高まる経営リスクに備える!中小企業のためのハラスメント対策を徹底解説

近年、社内のみならず、社外からのハラスメント(カスタマーハラスメント)に対しても厳しい目が向けられています。ハラスメントが起き、ひとたび悪評が立つと、企業価値やコーポレートイメージの著しい低下を引き起こし、また、職場内の離職率・訴訟リスクを高め、生産性も悪化するなど、大きな“経営リスク”を伴います。

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急増する退職代行にどう向き合うか? 企業のための対応策

近年、「退職代行会社」、「退職代行組合」、「退職代行弁護士」といった“退職代行サービス”が増え、企業側もそれぞれの特徴を理解し適切な対応をとる必要が出てきています。特に、退職代行の利用は若年層ほど高く(利用者の約6割が20代というデータも)、人間関係のトラブルや精神的負担が背景にあることが、多くの事例から明らかになっています。

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2025年改正で変わる!中小企業のための介護離職防止策

近年、介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」が、より身近になってきています。親族等を介護する必要性が高まることで、これまでと同じように働き続けることが困難となり、やむを得ず離職してしまうこの問題は、社員本人だけにとどまらず、人手不足が深刻化する社会全体に影響を与える課題として、深刻さを増しています。

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設備導入を補助金で賢く! 省エネルギー投資促進支援事業費補助金のご紹介

2025年度版の「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は、設備単位での省エネ対策を幅広く支援する制度として、多くの事業者にとって活用価値の高い補助金です。指定された高性能設備の導入によって、エネルギーコストの削減と環境負荷の軽減を同時に実現できるため、今後の事業運営における競争力強化にもつながります。

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このタイミングで年休取るかね…… 取得日の変更はどこまで可能?

1 年休は社員の権利だけど、繁忙期はちょっと……

労働基準法で定められている「年休(年次有給休暇)」は本来、

社員が希望する時季に、自由に取得することができる

とされています。いわゆる「年5日の年休取得」が法律で義務付けられているのもあり、どの経営者も年休の取得自体に異議を唱えることはないでしょう。ただ、繁忙期の年休取得という話になってくると、人手不足に悩まされているのもあって、内心「それはちょっと勘弁してよ……」と思っている人が少なくないかもしれません。

労働基準法上は、「時季変更権」といって、一定の場合に、会社が社員の年休の取得時季を変更できるルールがあるのですが、

時季変更権が認められる範囲は限定的で、不用意に行使すると労働基準法違反になりかねない(罰則は6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)

という点に注意が必要です。以降で時季変更権の正しいルールを押さえていきましょう。

2 繁忙期というだけでは「時季変更権」は使えない?

まず、時季変更権とは、

社員が申請した時季に年休を与えると、「事業の正常な運営に支障が出る具体的な事情」がある場合に限り、会社が年休の取得時季を変更することができるというルール

のことです。あくまで変更を認めるだけで、年休の取得自体を拒否することはできません。

ただ、この「事業の正常な運営に支障が出る具体的な事情」というのがくせもので、単に会社が繁忙期というだけでは認められません。次のように、時季変更権が認められるケースと、そうでないケースがあります。

次に、各裁判例などをもとにした判断基準を、ざっくりまとめた図表を紹介します。

各裁判例などをもとにした判断基準

また、時季変更権を行使する場合は、年休の申請があった時点で速やかに行い、その理由を具体的に、かつ明確に伝える必要があります。漠然とした理由や、休暇直前の通知は違法と判断されるリスクが高いです。

トラブルを避けるため、書面での通知なども検討しましょう。そして、可能な限り、社員の希望に沿った代替日を複数提示するなど、誠実な対応を心掛けることが望ましいでしょう。

3 時季変更権が「認められる」ケース

1)代替人員の確保が困難な場合

申請された時季に代替要員を確保するための合理的な努力を尽くしても、それが不可能である場合が該当します。

2)同時期の取得希望者が重なる場合

特定の時期に複数の社員から年休の申請が集中し、全員に取得を認めると業務が回らなくなる場合です。例えば、夏季繁忙期に年休取得者が重なり、予備人員で対応できなかったために、時季変更権を行使したことが適法と認められた裁判例があります(前橋地裁高崎支部平成11年3月11日判決)。

3)業務の遂行上、本人の参加が不可欠な場合

特定の社員でなければ遂行できない業務や、重要な研修・会議など、本人の出勤が必須である場合がこれに当たります。例えば、職場全体の業務改善のための研修期間中に年休を請求したことについて、研修目的の達成が困難になるとして、時季変更権の行使が適法と認められた裁判例があります(最高裁平成12年3月31日判決)。

4)年休が長期間にわたる場合

1カ月など連続した長期の年休申請で、代替人員確保が困難な場合も、時季変更権の行使が認められる可能性があります。

5)年休取得の申請が休暇の直前だった場合

就業規則で定められた申請期限を著しく過ぎて直前に申請された場合も、時季変更権の行使が認められる可能性があります。

4 時季変更権の行使が「認められない」ケース

1)「繁忙期のため」など漠然とした理由

単に「繁忙期だから」「仕事が多くなりそうだから」といった抽象的な理由では認められません。具体的な事業運営への支障が出ることを説明する必要があります。例えば、抽象的に繁忙期であるといっても、年休を認めることによる具体的な支障が明らかでない場合、時季変更権は認められないと判断した裁判例があります(名古屋地裁平成5年7月7日判決)。

2)慢性的な人手不足

常に人手不足である状態は、会社が人員配置を見直すなどして解消すべき問題であり、時季変更権行使の正当な理由とは認められません。例えば、人員不足が9カ月以上に及び常態化したまま行使された時季変更権は認められないと判断した裁判例があります(西日本ジェイアールバス事件(名古屋高裁金沢支部平成10年3月16日判決))。

3)退職直前の年休申請

社員は退職日以降に年休を取得できないため、退職直前の年休申請に対して時季変更権を行使することは、事実上年休の取得を妨害する行為とみなされ、原則として認められません。

4)年休の取得理由に基づく時季変更権の行使

年休の利用目的は労働基準法の関知するところではないため、利用目的を理由に時季変更権を行使することは許されません。例えば、社員がデモ参加のために年休を申請し、会社がデモ参加を理由に時季変更権を行使したことが違法とされた裁判例があります(最高裁昭和62年7月10日判決)。

5)代替要員の確保努力を怠った場合

合理的な努力をすれば代替要員を確保できたにもかかわらず、その努力を怠った場合も、時季変更権の行使は認められません。

6)計画的付与制度で指定された日

労使協定で定められた計画的付与日に対しては、時季変更権を行使できません。

5 結局は計画が大事! 計画的付与でトラブルなく年休消化を

繁忙期における年休の課題を解決し、時季変更権の行使に頼る頻度を減らすためには、事前の「計画」が非常に重要になります。そこで導入を検討したいのが、

計画的付与(労使協定で定められた日に年休を与えられる制度)

です。会社全体で一斉に付与することも、チームや個人単位での交代制にすることもできます。導入するには「労使協定」(事業場の過半数労働組合、それがない場合は労働者の過半数代表との書面による協定)の締結が必要になります。

計画的付与の対象は、付与日数のうち5日以上の部分です。例えば、年休の付与日数が10日の社員の場合は5日まで、20日の社員の場合は15日までです。これにより、特定の時期に年休申請が集中するのを防ぐことで、繁忙期の業務運営への影響を軽減できます。

計画的付与には主に3つの方式があります。

1)一斉付与方式

会社全体または事業場全体で休業日を設け、一斉に年休を付与する方式です。夏季休暇や年末年始と組み合わせることで、大型連休にすることも可能です。

2)班・グループ別の交代制付与方式

流通・サービス業など一斉休業が難しい業態で、班やグループ別に交代で付与する方式です。

3)個人別付与方式

社員個人ごとに計画表を作成し、誕生日などをメモリアル休暇として推奨するなど、個人の希望も踏まえて計画する方式です。

時季変更権の行使が「事後的な対応」であるのに対し、計画的付与は「事前のリスク分散」であるという点が、根本的に異なります。特に中小企業では、人員の柔軟性が低い傾向にあるため、計画的付与は、時季変更権の行使に頼る頻度を減らすための有効な手段となります。

以上(2025年8月作成)
(監修 弁護士 田島直明

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画像:ChatGPT

【賃金データ集】役員報酬・退職慰労金のモデル支給額

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは「役員報酬・退職慰労金」です。

なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 役員報酬・退職慰労金の概要

企業と従業員が「労働契約」を交わしているのに対し、企業と取締役(以下「役員」)は「委任契約」を交わしています。労働契約と委任契約ではその性質が大きく異なるため、それぞれに支給される金銭の意味合いも違ったものになります。

従業員に支給される賃金は労働の対償であり、就業規則(賃金規程)で計算方法や支給額を定めますが、役員に支給される「報酬等」(役員報酬、役員賞与、役員退職慰労金等)は職務執行の対価であり、定款または株主総会の決議により、報酬等の額が確定しているものについてはその額、報酬等の額が確定していないものについては、その算定方法などを定めます。

定款または株主総会の決議によって、報酬等の額やその計算方法を定めるのは、いわゆる「お手盛り」を防ぐためですが、実際は株主総会において幅を持たせた枠を決め、具体的な支給額などについては取締役会に一任している企業が少なくありません。しかし、特に上場企業の場合、役員報酬が高額になると、その分企業の利益が減少し株主配当が低くなる恐れがあるため、報酬額の決定については慎重な判断が求められます。なお、企業は役員ごとに、提出会社と連結子会社の役員としての報酬等(連結報酬等)の総額・連結報酬等の種類別の額等を、有価証券報告書に開示しなければなりません(報酬の総額が1億円以上の役員に限ることができる)。

2 国税庁の統計資料によるモデル支給額

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3 人事院の統計資料による役位別に見た年間報酬額

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4 総務省の統計資料による役員退職慰労金の支給状況

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5 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■民間給与実態統計調査■
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/top.htm

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■民間企業における役員報酬(給与)調査■
https://www.jinji.go.jp/toukei/0321_yakuinhousyu/0321_yakuinhousyu_ichiran.html

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■民間企業における退職給付制度の実態に関する調査■
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/minkan_taisyokukyufu.html

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以上(2025年7月更新)

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画像:ChatGPT

【ビジネスマッチング冊子発刊のご案内】 この一冊が、新たな出会いの扉に!


↑こちらから内容をご閲覧いただけます!↑

このたび、とくぎんサクセスクラブと香川ニュービジネスクラブ(香川銀行)と合同で、企業間の新たなビジネス機会創出を目的としたビジネスマッチング冊子「TOMONY BUSINESS INFORMATION 2025.7」を発刊いたしました。

本冊子には、各地域で活躍する多様な業種の会員さまの事業内容、マッチング希望情報などを掲載しており、新たな取引先や提携先の開拓に向けたヒントやきっかけを見つけていただける構成となっております。

本冊子が、会員さまの更なる発展ならびに有益なビジネスパートナーとのご縁を築く一助となれば幸いです。是非ご一読いただき、有効にご活用くださいますようお願い申し上げます。

ご覧いただく中でご関心をお持ちの事項がございましたら、事務局までお問合せください。

【連絡先】とくぎんサクセスクラブ事務局(徳島大正銀行 法人推進部内)
TEL:088-656-1125

以上(2025年7月作成)

「2025〈夏季〉みどり会優待販売会(大阪会場)」が開催されました!

令和7年6月7日(土)、8日(日)にインテックス大阪6号館C・Dゾーンで、「2025〈夏季〉みどり会優待販売会(大阪会場)」が開催されました。
当優待販売会は昭和47年から開催のみどり会のメンバー企業従業員・家族を対象とした販売会です。現在東京・大阪でそれぞれ夏・冬の年2回、合計年4回開催しています。
メンバー企業の当行は、香川銀行と『トモニうまいもん市』を大阪会場で設置し、四国産品の紹介と販売に協力しています。これからも四国~大阪の橋渡しに努めて参ります。

みどり会について
昭和45年に開催された日本万国博覧会に「みどり館」を共同で出展した三和銀行(現三菱UFJ銀行)とそのお取引先31社の出資を受け、同年12月に設立されました。その後参画企業も増加し、現在メンバー会社は174社になります。
みどり会の活動は、メンバー企業のビジネスサポートを目的とした会員事業に加え、人材サービス業務、保険代理店業務など幅広い事業を展開しています。

会場の様子

食品、衣料品、日用品、美容品など様々なジャンルの約230社が出店。
2日間で約14,000人が訪れ、大いににぎわいました。

開場待機列に並びお買い物を楽しみにされるお客さま

ベリゴムも会場に登場

トモニうまいもん市にたくさんのお客さまが訪れました

食品の試食はもちろん、衣料品の試着や、健康器具や美容アイテムなども実際に試してもらえるため、多くの来場者に商品の魅力を直接伝えることができるのも、優待販売会の大きな魅力のひとつです。

また、出店者同士の交流もあり、
「トモニうまいもん市でご一緒してから毎シーズン注文をもらっている」
「原材料の農家を紹介してもらい契約に繋がった」
などの嬉しいお声も頂戴しております。

次回、「2025〈冬季〉みどり会優待販売会(大阪会場)」は12月12日(金)13日(土)を予定しています。

みどり会優待販売会出店についてのご相談は、お取引のある営業店にお問合せください。または、とくぎんサクセスクラブnaviのお問合せフォームからご連絡ください。

以上(2025年6月作成)

【債権回収】支払督促制度の利用

1 支払督促制度を利用する意義

内容証明郵便などで催促をしても相手が債務を弁済してくれない場合、「支払督促制度」を利用する方法もあります。支払督促制度とは、

簡易裁判所の裁判所書記官から、債務者に対して「金銭等の支払いを命じる督促状(支払督促)」を送ってもらう制度

です。内容証明郵便とは違い、裁判所からの督促となるので、相手に相当のプレッシャーをかけることができます。また、

支払督促制度で発付される「仮執行宣言付支払督促」は「債務名義」の1つ

です。債務名義とは、「強制執行」をする根拠となる文書であり、「債権債務の存在を公に認めるもの」です。また、強制執行とは、「判決等によって債務の履行が決まっているのに相手がそれに応じない場合、国家の強制力によって判決等で定められた内容を実現する」ことです。

支払督促制度のメリットとデメリットは次の通りです。

【支払督促のメリット】

  • 債権者(申立人)は裁判所に出頭しなくてよい
  • 対象は金銭、有価証券など金銭債権が中心で、請求金額の制限がない
  • 債務者からの異議がなければ早くて1カ月程度で強制執行手続ができる
  • 費用は通常の裁判の半額程度

【支払督促のデメリット】

  • 債務者の住所が不明の場合、支払督促制度は利用できない
  • 債務者は容易に異議を申立てることができ、その場合、債務者の住所地、本店所在地を管轄する裁判所にて通常訴訟に移行する

2 支払督促の流れ

支払督促制度の流れは次の通りです。

支払督促制度の流れ

1)支払督促の申立書の提出

通常の訴訟の場合、債務履行地が債権者の主たる事務所等であることが多いです。その場合、債権者の本店所在地を管轄する裁判所に訴えを提起することができますが、支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍(債務者の住所、主たる事務所等)の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対して行う必要があります。支払督促制度の対象は、金銭その他の代替物、または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求に限られます。

2)支払督促の発付

債権者が支払督促を申立てると、裁判所書記官がその内容を審査し、支払督促を発付します。支払督促は、債務者を審尋(意見や主張を聞くこと)しないで発付します。

支払督促の効力は債務者に送達されたときに生じます。債務者は支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に異議の申立てをすることができます。債務者が異議を申立てた場合、事件は通常の訴訟手続で審理され、支払督促は失効します。なお、異議の内容は、

  • 請求は認めるが分割払いにしたい
  • 理由が何も記載されていない請求には納得がいかない

など、請求をそのまま認めないということであれば、どのような内容でも構いません。

そのため、債務者が支払督促に対してどのような対応に出てくるかを想定し、何も反応しない可能性が高い場合に、訴訟提起ではなく、支払督促の申立てを考えることがよいでしょう。

3)仮執行宣言の発付

債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に異議の申立てをしないとき、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促に手続きの費用額を付記して仮執行の宣言をしなければなりません。仮執行宣言の付された支払督促の発付です。

なお、債権者が仮執行の宣言の申立てをすることができる時から、30日以内にその申立てをしないときは、支払督促はその効力を失います。

債務者が仮執行宣言の付された支払督促に異議を申立てた場合、通常の訴訟手続で審理されます。ただし、仮執行宣言の効力は当然には失効しません。債務者は支払督促への異議申立てとともに、強制執行の停止や取消しを求める必要があります。仮執行宣言の付された支払督促に対し、債務者が異議を申立てることのできる期間は、仮執行宣言付支払督促を受け取った日の翌日から数えて2週間です。

4)支払督促の効力

仮執行の宣言に対して債務者が異議を申立てないとき、または異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は確定判決と同一の効力を有します。従って、支払督促に基づき強制執行を行うことが可能となります。

5)支払督促に要する費用

支払督促の申立ての手数料は、請求の目的の価額に応じ、民事訴訟費用等に関する法律別表第1第1項により算出した額の2分の1の額となります。その他、督促状を債務者に送付するための切手代を要します。

  • 100万円までの部分:その価額10万円までごとに1000円の2分の1
  • 100万円を超え500万円までの部分:その価額20万円までごとに1000円の2分の1
  • 500万円を超え1000万円までの部分:その価額50万円までごとに2000円の2分の1
  • 1000万円を超え10億円までの部分:その価額100万円までごとに3000円の2分の1
  • 10億円を超え50億円までの部分:その価額500万円までごとに1万円の2分の1
  • 50億円を超える部分:その価額1000万円までごとに1万円の2分の1

以上(2025年7月更新)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 池田賢生)

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課題と成長のリアル! 2025年版 中小企業白書のポイント

1 円安・物価高など課題は山積み、中小企業の次の打ち手は?

2025年版中小企業白書(以下「白書」)によると、日本の中小企業は、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、業況の回復は見られるものの、依然として多くの課題に直面しています。例えば、円安・物価高の継続、「金利のある世界」の到来、構造的な人手不足の深刻化、過去最高水準の賃上げ圧力への対応などがそうです。

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このような状況下で、白書が重要な要素として繰り返し強調しているのが「経営力」の強化、

経営力とは、「経営戦略の策定力」「経営資源のマネジメント力」「経営者の成長的志向」「従業員にとって健全な環境や待遇を整備する能力」等のこと

です。この記事では、主にこの経営力強化の内容を紹介します。なお、白書の詳細な内容を確認したい場合は、下記URLをご覧ください。

■中小企業庁「中小企業白書」■
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/

2 強い中小企業になるための3つの視点

白書では次のように、経営力を個人特性面、戦略策定面、組織人材面の3つの視点で捉え、これら3つの側面をバランスよく強化することが大切であるとしています。

経営力を強化する3つの視点

1)個人特性面

経営者の成長意欲の高さ、特に異業種や広域ネットワークでの交流、学び直しへの積極的な取り組みが、業績の向上につながるとされています。実際、経営者を年代別に見ると、若い経営者ほどリスキリングに意欲的に取り組んでいることが示されています。成長している企業の経営者は、「変化への対応力」と「継続的な学習姿勢」が高い傾向にあるようです。

2)戦略策定面

経営計画の策定・実行、市場環境を意識した適切な価格設定、そして差別化を行う戦略的経営が、業績向上や賃上げ、投資を促進するとされています。差別化の方向性としては、特定分野に特化する「専門性の深化」、個別のニーズに柔軟に対応する「カスタマイズ力」、小回りが利く中小企業ならではの「スピードと機動性」などが有効です。

3)組織人材面

経営理念や業績・経営情報の共有を重視するオープンな経営が、業績向上に寄与するとされています。また、賃上げ、社内コミュニケーションの円滑化、働き方・職場環境の改善など、従業員を大切にする人材経営が、従業員の確保と維持に貢献すると強調されています。

3 成長段階に応じた「成長の壁」の打破

中小企業は、規模ごとに異なる「成長の壁」に直面しています。具体的には次の通りで、それぞれの段階に応じた打開策が必要です。

成長の壁と有効な打開策

1)小規模事業者

事業規模や商圏が限られるため、差別化による独自の強みの創出が重要です。地域密着型のサービスやニッチ市場への特化が有効な戦略となり得ます。また、経営計画策定等を通じ、経営者のリテラシーを高め、経営の振り返りと改善のサイクルを通じた「経営の自走化」を目指すことも重要です。地域の社会課題解決を担うビジネスの推進も期待されています。

2)中小企業(成長段階)

この段階では、経営者自身にないスキルを持つ「補完型人材」の確保や、経営者の職務権限を分散させることで、「一人経営体制」を克服することが重要です。また、業務効率化とデータ分析による経営判断の高度化も推進されるべきです。

3)売上高100億円以上の企業

組織が拡大するこの段階では、経営者と共に組織を支える「経営人材」や「DX人材」の確保が特に重要となります。また、企業規模拡大には、積極的なM&Aやイノベーション、海外展開の推進が有効な手段です

4 具体的な成長・発展への取り組み

1)適切な価格設定と価格転嫁の推進

コストカット戦略が限界を迎えている現状において、収益を確保するためには、原材料費や人件費などの上昇分を適切に価格へ転嫁することが、不可避であるとされています。しかし、価格転嫁には取引先との交渉力が求められるため、その強化も重要な課題となります。

2)積極的な設備投資・デジタル化によるプロセス改善と業務効率化

付加価値や労働生産性を高めるためには、積極的な設備投資とデジタル化が不可欠です。デジタル化は、プロセスの改善や業務効率化を実現するための重要な解決策であり、その推進には、次の基本的なステップを踏むことが大切です。

  • 明確なビジョン・目標の設定
  • 業務の棚卸し、デジタル化すべき領域の特定
  • 費用対効果の検討
  • デジタル人材の育成・確保
  • デジタル化のための予算確保

3)人材確保と定着のための施策

人手不足が深刻化する中、高賃金の提示、働き方改革、福利厚生の充実なども検討しましょう。テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方の導入も、従業員の定着率向上に大きく貢献します。また、単に労働力の「量」を追求するのではなく、従業員の「質」を高め、一人ひとりの生産性を最大化するという発想の転換が求められています。

以上(2025年8月作成)

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