少しだけ未来を見る、経営者のための月次ニュースレターです。今月、経営者が押さえておきたい法令・イベント・統計・政策の動きなどを紹介します。
1 制度改正編
6月に施行が予定されている法律のうち、中小企業経営者が特に注意すべき2本を紹介します。
1)資金決済法改正(2026年6月1日~)
2025年6月13日に公布された改正資金決済法が、2026年6月1日に施行されます。主な改正内容は次の3点です。
- (暗号資産・ステーブルコイン(電子決済手段)に関する規制の整備)暗号資産交換業者等に対する国内保有命令の導入、信託型ステーブルコインの裏付け資産の運用方法の柔軟化など
- (電子決済手段・暗号資産サービス仲介業の創設)利用者の資産を預からない「仲介業者」が登録制で参入できる新たな枠組みが設けられる
- (クロスボーダー収納代行への規制適用)自身が関与しない取引の決済のために国際送金を行う収納代行業者の一部に、資金移動業の規制が適用される
直接影響を受けるのは金融・フィンテック事業者が中心ですが、ECサイトを運営している中小企業や海外向けのオンライン決済サービスを利用している企業は、利用中の決済サービスの仕様・規約が変更される可能性があります。
▶ 経営者のTo Do
- 自社がECサイトを運営している、または海外向けの決済サービスを利用している場合、利用中の決済事業者から施行に関する案内が届いていないか確認する
- 利用中の決済サービスの利用規約・仕様変更の通知を見落とさないよう、担当者を決めて定期的にチェックする体制を整える
■金融庁「令和7年資金決済法改正に係る政令の公布及びパブリックコメントの結果等について」■
https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20260522/20260522.html
2)特定在留カード等交付申請 運用開始(2026年6月14日〜)
2026年6月14日から、在留カードとマイナンバーカードの2枚を一体化した「特定在留カード」の運用が開始されます。外国人を雇用している経営者に最も影響するのはカードの様式が変わることです。
現行の在留カードの券面に記載されていた「在留期間(◯年)」「許可の種類」「許可年月日」「交付年月日」の項目が、6月14日以降に発行されるカードではICチップ内にのみ記録され、券面からは削除されます。一方、「在留期間の満了の日」「就労制限の有無」は引き続き券面で確認できます(図表1)。なお、手元にある旧様式の在留カードは有効期限まで使用可能です。

▶ 経営者のTo Do
- 出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」が使えるように現場担当者に指示する
- 全外国人従業員の在留期間の満了日を再確認し、更新時期が近い従業員を把握する
■出入国在留管理庁「【※2026年6月14日運用開始※】特定在留カード等交付申請について」■
https://www.moj.go.jp/isa/tokutei.html
2 イベント編
1)FIFAワールドカップ2026 開幕——日本の対戦相手は?
4年に1度のサッカーの祭典が6月11日に開幕します(カナダ、メキシコ、アメリカの3カ国共催・48カ国参加)。日本代表のグループステージ日程は図表2の通りです(日本時間)。

早朝・深夜帯のキックオフが多くなります。フレックスタイム制や時差出勤、特別休暇などを導入している会社であれば、社員に利用を推奨してみるのもよいかもしれません。
■JFA「FIFA ワールドカップ 2026」■
https://www.jfa.jp/samuraiblue/worldcup_2026/canadamexicousa2026/
2)G7エヴィアン・サミット——ホルムズ・関税・AIが同時に議論される
フランス・エヴィアンで第52回G7サミットが開催されます(6月15日〜17日、2003年以来23年ぶり)。今年のサミットは中小企業経営者の実体経済と直結した3つの議題が並びます。
- (エネルギー安全保障)ホルムズ封鎖の長期化を受けG7各国が共同でのエネルギー備蓄・代替ルート確保策を協議。日本の補助金・産業支援策に直結する。
- (貿易・関税問題)日米間の関税交渉の行方は部品・原材料を輸入に頼る中小製造業に直接影響する
- (AI政策)国際ルールが固まれば連動した日本国内の規制・助成制度も動き出す
■外務省「G7サミット」■
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/summit/
3)FOOMA JAPAN 2026(国際食品工業展)
6月2日〜5日にかけて、東京ビッグサイトにて開催される、日本食品機械工業会主催、世界最大級の食品製造総合展示会です。食品機械・包装機械・衛生管理・食品素材など食品製造に関わる最新技術が一堂に集まります。
■FOOMA JAPAN 2026 公式サイト■
https://www.foomajapan.jp/
4)コンテンツ東京2026
6月17日〜19日にかけて、東京ビッグサイト西展示棟にて開催される、映像・CG・アニメーション・デジタルマーケティングなど、コンテンツビジネスに関する国内最大規模の総合展示会です。マーケティング・ブランディング・販促・Web戦略に関わるサービスや最新ソリューションが集まります。
■コンテンツ東京2026 公式サイト■
https://www.content-tokyo.jp/hub/ja-jp.html
3 統計・政策情報編
6月は年次・四半期の重要な統計・政策文書が集中して公表される時期です。図表3に、本章で取り上げる統計・政策文書の一覧を示します。

1)骨太の方針2026(経済財政運営と改革の基本方針)
毎年6月下旬に閣議決定される「骨太の方針」は、翌年度の国の予算・施策の方向性を示す最重要の政策文書です。補助金・助成金の新設・拡充、税制優遇措置の延長・強化など、中小企業の経営に直結する施策の多くがここを起点に動き出します。
2026年版では「責任ある積極財政」を旗印に、官民投資の促進・賃上げの継続支援・エネルギー・防衛・DXへの戦略的投資が柱になると見込まれています。閣議決定後は「自社に関係する支援策が盛り込まれていないか」という視点で速やかに目を通しておきましょう。
■内閣府「経済財政諮問会議」■
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/
2)中小企業白書2026——「稼ぐ力」と経営リテラシーが今年のテーマ
2026年版中小企業白書・小規模企業白書は4月24日に閣議決定され、中小企業庁のウェブサイトで全文PDFが無料公開されています。今年のテーマは「稼ぐ力」の強化と「経営リテラシー」の強化・実践です。
6月末には市販の冊子版が発売予定で、全国の官報販売所・政府刊行物サービスセンター等で購入できます。業種別・規模別の生産性データや先進的な経営改善事例は、自社の課題を客観視するヒントになります。
■中小企業庁「中小企業白書・小規模企業白書」■
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html
3)四半期別GDP速報(2026年1〜3月期・2次速報)
5月19日公表の1次速報では実質GDP成長率が前期比年率+2.1%と2四半期連続のプラス成長でした。今回の2次速報では、2026年2月末のホルムズ封鎖の影響が3月に入り始めており、「1次速報では限定的に見えた影響が確報データでより大きく確認されるか、軽微と再確認されるか」が判明します。個人消費・設備投資の修正幅と、GDPデフレーター(物価の実態)の動向に注目してください。
■内閣府「四半期別GDP速報」■
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/
4)法人企業景気予測調査(2026年6月期)
財務省と内閣府が共同で実施する四半期調査で、全国の法人企業の業況判断・売上・設備投資・雇用などの見通しを集計します。特に中小企業の業況判断指数(BSI)は仕入れコスト上昇・人手不足・価格転嫁の難しさを反映しやすく、「自社の感覚は業界全体と一致しているか」を確かめる客観的な数字として活用できます。
■財務省「法人企業景気予測調査」■
https://www.mof.go.jp/pri/reference/bos/index.htm
5)中小企業景況調査(2026年4〜6月期)
中小企業・小規模事業者の景況感を直接把握するための四半期調査です。売上高・採算・資金繰り・人手不足感などを指数化して公表します。「中小企業だけの肌感覚」が数字に表れる点が特徴で、金融機関との対話や経営計画の見直しにあたって説得力ある根拠となります。特に資金繰りDIと人手不足DIは、自社の状況と照らし合わせて活用しましょう。
■中小企業庁「中小企業景況調査」■
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/keikyo/index.htm
4 話題のタネ
訪問時の雑談のきっかけに。6月ならではのトピックを集めました。
1)熱中症警戒——6月から対策を始めるのが正解
「熱中症は真夏のもの」というイメージがありますが、体が暑さに慣れていない6月が最も危険な時期のひとつです。救急搬送は6月から急増し、梅雨明け直後に件数が跳ね上がる傾向があります。屋外作業・工場・厨房など高温環境で働く社員を抱える企業では、①こまめな水分・塩分補給、②WBGT(暑さ指数)の確認と作業調整、③体調不良者の早期発見ルールの整備を今月中に見直しておきましょう。
■環境省「熱中症予防情報サイト」■
https://www.wbgt.env.go.jp/
2)梅雨入り——大雨に備えて「新たな防災気象情報」の確認を
梅雨入りは例年6月上旬ごろです。梅雨期は大雨による災害が発生しやすいので、注意しましょう。また、気象庁は2026年5月29日より、防災気象情報の体系を大幅に刷新しました。河川氾濫・大雨・土砂災害・高潮の防災気象情報について、警報・注意報の情報名に「レベル」が追加される(例:レベル3大雨警報など)になっています。梅雨入り前に、何がどう変わるのかを確認しておきましょう。
■気象庁「新たな防災気象情報について(令和8年~)」■
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/keiho-update2026/index.html
3)6月21日は「父の日」——社員への配慮も忘れずに
2026年の父の日は6月21日(日)。小売業・飲食業・贈答品業界にとっては重要な需要期のひとつです。また、子育て中の男性社員が多い職場では、父の日前後に有給休暇を取りやすいよう、配慮してみましょう。「うちの会社は家族を大事にする」というメッセージは言葉より行動で伝わるものです。
以上(2026年6月作成)
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画像:日本情報マート
















