事業多角化のアイデア例

書いてあること

  • 主な読者:既存事業の多角化を検討したい経営者
  • 課題:具体的にどんな事業で多角化すればよいのか分からない
  • 解決策:さまざまな業種の多角化例を参考に、事業の方針を模索する

1 新事業の展開の必要性が高まる

どの産業も導入期、成長期、成熟期、衰退期をたどります。成熟期もしくは衰退期にある産業の事業者は、規模を縮小しつつ事業を継続して残存者利益を勝ち取るか、新たな収益源を生み出すしか、生き残る手段はありません。

本稿では、ガソリンスタンド業、ガス検針業、住宅リフォーム業、墓石販売業という既存の事業をベースにした事業の多角化により、新たな収益源を生み出すためのアイデア例を紹介します。

2 既存事業の多角化例

事業の多角化には、既存事業のノウハウを活かせる事業や、既存事業と顧客層が重なり相乗効果も期待できる事業があります。事業の多角化の方向性について図表に示した後に、具体的な多角化の事例を紹介していきます。

画像1

1)ガソリンスタンド業

1.自動車関連事業

車検や修理、タイヤの販売を行うガソリンスタンド(以下「SS」)は従来からありますが、事業範囲をクルマ回り全般に広げる動きがあります。 

コスモ石油はグループ会社などを通じて、カーリース、レンタカー、自動車販売・買い取り・廃車手続きの他、自動車保険やロードサービス「コスモカーレスキュー」を展開しています。自動車販売や保険などについては、「くるまの相談窓口」をコンセプトにSSに併設している「ビークルショップ」で、カーライフコンシェルジュと呼ぶ認定スタッフによる無料アドバイスも行っています。

また、伊藤忠エネクスも「カースタ」(カーライフスタジアムの略)のブランドを使った車の総合サービスとして、レンタカーや自動車販売・買い取りなどを行っています。

この他、ある程度の敷地の広さがあることが条件になりますが、SSにEV(電気自動車)の充電ステーションを併設するケースもあるようです。

2.給油や洗車の待ち時間を活用した併設店舗

SSを利用する顧客には、一般的に給油や洗車の間の待ち時間があります。SS事業者の中には、この時間を利用して他の商品・サービスの購入を促したり、SSへの来店動機を増やしたりすることを目的に、さまざまな施設を併設するケースが増えています。ただし、併設した施設の運営は、自社で行うよりもノウハウを持っている専門の事業者が行うほうが成功率は高いと考えられるため、併設店舗の設置については多角化よりも既存SSの活性化を主眼に置いたほうがよいでしょう。

併設店舗の代表的な例がコンビニエンスストアやコーヒーショップであり、大手チェーンとの協業も進んでいます。この他にも、出光興産(旧昭和シェル石油)は2018年12月、ピザハットとの併設店舗の1号店を開設するとともに、5年以内に併設店舗を100店開発する計画を明らかにしました。また、ENEOSを展開するJXTGエネルギーは2018年12月、コインランドリー併設事業のトライアルを実施するため、併設店舗の1号店を開設しました。併設するコインランドリーはOKULABが運営する「BALUKO」で、SSのスタッフがコインランドリーを管理します。

運転に伴う身体の凝りを和らげることなどを想定したストレッチ店や、長距離トラックのドライバーなど向けにシャワー室や入浴施設を併設したSSもあります。なお、シャワー室は無料で提供している店舗もあるようです。

2)ガス検針業

ガス検針業に関連する多角化として、ガス検針を利用した見守りサービスがあります。大東建託グループでLPガス販売などを行うガスパルは、離れて暮らしている65歳以上の高齢者もしくは障害を持っている人が使用しているガスメーターを1日1回検針し、使用状況を親族などの指定されたメールアドレス(最大3カ所)に送る「ぱるメール」のサービスを月額500円で提供しています。

東京ガスは「くらし見守りサービス」の名称で、同社のガスメーターが設置されている住戸を対象に、見守りサービスを提供しています。ガスの消し忘れ確認のために、スマートフォンを使ってガスの使用状況を確認し、ガスを止めることもできる他、ガスを長時間使用している場合に電話で確認するサービスもあります。また、離れて暮らす家族の見守りのために、前日にガスの利用が一度もなかった場合に、登録したメールアドレスに知らせるサービスもあります。利用するためには、ガスメーターを通信機能付きのタイプに交換する必要があります。

同社の「くらし見守りサービス」ではこの他、「自宅・家族の見守り」として、スマートフォンに、外出時の鍵の締め忘れをすぐに知らせるサービスや、外出前や就寝時に戸締まりをチェックできるサービス、子供や高齢者が帰宅したことを知らせるサービスも提供しています。利用するには有料のセンサーの設置が必要となります。

ちなみに、ガス検針業者ではありませんが、ガスメーターを製造している東洋計器も、ガスの使用が長時間なかった場合に指定したメールアドレスに自動的に知らせるサービスを提供しています。

3)住宅リフォーム業

リフォーム事業のノウハウを活かした多角化の例として、買い取り再販事業やワンストップリノベーション事業が挙げられます。ただし、リフォームの中でもごく一部の改修や修理ではなく、フルリフォームもしくは新たな機能や装備などを加えたリノベーションを行うノウハウを持っていることが前提となります。

いずれも顧客層を従来の住宅保有者から、住宅の購入希望者にまで広げることができます。また、今後増加が見込まれる空き家を活用できる事業であるため、ビジネスチャンスが広がることも期待されます。

1.買い取り再販事業

買い取り再販事業は、リフォーム業者が自ら中古の物件を購入し、フルリフォームもしくはリノベーションをして価値を高めて再販売する事業です。物件購入と販売まで行うため、利益率が高まる可能性がありますが、物件購入のための資金が必要となり、在庫を抱えるリスクもあります。

なお、当該事業は不動産業の要素もあるため、参入するには、リフォーム範囲や規模に応じて必要となる建築一式工事や内装仕上工事といった建設業許可に加えて、宅地建物取引業の免許と、宅地建物取引士の設置が必要となります。

2.ワンストップリノベーション事業

ワンストップリノベーション事業は、物件購入希望者に対し、リフォーム工事を前提に、中古物件探しからリフォームプランの提供、購入に際しての資金計画、ローン申し込みの案内まで行う事業です。物件の仲介やあっせんを行う場合は、買い取り再販事業と同様に宅地建物取引業の免許と宅地建物取引士の設置が必要となります。また、物件購入希望者がローンを組む際に案内できる金融機関と連携しておく必要もあります。

4)墓石販売業

1.石材関連事業

墓石に限らず、石碑や記念碑、石像なども取り扱って事業を多角化するケースがあります。従来の墓石の製造技術を活用すれば、技術的な参入障壁は低いといえます。例えば、導入する石材の種類を広げ、デザイン性を高めた商品を提案すれば、石材加工に関連する多様なニーズに対応するサービスを提供できるようになります。需要全体は少ないかもしれませんが、インターネットでも注文を受け付けるなどして、ニッチトップを目指すという考え方もあります。

2.葬儀関連事業など

墓石の購入希望者へサービスの提供ができ、相乗効果が見込める関連サービスとして、墓地および霊園の案内があります。また、墓石販売業者が葬儀業に進出する事例もあるようです。

3.アフターサービスの拡充

墓石販売だけでなく、墓石保有者へのアフターサービスを拡充させることでビジネスチャンスは広がります。

特に、地方の過疎化や都市部への人口流入などに伴い、地方にある墓の“墓守”が不在となったり、親族が墓参りすることが困難になったりするケースが話題となっており、こうした人たちの問題解決が事業多角化のヒントとなる可能性があります。墓参り代行や、墓の清掃代行・洗浄などの需要は、今後も増えていくことが想定されます。また、これまで十分に墓参りができていなかったことで墓が荒れたり、複数ある墓を合葬したり、といった事情で墓をリフォームするニーズもありそうです。

墓守の問題がさらに深刻化して、墓じまいや改葬を行うケースもあります。先祖代々の墓に納骨するという従来の考え方から、納骨堂の活用や散骨などへと多様化している中で、墓石関連業は今後、新規販売よりも既存の墓石の解体の需要のほうが高まることも考えられます。

以上(2019年11月)

pj50467
画像:pixabay

増加する「リハビリ難民」の受け皿 自費リハビリ事業の動向

書いてあること

  • 主な読者:自費リハビリ事業を検討する経営者
  • 課題:市場の動向や、サービスの具体的な価格帯が分からない
  • 解決策:事業を取り巻く環境を整理し、既存サービスの価格を参考にする

1 自費リハビリ事業とは

脳梗塞を含む脳血管疾患などを発症すると、約6割の患者に「片まひ」や、筋肉が不自然につっぱる「痙縮(けいしゅく)」などの後遺症をもたらすといわれます。この後遺症の程度を軽くしたり、一度失った機能を取り戻したりするのに欠かせないのがリハビリです。

脳血管疾患でのリハビリは、「急性期」「回復期」「維持期・生活期」の大きく3段階に分かれます。

  • 急性期:発症から2~3週間程度で、体の機能低下を最小限に抑えるもの
  • 回復期:発症から1~4カ月程度で、日常生活に最低限必要な動作や機能を回復させるもの
  • 維持期・生活期:発症から4~6カ月以降で、自宅に戻って回復期に取り戻した機能を維持させるもの

病院など医療機関に入院して行われる急性期と回復期のリハビリは主に医療保険、退院後、介護保険事業所が行う維持期・生活期のリハビリは主に介護保険から費用が給付されます。

ただし、医療保険によるリハビリは保険適用日数に制限があったり、介護保険によるリハビリは利用者の個別のニーズを満たすことができなかったりすることから、希望するリハビリが受けられない「リハビリ難民」が増加しています。

このように、公的社会保障制度の下では対応が難しいニーズに対して、保険外の完全自費負担で、個別具体的にサービスを提供する自費リハビリ事業が注目されています。自費リハビリ事業が満たすニーズには、次のようなものがあります。

  • すし職人の「再び握りたい」というニーズに対し、手先の回復に特化したリハビリを提供
  • 社長の「座って話せるようになりたい」というニーズに対し、言語聴覚療法に特化したリハビリを提供
  • 事務職の職場復帰したいというニーズに対し、パソコンのキーボードを打てるようになることに特化したリハビリを提供
  • 母親の「子どものお弁当が作れるようになりたい」というニーズに対し、車いすに座ったままでも料理ができるようになることに特化したリハビリを提供

2 自費リハビリ事業を取り巻く環境と成長要因

1)自費リハビリ事業のPEST分析

自費リハビリ事業を取り巻く環境と成長要因について、ビジネスフレームワークの「PEST分析」に沿って考えていきます。自費リハビリ事業のPEST分析は次の通りです。

画像1

2)政治(Political):医療保険・介護保険制度の改正により「リハビリ難民」が増加

厚生労働省は、2006年度の診療報酬改定で、病院など医療機関におけるリハビリ(医療保険)に対し、長期にわたり継続的にリハビリを行うことが医学的に有用であると認められる一部の疾患等を除き、算定日数上限を設けました。

例えば、脳血管疾患のリハビリの算定日数上限は180日で、基本的には、180日以内に退院しなければならなくなりました。

退院後は、例えば脳血管疾患の場合、1カ月当たり13単位(1単位20分)に限り、医療保険でリハビリ病院の外来を受けることができました。しかし、2018年度の診療報酬改定で、2019年4月以降は要介護者等については、1カ月当たり13単位のリハビリ外来も廃止されました。

このため、多くのリハビリ患者は、退院後、介護保険でデイサービスや訪問リハビリテーションなどの介護保険によるリハビリに移行することになります。こうした背景から、デイサービスの受給者数は、2008年4月の1カ月当たり約46万人から、2018年10月の1カ月当たり約61万人まで増加しています。

しかし、デイサービスは基本的に集団リハビリが主で、個別の機能訓練は15分程度といわれます。また、訪問リハビリテーションは、個別リハビリですが、それでも基本的に40分~1時間と短時間です。また、いずれの場合も、脳血管疾患専門のスタッフなどは多くありません。

このような背景から、長期にわたってリハビリを希望しているにもかかわらず、医療保険から切り離された患者のうち、介護保険1号被保険者でも2号被保険者でもない40歳未満の患者や、介護保険によるリハビリを受けたくても利用可能な施設がなかったり、介護保険によるリハビリでは満足できない患者を中心に、「リハビリ難民」が生まれました。

3)経済(Economical):高齢の労働者が増加

脳血管疾患患者の約6割が70歳以上といわれます。近年では、働く高齢者が増加しており、70歳以上の労働者は2008年の268万人から、2018年には425万人となっています。60歳以上の労働者を見ても、2008年の1099万人から、2018年には1414万人まで増えています。

働く高齢者が増えたことで、脳血管疾患患者で職場復帰を急ぐケースが増加しているとみられます。前述の通り、介護リハビリでは、患者の職種に応じた個別機能訓練を十分に受けることができません。

4)社会(Social):働き盛りで職場復帰を急ぐ若年層が存在

厚生労働省「患者調査」によると、2017年10月時点の脳血管疾患の総患者数は約112万人、日本リハビリテーション医学会によると、2014年時点で約300万人と推定され、毎年、新たに25万~30万人が発症しているといわれます。

今後、高齢化により患者数は増加するとみられており、それに伴って、自費リハビリ事業への需要も広がることが予想されます。

また、前述した通り、介護保険1号被保険者でも2号被保険者でもない40歳未満の若年層を含め、20代~50代といった働き盛りで、自らの職種に応じた個別機能訓練を強く希望する人たちに対し、自費リハビリサービスが受け皿となります。

現に、デジタルヘルスベンチャーとして自費リハビリ施設「脳梗塞リハビリセンター」を全国で17店舗展開するワイズが、2018年3月9日の未来投資会議 構造改革徹底推進会合で発表した資料によると、利用者の年代は20代~50代が全体の46%に上っています。

5)技術(Technological):個別的なニーズに応える最新機器が登場

利用者の個別的なニーズに応えるため、VR機器やロボットなどさまざまな機器が開発されています。

ワイズは、麻痺した下肢の運動を脳に再学習させる歩行支援ロボット、仮想現実(VR)技術を応用して、ゲーム感覚で車いすでの姿勢保持や歩行などに必要なトレーニングを行う機器、会話を通じて言語トレーニングを行うロボットなどを導入しています。

3 自費リハビリ事業の競争環境

1)自費リハビリ事業のファイブフォース(5つの力)分析

自費リハビリ事業の競争環境について、ビジネスフレームワークの「ファイブフォース分析」に沿って考えていきます。自費リハビリ事業の競争環境は次の通りです。

画像2

2)新規参入の脅威 脅威度:大

厚生労働省へのヒアリングによると、「自費リハビリ事業は介護保険外のサービスとなるので、介護保険法に基づく都道府県の指定・許可は必要なく、施設・設備基準も存在しない」(*)とのことです。

そのため、既存の介護保険事業者や異業種からの参入が相次いでいます。

(*)厚生労働省 老健局(2019年8月22日時点)

3)売り手の脅威 脅威度:中

施設・設備面での参入障壁も低く、理学療法士が1名とベッドが2台程度あれば開業することが可能だといわれます。

ただし、個別のニーズに応えるために、前述したような最新のリハビリ機器を導入する場合は、特定のメーカーの独自技術であることが多いため、売り手の価格決定力が大きくなるでしょう。

また、理学療法士や作業療法士は、近年増加しているものの、介護保険事業所が全国的に増えていることから、現在ではまだ人手不足といわれます。サービスの質は、いかに優秀な理学療法士や作業療法士を確保するかに影響される部分も大きいため、採用の際は、既存の介護保険事業所よりも高い給与や待遇を設定することなどが重要です。

4)代替サービスの脅威 脅威度:小

リハビリテーションを提供するサービスという観点では、既存の介護保険内のリハビリサービスが代替サービスといえるでしょう。

前述の通り、介護保険内のリハビリサービスに満足できない、または、利用することができない人たちが、自費リハビリサービスに流れてきていることから、代替サービスとしての脅威は小さいといえます。

5)買い手の脅威 脅威度:小

自費リハビリ事業の基本的なサービスとして、利用者と個別に面談し、各利用者に合ったプログラムを組むことで、効果を実感させやすいという特色があります。一度、効果を実感するとリピーターになりやすいため、多くの自費リハビリ施設では、無料や安価での体験サービスを実施しています。

また、現状、自費リハビリ施設は都市部に多く、都市の郊外や地方にはニーズに対して施設数が少ないといわれます。そのため、今後、都市の郊外や地方への出店には大きな可能性があるといえます。

6)業界内の競合企業との敵対関係 脅威度:小~中

前述したワイズや、豊田通商の完全子会社である豊通オールライフが運営する「AViC THE PHYSIO STUDIO」(都内で4店舗展開)などが、出店攻勢を強めています。

新規参入が容易なことから、今後も、大規模・小規模問わず出店が増えていくことが予想され、立地やサービス面での差異化が重要になってくるでしょう。

例えば、無料体験を実施してリピーターを確保したり、家族が送迎しやすい日曜日などに営業したり、遠方の利用者のために送迎サービスを行ったりするなどの差異化を図っているケースがあります。

4 【参考】自費リハビリ事業のサービス・価格帯

参考として、AViC THE PHYSIO STUDIOの2019年9月時点での主なサービス内容や価格は次の通りです。

・上肢(麻痺手)集中コース

  • 【内容】脳卒中の中でも、日常生活で非常に困る上肢の麻痺の改善に特化したリハビリコース。利用者それぞれに適した課題を設定し、反復で手・腕をトレーニングする。
  • 【回数】週5回(1回約3時間、3週間)
  • 【価格】45万円~(税別)

・歩行集中コース

  • 【内容】脳卒中の後遺症として代表例の1つである歩行障害の改善に特化したリハビリコース。免荷式トレッドミルやエアロバイクなどの機器を用いて、歩く練習を行う。
  • 【回数】週4回(12週間)
  • 【価格】48万円~(税別)

・整形外科・運動器リハビリプログラム

  • 【内容】整形外科疾患の後遺症による体の痛みや歩きにくさ、動かしにくさといった機能不全に対して集中的にトレーニングを行うプログラム。独自の動画解析システムを利用して、姿勢・歩行・痛み動作の確認をし、北欧最先端機器を利用した「スリングエクササイズセラピー」やインナーマッスルを目覚めさせる体幹トレーニングを行う。
  • 【回数】オーダーメードプラン:週1~3回 回数×12週間
  • 短期集中プラン:週3~5回 回数×2週間
  • 【価格】オーダーメードプラン:12万円~(税別)
  • 短期集中プラン:6万円~(税別)

・訪問リハビリプログラム

  • 【内容】さまざまなリハビリ機器を利用者の自宅に持参し、日常生活をうまく送れるための練習をする。
  • 【価格】1時間当たり1万2000円(税別)

以上(2019年11月)

pj50466
画像:pixabay

業務用男性向け化粧品の市場動向

書いてあること

  • 主な読者:男性向け化粧品の製造・販売を検討する経営者
  • 課題:市場規模が分からない、具体的なターゲット層を絞り切れない
  • 解決策:市場の動向を把握し、既存商品やサービスを参考にする

1 業務用男性向け化粧品とは

業務用男性向け化粧品には、シャンプーやトリートメント、スタイリングなどのヘアケア用品、洗顔料、化粧水、美容液、乳液といった基礎化粧品などがあります。その他、男性がメイクすることを想定した専用のファンデーションやコンシーラーなどもあります。

ドラッグストアなどで市販されている男性向け化粧品がある一方、業務用男性向け化粧品は市販品では得られない高い効果を見込めるなど、原材料や配合成分にこだわるなどして特徴を打ち出したものが多く登場しています。

2 男性の美容に対する意識

1)男性の美容関連サロン・施設の利用状況

リクルートライフスタイル「美容センサス 2017年下期」によると、男性の美容関連サロン・施設の利用状況は次の通りです。

画像1

「美容室・美容院・ヘアサロン」と「理容室(理容院)」以外の過去1年間に利用した割合は必ずしも高くありません。こうした中でも、「リラクゼーションサロン(着衣の施術)」の過去1年間に利用した割合は、30代で13.5%、40代で12.0%で、他と比べて比較的高くなっています。

一方、「利用したことがないが、興味がある」と答えた人の割合は、若い世代ほど高くなる傾向があります。ただし、40代以降に目を向けると、40代と50代で「リラクゼーションサロン(着衣の施術)」(それぞれ16.0%と14.0%)、60代で「リラクゼーションサロン(脱衣の施術)」(7.5%)の割合が比較的高く、マッサージなどで疲れを取りたいと考える中高年が多いことも読み取れます。

2)男性の美容に使う1カ月当たりの費用

リクルートライフスタイル「美容センサス 2017年下期」によると、男性の美容に使う1カ月当たりの費用は次の通りです。

画像2

今回(2017年下期)の調査と前年(2016年下期)の調査を比べると、6000円以上の費用をかける割合は、15~19歳と60代で前年の割合を下回るものの、20代~50代では前年の割合より高くなっています。特に40代の場合、前年の10.0%から18.5%へと、他の世代より大きく伸びています。

3)状態を改善・維持するためにお金・時間を使いたいと思う項目

リクルートライフスタイル「美容センサス 2017年下期」によると、状態を改善・維持するためにお金・時間を使いたいと思う項目は次の通りです。

画像3

15~19歳では「髪型」(54.0%)や「顔の肌質」(53.0%)の割合が高い一方、20代以降は「体臭・口臭」の割合が一番高くなっています。40代以降に限ると、「体型(全体のバランス)」の割合が「体臭・口臭」に次いで高く、中高年世代の多くが特定の悩みを抱えているようです。

また、図表には掲載していませんが、現在の状態に満足していない項目として、40代以降は「髪の量」「体型(全体のバランス)」「髪質」の順に多くなっています。

3 男性向け化粧品市場の動向

1)男性皮膚用化粧品の生産量と出荷金額の推移

経済産業省「生産動態統計調査(化学工業統計編)」によると、男性皮膚用化粧品の生産量と出荷金額の推移は次の通りです。

画像4

2018年の男性皮膚用化粧品の生産量は2017年と比べると7.9%増加しているものの、2014年と比べると4.3%減少しています。また、皮膚用化粧品と男性皮膚用化粧品の生産量に対する出荷額の比率から、皮膚用化粧品より男性皮膚用化粧品のほうが低価格であることが読み取れます。

皮膚用化粧品市場から見ると、男性皮膚用化粧品市場は非常に小規模です。しかし一方で、男性向けの化粧品市場は今後、拡大する余地を秘めているともいえます。

2)業務用男性向け化粧品市場のファイブフォース分析

理容室やエステティックサロン向けとなる業務用男性向け化粧品業界の競争環境を整理するため、フレームワークの「ファイブフォース分析」を使って業界の動きを示したイメージは次の通りです。

画像5

・新規参入の脅威

女性向け化粧品を製造・販売する事業者が、これまでのノウハウを活かして男性向け化粧品を扱い始めるケースは少なくありません。「男女兼用」をうたう基礎化粧品も多くあります。一方、理容室の中には、髪の量を気にする中高年向けに頭皮マッサージサービスを提供し、そのための専用トリートメントやシャンプーなどを独自開発するケースもみられます。

・業界内の競合企業との敵対関係

ドラッグストアなどの市販用に男性向け化粧品を製造・販売する企業は、販路拡大策として理容室やエステティックサロン、ホテルなどに展開するケースがみられます。

なお、男性向け化粧品を扱う店舗は、理容室やエステティックサロンの中でも一部に限られます。男性向け化粧品を製造・販売する事業者は、定期的に一定数量を納品できる取引先を多く確保することが求められます。

・買い手の脅威

美容意識の高い人は、比較的若い世代に偏っています。こうした世代は、SNSや口コミなどから得た店舗の評判などをもとに、効果がある化粧品を使う理容室やエステティックサロンを利用するようになります。こうした消費者から選ばれるため、男性向け化粧品を製造・販売する事業者は、最新のトレンドや消費者ニーズを踏まえた商品開発が求められます。

一方、30代以降の世代は、エステティックサロンの施術に関心を示すものの、実際に行った人は少ないのが現状です。今後、こうした世代がエステティックサロンを積極的に利用するようになれば、若い世代向けのサービスとは異なる施術プランや専用化粧品が必要になるでしょう。

また、ドラッグストアなどで市販の男性向け化粧品を購入して自らケアする人がいることも、業務用男性向け化粧品を扱う事業者にとっては脅威といえるでしょう。

・代替サービスの脅威

男性向け化粧品は、女性向け化粧品と比べて種類が必ずしも多くありません。そのため、化粧水や美容液、乳液、洗顔料などの基礎化粧品を、男女で使い分けることなく施術に利用しているエステティックサロンもあります。

・売り手の脅威

美容効果が高く、かつ消費者にインパクトのある原材料を使った化粧品が増えつつあります。無添加や植物由来の成分のみを使うなどして、他の化粧品と差異化を図るケースが目立ちます。

以上から、業務用男性向け化粧品を製造・販売する事業者は、女性向けや市販用化粧品を製造・販売する事業者と今後、競争することが十分に考えられます。

一方、理容室やエステティックサロンの中には、男性の顧客に女性用化粧水や美容液を用いるケースがみられます。そのため「男性専用化粧品」の取り扱いを打ち出すことで、他店との差異化が見込めます。業務用男性向け化粧品を製造・販売する事業者は、こうした男性の美容に特化した店舗を取引先として多く抱えることが重要となります。

とはいえ、現在は男性専用化粧品を取り扱う店舗は必ずしも多くありません。エステティックサロンを比較的利用する若い世代のニーズを取り込みつつ、今後、ユーザー数が大きく増えるかもしれない30代以降の世代をターゲットにした化粧品の開発も視野に入れるべきかもしれません。

3)主要な業務用男性向け化粧品

・クラシエ

男性向け化粧品として「BASARA」シリーズを取り扱っています。スキンケア用品は肌にうるおいやハリを与える他、嫌な臭いを抑える効果があるのが特徴です。乾燥肌や脂性肌それぞれに適した男性用ヘアケア用品シリーズとして用意するなど、30代以降の中高年をターゲットにした商品群をそろえています。

・シーボン

男性向けスキンケア用品として、化粧水や美容液、洗顔料を取り扱っています。例えば化粧水は、ひげそりや洗顔後に利用することを想定したもので、ローヤルゼリー酸や緑茶エキスなどの成分を配合し、肌にうるおいを与えられるようにしています。

・柳屋本店

ドイツ製オーデコロン「ポーチュガル」の国内販売代理店として、ポーチュガルブランドの業務用乳液などを取り扱っています。オーデコロンのブランドらしく、残香性が高いのが特徴です。ひげそりや洗顔後の肌を整え、肌の乾燥を防ぐ効果があります。

・レスプリ

自社が運営する美容室で、独自開発した男性向け化粧品を販売しています。男性用化粧品ブランド「LIPPS BOY(リップスボーイ)」として、洗顔フォームや化粧水の他、ニキビ跡、シミ、毛穴などの気になる部分に塗布するコンシーラーや、顔の印象を明るくする色付きのリップクリームも取り扱っています。化粧水には天然由来成分が98%配合されるなど、原材料にもこだわっています。

4 特徴的な男性向けスキンケアサービス

・Rips

高級をうたう理容室を2019年6月、東京都文京区にオープンしました。カットやシェービングの他、ヘッドスパも利用できます。シェービング後には化粧水をつけてパックしたり、美容液を使ってケアしたりし、ヘッドスパでは、エッセンシャルオイルを使って頭皮の汚れを落としたり、トリファジックという栄養剤を使ったりします。最後は頭皮カメラを使って頭皮がどう変化したのかをチェックすることもできます。

・シェイプアップハウス

男性専用のエステティックサロンで、日本の素材を使った化粧品などによるフェイシャルサービス「和スパ」を提供しています。北海道産のクマザサや米ぬかなどを使ったパックで肌にうるおいを与えたり、金沢の金箔(きんぱく)を配合したクリームを使ったりします。頭皮のケアや首や肩をほぐす施術もサービスに含まれています。

・TBCグループ

男性専用のエステティックサロンで、脱毛やフェイシャル、ボディシェイプなどの目的別のサービスを提供しています。フェイシャルの場合、毛穴・ニキビケアや保湿ケアなどの目的別のメニューがあり、さらに施術時間や料金の異なるコースを用意しています。肌を整える成分を配合した化粧品を使ったエイジングケアや、セラミドNGやセラミドNPなどの保湿成分を配合した化粧品を使った保湿ケアなど、さまざまなコースをそろえています。

5 業務用男性向け化粧品の課題

「メンズコスメ」という言葉が世間の関心を集めるものの、美容に対し積極的に時間や費用をかける人は、図表1で示した通り、少数に限られます。今後は若い世代の人口減少により、若い世代をターゲットにした市場は縮小すると推察されます。

これに対し、30代以降、とりわけ40代や50代は図表3で示した通り、「体臭・口臭」や「体型(全体のバランス)」の改善・維持のために時間と費用をかけたいと思う割合が他の項目より高くなっています。こうした世代をターゲットにした化粧品は今後の需要増が見込めるかもしれません。中高年の美容への取り組みを喚起することが、市場拡大には必要となるでしょう。

また、業務用男性向け化粧品を取り扱う理容室(理容院)やエステティックサロンが多くないことから、こうした化粧品を頻繁に使う取引先の開拓、囲い込み策は、業務用男性向け化粧品を取り扱う事業者にとっては、優先して取り組むべき課題といえるでしょう。

以上(2019年10月)

pj50458
画像:pixabay

DIY市場の動向

書いてあること

  • 主な読者:ホームセンターの開業を検討する経営者
  • 課題:現在の市場規模、注意すべき点などが分からない
  • 解決策:市場規模を把握し、既存店の差異化策を参考にする

1 DIY市場の動向

1)ホームセンターとは

日本標準産業分類によると、ホームセンターとは、「主として住まいの手入れ改善にかかる商品を中心に、家庭用品、園芸用品、電気機械器具、家具・収納用品、建築材料などの住関連商品を総合的、系統的に品ぞろえし、セルフサービス方式により小売りする事業所で、店舗規模が大きい事業所をいう」と定義されています。

2)売上高および店舗数の推移

日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(以下「日本DIY協会」)の推計によると、ホームセンターの売上高および店舗数の推移は次の通りです。

画像1

日本DIY協会の推計によると、ホームセンター業界の売上高は2003年以降、業界全体で約3兆9000億円前後で、ほぼ横ばいの状態が続いています。

商品ジャンルごとの売上高では、ニトリやイケアなど専門店や、ドラッグストアなど他業種との競合により、家具・収納用品や家庭用品の売上高は減少する傾向にあります。

加えて、少子高齢化の影響により地方の人口減少や都市部への人口集中が進み、戸建て住宅からマンションへの移行が進むなど、住環境が変化することによって、長期的にホームセンターの売上高は減少するとみられています。

ホームセンター大手各社は、これまで特定地域を中心にドミナント展開を行ってきましたが、業界の売上高の伸びが鈍化する中、これまで出店を行ってこなかった他地域への新規出店を進めています。店舗数の増加に伴い競争が激化し、1店舗当たりの販売額や売り場面積当たりの売上高も減少しています。

3)大型店出店とホームセンター業界の寡占化

ホームセンターが取り扱う商材は他の業態に比べ差異化が難しく、同質化競争に陥りやすいといえます。品ぞろえを充実させることが、他店との差異化につながるため、大手各社は大型店舗を新規出店し、集客力を確保してきました。こうした大手各社の新規出店により、同一商圏にあった中堅・中小のホームセンターの淘汰が進みました。その結果、現在、売上高が1000億円を超える上位9社で、売上高ベースで業界全体の約7割を占めるようになっています。

ホームセンター売上高上位9社の売上高、店舗数は次の通りです。

画像2

2 ホームセンター各社による主な取り組み

ホームセンター各社は、他社との差異化戦略に取り組んでいます。主要な取り組みには、次のようなものがあります。

1)商品力の強化

ホームセンター各社は、プライベートブランド(PB)商品の開発を進めています。スケールメリットを活かせることなどから、大手各社では、今後もPB商品の点数を増やし、全商品に占めるPB商品の売上構成比率を高める方針を掲げています。

いち早く2000年代から、自社で製造から小売りまでを行うSPA(製造小売り)化を進めたカインズによる差異化戦略の成功も、各社による取り組みを進める後押しになっているとみられます。

2)新たな店舗開発

ホームセンターの中には、新しい店舗開発を行うことで、集客力の向上を目指す動きがあります。例えば、食品スーパーとの併設店や、ホームセンターを中心としたショッピングモール型の店舗開発です。食品などを取り扱う店舗と併設することで、集客力を高めるとともに、日常的に利用してもらうことで来店機会を増やす狙いがあるようです。

これまでホームセンターは、主に郊外のロードサイドに自動車で来店するファミリーを想定して大型店を開発してきました。しかし今後、地方人口が減少し都市部への人口集中が進むと予想される中、都市生活者など新たな顧客をターゲットとする小型店の開発も進められています。

また、従来のホームセンターは、一般消費者向けと事業者向けの商品が同じ売り場で販売されてきました。しかし、双方で商品に対するニーズが異なることや利用シーンが異なることなどから、建設業者などの事業者を対象とする小規模商圏を想定した小型店舗の開発が進められています。

3)新たなマーケット開拓

ホームセンターの中には、より専門性の高いサービスに注力することで、新たなマーケットを開拓しようとする取り組みを進めているところもあります。例えば、コメリでは既存のホームセンター事業に加え、農家などへの支援サービスを打ち出しており、農業従事者向けに特化したサービスを展開することで、マーケット開拓に取り組んでいます。

また、この他にも、ペット販売に関する業界シェアの拡大を狙い、他の事業者と提携するケースなども見られます。

大手ホームセンター上位9社の主な対応は次の通りです。

画像3

この他にも、大手各社では、ECサイトと実店舗との連携強化や会員サービスの充実、既存店の活性化・効率化、物流網の整備などに取り組むとしています。

専門誌などによると、今後、例えば空き家対策におけるDIYへの需要の高まりや、余暇時間が増加することで多様なレジャーへの需要が生まれる可能性もあり、ホームセンター各社にはこうした機会を捉え新しいビジネスモデルを構築することが求められます。

3 コーナン商事の取り組み

1)コーナン商事の現状

コーナンを運営するコーナン商事(大阪府堺市)は、主に近畿圏を中心に2019年2月末時点で全国に356店舗を展開しています。同社の店舗には、一般消費者向けのホームセンター事業である「コーナン」、建築、塗料、作業用品などのプロ向けの工具や資材を取り扱う「コーナンPRO」などがあります。「コーナンPRO」では、現場作業に向かう前に利用してもらうために早朝から営業を行うなどしています。

同社のセグメント別売上高の推移は次の通りです。

画像4

また、同社は2018年4月に九州地区を中心に、食品スーパーとホームセンターを併設した店舗の展開を行う、ホームインプルーブメントひろせ(大分県大分市)と資本業務提携し、九州地区での出店を進めました。

2)今後の取り組み

コーナン商事は、2018年4月12日に2020年を目標とする第2次中期経営計画「もっと大好きや!!コーナン」を策定しています。計画では、売り上げ規模を拡大して高収益を追求するとしています。そのための重点戦略として、商品戦略、人事戦略、投資戦略、財務戦略の4つの戦略を掲げ、特に商品戦略を最重要として位置付けています。商品戦略の具体的な内容は、次のようなものです。

・PB商品開発体制を強化し、売上構成比40%を目指す
・「誰に」「何を」販売するのかを明確に設定し、魅力あるPB商品の開発を進める

これにより、同社の商圏シェア率を向上させるとしています。

同社は、2017年4月に小田急電鉄の子会社でホームセンター事業を行っていた「ビーバートザン(神奈川県厚木市)」、2019年4月にプロ顧客向けの会員制建築資材卸売店舗「建デポ(東京都千代田区)」の株式を取得して子会社としています。同計画において、3年間で50店舗をめどに出店を進めるとしており、第2の商圏と位置付けた東京などの首都圏での出店を進める方針を打ち出しています。

この他にも、2019年4月1日より、楽天が運営する共通ポイントサービス「楽天ポイントカード」を導入し、「ホームセンターコーナン」「ホームストック」「コーナンPRO」で共通するポイントサービスの利用を可能にしました。また、同日より同社独自のチャージ式電子マネー「コーナンpay」を全店で導入しています。こうした取り組みにより顧客の利便性を高めるとともに、業務の効率化を目指すとしています。今後は、こうした顧客情報を活用したサービスの充実を進めるとみられます。

同社は、2019年5月に公表した長期ビジョン「New Stage 2025」の中で、PB比率の向上とともにSPA化の推進、ホームセンター業界に限らない商品供給事業の拡大、ECとリアル店舗の連携による利便性の向上を打ち出しています。また、同ビジョンでは、2016年にベトナムに出店した後、2025年までにベトナム国内に30店舗展開することを目標として掲げています。

4 参考:統計資料

「ホームセンター経営統計 2019年版」(日本ホームセンター研究所、2019年4月12日)

■日本ホームセンター研究所■
http://www.hci.co.jp/

以上(2019年10月)

pj50457
画像:unsplash

温浴施設の動向

書いてあること

  • 主な読者:温浴施設の開業を検討する経営者
  • 課題:現在の市場規模、開業に当たって注意すべき点が分からない
  • 解決策:温浴施設数の推移や具体的な注意点を把握する

1 温浴施設の動向

1)温浴施設数の推移

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、公衆浴場の施設数の推移は次の通りです。

画像1

衛生行政報告例では、スーパー銭湯を含む温浴施設は、「ヘルスセンター」「その他」に分類されています。「ヘルスセンター」「その他」の施設数は、ともに2014年度にわずかに増加しているものの、2013年度と比較すると2017年度は減少しています。

2)市場規模の推移

温浴施設の市場規模に関して、日本生産性本部が発行している「レジャー白書2018」を基に市場規模の推計を紹介します。温浴施設の推定市場規模の推移は次の通りです。

画像2

温浴施設の利用状況を見ると、「実際の参加者数」は2014年に大幅に増加したもののその後は減少しており、2017年は前年に比べわずかに増加しているものの、2013年と比較すると減少しています。

一方で、「年間平均費用」は2013年と比較すると2017年は増加しています。利用者数が伸び悩む中、多くの温浴施設で飲食メニューを充実させるなど、他店との差異化を図りながら、顧客単価を上げる取り組みが行われており、こうした取り組みが影響しているとみられます。

また、温浴施設の大手チェーンでは、軽食メニューや美容関連のサービスを充実させることで、若者や女性などの利用を促す取り組みを行っています。こうした取り組みの影響もあり、温浴施設の市場規模は年により多少の増減はあるものの、2013年に比べてわずかに拡大しているとみられます。

2 地域別温浴施設数の推移

厚生労働省「衛生行政報告例」によると、地域別温浴施設数の推移は次の通りです。

画像3

以上(2019年7月)

pj50430
画像:pixabay

自動車ディーラーを取り巻く市場変化

書いてあること

  • 主な読者:自動車ディーラーの開業を検討、もしくは運営している経営者
  • 課題:乗用車の販売が伸び悩む中、今後の市場の展望が読めない
  • 解決策:従来のビジネスモデルを見直し、新たなサービス創出を模索する

1 新車需要の変化

乗用車の新車販売台数の推移は次の通りです。ここでの乗用車は登録車と軽自動車を合わせた数値です。

画像1

近年は、2年連続で年間500万台を突破するなど、新車市場は堅調に推移しており、新車流通を担うディーラーの経営環境も良好だといわれます。

一方で、日本自動車販売協会連合会は2018年10月に発表した調査リポート「乗用車ディーラービジョン(2018年版)」において、乗用車の年度別新車需要は、2020年度以降に下降局面に入ると予想されています。

画像2

新車需要が下降局面に入る理由として、同リポートでは、ユーザーが家計の支出に慎重で、自動車の保有期間が長期化するトレンドが続くと予測されることを挙げています。

同連合会が2017年に発行した「2017年版 自動車ディーラービジョン(乗用車店編)」では、10年後の新車販売は今より約100万台減少すると予測しています。今、多くのディーラーは、新車販売が年間400万台の時代が到来しても事業を継続できる体制づくりを模索しているといわれます。

2 平均使用年数の長期化

乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数推移は次の通りです。

画像3

2018年の乗用車の平均使用年数は13.24年となり、3年連続の増加で過去最高となりました。2000年と比べると3.28年延びています。

現行の自動車税では、車齢13年を超えるガソリン車についてはおおむね10%の重課対象となっており、平均使用年数のデータも車齢13年いっぱいまで買い替えを控えるユーザーが増えていることを示しています。

3 消費税率引き上げの影響

2019年10月に予定されている消費税率引き上げについて、「乗用車ディーラービジョン(2018年版)」によると、駆け込みで購入する層が一定数いる一方で、生活費全体が上昇する懸念から買い替えを遅らせる層も一定数いるとのことです。

消費税率引き上げによるマイナスの影響を抑えるための具体的な措置として、2018年12月に閣議決定された「平成31年度税制改正大綱」には、2019年10月以降に新車新規登録を受けた自家用乗用車(軽自動車を除く)について、自動車税の恒久減税を行うことなどが記されています。

減税額は、総排気量に応じて1000cc以下の4500円から2500cc超の1000円まで、排気量が少ない車ほど減税額が大きくなっています。

他にも、次のような施策を講じるとしています。

  • 燃費性能などの優れた自動車への買い替えを促す狙いで導入された自動車税のグリーン化特例について、2年延長する
  • 自動車取得税廃止の代替として2019年10月から新たに導入される「環境性能割」について、1年間の措置として、税率を1%軽減する
  • エコカー減税について、自動車重量税に関しては適用基準を厳しくした上で軽減割合を25%下げる条件で2年間延長する

政府与党は、こうした施策を通して、5%から8%に引き上げた2014年4月のように、経済への影響を及ぼさないよう万全を期すとしています。

4 販売形態の多様化

近年では、インターネットも自動車販売チャネルの1つとなっています。楽天やAmazonといったショッピングモールだけでなく、自動車専門のECサイトでも販売されています。

ドイツのダイムラーは2013年12月からメルセデス・ベンツのドイツ国内でのインターネット販売を開始していますが、2018年3月のジュネーブモーターショーで同社は「2025年までに世界販売の25%をオンライン販売にする」との方針を明らかにしています。

また、米国のテスラも、自社の電気自動車をインターネットで販売しています。

国内でも、日産自動車がインターネット上で車種の検討から納車までの手続きを完結できる個人向けリース「NISSAN@DIRECT」のトライアルを東海地区4県(岐阜・静岡・愛知・三重)にて、2019年2月末まで実施しています。

ユーザーの動向次第では、今後、自動車のネット販売が拡大していく可能性があります。

5 「クルマを売る店」からの脱却

トヨタ自動車は2018年4月、完全子会社のトヨタ東京販売ホールディングスと、その完全子会社の自動車販売会社4社を「融合」し、新会社を設立すると発表しました。また、2018年11月には2022年~2025年をめどに4社がもつ「専売車種」をなくし、全店で全車種を販売できるようにすることを目指すとしました。

東京での4社の統合の理由について、トヨタ自動車は「クルマの『保有』から『利活用』へのシフト」が進んでいることを踏まえ、地域での顧客・行政・他企業との連携強化により「新たなモビリティサービス提供によるビジネスモデル変革への挑戦」を進めることに触れています。再編はその具体策であり、試乗車を使ったカーシェアリングサービスや高齢者のための移動サービスなど、販売店を、自動車を売るための店舗から、その地域の実情に根ざしたモビリティサービスを提供するための拠点にしていくとしています。

6 ビジネスモデルの見直しが求められる

前述の次世代自動車やカーシェアリングサービスの普及、予想される新車需要の減少に伴い、自動車ディーラーも従来のビジネスモデルの見直しが求められるといわれます。

「乗用車ディーラービジョン(2018年版)」では、市場の構造変化を想定した関連ビジネスとして、自動車に通信機能を持たせてIoT化する「コネクティッド技術」を活用し、既存の自動車流通網が勝ち組として生き残るための次世代型シェアリングモデルを提案しています。その基本的な仕組みは次の通りです。

  • コネクティッド技術による個人認証を活用し、車両が変わっても運転者の利用履歴情報が車内で認識・照合され、使用度に応じた合理的な課金方式とする。現在の車保有者も、車の「所有権」ではなく、「使用権」を月額で支払う方式へシフト
  • 安全性や省燃費性能、通信技術等の進化が著しいため、同じ車の利用期間は望みに応じて自由に決められる(数時間~10年まで)。また各種機能の進化度合いや車のグレード(中古車も含む)に応じて、料金体系も幅広い選択肢がある
  • ディーラー敷地内には、月額で利用できる車のラインアップが豊富にそろっており、車非保有者向けにも現行のカーシェアリングに比べ、借りられる拠点数、拠点当たりの台数、選択可能な車種数とも巨大化する
  • 車両の稼働率に応じた価格変動システム等で利用コストを低減。自宅や鉄道駅から不便な場所では、電動自転車・スクーターのシェアリングや保管場所の仲介サービス等も提供(店舗内敷地も含む)

同リポートによると、カーシェアリングサービスについては、「ディーラー経営者により賛否が大きく分かれているのが現状である」とのことです。その上で、「ディーラーの強みは、既に国内で7000万台以上の車の保有を支え、店舗ネットワークと敷地、展示・試乗車・中古車等の車両、整備機能、豊富な人材などの資産を有する面が挙げられ、それを生かせるようにしたい」としています。

以上(2019年7月)

pj50429
画像:unsplash

シェアオフィスの市場動向

書いてあること

  • 主な読者:シェアオフィスの開業を検討する経営者
  • 課題:現在の市場規模、開業に当たって注意すべき点が分からない
  • 解決策:市場の推移や具体的な注意点を把握する

1 シェアオフィスとは

1)シェアオフィスの定義

シェアオフィスの定義は明確ではありませんが、一般的には、壁やパーテーションなどによって区切られたスペースや座席を、複数の利用者(主に小規模事業者や個人事業者など)がレンタルで利用するオフィスのことを指します。

通常のオフィス賃貸では、オーナーは業務に使用するスペースのみを利用者に貸し出します。しかし、シェアオフィスでは、オーナーが業務に必要なコピー機、固定電話やインターネット回線などを準備したり、オペレーターによる電話応対などのサービスを実施したりしているケースが多くあります。

2)シェアオフィスの分類

シェアオフィスの分類は、シェアオフィス自体の定義が明確でないため一概には言えませんが、各社ウェブサイトなどの情報から次のように大別することができます。

画像1

図表1の分類の仕方は一例で、企業によっては、コワーキングスペースのようなフリーアドレス式のもののみをシェアオフィスとして扱い、レンタルオフィスなどは数に含めないケースもあります。ただし、いずれもオフィスのスペースや座席をレンタルするという点については共通しています。

2 シェアオフィスの市場動向

シェアオフィスに関する公的な統計はありませんが、レンタルオフィスやコワーキングスペースの開業支援などを行う日本レンタルオフィス協会のウェブサイト「レンタルオフィスNAVI」によると、2019年6月24日時点で、次の件数が掲載されています。

画像2

シェアオフィスの分布を見ると、東京都が全国の半数近くを占めており、その後に大阪府、福岡県、神奈川県などが続きます。静岡県の掲載件数は13件で、都道府県別では第13位となっています。

シェアオフィスは、通常のオフィス物件の賃貸よりも初期投資を抑えやすく、主に小規模事業者や個人事業者などが利用します。加えて昨今は、シェアオフィスを利用する他企業と交流を図りたい企業や、働き方改革の一環で通勤時間を短縮したい企業の従業員などが利用することも多くなっています。

こうした状況の中、足元では不動産・運送・鉄道など、各業界の企業が自社所有のオフィスを改修し、シェアオフィス事業に参入しています。

3 開業の留意点

1)参入障壁

既存のオフィスビルを利用してシェアオフィスを開業する場合、大掛かりな改修工事などが不要となるため、開業費用は比較的低額で済みます。

シェアオフィスを開業するのに特別の許可などは必要なく、また既存のオフィスビルを利用する場合であれば、建築基準法上の申請手続きなども基本的には不要となるため、比較的短期間で開業することができます。

また、オフィスビルを区割りして複数の業者にレンタルするため、仮に退去者が出ても、オフィスビルの1棟を1業者に貸し出す通常のオフィス賃貸に比べ、利用者の退去による事業への影響は少なくなります。

このような特性から、シェアオフィスは比較的参入がしやすい事業であるということができます。

2)設備・サービスの内容

シェアオフィスは、レンタルに供するオフィスビルさえあれば一応は開業することはできますが、各業界の企業が次々にシェアオフィス事業に参入している昨今では、設備・サービスを充実させ、他社との差異化を図ることが重要となります。

シェアオフィスにおける設備・サービスの例としては次のようなものがあります。

画像3

3)ターゲット分析

シェアオフィスは、サテライトオフィスのように遠方の大企業の従業員を誘致するケースもありますが、基本的なターゲットは、オフィス近隣の小規模事業者や個人事業者になります。

こうしたターゲットを早期から囲い込むためには、「オフィス近隣にどのような業者が多いのか」「従業員数はどの程度か」などを分析した上で、ターゲット層が求める設備やサービスの内容を検討します。

例えば、「近隣にIT企業が多い場合は、インターネット回線を個別に引くことを検討する」「役所などがある場合は、役所に関連する仕事の多い士業向けに、会議室の壁を機密性の高い防音壁にする」といった対応が考えられます。

4 シェアオフィスを展開する企業の取り組み

1)WeWork

シェアオフィスの最大手であるWeWorkでは、24時間365日オフィススペースを利用することができます。専用デスクには施錠可能なキャビネットなどを取り揃えている他、来客対応や郵送対応のサービスも行っているため、業務に集中することができます。また、WeWorkコミュニティとして、イベントへの参加や福利厚生などのビジネス以外のサービスを利用できる点も大きな特徴です。

2)サーブコープ

サーブコープは、まだシェアオフィスの浸透していない1990年代からサービスオフィスなどの運営を行っています。提供しているサービスの水準が全般的に高く、同社の全ての拠点では、電話の応対や転送などを代行する秘書サービスが利用できます。また、固定電話番号の即時発行、企業間の無料通話、施設の予約といったITサポートも充実しています。

3)リージャス(TKP)

2019年4月に貸し会議室大手のTKPがシェアオフィスを展開する日本リージャスを買収し、シェアオフィス事業を手掛けています。同社のシェアオフィスは1日単位で利用することができ、スタッフが増えた場合にはデスクスペースの追加などのスケールアップやオフィスのカスタマイズにも対応しています。

以上(2019年8月)

pj50444
画像:unsplash

カーシェアリングの市場動向

書いてあること

  • 主な読者:カーシェアリングサービスの提供を検討する経営者
  • 課題:現在の市場規模、車両台数、注意すべき点などが分からない
  • 解決策:市場の推移や具体的な注意点を把握する

1 カーシェアリングとは

1)カーシェアリングの定義

交通のバリアフリー化や環境対策などに取り組む交通エコロジー・モビリティ財団によると、カーシェアリングとは「1台の自動車を複数の会員が共同で利用する自動車の新しい利用形態」としています。相乗りとは違い、複数の会員が時間を変えて1台の自動車を利用します。15分単位の短時間から利用できる点や、車両の貸し出し、返却に24時間365日対応している点も大きな特徴です。

2)カーリース、レンタカーとの違い

自動車を借りるサービスとして、カーリースやレンタカーが挙げられますが、これらのサービスは利用時間や料金、車両の保管などで相違点があります。

カーシェアリング、カーリース、レンタカーの違いは次の通りです。

画像1

2 カーシェアリングの市場動向

1)カーシェアリング車両台数と会員数の推移

交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」によると、車両台数と会員数の推移は次の通りです。

画像2

2018年3月の調査では、車両台数は2万9208台(前年比19%増)、会員数は132万794人(同22%増)となっています。また、図表にはありませんが、カーシェアリングのステーション数は1万4941カ所(同16%増)となっており、年々拡大しています。

会員数ベースで見ると、132万794人のうち約97%を大手5社(タイムズ24、オリックス自動車、三井不動産リアルティ、アース・カー、名鉄協商)が占めています。

同団体の「全国のカーシェアリング事例一覧」によると、大手カーシェアリング企業の状況(会員数ベース)は次の通りです。

画像3

2)車両台数とステーション数の推移

ジェイティップスが運営するカーシェアリングのサービス比較、統計を行っているウェブサイト「カーシェアリング比較360°」によると、全国のカーシェアリング車両台数とステーション数の推移は次の通りです。

画像4

3 開業の留意点

1)資金の負担について

現在所有している駐車場をカーシェアリング会社に貸し出し、ステーションを設置する場合はカーシェアリング会社が車両や必要な設備を設置するため、資金の負担は少ない場合が多くなります。

一方、カーシェアリング会社のフランチャイズに加盟する場合や、自社で車両と予約システムを確保してカーシェアリングを手掛ける場合は資金の負担が大きくなります。

例えば、ルフト・トラベルレンタカーが提供するカーシェアリングサービス「カリチャオ!」では、フランチャイズ資金の目安を公表しています。同社ウェブサイトによると、開業時に必要な資金として加盟金が50万円、車載器が1台につき5万円、開業前の研修が4万円となっています。これに合わせて、車載器の取り付けやレンタカーの事業許可に掛かる費用、駐車場に設置する備品の購入費用が別途掛かります。

また、カーシェアリングシステムの開発や自動車電子システムの開発、サービス提供などを手掛けるサージュへのヒアリングによると、「カーシェアの予約、運用システムを構築する場合で、少なくとも200万円の費用が掛かる」とのことです。

2)会員の確保が課題

カーシェアリングは、複数人の会員からの売り上げで固定費を賄うため、ある程度の会員数を確保する必要があります。現代文化研究所が自動車保有者を対象に行った「2018年全国自動車保有ユーザー調査」によると、自家用車からカーシェアリングの利用への移行については、今後利便性が高まればカーシェアリングに移行するかとの問いに「移行する可能性はかなり高い」と答えた割合は全体で7%、「移行を検討するかもしれない」と答えた割合が全体で29%となっている一方で「あまり検討する意向はない」「全く検討する意向はない」と答えた割合がいずれも32%と高くなっています。

また、カーシェアリングの普及については、3大都市圏中心部では「普及する」との見方が57%となっている一方、10万人未満の都市や町村では23~26%と2倍以上の差があります。人口密度が低く、利用者が少なければカーシェアリングはビジネスとして成り立たないため、地方での普及は難しい面があります。

経済産業省「IoTやAIが可能とする新しいモビリティサービスに関する研究会」事務局の「中間整理を踏まえた調査結果報告」によると、ラウンドトリップ型カーシェア(車両を借りる場所と返却場所が同じサービスをいいます)を収益化するには、駐車場コストが掛からない場合でも、展開エリアの人口密度が約7000人/平方キロメートル以上であることが必要とされています。

3)カーシェアリングの差異化策

カーシェアリングの差異化策の1つとして、個人での所有・普及が難しい電気自動車や燃料電池車などの最新技術を搭載した車両を導入すること、レジャー施設や観光施設などと提携する方法が挙げられます。

例えば、日産自動車が提供するカーシェアリングサービス「NISSAN e-シェアモビ」では、車両の前後左右にカメラを配置し、車両を真上から見下ろしているように見える映像を撮影することで、車庫入れや発進時の安全確認をサポートするシステムや、走行時の車間距離を自動的に調整するシステムなど、より安全に運転するための技術を搭載した車両を利用することができます。

その他、タイムズカーシェアでは、車両の予約時にタイムズカーシェアが指定するレジャー施設や観光施設をドライブチェックインとして目的地に設定し、設定した施設の駐車場に一定時間駐車することで、電子優待券を受け取ることができます。

また、会員カードを施設で提示することで、入場料の優待などの特典を受けることができます。

4 大手カーシェアリング企業の取り組み

ここでは、大手カーシェアリング企業の取り組みと、カーシェアリングのステーションを設置するに当たっての条件や留意点についてヒアリングした結果を紹介します。

1)タイムズ24

時間貸し駐車場やカーシェアリングサービス、温浴施設の運営などを手掛けるタイムズ24では、カーシェアリングサービスの「タイムズカーシェア」を提供しています。

同サービスの取り組みとして、官民連携によるカーシェアリングサービス普及の活動が挙げられます。市庁舎に電気自動車のカーシェアリングを設置し、平日は職員の公用車、休日は市民や観光客用の車両として利用してもらうことで、カーシェアリングの認知拡大や交通利便性の向上などに取り組んでいます。

同社ウェブサイトによると、カーステーションの設置は、平面もしくは自走式の駐車場であること、路面にステッカーやスタンド看板などを設置できることが条件になります。車両の配備やメンテナンス、必要な機材の設置をタイムズ24側で行うため、無料でカーステーションを設置することができます。契約から1カ月で車両が配備されます。

同社へのヒアリングによると、「カーシェアリングのステーション設置に当たっては、現地の商圏調査や駐車場周辺の情報を調査した上で、駐車場の賃料や設置する車両などのプランを相談している。カーシェアリングの場合は、途中解約の場合の違約金も発生しない」とのことです。

2)オリックス自動車

レンタカーやカーシェアリングサービスなどを手掛けるオリックス自動車では、カーシェアリングサービスの「オリックスカーシェア」を提供しています。同サービスは、顧客満足度の調査・コンサルティングを手掛けるJ.Dパワーのカーシェアリング顧客満足度調査において、総合満足度で3年連続No.1を獲得しています。2018年から安全性の高いブレーキアシスト付きの車両への入れ替えを進めている他、スマートフォンアプリにオリックスレンタカーの店舗検索や予約機能を追加し、より便利にサービスを利用できるように取り組んでいます。

同社ウェブサイトによると、カーステーションの設置は平置きもしくは自走式の駐車場であること、NTTドコモのFOMAの電波が恒常的に受信できることが条件になっています。問い合わせからステーション開設までの期間は3カ月としています。

同社へのヒアリングによると、「現地の商圏調査などを1週間程度行った上でステーションの設置が可能かどうかを判断している。原則として1~2年の期間で賃貸借契約を結び、月決めで賃料を支払う形になる。また、ステーションの運用・管理は全てオリックス側で行うため、駐車場への特別な工事や費用は発生しない」とのことです。

3)三井不動産リアルティ

不動産仲介や駐車場の管理運営などを手掛ける三井不動産リアルティでは、カーシェアリングサービスの「カレコ・カーシェアリングクラブ(careco)」を提供しています。同サービスは、首都圏と関西の三井のリパークを中心にステーションを展開しています。普段の利用に便利な車両だけでなく、オープンカーやキャンピングカーなど、カーシェアでは珍しい車両や高級車を積極的に導入していることが特徴です。

4)アース・カー

カーシェアリングサービスや駐車場シェアリングサービスを手掛けるアース・カーでは、カーシェアリングサービスの「アースカー」を提供しています。

同サービスでは、カーシェアリング事業への参入をトータルで支援する事業者向けプラットフォームを提供しています。これは、カーシェアリングの運営に当たって必要となる仕組みをパッケージ化して提供するもので、車両とステーションとなる駐車スペースを用意すればカーシェアリングの運営を始めることができます。企業規模を問わず、参加企業の社名やサービス名などでカーシェアリングサービスを展開できるのが特徴です。

同社ウェブサイトによると、イニシャル費用は、車載器が3万9800円台/(税抜)、キーボックスが2万2800円/台(税抜)、ランニング費用は、データ通信・システム利用月額料が1万円/台(税抜)となっています。

同社へのヒアリングによると、カーシェアリングの運営については、「1台から始めることができるが、車両1台当たりの収益が高くないことや、車両の故障や事故などが発生した場合に事業が止まってしまうことから、複数台での導入を推奨している。なお、駐車場のシェアリングサービス、カーシェアリングのプラットフォーム登録いずれの場合も、駐車場への設備の設置や特別な工事などは必要ない」とのことです。

5)名鉄協商

オフィス用品などの法人営業、駐車場事業などを手掛ける名鉄協商では、カーシェアリングサービスの「カリテコ(cariteco)」を提供しています。名古屋市を中心に341カ所のステーションを展開しています。ステーションは名鉄協商パーキングを主な拠点にしており、カリテコの車両を利用中は、車両を貸し出した場所以外の名鉄協商パーキングも無料で利用できる、交通ICカードを会員カードとして利用できる、同乗者が会員の場合は、運転の交代ができるといった特徴があります。

同社へのヒアリングによると、「車両や看板などの必要な設備は名鉄協商側で全て手配するため、ステーション設置に当たって特別な費用は掛からない。賃料は相談の上で決めている」とのことです。

以上(2019年8月)

pj50443
画像:pexels

ナノカーボンに関する研究開発の動向と展望

書いてあること

  • 主な読者:ナノカーボン市場への参入を検討する経営者
  • 課題:ナノカーボン市場の展望、研究開発状況を知りたい
  • 解決策:公的機関による開発支援の取り組みなどを把握する

1 ナノカーボンとは

ナノカーボンとは、ナノ(10億分の1)メートルレベルの炭素物質です。カーボンの特徴とナノ材料の特徴を併せ持ち、強くて軽量で、電気・熱伝導性が高いなどの特性があることから、さまざまな分野への応用が期待されています。

例えばナノカーボンの一種である単層カーボンナノチューブ(以下「CNT」)は、アルミニウムの約半分の比重、鉄鋼の約20倍の強度、電子やイオンなどの荷電粒子の平均速度である移動度がシリコンの約10倍、電流密度耐性が銅の1000倍以上、熱伝導性は銅の5倍以上となっています。

アメリカ航空宇宙局(NASA)などによる、地上と人工衛星とを結ぶ宇宙エレベーター構想では、ナノカーボンをロープの材料に想定しており、素材としての性能は高く評価されています。

ただ、製造コストの問題や、均一の構造を持った素材を大量に製造する技術が確立されていないことなどから、現時点での実用化は一部に限られています。2015年10月の新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)技術戦略研究センター(以下「TSC」)のリポートによると、既存のカーボン製品の価格が1キログラム当たり3000円程度であるのに対し、ナノカーボンの価格は、比較的合成が容易な多層CNTでも1キログラム当たり2万~3万円となっています。電気伝導性などでナノカーボンに近い特徴を持つ炭素繊維やカーボンブラックといった素材が市場に浸透している中で、既存品からの代替を促せるようなレベルまで価格を下げるためには、さらなる技術研究と、実用化できる分野を広げていく開発研究が求められています。

このため、現時点ではまだ「ダイヤモンドの原石」の状態にあるといえるでしょう。

2 3種類のナノカーボンの研究開発状況

ナノカーボンは、分子構造によって複数の種類があります。前述のTSCによるリポートなどによると、ナノカーボンの主要なタイプとしては、次の3種類が挙げられます。3つのタイプの特徴と、研究開発の状況について紹介します。

1)フラーレン

炭素原子が球状に結合した分子で、六角形と五角形でできたサッカーボールのような多面体でできています。他の炭素材料にはない、有機溶媒に溶けるという性質があるため、精製により均一で不純物がない素材を合成することが可能です。医薬品や電子材料、構造補強材などへの活用が研究されています。

一部で量産も行われており、化粧品添加剤では実用化されています。

昭和電工と三菱商事は2013年1月、フラーレンの事業化に向けた戦略的事業提携を結びました。同月に三菱商事の完全子会社だったフラーレン製造販売会社「フロンティアカーボン」の株式50%を昭和電工が譲り受けています。

2)CNT

炭素原子が筒状に結合した分子で、正六角形が網目状に並んだ炭素膜を丸めた構造をしています。鋼鉄の数十倍の強度がありますが、いくら曲げても折れないほどしなやかで、高温に強く、電気・熱伝導性が高い素材です。筒状の空洞部分に分子や原子を取り込むと、性質が変わるという特徴もあります。

また、炭素膜の丸まり方などの構造の違いによって、金属の性質にも、半導体の性質にもなるという点でも特徴的な素材です。ただし、現時点では一定の太さや構造のみのCNTを均一的に合成するための構造制御技術が確立されていないという課題が残っており、課題解決に向けた研究が進められています。

CNTには単層CNTと多層CNTがあります。単層CNTは単層の炭素膜でできている一方で、多層CNTは丸まった炭素膜が同心円状に複数重なっています。

多層CNTは生産が比較的容易であるため、すでに国内外で量産化されています。日本では昭和電工が年間400トン規模の生産能力を持っています。リチウムイオン電池の電極添加剤などに用いられていますが、用途の広がりが乏しく、用途開発および製造コストの低減などが課題となっています。

単層CNTは多層CNTよりも電気・熱伝導性に優れています。日本ゼオンが2015年11月に、年間10トン程度の単層CNTの量産工場を世界で初めて稼働させました。同社は高性能キャパシタ、高機能ゴム材料、高熱での電気伝導性の高い材料などの需要の拡大を想定しています。また、名城ナノカーボンへのヒアリングによると、同社は2019年後半に単層CNTの量産に着手する方針といいます。

3)グラフェン

蜂の巣のように正六角形が網目状に並んだ炭素シートです。積層構造になっている黒鉛(グラファイト)の1層分に当たるもので、厚さは0.33ナノメートル程度です。同じ厚さの鉄のシートの約100倍の強さがありながら、柔軟性に富んでいます。あたかも質量を持たないものとみなせる電子がシリコンの100倍以上の高速で移動しているという特性もあります。

透明で電気伝導性が高いため、タッチパネルやリチウムイオン電池、燃料電池、太陽電池、液晶ディスプレイ、有機ELなどへの応用研究が進められています。

面積の広いグラフェンについては、現状では多結晶であったり、グラフェンの特性が十分には発揮されない状態であったりするものしか合成できておらず、用途は一部に限られています。

グラフェンにはその他の特徴もあります。酸化処理を施した酸化グラフェンは、水蒸気だけを透過させる性質があるため、ろ過や海水の淡水化処理などへの応用も研究されています。

また、グラフェンをナノレベルの幅の短冊状に加工したグラフェンナノリボンは、幅や形状によって性質が変化することが分かっています。ただ、幅や形状を制御する技術がまだ確立されておらず、研究が進められているところです。

3 ナノカーボンに関する今後の展望

ナノカーボンは、新たな物理現象や、他の素材にはない特性が発見されていることから、基礎研究の分野での注目度は非常に高いものがあります。2010年には、ロシア出身のアンドレ・ガイムとコンスタンチン・ノボセロフの両氏が、グラフェンについての研究でノーベル物理学賞を受賞しました。

国内でもナノカーボンに関する研究を行っている大学は多数あり、多くの論文が発表されています。

一方、実用化に向けた応用研究については、現状ではコスト面での問題も残っていることから、一部の民間企業を除き、公的機関が中心となっているようです。公的機関による開発支援も行われています。ここでは、実用化に向けた公的機関の動きについて紹介します。

1)国内の主な公的研究機関

国内の主な公的研究機関は、次の通りです。

1.産業技術総合研究所v

2015年4月に設立されたナノ材料研究部門で研究を行っています。前述の日本ゼオンが稼働させた単層CNTの量産工場は、産業技術総合研究所が開発したCNTの合成法の基盤技術を活用しています。部門内には、グラフェンの開発促進のための産学官による連携の場であるグラフェンコンソーシアムもあります。

この他、産業技術総合研究所内にはナノチューブ実用化研究センターもあります。

2.科学技術振興機構(JST)

2013年10月に伊丹分子ナノカーボンプロジェクトをスタートさせました。CNTを合成する際のテンプレートとなるカーボンナノベルトの合成に成功し、均一的なCNTの合成への道を開きました。2019年度は特別重点期間に位置付けています。

2)地方自治体による開発支援

ナノカーボンの実用化に向けて、地域によっては地方自治体が中心となり、民間企業への開発支援や、大学などとの連携を進める動きもあります。

1.埼玉県

先端産業創造プロジェクトの重点分野の1つにナノカーボンを指定しています。

2.長野県

長野県工業技術総合センターや長野県テクノ財団が、地元の信州大学および地元企業との産学官連携により、ナノカーボンの実用化を推進しています。同県は、マッチング支援や参画企業の発掘、企業誘致などにより、「長野ナノカーボンバレー」の実現を目指しています。

3)ナノカーボンの種類別および用途先別の市場予測

TSCによる2015年のリポートによると、ナノカーボンの市場予測は次の通りです。

画像1

ナノカーボンの用途先別の市場予測は次の通りです。

画像2

2030年の市場予測によると、CNTおよびグラフェンの市場の拡大が見込まれているようです。

4)近年のナノカーボン関連製品の開発事例

ここでは、国内におけるナノカーボン関連製品の開発事例を紹介します。なお、民間企業によるナノカーボン関連の開発状況について、ナノテクノロジービジネス推進協議会がナノカーボン業界マップを公表しています。

■ナノテクノロジービジネス推進協議会 ナノカーボン業界マップ■
http://www.nbci.jp/nanocarbonmap/

1.CNTを複合させた高機能フッ素樹脂

大陽日酸と、ダイキン工業のグループ会社である東邦化成は2017年11月、フッ素樹脂にCNTを複合させた高機能フッ素樹脂を開発したと発表しました。高洗浄度や高耐薬品性が求められる半導体製造装置や薬液供給関連製品への需要を見込んでいます。従来はフッ素樹脂にカーボンブラックや炭素繊維を複合させていましたが、添加量が多くなるため、樹脂のしなやかさが損なわれることや、カーボン材料の脱離などによる異物混入などの懸念があったといいます。 

2.CNTとフッ素ゴムの複合製品

産業技術総合研究所は2017年6月、CNTとフッ素ゴムを複合化させたO(オー)リングを開発したと発表しました。CNTによる繊維補強効果により、フッ素ゴムだけでは熱劣化・分解する400℃を超えても形状を維持できるといいます。自動車関連や化学プラントなど、過酷な環境下でも液体や気体の漏れ防止に役立ちます。

以上(2019年8月)

pj50442
画像:unsplash

羅漢果糖に代わる天然甘味料について

書いてあること

  • 主な読者:天然甘味料の製造・販売を検討する経営者
  • 課題:羅漢果糖に代わる天然甘味料には何があるのか分からない
  • 解決策:代表的な天然甘味料の特徴や用途を把握する

1 羅漢果糖とは

羅漢果(らかんか)は桂林(中国広西チワン族自治区にある都市)が原産のウリ科の多年生つる草本で、果実は直径4~6センチメートルの濃緑の球形です。抽出されるエキスは砂糖の約50倍といわれる強い甘味を持ち、主成分はブドウ糖と果糖、甘味度の強い「トリテルペン配糖体」(モグロシド)です。

羅漢果の高純度エキスと天然甘味成分「エリスリトール」(後述)から作られた天然甘味料「ラカント」を開発・販売するサラヤのウェブサイトによると、羅漢果は基本的に桂林でしか栽培できず、中国政府が重点保護植物に指定しているため、日本では茶褐色の乾燥果実かエキスしか手に入らないといわれます。

同社のウェブサイトによると、同社の特許技術により生成される「高純度 羅漢果エキス」は、砂糖の約300倍の甘さを持ちながら、血糖値やインスリンの分泌に影響がなく、肥満予防や糖尿病患者の食事療法などに適しているとのことです。

2 羅漢果糖に代わる主な天然甘味料

1)ステビア抽出物

南米原産のキク科ステビアの葉を粉砕または水で抽出したもので、さらにそれを精製したものがステビオサイドまたはレバウディオサイドといわれる配糖体です。ステビオサイドは砂糖の約300倍、レバウディオサイドは砂糖の約450倍の甘さを持つといわれます。

ステビア工業会のウェブサイトによると、次のような特徴を持つといわれます。

  • 高甘味度のためごく少ない使用量で済むことから実質的にノンカロリー
  • アミノ酸と反応して黄色く変色する「褐変現象」が起こらない
  • 非う触性で虫歯になりにくいv
  • 加工適性に優れる。調理範囲の温度でも、またpHが2.5~9の範囲でも安定
  • 糖類と比較して焼き菓子などに使用した際、吸湿しにくい

このような特徴から、ダイエット食品、清涼飲料水、菓子などに広く使われています。

2)甘草抽出物(カンゾウエキス、グリチルリチン、リコリス抽出物)

東京都福祉保健局「食品衛生の窓」によると、マメ科カンゾウや同属植物の根や根茎を粉砕または水で抽出したもので、さらにそれを精製したものがグリチルリチンです。甘さは砂糖の約200倍で、後引きの強い甘味と特有の風味を有しています。

一般的に、次のような特徴を持つといわれます。

  • 高甘味度のためごく少ない使用量で済むことから実質的にノンカロリー
  • 高い塩なれ効果(塩味を和らげる)を持つ
  • 他の糖類や調味料と併用した場合、相乗効果でうま味を増強する

このような特徴から、しょうゆ、味噌、漬物、つくだ煮、清涼飲料水、魚肉ねり製品、氷菓、乳製品など広範囲に使われています。

また、カンゾウは生薬として古くから用いられており、かぜ薬、解熱鎮痛消炎薬、鎮痛鎮痙薬、鎮咳去痰薬、健胃消化薬、止瀉整腸薬などの漢方薬に配合されています。

3)エリスリトール

メロンや梨などの果実、キノコ、ワイン、清酒、しょうゆ、味噌などの発酵食品に含まれている糖質で、糖アルコールに分類される甘味料で、ぶどう糖を原料として酵母を用いた発酵により生産されます。

甘さは砂糖の約75%で、後を引かないすっきりとした甘味が特徴です。溶解するときに熱を奪うため、冷涼感が得られます。

エリスリトールなどの糖質を販売する三菱ケミカルフーズのウェブサイトによると、次のような特徴を持つといわれます。

  • 糖質の中で唯一、厚生省のエネルギ-評価法によりエネルギ-値が0キロカロリー/gと認められている
  • アミノ酸と反応して黄色く変色する「褐変現象」が起こらない
  • 非う触性で虫歯になりにくい
  • 血糖値やインスリンの分泌に影響がなく、肥満予防や糖尿病患者の食事療法などに適している
  • 最も緩下作用(おなかが緩くなる作用)を起こしにくい

このような特徴から、清涼飲料、卓上甘味料、健康食品などに使われています。

以上(2019年8月)

pj50441
画像:pixabay