【入社1年目の教科書】ビジネス文書は誠実さの証し。何が必要か、ビジネスの流れで考えてみよう

書いてあること

  • 主な読者:ビジネス文書の種類が多すぎて混乱している新入社員
  • 課題:そもそもビジネス文書がなぜ必要なのか分からない
  • 解決策:ビジネス文書は、「なぜ、必要なのか?」を理解する

取引先との商談は順調で、何だかうまくいきそうだぞ。商談は先輩がやってくれているけど、私もオンラインミーティングの設定とか、議事録の作成とかで貢献している。ところで、今回のビジネスではうちも設備投資が必要で、「稟議(りんぎ)書」を書かないといけないそうだ。初めて聞く書類の名前だけど、何を書けばいいのかな……。

1 (質問)ビジネス文書の「並べ替え」ができますか?

ビジネスでは、さまざまな文書が登場します。ビジネス文書を作成したり、保管したりするのは面倒ですが、

ビジネス文書は、誠実にトラブルなくビジネスを進めるために必要なもの

です。例えば、「請求書」は法律で保管が義務付けられていますし、会社が架空請求などルール違反をしていないことを示します。また、設備投資などの場合は「稟議書」を作成して決裁者の承認を得ます。会社のお金を使う以上、しっかりと関係者の承認を得ないといけないわけで、それを稟議書で行っているのです。

となると、皆さんは代表的なビジネス文書を覚えなければなりません。以下は代表的なビジネス文書ですが、これらをビジネスの流れに沿って並べ替えることができるでしょうか? ビジネス文書が何のために必要なのかを意識していれば、すぐに並べ替えられるようになります(答えは最終章にあります)。

納品書、提案書、検収書、注文書(発注書)、支払通知書、注文請書(受注書)、領収書、請求書、見積書、契約書

2 何のために必要なのかを考える

ビジネス文書が面倒に感じるのは、フォーマットが分かりにくく、独特の言い回しがあるからでしょう。また、稟議書などは、「毎月、◯日が締め切りで、それまでに提出しなければ来月にならないと承認されない」といった不自由さもあります。

ただ、フォーマットや表現は慣れの問題ですし、スケジュールも先輩に質問すればよいだけです。それよりも皆さんは、

そのビジネス文書は、何のために作成されるのか?

を把握するようにしましょう。ビジネス文書がなぜ必要なのかが理解できれば、訳も分からず作成することはなくなります。一般的なビジネス文書は次の通りです。会社によって名称などは異なりますが、まずは「何のために」をざっくりと把握しておけば十分です。

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3 紙からデータへ、フォーマットから平文へ

今どきは、ビジネスを支援するさまざまなツールが登場していて、契約書や領収書などのビジネス文書もデータでやりとりされるようになってきています。紙の場合と勝手が違うところもあるので、先輩に教えてもらいながら、きちんとツールを使えるようになりましょう。

また、リモートワークをしている会社の場合や注文金額が小さい場合などは、正式なフォーマットではなくメールの平文で発注をもらい、その返信で受注の意思表示をすることもあります。後々トラブルにならないように、形の残る方法でやりとりすることが不可欠です。

4 (答え)ビジネスの流れと必要なビジネス文書

冒頭で示した質問の答えは次の通りです。もうお分かりですよね。

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以上(2025年1月更新)

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画像:Mariko Mitsuda

採用活動で応募者のSNS調査を行うことは是か非か?

1 SNS調査をこっそりと行うのはNG

社員がSNSに投稿した不適切な内容で「炎上」や「情報漏洩」が起きてしまったら、会社にもダメージが及ぶかもしれません。採用内定を会社都合で取り消したり、社員を解雇したりするのは容易ではないため、リスクをなるべく減らす目的で行われるのが

SNS調査やリファレンスチェック(以下「SNS調査など」)

です。

  • SNS調査
    履歴書や面接の情報を基に、応募者のSNSの実名アカウントを調べて、投稿内容を確認すること。そこから出身地や誕生日などが一致する匿名アカウントを探し、プロフィール情報やフォローしている友人などから応募者本人かどうかを判別し、投稿内容を確認することを「裏アカ調査」という

  • リファレンスチェック
    履歴書や面接の情報を基に、応募者の前職の勤務状況や人物像について関係者に問い合わせること(中途採用の場合)

SNS調査などをすれば、履歴書や面接からは分からない応募者の「素の人柄」を知ることができるかもしれません。とはいえ、SNSは私生活の投稿です。勝手にSNS調査などを行っていいのかという疑問も残ります。

実際のところは、

SNS調査などは非常にグレーであり、こっそりと行うのはまずNG

です。この記事では、その理由を紹介します。

2 SNS調査などがグレーな理由

1)「SNS調査などに利用します」と通知する?

履歴書や面接を通じて得られる応募者の情報は「個人情報」です。個人情報の取得には、利用目的を特定の上、その目的の通知または公表しなければなりません。本人から直接書面で取得するなら、あらかじめ利用目的を明示します。

ですから、応募者の個人情報をSNS調査などのために利用するのであれば、その旨を、通知または公表する必要があります。ただし、個人情報をSNS調査などのために利用することを通知または公表すると、応募者の反感を買う恐れがあるので、あまり現実的とはいえません。

2)実名アカウントの閲覧まではOK。でもそれ以上はNG

厚生労働省職業安定局「募集・求人業務取扱要領(令和6年10月)」では、会社や会社から委託を受けた採用募集代行業者が応募者の個人情報を収集する場合、次のような適法かつ公正な手段を取らなければならないとされています。

  • 本人から直接収集する
  • 本人の同意の下で本人以外の者から収集する
  • 本人により公開されている個人情報を収集する など

応募者が実名アカウントで、公開範囲を限定せずにSNSに投稿している内容を確認することは問題ないでしょう。ただし、それ以上進めて、「裏アカ調査」やリファレンスチェックをするには、応募者の同意を得る必要があると考えられます。

3)採用活動で利用するなら、利用目的の通知または公表が必要

個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」では、

個人情報を含む情報がインターネット等に公開されている場合、単にこれを閲覧するだけで、転記等を行わないのであれば、個人情報を取得しているとはいえない

とされています。

SNSの投稿は、不特定多数の人に見られることを前提としているので、応募者が公開アカウントでSNSに投稿している内容を確認するだけなら、個人情報の取得には当たりません。しかし、採用の検討材料にするなら、個人情報の取得に当たると考えられ、利用目的を特定の上、その目的を通知または公表することが必要です。

例えば、ディー・エヌ・エーグループの採用活動におけるプライバシーポリシーでは、利用目的の1つとして、

当社グループの採用選考に際し、候補者の適格性を評価するため(これには、バックグラウンドチェック、リファレンスチェック、その他の確認手続を含みます)

と記されています。「バックグラウンドチェック」と表記するなどの工夫もされています。

4)収集してはならない情報がある?

職業安定法では、事業主が求職者から情報を取得する場合につき、取得目的を制限しています。また、職業安定法に基づく指針(平成11年労働省告示第141号、最終改正令和6年厚生労働省告示第318号)では、以下の情報を、原則として収集してはならない情報として定めています。

  1. 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となる恐れのある事項(家族の職業、収入、本人の資産などの情報、容姿、スリーサイズなど)
  2. 思想および信条(人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書など)
  3. 労働組合への加入状況

例外的に、これらの情報であっても収集目的を示した上で本人から収集することができるケースもありますが、特別な職業上の必要性がある場合などに限定されています。不用意に収集すると職業安定法に基づく改善命令が発出される場合があり、この命令に違反すると、罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)の対象になります。

なお、これらの情報は、個人情報保護法の「要配慮個人情報」と一部重複しますが、

要配慮個人情報は本人の同意があれば収集できるのに対し、職業安定法に基づく指針の「収集してはならない情報」は、文字通り、原則として収集不可

となっている点に注意が必要です。

SNSには個人の考えなどを投稿することもあり、そこに「収集してはならない情報」が含まれる可能性は十分にあります。

5)調査代行業者への依頼やリファレンスチェックは個人情報の「第三者提供」

SNS調査などを代行する専門業者(以下「調査代行業者」)もいますが、調査代行業者への依頼は個人情報の「第三者提供」に当たると考えられます。調査代行業者が独自に調査した結果と、応募者の個人情報の突合は、企業の「委託」では不可能だからです。同様に、調査代行業者が依頼元の企業に個人情報を含む調査結果を渡すことも第三者提供に当たると考えられます。

個人情報の第三者提供を行う場合、あらかじめ本人の同意を得る必要があります。2022年4月に改正個人情報保護法が施行されたため、第三者提供に係る記録の開示請求手続に対応する必要があります。

同様に、リファレンスチェックも、履歴書や面接の個人情報を前職の企業に渡すことになるため、第三者提供に当たると考えられます。

3 SNS調査などがはらむリスク

このように、利用目的を明らかにして本人の同意を得られれば、SNS調査などを実施できることになりますが、懸念は残ります。例えば、「バックグラウンドチェックをします」と説明されても、応募者は「裏アカ調査」をされると認識できないでしょう。また、志望先の企業からSNS調査などの同意を求められたとき、それを拒否するのは難しいかもしれません。

この他、同姓同名の他人の情報との取り違いや、悪意の第三者によるなりすましが起こらないかといったことも危惧されます。

日本労働組合総連合会「就職差別に関する調査2023」によると、採用試験を3年以内に受けた15~29歳の男女計1000人のうち、

  • 「採用選考過程において、企業からSNSアカウントを調査する旨の通知を受けたことがある」という回答が11.7%
  • 「採用選考過程において、企業からSNSアカウントを調査されたことがある」という回答が10.7%

となりました。また、それぞれ「わからない」という回答が25.0%、29.3%を占めており、 さらに多くの調査が行われている可能性もあるといいます。

さらに、SNS調査などは「身元調査」にもなり得ます。このような調査の結果、目にしてしまった情報をもとに無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)が生じ、新たな就職差別につながる恐れもありますので、注意が必要です。

以上(2025年2月更新)
(監修 Earth&法律事務所 弁護士 岡部健一)

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画像:wei-Adobe Stock

無信号交差点での注意点(2025/3号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

 先月号「交通信号の意味を再確認!」では信号の各色の点灯状態・点滅状態の意味や、信号機のない、または作動していない交差点における優先道路のルールについても改めて確認しました。
 今月号では、特に信号のない交差点=無信号交差点での事故について、その原因と対策を具体的な事例を基に考えます。

無信号交差点での注意点

比較的小さい交差点で発生する事故が多い

 警察庁が公開している「交通事故統計情報のオープンデータ」※1では、過去5年分の全国の交通事故発生地点や事故類型などがわかります。

 このオープンデータを分析した朝日新聞社の記事※2によると、2019~2020年に発生した人身事故のうち28万件超が交差点付近で発生し、うち6割が無信号交差点(信号機が設置されていない、または機能していない交差点)での事故であることがわかりました。

交通事故統計情報のオープンデータ

 歩行者、自転車が関連する事故の発生した無信号交差点の特徴を、車道幅や速度規制別に分類し集計したところ、「車道の幅が13メートル未満の小、中規模、かつ規制速度が時速20から40キロ以下の交差点で事故が集中していた。」とのことです。事故が「指定の速度規制なし等」の条件に分類されるケースでも、車道の幅が狭いなど小さい交差点で発生する事故が多いことが示されています。

無信号交差点の特徴

※1 警察庁, 交通事故統計情報のオープンデータ https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/opendata/index_opendata.html(2025.2.10閲覧)

※2 (株)朝日新聞社, みえない交差点 分析編 https://www.asahi.com/special/jiko-kosaten/analysis/?iref=mienaikosaten_map(2025.2.10閲覧)

※3 道幅が13m以上の道を「大」、5.5m以上13m未満を「中」、5.5m未満を「小」と分類。「大‐小」とは幅13m以上の道と5.5m未満の道が接続する交差点、の意味。

事故が多発する無信号交差点の特徴

 最近の5年間で10件以上の事故が起きた全国の無信号交差点を詳しく調べると、以下のような特徴がみられました。

■見通しが悪く左右確認しにくい

 死角をつくるもの(建物、地形、橋脚など)により左右確認が難しい交差点が目立ちます。このような場所ではカーブミラーが重要ですが、右図の例では①ミラーが遠くにあるため鏡像が見にくくなっています。また②前方道路と鋭角で交差するため、停止線を越えて交差点に進入しないと左方の直視が困難で、リスク増加の一因となりえます。

見通しが悪く左右確認しにくい

■直線が続き走行中の道路の見通しが良い

 非優先道路(交差点では一時停止)でも③遠くまで見通せるような直線の道路で事故が起こりやすいようです。その背景には「ついスピードが出やすい」「朝日・西日が眩しい」等が考えられるほか、元は直線単路だった場所に④新たに道路が整備され、新しく交差点ができたケースもあり、慣れない車が単路だったときと同様の走り方をしてしまうかも知れません。

直線が続き走行中の道路の見通しが良い

 その他、五差路など複雑な形状のため危険予測が難しい交差点や、高速道・幹線道路から分岐した直後の交差点(速度感覚が速いまま差し掛かる)において事故多発の傾向があるようです。

無信号交差点での事故防止ポイント

  • 死角が多い、鋭角で交差している、複雑な形状をしている、などの特徴のある交差点では車・人・自転車の接近が分かりづらい場合があります。交差点形状を十分把握し、カーブミラーに映る限られた情報を見極め、死角に気を配りながら慎重に通過しましょう。「見切り発車」は禁物です。
  • 見通しが良い、一見安全そうな交差点でも危険予知を怠らないようにしましょう。自分が走行中の道路の優先/非優先の区別を意識しましょう。特に非優先道路側にいる場合、左右から接近する車の有無を必ず確認し、その車を妨げないよう徐行・一時停止を心がけましょう。

以上(2025年3月)

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【朝礼】仕事の優先順位、皆さんは何を基準に決めますか?

【ポイント】

  • 依頼された仕事にどのぐらいの数の人が関わっているのか、影響範囲を知ることが大切
  • 今エネルギーを注げる仕事を見極め、成果を上げるタイミングを逃さないことも大切
  • いくつかの要素を天秤にかけた上で、仕事の優先順位を決め、その選択に責任を持つ

皆さんは日々、会社で多くの仕事をしてくれています。ウチは小さな会社ですから、一人一人が担当する業務の幅も広く、上手に「優先順位」を付けないと仕事が回りません。この優先順位、皆さんは何を基準に決めていますか? 今日は私が若い頃、2人の上司に言われた言葉をお伝えします。

まずは、私が新入社員の頃にお世話になった、1人目の上司の話です。あるとき、その方からこんな質問を受けました。「お客さまからの依頼と、同僚からの依頼、君だったらどっちを優先する?」。私は「お客さまからの依頼です」と答えました。同僚は社内の人間なので依頼を後回しにしても支障がなさそうですが、お客さまだとそうはいかないと思ったからです。ですが、上司は言いました。

「相手が社外の人間か、社内の人間かは関係ない。仕事の優先順位は、その仕事に関わる人の数で決めるんだ」。仮に同僚から依頼された仕事が重大なプロジェクトの一端だった場合、お客さまを優先して同僚の仕事を後回しにすれば、同僚の次工程に控える多くの社員の仕事がストップして損失が出るかもしれない。だから、仕事に関わる人がどのぐらいいるのかを見極める必要がある。これが1人目の上司から教わったことでした。

次は、そこから数年後にお世話になった、2人目の上司の話です。その方は、1人目の上司のかつての部下でもありました。あるとき、先ほどのエピソードをその方に話したら、こんな言葉が返ってきました。

「確かに、あの人の考え方は理にかなっている。ただ、私はその考え方が全てだとは思わないな。例えば、自分が今一番エネルギーを注げる仕事を後回しにして、他の仕事を優先したために、得られたはずの成果を逃してしまったとしたらどうだろう? これも一つの損失かもしれないね」。成果を上げられるタイミングを逃してはいけない。これが2人目の上司から教わったことでした。

いかがでしたか。仕事に関わる人の数も、成果を上げられるタイミングも、仕事の優先順位を決める重要な要素です。そして、それらを天秤(てんびん)にかけた上で、自分がベストだと思う仕事を選択し、その選択に責任を持つ。これが皆さんに求める、仕事の優先順位の付け方です。

以上(2025年3月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

育児関係の新しい給付金

令和7年4月、雇用保険制度に育児関係の新しい給付金が創設されます。「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」です。本稿では、この二つの給付金について概要をお伝えします。

1 出生後休業支援給付金

子どもが生まれた直後の一定期間に、夫婦がそれぞれ14日以上の育児休業を取ると、最大28日間、出生後休業支援給付金が支給されます。「一定期間」とは、父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内です。

給付金の額は、休業開始前賃金の13%相当です。従来の育児休業給付金または出生時育児休業給付金(休業開始前賃金の67%)に上乗せされ、給付率は計80%となります。

○出生後休業支援給付金のイメージ

出生後休業支援給付金のイメージ

※厚生労働省の資料「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」より

育児休業給付金、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金はいずれも非課税です。さらに育児休業中は、健康保険・厚生年金の保険料が免除され、勤務先から給与が支給されなければ雇用保険料も発生しません。このため、給付率80%で、手取り10割相当の給付となります。

また、次の場合には、配偶者が育児休業を取らなくても、出生後休業支援給付金が支給されます。

出生後休業支援給付金が支給されます

※厚生労働省のリーフレット「2025年4月から『出生後休業支援給付金』を創設します」より

2 育児時短就業給付金

2歳未満の子供を育てるために、時短勤務を行い収入が減った場合に、それを補うのが育児時短就業給付金です。性別に関係なく受け取ることができます。給付率は、時短勤務中に支払われた賃金額の10%です。ただし、時短勤務前の賃金額を超えないように、給付率が調整されます。

育児時短就業給付金は、原則として時短勤務を始めた日の属する月から、時短勤務を終えた日の属する月までの各月に支給されます。次の事例では、4/1~4/30(支給対象月①)から3/1~3/31(支給対象月⑫)まで12か月間、育児時短就業給付金が支給されます。

育児時短就業給付金が支給されます

※厚生労働省のリーフレット「2025年4月から『育児時短就業給付金』を創設します」より

育児時短就業給付金は、次の①②の両方を満たす人が対象です。

  • ①2歳未満の子を養育するために時短勤務をする雇用保険の被保険者である
  • ②育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて時短勤務を開始した、
    または、時短勤務開始日前2年間に被保険者期間が12か月ある

そのうえで、次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給されます。

  • ③初日から末日まで続けて雇用保険の被保険者である月
  • ④1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
  • ⑤初日から末日まで続けて、育児休業給付また介護休業給付を受給していない月
  • ⑥高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月

3 さいごに

出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金は、性別にかかわらず、労働者が仕事と子育てを両立できるよう、経済的に支援するのが目的です。どんな小さな企業であっても、従業員が希望したら、給付金を受給するための申請をハローワークに対して行わなければなりません。

どちらの給付金もしくみが複雑なので、厚生労働省のウェブサイトで詳細を理解しておくとよいでしょう。

※本内容は2025年2月10日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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弁護士が注目する2025年度の法務3大ニュース

1 2024年度・2025年度の3大ニュース

2024年度は、フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行による「フリーランスの保護」、改正景品表示法の施行による「不当表示等に関する自主的な是正の促進や、違反行為に対する抑止力の強化等」が行われました。また、知財一括法の施行により、「デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化」が図られました。

2025年度は、情報流通プラットフォーム対処法による「誹謗中傷防止のための大規模プラットフォーム事業者への規制」、流通業務総合効率化法・貨物自動車運送事業法の改正による「物流効率化と特定事業者への規制強化」が行われます。また、建設業法等の改正により、「建設業の処遇改善・働き方改革・生産性向上」も図られます。2024年度・2025年度の法務3大ニュースは次の通りです。

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2 2024年度の総括

2024年度の各種法改正は、いずれも主に中小企業にとって大きな影響がありました。特に、フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されたことで、フリーランスに業務を発注する会社の多くが、体制の見直しを迫られたのではないでしょうか。

また、一般消費者向けの商品やサービスを販売・提供する会社としては、景品表示法違反による直罰規定の新設や課徴金制度の見直し等で制裁の強化もあり、不当表示等を行った場合の社内体制の構築も求められるようになりました。

その他、知財一括法により、特にスタートアップや中小企業を中心として、商標登録のハードルが下がり、また、データ保護が強化されて、新事業の展開が後押しされたことと思います。

3 2025年度の主なニュース

1)誹謗中傷防止のための大規模プラットフォーム事業者への規制

インターネット上における誹謗中傷被害を防止するため、2025年5月16日までに、従来のプロバイダ責任制限法に代わり、情報流通プラットフォーム対処法が施行されます。この法律の規制の対象となるのは、

「大規模特定電気通信役務提供者」(大規模特定電気通信役務を提供する者として、総務大臣に指定された事業者。いわゆる大規模プラットフォーム事業者のこと)

で、主にSNSや匿名掲示板等の運営事業者が該当します。

「誹謗中傷は主に大規模プラットフォームで行われるので、被害を食い止めるには大規模プラットフォーム事業者に迅速かつ十分な対応を義務付けるべきだ」というのが同法の趣旨で、主要なものとして次の5つの義務が設けられます。

  • 削除申出窓口・手続の整備・公表
  • 削除申出への対応体制の整備(十分な知識経験を有する者の選任等)
  • 削除申出に対する判断・通知(原則、一定期間内)
  • 削除基準の策定・公表(運用状況の公表を含む)
  • (削除した場合)発信者への通知

「1.削除申出窓口・手続の整備・公表」「2.削除申出への対応体制の整備」「3.削除申出に対する判断・通知」は、

投稿の削除対応の迅速性を求めるもの

です。大規模プラットフォーム事業者には、利用者からの削除申請を受け付ける窓口や手続を整備し、その情報を公表することが義務付けられます。また、誹謗中傷等の情報を削除してほしいと申出があった場合、

十分な知識経験を有する「侵害情報調査専門員」が遅滞なく調査を実施し、一定期間内にその情報が権利を侵害しているかを判断、その後、結果を申請者に通知

しなければなりません。

「4.削除基準の策定・公表」「5.発信者への通知」は、

削除対応に関する運用状況の透明性を求めるもの

です。一般の利用者からしても、どのような投稿が削除の対象となるのか明確でなければ、自由に情報発信を行うことができません。そのため、大規模プラットフォーム事業者は、

削除対象となる投稿がどのようなものか、どのような行為があった場合にアカウントが停止されるのか、基準を策定した上で事前に公表

する義務を負います。そして、投稿の削除やアカウントの停止を行った場合、その旨を発信者に対して通知しなければなりません。

これらの義務に違反した場合、大規模プラットフォーム事業者は、行政指導・行政命令を受けたり、行政命令に違反した場合には刑事罰を受けたりします。

2)物流効率化と特定事業者への規制強化

いわゆる「2024年問題」による、物流停滞への懸念や死亡・重傷事故の増加に対処するため、2025年4月1日より、改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法が施行されます。

まず、改正流通業務総合効率化法のポイントは次の通りです。

  • 全ての事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課す
  • 1.の取り組み状況について国が判断基準を策定し、指導・助言、調査・公表を実施する
  • (一定規模以上の事業者に対し)中長期計画の作成や定期報告等を義務付ける
  • (一定規模以上の荷主に対し)物流統括管理者の選任を義務付ける

2024年4月1日より、物流業界にも労働基準法の「時間外労働の上限規制」が適用されるようになり、物流の停滞が懸念されています。そのため、

  • 物流の効率化
  • 商慣行の見直し
  • 荷主・消費者の行動変容

を行って、荷待ち・荷役時間の短縮や積載率の向上等を図ることで、この問題を乗り切ろうというのが改正法の趣旨です。

具体的には、「荷主(発荷主、着荷主)」「物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)」それぞれに、次のような措置を講じる努力義務が課せられます。

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続いて、改正貨物自動車運送事業法のポイントは次の通りです。

  • 運送契約の締結等の際、所定の事項を記載した書面の交付等を義務付ける
  • 元請事業者に対し、実運送体制管理簿の作成を義務付ける
  • 下請事業者への発注適正化について努力義務を課し、一定規模以上の事業者に対し、管理規程の作成や管理者の選任を義務付ける

真荷主と運送事業者が運送契約を締結するとき、また、運送業務を受託した事業者(元請事業者)がその仕事をさらに下請けに出すときには、原則として以下の事項を記載した書面を交付しなければなりません。

  • 運送の役務の内容およびその対価
  • 運送の役務以外の役務が提供される場合は、その内容および対価
  • その他省令で定める事項

また、これと併せて、元請事業者には、

実際の運送体制を記録した管理簿(実運送体制管理簿)の作成・保存が義務付けられ、下請け発注に関する一定の健全化措置を講ずること

も義務付けられます。

3)建設業の処遇改善・働き方改革・生産性向上

2024年6月14日に建設業法等の改正法が公布され、一部の規定を除き、2025年12月13日までに施行される予定です。今回の建設業法等の改正のポイントは次の通りです。

  • 従業員の処遇改善
  • 資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
  • 働き方改革と生産性向上

建設業は、住居やオフィス、商業施設の建設や地域のインフラ構築を担う重要な役割がある一方で、他産業より賃金が低く、就労時間も長いため、担い手の確保が困難な状況にあります。そのため、従業員の処遇改善・働き方改革・生産性向上を促し、建設業の担い手を確保しようというのが改正法の趣旨です。

「1.従業員の処遇改善」では、

建設業者に対して従業員の処遇を確保する努力義務を課すとともに、国が処遇確保に係る取り組み状況を調査・公表

していくことが求められます。これと併せて、

著しく低い労務費等による見積もりや見積もり依頼を禁止

することで、適正な労務費等の確保を目指しています。また、「2.資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」のために、契約時のルールとして

  • 資材高騰等請負額に影響を及ぼすリスクの情報は、受注者から注文者に提供すること
  • 資材が高騰した際の請負代金等の「変更方法」を、契約書記載事項として明確化すること

が義務付けられます。

その他、長時間労働を抑制するために著しく短い工期による契約締結を禁止したり、ICTを活用した生産性の向上を求めたりする等、「3.働き方改革と生産性向上」の定めも置かれています。

4 今後の対応について

2025年度も、2024年度と同様に、様々な法改正が行われます。

まず、情報流通プラットフォーム対処法については、インターネット上の誹謗中傷の被害防止と被害者の迅速な救済が期待されています。主に大規模プラットフォーム事業者を対象としていますが、その他のプラットフォームを運営する事業者も、同法の考えを理解した上で、自社として誹謗中傷等にどう向き合うかを検討していくとよいでしょう。

改正流通業務総合効率化法・改正貨物自動車運送事業法については、実際に運送を担う末端の事業者が適正な報酬を得られるようになることが期待されています。多重下請構造が出来上がっている物流業界が対象ということで、影響を受ける会社も多いでしょうから、自社に求められる取り組みの内容を確認しておきましょう。

建設業法等の改正についても、趣旨はおおむね同じです。今後の建設業の担い手を確保するためには、従業員に対して処遇の改善や働き方改革を促すことが必要ですから、法改正を機に、自社の体制を見直していきましょう。

以上(2025年3月作成)
(執筆 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:Artur Szczybylo-shutterstock

税理士が注目する2025年度の税務3大ニュース

1 2024年度・2025年度の税務3大ニュース

2024年度は、賃上げ促進税制の拡充や、事業承継を円滑に実行させることを趣旨とした、事業承継税制の特例措置に係る計画提出期限の延長の他、交際費から除外することができる社外飲食費の金額基準の引き上げが行われました。

2025年度は、中小企業の年800万円までの所得に対して適用される軽減税率が2年延長され、所得の大きい中小企業に対する軽減税率が見直されます。また、防衛力の抜本的強化を図るための安定的な財源確保の観点から、従来の法人税の付加税として「防衛特別法人税(仮称)」が創設(適用は2026年4月1日以後に開始する事業年度から)されます。さらに、中小企業の事業承継を円滑に実行させることを趣旨とした事業承継税制が、2024年度に引き続き見直されます。

2024年度・2025年度の税務3大ニュースは次の通りです。

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2 2024年度の総括

2024年度は、「賃上げ促進税制の拡充」など、賃上げや設備投資の促進などを意図した様々な改正がなされたものの、その効果は限定的であったといわれています。特にこの10年における経済環境や、それに応じた企業行動が大きく変化したことも影響し、これまでの法人税改革は意図した効果を上げてこなかった旨が税制改正大綱にも明記されました。

今後は税制も含めた様々な政策手段、中小企業も含めた持続的な経済成長に向けた手当てを期待したいところです。

3 2025年度の主なニュース

1)一定の中小企業に対する法人税率(軽減税率)の延長

一定の中小企業については、年800万円までの所得に対して、通常より低い法人税率(軽減税率:15%)が適用されます。軽減税率の適用期限はもともと2025年3月31日までに開始する事業年度とされていましたが、適用期限が2年延長され、

2027年3月31日までに開始する事業年度

とされました。なお、同じ中小企業でも、

所得が年10億円を超える会社については、軽減税率が15%から17%にアップ

します。

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2)防衛特別法人税(仮称)の創設

防衛力の抜本的強化や防衛費を安定的に確保することを目的として、「防衛特別法人税(仮称)」が創設されます。

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防衛特別法人税とは、基準法人税額から年500万円を差し引いた金額に対して4%の税率で課税するものです。この防衛特別法人税は、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。ただし、

基礎控除として常に年500万円が控除されるため、

所得金額が2400万円以下であれば防衛特別法人税は発生しない

ことになります。

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3)事業承継税制の特例措置に係る役員就任要件の見直し

現行の法人版事業承継税制(特例措置)においては、「後継者が、贈与の日まで3年以上継続して役員等であること」という役員就任要件が設けられています。この要件について、

贈与の直前において役員等であること

というように、役員就任期間が緩和されました。

現行の法人版事業承継税制(特例措置)の適用期限が2027年12月31日であるため、この要件を満たすには、逆算すると2024年12月31日(適用期限の3年以上前)までには、後継者が贈与承継会社の役員等に就任する必要がありました。今回の改正により、適用期限の直前まで事業承継税制の特例措置の適用が検討・実施できるようになります。なお、個人版事業承継税制についても同趣旨の見直しがなされます。この改正は、2025年1月1日以後の贈与より適用されます。

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4 今後の対応について

2025年度においても、今回ご紹介した制度の他、スタートアップへの投資促進や活力ある地域経済の実現を後押しする税制など、多くの税制改正が予定されています。今回ご紹介した「防衛特別法人税」など増税方向の改正については、自社に影響があるかどうか、もしあるならキャッシュフローにどの程度の影響を及ぼすのかを、事前に確認しておくことが重要です。

一方で、税務上の優遇措置には適用するための要件が厳格に定められていたり、所定の書類の保存が必要な場合があったりするため、事前の準備が大切です。必要な書類をそろえていないことなどを税務調査で指摘され、思わぬ税負担を強いられることもあるので、特に改正された規定については早めに準備を進め、適用する上での判断などに迷いがある場合には、税理士などの専門家に相談し、適切に手続きを進めましょう。

以上(2025年3月作成)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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画像:Artur Szczybylo-shutterstock

社労士が注目する2025年度の労務3大ニュース

1 2024年度・2025年度の3大ニュース

2024年度は、特にパート等関連では、明示する労働条件の範囲が広がったり(「無期転換」に関するものを含む)、社会保険の適用拡大が進んで、中小企業で働くパート等の多くが社会保険の加入対象となったりしました。また、いわゆる「2024年問題」として、建設業、自動車運転業務などに、時間外労働の上限規制が適用されました。

2025年度は、育児・介護に関する支援制度、高年齢者の働き方に関する重大な制度改正が実施されます。また、近年、社会問題となっている、いわゆる「自爆営業」について、厚生労働省のパワーハラスメント防止指針に対応が明記され、防止に向けた対策が求められる予定です。

2024年度・2025年度の労務3大ニュースは次の通りです。

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2 2024年度の総括

2024年4月1日より、労働契約の締結・更新時に明示すべき労働条件として、「就業場所・業務の変更の範囲」「更新上限の有無と内容」「無期転換申込機会、無期転換後の労働条件」が追加されました。特に無期転換後の労働条件の整備への対応が万全ではない会社も目立つところです。

同じく2024年4月1日より、「時間外労働の上限規制」が、長らく適用を猶予されていた建設業、自動車運転業務、医師、砂糖製造業(鹿児島県・沖縄県)にも適用されるようになりました。いわゆる「2024年問題」です。業務体制の変更を余儀なくされた会社も多かったのではないでしょうか。

また、2024年10月1日より、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するパート等の範囲が拡大されました。改正前は、厚生年金保険の被保険者数が「常時100人超」の会社に雇用され、一定の条件を満たすパート等が対象でしたが、この被保険者数の要件が「常時50人超」に引き下げられました。なお、パート等については現在、年収の壁、国民年金の第3号被保険者問題、税制上の扶養範囲の見直しなどが議論されており、今後の動向に注視する必要があります。

3 2025年度の主なニュース

1)育児・介護に関する支援制度の拡充

2025年4月1日(一部は10月1日)より、

働きながら育児・介護をする従業員に対する支援制度が拡充

されます。内容は図表2の通りですので、要点を押さえつつ、必要に応じて就業規則や労使協定の見直しを行いましょう。なお、今回の改正により、育児・介護の支援制度等について、従業員への個別周知や意向確認などが必要になってきますが、このあたりについては、面談を実施する担当部署に負担が偏らないよう留意することも大切です。

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また、育児関連では支援制度の拡充に伴って、2025年4月1日より、「共働き・共育て」の推進などを目的とする雇用保険給付「出生後休業支援給付金」「育児時短就業給付金」が新設されます。

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もともと雇用保険には、最大で休業開始前賃金の67%相当額を支給する「育児休業給付金」という給付がありますが、図表3の給付が新設されることで、保障がより手厚くなります。 

2)高年齢者の働き方に関する改正

2025年4月1日より、

定年後も働くことを希望する従業員は全員、継続雇用(65歳まで)の対象

になります。これまで、労使協定(2012年度以前に締結されたものに限る)により、一定年齢以上の従業員を、継続雇用の対象から除外すること(雇用確保義務に対する経過措置)が認められていましたが、この経過措置が終了します。

さらに、同じく2025年4月1日より、

雇用保険給付の高年齢雇用継続給付の最大支給率が「15%→10%」に引き下げ

られます。高年齢雇用継続給付は、賃金が「60歳時点の75%未満」に低下した状態で働く場合に支給される雇用保険給付で、この支給率が次の通り変動します。

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3)パワーハラスメント防止指針に「自爆営業」が追加(予定)

現在(2025年1月31日時点)、政府内で、

パワーハラスメント防止指針に、パワハラの1つとして「自爆営業」を追加

することが検討されています。自爆営業とは、会社が使用者としての立場を利用し、従業員に不要な商品の購入を強要したり、ノルマを達成できない場合に自腹で契約を結ばせたりすることです。過去に、郵便局員が年賀はがきの販売ノルマなどにより、うつ病を発症した事案が労災認定されたことで、自爆営業という言葉が世に知れ渡ることになりました。

指針には、自爆営業が次の3要素を満たすと、パワハラに該当する旨が盛り込まれる予定です。

  • 優越的な関係を背景とした言動であること
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであること
  • 従業員の就業環境が害されるものであること

もともと労働施策総合推進法(いわゆる「パワハラ防止法」)により、会社にはパワハラの防止措置が義務付けられています。「自爆営業」が指針に具体的に明記されることで、防止措置の責任が明確化するため、具体的な防止策を講じる必要が出てきます。

4 今後の対応について

2025年度のトピックスには、労働力の減少を防ぐための改正が多く含まれています。

今回の育児・介護休業法の改正は内容が多岐にわたり、就業規則の見直し、従業員への周知など、実務面でもいろいろと対応が必要になるでしょう。ただ、両立支援に積極的に取り組むことは、会社にとっても「子育てサポート企業」としての認定(くるみん認定など)が受けやすくなったり、「両立支援等助成金」を受け取れたりといったメリットがあります。従業員の離職を防止する観点からも重要な改正ですので、これを機に社内の体制を見直していきましょう。

高年齢者については、高年齢雇用継続給付が縮小されるのに加え、現在、在職老齢年金(働きながら老齢厚生年金をもらうと、一定の場合に年金が減額される制度)の支給停止調整額の引き上げが検討されています。「公的給付があるから」という理由で、継続雇用する従業員の賃金を定年前よりも低く設定する運用も、次第に難しくなっていくかもしれません。従って、高年齢者に対する雇用制度・処遇の見直しも進めていくべきでしょう。

以上(2025年3月作成)
(監修 社会保険労務士法人AKJパートナーズ)

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育児介護休業法が改正されたと聞きました。3歳の子を養育する労働者にどのような措置・確認をしなければならないのでしょうか?

QUESTION

育児介護休業法が改正されたと聞きました。3歳の子を養育する労働者にどのような措置・確認をしなければならないのでしょうか?

ANSWER

柔軟な働き方を実現するための措置を講じなければなりません。

解説

令和7年10月1日より、事業主に新たな措置を講じることが求められました。

対象:3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(労使協定を締結することで入社1年未満の労働者及び1週間の所定労働日数が2日以下の労働者からの利用申出については拒むことが可能)

内容:法令が定める次の措置の中から「2つ以上」の措置を選択して講じた上で、労働者がそのうち1つを選択して利用すること

  • 1-始業時刻変更等の措置
  • 2-在宅勤務等の措置(10日以上/月)
  • 3-保育施設の設置運営等
  • 4-就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年)
  • 5-短時間勤務制度

これらの措置を選択する際は過半数労働組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。

また3歳未満の子を養育する労働者に対して、子が3歳になるまでの適切な時期に、事業主は柔軟な働き方を実現するための措置として上記で選択した制度(対象措置)に関する以下の事項の周知と制度利用の意向の確認を、個別に行わなければなりません。

意向確認については、家庭や仕事の状況が変化する場合があることを踏まえ、労働者が選択した制度が適切であるか確認すること等を目的として、上記の時期以外(育児休業後の復帰時、短時間勤務や対象措置の利用期間中など)にも定期的に面談を行うことが望ましいとされております。

※本内容は2025年2月28日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.93190

画像:Mariko Mitsuda