労働トラブルの最新事情

厚生労働省は今年7月、「令和5年度 個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。個別労働紛争解決制度は、企業と労働者の間の労働トラブルを解決するための公的制度です。労働基準監督署などで行われている総合労働相談、都道府県労働局長による助言・指導などの方法があり、労働者や企業が無料で利用できます。個別労働紛争解決制度の施行状況を分析すると、労働トラブルを防ぐためのポイントが浮かび上がり、大変参考になります。

本稿では、公表資料のポイントを紹介しながら、近年の労働トラブルの傾向と企業が留意すべき点について解説していきます。

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とくぎんサクセスクラブの「とくさくnavi」オープン!~担当者が語る会員のための“得策(とくさく)”

本日10月8日、「とくぎんサクセスクラブnavi」(以下「とくさくnavi」)がオープンしました!

とくさくnaviは、とくぎんサクセスクラブの専用メディアです。今回は、オープンを記念して、とくさくnaviの開発に携わった徳島大正銀行 法人推進部のメンバーの声をまとめました。お話ししてくれたのは野上副部長杉主任泉さん窪内さんの4名です。

野上副部長

野上副部長
皆様のお役に立てる企画・運営を目指し、頑張ります!!

杉主任

杉主任
明るく元気に頑張ります!

泉さん

泉さん
とにかく前向き、すこぶる元気。サクセスクラブ会員の皆さまとともに。泉です。

窪内さん

窪内さん
皆さまのお役に立てるよう全力を尽くします!

1 始まりは、皆さまへの「感謝」の気持ち

―まずは、とくぎんサクセスクラブの歩みについて教えて下さい。

野上:とくぎんサクセスクラブは、1993年(平成5年)に会員の皆さまの発展と経営を支援することを目的に設立された、徳島大正銀行の主要な取引先で構成される会員組織です。31年の歴史を持ち、約2,100社の会員さまが所属されています。経営に関する情報やサービスの提供はもちろん、セミナーや研修、交流会なども行っています。

―30年以上! それは歴史が深いですね。皆さまにとって、とくぎんサクセスクラブはどのような存在なのでしょうか? 具体的なエピソードなどもあれば、ぜひ教えていただきたいです。

野上:当行が「お客さまとの距離が近い、親しみやすい」と評価していただくことがありますが、その大きな理由の一つに、歴史のあるとくぎんサクセスクラブの存在があると思います。また、とくぎんサクセスクラブの恒例の一大イベントとして、毎年年初に「新年互礼会」を開催していますが、1,500名程度の会員さまが参加して下さります。「とくぎんサクセスクラブの新年互礼会に参加して、はじめて年明けする」と仰って下さる会員さまもいて、私たちもお客さまにお会いできることを、毎年楽しみにしています。

杉:そうそう、昔、営業店でお世話になったお客さまが声をかけて下さることもあります。本当に嬉しくて、ありがたいです。とくぎんサクセスクラブの温かみを感じられる、貴重な機会ですよね。

窪内:イベントを開催するたびに、温かいお客さまに恵まれているなぁ、ありがたいなぁ、と実感します。しかも、温かいだけではなくて、アツいんです。皆さまの熱意で、会場の空気がアツい!

泉:新年互礼会の他にも、夏には地区ごとに分けてブロック別セミナーや交流会を開催していますが、セミナーを開催すると、経営豊富な経営者さまも、とても真剣に受講して下さります。向上心を持って学び続ける姿に、「私たちも頑張らなければ!」と、刺激を受けています。

―熱意ある、そして温かい会員さまの雰囲気が、ひしひしと伝わってきます。

窪内:とくぎんサクセスクラブ事務局として、なんとか皆さまに感謝の気持ちを伝えたいし、皆さまのためになりたいという想いを持ち続けています。

杉:はい、皆さま熱意に溢れていて、一行員にも良くして下さっていて。とくぎんサクセスクラブのことを考えたとき、一番に心に浮かんでくるのは感謝の気持ちです。どうにか、力添えしたいし恩返ししたい。いつもお世話になっている皆さまに、何か還元しなければ、と。

―なるほど、恩返しですか。

野上:そうですね。とくぎんサクセスクラブの活動をより活性化するための一つとして、今回「とくさくnavi」を開設することを決めました。

2 日々の「得策(とくさく)」を届けたい

―「とくさくnavi」を立ち上げたきっかけを、もう少し詳しく教えて下さい。

杉:今までもとくぎんサクセスクラブでは、会員さま向けに経営に役立つ情報などを発信してきました。しかし、紙媒体なのでほかの郵便物に紛れてしまったり、タイムリーな情報が届かなかったり……。

窪内:そうなんです。スマートフォンやパソコンなどで情報をご提供できたらいいなと考えていました。

泉:とにかく、いつもお世話になっている会員さまのために、システムを変えたかったんです。

―それで「とくさくnavi」の開設に踏み切ったわけですね。開設にあたって、ご苦労もあったのではないでしょうか。

野上:そうですね、初期はポータルサイト開設の基礎から学び始めて、勉強の日々でした。もちろん中々大変でしたが、「どうしたら会員さまに喜んでいただけるか?」という軸はぶれないように、イチから作り上げていきました。苦労もしましたがとてもやりがいがありました。

―そうした「とくさくnavi」が、いよいよオープンしたのですね。今後、「とくさくnavi」が会員さまにとってどのような存在になってほしい、などはありますでしょうか?

泉:「とくさくnavi」は毎日、ニュース番組やSNSを見るようにお役立ていただけたらな、と思っています。

野上:スマートフォンでの利用もできますし、会員さま1社につき5名さままでID登録もできますので、会社の皆さまの情報収集のお供になれるよう、頑張っていきたいですね。

窪内:会員さま同士で「今日の『とくさくnavi』見た?」のような会話をしていただけるように、会員さまの役に立つ情報をたくさん配信していきたいな、と思っています。とくぎんでサクッと気軽に利用できる「とくさくnavi」になってほしいですね。

杉:「とくさくnavi」でしか手に入らない情報を届けることで、いつもお世話になっている皆さまに少しでも恩返しができましたら幸いです。

―「とくさくnavi」は、会員の皆さまの情報収集に欠かせない存在になってほしいということですね。加えて、未来への展望を教えていただいてもよろしいでしょうか?

野上:そうですね……最初はセミナーの案内やコラムの配信から始まりますが、将来的には、この「とくさくnavi」が会員の皆さまをつなぐ場になればと考えています。

窪内:つなぐ、良いですね! 例えばですが経営者の方だけではなく、経理部門の方、人事部門の方など、会社の皆さま同士も交流できるようになると素敵ですね。

杉:徳島と大阪の2府県に拠点があるのも当行の大きな特徴なので、離れた地域のお客さま同士をつなぐ機会を「とくさくnavi」で創出できたら嬉しいですよね。

泉:加えて、ビジネスの情報だけではなく、釣りや将棋など、趣味が合うお客さま同士でもつながることができる機能なども実現できたら……と思っています。

―皆さんのお話を聞いていると、この「とくさくnavi」の開設は、とくぎんサクセスクラブにとっても、新たな第一歩なのだと伝わってきます。

杉:会員さまのために、日々新しいことをやっていきたい! という気持ちです。そうした活動を通じて、徳島大正銀行のファンがひとりでも増えたら良いなと思います。

泉:「とくさくnavi」は未来のためのファースト・ステップとして、10年後の会員さまや担当者にも恥じないようなサービスであってほしいし、そうしていきたいです。

窪内:10年先、って言葉すごく素敵ですね。とくぎんサクセスクラブらしい、温かみのあるサービスで、10年先も皆さまの応援を続けていけたらと思います。

野上:「とくさくnavi」を通して、会員さまの企業価値の向上、地域の活性化が実現できるサイトになってほしいと思います。

3 未来への第一歩

―最後に、会員の皆さまに一言お願いします!

野上:「とくさくnavi」は、これから皆さまと一緒に作り上げていくサイトだと考えております。どんどん新しい企画をしていこうと考えておりますので、よろしくお願いいたします。こんな企画をしてほしい、などの要望も大歓迎です! これからもお力添えさせていただけるよう、私どもも一丸となって頑張ります!

泉:唯一無二のサービスを目指します! 会員の皆さまのお役に立てるよう、皆さまの全力の応援団として、精一杯お力添えしていきます!

窪内:「とくさくnavi」を通して、会員さま同士や会員さまと徳島大正銀行の交流がより濃く、有意義なものになっていけばと考えております。今まで以上に、会員の皆さまの声をお聞きできるようになれば嬉しいです!

杉:「とくさくnavi」で、経営だけではなく日々の「得策(とくさく)」も、会員の皆さまにお伝えしていければと思います。皆でもっと、未来の徳島を元気にしましょう!

徳島大正銀行にとって、

「とくさくnavi」はとくぎんサクセスクラブ会員の皆さまと手を組んで、未来へ踏み出すための第一歩

です。

徳島大正銀行ならびに「とくさくnavi」事務局一同、会員の皆さまにお力添えできますよう、また、10年後の未来においても愛されるサービスでいられるように、この場所で日々、皆さまにとっての「得策」を発信・提供していきます。

今日から、ここから、とくぎんサクセスクラブは新たなスタートを切ります。これからも末永く、よろしくお願いいたします!

以上

【賃金データ集】地域別のモデル支給額

書いてあること

  • 主な読者:賃金体系や賃金支給額の見直しを考えている経営者
  • 課題:自社の賃金体系や賃金支給額が妥当か分からない。判断基準が欲しい
  • 解決策:統計資料における同規模・同業種の企業のデータなどを参考にする

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは地域別の「基本給」です。

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なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 都道府県ごとの賃金格差

賃金支給額は、産業の集積度合いや人口などによって地域ごとに格差があります。厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、東京都を100.0(39万7000円)とした場合の道府県ごとの賃金比率は、東京都に次いで高い神奈川県の96.8%(38万4100円)から最も低い青森県の68.5%(27万1900円)まで、28.3ポイントの差があります。

2 厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

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3 東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

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4 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は次の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■賃金構造基本統計調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

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■中小企業の賃金事情■
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/koyou/chingin/

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以上(2024年10月更新)

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画像:ChatGPT

職場に貼って使える 職場ポスター「地震で避難するときのルール」

印刷して職場に掲載できるポスターです。

今回は、オフィスで地震に遭った際、ケガをしたり忘れ物をしたりしないよう、「地震で避難するときのルール」をまとめました。


こちらからポスターのPDFをダウンロードできます。緊急連絡先の欄に、責任者(所属長など)の連絡先を記入して、職場でご活用ください

こちらからダウンロード

以上(2024年9月作成)

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画像:日本情報マート

日本人初のノーベル賞受賞者・湯川秀樹。激動の物理学界を戦い抜いた、彼の研究姿勢が分かる一言とは?

今日の真理が、明日否定されるかも知れない。それだからこそ、私どもは、明日進むべき道を作り出す

湯川秀樹氏は、日本人で初めてノーベル賞(物理学賞、1949年)を受賞した物理学者です。この世のあらゆる物質を構成している「原子」が、どのような仕組みで結びついているのかを解明し、後の物理学の発展に大きく貢献しました。

冒頭の言葉は、そんな湯川氏の物理学に対する執念と探究心をよく表したものです。アインシュタインなどと同じ時代に生きた湯川氏は、当時、劇的な進歩の過渡にあった物理学界に身を置き、常に第一線で戦っていました。昨日まで信じていた理論が一晩で覆されるのが普通の世界。湯川氏は何度も辛酸をなめる経験をしますが、諦めることなく、冒頭の言葉の通り前進を続けたのです。

湯川氏と物理学の出会いは、旧制高校のときに出会った、フリッツ=ライへ氏の『量子論』という本でした。幼少期から知的好奇心が強かった湯川氏は「なぜ?」と思ったことを1つずつ探究する物理学の楽しさにのめり込みます。その後、湯川氏は京都帝国大学(現在の京都大学)で物理学を専攻し、研究室の助手になりました。

前述した通り、激動の時代の物理学界に身を置いていた湯川氏は、あるとき、ひときわ衝撃的な出来事に出くわします。湯川氏と同じく「原子がどのように結びついているのか」を研究していたエンリコ・フェルミ氏が、湯川氏の研究よりも完成された理論を発表したのです。

しかし、湯川氏はそこで腐らず、物理学のさらなる深遠へと突き進みます。フェルミ氏の理論は先進的でしたが、不完全だったのです。湯川氏はその不完全な部分に注目して、原子の結びつきに関する新しい理論を研究します。昼夜問わず、布団の中でさえ夢中に考え続け、約8カ月後、湯川氏の「中間子理論」が誕生しました。中間子理論は、「原子を構成する陽子と中性子は、まだ発見されていない『中間子』によって結びつけられている」という理論です。後に宇宙線の観測により中間子が発見されたことでこの説は立証され、湯川氏はノーベル物理学賞を受賞したのです。

競争のように次々と新しい理論が発表されていた当時、湯川氏を含め学者たちは焦りを抱えていたことでしょう。しかし、競争とは「より良いもの」を生み出す過程でもあります。競争相手が出してきた答えから学び、時には疑問を抱き、また自分で「より良いもの」を生み出すために奮起する。これは学問だけではなく、ビジネスにも通じます。当時の物理学者たちがしのぎを削って研究に夢中になっていたように、競争という過程自体を楽しむことで、商品やサービスは本当の意味で磨かれ、やがては業界全体を「より良いもの」へと変えていくのでしょう。

湯川氏はその人生を物理学へと注ぎ、生涯「明日進むべき道」を探究し続けました。彼が導き出した道は、紛れもなく私たちが生きる現代の発展へと続いています。

出典:『[科学感動物語]ノーベル賞―最高の栄誉に輝く科学者』(山村紳一郎ほか(著)、学研教育出版、2013年2月)

以上(2024年11月作成)

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画像:Fotograf-Adobe Stock

【中小企業の予算(4)】予算管理をより効果的にするための予測数値の更新

書いてあること

  • 主な読者:予算管理を自社に取り入れたい、あるいはしっかり取り組みたい経営者
  • 課題:予算を作ったのはいいものの、その数字は年度初めの情報に基づいたものに過ぎない
  • 解決策:四半期ごとに予測を更新し、その結果を見てどのように行動をとるのか考え、実行に移す

1 予測は四半期ごとにスピード感を持って

前回、予算と予測の違いを解説しました。今回は実際に予測を作成する時の留意点や活用方法について掘り下げていきたいと思います。

予測は日々刻々と変化していきます。例えば、今日作成する予測と明日作成する予測では数字が変わってきます。なぜかといえば、

  • 予測の材料となる情報は今日よりも明日のほうが多く入手できる
  • その情報の正確性は、基本的に時間の経過とともに上がっていく

ためです。とすると、予測は今日より明日、あるいは翌週作成したほうが価値あるものになるのでしょうか。答えは、否です。予測は数字の精度以上に、スピードこそに本当の価値があります。予測は作成すること以上に、活用することに意味があります。

「活用する」とは、

予測結果を見て、どういう行動を取るかを考え、そして実行する

ことです。この過程を通じて、目標である予算達成に近づくことが可能になるのです。そのためには、行動の内容を考えたり、実際に行動したりする時間が必要になります。多少の正確性は犠牲にしても、予測をある一定の時点でスピード感を持って作成しなければなりません。

具体的には、四半期(3カ月)ごとに予測をすることが有用と考えられます。逆に、月次での予測の作成では予測作成後に次の予測作成がすぐにきてしまい、行動の時間が十分に取れないため、あまり有用とはいえません。

2 予算の数値は予測に使ってはいけない

「こうなるだろう」という見込みである予測を作る際には、その時点までの実績と最新情報に基づいて、翌月以降の予測の数値を置いていきます。

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図表の中で予測と赤字で書かれているところに、予算の数値を入れてしまってはいけません。あくまで「予測」の数字を入れるのです。なぜ予算の数値を入れてはダメなのでしょうか。

その理由は3つ挙げられます。

1つ目の理由が、

情報のアップデートがされていない

という点です。例えば、半期予測時点のケースで考えてみると、作成から半年もたっていれば、景気などの外部環境にも、経営方針などの内部環境にも大きな変化が起きていてもおかしくありません。このため、売上などの残り半年の見込みも、期首で立てた予算の時とは当然変わってくるはずです。

2つ目の理由は、

予算が「こうなりたい」という目標であり、理想や期待を含めた数値である

という点です。期中で行う予測は、正確な業績見込みをするために現実的な数字を入れないといけません。このため、予算の数字を使うわけにはいかないのです。

3つ目の理由は、

費用の期ズレの問題

です。例えば、8月に開催する予定であった広告イベントが11月に延期になったとします。8月の実際の費用は少なくなり、8月に予算と実績の差(予実差)が生じます。しかし、その事実を反映していない予算の数値のままで11月の予測費用を作成してしまうと、年度の着地見込みを見誤ってしまいます。このように、予算で発生を見込んでいた月と異なる月に計上された費用が、二重計上や計上漏れとならないよう、予算ではなく予測の数値を使わなければならないのです。

3 予算が作れていない中小企業必見! 決算3カ月前予測

中小企業では、予算計画を立てるところまで手が回っていないケースもあり、もしかしたら、「ウチの会社は予算を作っていないから、予測を作っても意味がない?」と考えられる方もいるかもしれません。

いいえ、決してそんなことはありません。実際、中小企業の現場では、月次決算ができるようになった後に、予算よりも先に予測にトライしている会社が多くあります。

どういう場面で使うかというと、

決算の着地見込みをつかむため

です。決算が近づいてくると、業績は良さそうだけど、いったいいくら税金を払わないといけないのだろうかなどと考え始めます。また、決算賞与を出して従業員の頑張りに報いてあげたいけど、どれくらい賞与を払えるだろうかといったことも考えることもあるかもしれません。

この場合に、そこまでの月次決算の数字に、残りの決算期末までの見込みをつなげて、年間の売上、費用、利益を予測するのです。

具体的には、期首から9カ月くらいまでの実績が出た時に、年度の予測をするというのをおすすめします。3月決算であれば、12月の月次が締まった1月中旬ごろに予測するわけです。この時期になれば、残り3カ月の売上の見込みも見えてきます。そして、変動費や固定費も9カ月の実績からかなり正確に見込むことができるはずです。そうすると、年度の売上、費用、利益が正確につかめるはずです。

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それをもとに、税金に充てる資金の確保や、従業員への決算賞与の支払いなどのアクションにつなげていきます。

ここでは、9カ月の実績に3カ月の予測を合算して、年度の予測をつかみます。しかし、予算がないので予算と予測を比較して行動を起こすことはありません、しかし、年度の着地見込みが見えることで、決算賞与などの具体的なアクションにつなげていくことができます。

一般的に上場会社では、四半期ごとに予測が行われています。まだ予算の作成をしたことがない会社においては、予測を、期首から9カ月たった頃に行うというところから始めてみてもよいでしょう。

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以上(2024年10月作成)

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画像:thanksforbuying-Adobe Stock

老後が安泰な「退職金」はいくらなのか?/人生100年時代の退職金制度を考える(1)

書いてあること

  • 主な読者:自社の退職金制度の方向性について考えている経営者
  • 課題:退職金制度は必要か? 必要だとしたら、どのぐらいの額を用意すべきか?
  • 解決策:公的年金の減少に伴い、老後の生活における退職金の重要性は増している。総務省「家計調査年報」などから老後に必要な資金を試算、自社の制度と照らし合わせる

1 なぜ今、退職金制度が必要なのか?

最近では「もう社員が定年まで働く時代じゃないから……」と、退職金制度の見直しや廃止を検討する会社も少なくありません。ただ、社員の退職金制度に対するニーズは、もしかしたら今後高まっていくかもしれません。「人生100年時代」といわれるほどの高齢化の陰で、

公的年金の支給額が減少し続けていて、老後の生活資金が足りなくなる恐れがある

からです。仮に御社に充実した退職金制度があれば、今働いている社員は安心ですし、新たに社員を募集する際のPRなどにも使えるでしょう。

この記事では、退職金制度を導入したり、見直したりする予定のある会社が、退職金の支給額などを検討する材料として、まず老後の生活にどのぐらいの資金が必要なのかを紹介します。

2 年金の保険料は増加、支給額は減少

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2023年3月末時点の公的年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の平均支給額は、年約174.0万円です。10年前は約181.6万円で、10年間で約7.6万円減額していることが分かります(厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」)。一度の食事にかかる費用を1000円(1日3食で3000円)だと仮定すると、25日分以上の食事代がなくなってしまう計算です。

年金支給額が減少している理由の1つは、少子高齢化により現役世代1人で支えなければならない高齢者の数が増加しているからで、この傾向は今後も変わらない可能性が高いです。ですから、仮に公的年金の支給額減少を退職金制度でカバーできるなら、社員にとっては非常に魅力的です。

とはいえ、退職金制度を充実させるには、そもそも老後の生活にどのぐらいの費用がかかるのかを知っておく必要があります。早速、シミュレートしてみましょう。

3 一体いくら必要? 老後資金のシミュレーション

ここでは社員が65歳で退職した後の老後資金についてシミュレートしてみます。なお、シミュレーションは統計データを参考にした一例です。実際の内容は、社員の生活水準や希望するライフスタイルによって大きく変わることをご理解ください。

1)夫婦2人暮らしのケース

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2023年における65歳以上の夫婦のみの無職世帯の実収入は、月約24.5万円です。一方、同じ世帯にかかる生活費は、税金や社会保険料などを含めて月約28.3万円です(総務省統計局「令和5年家計調査年報」)。

実収入(24.5万円)から生活費(28.3万円)を引くと、毎月3.8万円の赤字

になります。2023年における平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.14歳ですから、退職してから20年以上赤字続きになる可能性があります(厚生労働省「令和5年簡易生命表」)。65歳で退職したとして、85歳までの生活を想定した場合、

  • 実収入:24.5万円×12カ月×20年=5880万円
  • 生活費:28.3万円×12カ月×20年=6792万円
  • 実収入-生活費:5880万円-6792万円=-912万円

となります。912万円分の老後資金を何らかの方法で補填しないといけません。なお、前述した通り公的年金の支給額は減少し続けており、仮にこの先90歳、95歳と平均寿命が延びていけば、補填すべき額はさらに大きくなる可能性があります。

2)1人暮らしのケース

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2023年における65歳以上の単身無職世帯の実収入は、月約12.7万円です。一方、同じ世帯にかかる生活費は、税金や社会保険料などを含めて月約15.8万円です(総務省統計局「令和5年家計調査年報」)。

実収入(12.7万円)から、生活費(15.8万円)を引くと、毎月3.1万円の赤字

になります。夫婦2人暮らしのケースと同じく、65歳で退職後、85歳までの生活を想定した場合、

  • 実収入:12.7万円×12カ月×20年=3048万円
  • 生活費:15.8万円×12カ月×20年=3792万円
  • 実収入-生活費:3048万円-3792万円=-744万円

ですから、744万円分の老後資金を何らかの方法で補填しないといけません。

4 どんな退職金制度なら老後資金を賄える?

前章のシミュレーションで、年金などの実収入だけでは老後資金を賄いきれていないことが分かりました。退職金制度の内容を検討する際の1つのポイントは、

老後資金の赤字(「実収入-生活費」のマイナス分)を退職金で補えるかどうか

です。前章のシミュレーションの数字を参考にするなら、夫婦2人暮らしの場合はあと912万円、独身の場合はあと744万円を、退職金で補う必要があります。また、前述した通り、家計の赤字は今後広がっていく可能性があり、補填すべき額はさらに大きくなります。

ちなみに、中小企業の社員(大学卒の場合)が定年退職時にもらえる退職金は、2022年平均で約1092万円です。なお、2022年時点で71.5%の中小企業が退職金制度を導入していますから、制度を社員に魅力的に見せるには、ある程度工夫が必要です(東京都産業労働局「令和4年中小企業の賃金・退職金事情」)。

社員にとって魅力的な退職金制度の選択肢としては、

  • 同業他社よりも多くの退職金を払う
  • 運用次第で退職金を増やせる制度を導入する
  • 退職金が多く支払えないなら、老後資金を補う他の福利厚生を導入する

などがあります。制度の例をいくつか紹介しましょう。

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こうした退職金制度をうまく活用すると、社員は老後資金の赤字を補うだけでなく、逆に黒字に転じさせて自分の趣味や大切な人のために使うお金を作れる可能性も出てきます。

ただ、退職金制度にはメリットと同時にデメリットもあります。ここでは詳細を割愛しますが、例えば企業型DCのように社員が自分で運用する制度の場合、運用成績に応じて退職金を増やせる可能性がある反面、運用に失敗すると元本割れしてしまう恐れがあるのです。

次回は、退職金制度ごとのメリット・デメリットや、実際に運用する場合のアクションプランについて紹介します。

以上(2024年10月作成)

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画像:pek-Adobe Stock

【賃金データ集】 退職金のモデル支給額

書いてあること

  • 主な読者:賃金体系や賃金支給額の見直しを考えている経営者
  • 課題:自社の賃金体系や賃金支給額が妥当か分からない。判断基準が欲しい
  • 解決策:統計資料における同規模・同業種の企業のデータなどを参考にする

【賃金データ集】シリーズとは?

【賃金データ集】シリーズは、基本給や諸手当など賃金の主要な構成要素ごとの近年のトレンドを、モデル支給額を中心とした関連データとともに紹介します。経営者や実務家の方々が賃金支給水準の決定や改定を行う際の参考としてご活用ください。なお、モデル支給額などのデータを紹介する際は、基本的に出所に記載されている用語を使用するものとします。また、データは公表後に修正されることがあります。

この記事で取り上げるのは「退職金」(退職給付等の費用)です。

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なお、以降で紹介する図表データのExcelファイルは、全てこちらからダウンロードできます。

こちらからダウンロード

1 退職金の位置付けと退職金制度の概要

1)退職金の位置付け

退職金とは、在職中の従業員の功労に対する報償や賃金の後払いといった意味合いで、企業が退職した従業員に支払う金銭です。退職金制度は、支払い形態、算定の考え方、掛け金の積立形態などによって幾つかの種類に分類されます。退職金制度の導入は企業の義務ではないものの、多くの企業が実施しています。

2)退職金制度の概要

主な退職金制度の種類は次の通りです。

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1.支払い形態

支払い形態は、次のように大別されます。

  • 退職一時金:退職金を一括で支給
  • 退職年金:退職金を年金として支給(「企業年金」とも呼ばれる)

2.算定の考え方

退職一時金の算定の考え方は、次のように大別されます。

  • 基本給連動型:算定基礎額(退職金を計算する基礎となるもの)を基本給とする制度で、一般的には、「退職時の基本給×勤続年数別係数×退職事由別係数(会社都合退職と自己都合退職)」によって退職金を算定するもの
  • 基本給非連動型:算定基礎額を基本給以外とする制度で、代表的なものは「ポイント制退職金制度」や「別テーブル方式(第二基本給)」など

 退職年金の算定の考え方は、「確定給付型:あらかじめ将来の年金支払額が決まっている制度」と、「確定拠出型:あらかじめ掛け金の額が決まっている制度」に大別されます。

3.積立形態

積立形態はさまざまで、それぞれ特徴があります。

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2 退職金制度の潮流

1)退職金制度の3つの機能

退職金制度は功労に対する報奨や賃金の後払いといった機能を持ちながら、終身雇用・年功序列の人事制度に組み入れられ、定着してきました。

現在有力とされている退職金制度の機能を整理すると次の3つになります。

  • 功労報奨:従業員の長年の勤務を慰労する
  • 賃金後払い:若年時の低い賃金を補償する
  • 生活保障:退職後の労働者の生活を援助する

2)これからの退職金制度

かつての退職金制度は、年功主義の下で賃金の後払い機能を持ち、従業員の定着率向上に寄与しました。しかし、定年まで1社に勤め続ける従業員が減った昨今では、こうした考え方は必ずしも実情に合わなくなってきており、実際、退職金制度の見直し(廃止も含む)を実施・検討している企業が少なくありません。

例えば、企業の負担軽減という視点で、前述の確定給付企業年金と確定拠出年金について考えてみましょう。確定給付企業年金は企業(基金)が将来の給付額を加入者に約束するという仕組みです。仮に予定通りの運用ができなかった場合、企業は追加拠出をして加入者を保護する必要があります。一方、確定拠出年金ではあらかじめ掛け金は決まっていますが、将来の年金給付額は運用期間中の従業員の運用成績によって決まるため、運用成績に対する企業の責任が軽くなります。退職金に係る企業の負担を軽減したいと考えている企業にとっては、確定拠出年金のほうが適しているといえるかもしれません。

また、従業員の多くは、「退職後の生活のために、ある程度の資産が欲しい」と少なからず考えています。退職後の生活を考えるためには、退職金の具体的な支給額を知りたいところですが、実際の退職金制度は、退職時まで支給額の実態が分からないなど、制度内容がブラックボックス化しているケースが少なくありません。こうした場合は、確定拠出年金のように、従業員が在職中に自らの裁量で利用して、資産を運用できる退職金制度にするのも1つの方法です。

ちなみに、退職金制度ではありませんが、従業員が自分で掛け金を決めて運用する「個人型確定拠出年金」(通称「iDeCo(イデコ)」)には、従業員の掛け金に追加して、企業が掛け金を拠出することができる「中小事業主掛金納付制度」(通称「iDeCo+(イデコプラス)」)という制度があります。退職金に充てる原資の一部を企業が拠出する掛け金に充てることなどで、従業員の資産形成のサポートが可能になります。

3 厚生労働省の統計資料によるモデル支給額

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4 日本経済団体連合会等の統計資料によるモデル支給額

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5 東京都労働相談情報センターの統計資料によるモデル支給額

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6 情報インデックス(この記事で紹介したデータの出所)

この記事で紹介した統計資料は以下の通りです。調査内容は個別のURLからご確認ください。なお、内容はここ数年の公表実績に基づくものであり、調査年(度)によって異なることがあります。

■就労条件総合調査■
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23.html

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■退職金・年金に関する実態調査結果■
https://www.keidanren.or.jp/policy/index09.html

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■中小企業の賃金・退職金事情■
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/toukei/koyou/chingin/

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以上(2024年10月更新)

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画像:ChatGPT

経営者なら知っておきたい 税制改正のスケジュールと適用時期

書いてあること

  • 主な読者:税金対策を積極的に取り入れていきたい会社の経営者、税務担当者
  • 課題:税制は毎年改正されるが、いつ、どのようなフローで行われているのか知りたい
  • 解決策:特に12月~翌年4月の税制改正の動向に注視することが大事

1 毎年行われる税制改正

年末が近づくと、ネットニュースや新聞などで税制改正の話題を目にする機会が増えます。税制改正は、制度の抜本的な改正から細かな改正まで毎年行われています。この中には、賃上げ促進税制などの優遇税制や増税に関する項目などが含まれます。内容によっては、

企業経営に大きく影響を与える改正が行われる

こともあります。従って、この税制改正に関するスケジュールや、その過程でどのような議論が行われているかを把握しておくことは、将来の自社の税負担を考える上で重要になります。

2 税制改正の年間スケジュール

税制改正の年間スケジュール(通例)は、おおむね次の通りです。特に12月以降のスケジュールについては、実際に法案化される項目に絞られており、注視する必要があります。

なお、国会運営の都合などで、スケジュールに変動が生じる年もあります。

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このように、税制改正は1年間を通して議論され、基本的に年度末の通常国会で法案が可決・成立します。税制改正項目の多くは法案成立直後に施行され、適用されます。ただし、全ての税制改正項目が一斉に適用開始されるわけではなく、制度ごとに適用開始時期が異なるので注意が必要です。

以降では、令和6年度税制改正のうち、2025年1月1日以降に適用が始まる主な項目として、

イノベーションボックス税制の創設(法人税)、

令和6年度税制改正大綱で記された項目のうち、令和7年度税制改正で詳細が決定される主な項目として、

扶養控除等の見直し(所得税)、ひとり親控除の見直し(所得税)、免税制度の見直し(消費税)

を解説します。

3 イノベーションボックス税制の創設(法人税)

イノベーションボックス税制とは、

会社が保有する特許権やAI技術を活用した著作物(日本国内で研究開発されたものに限る。「特定特許権等」という)から生じる一定の利益に対して、所得控除を受けられる

という制度です。この税制は、2025年4月1日以降に開始する事業年度から適用が始まります。

所得控除額は、

特定特許権等から生じる一定の利益(当期の所得金額を限度)×30%

となっています。

実際の所得控除額の詳細な計算には、該当する特定特許権等に要した研究開発費の集計が必要になります。そのため、適用を検討している会社は日々の研究開発費の管理や会計処理を明確に行っておくようにしましょう。

4 扶養控除等の見直し(所得税)

所得税の扶養控除(16歳から18歳までの子供がいる世帯が受けられる控除)について、控除額が減額される予定です。正式な決定は、令和7年度税制改正の項目として決定される見込みです。この減額は、2024年10月1日以降の児童手当について、所得制限の撤廃、第3子以降へ支給額の増額、支給対象を高校生までに拡大されることに伴い行われる改正(予定)となります。

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適用時期については、所得税は2026年分から、住民税は2027年度以降分からとなっています。

5 ひとり親控除の見直し(所得税)

所得税のひとり親控除について、23歳未満の扶養親族がいる人を対象に、一般生命保険料控除の控除限度額が増額されます。正式な決定は、令和7年度税制改正の項目として決定される見込みです。

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適用時期については、所得税は2026年分から、住民税は2027年度以降分からとなっています。

6 免税制度の見直し(消費税)

免税店における販売時の消費税の取り扱いが見直される予定です。詳細は令和7年度税制改正で決定されるとされています。

見直しの方向性としては、免税店の販売時に消費税を含めた値段で販売(現時点は税抜金額で販売)し、海外旅行者が出国時に返金を受け取る仕組みになる予定です。

以上(2024年10月作成)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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画像:redgreystock-Adobe Stock

フリーランスに仕事を発注する際の手引き(2024年10月号)

ことし11月1日から、フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されます。この法律には、フリーランスに業務委託するすべての発注事業者に課される義務が定められています。そのため、どの会社でもその内容を理解しておく必要があります。筆者は、フリーランスからの法律相談窓口であるフリーランス・トラブル110番の事務責任者として、これまで2万件を超えるフリーランスからの相談に接してきました。本稿では、フリーランスとのトラブルを起こさないために、発注事業者が理解しておくべき実務上の重要なポイントを解説します。

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