有給休暇の繰り越し分と新規発生分はどちらを先に消化すればいいでしょうか。

QUESTION

有給休暇の繰り越し分と新規発生分はどちらを先に消化すればいいでしょうか。

ANSWER

法律上の具体的な定めはありませんが、不利益変更のリスクがあるため繰り越し分から消化するのが良いです。

解説

年次有給休暇の時効は2年となっています。その年に与えられた年次有給休暇は翌年まで使えるということになります。
その年に使われた年次有給休暇がその年に発生した分なのか、前年に発生した分なのかということについては労働基準法上の決まりはありません。
従ってどちらの方法で年次有給休暇を消化しても法的には問題ありません。
ただし、トラブル防止の観点から、就業規則で、どちらを先に消化するかの基準を明記すべきです。
仮に就業規則に定めをせずに運営した場合、その年に発生した分から消化していくと前年に発生した分が消化できずに時効を迎える可能性があります。
その結果、労働者が取得できる年次有給休暇の日数は、前年に発生した分から消化した場合と比べて少なくなるため、労働者にとって不利益変更となります。
このことから年次有給休暇については、繰り越し分から消化していくのが良いでしょう。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.93050

画像:Mariko Mitsuda

労働基準監督官の事業場への立入調査とはどういうものですか。

QUESTION

労働基準監督官の事業場への立入調査とはどういうものですか。

ANSWER

労働基準法で臨検が認められています。

解説

労働基準監督官が事業場に立入調査をすることを臨検といいます。労働基準法101条は、労働基準監督官が、事業場等に臨検し、帳簿や書類の提出を求め、または使用者や労働者に対して尋問を行う権限を持つことを定めています。
臨検には、定期監督・申告監督・災害時監督・再監督の4種類あります。
定期監督とは、労働基準監督署が計画を定め、その定期的な計画に基づく監督です。
申告監督とは、労働基準監督署に対し、従業員等から法令違反の申告があった場合に実施されるものです。
災害時監督とは、一定規模以上の労働災害が発生した場合に、その実態確認のために行う調査をいいます。
再監督とは、定期監督等のその後の実施状況を確認するためのものです。是正報告書が期日までに提出されない場合に行われます。
最近は、申告監督が増加しています。
労働基準法は刑罰を伴う法規であり、労働基準監督官は労働基準法違反の罪について司法警察官の職務を行います(労働基準法102条)。労働基準監督官の監督指導に従わない悪質な場合は、送検・起訴されることもあります。
労働安全衛生法関係の臨検は予告なしの抜き打ちが多く、労働基準法の関係は帳簿の確認や聞き取りが必要なので、大抵予告があります。
臨検で問題があった場合は、是正勧告書か指導票が交付されます。是正勧告書には、法令違反事項と是正期日が記載されています。期日までに是正して、是正報告書を提出する必要があります。
法令違反ではないが労務管理や安全衛生上改善すべき点があると判断された場合は、指導票が交付されます。改善して、期日までに報告します。
是正監督・指導を無視する場合や虚偽の報告をする場合は、改善の意思がない悪質な事業主と判断されて、送検されることもあります。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.99090

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みなし労働時間制の場合どのように1ヶ月の時間外労働時間数を算定するのでしょうか。

QUESTION

みなし労働時間制の場合どのように1ヶ月の時間外労働時間数を算定するのでしょうか。

ANSWER

みなし労働時間制によって算定される労働時間が法定労働時間を超える部分を時間外労働時間として、1ヶ月の時間外労働時間数を算定することとなります。

解説

労働基準法第38条の2第1項において、労働者が労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいときは、原則として所定労働時間労働したものとみなすこととされています。
1日の労働時間が法定労働時間(8時間)を超える場合は労使協定を締結し、労働基準監督署に提出しなければなりません。法定労働時間を超える部分の時間を1ヶ月の時間外労働時間数として算定することとなります。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.93120

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退職金は必ず支払わなければなりませんか。

QUESTION

退職金は必ず支払わなければなりませんか。

ANSWER

退職金規程がなければ、退職金を支給する必要はありませんが、過去に従業員に退職金を支払っており、かつ、その支払った事例から、一定の支給事由が明確な場合は、その支給基準によって退職金の支払い義務を負うことになります。

解説

退職金は就業規則、労働協約等に支給条件を明示していなければ、支払の義務は発生しません。
しかし、就業規則等に明示されていなくても、過去に従業員に退職金を支払っており、かつ、その支払った事例から、一定の支給事由が明確な場合は、その支給基準によって退職金の支払義務を負うことになります。
退職金は労働債権であり、労働債権は先取特権という担保権で保護されています。企業に資産があれば、差押えが可能です。
以上から、退職金を就業規則、労働協約等に支給条件を明示している場合など、支給基準が明確である場合は、退職金を支給しなければなりません。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.97010

画像:Mariko Mitsuda

契約期間が2ヶ月の契約社員を雇い入れ1ヶ月後に予告なしに解雇できますか。

QUESTION

契約期間が2ヶ月の契約社員を雇い入れ1ヶ月後に予告なしに解雇できますか。

ANSWER

期間の定めがある場合には、使用者はやむを得ない事由がある場合でなければ、期間が満了するまでの間、解雇することはできません。臨時的ないし非継続的な性格を有する労働者で、2か月以内の期間を定めて使用される者については、解雇するにやむを得ない理由がある場合に限り、即時解雇することができます。この場合であれば、通常は解雇前30日前の解雇予告ないし平均賃金の30日分以上の額の解雇予告手当の支払いを要しますが、それも不要となります。

解説

使用者が労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。
もし、契約期間中に業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する場合は、当該休業期間とその後30日間は、使用者は労働者を解雇できません。
しかし、2ヶ月以内の期間を定めて使用される者は、解雇予告制度の適用除外となっているので、解雇が可能です(労基法第21条)。
ただ、期間が満了する前に解雇する場合は使用者はやむを得ない事由が必要になります(労契法第17条)。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.96030

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会社が行う教育、研修に参加する時間は、労働時間として扱わなければなりませんか。

QUESTION

会社が行う教育、研修に参加する時間は、労働時間として扱わなければなりませんか。

ANSWER

教育・研修を受けることを強制する場合には、労働時間として扱う必要があります。

解説

教育、研修に参加する時間を労働時間として見るか否かは、参加が強制されているのか、自由なのかで変わります。
就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる出席の強制や明示・黙字の出席指示がなく、自由参加のものであれば労働時間として扱う必要はありません。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.93010

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派遣期間1年で紹介予定派遣を受け入れることはできますか。

QUESTION

派遣期間1年で紹介予定派遣を受け入れることはできますか。

ANSWER

紹介予定派遣の派遣期間は、6ヶ月に限定されており、1年で受け入れることはできません。

解説

紹介予定派遣、医療業務の派遣期間は、原則の3年間より短期間に限定されています。
1.紹介予定派遣
紹介予定派遣の派遣期間は、6ヶ月に限定されています。
紹介予定派遣とは、派遣終了後に派遣会社が派遣社員を派遣先に職業紹介することを前提に派遣を行うものです。
2.医療業務
医療業務は、原則として紹介予定派遣によらなければ派遣できません。
したがって、派遣期間は6ヶ月となります。
しかし、医療業務でも、老人ホームなど一定の社会福祉施設における医療業務については、紹介予定派遣によらなくても派遣を行うことができ、原則どおり3年の派遣期間となります。派遣が自由化されているからです。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.94100

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常用雇用ではなく短時間勤務や隔日勤務などでも高年齢者雇用確保措置になりますか。

QUESTION

常用雇用ではなく短時間勤務や隔日勤務などでも高年齢者雇用確保措置になりますか。

ANSWER

高年齢者雇用確保措置になります。

解説

平成18年4月から、高年齢者雇用安定法が改正されています。
65歳未満の定年を定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、

  • 定年の引上げ
  • 継続雇用制度の導入
  • 定年の定めの廃止

のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければなりません。
高年齢者雇用確保措置(継続雇用制度)には、勤務延長制度と再雇用制度があります。
勤務延長制度とは、定年年齢が設定されたまま、その定年年齢に到達した者を退職させることなく引き続き雇用する制度です。
再雇用制度とは、定年年齢に達した者をいったん退職させた後再び雇用する制度です。
高年齢者雇用確保措置(継続雇用制度)の雇用条件については、高年齢者の安定した雇用の確保が図られたものであれば、必ずしも労働者の希望に合致した職種・労働条件による雇用でなくてもよいとされています。
つまり、常用雇用のみならず、短時間勤務や隔日勤務なども含まれます。

なお、令和3年4月1日から高年齢者雇用安定法が改正され、高年齢者ができるだけ長く就業機会を確保できるように70歳までの定年引き上げなどの措置を講じられるように求めています。(努力義務)

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.97040

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成人した子についても、健康保険の被扶養者になることができますか。

QUESTION

成人した子についても、健康保険の被扶養者になることができますか。

ANSWER

収入が少なければ健康保険の被扶養者になることができます。

解説

「子」は、親によって生計を維持されているという関係があれば親と同一世帯になくても、被扶養者となることができます。生計維持関係とは、その生計の基礎を被保険者に置くことをいいます。
認定対象者(この場合「子」)が被保険者と同一世帯の場合は、認定対象者の年収が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は180万円未満)、かつ、原則として被保険者の年収の2分の1未満であれば被扶養者となります。
認定対象者(この場合「子」)が被保険者と同一世帯に属していない場合は、認定対象者の年収が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は180万円未満)、かつ、被保険者からの援助(仕送り)による収入額より少ない場合は、被扶養者となります。
被扶養者になれば、保険料を負担せずに、

  • 家族療養費
  • 家族訪問看護療養費
  • 家族移送費
  • 家族埋葬料
  • 家族出産育児一時金

を受けることができます。
また、高額療養費、高額介護合算療養費も被保険者と同様に受けることができます。

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   社会保険労務士法人中企団総研

No.98020

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定年後の再雇用に際して、大幅に賃金を減額させることはできますか。

QUESTION

定年後の再雇用に際して、大幅に賃金を減額させることはできますか。

ANSWER

減額させることはできます。ただし、最低賃金法や同一労働・同一賃金の原則に反しないよう留意する必要があります。

解説

定年後の再雇用は、新たな労働契約の締結です。賃金額をどのように約定するかは、当事者の自由です。
仮にそれが従前の賃金と比較して大幅に減額するものであっても、それ自体は労働基準法上の問題にはなりません。
ただし、最低賃金法や同一労働・同一賃金の原則に反しないよう留意する必要があります。
同一労働・同一賃金の原則について、パートタイム・有期雇用労働法8条は、『その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の滋養のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。』、としています。

このため、賃金を大幅に減額させる前提として、業務の量や質を見直すべきです。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.97020

画像:Mariko Mitsuda