【入社1年目の教科書】電子メールの「お作法」を教えます。メール文学で結構なお手前に!

書いてあること

  • 主な読者:電子メールを使った経験がほとんどない新入社員
  • 課題:ビジネスの電子メールには独特の文化があるが、それが正しいのか分からない
  • 解決策:メール文学を踏まえつつ、「簡潔に、分かりやすく、丁寧に」が基本

最近、プライベートでは電子メール(以下「メール」)を使うことはなくなったけど、ビジネスではまだまだ主力の連絡手段だ。まぁ、電話するよりは気が楽だけど、「いつもお世話になっています」とか、「何卒よろしくお願い申し上げます」みたいな独特な言い回しは慣れないな~。ちょっとマイルドにするために絵文字を使いたいけど、さすがにまずいかな……。

1 メールはまだまだ第一線

最近はチャットツールなどさまざまな連絡手段がありますが、メールがビジネスにおける主力の連絡手段であることは変わりません。業界や職種によっては「メール離れ」が進んでいますが、全体から見るとまだまだ少数派です。

社会人になった皆さんは、メールの“お作法”を学ばなければなりません。メールは長く使われてきたツールなだけに、独特の進化を遂げた部分があります。この辺りについてもある程度は理解し、正しいマナーを身に付けましょう。

2 メールの宛先設定は3種類

まず、メールの宛先には次の3つがあります。

  1. TO:メインの送り先。TOのアドレスは全員が確認可能
  2. CC(Carbon Copy):念のための送り先。CCのアドレスは全員が確認可能
  3. BCC(Blind Carbon Copy):伏せた送り先。BCCのアドレスは送り主だけが確認可能

例えば取引先にメールを送る場合、CCに先輩を入れて「本件は先輩も承知しております」ということを相手に伝えたりします。あるいは関係者が多いとき、メンバーをまとめてCCに入れることもあります。BCCには、別の先輩など周囲に内緒で知らせたい相手を入れます。あるいは一斉送信メールで、送信先のアドレスを隠したい場合にも利用されます。

これが基本的な使い方ですが、ワンランク上を目指すなら次のポイントを押さえてください。

  1. 何でもかんでも先輩をCCに入れない
  2. 関係者が多いときはメーリングリストを作る

先輩をCCに入れれば安心とばかりに、何でも先輩をCCに入れないようにしましょう。大量のメールが送られる先輩に迷惑をかけるからです。また、こちらの担当者が多いと、相手は一人ひとりのアドレスを登録しなければならず、これが本当に面倒です。メーリングリストを作り、「こちらに送っていただければ、関係者が確認できます」とスマートにいきたいものです。

3 平成時代の「メール文学」

本来、メールはカジュアルなツールですが、手紙の代わりという意識があったのか、やたらとお堅い表現が使われます。例えば、

  • いつもお世話になっております。◯◯(会社名)の□□(名前)です。
  • 先日はありがとうございました。
  • ご多用中に恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。

は、本当によく使うフレーズです。しかも、同じ相手とメールをやり取りする場合、2通目からは、

  • いつもお世話になっております。「◯◯(会社名)の□□(名前)です。」

と、「 」でくくった名前の部分を省略してもよいという暗黙の了解があったりもします(人によります)。最近ほとんど見かけなくなりましたが、1行当たりの文字数を合わせて右端を揃えてくる「職人」もいました。いずれにしても、「郷に入っては郷に従え」ということで、先輩にメール本文のお作法を確認するとよいでしょう。

ただし、ご用心。「メール文学」の最大の難点は、妙に丁寧になりすぎて、何を言いたいのか分からなくなってしまうことです。ビジネスは、次に何をすべきかを明確にしなければ停滞します。そのため、メールの内容についても、

  • 確認して欲しい
  • アポイントを取りたい
  • 連絡が欲しい

など、相手に対して何を求めているのかが明確な文章にしましょう。

4 最もありがちなミスは「添付漏れ」

メールで最も多いミスは添付漏れでしょう。早く送りたいという気持ちもあり、ついつい添付を忘れてしまいます。添付ファイルがあるときは、本文を入力するよりも先にファイルを添付すれば間違いありません。また、自社と相手とのルールで問題がなければ、メールに添付するのではなく、クラウドのドライブなどでの「ファイル共有」を提案するとよいでしょう。

ここでもワンランク上を目指すなら、次のポイントを押さえてください。

  1. 「PPAP」(パスワード付きzipのメール送信)は、できるだけやらない
  2. 重たい添付ファイルを送らない

PPAPとは、パスワード付きのzipファイルをメールに添付して送信し、直後に解凍パスワードを書いたメールを送信する方法です。PPAPという通称は、次の言葉の頭文字を取ったもので、以前に人気を集めたお笑い芸人のネタになぞらえて揶揄(やゆ)されています(日本情報経済社会推進協会に所属していた大泰司 章氏(おおたいし あきら。現・PPAP総研所属)によって問題提議・命名)。

  • Password付きzipファイルを送ります
  • Passwordを送ります
  • An号化(暗号化)
  • Protocol(プロトコル、手順)

ここでは細かく触れませんが、PPAPはセキュリティー上、ほとんど意味がありません。にもかかわらず、受信した側はいちいちファイルを解凍しなければならず、とても面倒です。PPAPを行う会社はまだまだ多いですが、こうした問題があることを覚えておいてください。

また、やたらと重たいファイルを添付するのも避けたほうがよいです。「写真がいっぱいで、立派な資料」でも、容量が重すぎては受信する側は迷惑です。クラウドのドライブやファイル転送サービスを使うようにできたらよいですね。

5 分かりやすさを意識する

メールは、件名も本文も分かりやすさが大切です。件名を見て、用件や送信者が分かると理想的です。複数のテーマでメールをやり取りする際は、件名に【テーマ名】などを入れておくと分かりやすく、後で検索する際も便利です。

本文についても、謝罪など特別な場合でなければ簡潔に記します。挨拶やアイスブレークなどを入れる際は、本件との間に改行を入れるなどして区別をしましょう。

また、メールの最後に署名を入れることがあります。かつて凝ったデザインの署名が流行りましたが、今ではそこに感動する人はおらず、シンプルなものが主流です。所属、氏名、連絡先などが分かれば十分です。

それと、「これだけはやらないでください!」というお手付きを紹介します。これをやると、関係者が混乱するので、気を付けてください。

  • 1通のメールに複数のテーマを書く(しかも件名では内容が分からない)
  • 【テーマA】の件名でやり取りしているのに、【テーマB】の話を加える
  • TOと本文の宛先が複数人列挙されており、誰が担当者なのか分からない
  • CさんとDさんのやり取りに、特別な事情なくCCだったEさんが割り込んでくる

6 メールの「時間」に配慮する

メールについて意識しておきたい時間は2つです。

1つ目は送信時間です。送信側としては、早く送ってしまいたいという気持ちがあるものの、あまり早い時間や遅い時間の送信は避けましょう。「こんな時間から(まで)働いているの?」と相手を驚かせてしまいます。それに、相手がメール受信時にバイブレーターなどの設定をしていることもあり、寝ているところを起こしてしまうかもしれません。

2つ目は返信までの時間です。メールを受け取ってから返信までに、あまり時間がかかるのは良くありません。最長でも1日以内には返信したいところです。返信までに時間がかかりそうな場合は、まず「確かにメールを受信していること」と、「回答までに一定の時間を要する」ことを記したメールを送っておくようにしましょう。

7 誤送信してしまったら素早くフォローを

メールの誤送信は誰にでも起こり得るトラブルです。送信前のチェックに焦っていたら甘くなります。最近のメーラーは便利で、送信先候補をサジェストしてくれたりしますが、そこで関係のないアドレスを選択してしまう恐れもあります。

とにかく、メールの誤送信に気付いたらすぐに先輩に報告してください。そして、先輩の指示に従って、送信先にすぐ電話をしておわびとメールの削除などを依頼します。電話がつながらない場合、おわびのメールを送信します。

最初のうちは、送信前に先輩に確認してもらうとよいでしょう。また、PPAPではなく、相手とオフライン(口頭など)でパスワードを決めておくのも一策です。

以上(2024年12月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【規程・文例集】 改正育児・介護休業法に対応した 「介護休業等に関する規程」のひな型

1 介護離職防止のための雇用環境整備などに注意

育児・介護休業法では、社員の介護をサポートするための制度が多岐にわたるため、介護休業等に関する規程によって整理することが欠かせません。2025年4月1日施行の改正育児・介護休業法では、「社員が介護に関する支援制度を円滑に利用できるよう、一定の措置を講じることが義務化される」などの改正があるため、忘れずに規程に落とし込んでおきましょう。

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次章で、図表の法改正の内容を反映した「介護休業等に関する規程」のひな型を紹介します。なお、法改正の内容について詳しく知りたい場合、次のコンテンツをご確認ください。

2 介護休業等に関する規程のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

なお、「介護離職防止のための雇用環境整備」については、このひな型では

「介護休業等相談窓口の設置(第14条)」で対応すること

としています。

また、規程の中に出てくる「社内様式(介護休業申出書など)」については、こちらからエクセル形式でダウンロードできます。必要に応じてご活用ください。

こちらからダウンロード

【介護休業等に関する規程のひな型】

第1条(目的)

本規程は、従業員の介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、介護短時間勤務などに関する取り扱いについて定めるものである。本規程に定めのない事項は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律およびその関係法令」(以下「法令」)による。

第2条(介護休業の対象者など)

1)要介護状態にある対象家族を介護する従業員(日々雇われる従業員を除く)が、当該対象家族の介護のための休業を希望する場合、本規程で定めるところにより介護休業を取得することができる。期間を定めて雇用される従業員(以下「期間契約従業員」)にあっては、申出時点において、次の全てに該当する場合に限り介護休業を取得することができる。

介護休業を開始しようとする日から93日を経過する日(以下「93日経過日」)から6カ月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと。

2)前項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)で定めた次の従業員の介護休業は認めない。

  • 入社1年未満の従業員。
  • 申出日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)要介護状態にある家族とは、負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり法令で定める基準の常時介護を必要とする状態にある者をいう。

4)対象家族とは、次に定める者をいう。

  • 配偶者(事実上、婚姻関係と同様の事情にある者を含む)。
  • 従業員の父母および子。
  • 従業員の祖父母、兄弟姉妹および孫。
  • 配偶者の父母。
  • その他、会社が認めた者。

5)介護休業の期間については、基本給および諸手当、その他の月ごとに支払われる賃金は支給しない。

6)賞与の算定対象期間に介護休業をした期間が含まれる場合には、当該期間を算定対象期間から除いて計算する。

7)介護休業の期間中の定期昇給は行わないものとし、復職後の昇給において休業前の勤務実積を加味し調整する。

8)退職金の算定に当たっては、介護休業をした期間を勤務したものとして勤続年数を計算するものとする。

第3条(介護休業の申し出の手続きなど)

1)介護休業の取得を希望する従業員は、原則として介護休業を開始しようとする日(以下「介護休業開始予定日」)の2週間前までに「社内様式1 介護休業申出書」を総務部に提出しなければならない。なお、期間契約従業員が介護休業中に労働契約を更新することになり、引き続き介護休業を希望する場合は、更新された労働契約期間の初日を介護休業開始予定日として、「社内様式1 介護休業申出書」を総務部に提出することで再度の申し出を行うものとする。

2)介護休業の申し出は、特別な事情がない限り、対象家族1人につき、延べ93日間までの範囲内で3回を上限とする。ただし、前項後段の申し出をする場合はこの限りではない。

3)会社は、「社内様式1 介護休業申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。

4)「社内様式1 介護休業申出書」が提出されたときは、会社は速やかに当該申出書を提出した従業員(以下「介護休業の申出者」)に対し、「社内様式2 介護休業取扱通知書」を交付する。

第4条(介護休業の申し出の撤回など)

1)介護休業の申出者は、介護休業開始予定日の前日までに「社内様式3 介護休業申出撤回届」を総務部に提出することで、介護休業の申し出を撤回することができる。

2)「社内様式3 介護休業申出撤回届」が提出されたときは、会社は速やかに当該届を提出した従業員に「社内様式2 介護休業取扱通知書」を再度交付する。

3)同一の対象家族について介護休業の申し出が撤回され、撤回後最初の介護休業の申し出も撤回された場合、その後の介護休業の申し出については、会社はこれを拒むことができる。

4)介護休業開始予定日の前日までに、対象家族の死亡などにより介護休業の申出者が、申し出に関わる対象家族を介護しないこととなった場合、介護休業の申し出はされなかったものとみなす。この場合において、介護休業の申出者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第5条(介護休業の期間など)

1)介護休業の期間は、同一の対象家族につき延べ93日間までとし、介護休業の申出者はその範囲内で3回を上限として、「社内様式1 介護休業申出書」に記載した期間の介護休業を取得することができる。

2)前項にかかわらず、会社は、法令の定めるところにより介護休業開始予定日の指定を行うことができる。

3)従業員は、介護休業を終了しようとする日(以下「介護休業終了予定日」)の2週間前までに「社内様式4 介護休業期間変更申出書」を総務部に提出し、介護休業終了予定日を繰り下げることができる。

4)「社内様式4 介護休業期間変更申出書」が提出されたときは、会社は速やかに当該申出書を提出した従業員に「社内様式2 介護休業取扱通知書」を再度交付する。

5)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に介護休業は終了するものとする。

  • 対象家族の死亡などにより介護休業に関わる家族を介護しないこととなった場合当該事由が発生した日。
  • 介護休業の申出者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または新たな介護休業が始まった場合産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または新たな介護休業の開始日の前日。

6)第5条第5項第1号の事由が生じた場合には、介護休業の申出者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第6条(介護休暇)

1)要介護状態にある対象家族の介護その他の世話をする従業員(日々雇われる従業員を除く)は、当該対象家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。

2)前項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員の介護休暇は認めない。

1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)介護休暇は、1日単位または1時間単位で取得することができる。なお、1時間単位の場合、始業時刻から終業時刻の間で連続または断続して取得することができる。

4)介護休暇を申し出る従業員は、原則として、事前に「社内様式5 介護休暇申出書」を総務部に提出するものとする。

5)介護休暇を取得した時間については賃金を支給しない。

第7条(所定外労働の制限)

1)要介護状態にある対象家族を介護する従業員(日々雇われる従業員を除く)が当該家族を介護するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。

2)前項にかかわらず、会社は別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員の所定外労働は制限しない。

  • 入社1年未満の従業員。
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

3)所定外労働の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間(以下「制限期間」)について、制限を開始しようとする日(以下「制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式11 所定外労働制限請求書」を総務部に提出するものとする。この場合において、制限期間は、第8条に定める時間外労働の制限期間と重複しないようにする。

4)会社は、「社内様式11 所定外労働制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。

5)所定外労働の制限開始予定日の前日までに、対象家族の死亡などにより「社内様式11 所定外労働制限請求書」を提出した従業員(以下「所定外労働の制限の請求者」)が請求に関わる家族を介護しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、所定外労働の制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

6)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に制限期間は終了するものとする。

  • 対象家族の死亡などにより所定外労働の制限に関わる家族を介護しないこととなった場合当該事由が生じた日。
  • 所定外労働の制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または新たな介護休業が始まった場合産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または新たな介護休業の開始日の前日。

7)前項第1号の事由が生じた場合には、所定外労働の制限の請求者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第8条(時間外労働の制限)

1)要介護状態にある対象家族を介護する従業員(日々雇われる従業員、入社1年未満の従業員、1週間の所定労働日数が2日以下の従業員を除く)が、当該対象家族を介護するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1カ月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせることはない。

2)時間外労働の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上1年以内の期間について、制限を開始しようとする日(以下「時間外労働の制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、時間外労働の制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式6 時間外労働制限請求書」を総務部に提出するものとする。この場合において、時間外労働の制限期間は、前条に定める所定外労働の制限期間と重複しないようにする。

3)会社は、「社内様式6 時間外労働制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。

4)時間外労働の制限開始予定日の前日までに、対象家族の死亡などにより「社内様式6 時間外労働制限請求書」を提出した従業員(以下「時間外労働の制限の請求者」)が、請求に関わる家族を介護しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、時間外労働の制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

5)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に時間外労働の制限は終了するものとする。

  • 対象家族の死亡などにより時間外労働の制限に関わる家族を介護しないこととなった場合当該事由が生じた日。
  • 時間外労働の制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または新たな介護休業が始まった場合産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または新たな介護休業の開始日の前日。

6)前項第1号の事由が生じた場合には、時間外労働の制限の請求者は原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

第9条(深夜業の制限)

1)要介護状態にある対象家族を介護する従業員が当該家族を介護するために請求した場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、午後10時から午前5時までの間(以下「深夜」)に労働させることはない。

2)前項にかかわらず、会社は次のいずれかに該当する従業員からの深夜業の制限の請求は認めない。

  • 日々雇われる従業員。
  • 入社1年未満の従業員。
  • 深夜業の制限の請求に関わる対象家族の16歳以上の同居の家族が、次のいずれにも該当する従業員。
  • a.深夜において就業していない者(1カ月について深夜における就業が3日以下の者を含む)であること。
  • b.負傷、疾病または障害により介護が困難でないこと。
  • c.産前産後でないこと。
  • 4.1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。
  • 5.所定労働時間の全部が深夜にある従業員。

3)深夜業の制限を請求する従業員は、1回につき、1カ月以上6カ月以内の期間について、制限を開始しようとする日(以下「深夜業の制限開始予定日」)および制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、深夜業の制限開始予定日の1カ月前までに、「社内様式7 深夜業制限請求書」を総務部に提出するものとする。

4)会社は、「社内様式7 深夜業制限請求書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。

5)深夜業の制限開始予定日の前日までに、対象家族の死亡などにより「社内様式7 深夜業制限請求書」を提出した従業員(以下「深夜業の制限の請求者」)が、深夜業の制限の請求に関わる家族を介護しないこととなった場合には、請求されなかったものとみなす。この場合において、深夜業の制限の請求者は、原則として当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

6)次の各号に掲げるいずれかの事由が生じた場合には、それぞれに定める日に深夜業の制限は終了するものとする。

  • 対象家族の死亡などにより深夜業の制限に関わる家族を介護しないこととなった場合当該事由が生じた日。
  • 深夜業の制限の請求者について、産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または新たな介護休業が始まった場合産前・産後休業、育児休業、出生時育児休業または新たな介護休業の開始日の前日。

7)前項第1号の事由が生じた場合には、深夜業の制限の請求者は原則として、当該事由が生じた日に、総務部にその旨を通知しなければならない。

8)深夜業の制限を受ける従業員に対して、会社は必要に応じて昼間勤務ヘ転換させることがある。

第10条(介護短時間勤務)

1)要介護状態にある対象家族を介護する従業員は、申し出ることにより、所定労働時間を原則として午前9時30分から午後4時30分まで(休憩時間は午後0時から午後1時までの1時間)の6時間とすることができる。

2)前項にかかわらず、会社は、介護短時間勤務の時間の指定を行うことができる。

3)第1項にかかわらず、会社は次のいずれかに該当する従業員からの介護短時間勤務の申し出を拒むことができる。

  • 日々雇われる従業員。
  • 別途協定した「育児・介護休業等に関する労使協定」(省略)によって除外された次の従業員。
  • a.入社1年未満の従業員。
  • b.1週間の所定労働日数が2日以下の従業員。

4)介護短時間勤務の申し出をしようとする従業員は、対象家族1人につき利用開始の日から3年間で2回までの範囲内で、短縮を開始しようとする日および短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮を開始しようとする日の2週間前までに、「社内様式8 介護短時間勤務申出書」を総務部に提出しなければならない。「社内様式8 介護短時間勤務申出書」が提出されたときは、会社は速やかに介護短時間勤務の申出者に対し、「社内様式9 介護短時間勤務取扱通知書」を交付する。その他適用のための手続きなどについては、第3条から第5条までの規定を準用する。

5)介護短時間勤務の適用を受ける期間の賃金については、別途定める「賃金規程」(省略)に基づく基本給を時間換算した額を基礎とした実労働時間分の基本給を支給する。

6)介護短時間勤務の適用を受ける期間は、通常通り勤務したものとして、賞与、定期昇給、退職金の算定対象期間に加える。

第11条(介護時差出勤)

1)要介護状態にある対象家族を介護する従業員(日々雇われる従業員を除く)は、申し出ることにより、始業および終業の時刻を次のように変更することができる(以下、所定労働時間が7時間30分の場合)。

  • 時差出勤A:午前9時始業、午後5時30分終業。
  • 時差出勤B:午前9時30分始業、午後6時終業。
  • 時差出勤C:午前10時始業、午後6時30分終業。

2)介護時差出勤は、対象家族1人につき利用開始の日から3年間で2回までの範囲内で申し出ることができる。介護時差出勤を申し出る従業員は、その適用を開始しようとする日(以下「時差出勤開始予定日」)および終了しようとする日並びに時差出勤Aから時差出勤Cのいずれに変更するかを明らかにして、原則として時差出勤開始予定日の2週間前までに、「社内様式10 介護時差出勤申出書」を総務部に提出しなければならない。

3)会社は、「社内様式10 介護時差出勤申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。その他適用のための手続きなどについては、第3条から第5条までの規定を準用する。

4)介護時差出勤の適用を受ける期間は、通常通り勤務したものとして、賞与、定期昇給、退職金の算定対象期間に加える。

第12条(テレワーク)

1)要介護状態にある対象家族を介護する従業員(日々雇われる従業員を除く)は、申し出ることにより、本条の定めによりテレワークをすることができる。

2)テレワークの就業場所は、原則として従業員の自宅とし、それ以外の就業場所を希望する場合は事前に総務部に相談の上、許可を得なければならない。なお、騒音が著しい場所、テレワークに使用する端末が故障・紛失する恐れのある場所、セキュリティー保持に支障をきたす場所、その他テレワークの実施に支障が生じる恐れのある場所等での就業は禁止する。

3)テレワークの適用を申し出る従業員は、1回につき、1年以内の期間について、制度の適用を開始しようとする日(以下「テレワーク開始予定日」)および終了しようとする日、並びに1日の中でテレワークを行う時間帯を明らかにして、原則としてテレワーク開始予定日の1カ月前までに、「社内様式12 テレワーク申出書」を総務部に提出しなければならない。

4)会社は、「社内様式12 テレワーク申出書」を受け取るに当たり、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。その他適用のための手続きなどについては、第3条から第5条までの規定を準用する。

5)テレワークの適用を受ける期間は、通常通り勤務したものとして、賞与、定期昇給、退職金の算定対象期間に加える。

第13条(支援制度に関する説明と制度利用に対する意向の確認)

1)会社は、従業員から介護に直面した旨の報告があった場合、速やかに従業員との面談を行い、本規程に掲げる介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、介護短時間勤務など各支援制度の内容について説明し、制度利用に対する意向を確認しなければならない。また、従業員が制度の利用を希望する場合、その利用が滞りなく進むよう必要な配慮をしなければならない。

2)会社は、従業員が介護に直面する前の早い段階においても、本規程に掲げる介護休業等、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、介護短時間勤務など各支援制度の内容についての情報を提供しなければならない。

第14条(介護休業等相談窓口の設置)

1)会社は、「介護休業等相談窓口」を設置する。「介護休業等相談窓口」は介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、介護短時間勤務など各支援制度の利用に当たり、従業員本人やその家族からの相談および苦情の受け付けを行う。

2)「介護休業等相談窓口」の責任者(以下「窓口責任者」)は総務部長とし、「介護休業等相談窓口」の担当者(以下「窓口担当者」)は会社が個別に指名した従業員等とする。

3)会社は、窓口責任者および窓口担当者の名前を、人事異動などの変更の都度、周知させる。

第15条(社会保険などの取り扱い)

会社は、各月に会社が従業員負担分として納付した社会保険料を翌月○日までに従業員に請求するものとし、従業員は会社が指定する日までにこれを支払わなければならない。

第16条(職場復帰支援)

会社は、連続1カ月以上の介護休業を取得する従業員が介護休業期間中に復職準備プログラムの受講を希望する場合、別途定める「復職準備プログラム基本計画」(省略)に沿って、当該従業員に会社の負担で復職準備プログラムを実施する。

第17条(復職後の取り扱い)

介護休業後の勤務は、原則として休業直前の部署および職務で行うものとする。ただし、本人の希望がある場合および組織の変更などやむを得ない事情がある場合には、部署および職務を変更することがある。

第18条(ハラスメントの防止および不利益取り扱いの禁止)

1)全従業員は、従業員が「介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、介護短時間勤務などの申し出や請求」(以下「介護休業などの利用」)をした従業員の就業環境を害する言動を行ってはならない。

2)前項の言動を行ったと認められる従業員に対しては、就業規則(省略)第○条に基づき、厳正に対処する。

3)会社は、介護休業などの利用をしたことを理由に、従業員に対して解雇などのいかなる不利益な取り扱いも行わない。

第19条(改廃)

本規程の改廃は、取締役会において行うものとする。

附則

本規程は、○年○月○日より実施する。

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以上(2025年1月更新)
(監修 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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【改正育児・介護休業法に対応】 社員の介護をサポートするための6つの支援制度

1 介護の支援制度は6つ、2025年度から手厚くなる!

自分の家族(親など)を介護することになった社員が、介護をしながら働き続けるためには、会社のサポートが欠かせません。まず押さえておくべきは、育児・介護休業法で定められている、「要介護状態の対象家族」を介護するための支援制度です。

  • 要介護状態:負傷、疾病、障害により2週間以上常時介護を要する状態のこと
  • 対象家族:社員の配偶者(事実婚を含む)、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母のいずれかのこと(社員と同居していなくても可)

介護休業をはじめとする支援制度には、

  • 対象となる社員から請求があったら必ず実施する(社員が対象家族の介護について申出をしてきた時点で、支援制度について個別に周知し、利用の意向確認することが2025年度から義務化)
  • サポートの方法が「休みを与える」か「労働時間を短くする」かに分けられる

という特徴があり、また、2025年度からは図表1の赤字の通り、内容が手厚くなります。

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なお、2025年4月1日からは、介護離職を防ぐことを目的として、社員が図表1の支援制度を円滑に利用できるよう、次の4つの措置のいずれかを講じることが会社に義務付けられます(複数の措置を講じるのが望ましい)。

  • 支援制度に関する研修の実施
  • 支援制度に関する相談体制の整備(相談窓口の設置)
  • 支援制度の利用事例の収集・提供
  • 支援制度の利用促進に関する方針の周知

また、同じく2025年4月1日から、前述した通り、会社は社員から介護に直面をした旨の申出があった場合に図表1の支援制度等の内容を個別に周知し、利用の意向を確認する義務を負うことになります。介護に直面する前の早い段階(40歳等)においても、社員の支援制度等への理解と関心を深めるため、必要な情報提供をしなければなりません。

以降で、それぞれの制度の詳細を見ていきます。なお、制度の対象者はパート等への適用も含めて最後に一覧でまとめているので、他の支援制度と比較しながらご確認ください。

2 介護休業

1)介護休業とは

介護休業とは、

社員が要介護状態の対象家族を介護する場合、家族1人につき通算93日まで休める制度

です。93日の範囲内であれば、どれだけ休業するかは社員の自由で、30日でも60日でも可能です。また、介護休業は93日の範囲内で「3回」を上限として分割取得できます。

2)介護休業の申出

介護休業を取得する社員は、原則「介護休業を開始する日の2週間前」までに、介護休業の開始予定日、終了予定日などを申し出る必要があります。

申出が遅れた場合、会社は「当初の介護休業の開始予定日とされていた日」から「実際に申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日」までの間で、開始予定日を指定できます。

3)介護休業の終了予定日の繰り下げ

介護休業を取得している社員は、当初の介護休業終了予定日の2週間前までに申し出ることにより、同一の対象家族につき1回だけ、介護休業の終了予定日の繰り下げ(介護休業の上限期間93日間の範囲内で、当初の予定よりも遅い時期に介護休業を終了する)が可能です。

なお、育児休業には当初の予定よりも早い時期に休業を開始する「開始予定日の繰り上げ」という制度がありますが、介護休業にはありません。

4)介護休業の終了

介護休業は、社員が申し出た終了予定日に終わります。その他にも次のような場合、社員の意思にかかわらず介護休業は終了します。

  • 対象家族の死亡、親族関係の終了、社員が負傷や疾病により介護できない状態になったことなどにより、対象家族を介護しなくなった
  • 介護休業中の社員が、産前・産後休業、育児休業または新たな介護休業を開始した

5)介護休業申出の撤回

介護休業を申し出た社員は、開始予定日の前日までに申し出ると、その申出を撤回できます。申出の撤回後、同じ対象家族について再度介護休業の申出がされた場合、会社が拒むことはできません。ただし、撤回が2回連続で行われた場合、その後の申出の拒否は認められます。

6)介護休業期間中の就業

介護休業期間中に社員を就業させることは原則できません。ただし、対象家族の介護をする必要がない期間(他の家族が代理で介護を行う場合など)については、社員と会社が話し合うことで、一時的・臨時的に就業が認められます。

7)介護休業期間中の賃金

介護休業期間中の賃金を有給とするか無給とするかは、会社が就業規則等で決められます。無給の場合も、社員が一定の要件を満たせば、

雇用保険の「介護休業給付金」(賃金の67%相当)

を受けられます。ただし、支給期間中に「賃金(日額)×支給日数×80%」以上の賃金が支払われると支給額は0円になり、80%に満たない場合でも、収入額に応じて、支給額が減額されることがあります。

3 介護休暇

介護休暇とは、

社員が要介護状態の対象家族の介護や世話をする場合、1年度につき5日まで(対象家族が2人以上いる場合は1年度につき10日まで)休める制度

です。「世話」に該当するのは、例えば通院等に付き添ったり、対象家族が介護サービスの提供を受けるために必要な手続きを代行したりする場合です。

休暇は1日単位だけでなく、1時間単位でも取得可能

です。また、休暇中の賃金を有給とするか無給とするかは、会社が就業規則等で決められます。

なお、2025年4月1日からは、介護休暇の対象となる社員の範囲が拡大されますが、この改正については、記事の最後で制度の対象者と併せて紹介します。

4 所定外労働の制限

所定外労働の制限とは、

社員が要介護状態の対象家族を介護する場合、所定外労働を免除される制度

です。所定外労働とは、所定労働時間(法定労働時間の範囲内で、会社が就業規則等で定める労働時間の上限)を超える労働のことです。この制度は、

何度でも利用可能ですが、1回の請求につき制限期間は1カ月以上1年以内とし、請求は制限を開始する1カ月前までにする必要

があります。

5 時間外労働の制限

時間外労働の制限とは、

社員が要介護状態の対象家族を介護する場合、月24時間、年150時間を超える時間外労働を免除される制度

です。時間外労働とは、法定労働時間(労働基準法で定める労働時間の上限。原則1日8時間、週40時間)を超える労働のことです。この制度は、

何度でも利用可能ですが、1回の請求につき制限期間は1カ月以上1年以内とし、請求は制限を開始する1カ月前までにする必要

があります。

6 深夜業の制限

深夜業の制限とは、

社員が要介護状態の対象家族を介護する場合、深夜業を免除される制度

です。深夜業とは、原則として午後10時から午前5時までの労働のことです。この制度は、

何度でも利用可能ですが、1回の請求につき制限期間は1カ月以上6カ月以内とし、請求は制限を開始する1カ月前までにする必要

があります。

7 所定労働時間の短縮措置等

所定労働時間の短縮措置等とは、

社員が要介護状態の対象家族を介護する場合、短時間勤務(例:1日6時間以内)などの措置を受けられる制度

です。業務の都合などで短時間勤務が困難な社員については、

「短時間勤務制度」「フレックスタイム制度」「時差出勤制度」「社員が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度」のいずれかの措置

を講じなければなりません。これらの措置は、

対象家族1人につき、利用開始から連続する3年以上の期間で2回以上利用できる制度

とする必要があります(「社員が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度」を除く)。なお、2025年4月1日からは、この「所定労働時間の短縮措置等」とは別に、

要介護状態の対象家族を介護する社員に対し、働き方の1つとしてテレワークを選択できるようにすることが努力義務化

されます。

8 家族を介護する社員のための支援制度の一覧

ここまで、社員の育児をサポートする支援制度について、2025年度の法改正も踏まえた上で6つ紹介してきましたが、

一部、雇用継続の見込みや勤続年数、所定労働日数などの関係で、制度を適用しなくてもよいとされている社員

がいます。具体的には、

  • 育児・介護休業法上、対象者にならない社員
  • 労使協定の締結により、対象者から除外できる社員

です。最後に、6つの支援制度の種類と対象者の一覧を紹介します。「●」が付いている社員が、制度を適用しなくてもよい人です。

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今後に向けて、特に注意が必要なのが「介護休暇」の赤字部分です。2025年4月1日からは

入社6カ月未満の社員を、労使協定の締結により対象者から除外することは不可

となります。

以上(2025年1月更新)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

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日本を代表する宇宙飛行士・野口聡一氏。彼の言葉に秘められた、「新たな価値観との出会いの大切さ」とは?

新しい“宇宙”に飛び込む勇気を持てば、必ず新たな気の合う仲間や、面白くて夢中になれるものに出合える

野口聡一(のぐちそういち)氏は、日本人で初めて国際宇宙ステーション(ISS)での船外活動を行った宇宙飛行士です。コロナ禍の真っただ中にあった2020年11月から2021年5月にかけてもISSに長期滞在し、宇宙からのライブ配信などを通して、先の見えない状況にあった地球にまで、明るいニュースを届けてくれました。

冒頭の言葉は、野口氏が2022年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職した後のインタビューで、退職後のキャリアについて聞かれたときのものです。当時、野口氏は57歳。定年までJAXAで勤めれば、少なくとも収入面では安定した生活が見込めたでしょうが、彼は「自分の価値観やアイデンティティーを他人に委ねてはいけない」と考えたそうです。野口氏の言う「新しい“宇宙”」とは、未知の環境のこと。言葉の通り、新しい“宇宙”に出会うべく、民間の研究者へと転身しました。

野口氏が未知の環境に身を置くことの重要性に気が付いたのは、宇宙飛行士になる前でした。野口氏は大学院を卒業後、一般企業に就職し、5年後の1996年に、NASDA(現JAXA)で宇宙飛行士の公募が行われているのを知ります。しかし、当時はまだ終身雇用が当たり前の時代。幼少期からの夢である宇宙飛行士に憧れはあれど、「本当に会社を辞めていいのか」と葛藤したそうです。しかし、実際に宇宙飛行士養成コースに参加した野口氏は、米国で「キャリア形成のための転職は当たり前」という価値観に出合い、自らの選択に自信を持ち、新天地へ踏み出しました。

野口氏は、JAXA退職時に「宇宙飛行士室は心地良い空間だったが、心地良いまま終わるのではなく、民間の世界に出てもう一つ、新しい場面を作っていきたかった」と語っています。ビジネスでも、同じ環境に慣れすぎると、考え方が凝り固まってしまうケースが多々あります。だからこそ、積極的に違う環境へ身を置き、そこで得たものを持ち帰って仕事に活かす姿勢が大切です。

また、野口氏は「新たな価値観に身を置くことで、相対評価に左右されない自分を見つけられる」とも語っています。違う環境で新しい考え方に触れ、その上で「自分はこうしたい」という軸が生まれれば、難しい判断を迫られたときにも一歩を踏み出す勇気が湧いてきます。

違う環境に身を置くことを習慣にし、「柔軟な考え方」と「ぶれない軸」を身に付ける。経営者が率先垂範してそうした姿勢を社員に示していけば、会社は未来へ前進し続けることができるでしょう。

野口氏は現在、未来の宇宙飛行士や研究者となる人材の育成にも携わっているそうです。2025年にはアポロ計画の終了以来初めて、人類が月周回軌道上へと送り込まれる予定ですが、さらにその先の未来では、野口氏の背中を見てそのチャレンジ精神を受け継いだ後進たちが、宇宙の未知の領域を開拓してくれるかもしれません。

出典:「ダイヤモンド・セレクト 息子・娘を入れたい会社2023」(ダイヤモンド社、2022年12月)

以上(2025年1月作成)

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【開催終了】2月19日(水)林健太郎氏 ご登壇 設備投資等をテーマにしたオンラインセミナー開催

投資の評価、ファイナンス思考、予算など経営者の方が知っておきたいテーマを取り上げ、事例を交えながら分かりやすく解説します!

【講演内容】

  • 初期(設備)投資の判断方法
  • ファイナンス思考の実践例
  • 予算と予測のキホン
  • 質疑応答

【開催概要】

  • 開催日:令和7年2月19日(水)
  • 時間:13:30~14:45(WEB開場13:00)
  • 形式:Zoomによるオンラインセミナー
  • 参加費:サクセス会員 無料
  • 定員:50名 ※定員になり次第、締切とさせていただきます。

【講師】
税理士法人ベルダ 公認会計士/四国大学 特認教授
林 健太郎(はやし けんたろう)氏

徳島県鳴門市出身、一橋大学経済学部卒業
2002年に公認会計士試験に合格
監査法人トーマツ東京事務所にて監査業務に7年間従事
辻・本郷税理士法人で事業承継・相続対策を含む各種税務申告業務、管理会計・原価計算コンサルティング業務を担当
2011年に独立
現在は税理士法人ベルダ代表パートナーとして、小規模事業者から中小・中堅企業まで、管理会計による経営への役立ちと税務の両立を目指した顧問業務を提供。
四国大学大学院経営情報学研究科において、会計学・財務管理の授業も行っている。
著書である「すぐわかる中小企業の管理会計『活用術』」は、AMAZON財務管理カテゴリでベストセラー1位を記録。

セミナーのお申し込みと詳細は、こちらからご確認いただけます。

お申し込みはこちらから!

【問合せ先】
とくぎんサクセスクラブ事務局
088-623-3111

【業務効率化】手軽に導入できる「電子印鑑」。その法的効力は?

1 電子印鑑に法的効力はない

働き方改革やDX(デジタル・トランスフォーメーション)が進む中、「電子印鑑」を導入している会社が増えています。例えば、印鑑を押すためにわざわざ出社するというのは面倒なので、この問題を解決できます。

気になる電子印鑑の法的効力ですが、この点は次の通りです。

  • 法的効力なし:印影を模しただけの電子印鑑
  • 法的効力あり:電子署名法の要件を満たす「電子署名」

となると、リアルの印鑑はどうなんだということになります。この点については、「リアルの印鑑で押印されていると、本人の意思に基づいて文書が作成されたもの」と推定されることになります。以下の資料で詳しく解説されています。

■法務省「押印についてのQ&A」■

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00095.html

リアルの印鑑も電子印鑑も「誰が押印したか分からない」はずですが、単なる印影画像にすぎない電子印鑑はセキュリティーが脆弱であり、リアルの印鑑よりも信用性が乏しいといえます。つまり、効力が大きい順に並べると、

リアルの印鑑≒電子署名>電子印鑑

となります。

いずれにしても、働き方改革やDXを進めるための情報として、電子印鑑や電子署名などについて知っておくことは大切です。この記事で分かりやすく解説していきます。

2 電子印鑑・電子署名・電子サインは何が違う?

電子印鑑・電子署名・電子サインについては、いずれもコスト削減やビジネスの効率化というメリットがありますが、それぞれデメリットもあります。それぞれの法的効力やセキュリティーなどの違いを整理しましょう。

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1)電子印鑑

電子印鑑とは、

WordやPDFなどの書類データに押印できる印影画像

のことです。印鑑データは、ソフトを利用して印影(イラスト)を作成したり、実際の印鑑の印影をスキャンしてデータ化したりします。電子印鑑は、あくまでも「押印されているように見える」だけで、法的効力はありません。

2)電子署名

電子署名とは、

「電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)」の要件を満たす電子的な署名

のことです。要件を満たした電子署名は、

手書きの署名や押印と同等の法的効力

を持ちます。要件は次の2点です。

  1. 署名を行った本人によるものであることを示すこと
  2. 電子文書の内容が改変されていないことを確認できること

オンラインで契約書を交わす電子契約サービスは、電子署名を施すことで法的効力を担保しています。

3)電子サイン

電子サインは法律上の定義もなく、多義的に、また広範な意味で用いられています。前述した電子署名も含む用語であり、例えば、

パソコンなどに表示される申込書などに、指やタッチペンで行ったサイン

も含まれます。ただし、当然ながら、これだけでは電子署名にはなりません。

3 電子印鑑を利用する際はセキュリティーに注意

電子印鑑はなりすましや不正利用の懸念もあり、法的効力はないため、重要な書類については電子署名を用いなければなりません。なお、一部の電子契約サービスでは、

電子署名と電子印鑑を組み合わせて提供

しているので、これであれば、法的効力を担保しつつ、見た目も押印したようになります。電子署名があれば電子印鑑は不要ですが、「押印があると、なぜか安心」ということでしょう。また、雰囲気だけのものとはいえ、電子印鑑はセキュリティーが脆弱です。容易にコピーを作成したり、印影データを取り外したりすることができるので注意が必要です。

なお、有料サービスであるのが一般的ですが、印影データに使用者の識別情報を加えたり、コピー防止機能が付加されたりした電子印鑑もあります。単に印影をデータ化したものよりも信用力が大きく異なります。

4 電子印鑑もリアルと同じで使い分けが必要?

電子印鑑・電子署名・電子サインには大きな違いがあるので、目的に応じた使い分けが不可欠です。また、誰が確認、押印するか、どの書類にどの方法を利用するかについては、社内規程で定めておく必要があります。

1)請求書

日本には「ハンコ文化」があり、請求書に押印されることが多いですが、これは法令上の義務ではありません。そのため、押印なし、もしくは電子印鑑で請求書を発行しても、その効力に問題は生じません。ただし、取引先にあらかじめ説明・相談するなどの配慮は必要でしょう。

2)契約書

請求書と同じように、契約書にも押印しなければならないという法令上の義務はありません。ただし、契約書は、将来的な紛争発生時には証拠となることがあります。「文書が偽造された」「勝手に契約が締結された」などのトラブルを防ぎ、証拠として価値を有するものにしておく必要があるため、

電子印鑑だけではなく、電子契約サービスを導入して電子署名をすること

が必要でしょう。電子署名をすることができない場合は、契約相手とのメールなどのやり取りを記録・保存しておくことも有益です。

なお、定期借地契約や定期建物賃貸借契約などについては、法令上、電子署名が認められません。これらについては、従来通り書面によって契約書を作成し、押印する必要があります。

3)社内文書

稟議書などの社内文書(取締役会議事録などは除く)の形式について、法令上の定めはありません。そのため、電子印鑑でも問題ありません。ただし、誰が押印するのかなど、ルールは明確に定めておく必要があります。

注意を要するのは、

取締役会議事録については、法令で署名または記名押印が必要

とされていることです。議事録をデータで作成した場合、「署名または記名押印」に代わる措置として、電子署名をしなければなりません。

以上(2025年2月更新)
(執筆 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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【入社1年目の教科書】キーボードのタイピング音が迷惑?正しい姿勢でタッチタイピングを!

書いてあること

  • 主な読者:パソコンのキーボード操作、タイピングに不慣れな新入社員
  • 課題:とにかく配列が覚えられないし、タイピング音がうるさいと言われる
  • 解決策:覚えるキーは30個程度。あとは正しい姿勢をキープするのとこまめな休憩

キーボード操作って本当に苦手だ……。スマホのフリック入力なら自信があるのに。慣れないから、タイプミスも多くてイライラするし。あれっ! 先輩たちがけげんそうな目でこっちを見てる。まさか自分のタイプミスがバレてるとか? いやいやそんなわけはない。どうしてそんなに険しい顔をしているの?

1 あなたのタイピング音がハラスメント?

デジタルネイティブと呼ばれる皆さんが直面する意外な問題が、パソコンのキーボード操作です。スマホとは違う配列に悪戦苦闘しますし、慣れないうちはやたらに力強くキーを押してしまうので、タイピング音がうるさくなります。カチャカチャ…ッターン!と大きな音をたててエンターキーを叩いて「仕事をしてる」アピールする人もいますが、これは「音ハラスメント」です。

そう。冒頭で先輩たちがあなたを見ていたのは、「タイピング音がうるさい!」と不快に思っていたからなのです。

ただ、タイピング音は仕事をしているからこそ出る音なので、周囲も注意しにくいものです。ですから、皆さん自身が直していくしかありません。その方法をお伝えします。

2 まずは正しい姿勢で!

1)体がだいぶ楽になる正しい姿勢

タイピング音が大きくなってしまう主な原因は、

  • タッチタイピングに不慣れである
  • 余計なところに力が入り過ぎている

ことです。最初は練習あるのみですが、その際に心がけたいのが「正しい姿勢」です。

まずは無理のない姿勢がとれるように机や椅子を調整し、ディスプレイやキーボードの置き方を工夫してみましょう。基本は次の通りです(厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」)。

  • 椅子に深く腰をかけ、背もたれに背を十分当て、足裏全体が床に着く姿勢が基本
  • 必要に応じて、十分な広さがあって、すべりにくい足台を使う
  • 椅子と膝裏の間に手指が入る程度のゆとりを持ち、太ももに無理な圧力をかけない

また、ディスプレイについては次の通りです。

  • 40センチメートル以上の視距離を確保する(眼鏡による適正な矯正を行う)
  • ディスプレイの上端は、目の高さとほぼ同じか、やや下にする
  • ディスプレイとキーボードなどが離れすぎないようにする
  • ディスプレイは、作業しやすい位置、角度、明るさなどに調整する
  • ディスプレイの文字の大きさは小さすぎないようにする(3ミリメートル以上)

パソコンを使うときの姿勢は、デスクトップパソコンの場合、ノートパソコンの場合で、それぞれ次のようなイメージです。

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2)ホームポジションを身に付ける

ホームポジションとは、キーボード操作で指を置く基本位置です。Windowsパソコンで「QWERTY配列」のキーボードでは、

  • 左手:小指「A」、薬指「S」、中指「D」、人差し指「F」
  • 右手:人差し指「J」、中指「K」、薬指「L」、小指「;」

となります。

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このポジションを身に付けると、素早く、手に負担をかけずに操作できます。多くの場合、「F」キーと「J」キーにちょっとした突起があるのでホームポジションに戻るときに便利です。キーを1つ打ち終わったらホームポジションに戻ることを習慣にすれば、タッチタイピングがしやすくなります。

3)最初から全てのキーの配置を覚えようとしない

ローマ字入力の場合、覚えなければならないキーは、アルファベットの26個と、句点、読点、スペース、Enterなど合わせて30個程度です。よく使うのは、「A」「I」「U」「E」「O」、つまり50音の母音「あいうえお」です。そして、50音の各行の先頭「K」「S」「T」「N」「H」「M」「Y」「R」「W」、さらに 濁音や半濁音の行の先頭「G」「Z」「D」「B」「P」などといったように、よく使うキーから位置を覚えていくのが王道です。

4)タイピングの練習は速度よりも正確さ重視で

慣れないうちは、速度よりも正確さを重視しましょう。タイピングの練習に使える無料ウェブサービスもあるので、参考にしてください。

■ベネッセコーポレーション「マナビジョン 無料タイピング教材」■

https://manabi.benesse.ne.jp/gakushu/typing/

■東京書籍「タイピングソフト やってみタイプ」■

https://www.tokyo-shoseki.co.jp/kyouka/kou/joho/typing/

3 適度な休憩やストレッチで疲れを和らげよう

正しい姿勢だとしてもパソコンを使った作業は、長時間同じ姿勢になりがちです。1時間も座ったまま前かがみで集中してタイピングをしていると、肉体的にも精神的にも疲れてしまいます。

こうした疲れは、パソコンの作業継続時間や設置場所の工夫により軽減することができます。例えば、次のことを心がけてみましょう。

  • 連続した仕事は1時間以内とし、途中途中で1~2分程度の小休止を入れる
  • 次の連続した仕事までに10~15分の休憩をとる

適度な休憩やストレッチで疲れを和らげるのも仕事のうち。無理は禁物です。なお、休憩しても疲れがとれなかったり、激しい痛みを感じたりするときは、すみやかに医師に相談しましょう。

以上(2025年1月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

中小企業が知っておくべき「令和7年度税制改正大綱」のポイント

1 中小企業者等に対する軽減税率の一部変更と延長

法人税率は原則23%ですが、中小企業者等(資本金が1億円以下など一定の要件を満たす租税特別措置法上の中小企業)の場合、年800万円までの所得に対しては15%の軽減税率が適用されています。今回の税制改正により、この軽減税率の適用期限が、2027年3月31日までに開始する事業年度まで2年間延長されます(現行:2025年3月31日までに開始する事業年度まで)。

また、2025年4月1日以後に開始する事業年度から、

  • 所得の金額が年10億円を超える事業年度については、軽減税率を17%に引き上げる
  • グループ通算制度の適用を受けている法人は適用除外する

といった見直しも行われます。

2 中小企業経営強化税制の見直し、新たな措置の創設と延長

中小企業経営強化税制とは、中小企業者等が、

  • 生産性向上設備(A類型)
  • 収益力強化設備(B類型)
  • デジタル化設備(C類型)
  • 経営資源集約化設備(D類型)

に分類される一定の設備を、指定された事業の用に供した場合(設備ごとに決められた要件を満たす必要あり)に、特別償却または税額控除が受けられる制度です。今回の税制改正により、

  • 生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)の要件の見直し
  • 収益力強化設備(B類型)について、売上高100億円企業を目指す中小企業者等向けの措置を創設
  • デジタル化設備(C類型)の廃止

の3つが行われます(詳細は後述)。

また、本制度の適用期限が2027年3月31日まで2年間延長されます(現行:2025年3月31日まで)。

1)生産性向上設備(A類型)と収益力強化設備(B類型)の要件の見直し

A類型で使用する指標と、B類型で使用する投資計画における投資利益率の要件が、それぞれ次のように見直されます。

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2)収益力強化設備(B類型)について、売上高100億円企業を目指す中小企業者等向けの措置を創設

適用要件に経営規模拡大要件や、対象設備に建物および附属設備(1000万円以上のもの)が追加されるなど、新しい措置が創設されます。

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3)デジタル化設備(C類型)の廃止

2025年3月31日をもって、デジタル化設備(C類型)は、中小企業経営強化税制の対象設備から除外されます。

3 新リース会計基準に対する法人税の取り扱いの決定

2024年9月13日に、新リース会計基準(リース取引に関する会計の取り扱いが変わる新たな会計基準)が公表されました。今回の税制改正により、この会計基準の変更に伴う税法上の取り扱いが明らかになりました。この新リース会計基準は、2027年4月1日以後に開始する事業年度から、監査法人の監査が必要な上場企業などに対して強制適用されます(中小企業は任意適用)。

まず、現行のリース取引について、会計上・税務上の取り扱いについて説明します。リース取引は会計上、

  • ファイナンス・リース:実質売買と同じ性質(分割払いで購入しているのと同等の性質)を持つリース取引。貸借対照表上の資産・負債の計上が必要となる
  • オペレーティング・リース:ファイナンス・リース取引以外のリース取引。貸借対照表上に資産・負債としての計上は不要で、毎年度支払ったリース料を費用処理できる

の2種類の取引に分類されます。税務上は、

  • ファイナンス・リース:売買処理(資産・負債を計上し、減価償却費と利息費用が損金になる)
  • オペレーティング・リース:賃貸借処理(資産・負債としての計上は不要で、支払ったリース料が損金になる)

されます。

新リース会計基準ではこの取り扱いが変わり、オペレーティング・リース取引についても、会計上は貸借対照表上に資産・負債の計上が必要となりました(改正前は、支払ったリース料を費用処理するだけでよかった)。ただし、

今回の税制改正では、税務上、オペレーティング・リースについて、現行の賃貸借処理からの変更はなく、今まで通り支払ったリース料を損金とする処理が継続

されることになります。そのため、新リース会計基準を早期に適用した会社については、会計上の費用計上額(減価償却費と利息費用)と、税務上の損金(賃借料)に差異が生まれ、2026年度以降の税務申告書上で税務調整が必要になります。

4 防衛特別法人税の創設

課税標準法人税額(基準法人税額から基礎控除額を控除した金額)に対して、税率4%が課される防衛特別法人税(仮称)が創設されます。これは、防衛費強化に伴う財源確保を目的とした税金で、2026年4月1日以後に開始する事業年度から課税が始まります。

防衛特別法人税=基準法人税額-基礎控除額(年500万円)×4%-税額控除(外国税額控除など)

基準法人税額とは、一定の税額控除(所得税額控除や外国税額控除など)を適用しないで計算した、各事業年度の所得に対する法人税額のことです。

5 中小企業投資促進税制の延長

中小企業投資促進税制とは、生産性の向上を目的に、一定の設備投資やソフトウエアを購入した場合に、その投資額の一部を、税額控除(7%)か特別償却(30%)のいずれかを選択して適用できる制度です。今回の税制改正により、本制度の適用期限が2027年3月31日まで2年間延長されます(現行:2025年3月31日まで)。

以上(2025年1月作成)
(執筆 南青山税理士法人 税理士 窪田博行)

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【外国人雇用】留学生を募集できる5つのルートと雇用に関するトラブル防止のポイント

1 初めての外国人雇用、まずは留学生から当たってみよう

「日本人でなくてもいいから、優秀な人材が欲しい」「海外進出したいから、現地の言葉が話せる外国人を雇いたい」などと言いつつ、日本との言語や文化のギャップが不安で、なかなか外国人雇用に踏み切れない……。こうした経営者は少なくないかもしれません。

そんな場合に検討したいのが「留学生の雇用」です。コンビニや飲食店での働きぶりを見ていると気付くかもしれませんが、彼らは日本に来てからある程度の期間が経過しているため、日本語や日本の文化に精通している人も多いです。つまり、

留学生を雇用すると、海外に居住している外国人を日本に呼ぶよりも、会社に早くなじめる可能性がある

というわけです。

一方で、「どこに求人を出せばいいのか分からない」「言語の違いや在留資格などでトラブルにならないか不安」などの理由から、留学生の募集に踏み切れない人もいるでしょう。まずは、

  • 大学への求人情報など、留学生を募集するためのルートを知ること
  • 在留資格など、雇用に関するトラブル防止のポイントを押さえること

が大切です。以降で詳しく見ていきましょう。

2 留学生を募集するための5つのルート

1)大学への求人情報の提供

留学生を募集する一番シンプルな方法は、彼らが通っている大学と連絡を取ることです。具体的には、学内のキャリア支援課や留学生支援室に、求人案内を出します。まずは会社のことをよく知ってもらいたいということであれば、インターンシップの募集や学内説明会への参加から始めてみるのもよいでしょう。

ちなみに、日本学生支援機構が運営する日本留学情報サイト「Study in JAPAN」では、留学生の受け入れ・就職支援に力を入れている大学の情報、求人案内やインターンシップの受け付け状況が分かります。

■日本学生支援機構「Study in JAPAN」■
https://www.studyinjapan.go.jp/ja/

2)留学生を対象とした合同会社説明会や交流イベントへの参加

人材紹介会社や地方自治体、地元の商工会議所などが主催する合同会社説明会や交流イベントに参加すると、一度に多くの留学生と接点をつくることができます。会社が求める人材像やスキルなど具体的な話もしやすいです。

例えば、東京外国人材採用ナビセンターでは、都内の中小企業と外国人のマッチングなどを目的とした合同会社説明会を開催しています。

■東京外国人材採用ナビセンター■
https://tir-navicenter.metro.tokyo.lg.jp/

3)人材紹介会社からのあっせん

1.大手人材紹介会社

大手人材紹介会社では、留学生を紹介するエージェントサービスを提供しています。人材紹介会社ごとに詳細は異なりますが、多数の登録者の中から人材紹介会社がスクリーニングを行い、顧客である会社のニーズに適した人材を紹介するというサービスが一般的です。

例えば、マイナビの「グローバル人材紹介(Global Agent)」では、「理系を専攻している」「特定言語が話せる」といった外国人留学生に対する会社側のニーズに沿って留学生を探すことが可能です。また、サイト内で留学生のための特集ページや留学生を採用する会社の検索機能を設ける取り組みもしています。

■マイナビ「グローバル人材紹介(Global Agent)」■
https://ag.global.mynavi.jp/

2.特定の国や業種に強い人材紹介会社

海外進出する地域が決まっていたり、自社の業種が特殊だったりする場合は、特定の国や分野の留学生の紹介に強みを持つ人材紹介会社を頼るのも一策です。

例えば、ASIA Link(アジアリンク)は、東アジア、ASEAN諸国の留学生の紹介を強みとしています。同社では、経営者と留学生の合同会社面談会だけでなく、会社の採用ニーズに合わせて留学生を1人ずつピンポイントで紹介する個別紹介サービスも手掛けています。

他にも、Funtoco(ファントコ)では、介護・宿泊・外食といったサービス業での外国人人材の紹介に強みがあります。

■ASIA Link(アジアリンク)■
https://www.asialink.jp/
■Funtoco(ファントコ)■
https://funtoco-inc.com/

4)公的機関からのあっせん

厚生労働省管轄の外国人雇用サービスセンターでは、留学生の就職支援、会社向けの情報提供、留学生との面接会、インターンシップなどを行っています。いわば「外国人専門のハローワーク」で、東京、名古屋、大阪、福岡にそれぞれ設置されています。

また、厚生労働省が運営する「外国人雇用管理アドバイザー制度」では、ハローワークを窓口として、外国人の採用や労働条件に関する課題、生活上の悩みなど、外国人雇用に関する幅広い事項について無料で相談を受け付けています。

■厚生労働省「外国人雇用サービスセンター」一覧■
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12638.html
■厚生労働省「外国人雇用管理アドバイザー制度」■
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/anteikyoku/koyoukanri/index.htm

5)SNS・アプリを使ったダイレクトリクルーティング

会社がFacebookやLinkedInなどのSNSに自社アカウントで求人情報を投稿すれば、大学や人材紹介会社を介さずに、留学生と直接やり取りができます。いわゆる「ダイレクトリクルーティング」です。求人情報以外にも、実際に社員が働いている様子や社内で開催しているイベントの様子などを投稿すれば、会社の雰囲気をよりリアルに留学生に伝えられるでしょう。

「WORK JAPAN」や「ギフコネ」など、外国人専用の職業仲介アプリを使う方法もあります。アプリであれば、求人票の掲載から面接調整、結果通知がオンラインで完結するので、スピーディーに採用活動を進められます。

3 言語の違いや在留資格などに注意する

1)言語の違いに配慮した募集・選考

留学生が日本での生活に慣れているとはいえ、日本語能力のレベルは人によってまちまちです。「当然、日本語は分かるだろう」という先入観にとらわれると、募集の際、留学生との意思疎通がうまくいかず、トラブルになりかねません。ですから、日本語能力にハンディを抱える留学生にも自社の情報が伝わるよう、募集方法を工夫しましょう。

例えば、採用サイトで情報発信をする場合、日本語版の採用ページにひらがなをつける、英語版の採用情報ページを設けるなどの工夫をします。また、すでに外国人を雇用している会社であれば、採用面接の際にその社員に同席してもらうなどの配慮もあるとよいでしょう。

なお、募集・選考に先立って、留学生にどの程度の日本語能力を期待するかの方針を決めておきましょう。日本語が堪能なのに越したことはないですが、例えば、

  • コンサルティング業務などは、日本人の顧客と接する機会が多い場合、高い日本語能力が求められる
  • 研究開発職などは、英語や技術用語を使うことが多い場合、日常のコミュニケーションが図れる程度の日本語能力があればよい

など、入社後の業務内容によって必要とされるレベルは異なります。

また、雇用の際に交付する「労働条件通知書」にも注意しましょう。会社と留学生との間で、労働条件について認識のギャップがあると、後々トラブルになる恐れがあります。厚生労働省では、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語など13カ国語に対応した「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」を公表しているので、留学生の出身国に合わせて活用するとよいでしょう。

■厚生労働省「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」(下記URL中段)■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000056460.html

2)在留資格の確認

1.業務内容に応じた在留資格への変更

留学生を卒業後に正社員として雇用する場合、在留資格を「留学」から、業務内容に応じたものに変更しないと、日本で働かせることができません。在留資格と対応する職業は、例えば次のようなものが挙げられます。

  • 「技術・人文知識・国際業務」:機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私会社の語学教師、マーケティング業務従事者等
  • 「介護」:介護福祉士
  • 「技能」:外国料理の調理師,スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等
  • 「特定技能(1号・2号)」:特定産業分野(注)で一定の技能を必要とする業務の従事者

(注)特定技能1号の特定産業分野は、介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の16分野です。特定技能2号の特定産業分野は、この16分野から介護、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業を除いた11分野です。

在留資格の変更は、外国人の住所地を管轄する地方出入国在留管理局(出入国在留管理庁の地方支分部局、以下「入管」)に申請しますが、

申請してから新しい在留資格が許可されるまでは一定の期間があるので、場合によっては入社日の延期などが必要

になります。なお、トラブルにならないよう、求人案内や労働条件通知書には「在留資格が許可されていること」が雇用の条件である旨を明記しておきましょう。

在留資格が許可されると、入管から在留資格と在留期間(満了日)が記載された在留カードが発行されます。在留期間が満了すると国内で働けなくなるので、会社のほうでも在留期間を把握しておき、更新の手続きが滞らないようにしましょう。

この他にも、留学生の採用・雇用については、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)をはじめとした法令上の留意点があるため、詳細については、外国人の雇用に詳しい行政書士や社会保険労務士などの専門家、入管などに確認・相談するようにしましょう。

4 留学生採用の現状

1)日本国内の留学生数の推移

日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査」によると、日本国内の留学生数の推移は次の通りです。

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2023年5月1日時点の留学生数は27万9274人です。コロナ禍の入国制限が解除されたことに伴い、2022年の23万1146人と比べて4万8128人(約20.8%)の増加となりました。また、出身国別の留学生数は、1位が中国(11万5493人)、2位がネパール(3万7878人)、3位がベトナム(3万6339人)となっています。

2)留学生の国籍・地域別に見た採用者数の推移

出入国在留管理庁「留学生の日本企業等への就職状況について」によると、留学生の国籍・地域別に見た採用者数の推移は次の通りです。

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採用者数はアジア諸国が上位5位を占めています。特に、2020年からの3年間では、スリランカからの留学生が増加しています。スリランカでは国内の経済事情から人々が海外に向かう動きが強まっており、特に待遇面や日本の商品・文化に対するイメージの良さなどから、日本での就業を志す人が多いようです。

3)国は留学生の就職を後押し

文部科学省では、関係省庁等と協力し、留学生の就職支援に係るプラットフォームの構築など、留学生の受け入れ環境支援を進めています。また、留学生の採用に不慣れな会社向けに、「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」を公表しています。このハンドブックには、留学生の採用などにおける課題を整理できるチェックリストや、採用・活躍に向けた成功事例などが掲載されています。

■文部科学省「外国人留学生の採用や入社後の活躍に向けたハンドブック」■
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/mext_00001.html

参考:採用に当たって利用できる機関・相談先

1)相談

■厚生労働省「外国人雇用管理アドバイザー制度」■
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/anteikyoku/koyoukanri/

2)情報提供

■出入国在留管理庁「在留支援」■
https://www.moj.go.jp/isa/support/index.html
■厚生労働省「外国人雇用対策」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/
■文部科学省「外国人留学生の受入れについて」■
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1306886.htm

以上(2025年1月更新)

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マタハラ回避。育児休業中の社員に仕事を頼む際のルール

1 「育児休業中は、仕事はしない」が原則だけど……

育児・介護休業法の「育児休業」とは、

社員が子を養育するため、原則1歳まで休業できる制度

です。会社による「両立支援」の広がりもあり、育児休業の取得率は、女性が2007年度以降80%以上をキープ、男性が2023年度に初めて30%を超えるなど、好調に推移しています(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。そんな状況ですが、一方で注意が必要なのが

育児休業を取得中の社員にしかできない仕事が発生した場合

です。育児休業中の社員に仕事を頼むつもりはなくても、こうしたケースはイレギュラーな対応をせざるを得ません。このような場合、一時的・臨時的に育児休業中の社員に仕事をしてもらうことができますが、その際には次の3つのポイントを押さえることが肝要です。

  • 社員と合意し、あくまでも臨時のものとして指示をする
  • 就業日数や賃金によって雇用保険給付の額が変わる
  • 「出生時育児休業」は扱いが異なる

2 社員と合意し、あくまでも臨時のものとして指示をする

厚生労働省は、育児休業中の社員が就業するための要件として次の3つを示しています。

  • 育児休業中に就業することについて、労使で個別に合意する
  • 子を養育する必要がない期間のみ就業を認める
  • 恒常的・定期的に就業することがないようにする(「1日○時間、週○日勤務」などはNG)

平たく言うと、「育児休業中であっても一時的・臨時的な就業はできますが、会社と社員でよく話し合い、育児の妨げにならないよう必要最小限にしてください」ということです。なお、社員が育児休業中に就業するのを断ったことなどを理由に、人事評価を下げるなどの不利益な取扱いをすることは許されません。

育児休業中の一時的・臨時的な就業が認められるか否かは、次の例をご確認ください。

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例1~5は労使の合意があり、その内容も突発的な事情による一時的なものなので認められます。一方、例6は労使の合意はあるものの、その内容が育児休業をしながら恒常的・定期的に働くというものなので認められません。

仮に例6のケースで社員を就業させたいのであれば、

社員からの申し出によって育児休業を終了させた上で、短時間勤務に切り替える

必要があります。育児休業は2回までの分割取得が認められるので、次のように配偶者の育児休業のタイミングに合わせて育児休業と短時間勤務を使い分けるとよいでしょう。

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ちなみに、育児休業の分割取得は、1回目の休業開始前に申し出なくても問題ありません。仮に社員が育児休業を開始した時点で、配偶者が育児休業を取得することが分かっていなくても、後から分割したい旨を会社に申し出ればよいのです。

3 就業日数や賃金によって雇用保険給付の額が変わる

社員が育児休業を取得する場合、一定の要件を満たすと雇用保険の「育児休業給付金」を受給できます。1カ月当たりの育児休業給付金の額は、原則として、

賃金日額(直近6カ月間の賃金÷180日)×給付日数×67%(休業開始6カ月後以降は50%)

で算定されます。ただし、社員が育児休業中に就業した場合、

就業日数が月10日(10日を超える場合は80時間)を超えると、育児休業給付金は不支給

になるので注意が必要です。

また、育児休業中に就業した場合には会社から賃金が支払われますが、その場合、賃金月額に対する実際の賃金額の割合によって、育児休業給付金の扱いが次のように変わります。

  • 賃金月額の13%未満 → 満額支給
  • 賃金月額の13%超80%未満 → 減額支給(「賃金月額×80%-会社から支給された賃金額」を支給)
  • 賃金月額の80%以上 → 不支給 

例えば、賃金月額が30万円の場合のイメージは次のようになります。

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なお、育児休業給付金は、次章で紹介する出生時育児休業に対して支給される場合、「出生時育児休業給付金」という名称になります。出生時育児休業給付金は、

賃金日額(直近6カ月間の賃金÷180日)×給付日数×67%(一律)

で算定される点が育児休業給付金と異なりますが、それ以外のルールは基本的に同じです。

ちなみに、2025年4月1日からは、社員が配偶者と同時に14日以上の育児休業(または出生時育児休業産後パパ育休)を取得するなど一定の要件を満たすと、新たに

雇用保険の「出生後休業支援給付金」(賃金の13%相当)

を受けられます。育児休業給付金や出生時育児休業給付金と同時に受給すれば、最大で賃金の80%相当をカバーできます。ただし、育児休業給付金などを補完するための制度なので、

育児休業給付金などが不支給になると、出生後休業支援給付金も不支給になる

という点に注意が必要です。

4 「出生時育児休業」は扱いが異なる

出生時育児休業とは、

生後8週以内の子を養育するため、最大4週間まで休業できる制度で、男性社員だけが対象

となります。基本的なイメージは育児休業と同じですが、出生時育児休業は出生直後の多忙な時期に男性社員が配偶者をサポートすることを重視しているため、育児休業とルールが異なる点が幾つかあります。休業中の就業ルールもその1つです。出生時育児休業中の社員が就業するためには、

労使協定(過半数労働組合または過半数代表者との書面による協定)を締結した上で、労使で個別に合意する

必要があります。また、労使で個別に合意する際の手続きは次の順で行うこととされています。

  • 社員は、就業してもよい場合、会社に就業の条件(就業可能な日時など)を申し出る
  • 会社は、社員が申し出た条件の範囲内で日時などを提示する
  • 社員が、同意する
  • 会社は、休業中の就業について正式に通知する

なお、就業可能な日時などについては次の制限があります。

  • 就業可能な時間数の合計は、「当該期間中の所定労働時間÷2」以下
  • 就業可能な日数の合計は、「当該期間中の所定労働日数÷2」以下
  • 休業開始(終了)日に就業する場合、各日の就業可能な時間数は「当該日の所定労働時間」未満

例えば、所定労働時間が1日8時間、所定労働日数が1週5日の会社において、社員が出生時育児休業(2週間)中に一時的に就業するイメージは次のようになります。

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2週間で就業可能な時間数の合計は40時間(1日8時間×5日×2週間÷2)以下、就業可能な日数の合計は5日(1週5日×2週間÷2)以下です。図表4の場合、就業予定時間は28時間、就業予定日数は5日なので問題ありません。また、休業開始(終了)日に就業する場合、各日の就業可能な時間数は「8時間」未満です。図表4の場合、休業開始日は3時間、休業終了日は6時間の就業予定なので問題ありません。

以上(2025年1月更新)
(監修 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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