【朝礼】お客さまの数だけ“ニーズ”がある

先日、連休を使って実家に帰った際、父と母と3人で東京都八王子市にある高尾山にハイキングに行きました。今日は、その高尾山で感じたことを皆さんにお話ししたいと思います。

私が普段あまりハイキングをしないということもあるのでしょうが、高尾山の麓に到着したとき、私はまず人の多さに驚きました。最寄り駅からすでに人だかりができて、山に入るのも一苦労。登山者も、父や母よりはるかに年上の方、子連れの外国人の方、ベビーカーを押す赤ちゃん連れの夫婦などさまざまでした。

後から調べてみると、高尾山の登山者数は年間約300万人で、登山者数が世界一の山といわれているそうです。なぜ、それだけ人気があるのか。理由は色々と考えられるでしょうが、私は「人によってさまざまな楽しみ方ができる山だからではないか」と思いました。

例えば、山の麓から中腹までは、大人数乗りのケーブルカーと2人乗りのリフトが通っています。どちらも山の景色をゆっくり楽しめますが、ケーブルカーは急勾配の斜面に敷かれた線路がまるでジェットコースターのようで、小学生ぐらいの子どもが大はしゃぎしていました。一方、リフトのほうは帰りに乗りましたが、2人乗りでゆったりとくつろげるため、夫婦やカップルの人たちが多く利用していました。また、からだ全体で風を受けるのがとても心地よく、汗をかいた後で乗ったときの気分は爽快でした。

高尾山は、緑がきれいな山ですが、一方で、修験道(しゅげんどう)の山としても知られています。登山道の途中には修験道となじみの深いてんぐの像があり、外国人の方などが興味深く見ていました。また、高尾山の山頂付近には名物のとろろそばが食べられるお店があり、登頂の達成感と一緒にそばを味わうこともできました。

つまり、一言で「ハイキング」といっても、その中に景色、乗り物、歴史、グルメなどさまざまな楽しみがありました。そこで、ふと思ったのは、「私たちは、日ごろ商品やサービスを提供する際、お客さまの“ニーズ”を勝手に決めつけていないか」ということです。

通常、商品やサービスには、象徴的なユーザーである「ペルソナ」がいて、私たちはそのペルソナに商品やサービスを使ってもらえるよう工夫します。これはマーケティングの基本ですが、一方で私は最近、会社から提示されたペルソナにとらわれすぎて、自分でお客さまそれぞれのニーズを推し量ることをしていないように思います。

高尾山にさまざまな楽しみ方があるように、お客さまが商品やサービスに求めるニーズは、細かく見ていけば一人ひとり異なります。ペルソナを押さえるのは大事ですが、「この商品・サービスは○○のために使うものだ」と決めつけず、お客さまのさまざまなニーズを推量し、「あんなケースでも、こんなケースでも使える」と提案できるようになりたいと思った今日このごろです。

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda

時代に合わせ、三度の業種・業態変更で成長。ミモザ藤田社長に聞く、変化を生み出しチャレンジし続ける秘訣。

藤田淳一(ふじた じゅんいち)

プロフィール
株式会社ミモザホールディングス代表取締役社長。インターネットショップ運営などを手がける株式会社ミモザ情報システム、株式会社ベクルックスの代表も務める。

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常に次を見据えて事業を拡大

―― 本日はよろしくお願いします。はじめに改めて事業内容を教えてください。

インターネットを使ったビジネスをしています。ホールディングス化していて、ミモザ情報システムでは対企業、ベクルックスでは対個人と、お客様によって会社を分けています。

事業としてはインターネットショップの運営が中心です。ソフトウェア系と事務系に分けて、13ショップを運営しています。特徴は、「1メーカー1ショップ」にしていること。運営側としては、さまざまなメーカーの商品と取り扱う総合ショップの方が運営しやすいのですが、お客様からすると分かりにくい。そのためショップを分けて、お客様の使いやすさにこだわっています。加えて強みをつくるために、大手ネットショップではなかなか手が届かない、商品知識や業務知識など、専門性の高い発信を強化しています。

加えて、対企業においてはネットショップをご利用いただいている全国のお客様から、システム案件も受注しています。商材である財務会計や給与計算のソフトの導入や、バージョンアップのお手伝いなどです。顧客リストは全国14万社。中小企業を中心に、多業種にサービスを展開しています。

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―― 今の事業に到るまで、業種や業態を変えてきたと伺っています。創業からこれまでの沿革を教えてください。

創業は29年前、ちょうどWindows95が出た頃のことです。データ入力とパソコンの訪問販売の事業から始まりました。私は大学卒業後企業に入社し、データ入力などの仕事をしていましたが、自分でやりたいという思いがあり独立したのです。

しかし、しばらくやってみると、データ入力とパソコンの訪問販売は人海戦術となる上に単価が安く、継続が厳しいと感じました。
目をつけたのは財務会計や給与計算などの業務ソフト。業務ソフトであればさまざまなジャンルがあり、導入する際に業務知識も必要なので、サポートが必要とされるだろうと考えたのです。これが当たって、売り上げが伸びました。その段階で社員を採用し、徐々に組織ができました。

ただ業界が伸びると競合他社も爆増。次の事業を作る必要を感じていました。さまざまな事業を試してみる中で、現在のネットショップ事業にたどり着いたのです。ミモザは常に変化してきた会社と言えるのではないかと思います。

現状維持=右肩下がり。ルールの範囲で常にチャレンジを

―― ミモザグループでも、「変化する社会の動きを的確に捉え、求められるサービスを創造する」ことを経営理念に置かれていますよね。積極的にチャレンジし変化することに対して、どんな思いをお持ちですか?

現状維持=右肩下がりでしかないという怖さがあります。もっと会社を大きくしたいと考えているので、現状に満足していません。

例えば同時期に起業した人が成功しているのを見れば、「なんで彼にできて俺にできないんだろう」と思う。負けん気ですよね。上には上がいますし、相手は勝負している気なんてないでしょう。自分で勝手に勝負をしているだけですが、常に上を目指しています。

―― チャレンジに対する怖さはありませんか?

チャレンジのほとんどは失敗しますよ。ただ怖さはありません。今も昔も変わらず、失敗しても元に戻れるならやろうと考えているのです。例えば、1,000万投資して売り上げがゼロでも、始める前のかたちに戻れるならやろう、と。

―― チャレンジのルールを決めていらっしゃるのですね。

そうです。思いついたらある程度検討して、まずやってみます。他に大事にしているのは撤退ラインを決めることです。始める前に、いつまでにどれくらいの成果が出なかったらやめる、と決めています。

それから、思いつけばなんでもいいというわけではなく、これまで成功してきた「インターネット」「中小企業」というキーワードの中で事業をすることにしています。今の事業に全く関係のない飛び地での事業はリスクが大きい。今後を見据え、地続きの領域で事業を展開したいと考えています。

ビジネス・リポートONLINEで事業検討と社員教育

―― 日経トップリーダー経営者クラブでは、サービスの一環として豊富なビジネス情報を蓄積した「ビジネス・リポートONLINE」をご提供しています。藤田さんは「ビジネス・リポートONLINE」のヘビーユーザーのようですが、どのようにご活用いただいていますか?

まず、自分自身の勉強のために見ています。例えば、税制や社会保険制度の改正などがあった際、ビジネス・リポートONLINEにはポイントをまとめた記事がアップされます。それを読んで、自分が得ている情報に漏れがないか確認するようにしています。新聞の見出しのように記事のタイトルを見て情報を把握し、漏れがあった場合は記事を詳しく読み、自分でも追加で調べるようにしています。新しいことを常に考えているので、新規事業のタネになるかなど、さまざまな視点で幅広い分野の記事を読みますね。

あとは、記事をダウンロードして社員に毎日配信しています。例えば、会計・税務分野の記事を経理担当の社員に「この部分を詳しく理解してほしい」と個別に伝えることもあります。社員も読んでくれているようで、前後編に分かれている記事が出た際は、社員から「後編の配信はまだですか?」と聞かれることもありました。経営者仲間にも勧めています。

新入社員向けの記事はよくありますが、中堅、役員などそれ以外の年代や、担当業務別の情報があるとさらに嬉しいです。

社員の想いから変化が生まれる組織に

―― ありがとうございます。営業など業務別の記事の配信を増やしていく予定なので、ぜひご確認ください。最後に、今後の展望について教えてください。

今後は、事業拡大が目標ですね。今はありがたいことに経営が安定し、チャレンジできる幅が広がりました。大きく売上を上げられるような新規事業を作りたいと考えています。ただ、ホームランは狙って打てるものではありません。ヒットをコツコツ積み重ねる中から、ホームランが生まれればいいと思っています。

課題は、ヒト・モノ・カネとそれぞれありますが、中でも特に人です。20代〜40代まで多様な年代の社員がいる中で、一人ひとりの考え方はもちろん違いますし、ジェネレーションギャップもあります。それをどう乗り越えて会社を運営していくかが難しいところです。自分の根底にある、変化を好む、チャレンジをしていく想いは変えるつもりはありません。でも、変化量やチャレンジ幅は人に合わせて調整しなければならないと感じています。

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今は全てトップダウンで決定しており、それも悪くないとは思っています。ただ、もっといろいろな部署からさまざまな想いが上がってきて、新しい変化を生み出せるようになるとより良いですね。今は、社員が一生懸命やっていることが褒められるのが一番嬉しいです。仕事とプライベートの区別はつけながら、透明性を保って会社としてチャレンジしていきたいです。

以上(2022年6月)

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時代に合わせ、三度の業種・業態変更で成長。ミモザ藤田社長に聞く、変化を生み出しチャレンジし続ける秘訣。

藤田淳一(ふじた じゅんいち)

プロフィール
株式会社ミモザホールディングス代表取締役社長。インターネットショップ運営などを手がける株式会社ミモザ情報システム、株式会社ベクルックスの代表も務める。

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常に次を見据えて事業を拡大

―― 本日はよろしくお願いします。はじめに改めて事業内容を教えてください。

インターネットを使ったビジネスをしています。ホールディングス化していて、ミモザ情報システムでは対企業、ベクルックスでは対個人と、お客様によって会社を分けています。

事業としてはインターネットショップの運営が中心です。ソフトウェア系と事務系に分けて、13ショップを運営しています。特徴は、「1メーカー1ショップ」にしていること。運営側としては、さまざまなメーカーの商品と取り扱う総合ショップの方が運営しやすいのですが、お客様からすると分かりにくい。そのためショップを分けて、お客様の使いやすさにこだわっています。加えて強みをつくるために、大手ネットショップではなかなか手が届かない、商品知識や業務知識など、専門性の高い発信を強化しています。

加えて、対企業においてはネットショップをご利用いただいている全国のお客様から、システム案件も受注しています。商材である財務会計や給与計算のソフトの導入や、バージョンアップのお手伝いなどです。顧客リストは全国14万社。中小企業を中心に、多業種にサービスを展開しています。

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―― 今の事業に到るまで、業種や業態を変えてきたと伺っています。創業からこれまでの沿革を教えてください。

創業は29年前、ちょうどWindows95が出た頃のことです。データ入力とパソコンの訪問販売の事業から始まりました。私は大学卒業後企業に入社し、データ入力などの仕事をしていましたが、自分でやりたいという思いがあり独立したのです。

しかし、しばらくやってみると、データ入力とパソコンの訪問販売は人海戦術となる上に単価が安く、継続が厳しいと感じました。
目をつけたのは財務会計や給与計算などの業務ソフト。業務ソフトであればさまざまなジャンルがあり、導入する際に業務知識も必要なので、サポートが必要とされるだろうと考えたのです。これが当たって、売り上げが伸びました。その段階で社員を採用し、徐々に組織ができました。

ただ業界が伸びると競合他社も爆増。次の事業を作る必要を感じていました。さまざまな事業を試してみる中で、現在のネットショップ事業にたどり着いたのです。ミモザは常に変化してきた会社と言えるのではないかと思います。

現状維持=右肩下がり。ルールの範囲で常にチャレンジを

―― ミモザグループでも、「変化する社会の動きを的確に捉え、求められるサービスを創造する」ことを経営理念に置かれていますよね。積極的にチャレンジし変化することに対して、どんな思いをお持ちですか?

現状維持=右肩下がりでしかないという怖さがあります。もっと会社を大きくしたいと考えているので、現状に満足していません。

例えば同時期に起業した人が成功しているのを見れば、「なんで彼にできて俺にできないんだろう」と思う。負けん気ですよね。上には上がいますし、相手は勝負している気なんてないでしょう。自分で勝手に勝負をしているだけですが、常に上を目指しています。

―― チャレンジに対する怖さはありませんか?

チャレンジのほとんどは失敗しますよ。ただ怖さはありません。今も昔も変わらず、失敗しても元に戻れるならやろうと考えているのです。例えば、1,000万投資して売り上げがゼロでも、始める前のかたちに戻れるならやろう、と。

―― チャレンジのルールを決めていらっしゃるのですね。

そうです。思いついたらある程度検討して、まずやってみます。他に大事にしているのは撤退ラインを決めることです。始める前に、いつまでにどれくらいの成果が出なかったらやめる、と決めています。

それから、思いつけばなんでもいいというわけではなく、これまで成功してきた「インターネット」「中小企業」というキーワードの中で事業をすることにしています。今の事業に全く関係のない飛び地での事業はリスクが大きい。今後を見据え、地続きの領域で事業を展開したいと考えています。

ビジネス・リポートONLINEで事業検討と社員教育

―― 日経トップリーダー経営者クラブでは、サービスの一環として豊富なビジネス情報を蓄積した「ビジネス・リポートONLINE」をご提供しています。藤田さんは「ビジネス・リポートONLINE」のヘビーユーザーのようですが、どのようにご活用いただいていますか?

まず、自分自身の勉強のために見ています。例えば、税制や社会保険制度の改正などがあった際、ビジネス・リポートONLINEにはポイントをまとめた記事がアップされます。それを読んで、自分が得ている情報に漏れがないか確認するようにしています。新聞の見出しのように記事のタイトルを見て情報を把握し、漏れがあった場合は記事を詳しく読み、自分でも追加で調べるようにしています。新しいことを常に考えているので、新規事業のタネになるかなど、さまざまな視点で幅広い分野の記事を読みますね。

あとは、記事をダウンロードして社員に毎日配信しています。例えば、会計・税務分野の記事を経理担当の社員に「この部分を詳しく理解してほしい」と個別に伝えることもあります。社員も読んでくれているようで、前後編に分かれている記事が出た際は、社員から「後編の配信はまだですか?」と聞かれることもありました。経営者仲間にも勧めています。

新入社員向けの記事はよくありますが、中堅、役員などそれ以外の年代や、担当業務別の情報があるとさらに嬉しいです。

社員の想いから変化が生まれる組織に

―― ありがとうございます。営業など業務別の記事の配信を増やしていく予定なので、ぜひご確認ください。最後に、今後の展望について教えてください。

今後は、事業拡大が目標ですね。今はありがたいことに経営が安定し、チャレンジできる幅が広がりました。大きく売上を上げられるような新規事業を作りたいと考えています。ただ、ホームランは狙って打てるものではありません。ヒットをコツコツ積み重ねる中から、ホームランが生まれればいいと思っています。

課題は、ヒト・モノ・カネとそれぞれありますが、中でも特に人です。20代〜40代まで多様な年代の社員がいる中で、一人ひとりの考え方はもちろん違いますし、ジェネレーションギャップもあります。それをどう乗り越えて会社を運営していくかが難しいところです。自分の根底にある、変化を好む、チャレンジをしていく想いは変えるつもりはありません。でも、変化量やチャレンジ幅は人に合わせて調整しなければならないと感じています。

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今は全てトップダウンで決定しており、それも悪くないとは思っています。ただ、もっといろいろな部署からさまざまな想いが上がってきて、新しい変化を生み出せるようになるとより良いですね。今は、社員が一生懸命やっていることが褒められるのが一番嬉しいです。仕事とプライベートの区別はつけながら、透明性を保って会社としてチャレンジしていきたいです。

以上(2022年6月)

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【営業最強フレーズ集】ヒアリング編1「同業他社から○○という課題を聞きます。御社はいかがですか?」

書いてあること

  • 主な読者:今よりレベルアップしたい営業担当者と、営業担当者を指導する営業管理職
  • 課題:現場ですぐに使えて顧客と信頼関係を築けるトークスクリプト的なものが欲しい
  • 解決策:シーンごとに「最強フレーズ」を、少なくとも1つは持っておく。あとは応用

同業他社から○○という課題を聞きます。御社はいかがですか?

相手のニーズは、相手も分からない

営業活動で最も大切で、最も難しいのは「相手のニーズを知る」ことです。そもそも相手が自身のニーズに気付いていないことも多く、特に営業の初回では、相手は警戒もしています。そこで初回のヒアリングでどのように質問するかがとても重要になってきます。

相手が初めての営業を受ける目的は、大きく分けて次の4つになります。

  • 本当に導入を検討している
  • 情報を収集しておきたい
  • つながりだけを持っておきたい
  • 時間潰し

相手の目的が1.であれば、アプローチの段階である程度提案の道筋が見えているため、問題ありませんが、こうしたケースはまれです。営業担当としては、上の2.~4.を目的としている相手と信頼関係を築く必要があり、ここが腕の見せ所です。

「相談される人」を目指す

初回は、相手にとってのあなたは、「飛び込み営業に来たうちの1人」にすぎません。そこから、「何かあったときに相談したい特別な人」にレベルアップすることで、ニーズが顕在化したときに、「あの営業担当者に頼んでみよう」となる可能性があります。

そうした関係構築に効果的なのが、今回の営業最強フレーズです。

「同業他社から最近こういう課題を聞いた」など、相手にとっての競合や顧客など「ビジネスにつながる情報」を提供することで、相手に「この営業担当者は業界全体や同業他社、顧客の動向に明るい『事情通』だ。つながっておく価値がある」と認識してもらうのです。

「もしかしたら感」を感じてもらう

今回の営業フレーズには、「相手にニーズを気付かせる」という意味もあります。

最初は、相手はそもそも自身のニーズに気付いていないことがほとんどです。同業他社や相手にとっての顧客の事例がヒントとなって、「うちも何かしたほうがよいのでは?」と感じてもらえれば、そこからニーズが顕在化していくことも珍しくありません。

相手がヒントと感じやすいテーマは、「競合他社との差異化・同質化」「相手にとっての顧客のニーズや変化」「売り上げ増、利益増」「リスク回避」「コスト削減、効率化」などとなるので、事例として話せるように常に情報収集し、整理するなど準備をしておきましょう。

アイスブレイクも忘れず、初回は素直に。

ヒアリングで同業他社や顧客の事例を出すときは、「この事例が御社の今後の参考になる。なぜなら……」という理由もきちんと説明しましょう。

ただし、こうした話をしたところで、相手がすぐにあなたのことを信頼し、ニーズを教えてくれるわけではありません。初回は「入り口」です。「売り上げ! 成約!」とがっつかず、アイスブレイクや笑顔も交えて和やかな雰囲気をつくり、腰を据えて相手との関係を構築することを心掛けましょう。

また、こちらが準備した「同業他社や相手にとっての顧客の事例(課題)」が、的外れな場合もあります。相手がピンと来ていなさそうだったら、

「勉強不足で申し訳ありません、後学のため、どのあたりがズレていたか教えていただけますでしょうか?」

と素直に質問し、正しい情報を教えてもらいましょう。知ったかぶりや独りよがりは厳禁。相手の反応をよく見ながら話を進めるのが大事です。これはオンラインの際も同じで、相手がカメラオフになっていた場合は、こまめに「いかがでしょうか?」と質問を投げ掛けるのも一策です。

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda

【営業最強フレーズ集】ヒアリング編2 「○○について、理想的なのはどのようなものですか?」

書いてあること

  • 主な読者:今よりレベルアップしたい営業担当者と、営業担当者を指導する営業管理職
  • 課題:現場ですぐに使えて顧客と信頼関係を築けるトークスクリプト的なものが欲しい
  • 解決策:シーンごとに「最強フレーズ」を、少なくとも1つは持っておく。あとは応用

○○について、理想的なのはどのようなものですか?

営業担当は「質問」が苦手

営業は相手と会話をしながら進めていくものです。相手に質問したり、逆に相手からの質問に答えたり、提案内容を説明したり、意見交換したり。しかし、営業経験が長くても、会話に苦手意識を持つ人は意外と少なくありません。特に、「相手にうまく質問できない」人は多いのではないでしょうか。

試しに、営業セミナーや社内研修で、相手に質問してニーズを明らかにしていくロールプレイングをやってみてください。自分が、いかに相手に質問できていないか、相手のニーズを聞き出せないかが分かります。

「質問」しているようで決めつけてしまいがち

ニーズをヒアリングするとき、相手にいきなり「ニーズはなんですか?」と聞いても、おそらく答えてもらえません。

そこで、【営業最強フレーズ集】ヒアリング編1で紹介したように、「同業他社からは、○○という課題を聞きます。御社はいかがですか?」などのように質問していきますが、ここに「決めつけ」という落とし穴があるので要注意です。

ニーズヒアリングのとき、話の入り口として同業他社や相手にとっての顧客の事例を出したり、ニーズを想像しておいてから質問したり、というのはとても有効です。

けれど、それだけでは相手のニーズをきちんと聞き出せないときもあります。

「旅行」に望むものは……

例えば「社員研修を提案する」で考えてみましょう。

「御社の同業他社からは、新入社員研修として、オンラインでの商談マナーが人気でした。御社もいかがですか?」「当社のセミナーランキング1位は管理職向け財務研修です。御社の管理職向けにも合うと思いますが、どうですか?」

相手に響くこともあるかもしれませんが、こうした聞き方を続けていると、相手から「どれも興味ないからいいや」と言われかねません。一見、質問しているようでいて、実は相手のニーズを「決めつけ」て、それに対して「Yesか、Noか」を聞いているだけだからです。

そこで、冒頭で紹介した営業最強フレーズの出番です。「社員研修するとしたら、理想的なのはどのような研修ですか?」相手が「若手向けかな、実務に活かせる感じの」と答えたら、

「もう少し具体的に言うとどうですか? 例えばどういう分野でしょうか?」

と重ねて質問します。こうしていけば、相手の考えを掘り下げていけます。また、相手自身の中でも、モヤモヤしたものが形になるでしょう。

「質問」するのは怖い?

なぜ、営業担当者は、つい「決めつけ」て質問してしまうのか? それは、おそらく質問するのが怖いからです。相手が答えにくいのではないか。答えてもらえなかったらどうしよう。そんな思いが怖さにつながります。

質問は営業の基本です。相手の考えを聞かなければ営業は前に進めません。もっと言えば、営業以前に、相手との関係性を築く上で「相手のことを知るために質問する」のが必須です。ヒアリング編1と2のフレーズを上手に組み合わせて、しっかり相手のことを聞きましょう。

以上(2022年7月)

pj70068
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】販促費・広告宣伝費ゼロを目指せ

おはようございます。皆さん、今回の販促キャンペーンでは、お疲れさまでした。皆さんの頑張りによって、最高の結果とはいかなかったものの、一定の成果を得ることができました。

そんな中で、あえて皆さんにお伝えしたいことがあります。実は、私は「将来的には販促キャンペーンをなくしたい」と考えています。こんな話をするのは、決して私が皆さんの頑張りを認めていないからではありません。仕事に対して取り組む際の参考にしてもらいたいためです。

私が考える理想の状態は、販促費も広告宣伝費もゼロにすることです。そもそも、販促費や広告宣伝費が必要になるのは、お客さまと当社との間にギャップがあるからです。ギャップといっても内容はさまざまですが、簡単に言うと、私たちがお客さまにお伝えしていることが、お客さまにご理解いただけていないということです。例えば、「商品の存在」「商品の魅力」「商品価格の相場」「当社の信用度」などです。こうしたものが理解されていないから、コストを掛けてお客さまに何度もお伝えし、お客さまと当社との間のギャップを埋める必要が出てくるわけです。また、商品価格については、お客さまが許容していただける価格と当社の希望価格との間のギャップを、販促費で埋めているという側面もあるかもしれません。

逆に考えれば、競合他社もお客さまとのギャップがあるからこそ、当社が販促や広告宣伝を行う効果もあるのだともいえます。

お客さまと当社との間にギャップがあることは、お客さまにとっても、当社にとっても、幸せなことではありません。販促費や広告宣伝費は、当社の利益を押し下げるか、販売価格に転嫁することになります。販促費や広告宣伝費がなくても購入していただけるのなら、それだけ当社の利益は増えますし、価格も抑えてご提供できます。販促キャンペーンのための人的な負担も軽減できます。実際に国内外のスーパーマーケットでは、「EDLP(エブリデーロープライス)」を売りにして、特売チラシやプロモーションを廃止しても売り上げを伸ばしている会社があります。

何より言えるのは、お客さまが事前に当社や当社の商品を熟知してくだされば、安心して商品を購入でき、購入後に後悔されることもなく、取引は永続的なものになっていくということです。

ですから皆さんは、日ごろからお客さまとのギャップが埋まるように、当社のことや当社の商品について、お客さまに対して包み隠さず正直にお伝えして、しっかりとご理解いただくことを意識してください。せっかくの販促キャンペーンが一時的な効果しか得られないのであれば、いつまでたっても私の理想の状態にはたどり着きません。

もちろん私は、今の当社の実力では、まだ販促費や広告宣伝費をゼロにはできないことも分かっています。ですが、その理想に向かって、一歩一歩登っていきましょう。目指す山は高いですが、登れば登るほど視界は開けるはずです。

以上(2022年7月)

pj17109
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】自信は実力の裏付け、不安は成長の機会

皆さんに、「能力」と「自信」ということについてお話をしたいと思います。

皆さんはよく、「あの人は能力がある」というような言い方をすると思います。それでは、この能力というのがどういうものなのかと考えたことがありますか。

学生時代には、例えばテストの点数や順位、体力測定の数字といったように、能力を分かりやすく表現する基準があったかと思います。「彼の成績はクラスで1番」「彼は学校で一番足が速い」というのは、とてもはっきりとした能力の基準です。また、数字で表現はできなくても、例えば「部活で県大会に出場した」なども分かりやすい能力の証明です。

これが社会人になると、とたんに能力の基準というのが分かりにくくなります。社会人として求められる能力は、記憶力や読解力だけではなく、コミュニケーション能力や問題解決能力、場合によっては身なりや態度までも含まれるわけですから、学生時代のように「テストで100点取れたから能力がある」といった単純なものではなくなってしまうわけです。

社会人の能力というのは、こうしたさまざまな力を合わせた総合力で評価されます。それだけに、社会人になるとたとえ優秀な人であっても、「自分は果たして能力があるのか」と、自身の能力に対して不安を抱いてしまう人も多いようです。自分自身で自分の総合力を評価するというのはとても難しいことですから、それもやむを得ないことかもしれません。

私は、社会人が自分自身の能力を確認するための方法は「自信」の有無ではないかと思います。例えば、仕事をするとき、過去に取り組んで成功してきた仕事であれば自信が持てるはずです。逆に、初めて取り組む仕事や、これまで取引がなかった会社に初めて訪問するときなどは、心のどこかに不安を持っていると思います。自信を持ってできる仕事が自分の能力の範囲というわけです。

ここで一つ、見方を変えてみてください。仮に、常に自分が自信のある仕事だけをしていたとしたらどうでしょう。自信が持てる仕事とは、つまり自分がこれまでこなしてきた仕事です。言い方を換えれば、自分自身の幅を広げる新しい仕事に取り組んでいないということです。

仕事の幅を広げて、自分自身の能力を高めたいと思ったら、新しい仕事に取り組んでいかなくてはなりません。たとえ初めは自信がなくても、未経験の仕事に取り組んでそれを克服したとき、新しい自信が自分の中に生まれていることでしょう。そのときこそ、自分自身の能力が一つステージを上ったことが実感できるでしょう。

社会人は自分の能力に対して不安になることもあるはずです。けれども、それは決して恥ずかしいことではありません。仕事を通して不安を乗り越えることで、不安は自信へと変わります。そして、その自信は自分に力がついた証しでもあるのです。皆さん、新しい仕事には積極的にチャレンジしましょう。

以上(2022年7月)

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画像:Mariko Mitsuda

なぜ、「焼き芋」が東南アジアでバカ売れするのか? 農林水産物の輸出1兆円を支える“売り方”の新発想

書いてあること

  • 主な読者:農林水産物や加工食品を製造・販売している経営者
  • 課題:海外にも販売先を広げたいが、どうせ売れないだろうと思っている
  • 解決策:少しの発想転換や海外の意外なニーズを知ることで、輸出の道が開けることがある

1 冬の風物詩の「焼き芋」が常夏の東南アジアで人気?

2021年の日本の農林水産物・食品輸出額が、長年の悲願だった1兆円に到達しました。けん引したのは酒類、牛肉、ホタテ貝など一部の品目です。だからといって、「我が社が取り扱う品目は、輸出とは関係ない」と考えている農林水産物や加工食品の製造・販売事業者の皆さん、そう決めつけるのは早計です。今、海外で、輸出額を急速に伸ばしている品目があります。それは、

東南アジア向けのさつまいも

です。いったいなぜだと思いますか?

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東南アジアへ輸出されたさつまいもの多くは、現地で焼き芋などとして消費されているとみられます。「冬の風物詩である焼き芋が常夏の東南アジアで売れるわけないでしょ?」と思われるかもしれません。実は、そこに“商機”があったのです。

東南アジアでは、蒸したさつまいもが、おやつとして一年中食べられています。今から10年以上前にそこに目を付け、日本の焼き芋が受け入れられる可能性を探った事業者がいました。そして発見した、現地の人たちに受け入れられるカギとなったのが、

日本では廃棄されるような、小ぶりのサイズのものを輸出すること

でした。

「日本人の好みはこうだから」という固定観念から抜け出し、異なる食文化を持つ人たちの目線に合わせる発想に改めれば、「海外では売れない」と思い込んでいた品目でも、輸出して販路を拡大できる可能性があります。

この記事では、さつまいもの輸出に取り組む事例を、関係者へのヒアリングに基づいて紹介します。

政府は農林水産物・食品の輸出額を、2025年までに2兆円、2030年までに5兆円という目標を掲げ、輸出を後押ししています。皆さんがこのビジネスチャンスを捉え、国内向けに製造・販売している農林水産物や加工食品の輸出を検討するヒントになれば幸いです。

2 日本の焼き芋はこうして東南アジアに受け入れられていった

1)小ぶりのサイズのさつまいもで輸出シェア3割に

「うちの会社の今があるのは、小ぶりのサイズのさつまいもの出荷を始めたから」

そう話すのは、宮崎県串間市の「くしまアオイファーム」の海外担当、堀内翔斗副社長です。同社は地元のさつまいも農家出身の池田誠会長が、海外などへの出荷を推進するために2013年に法人化。それから10年とかからずに、国内から輸出されるさつまいもの3割近くのシェアを占めるようになりました。

池田会長は今から10年以上前、中華系の人たちがおやつとして、さつまいもを蒸して食べることを知り、実際に香港や東南アジアに赴いて現地のニーズを確認したといいます。

日本で焼き芋向けのさつまいもといえば、200グラム程度が通常で、それより大きなサイズも人気があります。一方で200グラムを下回る小さなサイズには人気がなく、低価格でしか販売できない上に、廃棄されることもあったそうです。

ですが、香港や東南アジアの人たちは小ぶりのサイズのさつまいもを食べていたことから、池田会長は150グラム未満の小ぶりのさつまいもの輸出に力を入れることにしました。そのために、あえて小ぶりのサイズのさつまいもを栽培する農法も開発しました。その戦略が奏功し、国内から輸出されるさつまいもの3割近くのシェアを占めるまでになったといいます。

堀内副社長によると、現在の輸出先の8割は、香港、シンガポール、タイとのことです。3つの国・地域に重点を置いている理由として、次の3点を挙げています。

  • もともと、さつまいもを蒸すなどして食べる習慣があった
  • 「メード・イン・ジャパン」に良いイメージを持っている地域である
  • 腐らないうちに船で大量輸送できる距離にある

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2)さつまいも産地も輸出を後押し

鹿児島県と並び、さつまいもの二大生産地である茨城県。同県農産物輸出促進チームでは、5年ほど前からさつまいもの輸出を積極的に支援するようになりました。

同県の担当者は、「常夏の東南アジアで焼き芋がこれほど売れるとは思わなかった。日系スーパーの焼き芋機に行列ができるほど売れているのを目の当たりにして、輸出の可能性を感じ力を入れることにした」と言います。

現在は焼き芋ブームで、国内でのさつまいも需要が旺盛であるものの、今後の人口減を見据え、「10年、20年先の将来を考えると、成長している東南アジアを始め世界中の潜在的なマーケットを開拓しておくことは大切」と、輸出を支援しています。

輸出支援に当たって同県が最も力を入れているのは、現地での試食販売の実施です。担当者は、「現地で生産されるさつまいもと比べて、日本産の販売価格は3倍ほどだが、甘さでは圧倒している。まず食べてもらって、なぜ高いのかを理解してもらうことが大事」と話します。

試食をしてもらうことで、「焼く」という、これまで現地にはなかった食べ方の提案も行っています。「さつまいもは焼くことによって、水分が飛んで甘みが凝縮され、香ばしさも出る。現地の蒸したさつまいもとは別の食べ物だという認識をしてもらっている」と言います。

こうした取り組みにより、2018年から2020年までの間に、茨城県産のさつまいもの輸出量は2倍ほどに増えたといいます。

3)さらなる輸出拡大へ、「冷凍焼き芋」という新たな提案

前述のくしまアオイファームをはじめ、さつまいも業界が今後の輸出拡大に向けて期待を寄せているのが、国内で焼いたさつまいもを冷凍して輸出する「冷凍焼き芋」です。

冷凍焼き芋が注目される理由の1つは、輸送の問題です。くしまアオイファームの堀内副社長は、「さつまいもの輸出は、腐敗との戦い」と語ります。さつまいもは船便で輸出を行うのが通常ですが、常温で2、3週間すると腐ってしまうさつまいもが増え、ロス率が高まります。冷凍焼き芋であれば、輸送時のロス率はほぼゼロになります。

ただし、低温での輸送や、国内でさつまいもを焼く工程が加わるため、その分のコストが販売価格に上乗せされます。堀内副社長は、「東南アジアであれば冷凍しないほうがコストに見合うが、今後は欧州、北米、南米、アフリカなどへの輸出も考えており、その場合は冷凍焼き芋になる」と話します。

冷凍焼き芋が注目されるもう1つの理由は、「冷やし焼き芋」という新たな食べ方の提案をすることです。国内ではここ数年、夏にも食べられるスイーツとして、冷やした焼き芋が販売されるようになってきています。冷凍焼き芋であれば、現地の販売店は完全に解凍・加熱しないことで、容易に冷やし焼き芋として販売することができます。

茨城県かすみがうら市の「ポテトかいつか」は、2021年12月からシンガポールで冷やし焼き芋のテスト販売を始めました。くしまアオイファームの堀内副社長も、「冷たい焼き芋というのは、日本でもまだ始まったばかりだが、新しい食べ方の提案になる」と期待を寄せています。

3 参考:農林水産物・食品の輸出に関するデータ

最後に、2021年に1兆円を達成した日本の農林水産物・食品の輸出に関するデータを紹介します。輸出する商品や輸出先を検討する際の参考にしてみてください。

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以上(2022年6月)

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画像:ソース

【部門別の見える化】この店舗の赤字は本当にコロナのせいなのか?

書いてあること

  • 主な読者:財務分野の「見える化」を進めたい経営者
  • 課題:会社が大きくなるにつれ、会社の財務分野の状況が見えなくなっている
  • 解決策:数値をグラフ化して状況を可視化し、トレンドに対する正確なイメージを持つ

1 なぜ、会社は「見えなくなる」のか?

会社の「見える化」の重要性を理解しても、そのための取り組みを行わなければ、次第に会社が見えなくなっていきます。会社が歴史を積み重ねていくと、必然的に顧客の数、支社・店舗の数、関連会社の数などが増加し、マンパワーだけでは徐々に管理できなくなっていくからです。

こうした段階になれば、システム構築などを検討すべきですが、実際は従来の延長線上で管理を続け、適切な対策を講じていない会社が少なくありません。そうすると、次第に会社全体の姿を正確に把握できない(=会社が見えない)状況に陥ってしまうのです。

この記事では、支社・支店・店舗などの部門別の損益について、会社の「見える化」を推進する際のポイントなどを、店舗別の事例を交えて紹介します。なお、グラフから業績のトレンドや問題点を把握することを重視するため、個々のグラフについての数値に関する詳細な説明は省略しています。

2 各店舗の問題点の把握

部門別の観点とは、全社的な損益の観点の一部、ないしは詳細版です。そのため、全社的な損益グラフを部門別に細分化すれば、部門別グラフは作成できます。しかし、それだけでは不十分です。部門別の「見える化」を行う上では、

各部門間での相対比較を行い、各部門の存在価値(優劣)を一目で分かるようにすることがポイント

です。

例えば、「各店舗を売上高と利益でプロットしたグラフ」というと、図表1のようなグラフをイメージする人が多いかもしれません。

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全ての店舗において、売上高と利益の割合がほぼ一定である場合は、こうしたグラフになります。しかし、実際には、図表2のようなグラフとなるケースが一般的です。

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図表2と同様に、次のようなケースが少なくありません。

  • 売上高、利益とも高い10~20%程度の優良店舗が全体をけん引しており、その他の店舗が“お荷物状態”になっている
  • 全体の30~50%程度の店舗が赤字になっている
  • 売上高が大きくても、利益はそれほどでもない(利益率が低い)店舗がある
  • 売上高ナンバーワンが、利益ナンバーワンとは限らない

こうした実情が分かれば、次は赤字店舗の状況について詳細に把握し、検討していくことになります。その際は、グラフの集計期間に注意する必要があります。例えば、集計期間がある特定の月であれば、その月特有の事情があるかもしれません。こうした特殊要因の影響を排除するためには、累計値のグラフを作成する必要があります。

図表3は、最も赤字を出している1店舗の月次損益の推移をグラフにしたものです。なお、13期7月時点での検討を想定しているため、13期のデータは7カ月分しか表示されていません。

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このグラフを見て、現状をどのように分析するでしょうか。もしかすると、「ここ数年は、コロナ禍の影響があるから……。もう少し様子を見てみよう」といったように、“言い訳”をする人が出てくるかもしれません。

しかし、図表3に表示されている3期に加えて、前4期分の情報を追加すると、どうでしょうか(図表4)。

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図表4を見ると、“ここ数年”といった短・中期的に業績に影響を与えるような偶発的要因が、業績不振の原因ではないことが分かります。より長期間の状況をグラフで示すと、偶発的要因を排除した状況を簡単に把握することができます。ここで大切なことは、分布図で部門の相対評価を行うのは、各部門の相対価値を関係者が共有するためであり、その先の検討には、店舗別(部門別)の損益グラフが必要になるということです。

3 会社全体の問題点の把握

ここでは、各部門の順位グラフを検討し、会社全体の問題点について見ていきます。各店舗の業績(売上高および利益)を、利益の多い順にグラフにしたものが図表5です。

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また、各店舗の利益を、利益の多い順に左側から積み上げたものが図表6です。

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図表6では、右端にあるA店の部分にある数値が、全店舗合計の利益を表しているので、全社的には約5億円の利益が出ていることになります。また、上位2店舗(H店とI店)のみでも、5億円以上(約7億円)の利益が出ていることが分かります。これは決してイレギュラーな現象ではありません。件数ベースで上位約20%の部門だけで、全体利益の数百%を構成する場合もあります。ただし、経営上の観点からいうと、こうした比率は重要ではありません。本当に大切なことは、このグラフが会社を継続していくと共にどのように変化しているかを把握することです。会社を継続していくと、図表7のような兆候が発生しがちです。

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会社を継続すると、必然的に規模の拡大が行われるため、店舗(部門)の数は増加します。全部が一定率の利益を出す、すなわちグラフで表すと右肩上がりの直線的なものになるようであればよいのですが、現実は図表7のような形が出現しがちです。言い換えると、会社を継続するほど、収支がほぼ均衡する“胴体の部分”(図表7でいえばE~T店)が長くなってきます。

つまり、「顧客や店舗はどんどん増えるけれど、利益が増えない」状態です。

一方で、固定費が増加しない仕組みを構築しない限り、顧客や店舗が増えれば必然的に全社ベースでの固定費は増大します。そのため、こうした仕組みを構築することができなければ、いずれこの会社は固定費の増大に耐えられなくなります。

自社にこの症状は出ていないか、グラフを使って確認してみるとよいでしょう。

以上(2022年6月)
(監修 公認会計士 益子宣夫)

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【朝礼】君たちは「餌が食べられないカマス」のままでいいのか?

皆さんは「カマス」という魚を知っていますか。暖かい海に生息し、干物や塩焼きにするとおいしい魚です。今日は、このカマスを使った有名な実験についてお話しします。

この実験ではまず、大きな水槽を透明な壁で仕切り、一方の水槽にカマスの群れ、もう一方の水槽にカマスの餌になる小魚を放します。すると、カマスたちは餌を食べようと、壁に体当たりを始めます。しかし、何度体当たりをしても壁の向こう側に行けないことが分かると、そのうち諦めておとなしくなってしまいます。次に、水槽の中の透明な壁を取り除きます。すると、カマスたちは一斉に餌のほうに向かっていく……と思いきや、全く動こうとしません。目の前を小魚が泳いでも反応せず、そのまま餓死してしまうそうです。

では、どうすればこのカマスたちは餌を食べるようになるのか。答えは簡単。「新しいカマスを水槽に入れる」のです。新しいカマスは、もともと水槽に壁があったことは知りませんから、喜んで小魚のいるところに行きます。すると、「餌は食べられない」と諦めていた“古い”カマスたちも、新しいカマスに釣られ餌を食べ始めるのです。

ビジネスに置き換えるなら、餌は「達成すべき目的」、透明な壁は「目的の達成を妨げる障害」、古いカマスは「目的をなかなか達成できず、チャレンジに消極的になってしまった社員」、新しいカマスは「怖いもの知らずのチャレンジ精神旺盛な新入社員」といったところです。

この実験の話は、「停滞している組織に新しい風を吹き込めば、組織は活性化する」という例えとしてよく使われます。ですが、私は皆さんに、外部から新しい風が吹き込むまで待ってもらいたくありません。ビジネスでは、組織が停滞しているときに、都合良く優秀な新入社員が入ってくるとは限りません。それを待っていては、古いカマスたちのように餓死してしまいかねません。新しいカマスがいなくても、餌を食べられるようになるためのポイントは2つです。

1つは「壁をよく観察すること」です。古いカマスたちは、透明な壁があることに気付かず、何度も体当たりを繰り返していましたが、もしかしたら壁の表面をゆっくりなぞっていくと、実は抜け穴があったかもしれません。仮に抜け穴がなくても、日ごろから壁を観察していれば、その壁がなくなったときに、すぐに気付くことができます。つまり、「目的の達成を妨げる障害」が何なのかを正しく認識・分析するということです。

もう1つは「壁を突破するという気持ちを持ち続けること」です。カマスは成長すると50センチ、種類によっては2メートルにもなる魚です。からだが小さいうちは破れなかった壁も、成長するにつれて突破できるようになるかもしれません。単なる根性論と思う人もいるでしょうが、「何度障害にぶつかっても、諦めずに自分を磨き続ければ、いつかは目的を達成できる」ということです。

以上(2022年6月)

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画像:Mariko Mitsuda