事務管理部門の生産性が向上しない22の理由と対策

1 事務管理部門の生産性が向上しない理由にはパターンがある

業務効率化やコストダウンの推進は重要な経営課題ですが、事務管理部門に関して言うと、業務が個人の裁量に任されていることも多く、改善が進みにくい面があります。一方で、事務管理部門の業務の内容はどの企業も大体同じなので、改善が進みにくい理由も似通ってきます。

そこで紹介したいのが、厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」です。同サイトでは、社員の働き方・休み方に関してありがちな、具体的な課題とその解決策を示しています。

この記事では、同サイトから事務管理部門の生産性向上に関する部分をピックアップし、生産性が向上しない22の理由(課題)とその対策を紹介します。「うちも困っている」という経営者の皆さんは、ぜひご確認ください。

■厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」■
https://work-holiday.mhlw.go.jp/

2 働き方の実態把握に問題あり

1)働き方の実態が把握できていない

【理由1】自己申告による時間管理を行っており、正確な労働時間の実態把握ができていない
【対策】適切に労働時間を把握するためのシステムを導入する

タイムカードや勤怠管理システムを設置し、労働時間を正確に把握します。直行・直帰する社員、リモートワークをする社員などについては、始業・終業時刻を電話やSNSで報告させたり、ノートPCから打刻可能な勤怠管理システムを活用したりして対応します。自己申告での労働時間管理を続ける場合、PCログをチェックするなどして労働実態の把握に努めましょう。

【理由2】長時間労働や年次有給休暇の取得が低調な部署、個人の原因がわかっていない
【対策】所定外労働(残業)の時間数、年次有給休暇(年休)の取得状況を一覧にする

まずは部署ごとの残業の時間数、年休の取得状況を一覧にして状況を整理します。そして、長時間労働が続いている、あるいは年休の取得が滞っている部署や個人に対して、その要因を明らかにするための調査を行います(ヒアリングなど)。調査する内容は、

  • 顧客および業務の状況(顧客数、担当業務、各業務の所要時間など)
  • 残業が多い要因、年休の取得が滞る要因(業務量が多い、業務用ツールが古いなど)
  • 改善のために実施している取り組み内容(業務の分担、業務用ツールを見直すなど)
  • 問題点(業務の分担を見直したが、どの社員も業務量が多く改善につながらないなど)

などです。また、もしも残業削減や年休の取得促進に成功している部署が他にある場合、その成功理由をヒアリングし、改善が滞っている部署に適用できないか検討します。

  • 成功理由(アウトソーシングによって部署内の総合的な業務量を削減した上で、業務の分担を見直し、社員ごとの業務量を平準化することに成功したなど)

2)働き方に関するデータと業績の関係が不明確

【理由3】経営層に取り組みのメリットがない(業績ダウンにつながる)のではと指摘される
【対策】働き方・休み方に関するデータと業績の関係、組織単位の生産性などを分析する

残業削減や年休の取得促進の効果に疑問を抱く経営層には、データなど客観的な情報で説得を試みましょう。例えば、厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、残業削減や年休の取得促進に関する各社の成功事例が、具体的な数字(取り組み前後の残業時間の変化など)とともに紹介されているので参考になります。

3 管理職や社員の意識に問題あり

1)管理職の意識が低い

【理由4】管理職の意識やモチベーションが低く、各職場に業務効率化の動きが浸透しない
【対策】トップからメッセージを発信し、管理職を巻き込んだ推進体制を構築する

業務効率化に消極的な管理職に対しては、経営者から「そのような姿勢ではダメだ」とメッセージを発信し、意識の変化を促しましょう。また、経営者を中心に、業務効率化に取り組むプロジェクトチームをつくり、管理職をメンバーに加えるというのも一策です。

【理由5】管理職に長時間労働の傾向がある場合、部下も長時間労働となる傾向にある
【対策】管理職の長時間労働を解消する仕組みを導入する

管理職を対象とした定時退社推奨日、定時退社推奨月間の設定など、管理職に対して定時退社を促す仕組みを検討しましょう。

2)長時間労働が評価される(と感じている)組織風土がある

【理由6】「付き合い残業」が常態化している
【対策】管理職による所定外労働の事前承認制を設ける

所定外労働を行う場合は、管理職への事前申請・承認を要することとし、部下は、終業時刻前に、「業務内容と残業する理由」「残業予定時間」を上司に申請するルールを設けます。なお、リモートワークなどの場合、事前申請・承認の手続きを嫌がる社員が、定時で終業したように見せかけて仕事を続ける「隠れ残業」が発生しがちです。こうした場合、残業時間の上限(1日○時間、1カ月□時間など)を社員ごとに設定し、その範囲内で残業を認めるのも一策です。

【理由7】「成果を出すためには長時間労働も仕方がない」「長時間労働が評価されるはず」と考えている社員がいる
【対策】効率指標としての「時間当たり成果」を人事評価項目に加える

「時間当たり成果」を人事評価項目に加え、「時間」ではなく「効率性」で評価するように制度設計することで、社員の行動パターンの変化を促しましょう。

【理由8】長時間働くことを評価する意識が残っている部署・個人が存在する
【対策】現場の仕事の進め方を改革し、効率的な業務遂行に向けたインセンティブを付与する

組織業績の評価項目として、人件費を削減して付加価値を高める、時間当たりの売上高を高めるといった指標を組み込み、効率的な業務遂行を評価します。その際、部署メンバーの賞与へ反映させるなどして、所定外労働の削減により賃金に影響が及ばないようにします。

【理由9】フレックスタイム制を導入しているが、一部に夜遅くまで勤務する社員がいる
【対策】朝型勤務を奨励する

1日で終わらせる必要のない業務であれば、早めに終業し、翌朝の早い時間帯に業務を回すよう奨励しましょう。コアタイムの時間帯を前倒しし、朝の時間帯に働きやすい状況を整えるのも一策です。なお、フレキシブルタイムの開始・終了時刻は労使協定で決まっているので、その時刻を超えて働く社員には、管理職への事前申請・承認を義務付けるようにしましょう。

3)社員が長時間労働をいとわない

【理由10】仕事にやりがいを感じており、退社して特段やりたいこともないため、長時間労働に対する問題意識を持っていない
【対策】社員向けの教育・研修を行う

長時間労働と健康・仕事効率の関係などを社員に認知してもらうため、全社員の受講を義務とする教育・研修を行いましょう。例えば、過労死ライン、インターバル(休息)と生産性の関係、社内全体における割増賃金の支払い状況などについて説明することが考えられます。

【対策】オフの時間確保とそれによる社外のさまざまな活動への参加の推奨

定時退社や年休取得により、家族と過ごす時間を大事にし、自己啓発や休養、趣味なども含めて人間性を高め、自分の仕事を見つめ直すことを推奨します。必要に応じて、それら活動の情報提供を求めましょう。オフの活動の際の社員の生き生きした姿や、活動によって得られるものなどの情報について、社内報などを通じて提供することで効果が高まります。

4 仕事の特性、仕事のやり方に問題あり

1)業務が標準化されていない

【理由11】繁忙期に外部人材を雇用しても業務内容の説明に労力がかかり、うまく活用できない
【対策】業務の棚卸しを行う、業務手順書を作成する

業務の棚卸しを行い、業務手順書を作成しましょう。作成した業務手順書を、繁忙期などに新規人材の教育に活用します。ただし、経験や知識を基に感覚的な判断が求められる「属人的な業務(採用面接のノウハウなど)」は、マニュアル化に向かないので対象から外します。

2)業務(時間)の無駄、重複が多い

【理由12】決裁などに手間をかけすぎる部分がある
【対策】組織運営・決裁権限を見直す

現在の組織運営のあり方を再度検討し、特に決裁権限について企業経営上の観点、リスク対策、事業運営の効率性の観点などから簡素化を図りましょう。例えば、現場で決裁できる業務を増やす、紙からオンラインでの決裁に切り替えることなどが考えられます。

【理由13】退職や人事異動、育児休暇取得時など、業務の引き継ぎに時間を取られる
【対策】引継書を作成して業務引き継ぎの効率化を図る

引継書を作成して、上司が事前に承認しておきます。引継書は過去に作成したものをベースに作成するので、半期や四半期、プロジェクトの節目などに改訂を行っておくとよいでしょう。引継書は、業務全体を俯瞰(ふかん)できるものとし、業務の流れ、社内外の関係者とのつながりなどを明示します。資料がある場合、資料一覧と格納先をリストアップしておきます。

3)アウトプットの品質を過剰に追求する

【理由14】社内向け説明資料でも必要以上に質の高い資料を作成するため、手間がかかる
【対策】社内資料の内容について再検討を行う、資料内容の簡素化および枚数の上限を設定する

社内資料は要点が理解できるのであれば、デザインや分量にこだわる必要はありません。例えば図の色は白黒とする、枚数は○枚以内にするなどルールを決め、作成時間を短縮します。

4)必要ではないメール、会議が多い、会議が効果的に行われていない

【理由15】ミーティングやメールが多い(減らない)ことがネックとなっている
【対策】会議の効率化を図る

会議で明確な意思決定を行うことや、会議に必要な人のみが出席するなどの取り組みを徹底しましょう。また、決められた会議時間内に決定をする、資料は紙ではなくデータで連携し参加者がノートPCで内容を確認するなど、具体的なルールを設定します。

【対策】会議を開かないという選択肢を検討する

これまで会議を行ってきた議事事項について、決定権限を委譲するなどして会議の開催を省略することを検討します。

【対策】メールに関わる時間の削減・効率化を図る、メール数そのものの削減を図る

メールの宛先について、TOは返信をしてほしい相手、CCはやり取りを知っておくべき相手に限定するなどして、送受信や確認作業の手間を減らします。また、社内の簡易な連絡については手間がかからないSNSで行うなどして、メール数そのものの削減を図ります。

【理由16】会議で意見が出ず、会議の機能を果たしていない
【対策】会議の活性化を促進する

会議の前に、その会議の目的、議題、決めるべきことなどを明確にし、会議参加者に伝えるようにします。参加者には、問題意識を持って会議に参加するように促します。会議によっては会議中のメールや電話の使用を禁じることも検討しましょう。

5)IT化(効率化)に対する忌避感がある

【理由17】業務効率化のためにIT機器を導入したいが、IT機器に対する忌避感が強い社員が多く導入が難しい
【対策】IT機器に対する忌避感がある社員向けに、通常のマニュアルとは別の簡易マニュアルを作成する

IT機器を使用する際に活用できる、図付きのマニュアルを作成しましょう。手順通り行えば従来通りに業務が行え、時間場所を選ばず報告ができるなどのメリットがあることも伝えましょう。IT機器の使い方を習得するための研修機会を設けるとよいでしょう。

6)特定の部署・社員に仕事が集中している

【理由18】社員各人の業務負荷が把握できていない
【対策】業務の棚卸しを行う

業務の棚卸しをすることで、各人の業務負荷を「見える化」しましょう。長時間労働につながる負荷が重い業務は、業務分担の調整を行い、業務を平準化します。

【理由19】月の所定外労働60時間以上のリストに挙げられている社員が常連化している
【対策】実態や状況を把握し、フォローアップを進めて改善を推進する

担当部署に改善報告書を作成させ、

  • 原因が的確に分析されているか
  • 改善対策は分析した原因に対応したものとなっているか
  • 改善対策は実現可能なものであるか、改善目標の達成期日は設定されているか
  • 設定された期日に無理はないか

を精査します。改善報告書を基に、報告した所属長をリーダーとして、改善報告書に記載した内容に取り組みます。

取り組み結果の報告を基に、効果を上げていない取り組みについて、その原因を分析して対策を講じましょう。該当部署だけで推進することが難しい取り組みについては、企業全体で対策を推進するための体制の整備について検討すべきです。

7)周囲の社員が業務を代替しにくい

【理由20】知識やスキルの違いから、職場内で特定社員の仕事を分担できない状況が発生し、仕事が属人化している
【対策】周辺領域も含めた、広めの専門性の育成と業務の標準化

社員に対して、周辺領域を含めた広めの専門性の育成を行いましょう。標準化できる業務については、マニュアルなどを作成し、業務の平準化を図ります。

【理由21】全社的に「自分の持っている業務を他人に頼む」という考えが根付いておらず、個人で抱え込みがちである
【対策】業務の組織的遂行体制の構築(ペア制など)

主担当が不在の場合は副担当がバックアップする「ペア制」を導入するなど、組織的に対応する体制を構築しましょう。人事評価において、個人業績に加えて部門の業績を評価の対象とするように検討します。

【対策】複数業務を経験させ、多能工型の育成を行う

ある程度複数の業務を経験させ、多能工型の社員の育成を図りましょう。業務範囲を他のメンバーと重複させるなどして、協力し合う体制づくりを進めます。

8)中間管理職がプレイングマネジャーになっている

【理由22】部下の残業を減らすために、業務を引き受けた課長がプレイングマネジャーになっており、生産性向上を考える十分な時間が取れない
【対策】上長職が課長職への支援を行う、上長職の人事評価項目にワーク・ライフ・バランスの項目を盛り込む

課長の顧客に対する折衝に上長が立ち会うなど、無理な働き方の防止や計画的な業務遂行が可能となるよう、課長職を支援しましょう。また、上長職の人事評価項目にワーク・ライフ・バランスについての項目を盛り込むことで、上長職本人および課長職を含む部下の長時間労働の抑制や年休の取得を促進させることにつながります。

【対策】業務の棚卸しにより課長級の業務負荷を軽減させる

課長職が担っている業務の棚卸しを行って業務が必要かどうかを選別し、不要な業務を廃止しましょう。それでも負荷の軽減が足りない場合は、必要な業務のうち課長職が行うべき業務を選別し、一部の業務を上司や部下に振り分けましょう。プレーヤーとしての仕事とマネジャーとしての仕事の割合を、ある程度決めておくことも一策です。

以上(2021年10月)

pj40012
画像:pixabay

【朝礼】リモートワークで「進化し続ける組織」になるために

皆さん、おはようございます。今日も全員リモートワークですので、チャットやオンラインツールでしっかりコミュニケーションを取って、仕事を進めていきましょう。

さて、当社がリモートワークに切り替えてからもうすぐ1年半がたちます。この1年半、皆さんが頑張ってくれたおかげでリモートワークで仕事が回るようになり、この新しい働き方も浸透しました。これからも試行錯誤が続くかもしれませんが、皆さんの協力と頑張りには心から感謝しています。ありがとうございます。

当社では今後もリモートワークを続けていくつもりですので、今日は皆さんに改めて伝えておきたいことがあります。皆さんは、これから言う数字が何を指しているか分かるでしょうか?

「リモートワーク前は週に5時間、

リモートワーク後は月に5時間」

これは、私自身が改めて振り返った、「自分が新しいことを学ぶためにセミナーに費やした時間」です。リモートワークになる前は、新しい領域の対面セミナーに少なくとも週に5時間は参加していました。それが、リモートワークになってから、なんと「月に5時間」に減ってしまっていたのです。リモートワークに切り替えた当初の3、4カ月ほどは、多くのセミナーがオンラインに切り替わり、移動時間もなく便利なので、それこそ週に10時間くらいは参加していました。

しかし、リモートワークやオンラインセミナーに慣れた最近は、自ら積極的にセミナーなどに参加する機会が減っていることに気付いてがくぜんとしました。

自宅でリモートワークをしていると、通信状態さえ整っていれば仕事環境としては最高です。極端に言えば、起きてすぐから寝る直前まで仕事ができますし、移動せずにクライアントや社内外の人とオンラインでミーティングもできます。

その一方で、リモートワークでは「自ら新しいことを学ぼうとしなければ、その機会は減ってしまう」のも事実です。皆さんはどうでしょうか?

出社していたときは上司や同僚、社外の人と触れ合えるので、自分の知らなかった新しいことを学ぶ機会がまさに「転がっていた」はずです。しかしリモートワークでは、自分で情報を取りに行く、違った領域に触れに行くことをしなければ、新しい知識を身に付けたり学んだりするのは難しいでしょう。そうして自分自身が進化できなくなってしまうのです。さらに、何より恐ろしいのは、「自分が進化していないことに気付かなくなっていく」ことです。

当社は、「進化し続ける組織」を目指しています。これからもリモートワークを続けていく当社だからこそ、一人ひとりが自分で「新しいことを学ぼう」とする姿勢が大切です。皆さん、ぜひ「新しく学ぶこと」を決めて、今日、それをスタートさせましょう!

以上(2021年10月)

pj17073
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】朝礼が減った今こそ考えるコミュニケーション

昔、先輩から教えてもらったことがあります。

「電話をしているとき、相手からこちらの姿が見えないからと油断せず、会っているとき以上に丁寧に接するように」

そう言われて周囲を見渡すと、椅子にふんぞり返っている人など一人もいませんでした。それどころか、皆、電話を切る際は「ありがとうございました!」と深々と頭を下げていました。「あぁ~、私は素晴らしい会社に入社したんだな」と感じた瞬間でした。

本気であれば自然と背筋が伸びるものです。皆、仕事に真剣だったわけで、電話にも手を抜いていなかったのです。先輩は、「もし、あなたが椅子にふんぞり返って電話をしているなら、仕事や相手との向き合い方を反省しなさい」と教えてくれたのでしょう。

心には「根っこ」があって、その根っこが健全なのか、腐っているのかによって態度が変わってきます。これまでは毎日のように朝礼をしていましたから、お互い顔を見ながら話すことができました。同僚の話を聞き、また自分も話す中で刺激を受け、自分の「根っこ」が健全かどうかを無意識のうちに確認できたはずです。

しかし、今や朝礼は不定期となりました。クライアントとのコミュニケーションでも対面はおろか電話も減り、メールやチャットのやり取りが当たり前になってきています。

こんな時代だからこそ、私は先に話した先輩の教えがとても重要だと感じています。姿も見えず、声も聞こえない。ある意味で制約の多いテキストのコミュニケーションが中心になっている今、皆さんはどうやって自分の真剣さを伝えますか?

例えば、同じ「はい」という返事でも、「はい」「はい?」「はい!」「はい……」といったようにたくさんの種類があります。

昔、私は先輩によく誘われて、ご飯をおごってもらっていました。先輩が「ご飯食べに行こう!」と誘ってくれたとき、「はい」と言うだけの同僚もいましたが、私は「いつもありがとうございます! ぜひ、お願いします!!」と笑顔で答え、よく飲み食いしていました。おもねるわけではなく、ただ自分の気持ちを言葉に乗せていただけです。しかし、先輩にとって、私は誘いがいのある後輩であったことは間違いありません。食事の席で仕事の話をいろいろしてくれましたし、何かと気にかけてくれました。

松下電器産業(現パナソニック)の創業者で、経営の神様と称される故・松下幸之助さんは、採用基準の一つに「愛嬌(あいきょう)」を加えていたそうです。愛嬌があれば人から嫌われることなく、いろいろなところに呼んでもらえるので、仕事の輪も広がるということでしょう。

皆さんの心の「根っこ」は健全ですか。言葉や態度に愛嬌はありますか。同じ「はい」にも、たくさんの種類があることを知ってください。

以上(2021年10月)

pj17072
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】管理職に伝えたい「つもり違い十カ条」

先日、私は、長年の大切なお客様から、「先週の日曜日、電車の中でお見かけしましたよ。混んでいたのでご挨拶もできず、大変失礼しました」と言われました。

それを聞いて私は、とても心配になりました。先週の日曜日、私はどのような格好をしていただろうか、電車の中でだらしのない姿勢で座っていなかっただろうか。お客様は「混んでいたので」と言ってくださいましたが、実は私が険しい顔をしていたので、声を掛けてはいけないと思ってしまったのではないか。そうしたことが頭をよぎり、大げさではなく、肝を冷やす思いでした。

中学校教師をしている私の友人は、よく、「生徒や父母がどこで見ているか分からないから、たとえ家の近所だろうとも、誰かに見られて恥ずかしい言動は絶対にしないように気を付けている」と言っています。つまりそれは、「公人である」という意識を持って行動しているということだと思います。お客様から「お見かけしましたよ」と言われたことで、私も、改めて自分自身を戒めようと心に誓いました。

このことは、皆さんにも当てはまります。特に「公人」の意識を持ってほしいのは、管理職です。管理職の日ごろの言動は、部下に見られているからです。例えば、お客様からの難しい要望に管理職が感情的になって「面倒だ」「やりたくない」と言うのを聞けば、部下はその仕事をネガティブに捉えます。やりがいを感じるはずがありません。

逆に、管理職が「言ってもらえてよかった。これは我が社がステップアップするチャンスだ!」と言うのを聞けば、部下は、前向きに取り組むべき大切な仕事だと感じるでしょう。

管理職の皆さん、日ごろの言動において「部下に見られている」ことを意識していますか。そうでない人は、今日からすぐに改めましょう。

とはいえ、自分の行動を改めたり戒めたりするのは簡単なことではありません。そこで、今から善光寺の元住職が作ったとされる「つもり違い十カ条」をお伝えします。自分自身を振り返り、見直すために必要なことばかりなので、管理職の皆さんは「自分はこうした『つもり違い』をしている」と思って、謙虚な気持ちで聞いてください。

  • ・高いつもりで、低いのが教養
  • ・低いつもりで、高いのが気位
  • ・深いつもりで、浅いのが知識
  • ・浅いつもりで、深いのが欲望
  • ・厚いつもりで、薄いのが人情
  • ・薄いつもりで、厚いのが面の皮
  • ・強いつもりで、弱いのが根性
  • ・弱いつもりで、強いのが自我
  • ・多いつもりで、少ないのが分別
  • ・少ないつもりで、多いのが無駄

「公人」である管理職の皆さんには、私から、もう一カ条、付け足しておきましょう。「軽いつもりで、重いのがあなたの言動」です。このことを忘れないでください。

以上(2021年10月)

op16897
画像:Mariko Mitsuda

「差分」でシンプルに比較するファイナンスは経営の味方/経営者のためのファイナンス講座(8)

1 経営者の意思決定の裏に、ファイナンス思考あり

経営は、大きなことから小さなことまで、日々、意思決定の連続です。新規の得意先を開拓するかどうか、増えつつある管理業務を誰にやってもらうかなど。私自身も小さな会社を経営していますので、決めなくてはいけないことの多さに、夕方にはへとへとになることもしばしばです。ただ数が多いというだけならまだしも、大事な意思決定に対する判断を間違えてしまうと、経営に打撃を与えることになります。

ファイナンスはこのような状況を解決するのに、とても役に立つツールです。あまたある意思決定を正しく、また負担を減らしてくれます。お金を尺度として情報を整理することで状況が理解しやすくなり、判断のポイントが見えてくるのです。

シリーズの最終回となる今回は、ファイナンスのベースにある考え方を見てみましょう。ファイナンスに限らず、広く意思決定を行う場合にも使える、とても便利な考え方ですので、押さえておくといいと思います。

2 比較を制する者が、ファイナンスを制する

ファイナンスのベースにあるのは、

「比較」というとてもシンプルな考え方

です。日常生活でも、天気予報に出てくる気温情報に比較が用いられています。「明日の最高気温30度」に加えて、前日比+2度といった比較が必ずセットで表示されます。30度という実数だけでは、多くの人は正しく情報を理解できないのです。自分が過ごした今日と比べることで、「明日の方が少し暑い」と理解できます。このように、私たちは日常でも比較を活用しているのです。

とあるデータサイエンティストが、「分析とは比較すること」と言っているのを聞いたことがあります。これは、財務数値を扱うファイナンスでも同じです。比較という一見シンプルな手法は、多くのことを教えてくれます。

3 メリハリをつけて、差分だけに注目する

比較するときには、差分だけに注目すると効率的です。例えば、シリーズ第4回(意思決定時に欠かせない「機会コスト」と「埋没コスト」/中小企業経営者のためのファイナンス講座(4))で紹介した機会コストと埋没コストいうファイナンス特有の用語も、差分の性質を扱っています。それだけ、ファイナンスは差分を大事にしているのです。

工場の機械が老朽化し、取り換えが必要な場合を考えてみましょう。機械Aと機械Bが候補に上がっているなら、両者の違いだけに目を向けます。機械Aは年間保守料が100万円だけど、機械Bは80万円であれば、機械Bの方が20万円お得ですので、この差分は押さえておく必要があります。一方、耐用年数がどちらも5年で同じということであれば、耐用年数に関してはどちらを選んでも変わらないわけです。購入相手からは、年間保守料など差分の部分を中心に説明を受けたり、交渉したりすればよく、差分のない耐用年数については根掘り葉掘り聞く必要はないでしょう。

4 比較対象を間違えない

仮に、現在稼働している機械の年間保守料が50万円だったとしましょう。これに比べると、機械A、機械Bどちらも高くなります。しかし、このことは意思決定においては考慮しません。この機械が主力製品を製造するのに使用しているもので、老朽化したのであれば、取り換えのために投資せざるを得ないからです。

どうしても通常の感覚では、比較対象を現在に置きがちです。しかし、それはファイナンスの観点からは正しくありません。気持ちとしては、今より高くなるというのはがっかりしますが、感情と理性を切り分けます。理性の面から、現状維持という選択肢がない以上、現実として選び得る案だけを検討対象にしましょう。余計なことに頭と時間を使う余裕は、中小企業にはありません。

5 見えないコストこそ、見落とさない

もし機械Aと機械Bで稼働させるために必要な工数が異なるようであれば、それも考慮する必要があります。保守費用や耐用年数はパンフレットなどに書いてあるので目がいくと思いますが、見落としがちなのが、付随して発生する社内のコストの差分です。もし機械Aは、機械Bよりも作業員が関わる時間が少なくて済むのであれば、保守費用が高くても採用すべきかもしれません。

シリーズ第2回(ファイナンス特有の「見えないコスト」の考え方/中小企業経営者のためのファイナンス講座(2))で、現金を管理することに伴うコストの話をしましたが、これと同じです。社内ですでに発生している人件費などのコストの変化に気が付かず、機械本体の代金など、請求書によって実際に支払いが生じるものばかりに目がいきがちです。このような社内的なコストが漏れなく把握されているのか、慎重に検討しましょう。

6 シンプルに考えることが、意思決定では一番大事

ファイナンスはお金を尺度として考えることが特徴であり、中小企業の意思決定の場面での使い方をこれまで見てきました。一方で、そのベースにあるのは、今回ご紹介したような普遍的で何にでも使える、とてもシンプルな比較という考え方です。

よく通販の広告では、サプリメントから通信講座まで、「1日当たり〇〇円」という表示を見かけます。これも、お金を尺度としながらも、身近な1日という単位を用いることで、買い手がその金額感を理解し、比べやすくし、さらには購入という意思決定を促すことを目的としています。

シンプルに考えることこそが、意思決定を間違えずに、かつスムーズにする最大のポイントなのです。情報量が多いことは一見良いことに思えますが、多くから1つの結論を選び出す意思決定においては、むしろ逆です。意思決定だけに時間を避けるわけではありません。また、経営には中小企業であっても多くの人が関わります。さらには、膨大な数値情報を一度に処理できるほど、人間は賢くありません。このような状況の中で、最小限の時間で間違いのない結論に至るカギは、単純さにあるのです。

7 気負わず、まずはできるところから取り組もう

全8回にわたって見てきましたファイナンスは、数字を使うことで、私たち中小企業にとって意思決定を楽にしてくれる、味方のツールです。「ファイナンス」を気負わずに、どうやって楽ができるかという視点で、経営者や管理部門の皆さんに興味を持っていただけたらと思います。最も大事なのは、激変する環境の中で多忙な日々をなんとか乗り切っていくことです。「これならできそう」という簡単なことから、ぜひ取り組んでみていただけたら幸いです。

以上(2021年10月)
(執筆 管理会計ラボ 代表取締役 公認会計士 梅澤真由美)

pj35108
画像:pixta

“円満”退職のための「退職合意書」作成のポイント

(日本法令ビジネスガイドより)
この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

問題社員“円満”退職のための「退職合意書」作成のポイント

1 はじめに

能力不足や業務命令違反、規律違反等の問題がある社員について、雇用の継続が困難なときも、企業は、解雇ではなく、合意による退職で解決することが必要です。つまり、退職勧奨による解決が原則です。解雇による解決は、不当解雇であるとして訴訟を起こされた場合、裁判所で解雇が無効と判断されてしまい、多額の金銭の支払いと雇用の継続を命じられるリスクが大きいからです。筆者は、問題社員対応に悩む顧問先を訪問し、問題社員と直接話し合いをし、合意による退職での解決を実践してきました。

では、問題社員に対する退職勧奨による解決の場面で、どのような点に注意すべきでしょうか。本稿では、退職合意書の作成のポイントに焦点を絞ってご説明します。退職合意書については、最近の裁判例で、退職合意書にいわゆる「清算条項」を入れていても、退職後の従業員による割増賃金請求を認めたものが出ている点等にも注意を要します。

以下で、退職届とは別に退職合意書を作る必要性や、退職合意後にトラブルにならないようにするための個別の事案ごとの作成上の注意点について解説していきます。それでは見ていきましょう。

2 「退職合意書」作成の必要性

退職合意書の作成が必要になる理由としては、大きく分けて以下の4つを挙げることができます。

  • 問題社員が退職後に転職先が決まらず、「退職は意思に反するもので、解雇だ」と主張して復職を求めてきた場合でも、復職を断れるようにするため
  • 問題社員からの退職後の金銭請求や訴訟提起を防ぐため
  • 退職後の会社に対する誹謗中傷や退職条件についての第三者への口外を防ぐため
  • 退職を会社が承諾したことを明確にし、退職の撤回を防ぐため

(1)「退職は意思に反するもので、解雇だ」と主張してくるリスクに対応する

退職勧奨の結果、問題社員との間で退職の合意が成立したとしても、退職届も退職合意書も作成していなければ、そもそも、従業員の意思に基づく退職だったことを明確に示す証拠がありません。つまり、意思に基づく「退職」なのか、会社による「解雇」なのかを示す証拠がありません。そして、解雇について「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、従業員は解雇の無効を主張して雇用の継続を求めることができます(労働契約法16条)。

口頭で問題社員から「退職に応じます」と言われて、その時は円満に退職してもらったと思っていても、退職届や退職合意書がなければ、会社は安心するべきではありません。退職した問題社員が、後になって「会社から不本意な扱いを受けた」という気持ちが芽生え、さらに次の職も決まらなければ、退職を取り消したいという気持ちになり、「自分は不当に解雇された」と主張し始めることはよくあることです。そして、退職届や退職合意書などの書面が作成されていないときは、「口頭で従業員との間で退職の合意が成立していた」という会社側の主張が認められることは稀です。

過去の裁判例でも、社長が「新しい事務員も雇ったことだし、残業をやめてくれ。残業を付けるならその分ボーナスから差し引く」、「来月からは残業代は支払えない。残業を付けないか、それが嫌なら辞めてくれ」と告げたところ、従業員が「それでは辞めさせてもらいます」と応じた事案が問題になりました。一見すると従業員の意思による退職ともいえそうですし、会社はそのように主張しましたが、裁判所は、自発的意思による退職とはいえないと判断し、社長の発言は解雇の意思表示に当たるとして、解雇予告手当の支払いを命じています(大阪地裁判決平成10年10月30日)。

解雇ではなく従業員の意思に基づく退職であったということを明確にするためには、退職届あるいは退職合意書を作成することが必須です。

(2)問題社員からの退職後の金銭請求や訴訟提起を防ぐ

では、退職届があれば退職合意書は必要ないかといえばそうではありません。退職に向けた話し合いの場面で、問題社員の側から、例えば未払い残業代を請求されるケースもあります。仮に、会社がこれに応じて、未払い残業代分を300万円支払い、従業員から退職届を提出してもらったとします。この場合、退職合意書がなくても、会社から300万円の振込みをした履歴は残りますが、振込みの履歴だけでは300万円が何のお金かはわかりません。

その結果、退職後に問題社員から「あの300万円は退職金だ。残業代が未払いになっているので残業代を払え」という要求がされ、支払いを断れば、訴訟に発展するリスクがあります。こういった退職後の金銭請求や訴訟提起のリスクに対策するためには、退職後に一切の請求を認めないことを内容とする退職合意書の作成が必要です。このような後日の金銭請求の禁止については、退職届で対応するよりも、退職合意書に記載するほうが対応しやすく、退職届とは別に退職合意書の作成が必要になる理由の大部分を占めます。

(日本法令ビジネスガイドより)

この記事の全文は、こちらからお読みいただけます。pdf

sj09013
画像:photo-ac

それは性格や資質の問題ですか?~苦手な課題を克服する方法~

書いてあること

  • 主な読者:「苦手」なことがなかなか克服できず、悩んでいる中堅社員
  • 課題:苦手なことは克服できないことだと思いんでいる
  • 解決策:できる人の話しを聞く。明確な評価基準を設けて克服していく

1 取引先の担当者との関係

課長との昼食を終えてオフィスに戻る途中、中堅社員のAさんは、偶然、取引先の担当者のBさんを見かけました。すると、課長は「こんにちは。Bさん!」と元気よく声をかけました。その後、雑談を交えながら、最近の業況や、自社製品に対する評価などについて話をし、笑顔で挨拶を交わしてBさんと別れました。

Bさんをはじめ、どの取引先の担当者とも、真剣な仕事の話だけではなく、ときには友人のような親しい雰囲気をつくりながら話をしている課長の様子を思い浮かべて、Aさんは課長に話かけました。

「課長は、お客様との関係づくりが上手ですよね。私は、何度もお会いしているお客様でも、固い雰囲気が抜けないんですよね。課長のようになりたいと思っているのですが……。性格的な問題もあるのか、なかなかうまくいかないんですよね…」

「私だって、Aさんとそれほど変わらないよ。率直にいうと、今でも人付き合いは得意だとは思っていないよ。でも、それは、努力次第でなんとかなるものだよ」。そういって、課長はAさんの様子をうかがっています。

Aさんは思いました。努力次第か…。でも、まずは、自分の性格を直さなきゃダメなのかな……。

2 得意・不得意は性格の問題?

さまざまな仕事をこなしていくと、自分にとって得意な仕事、苦手な仕事というのは、どうしても出てきます。苦手なことは克服していくように努力しなければなりませんが、その際に問題となるのが、自身の「性格」や「資質」です。

「この仕事は自分の性格には合わない」と考え、それを克服することを半ばあきらめてしまうことはないでしょうか。しかし、そのほとんどは、実は、単なる「苦手意識」の問題にすぎません。代表的な例は人付き合いです。人付き合いというと「社交的な性格か否か」など、性格や資質などによって得意な人、苦手な人が決まるように思われがちです。

しかし、場の雰囲気をつくるのが上手な人など、一見、人付き合いが得意そうな人でも、課長のように「今は違うが、以前は人付き合いは苦手だった」「今でも、人と話すのは得意ではない」という人は少なくありません。こうした人たちは、努力を重ねて人付き合いという苦手な課題を克服しているのです。

そこで、以下では、人付き合いを例に、苦手な課題を克服するためのヒントを紹介します。

3 得意な人に話を聞いてみる

一番の近道は、得意な人、特に「以前は、苦手だった」という人に、直接話を聞くことです。そうした人は、課題克服のため、試行錯誤を繰り返しながら、効果的な改善方法などを把握しているものです。

人付き合いであれば、「営業の際に、同行した上司が話をした順番、内容、話題などをメモしてまねするようにしていた」「営業訪問先を想定したロールプレイングを同期の仲間と毎日、行った」「話し方教室に通ってみた」「趣味のサークルに入会するなどして、人と話す機会を意識的に増やした」など、実際に取り組んだことや、効果の有無など、具体的な話を聞くことができます。そうした経験談は、自分がすべきことを考える際に参考になるはずです。

4 得意な人の行動を見て盗む

得意な人の行動を、継続して観察してみましょう。教えてくれたことを当の本人が実践している姿などを見ることで、自分がすべきことを、具体的にイメージしやすくなります。

また、得意な人は、すべてを言葉で教えてくれるわけではありません。無意識に行っていることなど、言葉では伝えきれないことはたくさんあります。こうした点は、数回見ただけでは分かりませんが、継続して見ていくと、その人の特長や行動パターン、うまくいっている秘訣など、多くの気付きを得ることができるはずです。

得意な人に聞いたことや、観察して気が付いたことをまねしてみるのも大切です。中には、「自分にはできない」と思うようなこともあるかもしれません。しかし、それらは、得意な人が実践していることなのですから、「できる・できない」などと思いを巡らすのではなく、「とにかくまねしてみよう」というスタンスで臨むことがポイントです。

5 明確な評価基準を設ける

自分が実践できているか否かを、簡単、かつ明確に判断できる基準を2つ、3つ設定します。苦手なことを克服するためには、少なからず、今までの自分の行動パターンを変える必要があります。そのためには、常に自分の行動をチェックしながら、新しい行動パターンを自分の中に定着させていかなければなりません。

例えば、人付き合いであれば「お客様と話す機会を増やす」といった曖昧な基準ではなく、「毎月1度はお客様を訪問する」「常に、相手より先に挨拶をする」といったように、「できた」か「できなかった」が一目で判断できる基準を設けるとよいでしょう。

自分で自分の行動を常にチェックできるようになると、できなかったときには「次は頑張るぞ」というモチベーションの源泉になりますし、できたときにはそれが少しずつ自信へとつながっていくものです。

そして、自分で決めたことができるようになったら、新たな基準を設けるようにします。そうすることで、次第に、課題を克服できるようになっていくでしょう。

6 苦手意識は早めに克服しよう

人付き合いに限ったことではありませんが、苦手意識を感じている課題は、早いうちに克服しなければなりません。先延ばしにしては、「お客様を前にすると過度に緊張してしまう→うまく話せない→ますます苦手意識が強くなる」といったような悪循環に陥って、克服することが一層難しくなってきます。もし、苦手意識を感じている課題があれば、積極的に克服していきましょう。

以上(2021年10月)

op20096
画像:emma-Adobe Stock

テレワークの実施率と今後の在り方について

1 コロナ禍におけるテレワーク実施率の推移

先般、総務省が公表した「提言:ポストコロナの働き方「日本型テレワーク」の実現」関連資料によると、企業のテレワーク実施率は、2020年3月の17.6%(3月2日から8日)から、1回目の緊急事態宣言終了の頃には、56.4%(5月28日から6月9日)に上昇しました。

画像1

しかし、緊急事態宣言解除後は低下し、11月には30.7%(11月9日から16日)まで低下しました。2回目の緊急事態宣言時には38.4%(2021年3月1日から8日)へ再上昇しましたが、1回目の緊急事態宣言の際の実施率とは水をあけられている状況です。

2 直近のテレワーク実施率

それでは、オリンピックを間近に控えた6月のテレワークの実施状況はどのようになっているでしょうか? 株式会社東京商工リサーチの直近の調査結果を見ると38.3%(6月1日から9日)となっており、3月調査とさほどの変化は見られませんでした。

もう少し、掘り下げて調査結果を見てみると、在宅勤務を「現在、実施している」企業のうち、「従業員の何割が在宅勤務を実施していますか?」の問いについては、最多は「1割」の25.6%(1,013社)、続いて「2割」14.05%(555社)、「10割」13.72%(542社)となっています。

政府は「出勤者数7割削減」を呼びかけていましたが、達成している企業は29.0%(1,149社)でした。規模別では、7割以上の削減は、大企業23.8%(1,051社中、251社)、中小企業は30.9%(2,898社中、898社)という結果となっています。

3 おわりに

前述の通り、昨年の緊急事態宣言の発令の際に、急速な広がりを見せたテレワークですが、それ以降のテレワーク実施率は、緊急事態宣言に多少反応しつつも、落ち着いた数値となっているようです。

パーソル総合研究所が本年7月30日から8月1日に行った「第五回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によれば、テレワークを行っていない理由として、「会社がテレワークに消極的で、実施しにくい」という理由が10.3%を占めています。このことは、十分な準備を行わないまま、テレワークが導入された結果、テレワーク本来の良さやテレワークで出来るようになったことよりも、生産性の低下等の課題にフォーカスされてしまったからではないでしょうか。

しかしながらテレワークは、感染症対策の観点だけでなく、長時間労働の抑制やワークライフバランスなどの観点からも、働き方の選択肢として維持されることが望まれます。そして、近時の求職者も高い関心を示していることから、今後はテレワーク制度の有無も企業選びの際のポイントのひとつになるかもしれません。

コロナ禍はいずれ終わります。しかしながら、労働力の不足は長期的に企業の人材戦略に影響を及ぼすでしょう。出勤抑制が求められるからではなく、将来を見据えたテレワークの定着、改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

※本内容は2021年9月2日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

sj09012
画像:photo-ac

強風・大雨時の運転(2021/10号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

今年も本格的な台風シーズンになりました。昨今は台風が大型化、強力化しているだけでなく、局所的な集中豪雨による被害も大きくなっています。

台風や集中豪雨などの気象予報については事前に情報収集し、強風・大雨が予想される地域、時間帯の運転は避けるようにしましょう。それでも運転せざるを得ない場合の注意点について以下にまとめてみました。強風・大雨時に運転する場合には、いつも以上に注意を払って運転しましょう。

画像1

1.強風時の運転

■ 強い横風でハンドルを取られやすくなるので、十分に減速して慎重にハンドル操作を行いましょう。特に高速で走行しているときに注意が必要です。トンネル出口、切通し出口、橋の上や大型車の横を通過する時などは、あおられやすいので減速するなど注意しましょう。

■ 市街地を走行していると看板やトタン板などの飛来物があるかもしれません。被害を受けないよう、できるだけ幹線道路を走行しましょう。

画像2

2.大雨時の運転

■ 大雨は視界を悪化させます。対向車の跳ね上げた水しぶきを浴びると一瞬視界を奪われ、周囲の危険を認知しづらくなります。ブレーキの効きも悪くなります。大雨時には十分に速度を落とし、車間距離を広めに取りましょう。また、周囲を走る車や歩行者等に自分の存在を知らせるためにも、昼間でもヘッドライトを点灯して走行しましょう。

画像3

■ 高架下や地下トンネルなどの低い場所は冠水する恐れがあります。冠水した道路を進行すると、エンジンが故障して動けなくなる可能性があります。周囲の地面より低くなっているような場所の通行はできるだけ避けましょう。

画像4

■ 土砂災害や高波、河川の氾濫に巻き込まれないよう注意が必要です。山沿いや海岸・河川の近くを走るのは危険です。できるだけ避けた経路を選択して下さい。

【参考】気象庁では、大雨による「土砂災害」「浸水害」「洪水災害」の危険度分布をリアルタイムで公開しており、以下の政府広報オンラインサイト※が参考になります。

※ 2021年6月2日 この雨、大丈夫? 迫る災害を一目で確認!危険度分布「キキクル」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202008/1.html

3.台風通過後の運転

■ 強風による飛散物・落下物が道路に散乱していることが想定されます。早めの出発、慎重な運転を心がけましょう。

■ 排水の悪い箇所では冠水状態が続いている場合もあります。冠水場所の通行には注意しましょう。

画像5

以上(2021年10月)

sj09010
画像:amanaimages