではないでしょうか?今一度、職場のコミュニケーションを見返し、活性化を図ってみることをお勧めします。

※本内容は2022年7月12日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac

駐車場での事故防止(2022/08号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

駐車場は安全だと思い込んでいませんか?

歩行者が少なく、車も低速で走行する駐車場では、事故の危険を想定していないドライバーも多いと思います。しかし、車両事故の約3割は駐車場で発生しているとも言われており、駐車場には事故の危険が多く潜んでいます。

今回は、駐車場に潜む事故の危険と、事故を防ぐためのポイントについてお伝えします。

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1.駐車場事故の発生状況

令和3年の交通事故件数について、交通事故全体と駐車場での事故における人対車両事故の占める割合を比較すると、駐車場での事故は約2.5倍になっています。

また、車両相互事故件数について、後退時の事故が占める割合を比較すると、駐車場での事故は約13.5倍になっており、駐車場での車両相互事故の半分以上が後退時の事故です。

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出典:公益財団法人交通事故総合分析センター令和3年版「事故類型別(詳細)・昼夜別 道路線形別 全事故件数」より当社作成

駐車場で人対車両や後退時の事故の割合が多い理由として、以下の要因が考えられます。

【環境】

  • 歩行者や車の動きが不規則である。
  • 駐車車両や柱等の構造物による死角が多い。

【心理】

  • 駐車場に入ると、緊張がほぐれ油断しやすい。
  • 駐車スペースを探すことだけに集中してしまい、周囲の状況が見えにくくなる。

【操作】

  • 狭いスペースへのバック駐車など、運転操作が複雑である。
  • 車の前後左右の距離感を見誤る。

※公益財団法人交通事故総合分析センターの統計は人身事故の集計となっています。
※駐車場の定義は、公益財団法人交通事故総合分析センターの交通事故統計において「一般交通の場所」(「一般の交通の用に供するその他の※道路」に該当する場所及び事故が発生した道路が高速道路、国道、都道府県道等に付属して設けられているサービスエリア、パーキングエリア※等の場合をいう)としています。

2.駐車場に潜む事故の危険について

駐車場でよくある事故の事例から、駐車場に潜む危険について考えてみましょう。

【事例1】

駐車車両の死角から現れた歩行者との事故

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駐車場には駐車車両や柱等の構造物による死角が多く、歩行者が思いがけないところから現れたりします。

駐車場内の歩行者は、ドライバーが予測しにくい行動をすることがあります。

【事例2】

バック駐車時の駐車車両との接触事故

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狭いスペースへのバック駐車では、アクセル・ブレーキ・ハンドルの操作が頻繁となり、見落としや見誤りが生じるおそれがあります。

後続車が待っていると、「早く駐車しなければ」と焦りも生じ、安全確認が疎かになることがあります。

【事例3】

駐車場通路でのバックによる後続車との接触事故

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駐車スペースから出る車のために不用意にバックをすると、後続車と接触するおそれがあります。

駐車場通路でバックしたときに後続車等とぶつかってしまったというケースも少なくありません。

3.駐車場での事故を防止するためのポイント

駐車場では、以下の点に留意して、安全運転を心がけましょう。

  • 駐車場も道路の一部と考えて、油断したり気を抜いたりしない。
  • 駐車場では、常に徐行する。
  • バック駐車をするときは徐々にバックし、少しでも接触の危険を・感じた時は、無理をせず、もう一度やり直す。
  • バックモニターやクリアランスソナーが装備されている場合でも、それに頼り切らず、必ず自分の目でも後方の安全を確認する。
  • 発進するときは、両脇の車両との間隔に注意するとともに、通行・車両や歩行者がいないか、必ず確認する。

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バック駐車する時は歩く速度で慎重に!

以上(2022年8月)

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画像:amanaimages

【朝礼】上を向こう。下も見よう。小さなことを見逃すな

1960年代に大変な人気を集めた、坂本九さんという歌手がいらっしゃいました。この方の代表的な歌で、アメリカでも大ヒットした「上を向いて歩こう」という曲があります。歌詞は、「上を向いて歩こう、涙がこぼれないように、思い出す春の日、一人ぽっちの夜」という、どちらかといえば悲しい気持ちを歌ったものです。これは、作詞を担当した永六輔さんが、つらいことがあって落ち込んでいたときに、ある人から「泣きたいときこそくよくよしないで上を向きなさい」と励まされた体験が基になってできた歌詞だといいます。

悲しいことやつらいことがあったときこそ、上を向いて、希望を持ち、前向きでいようというこの歌は、私たちにとっても、生きていく上で大切な気持ちの在り方を教えてくれていると思います。

こうした気持ちを持ち続けることができれば、ビジネスパーソンとしてもよい仕事ができるでしょう。ただし、ビジネスパーソンは上を向いているだけでは十分ではありません。上だけでなく、下もしっかり見ておくことが求められます。

ここで、私がいう下とは何か、それは決して「落ち込んだときにはしょぼくれていい」ということではありません。「毎日の仕事や生活の中で起きている、見逃してしまいがちな小さな出来事から目をそらさず、しっかりと見つめて何かに気づくことが大切だ」ということです。

毎日の出来事とは、例えば営業の仕事であれば、営業活動の中で聞くことができたお客様のちょっとした要望や不満、自社の商品を自分で使ってみた感想などがそれに当たるでしょう。

製造現場の仕事であれば、気づいてはいてもなんとなく見逃してしまっていた作業手順の非効率さや、逆に小さな工夫で効率を上げることができることはないかという、小さなアイデアがそれに該当するかもしれません。生活の中で気づいた「こんな商品があったらいいな」というちょっとした気付きも、そんな小さな出来事の一つでしょう。

要するに、毎日の仕事や生活の中で「足元で起きている小さな出来事をしっかりと見ることが大切である」ということを忘れないでほしいのです。

人はもちろん、前向きに上を向いて歩いていくべきだと思います。そうしなければ、仕事の上でもみなさんのプライベートな生活の上でも進歩や向上は得られないでしょうし、私自身もそうありたいと努力しています。けれども、ただやみくもに上ばかりを見て、自分自身の足元を見ないのは「高望み」のように思えます。足元が見えていなくては、逆につまらない石ころにつまずいて転んでしまうことにもなりかねません。

ビジネスでも生活でも、より良いものを作り出す、あるいは良いものへと育てていくための種は、小さな気付きだと私は思っています。その種は、目を凝らしていなければ見えないとても小さなものかもしれません。その小さな種を見逃さないためにも、自分自身の身の回りにあることに気を配り、常に足元を見ることを忘れないようにしましょう。

足元を固めているからこそ、上を向いて、希望を持ち、前向きでいることに自信が持てるのです。

以上(2022年8月)

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画像:Mariko Mitsuda