【従業員が交通事故!】責任割合はどうなる? ②一時停止のある交差点

書いてあること

  • 主な読者:社有車の事故防止に力を入れたい経営者や運行管理責任者ならびに運転者
  • 課題:交通事故の基本的な責任割合や未然防止策を知りたい
  • 解決策:過去の裁判例に基づく基本的な責任割合と場所や状況に応じた事故防止策を理解する

1 事故事例と状況を把握します。

今回の事故状況はこちらです。A(自社の青い車)が、交差点でB(相手方の赤い車)と接触してしまいました。Aの進行方向に、一時停止の標識があったそうです。

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【A車:自社車両 B車:相手方車両】

前回の交差点での確認ポイントをおさらいしてみましょう。

①信号の有無
②双方の道路幅
③交通規制の有無
④センターラインの有無
⑤双方の速度

また、最近ではドライブレコーダーを搭載した車両も多くなってきました。ドライブレコーダーの映像は責任割合を決定するうえで非常に有効ですが、機種によっては時間経過するとデータが自動消去されるものや、走行すると上書きされてしまうものもありますので、事故を録画したデータの保全も重要です。

2 今回の事故事例の基本的な責任割合を見てみましょう。

1)責任割合の決まり方は?

双方に責任が生じる事故の場合、主に加入している保険会社の担当者が窓口となり、類似した過去の裁判例をもとに、実際の事故状況に応じて双方の責任割合に修正を加えながら決定していきます。

2)今回の責任割合は?

過去の裁判例より、A(自社の青い車)80%:B(相手方の赤い車)20% が基本の責任割合となります。

今回はどちらの道路も同じ幅でセンターラインが無く、双方同程度のスピードで接触した場合の基本の割合です。

道路交通法では、一時停止の規制がある場合、車両等には停止線の直前での一時停止義務が定められています。また、交差する道路を走行する車両等の進行を妨げてはいけない(道路交通法43条)とも定められています。

一方、相手方にも、交差点を通行する車両に対する注意義務(道路交通法42条1項)があるため、20%の責任が発生します。

※実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容とは異なる結果になる場合もあります。

3 今回の事故事例を未然に防ぐポイントとは。

一時停止の規制標識や停止線が、交差点より少し手前に設定されていることが多いのには理由があります。建物やブロック塀などで見通しの悪い場所から突然、歩行者や自転車が進行してくる可能性もあるため、少し手前で停止しないと接触してしまう危険があります。

  • まずは、一時停止の標識や停止線で必ず停止
  • 次に、左右の安全が確認できる地点まで、減速しつつ慎重に進む(カーブミラーも活用)

車の運転は一人で行う業務のため、運転者本人が「事故を絶対に起こさない。」という意識を強くもち、事故を起こさない運転行動を自主的に行うことが重要です。

また、管理者は運転者に対し、組織的なサポート・指導・管理を行う必要があります。

例えば、ある運送会社では、事故に繋がりやすい性格や心理状態を診断する無料のサービスを運転者全員が受検し、心の穏やかさや慎重さなどの各運転者の診断結果を踏まえたきめ細やかな指導を行っています。

その他、ドライブレコーダーを活用した安全運転指導や教育サービス、無料の安全運転セミナーを提供している機関もありますので、それらを利用して自動車事故防止活動をしていくのも良いでしょう。

以上(2021年10月)

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本記事で紹介している責任割合は、過去の裁判例を参考にした基本的な割合です。実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容と異なる結果になる場合もあります。

【朝礼】思ったことをそのまま口に出してはいけません

「伝え方」に関する書籍がベストセラーになるなど、ビジネスでは「自分の考えを相手に正確に伝えるスキル」が重要視されます。特にある程度の役職で影響力が大きかったり、法人対法人で取引する際の窓口担当者になったりした場合、伝える力は一層大事になります。

例えば、この会社で最も影響力が大きい私が相手に対する伝え方を間違えると、それだけで取引が終わってしまう恐れがあります。一方、窓口担当者の場合は、伝え方を間違えたくらいではいきなり取引がなくなることはないかもしれません。しかし、相手の社内における当社の評判は、確実に悪くなります。この恐ろしさが分かるでしょうか。相手にとって「当社が大切ではない」ということになれば、何かの対応は他よりも後送りにされますし、いざというときに本気で助けてくれません。

先日、社長仲間で話をしていたとき、その中の1人の社長の会社に届いたメールが話題になりました。そのメールには、「取引を終わらせようとしているのか?」と思えるような、辛辣な内容が書かれていました。しかし最後に、「怒りにまかせて、失礼なことを言ってしまいました」と謝罪をしています。相手としては、この最後の謝罪で、それまでの内容をご破算にできると思ったのかもしれませんが、甘い話です。法人対法人の継続取引で、一方的に売ったけんかを、たった1行の謝罪で勝手に終わらせることなどできません。

それでもその社長は、相手がそこまで立腹しているのだからと自分たちの落ち度を反省し、すぐに今後の対策などをまとめて、相手の意見や要望を確認するメールを返信したそうです。しかし、それには何の返事もなく、相手はこれまで通りに取引を続けています。恐らく、一時の怒りの感情をメールで送って、すっきりしたのでしょう。

さて、この話をしていた場には、その社長と私の他にも、同業界の社長が数名いました。つまり、その怒りのメールを送ってきた相手の会社のことは、私たちの中ですっかり共有されました。それどころか、今、私が皆さんにお話ししているのと同じように、他の社長も、自社の社員や別の社長に話しているはずです。

今どきは、ネットの世界におけるネガティブ情報の拡散が問題になりがちですが、今回のようなリアルの世界では、情報は当事者の感情が込められて伝わります。ひとたび悪評が立てば、もはや“火消し”をすることはできないかもしれません。

「伝え方」に関する書籍では、シーン、話す順番、言葉の選択などが多く紹介されています。しかし、テクニックを意識するよりも大切なのは、「思ったことをそのまま口にしたり、メールで送ったりしない」ことです。特にネガティブな話をするときは、必ず一呼吸おいて、自分がこれから口にしようとしている内容を吟味してから、判断してください。当たり前ですが、これはビジネスでとても大切なことなのです。

以上(2021年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

パートナーシップによる価値創造/経済性と社会性を両立させる中小企業のSDGs(3)

書いてあること

  • 主な読者:SDGsに本格的に取り組みたいけれど、企業としての損得勘定も気になる経営者
  • 課題:経済性と社会性を両立させるSDGsの取り組み方を知る
  • 解決策:SDGsのポイントはパートナーシップにある。自社の取り組みに自己満足せず、課題解決のためのつながりを広げていく

1 「自己満足」に陥らないSDGsを目指す

前回は、SDGsで経済的なメリットを享受するまでの「成果」と「出口戦略」を決める方法について、お話をさせていただきました。

企業が社会課題解決に取り組むときに陥りがちなのが、「自己満足」です。

設定した成果は、誰が幸せになっているのでしょうか? 誰が褒めてくれるのでしょうか? 出口戦略では、その「誰」を事前にしっかり決めておくことだとお伝えしました。最終回となる今回は、この、

自社のSDGsによって幸せになる人や、自社のSDGsを褒めてくれる人が「誰」なのかを深めることが、自社のSDGsの価値を高め、そして新たなイノベーションを生む

ことをお話ししたいと思います。

2 自社だけで取り組むSDGsは「真のSDGs」ではない

SDGsのゴール17に、「パートナーシップで目標を達成しよう」というゴールがあります。その他の16の政策的なゴールに比べると、ちょっと忘れがちですが、一般社団法人SDGsマネジメント(以下「SDM」)では、SDGsの中で最も重要なゴールであると位置付けています。

そもそも国連がSDGsを定める際に、なぜゴール17を設定したのでしょうか? それは、SDGsのゴール1~16を達成するためには、世界中の国の政府、国民、技術者、地域、企業といった、ありとあらゆる人たちが結束してSDGsに取り組むことが必要だからです。つまり、誰かがやってくれるのを待つだけでは達成されないし、主体的に取り組むにしても自分一人では達成できないのがSDGsなのです。

「自社だけでSDGsをやっている」と語る企業は、本質的にやり方を間違っている

のです。

では、どのようにパートナーシップを構築したらよいのでしょうか? SDMは、団体フィロソフィーに、「社会課題に対して、あらゆるパートナーと連携し、ビジネスという手法を通じて、新しい価値を生み出し解決をする」と定義しています。

変化が激しく、社会課題も複雑な現代において、中小企業が単体の機動力で対応することは、人的資源、経済的資源の観点から考えても困難です。だからこそ、SDGsのゴール17を活用し、それぞれの機関や立場の人の強みを活かした「オールスターチーム」を組むほうが、柔軟性と創造性が増すと考えております。

3 産官学の「オールスターチーム」を組む方法

では、具体的にはどのようにオールスターチームを組めばよいのでしょうか?

SDMでは、産官学モデルを推奨しています。もちろん、皆さんの会社は「産」の立場でパートナーシップを作っていくことになります。

ここでポイントなのは、

自社だけがもうかるための、上下関係のパートナーシップは作らない

ということです。

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1)社会課題だけを抽出した団体を立ち上げれば、「産」同士が連携できる

パートナーシップの中心となるのは企業の利益ではなく、社会課題解決です。そこでSDMでは、社会課題解決のための団体を立ち上げることをお勧めしています。

前回も触れましたが、SDMの共同代表である西岡徹人さんが経営するSUNSHOW GROUP(以下「SG」)の事例を紹介しましょう。SGでは、SDGsゴール5:「ジェンダー平等を実現しよう」のために、女性活躍や働き方改革を推進する団体として一般社団法人WOMAN EMPOWERMENT PLATFORM(WEP)を立ち上げ、女性社員が理事長を務められています。

確かにSGのSDGsゴール5に対する取り組みは先進的ですが、1社だけでは本質的な解決はできません。とはいえ、企業体であるSGの活動に、SGとは利害関係のない他の企業が関わるというのも難しい話です。

そこで、社会課題だけを企業体から抽出することで、利害関係のない他の企業もSGの取り組みに賛同しやすい仕掛けを作っているのです。

2)「産」同士が連携すると「学」と連携しやすくなる

社会課題解決のための団体の立ち上げは、「産」のパートナーシップだけに効果を発揮するものではありません。

次にパートナーシップを作るのは、大学や研究機関などの専門家・研究者といった「学」です。SDGsに関わる研究を進めている専門家は、多くの企業事例を求めていますので、本来、「産」と「学」はもっと積極的に交流すべきです。

なぜ中小企業と「学」との連携が進まないかというと、中小企業は自社の事例だけしか提供できないため、研究対象になりにくいからです。その課題を解決するのが、前述した社会課題解決のための団体です。「産」で集めた社会課題解決の企業事例を「学」に提供することで、社会課題解決の企業事例が、専門家の研究のための「エビデンス(数値的な根拠)化」するのです。

3)「産」「学」連携は「官」にとっても好都合

実は、企業事例が研究のためのエビデンス化するというのは、「官」である政府や行政にとっても好都合なのです。政府や行政の官僚にとって一番重要なのは、自分たちの政策の成果が出ることです。そのため、政策を立案するに当たっては十分な事例を検討する必要がありますが、政府などは中小企業との強いネットワークがあるわけではありません。

社会課題解決のための団体である「産」の私たちの事例が、「学」によってエビデンス化され、「官」に情報提供される仕組みができれば、より大きな社会課題解決のパートナーシップが構成されるようになるのです。

4)オールスターチームのラインアップ表を作成

SDMでは、この産官学モデルのパートナーシップを構築することを大前提として、オールスターチームのラインアップ表を作るようにしています。「産」で共に社会課題解決に協力してくれる企業は誰か? 「学」でその社会課題に対して研究をしている専門家は誰か? 「官」では、政府や地方自治体で、この社会課題に取り組んでいる担当部署はどこか? またその政策作りを担当しているのは誰か? などを調べ上げるようにしています。

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ラインアップ表ができたら、ラインアップした機関や人を巻き込む仕掛け作りをします。仕掛けは、例えば次のようなものがあります。

  • 企業と専門家による社会課題検討をするためのワーキンググループなどを主催する
  • 自社などの企業事例を専門家に研究材料として提供する
  • 専門家の最新研究を自社に取り込み、自社で社会実験を実装してみる

中小企業のSDGsにおいて、最大の課題は情報とネットワークであると考えています。産官学モデルを参考にしていただき、パートナーシップの考え方の視座を上げていただけると、今までにない価値創造ができると思います。

4 まとめ

経済性と社会性を両立していく取り組みについて、中小企業だからこそできるSDGsをイメージすることはできましたでしょうか? ポイントになるのは、社会課題と政策への感度を高め、成果と出口戦略を設定し、そして自社だけでない幅広いパートナーシップを構築することです。

最後に、SDGsの思考フローを整理してみます。

1.経営者の想い、事業計画を深める

経営者の事業への想いを社会課題とマッチングさせながら深めていきます。また既存の事業計画においても、問題意識を共有できるようにします。

2.行政の掲げる政策を読み込む

「経済財政運営と改革の基本方針(=骨太の方針)」や、自社の商圏の総合計画・マスタープラン・政策集を読み込みます。それによって、日本や商圏の現状と未来と課題を捉えることができるとともに、自社の事業にマッチングする行政セクションを探すことが可能になります。

3.成果を決める

自社が具体的にどんな社会課題=指標に対して、明確な変化を起こすのか? を決めます。そのときには、経営者の想いと総合計画・政策集との整合性を考え、対外から見た視点でも、分かりやすい成果設定をします。この場合の成果設定は、政策の実施計画に合わせて、長期的な指標と1年で達成できる短期的な指標を作ることが望ましいです。長期指標だけだと具体性が乏しくなり、また短期指標だけだと目線が下がってしまって、目的を見失う可能性があります。

4.誰とやるのかを決める

成果が決まったら、共に運動をしてくれそうなパートナーを探します(図表1の産官学モデルをご参照ください)。政策から導く場合には、政策を担当している省庁や市町村の担当課にアプローチをします。その際、公的機関は一企業だけの利益になるような情報提供はしないため、ビジネスという目線だけではなかなか話を聞いてもらえないケースがあります。その場合には、社会課題解決に特化した一般社団法人の設立なども視野に入れた上で、パートナーシップ構築をすることをお勧めします。

5.運動を決める

成果を残すための具体的な運動(推進事業または提言事業)を決めます。お勧めは行政の政策と連動した推進事業です。それを展開する中で、政策の弱点も見えるようになりますので、提言事業につなげるとよいでしょう。

6.出口を決める

一生懸命に取り組んだ運動の成果について、誰に自社を評価してほしいのかを明確にストーリーにします。「この社会課題解決を通じて誰かからの評価が高まる」→「自社の評価が高まり、経済的な利益を得る」→「経済的な利益を得られるので、さらに社会課題解決に取り組む」という連鎖を起こし、結果的にビジネスに好影響を与えるという解釈(すなわち「事業のローカライズ」)をします。

ここまでできたら、あとはやり切るだけです。途中で多くの問題に突き当たるとは思いますが、ぜひそのプロセスを記録しておいてください。記録を広く公開することで、他社の参考になるだけでなく、自社の知名度や評価を高めることにもつながります。

記録する媒体は、一般社団法人サステナブルトランジションが提供する「Platform Clover」がお勧めです。自社のSDGsの取り組みについて、アクティビティの発信、プロジェクトの管理・評価が体系的に行えるオンラインプラットフォームです。

■Platform Clover■
https://platform-clover.net/

SDGsはゴールを宣言するだけでは意味がありません。ゴールに向かって経済性と社会性の両立をマネジメントすることで、まさに社会課題解決の取り組み自体を持続可能な形で発展させていくことが、これからのSDGsには求められています。

以上(2021年10月)

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画像:Sakosshu Taro-Adobe Stock

【朝礼】批判を受け止める勇気、受け止めた上で前に進む勇気

おはようございます。突然ですが、クイズを出します。今から約120年前に創設された、世界初の受賞者の国籍を問わない賞といえば何でしょう? 答えは「ノーベル賞」です。ノーベル賞は、発明家アルフレッド・ノーベル氏の「人類に最大の利益を与えた人々に賞を授けるため、自分の遺産を使ってほしい」という遺言に基づき、1901年に第1回授賞が行われました。現在は物理学、化学、医学生理学、文学、平和、経済学の6分野において、世界最大級の貢献をした人々に賞が贈られています。今日はノーベル賞がどうやって生まれたのかを、ノーベル氏の生涯と共に紹介します。

ノーベル氏は1833年、スウェーデンのストックホルムに生まれました。後の自分と同じく発明家だった父の影響もあって、幼い頃から化学に興味を持っていたノーベル氏は、あるとき知人から爆薬の一種であるニトログリセリンを紹介されます。当時のニトログリセリンは、爆発しやすく扱いが難しいとされていましたが、彼はその爆発を制御し、建設工事などの平和利用に役立てようと研究に没頭します。こうして発明されたのが、皆さんもご存じの、ダイナマイトです。

ノーベル氏は、この発明により莫大な財産を築きますが、後にそのダイナマイトが戦争に利用され、自身にも「死の商人」のレッテルが貼られていることを知ります。人類を豊かにするための発明が、全く逆の受け取り方をされていたことに、ノーベル氏はショックを受けます。

やがてノーベル氏は、自分の発明について彼なりの結論を出します。彼は、「この世の中で悪用されないものはない」と、ダイナマイトに人命を奪う負の側面があることを認め、その上で自身の発明が正しく使われることを願って、平和のための運動に積極的に参加するようになります。一方で、人類のための発明がうがった見方をされることなく正当に評価されるシステムをつくりたいとも考えるようになります。こうした発明への思いから誕生したのが、ノーベル賞というわけです。

私がノーベル氏をすごいと思うのは、批判の声に真っ向から向き合い、一方で、その声に押し潰されず、発明への思いを生涯大事に持ち続けた点です。彼が批判の声を「関係ない」と無視していたとしても、逆に「自分は死の商人だ、悪だ」と絶望して発明家をやめてしまっていたとしても、恐らくノーベル賞は生まれなかったでしょう。

私たちのビジネスでも、サービスや商品の内容、コミュニケーションなどについて、自分の意図とは裏腹に、相手から厳しい言葉を浴びることがあります。そんなときはぜひとも深呼吸して、「相手の言うことにも一理あるのではないか」と、批判に向き合ってみてください。そして、批判の声を受け止めつつ、それでも自分が貫きたい思いがあるなら、それを貫くことを簡単に諦めないでください。批判を受け止める勇気、受け止めた上で前に進む勇気、この2つが備わったとき、皆さんはさらに大きく成長できるはずです。

以上(2021年9月)

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画像:Mariko Mitsuda

それって、「薄い話」だよね……~なぜ、その話は物足りないのかを理解する~

書いてあること

  • 主な読者:誰もが知っているようなニュースレベルの会話しかできない中堅社員
  • 課題:しっかりと提案しているつもりなのに、相手から「薄い話」と捉えられてしまう
  • 解決策:ある事柄について、「なぜ?」を5回繰り返すなどして深掘りする

1 なぜか、課長は不満顔

「最近、営業が絶好調じゃないか。この調子で頑張ってくれよ」。営業一課に所属する中堅社員のAさんは、課長から声をかけられました。「はい。運が良いのか、順調に受注できています」と、課長に褒められたうれしさを押し殺すように、謙遜気味にAさんは答えました。

「そうか。実は、この機会に、新規顧客の開拓にも取り組んでみてほしいと思っているのだが、どうだろう?」と尋ねる課長に対して、Aさんは「はい、ぜひやらせてください!」と元気良く答えました。

すると課長は、Aさんを試すように顔をのぞき込みながら、「仮に、『アプローチ先は、自由に決めていい』って言われたら、どこを攻める?」と質問をしてきました。Aさんは少し考えながら「先日、ニュースで『B業界の業況が良い』と言っていたので、B業界なんてどうでしょうか……」と答えました。

「……そうか、わかった。具体的には後で指示するが、Aさんも考えてみてくれないか」少し物足りなさそうな表情をしながら、課長は立ち去っていきました。「急に聞かれても、すぐには答えられないよ……」と、課長の真意が分からないAさんでした。

2 「薄い話」になっていませんか?

話をしていると、時々、相手の話の内容が「何となく物足りない」(以下「薄い話」)と感じることはないでしょうか。例えば、「B業界」と言ったAさんのように、誰もが知っているニュースをそのまま話しているだけの場合と、それだけではなく、自分なりに考えながら「好調なB業界の企業と取引の多いC業界」と言った場合では、どのように感じるでしょうか。

恐らく、聞き手にとっては、前者は薄い話という印象を受けるのではないでしょうか。薄い話ばかりだと、周囲の人からは、物足りなく思われます。そうなると、信頼を得ることは難しくなるので、注意しなければなりません。

薄い話になってしまうのは、これまで積み重ねてきた経験やノウハウの差などが原因ではあります。ただし、必ずしも、それだけではありません。例えば、自分より業務経験が少ない人の話でも、しっかりした話と感じることもあるでしょう。逆に、経験豊富な先輩社員の話であっても、薄い話と感じることもあるはずです。

薄い話と感じる大きな理由は、「その人なりの考えた跡が見られない」ことにあります。そのため、仮に間違った(適切ではない)意見であっても、その人なりにしっかりと考えた結果であれば、薄い話とは感じないでしょう。

以降では、薄い話とならないようにするためのヒントなどを紹介します。

3 薄い話にならないようにするためのヒント

1)本質を探る

意見が求められている話題の本質を探ります。具体的な方法は話題によって異なりますが、トヨタ生産方式で有名な「なぜを5回繰り返す」が役に立ちます。必ずしも5回ということではありませんが、「なぜ」を繰り返していくことで、本質に近づくことができる場合があります。

冒頭の例で言えば、「B業界が好調なのは『なぜ?』」→「輸出が好調だから」。「輸出が好調なのは『なぜ?』」→「Zという新興国での需要が伸びているから」……と「なぜ?」を繰り返していくことで、B業界が好調である本質に近づくことができます。

「Zという新興国での需要が伸びている」ことが原因だと分かれば、「以前から、その新興国への輸出をしている他の業界や企業も、業績が好調なのでは?」「自社が、その新興国に直接輸出してもいいのでは?」といったように、広い視野から考え、意見を述べることができるようになります。

2)一つの情報から広げて考える

一つの情報を、そのまま伝えるのではなく、それを基にして、他の情報と関連付けたり自分なりに仮説を立てたりしながら、広がりを持たせるよう考えてみます。

冒頭の例で言えば、「景気回復により、B業界が好調だ」と言うだけでは、一つの情報にしかすぎません。それを基に、B業界が好調であれば、「B業界の川上(川下)に当たる業界の業績も好調なはずだ」「B業界の業者が集積している地域では、その他の業種であっても、業績の好調な企業が多いのではないか」といったように仮説を立てて考えてみると、冒頭のAさんのような「薄い話」にはならないはずです。

以上(2021年10月)

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画像:antkevyv-shutterstock

においで感覚に訴える「香りマーケティング」で顧客をつかむ

書いてあること

  • 主な読者:これまでと違った手法で自社をPRしたい経営者
  • 課題:「におい」を用いたマーケティング方法を検討したい
  • 解決策:におい付きの名刺やオリジナルグッズなどを利用する

1 本能に訴える「におい」の魔力をマーケティングに活かす

2020年のヒット曲に、昔付き合っていた女性を、当時彼女が使っていた香水のにおいで思い出す……という内容の歌がありました。今は何とも思っていなくても、フッとにおいを嗅いだ瞬間に記憶が呼び覚まされる効果のことを、「プルースト効果」というそうです。

実は、においは人間の大脳で感情をつかさどる大脳辺縁系をダイレクトに刺激することができます。視覚や聴覚などの他の感覚が知性をつかさどる大脳新皮質を刺激するのと比べると、

においは、人間の「本能」に直接訴えることができる魔力を持っている

といえるでしょう。

この特徴を活かし、においによって他社の製品との差別化を図ったり、顧客の記憶に長くとどめたりすることを支援するサービスが登場しています。こうしたサービスは、AIなどのテクノロジーの発展により、個人の好みのにおいに調合することや、映像に合わせてにおいを発する装置を開発するなど、進化を続けています。

この記事では、新たな手法での自社のPRやブランディングを検討している企業の経営者の参考になるよう、

目には見えないけれど、記憶に刻みつけることができる「香りマーケティング」の取り組み

を紹介します。

2 香りマーケティングの事例

香りマーケティングは、ホテルのロビーや高級料理店などのおしぼりに、イメージに合ったにおいを漂わせるなどの方法で、以前から取り入れられていました。

昨今では、今回紹介する事例のように、においの活用が発展し、使われるシーンも多様化してきています。単に「いいにおいを出して終わり」ではない香りマーケティングを支える取り組みには、次のようなものがあります。

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1)におい付きの名刺で相手の印象に残る:久保井インキ

印刷用インキの製造などを行う久保井インキは、カプセル化した香料を紙などに配合した名刺やはがきを作成しています。印刷された紙の表面をこすることで、配合されたにおいを放つことができます。

こうした媒体の効果的な活用方法として、「自社のにおい」を決め、それを名刺につけてみたり、新商品をPRするチラシなどに、その商品を連想させる「商品のにおい」を染み込ませてみたりすることが想定できそうです。

2)売り場のポップから商品のにおいを発生:アルファ

販促ツールなどの製造・販売を行うアルファは、食品のにおいを発生させる売り場用のポップを販売しています。

同社の製品「かおるくん」は、ケーキやパン、焼き肉などのにおいを発生させるカートリッジを組み立て、売り場に設置します。同社の効果検証によると、「かおるくん」と実際の料理の映像などが流れるデジタルサイネージを組み合わせることで、通常のポップなどに比べて買い物客の高倍率が高いとの結果が得られたそうです。

新型コロナウイルス感染拡大によって「人との接触」に制限がある中で、「いいにおい」と映像を使うことで、実演販売に近い役割が再現できるかもしれません。

3)いいにおいで社員のコンディションを調整:CODE Mee(コードミー)

フレグランス関連商品の販売や香りを用いた空間デザインなどを行っているコードミーは、企業向けの事業として、フレグランスをオーダーメードで作っています。同社のサービス「ソリューション・フレグランス」は、同社のECサイト上の利用者の傾向や、人間の脳波との組み合わせなどを基に、オリジナルのフレグランスを作っています。

オリジナルの企業用フレグランスの利用イメージとして、会議室などで議論の活性化を目的としたものや、待合室でのリラックスを目的としたものが挙げられています。

同社の取り組みは社外から注目を集めており、広告代理店の電通や、ビジネススクールを運営するグロービスなどのアクセラレーションプログラムに採用されています。同社のように、AIなどのテクノロジーを活用し、個人や企業に最適なにおいをカスタマイズし、IoT機器などを介して提供する「香りスタートアップ」の出現も、近年では増加しているようです。

4)においの言語化体験を消費につなげる:SCENTMATIC(セントマティック)

セントマティックは、データベース内の無数のにおいと言葉とをAIで互換し、「においの可視化」「言葉のにおい化」の体験機会を提供しています。同社の「KAORIUM(カオリウム)」では、これまでは困難だった、無数のにおいの僅かな違いをその場で表現できます。

カオリウムは、専用のテーブルに置かれたボトルを選び、そのボトルのにおいを連想させる言葉の候補がテーブルに表示されます。言葉の中から自身の感覚に合う言葉を選択し、その言葉に近いボトルを再度選んで最適なものを決めます。嗅いだにおいをその場で言語化し、選ぶプロセスを体験できるため、消費者と対面して商品・サービスを提供するような業態に、カオリウム利用の相性が良いように思われます。

想定されている利用方法として、児童教育やエンターテインメント向けなどがあります。また、居酒屋での利き酒にはすでに実用化されており、カオリウムを搭載したタッチパネルを利用して、日本酒の潜在顧客へのアピールや、愛好家向けの新たな日本酒の提案などに使われています。

5)キャラクターやイベントでにおいを取り入れる:SceneryScent(シーナリーセント)

香りのプロデュースを行っているシーナリーセントは、AIを活用して二次元のキャラクターや風景をイメージしたにおいのプロデュース方法として、「Virtual Fragrance(バーチャルフレグランス)」を提案しています。

これは、特定のキャラクターや場所などをイメージしたにおいを、インターネット上の関連する書き込みや、人間工学を基ににおいを創り出すものです。キャラクターの特徴を表すにおいをイメージした商品づくりや、イベントでの活用などが想定されています。

例えば、地域活性化を狙って地元の「ゆるキャラ」をイメージした香りを作り、地場商品のPRに活用したり、地元の特産品や名所をイメージした商品を作ったりするなど、「ご当地フレグランス」を開発することもできそうです。

3 においの提供方法・利用目的が多様化

香りマーケティングは最新技術を活用することで、次のように手法や狙いが拡大しています。

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香りマーケティング提供企業に聞いた成功の秘訣

においを使った演出や、さまざまなにおいを放つ装置や商品の製造を行っている企業からは、次のような意見を聞くことができました。

香りマーケティングを依頼する企業や依頼背景:

食品やイベント関連、宿泊業などからの依頼が多い。依頼内容は、自社商品のPR用途や、宿泊フロアやロビーに漂うにおいの調合依頼などが多い。自社商品のPRには、商品イメージに合ったにおいを新規に作ることもあるが、イベントなどで使う場合には、果物や花のにおいなど、「既にあるにおい」を使用することが多い

香りマーケティングの効果:

食品の販売など、「においと売り物」が直結する形態を除き、香りマーケティング単体の取り組みで、劇的に売上増につながるケースは少ないと感じており、依頼元も認識している様子。自社商品のプロモーションや、自社や商品がSNSで注目される(=“バズる”)ためのアイテムの一手法として、香りマーケティングは効果的と考えている

香りマーケティングを行うときの留意点:

香りマーケティング単体よりも、SNSでのPRなど他の手法と組み合わせることで、新奇性を打ち出すことができると思う。特に、オリジナルのにおいやキャラクターをイメージしたにおいなどの「これまでにないにおい」を作る際には、商品やキャラクターとのイメージの乖離(かいり)を防ぐために、においを調合する調香師との入念な擦り合せが重要。ここがおろそかになると、イメージと違うにおいが出来上がり、顧客が違和感を持つポイントになり得る

においを活用する「香りマーケティング」は、香水の文化がある欧米諸国では以前から普及しており、一説では世界全体で300億ドルを超える市場規模ともいわれています。日本では普及途上ではあるものの、近年のテクノロジーの発展により、活用の裾野が広がっています。においを既存のマーケティング手法と組み合わせることで、他社とは一味違うPR手法として注目に値するといえるでしょう。

以上(2021年10月)

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画像:Pixabay

「課長! さすがに時間が足りません!」~急ぎの仕事の対処法

書いてあること

  • 主な読者:上司から無理難題を依頼されて不満を覚えている社員
  • 課題:急ぎと言われても、時間は限られているので対応しようがない
  • 解決策:仕事を分解し、メリハリをつけて対処する。無理難題を頼まれるのは信頼の証

1 課長! それは無理です!

業績管理課に所属する中堅社員のAさんは、必死の形相で業績資料を作成しています。原因は、50分前に外出中の課長から入った電話でした。「申し訳ないが、いつもの業績資料を大至急で作成してくれないか。午後の会議で急きょ必要になったのだ。あと1時間で戻るので、それまでに頼む」。課長はそう指示をして、電話を切ろうとしました。

「ちょ、ちょっと待ってください。あの業績資料の作成には最低3時間はかかります。とても1時間ではできません。そもそも、今どきこんな資料が必要なのかと申し上げようと思っていたところです……」。そう答えるAさんの言葉を遮るように課長は話し始めました。「そんなことは分かっている! おおよその数字が分かればいいから。すまん。今、急いでいるから、40分後にまた電話する。とにかく頼むぞ!」と言って電話を切ってしまいました。

……40分後、課長から進捗状況の確認の電話が入りました。「資料はできたか?」「申し訳ありません。まだできていません。今、関係者に数字を確認していますが、リモートで連絡が取れない社員もいます……」。消え入りそうな声でAさんは答えました。

「何でそんなことしているんだ。『おおよその数字が分かればいい』と言ったよね? 先週末に報告してもらった見込みを使ってまとめてくれたらいいよ」。課長は少し呆れたようにAさんに指示を出しました。「分かりました。それであれば、あと20分でできます」。Aさんは、そう答えて電話を切りました。

「課長も、先にそう言ってくれればいいのに……」と不満顔のAさんでした。

2 急ぎの仕事を指示されたときの心構え

急ぎの仕事は、短時間でミスなく進めなければならないため、信頼できる人に任せます。ですから、上司から急ぎの仕事を任されるということは、「短い期間でも、確実に仕事をこなしてくれる」という信頼の証しでもあります。その信頼に応えるためには、限られた時間の中で、要求されるクオリティーを満たす仕事をしたいものです。そのためには、急ぎの仕事を上手にこなすコツを知っておく必要があります。

まず、急ぎの仕事を進めるときに、通常の手順を早く回そうとしてはいけません。例えば、冒頭の Aさんの例でいえば、業績資料の作成には6つの手順があり、通常は各30分、計3時間かかるところ、各手順を一律10分に短縮して1時間で終えようとする進め方です。しかし、この進め方は基本的には間違いです。当然ですが、通常3時間かかる仕事を、「急ぎ」だからといって、1時間でこなすことはできません。それを無理に進めれば、ミスが発生するでしょう。

急ぎの仕事は、通常の手順を変更しつつ、メリハリをつけて行うことがコツです。Aさんの例でいえば、6つの手順について、「ポイントとなる2と5は各20分かけ、1と4は各10分で簡易的に行い、3と6は省略(0分)」といったイメージです。ただ、このメリハリをつけるというのは簡単ではありません。以降で、もう少し詳しく見てみましょう。

3 メリハリをつけるための2つのポイント

メリハリをつけるためには、2つのポイントがあります。

1つは、仕事の目的を理解することです。Aさんの例でいえば「業績に関するおおよその数字が分かればよい」と言われています。そうであれば、課長の指示がなくても「先週末の報告数値でよい」という考え方も選択肢として浮かぶはずです。

もう1つは、仕事の難所やポイントを把握することです。急ぎであるとはいえ、仕事には一定のクオリティーが求められます。Aさんの例でいえば、「急いでいたから、数値に誤りがあってもよい」ということにはなりません。

仕事のクオリティーを担保するためには、急いでいても、時間をかけてじっくりとやらなければならない作業もあります。仕事にメリハリをつけるためには、仕事のポイントを把握することも大切です。

4 不安があれば上司に確認する

急ぎの仕事の場合、上司の指示も大雑把になりがちです。これは「事細かに説明している時間がない」ということもありますが、信頼している人(=仕事が分かっている人)に指示しているので、「言わなくても分かるだろう」という思いがあることが最大の理由です。

急ぎの仕事は、限られた時間の中でこなさなければなりません。不安な点や迷っている点があれば、即座に上司に確認するようにしましょう。

以上(2021年10月)

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画像:Wayhome Studio-Adobe Stock

【ワークシート付き】最強の社員教育。価格決定プロセスに詰め込まれた重要な要素に注目せよ

書いてあること

  • 主な読者:社員に自社のビジネスを理解し、主体的に働いてほしい経営者
  • 課題:社員教育はいろいろ行ってきたが、成長の実感が湧かない
  • 解決策:価格決定にはビジネスの重要な要素が詰まっている。経営者と社員が共通のワークシートを使って一緒に価格決定をしてみる

1 価格決定こそ最強の社員教育である

価格決定はビジネスの肝となります。なぜなら、価格決定では、

見込み市場や販売計画、競合他社の動向、自社の収益構造、自社が込めた思い

などを総合的に検討するからです。つまり、

価格決定にはビジネスの重要な要素が詰まっている

のです。もし社員が価格決定プロセスを経験したら、とても良い成長機会になります。そこで、この記事では、次のようなオリジナルのワークシートを使って、

経営者と社員が対話しながら価格決定していく取り組みをご提案

いたします。社員の自社ビジネスに対する理解が深まることは間違いありません。

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ワークシートは、別の補助シートを使いながら次の項目を埋めていきます。

  • 自社の理念・あるべき姿:自社が広く社会に伝えたい思い・メッセージは?
  • 需要・市場動向:ターゲットとなる市場は? 市場規模は? 今後の成長見込みは?
  • 競争状態:自社の競合は? 自社の競争優位性は?
  • 参考価格:強豪の価格・市場の慣習価格は?
  • 損益分岐点:損益分岐点売上高は? 目標利益は?
  • 資源:提供価値を生み出す資源(知的財産、人員)は?
  • 提供価値:顧客にとっての価値は? 希少性は? 模倣されやすいか?

なお、ワークシートは以下のボタンをクリックしてダウンロードできますので、ご活用ください

こちらからダウンロード

2 自社の理念・あるべき姿

最初に明らかにするのは、「自社の理念・あるべき姿」です。これが共有されていないと、経営者と社員が同じ方向に進むことができません。自社の理念・あるべき姿とは、

  • 当社のサービスを通して世の中の人々を健康にする
  • 社員が長く元気に働ける職場を実現する

などといったものです。

自社の理念・あるべき姿は不変的なものなので、

経営者も必ず記入して社員に示す

ようにしてください。

3 需要・市場動向:補助シート(1)

「需要・市場動向」については、ターゲットとなる市場の成長見込みを予測し、それに基づく需要を記入します。国や業界団体の統計情報、シンクタンクのリポートなどが参考になります。

このワークシートでは、「PEST分析」を活用します。PEST分析とは、

対象市場を「政治」「経済」「社会」「技術」の4つの視点で整理する

ものです。大切なのは、社員がターゲット市場をきちんと理解することです。例えば、フィットネス機器を販売するにしても、主な営業先を一般家庭、フィットネスジム、オフィスのどこに設定するかで市場は異なります。これを明らかにすることで、

自分たちがどの市場で戦っていくのか

が明確になります。

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4 競争状態:補助シート(2)(3)

「競争状態」については、ターゲット市場における自社の競合を記入します。前述した需要・市場動向においてターゲット市場をどう定義したかによって競合は変わります。

このワークシートでは、「ポジショニングマップ」を活用します。例えば、

縦軸に「高価格」「低価格」、横軸に「機能性重視」「デザイン性重視」などを設定し、競合と自社を比較しながらマッピング

していきます。ポジショニングマップで自社の周りに競合が少なければ戦いやすいということですが、

そもそも市場が小さすぎる(ニーズがない)

ということもあるので注意しましょう。

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また、競合の市場シェアや価格など、自社と競合の違いを比較・分析する「競合分析」も作成すると、状況がよりクリアになります。

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5 参考価格:補助シート(3)

「参考価格」についても、上で紹介した補助シート3を使い、競合先の価格を記入します。

価格設定の方針は競合状態によって変わります。例えば、市場シェアが高く価格に大きな影響力を持つ企業(プライスリーダー)が競合である場合、

プライスリーダーが設定した価格は顧客の信頼を得ている

と考えるべきです。同様に、伝統的に設定されてきた「慣習価格」がある場合、そこから逸脱する価格は顧客から受け入れられない恐れがあります。

6 損益分岐点:補助シート(4)

「損益分岐点」については、売上高と費用がちょうど等しくなる損益分岐点売上高や、上乗せする利益を記入します。目標利益をどの水準にするかは非常に重要なポイントです。経営者が目標利益を示すことで、商品やサービスに対する力の入れ方や、自社の将来像を社員と共有できます。

また、製造原価と販売費及び一般管理費を、変動費と固定費に振り分ける過程で、社員は、どの業務にどの程度の費用がかかっているのかを理解することができます。

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7 資源:補助シート(5)

「資源」については、新規事業に関わる社内・社外の人員、技術、データ、販売チャネル、財務基盤などの経営資源を記入します。特に、高い付加価値を生み出している経営資源を洗い出すことが重要です。

ここでは、「バリューチェーン分析」を活用します。バリューチェーン分析とは、

自社の商品やサービスが生み出す付加価値を活動プロセスで分解する

ものです。まず、「購買物流」「製造」といった大まかな活動プロセスを洗い出した後、「購買物流」を「材料選定」「配送」といった細かいプロセスに分解していきます。

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8 提供価値:補助シート(6)

「提供価値」については、自社の商品やサービスが顧客にどのような価値を提供するのかを記入します。具体的には、

  • 顧客は本当に価値を感じているか
  • その価値は自社にしか提供できないものか

を考えます。当然ながら、提供価値が高いほど、費用や価格の選択肢の幅が広がります。

大切なポイントは、提供価値が自社の理念・あるべき姿に合致していることです。また、競争状態で洗い出した自社の競争優位性や資源が活かされていることも重要であり、これらが三位一体となって、

自社だけの提供価値を生み出す

ことができます。

ここでは、「VRIO分析」を活用します。VRIO分析とは、

「経済価値」「希少性」「模倣困難性」などの視点から自社の競争優位性を分析する

ものです。

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9 重視する項目を明確にする

最終的に導き出される価格には、各項目が均等に影響するわけではありません。ワークシートを完成させる際は、そうした力関係を「見える化」するとイメージを共有しやすくなります。例えば、

  • 損益分岐点重視型:自社は絶対に赤字にできないという場合
  • 参考価格重視型:ターゲットとする市場に慣習価格が存在する場合

といったように、重視する項目をワークシート上で大きく表示すると分かりやすいでしょう。

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10 「ビジネスモデル」を記入する

ワークシートの中央の「価格」の枠にある「ビジネスモデル」の欄は、

商品やサービスの営業方針、販路、周知・ブランディング方法など、どのように売っていくのか

を記入します。価格と売り方の組み合わせに無理がないかどうかを確認できます。

ビジネスモデルは、価格決定で重視する項目を反映したものにするのが基本です。例えば、

  • 損益分岐点重視型:1年で1000個を定価で売り切るために、在庫商品とセットにする
  • 競争優位性重視型:メンテナンス無料を前面に押し出したウェブ広告を打つ

といった内容が考えられるでしょう。

11 社員一人ひとりのあるべき姿は?

価格決定のプロセスを通して、社員は自社の姿を明確に認識できるようになります。同時に、利益を生み出すために、自分が何をすべきかに気付き、実行に移す機会を得ます。それは、

社員一人ひとりが自分の「あるべき姿」を見つめ直す

ことにもつながります。

社員にとって、自分のあるべき姿や、その実現のために何をすべきなのかというのは、最初は漠然としたイメージかもしれません。しかし、ワークシートを使って自社のビジネスについて深く理解する過程で、徐々に具体化していくはずです。社員に、人生のあるべき姿を見つけてもらうことは経営者の願いです。社員が自分のあるべき姿と、そこに至る道筋がはっきり分かっていれば、企業も十分にバックアップできるでしょう。

以上(2021年12月)

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画像:unsplash

【朝礼】耳の痛い話こそ、謙虚な姿勢で聞くようにしよう

仕事でミスをすると、「失敗した……」と落ち込みます。そんな状態で上司から叱責されると、精神的にますます追い込まれてしまい、「そこまで言わなくてもいいのに……」と、思わず反発したくなることもあるでしょう。仕事は毎日続くものなので、ある程度のミスは仕方がありません。大切なのは、ミスが出にくい仕事の進め方を心掛け、何かミスをしてしまったときはそこから学んで、同じようなミスを繰り返さないことです。

今、私は当たり前のことを言いましたが、皆さんはよく理解し、実践できていますか? 皆さんを見ていると、「ミスに対する上司の指摘を素直に聞いていないのではないだろうか?」と、不安になることがあります。例えば、上司の指摘に対して「でも……」と口をとがらせている人や、「ハイ。ハイ。モウシワケゴザイマセン」とロボットのような受け答えをして、とにかくその場をやり過ごそうとする人がいます。

皆さんがこのような態度を取ってしまうのは、心の中で、「悪気のないミスに対して、上司はもっと寛容であるべき!」と考えているからではないでしょうか。これには私も同感ですが、皆さんがもう一度考えるべきなのは、「ミスを防ぐために、やるべきことをやったのか?」ということです。仕事のミスのほぼ全ては悪意のないものですが、一方でそれら多くの原因は皆さんの怠慢かもしれません。例えば、ミスをしたときに、いつもの確認作業をしなかった、過去の指摘を守らなかった、適当にやってしまった、ということはありませんか。悪意がないとはいえ、やるべきことを怠った結果のミスならば叱責されて当然です。

こう言うと、「時間がなかったのだから仕方がない!」と主張する人が出てきます。そうした人には逆に問いたい。「時間が足りなくなりそうだと分かった時点で上司に報告し、対策を検討しましたか?」。この報告をしなかったのなら、やはりそれは怠慢であり、上司から叱責されて当然です。なぜなら、急いで多くの仕事をすればミスも起こりやすくなるものであり、本人に悪気はなくても、その人は間違った仕事の進め方をしたことになるからです。

一方、立て続けに上司に叱責されると、皆さんは上司を恐れ、接しにくいと感じるでしょう。この場合、上司の言動にも問題があるのでしょうが、イマドキの上司は、よほど問題だと感じなければ、あまり部下を叱責しないものです。にもかかわらず、立て続けに叱責されるということは、皆さんは、上司から見て指摘しなければならないミスを繰り返してしまっていることになります。

ほぼ全てのミスは悪意のない状態で起こります。悪意がない、つまり意識せずに起きてしまうのがミスなので、これを一人で防ぐのは容易ではありません。では、どうすればよいのでしょうか。それは、皆さんのミスを指摘してくれる上司の言葉を素直に聞くことです。ミスを減らすために、これ以上の近道はありません。

以上(2021年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】どんなに大変でも笑顔だけは絶やさない

先日、後輩の○○さんと一緒に大事な取引先の上役の方を訪問する機会がありました。大事な取引先であり、いつもお会いしている担当者よりも上席の方ですので、私はとても緊張して取引先に向かっていました。

そのとき、ふと○○さんを見ると、緊張のあまり顔面蒼白(そうはく)になっていたのです。それを見て私は「しまった!」と思いました。私が緊張している姿を見せたら、後輩の○○さんはもっと緊張してしまうということを、すっかり忘れていたのです。○○さんを気遣うことができなかった自分が情けなく、○○さんに申し訳ない気持ちになりました。そして、私が新人の頃に立てた目標のことを思い出し、さらに反省しました。

私は新人の頃、ろくに仕事もできず、会社の戦力になっていないことを自覚していました。そこで、何か会社の役に立ちたいと私なりに考えて出した結論が、「仕事はできなくても、笑顔だけは絶やさない」ことだったのです。

私の新人時代も会社の業績は厳しく、上司や先輩たちは超人のように働いていました。私に構う余裕なんてなさそうなのに、いつも私には笑顔で接してくれました。私は最も親しかった××先輩に、「どうしていつも笑顔でいられるんですか?」と聞いたことがあります。そのときの××先輩の答えは、「笑っていても、怒っていても一緒だから」でした。私は、目からウロコが落ちたような気分になりました。

「笑っていても、怒っていても、今の厳しい状況が変わるわけではない。だったら笑っているほうが、みんなで次こそ結果を出そうと前向きな気持ちになれる」ということを理解したのです。

それ以来、私はせめて先輩たちの態度だけでも学び、笑顔を絶やさないようにすることを目標に立てたのでした。先輩たちの気持ちが和むように、笑いをとるような努力もしました。そしてその目標は、今でも私の中で変わっていないはずでした。にもかかわらず、いざ先輩の立場になってみたら、後輩と一緒にいる、しかも取引先の訪問という大事なところで笑顔を絶やしてしまったのです。

この経験から、私は笑顔を絶やさないことは、年次が上がっていくにつれて、ますます大事になると痛感しました。立場が上になり、会社全体への影響力が増すほど、自分の表情ひとつで会社の雰囲気を変えてしまう存在になるわけですから。

今、会社が大変な時期だということは、皆さんも感じていると思います。こんなときこそ、私は笑顔を絶やさないようにしようと、改めて誓います。作り笑い、空元気、痩せ我慢、なんと言われても構いません。私の笑顔で、社内の誰かが少しでも前向きな気持ちになれる可能性があるのなら、私が笑顔を絶やさないことに意味はあると思います。時にはあまりの忙しさや理不尽なことに、笑顔を絶やしてしまうことがあるかもしれません。そんなときには皆さん、ぜひ私に「笑え!」というサインを笑顔で送ってください。

以上(2021年9月)

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画像:Mariko Mitsuda