【朝礼】苦手なことほど、ブランクを空けず実践してください

私事ですが、最近、ピアノ教室に通い始めました。子どもの頃に習っていたのですが、高校生になってからやめてしまったので、実に30年ぶりにピアノを練習しています。

再びピアノに挑戦してみてショックだったのは、楽譜の読み方や指の動かし方を、すっかり忘れてしまっていたことです。子どもの頃に体で覚えたことなので、何回か教室に通う中で勘を少しずつ取り戻しつつありますが、まだ完全に思い出したわけではありません。間違ってばかりです。やはり、長い期間のブランクがあると、勘も腕も鈍ってしまうのだと実感しています。

プロのピアニストでも、1日ピアノに触れないだけで調子が出なくなってしまうといいます。他の楽器でも、きっと同じでしょう。

勘や腕が鈍るという感覚は、ビジネスでも同じことだと思っています。日ごろから実践していないと、いざやろうとしても、うまくできなくなってしまうことがあるのではないでしょうか。

分かりやすいケースでいえば、「声を出すこと」です。日ごろ、挨拶をしないでいたり、何か問い掛けられてもリアクションを取らないでいたりすると、声をなかなか出せなくなります。声を出さないでいるのが普通になるため、周囲にアナウンスすべき大切なことも、おっくうになって伝えられなくなるのです。私が普段、皆さんに「声を出すように」と繰り返し伝えているのは、こうした状態に陥ってほしくないからです。

また、「お客様と話すこと」も同じです。普段からお客様に電話をして直接話を聞いたり、当社の商品の説明をしたりしていれば、どのように質問や説明をすればよいのか、どのようなキーワードが響くのかといったことが蓄積されていきます。さらには、「何曜日の何時ごろに連絡すると話が聞きやすい」といったことも分かるようになります。日々実践することで、勘や腕が磨かれるともいえるでしょう。

しかし、ブランクがあると、いざ連絡を取ろうとしても、どのようにコミュニケーションを取ればよいのか分からなくなります。お客様と接するのが怖いといった意識が芽生え、必要以上に身構えてしまいます。皆さんの中にもお客様と話すのが苦手という人がいますが、苦手意識があって避けているため、余計にできなくなっているように思えます。

私の知っている経営者は、この状態を、「必要な『筋肉』を日ごろから使っていないと、その『筋肉』は動かなくなる」と表現しています。「声を出す」「お客様と話す」といったことを実践するための「筋肉」は、日ごろから使わないと、動かなくなってしまうということでしょう。

逆に言えば、毎日実践していれば、動かなくなるのを防げます。例に挙げた「声を出すこと」「お客様と話すこと」が苦手な人は、今日から少しずつでいいので実践してみてください。勘も腕もきっと磨かれていくでしょう。

以上(2019年4月)

pj16955
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】あなたは、どのようなことができる人ですか

先日、ベンチャー企業の経営者や起業家が、自分たちのビジネスについてプレゼンを行うイベントを見学してきました。このイベントはマッチングや資金調達が主な目的で、大企業の新規事業担当者やベンチャーキャピタリストなど、数多くの人たちがプレゼンを聴きに来ていました。

会場は熱気にあふれ、プレゼンターも聴き手も本気度が高く、聴いていて胸が躍る素晴らしいイベントでした。私が特に印象に残ったのは、多くのプレゼンターが、「チームメンバーの紹介」に時間を割いていたことです。

持ち時間は1人5分間で、決して長い時間ではありませんでした。しかし、その短い時間の中で、「具体的にどのようなことができ、どのような活動をしているメンバーがいる会社なのか」ということがよく分かるプレゼンが多かったのです。中には、今後の事業展望よりも、チームメンバーのことを熱く語って終わる人もいたくらいです。

プレゼン後の交流会で、私はプレゼンターの1人に、なぜ、チームメンバーの紹介にこれほど時間を割くのかを尋ねてみました。すると彼はこう答えたのです。

「正直なことを言えば、今後、外部環境などによって事業内容は変わっていくかもしれない。それでもいいと思っている。それよりも、何ができるメンバーがいて、それぞれが日ごろどのような活動をしているか。会社の実力を知ってもらうには、それを伝えることのほうが大切だ」

私はこれを聞いて、最近、仕事で出会った海外のビジネスパーソンたちのことを思い出しました。人にもよるのでしょうが、彼らは、自己紹介をするときに、会社名を先に名乗ることはほとんどありませんでした。まず自分の名前を、次に「私はこのようなことができます」「私が現在やっていることはこれです」と自己紹介をするのです。そのため、私は一人ひとりを、会社名ではなく、「何ができる人か」で覚えました。

日本人の場合は、逆です。最初に会社名を名乗り、お互いに会社名を覚えます。具体的に何ができる人かは、よく分からないままということが少なくありません。私も、海外の方に会社名を名乗ったら、すぐに「あなたは何ができるのか」「何を実現しているのか」と質問をされました。

皆さんは、どうでしょうか。社外の人に、どのように自己紹介をしていますか。「自分はこれができる」と明確に言うことができるでしょうか。

そう言えるようにするためには、得意分野を持ち、それを突き詰めることが必要です。しかも、社内だけでなく、社外でも通用するくらいでなければなりません。

私は皆さん一人ひとりに、「自分の得意分野はこれだ」と言えるものを持ってもらいたいと思っています。「能力の肩書」といってもいいでしょう。皆さん、新年度を迎えた今こそ、「自分は何ができるのか」を改めて自分に問いかけてみてください。

以上(2019年4月)

pj16954
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】居心地のよい場所から一歩踏み出せ

「マズローの欲求5段階説」を知っている人は多いでしょう。人間の欲求は、下のほうから「生理的欲求」「安全への欲求」「社会的欲求」「尊敬への欲求」「自己実現の欲求」の5つであり、次々と上のほうの欲求を満たしたくなるという説です。例えば、「生理的欲求」が満たされた人は、「安全への欲求」を満たしたくなるということです。

欲求5段階説は、社員のモチベーション管理でもよく応用されています。最も基本的なのは、「出世によって社員の尊敬への欲求を満たし、さらに大きな権限を与えて社員がやりたいビジネスを支援する、つまり自己実現の欲求を満たす」というものです。

ただし、これらは会社が設定するモチベーションアップの枠組みです。この枠組みの中にいれば、放っておいてもある程度の出世をし、権限も与えられるので、枠組みの中にいる人にとっては居心地がよいかもしれません。しかし、その状況に甘んじ、努力をしなければ成長はありません。

先日、私が面接官を務めた中途採用の面接で、経営戦略や財務の基礎さえも理解していない中年の求職者と会いました。その求職者を、仮にAさんとしましょう。「いかに人材不足とはいえ、これでは採用は厳しい……」というレベルです。それなのにAさんが私との面接までたどり着いたのは、Aさんの経歴が決して悪くないからです。面接の場でも、「プロジェクトを任されていました」と、悪びれずに言っていました。

戦略を立てられず、損益も計算できないAさんが、どうやってプロジェクトを回せたのでしょうか。チームの他のメンバーが優秀だったのか、プロジェクトがとても簡単だったのか……。Aさんと話をして私が得た答えは、Aさんも、Aさんにプロジェクトを任せた上司も、Aさんが勤めていた会社も、その時点で自分たちが行っているビジネスや、その進め方をバージョンアップできることに気付いていなかったということでした。

私はAさんを非難するために、この話をしているわけではありません。皆さんに、「会社も社員も、自ら常にバージョンアップしなければならない」ことを分かってほしいのです。そうしないと、私たちは「井の中の蛙(かわず)」になってしまいます。「井の中」にいれば、欲求5段階説で示された欲求は、高いレベルで満たされるかもしれませんが、それでは小さくまとまるだけなのです。

人間の欲求は際限がないといわれます。一方、人間は慣れる生き物でもあります。疑問や不満、不安を解決したいという欲求があっても、いつしかその状態に慣れ、「特別に努力する必要もなく、楽で居心地がよい場所」に感じるでしょう。そのうち、こうした“ぬるま湯のような居心地のよさ”から抜け出せなくなってしまいます。

居心地がよい場所に長居は無用です。居心地のよい場所から一歩でも外に出れば、これまで知らなかった世界が広がっていることに気付きます。そこにたどり着く努力をしてください。

以上(2019年4月)

pj16952
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】新入社員に伝えたい「冷静な頭脳と温かい心」

新入社員の皆さん、当社に入社してくれてありがとうございます。ここにいる皆さんは、新しい生活への期待に胸を膨らませていることでしょう。そこで今日は、皆さんに、これからの社会人生活で大切にしてほしいことをお話しします。

皆さんは、これから先、どのような社会人になりたいと考えていますか。私は、皆さんに、何事に対しても、「自分はこうしたい」「これがやりたい」という意志を持ち、自分で物事を決めていける人になってほしいと思っています。自分の意志で、「自分事」として取り組めば、どのような仕事でも、必ず、面白くやりがいのあるものになるからです。

しかし、ビジネスについて知識の少ない皆さんは、「自分はこうしたい」「これがやりたい」ということが、まだ考えられないかもしれません。そこで、皆さんにお願いしたいのは、「冷静な頭脳と温かい心」を持つことです。

この「冷静な頭脳と温かい心」は、イギリスの経済学者であるアルフレッド・マーシャル氏が、「経済学者に必要なもの」として示したものです。経済学には、物事を冷静に、理論的に分析し、把握する頭脳が必要。そして、世の中の人を思いやり、皆の生活を良くしようという温かい心も忘れてはならない。こうした意味が込められています。

仕事も同じです。「自分はどうしたいか」を考える土台として、まず、ビジネスを分析し、把握する力が必要です。これが、「冷静な頭脳」です。

皆さんが「冷静な頭脳」を身に付けるには、必死で勉強するしかありません。ビジネスはどのような仕組みで動いているのか。商品やサービスがどのようにつくられ、どのようにして売り上げが上がり、利益が生み出されるのか。本を読み、ニュースや新聞で情報収集し、上司や先輩の話を聞いて、ビジネスの基本をしっかり学んでください。皆さんの社会人生活は、学ぶことから始まります。

そして、忘れてならないのは「温かい心」です。「自分はこうしたい」「これがやりたい」ということを決めるときは、「どうすれば世の中の人のためになるか」ということを軸にしてもらいたいのです。皆さんには、当社がどのような会社に見えるでしょうか。会社なので、もちろん利益は追求しますが、それだけではありません。当社は、世の中を、人々の生活を、今よりももっと良くすることを本気で考える会社です。このことを、常に忘れないでいてください。

私は高校時代、授業で経済学者マーシャル氏が示した「冷静な頭脳と温かい心」のことを聞き、雷に打たれたような衝撃を受けました。それまで考えたこともない視点だったからです。そのとき、自分が社会に出る際には、「冷静な頭脳と温かい心」を持ち、世の中を良くすることを本気で考え、実践しようと決心しました。

皆さんは、今日から当社の大切な仲間です。一人ひとりが「冷静な頭脳と温かい心」を持ち、一緒に世の中を良くしていきましょう!

以上(2019年3月)

pj16951
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】時には、「泥臭く」なりなさい

先日、ある経営者と話をした際のことです。以前から彼のビジネスに取り組む姿勢には大いに刺激を受けているのですが、改めて感動したことがあるので、皆さんと共有します。

その経営者は、ブロックチェーンやAIといったテクノロジーに非常に強く、多くのエンジニアを抱え、法人向けに最先端のサービスを提供する会社を経営しています。今回、新しいサービスの構築にチャレンジすることにしたそうで、そのことを私に語ってくれました。

私が改めて感動したのは、新しいサービス構築のために、彼が「面倒なこと」をいとわず、地道に、いうなれば「泥臭く」取り組んでいたからです。彼は全国の関連する業種の会社にアポイントを取って訪問し、どのようなサービスであればユーザーの役に立つのか、一社一社、ヒアリングして回ったのです。それだけではありません。自分たちのテクノロジーをより一層磨こうと、国内外を問わず、第一人者とされる著名な大学教授やエンジニア、起業家に会いに行って教えを乞い、議論し、サービスの質向上に努めていました。時には、3日連続して飛行機の中で夜を明かすほど、経営者自らが世界中を動き回っていたのです。

彼は私に言いました。「このサービスにおいては、ユーザーから、自分たちのものが一番だと言われたい。そのためには、どこの会社よりも、誰よりも、実際に人に会い、話を聞くのは当たり前。私は当たり前のことを実践しているだけです」

皆さんはこれを聞いてどのように感じますか。これまで会ったことのない人や、会ってもらうのが難しいような人に会う段取りをして、実際に会いに行き、話を聞くのは、簡単にできることではありません。なかなかうまくいかないことも多いでしょうし、時間も労力もかかります。要するに、非常に「面倒なこと」なのです。

こうした「面倒なこと」に、どれだけ真摯に、地道に粘り強く取り組むことができるか。大勢の人が「そうした努力にこそ価値がある」のだと分かっているとは思いますが、実際に取り組むことができている人は、そう多くはないでしょう。

皆さんはどうですか。誰にも負けないくらい、「面倒なこと」に地道に取り組んだと胸を張って言えることがありますか。

時と場合にもよりますが、私は、仕事をするなら、一度くらい「面倒なこと」に、苦労して泥臭く取り組むことが必要ではないかと思っています。そうすることで初めて、仕事をする意味や、お客様から感謝されることの喜びを心から実感することができるからです。

冒頭で紹介した経営者の会社には、貴重な情報やノウハウが蓄積されています。「面倒なこと」に地道に取り組んだため、他では手に入れられないものが、集まっていったのでしょう。皆さんも、時には、地道に、泥臭く仕事に取り組むことを意識してください。きっと、皆さん自身の人生にも、大きな価値が生まれるでしょう。

以上(2019年3月)

pj16950
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】新年度を迎える前に一人ひとりに考えてほしいこと

もうすぐ新年度を迎えます。皆さんは、どのような新年度にしていきたいですか。今日は皆さんに、当社が新年度からどのようなことに取り組むかを伝えますので、それを踏まえて、各自、新年度に自分が何をしていくべきかを考えてみてください。

当社は新年度から、さまざまな変化を実現していくことになります。例えば、これまで温めてきた新規事業をいよいよ形にします。営業面でも、既存市場の顧客だけでなく、新しい市場を開拓していきます。そうなると、プロモーションの方法も変えていかなければなりません。今ある商品やサービスの在り方を見直すことも必要です。

そうしたさまざまな新しいチャレンジや変革を実現していくために、働き方改革にも、より本格的に取り組まなければなりません。

そのためには、今までと同じ仕事の進め方では限界があります。改善すべきところは大いに変えていかなければなりません。一つ一つの仕事について、皆さん一人ひとりがスピードアップすることも必要です。

どうですか。ここまで、新年度からやるべきことについて、一部を挙げてみましたが、皆さんは、どのように感じたでしょうか。「正直言って、いろいろと変えていくのは大変そうだ」と尻込みしたくなる人もいるかもしれませんが、私一人や、一部の人間だけでは会社を変えていくことはできません。全員の力が必要です。

そこで、皆さんに真剣に考えてもらいたいのは、「会社を変えることに対して、自分はどのように貢献することができるか」ということです。

例えば、新しいことにチャレンジするため、今までとは違った分野のネットワーク構築に努めようと、より社外に出る機会を増やすという方法もあるでしょう。あるいは、皆が今よりも効率的に仕事が進められるよう、オペレーションの方法を見直したり、新しいツールを学んで導入したりすることで貢献しようと思うかもしれません。

考えられる貢献の方法は人によってさまざまですが、重要なのは、一人ひとりが「今の自分よりも、もう一段上の自分になろう」とすることです。そうして、それぞれが「できること」を増やしていけば、それが全体として大きな変化を生み出す力になるからです。

新しいことにチャレンジしたり、物事を変えたりするのは簡単ではありません。私が皆さんに求めることも、難易度、スピードともにグレードアップしていきます。皆さんは、うまく進められず、壁にぶつかったり、逃げ出したくなったりするかもしれません。そうしたときは、「困っています」と声を出し、周りに助けを求めてください。どうすればよいか、皆で知恵を出し合って考えていきましょう。一人ひとりが「もう一段上」を目指し、そして困ったときは全員で考える。それが当社の進化の仕方です。新年度、全員で、「大いなる進化」を遂げていきましょう。

以上(2019年3月)

pj16949
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】正しい優先順位を付けて価値ある仕事をしよう

複数の仕事を同時に進めるとき、しばしば課題となるのが優先順位の付け方です。皆さんに、なぜ優先順位を決められないかを聞くと、「そもそもどれが重要な仕事なのかを判断できない」などの意見が出てきます。しかし、私から言わせると、これは単なる言い訳です。

ここで、優先順位付けと共通する部分が多い、片付けを例に考えてみましょう。皆さんは、片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんを知っていますか。彼女の片付け術の特徴は「残すものを選ぶ」という考え方です。

片付けといえば捨てることに目が行きがちですが、近藤さんは「ときめくものだけを残すこと」を勧めています。ときめくというのは、その服を着ると自信が持てるなど、前向きな気持ちになれることを指します。ときめくものを残すことで、自分のモチベーションが上がるというのです。

また、片付けの最中には、ときめくのか、そうではないのか、迷うものも出てきます。その際に重要になるのが、片付けのゴールです。「夜7時、キッチンで、家族全員が協力して、夕食を準備する生活を送る」など、ゴールを具体的にイメージすることで、それを実現するために何を片付けるべきなのかが明確になります。

近藤さんの片付け術を実践した人は、自分がときめくものや、求める生活が明確になることで、不要なものを買わなくなり、再び散らかってしまうという事態を防げると感じるようです。

片付けと仕事はそのまま比較できませんし、仕事の優先順位付けの基準は「ときめくものだけを残すこと」とは違い、状況によってさまざまな判断があり得ます。しかし、皆さんは優先順位を決める基準をどれだけ意識して、日々の仕事に取り組んでいるでしょうか。

例えば、仕事においては、最も収益につながる、最も時間がかかるなどの基準がありますが、これらは過去の経験を基に判断することになります。つまり、優先順位を正しく付けられないのは、これらの経験を積み重ねていないからです。仕事のゴールを考えて、それに向かって最もよい結果が得られるようにという視点ではなく、「目先にあるので」「やりやすいから」という理由で仕事に取り組み、根拠ある行動を避けているのです。

「過去の経験にとらわれず、感じたままに行動する」ことも、時には大切です。ただし、基準となる過去の経験が何もない状態ならば、どれくらい新しいのか、どれくらいリスクがあるのかを測ることができず、無謀な挑戦になるだけです。

正しい優先順位付けは全ての社員に必要ですが、特に管理職が間違えた優先順位で指示を出せば、部下はムダな動きをします。加えて、目先の仕事や、やりやすい仕事を優先するということは、管理職としての責任や人件費に見合わない仕事を優先することになります。管理職の皆さん、正しい優先順位を付けてチームを率い、会社に貢献する働きをしてください。

以上(2019年3月)

pj16948
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】新入社員に「贈る言葉」はなんですか?

4月になると、当社に新入社員が入社してきます。そこで今日は、新入社員を迎えるにあたり、皆さんにお願いしたいことがあります。

皆さん、新入社員に「贈る言葉」を、それぞれ選んでみてください。著名な経営者の名言、映画や漫画のセリフなど、どこで使われた言葉でもかまいませんが、2つ条件があります。1つ目は、前向きな言葉を選ぶことです。新入社員は、これから社会に出て新しい生活をスタートさせます。明るく第一歩を踏み出せるよう、前向きな言葉で応援しましょう。

2つ目は、その言葉を選んだ理由や思いを明らかにすることです。たとえ著名な経営者の名言を選んだとしても、それは、その経営者の言葉にすぎません。そこに皆さんが選んだ理由や思いを乗せることで、言葉が「温度」を持ち、より新入社員の心に響くようになるのです。もちろん、皆さん自身が考え出した言葉でもかまいません。

参考までに、私が新入社員に贈ろうと考えているのは、「おもしろおかしく」という言葉です。これは、堀場製作所の創業者である堀場雅夫氏の有名な言葉で、堀場製作所の社是でもあります。

どのような仕事でもつまらないものはない。徹底的にやり抜くこと、チャレンジし続けることで、仕事は「おもしろおかしく」することができる。人生の大部分を費やすことになる仕事を「おもしろおかしく」することで、人生をも豊かにできる。そうした思いが込められた言葉です。

新入社員には、社会人としてスタートを切るその日から、こうした思いを持ってほしいと心から願っています。ただし、私が「おもしろおかしく」を選ぶ理由はそれだけではありません。新入社員にこの言葉を贈るには、迎える側である私たち自身も、「おもしろおかしく」なければならないと思っているからです。

右も左も分からない新入社員は、いわば真っ白なキャンバスです。そのキャンバスにどのような色をのせ、どのような絵を描けるかは、本人の頑張りもさることながら、会社を創っている私たちの影響が大きいのは間違いありません。

誰もが新しいことや面白いことにチャレンジできる会社。前例にとらわれず自由に意見が言える、しかし責任は一人ひとりがしっかり果たそうとする会社。困ったときは皆で議論し、助け合える会社。何よりも、一人ひとりが「仕事が楽しい」と思える会社。そうした会社であればこそ、新入社員は、「おもしろおかしく」を実現できるのだと私は考えます。

私の言う「おもしろおかしく」は、新入社員に仕事への向き合い方を伝えると同時に、一人ひとりが「おもしろおかしく」働くことのできる会社にすることを、新入社員とここにいる皆さんに約束する言葉でもあるのです。

あと約1カ月で、新入社員が入社してきます。さあ、皆さんは、どのような言葉で新入社員を迎えたいでしょうか。

以上(2019年2月)

pj16947
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】質問力を高めるために必要な3つのこと

現在、社会人が改めて勉強する「大人の学び直し」や、就労と学びを循環させる「リカレント教育」が注目されています。語学や会計、プログラミング、文章の書き方など内容はさまざまですが、意外と人気があるのは「インタビューの仕方」なのだそうです。

上手に質問できるようになりたい、相手から話を引き出したい。そうした理由で、実際にインタビューをする仕事に就いていない人も、多く受講しているようです。部下ともっとコミュニケーションを取りたい管理職や、顧客のニーズをしっかりヒアリングしたい営業担当者などが、インタビューのプロから「質問力」を高める秘訣を教わりたいのかもしれません。

質問力はビジネスの基本です。ビジネスは、社内外の相手が何を考えているか、何を実現したいかを知り、調整しながら、互いにとって良い結果となるよう進めていく必要があるからです。

しかし、これができない人が少なくありません。皆さんの中にも、自分の質問力に自信のない人がいるのではないでしょうか。そこで、質問力を高めるために必要な3つのことを紹介します。

まず、一番大切なのは、相手に関心を持つことです。相手のことを「知りたい」と思わなければ、質問したいことも思い浮かばないでしょう。世の中に、自分と全く同じように考える人はいません。相手の考えを知れば、皆さん自身の世界も広がります。そう捉えて、相手に関心を持ちましょう。

次に実践したいのは、「なぜ」という質問をすることです。何事にも必ず理由があります。相手の考えていることや状況を知るには、「なぜ」の部分が最も重要です。

場合によっては、「なぜ」を聞くことで、相手の考えや要望より、もっと良い方法が探せることもあるでしょう。「なぜ」と聞くのを怖がってはいけません。

そして、3つ目に必要なのは、掘り下げることです。これは、「なぜ」と聞くのに似ています。相手の話に対して、「具体的には?」という質問をして掘り下げていくのです。「それについて具体的にどうするのがよいと考えているのか」「具体的に何が必要なのか」。こうした質問をして掘り下げることで、相手も、考えを深めたり整理したりすることができるでしょう。

先日、私はある雑誌の企画でインタビューを受ける機会がありました。そのときのインタビュアーがとても質問上手だったことが印象に残っています。「どのような状態が理想なのか」「なぜそう思うのか」「その状態を実現するために、具体的に今、何が必要なのか」「そのために実践していることは何か」。こうした質問をしてもらえたおかげで、自分でも曖昧だった自分自身の考えを、言葉にして整理することができました。

皆さんも、ぜひ、3つの方法を実践してください。質問力が高まれば、皆さんの世界も、ビジネスの可能性も、きっと広がるでしょう。

以上(2019年2月)

pj16946
画像:Mariko Mitsuda

【朝礼】「部下が成長しない」と嘆く前にやるべきこと

先日、国によって小学校の座席の並べ方が違うという話を聞き、とても面白かったので紹介します。まず、日本では、教師が前に立ち、子供たちは皆、教師のほうを向いて座ります。基本的に教師が発言し、子供たちは、教師の話を聞いて教わるか、教師の問いに答える形で授業が進みます。

一方、フランスでは、座席を円形に並べ、子供たちは皆、互いの顔が見えるように向かい合って座ります。教師がその真ん中に立ち、問いを投げると、子供たちが主役となって皆で大いに議論して授業を進めるのだそうです。

また、イギリスでは、教室に幾つかの大きなテーブルがあり、子供たちは5~6人で座ります。分からないことがあれば、同じテーブルの子供同士で話し合い、助け合いながら授業を進めていくそうです。

同じ国でも学校の方針などで座席の並べ方はさまざまかもしれませんが、国によってこれだけ違いがあるということに、私はとても驚きました。

注目したいのは、「座席の並べ方」という環境づくりを工夫し、子供たちにさまざまな学びの「働きかけ」をしている点です。

例えば、子供たちが皆で大いに議論するフランスでは、幼いうちから自分の考えを持ち、主張することを学ぶことができます。テーブルごとに助け合うイギリスの場合、チームワークを覚えられます。また、日本では、人の話を聞いて、教わるといった、大切な姿勢が身に付いていきます。

会社と学校は、もちろん違います。しかし、人を育てていく、人が成長するよう「働きかけ」をしていくという意味では、通じる部分があると私は考えています。

特に、部下を指導する管理職は、部下への「働きかけ」の仕方を考えなければなりません。

私は四半期に一度、皆さん一人ひとりと面談をしていますが、管理職から部下について聞く話は、残念ながら良くない内容が少なくありません。しかも、毎回同じようなことで困っているように聞こえます。そこで、管理職の皆さんに尋ねます。

「部下が自分で考えない」と嘆く管理職は、部下が自分の頭で必死になって考える環境をつくってきましたか。すぐに答えを教えてしまっていませんか。「部下が意見を言ってくれない」「何を考えているか分からない」と言い続けている管理職は、部下が意見を言う機会をしっかりつくってきたでしょうか。忙しいということを理由にして、部下のことを放ってきてはいませんか。

部下がいつまでたっても変わらないということは、管理職が管理職として成長していないということです。100通りの「働きかけ」で部下が成長しないのであれば、管理職は、工夫して、101通り目にチャレンジしなければなりません。

仕事の中で一番難しく、そして一番大切なのは「部下を育てる」ことです。管理職の皆さん、自分の部下への「働きかけ」を、改めてもう一度、考えてみてください。

以上(2019年2月)

pj16945
画像:Mariko Mitsuda