もどかしいけど、自分でやらない/成功する経営者に欠かせない思考習慣

書いてあること

  • 主な読者:さらに成長するためのヒントが欲しい経営者
  • 課題:自分の考え方をバージョンアップするためにもがいている
  • 解決策:他の経営者の思考習慣も聞いてみる

1 「当たり前」の呪縛から解放する

世の中には、「当たり前」という一言で片付けられてしまうことが多くあります。「9時に出社して18時に退社する」という働き方もその1つで、これまで疑問を持つ人はほとんどいませんでした。しかし今、「当たり前」がさまざまな分野で覆されつつあります。

実際、世の中にある多くのサービスは、仕方がないと諦められてきた「不満・不便・不信」を解消するものであり、「ディスラプター」(新技術で既存のサービスを破壊するスタートアップ企業など)と呼ばれる企業が提供しているものが少なくありません。

肌で感じられるほど時代の流れが急速な現在、長年続く企業の経営者であっても、ディスラプターの精神を持ち、当たり前のことを疑い、新たな視点でビジネスにチャレンジしていかなければ勝ち残ることが難しいでしょう。

今回は、「訓練すれば“ボルトは外せる”」「もどかしいけど、自分でやらない」「バッドケースがグッドケースにつながる」という3つを取り上げます。経営者が新しいチャレンジを推し進める上で何らかのヒントになれば幸いです。

2 訓練すれば“ボルトは外せる”

スティーブ・ジョブズの「Stay hungry,stay foolish」、吉田松陰の「諸君、狂いたまえ」。経営者ならどこか共感できる言葉かもしれません。何かを成し遂げたいのなら、常識の枠から飛び出すことも必要です。

そして、何かを成し遂げようとする人の姿はいつの時代も大胆で、“ボルトが何本か外れている”ように見えます。ここでいうボルトが外れた状態とは、「歯止めを外して、限界を設けずに行動する」という前向きな意味です。

経営者の中にもボルトが外れた人がたくさんいます。有名な経営者でなくても、「このプロダクトで世の中を良くしてみせる!」と、周囲の反対を押し切り、熱い思いで突き進む経営者は、ボルトが何本か外れているように見えます。

もちろん、経営者にはさまざまなタイプがいて、ボルトを締めるほうが得意な人もいます。ただし、そうした経営者でさえ、新規事業の開発や働き方改革の推進など、常識が通用しないことを進める中で、突き抜けたいと感じる機会が増えているでしょう。

そのようなとき、「自分はおとなしいタイプだから」と自分の枠を決めるのではなく、ボルトを外す訓練をしてみましょう。スタートアップの経営者の中にも、ボルトを外す訓練をすることで、新しいスタイルを手に入れた人がたくさんいます。

ボルトを外すには、ボルトの外れた人と積極的に交流するのが一番です。直接話をしたり、一緒に行動したりして異質なエネルギーに触れ続けるのです。そうすると、新しいエネルギーが自分に注入され、やがて定着していきます。

ボルトの外れた自分は、“出島”のようなものです。出島とは、本丸とは違う考え方を育み、行動するための心のよりどころです。本質を変える必要はありません。しかし、出島を幾つも持って多様性を確保することは、持続的な成長に寄与します。

3 もどかしいけど、自分でやらない

中小企業では、経営者であっても税務や労務の手続きなど、こまごまとしたバックオフィス業務を行わざるを得ません。営業に関してもそうで、ちょっとした顧客へのフォローなどがなかなか手から離れません。

また、今どきは新規事業の開発や働き方改革の推進など、常識が通用しない取り組みが求められる中で、活動のスピードを上げ、しかも成功の確率を高めるために、これまで以上に経営者が手を動かす機会が増えています。

経営者が動くのは悪いことではありませんが、「自分が動けば必ずうまくいく」という思い込みは排除すべきです。現場から離れていれば感覚がズレますし、別の観点から見ても、企業の持続的な成長のために社員に任せることが大切だからです。

「2018 FIFAワールドカップ ロシア」の決勝トーナメントで、日本代表はベルギー代表に惜敗したのですが、その試合で、ベルギー代表のエースストライカーであるルカク選手が見せたプレーは、ビジネスにも通じる大事なことを示していました。

この試合、あまり活躍していなかったルカク選手。そこに決勝点を狙えるパスがきます。エースストライカーの意地もあり、自ら決めたいと考えて不思議はありません。しかし、ルカク選手はシュートを打たずにスルーし、背後のシャドリ選手に託したのです。

ルカク選手は、自分でシュートを打つと見せかけてマークを引きつけ、背後をノーマークで走ってくるシャドリ選手に託したほうが、得点できる可能性が高いと考えたのでしょう。そして、シャドリ選手は、見事に決勝点を挙げたのです。

全てを自分でやろうとするのは頑張り屋ですが、一方で自分勝手ともいえます。理想は、周りに注意を払い、そのプロジェクトを最も成功させる確率の高い人、あるいは将来のために学んでほしい人に託すことです。

新規事業の開発や働き方改革の推進などは、経営者にとって失敗したくない取り組みです。であるならば、「もどかしい、自分でやりたい」という気持ちを抑え、社員に任せてみることが大切です。

4 バッドケースがグッドケースにつながる

「日々の業務を細かく管理し、失敗を許さない」。こうしたマネジメントをしている企業は少なくないようです。失敗を許さない環境で働く社員は叱られることを嫌い、チャレンジをしなくなってしまいます。

一方、新規事業の開発などの新しい取り組みにおいて、ミスをしないというのは無理な話です。いわゆる「シリアルアントレプレナー」(連続起業家)と呼ばれる人たちも、「新規事業を全て成功させるなんてあり得ない」と言います。

幾つも取り組んだ結果、その中で成功するものがあればいい。経営者は、社内にこのような雰囲気を根付かせなければなりません。つまり、「バッドケースがグッドケースにつながる」という考え方を徹底するのです。

実際、私たちは失敗をして初めて、自分が気付かなかった課題に気付くことができます。早いタイミングで何度も何度も失敗することで、成功に一歩ずつ近づけるということなのです。

大切なのは、「失敗の原因をしっかりと分析し、改善策を講じた上で次に進む」ことです。ただし、こうした過程を踏む企業は多くないため、経営者がトップダウンで指示しつつも、現場の社員の意見を聞いて整備するのが理想です。

ここでも経営者はもどかしさを感じるでしょう。しかし、我慢して社員に任せなければなりません。それも、その時点の社員の能力で対応できるであろうことの2段階くらいレベルの高い取り組みを任せてみるのです。

こうした活動を続けることで社員は成長し、経営者が知らない情報を集めてきたり、気付かなかった視点を指摘してきたりします。これらが組織の成長と、組織力の底上げにつながります。

ビジネスの潮流が目まぐるしく変わる現在、経営者にはボルトを外すような大胆さ、もどかしくても社員に任せる忍耐力、組織全体で失敗から学ぶ謙虚な姿勢が求められます。これらがそろったとき、組織は次のステージへと進むことができるのでしょう。

以上(2018年9月)

pj10005
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鶏と卵の順番にこだわる/成功する経営者に欠かせない思考習慣

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1 「当たり前」の呪縛から解放する

世の中には、「当たり前」という一言で片付けられてしまうことが多くあります。例えば、「9時に出社して18時に退社する」という働き方に疑問を持つ人は、これまでほとんどいませんでした。しかし今、「当たり前」がさまざまな分野で覆されつつあります。

世の中にある多くのサービスは、仕方がないと諦められてきた「不満・不便・不信」を解消するものであり、「ディスラプター」(新技術で既存のサービスを破壊するスタートアップ企業など)と呼ばれる企業が提供しているものが少なくありません。

肌で感じられるほど時代の流れが急速な現在、長年続く企業の経営者であっても、ディスラプターの精神を持ち、当たり前のことを疑い、新たな視点でビジネスにチャレンジしていかなければ勝ち残ることが難しいでしょう。

今回は、「鶏と卵の順番にこだわる」「『言霊(ことだま)』を信じる」「『本の世界』から飛び出す」という3つを取り上げます。経営者が新しいチャレンジを推し進める上で何らかのヒントになれば幸いです。

2 鶏と卵の順番にこだわる

ミーティングの場では、「それは鶏と卵の問題ですよね」というフレーズがよく使われます。これの意味するところは、「今、検討されている取り組みの順番は、どちらが先でもよい」といったものです。

特に新たなチャレンジをする際の検討事項は多いものですが、本当に優先順位が高い事項はわずかで、ほとんどは「目の前のものから片付ければよい」類いです。しかし、それでも経営者は“鶏と卵の順番”、つまり手順にこだわります。

まずは鶏が先の場合。例えば、新規事業の具体的な内容は決まっていないが、先に別会社や事業部を立ち上げて体制を整え、新しい環境で事業を検討するアプローチです。魅力的な卵を産み出す環境の整備を重視しています。

次は卵が先の場合。例えば、新規事業の内容を明確にした後に、その卵を素早くふ化させるために、既存組織とは別の組織運用ができる別会社や事業部を立ち上げるアプローチです。卵を確実にふ化させる手順を重視しています。

鶏が先か、卵が先か。好ましい順番は状況によって異なるもので、どちらかが絶対的な正解というわけではありません。前述した例の場合は、組織の雰囲気や規制の厳しさなどによって選択することになるでしょう。

大切なのは、一見すると後先は特に問題にならないような場合でも、手順を常に考え続けることです。「それは鶏と卵の問題ですよね」というフレーズは、ともすれば組織が優先順位の判断を放棄して、思考停止の状態に陥るきっかけにもなり得るからです。

経営者は細部にまでこだわります。社員からすれば鶏と卵の問題に見える簡単そうな判断でも、経営者は事柄を細かく分類し、詰め将棋のような思考実験をして手順を決めているものなのです。

3 「言霊(ことだま)」を信じる

「言霊」という言葉を使う経営者が少なくありません。これは“霊的”な意味で用いているわけではなく、「一つのことを願い、言い続けていれば、いつか実現できると信じている」と考えているのです。

この一つのことを願うというのは意外と難しいものです。本で読んだり、人から聞いたりした話を表面的になぞって話す人がいますが、しばらくすると、全く違ったことを言い始めたりします。これでは、言霊が宿ることはないでしょう。

経営者が同じことを言い続けることで宿る言霊には、科学的な根拠があります。一つのことを願い続けるということはゴールが変わらない、つまり取り組みにぶれがないということです。そのゴールに向かって一歩一歩進めば、ビジネスは成功に近づきます。

また、一つのことを言い続けると、周囲に刷り込まれていきます。そして、「○○を目指す人」という“通り名”ができると、経営者仲間などが関連する情報をくれたり、人を紹介してくれたりします。

社内にも良い効果を与えます。経営者が常に同じことを言っていれば、社員は自分たちがどこに向かっているのかが分かります。それが具体的な行動につながれば、全体で共有しているゴールを目指して、効率的に仕事をすることができます。

このように、経営者が考える言霊の効果は、ある意味で科学的な根拠があります。特に経営者は、同じ悩みを抱える経営者仲間を応援したいと考えているものであり、その力を貸してもらえることは頼もしい限りです。

以上が、経営者が言霊に見いだしている意義ですが、その前提となる大切なポイントは、経営者がずっと言い続けることができる「何か」を見つけていることです。それは、経営者本人が本気でほれ込み、全力で打ち込めるものであるのが理想です。

4 「本の世界」から飛び出す

経営者は知識の吸収に貪欲で、本や雑誌、テレビなどから得ます。それも本業の関連分野から芸能分野まで幅広いジャンルです。なぜなら、「どのようなものでも、ビジネスに結び付く可能性がある」と考えているからです。

また、経営者が本を読むときなどは、フラットに構え、いわゆる「バイアス」を取り除く努力をします。特にビジネスの変化が急速な今どきは、過去から続く“当たり前”を排除しなければ時代にキャッチアップできません。

このような知識の吸収の仕方は経営者が実践しているものです。大切なのは、吸収した知識を使って行動することです。逆に言えば、知ることで満足し、吸収した知識を使わないでいるようでは意味がないのです。

また、経営者は知識の蓄積と活用について独自の感覚を持っています。例えば、集中して本を読めば、ある程度の知識が吸収されて「知らない」状態から、「知っている」状態に進むことができます。

しかし、たくさんの本を読むと1冊に対する印象が薄くなり、本に書いてあった内容がほとんど記憶に残らない状態になります。これを回避するために、多くの人は3回読むとか、線を引くなどのテクニックを使います。

一方、経営者は本の知識が蓄積されにくいことをあまり気にしません。大切なのは行動であり、本の知識を正確に蓄えることではないからです。行動のヒントが得られれば、本の途中でも読むのをやめることが珍しくありません。

経営者は、行動することで得られる「気付き」を大切にします。知識を得て行動し、リアルな課題に遭遇し、それを乗り越えることで、ようやく本質にたどり着くことができます。

そして、気付きを得た後に、もう一度、本を読み返してみると、最初は読み飛ばしていた文章の意味を見いだすことができ、それをまた行動に生かします。これこそが本の世界から飛び出さないと得られない価値です。

以上(2019年10月)

pj10040
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光あるところに人は集まる/成功する経営者に欠かせない思考習慣

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1 「どうなりたいか」を常に考える

経営者は独自の視点と価値観を持って、ビジネスと向き合っています。そうした視点や価値観は、著名な経営者の言葉や、経営者仲間の姿勢から学ぶこともあれば、自身の経験の中で培われたものもあります。

経営者は企業経営において大きな権力を持ち、多くのことを自ら決めることができます。一方、経営者はビジネスから逃げることができません。こうした環境が、経営者ならではの「思考習慣」に結び付いていくのでしょう。

経営者にとって、自身の考え方は経営哲学とイコールであり、大切にしなければなりません。同時に、経営者が成長していくためには、これまでの考え方をバージョンアップする必要があります。

今回は、「『付き合わない』選択肢を持つ」「光あるところに人は集まる」「『信用』持ちにも慣れが必要」という3つを取り上げます。経営者が未来を見据える上で何らかのヒントになれば幸いです。

2 「付き合わない」選択肢を持つ

「ビジネスで最も面倒なのは『人』である」。多くの人が日々感じていることでしょう。AI(人工知能)とは違い、人には感情があります。しかし、感情を正確に言語化して伝えることは至難であり、意図していないすれ違いが生じたりします。

時には、ちょっとしたすれ違いが大きなトラブルに発展してしまうこともあるため、経営者はこれを避けるべく、社内外の関係者との接し方に常に気を配っています。低姿勢な経営者が多いのはこのためでもあります。

ただ、全ての人とうまくコミュニケーションが取れるわけではありません。ここでいうコミュニケーションとは、ビジネスを進める上で重要な“感覚の共有”です。重視する部分が同じだったり、スピード感が同じだったりという相性のようなものです。

もし、感覚が共有できない相手だと分かったら、それ以上、コミュニケーションに時間を割くのは考えものです。経営者は人とつながりながらビジネスを広げていくため、関係を続ける相手は慎重に選択する必要があるのです。

特にベンチャー界隈(かいわい)では、比較的簡単に経営者と経営者とがつながっているように感じます。しかし実際は、お互いがシビアに品定めをし、合格した者同士のコミュニケーションが続いているのです。

経営者は、相手と関係を続けるか否かの基準を持ちましょう。ダラダラと実のない関係を続ける人もいますが、これにはほとんど意味がありません。経営者は自分が大切にする価値観を再確認した上で、「付き合わない」選択肢を持つことも大切です。

3 光あるところに人は集まる

最近のビジネス関連のイベントでは、最後の30~60分を「ネットワーキング」の時間に充てることが多くなっています。いわゆる「懇親会」のことですが、ネットワーキングと言ったほうが、参加者に“つながり”を強く意識させることができます。

ネットワーキングに参加する人は、最初から“つながるモード”で接してきます。名刺交換した後、Facebook(フェイスブック)などのSNSで友達になり、その後、何度か会って話をすることもあります。

こうした活動は大事である一方、「浅い人脈持ち」にならないための注意が必要です。浅い人脈持ちは、「○○さんを知っています。××と言っていました」などと言います。しかし、当の○○さんは、その人のことなどとっくに忘れていることが少なくありません。

人と人とのつながりが、ネットワーキングから生まれるのはよくあることです。しかし、比較的簡単につながれるようになったからこそ選別の目は厳しくなり、“光を放つ人”でなければ、人は集まらず、また定着しません。

経営者の仕事の一つはネットワーキングであり、そこからビジネスに発展することもあります。一方、経営者は多くの人との出会いの中で自分を磨き、光を放って周囲の人を引きつける魅力を持たなければなりません。

浅い人脈しかなければ失格、多少の深い人脈があれば普通。そして、放っておいても自分の周囲に人が集まるようであれば“本物”です。ネットワーキングはFacebookの友達探しの場ではなく、自分に磨きをかける場であると認識することが大切です。

経験やスキルが自分と同等以下の人が集まる会合は居心地が良いかもしれませんが、自分を磨くことにはつながりにくいものです。自分よりも格上の人が集まる場に率先して顔を出したいものです。

4 「信用」持ちにも慣れが必要

「自分は評価されている」。真摯にビジネスと向き合っていれば、そう感じることもあるでしょう。「年上の経営者が何度も食事に誘ってくれる」「年下の経営者から『いろいろ教えてください』と言われる」などのケースは、まさにそうです。

人手不足、後継者不足の現在は、食事の場で相手の社長から「うちの会社の役員は未熟だ。うちに来てくれないか」「あと3年で引退する予定だ。その後を任せたい」などの相談を持ちかけられることもあります。

こうした良い評価は、本人が努力して築いた「信用」であり、大切にしたいものです。しかし、相手から深く信用されることに慣れていないと、相手が自分のどこを評価しているのかが分からず、立ち居振る舞いに戸惑うことがあります。

そして、「信用を失いたくない」と意識し始めると、不自然で弱気な(妙に下手に出た)立ち居振る舞いになってしまうことがあります。信用されることに慣れていない経営者が直面しがちな問題です。

このようなときは、言動の一貫性を保ち、決して嘘をつかないことを心掛けましょう。相手はそれまでの自分を評価してくれたのであり、背伸びをする必要はないのです。もし、分からないこと、できないことがあれば正直に伝えましょう。

経営者同士の信用はすぐには生まれません。逆に、一度信用が生まれれば、そう簡単には揺らぎません。こちらが引き受けられない頼まれ事であっても、一緒に解決策を模索していく過程で、さらに大きな信用を得られるものなのです。

以上(2019年4月)

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因果関係よりも相関関係を重視する/成功する経営者に欠かせない思考習慣

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1 思考習慣のバージョンアップ

経営者は独自の視点と価値観をもって、ビジネスと向き合っています。そうした視点や価値観は、著名な経営者の言葉や、会合などで知り合った経営者仲間から学ぶこともあれば、自身の経験の中で培われたものもあります。

経営者は企業経営において大きな権力を持ち、多くのことを自ら決めることができます。一方、経営者はビジネスから逃げることができません。こうした環境が、経営者ならではの「思考習慣」に結び付いていくのでしょう。

経営者は自分の考え方を大切にしなければなりません。それこそが自身の経営哲学でもあるからです。同時に、経営者が成長していくためには、これまでの考え方をバージョンアップする必要があります。

今回は、「因果関係よりも相関関係を重視する」「『飽き』とうまく付き合う」「けんかの相手を間違えない」という3つの思考習慣を取り上げます。経営者としての考え方をバージョンアップするための何らかのヒントになれば幸いです。

2 因果関係よりも相関関係を重視する

因果関係と相関関係は混同しがちな考え方ですが、意味は全く異なります。因果関係は、「AをすればBになるという原因と結果の関係」であり、原因から結果の流れが一方通行なのが特徴です。

一方の相関関係は、「AとBに関連はありそうだが、原因と結果ではない関係」を指します。因果関係があると思えることでも、よくよく考えてみると相関関係しか見いだせないことは珍しくありません。

例えば、「優秀な営業担当者は、他の営業担当者よりも数多く訪問活動をしており、成約件数も多い」とします。この場合、訪問件数と成約件数に因果関係はあるのでしょうか。それとも、相関関係しかないのでしょうか。

営業には確率の問題という側面もあるため、訪問件数を増やせば成約件数も多少は伸びるでしょうが、成果は限定的です。それに、訪問件数を増やした割に成約件数が伸び悩み、かえって無駄になることもあり得ます。

この点、経営者は目に見えるものが全てではないことを知っています。訪問件数と成約件数に何らかの関係がありそうだと敏感に感じますが、それらが因果関係にあると短絡的に考えず、もっと詳しく状況を分析します。

その結果、「優秀な営業担当者は、有力な見込み客を見つけてアポイントを取る能力が高い」ことが分かります。有力な見込み客を数多く訪問すれば、成約件数も伸びるはずであり、単に訪問件数を増やすより成果を得やすくなります。

ビジネスに因果関係を求める人は大勢います。因果関係が分かれば、やるべきことを迷わないからです。「○○の法則」や「○○メソッド」などと称した書籍を、買ってみるのもこうした心理からです。

しかし、いきなり因果関係が見つかるほどビジネスは甘くありません。相関関係を敏感に察知し、無駄になるかもしれないリスクを覚悟して、本質を見極めるための行動を起こした結果、因果関係に近づけることがあるということです。

このように、ビジネスでは相関関係を突き詰めた先に因果関係があることが少なくありません。これを理解している経営者は、勝利の方程式といえる因果関係の“可能性”として、小さな相関関係であっても大事にするのです。

3 「飽き」とうまく付き合う

ある意味、仕事は同じことの繰り返しです。多少の変化はあっても、進んでいる方向や組織の雰囲気といった根本が変わらなければ、そのうち飽きてしまいます。そして、もっと刺激が欲しいと思うかもしれません。

仕事に飽きたとき、社員は転職することができます。しかし、経営者が転職するわけにはいきません。「経営者は逃げられない」というのは、厳しい経営環境から逃げられないことの他に、飽きから逃げられないことも意味します。

仕事に飽きたときの対応は2つです。1つ目は、やり過ごすことです。飽きたからといって、会社や仕事が嫌になったわけではないので、そこに居続けることはできます。そうして、飽きたことにしばらく耐えていると、飽きていることを忘れたりします。

ストレス対策として、ストレスをためないことばかり考えずに、ストレスとうまく付き合うことが大切だといわれます。経営者が抱える飽きの問題も、これと似たところがあるかもしれません。

2つ目は、自ら積極的に変化を起こすことです。新しい事業を始めたり、会いたい人と会って刺激を受けたりする。こうした大小の変化を起こすことで、飽きを和らげることができます。

とはいえ、特に創業者は「やりたいこと」や「信念」をもって創業したわけであり、それ自体に飽きてしまったのなら、小手先の刺激では満足できないはずです。この場合、事業承継やM&Aなど、自身の出口を考えざるを得ないかもしれません。

このように、経営はある意味で飽きとの闘いでもあります。スポーツではけがをしないことが一流選手の条件の一つですが、ビジネスでは飽きをうまくマネジメントできる経営者が一流だといえるのです。

また、飽きのマネジメントは社員に対しても必要です。優秀な社員ほど仕事の習得や環境への適用力が高く、「この会社はもう卒業してもよい」と考えます。優秀な社員に転職されては困るので、経営者は刺激を与えなければなりません。

そのために、経営者は新しいことにチャレンジして、組織に刺激を与え続ける必要があります。経営者自身についてはもちろん、組織全体の飽きをマネジメントするためにも、経営者の攻める姿勢が大切だということです。

4 けんかの相手を間違えない

ビジネスでは、衝突や対立を避けて通れないことがあります。経営者の立場になると、他社との取引解消のリスクがあったり、社内で深刻な対立が生じたりしても、守らなければならないことがあります。

こうした意味で、会社を背負って立つ経営者は相手と主張をぶつけ合うことに慣れています。逆に、相手に配慮するあまり、きちんと主張することができない社員に対して物足りなさを感じるくらいです。

とはいえ、衝突や対立が当たり前になり過ぎると、「けんかになってもいいから、とにかく主張することから始める」という姿勢になってしまうことがあります。時には、必要のない衝突や対立を生んでしまうこともあります。

経営者が主張を行うのは、自身の理想や志に真っすぐに経営するためです。しかし、その目的を忘れるほど感情的になると、経営者の態度は横柄になり、自分や会社の評価を落とします。正々堂々と主張しようとしているのに、もったいないことです。

このあたり、経営者は良い意味で、したたかになりましょう。相手に取り入るのではなく、相手を利用するということです。これは、経営者が冷静でなければできることではありません。

もし、自分で感情をコントロールするのが難しいと感じるときは、信頼できる部下を同行させます。経営者が感情的になったときに、そのことを指摘してくれるかもしれません。また、経営者としても、隣に部下が座っていれば冷静になれるでしょう。

相手に主張できるようになることは、経営者としての第一歩です。次はそこから進み、けんかする相手やけんかの仕方を心得ることです。感情的になりそうになったら、「なぜ、衝突や対立をするのか」を自分に問い掛けましょう。

最後に、「あれはあれ。これはこれ」といったように、素早く気持ちを切り替えられる柔軟さを持ちましょう。過去のけんかにこだわって未来の可能性を潰してしまうのは、会社のためになりません。

以上(2018年10月)

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シェアオフィスの市場動向

書いてあること

  • 主な読者:シェアオフィスの開業を検討する経営者
  • 課題:現在の市場規模、開業に当たって注意すべき点が分からない
  • 解決策:市場の推移や具体的な注意点を把握する

1 シェアオフィスとは

1)シェアオフィスの定義

シェアオフィスの定義は明確ではありませんが、一般的には、壁やパーテーションなどによって区切られたスペースや座席を、複数の利用者(主に小規模事業者や個人事業者など)がレンタルで利用するオフィスのことを指します。

通常のオフィス賃貸では、オーナーは業務に使用するスペースのみを利用者に貸し出します。しかし、シェアオフィスでは、オーナーが業務に必要なコピー機、固定電話やインターネット回線などを準備したり、オペレーターによる電話応対などのサービスを実施したりしているケースが多くあります。

2)シェアオフィスの分類

シェアオフィスの分類は、シェアオフィス自体の定義が明確でないため一概には言えませんが、各社ウェブサイトなどの情報から次のように大別することができます。

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図表1の分類の仕方は一例で、企業によっては、コワーキングスペースのようなフリーアドレス式のもののみをシェアオフィスとして扱い、レンタルオフィスなどは数に含めないケースもあります。ただし、いずれもオフィスのスペースや座席をレンタルするという点については共通しています。

2 シェアオフィスの市場動向

シェアオフィスに関する公的な統計はありませんが、レンタルオフィスやコワーキングスペースの開業支援などを行う日本レンタルオフィス協会のウェブサイト「レンタルオフィスNAVI」によると、2019年6月24日時点で、次の件数が掲載されています。

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シェアオフィスの分布を見ると、東京都が全国の半数近くを占めており、その後に大阪府、福岡県、神奈川県などが続きます。静岡県の掲載件数は13件で、都道府県別では第13位となっています。

シェアオフィスは、通常のオフィス物件の賃貸よりも初期投資を抑えやすく、主に小規模事業者や個人事業者などが利用します。加えて昨今は、シェアオフィスを利用する他企業と交流を図りたい企業や、働き方改革の一環で通勤時間を短縮したい企業の従業員などが利用することも多くなっています。

こうした状況の中、足元では不動産・運送・鉄道など、各業界の企業が自社所有のオフィスを改修し、シェアオフィス事業に参入しています。

3 開業の留意点

1)参入障壁

既存のオフィスビルを利用してシェアオフィスを開業する場合、大掛かりな改修工事などが不要となるため、開業費用は比較的低額で済みます。

シェアオフィスを開業するのに特別の許可などは必要なく、また既存のオフィスビルを利用する場合であれば、建築基準法上の申請手続きなども基本的には不要となるため、比較的短期間で開業することができます。

また、オフィスビルを区割りして複数の業者にレンタルするため、仮に退去者が出ても、オフィスビルの1棟を1業者に貸し出す通常のオフィス賃貸に比べ、利用者の退去による事業への影響は少なくなります。

このような特性から、シェアオフィスは比較的参入がしやすい事業であるということができます。

2)設備・サービスの内容

シェアオフィスは、レンタルに供するオフィスビルさえあれば一応は開業することはできますが、各業界の企業が次々にシェアオフィス事業に参入している昨今では、設備・サービスを充実させ、他社との差異化を図ることが重要となります。

シェアオフィスにおける設備・サービスの例としては次のようなものがあります。

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3)ターゲット分析

シェアオフィスは、サテライトオフィスのように遠方の大企業の従業員を誘致するケースもありますが、基本的なターゲットは、オフィス近隣の小規模事業者や個人事業者になります。

こうしたターゲットを早期から囲い込むためには、「オフィス近隣にどのような業者が多いのか」「従業員数はどの程度か」などを分析した上で、ターゲット層が求める設備やサービスの内容を検討します。

例えば、「近隣にIT企業が多い場合は、インターネット回線を個別に引くことを検討する」「役所などがある場合は、役所に関連する仕事の多い士業向けに、会議室の壁を機密性の高い防音壁にする」といった対応が考えられます。

4 シェアオフィスを展開する企業の取り組み

1)WeWork

シェアオフィスの最大手であるWeWorkでは、24時間365日オフィススペースを利用することができます。専用デスクには施錠可能なキャビネットなどを取り揃えている他、来客対応や郵送対応のサービスも行っているため、業務に集中することができます。また、WeWorkコミュニティとして、イベントへの参加や福利厚生などのビジネス以外のサービスを利用できる点も大きな特徴です。

2)サーブコープ

サーブコープは、まだシェアオフィスの浸透していない1990年代からサービスオフィスなどの運営を行っています。提供しているサービスの水準が全般的に高く、同社の全ての拠点では、電話の応対や転送などを代行する秘書サービスが利用できます。また、固定電話番号の即時発行、企業間の無料通話、施設の予約といったITサポートも充実しています。

3)リージャス(TKP)

2019年4月に貸し会議室大手のTKPがシェアオフィスを展開する日本リージャスを買収し、シェアオフィス事業を手掛けています。同社のシェアオフィスは1日単位で利用することができ、スタッフが増えた場合にはデスクスペースの追加などのスケールアップやオフィスのカスタマイズにも対応しています。

以上(2019年8月)

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カーシェアリングの市場動向

書いてあること

  • 主な読者:カーシェアリングサービスの提供を検討する経営者
  • 課題:現在の市場規模、車両台数、注意すべき点などが分からない
  • 解決策:市場の推移や具体的な注意点を把握する

1 カーシェアリングとは

1)カーシェアリングの定義

交通のバリアフリー化や環境対策などに取り組む交通エコロジー・モビリティ財団によると、カーシェアリングとは「1台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の新しい利用形態」としています。相乗りとは違い、複数の会員が時間を変えて1台の自動車を利用します。15分単位の短時間から利用できる点や、車両の貸し出し、返却に24時間365日対応している点も大きな特徴です。

2)カーリース、レンタカーとの違い

自動車を借りるサービスとして、カーリースやレンタカーが挙げられますが、これらのサービスは利用時間や料金、車両の保管などで相違点があります。

カーシェアリング、カーリース、レンタカーの違いは次の通りです。

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2 カーシェアリングの市場動向

1)カーシェアリング車両台数と会員数の推移

交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」によると、車両台数と会員数の推移は次の通りです。

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2018年3月の調査では、車両台数は2万9208台(前年比19%増)、会員数は132万794人(同22%増)となっています。また、図表にはありませんが、カーシェアリングのステーション数は1万4941カ所(同16%増)となっており、年々拡大しています。

会員数ベースで見ると、132万794人のうち約97%を大手5社(タイムズ24、オリックス自動車、三井不動産リアルティ、アース・カー、名鉄協商)が占めています。

同団体の「全国のカーシェアリング事例一覧」によると、大手カーシェアリング企業の状況(会員数ベース)は次の通りです。

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2)車両台数とステーション数の推移

ジェイティップスが運営するカーシェアリングのサービス比較、統計を行っているウェブサイト「カーシェアリング比較360°」によると、全国のカーシェアリング車両台数とステーション数の推移は次の通りです。

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3 開業の留意点

1)資金の負担について

現在所有している駐車場をカーシェアリング会社に貸し出し、ステーションを設置する場合はカーシェアリング会社が車両や必要な設備を設置するため、資金の負担は少ない場合が多くなります。

一方、カーシェアリング会社のフランチャイズに加盟する場合や、自社で車両と予約システムを確保してカーシェアリングを手掛ける場合は資金の負担が大きくなります。

例えば、ルフト・トラベルレンタカーが提供するカーシェアリングサービス「カリチャオ!」では、フランチャイズ資金の目安を公表しています。同社ウェブサイトによると、開業時に必要な資金として加盟金が50万円、車載器が1台につき5万円、開業前の研修が4万円となっています。これに合わせて、車載器の取り付けやレンタカーの事業許可に掛かる費用、駐車場に設置する備品の購入費用が別途掛かります。

また、カーシェアリングシステムの開発や自動車電子システムの開発、サービス提供などを手掛けるサージュへのヒアリングによると、「カーシェアの予約、運用システムを構築する場合で、少なくとも200万円の費用が掛かる」とのことです。

2)会員の確保が課題

カーシェアリングは、複数人の会員からの売り上げで固定費を賄うため、ある程度の会員数を確保する必要があります。現代文化研究所が自動車保有者を対象に行った「2018年全国自動車保有ユーザー調査」によると、自家用車からカーシェアリングの利用への移行については、今後利便性が高まればカーシェアリングに移行するかとの問いに「移行する可能性はかなり高い」と答えた割合は全体で7%、「移行を検討するかもしれない」と答えた割合が全体で29%となっている一方で「あまり検討する意向はない」「全く検討する意向はない」と答えた割合がいずれも32%と高くなっています。

また、カーシェアリングの普及については、3大都市圏中心部では「普及する」との見方が57%となっている一方、10万人未満の都市や町村では23~26%と2倍以上の差があります。人口密度が低く、利用者が少なければカーシェアリングはビジネスとして成り立たないため、地方での普及は難しい面があります。

経済産業省「IoTやAIが可能とする新しいモビリティサービスに関する研究会」事務局の「中間整理を踏まえた調査結果報告」によると、ラウンドトリップ型カーシェア(車両を借りる場所と返却場所が同じサービスをいいます)を収益化するには、駐車場コストが掛からない場合でも、展開エリアの人口密度が約7000人/平方キロメートル以上であることが必要とされています。

3)カーシェアリングの差異化策

カーシェアリングの差異化策の1つとして、個人での所有・普及が難しい電気自動車や燃料電池車などの最新技術を搭載した車両を導入すること、レジャー施設や観光施設などと提携する方法が挙げられます。

例えば、日産自動車が提供するカーシェアリングサービス「NISSAN e-シェアモビ」では、車両の前後左右にカメラを配置し、車両を真上から見下ろしているように見える映像を撮影することで、車庫入れや発進時の安全確認をサポートするシステムや、走行時の車間距離を自動的に調整するシステムなど、より安全に運転するための技術を搭載した車両を利用することができます。

その他、タイムズカーシェアでは、車両の予約時にタイムズカーシェアが指定するレジャー施設や観光施設をドライブチェックインとして目的地に設定し、設定した施設の駐車場に一定時間駐車することで、電子優待券を受け取ることができます。

また、会員カードを施設で提示することで、入場料の優待などの特典を受けることができます。

4 大手カーシェアリング企業の取り組み

ここでは、大手カーシェアリング企業の取り組みと、カーシェアリングのステーションを設置するに当たっての条件や留意点についてヒアリングした結果を紹介します。

1)タイムズ24

時間貸し駐車場やカーシェアリングサービス、温浴施設の運営などを手掛けるタイムズ24では、カーシェアリングサービスの「タイムズカーシェア」を提供しています。

同サービスの取り組みとして、官民連携によるカーシェアリングサービス普及の活動が挙げられます。市庁舎に電気自動車のカーシェアリングを設置し、平日は職員の公用車、休日は市民や観光客用の車両として利用してもらうことで、カーシェアリングの認知拡大や交通利便性の向上などに取り組んでいます。

同社ウェブサイトによると、カーステーションの設置は、平面もしくは自走式の駐車場であること、路面にステッカーやスタンド看板などを設置できることが条件になります。車両の配備やメンテナンス、必要な機材の設置をタイムズ24側で行うため、無料でカーステーションを設置することができます。契約から1カ月で車両が配備されます。

同社へのヒアリングによると、「カーシェアリングのステーション設置に当たっては、現地の商圏調査や駐車場周辺の情報を調査した上で、駐車場の賃料や設置する車両などのプランを相談している。カーシェアリングの場合は、途中解約の場合の違約金も発生しない」とのことです。

2)オリックス自動車

レンタカーやカーシェアリングサービスなどを手掛けるオリックス自動車では、カーシェアリングサービスの「オリックスカーシェア」を提供しています。同サービスは、顧客満足度の調査・コンサルティングを手掛けるJ.Dパワーのカーシェアリング顧客満足度調査において、総合満足度で3年連続No.1を獲得しています。2018年から安全性の高いブレーキアシスト付きの車両への入れ替えを進めている他、スマートフォンアプリにオリックスレンタカーの店舗検索や予約機能を追加し、より便利にサービスを利用できるように取り組んでいます。

同社ウェブサイトによると、カーステーションの設置は平置きもしくは自走式の駐車場であること、NTTドコモのFOMAの電波が恒常的に受信できることが条件になっています。問い合わせからステーション開設までの期間は3カ月としています。

同社へのヒアリングによると、「現地の商圏調査などを1週間程度行った上でステーションの設置が可能かどうかを判断している。原則として1~2年の期間で賃貸借契約を結び、月決めで賃料を支払う形になる。また、ステーションの運用・管理は全てオリックス側で行うため、駐車場への特別な工事や費用は発生しない」とのことです。

3)三井不動産リアルティ

不動産仲介や駐車場の管理運営などを手掛ける三井不動産リアルティでは、カーシェアリングサービスの「カレコ・カーシェアリングクラブ(careco)」を提供しています。同サービスは、首都圏と関西の三井のリパークを中心にステーションを展開しています。普段の利用に便利な車両だけでなく、オープンカーやキャンピングカーなど、カーシェアでは珍しい車両や高級車を積極的に導入していることが特徴です。

4)アース・カー

カーシェアリングサービスや駐車場シェアリングサービスを手掛けるアース・カーでは、カーシェアリングサービスの「アースカー」を提供しています。

同サービスでは、カーシェアリング事業への参入をトータルで支援する事業者向けプラットフォームを提供しています。これは、カーシェアリングの運営に当たって必要となる仕組みをパッケージ化して提供するもので、車両とステーションとなる駐車スペースを用意すればカーシェアリングの運営を始めることができます。企業規模を問わず、参加企業の社名やサービス名などでカーシェアリングサービスを展開できるのが特徴です。

同社ウェブサイトによると、イニシャル費用は、車載器が3万9800円台/(税抜)、キーボックスが2万2800円/台(税抜)、ランニング費用は、データ通信・システム利用月額料が1万円/台(税抜)となっています。

同社へのヒアリングによると、カーシェアリングの運営については、「1台から始めることができるが、車両1台当たりの収益が高くないことや、車両の故障や事故などが発生した場合に事業が止まってしまうことから、複数台での導入を推奨している。なお、駐車場のシェアリングサービス、カーシェアリングのプラットフォーム登録いずれの場合も、駐車場への設備の設置や特別な工事などは必要ない」とのことです。

5)名鉄協商

オフィス用品などの法人営業、駐車場事業などを手掛ける名鉄協商では、カーシェアリングサービスの「カリテコ(cariteco)」を提供しています。名古屋市を中心に341カ所のステーションを展開しています。ステーションは名鉄協商パーキングを主な拠点にしており、カリテコの車両を利用中は、車両を貸し出した場所以外の名鉄協商パーキングも無料で利用できる、交通ICカードを会員カードとして利用できる、同乗者が会員の場合は、運転の交代ができるといった特徴があります。

同社へのヒアリングによると、「車両や看板などの必要な設備は名鉄協商側で全て手配するため、ステーション設置に当たって特別な費用は掛からない。賃料は相談の上で決めている」とのことです。

以上(2019年8月)

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画像:pexels

地域全体で取り組む“食”を切り口にした活性化

書いてあること

  • 主な読者:飲食業や観光業の経営者、地域を活性化させたい経営者
  • 課題:“食”を活用して地域へ人を呼び込む際に、効果を高め、持続させたい
  • 解決策:「ガストロノミーツーリズム」など、地域の人たちが連携し、さまざまな“潜在資源”を掘り起こして地域全体の魅力を高める

1 集客効果を地域全体へ長期的に波及させる

“食”で集客し、地域に賑わいを与える。例えば、地元の名産・名物料理を売り込んで観光客を呼び込むなどの手法が既に行われています。集客対象を縦軸、集客方法を横軸にして整理すると、次のようになります。なお、下表の位置付けは一例であり、取り組みを正確に比較したものではありません。個別の活動によってさまざまな評価があります。

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多様な取り組みの中で、最近注目を集めているのが「ガストロノミーツーリズム」、農山漁村の「農泊」、市街地などでの「シェアキッチン」です。これらに共通するのは、歴史文化や自然、創業意欲の高い住民など、地域のさまざまな“潜在資源”を掘り起こし、“食”を核として集客していることです。

集客効果を地域全体に波及させ、街全体を長期的に活性化させる狙いがあるわけですが、個店にとっても、街全体が活性化すれば持続的な集客効果につながります。“食”をキーワードとした地方創生にはさまざまなプレーヤーが関係します。そうした人々の取り組みの一助となるよう、ガストロノミーツーリズム、農泊、シェアキッチンの動向を紹介します。

2 国連が提唱するガストロノミーツーリズム

1)ガストロノミーツーリズムとは

ガストロノミーツーリズムは、「その土地の気候風土が生んだ食材・習慣・伝統・歴史などによって育まれた食を楽しみ、その土地の食文化に触れることを目的としたツーリズム」と定義されており、国連世界観光機関(以下「UNWTO」)が提唱しています。その背景には、SDGs(持続可能な開発目標)の一環として、持続可能な地域づくり、地域の食文化の保護継承という視点があります。

国内では、2015年12月にUNWTOと包括的業務提携を結んだ日本観光振興協会が中心となって推進しています。

2)最終目標は持続可能な地域づくり

地域の食材や郷土料理を前面に打ち出した観光旅行には、ガストロノミーツーリズムより以前から、「フードツーリズム」などの表現が用いられています。フードツーリズムも、地域の食文化にまで触れるという意味合いを含んで使用される場合があるので、表面上の使われ方には大きな違いはないといえそうです。

ただし、前述のようにガストロノミーツーリズムには、最終的に持続可能な地域づくりというゴールを目指すという視点が含まれていることが特徴となっています。

日本観光振興協会がぐるなび、UNWTO駐日事務所とともに、同協会の会員向けに作成した「我が国のガストロノミーツーリズムに関する調査報告2018」(以下「調査報告」)では、各地のガストロノミーツーリズムの取り組みについて、このゴールに向けた達成度を指標で示しています。指標には、国内外の観光客から注目を浴びてツーリズムにつながっているかを示す「アウトプット指標」と、食文化の保護継承に結びついているかという「アウトカム指標」の2種類を設定しています。

この指標を基に取り組み事例を分析することで、自分たちの取り組みに足りない部分や、他地域の先進的な事例から参考にすべき点が分かる仕組みになっています。

3)ガストロノミーツーリズムの事例

調査報告に掲載されているガストロノミーツーリズムの事例は、次の通りです(一部を抜粋してまとめています)。

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3 農山漁村にインバウンドを取り込む農泊

1)農泊とは

農泊(注)とは、「農山漁村滞在型旅行」を指します。関係閣僚や有識者で構成する「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」が2016年3月に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」の中で、「日本ならではの伝統的な生活体験と非農家を含む農村地域の人々との交流を楽しむ農泊」を推進することが掲げられました。

2017年に閣議決定された「観光立国推進基本計画」では、農泊をビジネスとして実施できる体制を持った地域を2020年までに500地域創出することにより、農山漁村の所得向上を実現するとしています。このため農林水産省は農泊支援地域を採択し、農山漁村振興交付金などの支援を行っています。

農泊の普及は訪日旅行(インバウンド)の取り込みへの期待が寄せられており、農林水産省は農泊支援地域を、アジアを中心とした海外のタレントやブロガーを起用したインターネット動画およびSNSなどの配信によっても紹介しています。また、「SAVOR JAPAN」のブランドで、訪日外国人に特化したグルメサイトを通じた情報発信も行っています。

(注)「農泊」(農家による宿泊施設の提供)は、NPO法人安心院町グリーンツーリズム研究会会長の宮田静一氏の登録商標です。それ以外の「農泊」は農林水産省の商標です。

2)推進組織には民間企業も参加

農林水産省は、2018年12月に「農泊推進のあり方検討会」を発足させ、農泊推進対策として、多様なプレーヤーを構成員とする地域協議会を設置し、法人格を持つ事業体(中核法人)が地域の取りまとめを行う体制の整備を目指すとしています。

農林水産省が2018年12月に公表した「農泊推進の現状と課題について」によると、中核法人の主たる事業は、農林漁業関連、観光協会等非営利事業の他、宿泊事業や小売事業などの民間企業が農泊の中核を担っている事例も少なくありません。

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3)農泊の取り組みと実績

同じく農林水産省「農泊推進の現状と課題について」によると、農泊支援地域の体験プログラムおよび開発食事メニュー数の推移は、次の通りです。

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同資料では、2017年度のインバウンド向けの体験プログラムの事例として、最東端のクルージング体験(北海道根室市)や、稲刈り体験(静岡県湖西市)、武家屋敷着物茶道体験(鹿児島県出水市)を挙げています。

また、インバウンド向け食事プログラムの事例として、46品目の発酵かご盛りランチ(島根県邑南町)、地元の食材を使ったフレンチ(京都府南丹市)、ハラル対応農家民泊(青森県南部町)を挙げています。

こうした取り組みが奏功し、農泊支援地域における2017年度の外国人宿泊者数は、2016年度の約6万7000人泊の約2.1倍となる約14万2000人泊となり、インバウンドの取り込みに一定の成果が見られました。

なお、農林水産省はインバウンド対応に向けた農泊の取り組みに関する優良事例を紹介している他、農泊プロセス事例集も掲載しています。

■農林水産省「農泊の取組に関する優良事例」■
http://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/nouhaku/170203.html

4 空き店舗対策と創業支援を兼ねたシェアキッチン

1)シェアキッチンとは

シェアキッチンとは、厨房施設および付随する飲食・物販施設などを、通常の年間単位などの長期契約ではなく、時間単位などスポットで貸し出すものです。時間によって別の事業者が出店したり、同時に複数の事業者が出店したりすることもあります。

借り手にとっては安い初期投資額で出店でき、退店も容易なので、試行的な出店や期間限定での出店にも適しています。また、シェアキッチンを貸し出す運営者が食品衛生法に基づく飲食店営業許可を取得している場合、飲食業が未経験の人でも食品衛生責任者の資格さえあれば、出店できるメリットもあります。

前述のガストロノミーツーリズムや農泊は地域を挙げた大プロジェクトであり、海外など遠方からの集客も狙っていましたが、シェアキッチンは規模が小さく、あまりコストを掛けずに始められることもあり、それほど広い商圏を設定していないケースが多いようです。このため立地は市街地など、ある程度の人口集積ないし人の往来がある場所のほうが適しているとみられます。

2)シェアキッチンの担い手はさまざま

シェアキッチンは、営利目的で不動産業などの民間企業が事業展開している他、地域活性化や空き店舗対策といった観点からNPO法人や地域の有志の集まりが企画してスタートさせたものなどもあります。中には、クラウドファンディングで得た原資をもとに始めるケースなどもあるようです。例えば、東京都武蔵野市には同市の創業サポート開設支援事業の対象となった「MIDOLINO_」「8K」という2カ所のシェアキッチンがあります。また、静岡県東伊豆市には芝浦工業大学の学生によって改修された空き家を、NPO法人に移管して運営している「ダイロクキッチン」があります。

以降では、シェアキッチンを市街地の活性化に結びつけようとしている東京都豊島区の取り組みを紹介します。

3)市街地の活性化にも活用できるシェアキッチン

東京・池袋駅から西に2キロメートルあまり、かつて手塚治虫、藤子不二雄、赤塚不二夫らの漫画家が集った「トキワ荘」があった豊島区南長崎地区の「トキワ荘通り」に2019年1月、シェアキッチン「コマワリキッチン」が誕生しました。

副都心、池袋を擁する同区ですが、総務省による2013年の住宅・土地統計調査(抽出調査)では空き家率が全国平均の13.5%を上回り、東京23区でワースト1の15.8%でした。これを受けて同区は、2018年4月に「豊島区空家活用条例」を施行するなど、空き家対策に力を入れています。

こうした対策の一環で誕生したのがコマワリキッチンです。同区は起業支援を主眼に、2018年度に「平成30年度『豊島区創業チャレンジ支援施設開設事業補助金』採択事業」を実施し、民間企業からの提案を募りましたが、新築物件でないことを条件にしており、実質的に空き店舗対策の意味合いが含まれています。

さらに、同区は、この採択事業を地域活性化に結びつける狙いから、商店街に出店する場合は地元の商店会に参加するということも条件に加え、コマワリキッチンの提案を採用しました。

4)地域住民や観光資源との連携も

コマワリキッチンは40平方メートルほどのスペースに、2つのキッチンと冷蔵ショーケースおよびカウンター、飲食スペースが用意されており、同時に2組の出店が可能です。これまでに菓子作りの好きな主婦や喫茶店の起業希望者による出店、弁当屋による仕込みのための厨房の借用、味噌やパン作り教室の開催など、地元住民を中心に幅広い用途で活用されているようです。

コマワリキッチンの特徴的な点は、地元の名所であるトキワ荘と連携して集客を図ろうとしていることです。豊島区はコマワリキッチンのある南長崎地区などを「トキワ荘ゆかりの地」として街づくりを進めており、2020年3月にはトキワ荘通り沿いにトキワ荘を再現した「(仮称)マンガの聖地としまミュージアム」を開設する予定です。

コマワリキッチンの名前の由来は、キッチンをシェアすることをマンガの「コマ割り」に例えて付けられたものです。同区による支援は3年間で終了しますが、コマワリキッチンにはトキワ荘関連の施設と連携したイベントをはじめ、地元住民との協働により、賑わいを創出する拠点としての役割が期待されています。

5 企画力と協力者を増やすことが重要に

本稿で紹介した3つの取り組みは、“食”を切り口とし、地域のさまざまな資源を連携させて集客につなげるものです。地域の人たちが連携していくには、まずは中心となる企業ないしは自治体などの団体の企画・構想力と行動力、そして周囲を巻き込み協力者を増やすことが必要となります。地域の人たちが連携し、地域全体の魅力を高めていくことで、集客力が高まるとともに顧客満足度も向上し、リピーターの増加にもつながります。

協力者を増やすには、その企画に賛同してもらうことが前提です。“郷土愛”に訴えかけることも大事ですが、街全体の活性化がもたらすビジネス上のメリットを定量的に示すことも必要でしょう。

店や街に多くの人が集まるということは、これまで自分たちが築いてきた“食”などの資源が、多くの人に評価されているということを意味します。外部から高い評価を得ることは、自分たちの街への誇りと愛着にもつながります。その誇りと愛着が、街の魅力をもっと多くの人に理解してもらおうというエネルギーになれば、集客と街の活性化という好循環が生まれることでしょう。

以上(2019年4月)

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画像:unsplash

「印紙税」の概要と税理士が教える実務のポイント

書いてあること

  • 主な読者:実務で印紙を取り扱う営業担当者、経理担当者
  • 課題:印紙を貼り忘れたり、金額を間違ったりすることがある
  • 解決策:印紙税の概要と実務上のポイントを知る

1 印紙税とは

1)印紙税と納税者

印紙税とは、契約締結時や代金を領収したときなどに作成される文書に対して課される流通税(財産が動くときに課される税)です。

工事請負契約書や不動産売買契約書、領収書などに決められた印紙を貼り、印鑑や署名で消印することで納税します。また、預貯金通帳など、特定の文書については、印紙を貼ることに代えて、納税義務者が申告することで納付金額を確定させる申告納税方式も認められています。

印紙税の納税義務は課税文書を作成したときに発生し、課税文書の作成者は、その作成した課税文書ごとに、印紙税を納める義務があります。「作成した時」の判定は、課税文書の作成目的などによって異なります。印紙税の納税義務が生じるタイミングは次の通りです。

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なお、複数の人が共用して一つの課税文書を作成した場合は、作成をした人全員に連帯納付義務が発生します。

2)印紙税の貼り漏れがあった場合

印紙税の貼り漏れがあった場合、課税文書の作成者から、納付しなかった印紙税額とその2倍に相当する金額との合計額、つまり、合計で3倍の金額に相当する過怠税が課税されます(200円の場合は、600円)。

印紙の貼り漏れがあることを自主的に所轄税務署長に申し出た場合、貼り漏れていた印紙税の金額と、その印紙税の額に100分の10の割合を乗じて計算した金額を加えた金額が過怠税となります(200円の場合は、220円)。

なお、印紙は貼ったものの、消印がない場合には、消印されていない印紙の税額と同額の金額が過怠税となります(200円の場合は、200円)。

2 印紙税が課される課税文書とは

1)課税文書とは

課税文書(印紙税が課税される文書)とは、国税庁「印紙税額一覧表」(以下「一覧表」)に記載されている20種類のいずれかの文書に該当するもので、課税事項を証明する目的で作成された文書をいいます。ただし、一覧表の右側に掲載されている非課税文書(一定の金額以下のものなど)を除きます。

2)課税文書に該当するかどうかの判定のポイント

課税文書に該当するかどうかについては、その文書に記載されている個々の内容について判断します。そのため、一覧表にはない文書の名称(見積書や請求書など)でも、その文書に記載されている文言の実質的な意義に基づいて課税文書かどうかを判断します。例えば、契約書は、契約の成立を証明する文書だけでなく、契約の変更をする際の文書、契約の更新、内容変更、内容の補充を証明する文書など、重要事項の契約に関連する文書すべてが課税文書となります。

■国税庁「印紙税額一覧表」■
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/tebiki/pdf/08.pdf

なお、課税文書の種類ごとの内容と印紙税額については、以下コンテンツをご参照ください。

▶ 30015 「いくらの印紙を貼るのか?」を分かりやすくまとめています

3 税理士に聞く 印紙税Q&A

1)電子契約書の場合の取り扱いは?

近年では、紙の代わりに電子データ上で取り交わす契約書(電子契約書)が広がっています。電子契約書の場合には、印紙税は課税されません

前述の通り、印紙税は課税文書の作成者が納税者となります。ここでいう「作成」とは、紙の書面にて交付することをいいます。つまり、電子契約は紙の書面ではないので課税文書の「作成」に該当せず、印紙税は課税されないということになります。

2)子会社や社員と、会社が締結した契約書の取り扱いは?

まず、子会社との間で締結した契約書については、収入印紙の貼付が義務付けられております。次に社員と会社が締結した契約書については、契約の内容に応じて取り扱いが変わってきます。どのような雇用形態であっても、雇用契約書の内容が請負契約である場合については印紙が必要となります

3)海外企業と契約を締結した場合の取り扱いは?

印紙税は日本国内の法律なので、その適用地域は日本国内に限られます。従って、課税文書が国外で作成されるときは、国内でサービスを受ける場合や日本国内で文書を保存する場合でも課税されません

その文書が、いつ・どこで作成されたのかということと、その文書の効力が生じるタイミングが重要となります。つまり、効力が生じるときに国内で文書が作成された場合は、印紙税が課税されることになります。

4)「覚書」に印紙は必要?不必要?

「覚書」についても印紙が必要となるケースがあります。印紙が必要か否かの判断は、その作成した覚書が課税文書に該当するか否かで判断をします。「契約書」か「覚書」か、文書の名称で判断をするのではなく、前述の「課税文書に該当するかどうかの判定のポイント」に記載されている内容に合致した場合、課税されることとなりますので注意が必要です。

5)レシートに印紙が貼られていなかった場合は、受け取った側も問題があるの?

レシートや契約書に印紙の貼付がなかった場合でも、課税文書自体は有効です。また、この場合、印紙税の納税者は、あくまでも「課税文書の作成者」になりますので、受け取った側は特に問題はありません。

6)一つの文書に複数の金額記載がある場合の取り扱いは?

一つの文書に複数の金額記載がある場合、印紙税は契約書に記載されている金額の合計額で判断をすることになります。

以上(2020年8月)
(監修 南青山税理士法人 税理士 窪田博行)

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画像:pixabay

会計基準とは? 日本基準・IFRS・米国基準の違いを整理しよう

書いてあること

  • 主な読者:将来IPOを考えている経営者
  • 課題:日本の上場企業のすべてが、同じ会計基準を採用しているわけではない
  • ポイント:日本基準、IFRS、米国基準それぞれの背景や適用範囲、代表的な違いについて紹介

1 1つだけではない会計基準

会計基準とは、主に財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)の作成ルールのことをいいます。会計のルールは、各国において慣行や法令などで定められており、日本には日本の会計基準(以下「日本基準」)があります。ただし、代表的な日本企業をいくつか見てみると、全ての企業が日本基準を適用しているわけではありません。

現在、国内において適用が認められている会計基準としては、日本基準の他に、国際財務報告基準(以下「IFRS」)、米国の会計基準(以下「米国基準」)があります。この他に修正国際基準(いわゆる「日本版IFRS」)も認められていますが、現時点で適用している企業はほとんどないと思われますので、説明は省略します。

これらの会計基準は、基本的には上場企業に適用が義務付けられているものですが、近年、売上計上基準やリース基準などについて、IFRSの改定を受けて、日本基準や中小会計指針(中小企業向けの会計ルール。詳細は後述)が変わるという報道を目にする機会が増えています。

会計基準が違うと、同じ項目であっても、意味する数値が異なっていたり、財務諸表の項目が異なっていたりします。なぜ、異なる会計基準を適用するのかや、それぞれの会計基準の特徴を知ることは、他社の財務分析をする上で欠かせません。

本稿では、日本基準、IFRS、米国基準それぞれの背景や適用範囲、代表的な違いについて紹介します。

2 それぞれの会計基準の背景と適用範囲

1)日本基準とは

日本基準は、日本において一般に公正妥当と認められる「公正なる会計慣行」を規範としています。公正なる会計慣行とは、「企業会計原則」(1949年に大蔵省企業会計審議会が制定)を中心に、同審議会が設定した会計基準と、2001年より会計基準の設定主体となった企業会計基準委員会が設定した会計基準を併せたものから構成されます。

2)IFRSとは

IFRSとは、国際会計基準委員会(IASB)が設定する会計基準です。日本基準や米国基準などのように各国において定められたルールとは異なり、国際的な会計ルールとして適用される目的で設定されています。

2005年からEU域内の上場企業に対して、IFRSの適用が義務付けられたことをきっかけに、現在では世界中で普及しています。

日本においても、金融商品取引法における連結財務諸表の作成に、IFRSを適用することが認められ、現在では200社を超える企業が適用しています。

3)米国基準とは

米国基準は、米国において一般に公正妥当と認められる会計基準をいい、会計基準を設定する機関として米国財務会計基準審議会(FASB)があります。

かつては米国の証券市場に上場する場合、外国企業であっても米国基準で財務諸表を作成する必要がありました。このため、米国の証券市場に上場する日本企業は米国基準で財務諸表を作成しなければならず、当該企業に対しては、日本においても金融商品取引法における連結財務諸表の作成に、米国基準を適用することが認められています。

しかし、現在では、米国でも外国企業に対しIFRSの適用が認められており、米国証券市場に上場している企業も米国基準からIFRSへ移行する企業が相次いでいるため、米国基準を採用する日本企業は減少傾向にあります。

4)IFRSや米国基準の適用範囲

わが国において適用を認められている会計基準として、日本基準の他にIFRSや米国基準があると述べましたが、その適用範囲は原則として金融商品取引法における連結財務諸表に限定されます。つまり、個別財務諸表については適用することができません。

また、IFRSは上記範囲の財務諸表に任意適用が認められていますが、米国基準は米国上場企業(例えばソニー、トヨタ自動車など)にしか認められていません。

さらに、米国上場企業の中にも米国基準からIFRSに移行ないし移行予定の企業が増えており、現在では米国基準を採用する企業は十数社にすぎません。IFRSが会計の世界標準となる中、今後米国基準を新たに採用する日本企業はほとんど出てこないことも考えられます。

個別財務諸表については日本基準しか認められていませんので、株主総会に提出される決算書や税務申告のための決算書は、日本基準で作成する必要があります。

そのため、一般的な中小企業においてIFRSや米国基準は選択肢になりませんが、今後上場を目指して準備中の企業においては、連結財務諸表のみIFRSの適用が選択肢となり得ます。

5)(参考)中小企業のための会計ルール

上場企業や一部の大企業などにおいては、会計監査が義務付けられており、上記いずれかの会計基準に準拠した財務諸表を作成する必要があります。

一方、一般的な中小企業においては、会計基準を厳格に適用せず、税務申告のための決算書のみ作成しているのが実情です。特に会計上は費用計上すべきにもかかわらず、税務上損金として認められないもの(例えば退職給付費用、賞与引当金繰入額など)は、費用計上していない企業が大半です。

このような実情を受け、中小企業においても一定水準の会計ルールを適用することを目的に、「中小企業の会計に関する指針(中小会計指針)」が策定されています。これは、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所および企業会計基準委員会の4団体が、法務省、金融庁および中小企業庁の協力のもと、中小企業が計算書類を作成するに当たってよるべき指針を明確化するために作成し、2005年に公表したものです。中小企業向けとはいえ、一定水準の会計ルールとするため、IFRSの改定による影響も受けることになります。

また、中小会計指針に準拠した財務諸表の作成であっても相応の負担が生じることから、中小会計指針に比べて簡便な会計処理である「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」も策定されています。これは、中小企業団体、金融関係団体、企業会計基準委員会および学識経験者が主体となって設置された「中小企業の会計に関する検討会」が、中小企業庁、金融庁および法務省の協力のもと策定したものであり、2012年に公表されています。

3 知っておきたい会計基準の主な違い

1)のれんの会計処理

のれんの会計処理には大きな違いがあります。日本基準ではのれんの定期償却が義務付けられていますが、IFRSや米国基準では定期償却を行いません。

なお、IFRSでは、定期償却を行わないものの、毎期買収した企業の収益性をテスト(減損テスト)し、回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、損失を計上しなければなりません(減損処理)。

2)各段階損益

日本基準では、損益計算書において、営業利益、経常利益、当期純利益という各段階損益が表示されますが、IFRSと米国基準ではこのような区分がありません。本稿では詳細な説明は省略しますが、異なる会計基準では、それぞれの損益の意味(計算過程に含まれている項目)が異なります。

それぞれの会計基準を適用している企業の損益計算書(各段階損益抜粋)を並べると次のようになります。

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このようにIFRSを適用している企業の損益計算書には、経常利益の区分がなく、特別利益・損失の区分が認められていません。また、日本基準であれば営業外収益・費用に計上される項目が金融収益・費用とそれ以外に区別され、後者は営業利益の構成要素となっています。

3)売上計上基準

現時点では日本基準とIFRS・米国基準で売上計上時期や金額に差異が生じるケースがあります。例えば、日本基準では売上高と販売促進費(ポイント還元費用など)などをそれぞれ総額で計上しているケースにおいて、IFRS・米国基準では販売促進費等を実質的な売上値引きとみなし、売上から控除するといった違いがあります。

なお、日本基準ではこれまで売上高などの収益全体を取り扱う会計基準がなく、実務慣行に基づき売上計上を行ってきました。しかし、IFRSと米国基準が共同で収益認識に関する包括的な会計基準の開発を行い、2014年に公表したことを受け、わが国でも「収益認識に関する会計基準」を作成、2018年に公表するに至りました。当該基準の適用が義務付けられる2021年4月1日以降開始の事業年度からは、日本基準とIFRS・米国基準で基本的には違いがなくなります。

4)リース基準

IFRSでは原則として全てのリース取引について資産計上するルールとなっていますが、日本基準では、一部のリース取引については資産計上せずに、リース料支払時に費用(支払リース料などとして)処理するルールがあります。ただし、日本基準でも同様のルール(全てのリース取引を資産計上するルール)を導入する方向で会計基準の開発に関する検討を進めています。

4 IFRSを会計基準として選択する理由

日本企業は、通常であれば日本基準に基づき財務諸表を作成しますが、金融商品取引法における連結財務諸表についてはIFRSや米国基準(米国証券市場に上場している企業のみ)を選択することができます。

前述の通り、今後、米国基準を選択する日本企業はレアケースと思われますので、ここでは日本基準でなくIFRSを選択する理由について説明します。

企業が連結財務諸表作成に際しIFRSを選択する主な理由としては、次のものが考えられます。

1)のれんの会計処理

M&Aを積極的に行う企業においては、IFRSを導入することにより毎期の利益額が大きくなりますので、これをメリットと考える企業は少なくありません。

M&Aを実施する際、買収対象企業の純資産よりも買収金額のほうが大きい場合、その差額がのれんとして資産計上(一部無形資産として計上するケースもある)されます。日本基準ではのれんを毎期償却(毎期一定の償却費用が計上される)しなければならないのに対し、IFRSでは定期償却が必要ないため、利益額はIFRSを適用したほうが大きく見せることができます。

2)財務諸表の国際的な比較可能性

IFRSは会計基準の世界標準となっているため、海外の投資家らに企業内容を理解してもらうことが容易になり、資金調達などの選択肢が増えることはメリットといえます。また、海外に多くの子会社を持つ企業であれば、グループ企業の会計基準をIFRSに統一することで、経営管理が容易になります。

他方で、IFRSを導入するデメリットとしては、事務負担やコスト増が挙げられます。これまでの日本基準での財務諸表をIFRSで作成するためには、多大な事務負担が生じる上、IFRS導入のためのアドバイザリー費用やシステム対応費用など、コスト面での負担も大きくなります。

これらのメリットとデメリットを勘案して、メリットのほうが大きいと判断した企業がIFRSを導入し、そうでない企業は従来通り日本基準を採用することになります。

以上(2020年7月)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 公認会計士 仁田順哉)

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画像:unsplash

社内ラジオは組織活性化へ大いに役立つってご存知ですか?〜VC、キャリコン、ラジオパーソナリティ、多岐にわたる経歴だからこそ今に活きる〜/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回紹介するのは、ベンチャーキャピタルでキャピタリストがファーストキャリア(その社内でもたくさんの経験を積み)、そこから海外留学、キャリアコンサルタント、ラジオのパーソナリティ、研修講師などと多岐にわたる仕事を経験され、ビジネスパーソン向けにその経験を活かしていらっしゃるCareer Creationの代表である森清華(サヤカ)さんです。

組織内コミュニケーションが上手くいっていない、生産性向上、働き方改革と言われつつも程遠い……。そのような社内の活性化に困っているという経営者、人事部の方々の声を耳にすることが多くなってきています。

このような課題の解消に役立つ【社内ラジオ】をご存知でしょうか。一定の規模になれば発行されることが多い、【社内報】。しかし、会社側の一方通行になることも多いですね。今回キャリアコンサルタントの森さんが【社内ラジオ】に携わって1年が経過、組織運営にどう変化が起こったのか? そのあたりからお話を伺いました。

1 組織内だけでなく社外へも。好循環を生む社内ラジオの効用とは?

1)社内ラジオの取り組み

現在手掛けているのは【PR TIMES】社の社内ラジオ。東証一部に上場している、PR TIMES社、同社はプレスリリース配信サービスを運営していることで有名ですね。その社内で日々起こるストーリーを当事者の生の声でよりリアルに全社共有したいという思いから企画をスタート。ラジオの効能である『ながら聴き』で作業を中断せずに情報を取得できる、ラジオならではの良さに着目。ここ最近、ラジオが世間的にも復刻モード。すでに企業向けにラジオ番組を手掛けていた制作パートナーとともに、組織コミュニケーションの活性化における音声メディアの可能性に着目し、このプロジェクト開始に踏み切りました。

当番組は社内限定の配信に留めず、自らの情報をオープンにすることで社外の方々ともつながる契機をつくろうと社外にも向けて広く発信をしています。

社内ラジオの概要を示した画像です

2)番組の概要について

「PR TIMESのOpen Radio」(2019年1月9日より開始)
社内放送及びボイスメディア「Voicy」内チャンネルで配信
※毎週水曜に配信 同社の社内ラジオはこちらです

  • 番組の内容:同社の社員さんがラジオパーソナリティを務めて、毎回ゲスト(もちろんこちらも社員さん)と対談形式で、事業における挑戦や決断、そして今となっては話せる失敗のエピソードまで、ありのままを語っていらっしゃいます。

想いを自ら語ることの大切さ、自分自身の気付き、自社や自分のチャレンジ、勇気を発信することとその連鎖が波紋のように社内に広がることを目的に続けていらっしゃいます。

3)社員間のコミュニケーションが双方向で活性化 そのワケは?

以前ある投資銀行にお勤めだった方に聞いたことがあります。数千億円、数兆円規模のM&Aの世界では一瞬の行き違いは命取りに。そこで文字では伝わらない、ニュアンス、パッションを伝えるにはボイスメールを多用することが通例なんだと。

SNSなどで誰とでも簡単にコミュニケーションが取れて利便性が増す一方、組織におけるコミュニケーションは規模の大小にかかわらず各企業の大きな課題になっていることも事実。ラジオという媒体は映像が無い分、各個人の脳の中で、テレビ以上にエモーショナルな伝達になっていると感じます。社内ラジオは、語り手の気持ちや熱量、企業カルチャーが体感できるだけでなく、役職、部署のみならず組織の枠を超えた社内外での対面によるコミュニケーションの活性化、醸成につながっていくそうです。

ラジオ出演された方の意欲向上の機会となるとともに、『この人はこんな悩みがあった、こんなことにチャレンジしている、部署が違うと知らないことも多い』というようなことがラジオを通じて自然に伝わることで、お互いの仕事や想いを理解してコミュニケーションのハードルが低くなり、横断的に組織が活性化していくそうです。

この社内ラジオをスタートして1年が経過して、【変化】について森さんに伺ったところ、次のようなことを教えてもらいました。

  • ゲスト向けの事前質問箱の出現
  • 社内横断的なランチ会の自主的な開催
  • ゲスト以外のメンバーを巻き込んだ番外編や特別企画の実施
  • パーソナリティのパブリックスピーキング力の向上と視野の広がり
  • 番組を聞いたゲストのご家族、取引先などのコミュニケーション創出

活性化と一言では片付けられない変化が【現場】で自然発生的に起こっていることが効果の表れですね。

この社内ラジオを広げることで、各企業のキャリア分断、組織の活性化に取り組んでいる森さん。続いて森さんのキャリアについてお伝えしたいと思います。

2 森さんのキャリアについて

私が森さんに最初にお会いしたのは5~6年ほど前、今私がベンチャーパートナーとしてお世話になっているK&Pパートナーズにいらっしゃる時でした。当初の印象は知性派の別嬪(べっぴん)さんそのものって感じでしたね。

その後、独立され、ビジネスパーソン向けのキャリア相談、セミナー、法人向けの人材育成研修、キャリアコンサルティングに関わっていらっしゃいます。全く別の【顔】として2016年10月から、人のキャリアをテーマとしたラジオ番組「森清華のLife is the journey」にてパーソナリティを務めていらっしゃいます。ベンチャーキャピタリスト・キャリアコンサルタント・ラジオパーソナリティとたぶんこのキャリアをお持ちの方とは、今まで会ったことも聞いたこともありません。多彩とはこの方のことだと思います。森さんのキャリアについて3つの経歴についてお伝えします。

詳細は、森さんがインタビューを受けた『アナザーライフ』の記事をご覧ください。こちらから。

1)ハードワークを厭わなかったVC時代

ラジオ番組で初めて会った人からよくいろんなお話を引き出せますね、とお聞きすると、それはキャリアコンサルタントで学んだスキルと、ベンチャーキャピタリストの時の経験が影響しているように思うと話されます。新卒で入ったVCでは投資部に配属、当時は毎年数百名、かつありとあらゆる業界の経営者に会い続け初対面の相手からなかなか聞き出せない経営の根幹、秘匿情報を手にする会話力を鍛えられたからではないかと話されます。私もストレスなく、しかも楽しく自然となんでも話していることを気付かされます。VC時代のハードワークは相当のレベル、国内のみならず海外部門で海外出張もあったり、リーマンショック後はIR、予算管理が主な仕事となる経営管理部門の仕事をされていました。VC時代だけでも幅広いビジネス経験をお持ちです。

2)留学後にキャリアコンサルタントとラジオのパーソナリティを兼任

VC退職後に一度米国に語学留学、肌に合う感じだったそうで、中でも一人ひとりモノの見方、捉え方、感じ方に違いがあって良いんだと、画一的な日本人と違って個の大切さを感じ、自分自身を見つめる良い経験をされたようです。

一旦、VC時代のメンバーが立ち上げたK&Pパートナーズにジョインしながら、自身のビジネスパーソンとしての経験やキャリアが次世代のビジネスパーソンに役立てられるのではないかとの想いで今のCareer Creationを立ち上げ、同時にラジオ番組を企画。企業経営者を中心としたゲストの方に「人生の分岐点で何を考え、どう行動したか」を聞き出す番組とし、これから先のキャリアをどうしようか悩んでいる人に、考えるヒントや行動のきっかけを掴んでもらいたい、という想いでスタートしました。もう150名を超えるゲストが出演、人生の岐路の共有の場となっています。キャリアとしてバラバラですが、お話をお聞きしていると全てが1本の線でつながる、他者貢献の想いを感じる次第です。

森さんがパーソナリティを務める番組はこちらです(ラジオですがいつでも聴取可能です)。

3 森さんの今そして今後

1)森さんがパーソナリティを務めるラジオ番組に出られて

私と懇意な経営者が森さんの番組に出演されるということも。(株)ZENKIGENの野澤さん、千(株)の千葉さんがここ最近、私から森さんに推薦させていただき収録・放送されることになりました。ご出演のお二人にコメントをいただきました。

  • 野澤さん
  • (番組に対して)

    第一線のプロフェッショナルな方がどのような人生を送り今に至っているのか。文章がリアリティを持って迫って来るような迫力があります。
    加えて、共通しているのがご自身の仕事を通じて、関わる人や多くの人の幸せに貢献しようという強烈な想いを持っている方ばかりです。
    まさに仕事=人生を体現されている方々ばかりで大変刺激になっています。
    今後も人生を生ききっている素晴らしい方々のご出演を楽しみにしております。

    (森さんに関して)

    改めまして森さんのご紹介ありがとうございました。元ベンチャーキャピタリストから自身のお名前を冠したラジオ番組を持たれるとは特異な方ですよね。

森清華のLife is the journeynのページの画像です

  • 千葉さん
  • 私も起業の準備にたくさんの経営者の方々にご教授いただきました。なので、経営者の声を発信し人々のキャリアにつなげる森さんのラジオ番組は、向上心を持つ人にとって必要とされる素晴らしい内容だなと感じています。

森さんの番組タイトルは「森清華のLife is the journey」、私も人生は旅行だと心底思っているとこです。まさに番組、森さんに共感しています。

2)最後に森さんから一言、想いを。

自分は学びの機会がたくさんあってほんと得だなぁと話される森さん、人から学べるって考え方が素敵です。人が変化する場面に立ち会えていることが原動力となり、キャリアコンサルティングの立場で実績と経験も積み重ねていらっしゃいます。自分のキャリアのことを考えることはすごく大切なこと、なのにそこに行き当たらないビジネスパーソンも多い、そのような人たちに機会を創っていきたい、人の成長していく姿を見ていきたいと笑顔で話されます。まさにビジネスパーソンが駆け込む保健室の先生に相応しいと感じます。

最後に、森さんから今後についてお話しいただきました

組織におけるコミュニケーションは各企業の大きな課題となっています。 その解決の一つの切り口は、人と人とが顔を合わせ、心を通わせていく“対話”にあると考えています。キャリアコンサルタントのスキルの核となる “対話”を軸に、今後もキャリアコンサルティングや社内ラジオなどを通じて皆が安心して話せる場づくりを行い、組織に“対話”の機会を創り出していきたいと思っています。同時に、自分自身との対話である「内省」を促して個々の成長マインドの醸成やキャリア開発支援により注力し、人と組織の成長を後押ししていきます。

以上(2020年2月作成)