中小企業新事業進出補助金では、新規事業の新市場性や付加価値、有望度などが重視され、中小企業成長加速化補助金では、企業の中長期的なビジョンと経営力、地域への波及効果などが重視されます。新市場・新事業参入を目指すなら「新事業進出補助金」、大規模な売上拡大を狙うなら「成長加速化補助金」が有効です。
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中小企業新事業進出補助金では、新規事業の新市場性や付加価値、有望度などが重視され、中小企業成長加速化補助金では、企業の中長期的なビジョンと経営力、地域への波及効果などが重視されます。新市場・新事業参入を目指すなら「新事業進出補助金」、大規模な売上拡大を狙うなら「成長加速化補助金」が有効です。
税制優遇や補助金、助成金を受けるための要件の1つに、
「中小企業」であること
と示されていることがあります。この「中小企業」という言葉は、法律によって定義が違うことをご存じでしょうか。ある法律では中小企業の要件に該当していても、別の法律では該当しないため、補助金や助成金、税制優遇を受けられないことがあります。
そこで、この記事では、中小企業基本法、産業競争力強化法、法人税法、租税特別措置法、会社法で示されている中小企業の定義を整理します。自社がどの法律なら「中小企業」に該当するのか確認してみましょう。
なお、法律ごとに「会社」「法人」「企業」のように用語が異なるため、この記事でもそれぞれの法律に合わせて表記します。
まずは、中小企業基本法、産業競争力強化法、法人税法、租税特別措置法、会社法で示されている中小企業の定義の全体像を把握してみましょう。資本金、従業員数、業種等によって中小企業の要件が異なることが分かります。
中小企業基本法では、業種によって中小企業の定義が違います。まず、中小企業の要件を満たすかどうかの基準は次の2点です。
次に、下記の図表で「資本金の額または出資の総額」「常時使用する従業員の数」のいずれかを満たしていれば、中小企業基本法における中小企業に該当するといえます。
なお、別の業種に属する複数の事業を行っている場合は、「主たる事業」が属する業種で判断します。主たる事業は、直近1事業年度の決算書において、売上高などが最も大きい事業になります。
産業競争力強化法では、従業員数が2000人以下で、中小企業に該当しない企業を「中堅企業者」と定義しています。例えば、製造業の場合は常時雇用する従業員数が300人以上、2000人以下かつ、資本金が3億円超の企業が中堅企業者と定義されます。
また、中堅企業の中でも、次の要件を満たす企業は「特定中堅企業者」と定義されます。
法人税法では、中小企業に該当する法人を中小法人等と規定しています。中小法人等に該当するためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
ただし、次の要件に該当する法人を除きます。
租税特別措置法では、中小企業に該当する法人を中小企業者と規定しています。中小企業者に該当するためには、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
ただし、次の要件に該当する法人等を除きます。
また、「適用除外事業者(前3事業年度の平均所得金額が15億円超の中小企業者)」に該当する場合も、優遇措置の対象から除かれます。
なお、大規模法人とは、中小企業者の要件に該当しない法人または大法人(資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人)による完全支配関係がある法人等をいいます。
会社法では、中小企業の定義がなく、大会社のみが規定されています。次のいずれかの要件を満たせば大会社に該当します。逆に言えば、次のいずれの要件も満たさない場合は、便宜上、中小企業(大会社以外の会社)といえます。
また、会社法における大会社は、決算公告や内部の組織について規定があります。会社法における大会社と非大会社(中小企業)の分類は次の通りです。
大会社では、取締役会の内部統制義務(注)がある、会計監査人を置かなければならない、決算公告は、貸借対照表と損益計算書の開示が必要といった規定があります。
これに対して、非大会社では、監査役会と会計監査人の設置は任意、決算公告は貸借対照表のみとしていますが、自社が発行する株式の一部または全部を自由に譲渡可能な公開会社(定款で株式の譲渡制限を設けていない会社をいいます)の場合は、3人以上で構成する取締役会を設置する必要があります。
(注)株主から経営を委ねられた取締役会が主体となり、取締役の業務が会社法や自社の定款にのっとり、適切に行われているかどうかチェックするための体制をいいます。大会社かつ取締役会設置会社の要件に該当する場合に内部統制義務があります。
以上(2025年6月更新)
(監修 税理士 石田和也)
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画像:pixabay
インターネットやSNS等で労働者を募集する際には法律違反とならないように、必ず”6情報”(①求人者・労働者の募集を行う者の氏名又は名称、②住所(所在地)、③連絡先、④業務内容、⑤就業場所、⑥賃金)を記載することを念頭に置き、求人広告を作成するようにしましょう。
自社の商品(自社工場で製造)が百貨店バイヤーの目に留まり、新規で10万個の注文がありました! 現在、その商品は取引先20社に提供していて、すべて販売単価は700円、製造原価は550円です。
ところが、百貨店の条件は厳しく、
販売単価を500円に値下げしてほしい
と値引きを要請してきました。自社工場の生産能力には余力があって10万個の追加製造は引き受けられそうですが、販売単価が安い。
さて、ここで問題です。単純に、
原価割れで、赤字だ!
と考えるのは正しいのでしょうか。こうしたシーンに直面することはよくあるので、判断の基準をご紹介します。
前述した百貨店の案件は、数字だけ見ると原価割れです。しかし、原価の内訳を確認すると評価が変わるかもしれません。仮に、その商品の原価は次の通りとしましょう(話を単純化するため、ここでは、材料費と人件費以外を考慮しないものとします)。
例えば、すでに別で生産している売上で固定費が賄われている状態にあり、現在の生産能力で10万個の増産に耐えられるなら(固定費が増えないなら)、商品を1個販売するごとに増える原価は材料費の450円だけです。つまり、百貨店提示の販売単価でも、1個販売するごとに50円(500円-450円)もうかります。これを管理会計の分野では「限界利益」と呼びます。
限界利益=売上高-変動費
この限界利益で固定費を賄うことができれば収支トントンであり、これを「損益分岐点」と呼びます。
改めて整理すると、
商品の売上高から変動費を引いたものが限界利益で、この限界利益が固定費を上回れば利益が出る
ということです。そして、限界利益と固定費がイコールになるポイントが損益分岐点です。図で確認すると分かりやすいでしょう。
固定費を限界利益率(売上高に占める限界利益の割合)で割れば、損益分岐点になる売上高が分かります。
損益分岐点売上高=固定費÷(1-(変動費÷売上高))
これにより、「この商品が、どのくらいもうけを出しているか」が分かるので、百貨店の注文を受けるか否かについて根拠を持って決められるようになります。念のため補足をすると、販売価格が同じであれば、限界利益率の高いほうが利益を出しやすくなります。
(問題1)
販売単価が1000円(変動費400円、固定費400円)の商品を、合計で5000個販売しました。この場合の限界利益はいくらですか? また、限界利益率はどのくらいですか?
(問題1の回答)
販売単価の1000円から変動費400円を引くと、1個当たりの限界利益は600円です。その商品を合計で5000個販売しており、商品全体の限界利益は600円×5000個で、300万円となります。また、限界利益率は売上高に占める限界利益の割合なので、60%となります。
問題1の答え:300万円、60%
(問題2)
販売単価が1000円、製造単価が800円の商品があります。製造を外注した場合、外注単価は570円です。この商品を外注するか否かを検討する際に、どのような情報が必要ですか? また、どのような条件の場合に外注しようと思いますか? なお、外注費は全て変動費として取り扱います。
(問題2の回答)
自社の製造単価が800円、外注単価(変動費)が570円の場合、一見、外注すれば230円のコストが削減できると思えます。しかし、自社の固定費が高く、外注すると製造単価が800円を超える恐れがあります。となると、単純にいえば自社の変動費が570円超ならば外注を検討することができます。
問題2の答え:必要な情報は変動費と固定費
以上(2025年6月更新)
(監修 KOSOパートナーズ合同会社 代表社員CEO 公認会計士 朝倉厳太郎)
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画像:pixabay
小さな会社や個人商店が今すぐ売上をあげようと思った時、どの販促ツールから作ればいいのか?『「A4」1枚チラシで今すぐ売上をあげるすごい方法 「マンダラ広告作成法」で売れるコピー・広告が1時間でつくれる!』(ダイヤモンド社刊)では、販促コンサルタントの岡本達彦氏が、今すぐ売上をあげるために必要な「A4」1枚チラシを誰でもつくれる「マンダラ広告作成法」という新しい販促手法を紹介。
これから先、AIに対して的確な指示出しや要件定義ができる人材が求められるとも言われますが、AIの性能は予想以上に進化し、人間側の指示が多少曖昧でもAI側がカバーしてくれるようになりました。そうなると、AIを完璧に使いこなせる一部の人材を除くと、「自分で手を動かせる人」しか必要なくなるのだと思います。
休日は、心と体を休ませるための大切な時間。でも、過ごし方によっては、かえって疲れが溜まったり、気分が落ち込んだりしてしまうことも…。「良い休日だったな」と心から思える、そんなメンタルヘルスに効く休日の過ごし方について今日は共有したいと思います。
京都先端科学大学教授/一橋ビジネススクール客員教授の名和高司氏が、このたび『シン日本流経営』(ダイヤモンド社)を上梓した。日本企業が自社の強みを「再編集」し、22世紀まで必要とされる企業に「進化」する方法を説いた渾身の書である。本記事では、その内容を一部抜粋・編集してお届けする。
おはようございます。私が部下を持つ上司の立場になってから数年が経ちました。今日は私と同じ上司の皆さんに、ぜひ聞いていただきたい話があります。皆さんは、部下がなかなか仕事を覚えてくれなくて、モヤモヤした経験はないでしょうか。私は上司になってからそのようなモヤモヤがずっと続いていたのですが、最近になって、それは部下ではなく、部下を教育する私のほうに問題があったのだと気付くことができました。
私に足りなかったものは「言語化」です。私は今まで部下に何かを教える際、「私が今からやるから、同じようにやってみて」と、具体的な言葉で伝えずに指導をすることが多々ありました。私自身も若い頃、当時の上司から「仕事は見て覚えるものだ」と言われて育ちましたし、日々の業務も忙しく、マニュアルなどを作る余裕もなかったからです。
ですが、あるとき別の会社で働く友人から、アドバイスを受けました。その友人も、私と同じく部下を持つ上司ですが、このようなことを言われました。「仕事のポイントが『10個』あったとして、部下に『5個』しか言葉で伝えてなかったとしたら、それはできなくて当たり前だよ」と。私が「でも、マニュアルを作る時間もないし……」と言いかけたら、その友人は「そんな大仰なものじゃなくて、教えることをメモ帳やホワイトボードに書き出すだけでいいんだよ」と返してきました。
友人の言う通り、部下に何かを教える前に、ポイントをメモに書き出して渡すようにしたら、部下とのコミュニケーションが一変しました。先ほどの例えで言うなら、言語化によって「ポイントが10個あること」が私と部下の共通認識になり、部下は仕事の全体像が分かって質問がしやすくなり、私も「部下が理解できていること、できていないこと」を整理しやすくなったのです。
上司にも仕事がある以上、全てを手取り足取り教えるわけにはいきませんし、部下の成長のために「見て覚えてもらうこと」が必要なときもあります。とはいえ、チームで仕事をする以上、基本となるのはやはり「言葉」であり、「忙しいから」「言葉にしにくいから」といった理由で言語化を怠けていては、いつまでたっても上司も部下も成長できないのだと考える今日このごろです。
以上(2025年6月作成)
pj17219
画像:Mariko Mitsuda
労働基準法の「時間外労働の上限規制」が物流業にも適用される(いわゆる2024年問題)ようになってから、1年以上がたちました。
とはいえ、物流業は「2割長く、2割安い」職業といわれており、もともと
など、長時間労働に陥りやすい傾向があり、2024年問題への対応がいまだ追いついていない会社が少なくありません。物流業の会社は、いかに人手不足を解消すればよいのか。この記事ではそのヒントとして、
業務のDX化や配置転換で長時間労働を是正すること
をご提案します。
なお、物流業界においては、2024年問題への対策として
2025年4月1日から改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法が施行され、荷主・物流事業者に対する規制などが強化
されています。第3章で紹介していますので、自社が対応できているか改めてご確認ください。
中小企業クラスの物流業における、時間外労働の削減に関する取り組み事例を紹介します。
物流業では、安全運転の徹底のため、運行管理者がドライバーの出発前や帰社後に点呼を取り、健康状態や呼気中のアルコール濃度をチェックすることが欠かせません。ですが、この業務にかかる時間は、DX化によって削減できる可能性があります。
例えば、ある会社は、各営業所に設置したロボットが、ドライバーの健康状態やアルコール濃度のチェックを自動で行い、運行管理拠点にデータを送る形で点呼を行っています。
ロボットが点呼を行うことで、運行管理者がドライバーと対面する必要がなくなり、作業時間を大幅に削減できる
ようになったそうです。
また、この会社では、運行日報の記入の自動化も実施しています。運行日報は手書きが当たり前という会社も多いですが、
「デジタルタコグラフ(デジタコ)」を使い、運転時の速度・走行時間・走行距離などを自動で記録できるようにする
ことで、ドライバーの負担を軽減しているそうです。デジタコと連携した勤怠管理システムもあり、勤怠管理も自動化することもできます。
ドライバーの長時間労働が慢性化しやすい原因の1つに、荷物の積み下ろしが終了するまでドライバーが待機する「荷待ち時間」の問題があります。
例えば、ある会社は、ドライブレコーダー機能とデジタコ機能が一体になったセーフティーレコーダーを全車に導入し、車両の速度、走行時間、走行距離などを分析することで、荷待ち時間がどの程度発生しているのかを突き止めました。さらに、
荷待ち時間を可視化したデータを顧客に見せ、荷待ち時間短縮の協力を仰ぐ
ようにし、配送ルートの見直しも併せて行うことで、時間外労働の削減に成功したそうです。
どの会社でも従業員の高齢化は大きな課題ですが、物流業においては特にその傾向が強いです。経験豊かなベテランは会社にとって戦力の要ですが、一方で人間の身体機能は年齢とともに低下していくため、高齢化とともにドライバーが事故に遭うリスクも高まっていきます。
例えば、ある会社は、こうした高齢のドライバーをあえて「事務職」に配置転換することで、事故のリスクを減らすとともに、働き方改革に成功しました。「経験豊かなベテランを現場から外して大丈夫なのか?」と思うかもしれませんが、
ドライバーの仕事内容を細かく把握しているからこそ、配車が効率良く行える
という側面があり、結果的に職場全体の時間外労働の削減につながったそうです。例えば、どのサイズのトラックなら現場に入れるかなどを細かく顧客とやり取りしながら、ドライバーの仕事を決められるといった具合です。
中小企業の場合、ドライバーは中途採用が基本です。トラックの運転免許については、大型免許であれば原則21歳以上、中型免許であれば原則20歳以上といった具合に年齢要件が高めに設定され、なおかつ一定の運転経験が受験資格に含まれているため、新卒採用に取り組みにくい面があります。ただ、人手不足と高齢化の中、そんなことばかり言ってもいられません。
例えば、ある会社は、「いつまでも若手を入れないわけにはいかない」と考え、
物流業のいわゆる3K(きつい、汚い、危険)のイメージを取っ払い、新卒の人にも興味を持ってもらえる会社づくり
に取り組みました。業界未経験者であっても会社が費用を出して免許を取ってもらう形を整え、労働時間が不規則で年次有給休暇が取りにくいという課題を解決するため、年5日の計画年休制度も導入するなどした結果、高卒のドライバーの新卒採用に成功しました。また、従業員のユニフォームを清潔なデザインに一新したり、社内にパウダールームを設けたりすることで、女性の新卒採用にも成功し、人材の確保・育成を継続しているようです。
最後に、2025年4月1日から施行されている、改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法について解説します。今回の改正のポイントは大きく3つに分けられます。
荷主(発荷主、着荷主)と物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)について、次のような措置を講じる努力義務が課されています。
「特定事業者」と呼ばれる、主務大臣が指定する一定規模以上の荷主・物流事業者について、物流効率化のための措置に関する中期計画の作成や提出が義務付けられています。
また、特定事業者に該当する荷主については、物流効率化のために必要な業務を統括管理する「物流統括管理者」の選任が義務付けられています。
荷主から運送を委託された元請事業者について、1.5トン以上の貨物を運送するために他のトラック事業者(実運送事業者)を利用した際、「実運送体制管理簿」という運送の実態を記録する管理簿を作成することが義務付けられています。
荷主・トラック事業者・利用運送事業者(実運送業者に運送を委託する事業者)は、運送契約の締結時に、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等)について記載した書面を交付することが義務付けられています。
トラック事業者・利用運送事業者について、他事業者の運送の利用(下請け)を適正化する努力義務が課され、一定規模以上の事業者には、適正化に関する管理規程の作成や責任者の選任が義務付けられています。
軽トラック事業者の営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任し、定期的な講習を受講させることが義務付けられています。
軽トラック事業者に係る事故報告や安全確保命令に関する情報が、国土交通省のウェブサイトで公表対象となります。
以上(2025年6月)
(監修 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)
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