【熱中症対策】 「熱中症」予防で使えるグッズを支給して社員の健康管理を進めよう

書いてあること

  • 主な読者:社員の「熱中症」対策を進めたい経営者
  • 課題:「熱中症」対策で効果的なグッズは何があるのかを知りたい
  • 解決策:水分や塩分を補給するグッズ、風を送るグッズなどがある。会社で支給したり、購入費用を補助したりすることで、社員が熱中症になりにくい環境を整える

1 熱中症対策は「予防」が肝心!

テレワークが進んで社員が対面で会うことが減り、会社が社員一人ひとりの健康状態を把握しにくくなってきました。心配はいろいろありますが、「熱中症」もその1つです。社員の健康状態を細かくチェックするのが難しいなら、その予防に重点を置かなければなりません。そのために、例えば次のような「熱中症対策グッズ」を用意することが考えられます。

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熱中症対策グッズは、水分や塩分を補給するもの、冷感を与えるものなどさまざまです。会社で支給したり購入費用を補助したりして、熱中症になりにくい環境を整えるように社員に指示しましょう。この記事では、熱中症対策グッズの具体的な活用方法を紹介していきます。

2 水分や塩分を補給するグッズ

熱中症対策の基本は、こまめな水分補給です。ただし、大量に汗をかいたときは体内の塩分やミネラルも失われるため、水分と併せて塩分の補給も必要です。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)ミニ冷蔵庫・カップクーラー

夏場はデスクなどに飲み物を置いていても、すぐにぬるくなってしまいます。こうしたときには、ミニ冷蔵庫・カップクーラーが役立ちます。パソコンなどのUSB端子につなぐと、缶やペットボトル、カップに入った飲み物を保冷することができます。

2)塩分を含む食品

水分を補給する際には、塩こんぶなどの食品や、塩分を含むあめ、タブレットなどの菓子を一緒に食べると塩分も補給できてます。また、スポーツドリンクは水分と塩分を同時に補給できるので便利です。厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」によると、水分を補給する際は、0.1~0.2%の食塩水または飲料100ミリリットル当たり40~80ミリグラムのナトリウムが含まれているものが望ましいとしています。

■厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」(STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)の「関連情報」内にあります)■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html

3 風を送るグッズ

風通しが悪い場所では汗が蒸発しにくいので、体温の調節に無効な発汗が増え、脱水状態に陥りやすくなります。空調設備が整った屋内で作業できるのが一番ですが、そうでない場合もあります。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)空調服

腰や脇に小型のファンが付いた服です。長袖のジャケットから袖のないベストまでさまざまな製品があります。専用のウエア、ファン、バッテリーをそろえる必要がありますが、空調服を着ることでエアコンの使えない場所でも涼しく過ごせます。空調服の中に着るインナーは、できるだけ吸汗性、透湿性、速乾性の高いものを選ぶことが重要です。綿などの乾きにくい素材のインナーを着ていると、体が冷えすぎてしまい、逆に体調が悪くなる場合もあるので注意しましょう。

2)扇風機

扇風機というと室内に置く大型のものを想像するかもしれませんが、首に掛けたり、手に持ち歩いたりして使える小型のものもあります。ただし、気温が高く乾燥した環境で扇風機を使うと、汗が体から熱を奪う前に乾いてしまい、体温が上がり続ける恐れがあります。そのため、扇風機を使用する際は、水を霧状に噴射するスプレー、濡れたタオルなどを併せて用意するようにしましょう。

4 冷感を与えるグッズ

首元、わきの下、足の付け根など、太い血管が体の表面近くを通るところを冷やすと、効率良く体温を下げることができます。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)冷却シート

使い捨てのものから繰り返し使えるもの、また、大きさも額に貼るものからクッションサイズのものまでさまざまなタイプがあります。首元、わきの下、足の付け根などに貼ることを考え、小さめの冷却シートを常に携帯しておくと便利です。

2)ネッククーラー

首元を冷やし、体の熱をクールダウンさせるネッククーラーは熱中症対策にも役立ちます。中に保冷剤や冷却ジェルを入れて使うスカーフのようなタイプや、USBで充電などして動く電動のタイプなどさまざまなものがあるので、テレワークや通勤などのシーンに合わせて使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

3)ミスト冷房

水を細かい霧状にして噴出する装置です。周辺を水で濡らすことなく冷却できます。屋外や工場で使用する大型のものに限らず、USB端子につないでデスク周りで使える小型の製品もあります。

4)冷感スプレー

衣服やハンカチなどにスプレーをすることで冷感が得られるものです。持ち運びに便利で場所を選ばず、いつでもほてった肌をクールダウンさせることができます。

5)ハッカ油

ハッカ油には冷却作用を持つメントールが多く含まれており、マスクやハンカチなどにスプレーをすることで清涼感を得ることができます。また、ハッカ油に含まれるメントールは消臭、抗菌、虫よけ効果があるとされているので、熱中症対策以外にも役立ちます。

6)接触冷感マスク

マスクを着ける場合、接触冷感の糸を使用したり、ミントやメントールなどの爽やかさを感じる成分を生地に配合したりしたものを使うとよいでしょう。なお、高温多湿の状況でマスクを着けていると、皮膚からの熱が逃げにくくなったり、喉が渇いていることに気付かなかったりすることから、体温調節がしづらく、熱中症になるリスクが高まります。屋外で人と2メートル以上の十分な距離が確保できる場合や、会話を行わない場合は、マスクを外して休みましょう。

5 危険時に警告して知らせるグッズ

目まいやふらつきなど熱中症の初期症状があっても、社員は「単に疲れているだけ」と誤解して、熱中症の対処が遅れてしまうことがあります。熱中症の危険が高まったことが、客観的に把握できる状況をつくり出すことが必要です。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)ウエアラブル端末

リストバンドや腕時計などの機器を体に取り付けて脈拍を測り、熱中症の危険がある場合にアラームやバイブレーションなどで通知します。利用者本人だけでなく、管理者側(社内の健康管理の担当者など)で異常を検知できる製品もあるため、異常を確認した管理者が利用者と連絡を取れば、健康への影響を防ぐ対策を取ることができます。

2)温湿度計・センサー

カバンなどに取り付けたり、屋内に据え置いたりして使用します。屋外で使用する場合、熱中症の危険性はWBGT値(暑さ指数。気温と湿度に加えて、日射や地面からの照り返しによる熱を含めた数値)で測ることができます。このWBGT値を正確に測定するには、黒球が付いた温湿度計を使うのがよいとされています。

3)スマートフォンアプリ

その日の気温、湿度、気象条件などを基に熱中症の危険を通知します。アプリによっては、時間単位や地域を指定して熱中症の危険を確認できます。無料で提供されているものもあります。

以上(2024年6月更新)

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画像:あるぱかこ-Adobe Stock

過去最悪となったクレジットカードの不正利用 被害を防ぐ対策とは?

書いてあること

  • 主な読者:クレジットカードを持っている人
  • 課題:クレジットカードを不正利用されないようにするには何に注意するべきか知りたい
  • 解決策:さまざまな手口を知り、情報漏洩の「隙」をなくす

1 クレジットカードの不正利用被害額―2023年は約541億円

日本クレジット協会の調査によると、

2023年のクレジットカードの不正利用被害額は前年比23.9%増の540.9億円

と、統計を取り始めた1997年以降、過去最悪となりました 。

2000年代初めは不正利用被害額の過半は偽造カードによるものでしたが、ネット取引やキャッシュレス決済が普及した現在、カードの番号盗用による被害が大部分を占めるようになっています。

カードの番号盗用による被害とは、紛失・盗難などでクレジットカードそのものが第三者に渡り不正に使われた場合や、クレジットカード情報(カード番号、名義人、有効期限、セキュリティコード)がフィッシングなどによって第三者に盗まれて不正に使われた場合など をいいます。

実在する金融機関・宅配業者・通販サイトなどを装った偽メールによるフィッシングサイトへの誘導など、クレジットカード情報を狙う手口は悪質化・巧妙化しており、クレジットカードを持つ誰もが不正利用の被害に遭う恐れがあります。

この記事では、クレジットカード情報を狙う主な手口、不正利用を防ぐ方法、不正利用されてしまったときの対応について紹介します。

2 クレジットカード情報を狙う主な手口

1)偽メールによるフィッシングサイトへの誘導

実在する金融機関・宅配業者・通販サイトなどを装った偽メールを送信し、本物そっくりに作られたフィッシングサイトに誘導し、クレジットカード情報などを入力させる手口です。

具体的には、フィッシング対策協議会がフィッシングメールやフィッシングサイトの実例を掲載し、注意を促しているので、一度確認してみましょう。

■フィッシング対策協議会「緊急情報」■
https://www.antiphishing.jp/news/alert/

偽メールは、電子メールだけに限らず、ショートメッセージサービス (SMS)を通じて送信されてくることもあります。

メールの件名は、非常に巧妙化しており、開いて内容を確認しなければいけない気にさせるものが横行しています。例えば、2024年4月24日に掲載された「Mastercard をかたるフィッシング 」では、

【マスターカード】カード年会費のお支払い方法に問題があります

【ご注意】MasterCardカード不正使用疑惑のセキュリティチェック

などといった件名がつけられています。

メールの内容も、字面だけでは真偽が判断できないくらいに「こなれた日本語」で書かれるようになっています(生成AIの影響とも言われています)。

リンク先はフィッシングサイトですが、これは本物のサイトの画面をコピーして作成されることが多く、単純に見分けることは困難です。

2)「釣り広告」による偽のショッピングサイトへの誘導

動画サイトやSNSに表示されるネット広告を通じて、閲覧者に「今しか買えない」「早くしないと在庫がなくなってしまう」と思い込ませ、偽のショッピングサイトに誘導し、クレジットカード情報などを入力させる手口です。

「高級ブランド品や入手困難な人気商品の在庫が大量にある」「期間限定で大幅な割引が行われている」といったネット広告には要注意です。偽のショッピングサイトは、最初から閲覧者をだますつもりで本物そっくりに作られています。そこで商品の購入手続きをしてしまった場合、購入したはずの商品が届かないばかりでなく、入力したクレジットカード情報や住所などの個人情報をだまし取られてしまいます。

3)実店舗の店員による盗撮・メモ、記憶

飲食店や小売店などの実店舗で決済のためにクレジットカードを利用した際、店員がカード情報を盗撮・メモしたり、頭の中にだけ記憶したりする手口です。

「以前にも利用したことがあるし大丈夫だろう」「そんなすぐバレる犯罪はしないだろう」というクレジットカード利用者の思い込みを突いて行われる、地味ですが大胆な手口です。

犯行をはたらいた店員が後日逮捕され、それが報道されるということも過去に何度となく繰り返されているにもかかわらず、後を絶たないのも事実です 。

4)その他にもさまざまなかたちで自分のカード情報が漏洩する恐れがある

フィッシングサイトへの誘導や偽のショッピングサイトへの誘導、実店舗の店員による犯行以外にも、さまざまなかたちでカード情報が漏洩する恐れがあります。

最たる例は、紛失・盗難です。かばんや財布ごとクレジットカードを置き忘れたり、盗まれたりした場合、クレジットカード情報も漏洩していると考えられます。

決済に使ったクレジットカード情報を記憶させておくことができるショッピングサイトもありますが、そのサイト自体が不正アクセスによってハッキングされてしまう恐れもあります。

ICチップ搭載のカードが普及したことで下火になっているとはいえ、スキミングの恐れもあります。スキミングは、スキマーと呼ばれる特殊な機器でクレジットカードの磁気ストライプに記録されている情報を盗み取るものです。

3 クレジットカードの不正利用を防ぐ方法

1)頼みもしないのに送られてきた電子メールやSMSは詐欺だと疑ってかかる

押さえておきたいポイントは、

金融機関・宅配業者・通販サイトなどが、頼みもしないのに電子メールやSMSを送ってきて、記載のURLからカード情報・暗証番号・個人情報などの入力を促すことはない

ということです。その手のメッセージは詐欺だと疑ってかかりましょう。注意深く見ると、リンク先のURLがおかしい(実在する正規の金融機関・宅配業者・通販サイトなどのURLと異なる)ことなどに気付くかもしれません。ですが、その都度確認することが手間であれば、いっそのこと電子メールやSMSを開けずに削除しても問題ありません。

2)ネット広告に釣られたとしても、自分の情報を渡す前に立ち止まって振り返る

消費者が気付かない間に不利な判断・意思決定をしてしまうよう誘導する仕組みのウェブデザインなどを「ダークパターン」と 呼びますが、それを取り締まるような法律は現時点ではありません。

そうした中、悪質なネット広告が数多く存在するのは周知の事実です。偽のショッピングサイトへの誘導以外にも、

  • 詐欺的に定期購入契約をさせようとするショッピングサイトの広告
  • 投資を呼び掛ける、著名人をかたった偽の広告

などが問題となったのをご存じの方も多いのではないでしょうか。

押さえておきたいポイントは、

カード情報・暗証番号・個人情報などは、インターネット上の信用できるサイト以外では入力しない

ということです。ネット広告に釣られて、その気になってしまい、安易に自分の情報を渡してはいけません。

3)3Dセキュア認証を使う

3Dセキュア認証は、ネットショッピングやウェブサービスでのクレジットカード決済を、より安全に行うための本人認証サービスです。主要な国際ブランドであるVisa、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレス、Diners Clubなどで採用されています。

各国際ブランドが推奨している「3Dセキュア2.0」では、従来のID・パスワードに加えて、指紋や顔による生体認証、1度だけ有効なワンタイムパスワードなどの認証方法が新たに導入されています。

3Dセキュア認証を利用してクレジットカード決済を行うには、カード会社のウェブサイトやアプリで事前登録が必要ですが、手間がかかるのは最初だけなので、きちんと手続きを済ませておきましょう。

4)定期的に利用明細を確認する

クレジットカードの不正利用を直接的に防止できるわけではありませんが、定期的に利用明細を確認することは大切です。利用明細の確認が習慣となっていれば、万が一、不正利用された場合に、身に覚えのない取引だと早めに気付くことができる可能性が高まります。

利用明細の郵送サービスを使っている場合は、前述した3Dセキュア認証の手続きと並行して、カード会社のウェブサイトやアプリで確認する方法に切り替えるとよいでしょう。

4 不正利用されてしまったときの対応

1)クレジットカードの会員(所有者)は、手続きをすれば被害が補償される

クレジットカードの会員規約では、紛失、盗難などによって他人にクレジットカードやクレジットカード情報を不正利用された場合も、カード会社への事実連絡や警察への届け出などの決められた手続きをしなければ、それに起因して生じる一切の支払 債務については、すべて会員が責を負うものとされます。

クレジットカードを紛失した場合や盗難に遭 った場合、不正利用が発覚した場合は、できる限り早くカード会社に連絡しましょう。クレジットカードの一時停止の手続きをすることで被害の拡大を防止できます。

カード会社による調査によって不正利用が確定すると、元のクレジットカードが無効になり、会員には新しいクレジットカードが発行されます。

2)真の被害者は加盟店

クレジットカード決済によって商品が購入された場合、加盟店側はカード所有者が買い物をしたと考えて商品を発送します。しかし、その決済が不正利用によるものだった場合、商品は第三者に渡ってしまい、カード所有者には届きません。

何も買った覚えもないのにカード会社から代金を請求され、クレジットカードが不正利用されていることに気付いたカード所有者は、カード会社に連絡し、当然、支払いを拒否します。

そして、その後、カード会社による調査でクレジットカードの不正利用が確定すると、その取引そのものが解消される「チャージバック」の仕組みが適用されます。

その結果、販売元である加盟店はカード会社に商品の売上を返金しなければならず、さらに第三者に渡ってしまった商品が戻ってくることはないため、損害が発生します。

クレジットカードの不正利用による被害は、最終的に加盟店側に及ぶのです。

5 参考

■経済産業省「クレジットカード・セキュリティ官民対策会議■
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/credit_card_security/
■警察庁「フィッシング対策」■
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/countermeasures/phishing.html
■日本クレジット協会「守ろうクレカ 防ごう不正利用」■
https://www.j-credit.or.jp/customer/security-movie/
■フィッシング対策協議会■
https://www.antiphishing.jp/
■日本サイバー犯罪対策センター(JC3)■
https://www.jc3.or.jp/

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2024年5月13日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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【債権回収】もう一度チェック! 「危ない手形」の見分け方

書いてあること

  • 主な読者:手形取引をしており、「危ない手形」の見分け方を知りたい経営者
  • 課題:どのような記載があると危ないのかなど、注意すべきポイントを知りたい
  • 解決策:振出日と支払期日の間が通常より長いなど、よくあるパターンを確認する

1 後を絶たない手形による被害

約束手形については、手形交換所が2022年11月に廃止され、政府は2026年をめどに全ての紙の手形や小切手を電子化する方針を示しています。とはいえ、足元ではまだまだ使われていて、不渡りなどの問題も生じています。

そこで、この記事では「危ない手形」の典型である、

「1.借用書代わりの手形」「2.回り手形」「3.融通手形」「4.偽造手形」

の特徴を紹介した後、万一の備えとしてすべき債権保全の策を紹介します。なお、手形を利用していない経営者は読む必要性の乏しい記事です。

2 「危ない手形」の4つのタイプ

1)借用書代わりの手形

借用書代わりの手形とは、

資金不足を補おうと、安易に振り出される手形

で、「危ない手形」の典型です。振出人の経営者は、支払期日が近づくと資金集めに奔走しますが、資金が集まらなければ倒産し、手形は不渡りとなります。

借用書代わりの手形を振り出す会社には、次のような傾向があるので注意しましょう。

  • 「台風手形」といわれる、決済期間が210日もしくはそれ以上に長い1年といった長期の手形を振り出すことが多い
  • 手形用紙が誰でも持ち出せる場所に置かれている。またいつでも振り出せるように、金額や支払期日を記載していない未使用の手形用紙に会社印などが押印されている
  • 手形の控えに金額、振出日、支払期日、受取人を書き入れていない
  • 社長、経理担当者が支払期日に不在の場合が多い

2)回り手形

回り手形とは、

取引先自らが振り出した手形ではなく、裏書譲渡された手形

です。裏書譲渡された手形は、振出人だけでなく、裏書人にも支払いを請求できるので、この点については安全といえるかもしれません。

ただし、特に裏書人が多い場合は注意しましょう。振出人や裏書人に信用があれば、自社に回ってくる前に銀行や手形割引専門業者が手形を割り引いてくれるはずで、次から次へと裏書されることは少ないと考えられるからです。従って、裏書人の多い手形は「危ない手形」の恐れがあります。もし、回り手形が振り出されたら、裏書人が正しく連続しているかについても確実にチェックしましょう。

なお、割引手形と似ているところがありますが、回り手形が支払目的である一方で、割引手形は支払期日よりも前に現金化することを目的とするという違いがあります。

3)融通手形

融通手形とは、

実際の商取引が伴わず、単に資金を調達する目的で振り出される手形

です。手形の受取人は、この手形を銀行などで割り引く(手形割引)ことで当面の資金を調達します。資金繰りに窮した会社同士が、相互に発行しあうこともあります。

融通手形を振り出せば、手形振出人は手元に現金がなくても資金に困った人の面倒を見ることができますが、手形の受取人は返済資金を工面できず、結果として手形の振出人にその請求がくるケースが多いです。そのため、

取引先から融通手形振り出しの依頼があっても、断るのが賢明な判断

です。

一般的に、「振出会社の名義が、手形を持ち込んできた会社の通常の取引先とは考えにくい場合」「取引関係からみて手形金額が大き過ぎる場合」などは、融通手形の可能性があります。また、融通手形が回り手形として回ってくる恐れもあるので注意しましょう。

4)偽造手形

偽造手形とは、

振出人の署名を偽ったり、手形用紙や印鑑を盗用したりする、文字通り、偽造の手形

です。偽造手形は、受取人側が「振出人本人が手形用紙の振出人欄に署名したこと」を立証できない場合、手形の受取人は現金化することができない場合があるので注意が必要です。

3 「危ない手形」のチェックポイント

1)約束手形の絶対的記載事項

約束手形には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」があります。これらが間違いなく記入されているかを確認しましょう。

「約束手形」という文字、金額(チェックライターまたは漢数字で記載されているか確認)、支払い約束の文言、支払期日、受取人、支払地、振出日、振出地、振出人の署名

もし、以下に該当する手形があれば、それは「危ない手形」である恐れがあります。

  • 振出日と支払期日の間が通常より長い
  • 支払日を訂正している(資金繰りが厳しくなっている可能性がある)
  • 手形の金額が振出人の規模からみて大き過ぎる
  • 振出人のメーンバンク以外から振り出されている(融通手形の可能性がある)
  • 裏書人の数が多い(回り手形)

また、手形の記載に誤りや有害的な文言がある場合、手形そのものの効力が無効になるので注意しましょう。例えば、

支払期日:令和6年1月1日、振出日:令和6年3月1日

など支払期日より振出日のほうが後である場合、手形は無効になります(最高裁平成9年2月27日判決)。

2)振出人の経営状態の確認

「手形が危ない」ということは、つまり手形を振り出した会社の倒産が近いことを意味します。従って、その手形を振り出した会社や裏書をしている会社がどのような経営状態にあるかについて調べれば、手形の危険度が判断できます。会社の経営状態を調べる際、留意すべき事項は次の通りです。

1.「割止め情報」があるか

「割止め情報」(市中金融機関が手形の割引を拒否したという情報)を入手したからといって、必ずしもその会社が倒産するわけではありませんが、その会社が危険な経営状態である可能性は高いと考えられます。また、振出人の所在地の登記事項証明書を取り、「不動産があるかどうか、もしある場合、担保が付いているかどうか」などを調査しておくのも万一の備えとして有効です。

2.同業者の間で悪い噂が立っているか

「債務超過に陥っているらしい」「銀行から融資を断られたらしい」など信用不安に関する情報を同業者からキャッチしたときには、その会社は危ないと判断したほうが賢明かもしれません。ただし、当然のことながら噂の出所や真偽のほどについては十分に確認する必要があります。

3.過去に手形ジャンプの要請があったか

手形ジャンプとは、手形の支払期日を先の日付に延長することです。手形ジャンプの要請は、その会社の資金繰りが逼迫していることを示します。手形ジャンプの要請があったことは、すぐに同業者や市中金融機関などに知れ渡り、結果としてビジネスに支障を来したり、融資を受けられなくなったりする恐れもあります。従って、手形ジャンプの要請は倒産の兆候と判断すべきかもしれません。

4.大口の焦げ付きが発生しているか

手形振出人の得意先が倒産し、振出人に大口の焦げ付きが発生した場合は注意が必要です。資金繰りに支障を来し、振出人まで連鎖倒産する恐れがあります。

4 手形による被害に遭わないための債権保全

どれほど注意していても、受け取った手形が不渡りになる可能性は否定できません。そこで、たとえ不渡りになったとしても、確実に債権が回収できるよう事前に対策を取っておく必要があります。

1)人的担保

一番簡単な対策は、資力のある人に手形の支払いを保証してもらうことです。手形上に保証人として署名してもらう方法の他に、手形の原因となった債務について振出人の社長、専務、常務などの役員に個人保証してもらうのが一般的です。ただし、個人企業や中小企業の場合、多くの債務に役員の個人保証が付いていて、振出人の破産とともに役員個人も同時に破産することもあるため、個人保証をしてもらったからといっても必ずしも十分というわけではありません。

なお、改正民法により、役員などではない個人が、事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約を締結する場合、その締結日の前1カ月以内に作成された公正証書で、保証人になる個人が、保証債務を履行する意思を表示していなければなりません。

2)物的担保

営業所や社長の自宅などに根抵当権、もしくは金額を確定した抵当権を設定するのも効果的な対策です。

また、倉庫などに特定の商品を一定量常に保持しておく等の義務を相手方に負わせ、不渡りの場合、その商品を引き揚げる契約(集合動産譲渡担保契約)を交わす方法もあります。この契約書には、公証人の確定日付を押印してもらうとよいでしょう。

ただし、確定日付は「遡及(バックデイト)」していない証拠にはなりますが(日付によっては管財人から否認されないというメリットがある)、集合動産譲渡担保を破産管財人など第三者に対抗するには対抗要件が必要です。

5 不渡りとなった場合の対処

1)債権保全をしていない場合

振出人に対して「手形訴訟」(もしくは通常の訴訟)を提起すると同時に、商品、銀行預金など相手の資産の仮差押えを行います。仮差押えは、将来の強制執行に備えて振出人の処分権を奪っておくために行うものです。

なお、手形訴訟は通常訴訟と異なり、証拠調べの方法が原則として書証に限られ、原則控訴が認められないなど簡略化された訴訟手続きです。

2)債権保全をしている場合

物的担保を取得している場合、担保権の行使によって債権の保全を図ります。人的担保を取得している場合、振出人と手形上の保証人を債務者として手形訴訟(もしくは通常の訴訟)を提起するか、簡易裁判所を通じて行う支払督促の申し立てをします。判決や支払督促などの債務名義を取得しているのに、それでも支払に応じない場合は、強制執行を行うことになります。

なお、担保権を行使しても、相手方が不渡り金額の返還に応じられそうにないときは、相手の扱う商品、原材料などを譲り受け、対価で相殺するのも選択肢の一つです。

以上(2024年5月更新)
(監修 Earth&法律事務所 弁護士 岡部健一)

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画像:Mariko Mitsuda

【債権回収】日ごろから「債権管理」を徹底する

書いてあること

  • 主な読者:取引が開始された後は油断してしまい、きちんと債権管理をしていない経営者
  • 課題:請求業務が整備されておらず、未払いのチェック機能が弱い
  • 解決策:「請求、入金確認、催促」のサイクルを確実に回す。未入金の場合の対応に違和感を覚えたら、モードを変えて対応を検討する

1 皆さんの会社は「債権管理」をしていますか?

皆さんの会社では、取引を開始した後も定期的に取引先の経営状態をチェックしていますか。もし、取引開始時の与信情報から何もアップデートしていないとしたら、危険なことです。請求業務も経理担当者任せにしたままだと、ある日突然、「未払いが回収できません!」と報告を受けることになるかもしれません。その取引先が大口だと事態は深刻です。中小企業の場合、

一部の大口との取引で収益の多くを賄っていることが多く、そうした取引先に対する売掛金が未回収だと、自社の資金繰りに大きな影響を及ぼし、最悪の場合は資金ショートを起こしてしまうからです。

そうならないためにも、日ごろから「債権管理」を徹底しましょう。債権管理とは、

滞りなく売掛金を回収するための業務全般

のことで、具体的には「請求書の発行や入金チェック、未入金の場合は催促」などの一連の流れとなります。

この記事では、債権管理の一般的な内容を紹介します。業務フローはさまざまなので、会社の状況に合わせて債権管理を徹底してください。

2 一般的な債権管理の流れ

1)請求書を発行する

取引先に請求書を発行します。継続取引の場合は、毎月、決まった日に請求書を発行します。スポットの場合は、納品(検収)後、速やかに発行するようにします。開発案件では、半年分の開発を期末にまとめて請求することもありますが、売掛金をきちんと把握していないと請求漏れが生じます。また、

取引先と共通の認識を持つために、面倒でも、その都度「注文書」と「注文請書」でやり取りすること

が大切です。

2)入金の確認と催促

請求書を発行したら、期日までに入金があるかをチェックします。インターネットバンキングを利用していれば、いつでも入出金明細を確認することができます。

また、たまにあるのが入金された金額の間違い(請求金額と違っている)です。取引先が悪意なく間違えているケースがほとんどで、継続取引の場合、実務負担を減らすために次回請求で調整することがあります。ただし、

実態と異なる会計上の処理は、「粉飾決算」となり得ます。自社としては効率的に処理したいだけかもしれませんが、問題行為であることを認識しなければなりません(特に決算月をまたぐ場合)。

3)未入金の場合の催促

もし、支払期日になっても入金がない場合は、速やかに取引先に催促の連絡をします。手違いのケースが多く、通常は即座に処理してもらえるのですが、最悪の事態は、こうしたありがちなシーンから始まるのも事実です。そのため、

  • 具体的な支払期日を明示せずに支払猶予を求められる
  • 催促メールを送ったが返信がなかなか来ない
  • 電話をしたが、いつもと様子が違った

といったように、違和感を覚えることがあれば要注意です。具体的にどのような対応を取るかは状況次第ですが、少しモードを変える必要があり、

状況によっては取引継続の有無を判断したり、債権債務(売掛債権と仕入債務)を相殺したりすること

になるかもしれません。

3 取引状況を把握する

取引の規模を確認します。例えば複数の部門と取引している取引先がある場合は、全体だけではなく部門ごとにも把握するのが理想的です。また、継続取引をしている場合は、足元の状況だけではなく、将来発生する可能性のある債権債務についても把握します。その上で、以下の情報をまとめておきます。

  • 取引先との間で発生している債権債務の額
  • 取引先との間で発生している債権債務の弁済期
  • 担保を設定しているか

取引先との間で債権債務が発生していれば、いざというときに相殺して、事実上債権を回収することができます。また、契約において「期限の利益喪失条項」を定めておけば、支払期日前でも債権回収ができることがあります。期限の利益喪失条項とは、支払遅延等が生じた場合に、

債務者に本来の支払期日よりも前に債務を弁済させる義務を生じさせる条項

です。

この他、取引先が有する不動産や動産などの資産、取引のある金融機関、取引先がどういった会社と取引をしているのかについて把握します。これにより取引先の体力等が推測できるので、取引を継続するか否かの重要な判断材料となります。

以上(2024年5月更新)
(監修 弁護士 八幡優里)

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【熱中症対策】 「熱中症」予防で大切な9つの対策〜チェックリスト付き

書いてあること

  • 主な読者:社員の「熱中症」対策を進めたい経営者
  • 課題:社員に何を指示すればよいのか分からない
  • 解決策:熱中症になりにくい体づくりと、外部環境の整備の両面からアプローチする

1 「熱中症」予防の基本は体づくりと外部環境の整備

熱中症になるのは高温多湿な場所に長時間いるケースに限りません。例えば、寝不足や食欲不振などで体調が優れない、下痢や二日酔いなどで脱水症状気味といった体調不良の場合も熱中症になるリスクがあります。

そのため、熱中症の予防は、

外部環境を整えるだけでなく、熱中症になりにくい体づくりをする

ことが必要です。例えば、次のような対策が挙げられます。

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この記事では、社員の具体的な熱中症の予防法について紹介していきます。

2 熱中症になりにくい体をつくる5つの工夫

1)水分・塩分をこまめに補給する

熱中症の予防や、熱中症の症状が疑われるときの最も基本的な対策は、水分・塩分の補給です。汗を大量にかくと、水分とともに塩分やミネラルも失われてしまうため、ただ水分を補給するのではなく、スポーツドリンクや食塩水などで塩分も一緒に補給することが重要です。

また、マスクをしていると喉の渇きを感じにくく、気付かないうちに脱水症状になる恐れがあります。そのため、こまめに水分・塩分を補給することが大切です。屋外でたくさんの汗をかく作業に従事する社員には、塩あめなどを携行させることを促してもよいでしょう。

2)体を上手に冷やす

顧客訪問でスーツの着用が必要なケースなどを除き、業務内容によっては暑さをしのぎやすい軽装での勤務を認めるとよいでしょう。扇子やうちわ、携帯型扇風機などで風を起こして体を冷やすのも効果的です。屋外での作業現場では、送風機を内蔵するヘルメットや作業着を導入するケースもあります。

3)栄養バランスの良い食生活を心掛ける

食生活にも配慮が必要です。夏場は食欲が落ちて冷たいものばかりを食べがちですが、食生活の乱れから体調を崩すと、熱中症になるリスクも高まってしまいます。栄養バランスの良い食生活を促しましょう。

4)健康状態をこまめに確認する

体調の悪そうな社員には積極的に声を掛けましょう。経営者や管理職は、元気がなかったり顔色が悪かったりする社員に対して、周囲が気遣う職場づくりを心掛ける必要があります。テレワーク中の社員には、ウェブ会議システムなどを使って積極的に声掛けすることが大切です。

5)暑さに体を慣らす

体を冷やして暑さを感じにくくするだけでなく、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」によって暑さに体を慣らすことも、熱中症予防に効果があります。ジョギングなどの軽い運動や湯船に漬かる入浴などによって意識して汗をかくようにすると、本格的に暑くなる前から暑さに強い体づくりにつながります。朝礼などの機会に経営者が社員に勧めてもよいでしょう。

3 熱中症になりにくい環境を整える4つの工夫

1)日差しや熱が発生する場所を避ける

屋内では日差しをカーテンで遮ったり、背の高い観葉植物を窓際に置いたりして暑さをしのぐようにします。サーバールームなど、熱が発生する業務機器がある場所では、熱を遮る遮蔽物を設置するのも効果的です。日差しを避けられない屋外では、比較的涼しい午前中や夕方に作業を集中して行うことも検討しましょう。

2)エアコンと扇風機を併用する

エアコンだけだと冷気が特定の場所に滞留しがちなので、扇風機やサーキュレーター(空気を循環させるための機器)を活用して、冷気を循環させましょう。窓を開けて換気する際も、扇風機やサーキュレーターを外に向けて使えば効率良く換気できます。

なお、エアコンは夏になると購入や修理の依頼が混み合い、暑さが本格化する時期にエアコンが使えない場合があります。そのため、オフィスや自宅のエアコンは早めに試運転を行い、不具合がないか確認するようにしましょう。

3)温度や湿度を「見える化」する

温度計や湿度計、暑さの指数を調べる測定器などを用意し、熱中症の危険度を把握できるようにします。熱中症の危険度が高まるとブザーで通知する携帯型熱中症計や、発汗量から熱中症の予兆を検知するウエアラブル端末(身に着けられる端末)などもあります。熱中症対策として、こうした機器の導入を検討してもよいでしょう。

4)「テレワーク手当」で快適な労働環境を実現する

テレワークをする社員の中には、「エアコンを使うと電気代がかさむ」「部屋にエアコンがない」という人もいます。しかし、十分な空調設備のない中で作業を続けると、熱中症のリスクが高まります。そこで、「テレワーク手当」を支給して、「熱中症になりにくい環境」の実現を支援します。

4 熱中症になったときの対処法

社員が熱中症になったら、適切かつ迅速に対処しなければなりません。必要に応じて救急車の出動を要請、もしくは医療機関へ搬送します。

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熱中症が疑わしい場合、涼しい場所へ移動させて着衣を緩め、頸(けい)部、わきの下、足の付け根などを中心に体を冷やします。もし、「呼び掛けに答えない」「水分を自力で摂取できない」「症状が一向に改善しない」などの場合、すぐに救急車の出動を要請、もしくは医療機関に搬送します。

いざというときに迅速な対応が取れるよう、上記の対処の流れ、搬送先になる病院の所在地や連絡先をあらかじめ社内に周知しておきましょう。テレワークをする社員には、熱中症になった際に受診できる最寄りの病院を確認しておくように指示し、必要に応じて緊急連絡網(本人および家族の緊急連絡先)を整備しておくことも大切です。

参考:熱中症予防対策に役立つチェックリスト

以下は厚生労働省「職場の熱中症予防対策は万全ですか?」を基に、熱中症予防対策として確認しておきたい事項をまとめたものです。オフィスだけではなく、在宅勤務における熱中症対策としても有効です。

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以上(2024年6月更新)

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相手に「冷たい」「怖い」と思わせないテキストコミュニケーションのコツ

書いてあること

  • 主な読者:テレワークなどでチャットツールでのやり取りが多い会社の社員
  • 課題:テキストでのやり取りで意図せず、相手に距離感や冷たさを感じさせていないか不安
  • 解決策:文末に「!」や笑顔の絵文字を1つつける、オーバー気味のリアクションを心がけるなど、気持ちを込める工夫を実践してみる

1 テキストでのやり取りは対面や電話よりも難しい?

テレワークが普及し、社内や取引先とのやり取りで、チャットツールを使ったテキストでのコミュニケーションが増えたという会社も多いと思います。対面や電話よりも気軽に連絡が取りやすくなった一方で、「部下に仕事のミスをテキストで指摘したら、険悪なムードになってしまった」「取引先にどこまで正確に要件が伝わっているか分かりにくい」などと、気をもむ経験をした方もいるのではないでしょうか。

テキストでのコミュニケーションは、対面や電話よりも、目に見えたり、聞こえてきたりする情報がない分、誤解や齟齬(そご)も起こりがちです。

そこで、この記事では、相手に適切に気持ちを伝えて「距離感」や「冷たさ」を感じさせないテキストコミュニケーションのコツを紹介します。

「テキストベースのやり取りで、意図せず相手に距離感や冷たさを感じさせていないだろうか?」と不安になった方は、以降で紹介するコツを参考にしてみてください。

2 気持ちが伝わる! すぐに実践したいコツ5選

1)大前提は「相手に察してほしい」と期待しないこと

対面では、相手がニコニコしているのか、怒っているのかが、相手の表情や言動などで分かります。一方で、テキストコミュニケーションでは、こうした目に見えたり、聞こえてきたりする情報がないため、文字に起こさないと何も伝わりません。

そのため、次のような期待を相手に求めないことが肝心です。

  • 察してほしい
  • 言わなくても、きっと分かってくれる
  • それくらいは気付いてほしい

また、「あれ」「これ」「それ」といった指示語や、「先日」「本日中」「そのうち」などの、人によって解釈が異なる曖昧な言葉は、お互いに認識を共有していないと誤解が生じがちです。5W1Hをきちんと文字に起こして伝えるようにしましょう。

  • When:いつ
  • Where:どこで
  • Who:誰が
  • What:何を
  • Why:なぜ
  • How:どのように

お互いに誤解や行き違いを招かないためにも、テキストコミュニケーションでは、あえて文字に起こすことを常に心がけてみましょう。幸い、テキストコミュニケーションは相手に送る前に文章を推敲(すいこう)できるメリットもありますので、必ず見直してみることが大切です。

2)文末の「。(まる)」を「!(感嘆符)」や絵文字に変えてみる

メッセージの文末が句点(まる)で終わっていると、特に句点を使い慣れていない若手社員が距離感や冷たさを感じてしまうという、「マルハラ(マルハラスメント)」という言葉を聞いたことはないでしょうか? 若手社員の世代では、社会人になる前からメールやチャットツールに慣れ親しんでおり、絵文字やスタンプで感情を表すことが一般的です。

そのため、送り手は端的にリアクションをしたつもりでも、メッセージの文末が句点で終わっていると、受け手によっては「冷たい」「そっけない」などの気持ちを抱くケースもあるかもしれません。

そこで、文末の「。(まる)」を「!(感嘆符)」や絵文字に変えてみるといった工夫で、柔らかくリアクションを表現してみるとよいでしょう。

例えば、会話の最後が「分かりました。」で終わるよりも、「分かりました!」とビックリマークがつくほうが、若手社員の世代では元気があり好印象と感じる人も多いといいます。

また、句点を使う場合でも、「句点を使っているが、怒っていたり、会話を切ろうと思ったりしているわけではない」など、一言フォローを入れておくとよいでしょう。

3)リアクションは少しオーバーになってもよい

例えば、何かの回答を求められたときに、「OK」だけで返してしまうと、「深く賛同してOK」なのか、「納得できないところはあるけれど、OK」なのかが相手に伝わりません。

同じ「OK」でも、「OKです! 素晴らしい!」など、プラスアルファの一言を添えるだけで気持ちをきちんと表現することができます。絵文字やスタンプを使っても問題ない関係やシチュエーションであれば、ちょっとした装飾を加えると、より気持ちを伝えやすくなります。

これは、自分がミスを指摘されたときのような、ネガティブな状況でも同じです。

例えば、「申し訳ありませんでした。」のように、語尾が「。(まる)」だけだと、相手によっては必要以上に冷たく伝わったり、ふてくされたりしていると捉えられてしまう場合もあり得ます。「申し訳ありませんでした。今後このようなことがないよう気をつけます」など、言い回しを少し工夫することで、謝罪の意思も伝わりやすくなります。

4)「かもしれない」をつけて断定して伝えない

相手に対して何か指摘をするときに、明らかに間違っている内容だとしても、断定して伝えないのもテクニックの1つです。

「間違っている」と断言するのではなく、「間違っているかもしれない」と柔らかく伝えることで、相手を傷つけたり、モチベーションを下げたりすることがなく、指摘を受け入れてもらいやすくなるようになります。

5)相手へのお願いは、目的や期日などを併せて伝える

相手へ何かお願いをして動いてもらう際は、相手の貴重な時間を使って行動してもらうことを忘れてはいけません。

例えば、アンケートをお願いしたいときに、「アンケートへのご協力をお願いします!」などと要件を端的に伝えるだけでは、相手は一方的な要求、かつ忙しいけれどすぐに対応しなければと感じて、ネガティブな気持ちになるかもしれません。

こうしたときには、依頼の目的、所要時間、期日などを加えると相手に動いてもらいやすくなります。また、「お忙しいところ恐縮ですが、お時間をいただけますと幸いです」といった、相手への配慮も一言添えるとよいでしょう。

3 テキストコミュニケーションは万能ではない

冒頭の繰り返しになりますが、テキストコミュニケーションは、対面と比べてコミュニケーション量も、伝えられる情報量も少なくなりがちです。

そのため、謝罪や緊急の依頼などスピードが求められる場面や、議論などの場面では、テキストコミュニケーションが向かないこともあります。

緊急時には電話での連絡が最善ですし、議論であればオンライン会議などを使うほうが、より話はまとまりやすくなります。それぞれのコミュニケーションツールの特性を把握して、テキストコミュニケーションの弱点を上手に補っていきましょう。

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2024年5月13日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

【電子メールでのお問い合わせ先】
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(株式会社日本情報マートが、皆様からのお問い合わせを承ります。なお、株式会社日本情報マートの会社概要は、ウェブサイト
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ご回答は平日午前10:00~18:00とさせていただいておりますので、ご了承ください。

【債権回収】テレワークでも失敗しない与信管理~20のチェックリスト付き

書いてあること

  • 主な読者:テレワークでも与信管理を徹底したい経営者
  • 課題:物価高倒産の増加など経営の先行きが不透明。会えない相手をどう管理すべきか?
  • 解決策:現状に合った与信管理をシンプルに行う。必ず債権回収とセットで考える

1 「無い者からは回収できない」が基本

テレワークの推進など、多くの会社が抜本的な業務効率化を進めています。いわゆる「印鑑レス」の動きや、生成AIを使った取り組みは慣習を断ち切るきっかけとなり、“ダラリ(ムダ、ムラ、ムリ)”が見直されていくのは本当に良いことです。

ただし、強化すべき業務には逆にてこ入れが必要です。例えば、この記事のテーマである「与信管理」もその1つでしょう。現在は相手と会う機会が減り、限られた情報を基に取引しなければなりませんし、いわゆる物価高倒産も増えています。

「無い者からは回収できない」というのが、与信管理・債権回収の大前提です。経営者はいま一度、自社の体制を確認する必要があります。

2 与信管理と債権回収を必ずセットにする

テレワークでも、与信管理で行うことは従来と同じです。

「テレワークなので、厳重に!」と強化したいところですが、やり過ぎると取引開始までに時間がかかったり、現場での負担が大きくなったりして活動が定着しない

恐れがあります。テレワークだからこそ、

与信管理はシンプルに進めることがポイント

です。決して手を抜くということではなく、テレワークに合ったやり方に変えていくのです。

社内に与信管理に留意する雰囲気を定着させることも大切です。そのために、与信管理のプロセスを「見える化」します。具体的には、与信管理の内容をデータ化して担当者で共有する、オンライン会議の場で取引先の状況を発表するなどします。こうして、社員が与信管理を身近な業務として認識できるようにします。

また、与信管理と債権回収が分断されていてはいけません。「おかしいな」と感じたら、即座に行動できるように、

  • 支払いが滞ったら、3日以内に催促メールを出す
  • それでも回収できなければ、内容証明郵便を送る

などをルール化します。時間がたつほど債権回収は困難になるので、先々を見据えた回収計画や対応を事前に決めておきます。与信管理は「転ばぬ先のつえ」ですが、実際に問題が顕在化した場合に即座に行動できなければ意味がありません。

3 正しい情報を得ることが与信管理の第一歩

1)代表者同士で面談する

多くの会社では、営業担当者の情報収集が与信管理の重要な一部となっています。しかし、物価高や人材不足など経営環境は、かつて経験したことのないレベルで変化しており、営業担当者が収集できるレベルの情報では判断が難しくなっています。こうした中、事業方針を大きく転換する企業もあり、それを営業担当者の報告だけで判断するのは難しいです。だからこそ、自社と取引先の代表者同士が面談し、状況を共有することはとても大切です。

2)営業担当者レベルでは、スマートフォンの番号などを交換する

テレワークでは、気軽に取引先を訪問できません。取引先もテレワークをしている場合はなおさらです。つまり、

訪問を前提とした営業担当者の情報収集は機能しにくい

ということです。

そこで、訪問の代わりにオンライン会議や電話で情報を収集します。スマートフォンの番号を交換したり、SNS(Facebookなど)のメッセージ機能を使ったりして、連絡を取れるようにしましょう。こうしたつながりは、ビジネスとしての訪問からプライベートに少し近づく行為ともいえるため、相手と良い関係が構築できていなければなりません。

3)もらいにくかった資料も提出してもらう

長く取引している相手の場合、決算書や事業計画書などの提出を求めないことがあります。「そうした書類がなくても信頼していますよ」という、こちらの信頼を暗に伝えるためです。

しかし、テレワークで与信管理を徹底するには、決算書や事業計画書は、ぜひ、提出してもらいたい資料です。「このようなときなので、お願いします」と依頼すれば、相手もむげに断ったりはしないでしょう。

4)信用調査サービスを利用する

自社だけでは収集できない情報を得たり、客観的に相手を分析したりするために、信用調査サービスを利用するのも1つの方策です。信用調査サービスはさまざまで、調査リポートを提出してくるサービスの他、SNSの投稿内容などを分析して、危険な場合にアラームを出して知らせてくれるサービスもあります。取引規模などに応じて、信用調査サービスを選択、利用するとよいでしょう。

4 テレワークでも使える与信管理「20のチェックリスト」

ここまでの内容も踏まえた、テレワークでも失敗しない与信管理をするためのチェックリストを紹介します。取引前と取引中でそれぞれ10項目、合計で20項目あります。

1)取引前のチェックリスト10

取引前に確認したいチェックリストは次の通りです。

  • 与信管理規定は整備されており、社内で周知徹底されていますか?
  • 電子契約の導入など、業務効率化を進めていますか?(与信管理から契約までの負担を軽減するためです)
  • 相手と知り合った経緯に違和感はないですか?(飛び込み営業、付き合いの浅い人からの紹介などは要注意です)
  • 取引の契約を交わす前に、日経テレコンや週刊誌などを検索し、違和感のある記事はないことを確認しましたか?
  • 信用調査サービスを使って事前に調査しましたか?
  • 可能であれば同業他社などからの情報を得て、違和感のある噂などがないことを確認しましたか?
  • 相手の代表者などと面談しましたか?(取引中も定期的に面談できたら理想的です)
  • 取引開始について、社内の3名以上が同意をしていますか?
  • 技術やサービスの水準に問題はないですか?
  • 取引に当たり、きちんと契約を交わしていますか?

2)取引中のチェックリスト10

取引中に確認したいチェックリストは次の通りです。

  • 取引の実態に応じて、「見積書、注文書、注文請書、納品書、検収書、請求書、領収書」などのデータを残していますか?
  • 自社内のミーティングで、与信管理や新規取引先の話題を共有していますか?
  • 決算書や事業計画書などの情報を収集していますか?
  • スマートフォンの番号などを交換し、すぐに連絡を取れる状態になっていますか?
  • 定期的にオンライン会議をしていますか?
  • 電話やオンライン会議の際、相手の言動に違和感はないですか?
  • たまに訪問して、相手の状況を確認していますか?
  • 納品が正当な理由なく遅延していませんか?
  • 支払いが正当な理由なく遅延していませんか?
  • 問題が顕在化した際、すぐに債権回収ができる体制になっていますか?

5 自社も与信管理される立場である

最後に補足をします。取引は相手ありきのことであり、自社も相手から与信管理をされています。つまり、この記事で紹介した内容の裏返しで、相手も自社の与信管理を強化したいと考えているはずです。そうした取引先とより良い関係を築くためには、互いの与信管理に快く協力するという視点を忘れてはなりません。

また、万一の際、即座に債権回収をせずに相手の復活を待つという判断をすることもあります。こうした判断の前提は「信頼」ですので、そうした意味でも日ごろの付き合い方が重要になってきます。

以上(2024年5月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

【熱中症対策】 早めの「暑熱順化」トレーニングで暑さに強い体づくりを!

書いてあること

  • 主な読者:社員の「熱中症」対策を進めたい経営者
  • 課題:水分補給をして冷房もきかせているのに熱中症になってしまう?
  • 解決策:体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」に取り組んでみよう!

1 今夏の熱中症対策は暑さに慣れる「暑熱順化」から

2023年に「熱中症」で救急搬送された人数は9万1467人(消防庁「令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」)にのぼり、2024年も要注意です。熱中症のピークは7月下旬~8月上旬ごろですが、体が暑さに慣れるには数日~2週間程度が必要なので(個人差あり)、急に水分・塩分の補給などをしても対策として不十分なところがあります。

そこでご提案するのが、

暑熱順化:時間をかけながら暑さへの耐性を身に付けていくアプローチ

です。暑熱順化は、ジョギングやウォーキングなどによって汗をかき、体を暑さに慣れさせていくというもので、厚生労働省や環境省からも推奨されています。今夏の熱中症対策として取り入れてみてはいかがでしょうか。暑熱順化のスタートは6月ごろが最適です。早速、ポイントを確認していきましょう!

2 なぜ、暑熱順化が推奨されるのか?

熱中症を引き起こす要素は、環境・体・行動の3つに分類できます。ここで注目したいのが「体」の「暑さに慣れていない」状態です。

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体温が上がると、ヒトは次のように体温を調節します。

  • 皮膚への血流を増やして体の表面から熱を逃がす(熱放散)
  • 汗が蒸発することで熱を逃がす(気化熱)

しかし、体が暑さに慣れていない状態で気温が上昇すると、この体温調節がうまくできなくなることがあるのです。最初は、体内の熱を逃がそうとして皮膚の血流量が増えます。ところが暑熱順化できていないと、この熱放散が機能しにくくなります。気化熱による体温調節で汗をたくさんかきますが、今度は水分・塩分が多く失われて血液の流れが悪くなります。その結果、体内に熱がどんどんたまり、熱中症になってしまいます。

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一方、早いうちから暑熱順化に取り組んでいると、皮膚の血流量が増加しやすくなり、汗に含まれる塩分量も減るので、血液の流れが悪くなるリスクを低減できます。つまり、

夏本番を迎えて気温が上昇しても、熱を逃がしやすくなり、体温調節がうまく機能する

のです。

3 暑熱順化を始めよう!

暑熱順化のポイントは、脳を「もう夏か! いつでも熱を逃がせるように準備しておこう!」と勘違いさせて、体を夏モードに切り替えさせることです。暑さに備えた体をつくるためには、夏の暑さを再現して汗をかくことが重要です。環境省による熱中症対策では、

「やや暑い環境」で「ややきついと感じるくらいの運動」をすること

を推奨しています。

厚生労働省「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」では、暑熱順化に有効な対策として次の4つの取り組みが紹介されています。なお、時間や頻度は全て目安なので、自身の年齢や体力、気温や室内の環境を考慮しながら取り組んでみましょう。

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1.歩く・走る

ウォーキングであれば30分、ジョギングであれば15分の運動を、週5回行うことを目安として推奨されています。移動の際にできるだけ階段を利用するのも、汗をかくのに効果的です。

2.自転車

サイクリングであれば、30分の運動を週3回行うことを目安として推奨されています。時速20キロメートルで走れば10キロメートルの距離です。

3.適度な運動

(筋トレ・ストレッチなど適度に汗をかくもの)室内でできる取り組みとしては、筋トレやストレッチなどがあります。この場合、30分の運動を週5回~毎日実施することが推奨されています。

4.入浴・サウナ(お風呂はシャワーだけでなく、湯船につかる)

入浴であれば、2日に1回以上はしっかりと湯船に入ることが推奨されています。なお、サウナが暑熱順化に有効という意見もありますが、水分補給の状況によっては脱水症状を引き起こす恐れもあるので注意が必要です。

4 暑熱順化の効果を高める3つのポイント

暑熱順化の効果を高めるポイントは、

  • 本格的に暑くなりそうな時期の2週間前から始める
  • トレーニングを持続する
  • 無理はしない

の3つです。

前述した通り、体が暑さに慣れるまでには数日~2週間程度の時間がかかります。そこで、気象庁の「2週間気温予報」などを確認しながら本格的に暑くなりそうな時期の2週間前からトレーニングを開始しましょう。

残念なのは、暑熱順化の効果はあまり続かないこと。個人差はありますが、トレーニングを中断すると数日で元の状態に戻るといわれます。梅雨寒の日が続いたり、夏休み中に涼しいところで過ごしたりした後は暑さへの耐性が弱まりますが、そんなタイミングで一気に気温が上昇すると、熱中症になるリスクが高まります。

暑熱順化の基本は「やや暑い環境」で「ややきついと感じるくらいの運動」をすることです。あくまで暑さに慣れることが目的ですから、無理をしすぎて熱中症になっては本末転倒なのでご用心。

以上(2024年6月作成)

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画像:Something in my head-Adobe Stock

【朝礼】「逆張り」の反対は順張りではない

皆さん、おはようございます。今朝は「逆張り」思考の真実についてお話しします。

「逆張り」とは、他の多くの人とは違う行動をすることですが、日本人はこれが苦手です。各国の国民性を比較したジョークがあります。「どうしたら国民がマスクをしてくれるか」というものですが、アメリカ人には「マスクをつけるとヒーローになれる」、ドイツ人には「マスクをつけることはルールだ」、イタリア人には「マスクをつけるとモテる」と伝えると効果的だそうです。日本人にはどう伝えるのかというと、答えは、

「他の人はマスクをしている」

というのですから笑えます。

さて、「逆張り」の反対は「順張り」、つまり多くの人と同じ行動をすることになるのかというと、必ずしもそうではありません。逆張りも順張りも自分の意思で決めるものですが、そうではない人は「もどき」です。

私の知人であるA部長は、長い時間をかけて営業体制を整えました。しかし、社長の鶴の一声で方針が転換され、これまでの努力がほぼ無駄になってしまいました。A部長はそのことが不満で周りに愚痴を言いますが、社長に直談判することはしませんでした。

もちろん、最終的には社長の方針に従わなければなりません。しかし、そうなる前にできることがたくさんあるはずなのに、具体的な行動を起こしません。これが「順張りもどき」の典型です。

皆さんに「順張りもどき」になってほしくはありません。きちんと自分の意見を言えるようになってください。とはいえ、考えなしに他人の反対をする「逆張りもどき」でも困ります。今は、自分の「考え(理想)」について改めて深く考えてみる時代なのです。

「逆張り」は投資の世界で使われる言葉ですが、その投資の世界に、

「他人を頼るべからず、自力を頼むべし」

という格言があります。他人が推奨する投資情報に頼ってばかりいないで、自分で決めなさいという意味では、「逆張り」を肯定しています。一方、

「落ちてくるナイフは拾うな」

という格言もあります。これは、下落している銘柄を買うなという意味で、皆に同じ行動を推奨するという点では、「順張り」の肯定といえます。

何だか矛盾しているように思えますが、どちらの格言も本質は同じです。要は「得をする(損をしない)選択をせよ」ということ。実は「逆張り」も「順張り」もなく、自分にとってベストなものを自分の「意思」で選択すればいいだけなのです。

私の知人に、誰もが「難しい」という領域でビジネスを始め、今も楽しそうにチャレンジを続けている人がいます。業績が芳しくないときに社員を採用し、育てた結果、その社員が原動力となり、数年後に業績を回復させた人もいます。全ては他人ではなく、自分がどう考えるか、その「意思」次第なのです。

以上(2024年6月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【賃金データ集】 基本給のモデル支給額

書いてあること

  • 主な読者:賃金体系や賃金支給額の見直しを考えている経営者
  • 課題:自社の賃金体系や賃金支給額が妥当か分からない。判断基準が欲しい
  • 解決策:統計資料における同規模・同業種の企業のデータなどを参考にする

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは「基本給」です。

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なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 基本給の位置付け

基本給は賃金の中心となるものです。厚生労働省「令和3年就労条件総合調査」によると、毎月きまって支給する給与が総額人件費(労働費用総額)に占める割合は66.9%です。なお、厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」によると、毎月きまって支給する給与から時間外労働手当などを除外した場合、基本給と諸手当の割合は、それぞれ基本給85.1%、諸手当14.9%となっています。

基本給を中心とする賃金支給額は主に「1.企業の賃金支給能力(コスト)」「2.労働力の市場価値」「3.他社の支給額」「4.雇用をめぐるトレンド」「5.従業員の生活保障」「6.従業員の貢献度」「7.利益分配」といった7つの要素を加味して決定されます。

2 基本給の決定要素

基本給を中心とした賃金の決定要素については、現状「職務・職種など仕事の内容」「職務遂行能力」などを重視する企業が多いといえます。

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3 厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

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4 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■就労条件総合調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html

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■賃金構造基本統計調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

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■賃金事情等総合調査■
https://www.mhlw.go.jp/churoi/chingin/

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以上(2024年5月更新)

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画像:ChatGPT