信号無視で書類送検も!? 検挙数増加で再確認したい自転車の走行ルール

書いてあること

  • 主な読者:日常的に自転車に乗る社員がいる会社の総務担当者
  • 課題:道路交通法違反や交通事故のリスクに備えてしっかり社員を教育したい
  • 解決策:社員に対し、道路交通法、自転車の走行ルール遵守を徹底させる

1 自転車の交通違反に対する取り締まり強化

「信号無視」「一時不停止」「右側通行(逆走)」など、従前は警告で済まされてきたような違反に対し、

刑事罰の対象となる交通切符(いわゆる「赤切符」)が交付されて、検挙

されるケースが増えています。

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上図の通り、2023年の検挙数は約4万4千件となっています。注目すべきは、2022年に比べて検挙件数が2倍近くまで跳ね上がっていることです。

赤切符で検挙されると、警察の事情聴取のために出頭しなければならず、その後、書類送検されることもあります。また、3年以内に2回以上検挙が重なると自転車運転者講習の受講を命じられることになります。悪質な違反行為や交通事故を起こした場合は、道路交通法の罰則の対象にもなります。

社員が自転車の「赤切符」の対象になったとしたら、

出頭や運転者講習のために業務に支障を来す恐れ

があります。「たかが自転車」と軽視することはできません。違反となる行為や交通ルールを社員に周知しておくのも一手でしょう。

この記事では、主に「赤切符」の対象となる違反行為と、刑事罰の対象となった場合にどうなるかについて紹介します。特に、通勤や業務で自転車に乗る社員がいる場合、この機会に改めて自転車の走行ルールを確認するようにしましょう。

なお、2024年5月17日、自転車の交通違反に反則金を納付させる、いわゆる

「青切符」による取り締まりの導入を盛り込んだ改正道路交通法が可決・成立

しました。改正法は公布の日から2年以内に施行される予定で、今後、反則金の金額などについて政令が定められます。

2 「赤切符」の対象となる違反例

「赤切符」の対象となる違反例は、次の通りです。以降で、それぞれの違反例について詳しく解説していきます。

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1)右側通行(逆走)

自転車は、道路交通法で「軽車両」に位置付けられており、歩道と車道の区別のある道路では、原則として車道の左側を通行しなくてはなりません。

これに違反した場合、

3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金

に処されます。

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2)歩道の走行ルール違反

「歩道」は、分かりやすく言うと

道路の端を(ガードレールなどで)区画した道

のことです。自転車が歩道を走行できるのは、次の場合に限られます。

  • 道路標識や道路標示で、自転車の通行が許可されている場合
  • 13歳未満の人、70歳以上の人、身体が不自由な人が運転している場合
  • 車道や交通の状況を見て、車道を通行するのが危険だと判断される場合

また、自転車は歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げることとなるときは一時停止しなければなりません。

加えて、「歩道」の車道側には、「普通自転車通行指定部分」が設けられていることがあり、この場合、自転車は「普通自転車通行指定部分」を徐行しなければなりません。ただし、普通自転車通行指定部分であっても歩行者が優先です。歩行者がいる場合は徐行し、通行を妨げるような場合は一時停止しなければなりません。

これらに違反した場合、

2万円以下の罰金または科料

に処されます。

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3)「普通自転車走行通行帯(自転車レーン)」を走行しない場合

車道の左端に、以下のような標識と共に「普通自転車走行通行帯(自転車レーン)」が設置されている場合があります。

「普通自転車走行通行帯(自転車レーン)」が設置されているのにもかかわらずここを走行しなかった場合、

5万円以下の罰金

に処されます。

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4)自転車道を走行しなかった場合

自転車道とは、縁石や柵その他これに類する工作物によって区画された車道部分のことをいいます。通行する道路に自転車道が設置されている場合、自転車道を走行しなくてはなりません。

自転車道があるのにもかかわらず自転車道を走行しなかった場合、

2万円以下の罰金または科料

に処されます。なお、前述した「普通自転車専用通行帯」(自転車レーン)が設けられている場合は、自転車レーンを走行しなくてはなりません。

5)信号無視

繰り返しになりますが、自転車は原則として車道を走るため、道路交通法で「軽車両」に位置付けられており、車用の信号に従うことになります。

一方、歩道を走ってきて横断歩道を進行して道路を横断する場合や、歩行者用の信号に「歩行者・自転車専用」の標示のある場合は、歩行者用の信号に従わなければなりません。

信号に従わなかった場合、

3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金

に処されます。

分かりにくいのは、自転車横断帯がない横断歩道のある交差点を直進しようとしているとき、車用の信号が「赤」で、歩行者用の信号が「青」の場合です。歩行者用の信号が「青」だからといって、車道を走ってきた自転車が直進すると信号無視になります。自転車横断帯がない場合は横断歩道を横断できますが、歩行者がいるときは自転車から降りて押して渡ります(自転車を押して歩いている者は歩行者と見なされます)。

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6)一時不停止

自転車は、道路標識や道路標示で一時停止すべきことが指定されているときは、停止線の直前(停止線がない場合、交差点の直前)で一時停止しなければなりません。

また、狭い道から広い道に出るときは、徐行しなければなりません。

一時停止しなかった場合、

3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金

に処されます。

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3 自転車運転者講習が命じられる危険行為

「右側通行(逆走)」「信号無視」「一時不停止」などを含む一定の交通違反(危険行為)を繰り返し、3年以内に2回以上検挙された場合には、都道府県公安委員会により、

自転車運転者講習の受講

が命じられます。

危険行為として、例えば、「酒酔い運転」「ブレーキが利かない自転車の運転」「遮断踏切立ち入り」「安全運転義務違反」などの項目が定められています。

■政府広報オンライン「知ってる?守ってる?自転車利用の交通ルール」■

https://www.gov-online.go.jp/featured/201105/

中でも、つい、やってしまいがちなのが「安全運転義務違反」です。例えば、傘差し運転やイヤホン・ヘッドホンをしたままの運転などが該当します。

傘差し運転は、傘を片手で持ったまま、もう片方の手でハンドルを操作するため、いざというときにブレーキをかけられず危険です。

イヤホン・ヘッドホンをしたままの運転は、音楽に気を取られて注意散漫になったり、後ろから近づいてくる自動車の音が聞こえなかったりして、事故に遭う危険性が高まります。

なお、道路交通法施行令の一部改正に伴い、2024年11月1日以降、「酒気帯び運転」「自転車の運転中における携帯電話使用等」も危険行為に加えられる予定です。

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4 「赤切符」が交付されたら、どうなる?

警視庁や各道府県警察ウェブサイトによると、自転車の交通違反で「赤切符」が交付された場合、

指定日に、指定場所に出頭し、警察による事情聴取を受ける

ことになります。その後、

書類送検され、検察による事情聴取を受ける

ことになります。交通違反の内容によって異なりますが、検察官が略式命令を請求し、裁判所の略式命令、罰金の納付の順で手続きが進められます。

比較的軽微な交通違反については、初犯の場合は、反省しているかどうかを考慮のうえ、罰則なしで帰されることもあるようです。

前述の通り、危険行為を繰り返し、3年以内に2回以上検挙された場合には、都道府県公安委員会により、自転車運転者講習の受講が命じられます。

この命令を無視して受講しない場合、5万円以下の罰金

に処されます。

5 参考:自転車事故の予防と備えを忘れずに

1)「自転車指導啓発重点地区・路線」を確認しよう

警察庁によると、自転車関連事故(自転車が第1当事者または第2当事者となった交通事故)の件数は減少傾向にありますが、2023年は前年より2千件余り増加しており、全交通事故に占める自転車関連事故の割合は2017年以降、増加傾向にあります。

■警察庁「自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~」■

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html

警視庁および各道府県警察は、管内の交通量が多い道路や、生活道路などで自転車が関係する違反や事故が多いエリアを「自転車指導啓発重点地区・路線」として、ウェブサイト上で公表しています。日常生活で自転車をよく利用する社員に、居住地や会社周辺の「自転車指導啓発重点地区・路線」を確認するよう、周知するのも自転車事故防止につながります。

2)ヘルメット着用を検討しよう

2023年4月1日に施行された改正道路交通法によって、全ての自転車利用者に対し、乗車用ヘルメット着用が努力義務化されました。

自転車乗用中の交通事故で死亡した人の約6割が、頭部に致命傷を負っています。ヘルメット着用はあくまで努力義務であり罰則はありませんが、社員に着用を勧めることで、「もしものとき」の大きなケガを防ぐことができます。

■警察庁「頭部の保護が重要です~自転車用ヘルメットと頭部保護帽~」■

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/toubuhogo.html

3)自転車向けの損害保険の加入も検討しよう

自転車で交通事故を起こした場合には、運転者に刑事上の責任も問われます。さらに、被害者を死傷させれば「重過失致死傷罪」に問われる恐れもあります。被害者に対しては民事上の損害賠償責任も発生します。

交通ルールをしっかり守って運転しなければならないことを、いま一度、社員に徹底させましょう。また、自転車向けの損害保険の加入も検討するとよいでしょう。

■日本自動車連盟「[Q]自転車で道交法違反をした場合は?」■

https://jaf.or.jp/common/kuruma-qa/category-accident/subcategory-traffic-violation/faq286

■日本損害保険協会「自転車事故と保険」■

https://www.sonpo.or.jp/about/useful/jitensya/

以上(2024年9月更新)

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画像:EdNurg-Adobe Stock

用がないのに早く出社する社員……。労働時間管理と安全管理のルール作りが肝心

書いてあること

  • 主な読者:用がないのに早く出社(早出)する社員への対応に悩む経営者、管理職
  • 課題:業務外の早出にも賃金を支払う? 事故が起きたら会社の責任?
  • 解決策:働かない時間について賃金を支払う必要はない。事故が起きた場合に会社が責任を問われる可能性がある。事前申請を義務付けるなど、ルールを決めて管理する

1 「業務外の早出」を放置すると会社に弊害が……

A社長が朝早く会社に来て仕事をしていると、まだ始業時刻前なのに、社員のBさん、Cさんが出社してきました。驚いたA社長が話しかけると、2人は苦笑いしながらこう言いました。

A社長「2人とも随分早いな。始業は9時からだぞ? 何か急ぎの仕事でもあるの?」

Bさん「いいえ、そういうわけでは……。ただ、通勤ラッシュが苦手で」

Cさん「年のせいか朝早く目が覚めてしまうので……。会社で読書でもしようかと」

用がないのに朝早くから出勤してくる社員は、意外と多いようです。多少早く来るぐらいならよいでしょうが、度がすぎると弊害が生じるかもしれません。例えば、

  • 社員が早出のタイミングで勤怠打刻をすると、その分の賃金を支払う羽目になる
  • 万が一事故などに遭ったときに対応できない
  • 朝から空調設備などを動かすので、コストが増える

といった問題が起こり得ます。

一方、冒頭の事例のように「通勤ラッシュを回避できる」「朝の時間を自己啓発などに使える」、他にも「(夏の時期などは)朝の涼しい時間帯に仕事をしたほうが捗る」といった具合に、社員にとってのメリットがあれば、

労務管理上のポイントを押さえた上で業務外の早出を認める

という選択肢も検討できます。以降で、業務外の早出に関する労務管理上のポイント、業務外の早出を認める上で講じておきたい施策を確認していきましょう。

2 労務管理のポイントは「労働時間管理」「安全管理」

業務外の早出を認めるかどうかを検討する前に、まず労務管理上押さえておきたいポイントが2つあります。1つは「労働時間管理」、もう1つは「安全管理」です。

1)労働時間管理:働いていない時間なら、会社は賃金を支払わなくていい

まず押さえておきたいのは、

原則として業務外の早出は労働時間にならない(=早出の時間分の賃金支払いは不要)

ということです。会社は、業務上の早出(急ぎの業務などを理由とする早出)については、早出の時間分の賃金を支払う必要がありますが、業務外の早出の場合は不要です。これは、

賃金は、社員が労務を提供する対価として支払うものだから、働いていない時間については支払う必要がないという「ノーワーク・ノーペイの原則」

に基づくものです。ただし、会社が完全月給制(1カ月単位で算定され、労働時間に関係なく定額で賃金を支給する)を採用している場合などは例外です。

2)安全管理:業務外の早出でも労災は成立する

労災(労働災害)とは、業務や通勤に伴って発生するけがや病気のことです。業務上の事由で被災した場合は「業務災害」、通勤中に被災した場合は「通勤災害」といいます。

問題は「業務外の早出をした社員が事故に遭った場合、労災になるのか」ですが、結論から言うと労災になるケースはあり得ます。具体的には次のような場合です(実際は、被災した状況やそうなった経緯などに基づき個別に判断されます)。

  • 業務災害:就業時間外で業務に従事していなくても、会社の施設・設備や管理状況などが原因で事故が発生した場合、労災になる可能性が高い
  • 通勤災害:被災当日が就業日で現実に就業していれば、通勤ラッシュなどを避けるための早出であっても、自宅から会社への移動中に起きた事故は、労災になる可能性が高い

なお、こうした労災の発生について会社側に落ち度がある場合、「社員の安全管理を怠った」として、社員側から労災保険給付を超える損害に関して安全配慮義務違反などに基づく損害賠償請求を求められることがあります。また、労働基準監督署から「労働災害再発防止対策書」の提出を求められるケースもあります。

3 「ルール」を作って社員に周知、守れなければ早出は禁止

業務外の早出を認める際は、会社がルールを決めて社員にそれを守らせることが肝心です。第2章のポイントを踏まえ、業務外の早出を認める上で講じておきたい施策を紹介します。

1)「事前申請」をルール化して、業務外の早出をする社員が誰かを明らかにする

冒頭で述べた「賃金の過払い」や「労災」のリスクを減らすには、業務外の早出をしている社員を、会社が正確に把握できるようにすることが大切です。

具体的には、

早出する社員には、その理由に関係なく「事前申請」を義務付けるという方法

があります。例えば、社員が早出を希望する場合、前日に申請させます。その際、申請書(紙)や申請フォーム(Web)に、「業務上の早出」「業務外の早出」のチェック欄を設けておき、

  • 「業務上の早出」欄にチェックがあれば、早出の時間を労働時間にカウントする
  • 「業務外の早出」欄にチェックがあれば、早出の時間を労働時間にカウントしない

といった運用にします。「誰が、いつ、何の理由で早出するのか」が分かれば、前述したようなリスクを減らせます。

ただ、社員の中には、本当は業務外の早出なのに、業務上の早出であると嘘の申請を挙げて、賃金を多くもらおうとする不届きな人間もいるかもしれないので、

業務上の早出をする場合、業務の内容も併せて申請させ、後で上司が成果物を確認する

といった対応も必要になってくるでしょう。逆に、本当は業務上の早出なのに、「仕事が遅れていることを上司に悟られたくない」という理由で、業務外の早出として申請を挙げる社員もいるかもしれません。こうした社員がいないか、実態を調査することも大切です。

2)「時差出勤」を導入すれば、水道光熱費の無駄も減らせる

1)の方法を取った場合、賃金の過払いリスクは減らせます。ただ、それとは別に、業務外の早出をする社員が増えることで、社内の照明や冷暖房などの水道光熱費がかさんでしまうという問題が出てきます。この点については、前述した「通勤ラッシュを回避できる」などのメリットを考えて目をつむるという手もありますが、理想的なのは「時差出勤」の導入です。

時差出勤とは、

所定労働時間を変更せず、始業・終業時刻を変更する制度

です。例えば、1日の所定労働時間が8時間、休憩が1時間の社員について、始業・終業時刻だけを「9時始業、18時終業」から「8時始業、17時終業」に変更するイメージです。始業が早まるのは元々早く出社したい社員にとって得ですし、所定労働時間は8時間のまま変わらないので、水道光熱費の問題を最小限に抑えられます。なお、時差出勤を導入する際は、就業規則の変更・届け出が必要です。

さらに柔軟な働き方を追求するのであれば、時差出勤をもう一段階レベルアップして、社員に始業・終業時刻を自ら管理させる「フレックスタイム制」を導入するのもよいでしょう。ただし、導入には細かな要件だけでなく制度に適した会社側の状況なども求められますので、慎重に検討する必要があります。

3)業務外の早出をする社員は、危険な場所には立ち入らせない

建設業や製造業などの場合、社員の軽率な行動が大きな事故につながります。例えば、業務外の早出をした社員が、上司の見ていないところで作業場などに立ち入ってけがをしたり、他の社員にちょっかいを出してその社員がけがをしたりするといった具合です。

始業時刻前は安全管理が手薄になり、些細な事が大きな労災事故につながる恐れがありますから、業務外の早出をする社員は、危険な場所には立ち入らせないのが鉄則です。

具体的には、

事務室や休憩室など、業務外の早出をする社員の「待機場所」を決めておく

ようにします。業務外の早出をする社員については、出社から始業までの時間はその待機場所で過ごしてもらい、作業場などには立ち入らないよう厳命します。もし、待機場所を定めることが難しい場合などは、社内の行動許可範囲を厳格に決めておくなどの対策が必須です。

4)場合によっては、早出そのものを禁じることも必要

通勤災害については、業務災害に比べると会社が社員の管理責任を問われるケースは少ないですが、例えば、防災気象情報が出ているなど、危険がある状態にもかかわらず、社員の早出を認めて社員が事故に遭ったといったケースでは、安全配慮義務違反などになる恐れがあります。

気象が荒れている場合などは、交通インフラの混雑を予想して早出しようとする社員も多いでしょうから、状況によっては

防災気象情報の内容に応じて、社員に自宅待機を命じる(早出そのものを禁じる)

といった対応が必要になってくるでしょう。

以上(2024年10月更新)
(監修 弁護士 八幡優里)

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【税の勘所】押さえておきたい税金の「期間」

書いてあること

  • 主な読者:主な「税金」のことを、具体的なイメージで把握したい人
  • 課題:税金は複雑で、具体的に「どれくらい払うのか?」などが分かりにくい
  • 解決策:主な税金について、具体的な数字で「金額、期間、パーセンテージ」を把握する

1 押さえておきたい税金の「期間」

この記事では、主な税金(法人税・消費税・相続税・贈与税)に関する「期間」を整理します。

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2 20年以上:贈与税

20年以上は、夫婦間で居住用財産を贈与した場合、2000万円まで非課税となる婚姻期間です。

婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用財産を贈与された場合(一定の要件を満たす必要があります)、その居住用財産の課税価格から2000万円まで控除できます。そのため、基礎控除(110万円)を合わせた2110万円までは贈与税がかかりません。

3 7年:相続税

7年以内は、生前贈与分を相続税の課税価格に加算しなければならない期間です。

財産を相続した人が、被相続人(亡くなった人)からその相続開始(被相続人が亡くなった日)前7年(2023年12月31日以前は3年)以内に贈与されていた場合、その贈与されていた財産は相続税の課税価格に加算されます。

なお、相続が発生した年に贈与された財産も、相続税の課税価格に加算しなければなりませんが、2024年1月1日~2030年12月31日までの間の贈与については一定の経過措置が適用されます。

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4 10カ月以内:相続税

10カ月以内は、相続税の申告期限です。

財産を相続した人は、

被相続人から財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合

に、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、所定の事項を記載した申告書を、被相続人の死亡時における住所地を管轄する税務署長に提出しなければなりません。

5 2カ月以内:法人税、消費税

2カ月以内は、法人税および消費税の確定申告期限(原則)です。

法人は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に、管轄する税務署長に対し、確定した決算に基づき、法人税及び消費税の確定申告書を提出しなければなりません。

以上(2024年9月更新)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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【特別企画】Z世代の起業家がZ世代の学生に向けて「起業の実態」を語る講座「実践ベンチャー論 創業経営者対談」2024年版/岡目八目リポート

年間1000人以上の経営者と会い、人と人とのご縁をつなぐ代表世話人杉浦佳浩氏。ベンチャーやユニークな中小企業の目利きである杉浦氏が今回ご紹介するのは、特別企画、埼玉大学で行われた講座「実践ベンチャー論 創業経営者対談」(2024/7/5開催)です。

埼玉大学で行われたこの特別講座は、20代の起業家・起業経験者の方たちが学生に向けて起業の実態を語るというものです。真面目に一生懸命ビジネスに取り組み続けている20代の3人の登壇者と、食いつくように聞き入る学生たち。

とにかくものすごく濃い内容、圧倒的な突き抜け感! レベルが一段も二段も違う感じです。ご登壇のお一人はなんとアブダビからオンラインでつなぐという。おもしろいを通り越して、おそらく、「こういう話、経験は初めて」の学生も多かったと思います。個性豊かすぎる3人の登壇者、カルチャーショックと熱気と未来への選択肢が満載の時間でした。大学の講座では珍しく(?)学生からの質問が相次ぎ、質疑応答の時間が足りない事態に。後日、学生からのインターンシップ希望の連絡もいろいろあったようです。

テキストだけではこの濃すぎる内容をお伝えしきれないので、3人の方が語ってくださった印象的な一部を本記事でご紹介します。経営層の方は、この記事をご自身で読むのも、社員の方に読んでもらうのもいいかと思います。さっそく今日から何かしたくなるでしょう!

「自分から行動すると、何かが起きる。人生は自分で面白くできるのだ」

3人のお話を聞いていたら、そういう気持ちになりました。

●ご登壇

安田 光希(やすだ こうき)氏:連続起業家。現在の拠点の中心はアブダビ

田山 凌汰(たやま りょうた)氏:株式会社One StepS 代表取締役CEO

石原 里奈(いしはら りな)氏:株式会社FinT広報マネージャー

●モデレート

杉浦 佳浩氏:代表世話人株式会社 代表取締役

1 起業のきっかけはさまざま。「流れで起業」や「学生のうちに起業」も。

3人の登壇者はまず、どのような事業を行っているか、なぜ起業の道を選択したかを話してくれました。そこからして話が個性的、「こういう人生の拓き方もあるのか」と思います。

それぞれのプロフィールがまた面白いので、下記ご参照ください。

登壇者プロフィール

3人の起業のきっかけなどを聞いていると、とにかく「動いてみる」「やってみる」「そしてやりきる」ことが大事だと感じます。それぞれに印象的なお話もありました。話してくださった順番にご紹介していきます。

 

●安田さんの起業きっかけの話

「(お客さまからの)需要があったので起業した」

こういきなり自然体でぶっこむ感じ、伝わるでしょうか(しかもこの安田さんはアブダビからオンライン)。いきなりレベルが違う感じ。誤解を恐れずに言うと、「これがやりたい!という強い思いがあって」とかではないのです。大学時代、AIを勉強するサークルの友人たちと、後輩のためにと英語版のAI教材を日本語版にわかりやすくつくりなおしたところ、誰もが知る大手通信会社が安田さんたちに注目。「会社を作ってくれたら仕事を発注したい」と要望されたので起業したそうです。

このように安田さんは、学生時代からかなり高度なことをやっておられたのですが、とにかく力みがなく自然体で、「求められたから起業した」という話。その後、いくつか会社を立ち上げたりして、特にすごいのは、ある会社が4年で上場、時価総額500億円までになったというから驚きです。たった4年で。

「おもしろいからやってみよう」「おもしろいことをやってみよう」が原動力になっている安田さん。この「おもしろいことって何なの?」という話もとても納得感ありましたので、後ほどご紹介します。

アブダビからオンライン参加の安田さん

安田さん

 

●田山さんの起業きっかけの話

「チャレンジしている人への憧れ、起業している人への憧れがあった」

少し話しただけで頭の回転の速さが伝わってくる現役のミスター慶応・田山さん。田山さんが口を開くと物事が整理され、そして場が和やかにもなるというすごさ。今回の講座では、登壇者が突き抜けた方々なので、話の内容がすごすぎて学生がポカンとする場面もありました(すごいということ自体は学生にも伝わっている)。そんなときに登壇者と学生との間をとりもって瞬時に通訳してくれていたのが、この田山さんです。田山さんのおかげで、聞いている学生の理解度がかなり上がったのではないかと思います。こうした通訳、なかなか普通にできることではないでしょう。

起業している先輩がいたこともあって、高専時代からもともと起業、スタートアップに興味があった田山さん。慶應大学に入学する前にシードベンチャーキャピタルにインターンとして参画、数多くの起業家と会い、話をしてきています。

現在はAIを活用したシステム開発などを行う会社を創業し、金融機関などAIで効率化できる余地が多い業界に寄与したいと、お客さまに寄り添って泥臭くビジネスに取り組んでおられます。好奇心旺盛、スタートアップやAIなどについて調べたり勉強したりするのが好きだという田山さん。興味があるから続けられるというお話はとてもよく分かります。

AIスタートアップの田山さん

田山さん

 

●石原さんの起業きっかけの話

「学歴コンプレックスが起業につながった」

何事にも自分なりの意見、考えを持ち、しかもそれを自然体で発言する石原さん。石原さんの話には、何かしら石原さんならではの視点があり、「なるほど」と思わせられます。

学生時代に起業を経験、その後サイバーエージェントに入社、今はSNSマーケティングのFinTで広報マネージャーというこれまたすごい経歴ですが、もともとの出発点が「大学受験に失敗して志望校に行けなかったことから始まっている」そうです。

「学歴に変わる強みを4年間で創ればいい」とお母さまに言われたことをきっかけに学歴コンプレックスが消えたという石原さん。その後、大学の起業家育成講座で、大手メーカーの現実の課題解決に取り組んでいくのがとても面白かったそうです。早くから実業に触れていたのがすごい。そして、大学1年生の最後の日に、犬のトリマーと飼い主をつなぐマッチングサービスで起業。石原さんからは、やりがいのあること、やってみたいことにどんどんチャレンジして切り開いていく力強さ、行動力をとても感じます。

広報マネージャーの石原さん

石原さん

 

起業のきっかけからして三者三様の面白さ。

おもしろいと思うことをやってみる、行動してみる。自分から動く。

といったあたりは共通しているように感じます。

「では、何がおもしろことなのか? 学生のうちはおもしろいことが何なのか分からないかもしれないので、こう考えるといいかも」と安田さんが言っていた次のことも印象的でした。

「自分がやってうまくいくと、おもしろくなってくる。なので、最初は面白さを考えずに自分が得意で人から求められることをやってみる、というのもオススメ。圧倒的な能力があると、それを欲してくれる人が出てきて、経験値が増しさらにできるようになり、もっと楽しくなってくる。そうしていくと『ほぼ負けない』『これで貢献できる』と思えるようになる」

「『自分が得意なことで嫌いなこと』ってないはず。自分の好き嫌いはあまり信用していない。(自分が好き嫌いと思っているのは)勘違いかもしれない。それより、得意なことをやるのがいいと思う」

自分が興味があること、好きなことを探してみようとかではなく(それが悪いというわけではない)、「自分ができることをとことんやる=おもしろくなる=ほぼ負けないことになる」。とことんやる、圧倒的な能力、というあたりに言外の凄みを感じます。青い鳥を探してないものねだりを繰り返すのではなくて、自分ができることをとことん、そこから。確かにこういう進め方、突き詰め方もあるなぁと感じました。

一方で、大学1年のときにご自身の好きなことで起業した経験のある石原さんが、

「好きなことがあるのなら、20代半ばまでは好きなことをとことんやってみて、『好きから見つけていく』というのもいいと思う」

と話していたのも、早いうちに起業経験を積んだからこその発言で、納得感ありました。

2 未来に向けてやっていること、課題

3人それぞれ、未来に向けてやっていることや課題もさまざまでした。

 

●安田さんの未来に向けてやっていること

安田さんは、日本では主に大企業向けにAI・デジタル技術を用いた企業改革・改善を行ってきて累計のお客さまは600社以上。現在は拠点の中心はアブダビで、世界で勝てる技術力などを持った日本企業とそれらを購入したい中東企業をつなぐという、他であまり聞かないようなことをやっています。

安田さんが課題に感じていて未来に向けて今やっているのは、「日本のプレゼンス、地位をもっと上げていくこと」だそうです。中東に出ていくと、中国や韓国の会社の勢いがすごく日本の地位が塗り替えられつつあることを痛感するという安田さん。さまざまなコネクションなどでいろいろと仕掛けており、とにかく話が世界的、スケールが大きい。こういう人が日本の未来をつくっていくのだと感じます。日ごろから人種を問わずたくさんの人と会う、そのためにとにかくスピードが速い。やるやらないの判断が速く、徹底して時間を無駄にしない安田さんです。

 

●田山さんの未来に向けてやっていること

田山さんはAIの会社を創業して1年くらいです。メンバーはエンジニアが中心ということで、そのこと自体がまず大きな強みだと思います。今後、未来に向けてはマーケティングや営業分野の採用にも力を入れていきたいそうです。AIタレント、AIアバターの開発などPR効果のあるAIも手掛けていたり、さまざまな分野・業界の人とつながることに投資していきたいということで、プロモーション活動、クライアント開拓も積極的に進めている田山さん。

今回、会場には高専出身の学生の方もいて、特に田山さんの話に聞き入っていました。経歴に共通点、似たところがあると共感し、自分の未来の姿、進む道が想像しやすいのだと思います。それに加えて田山さんの話はとにかく分かりやすい! 相手が理解しやすい言語、理解しやすい順番で話すことができつつ、全体を動かしてビジネスを実現していける田山さんのような人は、ビジネスプロジェクトには必要不可欠。そして多くの人に慕われそうで、お客さまにも好かれているのだろうなと思います。

 

●石原さんの未来に向けてやっていること

石原さんは、未来に向けてやっていることを話すにあたり、サイバーエージェント時代に出会った言葉を教えてくれました。それは、「明日事業がなくなっても、ラーメン屋をやろうと言ったらみんなついてきてくれる」という言葉です。組織にいるメンバーが強烈にその組織を誇りに思っていて好きである、という組織文化が伝わってくると感じた石原さん。

石原さんはもともと、事業でゼロイチの価値をつくることに興味がありましたが、今はそれが変わってきていて、組織の中のカルチャーづくりに興味があり、今はそれを実践し、今後も深掘っていこうとしています。石原さんは日ごろから、「好きな人、なりたい人のそばにいるようにしている」そうで、こうした考え方も、組織の成長の原動力となるカルチャーづくりに活きている、そして、カルチャーづくりにやりがいを持っている源なのだろうと感じます。

 

起業している方々や起業経験者の間では当たり前なのかもしれませんが、3人がそれぞれ、自分の中に「未来のあるべき姿」を描いていて、それに向かって毎日一生懸命ビジネスに取り組んでいることがものすごく実感できました。これは学生にも伝わったと思います。

3 結局のところ、学生起業っていいのか?

3人の話はどれも、学生に向けたメッセージにあふれていたと思います。学生からの質問も、

  • 学生起業はしたほうがいいのか? 学生起業のメリットはどのようなものか?
  • 日ごろ、習慣化していることはどのようなことか?
  • お客さまからの要望をどのように引き出しているか?

などいろいろ。このほか、安田さんのSNS(https://x.com/sushi_koki)をフォローしている田山さんから安田さんに対して質問するという一幕もありました。

学生へのメッセージも含め、学生起業はしたほうがいいのか、そしてメリットは何かについて、3人からは次のような回答発言がありました。面白いです!

 

●安田さん

「学生起業は別にやらなくてもいい。デメリットも多い。メリットがあるとすると早く経験値を積めるということくらい。ほとんどの学生起業家は大企業出身の起業家に実績で抜かされる。」(のっけからのこの発言に、良い意味でざわつく会場)

「スポーツや芸術もすべての人ができるわけでないのと同じように、起業は適性もあるし、どちらかというと、『起業しよう』というより『起業しちゃった』という、やりたいことがあって動いちゃって(行動が先で)どうしようもない人がやるもの」

「大企業に就職するのもすばらしいと思う。そのへんの起業家では扱えない大きな仕事に携わることができるし、外貨を稼いでいるのもほぼ大企業。学生起業をしないで大企業に就職して、そこで培ったネットワークや仕事の進め方、調整の仕方などを携えてから起業するほうが、大きくインパクトを与える最短ルートだと思う」

「早いうちに海外に出る、海外と接点を持つのはいいと思う。どこに行っても20代のうちだとかわいがられる。大きな仕事をやりたい場合は特に語学を早くからやっておいたほうがレバレッジを効かせられる」

 

●田山さん

「学生だからとかに限らず、やりたいことがあれば起業するのはいいと思う。メリットとしては、起業すればそういう界隈の人、業界の人とかとの接点を持ちやすい。起業やスタートアップにかかわる言語で話すこともできるようになる。世界が変わる」

 

●石原さん

「学生の今だからこそ、起業にチャレンジできるチャンス。今後の長い人生の中で、おそらく、学生のときほど無謀に、リスクを考えずにチャレンジできるときは無いはず。これが学生起業の大きなメリット」

 

最後に、「今後、やること(事業など)は環境に応じて変えていくか? 変えていくとしたらどういうタイミングか?」という未来に向けた質問への回答が、これまた三者三様だったので、ご紹介してしめくくろうと思います。

安田さん「そのときそのときで、心が動くことをやろうかな、と」

田山さん「成功度合い、成長度合いを見て。自分が成長したと思ったら次のことをやる」

石原さん「世の中が変わっていく予兆をつかんで、それに応じて点をずらしていくイメージ」

3人とも、ビジネスもさることながら人としてもとても魅力的、かつ、大変なこと面倒なことも大いに経験しているのが伺えました。とにかく相手のこと、かかわる人のことを考え、大事にする。陳腐な言い方ですが、本当にすごい人というのは、人に優しいのだなと思います。

すべては自ら行動することで拓ける。今回、本当に、

「人生は、もっと自分で選択できる」

という力強いメッセージを感じました! そして、3人が

人とのつながり、出会いをとても大事にしている

という点も印象的でした。

すばらしい特別授業でした。学生の方々にも、大きな何かが伝わったと思います。有り難うございます!

以上(2024年9月作成)

【税の勘所】押さえておきたい税金の「金額」

書いてあること

  • 主な読者:主な「税金」のことを、具体的なイメージで把握したい人
  • 課題:税金は複雑で、具体的に「どれくらい払うのか?」などが分かりにくい
  • 解決策:主な税金について、具体的な数字で「金額、期間、パーセンテージ」を把握する

1 押さえておきたい税金の「金額」

この記事では、主な税金(法人税・所得税・消費税・相続税・贈与税)に関する「金額」を整理します。

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2 5億円超:消費税

5億円超は、消費税で一部の仕入税額控除が認められなくなる課税売上高です。

消費税の納税額は次のように計算されます(簡易課税制度の場合を除く)。

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課税売上げに係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を差し引くことを仕入税額控除といいます。消費税の仕入税額控除の計算方法には、

  1. 全額控除方式:課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除
  2. 個別対応方式:課税仕入れ等に係る消費税額の一部を控除
  3. 一括比例配分方式:課税仕入れ等に係る消費税額の一部を控除

の3つがあり、全額控除方式を利用できるのは、

課税期間における課税売上割合が95%以上で、かつ課税売上高が5億円以下の事業者

に限られます。課税売上割合とは、全体の売上高のうち、課税売上高(消費税が課される売上高)が占める割合です。

そのため、課税期間における課税売上割合が95%未満の場合、または課税売上高が5億円超の場合は、個別対応方式または一括比例配分方式のいずれかを利用することになり、課税仕入れ等に係る消費税額が一部控除できなくなります。

3 1億6000万円:相続税

1億6000万円は、相続税の配偶者に相続税がかからない取得財産の金額です。

配偶者が財産を相続する場合、同一世代間における財産の移転の場合が多いことや、配偶者は被相続人の遺産形成に貢献していること、また、被相続人が死亡した後の配偶者の生活水準を保つなどの理由から、相続税を軽減する措置が設けられています。

そのため、配偶者が財産を相続した場合、その財産の額が次のいずれか多い金額までは配偶者に相続税はかかりません。

  • 1億6000万円
  • 配偶者の法定相続分相当額(相続人が配偶者と子の場合は、遺産の2分の1相当額)

4 1億円以下:法人税

1億円以下は、法人税の優遇措置を利用できる中小企業者等の判定に関する金額です。

法人税には、中小企業者等が利用できるさまざまな優遇措置があります。主な優遇措置は次の通りで、いずれも資本金が1億円以下でなければ利用できません。

  1. 法人税の軽減税率
  2. 交際費等の損金不算入制度における定額控除限度額(年800万円)
  3. 欠損金の繰越控除
  4. 欠損金の繰戻還付
  5. 貸倒引当金の法定繰入率
  6. 特定同族会社における留保金課税の不適用
  7. 少額減価償却資産の取得価額の損金算入
  8. 賃上げ促進税制(中小企業向け)の適用

ただし、注意点があります。上記1.~6.は、資本金が1億円以下でも、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係にある場合は利用できません。

また、上記7.~8.については、資本金が1億円以下でも、大規模法人に発行済株式の2分の1以上を所有されている場合、または2以上の大規模法人に発行済株式の3分の2以上を所有されている場合などは利用できません。なお、大規模法人とは、資本金が1億円を超える法人、資本もしくは出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1000人を超える法人、又は大法人(資本金が5億円以上である法人)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人をいいます。

5 5000万円以下:消費税

5000万円以下は、消費税の「簡易課税制度」が選択できる課税売上高です。

簡易課税制度は、事業の種類に応じ、課税売上高に一定割合を乗じて仕入税額控除を計算する方法で、

小規模事業者だけ

が利用できます。原則的な消費税の計算方法は複雑なので、簡易課税制度で小規模事業者の負担を軽減しています。簡易課税制度は、その課税期間の前々年または前々事業年度における課税売上高が5000万円以下で、「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出している事業者が利用できます。

6 2000万円超:所得税

2000万円超は、所得税の確定申告をしなければならない給与の年間収入です。

給与所得者は年末調整をするので、ほとんどの人は確定申告をする必要はありません。しかし、当該給与所得以外にも所得がある場合や給与の年間収入金額が2000万円を超える場合は、年末調整の対象外となるので、自身で所得税の確定申告をしなければなりません。

7 2000万円超:所得税

2000万円超は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)が受けられない合計所得金額です。

住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローンを利用して、マイホームの取得や増改築した場合に、その住宅ローンの年末残高を基に計算した一定額を住み始めた年分以後の各年分の所得税額から控除できる制度です。住宅借入金等特別控除は、適用する年の合計所得金額が2000万円を超える年分については対象外となります。

8 2000万円以下:贈与税

2000万円以下は、住宅取得資金贈与を受けるための受贈者の要件の1つとなる金額です。

投資や賃貸用ではなく、自身の住宅を取得するため、直系尊属である父母や祖父母などから贈与により金銭を取得した場合、一定の金額までは贈与税がかかりません。この特例を受けるには、贈与を受けた年の受贈者(贈与を受ける人)の合計所得金額が原則2000万円以下であるなどの要件を満たす必要があります。

9 1000万円以下:消費税

1000万円以下は、消費税の納税義務が免除される基準期間の課税売上高です。

事業者は、国内において行った資産の譲渡や貸付け、役務の提供について、消費税を納めなければなりません。ただし、基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合、一定の場合を除き、消費税の納税義務が免除されます。

10 1000万円未満:消費税

1000万円未満は、消費税の納税義務が免除される基準期間が無い場合の資本金の額です。

新規に設立された法人は基準期間がありません。そのため、その事業年度開始の日における資本金が1000万円未満なら、一定の場合を除き、消費税の納税義務が免除されます。

11 850万円超:所得税

850万円超は、所得税の給与所得控除の上限となる収入金額(195万円控除)です。

給与所得の金額は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて計算し、上限は195万円です。

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12 800万円:法人税

800万円は、中小法人における交際費等の損金算入限度額の1つとなる金額です。

原則として交際費等は損金算入できませんが、資本金が1億円以下の法人(中小法人)は、特例として、年800万円(定額控除限度額)まで交際費等を損金算入できます。ただし、資本金が1億円以下でも、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係にある場合は対象外です。

なお、交際費等のうち、接待飲食の費用の50%相当額は損金算入できるので、年800万円と比較して有利なほうを選択しましょう。

13 800万円以下:法人税

800万円以下は、中小法人が法人税の軽減税率を受けられる所得金額です。

普通法人の場合、各事業年度に適用される税率は次の通りです。中小法人の場合、年800万円以下の所得金額部分については、通常よりも低い税率(軽減税率)が適用されます。ただし、資本金が1億円以下でも、資本金が5億円以上の法人と完全支配関係にある場合、軽減税率が適用されません。

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14 300万円以下:法人税

300万円以下は、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を全額損金算入できる限度額です。

中小企業者等が、取得価額が30万円未満である少額減価償却資産を取得した場合、取得価額の全額を損金算入できます。ただし、1事業年度に損金算入できる限度は300万円以下です。事業年度が1年未満の場合は、月数で按分します。

15 110万円以下:贈与税、相続税

110万円以下は、贈与税(暦年課税)および相続時精算課税の基礎控除額です。

贈与税は個人が個人から財産をもらったときに課される税金ですが、個人がその年の1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら贈与税はかかりません。これを「基礎控除」といいます。基礎控除は、贈与をした人ごとではなく、贈与を受けた人ごとに1年間で110万円となります。なお、死亡日以前7年間(2023年12月31日以前の贈与については3年間)の分については、基礎控除分であっても、相続財産に加えることになっており、相続税の対象になります。

また、2024年1月以降は、相続時精算課税(贈与税については2500万円までの特別控除が受けられるが、贈与した財産については相続時にまとめて相続税が課せられる制度)の適用を選択した場合でも、毎年110万円の基礎控除が設けられるようになりました。以前は、相続時に生前贈与した財産の全額が相続税の課税対象となっていましたが、2024年1月以降の贈与については、毎年110万円を控除した残額の合計が相続税の課税対象とります。

16 1万円以下:法人税

1万円以下は、交際費等から除かれる一定の飲食代の1人当たりの金額です。

飲食等の費用のうち、1人1万円以下までなら損金算入できます。1万円の判定は、法人が適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)に応じて行われます。

なお、経営者や社員、その親族の接待で使った飲食代は、1万円以下でも損金算入できません。

以上(2024年9月更新)
(監修 税理士 谷澤佳彦)

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画像:Charnchai saeheng-Adobe Stock

経営者のマイカー通勤に潜むリスク。きちんと対策を講じて安全運転!

書いてあること

  • 主な読者:マイカー通勤をしている経営者やその会社の総務担当者など
  • 課題:交通事故のリスクを低減したい
  • 解決策:自家用自動車管理業に運転を委託するなど、交通事故のリスク低減に努める

1 経営者のマイカー通勤にはリスクがある

皆さんの会社では、マイカー通勤(社用車・社有車を含みますが、便宜上、「マイカー通勤」と表記します。以降、同様)を認めていますか。

マイカー通勤は便利で気楽な半面、交通事故のリスクがあります。特に、会社を代表する経営者が交通事故を起こしたり、交通事故に巻き込まれたりしたら深刻な影響が及ぶ恐れがあります。中には、高齢でありながらマイカー通勤を続けている経営者もいるでしょう。しかし、たとえ運転免許の更新ができたとしても、加齢に伴う身体機能の低下を考えると過信は禁物です。

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交通事故件数は減少傾向にありますが、依然として年間28万件以上の交通事故が発生しており、65歳以上のドライバーが起こしてしまう事故は約25%に達します。経営者がマイカーを運転して通勤する途中に交通事故の加害者・被害者になっても不思議ではない状況ですが、その場合、次の問題が生じます。

  • 経営者が死傷した場合、会社の意思決定に支障を来す
  • 経営者や会社が刑事上・民事上の責任を問われ、多額の損害賠償を請求されたり、社会的信用が損なわれたりする

この記事では、マイカー通勤中の経営者が交通事故の当事者となった場合、どのような問題点があるかを整理した上で、交通事故のリスクを回避する方法の一例を提案します。総務担当者などが中心となって、経営者のマイカー通勤のリスクを改めて見直してみてください。

2 経営者が交通事故の当事者となってしまった場合

1)経営者自身の死傷

経営者が入院や自宅療養を余儀なくされる場合、一時的とはいえ、会社は経営者不在の状況となり、意思決定に支障を来します。資金調達など会社の重要な機能が滞る恐れもあるでしょう。また、負傷の程度によっては、経営者ご自身の体が事故前の状態に完全に戻るとは限りません。

最悪の事態として経営者が急逝してしまった場合、ほとんど準備をしていない状況で後継者を決め、事業を存続させていかなければなりません。

2)会社の信用度の低下

相手が死亡するなどの重大な交通事故を起こした経営者は、自身が思い悩むことはもちろん、社会から非難され、経営者としての立場を続けることが難しくなるかもしれません。

もちろん、過失割合の大小にかかわらず、その事実が明るみに出た時点で会社のイメージも悪化するでしょう。

3)刑事上・民事上の責任

死者や重傷者が出てしまうような重大な交通事故なら、刑事上・民事上の責任を問われることになります(この他に行政上の責任がありますが、この記事では割愛します)。

まず刑事上の責任です。自動車の運転上必要な注意を怠り他人を死亡させてしまった場合、運転者は過失運転致死傷罪に問われる恐れがあります。これが確定すると、7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金が科されます。

民事上の責任は、交通事故の被害者や遺族に対する損害賠償です。交通事故の状況や被害の大小によって損害賠償の内容は異なりますが、被害者が死亡してしまった場合は、より高額になります。通常、賠償金は損害保険を利用して支払いますが、任意保険の補償金額で足りなければ経営者自身が負担することになりますし、会社が「経営者のマイカー通勤を認めている場合」などは、会社に責任が及ぶ恐れもあります。

3 交通事故のリスクを回避するための方法

1)マイカーの運転や管理を自家用自動車管理業に委託する

自動車(というハード)があれば、それに対して運転、整備、修理、燃料、消耗品などのソフト面を任せることができるのが「自家用自動車管理業」です。そのため、自分で車両を管理する手間が省けるといったメリットがあります。

自動車保険は自家用自動車管理業のほうで契約(保険料は依頼者側が負担)し、交通事故発生時の補償や処理も自家用自動車管理業側で行ってもらえます。

■日本自動車運行管理協会■

https://www.ajva.or.jp/service/index.html

2)タクシーやハイヤーを利用する

どちらも車で目的地に移動するという点では同じですが、ハイヤーは完全予約制かつ、タクシーよりもサービスが充実しています。利用料金も異なるため、通勤の頻度や利用シーンによって使い分けると良いでしょう。

3)専属の運転手を確保する

自社雇用、もしくは外部委託で専属の運転手を確保するのも一策です。自社雇用であれば、自社で重視する条件に合わせた雇用、育成ができる点がメリットになります。一方で、外部委託であれば、車両の運転のみなど、業務の範囲が限られますが、求人、採用、管理などのコスト削減につながる点がメリットになります。

ただし、万一の交通事故発生時の責任や処理は自社で行う必要があることに注意が必要です。

4)企業向け安全教育を活用する

交通事故が発生しやすい状況の確認であったり、継続的に自身の運転能力や適性を把握したりすることでも交通事故のリスク回避につながります。

例えば、JAF(日本自動車連盟)では、安全運転のコツ「ウェブトレーニング」をウェブサイト上で公表しており、交通安全トレーニングや危険予知トレーニングなどを閲覧することができます。

■JAF 安全運転のコツ「ウェブトレーニング」■

https://jaf.or.jp/common/safety-drive/online-training

5)通勤頻度を減らす

在宅勤務やサテライトオフィス勤務などのリモートワークによって、オフィスに通勤する頻度を減らすのも、交通事故のリスクを軽減する一策です。燃料費の削減や移動時間の短縮にもつながります。

6)他の通勤手段と併用したり、置き換えたりする

自転車通勤などによって、自動車を使う距離を短縮するのも1つの方法です。燃料費の削減や身体面・精神面の健康増進にもつながります。

ただし、自転車通勤でも走行時のヘルメットの着用、自転車損害賠償責任保険の加入など、交通事故のリスクを低減するための対策は欠かせません。

以上(2024年9月更新)

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画像:pexels

【中堅社員のスピーチ例】「ありがとう」でストレスが減る

おはようございます。今日は、私の最近の勤務態度について反省を述べさせていただきたいと思います。最近、私は仕事をため込んで夜遅くまでの残業が続き、イライラする日々を送っていました。おそらく皆さんにも、私のイライラが伝わって、不快な思いをさせてしまったと思います。本当に申し訳ありません。

一方、今はどうなのかと言うと、とても気持ちが落ち着いています。仕事が山場を超えたからというわけではありません。上司から「ストレスを感じたときこそ、これを心がけなさい」という極意を教わったからです。

それは、「ありがとう」をたくさん人に伝えるというものです。例えば、先輩が仕事を教えてくれた。後輩が仕事を手伝ってくれた。外部の清掃員さんが手すりやトイレを掃除してくれた。こうした1つ1つのコトについて、「ありがとう」と言葉に出して、感謝を伝えるのです。

「なんだかうさんくさい」「親や学校の説教みたい」と思うかもしれませんが、実は「感謝」を意識すると、自身のストレスが軽減されるというのは、科学的にも証明されていることです。海外の心理学者ロバート・エモンズ氏が「ちょっとしたことでよいので、感謝できることを5つ書き、それを続けてもらう」という実験を行ったところ、感謝できることを毎日考えたグループは、何もしなかったグループに比べて幸福感が高くなり、身体的な不調も減少したといいます。

正直に言うと、私も最初、上司から「ありがとう」をたくさん人に伝えなさいと言われたときは、不満でした。今思い起こすと恥ずかしいですが、「私は毎日、夜遅くまで仕事をしているのに、何を人に感謝しろというのか。私こそ、もっと感謝されるべきだ」と、思っていたのです。誰かに、何かを「してやっている」という意識が強いから、こういう思考になってしまうわけですが、嫌な気持ちで仕事に向かうから、当然ストレスはたまる一方です。

ですが、あえて「してやっている」という意識から離れて、「していただいている」ことに目を向けてみると、実は自分は意外と恵まれているのだということに気付きました。先輩も後輩も支えてくれるし、清掃員さんのおかげでオフィスも清潔に使える。こう考えると、何だか肩の荷が下りた気分になり、それまでよりも穏やかな気持ちで仕事に向かうことができたのです。仕事量そのものが減るわけではありませんが、気持ちが落ち着いてくると、「まぁ、頑張ってみるか」と仕事に対する向き合い方も変わってきます。

もし、皆さんの中に仕事でストレスを抱えている人がいたら、まずは自分に何かをしてくれた人のことを思い起こしてください。そして、その人に「ありがとう」を伝えてみてください。最初は少し恥ずかしいかもしれませんが、続けていくと、次第に感謝を伝えている自分のほうが、心地よい気分になっていきます。

以上(2024年9月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【中小企業の予算(3)】実用的な予算管理にするための「予算」と「予測」の使い分け

書いてあること

  • 主な読者:予算管理を自社に取り入れたい、あるいはしっかり取り組みたい経営者
  • 課題:予算と予測の違いがあやふやで、現場の担当者でも明確にその違いを答えられない人も多い
  • 解決策:予算は「こうなりたい」という目標、予測は「こうなるだろう」という見込みである

1 予算と予測の違いを正確に答えられますか?

管理会計における「予測」という言葉を聞いたことはありますか。また、何のための数値なのか正確に答えられますか。

実は、予測を作っている担当者でも、十分に答えられる方はそう多くありません。なぜなら、実務の中では予測は漠然としていて、位置づけが難しいものだからです。この点を理解した上で、予測について、予算との違いも含めて考えていきましょう。

予算が「こうなりたい」という目標(理想や期待を含めた数値)

であるのに対し、

予測は「こうなるだろう」という見込み(現実的な数値)

です。そのため、予算と予測は一致するとは限りません。

期が進むと実績が出てきますが、一般的に実績は予算とずれてきます。このため予算(目標)を達成するためには、予測(見込み)を明らかにしなければなりません。予算(目標)と予測(見込み)の数値にズレがあれば、目標達成に向けて先の行動計画を変更することとなります。

具体的に3月決算の会社を例に、半期予測について考えてみましょう。

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まずは、4月から9月までの月次決算の実績を出します。さらに、この時点の最新情報をもとに、10月から翌3月までの売上や利益を予測します。

これらの実績と予測を足し合わせると年度の予測の数値を出すことができます。この予測と年度初めに立てた予算を比較して、年度の予算と半期の予測との間にどれくらいの差があるのかを計算することができます。これをもとに、予算が達成できるように残り半年の行動を修正していきます。

ちなみに、4月から6月までの実績が出た時点で行う予測を第1四半期時点予測(1Q時点予測)、12月までの実績が出た時点で行う予測を第3四半期時点予測(3Q時点予測)といい、より頻度を増やして予測と予算のズレを把握する会社もあります。

2 予算(目標)と予測(見込み)の使い分け

予測は日々刻々と変化していきます。年度が始まり時間が経過するにつれて不確定要素は減り、

より現実的な年度の着地見込みが見えてくる

のです。ここに予測を作成する意味があります。

決算直前になって予算(目標)と予測(見込み)に差がある場合だと、挽回が難しいかもしれませんが、半年たったあたりであれば、残り半年の行動を変えていけば予算達成が望めるということもあります。やはり、早めに「予算(目標)」と「予測(見込み)」のズレを把握することが大事になります。

これを、わかりやすくダイエットを例にして考えてみましょう。「現在体重は60キロ。6カ月後の年末までに55キロ(5キロ減量)にする」という目標を立てたとします。

目標を達成するためには、具体的な計画(運動やジムに通うことで3キロ、食事制限で2キロ減量するなど)や、進捗管理(1カ月ごとの体重把握など)も重要です。

ダイエットスタートから1カ月後で、0.7キロ減量の実績が出たとします。このペースを維持した場合の年末の見込みは0.7キロ×6カ月で、最終的に4.2キロ減量なので、55.8キロとなり、目標が達成できないことが明らかになります。

そこで、翌月以降からは0.9キロ減量できるように行動計画(ダイエット内容)を変更し、目標達成を目指します。例えば、運動の量を増やします。そうすると年末の見込みは、0.9キロ×残り5か月(=4.5キロ)で、最終的に5.2キロ(最初の月の0.7キロ+4.5キロ)減量なので、54.8キロとなり、目標が達成できます。

予算管理でいえば、最初に立てた目標が予算に当たり、1カ月ごとの実績を加味した上での見込みが予測に当たります。ダイエットの例と同様、1カ月置きに予測(見込み)を見直した上で、定期的に予算(目標)と予測(見込み)のズレを把握し、予算(目標)を達成できるよう行動を修正していきます。

3 修正予算はあくまで予算、予測とは別物です

予測の説明をすると、「予測は修正した予算のことでしょうか」という質問を受けることがあります。結論から言うと、

予測と修正予算は全くの別物

です。

予算は達成したい目標なので、期の初めに立てた予算は一度決めたら変えないことが原則です。しかし、会社が置かれている状況に大きな変化があった場合には、予算を変えざるを得ません。例えば、急激な円安の進行や会社の方向性が変わったというような場合には、もとの予算を目標とし続けることは、むしろ無意味になってしまいます。

このような場合には、なるべく早く予算を修正して、それを新しい目標とします。その上で、従業員に対して新たな予算について、変更点やその背景などを含めて伝える必要があります。この新たな予算が「修正予算」と呼ばれるものです。

このため、修正予算は期の初めに立てた予算と同類であり、予算は目標という位置づけですので、修正予算も目標に当たります。

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やはり、理想や期待を込めたものであり、現実的な数値である予測(見込み」とは異なります。修正予算と予測が混同されがちなのは、年度の途中で作成される共通点があるためですが、その性質は大きく異なる点は意識するようにしましょう。

以上(2024年9月作成)

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画像:thanksforbuying-Adobe Stock

労務トラブル発生時の対応と予防策~中小企業のためのリスクマネジメント~

労務トラブルを未然に防止し、安心して働き続けられる職場づくりのトラブル予防策をはじめ、万が一、労務トラブルが発生してしまった場合でも、迅速かつ円満な解決を目指すための対応策について考えます。

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2024年11月施行!「フリーランス新法」中小企業が確認しておきたいポイント

新法では、企業がフリーランスに業務委託をする際に守らなくてはいけない事項などが定められています。とくに資本金が1千万円に満たず、今まで「下請法」の適用がなかった中小企業にとっては、新法対応のための社内制度をゼロから作り上げる必要があり、負担が大きいといえるでしょう。そこで今回は、フリーランスと取引をする場合のポイントと法改正対応についてご説明いたします。

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