株式会社ハッシャダイの「ヤンキーインターン」/杉浦佳浩の岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人 杉浦佳浩氏。ベンチャーの目利きである杉浦氏が、今回紹介する面白い会社は株式会社ハッシャダイです。

株式会社ハッシャダイのメーンサービスは「ヤンキーインターン」。自分の考えが固まりきらず、“就社”がゴールになっている人も多い中、たった一度の人生を大切にして、流されず、自立感を持って社会に出ていく若者を支援するサービスです。

同社の概要や、「ヤンキーインターン」に参加する若者を相手に講演して気付いた、ビジネスで本当に大切なことをまとめます。

1 株式会社ハッシャダイとのご縁

株式会社ハッシャダイのことは、私の20代の友人が同社に転職したことをきっかけに知りました。その友人は学生時代に同社でインターンとして活躍し、卒業後は別の会社で社会人生活をスタートしました。しかし、転職という形で同社に戻る道を選びました。

友人から株式会社ハッシャダイの事業概要を聞きながらホームページを見ると、そのインパクトに驚きます。まずは【Choose your Life】の文言から伝わる勢い、そして、画面右下に表示される「ヤンキーインターンに参加の方はこちらから!」というのも面白いです。

2 ヤンキーインターンの概要。そして株式会社ハッシャダイの理念とは?

1)若者の費用は負担なし

株式会社ハッシャダイのビジネスモデルについて詳しく見ていきましょう。「ヤンキーインターン」という響きから、なにか面白いことに出合えそうな予感しかありませんでしたが、詳細を聞くとさらにビックリします。まず、「ヤンキーインターン」の概要は次の通りです。

  • 対象は、中高卒の18~24歳で東京以外在住限定
  • 充実した座学と実践のカリキュラム
  • 参加無料

現在のところ、カリキュラムは6カ月のビジネスコースと、3カ月のハッカーコースの2つがあります。ここに二十数名が集っています(2018年7月現在)。地元を離れることで、今までの人生と全く違った人たちに出会い、大都会東京で濃密なビジネスに没頭する。しかも家賃、食費も負担してもらえ、(提携先企業での)仕事もある。地方の中卒・高卒の若者に、費用を負担させずに社会参加の機会を提供しているのが、株式会社ハッシャダイです。

「ヤンキーインターン」の提携先企業において若者たちが活動し、成果を出すことで株式会社ハッシャダイは収益を上げています。インターン終了後の就職や起業については副次的なものであり、このポイントでの収益化にはとらわれず、対象となる若者の自立にフォーカスしているのです。

2)仕事を楽しむ社会の実現

株式会社ハッシャダイのホームページには、「私たちが目指す世界とはハッシャダイが不要な世界です」という同社代表のメッセージが書かれています。非大卒に光が当たる時代。それが実現すれば、自分たちは不要となり、その時には解散する覚悟が感じられます。逆にいえば、そうなるまでは、“発射台”が必要であるというメッセージでもあるのでしょう。

2018年8月17日時点の株式会社ハッシャダイのホームページです。

仕事を仕事として変に区別するのではなく、大切な人生の一部として捉える。そしてヤリガイや楽しみを得るために仕事ができる人々を増やす。そうした理想を掲げて事業を行っているのだと感じられ、私も強く共感します。

3 講演を通じて感じた若者たちの熱くて真っ直ぐな思い

冒頭で紹介した友人から講演を依頼された私は、若者たちのエネルギーを感じたかったこともあり、二つ返事で講演を引き受けました。そして私は、ほどなく「ヤンキーインターン」に参加する若者たちと向き合うことになったのです。

講演の内容は、「私は人生でどのような選択をしてきたのか。どのような出会いが人生に影響を及ぼしてきたのか。仕事観、人生観等々」です。これらについて、私は“素”の状態で包み隠さずにお話ししました。
当日、私の入室を若者たちの大きく元気な声、声、声のアイサツが迎えてくれました。2時間対話をさせていただきましたが、元気と迫力が半端ではありませんでした。

以前から大学生の皆さんといくども対話する機会がありましたが、全員が私の目を見て頷き、積極的に質問してもらえることは珍しいものです。本当に皆さんからエネルギーをいただきました。少し、社会に背を向けているのかなと感じる若者もいましたが、それはそれで逆に生命力の強さを感じ、これから社会を変えていくのではと期待が込み上げてきました。将来が本当に楽しみです。

株式会社ハッシャダイのハッシャダイポーズの画像です

4 自分の人生への気付きが得られた

講演を通じて、私が何かを教えるというよりも、自分の人生を振り返る良い機会を得た感覚でした。私自身、中学生の頃から「大したことは何もないなぁ」と感じることがありましたが、その都度、一定の「選択」をしてきたからこそ今に至るのだと再認識しました。

講演後にいただいた感想文の中に、『今日の講演会で僕は、学歴もなく、知識もなく、根拠のない自信だけはありました。ですが、方向性が定まっておらず何からすれば良いのかわからないままだったのですが、色んなことに触れて、色んな知見を広げていくことの大事さを学びました』といったものがありました。この感想文を読み、私自身も「チャレンジ」や「経験」の大切さに改めて気付かされました。また、この他にもたくさんの熱い思いのこもった感想文をいただき、読んでいると自然に涙が出ました。

「人生いつでもこう思ったときがスタート」

そう気付けた株式会社ハッシャダイでした。

株式会社ハッシャダイ感想文1

株式会社ハッシャダイ感想文2

以上(2018年8月作成)

営業最強フレーズ集 番外編3 人事異動の有無を確認するときの一言

このプロジェクト、今の体制で必ず成功させましょう!

人事異動の恐怖……

営業担当者にとって、クライアントの人事異動は大きな関心事です。営業をテーマにした書籍などには、「クライアントの人事異動はピンチにもチャンスにもなる」と書かれています。しかし、多くの営業担当者の実感は、人事異動はピンチにつながることが多い、厄介なイベントといったものではないでしょうか。

考えてみれば当然のことです。営業担当者は相手との関係構築に腐心します。正直、苦手な相手もいます。しかし、営業担当者は何とかそれを克服して、良好な人間関係を築いてきているはずです。ところが、そうした努力が人事異動によって、一瞬にして水泡に帰してしまう恐れがあるのだから、たまったものではありません。

思い入れなし? 引き継ぎ不十分?

人事異動がピンチにつながる理由はさまざまあります。

例えば、人事異動によって着任してきた新任担当者には、現行サービスに対する思い入れがほぼありません。そのため、着任後の初仕事として、サービスの量や取引金額に大ナタを振るわれることがあります。

また、人事異動は新規プロジェクトが動き始める時期に重なることが多いため、「これから!」というタイミングで相手の担当者が代わり、もう一度、基本的なところからの擦り合わせを余儀なくされたり、方針転換を迫られることもあります。

人事異動を乗り越えろ

このように、営業担当者にとって人事異動には危険がいっぱいですが、営業担当者の力でこれを防ぐことはできません。

そこで、営業担当者が行うべきことは、人事異動の気配をできるだけ早く察知し、事前に体制を整えることです。そんなときに使えるのが今回の最強フレーズです。人事異動のタイミングで、今の体制に変更がないかを暗に確認することができます。

とはいえ、人事異動に関する情報はクライアントにとっても重要機密なので、正式な辞令が出る前に教えてくれることは、まずありません。関係がとても良好な場合でも、「私もこの部署が長いので、そろそろかな……」など、含みを持たせた回答をしてくれる程度でしょう。

周囲を固めて先手を打つ

人事異動の可能性を感じたら、何らかの理由をつけて、「ご挨拶に伺います。ぜひ、チームの方とも名刺交換をさせてください」などと持ちかけて、すぐに会いに行くのが理想的です。それが人事異動の直前のタイミングであれば、現行の担当者は何らかのシグナルを送ってくれるかもしれません。そして、味方である現行の担当者同席のもと、他のメンバーと名刺交換をして、面識を持っておきます。今の自社の努力を理解してくれる人物を一人でも多く持つことは、クライアントの人事異動への備えとして、とても大切なことです。

以上(2018年8月)

pj70086
画像:Mariko Mitsuda

営業最強フレーズ集 番外編2 キーマンを味方につけたいときの一言

御社の意向に沿って進めたいので、お考えをお聞かせください

敵か味方かはっきりしない……

ビジネスでは、1つのクライアントに対して複数の企業が同時に提案をする「一対多」の状況になることがよくあります。

こうした状況で、自社が提案する側の1社になった場合、他社との関係性によって取り得る行動は変わってきます。例えば、他社と敵対関係にある場合の対応は比較的単純で、選択肢は「戦う、撤退する、協業を持ち掛ける」に絞られます。一方、共同提案する予定ではあるものの、過去に取引実績がない、担当者の言動に違和感を覚えるなど、いまひとつ信頼できない相手の場合、対応が難しくなります。

自社が有利にビジネスを進めるために、営業担当者はどうするべきでしょうか?

まずは陣地を決めてしまう

相手に疑念を抱くのは、相手に出し抜かれて自社が損をするのではないか、相手はパートナーとしてしっかり仕事をしてくれるのだろうかと感じるからです。

この問題を解決するための最もシンプルな方法は、役割分担を決めてしまうことです。そのために、営業担当者は「業務が重複するといけないので、お互いの役割を決めたほうがよいですね」と相手に持ち掛けましょう。この際、契約書を交わして責任の所在についても明らかにしておきます。

この場合の役割分担とは、陣地と統治権を決めることであり、話がまとまれば、他社に出し抜かれることは回避できます。

クライアントを味方につける

さらにビジネスを有利に進めるために、クライアントを味方につける努力をしましょう。

複数の会社が集まると、それぞれの利害が衝突し、なかなか話がまとまらないものですが、この状況を逆に利用してしまうのが今回の最強フレーズです。これを、「私(自社)は御社(クライアント)のことを考えており、今の状況を何とか打開して前に進めたいと願っている」という思いとともに伝えるのです。

クライアントには、「この営業担当者は全体のことをよく考えてくれている」と映り、うまくいくと、プロジェクトリーダーを任せてもらえることもあります。

クライアントとの関係が大切

ただし、この最強フレーズは、クライアントと信頼関係が築けている営業担当者しか使ってはいけません。そうでないとクライアントから、「この営業担当者は他社を出し抜こうとしているのか?」と、悪い印象を持たれてしまうことがあります。

それからもう1つ。他社も今回の最強フレーズを使う可能性があります。その結果、クライアントが他社をプロジェクトリーダーに指名したら、条件次第ではありますが、素直に従ったほうが得策です。全体を仕切ることはできなくなりますが、あらかじめ陣地を決めているので、その分の収益は確保できるからです。

以上(2018年8月)

pj70085
画像:Mariko Mitsuda

営業最強フレーズ集 番外編1 年末年始休暇に入る前に掛けておきたい一言

来年も、御社にとっても弊社にとってもさらに良い年にしましょう!

「年末のご挨拶に……」の時期が来た

月に一度、お客様と連絡を取ることをルールにしている営業担当者は少なくありません。お客様とコミュニケーションを取り、刻々と変化するニーズを捉えるためには、メールだけのやり取りではなく、実際に直接会話をすることが大切です。

特に必ず連絡を取りたいのは、4月や10月といった期の変わり目や、年末年始休暇など長い休みに入る前です。4月や10月に連絡をするのは、人事異動の有無やお客様の方針を確認するためです。年末年始休暇の前に連絡するのは、1年の感謝の気持ちを伝えるとともに、“来年のこちらの行動を宣言する”という意味があります。

“年明けスタートダッシュ”を宣言する

通常、3月決算の企業は年末から2月頭にかけて、予算取りを行います。つまり、こちら側の提案が通るかどうか、ある程度の感触はこの時期に分かります。

確度が高いときは、相手の上層部からの差し戻しなどに備え、最後の詰めに入ります。一方、確度があまり高くないときは、相手の予算取りまでの時間を考慮しつつ、こちらとして提案を継続するか、来年度に持ち越すかを決定します。

いずれにしても、年末年始休暇の前に年明けのこちらの活動を宣言しておきます。そして、年明けに「年末にお伝えしていた件ですが」と連絡すれば、いきなり営業の本題からスタートすることができます。

営業担当者の願いを一言に込める

とはいえ、年末年始休暇の前は相手も忙しいので、長々と説明するのは得策ではありません。また、行事が盛りだくさんな年末年始を挟むと、相手がこちらの話の内容を忘れてしまうかもしれません。

それでもなお、「長い休みに入っても、あなた(の会社)のことを忘れずにちゃんと考えますよ」ということを印象付けておきたい……。こうした営業担当者の願いを込めた一言が、冒頭で紹介したフレーズです。互いにWin-Winになる良い提案をし、それを実現したいという前向きな言葉で締めくくっておけば、相手も気持ちよく“宣言”を受け止めてくれるでしょう。

来る20XX年は……

ここで重要なのは、前向きな言葉を使うということです。誰しも、1年の終わりは気持ち良く締めくくり、来る新年を新たな気持ちで迎えたいと思うものです。

1年の間には、さまざまな出来事があったことでしょう。中にはトラブルもあったかもしれません。たとえどのようなことがあっても、自分の会社と関わりを持ってくれた相手には、感謝の気持ちを伝え、気持ち良く新しい年を迎えてもらうようにしなければなりません。それが、会社を代表して相手と話をしている営業担当者の重要な役割といえるでしょう。

20XX年。本稿を読む全ての営業担当者にとっても良い年にしましょう!

以上(2018年8月)

pj70084
画像:Mariko Mitsuda

営業最強フレーズ集 困ったとき編3 「担当者間で握っておこう」と言われたときの一言

その件、論点を整理したいのでメールで送っておいてください

営業担当者の「外交機密」

ビジネスでは、契約書には定められていない条件に基づいてサービスが提供されることが意外と少なくありません。同様に、本来ならば契約書の疑義事項に該当し、正式な協議が必要であるところを、双方の担当者が暗黙の了解で条件を取り決めているケースもあります。

以上は、俗にいう「担当者間で握っている」、つまり「担当者間で独自の運用をしている」状態です。

文書にすると仰々しいことですが、営業の現場で担当者やごく一部の関係者しか知らないルールは無数に存在します。ベテランの営業担当者になると、相手の上司の合意が得られるか微妙な条件は明文化せず、担当者レベルの「握り」を前提に商談を進めることだってあるのです。

「握り」は時に必要か?

「そこを握っておかなければビジネスが前に進まない……」というケースは少なくありません。それが社会や会社のルールに反する内容であってはいけませんが、“柔軟な運用”といえるレベルであれば、ビジネスをスムーズに進めるために仕方のないことだともいえます。

もし、相手から「握り」を持ち掛けられたら、条件はもちろんのこと、担当者の人間性までよくよく考えて対応を検討するようにしましょう。少しでも迷ったら、上司に相談することも忘れてはなりません。

備えは怠らない

相手と「握る」ことになっても、口約束しかしていない状態は問題です。その時はよいかもしれませんが、ビジネスは、いずれ必ず見直しが入ります。また、わずか数カ月後に人事異動があり、担当者やその上司が変わることだってあります。

このようなとき、握っている事柄に注目が集まると、「いつ、誰が、どのように決めたんだ?」ということが必ず議題に上ります。こうなった時、口約束だけではきちんと経緯を説明することができず、信ぴょう性もありません。

そこで、相手から「握り」を持ち掛けられたときに実践したいのが今回の最強フレーズです。このフレーズを使い、メールの平文であっても、「握り」の内容を形に残しておくのです。

基準を持つ

柔軟にやり方を変えることで、ビジネスがスムーズに進むことはよくあります。特に営業には、臨機応変な姿勢が強く求められます。

ただし、柔軟に運用することと、ルールに違反することは全く別です。相手からルールに違反する「握り」を求められた時は、きっぱりと断る強さも持たなければなりません。断りのフレーズには、「それは当社としてはお引き受けしかねます。次回、上司も同席の上、ご相談させてください」といったものがあります。

以上(2018年8月)

pj70083
画像:Mariko Mitsuda

営業最強フレーズ集 困ったとき編2 既存のお客様から減額要請を受けたときの一言

とても残念です。なぜ、当社がこうしたお話を受けるのですか?

減額要請された営業担当者は……

営業活動は良い話ばかりではありません。中でも営業担当者が“ビビる”のは、既存のお客様からの減額要請です。

減額要請を受けたとき、法人営業の営業担当者は真っ先にこう考えます。「減額要請に従わなければ、今後は契約を解除されてしまうかもしれない」。

次は何が原因だったのかに思いを巡らせます。「お客様が不満に思うことを何かやってしまったのだろうか……」。

そして、この問いかけは、真面目な営業ほど思い当たる節が多いのは皮肉なものです。なぜなら、真面目に営業をしていればお客様と接する機会が増え、接する機会が増えれば要望をたくさんもらうようになります。ビジネスなので、そうした中には十分にお客様の要望に応えられない事案もあります。これが減額要請の原因だと思い込んでしまうことがあります。

減額要請には理由がある

お客様が減額要請をしてくる背景は2つです。1つは言ってみただけといった類いのもので、もう1つはお客様のほうで全社的なコスト削減を進めているなど明確な理由があるものです。

いずれにしても、理由を聞かずに減額要請を受け入れるようでは失格です。減額要請を受け入れるべきか否かを検討するために使えるのが、冒頭で紹介した営業最強フレーズです。

自信を持って正面から向き合う

最初に「とても残念」と伝えるのは、「普段、きちんとサービスを提供しているのに、減額要請を受けるなんて心外だ」という思いを伝えるためです。真面目な営業担当者が口にすれば効果てきめんなこともあります。お客様が言ってみただけの場合、逆に「失礼なことを言ってすみませんでした」と謝罪してくることもあります。

一方、相手に明確な理由がある場合は、それを聞き出しやすくなります。こちらがビビらずに真正面から向き合えば、お客様もそれに応じなければならないと考えるからです。

減額要請を受ける理由として多いのは、全社的にコスト削減を進めている、他社が割安なプランを提案してきている、そもそもサービスにそれほどの価値を感じなくなった、といったものでしょう。

仕方がない場合もある

ビジネスなので、明確な理由がある減額要請は受け入れざるを得ないこともあります。ここで妙な交渉をすると、本当に契約が無くなることもあります。

また、減額要請の際はお客様の不満点や不足点を聞き出すチャンスです。それを解消するような新しい商品・サービスを提案すれば逆に喜ばれ、結果的に増額になる可能性もあります。営業の現場では、ピンチとチャンスは隣り合わせであることを忘れてはいけません。

以上(2018年8月)

pj70082
画像:Mariko Mitsuda

営業最強フレーズ集 フォロー編2 疎遠なお客様に“御用聞き”したいときの一言

最近他社では○○と聞いたのですが、御社ではどのようにご活用されているのでしょうか?

ニーズを聞き出す“御用聞き営業”

お客様が来年度の予算取りを始めるこの時期は、新しい提案をする絶好のタイミングです。提案をしっかり検討してもらうためには、お客様の状況やニーズを、きちんと把握しておかなければなりません。そのために必要なのが、“御用聞き営業”です。

御用聞きとは、お客様の注文を聞いて回って受注することをいいます。以前は百貨店から酒屋まで御用聞きを行っていましたが、ビジネススタイルの変化とともに、最近はあまり聞かなくなってきました。

しかし、お客様と定期的にコミュニケーションの機会が持てる御用聞きは、むしろ現在にこそ求められるのかもしれません。

疎遠なお客様の本音は……

最近、疎遠になっているお客様はいないでしょうか。そうしたお客様は、営業担当者のことをあまりよく思ってはいないかもしれません。お客様は、「最初はあれだけ熱心に連絡してきたのに、取引がスタートしたら途端に連絡をしてこなくなった。釣った魚に餌をやらないということか」と感じているかもしれないからです。

一方、このようなお客様であっても、この時期には連絡してみたいと思うのが営業担当者の性(さが)というもの。疎遠な分、もしかすると、新しいニーズが生じているかもしれないからです。そのようなときに使ってみたいのが、今回のフレーズです。

新しい情報で話を引き出す

疎遠になっているお客様に御用聞きするときは、お客様にとってプラスになり、かつお客様のニーズを聞き出しやすい、新しい情報を用意しましょう。

「お客様の同業他社の最近の動向」などは、お客様にプラスになりやすい情報です。

また、同業他社の具体例を挙げれば、「やっぱり他社もそうなんだ。実はうちでも……」と、お客様のニーズにつながる話を引き出せるかもしれません。そこには、きっとアップセルのチャンスもあるでしょう。時には、こちら側が思いもよらないニーズを聞けるかもしれません。

節目には疎遠なお客様にも御用聞き!

「何かご注文はありませんか?」と聞くだけが“御用聞き営業”ではありません。お客様の話を聞いて事例を集め、その中からお客様に関係しそうなことを伝え、お客様の潜在的なニーズを明らかにして“注文を取る”。これが“御用聞き営業”です。

できるだけお客様とは疎遠にならないようにしたいと営業担当者は思いますが、時間には限りがあるもの。どうしても密に連絡を取れないお客様も出てきます。疎遠になったお客様に対しては、期首や期末、年末年始などの節目は連絡するチャンスです。新しい事例を携えて、“御用聞き営業”にチャレンジしてみましょう。

以上(2018年8月)

pj70080
画像:Mariko Mitsuda

営業最強フレーズ集 フォロー編1 契約がスタートしたときに伝える一言

これから、より一層、全力を尽くします!

ほっと一息。しかし、油断は禁物!

「商談をつつがなく成立させ、契約をまき、入金がある」。営業担当者にとって何事にも代え難い至福のときだといえるでしょう。

同僚と飲みに行ったり、定時に帰宅して家族に喜びを報告したり、一人カフェで感慨にふけったりと、この幸せな時間の過ごし方は人それぞれです。

何事にも区切りが大事です。営業活動が一段落したこの時期、しっかり休んでリフレッシュすることは、次も良い仕事をするために不可欠だといえるでしょう。

ただし、油断は禁物です……。

「商談成立」前後の局面の変化

ここに至るまでの間、営業担当者はお客様のことを考えに考え抜いてそのニーズを探り、こちらの話を聞いてもらうための関係作りに努めてきたはずです。

お客様も同じです。これからお付き合いするかもしれない相手(自社のこと)とギクシャクするのは得策ではないため、好意的に接し、良い関係を築こうとします。

お互いが歩み寄る商談の場では、良い意味で“なぁなぁ”の取り決めもあったでしょう。前に進むために、担当者同士で“握っておく”こともあるからです。

しかし、一度商談が成立すると状況は一変します。なぜなら、局面は交渉から契約の履行に変わったからです。

真摯な姿勢をアピールしよう

当然のことですが、商談の成立後にお客様が求めるのは、契約通りのサービス提供と、きめ細かなアフターフォローです。場合によっては、こちら(自社のこと)の姿勢が厳しく管理されることもあります。

にもかかわらず、営業担当者がいまだに喜びに浸ったままの状態だと、「おいおい、大丈夫か?」とお客様は不安になります。

こうしたことが無いように、お客様に伝えておきたいのが今回のフレーズです。「ありがとうございます!」と感謝の気持ちを伝えた後に、「ここからがスタートですね。これまで通り、密に連絡を取り合いましょう」と続けて、こちらが緊張感を切らしていないことを伝えるのです。

本当の戦いはこれからだ!

今回、新たに獲得できたお客様は、これまでどこの会社と取引していたのでしょうか?

もしかすると、同業他社と取引していたところに自社がうまいこと食い込んで、リプレイスできたのかもしれません。これはうれしいことです。

ただし、自社がサービスを提供する立場になった瞬間から、今度は同業他社に狙われることになります。同業他社の営業をかわし、お客様と長期にわたる関係を築くためにアフターフォローは不可欠です。そして、それは商談成立直後のフレーズから始まっているのです。

以上(2018年8月)

pj70079
画像:Mariko Mitsuda

営業最強フレーズ集 クロージング編4 成約できた! そのとき、すかさず尋ねる一言

どの点を一番ご評価いただいたのでしょうか?

成約が取れたその瞬間から……

「やった!成約できた!」。クロージングの場面で相手から、「導入することに決めました」と言われたそのとき、営業担当者のテンションは一気に上がります。成果を素直に喜び、相手と、支えてくれた周囲の人々に感謝しましょう。

ただし、浮かれてばかりはいられません。相手(相手の会社)との関係は、今まさに、ここがスタート地点。しっかり関係を築き、長く取引をしてもらえるようにするのも、営業担当者の大切な役目です。

そこで、営業がうまくいったときは相手に感謝の気持ちを伝えた後で、すかさず冒頭で紹介した最強フレーズを使ってみましょう。そうして成約が取れたその瞬間から、相手のニーズをヒアリングするのです。

“ラブラブな状態”のチャンスを生かす

相手も「導入することに決めました」という良い返事をするときは、営業担当者が喜んでくれるので、断る場合に比べ気持ちがいいものです。

しかも、じっくり考えたり上司に説明したりした直後なので、相手の頭の中には、プレゼンした内容が鮮明に残っています。営業担当者とも気持ちが近づいている“ラブラブな状態”ともいえるでしょう。

そうしたときこそ、相手から、「気に入っている点」や、「将来的にはもっとこうしたい」という今後のニーズを聞き出すチャンスです。

“関係強化ツール”になる

相手が教えてくれた「気に入っている点」「今後のニーズ」は言わずもがな、相手との関係を強化するのに役立ちます。

例えば、今後、相手が気に入っている点に関する情報を、「お耳に入れておきたいことがあります」と伝えることができます。相手は「この営業担当者は自分を大事にしてくれる」と感じてもらえるでしょう

アップセルにも生かせます

もちろん、相手の「気に入っている点」「今後のニーズ」はアップセルの提案にもつながります。

もっというと、アップセルに向けた提案の結果がどうであれ、「継続して提案する」という姿勢そのものが大切です。「釣った魚にエサはやらない」のでは、相手はいつか離れていってしまいます。「導入時にご評価いただいた点をさらに強化するご提案を持ってまいりました」と言えるよう、成約が取れた今のうちから種をまいておきましょう。

どこまでも続く道をつくろう

営業活動は「売ったら終わり」ではありません。売った瞬間がスタート、そこから“道”が始まります。どこまでも続く長い道にするのか、すぐに行き止まりになってしまうのか。全ては営業担当者の“腕次第”と心得ましょう。

以上(2018年8月)

pj70078
画像:Mariko Mitsuda

営業最強フレーズ集 クロージング編3 最終的に断られたとき、付け加えたい一言

参考までにお聞かせください。どこが一番ネックになったのでしょうか?

へこんでばかりはいられない

もうすぐ上期も終わります。そろそろ、成果が上がったもの、そうでないものと、上期の営業の成否が出てくる頃でしょう。

これまで紹介した最強フレーズを使っても、残念ながらうまくいかない場合もきっとあります。検討してもらった結果、最終的に断られると営業担当者としては意気消沈するでしょう。

断られてしまうのは残念なことですが、そこから学べることもたくさんあります。営業担当者なら、「凹んで終わり」ではなく、成果が上がらなかったことを、次の“営業の肥やし”にしましょう。

そういう意味で使えるのが、冒頭で紹介した最強フレーズです。クロージングのときには、こうしたフレーズを使って“次に生かす”ことも考えてみましょう。

相手が断る理由はさまざま

断られたことを次に生かすには、「相手が断る理由」がポイントです。これを相手に尋ねるのには、2つの意味があります。

1つ目は、「他の営業先に使える」ことです。相手が断る理由はさまざまです。「予算が下りなかった」「タイミングが合わなかった」「プレゼン内容が、イマイチ、ニーズに応えていなかった」「(相手の)上司の壁を突破できなかった」。こうした理由は、他の営業先に当てはまることも少なくありません。

他の営業先に生かすには

相手が教えてくれた「断る理由」を踏まえて、他の営業先には、次のような対策を取ると結果が変わってくるかもしれません。

「おおよその予算と、予算取りの時期をあらかじめ確認する」「プレゼンした後も、相手のニーズから外れていないか何度か連絡をして確認する」「相手が社内でどのように話を進めているか、途中経過を確認する」など。

例えば「タイミング」が理由だったら?

相手に「断る理由」を尋ねるもう1つの意味は、同じ相手に対して、「次回からの営業に使える」ことです。

例えばタイミングが合わなかったからという理由だったら、「今度からは○○様にタイミングよく新サービスをご案内したいと思っています。例えばどのようなタイミングがよろしいですか?」、あるいは「それでは、次回からは次年度の予算を決めるタイミングでご案内できればと思います。その時期はいつごろですか?」と尋ねてみましょう。

一度断られてからが本当の営業スタート

確かに今回は断られたかもしれませんが、少なくとも「相手とやり取りをした」という実績は残ります。新規の営業であれば特に、相手との関係はまだ始まったばかりなのです。

「一度断られてからが本当の営業スタート」くらいの気持ちで、少しでも相手の社内の状況をつかみ、次に生かしましょう。

以上(2018年8月)

pj70077
画像:Mariko Mitsuda