【朝礼】なぜ、「新年度だから、目標を立てよう」では駄目なのか?

【ポイント】

  • ビジネスの環境は日々変わるので、変化に応じて即行動できる姿勢が大切
  • 年度のように、思考や行動を縛っている「見えない呪縛」がたくさんある
  • 目の前にあるルールを考えて、納得がいかなければ、声を上げるべき

新年度を迎えて、新しい目標を立てた人もいるでしょう。これまでの私であれば、「新年度に目標を立てて取り組むことは、とても良いことです。努力をして、ぜひ、目標を達成できるようにがんばってください」と言って、皆さんを叱咤(しった)激励してきました。

しかし、今回は、冒頭に「新年度に」という言葉を付けるのをやめて、「目標を立てて取り組むことは、とても良いことです。努力をして、ぜひ、目標を達成できるようにがんばってください」としました。その理由は、「年度」という縛りから解放されてほしいからです。

もちろん、新年度に目標を立てるのは悪いことではありません。会社も、皆さんに年度単位で目標を立ててもらい、その達成度を評価します。私自身も経営者として1年間の「業績」という結果に基づいて評価を受けます。そのため、年度という期間を全く無視していいわけではありませんが、過度に年度という単位に縛られることは良くないと思っています。

理由は至ってシンプル、「日々のビジネス活動は、年度単位では動いていないから」です。私たちが考えなければならない市場環境、競合他社、お客様のニーズなどは、日々変わります。その変化に応じて、年度にとらわれることなく即行動、そんな姿勢を持ってもらいたいと思っています。

実は、年度と同じように、私たちの思考や行動を縛っているものはたくさんあります。私は、こうした「見えない呪縛」が成長しようとしている会社や皆さんの障害になっていると思っています。
身近な例でいえば「担当業務」がそうです。担当業務の内容や手順は、「必ず守るべきもの」と思い込みがちです。しかし、より効率的な方法やミスが発生しない方法があれば、すぐに変更できるようなスピーディーかつ柔軟な組織になってほしいと思っています。

そのための大切なことは2つあります。1つは、目の前にあるルールの意味を考えることです。もう1つは、もし、考えても自分が納得できなければ、「なぜ、こうなっているのですか?」と声を上げることです。そのひと声が、皆で考え、ルールを良い方向に変えていくきっかけになるはずです。

こうしたことの積み重ねが、会社の成長のために、一番必要だと肝に銘じてください。

以上(2025年3月作成)

pj16760
画像:Mariko Mitsuda

【入社1年目の教科書 まとめ】新入社員のためのビジネスの基礎知識~シリーズを一挙紹介

書いてあること

  • 主な読者:社会人の基礎を学びたい新入社員
  • 課題:学生から社会人になると何が変わるのか、何を準備しておけばいいのかが分からない
  • 解決策:お金をもらって仕事をする「プロ」になる。プロとして働く以上、社会人として最低限の常識やマナーは身に付けておく必要がある

「入社1年目の教科書」シリーズでは、皆さんに今のうちから身に付けてほしい社会人の基礎を分かりやすくまとめたものです。服装・挨拶のマナーや電話の出方など初歩的な内容から、契約のルールなど少し専門的な内容まで、幅広く紹介していますので、参考にしてください。

1 最初が肝心! 社会人の常識やマナー

社会人になって皆さんが最初に接する相手は、会社の上司や先輩です。上司や先輩は新たに仲間となった皆さんを優しく出迎えてくれるでしょうが、その優しさに甘え過ぎず、社会人の常識やマナー、ルールを守って「大人として」行動することが大切です。

1)「会社の一員である」ことを自覚し、常識やマナーを大事にしよう

フレンドリーな雰囲気の会社、服装などのルールが比較的緩い会社などはたくさんありますが、どんな会社であっても「会社の一員である」という自覚を持って仕事をしないといけないのは同じです。社会人の常識や服装・挨拶のマナーを紹介します。

2)仕事のルールは「就業規則」を読んで理解しよう

会社の「就業規則」には、就業時間やお給料の計算方法など、働く上での基本的なルールが定められています。皆さんがまず押さえるべきは「服務規律」です。服務規律には「就業時間中は仕事に専念しなければならない」など、仕事をする上での基本的な心構えが書かれています。

一般的な就業規則の項目や、服務規律の内容を紹介します。

3 電話やメールの基本を押さえよう

電話やメールは、ビジネスの基本ツールです。最初は使い方に戸惑うかもしれませんが、マナーなどを早めに押さえておくと、電話やメールの内容(商品やサービスに関する具体的な話)に気を回す余裕が出てきて、仕事への理解が深まります。取引先を訪問したり、議事録を作成したりするときも、同じようにポイントを押さえて臨むことで、会話の内容に集中できます。

1)電話は怖がらずに出よう

電話応対では、「取り次ぎのために自社の商品名や部署、担当者を覚えられる」「リアルなビジネストークを、敬語を交えながら体験できる」といった、ビジネスの基礎体力が身に付きます。怖がらずに電話に出るためのコツを紹介します。

2)パソコンのキーボードは「静かに」叩こう

パソコンのキーボード操作に慣れていないと、見慣れない配列に悪戦苦闘。やたらに力強くキーを押してしまうので、タイピング音がうるさくなりがちです。大切なのは正しい姿勢なので、パソコンを使うときの視線の高さや、キーボード操作で指を置く基本位置を紹介します。

3)メール独特の「お作法」を覚えよう

メールは今でもビジネスにおける主力の連絡手段です。メールは長く使われてきたツールなだけに、宛先(TO、CCなど)や言い回しについて独特の「お作法」があるので、正しいマナーを身に付けましょう。メールの送り方や誤送信時の対応のポイントを紹介します。

4)訪問する際は、しっかりと事前準備をしよう

初めて取引先などを訪問するときというのは誰でも緊張しますが、「時間を取ってくれた相手に感謝し、決して準備を怠らないこと」を忘れなければ基本的には大丈夫です。取引先などを訪問する際の準備やマナーを紹介します。

5)席次の基本を覚えて、臨機応変に対応しよう

席次の基本は、偉い人が座る「上座」が、出入口とは反対の奥の席です。応接室、会議室、自動車、列車、エレベーターにも席次がありますが、時と場合によることもあります。席次についてのマナーを紹介します。

6)議事録で必要なのは速記ではない。事前準備を怠らないようにしよう

議事録の作成と聞くと、会議の進行と同時に会話をまとめていく「速記」をイメージする人がいますが、実は違います。必要なのは、アジェンダの事前共有、会議中の要点のまとめ、会議後の確認です。議事録作成のポイントを紹介します。

4 お金の流れが分かれば会社のことが見えてくる

ビジネスでは、商品やサービスを売ったり、必要な備品や設備を買ったりと、さまざまなお金の流れがあります。皆さんの「お給料の支払い」も、そうした流れの1つといえるでしょう。自社のお金の流れを見れば、例えば「自社が今、どのような活動に注力しているのか」などが、他社のお金の流れを見れば、例えば「今後も取引関係を継続できそうか」などが分かります。

1)自分のお金と会社のお金を明確に分けよう

社会人になると、仕事のために会社のお金を使うようになります。そのときに大切なのは、自分のお金と会社のお金を明確に分けることです。お金に関する基本的なルールを紹介します。

2)給与明細を見れば、お給料の支払いの流れが分かる

お給料はもらうと、とてもうれしいものです。ただ、社会保険料や税金など、お給料から引かれる金額があることをご存じでしょうか。お給料の額や内訳などを示す「給与明細」の仕組みを紹介します。

3)源泉徴収票を見れば、1年間のお給料の支払い状況が分かる

年末年始に配られる「源泉徴収票」には、その年(前年)のお給料の合計額、差し引かれた社会保険料や税金の情報などが書かれています。これは、皆さんが家や車を買うときなどにも必要になる大切な書類なので、しっかり内容を確認しましょう。

4)3つの財務諸表を押さえれば、会社のお金の動きが分かる

財務諸表は会社のお金の流れを表す重要な書類で、社会人はこれが読めて初めて一人前といわれます。会社がもうかったか損をしたかを示す「損益計算書」、会社がどのようにお金を調達し何に使っているかを示す「貸借対照表」、会社の現金の流れを示す「キャッシュフロー計算書」の読み方を紹介します。

5)金融リテラシーの基本を押さえて、もっとお金に詳しくなろう

稼いだお金を株式や投資信託などの金融商品に投資する資産形成。今では、高校の授業にも「金融教育」が組み込まれています。ただ、具体的に何をしたらよいのか分からないこともあります。そこで、資産形成の基本について紹介します。

5 そろそろ独り立ち。半歩先ゆくビジネスのルール

入社したての頃は、上司や先輩が皆さんに付いて仕事を教えてくれますが、ある程度時間がたつと、やがて1人で仕事をするようになります。そのときに注意しなければならないのが、契約違反、情報の取り扱い、取引先への営業などで、知らず知らずのうちに法律に違反してしまうことです。

1)契約の内容をしっかり把握しよう

仕事は、相手とさまざまな「契約」をしながら進めます。契約は相手との約束であり、守らなかった場合はペナルティーがあるので注意が必要です。契約の基本的なルールを紹介します。

2)ビジネス文書は何のために作成されるのかを知っておこう

ビジネス文書は、誠実にトラブルなくビジネスを進めるために必要なものです。納品書、検収書、注文書、見積書などさまざまなビジネス文書があって最初は混乱しますが、「何のために作成されるのか」を意識していれば、トラブルなく使いこなすことができます。ビジネス文書の種類や使用目的などを紹介します。

3)情報の取り扱いには細心の注意を払おう

仕事をしているとたくさんの情報を取り扱いますが、どんな情報であっても慎重に取り扱い、相手の会社や個人、取引内容を特定できるような情報は話さないのが基本です。情報の取り扱いに当たって押さえておくべき6つの注意事項を紹介します。

4)営業では、正しい情報を相手に魅力的に伝えよう

商品やサービスを売りたいからといって、話を盛り過ぎるような不当なセールストークなどをするのは法律違反です。営業で必要なのは、相手のニーズを捉え、正しい情報を魅力的に伝える力です。法律に違反しないセールストークなどのポイントを紹介します。

5)取引先には無理なお願いをしないように気を付けよう

ビジネスでは、こちらが有利な立場(発注する側など)にあるときほど、無理なお願いをしがちです。取引内容に注意しないと、「下請法」という法律に抵触し、自社の社会的な信用を傷つけてしまう恐れがあります。皆さんが守らなければならない義務や禁止事項を紹介します。

6)著作物の侵害などをしないために注意点を知っておこう

プレゼン資料やチラシを作るとき、ネット上で公開されている動画や画像を無断で使用すると、著作権の侵害になることがあります。動画や画像を使用する際のルールを紹介します。

6 働き過ぎてもダメ! 健康に働きましょう

仕事熱心なのは良いことですが、働き過ぎで体を壊してしまっては意味がありません。残業は必要最低限にして、休みを取り、健康診断も受けましょう。自分の健康をコントロールできてこそ、一人前の社会人といえるのです。

1)残業は上司の許可を得た上で、最低限にとどめよう

労働時間は、「原則1日8時間、1週40時間までが上限」と決められています。どうしても仕事が終わらないときは残業が認められますが、必ず事前に許可を得ることが大切です。残業の定義や申請するときのマナーを紹介します。

2)年次有給休暇(年休)は積極的に取得しよう

会社には、入社後6カ月以上勤務すると、お給料をもらいつつ休みを取れる「年次有給休暇(年休)」という制度があります。正社員の場合、1年間に5日の年休を取るのが決まりなので、積極的に取得しましょう。年休のルールや申請するときのマナーを紹介します。

3)健康診断の受診など健康管理のルールを知っておこう

会社には、社員が病気やけがをせずに安心して働けるように配慮をする義務があり、社員には自ら健康管理に取り組む義務があります。健康診断もこの一環です。皆さんが守るべき健康管理のルールを紹介します。

以上(2025年2月更新)

pj00512
画像:Mariko Mitsuda

物流業界必読! 面倒な 「実運送体制管理簿」をかんたん作成

1 「実運送体制管理簿」とは?

早速ですが、

2025年4月から、改正貨物自動車運送事業法により、荷主から運送を委託された元請事業者に対し、「実運送体制管理簿」という運送の実態を記録する管理簿の作成が義務付けられました。

実運送体制管理簿の作成義務があるのは元請事業者ですが、トラック運送業は多重下請構造になっており、作成に当たっては荷主や実運送事業者などと連携する必要があります。ですから、この記事は、トラック運送事業者(特に元請事業者)だけではなく、荷主企業にもお役立ていただきたい内容になっています。

画像1

実運送体制管理簿を作成する元請事業者にとっては、「ただでさえ人手不足なのに、さらに事務負担が増えるのか……」と愚痴の一つも言いたいところですが、これについては便利なサービスも登場しているので、後ほどご紹介します。

では、実運送体制管理簿の内容をみていきましょう。また、第4章では物流業界を取り巻く環境と国や業界団体が目指す将来像についても簡単に紹介しているので、ご確認ください。

2 実運送体制管理簿に記載することと、未対応時の罰則

1)実運送体制管理簿に記載すること

元請事業者が実運送体制管理簿を作成しなければならないのは、荷主企業(真荷主)から引き受けた1.5トン以上の貨物の運送について、他のトラック運送事業者を利用したときです。この場合、貨物の運送ごとに、次の事項を記載した実運送体制管理簿を作成します。

  • 実運送事業者の商号または名称
  • 実運送事業者が実運送を行う貨物の内容および区間
  • 実運送事業者の請負階層
  • その他国土交通省令で定める事項

実運送体制管理簿には、

  • 記載しなければならない項目は決まっているが、書式は事業者が自由に決められる
  • 作成・保存の方法は、紙媒体、電子媒体のどちらでも構わない

というルールがあります。つまり、必要なことさえ記録してあれば問題ありません。

「実運送体制管理簿」のイメージは次の通りです。

画像2

なお、4.の「その他国土交通省令で定める事項」は、後から追加される可能性がありますが、1.~3.の事項が記載されていれば、既存の配車表を活用することも可能です。実運送体制管理簿は、貨物の運送の完了した日から1年間、営業所に備え置く必要があります。

(注)真荷主とは、一般貨物自動車運送事業者として利用運送を行う一番上位の事業者に「直接」運送の委託をしている事業者のことです。真荷主から貨物の運送を引き受ける際に、元請事業者から実運送事業者に至るまでの一連の委託関係が明らかとなっている場合は、貨物の運送ごとに実運送体制管理簿を作成する必要はありません。

実務の具体的な留意点などについては、国土交通省からQ&A(随時更新)が出ていますのでそちらをご確認ください。

■国土交通省「改正貨物自動車運送事業法(令和7年4月1日施行)について」■
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000014.html

2)未対応時の罰則

実運送体制管理簿の作成・保存に不備が認められ、貨物自動車運送事業法違反とみなされると、「文書警告」や「自動車の使用停止」の行政処分を受ける恐れがあります。

行政処分の対象となる事業者は、必ずしも元請事業者だけではありません。実運送体制管理簿に係る通知義務違反があれば、下請事業者が対象になるケースもあり得ます。

画像3

なお、元請事業者は、図表2の行政処分以外に、下請法の「優先的地位の濫用」の罪に問われるリスクもあります。

■国土交通省「【別表】(貨物)違反事項ごとの行政処分等の基準(令和7年2月改正、4月施行)」■
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03punishment/baseline.html

3 実運送体制管理簿の作成もできる便利なサービス

実運送体制管理簿の作成については、次のような便利なサービスもあるので、活用してみるとよいでしょう。

■Hacobu「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」■
https://hacobu.jp/movo-vista/
■AppLogi「AppLogi DX Platform(アップロジ・ディーエックス・プラットフォーム)■
https://app-logi.co.jp/
■Univearth「LIFTI carriers(リフティ・キャリアズ)」■
https://www.lifti.jp/carriers

トライアル期間の有無や、問い合わせ対応などのフォロー体制などを考慮しつつ、こうしたサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

4 (参考)物流業界を取り巻く環境と国が目指す将来像

1)物流の2024年問題

物流は生活・経済を支える社会インフラですが、「物流の2024年問題」を抱えています。働き方改革関連法の施行によって、ドライバーの長時間労働の是正などが期待される半面、物流の停滞が懸念されているのです。何も対策を講じなければ、輸送能力が2024年度には14%(4億トン相当)、2030年度には34%(9億トン相当)不足し、貨物を今のようには運べなくなる恐れがあるといわれています。

こうした中、「流通業務総合効率化法」と「貨物自動車運送事業法」の改正法が2024年5月に公布され、順次施行されつつあります。

■国土交通省「物流改正法」■
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000029.html

2)国が目指す将来像は「フィジカルインターネット」

「フィジカルインターネット」は、インターネットで用いられるパケット通信(データを小分けにして送受信する)の考え方を、現実の物流の世界にも適用しようというものです。

概念的には、物流の機能を細かく分けて、使いたい機能を、使いたいときに、使いたい人が最適なかたちで組み合わせて使えるようにするということです。

経済産業省・国土交通省は、「フィジカルインターネット」を実現すべく、2040年を目標としたロードマップを2021年10月に取りまとめ、公表しています。

■国土交通省「フィジカルインターネット・ロードマップをとりまとめました!」■
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000594.html

3)物流ダイナミックプライシングの適用可能性

「フィジカルインターネット」に大きく関係してくるのが、ダイナミックプライシングをはじめとする、物流業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

「ダイナミックプライシング」は、商品やサービスの需要と供給の状況に応じて価格を変動させる仕組みで、航空券の料金やホテルの宿泊料などで使われています。物流ダイナミックプライシングは、この仕組みを物流業界にも適用しようというものです。

経済産業省は、「令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(ダイナミックプライシングの物流適応に関する調査)最終報告書」として、有限責任監査法人トーマツが取りまとめた委託調査報告書を公表しています。

■経済産業省「令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(ダイナミックプライシングの物流適応に関する調査)最終報告書」■
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2022FY/000278.pdf

4)トラックの「標準的運賃」の告示

物流ダイナミックプライシングの実現に関係してくるのが、適正な運賃のあり方です。

ダイナミックプライシングでは、需要が多ければ料金が上がり、需要が少なくなれば料金が下がるのが本来の姿です。しかし、物流業界の現状は、価格競争で需要を奪い合い、忙しいのにもうらない状態になってしまっています。

こういった事態を避けるためにも、一定程度の運賃水準が保たれなければなりません。国土交通省は、2024年3月、トラックの運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を加算した、新たな標準的運賃を告示しました。この告示は2024年6月から施行されています。

■国土交通省「『標準的な運賃』について」■
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000118.html

5)貨物自動車運送の「事業許可更新制」導入検討

標準的運賃を守らないトラック運送事業者が受注を増やしてしまっては本末転倒です。こうした中、全日本トラック協会を中心とする業界団体からの強い要望を受け、自民党トラック議連などが検討を進めているのが、貨物自動車運送の「事業許可更新制」です。真っ当な競争環境をつくるためにトラック運送事業者の質を問い、悪質事業者の退場を促すものです。

2025年2月に開催された自民党トラック議連の総会では、「事業許可更新制」の導入などを盛り込んだ貨物自動車運送事業法の改正法案と制度運用に伴う新法(適正競争推進特別措置法=仮称)の骨子が明らかにされました。主な内容としては次の通りです。

  • 有効期間を5年間とする「事業許可更新制」を導入
  • 更新制度を運用する公的機関(適正競争推進機関=仮称)を新設
  • 新制度と実施機関が運用を開始するまで3~5年程度の猶予期間を設ける

早ければ、今国会の会期末(2025年6月22日)までに超党派の議員立法で、国会に法案が提出される見込みです。

■全日本トラック協会「広報とらっく(2025年2月25日号)」■
https://jta.or.jp/pdf/kohotruck/20250225.pdf

6)「事業許可更新制」を実現するための環境整備の1つが「実運送体制管理簿」

「事業許可更新制」を実現するために必要なのが、多重下請構造の是正です。物流業界は、

荷主企業→元請事業者→一次請→二次請→三次請→四次請……

と多重下請構造となっており、実際に貨物を運ぶ実運送事業者は四次請やそれより後の事業者であることも珍しくありません。

ドライバーの働き方改革を実現し維持していくには、荷主企業が払う運賃が、実運送事業者が受け取る運賃と同じでなければなりませんが、そうした環境を整備するために必要なのが、運送契約を書面で交わし、誰がどこに何をいくらで運んだのか分かるようにしておくことです。

「実運送体制管理簿」の作成義務化は、「事業許可更新制」を実現するための環境整備の1つと捉えられるでしょう。

以上(2025年4月作成)

pj40072
画像:pisan thailand-Adobe Stock

【入社1年目の教科書】「健康診断」は権利ではなく義務! 皆さんが守るべき健康管理のルール

書いてあること

  • 主な読者:「健康診断」など、健康管理のルールについて知りたい新入社員
  • 課題:健康診断って義務なの? 仕事がある日に体調が優れないときはどうすればいいの?
  • 解決策:健康診断は社員の義務。体調が優れないときは我慢せず会社に申告する

あぁ〜、今日は定期健康診断か……。昔から病院って苦手なんだよな。別に調子は悪くないし、受けなくてもいいと思うんだけど、拒否しちゃダメかな……。そもそも、何で会社がいちいち健康診断について指示するの? 自分で自分の健康を管理していれば十分でしょ?

1 皆さんは契約を守るために健康でいる義務がある

会社と皆さんは労働契約を交わしています。労働契約とは、

皆さんが仕事をする代わりに、会社がお給料を支払うという契約

です。そして、会社と皆さんは労働契約を守るために努力しなければならないことがあります。

まず、会社は「安全配慮義務」を負っています。安全配慮義務とは、

皆さんが病気やけがをせずに安心して働けるように配慮をすること

です。健康診断はこの一環として行われます。

次に、皆さんは「自己保健義務」を負っています。自己保健義務とは、

自ら健康管理に取り組むこと

です。自己保健義務と言われてもピンとこないかもしれませんが、注意したいのは、

  • 健康診断は必ず受ける
  • 病気やけが、体調不良のときは我慢せず申告する
  • 健康管理上必要な指示やルールには従う

の3つです。皆さんが自分の健康管理をおろそかにし過ぎると、会社から懲戒処分を受けることもあります。そうした意味ではプライベートでも一定の配慮が必要です。遊んで徹夜をしたり、深酒をしたりして仕事のパフォーマンスが落ちるようでは、社会人として失格です。

2 健康診断は必ず受ける

会社が実施する健康診断は労働安全衛生法という法律で定められています。幾つか種類がありますが、基本として押さえておきたいのは、

  • 社員が入社したときに実施する「雇入時健康診断」
  • 入社後、1年以内ごとに1回実施する「定期健康診断」

です。原則として、図表の項目は必ず受診しなければなりませんが、注意書きの通り、省略できるケースがあります。

画像1

健康診断の結果、もしも「要検査」「要治療」となった場合は、それに従って医師の検査や治療を受けるなど、改善に努めなければなりません。

3 病気やけが、体調不良のときは我慢せず申告する

体調が優れないときや、けがをしたときなどは、我慢せずに会社に伝え、休むようにしましょう。その際、所定の手続きがあるので、先輩に確認してください。大事なことは無理をしないこと。無理をして症状が悪化したら、それこそ周囲に迷惑をかけることになります。また、症状がひどい場合は病院に行きましょう。その場合、

  • プライベートの病気やけが(私傷病)であれば、原則3割負担(健康保険)
  • 通勤中や仕事中の事情による病気やけが(労働災害)であれば、原則無料(労災保険)

で診察や治療が受けられます。1.の健康保険を使うときは、保険証(健康保険被保険者証)を持参します。また、2.の労災保険を使うときは、所定の書式に必要事項を記入して病院などに提出します。書式は下の厚生労働省のウェブサイトからダウンロードできますが、種類が多いので、慣れないうちは会社に事情を説明して、必要な書式を用意してもらうようにしましょう。

■厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousaihoken.html

4 健康管理上必要な指示やルールには従う

会社は、皆さんの健康を守るため仕事上のルールを設けることがあります。例えば、コロナ禍であれば、感染予防のため「ソーシャル・ディスタンスを守って仕事をするように」、夏場であれば、熱中症予防のため「こまめに水分補給をするように」といった具合です。

こうしたルールをおろそかにすると、皆さんが健康を害してしまい先輩などにも迷惑がかかるので、必ず守りましょう。特に建設業や製造業などの場合、設備や装備、用具の取り扱いに至るまでルールが多い傾向にありますが、こうした業種ではルールを守らないことが即、重大な事故につながる恐れがあります。

以上(2025年1月更新)

pj00616
画像:Mariko Mitsuda

令和7年度やまがた未来くるエネルギー補助金(山形県再生可能エネルギー等設備導入促進事業)のご案内

山形県では、家庭や事業所における再生可能エネルギー等設備の導入を促進するとともに、温室効果ガス排出量の削減を図るため、再生可能エネルギー等設備の導入にかかる経費の一部を補助します。

補助対象事業や申請受付期間などの詳細な内容は、こちらのページからご確認ください。

令和7年度やまがた未来くるエネルギー補助金


誹謗中傷はダメ! 軽い気持ちの再投稿が処罰対象になる!?

1 誹謗中傷はダメ! 再投稿でも処罰される恐れがある

皆さんは、SNSや動画共有サイトなどで、芸能人やアスリートなどの著名人を誹謗中傷するような投稿を見かけたことがあるかもしれません。

「容姿や性格、人格に関する悪口」「虚偽や真偽不明の情報」「プライバシーの暴露」などといった悪質な投稿は後を絶たず、そうした投稿に端を発し精神的に追い詰められて自ら命を絶ってしまう人もいて、大きな社会問題となっています。

こうした中、ネット上の誹謗中傷については、法改正等によって、様々な対策が進められてきています。

画像1

忘れてはならないのは、

  • 匿名だからといって何を言ってもいいわけではない
  • ネット上の誹謗中傷の発信者は技術的に特定され得る
  • 元の発信者でなくても、軽い気持ちでした再投稿(注)が処罰対象になることもある

ということです。

ネット上の誹謗中傷を巡っては民事事件(損害賠償請求)も多くありますが、まずは、刑事事件として問題となるのはどのような行為で、それに対してどのような罰則が科せられるのかを見ていきましょう。

(注)再投稿とは、共感したり気に入ったりした情報をそのまま拡散する行為をいいます。SNSによって「リツイート(旧Twitter)」「リポスト(X)」など名称が異なります。

2 ネット上の投稿 刑事事件として問題となる行為と罰則

1)名誉毀損、侮辱

名誉毀損については、

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する

とされています(刑法第230条第1項)。

侮辱については、

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する

とされています(刑法第231条)。

例えば、「A氏は、裏で反社会的勢力とつながっているようだ」といった投稿をした場合、A氏から名誉毀損の罪で告訴される恐れがあります。また、「B氏は、自己中でわがまま。最悪。キモい」といった投稿をした場合、B氏から侮辱の罪で告訴される恐れがあります。

なお、人の名誉の「人」は、個人だけでなく法人も含まれると解釈されます。相手が著名人に限られるわけではなく、一般人でも会社でも相手の名誉(社会的評判)を傷つけるような投稿をしてはいけません。

2)信用毀損・業務妨害、威力業務妨害

信用毀損・業務妨害については、

虚偽の風説を流布し、または偽計を用いて、人の信用を毀損し、またはその業務を妨害した者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する

とされています(刑法第233条)。

威力業務妨害については、

威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条(第233条)の例による

とされています(刑法第234条)。

信用毀損・業務妨害、威力業務妨害は親告罪ではないため、被害者(や法定代理人など)からの告訴がなくても、検察が起訴することはあり得ます。

例えば、「C社は、パワハラがひどい。ヤバイ」といった投稿は、信用毀損・業務妨害の罪に問われる恐れがあります。また、「D店が気に食わない。火をつけてやる」といった投稿は、威力業務妨害の罪に問われる恐れがあります。

3)脅迫、強要、恐喝

誹謗中傷とは少し異なるかもしれませんが、いわゆる「カスハラ」に当たるような悪質なクレーマーによるネット上の脅迫、強要、恐喝などもあり得ます。

脅迫については、

生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金に処する

とされています(刑法第222条第1項)。

強要については、

生命、身体、自由、名誉もしくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する

とされています(刑法第223条第1項)。

恐喝については、

人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する

とされています(刑法第249条第1項)。

脅迫、強要、恐喝も親告罪ではないため、被害者(や法定代理人など)からの告訴がなくても、検察が起訴することはあり得ます。

例えば、「E店の店員、殺す」といった投稿は脅迫の罪に問われる恐れがあります。また、「F店は接客態度がなってない。謝罪広告を出せ」といった投稿は、強要の罪に問われる恐れがあります。さらに、「G社は、機密情報を暴露されたくなければカネを払え」といった投稿をすれば、恐喝の罪に問われる恐れがあります。

3 再投稿でも処罰される!?

ケースによっては、悪質な投稿を再投稿した者も告訴される恐れがあります。実際に、名誉毀損や侮辱に該当する投稿を再投稿した者に対する損害賠償請求を認容する下級審判例が相次いでいます。

再投稿であっても、その投稿が誰かを傷つけることにならないか、慎重に考えて行動しないといけません。「正義感にかられて」「つい軽い気持ちで」などの主張や弁明は通用しないといえるでしょう。

また、性的被害を受けたとの女性ジャーナリストによる訴えに対し、旧Twitterで「売名行為だ」などと誹謗中傷する複数の投稿があり、当時現職だった国会議員が、それらの投稿に繰り返し「いいね」を押したことで、名誉を傷つけたかどうかが争われた裁判もありました。同裁判では最高裁が議員側の上告を退ける決定をし、同議員に賠償を命じた二審の判決が確定しました。これは、特殊なケースとも考えられますが、

  • 誹謗中傷に対しては社会全体がより厳しい目で見るようになっている
  • SNSでの振る舞いには責任が伴う

ことを忘れてはなりません。

4 参考

1)検察統計による被疑事件の起訴人員数の推移(罪名別)

第2章で紹介した「刑事事件として問題となる行為」について、法務省「検察統計」を基に、起訴された人員数の推移をまとめてみました。

画像2

名誉毀損と侮辱は、被害者(や法定代理人など)からの告訴がなければ検察が起訴できない親告罪ですが、2023年には278人(対前年42人増)が名誉毀損で、73人(対前年30人増)が侮辱で起訴されています(検察統計調査。死者名誉毀損を除く被疑事件)。

同じく、2023年には117人(対前年6人減)が信用毀損・業務妨害で、220人(対前年70人増)が威力業務妨害で起訴されています(検察統計調査。電子計算機損壊等業務妨害を除く被疑事件)。また、2023年には702人(対前年22人増)が脅迫で、122人(対前年35人増)が強要で、448人(対前年124人増)が恐喝で起訴されています(検察統計調査)。

これらのうち「ネット上の誹謗中傷」が占める割合などは明らかではありませんが、毎年、数百人が起訴されるに至る様子がうかがえます。

2)SNSなどで誹謗中傷を受けて困ったとき、傷ついて辛いときは

総務省では「インターネット上の書き込みなどに関する相談・通報窓口のご案内」というチャート式で、どういう場合に、どこに相談・通報すればよいのか分かりやすくまとめた資料を公表しています。

SNSなどで誹謗中傷を受けて困ったとき、傷ついて辛いときは、独りで抱え込まず、信頼する人や公的な相談窓口に相談しましょう。

■総務省「インターネット上の書き込みなどに関する相談・通報窓口のご案内」■

https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/reference/reference01.html

以上(2025年3月更新)
(監修 Earth&法律事務所 弁護士 岡部健一)

pj60136
画像:mako-Adobe Stock

【入社1年目の教科書】休んでもお給料がもらえる「年次有給休暇」って素敵だ!

書いてあること

  • 主な読者:「年次有給休暇(有休)」など、会社にある休暇制度について知りたい新入社員
  • 課題:有休がいつもらえるのか分からない。好きなときに休んでいいのだろうか?
  • 解決策:有休は6カ月以上勤め、8割以上出勤したらもらえる。休む際のマナーも忘れずに

よく働いて、よく遊ぶ。仕事だけではなくプライベートも充実させないとね! 会社には、休みなのにお給料がもらえる「有休」という制度があるらしい。一体、何日、休むことができるのかな。連休にくっつけて休んでもいいのかな。あぁ?、休みのことを考えていたら、すごく楽しい気分になってきたぞ!!

1 休んでもお給料がもらえる「年次有給休暇(有休)」

会社にはさまざまな休みがあります。その中に、休みなのにお給料がもらえるという「年次有給休暇」(以下「有休」)があります。有休とは、

労働基準法という法律で定められている休暇で、入社後6カ月以上勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤する

という2つの条件を満たせばもらえます。もらえる有休の日数は、勤続年数によって次のように違います。長く勤めれば、有休も増えるということです。

画像1

いずれにしても、6カ月頑張らなければ有休はもらえません。入社したばかりだと有休はありませんが、安心してください。会社には夏季休暇や誕生日休暇などさまざまな休みがあるので、使えるものがないかを確認してみましょう。使える休暇がなかったとしても、会社に許可を取れば休めます。ただし、その場合は「欠勤」となってお給料が出ないこともあるので、注意してください。

ちなみに、休暇と似た言葉に休日がありますが、両者の意味は厳密には違います。

  • 休暇:本来は働く日だが、休むことにした日
  • 休日:もともと働かなくてよい日

この記事の最後で、多くの会社で整備されている一般的な休暇、休日をまとめているので、参考として確認してみてください。

2 余裕を持って申請するのがマナー

有休を取るときは、事前に会社に申請します。申請のルールは会社ごとに違うので、慣れないうちは先輩に確認しましょう。基本的に、有休は皆さんの好きな日にもらえます。しかし、仕事に大きな支障が出そうな場合に限り、会社が有休の日を変えることがあります。

有休は皆さんの権利なので、遠慮せずに取ってよいのですが、いきなり「明日、有休をもらいます!」というのはマナー違反です。急用なら仕方ないですが、そうでなければ1週間前には申請し、引き継ぎも丁寧にしましょう。皆さんの仕事で引き継ぐことは少ないかもしれませんが、

皆さんが担当している仕事の進捗を整理し、特に滞っていることがないか

を伝えるようにしましょう。

3 1年間に5日の有休を取るのが決まり!

有休にはちょっと不思議なルールがあります。それは、

10日以上の有休がある社員は、1年間に5日の有休を取らないといけない

という労働基準法のルールです。皆さんが正社員の場合、入社して6カ月後には10日の有休がもらえるので、そこから1年以内に5日の有休を取らないといけないのです。法律によって「休まないといけない」という、不思議でうれしいルールです。この5日については、皆さんの好きな日に取ることもできますが、会社が「○月○日に有休を取ってください」と指定してくることもあります。

なお、有休は「1日単位」のイメージがありますが、会社によっては「半日単位」でも取れます。その場合、就業規則などで定められているので、確認してみましょう。半日の有休を取った場合、0.5日の有休としてカウントされます。

4 会社にあるさまざまな休暇、休日

有休の他にも、さまざまな休暇、休日があります。一般的なものは次の通りです。法律の定めが「あり」のものは、原則としてどの会社でも利用できます。法律の定めが「なし」のものは、会社が就業規則などで定めていれば利用できます。

画像2

なお、休暇の上から3つ目の「子の看護休暇」は、2025年4月1日から「子の看護等休暇」という名称に変わり、子どもの看護の他、学校行事に参加する場合などにも使えるようになります。対象となる子どもの年齢も「小学校入学前」から「小学校3年生修了まで」に引き上げられます。

ちなみに、この記事で紹介した有休はお給料がもらえる有給の休暇でしたが、上の図表の休暇については、有給か無給かが会社によって異なります。詳しくは、先輩などに確認してみてください。

いずれにしても、

休暇、休日は皆さんの権利なので、休むことに遠慮は不要です。ただし、休暇の申請は事前に行い、引き継ぎなどはしっかり行うことがマナー

であることを忘れないでください。

以上(2025年1月更新)

pj00615
画像:Mariko Mitsuda

ムーミンの作者トーベ・マリカ・ヤンソン氏と「ほんとの自由」

あんまりおまえさんがだれかを崇拝したら、ほんとの自由はえられないんだぜ

トーベ・マリカ・ヤンソン氏は、「ムーミン」シリーズの生みの親です。2025年は、ムーミン小説出版80周年。日本で放映されたテレビアニメのムーミンに慣れ親しんでいた方も多いでしょう。

冒頭の言葉は、ムーミンシリーズのキャラクターであるスナフキンが物語の中で、自分に憧れ付き纏ってくる小さな生き物に言い放ったものです。スナフキンという人物は、一言で表すなら「束縛を嫌う自由人」です。他のキャラクターは家を持ち、宝物を集め、自分の持ち物に強いこだわりを持っているのですが、スナフキンだけはいつもリュックサックひとつで旅をしています。彼にとって、何かに執着して自然体でいられなくなることは「不自由」。だから、自分を慕ってくる小さな生き物にも、冒頭の一見冷たくも思えるせりふを言うのですが、そのおかげで小さな生き物は「自由」の意味を知り、スナフキンのもとを去って、自分の人生を楽しむようになります。

自由人スナフキンは、シリーズを通し皆の憧れとして描かれていますが、これにはヤンソン氏自身の生い立ちが大きく影響しているかもしれません。彼女の父は著名な彫刻家で、彼女は幼い頃から芸術に親しんで育ち、わずか14歳で作家デビューを果たします。ヤンソン氏は芸術家である父を尊敬していましたが、成長するにつれ父の芸術に対する古い価値観や権威主義に疑問を抱くようになり、衝突することが増えていったのです。

それはある意味、ヤンソン氏の「本当は父親に認めてもらいたい」という執着の表れでもありました。冒頭の言葉は、彼女の父が亡くなってまもない頃の小説に書かれたものですが、もしかしたらヤンソン氏は自由人スナフキンの物語を通じて自身の執着を捨て去り、尊敬する父のありのままを受け止めようとしていたのかもしれません。

ビジネスでも、古い仕事の進め方を「今までこれでうまくいってきたから」と、あるいは新しい技術を「最先端だから間違いない」と、妄信してしまうことがあります。しかし、それはスナフキンの言う「ほんとの自由」とは大きくかけ離れたものです。自由とは、固定観念にとらわれず、あらゆる選択肢の中から、自分にとって必要なものを自分の考えで選べる状態のことなのです。

その自由を手に入れるためにはまず、小さな生きものがスナフキンに諭されて気付きを得たように、組織の中で知らず知らずのうちに「崇拝」してしまっていることがないかと、疑問を抱くことが大切です。ビジネス環境の変化が著しい昨今はなおさら、何かへの執着を捨てて、自社にとって本当に大切なものを選び取ることが求められます。それができる組織は強く成長します。

ちなみにスナフキンも、大切なハーモニカだけは、どんなときも手放しませんでした。それは彼なりの取捨選択の結果で、いまやハーモニカはスナフキンのトレードマーク。彼の個性であり、大切な要素として世界中で愛されています。

出典:「ムーミン谷の仲間たち」(ヤンソン 山室静/訳 講談社、2011年7月)

以上(2025年3月作成)

pj17630
画像:Sogdianite-Adobe Stock

「Windows10等サポート終了詐欺」に注意! 警告が表示されても電話しないで

1 「サポート詐欺」の手口を知っておこう

「サポート詐欺」をご存じでしょうか? パソコンでウェブサイトを閲覧中、

  • ウイルスに感染したかのような画面を表示させたり、警告音を発生させたりするなどして、不安をあおる
  • 解除するためには画面に記載された電話番号に連絡する必要があると思い込ませ、電話をかけさせる
  • サポート窓口の担当者をかたって遠隔操作ソフトをインストールさせたり、金銭をだまし取ったりする

といった詐欺の手口です。以降、こうした画面のことを「偽画面」と呼ぶことにします。

偽画面は全画面表示され、「閉じる」ボタンがないため、マウス操作では画面を閉じることができません。警告音が鳴りやまず、パニックに陥った状態で、つい偽画面に記載された電話番号に電話をかけてしまう……。そうすると、サポート窓口の担当者をかたった詐欺被害に遭ってしまうわけです。

サポート詐欺の偽画面が表示されるきっかけは、ウェブサイトに表示された広告枠の「次のページに進むためのボタンに見せかけた広告」や「続きが気になる画像」をクリックしたり、検索結果の上位に表示された偽広告をクリックしたりすることです。巧妙につくられているため、この時点で見破るのは難しいですが、

あらかじめ偽画面のイメージと、所定のキーを使った画面の閉じ方を押さえておく

ようにすれば、万が一クリックしてしまっても落ち着いて行動できます。

今年2025年は、マイクロソフトのOS「Windows 10」や、「Office2016」「Office2019」のサポートが10月14日(米国時間)に終了します。こうした出来事をきっかけに、マイクロソフトのサポート担当をかたった詐欺が増えることも懸念されます。

以降で、サポート詐欺の被害に遭わないための対策を確認していきましょう。

2 実際にどんな状態になるのか、パソコンで体験してみよう

情報処理推進機構(IPA)では、「偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ」を設けて注意喚起しています。パソコンで、同ページから「偽セキュリティ警告画面の閉じ方体験サイト」に行くと、実際にどんな状態になるのかを疑似体験できます。

■情報処理推進機構「偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ」■
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/measures/fakealert.html

(注)体験サイトを起動する前に、説明をよくお読みください。

画像1

偽画面を開いてしまったとしても、いきなりウイルスに感染するわけではありません。まずは、落ち着いてパソコンの音量を下げましょう。その後、偽画面を閉じれば問題ありません。大切なのは、

絶対に偽画面に表示された番号に電話をかけないこと

です。偽画面の閉じ方は、

  • キーボードの「Esc」キーを長押しして全画面表示を解除して、ウインドウを閉じる
  • キーボードの「Ctrl」と「Alt」と「Delete」キーを同時に押して強制再起動する

といった方法があります。詳しくは、情報処理推進機構(IPA)の次のウェブサイトをご確認ください。

■パソコンに偽のウイルス感染警告を表示させるサポート詐欺に注意■
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2024/mgdayori20241119.html

3 参考ウェブサイト

情報処理推進機構(IPA)では、次のウェブサイトなどを通じて注意喚起しています。

■サポート詐欺の偽セキュリティ警告はどんなときに出るのか?■
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2023/mgdayori20240227.html
■会社や組織のパソコンにセキュリティ警告が出たら、管理者に連絡!■
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2023/mgdayori20230711.html
■偽のセキュリティ警告に表示された番号に電話をかけないで■
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2021/mgdayori20211116.html
■遠隔操作を他人に安易に許可しないで■
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/attention/2020/mgdayori20201125.html

日本サイバー犯罪対策センター(JC3)では、解説動画をYouTubeで公開しています。

■サポート詐欺の手口について(動画解説)■
https://www.jc3.or.jp/threats/examples/article-356.html
■サポート詐欺の電話番号に電話をかけてみた(動画公開)■
https://www.jc3.or.jp/threats/examples/article-570.html

以上(2025年3月作成)

pj40073
画像:InfiniteFlow-Adobe Stock

戦わない人材採用のススメ PART.4~失敗しない採用面接とは?~

1 人材の見極めの重要性

このシリーズもPART.4になりました。今回は「失敗しない採用面接とは?」というテーマでお伝えします。これまでは、いかにして自社の魅力度を高めて採用候補人材を集めるか、という観点でお話ししてきましたが、今回は、候補者の人物像や適性をどうやって見抜くかという観点になります。

いつもお話しすることなのですが、人がいないのは困りますよね。でも、それよりも困るのは入社して半年や1年で辞められるケースです。厚生労働省が発表している令和3年3月の新規学卒者の3年以内離職率(下記参照)は高卒者で38.4%(前年から+1.4%)、大卒者34.9%(前年より+2.6%)となっており3年以内に3人に1人以上の方が離職しています。中途採用者の場合はいろんな見方があるため単純比較はできませんが、これらと同等もしくはそれ以上となっていると思われます。新卒採用、中途採用に関わらず、一旦入社した社員が短期間で退職してしまうと、それまでにかけた採用費用や勤務期間中に支払った賃金などが無駄になってしまうだけでなく、業務分担の見直しや先輩社員が新入社員の教育にかけた時間など、金額換算が難しいものまで含めると相当な損失となってしまいます。

また、さらにもっと困るのは不適格人材を採用してしまって、辞めてほしいけど辞めないケースです。日本の法律は従業員寄りのものとなっているため、会社の都合で一方的に辞めさせる(解雇する)ことは、ほぼできないに等しいものとなっています。よくアメリカ映画などで社員が社長から「You are fired!」と言われて、デスク周りの書類を段ボール箱に入れてすごすごと会社を去っていくシーンがありますが、日本ではあんなことはできません。正確に言うと、実際にできなくはないですが、後から社員から「不当解雇だ!」と訴えられると会社は負けてしまって、それまでの賃金も含めて多額のお金を支払わなくてはならなくなる(バックペイと言います)可能性が非常に高いということです。

特に、中小企業の場合、従業員数が少なくなればなるほど1名の重みが大きく、大企業であれば1人や2人不適格人材が紛れ込んでも会社全体からすればそれほど影響は大きくないですが、中小企業にとっては非常に大きなリスクと言え人材の見極めに失敗すると多額の損失を被るばかりか、不適格人材が辞めないことで他の優秀な社員の退職につながり、究極は組織が崩壊するというリスクもはらんでいると言えます。

新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)

出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」
令和6年10月25日

2 見極めのための事前準備

経営者の皆さまから「どうやって人材を見極めれば良いか分からない」とか「良いと思って採用したが、実際は全然違った」などのお話をよく聞きます。確かに、30分や1時間の限られた時間の面接で人材を見極めるのは難しいですし、素晴らしい能力や相当な経験の持ち主であっても、100%正確に見抜くのは無理だと思います。しかしながら、前述の通り中小企業にとっては、その重要性は大企業に比べて非常に大きいという採用面接は極めて高難度のミッションと言えます。

ではどうすれば良いのか?まずは、事前準備をしっかりしましょうということです。PART.1でお伝えした人材要件を決めていただき、これをもとにして採用基準もしっかりと決めておきます。よって、「このような人物を採用する」逆に「このような人物は採用しない」ということを明確にしておき、面接の中でもその観点で見て基準に達しない人は決して採用しない、と腹を括ることです。人が足らない状態で、すぐにでも人が欲しい状況になると、応募のあった人の中から他の応募者と比較して一番良さそうな人を採用する、ということになりがちですが、この発想は危険です。一番良さそうであってもそれは比較論に過ぎず、自社の求める人材かどうかの観点が抜け落ちている可能性があります。あくまで自社の採用基準に照らして基準を満たしていなければ採用すべきではありません。きれいごとのように聞こえるかもしれませんが、他の応募者と比較し相対的に良いと思っても、その中に不適格人材が紛れ込んでいる可能性がないとは言い切れません。

また、準備という観点では、行き当たりばったりの採用面接ではなく、どのタイミングで誰が面接するのか?面札の際にはどういった質問をするのか?などの準備も大切です。こういった準備が不十分であればあるほど失敗につながる可能性が高まっていきます。

3 見極めのための具体論

さて、準備がしっかりできたとして、具体的に採用面接はどうすれば良いか?私が考えるポイントとしては二つあります。① できでるだけ多くの人が面接する、ということと、② 他の力も借りる、ということです。

① できるだけ多くの人が面接する

小規模企業の場合は社長のみが面接しているケースも多いと思いますし、中小企業であっても、担当者と経営者の2段階(2名)の面接としている会社が多いのではないでしょうか。これではダメだということではないのですが、多くの人の目で見ることで正確性を高めることができます。

例えば、担当者レベルの面接も1名ではなく2名以上の複数で行う。最終面接も社長だけでなく、役員全員で行うなどが考えられます。一人では気づけないことも複数の目で見る(例えば、社長がした質問に答えているタイミングでは、専務は応募者の表情やしぐさに注目するなど)と気づけることもあるかもしれません。また、採用後に配属しようと予定している部署の責任者や担当者が面接することも良いと思います。これは、人物像や適性を正確に見抜くという観点プラス採用後の育成に責任を持たせる意味もあります。面接した結果OKを出したわけですので、実際に配属されたあとの育成に対する責任感が変わってくると思います。よく聞く社員さんの愚痴で「社長(もしくは人事部)が採用する社員は使えないやつばっかりだ。もうちょっとましなやつを採用できないもんかね」みたいなことは言えなくなります。

「そんなことをしたら誰も採用できなくなる」というような反論も聞こえてきそうですが、それくらいハードルは高くして良いと思いますし、最終的な採用・不採用の決定権は経営者にありますので、そこはあらゆる要素を総合的に判断していただければ良いのです。

② 他の力も借りる

「他の力も借りる」とは、人間の判断だけでなく適性検査などもうまく活用する、という観点です。当然ながら人間の力には限界もありますし、応募者は面接の際には最上最高の自分を見せる努力をしていますので、面接だけで判断するのは危険です。よって、例えば最終面接の前に適性検査を受けていただいて、最終面接の際にはその適正検査の結果も踏まえて気になる点について質問してみる、ということを取り入れることで正確性が高まります。

世の中に適性検査はたくさんあるのですが、一つおすすめとして「不適正検査 スカウター」をご紹介します。その名の通り“不”適性検査ですので、「能力がどの程度あるか」や「職務適性があるか」というよりも“不適性”ではないかという観点の強い検査となっています。「定着しない、成長しない、頑張らない人材を見分ける業界唯一の不適性検査R」と紹介されています。

前述したとおり、不適格人材を誤って採用してしまう致命的ダメージを防ぐという効果もありますし、PART.1でご紹介しましたポータブルスキルとテクニカルスキルについて、テクニカルスキル(知識や技術)は入社後にしっかりと教育すれば良いわけですが、ポータブルスキル、思考・価値観については入社後にどうこうすることはほぼ不可能ですので、その人材のベーシックな部分で不適格ではないか、という点をこの検査で確認できる効果もあります。

実は私自身も試しに受けてみました。検査結果については自分自身で見てみて、かなり正確性が高いと感じました。検査の最後に記載されている総合的なコメントについてはほぼほぼ当たっているなという印象でしたし、「ネガティブ傾向」や「職務適性」「戦闘力」「虚偽回答の傾向」などの項目も当たっていましたし、採用・不採用に大きく影響を受けるポイントだと思いました。例えば「ネガティブ傾向」は「働く上でマイナス要因となる心理・情緒面の傾向」を測定していて数値化していますので、あまりに高い場合は採用を見送ることも考えるべきです。また、「虚偽回答の傾向」は、自分を良く見せようとして実際とは違う嘘の回答をしているとこの指標が高くなりますので、高い場合は面接での受け答えも、よりしっかりと慎重に聞いていただく必要があります。

これだけの項目が検査できて1件1,000円弱ですので、使わない手はないと思います。応募者にはメールで受験の案内を行い、応募者が回答すると瞬時にメールで会社側に回答が返ってくる仕組みとなっていますので、最終面接の前日までに受験していただければ十分に対応可能です。また、日本語以外にも英語やタイ語など8か国後に対応していますので、外国人の採用の際にも使えます。

<適性検査について>

適性検査

出典:みんなの採用部

<スカウターのご紹介>

https://scouter.transition.jp/

最後に、「リファレンスチェック」という言葉をご存じでしょうか?欧米では一般的なようですが、日本でまだまだ馴染みのないものだと思います。中途採用にしか使えないものですが、簡単に言うと前職の上司や同僚に前職時代の働きぶりを確認する、というものです。「そんなことができるの?」と驚かれるかもしれませんが、当然ながら勝手にはできず本人の同意が必要です。よって、本人が同意しない場合は実施できませんが、同意しないということは「聞かれたら困ることがある」「面接で前職の実績について嘘を言っている」という可能性も考えられます。本当の円満退職というのは難しいかもしれませんが、特に大きな損害を与えたりしていなければ同意できるのではないでしょうか?

適性検査よりはコストはかかりますがリファレンスチェック専用のサービス(下記back checkのご紹介 参照)もあり、その実効性は適性検査をはるかにしのぐものだと思います。確実を期すという意味では利用を検討されてはいかがでしょうか?応募者の同意が得られて前職時代の働きぶりが確認できればかなり有効な情報だと思いますし、同意が得られない場合は、面接で話していることが本当のことばかりではない可能性を疑うべきということになります。

<back checkのご紹介>

https://site.backcheck.jp/

4 まとめ

ここまで人材の見極めの重要性から具体的な面接の手法についてみてきました。いかがでしたでしょうか?すでに取り組まれていることもたくさんあったかもしれませんが、一つでも二つでも参考にしていただければ幸いです。

採用環境はこれからますます厳しくなっていきます。また、従業員数の少ない中小企業にとっては採用の失敗は会社の存続すら危うくする可能性があります。経営者は、人材採用は経営の最重要課題であるとの認識をもっていただいて取り組んでいただければと思います。

大きな会社は採用にかけられる予算もふんだんにあるのでしょうが、中小企業はそこで勝負しても勝ち目はありません。「戦わない人材採用」の観点で、今回ご紹介した取り組みは、どれも工夫次第でそんなに多額な費用をかけなくても取り組むことができます。また、社員さんと一緒に取り組むことで会社全体のモチベーションアップにもつながりますので、是非積極的に取り組んでみてください。

以上(2025年3月作成)

sj09143
画像:photo-ac