書いてあること
- 主な読者:税務の電子化への切り替えを検討している中小企業の経営者・経理担当者
- 課題:税務の電子化は、税目や業務ごとに電子申告システムが異なるなど難解
- 解決策:電子化されている主な税務業務の解説と、税理士に聞いた留意点をまとめる
1 広がる税務の電子化、進む義務化
2020年4月1日以後に開始する事業年度から、大企業(資本金1億円超の法人)は、法人税、地方法人税、消費税及び地方消費税の電子申告が義務化されます。今のところ中小企業には義務化されていませんが、今後は義務化の見込みであるともいわれます。
上記以外にも、近年さまざまな税務に関する電子化の動きが進んでいます。現在電子化されている主な税務(法人の業務に限る)は次の通りです。なお、本稿では、税務の電子化により利用されるシステムをまとめて「電子申告システム」としています。
「e-TAX」および「eLTAX」でできることの詳細は、それぞれ下記のウェブサイトで確認することができます。
■e-TAX 利用可能手続き一覧■
https://www.e-tax.nta.go.jp/tetsuzuki/tetsuzuki6.htm
■eLTAXで利用可能な手続き■
https://www.eltax.lta.go.jp/eltax/gaiyou/tetuduki
2 電子申告システムの概要
1)e-Tax(国税電子申告・納税システム)
e-Taxは、国税(法人税、所得税、消費税など)に関する申告、納付・申請・届出について、インターネットなどを利用してオンライン上で行うことができるシステムです。2004年からサービスが開始され、現在では納税者本人に代わって税理士などが電子申告をする代理送信や、添付書類のイメージデータ(PDF形式やCVS形式)による提出も可能になっています。納付についても、税務署に事前届け出した預貯金口座から振替納付するダイレクト納付と、インターネットバンキングなどを通じたオンライン納付が可能になっています。
なお、大企業については2020年4月1日以後に開始する事業年度から義務化され、電子申告せず書面で提出した場合、その申告は無効なものとして扱われます。そうなると、原則無申告加算税の課税対象となります。
申告・納税以外にも、法定調書の提出もe-TAXで行うことができます。前々年の源泉徴収票などの支払調書の提出枚数が1000枚(2021年1月1日以後に提出する法定調書に係る判定は100枚)以上ある場合には、e-Taxまたは光ディスクなどによる提出が義務付けられています。そして、提出義務の判定は支払調書の種類ごとに行われます。
2)eLTAX(地方税ポータルシステム)
eLTAXは、地方税(法人住民税、法人事業税、固定資産税など)に関する申告、納付・申請・届出について、インターネットなどを利用してオンライン上で行うことができるシステムです。2005年から6府県でサービスが開始され、現在では、全ての都道府県・市区町村の地方税の電子申告に対応しています。納付についても、2019年10月から地方税共通納税システムが開始され、これまでは納付先の口座が自治体ごとに別々だったものが、共通口座への一括納付(ダイレクト納付またはオンライン納付)が可能になっています。
申告・納税以外にも、給与支払報告書の提出もeLTAXで行うことができます。前々年の所得税の源泉徴収票の提出枚数が1000枚(2021年1月1日以後に提出する法定調書に係る判定は100枚)以上ある場合には、eLTAXまたは光ディスクなどによる提出が義務付けられています。
3)年末調整控除申告書等作成用ソフトウェア
2020年分の年末調整から電子化が始まり、2020年10月に国税庁から無料の申告書等作成ソフト(年末調整控除申告書等作成用ソフトウェア。以下「年調ソフト」)が公開される予定です。
従業員自身が年調ソフトを国税庁のウェブサイトからダウンロードし、オンライン上で年末調整書類一式を作成し、会社にデータで提出できるようになります。年末調整手続きの電子化により、各保険会社からデータで発行される保険料控除証明書をこのソフトに取り込むことで、自動入力される仕組みとなっているようです。
なお、保険会社から保険料控除証明書をデータで発行を受けるためには、保険会社ごとに手続きが異なりますので、事前に確認するようにしましょう。
4)(参考)帳簿・決算書などの電子保存や、領収書などのスキャナ保存
事前に承認申請届出を国税庁に提出し、一定の要件を満たしていると承認を受けた場合には、貸借対照表や損益計算書などの決算関係書類や、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿について、電子保存(作成時から一貫してパソコンなどを利用して作成したものを保存すること)ができます。請求書や領収書については、さらにスキャナ保存(スキャナなどで読み取って保存すること)が認められており、近年の改正でスマートフォンを使用した読み取りも可能になっています。
3 税理士に聞く 税務の電子化Q&A
1)中小企業において、電子申告システムは普及しているのでしょうか?
多くの中小企業において、電子申告システムは利用されていると思います。
電子申告には、会社(納税者)自身で電子申告する方法と、顧問税理士が納税者に代わって電子申告する方法(「代理送信」という)がありますが、ほとんどの中小企業においては代理送信で行われていると思います。
2)電子申告システムのメリット・デメリット(留意点)を教えてもらえますか?
利用者のメリットは、提出に際して製本印刷をする手間が省けることや、申告書控えを紙ベースで保管する必要がないため、保管場所を考えなくてもよいことが挙げられます。
また、電子申告システムを利用すると、納税に関してもあらかじめ登録した金融機関からの口座振替やペイジーを利用して手続きを行うことができ、銀行窓口に足を運ぶ必要がありません。
一方デメリットとしては、やはり国税(e-Tax)と地方税(eLTAX)でシステムが別々である点が挙げられます。特に確定申告時期は、国税と地方税で一連の作業となるため、その点が手間となっているのは否めません。
また、e-Tax上の申告書等作成ページの入力欄の多くは、単に数字を入力するためのものであり、計算機能がありません。よって、e-Taxだけでは利用しづらく、また転記ミスを防ぐための確認時間を費やすことになります。そのため、別途、電子申告を行うことができる税務ソフトを備える必要がある点は注意しなければなりません。
3)電子申告システムの導入後、税務署とのやり取りなどで変わる点はありますか?
電子申告システムを導入すると以後の申告(確定申告、中間申告など)については、申告書用紙が税務署から送られず、納付書のみが送付されます。税務署からの申告のお知らせは、あらかじめ登録したメールアドレスに連絡が届き、税目ごとの専用ページ(e-TaxまたはeLTAX上のページ)からアクセスすると情報を閲覧することができます。
また、還付申告の場合、還付金の手続き状況について専用ページで確認ができる上、登録したメールアドレスにも情報が送られてきます。
なお、代理送信を税理士に依頼している場合で、顧問税理士を変更するときには、国税・地方税のIDとパスワードを引き継ぐ必要があります。IDを引き継ぐことにより、過去の申告状況を継続して確認することができます。ただし、IDを引き継がず、新たに取得してしまうと過去の情報は確認できなくなりますので、注意が必要です。
4)実際に電子申告システムを利用する際には、どのような点に注意が必要ですか?
電子申告システムを利用して申告をする場合、データ送信後、受信ボックスに申告受信通知が格納されたかどうか、確認をするようにしましょう。
また、添付書類をイメージデータ(PDFなど)によらず、別途書面で提出する場合には控えも税務署に提出し、税務署受領印をもらうようにした方がよいと思います。
その他、本店移転により納税地が変更となるときは、異動届を提出するとともに必ず基本情報も変更しなければなりません。
5)システム障害など、過去に起きたアクシデントとそのときの対応をお教えください。
過去にeLTAXへの接続が集中したため、接続できないなどのシステム障害が発生したことがあります(2017年1月27日~2月1日)。このときは、総務省より申告期限の延長をするように各自治体に対して指示がありました。
恐らく今後もシステム障害があったときは、自治体ごとの個別対応ではなく、上記の通り税務官庁から申告期限の延長の処分があるものと思われます。ただ、大規模な障害があったとき以外は申告期限の延長が認められるケースはまれだと思います。
また、申告期限の延長の処分は、基本的には事後の決定となります。実際に、上記のシステム障害が発生したとき(2017年)には、現場が混乱したのも事実です。電子申告に限りませんが、申告は余裕を持って行うことを心がけましょう。
6)まだ電子申告システムを導入していない中小企業に向けてアドバイスはありますか?
税務の電子化が義務化される流れは、中小企業にも必ずやって来ると思いますので、義務化が決まってから焦って導入するのではなく、余裕を持って対応する方がよいでしょう。
電子申告システムは慣れることが肝心です。まずは、毎月の源泉税納付や給与支払報告書の提出などで、電子申告システムを利用してみてください。今まで銀行窓口に足を運んでいたり、大量の書類を印刷したりしていた事務負担などがなくなり、その便利さを身近に感じることができるかもしれません。
以上(2020年4月)
(監修 税理士法人コレド会計 税理士 石田和也)
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住宅診断で期待される中古住宅の流通促進
書いてあること
- 主な読者:中古住宅の流通を考える経営者
- 課題:今後の中古住宅関連市場の可能性を知りたい
- 解決策:改正された宅地建物取引業法の概要を把握し、新たなビジネスのヒントを得る
1 建物状況調査の法制化
日本では1968年から住宅ストックが世帯数を上回っています。2013年時点では818万戸の超過です。日本の住宅は新設着工数が多く、欧米などに比べて既存住宅(中古住宅)の取引数が少ないのが現状で、これを放置すると、空き家問題などが一層深刻になります。
そこで、既存住宅を流通させる環境を整備するために宅地建物取引業法が改正されました。この改正により、2018年4月から建物状況調査(住宅診断・インスペクション)が重要事項説明に追加されました。建物状況調査とは、専門の研修を受けた建築士が行う住宅診断で、既存住宅の構造耐力上の主要な部分に劣化があるかどうかの調査です。
これにより既存住宅の状態がある程度明らかになり、流通が促進されると期待されています。国も、既存住宅流通およびリフォームの市場規模を、2025年には20兆円に拡大させる方針を示しています。本当にビジネスチャンスは生まれるのでしょうか。本稿では、日本の住宅ストックの状況や法改正の概要を紹介します。
2 日本の住宅ストックの状況
総務省「住宅・土地統計調査」によると、住宅ストックと世帯数の推移は次の通りです。なお、同省では、平成30年住宅・土地統計調査の結果を2019年4月頃から順次公表する予定とのことです。
2013年の住宅ストックは6063万戸、世帯数は5245万世帯で、住宅ストックが世帯数を818万戸超過しています。
また、国土交通省の資料「既存住宅流通を取り巻く状況と活性化に向けた取り組み」によると、既存住宅流通シェアの国際比較は次の通りです。
2013年の既存住宅取引数は16万9000戸、新設着工数は98万戸、既存住宅の占める割合は14.7%(16万9000戸/(16万9000戸+98万戸))となっています。これは、米国83.1%(2014年)、英国88.0%(2012年)、仏国68.4%(2013年)など欧米諸国と比べると極めて低い水準です。
新設着工数が多い状況を放置すると、空き家が今後も増え続けることになります。この流れを止め、既存住宅の流通を促進するため、宅地建物取引業法が改正されました。
3 法改正の概要
1)宅地建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときに交付する書面に追加
今回の法改正により、宅地建物取引業者が宅地建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときに交付する書面に次の項目が追加されました。
- 建物状況調査を実施する者のあっせんの有無(有・無)
2)重要事項説明への追加
1.建物状況調査
宅地建物取引業者が買い手に対して行う重要事項説明に次の事業が追加されました。
- 建物状況調査の実施の有無(有・無)
また、建物状況調査を実施している場合には、その概要を重要事項説明に記載しなければなりません。建物状況調査の結果の概要(重要事項説明用)木造・鉄骨造(抜粋)は次の通りです。
2.建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況
重要事項説明に次の書類の保存の状況が追加されました。建物の建築及び維持保全の状況に関する書類の保存の状況(既存の建物のとき)は次の通りです。
宅地建物取引業者が媒介契約締結の際に交付する書面や重要事項説明を怠るなどの違反をした場合、国土交通大臣または都道府県知事は宅地建物取引業者に対して業務の停止を命じることができます。こうした罰則規定があるため、媒介契約締結の際に交付する書面や重要事項説明への建物状況調査に関する項目は必ず記載されることになります。これにより、売り手と買い手の双方に、建物状況調査は確実に認知されることになります。
3)既存住宅状況調査技術者講習制度の創設
建物状況調査を実施できるのは既存住宅状況調査技術者です。既存住宅状況調査技術者は、建築士(一級、二級、木造)であり、国土交通大臣が登録した講習を修了した者です。既存住宅状況調査技術者が建物状況調査を実施するには、建築士事務所について都道府県知事の登録を受ける必要があります。
4 今後のビジネスチャンス
1)世代間のミスマッチの解消
国土交通省「平成25年住生活総合調査」によると、土地の広さや間取りに対する不満は高齢者世帯に比べ、子育て世帯において大きいとされています。
また、内閣府「平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果」によると、高齢者が現在の居住地に住み続けるとした場合、今後不便を生じる可能性があると考えるものとして、医療機関や商業施設、金融機関などの日常生活に必要な都市機能が徒歩圏内に確保されていないという回答が挙げられています。
既存住宅の流通は、こうした住宅ニーズのミスマッチを減少させることにつながります。例えば、高齢者は小売店や医療機関が近隣にある中心市街地のマンションに住み、子育て世代は郊外の庭付きの広い戸建て住宅に住むなど、地域の人口構成も変わるかもしれません。人が流入してくれば、その地域の医療、介護、小売り、サービスなどの事業者にとって新たなビジネスチャンスが生まれます。
2)新築からリフォームへ
前述の通り、国では既存住宅流通およびリフォームの市場規模を、2025年には20兆円に拡大するという方針を示しています。
将来人口が減少傾向にある中、住宅需要の増加は望みにくい状況です。そこへ、既存住宅の流通量が増加すれば、新設着工数は減少せざるを得ません。
また、既存住宅の流通量が拡大すれば、売買の前後において修繕や改装需要が高まります。屋根のふき替え、壁の塗り替え、3DKを2LDKに改装したり、和室を洋室に改装したり、それに付随した電気工事や水道工事など、リフォーム市場は拡大するでしょう。
3)その他の需要の広がり
1.安全・安心ニーズ
建物状況調査は目視による方法のため検査には限界があります。住宅に求められる安全・安心からは、建築鉄骨溶接部の超音波調査、エックス線によるコンクリート内探査や設備配管劣化調査など建物内部の見えない部分の検査も重要です。こうしたオプションの住宅診断の需要が高まるでしょう。
2.既存建物売買瑕疵(かし)保険
既存建物の売買に係る瑕疵担保責任に基づく損害を補填する保険として、既存建物売買瑕疵保険があります。こうした保険を利用すれば、購入者にとって安心はより大きくなります。既存住宅流通の拡大に合わせて既存建物売買瑕疵保険の利用も拡大するでしょう。
3.住み替え時の需要
住み替え時には引っ越しやハウスクリーニングがつきものです。また家具や家電製品の買い替え需要にもつながります。
4.空き家管理サービス
住宅は買い手がつかなければ販売につながりません。また、売却まで時間がかかる場合があります。例えば、相続した遠隔地の住宅を売却しようと考えた場合、買い手がつくまで1年以上かかるかもしれません。住宅は使用し、手入れをしないと傷みます。そのため、建物状況調査と併せて、屋内の通気・換気、床や天井の状態の確認など空き家管理サービスなどの需要も高まるでしょう。
4)日本の人口当たり既存住宅取引数が欧米諸国並みになったら
図表2の既存住宅取引数と総務省「世界の統計2018」の各国の人口(2017年時点)を基に人口に対する既存住宅取引数の割合を算出すると次の通りです。
- 日本:約0.13%(16万9000戸/1億2600万人)
- 米国:約1.52%(494万戸/3億2450万人)
- 英国:約1.41%(93万2000戸/6620万人)
- 仏国:約1.11%(71万9000戸/6500万人)
米国、英国、仏国は日本の約10倍に相当します。もし、日本の人口に対する既存住宅取引数の割合が欧米諸国と同程度になった場合、既存住宅取引数は16万9000戸(2013年時点)の10倍程度にまで拡大することになります。それに付随し、周辺市場にも大きな影響が及ぶことになります。
以上(2018年10月)
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特定施設入居者生活介護サービス事業の概要
書いてあること
- 主な読者:特定施設入居者生活介護サービス事業を新たに手掛けたい経営者
- 課題:申請に当たって必要な書類や、設備基準について知りたい
- 解決策:介護保険法や厚生労働省令「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」に基づき、手続きや必要なものを確認する
1 特定施設入居者生活介護事業における指定の申請
1)居宅サービス介護事業としての特定施設入居者生活介護
「特定施設入居者生活介護」とは、有料老人ホームやケアハウスなど厚生労働省令で定める特定施設に入居している要介護者等について、特定施設サービス計画に基づき、入浴、排せつ、食事などの介護、その他の日常生活上の世話、機能訓練および療養上の世話を行うことです。
特定施設入居者生活介護は介護保険制度における居宅サービスの1つです。居宅サービス事業者は都道府県知事(指定都市・中核市は各市長)より指定を受ける必要があります(介護保険法第41条第1項、同第70条第1項および第2項、同第203条の2)。入居定員が29人以下の小規模施設は地域密着型サービスを行う施設として市町村長への申請になります(介護保険法第78条の2第1項)。
2)提出事項
特定施設入居者生活介護を行うために事業者の指定を受けようとする者(居宅サービス事業者)は、次に掲げる事項を記載した申請書または書類を、当該指定に係る事業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければなりません(介護保険法施行規則第123条)。特定施設入居者生活介護に係る居宅サービス事業者の指定に当たって必要となる提出事項は次の通りです。
- 事業所の名称及び所在地
- 申請者の名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名、生年月日、住所及び職名
- 当該申請に係る事業の開始の予定年月日
- 申請者の定款、寄附行為等及びその登記事項証明書又は条例等
- 建物の構造概要及び平面図(各室の用途を明示するものとする)並びに設備の概要
- 利用者の推定数(要介護者及び要支援者のそれぞれに係る推定数を明示するものとする)
- 事業所の管理者の氏名、生年月日、住所及び経歴
- 運営規程
- 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
- 当該申請に係る事業に係る従業者の勤務の体制及び勤務形態
- 当該申請に係る事業に係る資産の状況
- 指定居宅サービス等基準第192条の2に規定する受託居宅サービス事業者が事業を行う事業所の名称及び所在地並びに当該事業者の名称及び所在地
- 指定居宅サービス等基準第191条第1項に規定する協力医療機関の名称及び診療科名並びに当該協力医療機関との契約の内容(同条第2項に規定する協力歯科医療機関があるときは、その名称及び当該協力歯科医療機関との契約の内容を含む)
- 当該申請に係る事業に係る居宅介護サービス費の請求に関する事項
- 誓約書
- 役員の氏名、生年月日及び住所
- 介護支援専門員(介護支援専門員として業務を行う者に限る)の氏名及びその登録番号
- その他指定に関し必要と認める事項
事業所の所在地を含む区域における利用定員の総数が、都道府県の介護保険事業支援計画に定める合計数に達しているか、新たに指定することによってこれを超えることになる場合などには、都道府県知事は事業者の指定をしないことができます(介護保険法第70条第4項)。
2 特定施設入居者生活介護の事業基準、介護報酬
1)特定施設入居者生活介護の基本方針
特定施設入居者生活介護事業の人員、設備、運営に関する基準は、厚生労働省令「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(以下「基準」)」に規定されています。
居宅サービスに該当する特定施設入居者生活介護の事業は、特定施設サービス計画に基づき、入浴、排せつ、食事などの介護、その他の日常生活上の世話、機能訓練および療養上の世話を行うことです。これにより、入居者が要介護状態などとなった場合でも、当該指定特定施設においてその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにするものでなければなりません(基準第174条第1項)。
指定特定施設入居者生活介護事業者は、安定的かつ継続的な事業運営に努めなければなりません(基準第174条第2項)。
2)特定施設入居者生活介護の設備に関する基準
指定特定施設の介護居室、一時介護室、浴室、便所、食堂および機能訓練室は、次の基準を満たさなければなりません(基準第177条第4項)。
- 1居室の定員は1人とする。ただし、利用者の処遇上必要と認められる場合は2人とすることができるものとする。プライバシーの保護に配慮し、介護を行える適当な広さであること。地階に設けてはならないこと。一以上の出入り口は、避難上有効な空き地、廊下または広間に直接面して設けること。
- 一時介護室は、介護を行うために適当な広さを有すること。
- 浴室は、身体の不自由な者が入浴するのに適したものとすること。
- 便所は、居室のある階ごとに設置し、非常用設備を備えていること。
- 食堂は、機能を十分に発揮し得る適当な広さを有すること。
- 機能訓練室は、機能を十分に発揮し得る適当な広さを有すること。
指定特定施設は、利用者が車いすで円滑に移動することが可能な空間と構造を有するものでなければなりません(基準第177条第5項)。
指定特定施設の建物は、建築基準法に規定する耐火建築物または準耐火建築物でなければなりません(基準第177条第1項)。
指定特定施設は、一時介護室(一時的に利用者を移して指定特定施設入居者生活介護を行うための室)、浴室、便所、食堂および機能訓練室を有しなければなりません。ただし、他に利用者を一時的に移して介護を行うための室が確保されている場合には一時介護室を、他に機能訓練を行うために適当な広さの場所が確保できる場合には機能訓練室を設けないことができるものとします(基準第177条第3項)。
3)特定施設入居者生活介護の介護報酬
要介護者に対する「特定施設入居者生活介護」、要支援者に対する「介護予防特定施設入居者生活介護」の各サービスを提供した事業者には介護報酬が支払われます。
- 介護予防特定施設入居者生活介護(介護予防給付)
- 地域密着型特定施設入居者生活介護(定員29人以下):市町村が指定・監督権限を持ちます。
- 地域密着型以外の特定施設入居者生活介護(定員30人以上):都道府県が指定・監督権限を持ちます。
特定施設入居者生活介護の介護報酬(1日当たり)は次の通りです。
2018年4月の介護報酬改定において、特定施設入居者生活介護に新設された加算としては、退院・退所時連携加算、入居継続支援加算、生活機能向上連携加算、若年性認知症入居者受入加算、口腔衛生管理体制加算などがあります。
- 退院・退所時連携加算:30単位/日
- ※入居から30日以内に限る
- 入居継続支援加算:36単位/日
- 生活機能向上連携加算:200単位/月
- ※個別機能訓練加算を算定している場合は100単位/月
- 若年性認知症入居者受入加算:120単位/日
- 口腔衛生管理体制加算:30単位/月
3 有料老人ホームとケアハウスの状況
特定施設入居者生活介護の指定を受けてサービスを行っているのは、主に有料老人ホームとケアハウスです。厚生労働省「社会福祉施設等調査」によると、有料老人ホームとケアハウスの施設数、定員、在所者数の推移(各年10月1日調査)は次の通りです。
有料老人ホームは増加し続けています。これは介護専用型ではなく外部サービスを利用する「住宅型」の有料老人ホームが増加していることなどが理由にあります。
4 介護費の推移
国民健康保険中央会によると、特定施設入居者生活介護の介護費の推移は次の通りです。
特定施設入居者生活介護の利用は拡大を続けています。指定を受ける主な施設は有料老人ホームですが、低所得者対策などからも、ケアハウスなど有料老人ホーム以外の施設の充実の重要性も高まっています。
以上(2018年10月)
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「共生型サービス」の開始で見込まれる障害福祉・介護業界への影響
書いてあること
- 主な読者:共生型サービスを新たに手掛けたい経営者
- 課題:概要や、サービスを始める際のポイントを知りたい
- 解決策:例えば、障害者が65歳を過ぎても、同じ施設内でサービスを提供できるため、長期間にわたって利用することによる報酬の増加が見込める。また、新たな利用者を確保するためのコストを減らせるといったメリットがある
1 事業機会が広がる「共生型サービス」
2018年4月から、障害福祉制度と介護保険制度において「共生型サービス」がスタートしました。障害福祉サービス事業所が高齢者に介護保険サービスを提供したり、介護事業所が障害児・者に障害福祉サービスを提供したりすることを可能にする制度です。
具体的には、障害福祉サービス事業所または介護事業所であれば、もう一方のサービスを提供し、報酬(障害福祉サービス等報酬または介護報酬)を受け取ることができるようになりました。
これにより、65歳になった障害者が、使い慣れた障害福祉サービス事業所から介護事業所に切り替えなければならない、いわゆる「65歳の壁(介護保険優先原則)」など、縦割りの制度下で生じていたさまざまな課題の解消につながるといわれます。
国は、多くの事業所が共生型サービスに参入することで、既存の施設や限られた福祉人材をうまく活用し、地域のニーズに合ったサービスの提供を目指すとしています。
以降では、共生型サービスの概要や事業所が活用する上でのポイントを見ていきます。
2 共生型サービスの概要
1)共生型サービスとは
共生型サービスの先行モデルは「富山型デイサービス」と呼ばれるもので、1993年に富山県のデイケアハウス「このゆびとーまれ」が、高齢者、障害児・者などを同一施設内で受け入れたのが始まりです。
この取り組みは、富山県の支援を受けながら広がりを見せます。2003年に、富山県他3市2町が「富山型デイサービス推進特区」に認定され、2006年には、規制緩和により全国で富山型デイサービスを実施できるようになりました。
しかし、富山型デイサービスは、障害児・者の送迎加算などの各種加算が得られない、市町村が必要であると判断した地域でしか指定を受けられない、障害福祉サービス事業所は一定の基準を満たさないと指定を受けられないなどの点が、課題となっていました。
そのため、富山型デイサービスへの参入は限定的です。富山型デイサービスのような共生型の事業所数は2016年時点で全国約1700カ所にとどまり、デイサービスの介護事業所が約4万3000カ所、障害福祉サービス事業所が約1万カ所に比べて少なくなっています。
そこで、国はこうした課題の解消に取り組み、共生型サービスでは各種加算を得ることができ、サービスの指定に市町村の判断は介在せず、障害福祉サービス事業所は一定の基準を満たさなくても指定を受けられるようになりました。
2)共生型サービスの主なメリット
共生型サービスの指定を受けることによって得られるメリットは、現在の事業所の形態によって異なります。それぞれの形態別に見た主なメリットは次の通りです。
1.富山型デイサービス(高齢者+障害児・者)を提供している場合
障害児・者の送迎加算や欠席時対応加算(あらかじめ利用を予定していた障害児・者が急病等により欠席した際に、本人や家族との連絡調整などを行い、その内容等を記録した場合に算定される)などの各種加算が得られるため、報酬の増加が見込めます。
富山県厚生部へのヒアリングによると、「各事業所によって差はあるものの、全体的に売り上げが1割ほど増えている」とのことです。
2.障害福祉サービス事業所の指定のみの場合
障害者が65歳を過ぎても、同じ施設内でサービスを提供できるため、長期間にわたって利用することによる報酬の増加が見込まれます。また、新たな利用者を確保するためのコストを減らすことができます。
3.介護事業所の指定のみの場合
定員の空きを障害児・者を受け入れることで埋めることができるため、定員が不足している場合は、稼働率アップにつながる可能性があります。
障害福祉サービス市場は年々拡大しており、厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況について」によると、2013年4月の利用者数が約67万人(1人当たり費用額が約19万円)だったのに対し、2018年4月には約84万人(同約20万円)に増加しています。
3)共生型サービスの対象
共生型サービスの対象となるのは、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイの3種で、それぞれの区分の中で、例えば「居宅介護事業所であれば共生型の訪問介護」というように、対応するもう一方のサービスの指定を受けることができます。
3 共生型サービスの報酬
1)基準の満たし具合で報酬単位数は異なる
共生型サービスは、基準を満たさなくても指定を受けられる仕組みのため、基準を完全に満たして指定を受けた場合に比べて、報酬単位数が低く設定されています。
その上で、例えば障害福祉サービス事業所であれば、介護事業所の基準である「生活相談員の配置」などを行うことによって加算を得られるなど、基準を満たせば満たすほど、報酬単位数も上がっていきます。
2)障害福祉サービス事業所が共生型の介護保険サービスを提供する場合の報酬
障害福祉サービス事業所が共生型の介護保険サービスを提供する場合の主な報酬は、介護報酬の所定単位数に、一定の割合を乗じて算定されます。
これら共生型サービスの報酬・加算に加えて、障害児・者の送迎加算(10~28単位/回)や、欠席時対応加算(94単位)など、従来の障害福祉サービスの加算も得ることができます。
3)介護事業所が共生型の障害福祉サービスを提供する場合の報酬
介護事業所が共生型の障害福祉サービスを提供する場合の主な報酬は次の通りです。基準を完全に満たしている障害福祉サービス事業所への報酬単位数(所定単位数)に比べて、低くなっています。
4 共生型サービスの指定を受けるには
1)指定権者について
共生型サービスはみなし指定ではなく、申請をする必要があります。障害福祉サービス事業所または介護事業所は、各指定権者に事前に相談を行い、所定の必要書類を提出し、審査を経て指定を受けます。
指定権者は、申請する共生型サービスの形態によってそれぞれ異なります。
- 障害福祉サービス事業所が共生型の介護保険サービスの申請を行う場合
- 定員が18人以上:都道府県(事業所が中核市にある場合は中核市)
- 定員が18人未満:市町村
- 介護事業所が共生型の障害福祉サービスの申請を行う場合
- 障害者向けのサービスを提供:都道府県(事業所が中核市にある場合は中核市)
- 障害児向けのサービスを提供:都道府県
共生型生活介護と共生型児童発達支援など、障害者向けと障害児向けのサービスを両方申請する場合で、事業所が中核市にあるときは、共生型生活介護は中核市、共生型児童発達支援は都道府県というように、別々の指定権者に申請することになります。
2)審査について
審査は基本的には書類のみで行われ、実地調査や訪問はありませんが、各加算の基準に合っているかどうかを審査する際に、従業員の勤務表などの提出が求められます。各都道府県などへのヒアリングによると、審査期間は申請を行ってから2カ月程度とのことですが、審査件数の集中などの影響で期間は変わってくるそうです。
3)指定の基準について
障害福祉サービス事業所または介護事業所であれば、共生型サービスの指定を受ける際に、人員や設備の指定基準はありません。
ただし、指定を受けたい事業において、既に事業を行っている事業所などから技術的支援を受けることが必要となります。
例えば、共生型通所介護の指定を受けたい障害福祉サービス事業所は、既存の通所介護事業所に支援を依頼します。申請の際には、この技術的支援を証明する必要があります。証明方法は覚書であったり、契約書であったりと、指定権者によってさまざまです。
5 共生型サービス運営のポイント
共生型サービスは、2018年4月にスタートしたばかりです。そのため、共生型サービスを運営していくためのポイントを知るには、先行モデルである富山型デイサービスを展開する事業所や都道府県などの事例が参考になります。
上記の他、厚生労働省などへのヒアリングを基に、共生型サービスを運営する際のポイントを紹介します。
1)報酬単位数の違いに留意する
共生型サービスを見据えて障害福祉サービス事業または介護事業に新規参入する場合、一般的には、まずは介護事業所の指定を受けてから、共生型の障害福祉サービスの指定を受けたほうがよいといわれます。
富山型デイサービスの普及に取り組む富山県厚生部へのヒアリングによると、「報酬単位数は、介護報酬のほうが障害福祉サービス等報酬よりも高く設定されている。例えば、同じデイサービスの通所介護(定員18人以下、8時間以上9時間未満)と生活介護(定員20人以下)を比べると、通所介護のほうが2割以上高くなるという試算がある」とのことです。
利用者数等が同じ場合、通所介護事業所のほうが生活介護事業所よりも、報酬単位数は高くなります。また、介護・障害福祉サービスで10人、定員の不足分として共生型サービスで5人受け入れた場合で比べてみても、通所介護事業所のほうが報酬単位数は高くなります。
ただし、あまり多くないケースですが、利用者比率が半々になった場合は、生活介護事業所(+共生型通所介護)のほうが、報酬単位数は高くなることもあるようです。
2)自治体の講習・研修を利用する
障害福祉サービス事業所が共生型の介護保険サービスの指定を受けるより、介護事業所が共生型の障害福祉サービスの指定を受けるほうが、ノウハウ面でハードルが高いといわれます。知的・精神障害児・者への対応は、高齢者介護にはない専門的な知識が求められるためです。
こうした課題を解消するには、講習や研修を積極的に利用するのも一策です。各自治体では、介護・障害福祉事業への新規参入者向けの講習会や研修会を実施しています。 研修などを通して、実際に、知的・精神障害児・者に触れることで、現在の人員で対応可能か、受け入れる際にどのようなノウハウが必要かなどを検討することができます。
また、高齢者と障害児・者に対して、同じ空間・人員で同時にサービスを提供するノウハウがなく、不安を感じる事業者も多いようです。そのような場合は、ノウハウの蓄積のある富山型デイサービスの事業所による講習・研修などに参加するのもよいでしょう。
例えば、富山型デイサービス事業所で構成されている「富山ケアネットワーク」は、2002年から「富山型民間デイサービス起業家育成講座」を開催しており、県内外から毎回100人近い受講希望者が集まっているようです。
3)利用者確保には地域との協力が大事
安定して黒字経営を続けている、ある富山型デイサービス事業所へのヒアリングによると、「開設当初は、地域から離れたくない、施設に入りたくないという人を紹介してもらうよう地域の人にお願いして、利用者を確保していった」とのことです。
また、「基本的に近所の人の依頼は断らない。定員がいっぱいでそのときは受け入れられなくても空いたら連絡したり、他の施設を紹介するなどのフォローを欠かさないといったことを徹底した結果、『困ったらうちの施設』といった意識が地域に広まり、現在では宣伝・広告をしなくても利用者確保に困ることはない」とのことです。
多種多様な高齢者、障害児・者を幅広く、一体的に受け入れるためには、臨機応変な対応が不可欠です。このような運営体制を維持するためには、地域住民や地域の他施設との関係構築が重要になります。
以上(2018年11月)
pj50220
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現場力を強化するためのヒント
書いてあること
- 主な読者:価値を生む現場づくりを目指す経営者
- 課題:現場力が優れている企業となるために押さえておくべきポイントを知りたい
- 解決策:社員をまとめ上げるために欠かせないのが、「人に対する信頼感や親近感」、あるいは少し強い表現で言えば「忠誠心」といったものである。そのため、日頃のコミュニケーションの積み重ねなどが重要になる
1 現場力とは
現場力とは、「自主的に問題を発見し、それを解決できる社員が集まる現場に備わる力」です(論者によって異なります)。現場は日々の業務を担う場であり、あらゆる企業に存在します。
現場は「企業の価値を生む場」と言い換えることができ、その優劣は企業の競争力に大きな影響を与えます。経営者なら自社の現場力を少しでも高めたいと考えるはずです。それは、現場力に優れている企業と劣っている企業とでは、次のような違いがあるからです。
2 「7つのS」に見る組織変革のヒント
現場力を高めるには、さまざまな施策を多面的に実施し、社員の意識、あるいは組織全体を変革していく必要があります。その際に参考になるのが、「マッキンゼーの7Sモデル」です。
7つのSは、「ハードS:Strategy(戦略)、Structure(組織構造)、System(システム・制度)。ソフトSよりも変えやすい」と「ソフトS:Shared value(共通の価値観)、Style(経営スタイル・社風)、Skill(スキル・能力)、Staff(人材)。強制的または短時間で変えることは困難」に大別されます。
組織変革を進める際、ビジョンの策定などハードSの整備に注力してしまいがちです。社員からの支持を得られるかは別として、極論を言えばハードSは経営者がトップダウンで変えることができるなど、取り組みやすいからです。
一方、ソフトSには社員の価値観が反映される必要があるため、変えるには時間を要します。以降では、変えることが難しいソフトSの4要素の視点から、現場力を高めるための取り組みを考えていきます。
3 ソフトSを高める
1)Shared value(共通の価値観)
現場力を高める素地となる共通の価値観を社員が共有できるようにします。共通の価値観を共有する方法として、「クレド(企業の信条や行動指針を簡潔に記したもの)を導入するなど、現場での判断基準を示すルールを明文化すること」が考えられます。
クレドは、経営者がトップダウンで作成することもできますが、社員がボトムアップで作成したほうが現場の実情に即した内容が盛り込まれ、組織に浸透しやすいことがあります。
2)Style(経営スタイル・社風)
経営スタイル・社風は社内で緩やかに共有されているものであり、クレドのようにはっきりと明文化できるものではありません。しかし、社員は少なからず経営スタイル・社風に影響を受けて業務を進めていることを意識しましょう。
経営スタイル・社風を社内に浸透させる方策として、「自由に意見を言い合うことのできる場を積極的に設ける」などが考えられます。また、経営者が朝礼や社内報などを通じて、経営スタイル・社風を体現しているエピソードを紹介することも効果的です。
3)Skill(スキル・能力)
現場力を発揮している状態とは、現場の社員が単に目の前にある問題解決や改善活動に取り組むだけではなく、より高いレベルで業務を遂行しようとしていることです。社員には「問題を発見・指摘する力」「問題を解決する力」が求められます。
社員に「問題を発見・指摘し、解決する」ことを体感するために、「『目安箱』のような制度を整備し、業務のやり方、社内の制度で疑問に思っていることなど、日々の業務で感じている問題を指摘してもらう」などの方法が考えられます。
社員が問題を発見・指摘した後は、どのような解決策を実施するのか、また、その結果など、問題解決に至るまでのプロセスを掲示板に貼り出すなどして、現場で問題を共有できるようにします。
4)Staff(人材)
現場力を高めるためには、「経営者と現場をつなぐ人材」が不可欠です。マネジャーなどの立場にあるミドルマネジメントに、「共通価値観を共有する、経営スタイルを浸透させる、社員のスキル・能力を引き出す」ための取り組みを促進してもらいましょう。
例えば、「社員のスキル・能力を引き出す」といった取り組みを促進するのであれば、社員とのコミュニケーションを通じて、日々の業務で感じている問題点を聞き出し、それをどう解決すればよいのかアドバイスを与えたり、一緒に考えたりしてもらいます。
4 現場力を高めるための視点
1)レビンのモデル
現場力を高める取り組みを一過性のものとしないために、心理学者のクルト・レビンが提唱した「1.解凍→2.変革・移動→3.再凍結」の順で変革を進めていくモデルが参考になります。これを実施することで、時間を経るに従って現場力を高めていくことができます。
なお、「1.解凍」は社員に変革の必要性を理解させ、新たな変化に向けての準備を促す段階、「2.変革・移動」は組織に新しい行動基準や考え方を導入する段階、「3.再凍結」は新しい行動基準や考え方を定着させて高める段階のことです。
2)経営者、ミドルマネジメントといったリーダーが現場を動かす原動力となる
現場力を高めるためにさまざまな取り組みを実施していくことになりますが、社員には賛成派も反対派もいるので、全社員を巻き込んで取り組みを進めることは簡単ではありません。
社員をまとめ上げるために欠かせないのが、「人に対する信頼感や親近感」、あるいは少し強い表現で言えば「忠誠心」です。例えば、「以前社長と懇親会で話したときに、自分の話を真剣に聞いてくれた」「マネジャーの○○さんはいつも自分をサポートしてくれているから、あの人が困っているなら力になりたい」といったようなことです。
一見、小さなことに思えますが、こうした小さなコミュニケーションの積み重ねや、社員のことを気に掛けている姿勢が、社員を動かす力になるということを忘れてはいけません。
以上(2018年10月)
pj80030
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地域密着型サービスの概要
書いてあること
- 主な読者:地域密着型サービスについて知りたい経営者
- 課題:サービス内容が数種類に分かれているので、各サービスの概要を把握したい
- 解決策:地域密着型サービスは9種類。地域密着型介護予防サービスは3種類で、高齢者の状況などによってサービスが分かれている
1 地域密着型サービスの概要
1)地域密着型サービスとは
超高齢社会を迎え、認知症の高齢者や一人暮らしの高齢者の増加が見込まれています。地域密着型サービスは、高齢者が身近な地域での生活を継続できるようにするためのサービスです。
地域密着型サービスには、介護給付および予防給付の対象となるサービス、介護給付のみ対象となるサービスがあります。事業者の指定や監督は市町村が行います。
施設などの規模が小さいので、利用者のニーズにきめ細かく応えることができます。事業者が所在する市町村に居住する者が利用対象者となっています。
2)地域密着型サービスの種類
1.定期巡回・随時対応型訪問介護看護
日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護を一体的に、またはそれぞれが密接に連携しながら、定期巡回訪問と随時の対応を行います。
2.看護小規模多機能型居宅介護(2015年4月に「複合型サービス」から名称変更)
小規模多機能型居宅介護と訪問看護の複数のサービスを組み合わせ、看護と介護サービスの一体的な提供により、医療ニーズの高い要介護者を支援します。
3.夜間対応型訪問介護
夜間に定期的な巡回をしたり、通報によって居宅を訪問したりして、排せつの介護、日常生活上の緊急時の対応を行います。
4.地域密着型通所介護
日中、小規模のデイサービスセンターなどにおいて、入浴、排せつ、食事などの日常生活上の世話、機能訓練などを日帰りで提供するサービスです。
地域密着型通所介護は、2016年4月1日に創設され、これに伴い、従前の小規模な通所介護事業所については、地域密着型通所介護事業所に移行しました。なお、小規模な通所介護を地域密着型サービスへ移行させるに当たり、地域との連携や運営の透明性を確保するための運営推進会議の設置などの新たな基準が設けられました。また、療養通所介護、認知症対応型通所介護に関する規定についても、同様の改正が行われています。
5.認知症対応型通所介護
脳血管疾患、アルツハイマー病などにより認知機能が低下した高齢者に対して、通所介護事業所などにおいて、入浴、排せつ、食事などの介護、機能訓練を提供します。
6.小規模多機能型居宅介護
デイサービスを中心に、高齢者の状態や希望に応じて、訪問介護やショートステイなどを組み合わせてサービスを行います。
7.認知症対応型共同生活介護
認知症の高齢者が9人以下の少人数で共同生活しながら、入浴、排せつ、食事などの日常生活上の世話、機能訓練などを提供するサービスです。
8.地域密着型特定施設入居者生活介護
介護専用の有料老人ホーム(定員29人以下)などで、食事、入浴などの介護や機能訓練を提供します。
9.地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
小規模な特別養護老人ホーム(定員29人以下)で、入浴、排せつ、食事などの介護サービスや機能訓練、健康管理サービスを提供します。
2 地域密着型介護予防サービスの概要
1)地域密着型介護予防サービスとは
地域密着型介護予防サービスとは、地域密着型サービスを提供する施設において提供される介護予防サービスのことをいいます。地域密着型介護予防サービス事業者の指定は、市町村長が行います(介護保険法第115条の12)。
地域密着型介護サービス事業者で、介護予防サービス(要支援者向け介護サービス)を提供したい場合、地域密着型介護予防サービスの指定を併せて受ける必要があります。
2)地域密着型介護予防サービスの種類
1.介護予防小規模多機能型居宅介護
介護予防小規模多機能型居宅介護とは、居宅要支援者について、その者の心身の状況、その置かれている環境などに応じて、その者の選択に基づき、その者の居宅において、または所定のサービスの拠点に通わせ、もしくは短期間宿泊させ、当該拠点において、その介護予防を目的として、入浴、排せつ、食事などの介護その他の日常生活上の支援であって、厚生労働省令で定めるものおよび機能訓練などを行うことをいいます。
2.介護予防認知症対応型通所介護
介護予防認知症対応型通所介護とは、居宅要支援者であって、認知症である者について、その介護予防を目的として老人デイサービスセンターなどに通わせ、当該施設において、厚生労働省令で定める期間にわたり、入浴、排せつ、食事などの介護その他の日常生活上の支援であって、厚生労働省令で定めるものおよび機能訓練などを行うことをいいます。
3.介護予防認知症対応型共同生活介護
介護予防認知症対応型共同生活介護とは、要支援者であって、認知症である者について、その共同生活を営むべき住居において、その介護予防を目的として、入浴、排せつ、食事などの介護その他の日常生活上の支援および機能訓練などを行うことをいいます。
3 地域密着型サービスの事業者数、介護費
1)地域密着型サービス事業者数
地域密着型サービス事業者数の推移は次の通りです。
ほとんどの事業所では、介護給付の対象となる事業所の指定と、予防給付の対象となる事業所の指定を併せて受けています。
2)地域密着型サービスの介護費
地域密着型サービスの介護費の推移は次の通りです。なお、介護費は介護給付と予防給付の合計値です。
介護費はいずれの地域密着型サービスにおいても増加傾向にあります。国民健康保険中央会では介護予防給付のみの数値を非公開としています。そのため、同中央会の統計からは地域密着型介護予防サービスについての介護費を把握することができません。
地域密着型サービスの中で、認知症対応型共同生活介護が多くを占めており、介護費は増加を続けています。介護度の高い要介護者が増えるに伴い、認知症高齢者も増加しており、施設が整備されるとともに介護費についても拡大の一途です。
以上(2018年10月)
pj50211
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「価値創造」思考でゲームチェンジャーになる
書いてあること
- 主な読者:新規ビジネスを考える経営者
- 課題:ビジネスチャンスを発見するに、ゲームチェンジャーの思考を身に付けたい
- 解決策:価値創造のための思考法やフレームワークを紹介する
1 ゲームチェンジャーに必要な発想
ビジネスでもプライベートでも、多くの人はこれまでの経験や知識に照らして物事を考え、意思決定する傾向があります。これは、大きな失敗につながりにくい安全な考え方といえます。しかし、ビジネスの場合、ここから一歩飛び出さなければ、既存の枠にとらわれない、自由な発想でビジネスを創造していく“ゲームチェンジャー”にはなれません。
本稿では、「思考」に焦点を当てながら、価値創造の取り組みを円滑に進める上で押さえておきたい、基本的なポイントを紹介していきます。
2 創造すべき真の価値とは
1)真の価値はどこにあるのか?
価値創造の取り組みを考える前に、創造すべき価値とは何かを考えてみましょう。それは、「競合他社より魅力的で、消費者から支持を得られる価値」です。このような価値を生み出すためには、競合他社や消費者の視点だけでなく、もう少し広く多面的な視点で捉える必要があります。例えば、「個人」「組織」「社会」の3つの視点を取り入れるとよいでしょう。
2)個人にとっての価値
価値創造に取り組むのは、従業員をはじめとした組織内の人々が中心となります。従って、創造する価値は組織内の人々にとって、取り組みに積極的に参加したくなる魅力を備えていることが必要です。
3)組織にとっての価値
創造する価値が組織の理念やビジョンと一致することで、場当たり的ではなく、持続的な取り組みにすることができます。ただし創造する価値は短期的にはもちろん、将来的にも組織に有益でなければなりません。
4)社会にとっての価値
創造する価値は、消費者・株主・取引先・地域社会などの外部のステークホルダーにとって魅力的で、恩恵をもたらすものであることが求められます。
3 価値創造のための思考とは
価値創造は、既存の枠にとらわれない自由で多様な発想で思考することによって生まれます。そのため、次の2点を前提として押さえておきましょう。
- チームを組成し、多くの人々の多様な意見を活用できる体制で取り組む
- 「経験や知識は自由な発想を阻害する要因になり得る」ことを念頭に置き、チームのメンバー選定や、チーム内の意思決定など、あらゆる場面で経験や知識を過度に重視しないようにする
本稿では、チームで価値創造を進めることを想定して話を進めていきます。しかし実際は必ずしもチームを作る必要はなく、従業員へのアンケートなどによって意見を幅広く収集する方法もあります。
4 思考のためのフレームワーク
1)価値創造の思考法
個人で思考する場合も、集団で思考(議論)する場合も同様ですが、一般的に思考法は「選択/集中型思考」と「仮説/検証型思考」の2つに大別できます。
価値創造に適しているのは「仮説/検証型思考」です。なぜなら、「選択/集中型思考」のように現状だけに注目せず、一部現状を生かしながらも仮説を自由に立て、その仮説の適切性を検証するものだからです。
2)思考のステップ
思考とは、目的やテーマなどの前提条件の範囲内で、持ち合わせている情報の中から結論を導き出すために必要な情報を選択し、結論へと連結させていく一連の流れをいいます。思考のイメージは次の通りです。
価値創造の取り組みを推進するチーム(以下「価値創造型チーム」)は、「結論のみならず、どのような情報が抽出・選択され、どのように連結されて結論に至ったのか」というプロセスをメンバー間で共有しながら議論を進めます。では、「仮説/検証型思考」のステップを具体的に見ていきましょう。
1.思考の前提
思考プロセス(情報連結のフレーム)の大枠をあらかじめ設定します。
2.情報抽出
情報や意見を出して集めます。こうして集めることを「拡散」といいます。結論や選択基準にとらわれずに、自由に多くの情報を列挙することが重要です。
3.情報選択
多くの情報や意見から、必要なものや重要なものを選択します。こうして選択することを「収束」といいます。具体的で明確な選択基準を設定することが重要です。
4.仮説構築
選択した情報を連結し、仮説の行動プランを構築します。
5.検証・意思決定
仮説の行動プランの妥当性を証明できる根拠を明らかにし、意思決定を行います。
3)ポイントは「思考の前提」
価値創造に関する議論では、多様なメンバーが自由闊達(かったつ)に意見するため、議論が拡散しがちです。そこで、思考の前提を設定し、こうした事態を防ぎます。
思考の前提になるのは、「目的」「テーマ」「使用情報」「ゴール(アウトプット)」「時間内に合意できない場合の最終決定方法」「時間・場所・メンバーなどの討議環境」の6つです。議論に先立って、これら6つの前提をメンバーに周知徹底することで、議論の無用な混乱を防ぐようにします。
5 価値創造型チームを成功に導くリーダー像
1)リーダーに求められる能力
リーダーは通常、チームの成果を左右する重要な役割を担います。これは価値創造型チームにおいても同様です。以降では、価値創造型チームを成功に導くリーダー像について紹介します。価値創造型チームのリーダーに欠かせないのは、次の2つの能力です。
- 議論をリードする理論的な思考力
- メンバーの能力を引き出し、結集させるコミュニケーション力
価値創造型チームは明確な結論が見えない中、新たな価値を模索します。そのため、議論が混乱したり行き詰まったりするなど、さまざまな障害に直面しがちです。こうした障害を乗り越えて結論を導き出すには、リーダーがその時々の状況を勘案しながら、全メンバーが納得できるように議論を理論的にリードすることが必要です。
また、自由闊達な議論を通じて、個々のメンバーが持つ能力を最大限に発揮してもらうことも大切です。しかし、単に個々のメンバーの能力を引き出すだけでは不十分です。
個々のメンバーの力を結集しなければ、チームとしての成果は見込めません。リーダーは個々のメンバーの能力を引き出しつつ、多様なメンバーを1つにまとめる能力が求められます。
2)ファシリテーション型のリーダーシップ
価値創造型チームのリーダーには、「議論をリードする理論的な思考力」「メンバーの能力を引き出し、結集させるコミュニケーション力」が求められます。しかし、リーダーシップが強すぎると、メンバーはリーダーと異なる意見を出すのを遠慮したり、安易な妥協や追随を見せたりするなど、自由な議論が損なわれる可能性があります。そこで重要になるのが、ファシリテーションです。
ファシリテーションとは、「指示したり結論を示したりするなどして議論の内容自体をリードするのではなく、議論の枠組みを示すなどして『議論の場』をコントロールしながら、議論を促進・支援・後押しするリーダーシップ」をいいます。
価値創造型チームのリーダーは、メンバーが自由に、かつ自発的・意欲的に発言できる場を形成するファシリテーション型のリーダーシップを発揮することが好ましいといえるでしょう。
3)押さえておきたいファシリテーションの手法
ファシリテーション型のリーダーシップを発揮するには幾つかの手法があります。ここでは特に重要な「思考の前提」「プロセスリード」「質問」「傾聴」「肯定・受容」「確認」の概要を紹介します。それぞれの手法は次の通りです。
メンバーの能力を最大限に生かし、価値創造型チームの活動を有益にするには、リーダーは上記の点に注意しながら、議論を進めていくことが大切です。
以上(2018年10月)
pj80026
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「農福連携」で農家と福祉施設が得られるメリット
書いてあること
- 主な読者:担い手不足に悩む農業者、障がい者の低い賃金・工賃に悩む障害福祉サービス事業所
- 課題:異業種との連携であり、メリットが不明。ノウハウがない。相談窓口も分からない
- 解決策:「お試し」で始めることができる。まずはハローワークなどに相談してみる
1 農福連携のすすめ
「農福連携」とは、「農業と福祉が連携し、障害者の農業分野での活躍を通じて、農業経営の 発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取組」です。
農福連携には、農業者、障害福祉サービス事業所、障がい者の3方にさまざまなメリットがあります。国も2019年に「農福連携等推進ビジョン」を取りまとめるなど、農福連携を積極的に推進しています。農業者や障害福祉サービス事業所への補助金もあります。
日本基金が2018年に実施した「農福連携の効果と課題に関する調査」(以下、日本基金によるアンケート調査)によると、農福連携に取り組む農業者(120件)の78%が5年前と比べて「年間売上額が上がった」と答えています。同様に、障害福祉サービス事業所(696カ所)の74%が5年前と比べて「賃金・工賃が増加した」と答えています。
障害福祉サービス事業所にもヒアリングをしてみました。島根県にある障害福祉サービス事業所Aへのヒアリングによると、《企業の下請けの場合、作業量や収入が企業の経営状況に左右されやすく、障がい者に思うような工賃を払えない上、障がい者にとって複雑な作業が多かった。事業として農業を始めたことで、障がい者の時給は3年で約2倍に増えた》とのことです。
また、《企業の下請けは施設内での作業がほとんどだったが、農作業は屋外で自然と触れ合うため、障がい者の精神衛生上とても良く、労働意欲が増し、急な欠勤や短時間で帰るといったことがなくなった》とのことです。
農福連携にはさまざまなメリットがあります。特に担い手不足に悩む農業者、障がい者の低い工賃に悩む障害福祉サービス事業所にとっては検討に値するのではないでしょうか。
2 農福連携の3つのパターン
農福連携の主なパターンは3つです。
- 障害福祉サービス事業所が事業として農業を行う
- 障害福祉サービス事業所と農業者が請負契約を結ぶ
- 農業者が障がい者を直接雇用する(ハローワークに相談する)
3つのパターンそれぞれの取り組み手順については、厚生労働省と農林水産省が共同でまとめたスタートアップマニュアルが参考になります。
■厚生労働省・農林水産省「農福連携スタートアップマニュアル 第1分冊」■
※農林水産省「農福連携の推進」ページの「4.パンフレット・マニュアル」よりダウンロード
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/kourei.html
既存の農福連携の事例では、障害福祉サービス事業所が事業として農業を行うパターンが多いです。しかし、障害福祉サービス事業所が自ら農地法上の要件を満たして農地の借り入れ・購入をしたり、販路を確保したりするといったハードルがあります。
この点も踏まえ、農林水産省では《初めて農福連携に取り組む際は、障害福祉サービス事業所と農業者が請負契約を結ぶパターンを推奨しており、実際に増えてきている》とのことです。
となると、大事なのは請負契約を結ぶ相手の見つけ方となります。主な方法は次の3つです。
- 共同受注窓口を利用する
- 自治体の農業部局・福祉部局に相談する
- 都道府県の普及指導センターやJAに相談する
共同受注窓口は、複数の障害福祉サービス事業所などが共同して受注業務のあっせんや仲介を行う組織で、農福連携についてのマッチングや契約のサポートを行っています。各都道府県が民間団体に委託して実施しています。そのため、地域の共同受注窓口については、各都道府県や日本セルプセンターに問い合わせて確認できます。
ただ、近隣に連携できる農業者が登録していないこともあるので、自治体にも相談してみましょう。農業部局や福祉部局は、農福連携を始めたい、または受け入れる障害者数を増やしたい農業者の情報を持っている可能性があります。
他にも、各都道府県には、農業の担い手に技術や経営に関する支援を行う普及指導センターが設置されていたり、各地域の農業協同組合(JA)でも農福連携に理解がある組合員(農業者)を紹介しているところがあったりします。
3 お試しでやってみる
1)「障害福祉サービス事業所と農業者が請負契約を結ぶ」場合
数日間、試行的に農作業を請け負ってもらう「お試しノウフク」という方法があります。お試しノウフクには、主に次の2つのパターンがあります。
- 農作業に関する請負契約を締結して、報酬を支払う
- 農作業に関する請負契約を締結せず、短期間・無報酬で「援農ボランティア」をする
請負契約を締結して報酬を支払うパターンの場合、圃場において障がい者に具体的な指示を行うのは、障害福祉サービス事業所の職業指導員となります。そのため、農業者が職業指導員に農作業の内容を伝えたり、作業体験をしてもらったりした上で、職業指導員が障がい者に作業を割り当てます。農業者は、障がい者の仕事に対して意見があれば、本人に直接伝えるのではなく、職業指導員から伝えてもらうようにします。
2)「農業者が障害者を直接雇用する」場合
農業者にとって、障がい者を直接雇用するのは負担が重いものです。この負担を軽減できる制度として、次の3つがあります。
- トライアル雇用助成金の活用
- 農作業体験会による交流
- 特別支援学校高等部の職場実習の受け入れ
まず検討したいのは、厚生労働省「トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)」の活用です。3カ月間(精神障がい者は原則6カ月間)の期間を定めて、障がい者を試行的に雇用する場合、期間終了後に国から、月額最大4万円(精神障がい者は月額最大8万円)を一括して支給されるというものです。窓口はハローワークとなります。
トライアルの後、障がい者を継続して雇用した場合、厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金」を活用できます。例えば、特定就職困難者コースでは、重度障害者等を除く身体・知的障害者(週当たり所定労働時間が30時間以上)については、2年間で120万円が支給されます。
ただし、これら助成金はハローワークや職業紹介事業者などの紹介によって雇用する場合にのみ適用されるもので、例えば、農業者の親族や知人からの紹介を通じて雇用に至った場合などは、対象外になります。
他にも芋掘りや稲刈りなどの農作業体験会を開催し、障がい者との接点を持ったことをきっかけに、その後の雇用につながった事例が少なくありません。また、特別支援学校高等部の中には、近隣の企業などを訪問して職業体験活動や作業実習をする「職場実習」を行っているところがあります。
4 請負報酬の決め方
請負報酬は、中立・公平な第三者が関与しながら、決めていくのが望ましいとされます。参考までに、請負報酬の設定方法や、支払い方法の留意点などを見ていきます。
1)請負報酬の単価の決め方
請負報酬は、「完成された作業の内容に応じて算定されるものであること」とされているため(「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」)、「出来高払い」が基本です。
障害福祉サービス事業所に依頼したい作業について、健常者ベースで時間当たりの仕事量を測定します。次に、測定した仕事量を基に、最低賃金をクリアするように、収穫量1㎏当たりの報酬単価を設定します。なお、農産物の現物支給は認められていません。
2)必要経費について
障害福祉サービス事業所から農業者の圃場まで移動する際の交通費については、障害福祉サービス事業所が負担する契約とする他、農業者が積極的に障がい者を受け入れたい場合などには、請負報酬に含めるなど農業者が負担する契約もあります。
職業指導員の人件費は、障害福祉サービス事業所に対して支払われる訓練等給付費を充当することとなっており、職業指導員の人件費を契約に含めることは認められていません。
5 作業管理のポイント
水やりや草取りなどは、専門的な技術や判断を必要とせず、農業経験が少ない障害福祉サービス事業所も取り組みやすい作業です。それでも不慣れな状況で行うと、確認行為に時間を要し、場合によってはやり直しになります。大切なのは、農業者と職業指導員の間で、作業の仕上がり具合を確認するとともに、あらかじめ作業の練習を行うことです。
作業の誤解に伴うトラブルを避けるためにも、その後の作物の生育や農業経営に大きな影響を及ぼしかねない作業については、農業者自身が行ったほうがよいかもしれません。
その他、農林水産省が2019年10月に発表した「農福連携事例集」や、農福連携に取り組む事業者へのヒアリングによると、障がい者が作業しやすいように、次のような工夫をしている事例があります。
- 「きれいに洗う」ではなく、「スポンジで5回こすって洗う」など、具体的に指示する
- 障がい者の特性に合わせて作業指示を出す。例えば、記憶が続かない障がい者の場合は、目の前に作業内容を記載したカードを置く
- 作業工程を細分化し、1人が行う作業内容および時間を最小化する
- 作業手順の図式化と完成例(写真など)を示す
- 作業道具を複数用意し、使いやすいものを選択できるようにする
6 障がい者が作業しやすい環境を整備するには?
障がい者の作業に支障となる危険な箇所を補修する、作業動線を改善するなど、障がい者が作業しやすい環境を整える必要があります。
このような場合に活用できるのが、農林水産省「農山漁村振興交付金(農福連携対策)」の農福連携整備事業です。障がい者が作業しやすいように農業生産施設、農機具庫などの付帯設備、休憩所やトイレなどを整備する際に支援するものです。交付率は1/2(上限1000万円、2500万円など)となっています。
以上(2020年5月)
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設備投資、賃上げなどで活用できる税優遇
書いてあること
- 主な読者:人材や設備投資を検討している中小企業の経営者・税務担当者
- 課題:人材・設備投資をした場合に受けることができる税金対策を知りたい
- 解決策:投資活動を行った場合に選択することができる税優遇の基本的な仕組みや、主な投資に関する税制の概要を説明
1 企業の成長に欠かせない「投資」に係る優遇税制
企業の成長には、人材や設備などに対する投資は必要不可欠です。これらの投資活動を活性させるために、税制においても減税や軽減措置などの優遇規定を幾つか設け、その後押しを行っています。本稿では、このような投資活動を行った場合に選択することができる税優遇の基本的な仕組みや、主な投資に関する税制の概要を説明します。
なお、本稿では、法人税の内容について紹介しますが、個人事業者(所得税)についても同様な優遇税制が設けられており、これらの内容は法人税と基本的な部分で変わりはありません。
2 優遇税制の基本的な仕組み
1)青色申告の選択
税制において、人材確保や設備などに対する優遇税制を受けるための大前提として、納税者は青色申告を選択する必要があります。そして、青色申告を選択するためには、青色申告を行おうとする事業年度が開始する日の前日まで(設立の日の属する事業年度の場合は、設立の日以後3カ月を経過した日とその事業年度終了の日とのいずれか早い日の前日まで(注))に、一定の事項を記載した「青色申告の承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出し、その承認を受ける必要があります。
青色申告の承認を受けると、納税者は税法に定める人材確保や設備購入などに関する一定の要件を満たす投資を行った場合に、納税者自身の選択により、特別償却や税額控除などの優遇税制を受けることができるようになります。
(注)個人の場合は、適用を受けようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業等を開始した場合には、その事業等を開始した日から2カ月以内)までです。
2)特別償却と税額控除の違い
優遇税制の種類は幾つかありますが、投資活動に関するものとして、主に特別償却と税額控除を挙げることができます。
特別償却は、通常の減価償却費(以下「普通償却費」)の他に、設備の取得など投資をした固定資産の取得価額に、一定の割合を乗じて計算するなどした特別な償却費(以下「特別償却費」)の損金算入を認めるという制度です。よって、損金に算入することができる償却費が増加(普通償却費+特別償却費)することで、所得金額を減少させる効果があり、資本投下の資金を早期に回収することが可能になります。
一方、税額控除は、所得金額から算出された当事業年度の法人税額から、投資をした固定資産の取得価額などに一定の割合を乗じて計算した金額を直接法人税額から控除し、納める法人税額を減少させることができる制度です。ただし、直接法人税額から控除することができる金額は、原則として所得金額から算出された当事業年度の法人税額の10%または20%が上限となります。
なお、特別償却と税額控除のいずれも適用を受けることができる要件を満たしている場合でも、重複適用はできません。また、確定申告後に「特別償却(税額控除)から税額控除(特別償却)への変更」も認められません。どちらの制度を適用したほうが、自社にとって有利になるかは、会社の事情ごとに異なるため、いずれの制度を選択するかを申告書の提出期限までに、税理士などの専門家と相談して決めておく必要があります。
3)一時償却と割増償却の違い
特別償却については、さらに一時償却と割増償却に分けることができます。一時償却は、原則として取得した固定資産の使用を開始した事業年度のみに適用される「初年度償却の制度」になりますが、割増償却は一定の期間において「複数の事業年度において適用を受けることができる制度」になります。また、一時償却の計算方法は、取得した固定資産の取得価額を基に計算されるのに対し、割増償却は、普通償却費に一定の割合を乗じて特別償却費の額を計算します。この割増償却の制度は、建物や構築物、機械装置など使用可能期間の年数が比較的長い資産について適用されることが多いようです。
3 主な「投資」に関する税制
1)中小企業投資促進税制(機械等・特定経営力向上設備・経営改善設備の取得)
中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等が、2019年4月1日から2021年3月31日までの間に一定の設備投資を行った場合には、7%の税額控除または30%の特別償却(一時償却)の適用を受けることができます。なお、対象となる設備投資には次のものがあります。
2)商業・サービス業・農林水産業活性化税制
認定経営革新等支援機関等による経営の改善に関する指導および助言を受け、かつ、売上高または営業利益の伸び率が年2%以上であることの確認を受けた中小企業者等が、2019年4月1日から2021年3月31日までに一定の経営改善設備投資を行った場合には、7%の税額控除または30%の特別償却(一時償却)の適用を受けることができます。なお、対象となる設備投資には次のものがあります。
3)給与等の引き上げ及び設備投資等を行った場合等の税額控除(賃上げ・設備投資促進制)
2018年4月1日から2021年3月31日までに開始する各事業年度において、企業が国内雇用者に対して給与等を支給し、一定の要件を満たす場合には、給与等支給増加額の15%(教育訓練費の額の比較教育訓練費の額(前事業年度及び前々事業年度の教育訓練費の額の年平均額)に対する増加割合が20%以上であるときは、給与等支給増加額の20%)の税額控除の適用を受けることができます(法人税額の20%が上限)。さらに、中小企業者等のときは、一定の要件を満たすときは、給与等支給増加額の25%の税額控除の適用を受けることができます(法人税額の20%が上限)。
4)中小企業の防災・減災の設備投資に係る特別償却の創設
青色申告書を提出する中小企業者等(前事業年度の所得金額の平均が年15億円を超える法人など一定の法人を除く)は、次の要件を満たす場合、一定の設備等(特定事業継続力強化設備等)の取得価額の20%を特別償却の適用を受けることができます。
- 中小企業等経営強化法の事業継続力強化計画または連携事業継続力強化計画の認定を受けた者
- 中小企業等経営強化法の改正法の施行の日から2021年3月31日までの間に一定の設備等(特定事業継続力強化設備等)を取得等し、事業の用に供した場合
特定事業継続力強化設備等とは、災害への事前対策を強化するための設備等で、次のものをいいます。
4 優遇税制の適用を考える際の留意点
これらの優遇税制は、その時々の政策の影響を受けるため、毎年行われる税制改正の動向を注視しておきましょう。税制改正では、それぞれの制度で定められている要件など(資本金の額や取得資産の金額基準、適用期限など)が変更されることが多くあり、実際に適用を受ける際には最新の適用条件を満たさなければなりません。また、実務上の手続きとして、申告書に証明書や認定書の写しを添付する必要があるため、あらかじめ、税務署や顧問税理士に相談の上、適用を受ける制度をよく確認するようにしましょう。
以上(2020年3月)
(監修 税理士法人アイ・タックス 税理士 山田誠一朗)
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訪問介護事業の開業手続き
書いてあること
- 主な読者:コスト削減を進めたい経営者
- 課題:どのような手順で、何を対象に削減していけばよいのか迷う
- 解決策:利益に貢献しないコストを科目ごとにあぶり出し、アプローチする
1 訪問介護事業の概要と動向
1)訪問介護
「訪問介護」は居宅サービスの1つで、「要介護者であって、居宅において介護を受けるものについて、その者の居宅において介護福祉士その他政令で定める者により行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって、厚生労働省令で定めるもの」をいいます(介護保険法第8条第2項)。
訪問介護事業者となるには、都道府県知事(指定都市・中核市は各市長)より指定を受けなければなりません。指定条件は、申請者が法人であり、厚生労働省令で定める基準を満たしていることです。
訪問介護サービスは「身体介護」「生活援助」に大別されます。身体介護とは「起床介助、排せつ介助、食事介助、衣服の着脱、体位交換、入浴介助」などの身体に触れる介護です。また、生活援助とは「調理、洗濯、掃除」などの身体に触れない介護です。
身体介護サービスの「入浴介護」は、利用者の自宅浴室において入浴を介助するサービスですが、別の介護サービスである「訪問入浴介護」は、特殊浴槽などの入浴設備とともに利用者宅を訪問して入浴サービスを行うものです。
訪問介護サービスの介護報酬は次の通りです。
2)訪問介護事業者数の推移
訪問介護事業者数の推移(各年度末時点)は次の通りです。
2015年度の介護保険法改定により、介護予防訪問介護は2018年3月をもって終了し、訪問介護に相当するサービスの提供は市町村による新しい総合事業「介護予防・日常生活支援総合事業」へ移行されました(2017年度の2948事業者については、2018年3月になってもなお、総合事業に移行せずに介護予防訪問介護サービスを提供していた事業者数です)。
介護予防・日常生活支援総合事業は、利用者の状態・意向を市町村が判断し、介護予防サービスと生活支援サービスを一体的に提供するものです。
これは、市町村が責任主体となって実施している「地域支援事業」を再編成するに当たり、全国一律のサービスの種類・内容・運営基準・単価によるのではなく、市町村の判断でボランティア、NPO、民間企業、社会福祉法人、協同組合などの地域資源を効果的に活用できるようにしていくことが目的です。
2 訪問介護事業者の指定申請
1)介護保険法の指定居宅サービス事業者としての指定申請の流れ
指定手続きの流れは、次の通りです。
- 指定申請(都道府県知事に提出)
- 申請の審査(書面審査)
- 事業者指定(指定通知書の交付)
都道府県知事(指定都市・中核市は各市長)による居宅サービス事業の指定は、居宅サービス事業を行う者の申請により、居宅サービスの種類および当該居宅サービスの種類に関わる居宅サービス事業を行う事業所ごとに行います(介護保険法第70条第1項、第203条の2)。
2)申請書と必要書類
訪問介護に関わる指定居宅サービス事業者の指定を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書または書類を都道府県知事に提出しなければなりません(介護保険法施行規則第114条第1項)。
- 事業所の名称及び所在地
- 申請者の名称及び主たる事務所の所在地並びにその代表者の氏名、生年月日、住所及び職名
- 当該申請に係る事業の開始の予定年月日
- 申請者の定款、寄附行為等及びその登記事項証明書又は条例等
- 事業所の平面図
- 利用者の推定数
- 事業所の管理者及びサービス提供責任者の氏名、生年月日、住所及び経歴
- 運営規程
- 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
- 当該申請に係る事業に係る従業者の勤務の体制及び勤務形態
- 当該申請に係る事業に係る資産の状況
- 当該申請に係る事業に係る居宅介護サービス費の請求に関する事項
- 介護保険法第70条第2項各号に該当しないことを誓約する書面
- 役員の氏名、生年月日及び住所
- その他指定に関し必要と認める事項
3 指定を受けるための基準
申請者は法人であることと、厚生労働省令で定める基準「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(以下「基準」)」を満たしていなければなりません。
1)人員に関する基準(基準第5条)
指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに置くべき訪問介護員などの員数は、常勤換算方法で2.5人以上としなければなりません。
指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに、常勤の訪問介護員等のうち、利用者の数が40またはその端数を増すごとに1人以上の者をサービス提供責任者としなければなりません。
利用者の数は、前3カ月の平均値とします。ただし、新規に指定を受ける場合は、推定数によります。
指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとにもっぱらその職務に従事する常勤の管理者を置かなければなりません。ただし、指定訪問介護事業所の管理上支障がない場合は、当該指定訪問介護事業所の他の職務に従事し、または同一敷地内にある他の事業所、施設などの職務に従事することができるものとします。
2)指定訪問介護の基本取扱方針(基準第22条)
指定訪問介護は、利用者の要介護状態の軽減または悪化の防止に資するよう、その目標を設定し、計画的に行われなければなりません。
指定訪問介護事業者は、自らその提供する指定訪問介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければなりません。
3)指定訪問介護の具体的取扱方針(基準第23条)
訪問介護員等の行う指定訪問介護の方針は、次に掲げるところによるものとされています。
- 指定訪問介護の提供に当たっては、第24条第1項に規定する訪問介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要な援助を行う。
- 指定訪問介護の提供に当たっては、懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者またはその家族に対し、サービスの提供方法等について、理解しやすいように説明を行う。
- 指定訪問介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術をもってサービスの提供を行う。
- 常に利用者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、利用者またはその家族に対し、適切な相談および助言を行う。
4)訪問介護計画の作成(基準第24条)
サービス提供責任者は、利用者の日常生活全般の状況および希望を踏まえて、指定訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容などを記載した訪問介護計画を作成しなければなりません。
訪問介護計画は、既に居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成しなければなりません。
サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成に当たっては、その内容について利用者またはその家族に対して説明し、利用者の同意を得なければなりません。
サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成した際には、当該訪問介護計画を利用者に交付しなければなりません。
サービス提供責任者は、訪問介護計画の作成後、当該訪問介護計画の実施状況の把握を行い、必要に応じて当該訪問介護計画の変更を行うものとします。
訪問介護計画の変更は訪問介護計画の作成と同様の手続き、方法による必要があります。
以上(2018年10月)
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