同僚からのいじめで、会社を訴えることはできますか。

QUESTION

同僚からのいじめで、会社を訴えることはできますか。

ANSWER

会社を訴えることはできます。

解説

同僚が個人的感情から行ったいじめでも、労働契約に付随する職場環境配慮義務を欠いたとして、会社を訴えることができます。上司がいじめ被害の訴えを軽視し、適切な改善措置を講じなかったときは、この職場環境配慮義務を怠ったとみなされます。
セクハラが男女雇用機会均等法により明確に禁止されているのに対し、職場でのいじめについて禁止している法律はありません。
しかし、最近は人格権侵害を理由として損害賠償を裁判で求める例が増加しています。
また、平成24年1月30日、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」によると、職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。」とされています。
上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれると提言されていますので、今後会社としても対応を検討しておく必要があります。

なお、職場におけるハラスメント防止対策が強化され、パワーハラスメントが職場で起きないように事業主は防止措置を講じることが義務化されました。(大手企業:令和2年6月1日、中小企業:令和4年4月1日)
会社としてパワーハラスメントを放置することがないように対応が必要です。

《参考》訴訟に向けての準備・プロセス
 1.メモやテープに証拠を残す。
 2.上司に相談する。
 3.労働組合にいじめを訴える。
 4.弁護士を通じて会社に対策を求める内容証明書を送付する。
 5.いじめの差し止め仮処分を裁判所に申請する。
 6.損害賠償請求訴訟を起こす。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.99070

画像:Mariko Mitsuda

1日の残業手当を15分単位で計算してもいいですか。

QUESTION

1日の残業手当を15分単位で計算してもいいですか。

ANSWER

分単位で計算する必要があります。

解説

毎日の残業時間を15分単位で切り捨てることは、許されていません。
割増賃金の計算の便宜上、1ヶ月における時間外労働等の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは、賃金全額払いの原則に違反しないという通達があります。
これはあくまでも1ヶ月の時間外労働を合計した場合に適用される通達ですので、毎日の時間外労働は1分単位で記録する必要があります。
例えば、月に21日勤務して毎日15分残業した場合、毎日の残業時間は切り捨てることはできませんので、この1ヶ月の残業時間は5時間15分になります。通達では、この5時間15分の内の15分を端数として切り捨てても違法ではないとしています。
逆に毎日15分未満の端数を切り上げて計算することは、労働者にとって不利にはなりませんので違法ではありません。
《参考》
端数処理について、通達では次の通り定めています。

  • 1時間当たりの賃金額、割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げる。
  • 1ヶ月における残業手当、休日出勤手当、深夜残業手当の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げる。
  • 月給の支払い合計に100円未満の端数が生じた場合50円未満の端数を切り捨て、50円以上を100円に切り上げる。

ただし、3.の場合は、就業規則で定めることが必要とされています。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.92030

画像:Mariko Mitsuda

定年の社員について雇用延長した場合に給付金はありますか。

QUESTION

定年の社員について雇用延長した場合に給付金はありますか。

ANSWER

高年齢雇用継続給付金がありますが、高年齢雇用継続給付金の受給や在職老齢年金の仕組みにより、厚生年金が減額される場合があります。

解説

高年齢者雇用安定法によると、企業が労働者を60歳以降も継続して雇用するには、

  • 定年を引き上げるか
  • 定年を廃止するか
  • 再雇用するか

の3つの方法があります。
大半の企業が再雇用制度を導入しています。退職後に改めて雇用契約を結ぶことで、業務の見直し・賃金の引き下げが容易にできるからです。
60歳以降も働いた場合、高年齢雇用継続給付金が支給されることが多くなります。
同給付金は60歳以降の賃金が60歳到達時等賃金に比べ75%未満に減った場合、賃金額の減少率に応じて支給されます。
一方、60歳から受け取る厚生年金は、高年齢雇用継続給付金の額によっても減額されるのに加え、在職老齢年金という仕組みで賃金に応じて減額されます。
在職老齢年金の仕組みを簡単に説明すると、賞与を含めた月給(総報酬月額相当額)と1ヶ月分の年金の合計が47万円(令和4年4月1日改正)を超える場合に厚生年金が一部又は全部支給停止される制度となります。この仕組みによる厚生年金の減額を回避するには、

①賞与を含めた月給(総報酬月額相当額)と1ヶ月分の年金の合計が47万円以下とする
②社会保険の加入要件を満たさない働き方とする(原則として、在職老齢年金の仕組は社会保険の被保険者に適用されます。)

方法が考えられますが、②の方法による場合、原則として健康保険に加入できず、国民健康保険料の負担が生じますのでご注意ください。

《参考》総報酬月額相当額

標準報酬月額+1年間の標準賞与額の総額を12で割ったもの(≒年収額÷12)

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.97030

画像:Mariko Mitsuda

パートタイマーも社会保険に加入させないといけませんか。

QUESTION

パートタイマーも社会保険に加入させないといけませんか。

ANSWER

1週の所定労働時間及び1月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上である者については、原則として社会保険に加入させなければなりません。

解説

パートタイマーやアルバイトなど名称にかかわらず、正社員など通常の労働者の所定労働時間および所定労働日数の4分の3以上である労働者は、原則として社会保険に加入する必要があります。
また、平成28年10月1日以降、同一事業主の適用事業所の厚生年金保険被保険者数(短時間労働者を除く。)の合計が常時一定数を超える事業所に勤務する短時間労働者は、通常労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3未満であっても、一定の要件に該当する場合には社会保険への加入を義務付ける趣旨の法改正が随時行われています。
令和4年10月1日からは、同一事業主の適用事業所の厚生年金保険被保険者数(短時間労働者を除く。)の合計が常時100人を超える事業所に勤務する短時間労働者は、以下の要件に該当する場合、社会保険に加入する必要があります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 賃金の月額は8.8万円(年収106万円)以上であること
  • 雇用期間が期間が2ヶ月を超えて見込まれること(通常の被保険者と同じ。)
  • 学生でないこと

なお、適用される事業所規模要件について、令和6年10月1日から以下のとおり改正される予定です。

1. 事業所規模の要件
(変更前)同一事業主の適用事業所の厚生年金保険被保険者数(短時間労働者を除く)の合計が常時100人を超える事業所
(変更後)同一事業主の適用事業所の厚生年金保険被保険者数(短時間労働者を除く)の合計が常時50人を超える事業所

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.94020

画像:Mariko Mitsuda

有期契約のパートと無期契約の正社員、仕事に違いがない場合は賃金に差をつけてはいけないと聞きましたが、本当でしょうか。

QUESTION

有期契約のパートと無期契約の正社員、仕事に違いがない場合は賃金に差をつけてはいけないと聞きましたが、本当でしょうか。

ANSWER

期間の定めがあることを理由として、基本給・賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取り扱いをしてはなりません。

解説

令和2年4月1日(中小企業は令和3年4月1日)施行のパートタイム・有期雇用労働法は、第9条で「通常の労働者(正社員等)と同視すべきパート・有期雇用労働者」を対象として、差別取り扱いを禁止しています。

適用する際の考え方は、次の通りです。

  • 「職務の内容」「人材活用の仕組み(雇用関係が終了するまでのすべての期間が対象)」が通常の労働者と同一であるパート・有期雇用労働者が対象となります。
  • 対象労働者については、「基本給、賞与その他の待遇のそれぞれ」について、パート・有期雇用労働者であることを理由とする差別的取り扱いが禁止されます。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.94190

画像:Mariko Mitsuda

マイカー通勤途上の事故で会社が責任を問われることがありますか。

QUESTION

マイカー通勤途上の事故で会社が責任を問われることがありますか。

ANSWER

社員が完全に自分の都合だけでマイカー通勤をしているということでなければ、会社は使用者責任や運行供用者責任を問われる可能性があります。

解説

社員が完全に自分の都合だけでマイカー通勤をしているということでなければ、会社は使用者責任や運行供用者責任を問われる可能性があります。
マイカー通勤が何らかの形で業務と関連性があり、会社の支配が及んでいると考えられるのは、次の場合です。

  • マイカーを会社業務にも使用していた場合
    この場合、通勤途中の事故についても会社が使用者責任、運行供用者責任を負います。
  • 会社がマイカー通勤を命令し、又は助長していた場合マイカー通勤を命じることや、ガソリン代や修理費等を支給してマイカー通勤を助長した場合は、会社が使用者責任、運行供用者責任を問われることになります。
  • マイカー通勤することが業務上も好都合であるために会社が承認、黙認していた場合
    この場合も、業務との関連性や会社の運行支配・運行利益が生じてくるため、会社が使用者責任、運行供用者責任を負います。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.95040

画像:Mariko Mitsuda

働き方改革関連法の時間外労働の上限規制とはどのようなものですか?

QUESTION

働き方改革関連法の時間外労働の上限規制とはどのようなものですか?

ANSWER

残業させることができる時間数の上限が法律で規定され、違反した場合の罰則が設けられました。

解説

「時間外労働の罰則付き上限規制」が平成31年4月1日施行(中小企業:令和2年4月1日施行)され、1か月及び1年に残業させることができる時間数の上限と罰則が法律に規定されました。法改正のポイントは次の通りです。

 1. 時間外労働(休日労働は含まず)の上限は、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えて労働させることはできなくなります。

 2. 臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下の通りとする必要があります。

  • 時間外労働         年720時間以内
  • 時間外労働 + 休日労働  月100時間未満、2~6か月平均80時間以内

 3. 月45時間を超えることができるのは、年6か月までです。

また、法律に違反した場合の罰則は、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金と定められています。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.92000

画像:Mariko Mitsuda

固定給と歩合給の併給のタクシー運転手の場合、最低賃金制度の時間当たり賃金算出には歩合給を含めますか。

QUESTION

固定給と歩合給の併給のタクシー運転手の場合、最低賃金制度の時間当たり賃金算出には歩合給を含めますか。

ANSWER

歩合給を含めます。

解説

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき、都道府県が賃金の最低限度を定め、使用者はその金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
タクシー運転手の賃金制度が、固定給と歩合給とが併給される場合であっても、オール歩合給の場合であっても、給与額を1時間当たりに換算した金額が、都道府県ごとに定められた最低賃金額未満となった場合、最低賃金法違反となります。
タクシー運転手で、固定給と歩合給が併給される場合、ある月の賃金を

  • 固定給(ただし、精皆勤手当、通勤手当及び家族手当を除く。)85,000円
  • 歩合給35,000円

として、所定労働時間を170時間、時間外労働時間を30時間、深夜労働時間を15時間と仮定します。
すると、総支給額は142,594円になります。内訳は、

  • 固定給に対する時間外割増賃金は、
     85,000円÷170時間×1.25×30時間=18,750円
  • 固定給に対する深夜割増賃金は、
     85,000円÷170時間×0.25×15時間=1,875円
  • 歩合給に対する時間外割増賃金は、
     35,000円÷200時間×0.25×30時間=1,313円
  • 歩合給に対する深夜割増賃金は、
     35,000円÷200時間×0.25×15時間=656円

となります。これらを合算して、固定給・歩合給に加えると総支給額になります。
固定給と歩合給が併給されている場合は、それぞれ時間当たりの賃金額を算出し、これらを合算したものが時間当たりの賃金額となります。

  • 固定給部分について、85,000円÷170時間=500円
  • 歩合給部分について、35,000円÷200時間=175円

固定給と歩合給の合算額は675円となります。
この時間当たりの賃金額675円をその地域の最低賃金と比較することになります。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.92120

画像:Mariko Mitsuda

お客様が来ないときは休憩して良いという時間は労働基準法上の休憩時間になりますか。

QUESTION

お客様が来ないときは休憩して良いという時間は労働基準法上の休憩時間になりますか。

ANSWER

労働基準法上の休憩時間ではありません。

解説

労働基準法34条1項は、使用者は労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならないと定めています。
また、使用者は事業場ごとに労働者に休憩時間を一斉に与えなければなりません(法34条2項)。
この休憩時間一斉付与の原則には、物品の販売などの法令による例外と労使協定による例外が認められています。
休憩時間は、単なる作業休止時間ではなく、労働者が自由に利用できる時間でなければなりません。これを自由利用の原則といいます。
例えば、午前10時から12時までの間のお客様の来ないときを見計らって適宜休憩をとってよいという契約は、来客があれば即座に仕事にかからなければならないのであるから、単に手待時間すなわち労働時間であるという判例があります。
また、店舗などで店員が客待ちをしている時間は、手待時間ではなく、現実に労働している時間とされています。
行政解釈では、休憩時間かどうかは、労働者が自由に利用できる時間かどうかであるとされています。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.93020

画像:Mariko Mitsuda

派遣期間の限度はどれくらいですか。また、延長をすることはできますか。

QUESTION

派遣期間の限度はどれくらいですか。また、延長をすることはできますか。

ANSWER

派遣先事業所単位、派遣労働者個人単位ともに3年が限度になります。

解説

労働者派遣契約では、すべての業務に対して、派遣期間に次の2種類の制限が適用されます。
ただし、例外として、派遣元で無期雇用されている派遣労働者、60歳以上の派遣労働者等は対象外となります。
1.派遣先事業所単位の期間制限
  同一の派遣先の事業所において、労働者派遣の受入れを行うことができる期間は、原則、3年が限度となります。
2.派遣労働者個人単位の期間制限
  同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」など)において受けいれることができる期間は、3年が限度となります。
同一の派遣先の事業所において、3年を超えて労働者派遣を受け入れようとする場合は、派遣先の過半数労働組合(組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)からの意見を聴く必要があります。
意見聴取は、期間制限の抵触日の1ヶ月前までに必要であり、過半数労働組合等から異議が示されたときは、対応方針等を説明する義務があります。

なお、この労使協定により派遣先事業所単位の期間制限を延長した場合であっても、派遣労働者個人単位の期間制限は延長されないため、同一の派遣労働者を、同一の組織単位(いわゆる「課」など)に3年間受け入れている場合には、直接雇用へと切り替えたり、別の組織単位での受け入れへと変更するなどの対応が必要となります。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.94090

画像:Mariko Mitsuda