【朝礼】「マニュアル」は超えるためにある

私は経営者仲間や皆さんから、「既成概念などにとらわれず、本当にお客様のためになることを考えている」と言ってもらうことがあります。とてもありがたいことですが、実は、昔からそういう考えを持っていたわけではなく、きっかけは学生時代のアルバイトで大失敗したことにあります。今日は、皆さんにその話をしたいと思います。

大学生の頃、私はテーマパークの係員としてアルバイトをしていました。主に、パレードなどがあるときに、お客様を誘導するのが仕事です。

ある日のことです。その日はパレードで大混雑で、営業時間が過ぎた後も辺りは騒然としていました。出入り口付近で列をなして帰ろうとしているお客様を誘導していると、子供を抱えて猛烈な勢いで逆走してくる1人の中年男性が見えました。その人は、一度退場したにもかかわらず、また無理に入場しようとしているのです。「もう今日は終わりです。すみませんが入れません!」と私が全力で止めに入ると、その男性が怒鳴り返してきました。「子供の靴が片方ないんだ! 中に入って探してもいいだろう!」

私の対応は、本当にひどいものでした。「でも、一度出た人は、もう入れない規則なんです。入れるかどうか、上の人に聞かないと……」と途方に暮れてしまったのです。見かねたアルバイトの先輩が、「どうぞ入ってください! 手分けして一緒に靴を探しましょう!」と男性を招き入れ、1時間後に無事、靴を見つけることができました。

私は、自分が恥ずかしくてなりませんでした。日ごろから「お客様が第一」と考えてアルバイトに励んでいるつもりでしたが、とっさに、「マニュアル通りに規則を守らなくては。何かあったら後で叱られる」と思ってしまったのです。

この大失敗があったおかげで、私は自分が「自分視点でしかものを考えていない」ことに気付くことができました。だからこそ、本当にお客様や相手の立場に立っているかを、常に自問自答するようになったのです。

皆さんも、日ごろ、私の失敗と同じようなことをしていないでしょうか。お客様が困っているときや、難しい要望を言ってきたとき、「マニュアルでは禁止されているから」と断っていませんか。

確かに、当社にはお客様対応のマニュアルがあります。しかし、マニュアルが全てではありません。お客様の状況などによって取るべき対応は異なります。むしろ、現実のビジネスでは、マニュアル通りにいかないことが多いでしょう。

お客様のことを一番分かっているのは、日ごろ、現場でお客様と接している皆さんです。皆さんが本当にお客様のことを考えて、「こうしたほうがよい」と思うのであれば、ぜひ、その通りに行動してください。たとえ、それがマニュアルに沿っていなくても、否定したり叱ったりすることはありません。逆に、お客様のことを考え、マニュアルを超えてくれた皆さんに感謝し、その判断を、私は心から支持します。

以上(2019年2月)

pj16944
画像:Mariko Mitsuda

日本の【欲しい】を作り出し世界へつなげて広げたい! 日本発グローバル企業を増やす。/杉浦佳浩の岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が、今回紹介する面白い起業家は大村晶彦さんです。

●運営しているメディア【セカイコネクト】
http://world-conect.com/

●会社HP
http://couxu.jp/

 大企業のグローバル化もまだまだ道半ばというところ。中小企業のグローバル化はもっと出遅れ感があると思います。その課題を解決するために起業したCOUXU(コーク)の大村さんについてお伝えしたいと思います。全く英語もできなかった生粋の体育会系サッカー少年が30カ国を飛び回って奮闘し、中小企業の海外進出をサポートしています。その状況をリポートしていきます。

1 低コストで海外への販路開拓を届けたい

サラリーマン時代、私は、複数の得意先社長から海外展開、海外での販路拡大について嘆きに近いお話を伺った経験があります。それは、「○○主催の海外展示会」に、中小企業にとっては大きな予算を投資して実際に行ってみたが、しかし……」というお話。確かに名刺の枚数は集まるものの、さまざまな問題があるようです。

例えば、「本当に興味ありの集客が現地でできていない、興味ありの先にどうやってコンタクトを開始していいの?」「サンプル出荷の方法は?」「継続的取引に進むには?」など本来必要な情報が乏しく、主催者側(相手国&日本側)の「開催した」という経験値だけの満足に終わっていることが多いと聞きました(主催者側がそう望んでいないとしても、多大なコストの割には結果が出ていない現実)。

これだけITの技術革新もあり、国と国の壁が低くなっている中で、わざわざ海外の展示会に出掛けなくても、ニーズがあるかどうか分からない相手と商談をするムダを省き、低コストで海外展開したい中小企業のお手伝いをしているのがCOUXUです。

その仕組みは次の通り、とてもシンプルです。

  • COUXUは30カ国2000社を超える現地バイヤー(商社)企業とつながっている
  • 上記のバイヤー企業が毎月100件以上の【日本の欲しいモノ】のリクエストをCOUXUにぶつけている
  • 【日本の欲しいモノ】リストをITを駆使して、会員化している日本の中小企業にCOUXUが開示している
  • 海外現地バイヤーとのやり取りについて、COUXUがアドバイス、いわば教育・トレーニングに近い手伝いをしている。例えば、海外の商習慣(英会話、英語でのメールのやり取り)、海外セールス、サンプル出荷の方法、貿易開始(実務の手順)などを、会員となった中小企業にトレーニングをするといった内容

セカイコネクトの画像です

海外と商談できる人材が中小企業にはほとんどいません。この現状と向き合い、中小企業が“自力自走”で海外展開できるようにと、COUXUはセカイコネクトを運営しています。

この活動を始めて5年。実際に貿易業務が始まった会社の中には、売り上げ規模で数億円となった中小企業も。また、現地バイヤーとの太いパイプから、貿易のみならず【進出】に関する現地調査などの依頼もCOUXUに寄せられており、国内の多様な業種業界の企業、2000社を突破する取引が実現しています。

日本企業の理想的な海外販路開拓の画像です

2 大村さんの起業ストーリー

5年という短期間で、国内外でこれだけの実績を作った大村さん。さぞかし語学も堪能で海外経験も豊富だった?と思いきや、小中高と一貫してサッカーにのめり込み、千葉県でべスト4の経験もあるそうで、大学も英語や海外とは遠い感じの体育大学だったそうです。

そうした中、大学時代、体育会系の“タテ社会”になじめず、『なんで生まれた年が1年違うだけで、こんなに違うの? 納得できない』と運動系の世界を離れて、アルバイトを10も20も経験。気付けば20歳でお酒も飲めないながらバーテン、そしてバーの経営へ。大学卒業時の2010年はリーマン・ショック後の就職氷河期。どうしようかと思いながら飛び込んだ世界が飲食関連。新規業態の店舗運営を1年目から任され新卒の中でも1位の成績!

しかし、スーツを着る仕事に憧れを持って1年で退職。次に入った会社がアリババマーケティング。大村さんは、ここで海外販路開拓の面白さに出合います。英語もできない状態でしたが、すぐに頭角を現し、ここでも成績で1位となったそうです。25歳のときに、『自分でやったほうがもっとお客さんを喜ばせることができる』と感じるようになり、26歳の誕生日にCOUXUを設立、今に至ります。

最近では、なじめなかった体育大学で、OB起業家として講演も行ったとのこと。お話を伺っていて、常に【今に疑問を持ち、常識を疑い、新たな道を好んで選択する】ということに突っ走る、そんな感性をお持ちだと思いました。

3 起業後の紆余(うよ)曲折、順風なんて一度もなかった

以前に一度、大村さんに質問したことがあります。それは、『海外現地バイヤーを2000社も抱えていたら、自分たち自身で貿易をすればもっともうかる会社になるのでは?』という質問です。大村さんの答えは、『自分たちだけ儲けることならいくらでもやれると思っています。しかし、それだったら大手商社と同じこと。それでは、何のために事業をやっているのか、そもそもの理念、起業動機と食い違ってきます。当初、自分たちが食べていける部分だけ取り組みましたが、現在は全くやっていません。日本の中小企業のグローバル化を目指すこと、そこにフォーカスしています』ときっぱり。

思いは十分でスタートしたものの、起業以来順風ではありませんでした。

  • 起業当初のメンバーが出社したら早々に離脱したのが判明
  • 当初の中心メンバーだったミャンマー人のトゥヤ氏が、諸事情あり本国へ帰国
  • 日本の中小企業のためと思って事業をしていたところ、バイヤーから発注、入金完了後に、日本側の中小企業が破綻、バイヤー側に迷惑を掛けてしまう
  • COUXUの業態自体が他に類を見ないため、経験者もほぼいない。そこに入社して来てくれたメンバーの戸惑い、離脱が続いた時期もあった

収益先行をさせず、じっくり真のお客さん基点を追求してきたからこその逆風、そこをしのいできたからこそ、現在海外留学生インターンを含めると20人近くまでになり、日本を含む10カ国のメンバーが集う会社に成長しています。余談ですが、以前の大村さんのパソコンには日章旗のラベルが貼ってありました。心底、日本のためを意識しているからこそだと思いますね。

4 10カ国のメンバーとともに、全国の中小企業を世界へコネクトする

まさに生きるか死ぬかの生命線上も、綱渡りのように活動してきた中、現在はメンバーも増え、売り上げも安定して伸びてきたそうです。これからのCOUXUの戦略についてもお伺いしました。

・海外でムーブメントを起こす
 これまでの【世界の欲しい】に、日本の製品をマッチングさせるだけでなく、海外現地で、大学や学生との連携を加速し、【現地で、日本の「欲しい」のムーブメント、トレンドを起こす】ことを実践していきます。そもそも気付いていない人々に、日本の良さをもっと訴求できる仕組みを構築していくことにチャレンジします。

・プロモーション動画を海外留学生が製作
 日本の良いものを世界で発信していく際に日本人目線より大切なのは、現地の人々の目線です。日本人が動画製作しても日本人の感性でしかありませんが、海外留学生たちが、自分たちの母国へ売り込むためのプロモーション動画を製作しSNSで発信すれば、訴求力が違ってきます。まさに国境を超えるお手伝いをします。

その他にもアイデアが満載の大村さん、日本発のグローバル企業を多種多様に輩出していこうとしています。本当に楽しみですね。

最後に、COUXUの思いを言葉にしたものを、HPより抜粋します。


COUXUの目指す“セカイ”
世界中の企業にとって“なくてはならない”日本企業を創造する
『COUXU(コーク)株式会社は、日本企業が低コストで誰でも簡単に海外への販路開拓できるプラットフォームを実現しております。
日本の人口減少や、国外の商品が流通量増加が進むにつれ、小売店や問屋に下ろすのも限界が近づいています。
対して、アジアを中心に日本の商品を求めている海外企業は多く存在します。
ですが、現状日本にはゼロから海外への販路開拓を行えるだけの“具体的な情報”が存在しません。
「英語ができない」「海外との取引の経験がない」企業様でも、手軽に商品を届けられる情報を提供しております。
今後も世界に手を広げ続け、海外において日本製品を手に取りやすい環境を作り続け、日本企業が国際企業になるためのシルクロードを開拓していくことが私たちの使命と考えております。』

COUXUが掲げる上記の世界が実現することを願ってやみません。

杉浦さんと大村さんの画像です

以上(2019年1月作成)

【朝礼】ビジネスの答えを最初から求めてはいけない

「ABテスト」というマーケティング手法があります。例えば、インターネットサイトにイベントの「申し込みボタン」を設置するとしましょう。その際、赤いボタンと青いボタンを用意して、どちらの色のボタンがより多く押されるのかを計測します。仮に赤いボタンが多く押されたら、次は人気のなかった青いボタンの代わりに黄色いボタンを設置し、再び赤いボタンと競わせます。これを繰り返すことで、“お客様が押したくなる色”がだんだん分かってくるということです。実際のABテストでは、ボタンの位置や文言などさまざまな条件を組み合わせてPDCAを回し続け、最適な申し込みボタンを見つけていきます。

この例で私が皆さんに伝えたいのは、「最初から、最適な申し込みボタンの色を知っている人はいない。つまり、完成形から始められるビジネスはない」ということです。

ところが皆さんは、失敗を恐れて、初めから完成形を探し求めます。もしかすると、上司の皆さんも「本当にそれで成功できるのか?」などと部下に詰め寄っているかもしれません。しかし、そうしたやりとりに、意味はあまりないでしょう。なぜなら、誰にも完成形は見えていないからです。

とはいえ、とにかく始めようと無策で飛び出すのも問題です。勢いだけのビジネスは、ほぼ失敗するからです。では、どうするのがよいか。それは、「答えを知っている人」に聞いてみればよいのです。

皆さんが好きな色を心に思い浮かべてください。その色を好きなことを知っているのは誰ですか。家族、友人、恋人、同僚など皆さんと親しい人なら知っているかもしれません。この他に知り得る人がいるとすれば、皆さんに「何色が好きですか?」と質問してきた人でしょう。

よく「答えはお客様が持っている」と言いますが、まさにこうした状況を指しているわけです。もちろん、社長である私や上司は、過去の経験や収集した情報を基に指示します。しかし、それはABテストで試される一色を示しているに過ぎません。皆さんはお客様に恐れず質問して答えを聞き、PDCAを回さなくてはなりません。

この活動を継続的に行っていると、皆さんに知見が蓄積されていきます。しかし、その半面、“おごり”も発生します。皆さんは、「自分の考えとお客様のニーズが異なるとき、お客様のほうが間違えている」と考えてしまいがちです。こうした考えを改めるには、謙虚な心を持つしかありません。昭和の歌姫である美空ひばりさんは、『リンゴ追分(おいわけ)』を歌う際の息継ぎについてアドバイスを受けた際、素直にそれを聞き入れました。そして、お客様からより多くの拍手をもらえる息継ぎの歌い方を選んだといいます。

経験は重要ですが、“おごり”はいけません。周囲の声に常に耳を傾け、その内容をPDCAに柔軟に組み込むことができる組織こそが、お客様に選ばれるのです。

以上(2019年1月)

pj16943
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】紹介の輪は、あなたの魅力で広がる

ビジネスは人と人とのつながりです。「人と出会い、意気投合し、一緒にビジネスをする」。ビジネスで必要なのはこれだけだという起業家もいるほどです。どのタイミングで誰と出会い、どれだけ意気投合できるかが、確かに大切なことです。だからこそ、私は積極的に人を紹介します。また、紹介されたときは、できるだけ多くの人と会うようにしています。どこにビジネスチャンスがあるか分からないからです。

このように説明すると、とにかく紹介の件数を増やせばよいと考える人がいますが、実際にはそうはいきません。紹介は、する側にとってもされる側にとっても、非常に難しい行為であり、下手をすると自分自身の信用を失ってしまうこともあります。

このことを知る私は、自分が紹介される側になった場合、紹介してくれる人のメンツを潰すことがないように、いつも以上に丁寧な対応をし、スケジュール調整も速やかに行います。紹介者などは忙しい中、時間を割いて動いてくれているので、その時間を必要以上に奪うことはできないからです。逆に、私が紹介する側になった場合、紹介する人と引き合わせる人の双方が私にとって大事な存在であるわけなので、やはりとても気を使います。「誰に誰を紹介するのか」という根本的なところはもちろん、「人柄は合いそうだが、ビジネスではもしかしたら競合するかも」と思った人は紹介しないようにしています。

しかし、ここまで注意していてもトラブルになってしまうことがあります。私の知人が、A氏にB氏を紹介したところ、B氏が引き起こしたトラブルが原因でA氏とB氏の裁判にまで発展したことがあります。その知人は責任を感じ、A氏に専門家を紹介したり、ビジネス面で別の人を紹介したり、誠心誠意の対応でフォローをしました。もちろん、金銭は一切もらっていません。

これほどまでに紹介は大変なことなのですが、逆にいうと、こうした紹介の大変さを理解している人は信頼できます。別の私の知人に、年間1000人以上の経営者と会う人がいます。経営者から「自分と会ってほしい」という連絡が頻繁に来るそうですが、その知人は「信頼できる人からの紹介でなければ会わない」と決めています。「信頼できる人が紹介する人は信頼できるはずだ」という、とてもシンプルな理由からです。この知人は、自分の周りを信頼できる人で固めることができたからこそ、年間1000人以上の経営者に会うことが可能なのでしょう。

今年、皆さんにすてきな出会いが訪れることを願います。皆さんに魅力がなければ誰かを紹介されることもありません。また、皆さんが誰かを紹介しようと思っても、相手が「◯◯さんの紹介なので会ってみよう」と思ってくれなければ何も始まりません。紹介の輪はそう簡単には広がりません。紹介の重みを知り、そのような機会には真摯に対応することから始めてください。

以上(2019年1月)

pj16942
画像:Mariko Mitsuda

部下が知っておきたい上司の指導方針

書いてあること

  • 主な読者:上司に不満を感じている若手社員
  • 課題:仕事が物足りない、上司の話についていけないなどの不満を感じている
  • 解決策:上司は部下の成熟度に合わせて指導をしている。意図を理解し、上司との間のギャップを埋めるように努める

1 上司は部下の実力で態度を変える

上司は、丁寧かつ親身に部下を指導します。一方、部下は「自分の上司は大したことはない。すぐに追い抜ける」と思っているかもしれません。部下が自分の実力を知りたければ、上司の指示や指導の内容、態度を観察してみましょう。

上司も人間です。部下に追い抜かれたくはありません。部下が成長して自分のレベルに迫ってきたら、リードを確保しようと焦り出します。逆に、部下はまだまだ自分より下だと思っていれば、指導に余裕があります。

まだまだと思われている部下は、上司にとって「自分を脅かす存在」ではありません。そのような部下がすねた態度を取っても、上司は「まぁ、言われた通りにやってくれ!」と意に介しません。

このように、部下の成長や実力によって上司の態度は変わってくるものです。それを体系的にまとめた考え方に、経営学者のハーシーとブランチャードが提唱した「SL理論:Situational Leadership理論(状況適応理論)」があります。

SL理論によると、リーダーは仕事に対する部下の成熟度(以下「成熟度」)に応じて接し方を変えるべきだとされます。成熟度が低い部下には具体的な指示を与え、成熟度が高い部下には積極的に権限を委譲するといった具合です。

画像1

成熟度が低い部下は具体的な指示で導き、成熟度が高い部下は権限委譲で自主性や対応力を育てるというのが基本的な考え方です。以降では、SL理論を基に部下と上司の間で生じがちなギャップとその解消法を紹介していきます。

2 上司が細かな指示を出す理由

1)部下の不満「仕事が物足りない、指示も細か過ぎる」

やる気があるのに、上司からは簡単な仕事ばかり任され、スケジュールや進め方についても細かく指示されることがあります。部下は、「自分はもっと難しい仕事に挑戦したい」「結局自分は信用されていないのか」などと思うかもしれません。

2)上司はこう考えている

上司は、「今の部下は基礎固めのレベルにある」と考えています。簡単な仕事を通じて、仕事の基礎的な進め方や難所を把握させたりしようとしているのです。これはとても大切です。基礎を押さえれば、そこから部下の活動範囲を広げることができるからです。

3)部下はこう行動しよう

部下は仕事を軽く見たり、指示を聞き流したりしてはいけません。まずは与えられた仕事をきちんとこなして、仕事の基礎を固めましょう。与えられた仕事をミスなくこなせるようになれば、次第に上司からより難易度の高い仕事を任されるようになります。

4)部下が次のステップへ進むためのワンポイントアドバイス

教示型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下が次のステップに進むためには、「上司の指示はしっかりとメモを取る」「最後に指示の内容を確認し、ヌケモレがない」ようにして、与えられた仕事をミスなくこなすことが大切です。

3 上司が精神論交じりの話をする理由

1)部下の不満「話の内容が“昭和”で、ついていけない」

上司が仕事に関する指示だけでなく、「どのような姿勢で仕事に臨むべきか」といったことを、精神論を交えながら、長い時間をかけて話すことがあります。部下は、「昔の話は聞きたくない」「早く仕事に戻りたい」などと思うかもしれません。

2)上司はこう考えている

上司は部下の成長を感じ、「徐々に仕事の難易度を上げていこう」と考えています。上司の指示通りに仕事を進めるだけでなく、仕事の意味を理解し、正しい姿勢で仕事に向き合ってほしいと願っているため、「考え方」に関する話が長くなるのです。

3)部下はこう行動しよう

部下は上司の話に耳を傾ける一方で、仕事に向き合う正しい姿勢を自問自答してみましょう。仕事に対する向き合い方は人それぞれです。だからこそ、いろいろな考え方に接し、良いところを積極的に学ぶことが大切です。

4)部下が次のステップへ進むためのワンポイントアドバイス

説得型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下が次のステップに進むためには、「上司の話で理解できない点は質問する」「多様な価値観を毛嫌いしない」ようにして、“あるべき姿”を真剣に考えてみることが大切です。

4 上司が答えにくい質問をする理由

1)部下の不満「答えにくい質問ばかりされるので、上司と接したくない」

仕事に取り掛かる前に、上司から「この仕事の難所は?」「相手が求めていることは?」などと質問されることがあります。部下は、「やってみなければ分からない」「自分に任された仕事なのだから、放っておいてほしい」などと思うかもしれません。

2)上司はこう考えている

上司は部下の成長をより強く感じ、「そろそろ部下に仕事を任せたい」と考えています。そこで、質問を通じて部下の理解度や考え方を確認し、間違いがあればアドバイスを与えようとしています。

3)部下はこう行動しよう

部下は、「そんなこと分かるはずがない」と投げ出してはいけません。ビジネスは不確定要素だらけで進みますが、この問題にどう向き合うかで部下のキャリアも決まってきます。前に進みたければ、未来をイメージするトレーニングをしましょう。

4)部下が次のステップへ進むためのワンポイントアドバイス

参加型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下が次のステップに進むためには、「上司から質問されそうなことを事前に想定する」「仕事をシミュレーションして、事前に難所を取り除く」ようにして、未来志向の感覚を養うことが大切です。

5 上司に放っておかれる理由

1)部下の不満「指示がなく、見放された感じがする……」

これまで口うるさかった上司が、ほとんど指示をしてこなくなることがあります。部下は、「もしかしたら自分は嫌われたのか?」「仕事も責任も丸投げするつもりか?」などと思うかもしれません。

2)上司はこう考えている

上司は、部下は自分で考えてこなせるレベルに達したと認めています。部下の考えを尊重するために指示は最小限にとどめ、部下の仕事ぶりを見守っています。もちろん、問題があればすぐにサポートするつもりです。

3)部下はこう行動しよう

部下は、「どうすればよいか?」と不安を感じる必要はありません。むしろ、独り立ちできつつあることを誇りに感じ、自分のやり方を試してみればよいのです。ただし、本当に困ったことがあれば、すぐに上司に相談しましょう。

4)部下が次のステップへ進むためのワンポイントアドバイス

委任型リーダーシップによる指導を受けている段階の部下が次のステップに進むためには、「積極的にチャレンジする」「上司への『報・連・相』は早めに行う」ようにして、自立した働き方を実践することが大切です。

6 上司にアピールするのも悪くない

部下は上司の言動から自分のレベルを知り、それに合った取り組みをすることで成長を早めることができます。ただし、上司が知っているのは部下の一面にすぎず、部下が就業外に何らかの自己啓発をしていても把握することができません。

もし、部下が自分の成長のために取り組んでいることがあれば、それを積極的に上司にアピールしましょう。例えば、「先日セミナーでこのような話を聞いたのですが……」など、収集した情報や学んだ内容を上司との会話の中で披露するのです。

こうしたアピールもまた自分(部下)自身の成長を促します。「この部下は、○○を学んでいたな。関連する仕事を任せてみよう」といった具合に、上司から一段高いレベルの仕事を任せてもらえるチャンスが広がるからです。

いつの時代も上司と部下の間には、埋め難いギャップがあります。不満を持つだけでは前に進みません。相手(上司)の考えを理解するのはもちろん、自分(部下)自身も研さんを積むことで、お互いにとって良い関係が生まれてくるのです。

以上(2019年1月)

pj00196
画像:photo-ac

元CAから広がるビジネス世界観。セカンドキャリア支援から防災訓練まで?/杉浦佳浩の岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が、今回紹介する面白い起業家は駒崎クララさんです。

●運営しているメディア【CREW WORLD】
http://crew-world.com/

「元CA(キャビンアテンダント。客室乗務員)による防災訓練。………。それは一体なんですか?」とお聞きしたことに始まって、物事の見方、ビジネスの幅の広さを学ばせていただいたのが今回のインタビュー。

駒崎さんは、私にインスタグラムを始めるキッカケをくれた先生でもあるのですが、その駒崎さんがCAから起業家に転身していく過程や、自分自身と向き合うことの大切さ、ぶれない軸はどのようにできたのか、現在の事業内容など盛りだくさんのお話を伺いました。

1 記者会見にCAのいでたちでご登場!

まず、2018年8月1日に日経新聞に掲載された記事をご覧ください。

その際の写真はこれです。

ビルメンテナンス業界に初めてドローンを取り入れるなど、ベンチャースピリットを掲げて新しいことにチャレンジしている大成株式会社(本社:名古屋・東京両本社)。同社で、ビル1棟にひも付く面白い福利厚生サービスを集めた事業モデル「T-select」の記者会見を行いました。駒崎さんも、T-selectに下記2つのサービスを提供しており、記者会見にはCAのいでたちで参加していました。

  • 元客室乗務員による防災訓練
  • 元客室乗務員の人材紹介サービス

ここで冒頭の質問に戻ります。人材サービスについては想像しやすいのですが、「元CAによる防災訓練」は想像もつきません。そこで、お聞きしてみました。

「元CAによる防災訓練。………。それは一体なんですか?」

すると、次のような回答を得ました。

『客室乗務員は、搭乗客へのホスピタリティある接客業務がクローズアップされます。しかし、もっと大切なのは乗客の安全確保、避難誘導といった、命を守る保安業務です。防災訓練がないがしろにされている場面を見て、事業化を思いつきました。ビルでの訓練を想定し、リスクマネジメントの観点で行っています』

「なるほど!」と腹に落ちました。いざというときに役立つ、しかも、CAのいでたちなら話題となって参加者が増えます。場が華やかになり、多くの人が参加し、本来的な訓練ができるという、“一石三鳥”の効果がありそうです。

駒崎クララさんによる防災訓練の様子を示した画像です

2 「女子未来大学」で初めてお会いして

さて、私が駒崎さんに初めてお会いしたのは、2016年6月の大阪でした。そのときの写真がこちらです。

たまたま私の関係で、大阪で会場提供をさせていただいたのが出会いのキッカケでした。

その後、東京で再会し、駒崎さんの事業についてお聞きしました。そして、私がお役に立てそうな先をご紹介させていただいたことが、前述のT-selectの記者会見につながった次第です。

では、ここで、駒崎さんを含め立場の異なる先進的な女性3名で立ち上げられた「女子未来大学」についてご紹介しておきましょう。ここは「女性たちが自らの主体性を持って人生を選択するための“学びの機会”を提供する、女性なら誰でも参加できるプラットフォーム大学」です。

3 CAは3年で辞めるつもりだった

インタビューに戻ります。

駒崎さんは、高校生の頃から漠然とCAになりたいと思っていたそうです。さらに質問してみると、その原点には、子供時代の体験があることが分かりました。5歳から10歳まで、ヨットでフランスから日本まで旅をした際に遭遇した命の危険や、習得した危機管理術が、保安に携わるCAへの道を意識させたのだと駒崎さんは話します。

その思いを遂げ、駒崎さんはCAとなります。しかし、当時は3年でCAを辞めると決めていたそうです。その理由を尋ねてみると、

『自分自身がやってみたい、いろいろな職業の中にCAがありました。CAは保安の仕事だということから、体力が必要だと想定していたので、体力があるうちにCAとして働こうと思いました。それで、社会人最初の3年に割り当てようと思ったのです』

とのことです。

なかなか計画をキチンとされての選択、そして仕事内容も理解されてのことです。

『結局、毎日の仕事が楽しくて3年では辞められず、7年半、“雲の上でお仕事”をしていました』

フライト毎にチームを組み、リレーションをつくり、はじめましてのお客様とコミュニケーションを取りながら、安全に目的地にご案内するという達成感が「最高だった」そうです!

航空業界はさまざまな仕事をリレーのようにつなげていく業界です。このようにCAの仕事だけでなく俯瞰(ふかん)的に業界が見えるようになったとき、「航空業界に役に立ちたい」という気持ちは変わらないが、CAとしてではなく、違う形で業界を盛り上げていきたい、そう思ったことが起業へつながったと駒崎さんは話します。

CA時代の駒崎クララさんの画像です

あるとき、キャリアカウンセリングを受けた際に、自己認識、自己肯定の大切さを感じたそうです。それが「自分の軸」、何が自分にとって大事か? 大切にしないといけないことか? を見つめることができたそうです。

4 起業、航空業界になかったサービスを開始

駒崎さんは、今までに業界になかったこと、他業界でもあまりやろうとしないことに着目して事業をスタートしています。

【CREW WORLD】という業界横断的に情報発信をするSNSを構築しました。世界中の“現場”で活躍している現役CA、元CAの皆さんが情報共有をするサービスです。

クローズドな世界で、会社の垣根を越えてCAの方同士が相談し合う、情報を提供し合う。同じ会社の同僚 などには聞きづらいことでも、同業他社の方には聞けたり、尋ねやすかったりするものです。しかも、匿名なので気軽に交流が生まれ、広まり、かなりの数のCAの方が活用しているそうです。

日々の忙しさ、過酷なCA仕事からモチベーション向上にもつながるこの交流の場に、駒崎さんは1万人の現役CA、元CAの皆さんが参画してもらえるように活動しています。この【CREW WORLD】上ではさまざまな企業が、広告の出稿やCAの皆さんへの商品評価、海外現地での多くの体験アンケートなどを実践しており、航空業界のみならず広く注目されています。2018年から、口コミの一部をオープン化し、多くの方に情報が届くようになりました。

5 CAが長きにわたり活躍する未来へ

駒崎さんが描く未来とは、どのようなものなのでしょうか。それはCAのセカンドキャリア支援事業に取り組む姿勢にかいま見えます。といっても、現役CAの方々に、率先して転職を勧めているわけではありません。かなり時間を掛けて、じっくりとCAの皆さんと向き合い、対話をして、なりたい自分はどのような自分なのか? 自分の居場所はどこなのか? 自分の“根っ子”は何なのか? 自己肯定感(自分の軸)が得られるようにカウンセリングを丁寧に行っているそうです。

駒崎さんは、これも航空業界の発展のための一環として行っています。自分発見からまたCAとしてイキイキとモチベーション高く持って復帰される方もいれば、次のステップへ進む方もいる。こうした方々に、社会への接続を大事に、大切にとアドバイスをしているそうです。

ちなみに、セカンドキャリアとして、元CAの皆さんがどのようなところでご活躍か聞いてみますと、『法人営業(クロージングメインでなくBtoBでの顧客接点の構築、メイン担当でなく営業サポート的に)、コミュニティーマネージャー、広報、採用人事、秘書、と活躍の場が広がっています』と。元CAだからこそ“相談の和”が広がるのも納得です。

たった一人で起業した頃、コーディングも独学で習得、徹夜もいとわず、時には3日間寝ずに仕事に没頭したり、コワーキングオフィスに寝袋持参でパソコンに向かったりしていましたと、笑顔で語る駒崎さん。

自社のメンバーが10名(業務委託を含む)を超えてきても、ぶれずに航空業界の発展を見据えて事業を展開する駒崎さんは、『具体的な数字目標を第一に掲げるのでなく、その前に自分の軸をどうするか、どこに置くかを明確にした事業運営を大切にしています』と話します。数字一辺倒の経営視点から、駒崎さんの自分や会社の“根っ子”を大事にする視点も大切にしたいと思いますね。自分との対話を大切に。と私自身も大事にしたいと思いました。

また、駒崎さんはプライベートでは能にもチャレンジされ、女子未来大学のメンバーと共に若者に能を広める若者能の社会人スタッフ等、多彩に活動されています。

筆者と駒崎クララさんの画像です

以上(2018年12月作成)

【朝礼】「売上」は信頼の証し、「利益」は工夫の証し

もうすぐ2018年も終わりを迎えます。今年もさまざまなことがありました。中でも、9月に女優の樹木希林さんが亡くなったことは、私自身がファンだったこともあり、とても衝撃的な出来事でした。

独特の雰囲気を持っていた樹木希林さんは、さまざまな名言を残したとされています。私が忘れられないのは、あるインタビューで次のような趣旨の発言をしていたことです。

「自分のことを俯瞰(ふかん)して、自分が今、この世の中でどのくらいの位置にいるのかなというのを見誤らないようにしている」

樹木さんは、マネジャーを置かず、出演料の交渉も自分で行っていました。彼女は、先の言葉の通り、いつも自分がどのくらいの位置にいるかを見誤らないようにしているため、「出演料の交渉ほど簡単なものはない」のだそうです。

相手が提示した金額が少ないと思えば断り、過大に評価されていると感じれば、自ら、「そこまでの金額を出さなくてもよい」と言うこともあったそうです。言葉を選ばずに言うと、業界における自分の価値と、自分に付けられるべき「値段」を分かっていたということなのでしょう。

私は、「値段」とは、「支払う側が価値を認めてくれた信頼の証し」だと思っています。ビジネスでは、「売上」と言い換えてもよいでしょう。当社の「売上」は、お客様が当社の価値を認め、信頼してくれている証しではないでしょうか。

皆さん、いま一度振り返ってみてください。今年一年、皆さんは、お客様からの信頼に応える仕事、つまり「売上に値する仕事」をしてきましたか。お客様の立場に立ち、どのような対応や提案をすれば、お客様にとって一番良いのかを考え、行動に移そうとしてきたでしょうか。

また、ビジネスでは「売上」を見ているだけでは不十分です。「利益」のことも考えられるようにならなければなりません。「利益」を生み出し、そして増やすには工夫が必要です。誰と関わり、どのような進め方をすれば「利益」が今より増えるのか。無駄なこと、少しでも改善できることはないのか。「利益」とは、皆さんがそうして一つひとつの仕事に対して向き合うことで増えていくものなのです。

皆さんは今年、何か一つでも「利益」を生み出す工夫、増やす工夫をしましたか。ぜひ、上司や同僚と話をしてみてください。もし、工夫が足りなかったというなら、来年こそは工夫するよう心掛けましょう。

お客様が私たちにくれた「売上」という名の信頼。その「売上」に対し、私たちが工夫して「利益」を増やし、新しいビジネスや取り組みに投資して成長していくことこそ、お客様の信頼に応えることに他なりません。

「売上」は信頼の証し、「利益」は工夫の証しです。肝に銘じておきましょう。

以上(2018年12月)

pj16939
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】知人を招けるオフィスにしよう

おはようございます。今朝、管理職の皆さんに集まってもらったのは、来年に実施する当社のオフィスレイアウト変更に向けて、オフィスが持つ意味を真剣に考えたかったからです。

オフィスは仕事をするための場所ですから、そうした意味では、働く人にとって居心地の良い空間でなければなりません。そこで私や管理職の皆さんは、社員が働きやすいオフィスにしようと考えます。実際、当社のオフィスレイアウト変更もこうした経緯から出発しました。働きやすいオフィスを実現すれば、社員のモチベーションが高まることが期待できます。また、魅力的なオフィスをアピールできれば、人材の採用にもつながるかもしれません。

これは当社に限らず、多くの企業にとって重要なテーマになっています。私の知り合いの会社にも、卓球台を設置して自由な雰囲気を醸し出したり、机や椅子の機能性にとことんこだわったりしているところがあり、社員の評判は上々のようです。しかし、それはハードを整えたことによる一過性のものかもしれません。その場で働く人たちのマインドが伴っていなければなりません。

先日、ある有名なIT企業を訪問しました。サービスが優れていることはもちろん、遊び心満載のオフィスやリモートワークによる自由な働き方を実践していることでも知られる会社です。本当にすてきなオフィスだったのですが、印象に残ったのは取締役の意外な発言でした。

その取締役はこう言いました。「どれほどオフィスを奇麗にしても、社員はすぐに飽きちゃいます。リモートワークも実際は効率が悪いです。私はオフィスよりも別のところに投資したほうがよいと思っているのです……」。この発言を聞いた私は確信を得ました。オフィスレイアウトの変更は、ハードを整えるだけでは不十分で、そこに込める“想い”が重要であるということです。

「新しい酒は新しい革袋に盛れ」という言葉があります。解釈はさまざまですが、新しいことをしたければ、新しい環境が必要であると解釈することもできます。私は、レイアウト変更後のオフィスを新しい革袋とし、その中で新しい酒、すなわち新しい企業文化を育みたいのです。起点となるのは、既に皆さんに示している中期経営計画なので、今後も周知徹底していきます。

こうして、新しい革袋の中で新しい酒がなじめば、単なる奇麗なオフィスが整備された会社ではなく、奇麗なオフィスに負けない、社員がいきいき働く素晴らしい雰囲気を持った会社になると信じています。

私の知人に、数多くの会社の顧問を務める、良い会社の目利き役のような人物がいます。その人いわく、「良い会社の社員は躍動している」そうです。この知人を含め、たくさんの知人を招けるオフィスにしましょう。そこでは、皆さんが自由な発想で躍動しているのです。来年、我々は新しいオフィスで大きく成長します。

以上(2018年12月)

pj16938
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】私が皆さんを誇りに思う理由

先日、とてもうれしい出来事があったので、皆さんにお伝えします。当社の若手社員の話です。

彼は先日、あるビジネスコンテストに、会場設営や来場者を案内するボランティアスタッフとして参加しました。全国5000社の経営者や起業家の中から、選び抜かれた十数社のファイナリストたちが集う大会です。ビジネス界での注目度は非常に高く、来場者は2000人以上、審査員にも、著名な経営者や投資家、大学教授などが名を連ねていました。

もともと私はこのビジネスコンテストに興味を持っていましたが、主催している団体の理事からお願いされたこともあり、当社の社員を1人、ボランティアスタッフとして参加させることにしました。知見や人脈が大きく広がり、とても良い経験になると思ったからです。

私がまず、うれしかったのは、当社のある若手社員が、意欲的な気持ちで参加してくれたことです。彼は、私が参加希望者を募ろうと皆さん全員に呼びかけたとき、真っ先に手を挙げてくれました。普段は割と落ち着き払っており、「何事にもとても積極的」というわけではないその彼が、進んで手を挙げ、「ぜひ僕に行かせてください。他ではできない経験をして、会社の皆さんに伝えたいです」と言ってくれたのです。

そのことだけでも私は大いに感動し、彼のチャレンジを心から応援しようと思いました。しかし、話はそれで終わりではありませんでした。

私が皆さんにこの件を呼びかけたのは、大会の前々日という差し迫った状況でした。参加することになった彼は、他に幾つも仕事を抱えており、翌々日に丸一日かけてボランティアスタッフをやるには、無理をすることは必至でした。

しかし、彼の上司や同僚は、彼が参加したいと手を挙げたのを見てすぐに、「今抱えている仕事と納期、進捗状況を全部教えてくれ」と言って集まり、分担して彼の仕事を引き受けることにしたのです。彼が無理をせず、気持ち良くボランティアスタッフになれるようにするために。

私は、このことについて、何の指示も出してはいません。全て、彼の上司や同僚が自発的に行ったことです。それぞれに忙しい状況でしたが、工夫して少しずつ自分が負担する仕事を増やして、全員で彼をバックアップし、ボランティアスタッフとして送り出したのです。

ビジネスコンテストの裏方として懸命に働いた彼は、その翌日、記念にもらったというTシャツを着て出社してくれました。そして、周りに、いかに面白いビジネスがあったか、どのように素晴らしい方々と話すことができたかを喜々として伝えてくれていました。

新しいことに自ら勇気を持ってチャレンジしようとする若手社員がいる。そして、それを進んで応援し、バックアップしようとする上司や同僚がいる。私は、こうした皆さんを、心から誇りに思います。皆さん、本当にありがとう。

以上(2018年12月)

pj16937
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】感謝も不満も心の持ち方次第で決まる

最近、「ありがとうございます!」を聞く機会が減ってきたように感じます。私が、何かのきっかけになればと人を紹介したり、新たなサービスを付加してあげたりした際、相手は感謝こそするものの、「ありがとうございます!」と分かりやすい言葉で伝えてくることがあまりありません。もちろん、相手に恩を売るためだけにやっていることではないのですが、何だか物足りなく、そして悲しい気持ちになってしまいます。

「すみません」という言葉についても同じです。先日、取引先が納期ギリギリで、しかも完成度の低い仕事をしたため、当社がフォローをしなければなりませんでした。にもかかわらず、その取引先が「申し訳ございませんでした」と潔く謝罪することはありませんでした。謝罪してもらうことが目的ではないものの、気持ちをリセットし、すっきりとした気分で次に進むためには、謝罪による一区切りが必要だと思うのです。

私は幼い頃から、「『ありがとう』と『すみません』は人間の基本である」と教えられてきたので、なおさら今のような状況には違和感を覚えます。また、相手が「ありがとう」や「すみません」を言ってくれないことへの不満が募ると、こちらも「ありがとう」などと言うのをやめようという、ちょっと意地悪な気持ちになってしまいます。そうなると、「ありがとう」や「すみません」を言うハードルがますます高くなっていき、何となくギスギスとした関係になってしまうのです。

このようなことを考えて、悶々(もんもん)としていたとき、メンターと仰ぐある人の言葉で心の霧が晴れていくような気がしました。その言葉とは、「どのようなことでも、心の持ちようで捉え方は変わるものである。義理を欠いた言動があったとしても、それはあなたに『これをしてはいけないよ』と教えてくれているのだと考えれば、相手に感謝することができる。そして、心の中で『ありがとう』と言えばよい」というものでした。

心の持ちようによって、どのようなことにも感謝することができます。たとえ相手の態度が礼を欠くものだったとしても、そこから学ぶことができるのです。私たちは、意識して気持ちをフラットにしていないと、自分の固定観念によって、偏ったものの見方しかできなくなってしまいます。柔軟な考えを持つ人であるためにも、常に感謝の気持ちを忘れたくないと私は考えます。

皆さん、相手に何かをしてもらったら気持ちよく「ありがとうございます!」、こちらがミスをしてしまったら潔く「申し訳ございませんでした」と伝えてください。相手の態度に惑わされて、これらの言葉を伝えるハードルを上げてはいけません。

ただし、「ありがとうございます!」や「申し訳ございませんでした」という言葉を、単なる“音”として便利に使うだけでは気持ちは伝わりません。言葉に重みを持たせられるか否かは、日ごろの皆さんの行動次第なのです。

以上(2018年12月)

pj16936
画像:Mariko Mitsuda