ビジネスマッチング基礎編/新チャレンジには外部の力も借りてみよう(1)

書いてあること

  • 主な読者:ビジネス上の出会いを求めている経営者
  • 課題:信頼できる相手や会社と出会い、ビジネスの可能性を拡げたい
  • 解決策:金融機関のビジネスマッチングサービスで、新しく出会うチャンスを増やす

1 ビジネスマッチングサービスで出会いを広げよう!

経営者は常に既存事業の強化や新規事業の開発について考えています。それを実現しようとする上で、自身が進出しようとしている分野の専門家、自身が求めている技術を有する企業、自身が悩んでいることを経験したことのある経営者などとの出会いはとても貴重です。

本稿で紹介する「ビジネスマッチングサービス」とは、こうした出会いを加速させるための仕組みです。今どきは、プライベートな意味で人と人が出会うマッチングアプリが数多く登場していますが、ビジネスマッチングとは、まさにビジネス上の出会いを加速させる仕組みなのです。知らない相手とビジネスをすることには一定のリスクがありますが、銀行など金融機関が主催しているビジネスマッチングであれば安心です。

ビジネスマッチングサービスを利用したことのある経営者のアンケートでは、40%近くの経営者が「また使いたい」「良い出会いがあった」と回答しています(日本情報マート独自調べ。詳細後述)。ビジネスマッチングサービスをうまく活用すれば、新たなビジネスの可能性が大きく広がっていく可能性があります。ビジネスマッチングで大切な「最初の商談」の準備について知りたい方は、以下のコンテンツをお読みください。

2 ビジネスマッチングサービスの種類を知ろう!

1)ビジネスマッチングサービスでできること

改めて、ビジネスマッチングサービスで期待できることを整理すると次のようになります。

  • 販路を見つける:新しい営業先、市場の開拓などにつながる
  • 協業先を見つける:新しいコラボレーション、販売代理店契約などにつながる
  • 技術力を見つける:アイデアの商品化につながる他、新商品開発の可能性も広がる
  • 人を見つける:これまでにない知見、新しいリソースの獲得につながる
  • ニーズを見つける(知る):売りたい、買いたい案件などから、最近どのようなニーズがあるのか、どのような新しいビジネスがあるかなどを知る。ビジネスのヒントになる

そして、これらを実現するためのビジネスマッチングサービスにはさまざまな分類があります。以下で整理してみましょう。

2)最も大切なのは信頼できる相手を紹介してくれること

ビジネスマッチングサービスで最も重要なポイントは、信頼できる相手を紹介してくれることです。この点で最も優れているのは金融機関によるビジネスマッチングサービスです。金融機関は自らの顧客同士や、金融機関が審査をした相手などをビジネスマッチング先として紹介するため、反社会的勢力など好ましくない相手が紛れ込む恐れが小さいのです。

金融機関によるビジネスマッチングサービスにはさまざまな形態があるので、ここで整理してみましょう。

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この「金融機関によるビジネスマッチングサービス」は、

  • 金融機関の顧客である中小企業と中小企業を結ぶ
  • 金融機関の顧客である中小企業と金融機関の業務提携先を結ぶ

が基本となります。複数の金融機関が提携して上の1.を行えば広域のビジネスマッチングとなります。また、ビジネスマッチングによって具体的な商売が成立した場合などに、金融機関が手数料を得るサービスを有償ビジネスマッチング、手数料を得ないサービスを無償ビジネスマッチングなどと呼びます。また、顕在化した企業の提携ニーズだけではなく、経営者同士を集めて交流してもらうことで“化学反応”が起こることを期待する交流会が開催されるケースも多くあります。

いずれにしても安心して相手と話せることや、ビジネスマッチング先の多様さが金融機関によるビジネスマッチングサービスの特徴です。

3)インターネットで完結するサービスの普及

ビジネスマッチングサービスは、仲介者などと呼ばれる「人」が介在することが多いのですが、ここ2~3年はウェブサイト上だけで完結するサービスも出てきています。かつてもこうしたインターネット上で売り買い情報をやりとりするサービスがありましたが、「商売は、実際に相手と会って行うもの」という意識が根強かったこともあり、なかなか活性化しないのが実情でした。

しかし、インターネットに抵抗のない比較的若手の経営者にとってはインターネット上で完結できるビジネスマッチングサービスのほうが便利な面もあり、普及してきています。新型コロナウイルス感染症で“オンライン”が一気に身近になったこともこうした動きに拍車を掛けています。

ただし、やはりどこかで仲介者が入ったほうがスムーズに話が進むのも事実です。この点、金融機関によるビジネスマッチングサービスでは、インターネットの仕組みを使いつつも、渉外担当者が適時のフォローをすることで出会いや商談がスムーズにいくようにしています。

4)その他の分類

この他、ビジネスマッチングサービスの特徴として、

  • 特定分野か、多分野か
  • メンバー限定か、オープンか
  • 地域限定か、全国か

などの違いがあるので、自社のニーズに合ったビジネスマッチングサービスを探してみるとよいでしょう。

3 ビジネスマッチングに関する経営者アンケート

最後に、ビジネスマッチングサービスに関する経営者アンケートの結果をご紹介します。実際に活用した経営者はどう感じたのか、また、多くの経営者はビジネスマッチングサービスについてどのようなイメージを持っているのか。今後のご参考になれば幸いです(2020年11月、日本情報マートが独自に行ったアンケートで、回答した経営者・役員は508人です)。

Q1 さまざまな人や会社、案件などと出会う可能性のあるビジネスマッチングサービスを使ったことがありますか?(以降全て出所は日本情報マート)

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ビジネスマッチングサービスを「使ったことがある:70人 13.8%」に対して、「使ったことがない:315人 62.0%」です。業種や年代などにもよるかもしれませんが、今後の活用に期待したいところです。

Q2 ビジネスマッチングサービスを使ってみてどうでしたか? 近いものを全てお選びください。(Q1で使ったことがあると答えた70人が回答)

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実際に活用すると、「情報収集できた」「出会いがあった」と感じているようです。

Q3 ビジネスマッチングサービスに対するイメージはどのようなものですか? 近いものを全てお選びください。(Q1で使ったことがある、使ったことがない、分からないと答えた406人が回答)

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プラス回答「もう一つの営業ツール」「世界が広がる」がある一方で、「お金がかかる」「うさんくさい」といったマイナス回答があるのも事実です。初めてのビジネスマッチングサービスでは、「信頼できるよく知っている金融機関の担当者」が仲介者となってくれるものを活用するのがよいのかもしれません。

以上(2020年12月)

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画像:vectorfusionart-shutterstock

【朝礼】牛になりますか、馬になりますか

明けましておめでとうございます。今年のえとは「丑(うし)」です。そこで、けさは、「牛も千里、馬も千里」ということわざを紹介します。

このことわざは、歩くのが遅い牛でも、走るのが速い馬でも、いずれは千里に到達するというところからきています。それが転じて、「能力の違いがあっても、努力を怠らなければ、最終的には同じ結果にたどり着くことができる」という意味で用いられています。

このように言うと、皆さんの多くは、馬のほうが牛よりも先に千里に到達することをイメージするでしょう。しかし、それは牛と馬が「整備された平坦な道」を進むという前提に立った場合の話です。どういうことか、もう少し掘り下げて説明します。

実は牛には、進む速さで劣る代わりに、馬よりも優れている点があります。それは、体のバランスです。牛は多くの種類が、中指と薬指の2本の指で地面に立っています。これに対し、馬は多くの種類が、中指1本で地面に立っています。体を支える指が多い分、牛は体のバランスを取りやすくなっています。そのため、傾斜地や坂道のように足場の悪い場所を歩く能力が、馬よりも優れているのです。

つまり、冒頭のことわざに照らして考えると、仮に牛と馬が「整備されていない足場の悪い道」を進む場合であれば、牛のほうが馬よりも先に千里に到達する可能性もあるわけです。

さて、皆さん、会社には、事業を通じてお客様や社会に対して実現したいことがあります。例えるなら、千里の道の先にあるゴールです。そして、そのゴールにたどり着くためには、さまざまな道があります。

先ほどの整備された平坦な道と、整備されていない足場の悪い道で例えるなら、前者は「すでに開拓されている分野」、後者は「まだ開拓が進んでいない分野」といえるでしょう。皆さんなら、どちらの道を進んでゴールを目指しますか?

これには正解はありません。すでに開拓されている分野を突き進むのが得意な「馬」のような人もいるでしょうし、まだ開拓が進んでいない分野で、着実に前進を重ねていく「牛」のような人もいるでしょう。自分の得意とする分野で、少しでもゴールに近づけるよう、存分に力を発揮してもらえればと思います。

ただし、忘れないでほしいことがあります。それは、「どの道を進むかを決めるのは、皆さん一人ひとりである」ということです。たとえどんな道を選んでも、自分が一度「この道で頑張りたい」と思ったのなら、その選択に責任を持ってほしいのです。千里の長い道を進んでいる限り、必ずどこかでくじけそうになることがあります。そんなとき、皆さんを支えてくれるのは、「努力を続ける」という意志です。1年間、強い意志をもって業務にまい進してください。

以上(2021年1月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】逆風の今こそ「会社は誰のためのものか」を実感するとき

今朝は皆さんに、少し大きな視点に立って、我が社や皆さんの仕事の社会的な意義について考えてみてもらいたいと思います。

今、世界では改めて、会社は誰のためのものか、という議論がされています。以前なら教科書通り、会社は株主のもの、が正解でした。しかし今は、これまで以上に、会社の社会的な意義が問われるようになりました。会社は株主だけのためでなく、従業員、取引先、地域社会など、直接・間接の利害関係者に配慮することが求められています。

それでは皆さんは、民間の会社がなぜ地域社会にまで配慮すべきなのかを、考えたことがあるでしょうか。自社のイメージアップ、という目先の利益を得るためということも、もちろんあるでしょう。しかし私は、長い目で見たときに、自社の利益だけでなく、地域社会との共存共栄まで考えられる、誠実で志の高い会社であることこそが、我が社の存続にとって重要だと思っています。

それを理解するヒントが、老舗(しにせ)の会社の家訓にあります。老舗の会社には、「先義後利」「利他」などの家訓がある企業が少なくありません。近江商人の「三方よし」の教えも同じです。いずれも、社会の幸せを考えることを重視した教えです。家訓は基本的に外部にアピールするものではなく、代々、家中で伝えられてきたものです。老舗の会社の経営者が残した言葉は、イメージアップを図る目的ではなく、自社を長く存続させるために最も適切な教えのはずです。

私の経験上、どのような会社にも、順風のときと逆風のときがあります。そして私は、会社の存亡に関わるほどの逆風下で、誰かに手を差し伸べられて首の皮一枚で窮地を逃れた会社と、誰にも見向きもされずに消えていった会社を見てきました。生き残った会社に共通するのは、その会社が誠実であることを理解している多くの関係者が、「この会社を支えてあげたい」「できる限り存続のために協力したい」と思っていた、ということです。老舗の会社の経営者も同じように、会社の「生き死に」を見てきたからこそ、社会との共存共栄の思いを持つよう戒めたのだと思います。

ご存じの通り、我が社も今、厳しい逆風下にあります。それでも、なんとかやれているのは、皆さんの頑張りもありますが、それだけではありません。我が社がこれまで誠実に、高い志を持って事業に取り組んできたからこそ、「応援しているから頑張って」「うちも厳しいけど、長年お世話になっているので」と、取引を継続してくださっているお客様がいるからなのです。

私は、この逆風が一段落したら改めて、我が社が取引先や地域社会のために、何ができるかを考え、そして行動するつもりです。この逆風下でも、我が社は生かしてもらったという「感謝と恩返し」の気持ちを大切にしたいのです。皆さんも、我が社や仕事の社会的な意義を感じ、取引先など全ての関係者に対して誠実に、高い志で向き合ってください。

以上(2020年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

干支のエトセトラ(丑編)

書いてあること

  • 主な読者:丑年にちなんだ話題や、スピーチなどを探しているビジネスパーソン
  • 課題:話題などを調べたり、スピーチを考えたりする時間がない
  • 解決策:過去の丑年に起こった出来事、丑年にちなんだスピーチ例を学ぶ

1 丑(うし)に関する話

1)丑年に起きた出来事

2021年の干支は「丑(うし)」です。前回の丑年は、2009年(平成21年)でした。2009年はWBC(ワールドベースボールクラシック)の第2回大会で日本チームが2度目の優勝を果たしたことが日本を湧き立たせ、衆議院選挙によって自民党から民主党へ政権交代が行われたことが大きな話題となりました。それ以前の丑年には、1973年には第一次オイルショック、1985年にはプラザ合意と、世界経済の大きな節目となった年がありました。

過去5回の丑年に起きた主な出来事や流行語は次の通りです。

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2)丑年生まれの有名人

丑年生まれの日本の有名人には、次のような人がいます(既に亡くなられた方も含みます)。

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3)丑の話

江戸時代まで、日本では時刻を表すのに一昼夜を12に分け、それを十二支に当てました。真夜中が子(ね)の刻で、午前1時〜午前3時までを丑(うし)、午前3時〜午前5時までを寅(とら)といった具合に割り当てたわけです。

丑の刻を表す丑とはもともと位置や方角を示したものであり、丑と寅の刻の中心の3時を表す方角は北東となります。陰陽道では、この丑寅(艮)の方角は鬼門であり、鬼が侵入してくる方角だとされています。

このような陰陽道の影響もあり、丑の方角や丑の時刻というのは人々に恐れられてきました。丑の刻とは、おおよそ午前1時から3時を指しますが、この時間は人が鬼に変貌したり、鬼が現れたりする時間と考えられていたようです(現在でも、風水では鬼門は「災いが訪れる方角」として、家を建てる際に「水回り」「玄関」は北東の方角に造ると縁起が悪いなどといわれます)。

2 丑(うし)にちなんだスピーチ例

1)スピーチ例1

今年の干支は丑です。動物の「牛」にちなんだ諺(ことわざ)はさまざまありますが、その1つに「牛売って牛にならず」というものがあります。これは、「飼っていた牛を売った代金で、新たな牛を買おうとしても、お金が足りず買うことができない。見通しが甘くて損をしてしまう」という意味があるとされています。

こうした意味が転じて、「人は誰しも自分のことは高く評価しがちだが、自分が思っているほど他人からは評価されていない」という解釈もあるようです。皆さんの中にも、日ごろ、「自分はちゃんとやっているのに、周りから正当に評価されていない」と不満を持っている人がいるのではないでしょうか。

「ちゃんとやっている」と思っているのは、あくまでも皆さん自身の「自分の尺度」「自分の基準」です。人から見たら、「それはできて当たり前。まだまだ足りない」と思われるのかもしれません。今年は、そうした「自分視点」から抜け出して、周りの言うことを素直に受け止めてみてください。

一方で、矛盾するかもしれませんが、もう一つ私が皆さんに言いたいのは、「人からどう評価されるかを考えて仕事をしているうちは、まだまだだ」ということです。お客様のため、周りのために一生懸命に考え行動していれば、ワクワクしますし、「自分はちゃんとやっているのに正当に評価されていない」「自分は人からどう評価されているのだろうか」などと思う暇もありません。

今年、もし、「自分は正当に評価されていない」と思うことがあったなら、皆さんにやってほしいことは2つです。1つは、「これは自分の基準で考えていただけだ、相手の視点に立って考えてみよう」と「自分視点」を抜け出そうとすること。

そしてもう1つは、「そんなことを考えている暇もなくなるほど、もっと一生懸命に取り組もう」とすることです。極端かもしれませんが、どのような時代になっても、こうしたことは変わらず大切だと私は思います。今年も皆さん、ぜひよろしくお願いします。

2)スピーチ例2

今年の干支は丑ですが、実は、丑は昔から縁起の悪いものとして扱われてきた一面があるようです。「丑三つ時」「丑寅の方角」などは分かりやすい例でしょう。特に、「丑寅の方角」は鬼門といって鬼が侵入してくる不吉な方角だとされています。

しかし、同時に鬼門には、鬼が入ってこないようさまざまな方策が施されてきたのです。例えば、「丑の刻参り」で有名な京都の貴船神社では、平安の昔から日照りや長雨が続いたときや国家有事の際には、必ず勅使が差し向けられ、祈りがささげられていました。

このように、言ってみれば「丑」は、危難をもたらすとともに、危難から守るべき要を表してもいたのです。昔の人はこの鬼門にさまざまな工夫をして立ち向かっていきました。翻って皆さんは、自分の鬼門、苦手なことや過去の失敗などに、どのように向き合っているでしょうか。

鬼門の中には、これまで避けてきたから気付かなかっただけで、突破することで自身が成長できるものがあるかもしれません。そうした「突破すべき鬼門」がないか、皆さん、いま一度、避けてきたものと向き合ってみてください。

例えば、数字が苦手な人は、会社の売上や利益などの分かりやすい数字を把握するところから始めてもよいでしょう。営業活動に悩んでいる人は、担当のお客様に月一回必ず連絡を入れることを徹底するのも一策です。そうした一歩ずつでいいので、今年、皆さんがそれぞれの「鬼門を突破する」ことを期待しています。

3 豆知識・干支の由来

1)干支の起源

干支は身近な話題である一方、「干支とは何か?」について、はっきりと答えられる人は意外と少ないかもしれません。改めて「干支の基礎知識」を紐解いてみましょう。

干支は、「かんし」ともいわれ、古代中国に起源を持ち、年月や時刻、方位などを表す呼称とされる言葉です。干支の「干(え)」は10種類あり、十干(じっかん)といいます。

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これに陰陽五行思想を結びつけて、それぞれ陽を意味する兄(え)、陰を意味する弟(と)を当てて、次のようにも読みます。

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一方、干支の「支(と)」は古代中国の天文学で、木星の位置を示すために天を十二分した呼称を起源にしており、十二支といいます。

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さらに、十二支を動物に当てはめて次のように呼ばれるようになったのです。

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中国では、古く殷(いん)の時代(紀元前16世紀~紀元前11世紀頃)から、この十干十二支の組み合わせで年月日が数えられたといいます。これが干支の起源です。

2)干支と十二支

現在の日本では、干支は十二支と同じ意味で使われていますが、厳密には干支と十二支とは異なります。本来の干支(十干十二支)の組み合わせは全部で60通りあり、現在日本で使われている12通りの十二支とは違うのです。干支は年月日や時刻に当てられますが、日本では一般的に年に当てられて使われています。満60歳を還暦(かんれき、もしくは生まれ年の干支を「本卦(ほんけ)」と呼ぶことから本卦還りともいう)というのは、干支が1周して生まれ年の干支に還(かえ)るところからきています。

また、「甲子(きのえね)」などの言葉を耳にしたことがある人も多いはずです。この呼び方も干支からきています。

ちなみに、2021年の干支は辛丑(かのとうし)、2022年の干支は壬寅(みずのえとら)です。自分の生まれ年が干支では何年なのか、図表7で確認してみましょう。

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3)干支が表す歴史年代

古くから、干支は年月日などの時間を表す呼称として使われてきました。具体的な年がすぐ分かる干支は、歴史上の事件に対する呼称としても多く用いられています。

有名な例としては次のようなものがあります。

  • 672年 みずのえさる 壬申(じんしん)の乱
  • 1592年 みずのえたつ 壬辰(じんしん)倭乱 ※日本でいう文禄の役
  • 1868年 つちのえたつ 戊辰(ぼしん)戦争
  • 1911年 かのとい   辛亥(しんがい)革命

ちなみに、阪神甲子園球場は「甲子(きのえね)」年の1924年に完成したことから名付けられています。

以上(2020年12月)

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画像:photo-ac

【朝礼】坂本龍馬に学ぶ「勉強が楽しくなるとき」

私は日ごろから皆さんに、書籍を読んで知識を蓄える、外部の人間に会って知見を広げるなど、「勉強」を欠かさないよう伝えています。しかし、残念ながら、現状ではこれが十分にできている社員はほとんどいません。

皆さんの多くは、私から注意を受ければそのときは積極的に勉強しようとしますが、その姿勢は長続きしません。それは皆さんの中に、「業務が忙しいから、勉強にまで手が回らない……」「難しい勉強は苦手だ……」といった思いや考えがあるからでしょう。しかし、私に言わせると、勉強はとても楽しいものであり、勉強が続かない人はそこに気付いていないのです。そこで、今日は「勉強が楽しくなるヒント」について話したいと思います。

皆さんは、土佐藩出身の幕末の志士、坂本龍馬をご存じでしょうか。当時、険悪だとされていた薩摩藩と長州藩の仲を取り持って「薩長同盟」を成立させ、倒幕のきっかけをつくった人物です。この他にも、議会による政治運営など新しい政治構想についてまとめた「船中八策」を起草するなど、先進的な考えを持った聡明(そうめい)な人物というイメージがあります。

ただ、こうしたイメージとは裏腹に、子供の頃の龍馬は、実は落ちこぼれだったといわれています。12歳で漢学の塾に入学したものの、勉強嫌いであまりに出来が悪かったため、すぐに退塾させられたという説があります。

一方、剣術が得意だった龍馬は、14歳で入門した道場で腕を上げ、19歳のときに土佐藩から剣術修行のための江戸遊学の許可を得ます。しかし、江戸を訪れて間もなく、ペリー率いる黒船の来航を目の当たりにし、外国の軍事力に強い関心を持つようになります。龍馬は、兵学者・佐久間象山などに学んで外国に関する知見を広げ続けます。そして、28歳のときに幕臣・勝海舟の「外国に負けない強い海軍をつくる」という考えに感銘を受けて彼の弟子となり、歴史の表舞台へと飛び出していきます。

子供の頃は勉強嫌いだった龍馬が、外国という知らない世界について、積極的に学ぼうとした理由は何だったのか。考え方はさまざまですが、私は龍馬が得意とした剣術が関係しているように思います。龍馬は卓越した強さを持っていたものの、江戸で見た黒船は剣術では到底太刀打ちできない存在でした。剣術に打ち込み、強さを追求し続けてきた龍馬だからこそ、黒船の強さに人一倍魅了され、それが外国について学びたいという思いへと変わっていったのではないかと思います。

ですから勉強が苦手という皆さんは、まず自分の得意分野を極めることを考えてください。もしかしたら、その先に別の世界への入り口が待っているかもしれません。たとえ自分が知らない世界でも、それが自分の得意分野の延長線上に広がっている世界であれば、学びたいという思いは自然と湧き上がってくるはずです。

以上(2020年11月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】リモートワークは実践フェーズに突入します

今朝は、リモートワークを今後も当社の基本的な働き方として続けていく上で、皆さんに認識してほしい大事な話をします。

新型コロナウイルス感染症まん延の影響で、ビジネスの進め方も働き方も変化しました。特に最近、当社において大きく変わってきたと私が感じているのは、社外の人との関わり方です。当社は今までも、社外のさまざまなネットワークを活用して仕事を進めてきました。ここにきてリモートワークやオンライン会議が定着してきたこともあり、数カ月の間に、その動きが加速したと思っています。

これまでは、どうにか当社の中で進めようとしてきた仕事を、社外の知見ある人に依頼することでスピードアップし、より質の高い成果が得られるようになってきているのです。皆さんは、このことを、どれだけ実感を持って受け止められているでしょうか。

はっきり言いましょう。社外の人との仕事が加速すれば、社員である皆さんに求められることのレベルは一段も二段も上がります。「あなたは当社にいて、何を実現できるのですか?」という質問を、一人ひとりが突き付けられていることに他ならないからです。この大きな状況の変化を、皆さんは認識していますか?

皆さんの仕事ぶりを見聞きしていると、中には、この変化を本当に分かっているのかどうか、いささか疑問に思える人もいます。

私は、こうした変化を皆さんが認識できないのは、一義的には私に責任があると思ってきました。リモートワークの場合、会社が変わろうとしている空気感などを実感するのは難しいものです。それならば、組織を率いる者は、そうした空気感を言葉にして皆さんに伝えなければならない。そう思って私はこの数カ月、社外の人との仕事が加速すること、会社がこれから実践しようとしていること、営業状況などを一つひとつ具体的に、皆さんにアナウンスしてきました。

皆さん一人ひとりに求めるレベルやスピード感が大きく変わっていくということも、繰り返し伝えてきました。しかし、その「伝達フェーズ」は終わりです。これからは、もう遅いくらいですが、「実践フェーズ」に突入します。

私はもう、一つひとつの出来事を、具体的に皆さんにアナウンスすることはしません。会社が今後どう変わるのか、何をやろうとしているのかを、本当に知りたい人は、私や上司に自ら質問してきてください。社外の人に負けない知見を得て、自分に任せてほしい仕事があるなら、ぜひ自分から手を挙げて実績を見せてほしいのです。

指示や情報を与えられることを待っているだけでは、もう前に進めない、何も手に入らないことを、どうか認識してください。そういう段階は、もう終わりです。当社はこれからますます変わります。ついてこられるか否かは、皆さん次第です。肝に銘じてください。

以上(2020年10月)

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画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】働きアリが働く目的は?

先日読んだ本が興味深かったので、今朝はそのお話をします。テーマは「働きアリの働き方」です。アリについては、「女王アリは至れり尽くせりの世話を受けて幸せ。働きアリは一生働かなければならず、ブラック企業の社員みたい」といったイメージがあるかもしれません。

しかし、働きアリは無理やり働かされているわけではありません。女王アリに卵を産ませたほうが自分に近い遺伝子を残せるので、そこは女王アリに任せ、自分は他の仕事をしているのです。またこの労働は、滅私奉公ではありません。働きアリの役割は、幼虫を育てる、巣を掃除する、エサを見つけて運び込む、外敵が来たら戦うなどですが、女王アリから指図されているわけではなく、個々の裁量でやるべきことを決めています。

そのため、働きアリをよく観察していると、隊列から外れてフラフラとサボるアリもいます。ただ、こうしたアリも、巣が壊れる、外敵が襲ってくるなどの非常事態には率先して仲間を助けます。また、うろちょろと寄り道をする中で、エサへの近道を見つけることもあります。

こうした働きアリの生態には学ぶことも多いですが、私は違和感も覚えます。

その違和感とは、「女王アリと働きアリ」「種の保存」という、いつまでも変わらない価値観の中だけで動いているように見えるところです。

私たちはどうでしょうか。知らず知らずのうちに、いつまでも変わらない価値観に支配されていることはないでしょうか?

働きアリが本能で女王アリの世話をするように、私たちは生きるために働き、家族も養います。そのために一生懸命になることは、会社にとってありがたいことですが、これは最も基本的な「生理的欲求」です。そして次に、やりがいを見つけるために、「目的」を決めようとします。上司と部下の面談でよく見かける、「あなたの働く目的を決めましょう」といったものですが、この行為さえも、今、本当に必要なのかは疑問です。

極端に言えば、確固たる目的ややりがいがなくても、「こういうものがあったら便利かも」「今の仲間と一緒に働けるのは勉強になる」という気持ちが少しでもあり、それを軸に自分で行動できれば、それでいいのではないでしょうか。むしろ、「上司から言われたので目的を考えた」という既定路線の受け身な姿勢は、進化の邪魔になります。

働きアリの話から飛躍しているかもしれませんが、私はむしろ、働きアリの話にただ感心しているようではいけないと危機感を覚えました。皆さんはどうでしょうか。今、皆さんの価値観や「なぜ働くか」について、バージョンアップを図る時期に差し掛かっているのです。

以上(2020年10月)

pj17026
画像:Mariko Mitsuda

リアル商談会に参加してビジネスの可能性を広げよう~商談会終了後編~

書いてあること

  • 主な読者:商談会への参加を検討する経営者
  • 課題:商談会後にやるべきことを知っておきたい
  • 解決策:「どのような来場者に」「どういう方法でフォローをするか」を早く決めて実践。次回に活かせる社内用「商談会全体のチェックシート」も忘れないうちに用意

1 来場者へのフォローを行う

本稿では、リアル商談会の後にやるべきことをまとめます。その際の視点は2つです。1つは、対来場者へのフォロー、もう1つは、次回以降に向けた社内での情報共有です。なお、本稿では「商談会」は全て、特別な断りがない限り「リアル商談会」を指します。

1)来場者の確度分けを行う

商談会の会場で商談や名刺交換をした相手は、大切な見込み客であり、フォローする必要があります。このとき、全員を同じようにフォローするのではなく工夫が必要です。

例えば、確度などに応じて来場者を分類して、来場者の情報を整理してもよいでしょう。商談会当日に初めて会った来場者も多く、なかなか確度分けが難しいかもしれませんが、次の3つくらいには分けることを心掛けましょう。

  • 「具体的な商談を行った(あるいは行えそう)」など優先的にフォローする来場者
  • 情報収集に来た競合他社など、すぐにフォローする必要がない来場者
  • その他の来場者

また、商談会当日に作成した商談シートに記載した情報も整理し、フォローする際に参照できるようにします。

2)お礼状や資料請求者への資料を送付する

来場してくれた招待客や名刺交換を行った人などには、お礼状を送ります。ここでは「お礼状」としましたが、大切なのはブースに立ち寄ってくれた感謝の気持ちを伝えることであり、必ずしも手紙やはがきなどの書面で出す必要はありません。

そのため、対象者の数や相手のことも考慮しながら、手書きのお礼状、メール、SNS、チャットツール、電話などから、適した方法を選択するとよいでしょう。こうした、お礼の連絡は商談会終了翌日、もしくは2~3日後には先方に届けるのがよいでしょう。

また、商談会当日に準備していなかった資料などの送付を希望した来場者には、状況などにもよりますが、1週間以内など早い段階で当該資料を送付するようにします。

3)フォロー担当部署へ適切に情報提供を行う

商談会当日に商談した担当者が、必ずしも同じ相手のフォロー担当者になるとは限りません。この場合、フォロー担当者がスムーズにフォローできるように、商談会で得た情報を適切に引き継ぐ必要があります。

その際には、「確度の高い来場者を、その他の来場者と区分して優先的にフォローするように伝える」「相手とのコミュニケーションを通じて得た情報を正確に伝える」ようにします。

2 商談会の総括を行う

商談会に出展した効果や、出展に際しての反省点などを整理し、次回の商談会への参加を検討する際に必要となる情報をまとめます。具体的には、「名刺獲得件数、アンケート回収件数、商談件数などの出展効果に関する情報」「出展に掛かるコスト」については、整理、評価する必要があるでしょう。

また、商談会の中には年に一度など定期的に開催しているものもあります。主催者によるサポート内容や対応の善し悪しなど、「商談会自体に対する評価」も行っておくと、次回、参加を検討する際の参考になるでしょう。

3 商談会担当者向けのチェックシート

商談会の事前準備から商談会終了後までの主なポイントをまとめた、商談会担当者向けのチェックシート(例)は次の通りです。

なお、実際には、こうしたチェックシートだけではなく、具体的な物品名や必要数、手配先などを整理した一覧表を、別途作成しておくようにしましょう。

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以上(2020年11月)

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画像:unsplash

リアル商談会に参加してビジネスの可能性を広げよう~商談会当日編~

書いてあること

  • 主な読者:商談会への参加を検討する経営者
  • 課題:商談会の当日は慌ただしく、浮足立つ。どのようなことに気を付ければよいのか
  • 解決策:来場者への感謝を忘れず、立ち寄りやすい雰囲気やニーズの引き出し、そしてマナーを大切にする

1 商談会当日、ブースに来場者を呼び込むポイント

本稿では、リアル商談会当日に心掛けたいことをまとめます。商談会で来場者は、複数のブースを見て、たくさんの出展企業と出会います。そうした来場者に少しでも覚えてもらい、次につなげるために必要なことを考えてみましょう。なお、本稿では「商談会」は全て、特別なことわりがない限り「リアル商談会」を指します。

1)製品を分かりやすく展示する

商談会当日は、多くの来場者に興味を持ってもらい、商談をするのが主な目的です。まずは製品を、来場者に見やすく、分かりやすく展示することが大切です。具体的な留意点は展示する製品などによって異なりますが、「製品はブースの前面など来場者が見やすい場所に配置する」「製品名や製品の特徴を端的に示すキャッチコピーを目立つ位置に配置する」などは必ずやったほうがよいでしょう。

2)注目を集める装飾・演出やイベントを行う

来場者の印象に残るようにするには、ある程度の装飾・演出が必要になります。例えば、宣伝用の「のぼり」や「垂れ幕」などの装飾品が使われているケースが多いようです。また、担当者全員に「はっぴ」など共通の服装をさせれば、担当者が「動く広告塔」になると同時に、ブースの一体感や活気を演出することができるでしょう。

その他にも、簡単なイベントを開催するのも効果的です。例えば、製品の活用方法などをテーマにした短時間のプレゼンテーションや、製品のデモンストレーション、動画配信などを行うのもよいでしょう。

3)製品サンプルやノベルティーグッズを効果的に活用する

来場者してくれた方に感謝の気持ちを込めて、製品サンプルやノベルティーグッズなど(以下「サンプルなど」)をプレゼントとして用意しておくのもよいでしょう。例えば、「会社や製品のパンフレットなどの資料とセットにし、持ち帰りを促す」「名刺交換に応じてくれた人にお礼の意味を込めて配布する」といったように、目的を明確にするのも一策です。

4)立ち寄りやすい雰囲気をつくる

来場者にブースに立ち寄ってもらうためには、「立ち寄りやすい雰囲気づくり」にも注意が必要です。明るい色使い、楽しそうな雰囲気づくりなどを心掛けましょう。感染症対策の意味もあり、ブースに常駐しているのは少人数に限られるかもしれませんが、それでも、笑顔やあいさつを忘れずに、来場者を明るく出迎えることが大切です。

2 商談時に留意する事項

商談といっても、来場者の多くは、その場で取引を決定することは多くはないかもしれません。来場者の当日の主な目的は、資料では分かりにくい点を確認したり、「自社のニーズに適合した対応が可能か」といった点など、来場者が会社に帰って検討する際に必要な情報を収集したりすることです。

また、来場者の多くは、他のブースも見学する時間を確保したいと思っています。そのため、商談の時間はおおむね15分程度が目安で、長くても30分程度というケースが多いようです。

そこで、強引に商談を進めるのではなく、自社の製品やサービスを理解してもらった上で、「次につながる商談」を心掛けるとよいでしょう。具体的には次のような点に留意します。なお、これらの点を実践するには、当日に限らず、事前準備もしっかり行っておくことが大切です。

  • 商談する担当者は、製品について熟知した人を配置し、スムーズに商談を進められるようにする
  • 来場者が社内で検討する際に必要となりそうな情報を整理した資料を、事前に準備しておく
  • 「来場者が何を知りたい(実践したい)のか」など、商談会後のフォローの際に必要となる情報を収集する

3 商談会のルールやマナーの遵守

商談会には、さまざまなルールがあります。当たり前のことですが、こうしたルールは遵守しなければなりません。基本的なものは、主催者が提示するルールです。事前準備から事後のブース撤去に至るまで、商談会のルールは守らなければなりません。

また、商談会には明示されたルール以外にも、守るべきマナーがあります。マナーの基本は「他のブースや来場者に迷惑を掛けない」ということです。例えば、通路や隣のブースの邪魔になるような展示や装飾などを行わない、音響設備を使用する際には、周囲のブースの迷惑にならないように音量などを調節するといった配慮が必要です。

また、今の時代、感染症に関するマナーも、必須なものといえます。主催者側が「当日は必ずマスク着用」「ブースには◯人まで」など、感染症対策としてルールを設けている場合もあるので、必ず確認しておきましょう。そうしたルールがなかったとしても、来場者や他の出展者に安心してもらえるよう、言動には気を配ることが大切です。社内で事前に説明会を開催するなどして、当日どのような立ち居振る舞いが望ましいか、どのようなことがNGかなどについて、意識を共有しておきましょう。

以上(2020年11月)

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画像:unsplash