弁護士が注目する2026年度の法務3大ニュース

1 2025年度・2026年度の3大ニュース

2025年度は、情報流通プラットフォーム対処法により、インターネット上における誹謗(ひぼう)中傷被害を防止するための規制が強化され、さらに、流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法の改正により、「物流の効率化と特定事業者への規制強化」が行われました。また、建設業法等の改正により、「建設業の処遇改善・働き方改革・生産性向上」も図られました。

2026年度は、下請法が取適法に改正されて「適用対象となる取引拡大」、事業性融資推進法の実効により「新たな企業価値担保権の創設」、労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法の改正により「カスハラ・就活セクハラの防止措置義務化」が行われます。

2025年度・2026年度の法務3大ニュースは次の通りです。

(図表1)【2025年度・2026年度の法務3大ニュース】

●2025年度

誹謗中傷防止のための大規模プラットフォーム事業者への規制 2025年4月1日より、情報流通プラットフォーム対処法(旧:プロバイダ責任制限法)が施行され、インターネット上における誹謗中傷被害を防止するための規制が強化されました。
物流効率化と特定事業者への規制強化 2025年4月1日より、改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法が施行され、「物流の効率化」「商慣行の見直し」「荷主・消費者の行動変容」のための規制が設けられました。
建設業の処遇改善・働き方改革・生産性向上 2025年12月12日より、建設業法等の改正法が施行され、「従業員の処遇改善」「資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」「働き方改革と生産性向上」のための規制が設けられました。

●2026年度

下請法が取適法に改正 2026年1月1日より、下請法が取適法に改正され、適用対象となる取引が拡大されました。また、委託事業者の禁止事項も追加され、中小受託事業者の保護が強化されました。
企業価値担保権の創設 2026年5月25日より、事業性融資推進法が施行され、無形資産を含む事業全体を担保とする新たな制度として「企業価値担保権」が創設されます。
カスハラ・就活セクハラの防止措置義務化 2026年10月1日より、改正労働施策総合推進法や改正男女雇用機会均等法が施行され、カスハラ・就活セクハラの防止措置を講じることが事業主の義務になります。

(出所:筆者作成)

2 2025年度の総括

2025年度は、いずれも主に中小企業にとって大きな影響がありました。4月1日には情報流通プラットフォーム対処法が施行され、大規模プラットフォーム事業者に対し、インターネット上の誹謗中傷に対応するため、「削除申出窓口・手続きの整備・公表」「削除申出への対応体制の整備(十分な知識経験を有する者の選任等)」など、5つの義務が課されるようになりました。これにより、誹謗中傷への対応をより迅速に行うことが可能になっています。

また、人材不足が深刻な物流業界では、これを改善するために改正流通業務総合効率化法が施行され、荷待ち・荷役時間の短縮や積載率の向上等のための取り組みを行う努力義務などが課されるようになりました。さらに、改正貨物自動車運送事業法によって、運送契約の締結等の際、所定の事項を記載した書面の交付等を行うことが義務付けられ、運送を担う末端の事業者も適正な報酬が得られる仕組みがつくられました。

その他、建設業界においても、改正建設業法等が施行されたことによって、従業員の処遇改善や働き方改革と生産性向上の見直しなどが図られています。

3 2026年度の主なニュース

1)下請法が取適法に改正

2026年1月1日より、近年の労務費や原材料費などのコスト増加が問題となる中、中小企業をはじめとする事業者が「構造的な価格転嫁」を実現するため、従来の下請法が改正され、取適法(中小受託取引適正化法)として施行されました。

「下請法→取適法」へと法律の名称が変更された背景には、「下請」という言葉が明確な上下関係を連想させかねないからという理由があります。同じ視点から、従来の用語についても、

「親事業者→委託事業者」「下請事業者→中小受託事業者」「下請代金→製造委託等代金」

といった変更が行われています。

主な改正のポイントは次の通りです。すでに施行済みの内容ですが、中小企業にも影響が大きい内容ですので、改めて確認しておきましょう。

  • 適用対象の拡大
  • 新たな禁止行為の追加
  • 面的執行の強化

1.適用対象の拡大

「事業者の基準の見直し」と「対象取引の追加」がなされます。従来の下請法では、適用対象となる事業者は資本金基準によって判断されていましたが、

資本金基準に加え、従業員基準として常時使用する従業員が「300人(製造委託等の場合)」または「100人(役務提供委託等の場合)」

というものが新たに追加されました。

また、対象取引についても、従来の製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託に加え、新たに「特定運送委託」が追加されました。特定運送委託とは、

事業者が販売する物品や、製造や修理を請け負った物品などを、取引の相手方に対して運送する場合に、その運送業務を他の事業者に委託する取引

のことです。

取適法の適用対象

2.新たな禁止行為の追加

従来の下請法では、発注者がやってはいけない禁止行為として受領拒否や代金の支払い遅延、代金の減額、返品、買いたたき等が定められていましたが、取適法ではこれらに加えて、新たに次の禁止行為が追加されました。

  • 協議に応じない一方的な代金決定の禁止
  • 手形払等の禁止

「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」は、中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明を行わなかったりして、一方的に代金を決定する行為のことです。昨今、労務費や原材料費などのコスト増加が問題となる中、中小受託事業者がこれらコスト増加の負担を強いられることがないよう、委託事業者との間で価格交渉を行うことができるようにすることが目的です。

「手形払等の禁止」は、下請取引において、代金の支払い手段として手形(紙の手形)を用いることを禁止するものです。これまでの商慣行で手形を使用していた企業は、約束手形に代わる決済手段として、インターネットバンキング、電子記録債権、クレジットカードなどへの移行が必要になります。なお、下請取引以外であれば、紙の手形は引き続き使用できますが、こちらも2027年3月末までに廃止(全て電子化)される方針が示されています。

3.面的執行の強化

面的執行とは、複数の省庁が連携して違反行為に対応することです。委託事業者による違反行為があった場合、行政による指導や助言等が行われます。従来の下請法では、公正取引委員会や中小企業庁にその権限が与えられていましたが、取適法では、委託事業者を所管する主務大臣にも権限が付与されます。

2)企業価値担保権の創設

2026年5月25日に事業性融資推進法が施行され、「企業価値担保権」が創設されます。

企業価値担保権とは、企業が金融機関から融資を受ける際、有形資産(土地・工場等)だけでなく、ノウハウや顧客基盤等の無形資産を含む「事業全体」を担保にできる制度

のことです。これまでは、有形資産に乏しい企業、経営者保証により事業承継や思い切った事業展開をためらっている企業の場合、資金調達の選択肢が限られてしまうという課題がありましたが、企業価値担保権が創設されることで、事業の実態や将来性に着目した融資を受けやすくなります。

企業価値担保権の主なポイントは次の通りです。

1.担保の対象(担保目的財産)

企業の総財産(将来キャッシュフローを含む事業全体の価値)が対象になります。企業は「借り手」として、これらを担保に融資を受けます。

2.借り手 (債務者・担保権設定者)

「借り手」となれるのは、株式会社・持分会社に限定されます。商業登記簿で企業価値担保権が確認されると、借り手企業は、企業価値担保権を設定した後も通常の事業活動の範囲において、財産の処分を自由に行うことができます。また、粉飾等があった場合を除き、経営者個人の保証提供は求められなくなります。

3.担保権者(企業価値担保権信託会社)

新設される「企業価値担保権信託会社」が「担保権者」となり、債務の弁済が滞った際は、裁判所への申立てにより、担保権の実行手続を開始します(事業は解体せず、事業譲渡などで対応)。

4.貸し手(被担保債権者)

「貸し手」となるのは金融機関で、債務が弁済されない場合、事業譲渡の対価から融資を回収します。金融機関が「担保権者兼貸し手」になることもあります。

この企業価値担保権では、ブランド力や知的財産権、ノウハウ等の無形資産も担保目的財産に含まれるため、前述した通り、有形資産に乏しい企業なども融資を受けられる可能性があります。一方で、金融機関から融資を受けるためには、

事業者が金融機関に対し、「根拠をもって」自社の価値を説明できるようにならなければなりません。そのためには、事業計画の策定方法の見直し、説明資料の整理などが必要

となります。

3)カスハラ・就活セクハラの防止措置義務化

2026年10月1日より、カスハラや就活セクハラを防止するために、これらの防止措置を講じることが義務付けられます。

1.カスハラ (カスタマーハラスメント)

カスハラとは、顧客等から従業員に対する悪質な嫌がらせのことで、近年大きな社会問題になっています。一部の都道府県においては条例による規制が定められるようになったものの、法律レベルでは、刑法に触れるような態様は別として、これまでカスハラに対する規制は設けられていませんでした。

こうした状況から、改正労働施策総合推進法により、「カスハラの定義」が明確化され、「カスハラ防止措置の実施」が企業に義務付けられることになります。

まず、定義については、次の要件を全て満たすものがカスハラになることが定められました。

  • 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う
  • 社会通念上許容される範囲を超えた言動により、
  • 従業員の就業環境を害すること

防止措置については、2026年2月26日に公表された指針において、次の措置を講じるべき旨が示されています。

  • 事業主の方針等の明確化、その周知・啓発
  • 相談 (苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
  • 事後の迅速かつ適切な対応
  • カスハラへの対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置

2.就活セクハラ (求職者等に対するセクシュアルハラスメント)

就活セクハラとは、求職者等(就職活動中の学生やインターンシップ生等)に対する性的な嫌がらせのことです(同性に対するもの、LGBTQ+に対するものも含まれます)。

就活セクハラについてもカスハラと同様、改正男女雇用機会均等法により、防止措置を講じることが義務化されます。こちらも、2026年2月26日に指針が公表されていますが、基本的な措置の内容はカスハラと同じです。なお、指針では、就活セクハラが想定している求職活動として、

  • 企業の採用面接への参加
  • 企業の就職説明会への参加
  • 企業の雇用する従業員への訪問
  • インターンシップへの参加
  • 教育実習、看護実習等の実習の受講

などが例示されています。SNS等のオンラインを介したものやオンライン上の言動も含まれ、従業員が通常就業している場所で行われるものに限定されない旨が明記されているので、「就活セクハラは自社でも起こり得る」ということを十分に認識した上で対策を検討する必要があります。

カスハラ・就活セクハラの防止措置に関する指針やリーフレットについては、こちらをご確認ください。

■厚生労働省「カスタマーハラスメント及び求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が事業主の義務となります!」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

4 今後の対応について

2026年度も、昨年度と同様に、様々な法改正が予定されています。

すでに施行済みの内容ではありますが、1月に下請法が取適法に改正されたことの影響は大きいです。「親事業者」「下請事業者」といった上下関係が解消され、法律が適用される企業や取引の範囲が拡大しています。影響範囲の洗い出しや取引慣行の点検がまだ十分でない企業は、早急に対応する必要があります。

企業価値担保権は新たな担保制度であり、どれだけの事業者が利用するか、金融機関の運用がどうなるかなどは未知数です。とはいえ、資金調達の選択肢に悩んでいる中小企業・スタートアップ企業については、利用を検討する価値のある制度といえるでしょう。

近年、規制が進んでいるハラスメント分野では、カスハラ・就活セクハラの防止措置が義務付けられます。これまではカスハラ対応などを現場に任せていた企業も、意識を改めて組織としての責任を明確にし、防止措置を講じる必要があります。社内規定やマニュアルの作成、体制の整備においては、専門家への相談も欠かせません。

以上(2026年3月作成)
(執筆 石原法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:Mariko Mitsuda

気づかぬうちに税金未納? オフィス賃料にまつわる納税トラブル

1 非居住者オーナーへの賃料。源泉徴収の基本

ある日、税務署から一本の電話が入りました。

「海外に住むテナント・オーナーに支払っているオフィス賃料について、源泉徴収分の納税がされていません」

―そんな指摘を受けて、初めて問題に気づく経営者は少なくありません。

「え? テナントを借りている側が源泉徴収するの?」

と思われるかもしれませんが、実は、

海外に拠点を持つオーナー (個人だけでなく外国法人を含み、国内に住所を持たない、または、1年以上居所を持たない者。以下「非居住者オーナー」)に賃料を支払う場合、その源泉徴収義務は「借主側」にある

のです。

この点を知らずに賃料を払い続けていると、後になって、

  • 源泉徴収すべき税額
  • 不納付加算税 (源泉徴収すべき税額の10%(原則)、自主納付なら5%)
  • 延滞税(源泉徴収すべき税額の年2.8~9.1% (2026年の場合)。なお、利率は年によって変動します)

を、まとめて請求されることになります。累積された金額によっては、資金繰りにも影響を与えるケースも考えられます。

2 なぜ、借主に義務があるのか

日本国内にある不動産から生じる所得は、オーナーが海外に住んでいても、日本の税法上、

「国内源泉所得」として課税対象

になります。理由は単純です。不動産が日本にあり、経済活動も日本で行われている以上、その収益に対して日本が課税権を持つ、という考え方に基づいているからです。

とはいえ、海外在住のオーナーに「自分で日本に納税してください」と言っても、実務上はなかなか徹底できません。そこで、

賃料を支払う側が、あらかじめ税金を差し引いて国に納める

仕組みになっているのです。

ここで重要なのは、

義務を負うのは貸主ではなく、支払う側(借主)

だという点です。なお、法人の場合は、用途に関わらず常にこの義務が発生します。個人の場合は、事業用(オフィスや店舗など)として借りる場合にこの義務が発生し、自分の住居として借りる場合は不要になります。

3 対象となる賃料と税率は? いつまでに、どこへ納めるのか

源泉徴収の対象は、単なる土地や建物の賃料だけではありません。日本国内にある不動産や、その上に存する権利 (借地権など)の貸し付けによる対価も含まれます。

税率は一律20.42% (内訳は所得稅20%+復興特別所得稅0.42%)です。例えば、月額賃料が50万円の場合、

50万円×20.42%=10万2100円

を源泉徴収し、残りの39万7900円を本来は非居住者オーナーに支払うことになります。

そして、源泉徴収した税金は、原則として、

賃料を支払った月の翌月10日まで

に税務署へ納付します。もし、従業員の給与等で納期の特例を受けている場合でも、この賃料の源泉徴収については特例の対象外です。必ず毎月、翌月10日までに納付する必要があります。なお、たとえ海外送金で支払った場合でも、支払う側(借主)が日本に事務所や住所を持っていれば、国内で支払ったものとして扱われるので、源泉徴収義務は免れません。

納付には、「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書」という専用の納付書を使います。この点で、「通常の源泉徴収とは別物」であることがお分かりいただけるでしょう。

4 グロスアップ計算という借り手側負担の痛手

すでに賃料を全額支払ってしまっていた場合、

その支払い済みの金額が源泉徴収した後の金額として扱われ、そこから逆算して税額が計算(支払い済みの金額を基準に税額が計算)される

ことがあります。これをグロスアップ計算方式といいます。

例えば、50万円をオフィス賃料として源泉徴収せずに支払っていた場合、本来の賃料は約62万8000円(50万円÷ (100%-20.42%))という計算が行われ、そこから源泉徴収すべき税金として、約12万8000円 (62万8000円×20.42%) を計算することになります。つまり、

本来の金額以上の支払い負担が発生する可能性

があるのです。非居住者オーナーから後で税金分を回収するのは、現実的にはかなり困難なケースが多く、この余分な税負担を会社が自ら負担することになりかねません。

5 源泉徴収が不要になるケース

1)個人の居住用として借りる場合

土地や建物を、自己または親族の居住用として借りる個人が支払う賃料については、源泉徴収は不要とされています。これは、一般の個人にまで源泉徴収義務を課すと、事務負担が過大になることを考慮した例外です。

ただし、

会社が社宅として非居住者オーナーの物件を借りる場合、「従業員が住むから居住用だ」とは扱われず、原則通り源泉徴収義務が発生する

点には注意しましょう。

2)租税条約がある場合

日本はたくさんの国と租税条約(国同士で税金のかけ方を調整する取り決め) を結んでいますが、不動産の賃料については、多くの条約で「不動産の所在地国(=日本)でも課税できる」とされています。ただし、「条約があるから源泉徴収しなくていい」と安易に判断するのは危険です。

仮に条約で免除や軽減の対象になる場合でも、自動的に適用されるわけではありません。事前に「租税条約に関する届出書」を税務署へ提出する必要があります。この手続きを怠ると、後からまとめて課税されるリスクがあります。

3)源泉徴収の免除証明書がある場合

非居住者オーナーが日本に事業所などを持ち、一定の要件を満たすと、「源泉徴収の免除証明書」が交付されることがあります。この証明書を提示された場合、源泉徴収は不要になります。ただし、

  • 有効期限が切れていないか
  • 適正な証明書か

を借主側が確認する責任があります。

確認を怠ると、後から源泉徴収義務があるものとして、ペナルティーの対象になる可能性があります。

6 トラブルを防ぐための対策とは

オフィスの賃貸借契約を結ぶ際は、

まずオーナーが非居住者かどうかを必ず確認する

ようにしましょう。仲介業者が入っている場合でも、この点が曖昧なまま契約が進むこともあります。契約前に一度確認しておくだけで、トラブルは防ぐことができます。もし、非居住者オーナーと賃貸借契約を結ぶ場合には、契約内容や相手国との租税条約によって扱いが変わることがあるため、少しでも判断に迷うときは自己判断せず、早めに税理士へ相談しましょう。

また、

管理会社が契約の当事者となるタイプの契約 (サブリース契約)を選ぶ

こともリスク回避の方法の一つです。このタイプの契約であれば、源泉徴収の義務は管理会社が担うことになり、実務の手間や税務リスクを外部に委ねることができます。ただし、単に管理会社が「集金を代行しているだけ」の場合は、源泉徴収義務は依然として借主側にあります。契約書の貸主欄が「管理会社」になっているかを必ず確認するようにしてください。

以上(2026年3月作成)
(監修 税理士 石田和也)

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画像:Elena-Adobe Stock

倉紡・クラレの大原孫三郎が視た、100年先の豊かさとは?

事業に冒険はつきもの、儂の眼には十年先が見える

大原孫三郎(おおはら まごさぶろう)氏は、倉敷紡績(クラボウ)の2代目社長であり、後に倉敷絹織(現:クラレ)を創業した実業家です。2026年でクラボウは創業138周年、クラレは創業100周年を迎えますが、両社がこれだけ長く続く理由の1つに、大原氏の経営者としての在り方が大きく関わっていると考えられます。

冒頭の言葉は、大原氏が倉敷紡績の2代目社長に就任した当時、事業の多角化や労働環境改革を進めようとして、多くの重役から反対を受けた際に語ったものです。当時の日本は、世界恐慌の影響で深刻な不況の真っ只中にあり、重役たちは大原氏の“冒険”を諌めようとしましたが、彼は医療、研究、文化、福祉などさまざまな活動を通し、「人のためになる」事業を行うことを徹底的に追求しました。

大原氏は、岡山県倉敷市の名家の生まれ。何不自由なく育ち東京専門学校(現:早稲田大学)に進学しますが、学生時代は遊び歩いてばかりだったといいます。その姿を案じた家族によって故郷に連れ戻された際に出会ったのが、孤児救済に生涯を捧げた実業家・石井十次氏でした。石井氏の生き方に強い衝撃を受けた大原氏は、自分のためだけに時間と財を費やしてきた過去を深く反省します。このできごとから、大原氏の人生は大きく変容していきます。

家業を継いだ大原氏がまず取り組んだのは、従業員の労働環境の改善でした。当時、日本の紡績工場では、深夜労働や過酷な労働環境などにより、多くの従業員が心身の健康を害していました。そこで、大原氏はこの問題を改善しようと、医学者や心理学者を交え、工場内の温度や湿度の管理、換気の徹底など、働く人の健康を最優先に考えた改革を進めます。さらには、会社の枠を飛び越え、人々が安全・健康に働けるための調査研究を行う倉敷労働科学研究所(現:大原記念労働科学研究所)まで作ってしまいました。

大原氏はこの他にも、先進的な総合病院、農業の問題改善を図るための研究所、日本初の西洋式美術館の設立にも関与します。彼は「儂は大した勉強もできなかったが、その代わり、みんなに勉強してもらいたい」と語り、研究や教育への支援を惜しまず、「人のためになる」と信じた分野には、ためらいなく資金と労力を注ぎ込んだのです。

大原氏の軌跡からは、経営者が信念を貫くことの大切さが強く伝わってきます。会社にとって利益を追求し、組織を存続させることはもちろん大切ですが、その先に「経営者が社会に対し、心から成し遂げたいと思うことを実現する」という目的があることを忘れてはなりません。

大原氏が行ったのは、目に見える利益を生むものではない「回り道の事業」ばかりでした。しかし、その10年先を見据えた選択の積み重ねが、結果として100年後の社会の豊かさを支える基盤となっています。

出典:倉敷紡績公式ウェブサイト「大原孫三郎人物伝」

以上(2026年2月作成)

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画像:尚貴 黒石-Adobe Stock

開催終了【参加無料】3/10(火)カスタマーハラスメント対策のオンラインセミナーを開催します。

2026年3月10日13:00から【無料】カスハラ(カスタマーハラスメント)対策オンラインセミナーを開催しました。

大盛況の開催レポートはこちら。
下記タイトルからもご確認いただけます。コンテンツ内にアーカイブ動画へのリンクもあります。

【カスハラ対策セミナー開催レポート】130名以上が参加。弁護士による“寸劇あり”の「従業員を守るカスハラ対策」

2026年10月から、カスハラの防止措置を講じることが企業に義務付けられます。
それに向けて、このセミナーでは、日本ハラスメントカウンセラー協会の顧問として数々の企業のハラスメント対策に向き合ってきた弁護士が、事例を交えて、「企業はカスハラからどのように従業員を守ればいいのか」などを、分かりやすく解説しました。

登壇者

  • 東京エクセル法律事務所 弁護士 日本ハラスメントカウンセラー協会顧問
    弁護士 坂東 利国 氏

【坂東先生のセミナー実績】

  • カスタマーハラスメントのリスクマネジメントと裁判例
  • カスタマーハラスメント対策研修
  • ハラスメント防止のための管理職のあるべき姿
  • ハラスメントの事実確認・和解調整担当者のための研修
  • メンタルヘルスの法律問題・裁判例を踏まえた企業対応
  • など多数。セミナーのほか、実践的な管理職研修なども実施

主催

  • 株式会社日本情報マート(サクセスネット運営サポート会社)

プログラム 13:00~14:15

  • カスハラとは何か(定義、判断基準)
  • カスハラに関する法改正の状況
  • 実際にあったカスハラ事例(裁判例) など
  • 従業員を守るために必要な事前の準備(相談窓口の設置等)
  • 従業員がカスハラに遭った場合の対応(事実確認、再発防止等)
  • 14:00から15分間・質疑応答(事前に質問を受け付けることも可能)
お問合わせ先

お問い合わせはお問い合わせフォームからお願いいたします
https://sj-successnet.kalep.net/contactus

サクセスネットでは、カスハラ対策に役立つコンテンツも公開しています。ぜひご覧ください!

2026年度、「IT導入補助金」は 「デジタル化・AI導入補助金」へ!

1 デジタル化・AI導入補助金2026

2025年度までの「IT導入補助金」は、2026年度に「デジタル化・AI導入補助金」へ名称が変わります。ITツールの導入にとどまらず、より踏み込んだデジタル化の推進、AIの活用が重要であることを広く周知するためです。

デジタル化・AI導入補助金2026

中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(以下「事務局」)によると、2026年2月16日時点で、公募要領は準備中となっています。また、IT導入支援事業者の登録申請、ITツール(ソフトウェア、サービス等)の登録申請、中小企業・小規模事業者等による補助金の交付申請の受付開始は、いずれも2026年3月末が予定されています。詳細は次のウェブサイトからご確認ください。

■デジタル化・AI導入補助金2026■
https://it-shien.smrj.go.jp/

2 5つの申請枠―それぞれの概要

デジタル化・AI導入補助金2026では、

  • 通常枠
  • 複数者連携デジタル化・AI導入枠
  • インボイス枠 (インボイス対応類型)
  • インボイス枠(電子取引類型)
  • セキュリティ対策推進枠

の申請枠があります。以降では、それぞれの交付規程を基に概要を紹介します。

1)通常枠

働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入などに対応するため、生産性向上・業務効率化に役立つITツール(ソフトウェアやAIを含む)の導入経費の一部を補助するものです。

(図表2)【通常枠の概要】

補助額 5万円~150万円未満 150万円~450万円以下
機能要件 1プロセス以上 4プロセス以上
補助率 1/2以内
※令和6年10月から令和7年9月までの間で、「当該期間における地域別最低賃金以上~令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合は、2/3以内
補助対象経費 ソフトウェア購入費、クラウド利用料(クラウド利用料最大2年分)、導入関連費

(出所:「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金交付規程 通常枠(別表)」)

補助額ごとに必要となるプロセスの要件については事務局が公募要領等にて定めることとされています。なお、プロセスとは、以下のいずれかに該当する工程の生産性向上または効率化に資する機能を指します。

  • 顧客対応・販売支援
  • 決済・債権債務・資金回収
  • 供給・在庫・物流
  • 会計・財務・経営
  • 総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス・統合業務
  • 業種固有
  • 汎用・自動化・分析ツール

2)複数者連携デジタル化・AI導入枠

商業集積地やサプライチェーンに関連する複数の中小企業・小規模事業者等が連携し、ITツールを導入する場合、「通常枠」よりも補助率を引き上げて支援するものです。

なお、補助対象となるハードウェア購入費は、以下に限定されます (該当しない機器および周辺機器の購入費は補助対象外)。

  • PC・タブレット等:PC、タブレット、プリンター、スキャナー、複合機
  • レジ・券売機:POSレジ、モバイルPOSレジ、券売機

(図表3)【複数者連携デジタル化・AI導入枠の概要】

経費区分 補助対象 補助額 補助率 補助対象経費 補助金の上限額
インボイス対応類型等の要件に属する経費 ITツール(ソフトウェア・オプション・役務) ~350万円 内、~50万円以下 3/4、4/5以内*1 ソフトウェア購入費*2、クラウド利用費(最大2年分)*2、導入関連費、ハードウェア購入費 3,000万円
内、50万円超~350万円 2/3以内
PC・タブレット等 ~10万円 1/2以内
レジ・券売機 ~20万円 1/2以内
上記類型の要件に属さない複数者連携デジタル化・AI導入枠特有の経費 消費動向等分析経費 50万円×グループ構成員数*3 2/3以内 各種システム*4、ソフトウェア購入費*2、クラウド利用費(1年分)*2、導入関連費
AIカメラ・ビーコン・デジタルサイネージ等
代表事業者が参画事業者を取りまとめるために要する事務費、外部専門家謝金・旅費 インボイス対応類型の要件に属する経費と消費動向等分析経費を加えた費用の10パーセント 2/3以内 200万円

(出所:「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金交付規程 複数者連携デジタル化・AI導入枠(別表)」)

(注1)*1の補助率は、中小企業は3/4以内、小規模事業者は4/5以内です。

(注2)*2のソフトウェア購入費、クラウド利用費は、会計、受発注、決済のいずれかの機能を有するものが対象です。

(注3)*3のグループ構成員数は、消費動向等分析経費の対象となるITツールを導入するグループ構成員が対象となります。

(注4)*4の各種システムは、消費動向分析システム、経営分析システム、需要予測システム、電子地域通貨システム、キャッシュレスシステム、生体認証決済システム等が例示されています。

3)インボイス枠 (インボイス対応類型)

インボイス制度への対応を強力に推進するため、インボイス制度に対応した会計ソフト等を導入する場合、「通常枠」よりも補助率を引き上げて優先的に支援するものです。

なお、補助対象となるハードウェア購入費は、以下に限定されます (該当しない機器および周辺機器の購入費は補助対象外)。

  • PC・タブレット等:PC、タブレット、プリンター、スキャナー、複合機
  • レジ・券売機: POSレジ、モバイルPOSレジ、券売機

(図表4)【インボイス枠(インボイス対応類型)の概要】

ITツール PC・タブレット等 レジ・券売機
補助額 (下限なし)~350万円 ~10万円 ~20万円
内、~50万円部分 内、50万円超~350万円部分
機能要件 会計・受発注・決済のうち1機能以上 会計・受発注・決済のうち2機能以上 左記ITツールの使用に資するもの
補助率 3/4以内
※小規模事業者は4/5以内
2/3以内 1/2以内
補助対象経費 ソフトウェア購入費*1、クラウド利用費(クラウド利用最大2年分)
*1、ハードウェア関連費、導入関連費

(出所:「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金交付規程 インボイス枠(インボイス対応類型) (別表)」を基に作成)
(注)*1のソフトウェア購入費、クラウド利用費は、会計、受発注、決済のいずれかの機能を有するものが対象です。

4)インボイス枠(電子取引類型)

取引関係における発注者がインボイス制度対応のITツール(受発注ソフト)を導入し、当該取引関係における受注者である中小企業・小規模事業者等に対して当該ITツールを供与する場合に、ITツールの導入経費の一部を補助するものです。

(図表5)【インボイス枠(電子取引類型)の概要】

補助額 (下限なし)~350万円
機能要件 インボイス制度に対応した受発注の機能を機能を有しているものであり、かつ取引関係における発注側の事業者としてITツールを導入する者が、当該取引関係における受注側の事業者に対してアカウントを無償で発行し、利用させることのできる機能を有するもの
補助率 中小企業・小規模事業者等:2/3以内
その他の事業者等:1/2以内
補助対象経費 クラウド利用費(クラウド利用料最大2年分)
ただし、契約する受注側のアカウントの総数のうち、取引先である中小企業・小規模事業者等に供与するアカウント数の割合を乗じた額が補助対象経費とする

(出所:「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金交付規程 インボイス枠(電子取引類型)(別表)」を基に作成)

5)セキュリティ対策推進枠

中小企業・小規模事業者等のサイバーセキュリティ対策を強化して、サイバーインシデントを原因として事業継続が困難となる等の生産性向上を阻害するリスクを低減するとともに、供給制約やそれに起因する価格高騰といった潜在的リスクを低減するために、ITツールの導入経費の一部を補助するものです。

(図表6)【セキュリティ対策推進枠の概要】

補助額 5万円~150万円
機能要件 独立行政法人情報処理推進機構が「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載しているいずれかのサービス
補助率 1/2以内
※小規模事業者は2/3以内
補助対象経費 サービス利用料(最大2年分)

(出所:「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金交付規程 セキュリティ対策推進枠(別表)」を基に作成)

3 交付申請の前提となる2つの手続き

1)GビズIDの取得

デジタル化・AI導入補助金の交付申請には、GビズID(一つのID・パスワードで、複数の行政サービスにログインでき、補助金申請、社会保険手続き、各種認可申請など業務上の電子届出や申請に使用できるサービス) のプライムアカウント (GビズIDプライム)が必要です。GビズIDプライム発行までの期間は、おおむね2週間です。

■GビズID■
https://gbiz-id.go.jp/top/

なお、2026年3月下旬から、GビズIDアプリによる認証 (ログイン) 方法が変わります。最新情報については、次のウェブサイトをご確認ください。

■GビズIDアプリについて■
https://gbiz-id.go.jp/top/app/app.html

2)SECURITY ACTION宣言の実施

交付申請の要件にはGビズIDプライムの取得に加え、情報処理推進機構(IPA) が実施する「SECURITY ACTION」の宣言が必要になります。「SECURITY ACTION」の宣言は、中小企業・小規模事業者等が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度です。取り組み目標に応じて「★一つ星」と「★★二つ星」のロゴマークがあり、宣言するには、中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン付録の

  • 「情報セキュリティ5か条」に取り組むこと (★一つ星)
  • 「5分でできる! 情報セキュリティ自社診断」で自社の状況を把握した上で、情報セキュリティ基本方針を定め、外部に公開すること(★★二つ星)

が必要です。

■SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言■
https://www.ipa.go.jp/security/security-action/it-hojo.html

なお、SECURITY ACTIONは、2026年4月に新しいシステムをリリース予定です。第1次公募(2026年3月~5月ごろ予定)の申請は現在の方法で取得した自己宣言ID、および新システムにより取得した自己宣言IDの双方で申請が可能です。ただし、第1次公募で補助金申請した後、不備訂正があり第2次公募の期間に自己宣言IDを提出する必要がある場合には、デジタル化・AI導入補助金で使用したGビズIDを用いて、新システムでの自己宣言のお申し込みが必要になります。

第2次公募(2026年5月頃開始予定)以降は、現在の自己宣言IDでは申請できなくなります。以降の申請にはデジタル化・AI導入補助金で使用するGビズIDを用いて、新システムでの自己宣言のお申し込みが必要です。

■新システムリリースのご案内: SECURITY ACTION セキュリティ対策自己宣言■
https://www.ipa.go.jp/security/security-action/news/sa-notice-202602.html

以上(2026年3月更新)

pj00758
画像:takasu-Adobe Stock

長期休暇があったらどうする? 経営者に「もしも」を聞いてみた

1 もしも1週間の休暇を取得できるとしたら?

もしも、1週間だけ「経営者」という肩書きを脱ぎ捨てて過ごせるとしたら・・・・・・?

海、山、街、あるいはストイックな自己研鑽の場。どこへ向かい、何をするかはまさに人それぞれ。また明日から頑張るために、経営者はどこで「ガソリン」を満タンにするのか。

今回は、中小企業の経営者214人に、そんな「もしもの話」についてアンケートを実施し、

  • もし、業務に全く影響が出ない1週間の休暇があったとしたら、取得しますか?
  • 1週間の休暇を、どんな風に過ごしますか?

という2つの質問をしました。経営者の素顔や価値観が垣間見える結果が集まりましたので、この記事で個性豊かな回答をご紹介します。

アンケートは2025年8月に、インターネットを通じて行いました。回答の中で、明らかに誤字と思われる表記などは修正しています。

2 夢の長期休暇! もちろん優勢な「取得する」

1週間の休暇を取得できるとしたら

アンケートの結果、

「取得する」と答えた人は、78.0%

でした! 「取得する」派の経営者は、1週間の休暇で一体何をしたいのか? 次章からは、個性豊かな回答を部門に分けて紹介していきます。

3 海、山、街・・・・・・自由な時間でどこに行く?

自由な時間でどこに行く?

夢の長期休暇。経営者たちは一体どんな方法で羽を伸ばすのでしょうか?

海派の意見

「ハワイのコンドミニアムでのんびり過ごす」 「ビーチリゾートでのんびり過ごしたい」「ゆっくり船旅をしたい」 「バリ島で、のんびりしたい」 「家族と石垣島へいってマリンアクティビティをする」 「海でのんびりなにもせず一日を過ごしたい」 「ハワイのリゾートホテルでのんびりしたい」 「ビーチリゾートでサーフィンがしたい」 「ビーチでの非日常体験」

山派の意見

「静かな湖畔でキャンプしながら自然を感じたい」 「キャンプ旅行に出かけたい」「山の中で静かに過ごしたい」 「軽井沢でのんびりしている」 「山の見えるところで、のんびり過ごす」 「キャンピングカーで車中泊しながらの旅行」 「登山と旅行」 「観葉植物の手入れ、山の別荘でのんびりしたい」

温泉派の意見

「温泉につかって美味いものを食べたい」 「湯治に行く」 「温泉旅行でのんびり」 「温泉リゾートで読書三昧」 「ゆっくりと温泉に浸かってデトックスをしたい」 「温泉旅館でゆっくり過ごしたい」

街派の意見

「妻とお城周りをしたい」 「昔行ったアフリカに又行きたい」 「夫婦二人で温泉地や神社仏閣を巡ってみたい」 「学生時代に過ごしたワシントンDCの各所を再訪したい」 「タイに行く」

趣味に費やす派の意見

「野菜づくり」 「ゴルフ三昧」 「ロックのCDを大音量で聞く」 「家で酒」 「趣味の写真を楽しみたい」 「思い切り釣り」 「ラグビー観戦に行く」

自宅でのんびり派の意見

「何も考えずのんびりしたい」 「自宅でのんびり」 「ボケーっと何もしない」「どこでもいいので何も考えずゆっくり過ごす」 「時間に捕らわれずなすがままの流れで過ごしてみたい」

ストイックに自己研鑽派の意見

「整理整頓」「別の仕事をして生活費を稼ぐ」 「リゾート物件視察」

以上(2026年2月作成)

pj00807
画像:日本情報マート

【入社1年目の教科書】キャッシュフロー計算書ではプラスとマイナスの組み合わせに注目

「キャッシュフロー計算書」はお金の流れを示す大切な財務諸表らしいけど、損益計算書とは全く違うな。それに、損益計算書や貸借対照表に比べるとマイナーなイメージが……。そもそも投資がプラスで財務がプラスって、一体どういう意味? 営業がプラスになっていれば大丈夫なのかな?

1 まずはキャッシュフロー計算書を見てみよう

キャッシュフロー計算書とは、

会社の現金の流れ(キャッシュフロー)を示す財務諸表

です。少し難しく説明すると、損益計算書や貸借対照表では表れないキャッシュの流れを、3つの区分で詳細に示した財務諸表となります。英語では「Cash Flow Statement」と表記されるので、「CS」「C/S」(または、「CF」「C/F」と略されたりします。

また、キャッシュフロー計算書には、

  • 直接法:入金総額から出金総額を引いて営業活動によるキャッシュフローを算出
  • 間接法:税引前当期純利益にキャッシュのズレを生じさせる項目を加減算して、営業活動によるキャッシュフローを算出

がありますが、経理部に配属されたのでなければ、新入社員の皆さんが直接法と間接法の違いを詳しく知る必要はありません。この記事で紹介するのは間接法で、実務でも多く使用されています。

早速、キャッシュフロー計算書を確認してみましょう。

キャッシュフロー計算書

会社は商品の販売などの営業活動を通じてキャッシュを獲得します。また、借入や株式の発行などの財務活動によってキャッシュを調達します。そして、得られたキャッシュを固定資産の取得などの投資活動に充てます。

この営業活動、投資活動、財務活動ごとにキャッシュの動きをまとめたのがキャッシュフロー計算書です。3つの区分を確認してみましょう。

1.営業活動によるキャッシュフロー(以下「営業CF」)

営業CFは、会社が本業でどれだけキャッシュを獲得したかを示します。営業CFが大きいほど好ましいです。また、ここでは「掛け」についても調整されるので、損益計算書のようなズレはありません。例えば、売掛金はまだお金をもらっていないのでマイナス、買掛金はまだお金を払っていないのでプラスとなります。

2.投資活動によるキャッシュフロー(以下「投資CF」)

投資CFは、固定資産、有価証券の取得・売却などのキャッシュの動きを示します。例えば、設備投資をしたらお金が減るので投資CFはマイナス、逆に設備を売却すればお金が増えるので、投資CFはプラスになります。

3.財務活動によるキャッシュフロー(以下「財務CF」)

財務CFは、借入、返済、増資などの資金調達・返済などのキャッシュの動きを示します。例えば、銀行からの借入を返済すればお金が減るので財務CFはマイナス、逆に借入をすればお金が増えるので、財務CFはプラスになります。

キャッシュフロー計算書

営業CF、投資CF、財務CFの合計額に、その年度の最初にあった現金を足した金額が、「現金及び現金同等物の期末残高」となり、実際に会社にある現金となります。この残高は、貸借対照表にある現預金の金額と一致します。

次章で、それぞれの項目の意味を説明していきます。説明ばかりで退屈かもしれませんが、全て大切な内容なので、できるだけ覚えてください。

2 キャッシュフロー計算書の項目

1)営業CF

1.税引前当期純利益

税引前当期純利益は、損益計算書の税引前当期純利益と一致します。

2.減価償却費

減価償却費は、損益計算書の販売費・一般管理費に計上されるキャッシュの支出を伴わない費用です。

3.資産及び負債の増減、「その他」による収入及び支出

資産及び負債の増減、「その他」による収入及び支出は、受取手形・売掛金や支払手形・買掛金などの増減、利息や配当金の受け取りと、利息の支払いなどに関するキャッシュの動きを示します。

2)投資CF

1.有形固定資産の取得による支出及び売却による収入

有形固定資産の取得・売却は、有形固定資産の取得による支出及び売却による収入に関するキャッシュの動きを示します。

2.有価証券及び投資有価証券の取得による支出及び売却による収入

有価証券及び投資有価証券の増減は、有価証券及び投資有価証券の取得による支出及び売却による収入に関するキャッシュの動きを示します。

3.貸付金などの増減

貸付金などの増減は、貸し付けやその回収、定期預金の預け入れやその払い戻しなどに関するキャッシュの動きを示します。

3)財務CF

1.短期・長期借入債務の増加による収入

短期・長期借入債務の増加による収入は、借入金の増加に関するキャッシュの動きを示します。

2.短期・長期借入債務の返済による支出

短期・長期借入債務の返済による支出は、借入金の返済に関するキャッシュの動きを示します。

3.自己株式の取得などによる支出

自己株式の取得などによる支出は、自己株式の取得、配当金の支払いなどに関するキャッシュの動きを示します。

4)現金及び現金同等物の増減額

現金及び現金同等物の増減額とは、当期中のキャッシュの増減額です。

5)現金及び現金同等物の期首残高

現金及び現金同等物の期首残高とは、期首時点に会社が保有するキャッシュの残高です。

6)現金及び現金同等物の期末残高

現金及び現金同等物の期末残高とは、期末時点に会社が保有するキャッシュの残高です。

3 3つのCFのプラスとマイナスを把握する!

キャッシュフロー計算書を読む際は、3つのCFのプラスとマイナスの組み合わせを把握することが大切です。

営業CFがプラスなら、本業できちんと稼げているので好ましいです。その上で投資CFがマイナスなら、本業で稼いだ資金で設備投資をしているといえます。この、

営業CFと投資CFを足したものを「フリーキャッシュフロー」

と呼び、これが大きければ好ましいです。また、財務CFがどうなっているかですが、マイナスなら余った資金を返済に回しているのでしょうし、プラスならフリーキャッシュフローだけでは足りない部分を借入で補っているかもしれません。以下で、3つのCFのプラスとマイナスの組み合わせが何を指しているのかについて、一般的な解釈を示しているので参考にしてみてください。

キャッシュフロー計算書

4 【質問】財務CFはプラスのほうがいい?

最後に皆さんに質問です。

財務CFは、プラスとマイナスのどちらが好ましいですか?

この質問に対する答えは、キャッシュフロー計算書を読む理由や立場によって違います。財務CFには銀行からの借入などがあります。つまり、借入をすれば財務CFはプラスになりますが、その理由が大切です。例えば、

新たなチャレンジのために借入したのか、資金繰りに窮して借入をしたのかによって評価は全く違ってくる

ことになります。ここでは財務CFについて説明しましたが、この考え方は投資CFでも同じです。

「自分は何のためにキャッシュフロー計算書を読むのか?」という目的を持つと、キャッシュフロー計算書の見え方が違ってきます。また、キャッシュフロー計算書に限らず、財務諸表は単年度のものだけでは良しあしを判断することはできません。理想的には、当期、前期、前々期の3期分を比較してみると、状況がより分かりやすくなります。

以上(2025年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【有利な契約】トラブルなく「契約解除」をするための基礎知識

1 ビジネスシーンで欠かせない契約

円満に始まった取引でも、実際に動き出すと「想定よりも品質が悪い」「納期遅れが頻発する」などの問題が生じることは珍しくありません。場合によっては契約解除を検討しますが、このようなときのトラブルを避けるために、

契約締結時に、解除条項をできるだけ具体的に規定すること

が大切です。

一方、継続的契約の場合、先々を見越して契約期間を長期に定めたり、契約期間を定めなかったりするケースがあります。一見、収益を安定させる自社にとって有利な条件のように思えますが、その間は自社も契約解除ができない諸刃の剣となります。

以上を踏まえつつ、この記事では「契約解除」について知っておきたい基礎知識を紹介します。契約が解消されるパターンは

  • 契約の無効: 契約内容が公序良俗に反するなど、効力が認められない
  • 契約の取消し: 未成年者が締結したなど、契約締結時に遡って取り消すことができる
  • 契約解除: 契約自体は有効だが、契約を解消することができる (1.と2.以外のケース)

の3つに大別されますが、この記事で注目するのは「3.契約解除」です。

2 任意規定と強行規定

任意規定とは、

当事者の意思によって変更することができる法令上の規定

です。民法の規定の多くは任意規定です。当事者が契約で定めた内容は任意規定に優先します。

強行規定とは、

当事者の意思によって変更することが許されない法令上の規定

です。下請法(2026年1月からは取適法)や労働法、消費者契約法などの規定の多くは強行規定です。当事者が契約で定めた内容でも、強行規定に反すれば無効です。

つまり、解除条項が強行規定に反すれば無効です。例えば、「倒産解除条項」などが該当します。倒産解除条項とは、

仮差押え、税金の滞納、支払停止など相手方に強い信用不安が生じたときや、破産・民事再生・会社更生手続開始の申立てがあった場合などに、無催告解除できる

というものです。

分割払いで商品を購入する際に、売主が代金完済まで所有権を留保する所有権留保契約では、買主に倒産手続の申立てがあった場合、契約を解除できる特約が設けられることがあります。このような特約があると、買主が民事再生手続を申し立てた途端に、事業に必要な設備や在庫を失うことになります。

例えば、製造業者が事業設備を所有権留保付きで購入していた場合、民事再生の申し立てを行ったことにより事業設備を引き揚げられてしまうと事業の継続が困難になります。これでは、民事再生による事業再建という制度趣旨が損なわれてしまいます。

そこで、譲渡担保法により、民事再生手続や会社更生手続の申立てがあったことや、その原因となる事実が生じたことを理由とする契約解除特約は無効と定められています。これにより、倒産手続における買主の事業継続が保護されるのです。

3 法定解除と約定解除

法定解除とは、

法律の規定に基づいて契約を解除すること

です。例えば、民法には債務不履行を理由とする契約解除が定められているので、相手に債務不履行があれば、契約書に解除条項がなくても契約解除ができます。

一方、約定解除とは、

契約の条項に基づいて契約を解除すること

です。例えば、契約に「営業停止、営業免許・営業登録・営業許可の取消し等の行政上の処分を受けたとき」などと定めた場合、実際に相手が支払停止などの状態に陥ったときは契約解除ができます。

4 継続的契約か否か

継続的契約であるか否かは、契約上の文言ではなく、取引の実態で判断されます。裁判例では、継続的契約の要件として、

取引の種類、態様、支払手段、契約当事者の意思等によって定まるものであって、契約書の存否によって左右されるものではない

と示されています。

そして、契約解除において、継続的契約か否かは大切なポイントとなります。継続的契約を解除する場合、

契約で定められている要件に該当することに加え、裁判例上、「解除につきやむを得ない事由」があるか否かを問われる

ことがあります。例えば、納期が遅れた場合は催告なしに、即刻、契約を解除できる旨を定めていたとしましょう。この規定自体は問題なく、わずかに納期が遅れた場合でも、契約の解除を求めることができます。

しかし、それが継続的契約の場合、相手との継続的な取引を念頭に、もう一方の契約の当事者が設備投資を行ったり、社員を雇用したりしていることがあります。こうした事情に鑑みて、解除してもやむを得ない事情があるかが問われるのです。そのため、わずかな納期遅れのような、軽微な債務不履行では契約の解除が認められないことがあります。

やむを得ない事情の有無は、契約を解除する必要性、契約当事者間で想定していた契約期間、契約解除により当事者に与える影響、下請契約であるなど解除する側とされる側の力関係や、継続的な取引を継続することが困難なほど信頼関係が破壊されたといえるかなどが考慮されるようです。

以上(2026年1月更新)
(監修 弁護士 田島直明)

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画像:pixabay

360度評価で働き方の「指さし確認」をしてみよう

1 本当に会社の方針や時代に合った働き方はできているか?

360度評価とは、

上司、同僚、部下、取引先や顧客など、立場や関係性の異なる人たちが評価者となり、文字通り360度の方向から被評価者の仕事ぶりを評価する制度

です。360度評価の主な役割は、

評価者(上司)が多忙だったり評価に不慣れだったりする場合でも、「目」を増やして評価を補完できること

です。しかし、ここにきて別の役割が期待されています。それは、

各評価者からのフィードバックを通して、被評価者の働き方が、本当に会社の方針や時代に合ったものかを「指さし確認」すること

です。例えば、「昭和・平成の時代では普通」とされていた指導やコミュニケーションが、「令和の時代ではハラスメント」と指摘されるのはよくあるケースです。評価者が1人だとこうした問題に気付けない恐れがありますが、世代や立場の違うさまざまな人が評価者になることで、

社員は互いに「自分は今の状態で大丈夫なのか?」と確認することができる

わけです。

そこでこの記事では、360度評価における経営者の役割、被評価者・評価者の選び方などを紹介します。なお、

通常、360度評価は報酬決定(賞与や昇給など)につながる人事考課とは切り離して運用

されます。評価者が増えることで被評価者の報酬が変動しやすくなるリスクがあるからです。この記事でも、360度評価は人事考課と切り離して考えます。

2 360度評価における経営者の役割

社員は上司から評価されることには慣れていますが、同僚、部下、取引先などから評価されるのには慣れていません。ですから、360度評価の結果が良くないものだった場合、それを冷静に受け止められない恐れがあります 。例えば、管理職が部下から低い評価を受けた場合、

  • 「自分を低く評価するなんて許せない!」と憤慨する
  • 「部下が何と言おうと関係ない。今まで通りやる」と開き直る
  • 「自分は管理職失格だ・・・・・・」と必要以上に落ち込む
  • 「もう部下に嫌われたくない・・・・・・」 とおびえて指導に消極的になる

といったケースが考えられます。

これでは360度評価の意味がないので、経営者は事前に社員に次の2点を伝えましょう。

  • 評価結果は評価者の「主観的」な意見であり、妥当性は一旦横に置いてほしいこと
  • 1.を踏まえ、評価結果を「自分の働き方を見直すためのヒント」にしてほしいこと

評価者の中には評価に不慣れな人も多いですし、被評価者について知っていること、知らないことにもバラつきがあります。また、単純な好き嫌いで評価してしまう人もいるでしょう。

ですから、正当かどうかはともかく、フィードバックを受けた被評価者が、「そういう考え方もあるのか」「言われてみればそうかもしれない」と気付きを得て、自分の働き方の見直しに活かしていくことができ、そこには大きな意味があります。

360度評価を実施するに当たって重要なのは、「評価結果を過大にも過小にも受け止めず、客観的に見てほしい」という経営者のメッセージ

です。

3 匿名性を確保しつつ、被評価者・評価者を選ぶ

1)被評価者

360度評価を報酬や配置など人事考課と切り離して運用する場合、全社員を被評価者にする必要はなく、

  • 管理職のマネジメント能力を確認したいので、管理職を被評価者にする
  • プロジェクトチームの雰囲気などを確認したいので、メンバーを被評価者にする
  • 他社に出向している社員の状況が分からないので、出向社員を被評価者にする

といった具合に、経営者の方針で決めていきます。なお、部下や後輩がいない社員は360度評価の対象になりにくいですが、リーダーとしての資質などを確認するために、複数の管理職や同僚、取引先などを評価者にして実施することも効果的です。

2)評価者

評価者を選ぶ場合、上司、同僚、部下、取引先や顧客などの中から、

  • 被評価者と業務上の接点があり、接触する頻度が高い人
  • 被評価者の業務内容や求められている役割について、ある程度知っている人

を選びます。評価者の人数は、会社の規模や被評価者の状況によって変わりますが、できれば上司、同僚、部下、取引先など各レイヤーで2人以上いると好ましいです。取引先などに評価してもらう場合、被評価者が自ら取引先に依頼する方法もあります。そうすれば、評価結果をより真摯に受け止められるでしょう。

なお、一概には言えませんが、上司以外の評価者については次のような特性がありますので、念のため触れておきます。

1.同僚

被評価者と同レベルの仕事を行っていて、被評価者の仕事内容や仕事の進め方を理解しています。ただし、友人・ライバルなどの場合、なれ合いや足の引っ張り合いにもなり得ます。

2.部下

上司の言動を日ごろから観察していて、良い点も悪い点も把握しています。ただし、上司の仕事内容についての理解が浅く、厳しい、優しいなど表層的な基準で評価することがあります。

3.取引先や顧客

被評価者の接客レベルなどの他、評価結果から取引先や顧客のニーズも知ることができます。ただし、社外の人間なので、評価者になってもらうには相応のハードルがあります。

3)匿名性の確保が大前提

評価者が安心して本音を伝えるには、厳格な「匿名性」の担保が前提です。特に中小企業のように、一人ひとりの顔が見える規模の組織では、コメントの内容から誰が書いたかが容易に推測できてしまうリスクがあります。匿名性を確保するポイントの例は次の通りです。

  • 各レイヤー (同僚、部下など) で複数の評価者を選定する
  • 自由記述は人事が文体を整えたり、箇条書きに要約したりして個人の特定を防ぐ
  • 集計・分析を外部の専門ベンダーに委託し、社内で生データを閲覧できないようにする

4 設問は30問以内で、抽象的な質問はなるべく避ける

設問は30問以内5段階評価など選択式を基本としつつ、自由記述式の設問も交えます(10~15分程度で完了できるのが理想)。項目が多すぎると一つひとつの評価が浅くなり、フィードバックも表面的になりがちです。

また、その際、被評価者本人にも同じ設問を送り、自己評価をしてもらいます。自己評価と他者評価のギャップが分かると、自身の働き方について気付きを得やすくなるからです。

質問内容は、できるだけ定義がブレない具体的な行動事実にフォーカスします。抽象的な項目(NG例) と具体的な行動指標 (OK例) の例は次の通りです。

  • (NG例) コミュニケーション能力があるか → (OK例) 相手の話を最後まで傾聴し、理解した上で応答しているか
  • (NG例) リーダーシップを発揮しているか → (OK例) チームの目標を明確なビジョンとしてメンバーに共有しているか
  • (NG例)協調性があるか→ (OK例) 意見の異なる同僚とも、共通の目標達成のために協力できているか
  • (NG例)部下育成に熱心か → (OK例) 部下の強みと弱みを把握し、具体的な成長課題を提示しているか

なお、選択式よりも自由記述のほうが、より詳細な情報を得やすいので、選択式の設問を減らしつつ、自由記述式のボリュームを増やすのも一策です。あるいは、リポート形式とし、

「新しい働き方に合った管理職であるか?」

などのテーマでリポートを書いてもらう方法もあります。

5 被評価者に対しては「過大評価せず、過小評価もしない」

フィードバックは、上司(または経営者)と被評価者による面接形式で行い、その際、被評価者には自己評価の結果を持参してもらいます。フィードバックの目的は、被評価者に、

  • 相対的な強み・弱みを知ってもらうこと
  • 自己評価と他者評価のギャップに着目してもらうこと

です。点数の低い項目、自己評価と他者評価の点数の乖離(かいり)が大きい項目があれば、それを洗い出し、働き方の見直しに役立ててもらいます。

フィードバック面談は、例えば次のような流れで進めます。

  • 準備段階: 本人に事前に結果を読み込ませ、強みと改善点を自己分析してもらう
  • 目的の再確認: 面談の冒頭で「この面談はあなたの成長を支援するためのものである」と伝える
  • 自己評価の傾聴: 本人が結果をどう受け止めたか、なぜそのギャップが生じたと思うかを、まずは否定せずに「傾聴」する
  • 上司等からのフィードバック: まずは感謝や評価している点など、ポジティブな内容から話す。課題については「客観的な事実」をベースに話し、今後の関わり方を議論する
  • スモールステップの設定: 明日から変えられる具体的な小さなアクションを共に決定し、合意する

360度評価の結果は、「過大評価せず、過小評価もしない」が原則なので、上司(または経営者が被評価者の点数の低さなどを糾弾するようなことはしません。ただし、働き方を見直してもらうのには良いタイミングなので、フィードバックと併せて、

  • 被評価者自身は、評価結果を受けて今後どのように成長していきたいか
  • 上司(または経営者)として、今後どのような働き方を期待しているか

を明らかにし、改善に役立ててもらうとよいでしょう。

以上(2026年2月更新)

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画像:Studio Romantic-Adobe Stock

【入社1年目の教科書】貸借対照表で大切なのは5つの箱とその大きさ

損益計算書はわりと分かりやすかったけど、「貸借対照表」は本当に苦手……。科目が多くて、似たような名前だから区別できない。どれが一番大事なのか、印を付けてくれればいいのに。それに、貸借対照表は必ず左右の金額が一致している。これって偶然? それともわざわざ合わせているのかな?

1 まずは貸借対照表を見てみよう

貸借対照表とは、

会社がどのようにお金を調達し、それを何に使っているかを示す財務諸表

です。少し難しく説明すると、ある時点(通常は決算日。企業によって異なります)の会社の「財政状態」を示した財務諸表となります。英語では「Balance Sheet」と表記されるので、「BS」「B/S」と略されたりします。前回の損益計算書との違いは、次のようなところでしょうか。

  • 損益計算書:一定期間に「どれだけ儲けたか」を表す。イメージは家計簿
  • 貸借対照表:ある時点に「何を持っているか」を表す。イメージは財産目録

早速、貸借対照表を確認してみましょう。

貸借対照表

貸借対照表の右側と左側は、

  • 右側:お金をどのように持ってきたのか(資金調達状況)
  • 左側:持ってきたお金を何に使ったのか(資金運用状況)

を示します。この左右の内容をさらに細かく見ると、次のようになります。

  • 右側の上「負債の部」:銀行からの借入など。他人資本とも呼ばれる
  • 右側の下「純資産の部」:株主の出資金やこれまでの利益など。自己資本とも呼ばれる
  • 左側の「資産の部」:現預金や土地など

次の分かりやすい図で、貸借対照表の構造を確認してみましょう。右側から左側に、調達したお金が使われているイメージがよく分かりますね。

貸借対照表の構造

2 貸借対照表は5つの箱で考える

貸借対照表の右側と左側の説明は前述した通りですが、

右側の負債と左側の資産は、それぞれ「流動」と「固定」とに分類

されます。イメージは、

  • 流動:すぐに現金に変わる、すぐに支払う
  • 固定:長く持ち続ける、ゆっくり返す

で、具体的には「正常営業循環基準」と「1年基準」によって区別されます。

正常営業循環基準とは、

「現金→仕入れ→商品→販売→売り上げ→現金」という営業サイクル

です。この営業サイクルの中で発生する資産・負債を「流動」として表示します。

次が1年基準です。正常営業循環基準で流動とならないものでも、

決算日の翌日から1年以内に現金化や返済期限がある資産・負債は「流動」

に区分されます。

貸借対照表は5つの箱で考える

そして、貸借対照表を読む際は、

流動資産、固定資産、流動負債、固定負債、純資産

の5つの箱のバランスを見ることがとても大切です。簡単に示すと次のようになります。

5つの箱のバランス

どれが大きくて、どれが小さければよいかというのは貸借対照表を読む理由や立場によって違ってきますが、個々の数字の大小よりも、5つの箱のバランスを見るようにしてください。

次章で、それぞれの項目の意味を説明していきます。説明ばかりで退屈かもしれませんが、全て大切な内容なので、できるだけ覚えてください。

3 貸借対照表の項目

1)資産の部

1.流動資産

流動資産は、現金・預金、受取手形、売掛金、棚卸資産など、営業サイクルの中で発生する資産または決算日の翌日から1年以内に現金化される資産です。

2.固定資産

固定資産は、建物・構築物・付属設備、特許権など、営業サイクルの中で発生する資産で、なおかつ決算日の翌日から1年以内に現金化されない資産です。

a.有形固定資産

有形固定資産は、固定資産のうち、建物・構築物・付属設備、土地など、有形の財産として会社が保有する資産です。

b.無形固定資産

無形固定資産は、固定資産のうち、特許権、借地権など、無形の財産として会社が保有する資産です。

c.投資その他の資産

投資その他の資産は、関係会社株式、出資金、長期貸付金など、本業以外の投資活動のために保有する資産です。

3.繰延資産

繰延資産は、創立費、開業費、株式交付費など既に発生した費用のうち、現在から将来にわたって効果が見込まれるために、経過的に貸借対照表に記載される資産です。

2)負債の部

1.流動負債

流動負債は、支払手形、買掛金など、前述の基準で流動負債に分類される負債です。

2.固定負債

固定負債は、社債、長期借入金など、前述の基準で固定負債に分類される負債です。

3)純資産の部

1.株主資本

株主資本は、資本金、資本剰余金、利益剰余金など、返済の必要性のない資金です。

2.その他の純資産

その他の純資産は、株主資本以外の時価評価に伴うその他有価証券評価差額金、新株予約権などです。

4 細かな数字よりもバランスを見る!

貸借対照表を読む際は、個別の項目よりも、

流動資産と固定資産、資産と負債、負債と純資産のバランス

を見ることで、会社の状況が分かりやすくなります。例えば、流動資産よりも流動負債が大きければ、資金繰りに窮している恐れがあります。また、一般的には、負債よりも純資産が大きく、純資産で固定資産を賄えている形が理想的です。

ちなみに、損益計算書では分からなかった「掛け」については、貸借対照表の流動資産の「売掛金」、流動負債の「買掛金」で分かります。それぞれの大きさはもちろんですが、それ以上に決済の後先が資金繰りに大きな影響を及ぼすことを忘れないでください。先にお金が入れば、支払いが楽になります。逆に、先に支払いがくると資金繰りが厳しくなるということです。

5 【質問】どちらが大きいほうがいい?

最後に皆さんに質問です。

流動と固定は、どちらが大きいほうが好ましいですか?

この質問に対する答えは、貸借対照表を読む理由や立場によって違います。例えば、銀行からの借入は、返済期間が1年以内なら流動負債、1年超なら固定負債となります。考えるべきは、

長期(返済期間が1年超)のほうが資金は安定するが金利は高くなり、短期の場合は逆になる

ということです。会社の資金繰りや借りたい資金の種類(運転資金や設備資金)によって、好ましい借入は変わってくるのです。

「自分は何のために貸借対照表を読むのか?」という目的を持つと、貸借対照表の見え方が違ってきます。また、貸借対照表に限らず、財務諸表は単年度のものだけでは良し悪しを判断することはできません。理想的には、当期、前期、前々期の3期分を比較してみると、状況がより分かりやすくなります。

以上(2025年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda