技能実習制度は廃止へ 「育成就労制度」の創設で外国人雇用はどう変わる?

書いてあること

  • 主な読者:外国人雇用を検討している経営者や人事労務担当者
  • 課題:技能実習制度が廃止され「育成就労制度」が始まるらしいが、内容がよく分からない
  • 解決策:企業が外国人を「特定技能」に育成して戦力化する制度。まずはイメージをつかむ

1 「国際交流」から「人材確保」にシフトした新制度が開始

人手不足が深刻化する中、日本で働く外国人の数は増加を続け、2023年10月末時点で過去最高の204万8675人となりました。このうち41万2501人(20.1%)は「技能実習」の在留資格を持つ外国人、技能実習生です(厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況」)。技能実習制度は、技能実習生が日本企業の下で実習を受け、母国で身に付けにくい技能の習得を図る制度ですが、「企業が技能実習生に、技能の習得に関係ない単純労働をさせる」などの問題が頻発し、

2024年6月21日から3年以内に技能実習制度に代わり、新たに「育成就労制度」が開始

されることになりました。

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育成就労制度は、「育成就労」という在留資格を設け、外国人を原則3年間で一定以上の技能を持つ「特定技能」に育成する制度です。根拠法は、「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(育成就労法)」になります。

技能実習制度と似ていますが、

  • 技能実習制度は、外国人が日本で習得した技能を、将来母国に持ち帰ることを想定した「国際協力」のための制度(特定技能への移行も可能だが、制度上は「帰国」が原則)
  • 育成就労制度は、外国人が技能の習得後も、日本企業の戦力として活躍することを想定した「人材確保」のための制度(帰国せず、日本に「在留」することが原則)

であり、目的が異なります。

育成就労制度は、外国人が日本に残って働くことが前提なので、受け入れ企業は外国人を将来の戦力にすべく、大切に育成するでしょう。前述した、企業が「技能の習得に関係ない単純労働をさせる」という問題の解決につながることも期待されます。

施行はまだ先ですが、時間をかけて外国人を戦力化していく制度なので、人手不足解消の打ち手を外国人に期待している企業は、早めに準備をしておいたほうがよいかもしれません。以降で制度の概要を簡単に紹介するので、今のうちにイメージを押さえておきましょう。

なお、育成就労について詳しく知りたい場合、次のURLも併せてご確認ください。

■e-Gov「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」■
https://laws.e-gov.go.jp/law/428AC0000000089/20270620_506AC0000000060
■出入国在留管理庁「令和6年入管法等改正法について」■
https://www.moj.go.jp/isa/01_00461.html

2 育成就労制度は、特定技能制度の「前段階」

育成就労制度の紹介に入る前に、先ほども軽く触れた「特定技能制度」について説明します。

特定技能制度とは、国内での人材確保が困難な「特定産業分野」において、一定の技能レベルを持つ外国人を受け入れることを目的とした制度

です。在留資格は、業務に必要とされる技能レベルに応じて「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類に分けられます。2号のほうが1号よりもレベルの高い技能を必要とします。

  • 特定技能1号:相当程度の知識または経験を要する業務に従事する外国人
  • 特定技能2号:熟練した技能を要する業務に従事する外国人

2024年9月30日時点で、特定技能1号の特定産業分野は、「介護」「ビルクリーニング」「工業製品製造業」「建設」「造船・舶用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「自動車運送業」「鉄道」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」「林業」「木材産業」の16分野です。特定技能2号の特定産業分野は、この16分野から「介護」「自動車運送業」「林業」「鉄道」「木材産業」を除いた11分野です。

特定技能の外国人を雇用できれば、企業にとっての「即戦力」になりますが、それだけの人材を確保するのはハードルが高く、この点をクリアするための制度が育成就労制度です。

育成就労の外国人は、在留資格を取得した当初は特別な技能を持っていませんが、

  • 原則3年間の育成就労で技能レベルを高め、特定技能1号の在留資格を取得させる
  • 特定技能1号の在留期間中(上限は5年間)に、よりレベルの高い技能を身に付けさせる
  • 特定技能2号の在留資格を取得させる(「介護」分野は対象外)

という流れで、段階的に戦力化が図れます。なお、特定技能1号には在留期間の上限(5年間)がありますが、特定技能2号には上限がない(在留資格の更新は定期的に必要)ので、2号まで取得させることができれば、長期的に企業の戦力として活躍してもらうことが期待できます。

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3 技能実習制度との違いとは?

1)対象としている産業分野・職種が違う

育成就労制度は、特定技能制度の「前段階」という位置付けなので、対象としている産業も同じく、特定産業分野が基本になります。正確に言うと特定産業分野のうち、

就労を通じて技能を修得させることが相当とされる「育成就労産業分野」

が対象になるのですが、詳細は現段階では明らかにされていません。

一方、技能実習制度では、技能実習2号・技能実習3号については従事させられる職種が省令で定められています(技能実習1号については特に定めなし)。

両者が対象としている産業分野・職種は若干異なっていて、例えば、特定技能1号における分野と技能実習2号移行対象職種を比較してみると、2024年9月30日時点で、

特定産業分野のうち「自動車運送業」「林業」について、対応する技能実習の職種がない

ことが分かります。詳細については、次のURLをご確認ください。

■出入国在留管理庁「制度説明資料 : 外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組(令和6年9月30日更新)」(産業分野・職種の比較については資料P40以降を参照)■
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/index.html

仮に育成就労法の施行日(2024年6月21日から3年以内)の時点で、企業が技能実習生を受け入れている場合、受け入れ企業の産業分野が「育成就労産業分野」として設定されていれば、そのまま育成就労制度の下で受け入れを続けることができます。

また、施行日の時点ですでに来日している技能実習生については、技能実習制度の下で受け入れを続けることができます。施行日までに技能実習計画の認定の申請がなされ、施行日から原則3カ月以内に技能実習を開始する場合についても同様です。

2)計画の認定手続きは基本的に同じ(ただし、育成就労制度のほうが手間が少ない)

育成就労制度では、外国人の受け入れ企業が「育成就労計画」を作成し、「監理支援機関」の認定を受ける必要があります。育成就労計画には

外国人に従事させる業務、業務に必要な技能、育成就労の目標(例:日本語能力)など

を定めます。

技能実習制度の場合も、受け入れ企業が技能実習計画を作成して監理団体の認定を受ける必要があり、このあたりの流れはどちらの制度も基本的に同じです。

  • 技能実習制度では「技能実習1号」「技能実習2号」「技能実習3号」のそれぞれの段階で計画の認定を受ける必要がある(最大3回、認定を受ける必要がある)
  • 育成就労制度では、当初から外国人労働者のキャリアアップを視野に入れて、3年間の計画の認定を受ければよい(1回、認定を受ければよい)

という具合に、育成就労制度のほうが認定手続きにかかる手間は少なくなっています。

3)就労開始前の日本語教育がマストに

育成就労制度では、外国人が就労を始める前までに、日本語能力「A1」相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格すること、またはそれに相当する日本語講習を認定日本語教育機関などで受講することが求められます。

一方、技能実習制度では、日本語能力の要件は原則ありません(「介護」分野を除く)。

育成就労制度で必要とされる「A1」とは、日本語の初歩レベル。日常的な表現や非常に基本的なフレーズを理解・使用でき、相手がゆっくり、はっきりと話し、手助けしてもらえれば、簡単なやりとりができるレベルです。業種によっては、より高度なレベルの指定も可能になる予定です。なお、受け入れ企業が外国人の日本語教育を行う義務を負うのかどうかは、現段階では明らかにされていません。

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4)一定の状況を満たせば転籍も可能に

育成就労制度では、技能実習制度よりも「転籍(企業との労働契約を解消し、別の企業と労働契約を結ぶこと)」の要件が緩和されています。

技能実習制度では技能実習生の失踪が多く、2023年の失踪者数は9753人にも上ります(出入国在留管理庁「技能実習生の失踪者数(速報値)」)。出入国在留管理庁によると、失踪の主な原因としては「賃金の不払いなど、受け入れ企業の不適切な取り扱い」も多いようです。

そして、この問題の温床になっていると指摘されてきたのが、技能実習生に対する「転籍」の制限です。技能実習制度では転籍の制限が厳しく、技能実習生は受け入れ企業の労働条件が悪質でも他社に移ることができず、失踪しか選択肢がない状況に追い込まれやすかったのです。

育成就労制度では、この点が改善され、

  • 人権侵害(パワハラや暴力)を受けたなどの「やむを得ない事情」がある場合
  • 同一業務区分内(転籍前とほぼ同じ業務に従事し)、就労期間・技能等の水準・転籍先の適正性に係る一定の要件を満たす場合(詳細は省令でこれから規定)

については、本人の意向がある場合、転籍が認められることになりました。

以上(2024年10月作成)

pj00730
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【賃金データ集】雇用形態別のモデル支給額

書いてあること

  • 主な読者:賃金体系や賃金支給額の見直しを考えている経営者
  • 課題:自社の賃金体系や賃金支給額が妥当か分からない。判断基準が欲しい
  • 解決策:統計資料における同規模・同業種の企業のデータなどを参考にする

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは雇用形態別の「基本給」「賞与・期末手当」です。

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なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 雇用形態の概要

企業が労働者を雇用する際の労働条件(特に雇用契約の期間)の違いによる類型を、「雇用形態」と呼びます。一般的に、雇用形態は次のように大別されます。現在は、同一労働同一賃金の議論に見られるように、非正規雇用労働者の待遇改善が進められています。

  • 雇用契約期間に定めがなく、フルタイムで働く「正社員」(正規雇用労働者)
  • 正社員以外の「パート等」(非正規雇用労働者)

2 雇用形態別の労働者数

総務省「労働力調査」では、非正規雇用労働者を「パート・アルバイト、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託、その他」に分類して集計しています。非正規雇用労働者数は、2023年時点で2124万人です。その中心はパート・アルバイトで、2023年は1489万人となっています。

また、現状、労働者の65歳までの就労機会を確保するための措置を講じることが企業に求められていますが、2021年4月1日より、改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業は希望する従業員に、70歳まで働く機会を与える努力義務を負うことになりました。今後は契約社員・嘱託などがさらに増加するかもしれません。

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3 厚生労働省の統計資料による短時間労働者のモデル支給額

ここでは、厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」より、短時間労働者のモデル支給額を紹介します。

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4 厚生労働省の統計資料による派遣労働者のモデル支給額

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5 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■労働力調査■
https://www.stat.go.jp/data/roudou/

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■賃金構造基本統計調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

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■労働者派遣事業の事業報告の集計結果■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079194.html

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以上(2024年10月更新)

pj17905
画像:ChatGPT

なぜ、長期ビジョンがある企業は強いのか?〜社員と共有する目指すべき10年後の姿

書いてあること

  • 主な読者:不安定な国際情勢、物価高など、経営の根幹に関わる出来事がある中で、改めて自社の目指すべき姿を明らかにしたい経営者
  • 課題:「長期ビジョン」の策定を検討しているが、何から着手すべきか分からない
  • 解決策:「10年後の目指すべき姿」(経営者の熱い思い×現状分析)を全社で共有し、経営計画に落とし込んで実行していく

1 「長期ビジョン」の策定をご提案

この記事は、

長期ビジョンを策定する際の基本的な考え方

をご紹介するもので、次のような状態を目指すための第一歩です。

  • 社長が「10年後の目指すべき姿」を明確に語ることができる
  • 社員も社長と同じように、「10年後の目指すべき姿」を語ることができる

長期ビジョンは、「10年後の企業の目指すべき姿」と考えていただければ大丈夫です。長期ビジョンは国や行政、大企業が策定するイメージがありますが、中小企業でも意識されることが増えています。長期ビジョンという言葉を使わなくても、

10年後、我が社はどのようになっているのか、いや、どのようになっているべきか?

を考えざるを得ないことがたくさんあるからです。例えば、

不安定な国際情勢、金利の上昇、物価高、SDGs、働き方改革、Web3

など、さまざまなレベルで経営者の心を揺さぶる数多くの事柄があります。さらに、これらをきっかけに事業承継を決断したり、逆に先送りを決めたりといったこともあるでしょう。

これからさらに経営環境は変わります。そのとき、ご自身が組織を率いるとしても、次世代にバトンをつなぐとしても、改めて御社が目指すべき姿を確認することはとても有意義であり、現に多くの経営者がそのように考えていることでしょう。

2 ミッションやパーパスなど「言葉の定義」は気にしない

「ビジョン」との意味の違いが分かりにくい言葉に、「ミッション、バリュー、パーパス」があります。放っておくとモヤモヤするので説明しますが、基本的に言葉の定義はそれほど気にする必要はありません。大切なのは、「10年後の目指すべき姿」を明らかにすることです。

「ミッション、ビジョン、バリュー」は経営学者であるドラッカーが提唱したもので、英語の頭文字をとって「MVV」と呼ばれることもあります。近年は、ここに「パーパス」も加わったので、余計にごちゃごちゃしています。それぞれの定義の一例は次の通りです。

  • ミッション:自社が実現すること(使命)
  • ビジョン:自社が目標とする姿(ミッションを達成したときの姿)
  • バリュー:大切にしている価値観や行動指針
  • パーパス:企業の存在意義

書籍や記事などによって内容が微妙に違うので、説明されてもスッキリしないかもしれません。ただ、コンサルタントに策定を依頼した場合、ある意味で型にはまった長期ビジョンでは、こうした内容も記載されます。言葉を変えて説明してみると、以下のようになりますが、あくまでも一例ですので、解釈の違いはご了承ください。

私たちは○○のために存在しており(パーパス)、△△を達成することが使命である(ミッション)。それが達成されたとき、私たちは□□な存在となっているだろう(ビジョン)。これらを含め、私たちは××という価値観を大切に行動する(バリュー)。

3 「長期ビジョン」の策定ステップ

では、長期ビジョンの策定に入りましょう。具体的なステップは次の4つです。

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1)第1ステップ:現状分析

長期ビジョンの策定は、自社の現状分析からスタートします。具体的には、社会経済全体の課題や業界の課題といった自社を取り巻く外部環境に加えて、自社の収支構造などの内部環境の分析を行います。

分析時には、政治(Politics)・経済(Economy)・社会(Society)・技術(Technology)から外部環境を分析する「PEST分析」や、顧客(市場)・競合・自社の現状を洗い出す「3C分析」などのフレームワークを活用します。経営幹部がそれぞれ分析し、それを持ち寄って議論するのもよいでしょう。

2)第2ステップ:目指すべき姿

現状分析を踏まえつつ、そこに経営者の熱い思いを加えて、

自社が目指すべき姿や自社が提供すべき価値

を再定義しましょう。ステップ1の現状分析は客観的に行いますが、経営者の思いは主観的なもので構いません。また、この時点では、

きれいにまとめる必要はなく、あるがままに経営者の思いを言葉や文字にする

ことが大切です。繰り返しますが、教科書的で、優等生な発想は捨てます。

経営幹部などと「ビジョン合宿(仮称)」をして、議論するのもよいでしょう。もし、中堅や若手がビジョン合宿(仮称)への参加を希望したら、ぜひ、加えてください。なぜなら、

10年後の目指すべき姿を実現していく原動力は中堅や若手になる

からです。

3)第3ステップ:具体化

10年後の目指すべき姿が明らかになったら、それを実現するための計画を策定します。これは、いわゆる「経営計画」なので、明確な収益計画、投資計画、社員数なども盛り込みます。新規事業を行う場合は、既存事業とのバランスも考慮しなければなりません。リソースが限られた中小企業が、本業(既存事業)を回しながら新しいことに取り組むのは簡単ではなく、既存事業が縮小することも覚悟しなければならないからです。

また、この第3ステップは前の第2ステップとは逆で、経営者の熱い思いだけでは駄目です。定量的な根拠も確認しなければならず、数字をごまかすようなことは論外です。

とはいえ、

10年後の収益をイメージできる経営者がどれほどいるでしょうか?

6カ月後、1年後さえ分からないのに、10年後など分かるはずがありません。そこで、発想の転換が必要です。それは、

10年後が分かるはずがないことは百も承知ですが、そうした中でも【自分たちが目指す、そして信じる姿】を力強く描く

ということです。そして、【自分たちが目指す、そして信じる姿】は変えませんが、そこに向かうルートは必要に応じて、中期経営計画で見直していくのです。長期・中期・短期の経営計画の関係は次の通りです。左にある「長期ビジョンで目指す姿 長期経営計画」は変更せず、それを構成する中期経営計画や短期経営計画は、適宜、見直していくイメージです。

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4)第4ステップ:文書化と浸透

こうしてまとまった内容を、文書化します。いろいろと難しい言葉を使いたくなるかもしれませんが、大切なのは、

横文字などを使ったそれっぽさではなく、「分かりやすさ」

です。日ごろ、社内で使われているなじみのある言葉で、シンプルにまとめてください。量(ページ数)も、必要なことが書いてあれば、短くても構いません。

策定された文書は、社内に周知徹底させ、

社員も社長と同じように、「10年後の目指すべき姿」を語ることができる

ようにしましょう。経営者がミーティングなどで伝える他、第2ステップで紹介したビジョン合宿(仮称)に参加した社員が、日々、長期ビジョンを現場で口にすることも大切です。

以上(2024年10月更新)

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画像:unsplash

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【朝礼】「目黒のさんま」はなぜ殿様の心を捉えたのか?

【ポイント】

  • 「目黒のさんま」には、主君を気遣いさんまの塩気や油気を抜いてしまう家臣が登場する
  • 「手間をかけて作ったもの」に価値があるとは限らない。相手のニーズをよく考える
  • 相手への思いやりから、あえてニーズに沿わない決断をすることが必要なケースもある

今日は、古典落語の「目黒のさんま」を紹介します。細かい部分は噺家(はなしか)ごとに異なりますが、私の知っている内容でお話しします。

江戸時代、「雲州公」という殿様が目黒に行ったときのこと。小腹が空いた雲州公は、近所の農家が焼いていたさんまを食べることになります。さんまは庶民の食べ物で、雲州公が口にするのは初めてでしたが、彼はその味を気に入りました。

その後、雲州公は、「黒田公」という殿様に「領地を治めるなら、庶民の生活をよく知るべきだ」と、さんまを勧めます。黒田公はその言葉に従い、家臣に命じて房州(ぼうしゅう)という地域の網元から新鮮なさんまを仕入れさせますが、家臣は「焼いたさんまをそのまま出すのは、殿の体に悪い」と考え、塩気や油気を抜いてしまいます。

この味が黒田公には不評でした。黒田公は後日、雲州公に「房州からさんまを取り寄せたが、まずかったぞ」と不満を漏らします。すると、雲州公はこう答えました。「それは房州のさんまだからだ。さんまは目黒に限る」と。

さんまを焼いていた農家に偶然出会っただけなのに、さんまが目黒の特産物だと勘違いしている雲州公が滑稽ですね。ただ、私が注目してほしいのは、房州からさんまを取り寄せて調理した黒田公の家臣です。注目してほしい点は2つ。

1つは、黒田公の家臣が網元から新鮮なさんまを仕入れた上に、塩気や油気を抜いて丁寧に調理をしていること。相当手間をかけたのに、なぜ黒田公には不評だったのか。それは、さんまを初めて食べる黒田公にとって、大切なのは「新鮮さ」や「ヘルシーさ」ではなく、「味」だったからです。私たちは、「手間をかけて作ったもの」に価値があると思いがちですが、実際のビジネスでは、それが本当に相手(顧客など)のニーズを満たしているかを、よく考える必要があります。

もう1つは、黒田公の家臣の対応も、場合によっては正解になり得るということ。仮に黒田公が体調面に問題を抱えていたなら、主君の体を気遣って塩気や油気を抜くのは当然です。相手のニーズを理解した上で、あえてニーズに沿わない決断をすることが必要なケースもあるのです。

以上(2024年11月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

労務の都市伝説「課長には残業代を払わなくてよい」は是か非か?

書いてあること

  • 主な読者:「管理職には残業代を支払う必要はない」という勘違いに気づいた経営者
  • 課題:残業代を支払わなければならない管理職がいるらしいが、対象者か分からない
  • 解決策:「管理監督者」の要件を押さえ、要件を満たさない管理職には残業代を支払う

1 残業代が不要なのは「管理監督者」だけ

「管理職には残業代を支払う必要がない」。これは半分正解で、半分不正解です。具体的には、労働基準法(以下「労基法」)によって次のように区別されます。

  1. 残業代が不要:監督もしくは管理の地位にある「管理監督者」
  2. 残業代が必要:課長などの役付きだが、管理監督者には当たらない「名ばかり管理職」

労基法上、管理監督者には労働時間・休憩・休日の規定が適用されないので、そもそも残業という考え方がなく、残業代を支払わなくてもよいとされています(深夜労働の残業代を除く)。

「それなら、うちの管理職に残業代を支払う必要はない」と考える経営者の方もいそうですが、そう簡単ではありません。なぜなら、管理監督者の要件が厳しく、該当者は非常に限定的だからです。まずは図表1を見て、具体的な社員をイメージしながら◯×を付けてみてください。

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いかがでしょうか。1つでも「×」が付いた社員は、少なくとも、管理監督者ではないとされる恐れがあり、残業代を支払わないと違法になります。

働き方改革などで、社員の労働に対する権利意識は高まってきています。不要な労務トラブルを避けるためにも、このタイミングで管理監督者の要件を確認していきましょう。

2 管理監督者と名ばかり管理職の違い

管理監督者には、労基法の次の規定が適用されません。

  • 労働時間:原則として、休憩時間を除いて1日8時間、1週40時間
  • 休憩:労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間
  • 休日:1週間につき1日あるいは4週間当たり4日

つまり、管理監督者は

就業時間(始業から終業まで)と休憩時間、労働日と休日などの区別がない状態で働き、時間外・休日労働といった考え方がない

ということです。

ただし、深夜労働の規定は適用されるので、22時から翌日5時までの間に残業した場合は残業代の支払いが必要です。勤続年数に応じた年次有給休暇の付与については、管理監督者も対象となります。また、労基法ではありませんが、労働安全衛生法における「労働時間の把握義務」などは管理監督者も対象になるので、

あくまで時間外・休日労働などの規制から外れるだけで、労働時間管理自体は必須である

という点に注意が必要です。

一方、肩書きはあるが管理職の権限や実態がなく、残業代が支払われないなど待遇が不十分という社員は、名ばかり管理職です。このような社員は、管理監督者とは認められないので、時間外・休日労働、深夜労働全ての残業代を支払わないといけません。また、いわゆる「時間外労働の上限規制」(原則として月45時間、年360時間など)も適用されます。

3 管理監督者に該当するか否かが決まる3つの要素

法令上、管理監督者とは、

労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にある人

のことです。具体的には次の3つの要素を基に、管理職が経営者と一体的な立場にあるか(管理監督者性)を判断します。実態で判断するので、課長などの役付者であるかは関係ありません。

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それぞれの要素について、重要なポイントを見ていきましょう。

1)職務内容と責任・権限

管理職が、経営者が主催する幹部会などへの参加、社員の採用、労働時間管理、人事考課など、経営上重要な職務に携わっている必要があります。ただし、経営者から指示を受けて職務を遂行するだけでは不十分で、次のように一定の責任・権限を与えなければなりません。

  • 経営者が主催する幹部会などへの参加:重要事項の決定に携わっている
  • 社員の採用:採用面接に参加後、採用の決定にも携わっている
  • 労働時間管理:部下の時間外・休日労働の許可などについて、一定の権限を持っている
  • 人事考課:考課後の処遇の決定について、一定の権限を持っている

中小企業の場合、管理職の多くは現場の職務とマネジメントを兼務する「プレイングマネジャー」です。マネジメントの比重が小さいと、管理監督者として認められにくくなりますから、その場合、職務内容と責任・権限を見直して、マネジメントの比重を上げる必要があります。

2)勤務態様

時間帯や休日に関係なく経営上の判断や対応を求められるなど、イレギュラーな働き方をしている必要があります。ただし、イレギュラーな働き方をさせる以上、労働時間については管理職が自由に決められるようにしなければなりません。

具体的には、出退勤はもちろん、中抜けの自由も認め、遅刻、早退、中抜けなどによる減給がないようにします。ただし、管理監督者だからといって長時間にわたる過重労働は認められません。健康管理や深夜残業の管理のためにも、タイムカードや勤怠管理システムを使って出退勤時刻を把握することは必要です。

3)待遇

賃金について、管理職と一般社員との間に相応の待遇格差を付ける必要があります。管理職の場合、基本給が高く、役職手当なども支払われるので、通常の賃金は、

管理職の基本給や手当>一般社員の基本給や手当

となります。しかし、一般社員に残業代などが支払われると、

管理職の基本給や手当<一般社員の基本給や手当+残業代など

といった逆転現象が起きることがあります。

そのため、管理職の賃金については、各社員の労働時間や残業代などを考慮した上で、一般社員と比較して高い水準を確保できるよう配慮しなければなりません。

4 小売業や飲食業などはより厳しくチェックされる

ここまでが、管理監督者の要件に関する基本的な考え方です。

多店舗展開する小売業や飲食業の店長などの場合、特に注意が必要です。名ばかり管理職の問題が起きやすいため、管理監督者の要件を本当に満たしているか、より厳しくチェックされる傾向があります。

厚生労働省からも、これらの業種について、前述した3つの要素「1.職務内容と責任・権限」「2.勤務態様」「3.待遇」それぞれについて、「管理監督者性を否定する要素」を示す通達が出されています(平成20年9月9日基発第0909001号)。簡単に言うと、管理職として取り扱っていたとしても、これらの要素に該当する場合、管理監督者ではないと判断されてしまう恐れがあるということです。第3章で紹介した内容と一部重なる部分もありますが、確認していきましょう。

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以上(2024年10月更新)
(監修 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:ChatGPT

職場の人間関係、どうするの? 不仲・いざこざを解決するヒント

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書いてあること

  • 主な読者:周年記念などをきっかけに社史の編さんを考えている会社の経営者、担当者
  • 課題:社史を編さんする目的や、編さんした後の活用方法を知りたい
  • 解決策:社外向けに自社の存在意義を示すだけでなく、社内向けに新商品・サービス開発のヒントや、新入社員に自社への理解を深めてもらうための研修資料としても使える

1 なぜ、会社は社史を編さんするのか?

周年記念をきっかけに、編さんする社史は、

会社が生まれた背景や、歴史の節目にある大きな出来事をまとめた冊子

です。

社員が自社の創業から現在に至るまでの苦労や過去の教訓、理念、ビジョンなどを体系的に知ることができる貴重な資料といえるでしょう。

こうした社史には「分厚い書籍」のようなイメージがありますが、最近は読みやすさやデザインを重視したものも増えています。そのため、社史を編さんすると、次のような機能や効果が期待できます。

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社史編さんは、社内で「社史編さん室」などのチームや委員会を結成して、有志のメンバーが進めるケースが一般的です。

一方、社史の編さんに必要な情報を担当者だけで集めるのは難しいため、現役社員やOB・OGへインタビューをしたり、資料提供の協力を仰いだりします。このやり取りを通じて、部署や役職を越えたコミュニケーションが生まれるため、社史編さんは会社の結束力を高めるきっかけになります。

また、完成した社史を社員が読むことで企業理念や過去の教訓などを共有できるため、組織としての一体感が強まり、企業文化を継承していくことにもつながります。

この記事では、最近の社史の形態や編さんの流れ、社史の活用方法などを紹介します。自社の歩みを社内外の関係者と共有し、採用活動にも使える社史の編さんを検討してみてはいかがでしょうか?

2 社史を編さんするために知っておくべきポイント

1)社史の構成

発行形態によって詳細は異なりますが、書籍の社史は、次のような構成が考えられます。

1.前付け

書籍の本文より前に置かれる部分を指します。目次や代表者挨拶、祝辞などが入ります。

2.口絵

書籍の本文が始まる前に入る写真などをいいます。会社の現在の写真、歴史が伝わる写真、サービスや製品の写真などが入ります。

3.本文

社史の中心部分で、発行目的や社史編さん後の活用方法によって重視する内容が変わります。

社史の編さんをサポートする幾つかの会社へのヒアリングによると、

  • 社内向けの資料として社史を編さんする場合は、製品開発、プロジェクトの歴史、会社の利益の変遷など、社外には出しづらいが、自社の足跡が分かる情報があると良い
  • 社外向けの人材募集やブランディングを目的に社史を編さんする場合は、社員インタビューや製品・サービスのPRなど、自社の雰囲気や事業内容が伝わる情報があると良い

とのことです。

4.資料編

社内資料、自社に関連する統計資料・業界資料、変遷図などが入ります。

5.後付け

書籍の本文より後に置かれる部分を指します。編集後記や索引、発行者などが入ります。

2)社史の発行形態

社史と言うと、百科事典のような分厚い書籍を想像するかもしれませんが、昨今では、想定する読み手や活用シーンに応じたさまざまな形態での編さんが可能です。

例えば、より短時間で会社の変遷を伝えたい場合には、書籍に比べて比較的短期間で編さんできる動画型やウェブサイト型の社史を編さんするという方法もあります。また、社歴を詳細に記録した「本格的社史」だけでなく、創業期の苦労話など重要な部分のみを読みやすくリライトした「普及版」を併せて編さんする場合もあります。

社史を誰に読んでもらいたいか、編さんした社史をどのように活用したいのかで適した発行形態が異なるので、次の図表を基に、読み手と活用シーンを検討しましょう。

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なお、発行形態について、社史の編さんをサポートする幾つかの会社へのヒアリングによると、

  • 多くの人が手に取りやすいように、文字だけでなく、イラストや写真を多く盛り込む構成の社史を編さんしたいという依頼が増えている
  • 百科事典型の発行形態にとらわれず、人材採用や自社のブランディングなど、社外向けの活用を見据えて雑誌型や漫画型の社史を編さんしたいという事例もある

とのことです。

3 社史編さんの流れ

1)書籍の社史の例

発行形態によって編さん過程や工程は異なりますが、ここでは書籍の社史を編さんすることを想定して手順の一例を紹介します。

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社史の完成までにかかる期間は、社史の発行形態や求めるレベルによっても異なりますが、最短でも1年程度と長期になる場合が多いため、入念な準備が欠かせません。

2)必要な情報の集め方

一般的に、情報収集は文書としてまとめられた資料やデータに当たるのと、関係者へのインタビューの2通りの方法に分けられます。

1. 資料やデータに当たる

例えば、社内関係では次のような資料があります。

  • 会社設立時の登記簿
  • 各種会議の議事録
  • 会計関係書類
  • 就業規則などの規程
  • 社内報
  • 社員手帳
  • 会社案内

2.関係者にインタビューする

社内、社外を問わず、人は会社の出来事の主役かつ、大きな情報源になります。

インタビューの際には聞きたい内容が分かるよう、あらかじめ関連資料を対象者に渡すなどしてインタビューの目的をはっきりさせておくことが大切です。

例えば、インタビュー対象には次のような人物が挙げられます。

  • 社内:経営陣、管理職、一般社員など
  • 社外:社員の家族、OB・OG、取引先、業界団体、エンドユーザーなど

また、情報を収集するときには

近くの情報から遠くの情報へ、社内から社外に広げていく

ことを意識すると、情報収集がしやすくなるでしょう。

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4 社史編さんのノウハウに関する事例

1)京阪ホールディングス(大阪市中央区)

同社では、2020年に開業110周年を迎えるにあたって、記念誌の編さんに取り組みました。

社内報やニュースリリース、経営に関する会議を資料に基に編さんしていますが、事業展開の背景や意義を書くことで将来的にも立ち返って参照できるような資料にしていることをポイントにしています。また、当時の担当者へのインタビューを通じて情報を掘り下げることも編さんに当たって大切にしているといいます。

2)寺岡製作所(東京都品川区)

同社では、2021年に創業100周年を迎えたことをきっかけに、社史の編さんに取り組みました。

編さんに当たっては、企画が頓挫しないように、企画の立案や紙面の構成に時間をかけて検証することで、インタビューをスムーズに進めることができたといいます。

また、インタビューに当たっては、スケジュールをエクセルの表にまとめて見渡すことができるようにしただけでなく、役員に対して定期的に進捗報告を行い、レビューをうけることで編さん過程を可視化、企画時のイメージと完成品にギャップが出ないように努めたことがポイントとなっています。

3)日本血液製剤機構(東京都港区)

同団体では、2022年10月に事業開始から10周年を迎えることをきっかけに、記念誌の編さんに取り組みました。

世代を超えたコミュニケーションを促進できる媒体をコンセプトとして、若手社員でも理解できる内容かどうかを確認しながら進めたり、社内でインタビューを依頼する際には、部署での代表者を選出し、周年事業のワーキンググループを作って行ったりしたことがポイントです。

また、情報収集を通じて、社史を編さんする担当社員が普段は関わる機会が少ない社員からも話を聞くことができ、人脈の拡大や幅広い意見を聞くことができたのが大きなメリットになったといいます。

5 参考:社史編さんに役立つ情報

1)出版文化社「社史編集室」

企画編集方針、編さん過程、情報収集などに関するノウハウやコラムを紹介しています。

■出版文化社「社史編集室」■

https://www.shashi.co.jp/index.html

2)日本ビジネスアート「社史の教科書」「周年の教科書」

「社史入門」として社史を編さんしていくための基本的なステップや実際に社史を編さんした会社のノウハウを紹介しています。

■日本ビジネスアート「社史の教科書」■

https://shashi-kyokasho.com/

■日本ビジネスアート「周年の教科書」■

https://jba-anniversary.com/

3)神奈川県立川崎図書館「すごい社史」

開館当初から65年以上、さまざまな会社の社史を収集しており、経済団体史などを含む社史およそ2万冊を所蔵しています。特色のあるさまざまな社史をウェブサイト「すごい社史」上で公開しています(随時更新)。

■神奈川県立川崎図書館「すごい社史」■

https://www.klnet.pref.kanagawa.jp/find-books/kawasaki/shashi-shiryo/sugoi-shashi/

以上(2024年10月作成)

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