【税の勘所】押さえておきたい税金の「期間」

1 押さえておきたい税金の「期間」

この記事では、主な税金(法人税・消費税・相続税・贈与税)に関する「期間」を整理します。

押さえておきたい税金の数字~期間編~

2 20年以上:贈与税

20年以上は、夫婦間で居住用財産を贈与した場合、2000万円まで非課税となる婚姻期間です。

婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用財産を贈与された場合(一定の要件を満たす必要があります)、その居住用財産の課税価格から2000万円まで控除できます。そのため、基礎控除(110万円)を合わせた2110万円までは贈与税がかかりません。

3 7年:相続税

7年以内は、生前贈与分を相続税の課税価格に加算しなければならない期間です。

財産を相続した人が、被相続人(亡くなった人)からその相続開始(被相続人が亡くなった日)前7年(2023年12月31日以前は3年)以内に贈与されていた場合、その贈与されていた財産は相続税の課税価格に加算されます。ただし、相続時精算課税を選択している場合には、年間110万円(非課税枠)までの生前贈与については相続財産に含まなくてよいため、相続税の課税価格には加算されません。

なお、相続が発生した年に贈与された財産も、相続税の課税価格に加算しなければなりませんが、2024年1月1日~2030年12月31日までの間の贈与については一定の経過措置が適用されます。

生前贈与に係る経過措置

4 10カ月以内:相続税

10カ月以内は、相続税の申告期限です。

財産を相続した人は、

被相続人から財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額がその遺産に係る基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合

に、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、所定の事項を記載した申告書を、被相続人の死亡時における住所地を管轄する税務署長に提出しなければなりません。

5 2カ月以内:法人税、消費税

2カ月以内は、法人税および消費税の確定申告期限(原則)です。

法人は、原則として、各事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に、管轄する税務署長に対し、確定した決算に基づき、法人税及び消費税の確定申告書を提出しなければなりません。

以上(2025年11月更新)
(監修 税理士法人アイ・タックス 税理士 山田誠一朗)

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【ハラスメント対策】逆パワハラを「上司の能力不足」で片付けてはダメな理由

1 逆パワハラは組織が機能不全を起こす前兆?

いわゆる「逆パワハラ」とは、

部下が上司に行うパワハラ(パワーハラスメント)のこと

です。逆パワハラは経営者が気付きにくい問題です。なぜなら、被害者である上司が、「自身のマネジメント能力を疑われる」と心配して、その事実を明かさないからです。これは、

「上司が部下をマネジメントする」という組織の機能がうまく働かなくなってきている

という状況です。

こうなる理由はさまざまですが、経営者でないとメスを入れにくい問題として、上司の能力不足が挙げられます。実際、上司がビジネスの変化に着いていけず(ITに弱いなど)、部下になめられるというのは、逆パワハラでよくあるケースです。

いずれにしても、社員数が限られた中小企業で逆パワハラが起きると、あっという間に組織体制は崩れます。そうなる前に、

経営者が積極的に関与して、逆パワハラを含むハラスメント防止を進めること

が大切です。

2 こんな事態は末期? 逆パワハラの例

パワハラに該当するか否かの判断は、次の3つの要素を基準にします。

  • 優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要のない(または行き過ぎた)言動
  • 就業環境が害される(働きにくい環境になる)こと

「1.優越的な関係を背景にした言動」は、「上司」から「部下」に対して行われるのが典型ですが、部下が集団で結託している、部下だけが業務遂行に必要な知識や経験を持っているなど、

部下の協力がなければ業務の円滑な遂行が困難な状況では、「部下」から「上司」に対する言動が、「1.優越的な関係を背景にした言動」と判断されること

があります。これが逆パワハラのコアです。

ここでは、令和2年厚生労働省告示第5号の「パワハラの6類型」に当てはめて、逆パワハラに該当する可能性がある言動の例を紹介します。

逆パワハラに該当する可能性がある言動の例

また、どの類型に入るのかが難しいですが、この他に

上司から注意されたり、少し怒られたりしただけで、すぐに「セクハラだ」「パワハラだ」と騒ぎ立てる、いわゆる「ハラハラ(ハラスメントハラスメント)」

も、上司の正当な指導を妨害する言動であり、逆パワハラに該当する可能性があります。

3 逆パワハラへの対応

1)まずは規程や相談窓口をきちんと整備する

まずは就業規則やハラスメント防止規程で、「部下から上司に対して行われる言動もパワハラになり得る」旨を定めて、社員に周知します。また、パワハラに関する相談窓口がある場合、逆パワハラの相談も受け付けていることも知らせます。「担当者が若いと相談しにくい」と考える上司もいるので、相談窓口の担当者を複数人にするのが理想的です。

相談があった場合、担当者は、まずは事情聴取だけをします。ここで「これは逆パワハラとはいえない」などと意見を述べると、トラブルになる恐れがあるからです。逆パワハラに該当するか否かを判断するのは、事情聴取等を含めた事実確認が終わってからです。

2)加害者である部下の処分は慎重に

加害者である部下の処分は、ケース・バイ・ケースの判断になりますが、「逆パワハラに該当する言動」があった場合は懲戒処分とすることも考えられますし、逆パワハラに該当するか否かが明らかではないものの不適切な言動が認められた場合には、厳重注意をする等の処分も考えられます。さらに、場合によっては、上司に対する言動が、業務命令違反や職場秩序を乱したなどの服務規律違反に当たる場合もあるため、その観点からの検討も必要です。

また、明らかな逆パワハラとまではいかなくても、それが疑われるような言動を放置してはいけません。ハラスメントに関する経営方針を定期的に社員に周知したり、外部機関のハラスメント研修を社員に受講させたりして、社員自身の気付きを促しましょう。

4 (参考)逆パワハラの法的な位置付け

逆パワハラについては、令和2年厚生労働省告示第5号で、

  • 同僚または部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
  • 同僚または部下からの集団による行為で、これに抵抗または拒絶することが困難であるもの

と示されています。

また、社内で逆パワハラが発生した場合、加害者である部下が民法第709条(不法行為による損害賠償)に基づき責任を問われる恐れがあります。さらに、会社も民法第415条(債務不履行(安全配慮義務違反)による損害賠償)、民法第715条(使用者等の責任)などに基づき責任を問われる恐れがあります。

以上(2025年11月更新)
(監修 TMI総合法律事務所 弁護士 池田絹助)

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画像:happy Wu-Adobe Stock

【中堅社員のスピーチ例】大切なのは「ワークライフハーモニー」

【ポイント】

  • 我々は仕事とプライベートを分けて考えがちだが、実は両者は良い影響を与え合う関係
  • 仕事と関係ないと思っていた趣味の経験が、仕事に役立つこともある。逆も然り
  • 仕事とプライベートを切り離さず、“つないで高める”ことを意識しよう

皆さん、おはようございます。11月といえば、勤労感謝の日がありますね。今日はその勤労感謝の日にちなんで、「ワークライフハーモニー」をテーマにお話ししたいと思います。「ワークライフバランス」なら知っているけど、ワークライフハーモニーはあまりなじみがないという人もいるでしょう。まずは簡単に説明します。

ワークライフバランスは、仕事とプライベートを“分けて整える”、時間配分の釣り合いをとる考え方です。一方、ワークライフハーモニーは、仕事とプライベートを切り離さずに“つないで高める”、お互いが良い影響を与え合うという考え方です。

例えば、私の場合、今年から始めた「絵を描くこと」が仕事にとても良い影響を与えています。軽い気分転換ぐらいのつもりで始めたのですが、色使いや道具などをどのように工夫すると風景や人物をよりきれいに描けるのかを考えていくうちに、奥が深い世界だと気付き、夢中になりました。

そして、あるとき、プロジェクトの資料作成でデザインに悩んでいたら、絵を描く際に意識している色彩感覚や物の配置が、レイアウトのヒントになったのです。仕事と全く関係ないと思っていた趣味が意外なところで活かされると分かり、とても驚きました。逆に、仕事で普段心がけているスケジュールや納期の管理のしかたを、絵を描くときの工程に落とし込むことで、途中で飽きたり挫折したりすることがなくなり、絵を描くスピードも以前よりも上がったように感じています。

私は入社したばかりの頃は、とにかくがむしゃらに働いていましたが、仕事に慣れて5年目を迎えた今は心境が変わりつつあります。もちろん、入社当初から仕事に対する情熱は変わりませんが、それと同じくらい、仕事以外の時間も大切にしたいと思うようになりました。

仕事で新しい企画を考えるとき、プライベートで得た経験や知識がヒントになることがあります。逆に、仕事で身につけたスキルを、プライベートで活かすこともできるかもしれません。皆さんも、この勤労感謝の日を機に、ワークライフハーモニーについて改めて考えてみてはいかがでしょうか。

以上(2025年11月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

知らないと恥ずかしいレベルの「労働時間」

1 自由な労働時間制度は会社の魅力

9時に出社して18時に退社する。変わりつつあるものの、未だにこれが労働時間の基本です。ところで、法定労働時間、所定労働時間、時間外労働など、労働時間にはさまざま取り決めがありますが、皆さんはどれだけ基本を押さえていますか?

この記事では、労務担当者でなくてもこれくらいは知っておきたいというレベルで、労働基準法(以下「労基法」)で定められている労働時間の基本を、分かりやすく説明します

2 法定労働時間:法律で定める労働時間の基本

法定労働時間とは、

労基法で定められている労働時間の上限で、原則として1日8時間、1週40時間(休憩時間を除く)

です。ただし、特例措置対象事業場(社員が常時10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)は、1日8時間、1週44時間(休憩時間を除く)です。

ちなみに、休憩時間とは、

社員が自由に利用できる時間(単なる手待ち時間などは含まれない)のことで、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上

与えなければなりません。

3 所定労働時間:会社が決める労働時間

所定労働時間とは、

会社が就業規則等で定める労働時間(ただし、法定労働時間を超えてはいけない)

です。例えば、所定労働時間が1日7時間なら問題ないですが、1日10時間だと違法です。つまり、

原則として、会社は法定労働時間を超えて社員を働かせることができない

ということです。

ただし、通称「36協定(さぶろく協定)」と呼ばれる労使協定を締結して所轄労働基準監督署に届け出ると、この後に紹介する時間外労働や休日労働を、社員に命じることができます。ちなみに、労使協定とは、

過半数労働組合(社員の過半数で組織する労働組合)、過半数労働組合がない場合は過半数代表者(社員の過半数を代表する者)との書面による協定

です。

4 時間外労働:いわゆる「残業」

時間外労働とは、

法定労働時間を超える労働(いわゆる「残業」)

のことです。例えば、9時始業で18時終業(休憩時間が1時間)の会社で、社員が9時から21時まで働いた場合、時間外労働は3時間(11時間-8時間)です。

時間外労働のイメージその1

また、法定労働時間は1週40時間ですから、通常、出勤は週5日になります。つまり、

8時間×5日=40時間

ということですから、社員が土曜日に出勤して8時間働くと、それは時間外労働となります。

時間外労働のイメージその2

会社は、時間外労働に対して割増賃金を支払わないといけません。また、1カ月当たりの割増率は時間外労働の長さによって次のように変わります。

  • 60時間以下:25%以上の割増
  • 60時間超:50%以上の割増

5 休日労働:土曜日と日曜日で違う?

休日労働とは、

法定休日(就業規則等で定める、毎週1日または4週間を通じ4日以上の休日)の労働

のことです。例えば、日曜日を法定休日とした場合、日曜日の労働は労働時間に関係なく全て休日労働になります。

会社は、休日労働に対して割増賃金を支払わないといけません。

  • 休日労働:35%以上の割増

なお、法定外休日(法定休日以外の休日)に働いても、休日労働にはなりません。例えば、土曜日と日曜日が休日の会社が、日曜日を法定休日とした場合、土曜日は法定外休日です。法定外休日の労働は、第4章で紹介した通り、法定労働時間を超える部分が時間外労働になります。その場合、会社は法定外休日の労働に対して割増賃金を支払わないといけません。

  • 法定外休日の労働(時間外労働になる場合):25%以上の割増

6 深夜労働:深夜というわりに早い?

深夜労働とは、

原則として22時から翌日5時までの労働

です。

会社は、深夜労働に対して割増賃金を支払わないといけません。

  • 深夜労働:25%以上の割増

7 割増率:要素のコンボで高くなる

時間外労働、休日労働、深夜労働の賃金は割増されますが、これは足し算されます。

  • 時間外労働が深夜に及んだ場合:50%(25%+25%)
  • 時間外労働が深夜に及び、1カ月60時間を超えた場合:75%(50%+25%)
  • 休日労働が深夜に及んだ場合:60%(35%+25%)

なお、「休日労働の時間外労働」という概念はありません。

8 時間外労働の上限規制

社員に時間外労働を命じる場合、会社は第3章で紹介した36協定に具体的な時間数を定めます。36協定の時間数の範囲内までなら、時間外労働を命じても違法にはなりません。ただし、

36協定に定められる時間数には上限があり、これを超える時間外労働は違法

になります。このルールを「時間外労働の上限規制」といいます。

時間外労働の上限規制は、2019年4月1日から(中小企業は2020年4月1日)から適用が開始され、さらに2024年4月1日から、適用が猶予されていた4つの業種・業務が対象に加わりました。どの業種・業務も、時間外労働は原則として「1カ月45時間まで、1年360時間まで」とされていますが、臨時的な特別な事情があり、かつ労使の合意がある場合については、それぞれ上限のルールが異なります。

時間外労働の上限規制

2024年4月1日からは、ほぼ全ての業種・業務が時間外労働の上限規制の適用を受けることになりましたが、唯一「新技術・新商品等の研究開発業務」は、適用除外とされています。

9 時差出勤:最も手軽な働き方改革

ここまで労働時間の基本をお話ししてきましたが、近年は柔軟な働き方を実現しようと、労働時間のルールを工夫している会社が増えてきています。ここでは、比較的少ない手間で取り組める「時差出勤」を紹介します。

時差出勤とは、

所定労働時間を変更せず、始業・終業時刻を変更する制度

です。9時始業で18時終業の会社が時差出勤を導入すると、例えば、10時始業で19時終業にすることができます。

時差出勤のイメージ

時間外労働などについて時差出勤特有のルールはないので、この記事の内容を守っていれば問題ありません。必要な手続きは、就業規則の変更と届け出です。具体的には次の通りです。

導入の手続き:時差出勤

以上(2025年11月更新)

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画像:Dhammarat Nunart-shutterstock

2025年 年金法改正がもたらす影響と実務対応

特に短時間労働者の適用拡大の対象となる会社で、保険料調整の特例措置を受ける場合には、給与計算等の事務処理が面倒になることが予想されます。
また、在職しながら、年金を受給している人にとっては有利になりますが、高所得者(標準報酬月額の上限該当者)にとっては、少し負担が増えることになります。

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人材採用・定着に貢献する福利厚生制度「iDeCoプラス」とは?

個人型確定拠出年金(通称:iDeCo)に企業が掛け金を上乗せして補助する福利厚生制度「iDeCoプラス」が注目を集めています。
従業員がメリットをストレートに実感しやすい福利厚生制度で、企業における人材採用・定着に大きく貢献する可能性を秘めているiDeCoプラスについて解説します。

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知らなかったでは済まされない!オンラインカジノ問題と企業の対応策

オンラインカジノに接続して「賭博」を行うことは、犯罪です。
従業員のオンラインカジノ行為は、通常、従業員のプライベートな行動の範疇の行為ですから、企業がオンラインカジノ行為に関する直接責任を負うことは原則としてありません。ただし、企業には相応のリスクや責任が求められます。

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経営改善・事業再構築を後押しする専門家支援制度のご紹介

経営課題に向き合う中で、「誰に相談すればよいかわからない」「自社だけでは打開策を見いだせない」と感じたときに頼りになるのが、専門家によるハンズオン支援です。
経営改善や事業再構築を本格的に進めたい中小企業にとって、ハンズオン支援は現状打破と持続的成長を実現するための有効な手立てとなるでしょう。

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【ハラスメント対策】ハラスメントの再発防止 情報開示や研修のポイントは?

1 全社員に当事者意識を持たせる。ただし情報開示は慎重に

ハラスメントが発生した場合、2度と同じような事案が起きないよう、再発防止策を講じなければなりません。

大切なのは、社員に「自分もハラスメントの行為者になるかもしれない」という当事者意識を持ってもらうことです。そのために必要なのが、

発生したハラスメントについて社内に情報を開示すること

です。開示する(しない)情報のイメージは次の通りです。

  • 開示する情報:社内でハラスメントが発生したこと、ハラスメントの類型など
  • 開示しない情報:行為者や被害者の名前、具体的な言動、行為者の処分内容など

行為者や被害者の名前などを伏せるのは、関係者のプライバシーへの配慮です。ただ、中小企業の場合、名前などを伏せても何となく誰のことなのかが分かってしまい、それによって被害者が傷付くことがあります。こうした場合は、そもそも情報を開示しない、ある程度期間が経ってから詳細を隠して開示するなどの対応を検討する必要があります。

2 ハラスメント防止方針を再周知する

次に、全社員に対して、「ハラスメント防止方針」の内容を再周知します。ハラスメント防止方針とは、ハラスメントに対する会社の姿勢を示す方針で、主に次の9つの項目を定めます(ハラスメント防止規程など、就業規則の中に定めることもあります)。

  • 基本的な考え方(ハラスメントを行ってはならない旨)
  • ハラスメントに当たる言動
  • 方針の対象(全社員)
  • ハラスメントに当たる言動を取った者への処分
  • ハラスメントに関する相談窓口
  • 相談者・事実関係の確認への協力者等への不利益な取扱いの禁止
  • 被害者に対する配慮のための措置・行為者に対する措置
  • 制度等の利用(就業規則等に従い、育児休業等の制度を正当に利用できる旨)
  • ハラスメント防止研修・講習

再発防止の観点で考えると、特に「1.基本的な考え方」「2.ハラスメントに当たる言動」「4.ハラスメントに当たる言動を取った者への処分方針」を重点的に再周知するのがよいでしょう。

また、ハラスメントを受けた経験の有無やその内容について、社内アンケートを実施するのも効果的です。厚生労働省・あかるい職場応援団「ハラスメント関係資料ダウンロード」では、「過去3年間にパワハラを受けたと感じたことはあるか?」など、パワハラ(パワーハラスメント)に関する社内アンケートの例を示しているので参考になります。

■厚生労働省・あかるい職場応援団「ハラスメント関係資料ダウンロード」■
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/jinji/download/

3 ハラスメント防止研修

ハラスメント防止方針を周知するのと合わせて、社員にハラスメントに関する正しい知識・意識を持ってもらうために、ハラスメント防止研修や講義も実施します。弁護士事務所やコンサルタントなどの外部の専門機関などに研修を依頼するのが一般的です。

研修の内容としては、例えば次のようなものがあります。どのような内容にするにしても、「なぜこの研修を実施するのか」という経営者のメッセージを伝え、可能な限り社員全員に受講させることが大切です。

  • ハラスメントの種類(パワハラ、セクハラなど)
  • ハラスメントに当たる具体的な言動
  • ハラスメントを起こしやすい人の行動特性
  • ハラスメントにならないためのコミュニケーションのポイント
  • ハラスメントを起こした場合のリスク
  • ハラスメントに関する法規制、裁判事例
  • ハラスメント対策の進め方(相談窓口の設置、社内規程の整備など)
  • ハラスメント対応の実務のポイント(相談受付、社内処分、被害者への対応など)

以上(2025年10月更新)
(監修 Earth&法律事務所 弁護士 岡部健一)

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【かんたん消費税(5)】海外と取引する際に必要な消費税の知識

1 輸出と輸入では全く違う消費税の取り扱い

海外取引をする会社が知っておきたいのは、輸出と輸入とで消費税の取り扱いが全く違うということです。

  • 輸出:消費税が課されない
  • 輸入:消費税が課される

このような違いがあるのは、「消費税は日本国内の消費に対して課する」という考えがあるためです。つまり、

  • 物を海外に輸出したら、その物の消費地は「海外」になるので消費税は課されない
  • 物を日本に輸入したら、その物の消費地は「日本国内」になるので消費税が課される

ということです。

このように輸出と輸入では消費税の取り扱いが全く違うのに、その理解を誤ると、物を輸出した際に得意先に消費税を請求してしまうなどのトラブルが発生します。この記事では、輸出取引と輸入取引に対する消費税の取り扱いの概要と注意点を解説します。

2 輸出した際の消費税の取り扱い

1)輸出の考え方

物を輸出した場合は消費税が課されません。これを、

「免税取引(輸出免税)」

と呼びますが、同じように消費税が課されない取引として「非課税取引」があります。両取引は「消費税が課されない」という点で共通していますが、消費税の「納税額」を計算する際の取り扱いは全く違います。

具体的には、

  • 非課税:本来は課税対象だけど、例外的に課税しないこととしている
  • 免税:消費税は課税されているが、税率が0%(=免除)になっている

と考えるのです。つまり、「消費税が課税されない(=非課税)」のか「消費税は課税されているが、結果としてゼロになる(=免税)」のかということです。そして、このちょっとした違いが、納税額の計算方法に大きな影響を与えます。この点の詳細は後述します。

2)免税となる輸出の範囲と注意点

免税となる「輸出」の代表例は、「物の輸出」です。

免税となる輸出の範囲と注意点

「物の輸出」は輸出免税とされる典型的な例ですが、この場合でも、

輸出許可証(税関長が証明した書類)を保存

しておかないと輸出免税として取り扱われません。税務調査では、この輸出許可証の提示を求められることがあるので注意しましょう。

また、「物の輸出」以外にも、非居住者に対して工業所有権(特許権や意匠権など)を貸し付けて貸付料を受け取ったり、「非居住者」に対するコンサルティングなどの役務提供を行って対価を受け取ったりする取引も輸出免税として取り扱われます。目に見えないサービスを海外に輸出していると考えるためです。

輸出免税

この場合、輸出許可証などの保存は必要ない代わりに、次の事項が記載されている契約書その他の書類を保存しておかなければなりません。

  1. 役務の提供等をした側(つまり読者の皆さん)の氏名又は名称及び住所
  2. 取引を行った年月日
  3. 役務の提供等の内容
  4. 対価の額
  5. 相手側の氏名又は名称及び住所

なお、「非居住者」の詳細は、「外国為替及び外国貿易法(外為法)」という法律で定められています。その内容は多岐にわたりますが、主に、

取引相手先の事務所がどこにあるか

が判断の目安になるので、海外に事務所を構えている相手先に役務提供を行ったら輸出免税となります。ただし、外国法人でも、その法人の日本支店への役務提供は輸出免税にはなりません。

3)輸出免税がある場合の消費税計算の注意点は?

先ほど、非課税取引と免税取引との違いは、「消費税が課税されない(=非課税)」のか、「消費税は課税されているが、結果としてゼロになる(=免税)」のかの違いであるとお伝えしました。実はこのちょっとした違いが、消費税の納税額の計算方法に大きな影響を与えます。

具体的には、

仕入税額控除の金額が変わってくる

のです。

仕入税額控除とは、

預かった消費税(仮受消費税)から支払った消費税(仮払消費税)を差し引くこと

です。

仕入を行ったときに支払う消費税は、どんなときでも仕入税額控除が取れるわけではなく、

課税される売上に対応する仕入に掛かった消費税しか仕入税額控除は取れない

のです。そのため、

売上が非課税の場合、その仕入に掛かった消費税で仕入税額控除は取れない

ことになります。

仕入税額控除

「免税取引」なのに、誤って「非課税取引」として処理した場合、本来は消費税が還付されるべきなのに、還付される消費税がゼロと計算されてしまいます(図表3の計算に置き換えると、仮払消費税が0円となってしまうため)。

経営者の方は消費税の細かい計算方法まで理解する必要はありませんが、同じ「消費税が課されない取引」であっても、

「免税取引」と「非課税取引」の区分を誤ると納税額(還付額)に大きな影響が出る

ということをしっかり理解しておきましょう。

3 輸入した際の取り扱い

1)輸入の考え方

海外で商品を購入しても、その時点で日本の消費税は課されません。しかし、その商品を日本国内に輸入する際は消費税が課されます。具体的には、

保税地域から商品を引き取った際に消費税が課される

ことになります。保税地域とは、

税関の輸入許可がまだ下りていない外国貨物を一時的に保管する場所

のことです。

海外で購入した商品を自由に日本国内に持ち込むことはできないため、まずは保税地域で保管されます。この商品を最終的に引き取る(日本国内に持ち込む)までの一般的な流れは次の通りです。

  1. 関税及び消費税の計算を行い、税関に対して「輸入申告」を行う
  2. 計算した関税及び消費税を納付する
  3. 税関より「輸入許可通知書」が発行される
  4. 商品を引き取る

2)輸入消費税がある場合の消費税計算の注意点は?

輸入申告を行った際に納付する消費税を、一般的に「輸入消費税」と呼びます。この輸入消費税も、日本国内で仕入をした際の仮払消費税と同様に、

仕入税額控除の対象

となります。ただし、仕入税額控除を取るには、

「輸入許可通知書」を保存しておく必要

があります。商品を引き取ったからといって書類を廃棄せずに保存しておきましょう。

なお、日本国内で仕入を行う際は、仕入価格に税率(10%)を掛ければ消費税額が計算できますが、輸入消費税の計算は少し複雑で、単に仕入価格に税率を掛けても計算はできません(具体的な計算方法は割愛)。そうしたこともあり、輸入取引について会計処理を行う際は、

一般的な仮払消費税と輸入消費税は別の勘定科目を使用する

ようにすると、消費税の申告作業時に必要な数値を集計したりするのに便利です。

以上(2025年11月更新)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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