育児・介護休業法が改正され、父母がともに育児休業を取得する場合、育児休業取得可能期間が、子が1歳から1歳2ヶ月に達するまでに延長されましたが、父母それぞれが取得できる休業期間に変更はありますか?

QUESTION

育児・介護休業法が改正され、父母がともに育児休業を取得する場合、育児休業取得可能期間が、子が1歳から1歳2ヶ月に達するまでに延長されましたが、父母それぞれが取得できる休業期間に変更はありますか?

ANSWER

父母それぞれが取得できる休業期間(母親は産後休業期間を含む)の上限は、1年間です。

解説

平成22年の育児・介護休業法改正により、父母がともに育児休業を取得する場合の原則的な育児休業取得可能期間が「1歳に達するまで」から「1歳2ヶ月に達するまで」となる制度(パパ・ママ育休プラス)が導入されましたが、この場合であっても、父母それぞれが取得できる原則的な育児休業期間(母親は産後休業期間を含む。)の上限は、1年間となります。

なお、令和4年4月1日改正により、有期雇用労働者の取得要件が緩和されて、入社1年未満のパート・アルバイトの者であっても育児休業を取得することができるようになりました。その結果、法律による育児休業取得の制限は、次に該当する場合のみとなります。

子が1歳6ヶ月(延長した場合は2歳)までの間に契約が満了することが明らかな場合

ただし、労使協定を締結することにより、次に該当する者を対象外とすることができます。

  • .入社1年未満の従業員
  • .申出の日から1年(1歳から1際6ヶ月まで又は1歳6ヶ月から2際までの育児休業の場合は、申出の日から6ヶ月)以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員
  • .1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

また、令和4年10月1日改正により、下記のとおり制度が改正され、育児休業をより取得しやすくなりました。

  • 産後パパ育休(出生時育児休業)の創設
    出生時育児休業とは、子が1歳に達するまでの育児休業とは別に、子の出生後8週間以内の期間に4週間(28日以内)の休業(出生時育児休業)を取得できる制度であり、2回に分割して取得することが可能です。
  • 育児休業の分割取得
    現行法では、育児休業の申出回数が1子につき1回限りとされていますが、改正後は2回まで可能とされます。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.99140

画像:Mariko Mitsuda

失踪して無断欠勤を続ける従業員を解雇していいですか。

QUESTION

失踪して無断欠勤を続ける従業員を解雇していいですか。

ANSWER

解雇することはできますが、就業規則の整備が必要です。

解説

失踪して無断欠勤を続ける従業員を解雇することはできます。しかし、無断欠勤の社員を無条件に経営者の裁量で解雇することは許されていません。
無断欠勤の従業員を合法的に辞めさせるには、まず、就業規則の整備が必要です。

  • 退職に関する項目として、一定期間が経過した場合に労働契約が解消される規定を設ける。
    (例)無断欠勤が2週間以上続いた場合は退職扱いとする。
  • 懲戒事由に関する項目として、一定期間が経過した場合に懲戒解雇事由に該当するとの規定を設ける。
    (例)無断欠勤が2週間以上続いた場合

1.は解雇ではなく退職事由の発生による退職です。この2週間は、雇用の期間の定めのない場合は、雇用は解約の申込み後2週間の経過によって終了するという民法627条1項によっています。
2.は懲戒解雇事由であり、解雇とするには解雇予告又は解雇予告手当が必要です。ただし、即時解雇も可能です。理由のない無断欠勤が2週間以上続き、出勤の督促にも応じない場合が、解雇予告除外認定の許可基準の一つになっているからです。
実務的には、無断欠勤が始まるとすぐに、必ず本人に電話連絡をし、出勤を促した事実の日付と時刻を残しておくことが重要です。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.96010

画像:Mariko Mitsuda

企業は障害者を必ず雇用しなければならないと聞きましたが、本当でしょうか。

QUESTION

企業は障害者を必ず雇用しなければならないと聞きましたが、本当でしょうか。

ANSWER

2024年4月1日以降、従業員数が40.0人以上の企業は、障害者の雇用(常用労働者数の2.5%の人数)が必要となります。
 
※週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1人で計算できるようになります。また、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者は、0.5人で計算できるようになります。

解説

常用労働者の数に対する障害者の雇用割合(障害者雇用率)の計算上、2021年3月1日以降、障害者を雇用しなければならない民間事業主の範囲は、従業員43.5人以上となっていました。2024年4月1日以降は、前述のとおり、40.0人以上の企業も対象となります。
なお、その事業主には、以下の義務も合わせて発生します。
①毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告する必要があります。
②障害者雇用推進者を選任するよう努める必要があります。

※本内容は2024年2月28日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.99160

画像:Mariko Mitsuda

年次有給休暇の申し出のタイミングを就業規則に定めてもいいですか。

QUESTION

年次有給休暇の申し出のタイミングを就業規則に定めてもいいですか。

ANSWER

定めても構いません。

解説

年次有給休暇に関しては、労働者に時季指定権があり、使用者に時季変更権があります。
使用者が事業上の都合を判断できる時間的余裕を与えるように、時季指定をする必要があります。
したがって、勤務割表を作成して最低要員で業務を行っているような事業では、就業規則等で休暇日の2日前までに時季指定を行うように定める場合があります。
判例では、この就業規則の規定は法律の課さない条件を課すものとして訓示的意味しか認められないとするものもあります。また、硬直的に運用しなければ、合理的な制約とする判例もあります。
すなわち、就業規則等に年次有給休暇は取得予定の「○日前までに所定の様式で請求すること」という規定は、合理的であれば認められます。
ただし、この手続に違反した請求の場合も、使用者は時季変更権行使の妥当性につき検討を行うべきです。
一般的には、年次有給休暇の請求に関する規定として、次の通り定めています。
第○条(年次有給休暇の請求)
年次有給休暇を受けようとするときは、所定の手続により予め所属長に届け出なければならない。ただし、請求の時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、所属長はその申し出の時季を他に変更させることがある。

  • 2 事前に届け出ることが不可能であったときは、事後の社員の申し出を会社が承認するときに限り欠勤日を年次有給休暇に振替えることができる。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.93100

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深夜が所定勤務の社員にも割増賃金は必要ですか。

QUESTION

深夜が所定勤務の社員にも割増賃金は必要ですか。

ANSWER

深夜割増は必要です。

解説

従業員を午後10時から午前5時まで働かせた場合、深夜割増手当として時給分の2割5分以上の手当を上乗せして支払う必要があります。
深夜の時間帯を所定労働時間として働く場合であっても、通常の延長で働く場合と同じく支払わなければなりません。深夜の最低賃金も通常勤務時間帯の時給分の2割5分増し以上という考え方になります。
就業規則等に深夜割増等も含む所定賃金と明定されている場合には割増手当は不要ですので、契約の際に、時給分に深夜割増が含まれていると明記することが重要です。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.92040

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自転車で会社通勤している場合、通勤手当を返金させることができますか。

QUESTION

自転車で会社通勤している場合、通勤手当を返金させることができますか。

ANSWER

返金させることができます。

解説

通勤にかかる費用は本来労働者が負担すべきものです。
しかし、社員の福利厚生の一環として住居や通勤経路の届出を求めたうえで、合理的な経路による費用を賃金の一部として支給する会社が多くなっています。
通勤手当は実際にかかる費用を支給するものなので、自転車で通勤して費用を支出していないのであれば、通勤手当を返還しなければなりません。
会社に経済的損害を与え、労働契約上の信義則に反するからです。
また、実際は自転車通勤なのに公共交通機関を利用しているように装えば、通勤経路の虚偽申告にもなります。
《参考》
札幌法務局職員が通勤手当を受け取りながら約4年間、徒歩などで通勤していたことが発覚した事件で、職員が不正受給分を全額返済したうえで、2005年9月に減給10%(1ヶ月)の処分を科されています。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.92160

画像:Mariko Mitsuda

高年齢者雇用安定法が改正され、継続雇用を希望した従業員は必ず雇用しなければならないと聞きました。ただ、給料など条件面で折り合いがつかず拒否された場合はどうすれば良いのでしょうか。

QUESTION

高年齢者雇用安定法が改正され、継続雇用を希望した従業員は必ず雇用しなければならないと聞きました。ただ、給料など条件面で折り合いがつかず拒否された場合はどうすれば良いのでしょうか。

ANSWER

労働条件等で合意が得られず、労働者が継続雇用を拒否しても、高年齢者雇用安定法違反ではありません。

解説

高年齢者雇用安定法が求めているものは、継続雇用制度の導入であり、定年により退職した労働者の希望に合致した労働条件を提供することまでを義務付けているものではありません。
従って、会社が合理的な条件を提示していれば、労働者と給与等の労働条件等で合意が得られず、結果的に労働者が継続雇用を拒否したとしても、高年齢者雇用安定法違反にはなりません。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.97100

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課長以上は残業代なしでいいですか。

QUESTION

課長以上は残業代なしでいいですか。

ANSWER

経営者との一体性がない限り、管理職にも、時間外手当を支払わなければなりません。

解説

労働基準法第41条では、監督もしくは管理の地位にある者は、労働時間、休憩、休日の規定は適用除外とされています。この管理者に該当すれば、時間外手当を支給する必要はありません(なお、深夜業の規定は適用除外とされていないため、深夜の時間帯(午後10時から午前5時)に労働させる場合は、深夜業の割増賃金を支払わなければなりません。)。
ただし、「名ばかり管理職」で注目を浴びた日本マクドナルドの判例などを見ると、

  • 経営に関する決定へ参画している
  • 労務管理に対する指揮監督権限が認められている
  • 自己の出退勤等労働時間について一般従業員のような規制を受けない
  • 賃金が厚遇されている

といった、勤務実態に即して判断すべきものとされています。
管理監督者と認められる事例は非常に少ないのが、現実です。
行政解釈では、労働者が管理監督者に該当するかどうかは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきであるとしています。
具体的には ①残業代を換算した場合に下の役職の者と賃金の逆転が発生しない ②全従業員の1割程度以下、であれば管理監督者として捉えられる可能性が高いと考えられます。
なお、2019年4月1日労働安全衛生法の改正により今まで残業代の支払いが必要な労働者に求められた労働時間の客観的な把握の範囲が、管理監督者や裁量労働制の適用を受ける労働者といった残業代の支払いのない労働者にまで拡大され、すべての労働者が対象となりました。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.92010

画像:Mariko Mitsuda

パートタイマーも雇用保険に加入させないといけませんか。

QUESTION

パートタイマーも雇用保険に加入させないといけませんか。

ANSWER

週所定労働時間20時間以上、かつ31日以上雇用する見込みの場合は、雇用保険に加入させなければなりません。

解説

パートタイマーのうち、その者の労働時間、賃金その他の労働条件が就業規則その他これに準ずるもの、雇用契約書、雇入通知書等に明確に定められている場合であって、

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

のいずれにも該当する者は、雇用保険の被保険者になります。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
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   社会保険労務士法人中企団総研

No.94010

画像:Mariko Mitsuda

パートタイマーを雇入れる際の文書の交付等で気をつける事はありますか。

QUESTION

パートタイマーを雇入れる際の文書の交付等で気をつける事はありますか。

ANSWER

あります。労働基準法によって書面による明示が義務付けられた事項のほか、パートタイム・有期雇用労働法に定められた一定の事項を明示・説明する義務があります。

解説

パートタイム労働者を雇入れたときは、速やかに、労働基準法によって書面による明示が義務付けられた基本的な労働条件に加え、「昇給の有無」、「退職手当の有無」、「賞与の有無」を文書の交付等により明示しなければなりません。
「雇入れたとき」とは、初めて雇入れたときのみならず、労働契約の更新時も含みます。
また、平成27年4月からは文書の交付などにより明示しなければならない事項に「相談窓口」(担当者、担当部署等)が追加されました。
また、文書のほかに、「不合理な待遇の禁止」「差別的取扱いの禁止」「賃金・教育訓練・福利厚生施設」「通常の労働者への転換」に関しての措置の内容について、(口頭等による)説明をしなければなりません。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.94030

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