派遣労働者の最低賃金は派遣元の基準を適用すればいいですか。

QUESTION

派遣労働者の最低賃金は派遣元の基準を適用すればいいですか。

ANSWER

派遣先の最低賃金が適用されます。

解説

最低賃金には、以下のとおり地域別最低賃金及び特定(産業別)最低賃金の2種類があります。
1.地域別最低賃金
 産業や職種にかかわりなく、都道府県内のすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47の最低賃金が定められています。
2.特定(産業別)最低賃金
 特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めるものについて設定されており、各都道府県に全部で227(令和3年3月31日現在)の最低賃金が定められています。
なお、地域別最低賃金及び特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
派遣労働者には、派遣元の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の事業場に適用される地域別最低賃金が適用されますので、派遣会社の使用者とその労働者は、派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておく必要があります。
また、派遣先の事業場に特定(産業別)最低賃金が適用される場合は、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.92110

画像:Mariko Mitsuda

労働基準監督署の立ち入り調査に際して、どのようなものを事前に用意しておく必要がありますか。

QUESTION

労働基準監督署の立ち入り調査に際して、どのようなものを事前に用意しておく必要がありますか。

ANSWER

主に労働の実態の分かるものが必要となります。

解説

労働基準監督官が事業場に立入調査をすることを臨検といいます。臨検には、定期監督・申告監督・災害時監督・再監督の4種類あります。
労働安全衛生法関係の臨検は予告なしの抜き打ちが多く、労働基準法の関係は帳簿の確認や聞き取りが必要なので、大抵予告があります。
労働基準法関係で臨検において一般的に提出が求められるのは、次のものです。

  • 1.就業規則(別規程もすべて)
  • 2.労働者名簿
  • 3.時間外・休日労働に関する協定届(控)
  • 4.時間外・休日労働に関する協定書(写)
  • 5.4.のほか労働基準法に関する協定書(写)、協定届(控)
  • 6.労働時間管理の為に作成している書類(賃金台帳と突合せができるもの)
    <例>出勤簿、タイムカード、勤務表など
  • 7.賃金台帳(直近3箇月分)
  • 8.年次有給休暇管理台帳
  • 9.衛生委員会の議事録
  • 10.衛生管理体制(衛生管理者・産業医等)に関する選任報告書(控)
  • 11.健康診断の個人票
  • 12.健康診断結果報告書(控)
  • 13.労働条件の明示の為、採用時に労働者に交付しているもの
    (労働条件通知書等の)サンプル
  • 14.会社の概要の分かるもの(パンフレット等)
  • 15.会社の組織図
  • 16.給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.99100

画像:Mariko Mitsuda

たとえ善意であっても過度な叱咤激励を受けた従業員が自殺した場合に使用者責任はありますか。

QUESTION

たとえ善意であっても過度な叱咤激励を受けた社員が自殺した場合に使用者責任はありますか。

ANSWER

使用者責任を問われる可能性があります。

解説

使用者は、日頃から従業員の業務遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して心身の健康を損なうことのないように注意する義務を負っています。
思い悩んでいる部下がいて、上司が善意から叱咤激励をした場合、それが結果として労働者を追い込み、自殺してしまうケースでは、叱咤激励の方法が過度なもので相当性を欠けば、使用者の責任を問われる可能性があります(※1)。
なぜなら、部下の状態が精神的疾患に罹患したものであることを把握することや自殺について予見できる可能性が肯定されることが多いからです。
最近、このようなケースで、労災が認められる事例が発生しました。労災の給付のための費用を請求される可能性もあります。
また、令和2年6月1日(中小企業は令和4年4月1日)から労働施策総合推進法の改正により、パワーハラスメント防止措置が事業主の義務となります。
職場における「パワーハラスメント」とは職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③のすべての要素を満たすものとして定義されました。

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 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.95020

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試用期間中の者は厚生年金保険に加入しなくてもいいですか。

QUESTION

試用期間中の者は厚生年金保険に加入しなくてもいいですか。

ANSWER

加入しなければなりません。

解説

厚生年金保険の加入手続きは、採用の日から5日以内に被保険者資格取得届を年金事務所に提出します。
厚生年金保険に原則として加入できないのは、
1.国、地方公共団体又は法人に使用される者で、次に該当する者
  ・恩給法19条に規定する公務員及び公務員とみなされる者
  ・共済組合の組合員、私立学校教職員共済制度の加入者
2.臨時に使用される者(日々雇い入れられる者・2ヶ月以内の期間を定めて使用される者)
3.所在地が一定しない事業所に使用される者
4.季節的業務(4ヶ月以内)に使用される者
5.臨時的事業(6ヶ月以内)の事業所に使用される者
6.厚生年金法による年金たる保険給付に相当する給付を行うことを目的とする外国の法令の適用を受ける者
です。
試用期間の者は含まれていません。
厚生年金保険の保険料は、労使で折半します。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.98050

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給与計算処理の簡略化を図るため、営業社員に対してみなし残業代を支給したいのですが・・・。

QUESTION

給与計算処理の簡略化を図るため、営業社員に対してみなし残業代を支給したいのですが・・・。

ANSWER

営業手当・外勤手当等のみなし残業代を支給するには、一定の要件を満たす必要があります。

解説

みなし残業代の導入要件は以下の通りです。

  • 割増賃金相当部分とそれ以外の部分が明確に峻別できること
  • 割増賃金相当部分が労働基準法37条所定の計算方法によって算定された額を下回っていないこと
  • 賃金規程において営業手当等がみなし残業代であることが明記されていること

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.92100

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働き方改革関連法の年5日の年次有給休暇の確実な取得とはどのようなものですか?

QUESTION

働き方改革関連法の時間外労働の年5日の年次有給休暇の確実な取得とはどのようなものですか?

ANSWER

年次有給休暇が年10日以上付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。

解説

会社は、2019年4月1日から年次有給休暇が年10日以上付与される労働者(正社員やパートといった雇用区分はよる違いはありません)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、会社が時季を指定して取得させることが義務付けられました。会社は、時季指定に当たって労働者の意見を聴取し、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。
また、会社は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.93140

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派遣期間を超えて派遣社員を利用するとどうなりますか。

QUESTION

派遣期間を超えて派遣社員を利用するとどうなりますか。

ANSWER

労働契約申込みみなし制度が適用される場合があります。

解説

労働者派遣法では、派遣元事業主が派遣労働者に就業条件等を明示する際に、派遣先が派遣期間の制限に違反して労働者派遣を受けた場合には、派遣先が労働契約の申込みをしたものとみなされることを併せて明示しなければならないとされています。(労働者派遣法第34条第3項)
労働契約申込みみなし制度の対象となる違法派遣は以下の項目になりますので注意が必要です。

  • 派遣労働者を禁止業務に従事させること
  • 無許可事業主から労働者派遣の役務の提供をうけること
  • 事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
  • 個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
  • 偽装請負等

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.94080

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休職期間の延長拒否は、解雇となるのでしょうか。

QUESTION

休職期間の延長拒否は、解雇となるのでしょうか。

ANSWER

就業規則上に、休職期間の延長の対象となる場合とそうでない場合の事由や条件等を明確に規定しておけば、解雇になりません。

解説

仮に休職期間の延長の規定があっても、延長するか否かをその都度の事業主の判断によって決めていると、延長制度の運用状況にもよりますが、労働者が休職期間の延長を期待することに合理的理由があると認められる場合があります。このような場合、休職期間の延長の拒否が解雇に相当する可能性が生じます。
休職期間の延長の対象となる場合とならない場合の事由と条件等を明確に定めることで、このような問題は防止することができます。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.96050

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解雇予告の取消しと解雇月日の変更は許されますか。

QUESTION

解雇予告の取消しと解雇月日の変更は許されますか。

ANSWER

いずれも労働者の同意が必要となります。

解説

使用者は、一度解雇の予告をした以上は事情が変更したからといって、原則としてこれを取り消すことはできません。なぜならば、使用者の単独行為である予告を一方的に取り消し得るとすると、通知を受けた労働者の法律上の地位が極めて不安定な状態になるからです。
しかし、このような状態をもたらさない取消、換言すれば労働者の同意を得て取り消すことは差し支えないと解されています。
次に、解雇予告後の解雇月日の変更についてですが、労働基準法第20条第2項の予告期間の設定は必ずしも予告した当初のみに許されると解する必要はないとして、変更を認める説もあります。
しかし一旦特定された解雇月日を変更することは、その限りにおいて解雇予告の取消しとなるため、例え変更した日数に相当する予告手当の支払いがなされても労働者の同意がない限り、解雇月日を一方的に変更することはできないと解されています。
以上のように、解雇予告の法的性格から、予告の取消し及び予告後の解雇月日の変更については、いずれも労働者の同意があってはじめて許されるものであって、使用者が一方的になし得るものではありません。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.99040

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試用期間中の者は、予告なく即日で解雇することができますか。

QUESTION

試用期間中の者は、予告なく即日で解雇することができますか。

ANSWER

雇い入れ後14日を超えると、予告なく即日で解雇することはできません。

解説

試用期間中であっても14日を超えて引き続き使用した場合は解雇予告が必要になります(労基法第21条)。また、試用期間中に業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する場合は、当該休業期間とその後30日間は、使用者は労働者を解雇できません(労基法第19条)。
解雇事由についても、通常の解雇よりは解雇の自由は広く認められるものの、実際に解雇するにあたっては“当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至つた場合において、そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇傭しておくのが適当でないと判断することが、上記解約権留保の趣旨、目的に徴して、客観的に相当であると認められる場合”に限られます(三菱樹脂事件‐最大判昭48.12.12)。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.96040

画像:Mariko Mitsuda