【事業承継】贈与税・相続税が猶予・免除される「事業承継税制」

1 特例承継計画の提出期限は2027年9月30日に延長

事業承継税制とは、

中小企業の後継者が先代経営者などから自社株式を贈与または相続などによって取得した場合、その自社株式に係る相続税・贈与税の納税が猶予・免除される制度

です。事業承継税制には「一般措置」と「特例措置」があります。特例措置のほうが次のように税負担を減らす効果が高いので中小企業にとって有利です。

  • 対象となる株式が全株式(一般措置の場合は、総株式数の最大3分の2まで)
  • 自社株式に係る納税額すべてが猶予・免除される(一般措置の場合の納税猶予割合は、贈与税100%、相続税80%)

なお、令和8年度税制改正により、

特例措置を受けるために必要な特例承継計画の提出期限は2027年9月30日までに延長

されました(改正前は2026年3月31日まででした)。事業承継税制には法人版と個人版がありますが、この記事では法人版事業承継税制について解説しています。

2 特例措置を受けるための手続きと、主な要件は?

1)特例措置を受けるための手続き

事業承継税制の特例措置を受けるには、

2027年9月30日までに、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(以下「円滑化法」)に基づき、特例承継計画を都道府県知事に提出

し、確認してもらわなければなりません。

次に、自社株式について贈与税・相続税の納税猶予および免除の特例の適用を受けるには、

贈与税は贈与した年の翌年1月15日まで、相続税は相続開始後8か月以内に、円滑化法に基づき、特例認定承継会社として認定

を受けなければなりません。認定を受けるには、必要書類を添付して、主たる事務所(本社など)の所在地の都道府県知事に申請しなければなりません。また、期限内申告を行い、かつ担保(納税猶予の対象となる自社株式など)の提供が必要になります。

2)納税猶予の特例を受けるために必要な3要件

1.対象会社の要件

対象会社の主な要件は、

  1. 円滑化法で定義する中小企業者であること
  2. 風俗営業会社でないこと
  3. 資産保有型会社または資産運用型会社でないこと(一定のものを除く)
  4. 総収入金額(営業外収益及び特別利益以外のものに限ります)が0の会社や従業員数が0の会社(一定の場合には5人未満の会社)ではないこと

です。なお、円滑化法で定義する中小企業者は次の通りです。

円滑化法で定義する中小企業者

2.先代経営者の要件

先代経営者の主な要件は、

  1. 会社の代表取締役であったこと
  2. 贈与・相続の直前に、先代経営者一族(親族など特別な関係がある人々)で総議決権数の過半数を保有し、かつその一族の中(特例の適用を受ける後継者を除く)でも最も多くを保有している株主であったこと

です。

3.後継者の要件

後継者の要件は、贈与・相続共通の要件と、それぞれ異なる要件があり、

  1. (贈与・相続共通)相続・贈与の直前において、先代経営者一族で総議決権数の過半数を保有し、かつ、その一族の中で最も多くを保有している株主となること(後継者が複数の場合には、各後継者が10%以上の議決権を保有し、かつ各後継者が一族内の他の者が有する議決権を下回らないこと)
  2. (贈与の場合)贈与の直前において、会社の役員であること
  3. (贈与の場合)贈与時に会社の代表取締役になっていること
  4. (相続の場合)相続の直前に会社の役員であること
  5. (相続の場合)相続開始の日の翌日から5カ月以内に代表取締役になること

です。

3 特例措置を受けた後の諸手続きも肝心!

1)相続時・贈与時の手続き

自社株式について相続税の納税猶予および免除の特例を受けるには、所定の書類を添付した相続税の申告書に、納税猶予の特例措置を受けようとする旨を記載します。これにより要件を満たし続ければ納税猶予が継続し、後継者が死亡したときなどに納税が免除されます。

同様に、自社株式について贈与税の納税猶予及び免除の特例を受けるには、所定の書類を添付した贈与税の申告書に、納税猶予の特例を受けようとする旨を記載します。これにより贈与者である先代経営者が死亡するまで納税が猶予されます。

贈与者である先代経営者が死亡した場合、贈与を受けた自社株式は後継者が相続したものとみなされます。ただし、自社株式の価額は贈与を受けた時点の価額とされます。この相続の際、相続税の申告書に「非上場株式等の特例贈与者(先代経営者)が死亡した場合の相続税の納税猶予および免除の特例」の適用を受けようとする旨を記載します。これにより、相続人である後継者が死亡するまで相続税の納税が猶予され、後継者が死亡したときも納税が免除されます。

2)担保の提供

納税の猶予を受けるには、相続税・贈与税の申告書の提出期限までに、納税猶予分の相続税額・贈与税額に相当する担保を提供しなければなりません。担保となるのは、不動産、国債・地方債、一定の有価証券などですが、納税猶予の対象となるオーナー企業の自社株式の全部を提供することで、必要な担保の提供があったものとみなされます。

3)贈与税・相続税申告後の納税猶予期間中の手続き

贈与税・相続税申告後の納税猶予期間中、引き続き納税猶予制度の適用を受けるためには、5年間、毎年一定の書類を添付した「継続届出書」を税務署に、「年次報告書」を都道府県知事に提出し続けます。また、5年経過後は3年ごとに「継続届出書」を所轄の税務署に提出します。

4)納税猶予が認められない事由が生じた場合

次の場合、納税が猶予されている贈与税か相続税の一部または全部を納付しなければなりません(一定の場合には、納税猶予額に加えて利子税も併せて納付する必要があります)。

  • 事業承継税制の適用を受けた自社株式についてその一部を譲渡などした場合
  • 後継者が会社の代表権を有しなくなった場合(特例経営承継期間の経過後を除く)
  • 会社が資産管理会社に該当した場合(一定の要件を満たす会社を除きます)

4 事業の継続が困難な場合の納税猶予税額の免除

1)原則:譲渡等の際の納税猶予額の免除

特例経営承継期間(原則、この制度の適用を受ける贈与税・相続税の申告期限の翌日から5年がすぎるまでの期間)が過ぎた後に事業の継続が困難な一定の事由が生じ、自社株式を譲渡等した場合、

猶予されていた相続税・贈与税の納税額は、当初の納税猶予額ではなく、譲渡等の対価の額(解散の場合は解散時の相続税評価額)を基に再計算

されます。また、譲渡前5年以内に後継者やその家族など(「同族関係者」という)に支払われた配当や高すぎる役員報酬に相当する額(以下「直前配当等の額」)については、再計算した相続税額・贈与税額に加えなければなりません。

再計算した相続税額・贈与税額に直前配当等の額を加えた金額が、当初の納税猶予額を下回った場合、その差額は納税を免除され、免除された部分以外は利子税を添えて納付します。ただし、免除される金額は、対象会社の相続税評価額の1/2に相当する金額に基づいて計算した金額までとなっています。

2)特例:相続税評価額の2分の1未満の対価で譲渡等した場合の再々計算

譲渡等の対価の額が、対象となる会社の相続税評価額の1/2相当額を下回る場合でも、担保の提供を条件に、譲渡等をしたときに再計算した納税額は一旦猶予されます。そして、譲渡等をした後、2年を経過する日まで事業が継続しており、かつ譲渡等の際に雇用していた社員数(常時使用従業員)の半分以上をキープしている場合、特例措置が受けられます。

特例措置を受けられる金額は、譲渡等の対価の額を基に再々計算した相続税額・贈与税額に、直前配当等の額を加えた金額が相続税・贈与税の納税額となり、差額が免除されます。

納税免除

5 事業承継税制の一般措置と特例措置の主な違い

最後に、参考として事業承継税制の一般措置と特例措置の主な違いをまとめた表を紹介します。

一般措置と特例措置の主な違い

以上(2026年5月更新)
(監修 税理士 石田和也)

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画像:Mariko Mitsuda

【助成金(パート雇用編)】正社員化などで最大1680万円!

1 キャリアアップ助成金で非正規社員の待遇改善!

非正規社員(パート等)の待遇改善や社会保障の強化に向けて、

社会保険に加入できる短時間労働者の範囲の拡大(社会保険の適用拡大)

などが進められています。国を挙げて正社員と非正規社員の格差の是正が推し進められる中、会社でも非正規社員の待遇の見直しが必要になってきています。とはいえ、賃上げや就業規則等の変更にはコストがかかるもの。そこでおすすめしたいのが

非正規社員のために一定の取り組み、所定の要件を満たした場合に受け取れる「キャリアアップ助成金」

を活用することです。以降で、制度概要と申請上のポイントを専門家が解説します。この以降で出てくる言葉の定義は次の通りです。

  • 非正規社員:正社員以外の社員
  • 短時間労働者:非正規社員のうち、週の所定労働時間が正社員より短い者
  • 有期雇用労働者:非正規社員のうち、雇用期間の定めがある者
  • 無期雇用労働者:非正規社員のうち、雇用期間の定めがない者

なお、助成金の内容は、2026年4月8日時点のもので、将来変更される可能性があります。申請書の書き方や添付書類などについては、次のURLをご参照ください。

■厚生労働省「キャリアアップ助成金」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

2 正社員化コース(最大1680万円)

1)正社員化コースとは?

就業規則等に基づき、非正規社員(有期雇用労働者または無期雇用労働者)を正社員に転換し、転換後に一定以上賃金を増額した場合、助成金を受け取れるコースです。

2)助成金を受け取るには?

この助成金を受け取るためには、次の要件などを満たす必要があります。

  • コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局に提出する
  • 賃金の額または計算方法が正社員と異なる雇用区分の就業規則等を、6カ月以上適用された有期雇用労働者または無期雇用労働者を正社員に転換する
  • 正社員転換後の6カ月間(第1期)の賃金(基本給および定額支給の諸手当。ただし、時間外手当・通勤手当・歩合給等は除く)を、転換前6カ月間の賃金と比較して3%以上増額し、支給対象期分の賃金支給日の翌日から2カ月以内に支給申請する
  • 重点支援対象者(後述)である場合、第1期後の6カ月間の賃金を、第1期の賃金と比較して合理的な理由なく引き下げずに支給した上で、支給対象期分の賃金支給日の翌日から2カ月以内に支給申請する

なお、「キャリアアップ計画」とは、

非正規社員のキャリアアップを図る上での目標や会社の取り組みに関する計画のこと

です。キャリアアップ助成金ではどのコースでも、この計画書の提出が必須となります。

また、「重点支援対象者」とは、次のa~cのいずれかに該当する人を指します。

a:雇入れから3年以上の有期雇用労働者

b:雇入れから3年未満で、次のいずれにも該当する有期雇用労働者

  • 過去5年間に正社員であった期間が合計1年以下
  • 過去1年間に正社員として雇用されていない

c:派遣労働者、母子家庭の母等または父子家庭の父、人材開発支援助成金の特定の訓練修了者

3)受け取れる金額はいくら?

次の額を定額で受け取れます。

正社員化コース

仮に中小企業が重点支援対象者に該当する有期雇用労働者20人を正社員化し、正社員転換制度・多様な正社員制度・情報公表に関する加算要件も満たした場合、1年度・1事業所当たり最大1680万円を受給できる計算です。ただし、これらの加算はそれぞれ1事業所1回限りであるため、毎年度同じ加算額を受け取れるわけではありません。

4)専門家のワンポイントアドバイス

重点支援対象者については、助成金の支給が手厚くなるので、社内の有期雇用労働者に該当者がいないか確認してみましょう。派遣労働者を正社員化する場合にも使える助成金です。ただし、新規学卒者で雇入れ日から雇用期間が1年未満の者については、正社員化した場合であっても支給対象外となります。

また、本コースは就業規則の不備による不支給が起こりがちですので、

  • 正社員には「賞与または退職金制度」と「昇給制度」が就業規則上で確実に適用される規定になっているか
  • 非正規社員用の就業規則が別途存在し、正社員と賃金体系が明確に区別されているか

を必ず確認してください。「賞与は支給しない。ただし、業績によっては支給することがある」といった曖昧な規定では支給対象外となります。

なお、正社員化時に試用期間を設ける場合、「試用期間中は正社員化が完了したとみなされない」ため、賃金3%増額の起算日が試用期間終了日の翌日となる点に注意が必要です。トラブルを避けるためには、「有期雇用または無期雇用から転換した者には試用期間を設けない」旨を就業規則に明記しておくとよいでしょう。

3 賃金規定等改定コース(最大740万円)

1)キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)とは?

有期パート等の基本給を3%以上増額するように賃金規定等を改定し、その規定を適用させた場合、賃上げをした有期パート等の人数に応じ、助成金を受け取れるというものです。

2)助成金を受け取るには?

まず、会社が次の要件を全て満たす必要があります。「キャリアアップ計画」は、有期パート等のキャリアアップを図る上での目標や会社の取り組みに関する計画、「賃金規定等」は、就業規則の賃金規定、賃金テーブル、賃金一覧表等のことをいいます。

  • コースの実施日(賃金規定等の改定日)の前日までに、キャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局に提出すること
  • 有期パート等の基本給を3%以上増額するように賃金規定等を改定すること
  • 改定後の規定に基づき、増額した賃金を6カ月間支給していること

なお、助成金は賃上げをした有期パート等の人数(1年度1事業所当たり100人が上限)に応じて支給されますが、対象となるのは、

雇用保険の被保険者で、賃金規定等の改定の3カ月以上前から勤務している有期パート等だけ(助成金の申請時点で離職している者等を除く)

なので注意が必要です。ちなみに、原則として週の所定労働時間が20時間以上で、雇用期間の見込みが31日以上ある人が、雇用保険の被保険者になります。

会社も有期パート等も要件を満たしている場合、6カ月分の賃金を支給した日の翌日から2カ月以内に都道府県労働局に申請をすれば、助成金を受け取れます。

3)受け取れる金額はいくら?

「賃上げ率に応じた支給額」を定額で受け取れます。また、職務評価(職務の大きさを相対的に把握すること)を実施し、適正に有期パート等の賃金規定等に反映した場合、別途加算が受けられます。

賃金規定等改定コース

仮に中小企業が1年度・1事業所当たり100人に対して6%以上の賃上げを実施し、職務評価加算と昇給制度加算の要件も満たした場合、最大740万円を受給できる計算です。

4)専門家のワンポイントアドバイス

賃金規定等を3%以上増額改定する場合でも、

基本給以外の諸手当等を減額している場合は、支給対象とならない

ので注意が必要です。

また、賃上げの実施前にキャリアアップ計画を作成・提出しないと、この助成金は受け取れません。また、労働保険料の未納や労働関係法令の違反がある会社は、助成金の対象から外れる恐れがあります。なお、

「業務改善助成金」の賃上げ対象にした社員は、賃金規定等改定コースの対象にカウントすることができない

ので注意が必要です。業務改善助成金については、こちらの記事をご確認ください。

4 短時間労働者労働時間延長支援コース(最大75万円)

1)短時間労働者労働時間延長支援コースとは?

いわゆる「年収の壁」対策を目的としたコースです。社会保険の適用要件を満たすよう、短時間労働者の週所定労働時間を延長し、賃金も増額する等の処遇改善を行う会社を支援します。

2)助成金を受け取るには?

次の要件などを満たす必要があります。

  • コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局に提出する。具体的には、社会保険加入日の前日(例:2026年4月1日加入の場合、3月31日)
  • 短時間労働者を6カ月以上雇用した上で、社会保険に加入させる
  • [第1期分の申請]
    ・社会保険加入に当たり、短時間労働者の週所定労働時間を2時間以上延長して基本給を一定以上増額するか、もしくは週所定労働時間を5時間以上延長する
    ・社会保険に加入後、その社員を継続して6カ月以上雇用し、6カ月目の賃金支給日の翌日から2カ月以内に支給申請する
  • [第2期分の申請]
    ・第1期支給対象期における週所定労働時間の延長等の実施後、第2期支給対象期の開始日(社会保険加入日から12カ月経過後)までに、2時間以上の所定労働時間の延長、5%以上の基本給の増額、賞与や退職金制度への適用等の措置を講じる
    ・第2期支給対象期の開始日から起算して6カ月目の賃金支給日の翌日から2カ月以内に支給申請をする

3)受け取れる金額はいくら?

次の額を定額で受け取れます。支給申請人数の上限はありません。

短時間労働者労働時間延長支援コース

要件を満たした場合、小規模企業では1人当たり最大75万円を受給できる計算です。なお、1年目と2年目の取組内容、企業規模によって支給額は異なります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

本コースは、単年の取り組みによる申請が原則ですが、すぐに支給要件を満たす事が難しい会社については、複数年かけて支給要件を満たした場合による申請が認められています。ただし、その場合、キャリアアップ計画書で定める「キャリアアップ計画期間」(3年以上5年以内の期間で任意で設定)内で取り組みを実施する必要があるため、余裕を持ってキャリアアップ計画書を提出しておく必要があります。

また、本コースの前身にあたる「社会保険適用時処遇改善コース」は2026年3月31日をもって暫定措置が終了しました。すでに旧コースで取り組みを進めていた会社でも、まだ支給申請をしていない労働者については、本コースへの切り替え申請が認められる場合があるため、該当する会社は管轄の労働局またはハローワークに早めに確認しましょう。

5 賃金規定等共通化コース(最大60万円)

1)賃金規定等共通化コースとは?

非正規社員について、正社員と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成して適用した場合に助成を受けられるコースです。

2)助成金を受け取るには?

会社が次の要件などを満たす必要があります。

  • コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局に提出する
  • 非正規社員を3カ月以上雇用した上で、賃金規定等を正社員と共通化する
  • 改定後の規定に基づき、増額した賃金を6カ月間支給し、6カ月目の賃金支給日の翌日から2カ月以内に支給申請する

3)受け取れる金額はいくら?

次の額を定額で受け取れます。

賃金規定等共通化コース

中小企業の場合、60万円を受け取れます。

4)専門家のワンポイントアドバイス

正社員が月給制、非正規社員が時給制の場合、非正規社員の賃金規定等を正社員と共通化するに当たって、「正社員の月給の時給換算額 ≦ 非正規社員の時給」になるように賃金テーブル等を作成する必要があります。時給換算のイメージは次の通りです。

正社員の月給 ÷ 正社員の月の労働時間数(注) ≦ 有期雇用労働者等の時給

(注)正社員の1日の所定労働時間×月平均労働日数(週の所定労働日数×52÷12)

なお、共通化する賃金規定等については、それぞれ3区分(等級)以上を設け、そのうち共通する区分が2区分以上である必要があります。

また、賃金規定等の共通化に当たっては、「適用前と比べて基本給および定額で支給されている諸手当を減額していないこと」が要件となります。共通化を機に正社員側の賃金体系を見直すと、結果的に減額となってしまい支給対象外となるケースがあるため、共通化の設計には慎重を期す必要があります。

6 賞与・退職金制度導入コース(最大56.8万円)

1)賞与・退職金制度導入コースとは?

全ての非正規社員を対象とする賞与・退職金制度を導入し、支給または積み立てを実施した場合に助成を受けられるコースです。

2)助成金を受け取るには?

会社が次の要件などを満たす必要があります。

  • コースの実施日の前日までにキャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局に提出する
  • 全ての非正規社員を対象とする賞与・退職金制度を新たに設ける
  • 非正規社員を3カ月以上雇用し、制度の新設後、さらに6カ月以上継続雇用する
  • 賞与については、6カ月分相当として対象者1人当たり5万円以上を支給する。退職金については、1カ月分相当として3000円以上を6カ月分または6カ月分相当として1万8000円以上積み立てる
  • 初回の賞与支給日または退職金の積み立て後6カ月目の賃金支給日の翌日から2カ月以内に支給申請する

3)受け取れる金額はいくら?

次の額を定額で受け取れます。

賞与・退職金制度導入コース

中小企業の場合、最大56.8万円を受け取れます。

4)専門家のワンポイントアドバイス

退職金については制度導入に際して、

積立・拠出費用を事業主(会社)が負担する制度であることを明記

する必要があります。なお、定年の適用を受けない有期雇用労働者については、年齢に関係なく退職金制度の対象とする制度でなければなりません(非常に短期間の雇用契約である場合は除きます)。ただし、定年の適用を受ける無期雇用労働者については、定年年齢までで構いません。

また、過去に「旧諸手当制度共通化コース」「旧諸手当制度等共通化コース」の助成金の支給を受けている場合は、本コースの支給対象外となります(健康診断制度を新たに設け、実施した場合の助成のみを受けている場合を除きます)。

以上(2026年5月更新)
(監修 社会保険労務士 柴田充輝)

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画像:日本情報マート

【業種別データ】家具製造業の動向

2023年の家具製造業は事業所数3,613、従業者59,250人、製造品出荷額は1兆4,285億円(対前年比100.7%)と微増しました。従業者1人当たりの生産性や現金給与は上向きで、木製家具は出荷増(102.6%)と堅調でした。一方、原材料使用比率は約59.4%、付加価値比率は36.4%と原材料コストが重く、収益性は事業者間で差があります。コスト管理と高付加価値化が喫緊の課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の家具製造業の事業所数は3613事業所(対前年比99.9%)、従業者数は5万9250人(対前年比99.5%)、製造品出荷額等は1兆4285億5700万円(対前年比100.7%)となっています。

1事業所当たりの従業者数は16人(対前年比99.6%)、現金給与総額は6500万円(対前年比100.3%)、原材料使用額等は2億3500万円(対前年比100.5%)、製造品出荷額等は3億9500万円(対前年比100.9%)、付加価値額は1億4400万円(対前年比101.0%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は397万円(対前年比100.6%)、製造品出荷額等は2411万円(対前年比101.2%)、付加価値額は879万円(対前年比101.4%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は59.4%(対前年比99.6%)、同付加価値額比率は36.4%(対前年比100.1%)、同現金給与総額比率は16.5%(対前年比99.4%)となっています。

【1310 家具製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)木製家具製造業(漆塗りを除く)

2023年の木製家具製造業(漆塗りを除く)の事業所数は3067事業所(対前年比100.2%)、従業者数は4万322人(対前年比98.7%)、製造品出荷額等は8393億9000万円(対前年比102.6%)

となっています。

【1311 木製家具製造業(漆塗りを除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)金属製家具製造業

2023年の金属製家具製造業の事業所数は509事業所(対前年比97.7%)、従業者数は1万7787人(対前年比101.3%)、製造品出荷額等は5390億1400万円(対前年比98.1%)となっています。

【1312 金属製家具製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)マットレス・組スプリング製造業

2023年のマットレス・組スプリング製造業の事業所数は37事業所(対前年比100.0%)、従業者数は1141人(対前年比100.1%)、製造品出荷額等は501億5300万円(対前年比98.8%)となっています。

【1313 マットレス・組スプリング製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【家具製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【助成金(賃上げ編)】基本給の増額などで最大740万円!

1 賃上げの不安は、助成金を上手に活用して払拭する

物価高の影響等から、賃上げ(定期昇給やベースアップ)に向けた動きが活発になっています。2026年春闘の動向を見ても、賃上げ率は2024年・2025年に引き続き、「5%以上(定期昇給相当分を含む)」と高水準です。

一方で、多くの経営者は「先行きが不透明で、簡単には賃上げができない……」と不安を抱えています。一度賃金を引き上げてしまうと簡単には引き下げることができないのが現状です。賃上げは簡単でも、賃下げは「労働条件の不利益変更」等の問題が絡み、経営者の一存での対応は非常に難しいので、不安になるのも無理はありません。

そこでご提案したいのが、助成金を上手に活用し、賃上げによるコストアップの補填に充てることです。例えば、中小企業の場合、

有期パート等(契約期間の定めがある非正規雇用の社員)の基本給を3%以上増額すると、最大740万円を受け取れる

のをご存じでしょうか。これは「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」というものですが、他にも賃上げに関する助成金があります。

以降で、中小企業(雇用保険の適用事業主であることを前提とする)向けの助成金を取り上げ、支給額や要件等の情報に加え、専門家のワンポイントアドバイスも併せて紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

なお、助成金の内容は、2026年4月22日時点のもので、将来変更される可能性があります。申請書の書き方や添付書類等については、各章で紹介しているURLをご参照ください。また、いわゆる「賃上げ促進税制」については、こちらのコンテンツをご確認ください。

2 キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)(最大740万円)

1)キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)とは?

有期パート等の基本給を3%以上増額するように賃金規定等を改定し、その規定を適用させた場合、賃上げをした有期パート等の人数に応じ、助成金を受け取れるというものです。

厚生労働省「キャリアアップ助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

2)助成金を受け取るには?

まず、会社が次の要件を全て満たす必要があります。「キャリアアップ計画」は、有期パート等のキャリアアップを図る上での目標や会社の取り組みに関する計画、「賃金規定等」は、就業規則の賃金規定、賃金テーブル、賃金一覧表等のことをいいます。

  • コースの実施日(賃金規定等の改定日)の前日までに、キャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局に提出すること
  • 有期パート等の基本給を3%以上増額するように賃金規定等を改定すること
  • 改定後の規定に基づき、増額した賃金を6カ月間支給していること

ちなみに、既存の賃金規定等を改定した場合だけでなく、新たに規定を作成した場合であっても、過去3カ月の賃金実績と比較し3%以上増額していれば助成の対象となります。

なお、助成金は賃上げをした有期パート等の人数(1年度1社当たり100人が上限)に応じて支給されますが、対象となるのは、

雇用保険の被保険者で、賃金規定等の改定の3カ月以上前から勤務している有期パート等だけ(助成金の申請時点で離職している者等を除く)

なので注意が必要です。ちなみに、原則として週の所定労働時間が20時間以上で、雇用期間の見込みが31日以上ある人が、雇用保険の被保険者になります。

会社も有期パート等も要件を満たしている場合、6カ月分の賃金を支給した日の翌日から2カ月以内に都道府県労働局に申請をすれば、助成金を受け取れます。

3)受け取れる金額はいくら?

「賃上げ率に応じた支給額」(具体的には図表1の額)を定額で受け取れます。また、職務評価(職務の大きさを相対的に把握すること)を実施し、適正に有期パート等の賃金規定等に反映した場合、別途加算が受けられます。

キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)

仮に中小企業が100人に対し、6%以上の賃上げを実施した場合、加算額も含めると、1年度につき最大740万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

賃金規定等を3%以上増額改定する場合でも、

基本給以外の諸手当等を減額している場合は、支給対象とならない

ので注意が必要です。なお、増額改定とする制度設計は、申請者だけでなく、原則として全ての有期パート等を対象とする必要があります(ただし、合理的な理由があれば、一部に限定した改定・昇給であっても対象と認められるとされています)。

また、賃上げの実施前にキャリアアップ計画を作成・提出しないと、この助成金は受け取れません。また、労働保険料の未納や労働関係法令の違反がある会社は、助成金の対象から外れる恐れがあります。なお、

第3章で紹介する「業務改善助成金」の賃上げ対象にした社員は、キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)の対象にカウントすることができない

ので注意が必要です。

3 業務改善助成金(最大600万円)

1)業務改善助成金とは?

会社(実際は支店等の事業場単位)が事業場内最低賃金(最も賃金が低い社員の時給)を50円以上引き上げ、生産性を向上させるための設備投資等を行った場合、その費用の一部について助成金を受け取れるというものです。こちらは中小企業・小規模事業者だけが対象です。

厚生労働省「業務改善助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

2)助成金を受け取るには?

まず、会社が次の要件を全て満たす必要があります。

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金が、2026年度の地域別最低賃金未満であること
  • 解雇や賃金引き下げ等の不交付事由に該当しないこと

要件を満たしている場合、「賃上げの計画」「設備投資等の計画」を作成し、都道府県労働局に提出します。交付が決定されたら、計画に沿って賃上げと設備投資等を実施し、都道府県労働局に結果を報告すれば、助成金を受け取れます。

なお、賃上げの対象は雇用保険被保険者に限定され、助成金の対象になる設備投資等の例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 設備投資(例:POSレジシステム導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮)
  • コンサルティング(例:専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上)
  • その他(例:店舗改装による配膳時間の短縮)

3)受け取れる金額はいくら?

「助成上限額」までの範囲内で、「設備投資等の費用×助成率」で計算した額(具体的には図表2の額)を受け取れます。なお、「社員数30人以上」か「社員数30人未満」によって、助成上限額が一部異なる場合があります(図表2の赤字部分参照)。

業務改善助成金

要件を満たす場合、最大600万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

業務改善助成金における賃上げとは、全ての賃金の合計額をみて、所定の額以上の引き上げがされているものをいいます。そのため、

手当等を減額して基本給を引き上げた場合でも、ただちに助成金の対象から除外されるものではない

とされています。キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)とは、賃上げの考え方が少し異なるため、注意が必要です。

事業場内最低賃金の計算に含まれるのは、「毎月支払われる基本給と諸手当(職務手当、役職手当、住宅手当等)」だけで、時間外勤務手当(残業代)や賞与、通勤手当、家族手当などは対象外です(地域別最低賃金と同じ)。

ただし、事業場内最低賃金の計算の基礎に含まれないからと言って、通勤手当や家族手当などを減額や廃止するのは考えものです。その分の額を基本給などの引き上げに回したとしても、賃金全体の総額で見た場合に各コース所定の引き上げ額を下回っていると、賃上げとは認められません。

助成金の申請時に、賃上げ対象となる社員(必要がある場合は他の社員も)について、賃金台帳を基に実際の支給状況を確認されることがあるので、自社の賃金形態をあらかじめ確認しておきましょう。

厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43898.html

なお、2026年度の交付申請は、2026年9月1日からスタートしますが、

締切は地域別最低賃金の発効日(2026年10月1日以降、各都道府県で随時発効。2026年11月30日以降の発効になる場合は、11月30日が締切)となっていて、申請期間が短い

です。また、

賃上げは、2026年9月1日から地域別最低賃金の発効日の前日までの間に行う

必要があるので、申請前に賃上げを実施してしまわないよう注意しましょう。

4 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)(最大325万円)

1)人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)とは?

社員の離職率を低下させるために、

  • 雇用管理制度(賃金規定制度、諸手当等制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度)
  • 雇用環境整備(業務負担軽減機器等の導入(社員の業務負担の軽減が図られる機器・設備等の導入))

の措置のいずれかを実施し、離職率が低下した場合に助成金を受け取れるというものです。

厚生労働省「人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199292_00005.html

2)助成金を受け取るには?

まず、会社が次の要件を全て満たす必要があります。「雇用管理制度等整備計画」は、雇用管理制度や業務負担軽減機器等の導入に関する計画のこと、「評価時離職率算定期間」は、計画期間終了から1年経過するまでの期間のことで、この期間に離職率の変化を評価します。

  • 雇用管理制度等整備計画を作成し、都道府県労働局に提出して「認定」を受けること
  • 計画の認定申請日から計画期間末日までの間、同一の社員(最低1人)を計画の適用対象者として継続雇用すること
  • 雇用管理制度または業務負担軽減機器等を新たに導入し、適用対象者の2分の1以上に制度・機器等を適用し、さらに、制度・機器等を評価時離職率算定期間の末日まで運用すること
  • 離職等について一定の要件を満たし、評価時離職率算定期間が終了するまで(計画期間終了から1年経過するまで)の離職率を、計画提出前1年間よりも原則として1%ポイント以上低下させること(雇用保険被保険者数が10人未満である場合は、要件緩和あり)

上記の要件を満たした上で、評価時離職率算定期間が終了してから2カ月以内に、都道府県労働局に結果を報告すれば、助成金を受け取れます。

3)受け取れる金額はいくら?

雇用管理制度については「制度の内容に応じて定められた額」を定額で、雇用環境整備については、「対象経費の2分の1に相当する額」を受け取れます(いずれも上限額あり)。

また、このコースでは計画期間中に、雇用管理制度・雇用環境整備の対象者について、「毎月決まって支払われる賃金を5%以上(一定の要件を満たす場合は3%以上)賃上げ」すると、加算が受けられます。なお、雇用環境整備に限り、7%以上の高い賃上げを実施した場合は更に高額な加算を受けることができます。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)

雇用管理制度・雇用環境整備の措置を両方実施し、なおかつ、賃金要件も満たした場合、最大325万円を受け取れる計算になります。

4)専門家のワンポイントアドバイス

助成の要件として、計画開始日6カ月前から計画期間の末日までにおいて、雇用保険被保険者を会社都合で解雇等していないことが含まれています。助成の獲得を狙うのであれば、計画の達成だけに注視するのではなく、日常的な運営にも留意する必要があります。

賃金要件を満たすためには、雇用管理制度等整備計画の認定申請後、

雇用管理制度・雇用環境整備の措置の実施日から、計画期間の末日までに賃上げ

を行う必要があります。また、社員それぞれの「毎月決まって支払われる賃金」について、

賃上げ前3カ月間の合計額と、賃上げ後3カ月間(賃上げした月を含む)の毎月決まって支払われる賃金の合計額を比較して、原則5%以上増加

していることが必要です。

以上(2026年5月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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画像:日本情報マート

【働き方改革推進支援助成金】年休の促進で最大1020万円!?

1 「年5日の年休取得」に向けた取り組みは助成金の対象

労働基準法には、会社の「年休の時季指定義務」が定められています。これは、

年10日以上の年次有給休暇(以下「年休」)が付与されている社員には、社員の意見を聴取した上で、会社が時季を指定して年5日の年休を取得させる

という義務で、違反すると30万円以下の罰金の対象となります。

仕事ばかりで休もうとしない社員や、周囲に遠慮して休みたいと言えない社員もいます。しかし、年休の取得は、社員の心身のリフレッシュや仕事の効率に繋がることから、この義務に真摯に向き合って確実に年休を取らせていくことは大切です。

それに、社員の年休取得を促進する取組は、助成金の対象にもなります。具体的には、

「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」で、最大1020万円を受給できる可能性がある

のです。助成金を受給するには、所定の「交付申請書」を事業実施計画書などとともに、所轄都道府県労働局雇用環境・均等部(室)に提出します。

2026年度の申請期限は、2026年11月30日まで

ですので、詳細を確認してみてください。助成金の概要は次の通りで、赤字の部分が年休に関連する内容です。

画像1

2 何をしたら年5日の年休取得が達成できるのか?

1)就業規則等の整備

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)を受給するには、年5日の年休取得について就業規則等を整備する必要があります。定めるべきポイントは次の通りです。

  • 年休の付与日数が年10日以上の社員に、年5日の年休を取得させる
  • 5日の年休は、年休の付与日から1年以内に取得させる
  • 5日の年休は、社員の意見を聴取し、尊重するよう努めた上で、会社が時季を指定して取得させる

就業規則等の規定例は次の通りです。

【規定例】

第○条(年次有給休暇の時季指定)

会社は年次有給休暇を年10日以上付与する社員に対して、付与日から1年以内に、付与日数のうち5日について、会社が社員の意見を聴取し、その意見を尊重した上で、あらかじめ時季を指定して取得させる。ただし、社員が本人による時季指定または第○条で定める計画的付与により年次有給休暇を取得した場合、取得した日数分を5日から控除する。

なお、就業規則等を整備するだけでなく、運用面においても注意が必要です。具体的には、

社員ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存する

ことが義務付けられています。また、社員数が常時10人未満の会社(事業場)が働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)を受給する場合、就業規則に代えてこの年次有給休暇管理簿の添付で代替可能とされています。社員数が常時10人以上の場合も、万が一提出を求められた際にきちんと対応できるよう、準備をしておきましょう。

2)計画的付与を導入する

年休をなかなか取ろうとしない社員がいる場合は、計画的付与が有効です。計画的付与とは、

労使協定で定めた日に年休を与えられる制度

です。年休の時季指定義務との大きな違いは、

年休を与えるに当たって、社員の意見を聴取しなくてもよい

という点です。計画的付与では、会社全体で一斉に付与することも、チームや個人単位での交代制にすることもできます。導入するには「労使協定」(事業場の過半数労働組合、それがない場合は労働者の過半数代表との書面による協定)の締結が必要になります。

計画的付与の対象は、付与日数のうち5日を超える部分です。例えば、年休の付与日数が10日の社員の場合は5日まで、20日の社員の場合は15日までです。逆に言うと、年休の付与日数が5日以下の社員には、計画的付与を適用できません。また、計画年休に充てるべき休暇日数が不足する社員を含めて計画的に付与する場合には、年休の付与日数を増やす等の措置が必要となります。

図表2が年休の付与日数の一覧で、赤字が年休の時季指定義務の対象になる社員、網掛けにしているのが計画的付与を適用できない社員です。

画像2

3)半日単位年休や時間単位年休の導入

半日単位年休や時間単位年休を導入すると、

  • 仕事の引き継ぎなどにかかる手間が減る
  • 病院や役所に行くなど、ちょっとした私用に活用できる

といったメリットにより、社員が年休を取得しやすくなることが期待できます。社員が出張先で仕事をした後、空いた時間で観光を楽しむ「ブリージャー(出張休暇)」なども取りやすくなるかもしれません。

なお、半日単位年休と時間単位年休は似ていますが、実は次のように大きな違いがあります。

画像3

注意していただきたいのは図表3の赤字部分、「5.年休の時季指定義務との関係」「6.働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)との関係」です。

  • 半日単位年休では助成金はもらえないが、年休の時季指定義務には含まれる
  • 時間単位年休では助成金がもらえる可能性があるが、年休の時季指定義務とは無関係なので、別で年5日の年休を取得させる必要がある

以上(2026年4月更新)

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画像:pixabay

【株主総会 まとめ】中小企業の株主総会の全て

1 中小企業の株主総会の全て

【株主総会】シリーズでは、中小企業が株主総会を開催する際の留意点、文書作成の参考となる文面例、オンラインで株主総会を開催する場合のポイントなどを紹介しています。

今の株主総会の進め方に不安がある場合や、開催方法を見直したい場合などにぜひご活用ください。

2 株主総会ってどういうもの?

株主総会は、株式会社の「最高意思決定機関」といわれ、主に経営に関わる重要なことを決定します。株主総会で決められる主な議案と留意点などを紹介します。

1)株主総会は必ず開催しなければならない

株主総会の開催は、株式会社の義務です。株主が経営者とその親族などに限られているオーナー企業などでは、実際の株主総会を開催せず、議事録だけを作成しているケースがありますが、実はこれは会社法違反です。株主総会の位置付けや、株主総会で決められる事項などの基本的なルールを紹介します。

2)株主総会で行われる決議は3種類

株主総会で行われる決議は、「普通決議」「特別決議」「特殊決議」の3種類です。ほとんどの事項は普通決議で決まりますが、多くの株主に影響を及ぼすような重大な事項は、特別決議などで決めます。3つの決議の概要とそれぞれの決議で決められる要件を網羅的に紹介します。

3 株主総会当日までに準備しておくことは?

株主総会当日までに準備しておくことは多岐にわたります。スケジュール例を参考に、事前にやることをリストアップすると抜け漏れもなくなります。開催前と開催後に必要な準備と手続きを紹介します。

1)スケジュールを確認し、必要な書類は文面例を参考に作成しよう

株主総会のスケジュールは、会社法などで細かく決められています。例えば、株主の権利行使は基準日(多くの場合、事業年度の末日)から3カ月以内とされているため、株主総会はそれまでに開催する必要がありますし、開催日の原則2週間前には、株主に招集通知を送らなければなりません。抜け漏れのないよう、参考となるスケジュール例や招集通知の文面例を紹介します。

2)当日は「議事進行シナリオ」を準備し、開催後は議事録の速やかな作成を

株主が少ない中小企業の場合は、議事進行手順などを整理した「議事進行シナリオ」を作成しておくと当日の進行がスムーズです。開催当日の議事進行シナリオ例や株主総会後に必要な手続きを紹介します。

3)取締役と株主の同意があれば、取締役会と株主総会の招集手続や決議を省略できる

株主総会の実務のうち、取締役会の招集手続や決議、株主総会の招集手続、株主総会の決議については、取締役と株主の同意があれば省略できます(ただし、株主総会議事録の作成は省略不可。株主総会の書面決議を行った場合も同様)。具体的な省略の方法を紹介します。

4)株式実務をしっかりこなして、株式に関するトラブルの発生を抑えよう

株式に関するトラブルは、解決が難しいとされています。例えば、株主名簿に記載されていない株主は、会社が株主として認めない限り、株主総会で議決権を行使できません。そのため、株主名簿の管理・印鑑の登録といった株式管理や、株式を譲渡する際の手続きなどの株式実務は、慎重に行う必要があります。各実務の書式づくりで参考になるひな型を紹介します。

4 中小企業が開催できるオンライン株主総会は出席型

株主総会は、必ずしもリアル(対面形式)で開催する必要はなく、テレビ会議システムなどを使ってオンラインで行うこともできます。オンライン株主総会は制約が多いですが、遠方の株主などがいる場合は効率化につながる可能性もあります。中小企業が開催できるのは、リアルの会場を準備した上でオンラインでも中継する形態です。開催の留意点や招集通知、議事録の作成例を紹介します。

以上(2026年4月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

経営者から管理職へ 「名言」で伝える心構え

1 管理職に対してこそ必要な「メッセージ」

管理職は、部下の指導について多くの悩みを抱えています。部下との意思疎通をうまく図れない、部下がついてきてくれない、部下が思うように成長しない、部下が何を考えているか分からない……。こうした現状に疲弊している管理職は少なくありません。

さらに近年は、「何かを言うとパワハラと言われるかもしれない」「部下に踏み込みすぎて嫌われたくない」といった不安から、指導そのものを躊躇する管理職も増えています。自信を持って部下と向き合えずにいる、そんな管理職が多いのが現状です。

管理職の話を聞き、励ますのは、経営者の大切な仕事です。特に、組織を率いる立場の経営者から語りかけるメッセージは、管理職の「行動指針」にもなるでしょう。この記事では、「迷い」「視点」「行動」というテーマでそのようなメッセージを紹介します。

2 「迷い」を力に変えるための言葉

管理職の中には、「自分は管理職に向いていない」「どう接すればよいのか分からない」と感じ、自己否定に陥っている人もいます。部下指導への不安が積み重なり、次第に部下から距離を置くようになるーーそういった悪循環に陥りがちです。

経営者は、こうした管理職に「迷っていること自体は悪いことではない」と伝えましょう。その際、米国の研究者でリーダーシップ論の第一人者であるブレネー・ブラウン氏の次の言葉が参考になります。

「私たちは日々、不確実性やリスク、危険に生身がさらされるような場に直面する。そうなるのは不可抗力だが、それにどう関わるかは選ぶことができる」(*)

ブラウン氏は20年以上にわたって「脆弱性(vulnerability)」をテーマに研究を続けてきました。彼は、「自分をさらけ出すことへの恐れを持ちながらも、それでも踏み出す姿勢こそがリーダーに求められる本物の勇気だ」と言っているのです。

この考え方は、管理職にも当てはまります。迷いや不安を感じながら部下と向き合おうとしている管理職は、むしろリーダーとして誠実な姿勢を持っている証拠ともいえます。大切なのは、迷いを消すことではなく、迷いを抱えながらも部下の前に立ち続けることです。

経営者は、ブラウン氏の言葉を借りて、「あなたが迷っているのは、部下を真剣に考えているからだ」と管理職に伝え、自己否定から脱却する後押しをしましょう。

3 「視点」を変えるための言葉

管理職の中には、部下指導で「できないところを直させる」ことに注力しすぎて、かえって部下との関係が悪化してしまう人がいます。「なぜこれができないのか」「もっとこうすべきだ」という指摘が続くと、部下は委縮し、管理職への信頼も失われかねません。

経営者は、「部下を育てる」という視点を、「部下の強みを引き出す」という視点に転換するよう促しましょう。その際、経営学の父と称されるピーター・ドラッカー氏の次の言葉が参考になります。

「成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。弱みからは何も生まれない」(**)

ドラッカー氏はその著書の中で、「弱みを基盤にしてはならない(できないことからスタートしてはならない)」と述べています。重要なのは、一人ひとりの強みを見極め、それをチームの成果につなげる仕組みをつくることだというのがドラッカー氏の一貫した主張です。

部下一人ひとりには、それぞれ異なる得意分野があります。「なぜできないのか」ではなく「何ならできるのか」を問い続ける管理職こそが、チームを本当の意味で強くします。弱みに目を向けることをやめるわけではありませんが、それよりも強みを活かす視点を持つことが、部下の成長と組織の活性化につながります。

経営者は、ドラッカー氏の言葉を借りて、「部下の足りない部分ではなく、できることを見よ」と管理職の視点を切り替えさせることが大切です。

4 「行動」を継続するための言葉

部下の指導に真面目に取り組んでいる管理職ほど、悩みは深いものです。部下が思うように成長しないことに苛立ち、落胆し、つい「自分でやったほうが早い」と手を出してしまうーーこれは管理職の“あるある”といってもよいでしょう。

しかし、根本的な問題は、「部下が育たないこと」ではなく、「育てようとする行動が継続しないこと」にあります。経営者は、管理職に対して「気合いで続けろ」ではなく、「続けられる仕組みをつくれ」と伝えましょう。その際、習慣形成の専門家として世界的に知られるジェームズ・クリアー氏の次の言葉が参考になります。

「結果は設定した目標とはほとんど関係なく、取り入れた仕組みに左右される」(***)

クリアー氏は著書の中で、目標設定よりもそこに至る日々の「仕組み(システム)」の設計こそが成果を左右すると説いています。やる気が出たときだけ動くのではなく、やる気がなくても動けるような環境と習慣を整えることが、継続の本質だという考え方です。

これは部下指導においても同じです。「今日は時間があるから指導する」「気が向いたのでフィードバックする」という偶発的なアプローチでは、部下の成長は安定しません。定期的な1on1の時間を設ける、週に一度フィードバックを行う日を決めるなど、管理職自身が「仕組み」をつくることが重要です。

経営者は、クリアー氏の言葉を借りて、「あきらめるな」と精神論を語るのではなく、「続けられる仕組みをつくれ」という実践論で管理職を支援しましょう。経営者自身も、管理職が実行しやすい環境をつくることで、その仕組みづくりを後押しすることが肝要です。

【参考文献】

(*)「本当の勇気は『弱さ』を認めること」(ブレネー・ブラウン著、門脇陽子訳、サンマーク出版、2013年8月)

(**)「経営者の条件」(P・F・ドラッカー著、上田惇生訳、ダイヤモンド社、2006年11月)

(***)「複利で伸びる1つの習慣」(ジェームズ・クリアー著、牛原眞弓訳、パンローリング社、2019年10月)

以上(2026年4月更新)

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画像:pixabay

【業種別データ】木材薬品処理業、その他の木製品製造業(竹、とうを含む)の動向

2023年の本業界は、事業所数826、従業者8,076人、製造品出荷額約1,547億円(対前年比98.2%)

と前年をやや下回っています。全体として事業規模は横ばいから微減で、現金給与総額や付加価値は低下傾向。木材薬品処理は事業所・従業者が増える一方で出荷は減少、コルク類や一部品目は落ち込みが大きく、原材料比率(約58.8%)の高さから収益性改善と高付加価値化、コスト管理が喫緊の課題です。

1 業界動向

1)業界全体

2023年のその他の木製品製造業(竹、とうを含む)の事業所数は826事業所(対前年比98.9%)、従業者数は8,076人(対前年比97.1%)、製造品出荷額等は1547億1900万円(対前年比98.2%)

となっています。

1事業所当たりの従業者数は10人(対前年比98.2%)、現金給与総額は3200万円(対前年比95.2%)、原材料使用額等は1億1000万円(対前年比100.2%)、製造品出荷額等は1億8700万円(対前年比99.3%)、付加価値額は6900万円(対前年比97.6%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は325万円(対前年比96.9%)、製造品出荷額等は1916万円(対前年比101.1%)、付加価値額は710万円(対前年比99.4%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は58.8%(対前年比100.9%)、同付加価値額比率は37.1%(対前年比98.3%)、同現金給与総額比率は17.0%%(対前年比95.9%)となっています。

【1290 その他の木製品製造業(竹、とうを含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)木材薬品処理業

2023年の木材薬品処理業の事業所数は52事業所(対前年比108.3%)、従業者数は809人(対前年比121.5%)、製造品出荷額等は460億3200万円(対前年比93.5%)となっています。

【1291 木材薬品処理業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)コルク加工基礎資材・コルク製品製造業

2023年のコルク加工基礎資材・コルク製品製造業の事業所数は6事業所(対前年比85.7%)、

従業者数は88人(対前年比80.0%)、製造品出荷額等は17億7000万円(対前年比75.6%)となっています。

【1292 コルク加工基礎資材・コルク製品製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)他に分類されない木製品製造業(竹、とうを含む)

2023年の他に分類されない木製品製造業(竹、とうを含む)の事業所数は768事業所(対前年比98.5%)、従業者数は7179人(対前年比95.2%)、製造品出荷額等は1069億1800万円(対前年比100.9%)となっています。

【1299 他に分類されない木製品製造業(竹、とうを含む)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別出荷金額ランキング(都道府県別・2023年出荷分)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【木材・木製品製造業(家具を除く)の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【業種別データ】造作材・合板・建築用組立材料製造業の動向

2023年の造作材・合板・建築用組立材料製造業は、事業所数は微増した一方で、製造品出荷額が全体で前年比91.8%と減少し、業界全体として縮小傾向が見られます。原材料費比率は上昇しており、コスト負担が利益を圧迫する構造が続いています。特に合板製造業は出荷額が前年比76.2%と大幅減となった一方、パーティクルボードや床板製造業では出荷額が大きく伸びるなど、品目別で明暗が分かれています。従業者1人当たりの付加価値額は減少し、生産性の低下が課題となっています。総じて、需要減退や原材料高騰の影響を受けつつも、製品分野によっては底堅い需要が残る状況といえます。

1 業界動向

1)業界全体

2023年の造作材・合板・建築用組立材料製造業の事業所数は1761事業所(対前年比100.2%)、従業者数は4万4315人(対前年比99.0%)、製造品出荷額等は2兆2208億5300万円(対前年比91.8%)

となっています。

1事業所当たりの従業者数は25人(対前年比98.8%)、現金給与総額は1億500万円(対前年比99.5%)、原材料使用額等は8億5900万円(対前年比91.8%)、製造品出荷額等は12億6100万円(対前年比91.7%)、付加価値額は3億4400万円(対前年比86.8%)となっています。

従業者1人当たりの現金給与総額は419万円(対前年比100.7%)、製造品出荷額等は5012万円(対前年比92.7%)、付加価値額は1366万円(対前年比87.8%)となっています。

製造品出荷額等に占める原材料使用額等比率は68.1%(対前年比100.2%)、同付加価値額比率は27.3%(対前年比94.7%)、同現金給与総額比率は8.4%(対前年比108.5%)となっています。

【1220 造作材・合板・建築用組立材料製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2)造作材製造業(建具を除く)

2023年の造作材製造業(建具を除く)の事業所数は397事業所(対前年比101.8%)、従業者数は6909人(対前年比98.7%)、製造品出荷額等は2136億6000万円(対前年比95.9%)となっています。

【1221 造作材製造業(建具を除く)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3)合板製造業

2023年の合板製造業の事業所数は319事業所(対前年比96.4%)、従業者数は7268人(対前年比89.8%)、製造品出荷額等は3779億2500万円(対前年比76.2%)となっています。

【1222 合板製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

4)集成材製造業

2023年の集成材製造業の事業所数は191事業所(対前年比98.5%)、従業者数は5379人(対前年比97.0%)、製造品出荷額等は2303億1200万円(対前年比86.7%)となっています。

【1223 集成材製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

5)建築用木製組立材料製造業

2023年の建築用木製組立材料製造業の事業所数は634事業所(対前年比100.6%)、従業者数は1万8500人(対前年比102.0%)、製造品出荷額等は1兆388億8600万円(対前年比91.5%)となっています。

【1224 建築用木製組立材料製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

6)パーティクルボード製造業

2023年のパーティクルボード製造業の事業所数は25事業所(対前年比108.7%)、従業者数は1131人(対前年比111.1%)、製造品出荷額等は636億400万円(対前年比127.4%)となっています。

【1225 パーティクルボード製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

7)繊維板製造業

2023年の繊維板製造業の事業所数は20事業所(対前年比90.9%)、従業者数は1260人(対前年比93.1%)、製造品出荷額等は629億6700万円(対前年比92.6%)となっています。

(図表7)【1226 繊維板製造業】

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8)銘木製造業

2023年の銘木製造業の事業所数は51事業所(対前年比100.0%)、従業者数は240人(対前年比105.3%)、製造品出荷額等は45億5700万円(対前年比107.1%)となっています。

【1227 銘木製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

9)床板製造業

2023年の床板製造業の事業所数は124事業所(対前年比106.0%)、従業者数は3628人(対前年比107.0%)、製造品出荷額等は2289億4100万円(対前年比129.7%)となっています。

【1228 床板製造業】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

2 品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)

品目別・都道府県別出荷金額ランキング(2023年実績)は次の通りです。

【品目別出荷金額ランキング(都道府県別・2023年出荷分)】

(出所:経済産業省「経済構造実態調査(製造業事業所調査)」を基に作成)

3 経営指標

【造作材・合板・建築用組立材料製造業の経営指標】

(出所:日本政策金融公庫「小企業の経営指標2024」)

(注1)( )内は、調査対象企業数です。

(注2)受取利息を加味できないなど調査項目に限界があるため、「黒字かつ自己資本プラス企業」でも損益分岐点比率が100%を超える場合があります。

以上(2026年3月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

ヒント 9[職場 1]:“ウェルカムな職場”は人が辞めない/武田斉紀の『人が辞めない会社、10のヒント』(10)

1 一日も早く「仕事の手応え」や「仕事を通した貢献や成⾧」を感じられるように

今シリーズの狙いは、経営者、人事担当者、現場の皆さんのお悩みである「社員を採ってもすぐに辞めてしまう上に、そもそも採れない」という課題を解決することです。『人が辞めない会社、10のヒント』と題して、毎回1つずつご紹介していきます。

『人が辞めない会社』に変わるための課題、その原因と解決策は会社によってさまざまです。

今回ご提示するヒントが皆さんの抱える原因に明らかに当てはまらない場合は、読み飛ばしてくださって結構です。ですが、ヒントの1~9までが該当しなくても、10が当てはまるかもしれません。

全社共通の原因もあれば、部署ごとの固有の原因も存在することでしょう。原因が1つだけというケースは少ないので、何回分か読んでいただければ「これはうちにも当てはまるな」というものを見つけていただけるのではと思います。

『人が辞めない会社』に変わるために、前回の第9回では、人は「自分は今の仕事で大事な戦力なのだ」と思えれば簡単には辞めない、というお話をしました。

本人が仕事を通して十分な「仕事の手応え」や「仕事を通した貢献や成⾧」を感じられている間は、もっとここで頑張りたい、もっとここで役に立ちたいと思えるからです。

まずは新たに入社した人材が、早く職場になじめるように上司や既存社員のほうから働きかけ、一日も早い戦力化を目指しましょう。

その際に上司が取るべき行動は、一方的に指示命令をしてやらせるのではなく、彼らに徐々に「仕事を任せ」ていくことです。自分で自律的に考えてやらせてみて、一緒に「振り返る」のです。

初めての業務で分からない場合などは、これまでの自社のやり方を示して一度は試してもらいつつも、改善点や新たな提案があれば積極的に受け止める姿勢を見せましょう。

同時に「新戦力としての期待」や「本人ならではの経験、知識、スキル、アイデアを期待していること」も伝えましょう。そうすれば、誰もが少なからず”存在価値” や”存在意義”を感じられるはずです。

新戦力である彼らは、失敗をしながらも小さな成功体験を積み重ねることで、「仕事の手応え」や「仕事を通した貢献や成⾧」を感じられるようになっていくことでしょう。

2 「若手やよそ者に冷たい会社」と、「ウェルカムな会社」

さて、第10回からは、[仕事]に代わって、職場環境としての[組織]についてのヒントをご紹介します。今回は、「”ウェルカムな職場”は人が辞めない」というお話です。

世の中には、「若手やよそ者に冷たい会社」と、「ウェルカムな会社」が存在します。

「若手やよそ者に冷たい会社」は、新たに新卒や中途社員が入社してきても歓迎の意思を示しません。

恐らくまず、トップや幹部、人事の人たちが人に対して冷たいのでしょう。その影響もあって現場の各部署も人に冷たい。どちらも新しい人材への期待が薄く、両者の連携もなく、迎える準備ができていないのです。

極端なケースで言えば、「入社に向けた手続きの案内が適当」だったり「入社式が適当」だったり。さらには「配属部署での歓迎セレモニーがない」「部署全体やメンバーへの紹介がない」「歓迎会のような懇親会もやらない」など。

挨拶やセレモニーだけではありません。些事に思えるかもしれませんが、「配属初日に何をやるかが決まっていない」「仕事に必要な本人用の備品が用意されていない」。それだけで本人は、「自分は大事にされていない」「この会社は社員を大事にしていない」と感じるものです。

また、「入社後研修がない」。定期的にまとまった人数の新卒採用をしている会社なら新入社員研修はあるでしょうが、中途社員向けはどうでしょうか。さらには、「困ったときに相談しやすい相手(メンター)も用意されていない」。

「若手やよそ者にウェルカムな会社」は、「冷たい」会社の真逆です。

トップ、幹部、人事も新しい人材に大いに期待し、大切に思っている。その意思が現場にも伝わっていて、新しい人材をいかにウェルカムするかを部署内で真剣に話し合い、十分な準備をして入社当日を楽しみに迎えているのです。

「入社に向けた手続きの案内が丁寧」で、「入社式には社⾧や幹部から期待を伝えるなど、力を入れているのが分かる」。「配属部署に行くと、歓迎セレモニーがあり」「部署全体やメンバーへ丁寧に紹介してくれる」。迎えるほうは1人が相手でも、本人はたくさん覚える人がいますから、写真入りのメンバー紹介などがあればかなり助かります。

「歓迎会のような懇親会がある」。別に夜にお店で飲み会を開かなくても構いません。既存社員と気軽に話し、交流できる場でさえあれば、例えば職場の会議室や食堂でお酒抜きかつ短い時間でもいいのです。

入社後研修は何日もかけて⾧ければ充実しているというわけでもなく、内容が肝心です。数人の中途入社者相手であれば、お決まりの内容よりも当人の状況にカスタマイズした個別研修のほうがありがたいでしょう。

3 「ウェルカムな会社」は、戦力化までみんなでフォローする

「ウェルカムな会社」は、会社とメンバー一人ひとりが入社時に歓迎の意思を示すだけでなく、戦力化までみんなでフォローします。

第9回でも言及しましたが、採用した人材の最初のゴールは「戦力に育てる(戦力化する)」ことです。

本人が「自分は大事な戦力なのだ」と信じられてこそ、自身の”存在価値” や”存在意義”を感じて組織の大切な一員として頑張れるからです。

新卒にしても中途にしても、入社後研修を終えればすぐに戦力になるわけではありません。その後はOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング、職場業務を通した訓練)を通して学んでいくことになります。その際、日々の疑問点や悩みを解決できる環境を用意しておくことが肝要です。

皆さんの会社の中にも、「メンター制度」(直属の上司や先輩以外の相談相手を予め用意しておく制度)を導入しているケースがあるでしょう。

プライベートでもそうですが、相談内容によって親兄弟、恋人やパートナーに相談したいときもあれば、親友や詳しい知人に相談したいこともあるはずです。いくら上司がウェルカムな人で、相談しやすい相手であったとしてもそれは変わりません。

ただでさえ、入社したばかりでとまどいの連続の毎日です。彼らの疑問点や悩みはできるだけ早く、その日のうちに解決するのがベスト。翌日に向けて前向きな心の準備ができます。

上司や先輩、同僚など身近な人に相談しにくい場合、直接利害関係のない他部署のメンターがいれば心強いでしょう。人間同士の相性もあるでしょうから、メンターも入社者1人に複数人設定しておくといいかもしれませんね。

当然ですが、メンターの選抜には配慮が必要です。

相談すれば断らずに話を最後まで聞いてくれて、気持ちも含めて一旦受け止めてくれる人。その上で、問題解決のために社内人脈も活かして適切に対処してくれる人。本人を甘やかすのではなく、一日も早く戦力になれるように支援してくれる人です。

また、中途入社者の場合、入社同期を作ってあげることも有効です。

中途の場合、年齢や経験・スキルも全く異なるどうしで、新卒のような同期意識は少ないかもしれません。ですが、ベテランであっても、よそ者が一人で入社するのは孤独なものです。同じくらいの時期に入社した”同期”がいれば、悩みを打ち明けられるよき相談相手になれるかもしれません。

私は中途入社者に直接聞いたことがありますが、互いに年齢や経験によらず”中途入社同期”が一人いるだけでも心強いそうです。入社時期が少しずれる場合は、研修を一緒に行うだけでも”中途入社同期”の感覚が芽生えるようですよ。

4 「ウェルカム」を、会社の文化に育てる

私が新卒で入社したリクルート社にも数十年も前から「メンター制度」に近いものがあり、ありがたかったのですが、

最もありがたかったのは「誰に相談しても必ず相談に乗ってくれる、人を育てる文化」でした。

上司だったか先輩だったか忘れましたが、入社後に教えてくれました。「何でも相談したいことがあれば、誰に相談してもいいんだよ。課⾧を飛ばして部⾧や他部署の人に直接聞きに行ってもいいし、必要なら役員や社⾧に聞いたっていい。そういう会社だから」と。

それは本当のことでした。しかも、相談に行くと誰一人断らないのです。こちらの思いをちゃんと伝えれば、たとえ初対面でも笑顔で「いいよ」と気さくに声をかけてくれました。そのとき忙しければ、「分かった。今無理だけど、〇時くらいでも大丈夫?」とわざわざ時間を取ってくれるのです。

「仕事の報酬は仕事」というのも同社の文化で、仕事のできる人には新しい仕事がどんどん舞い込んできます。そういう人は目立つし頼りにもなるので、若手だけでなく先輩や他部署からも相談されやすい。でも、どんなに忙しくても基本的に断らないのです。

「相談内容の資料があったら事前に読んでおくから送っておいて」と言って、時間になって相談に行くとすでに目を通していて、的確なアドバイスをくれました。あるいは、「これね、自分じゃなくて□□部の〇〇さんの事例が使えるよ。つないであげるよ」と目の前で連絡してくれるのです。

それを見た私は、「自分もいつかこうして誰かに相談され、力になれる人間になりたい」と強く心に刻んだものです。そんな思いが循環して、会社全体の文化になっていたのかもしれません。

上司によっては、部下が事前に断りなく自分を飛ばして、上の上司や他部署の管理職、ましてや役員、社⾧に相談に行くことをよく思わない人もいそうです。しかし、同社では「本人がその人に相談したかったのだ。それで問題が解決したのならオッケー、何の問題もない」という考え方が浸透していたのです。

5 「ウェルカム」は「甘い」のではない、互いが”プロ”を求める

人に対して「ウェルカム」なのと、人に対して「甘い」のとは異なります。

新しい人を「ウェルカム」に迎えるのは、彼らに大いに期待しているから。互いの成⾧と会社の発展のためにも、「一日も早く戦力になってもらい、同じ”プロ”として一緒にいい仕事をする」ことを目指すのです。

「ウェルカム」の根底にはDEI(Diversity:多様性、Equity:公平性、Inclusion:包摂性)の、特にInclusionの考え方があります。「企業理念など中心となる価値観を共有できるか否かは譲れないが、それ以外の属性は問わない、むしろ違いを歓迎する」という思想です。

生物の種が強くあるためには、均一のDNAではなく、外部環境の変化やウィルスなどに抗えるDiversity:多様性が不可欠です。そのためにはEquity:公平性を持って違いを受け入れる=Inclusion:包摂性が前提となる、会社もそれと同じです。

新卒や中途社員は自社をさらに強くしてくれる存在であり、「ウェルカム」の気持ちで受け入れて、同じ”プロ”としての戦力の一員になってもらえるように会社と社員が努力するべきなのです。

一日も早く戦力になってもらいたければ、入社時には大歓迎し、大いに期待していることをトップから現場まで会社全体で伝えましょう。

入社までの準備や手続き、当日の準備を怠りなく。職場に来たらメンバーを丁寧に紹介し、早く環境に慣れてもらうために既存社員との交流の場を作るのです。

新卒、中途に限らず入社後研修を実施し、OJTに移ってからも直接の教育担当でなくても随時声をかけ、積極的に相談に乗る。「メンター制度」や入社同期のつながりを作り、自身の職場以外でも相談しやすい環境も用意してあげる。

これら全ては、「一日も早く戦力になってもらい、同じ”プロ”として一緒にいい仕事をする」ための布石です。

もちろん新卒と中途、また中途の中でもスキルやキャリアによっても戦力化までにかかる時間は違います。必要以上に急かすのは逆効果。優秀な人材、期待の大きい人材ほどプレッシャーになってしまいます。

各々の新しい環境への適用度合いを確認しつつ、「早く同じ立場で一緒に働きたい」気持ちと、「そのためには協力は惜しまないし、いつでも相談に乗りますよ」という気持ちで接していけばいいでしょう。

会社としてこの人材を採用したいと決めた以上、受け入れる側が戦力化することを途中であきらめないことです。

第10回を最後までお読みいただきありがとうございました。次回はいよいよ『人が辞めない会社、10のヒント』の最後の1つです。今回と同じく職場環境としての[組織]についてのヒントをご紹介します。

毎回ご紹介するヒントを参考にしながら、自社を退職する一人ひとりの「辞める理由」と、働いている一人ひとりの「辞めない理由」を丁寧に拾ってみましょう。見えてきた自社ならではの“課題”を解消し“強み”を活かせれば、『人が辞めない会社』へと変われるはずです。

<ご質問を承ります>

ご質問や疑問点などあれば以下までメールください。※個別のお問合せもこちらまで

Mailto:brightinfo@brightside.co.jp
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※武田が以前上梓した書籍『新スペシャリストになろう!』および『なぜ社長の話はわかりにくいのか』(いずれもPHP研究所)が、ディスカヴァー・トゥエンティワンより電子書籍として復刻出版されました。前者はキャリア選択でお悩みの方に、後者はリーダーやトップをめざしている方にお薦めです。

『新スペシャリストになろう!』
https://amzn.asia/d/e8GZwTB
『なぜ社長の話はわかりにくいのか』
https://amzn.asia/d/8YUKdlx

以上(2026年4月作成)
(著作 ブライトサイド株式会社 代表取締役社長 武田斉紀)
https://www.brightside.co.jp/

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