ChatGPT×経営者186人アンケート! どんなふうにChatGPTを使っていますか?

書いてあること

  • 主な読者:ChatGPT初心者。または、まだ使っていない経営者やビジネスパーソン
  • 課題:そもそもどうやって使えるの? 他の人のChatGPTの使い方を知りたい
  • 解決策:経営者の60%以上は「使用経験あり」もしくは「今後、使いたい」。アンケート結果から、実際の用途、効果などを知り、とにかくChatGPTに触れてみよう

1 他の人のまねでいい。まずはChatGPTに触れてみよう!

「使い方が分からないから」。2024年1月に行った経営者アンケートで、「ChatGPTを使用したことはなく、使用したいとも思わない」と回答した1人にその理由を尋ねたときの答えです。この人のように、使い方が分からないからChatGPTを使っていない人は多いのです。

この記事で「ChatGPTの使用経験について」のアンケート結果をご紹介しますので、他の経営者の使い方や感じている効果などを参考に、ChatGPTを使ってみてください。すでに使っている方は自分の現状とアンケート結果を見比べるのもいいでしょう。

新しいものかつ、誰でも簡単に触れられるのが今のChatGPTです。まず、一度、触れてみましょう。ちなみに「うれしい気持ちの画像をつくってください」とChatGPTに指示したものが次の画像です。こんなふうにChatGPTとやり取りすることもできるのです。

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2 ChatGPTの使用に関する経営者186人アンケート

1)ChatGPTの使用経験について

ChatGPTの使用経験は次の通りです。「使用したことがある」と「使用したことはないが、使用したい」を合わせると、実に66.7%もの経営者が使ったことがある、もしくは使いたいということになります。

なお、「使用したことはなく、使用したいとも思わない」と回答した人の理由は、「使い方が分からないから」の他は、「使うタイミングがないから」などがありました。

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2)ChatGPTの活用方法について

ChatGPTの活用方法(どのような業務に使っているか、もしくは使いたいか)は次の通りです。一番多いのは「文書作成(例:報告書、提案書)」で、次に「マーケティング(例:コンテンツ作成、SNS管理、アイデア出し)」が続きます。「その他」の回答としては、コーディング、プログラム作成といったものもありました。

一番多かった「文書作成(例:報告書、提案書)」に使った(使いたい)理由としては、「文章のたたき台づくりに使って、文書作成を省力化できるから」「書類づくりをスピードアップできるから」という回答がありました。

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3)ChatGPTの効果について

ChatGPTの効果(業務における変化)は次の通りです。一番多いのは「効率化、時短」で、次に「新しい視点」が続きます。

「効率化」は分かりやすいとして、「新しい視点」についてどういうことか尋ねたところ、「質問の返答の中には、今まで自分たちが考えていなかった内容が含まれることがある」「人の行動に対する新しい視点を与えてくれたり、やりたかったエクセルでの画像取り込みコードを生成してくれたりした」といった回答がありました。

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4)ChatGPTでやっていることについて

ChatGPTを使うときに実施していること(工夫などを含む)については次の通りです。一番多いのは「わからない、特にない」ですが、その次には「質問の仕方や回答を社内で色々試して情報をシェアしている」「文章だけでなく、エクセルの集計にもChatGPTを活用している」が続きます。

「質問の仕方や返答を社内で色々試して情報をシェアしている」と回答した人に、その理由を尋ねたところ、「どんな質問をしたらどのような回答が来るか、まだよくわかっていないところがあるので、なるべく社内で共有して、無駄な質問や的外れな質問をしないようにするため」「色々試して情報をシェアすることで、より良い活用方法を見いだそうとしているため」といったものがありました。

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5)ChatGPTの難しいところについて

ChatGPTの難しいところについては次の通りです。一番多いのは「情報の信ぴょう性、鮮度がわからない」で、次に「こちらの意図がなかなかうまく伝わらない」が続きます。「その他」の回答としては、「無料版なのでデータが古い」といったものもありました。

情報の信ぴょう性、鮮度は無料・有料、バージョンなどによっても印象が変わりそうです。一方、「こちらの意図がなかなかうまく伝わらない」というのは、AIとのやり取りだからこその難しさと考えられます。そこで、そう回答した人に理由を尋ねたところ、「質問についての返答が、的外れなことがあったため」「入力にコツがあるようなのですが、自分がそれをよく知らないからだと思う」といったものがありました。

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6)ChatGPTの今後の用途について

ChatGPTの今後の用途については次の通りです。一番多いのは「文章などコンテンツ作成の効率化」で、次に「社内の知識共有、マニュアル作成」「新しい商品やサービスのアイデア出し」が続きます。

「その他」の回答としては、「コーディングチェック」「プログラム作成」「対話的な反応」といったものもありました。

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7)ChatGPTを使わない理由について

最後に、ChatGPTについて「使用したことはなく、使用したいとも思わない」と回答した33.3%の人に尋ねた、ChatGPTを使わない理由については次の通りです。一番多いのは「よく知らないから」で、次に「自社では使う必要がないから」「使う機会がないから」が続きます。

「その他」の回答としては、「人の道に反するから」「使用することによる弊害や、セキュリティーの保証が不明確」といったものもありました。

いずれにしても、使ってみたことがない方は、「一度、試しに使ってみる」ことで分かってくることがあるかもしれません。

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以上(2024年3月作成)

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画像:Arnav Pratap Singh-Adobe Stock

「賃上げ」で使える助成金! 業務改善助成金など5種類を紹介

書いてあること

  • 主な読者:中小企業が賃上げの際に活用できる助成金等について知りたい経営者
  • 課題:具体的にどのようなものがあるか分からない
  • 解決策:主なものとして、「業務改善助成金」「キャリアアップ助成金」「働き方改革推進支援助成金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」「中小企業向け賃上げ促進税制」の5つを押さえる

1 賃上げの不安は、助成金等を上手に活用して払拭する

物価高の影響等から、賃上げ(定期昇給やベースアップ)に向けた動きが活発になっています。2024年春闘でも、「みんなで賃上げ。ステージを変えよう!」(日本労働組合総連合会)をスローガンに、賃上げ目標を「5%以上(定期昇給相当分を含む)」とする方針が打ち出されています。

ただ、多くの経営者は、

「先行きが不透明で、簡単には賃上げができない……」

と思っているのではないでしょうか。賃上げは簡単でも、賃下げは「労働条件の不利益変更」等の問題があって難しいので、不安になるのも無理はありません。そこでご提案したいのが、

助成金や補助金、税制を上手に活用し、賃上げによるコストアップに対応すること

です。

この記事では、

賃上げに関する中小企業向けの助成金等を5つ紹介

します。支給額や要件等の情報に加え、専門家のワンポイントアドバイスも載せています。なお、助成金等の内容は、2024年2月9日時点のもので将来変更される可能性があります。また、申請書の書き方や添付書類等については、各章で紹介しているURLをご参照ください。

2 業務改善助成金

1)業務改善助成金とは?

会社(実際は支店等の事業場単位)が事業場内最低賃金(最も賃金が低い社員の時給)を30円以上引き上げ、生産性を向上させるための設備投資等を行った場合、その費用の一部(最大600万円)を助成金として受け取れるというものです。

■厚生労働省「業務改善助成金」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

2)助成金を受け取るには?

まず、会社が次の要件を全て満たす必要があります。例えば、東京都の場合、地域別最低賃金が1113円(2023年10月1日~)なので、「事業場内最低賃金が1113円~1163円で、不交付事由に該当しない中小企業・小規模事業者」が対象になります。

  • 中小企業・小規模事業者であること
  • 事業場内最低賃金が、地域別最低賃金+50円以内であること
  • 解雇や賃金引き下げ等の不交付事由に該当しないこと

要件を満たしている場合、「賃上げの計画」「設備投資等の計画」を作成し、都道府県労働局に提出します。交付が決定されたら、計画に沿って賃上げと設備投資等を実施し、都道府県労働局に結果を報告すれば、助成金を受け取れます。

ちなみに、助成金の対象になる設備投資等の例としては、次のようなものがあります。

  • 設備投資(例:POSレジシステム導入による在庫管理の短縮、リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮)
  • コンサルティング(例:専門家による業務フロー見直しによる顧客回転率の向上)
  • その他(例:店舗改装による配膳時間の短縮)

3)受け取れる金額はいくら?

「助成上限額」までの範囲内で、「設備投資等の費用×助成率」で計算した額を受け取れます。

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4)専門家のワンポイントアドバイス

設備投資をする場合、都道府県労働局が交付を決定する前に業者と契約したり、都道府県労働局に提出した計画書や見積書と、内容や金額が異なる設備を導入したりすると、助成金が不支給になる恐れがあります。助成金が支給された後も、都道府県労働局から調査が入ったり、「状況報告書」の提出を求められたりすることがあるので注意が必要です。

3 キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)

1)キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)とは?

有期パート等(契約期間の定めがある非正規雇用の社員)の基本給を3%以上増額するよう賃金規定等を改定した場合、賃上げをした有期パート等の人数に応じ、助成金を定額(1人当たり最大6.5万円)で受け取れるというものです。職務評価(職務の大きさを相対的に把握すること)の実施による加算(1事業所当たり20万円)も別途受けられます。

■キャリアアップ助成金■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

2)助成金を受け取るには?

まず、会社が次の要件を全て満たす必要があります。「キャリアアップ計画」は、有期パート等のキャリアアップを図る上での目標や措置に関する計画、「賃金規定等」は、就業規則の賃金規定、賃金テーブル、賃金一覧表等のことをいいます。

  • 賃金規定等の改定の前日までにキャリアアップ計画を作成し、都道府県労働局に提出すること
  • 有期パート等の基本給を3%以上増額するよう賃金規定等を改定すること
  • 改定後の規定に基づき、増額した賃金を6カ月間支給していること

なお、助成金は賃上げをした有期パート等の人数(1年度1社当たり100人が上限)に応じて支給されますが、対象となるのは

雇用保険の被保険者で、賃金規定等の改定の3カ月以上前から勤務している有期パート等だけ(助成金の申請時点で離職している者等を除く)

なので注意が必要です。ちなみに、原則として週の所定労働時間が20時間以上で、雇用期間の見込みが31日以上ある人が、雇用保険の被保険者になります。

会社も有期パート等も要件を満たしている場合、6カ月分の賃金を支給した日の翌日から2カ月以内に都道府県労働局に申請をすれば、助成金を受け取れます。

3)受け取れる金額はいくら?

「賃上げ率に応じた支給額」を定額で受け取れます。また、職務評価を実施し、適正に有期パート等の賃金規定等に反映した場合、「職務評価の実施による加算額」が上乗せされます。

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4)専門家のワンポイントアドバイス

賃上げの実施前にキャリアアップ計画を作成・提出しないと、キャリアアップ助成金は受け取れません。また、労働保険料の未納や労働関係法令の違反がある会社は、助成金の対象から外れる恐れがあるので注意が必要です。

なお、キャリアアップ助成金は、第2章の業務改善助成金と同時に受け取ると、併給調整がかかって支給額が減ることがあります。ただ、

キャリアアップ助成金は「雇用保険の被保険者しか賃上げの対象にできない」のに対し、業務改善助成金は「被保険者でない者も対象にできる」

ので、社員の雇用保険の加入状況によってはこの問題をクリアできる可能性があります。

4 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

1)働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)とは?

残業削減や年休(年次有給休暇)の取得促進に関する一定の取り組みを行った場合、その経費の一部(最大250万円)を受け取れるという助成金です。一定以上の賃上げに関する加算(最大480万円)も別途受けられます。

■働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692.html

2)助成金を受け取るには?

まず、会社が次の要件を全て満たす必要があります。

  • 中小企業であること
  • 労災保険の適用事業所であること(雇用保険の被保険者はいなくてもよい)
  • 年5日の年休取得に向けて就業規則等を整備していること
  • 助成金の申請時点で、次の1)から3)の「成果目標」のいずれかを満たしていること(賃上げに関する加算を受けたい場合、さらに4)も満たすことが必要)
    1)36協定の見直し(時間外・休日労働の時間数を一定以上縮減させる)
    2)年休の計画的付与制度の導入
    3)時間単位年休と1つ以上の特別休暇(政府が指定するもの)の導入
    4)3%以上または5%以上の賃上げ

要件を満たしている場合、残業削減や年休の取得促進に関する9つの取り組み(図表3)のいずれかを実施した上で、都道府県労働局に申請すれば、助成金を受け取れます。

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3)受け取れる金額はいくら?

助成上限額の範囲内で「取り組みの費用×助成率」で計算した額を受け取れます。なお、3%以上または5%以上の賃上げをすると加算額が上乗せされます。その場合、「助成上限額+賃上げに関する加算額」が、受け取れる金額の上限になります。

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4)専門家からのワンポイントアドバイス

働き方改革推進支援助成金は、第2章の業務改善助成金と性質が似ています。ただ、業務改善助成金には「事業場内最低賃金が、地域別最低賃金+50円以内であること」という要件があるのに対し、働き方改革推進支援助成金にはこの要件がないのが大きな違いです。事業場内最低賃金が高くて業務改善助成金の対象から外れてしまっても、働き方改革推進助成金を受け取れる可能性があるので、諦めずに活用を検討してみてください。

5 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

1)ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは?

会社が制度変更などへの対応として、革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資等をした場合、その費用の一部(枠に応じ、最大1250万円~8000万円)を補助金として受け取れるというものです。なお、大幅な賃上げを行うと、補助上限額が引き上げられる(枠に応じ、補助上限額が最大2250万円~1億円に引き上げ)という特例措置を受けられます。

■ものづくり補助金総合サイト「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領」■
https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html

2)補助金を受け取るには?

まず、会社が次の基本要件を全て満たす事業計画書を策定し、実行する必要があります。なお、対象となるのは中小企業や小規模事業者等です。

  • 付加価値額を、年平均成長率+3%以上増加させること
  • 賃金の支給総額を、年平均成長率+1.5%以上増加させること
  • 事業場内最低賃金を、地域別最低賃金+30円以上とすること

また、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金には、

  • 生産プロセス改善等に関する設備投資等を対象とする「省力化(オーダーメイド)枠」
  • 製品・サービス開発に関する設備投資等を対象とする「製品・サービス高付加価値化枠」
  • 海外需要開拓に関する設備投資等を対象とする「グローバル枠」

があり、上記の基本要件に加え、それぞれの枠が設定する要件も満たす必要があります(枠ごとの要件の詳細は、ここでは割愛します)。

要件を満たしている場合、GビズID(1つのIDで複数の行政サービスにアクセスできるサービス)のプライムアカウントを取得、電子申請の後、「審査→交付決定→補助事業の実施→確定検査(交付額の決定)」という流れを経て実績報告と請求を提出すれば、補助金を受け取れます。

■GビズID(gBizID)■
https://gbiz-id.go.jp/top/

3)受け取れる金額はいくら?

「補助上限額」までの範囲内で、「設備投資等の費用×補助率」で計算した額を受け取れます。なお、大幅な賃上げ(賃金の支給総額を、年平均成長率+6%以上増加させる等)をした場合、補助上限額が引き上げられる特例措置を受けられます。

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4)専門家からのワンポイントアドバイス

前述した通り、補助金の申請後は「審査→交付決定→補助事業の実施→確定検査」といった具合にタスクが多いので、申請や補助事業の実施等は計画的に進めましょう。ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、年に複数回に分けて募集が行われるので、その都度公募要領を確認し、スケジュールの誤認等がないよう注意が必要です。

6 中小企業向け賃上げ促進税制

1)中小企業向け賃上げ促進税制とは?

全社員の賃金(給与等支給額)を前年度比で一定率以上引き上げると、法人税の税額控除(控除率30%)を受けられるというものです。また、教育訓練費の引き上げや女性活躍・子育て支援の取り組みによって控除率の上乗せ加算(10~15%)が別途あり、最大で45%の税額控除が受けられるようになる予定です(令和6年度税制改正による改正)。

■中小企業庁「中小企業向け『賃上げ促進税制』」■
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html

2)税額控除を受けるには?

まず、会社が次の要件を満たす必要があります。

  • 青色申告書を提出する、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人であること
  • 普通法人のうち事業年度終了日における資本金の額または出資金の額が5億円以上の大法人による完全支配関係がある子法人等でないこと

税制の利用に当たって、税務申告より前に特段の手続きを行う必要はありません。ただ、法人税の申告の際に、確定申告書等に、適用額明細書、税額控除の対象となる控除対象雇用者給与等支給増加額、控除額、その金額の計算に関する明細を記載した書類を添付する必要があります。

3)控除率はどのぐらい?

給与等支給額の上昇率に応じて、15%または30%の控除を受けられます。さらに、教育訓練費の引き上げ、女性活躍・子育て支援に関わるくるみん・えるぼし認定の取得による上乗せ加算があります。なお、くるみん・えるぼし認定の取得による上乗せ加算は令和6年度税制改正により新たに設けられる予定です。

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4)専門家からのワンポイントアドバイス

令和6年度税制改正では、中小企業向け賃上げ促進税制について、前述した控除率の改正があった他、その年に控除できなかった控除額について、5年間繰り越して控除できる制度が新たに設けられる予定です。併せて押さえておきましょう。

以上、賃上げに関する中小企業向けの助成金等を5つ紹介しました。なお、厚生労働省ウェブサイトでは、ここまで紹介した内容の他に、最低賃金引き上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業等が公表されているので、興味がある人はそちらもご確認ください。

■厚生労働省「最低賃金引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援事業」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/index.html

以上(2024年3月作成)
(監修 ひらの社会保険労務士事務所)

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画像:LanKogal-shutterstock

弁護士が注目する2024年度の法務3大ニュース

書いてあること

  • 主な読者:2024年度の注目すべき法務分野の改正を知りたい経営者、法務担当者
  • 課題:法務分野は改正が多いため、注目すべき話題に絞って把握したい
  • 解決策:「フリーランスの保護」「不当表示等に関する自主的な是正の促進や、違反行為に対する抑止力の強化等」「デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化」に注目する

1 2023年度・2024年度の3大ニュース

2023年度は、改正消費者契約法の施行による「契約書・約款の見直し」、改正電子通信事業法の施行による「電気通信事業該当性のチェック」の対応が求められた他、改正民法の施行による「所有者不明の不動産の有効活用」が認められるようになりました。

2024年度は、フリーランス保護新法の施行による「フリーランスの保護」、改正景品表示法の施行による「不当表示等に関する自主的な是正の促進や、違反行為に対する抑止力の強化等」が行われます。また、知財一括法の施行により、「デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化」が図られるため、スタートアップや中小企業において、知的財産を活用した新規事業展開が後押しされるようになるという法改正もあります。

2023年度・2024年度の法務3大ニュースは次の通りです。

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2 2023年度の総括

2023年6月1日より、改正消費者契約法が施行され、「法令に反しない限り、○万円を上限として賠償する」など、免責の範囲が不明確な条項が無効になった他、消費者を保護する規制が設けられました。自社の契約書や約款を見直し、消費者に不利益となる契約条項を修正するなど、法改正への対応を迫られた会社も多いのではないでしょうか。

また、2023年6月16日より、改正電子通信事業法が施行され、登録・届出を要する電気通信事業者の範囲が拡大しました。自社の事業が、電気通信事業に該当しないか改めてチェックする必要が出てきました。

その他、民法改正により、所有者が不明な不動産の処分につき新たな制度が設けられました。不動産業者を中心に、新たな法制度への理解が求められています。

3 2024年度の主なニュース

1)フリーランスの保護

遅くとも2024年秋ごろまでに、特定の会社に所属せず、業務委託で働くフリーランスを保護するための「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下「フリーランス保護新法」)が施行される予定です。主なポイントは次の通りです。

  1. 書面等での契約内容の明示
  2. 報酬の支払い時期の明確化
  3. 委託事業者の遵守事項
  4. 募集情報の的確な表示
  5. 就業環境の整備

フリーランスは、通常の従業員のように、労働関係法令(労働基準法など)が適用されません。一応、一定の資本金要件を満たす会社と契約するフリーランスであれば、下請法による保護を受けられるケースもありますが、中小企業はこの資本金要件を満たさないケースが多く、フリーランスが不利益を受けやすいという問題があります。そこで、

下請法に関係なく、「特定受託事業者」(業務委託の相手方で、従業員を使用しない事業者。つまりフリーランス)に該当すれば、法律による保護を受けられるようにする

というのが、フリーランス保護新法の趣旨です。

「1.書面等での契約内容の明示」「2.報酬の支払い時期の明確化」は、会社とフリーランスの契約における「取引条件が明確でない」「報酬の支払いが遅れる、一方的に減額される」といった典型的なトラブルを防止するためのもので、フリーランスに業務を委託する会社に対し、次の対応を義務付けています。

  • 給付の内容や報酬の額、支払い期日等を書面やメールで明示すること
  • 報酬の支払い期日について、原則として、フリーランスから給付を受けた日から起算して60日以内で、かつできる限り短い期間内に設定すること

「3.委託事業者の遵守事項」は、立場の弱いフリーランスが、会社から不利益を押し付けられないよう、会社が遵守すべき事項を定めるものです。具体的には次の通りです。

  • フリーランスの責めに帰すべき事由なく給付の受領を拒絶すること
  • フリーランスの責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
  • フリーランスの責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
  • 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
  • 正当な理由がなく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
  • 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
  • フリーランスの責めに帰すべき事由なく給付内容を変更させ、またはやり直させること

その他、通常の従業員と同じように、フリーランスを募集するに当たって「4.募集情報の的確な表示」を行うこと、ハラスメントの防止や出産・育児・介護への配慮といった「5.就業環境の整備」を行うことなどが求められます。

2)不当表示等に関する自主的な是正の促進や、違反行為に対する抑止力の強化等

遅くとも2024年秋ごろまでに、会社の自主的な是正の促進や違反行為に対する抑止力の強化等を目的とした、「不当景品類及び不当表示防止法」(以下「景品表示法」)の改正法が施行される予定です。主な改正点は次の通りです。

  1. 確約手続の導入
  2. 課徴金制度の見直し
  3. 直罰規定の新設
  4. 適格消費者団体による開示要請規定の導入

景品表示法は、商品・サービスの品質・内容・価格等を実際よりも良く見せる(不当表示)、過大な景品を提供するなどして、消費者を惑わすのを防ぐための法律です。違反した会社は、行政指導や措置命令、課徴金納付命令等の対象になります。とはいえ、悪気なく不当表示等をしてしまい、自主的に是正しようとする会社にまで行政処分を課すのは酷です。そこで、

自主的に不当表示等の是正を進める会社に対しては、ある程度寛大な対応をしつつ、一方で悪質な会社に対しては、より重い処分を課すことで消費者を保護していく

というのが、今回の改正法の趣旨です。

「1.確約手続の導入」は、

不当表示等の疑いがある会社が「是正措置計画」を申請し、内閣総理大臣から認定を受けたときは、措置命令、課徴金納付命令の適用を受けないようにする

というものです。是正措置計画は、不当表示等を疑われるきっかけとなった行為とその影響を是正するための措置に関する計画です。

「2. 課徴金制度の見直し」は、

  • 適切な売上額を報告できない会社について、行政庁が売上額を推計することで、速やかに課徴金を納付させる規定
  • 一定期間内に繰り返し違反する会社の課徴金を、本来の1.5倍に増額する規定

を新設するというもので、これにより、会社の違反行為に対する抑止力が強化されます。

「3.直罰規定の新設」も、会社の違反行為に対する抑止力を強化する改正です。現行法では、悪質な不当表示等を行った会社に対しては、行政処分を経てから、刑事罰を科せるようになっていますが、改正法では、

行政処分を経ずに直罰(100万円以下の罰金)を科すことができる

ようになります。

「4.適格消費者団体による開示要請規定の導入」は、適格消費者団体(消費者保護のための、違反行為の差止請求権を持っている団体)が、一定の場合に会社に対し、表示の裏付けとなる根拠資料の開示を求められるようにするものです。

3)デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化

2023年6月7日に「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(以下「知財一括法」)が成立し、2024年4月1日までに不正競争防止法、商標法、意匠法、特許法、実用新案法、工業所有権特例法等の改正法が順次施行されます。複数の改正の中で特に重要なのが「デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化」で、ポイントは次の通りです。

  1. 登録可能な商標の拡充
  2. 意匠登録手続の要件緩和
  3. デジタル空間における模倣行為の防止
  4. 営業秘密・限定提供データの保護の強化

デジタル技術の活用により、特にスタートアップや中小企業の事業活動が多様化していますが、現行法では商標登録のハードルが高かったり、法律で十分に保護されないデータがあったりして、事業活動の妨げになる恐れがあります。そこで、

商標登録やデータ保護の問題をクリアして、スタートアップや中小企業の新事業展開を後押ししていく

というのが、知財一括法の趣旨です。

「1.登録可能な商標の拡充」は、類似する複数の商標の取り扱いを定めたものです。現行法では、他人が既に登録している商標と類似するものは原則登録できませんが、知財一括法では、

先行する商標権者が同意して、出所混同の恐れがなければ、併存して登録できる

ようになります。また、一定の場合には、他人の氏名を含む商標も、当人の承諾なく登録ができるようになります。

「2.意匠登録手続の要件緩和」は、創作者等が出願前にデザインを複数公開した場合の意匠登録のルールを定めたものです。通常、出願前にデザインが公開されると、新規性(新しく、まだ世に知られていないこと)が失われ、意匠登録が受けられなくなりますが、所定の証明書を提出すると意匠登録が受けられるようになります。現行法では、複数のデザイン全てについて証明書の提出が必要ですが、知財一括法では、

最初のデザインについての証明書を提出すれば、例外規定の適用を受けられる

ようになります。

「3.デジタル空間における模倣行為の防止」は、メタバース等のデジタル空間における模倣行為を規制するものです。

他人の商品形態を模倣した商品を提供する行為について、デジタル空間上であっても不正競争行為の対象とし、差止請求権等を行使できる

ようになります。

「4.営業秘密・限定提供データの保護の強化」は、他社に共有するビッグデータ(地図データ、消費動向データ等)の保護対象が拡充されるというものです。

データを秘密管理している場合も含め限定提供データとして保護し、侵害行為の差止請求権等を行使できる

ようになります。

4 今後の対応について

2024年度の各種法改正は、いずれも主に中小企業にとって、大きな影響があります。

最近は、フリーランスに業務を発注する中小企業が増えてきましたが、そうした会社は、フリーランス保護新法の内容を正しく理解し、規制に沿った対応をする必要があります。

一般消費者向けの商品やサービスを販売・提供する会社は、常に景品表示法を意識しなければなりません。直罰規定の新設や課徴金制度の見直し等の違反者に対する制裁も強化されていますので、意図せずに不当表示等を行ってしまった場合には確約手続を利用する等、早期に是正できる社内体制を構築しておくのもよいでしょう。

ビジネスを規制する法改正もあれば、一方で知財一括法のように、ビジネスを後押しする法改正もあります。自社に関係するものについては、タイムリーに情報を収集する必要があるでしょう。

以上(2024年3月作成)
(執筆 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

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画像:Artur Szczybylo-shutterstock

税理士が注目する2024年度の税務3大ニュース

書いてあること

  • 主な読者:2024年度の注目すべき税務分野の改正を知りたい経営者、税務担当者
  • 課題:税務分野は改正が多いため、注目すべき話題に絞って把握したい
  • 解決策:「賃上げ促進税制の拡充」「交際費(社外飲食費)の金額基準引き上げ」「事業承継税制の特例承継計画等の提出期限を2年延長」に注目する

1 2023年度・2024年度の3大ニュース

2023年度は、消費税のインボイス制度の導入に伴う小規模事業者の急激な税負担の増加を軽減させる措置が取られた他、中小企業の積極的な研究開発を促進する「中小企業技術基盤強化税制」の適用期限の延長、「中小企業経営強化税制」の対象設備の一部見直しが行われるとともに、適用期限が2年延長されました。

2024年度は、「賃上げ促進税制」を適用するにあたり、子育て支援・女性活躍支援をした企業に対しては控除率が加算され、最大控除率が従来の40%から45%まで拡充されるとともに、赤字決算の中小企業に対する救済・賃上げの動機づけとして、5年間の「繰越控除制度」が導入されます。また、交際費の範囲から除外される社外飲食費の金額基準が引き上げられます。その他には、中小企業を中心とした事業承継を円滑に実行させることを趣旨とした「事業承継税制」につき、特例承継計画・個人事業承継計画の提出期限が2年延長されます。

2023年度と2024年度の税務3大ニュースは次の通りです。

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2 2023年度の総括

2023年度は、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度(適格請求書等保存方式)が導入され、影響範囲の大きさから、大きな関心事になりました。このインボイス制度の導入対応として、各社においては請求書のひな形変更などに追われましたが、国税当局における事前の周知などもあり、おおむね順調にスタートしたといえそうです。ただし、今後は実務上の不明点・疑問点なども出てくると考えられるため、国税当局側から示されるQ&Aなどには注視するようにしましょう。

3 2024年度の主なニュース

1)賃上げ促進税制の拡充(中小企業向け)

前年比で給与等を増加させた場合に、法人税から一定の税額控除が受けられる「賃上げ促進税制」について、控除率の上乗せ措置が見直され、税額控除率が最大40%から最大45%まで拡大されることになりました。

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新設された上乗せ措置の要件の1つとなる「くるみん・プラチナくるみん」とは、子育てサポート企業として厚生労働大臣の認定を受けた会社に与えられるものです。また、「えるぼし・プラチナえるぼし」とは、女性活躍への取り組み状況が優れているとして、厚生労働大臣の認定を受けた会社に与えられるものです。具体的な説明は省略しますが、子育て支援・女性活躍支援をした企業に対しては、税務上のインセンティブ(控除率の上乗せ)が与えられることになります。

なお、賃上げ促進税制は、法人税を直接減額させる「税額控除」のため、赤字で法人税が生じない会社では、これまでは要件を満たしてもメリットを受けることができませんでした。今回の税制改正で、このような会社が制度を活用できるよう新たに「繰越税額控除」制度が導入されます。

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これにより、赤字であっても翌事業年度以降にメリットを受けられる可能性があるため、控除額に必要な資料などを整理しておくようにしましょう。

2)交際費(社外飲食費)の金額基準引き上げ

交際費は限度額を超えると損金(税務上の費用)に算入できませんが、社外飲食費で1人あたりの金額が一定基準以下であれば交際費とせず、会議費などとして損金に算入できます。この一定基準は今まで5,000円/1人でしたが、これが2024年4月1日以降の支払いから10,000円/1人に引き上げられます。

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なお、金額基準以下で会議費として処理できるのは、得意先その他の社外の人に対する接待飲食などに関連するものに限られ、役員や従業員のみの社内飲食費(全従業員参加の懇親会のような福利厚生費となるものは除く)は対象とならず、金額に関わらず交際費となるので注意しましょう。

3)事業承継税制の特例承継計画等の提出期限を2年延長

事業承継税制とは、特例承継計画などを提出した場合、事業承継時の贈与税・相続税の納税が猶予・免除される制度です。この特例承継計画等については、2024年3月末をもってその提出期限を迎える予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化などによって経営者の事業承継が遅れているため、この期限が2026年3月末まで延長されます。

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なお、「提出期限」は延長されるものの、「適用期限」は従来のままで延長されない見込みなので注意しましょう。

4 今後の対応について

2024年度においても、今回ご紹介した制度の他、中小企業の中堅企業への成長を後押しする税制など、各趣旨のもとで多くの税制改正が予定されています。税法上の優遇措置は、適用することによって大きな効果をもたらす一方、適用するための要件が厳格に定められているため、適用する上での理解を誤っていたり、必要な書類をそろえていなかったりすることで、税務調査で指摘され、思わぬ税負担を強いられることもあります。そのため、特に改正された規定については早めに準備を進めるとともに、適用する上での判断その他について迷いがある場合には、税理士などの専門家に相談し、適切に手続きを進めることが重要です。

以上(2024年3月作成)
(監修 税理士法人AKJパートナーズ 税理士 森浩之)

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社労士が注目する2024年度の労務3大ニュース

書いてあること

  • 主な読者:2024年度の注目すべき労務分野の改正を知りたい経営者、労務担当者
  • 課題:労務分野は改正が多いため、注目すべき話題を絞って把握したい
  • 解決策:「労働条件の明示ルール改正」「時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)」「社会保険の適用拡大」に注目する

1 2023年度・2024年度の3大ニュース

2023年度は、中小企業においても「月60時間超の時間外労働に対する50%以上の割増賃金の支払い」が義務付けられるなど、重要な法改正がありました。物価上昇の影響などを受け、最低賃金も過去最高に引き上げられ、人件費にも大きな影響があったのではないでしょうか。

2024年4月からは、労働契約の締結・更新時の「労働条件の明示ルール」に変更がある他、これまで適用が猶予されていた建設業や自動車運転業務について「時間外労働の上限規制」が適用されるようになります。また、10月には厚生年金保険の被保険者数が50人超の会社を対象とする、「社会保険の適用拡大」が控えています。

2023年度・2024年度の労務3大ニュースは次の通りです。

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2 2023年度の総括

2023年4月1日より、中小企業においても、月60時間超の時間外労働に対し、50%以上の割増賃金を支払うことが義務付けられました。2010年に大企業に50%以上の割増賃金が義務付けられた後も、中小企業については適用が猶予されていた(25%以上の割増賃金を支払えばよかった)のですが、その10年以上続いた猶予措置が終了しました。

同じく2023年4月1日より、賃金のデジタル払いが認められました。労使協定を締結し、さらにデジタル払いを希望する従業員から個別の同意を得ることで、「〇〇ペイ」などの電子通貨での賃金の支払いが可能になっています。デジタル払いの対象となるのは、第二種資金移動業者が取り扱う口座で、金融庁によると、2023年12月31日時点で84社の業者が登録されています。

また、2023年3月期決算より、有価証券報告書の提出義務がある上場企業等については、人材育成や社内環境整備方針等の人的資本に関する情報を、有価証券報告書で公表することが義務付けられました。いまだ有価証券報告書への記載ルールが設けられていないため、開示情報について、課題が残る状況となっています。

3 2024年度の主なニュース

1)労働条件の明示ルール改正

2024年4月1日より、

労働契約の締結・更新時に、労働条件として明示する事項が追加

されます(改正労働基準法施行規則による)。内容は図表2の通りで、これらは全て労働条件通知書などの書面で明示しなければなりません。労働条件通知書のひな型のアップデート、また有期契約の従業員については通算契約期間の確認や無期転換後の労働条件の検討などを、しっかりやっておきましょう。

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1.就業場所・業務の変更の範囲

労働契約の締結時と有期労働契約の更新時に、雇入れ直後の就業場所・業務内容だけでなく、

労働契約の期間中における「変更の範囲」も明示

することが義務付けられます。雇用形態によって「変更の範囲」が変わるケースもあると思いますので、厚生労働省ウェブサイトに掲載されているパンフレットの記載例をもとに、内容を検討しておくようにしましょう。

■厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」■

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html

2.更新上限の有無と内容

有期労働契約の締結時・更新時に、

「契約期間は通算〇年まで」「契約更新は〇回まで」など、更新上限の有無と内容を明示

することが義務付けられます。明示する際は、現在の契約が何回目(何年目)に当たるのかを併せて従業員に伝えると、トラブル防止につながります。なお、新たに更新上限を設けたり、現在の更新上限を短縮したりする場合、事前にその理由を従業員に説明する必要があります。

3.無期転換申込機会、無期転換後の労働条件

「無期転換」とは、有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、有期契約の従業員が会社に申し込むことで、期間の定めがない無期労働契約に転換されるルールのことです。改正後は、この無期転換を申し込む権利(無期転換申込権)が発生する契約更新のタイミングごとに、

「無期転換申込機会(無期転換を申し込める旨)」「無期転換後の労働条件」を明示

することが義務付けられます。無期転換後の労働条件は、就業規則や個別の労働契約で別段の定めをしなければ、無期転換前と同じになります。労働条件を変更する場合、明確に定めをする他、業務内容や責任を考慮して、他の従業員とバランスが取れた待遇にする必要があります。労働条件の決定に当たって考慮した事項も、可能な範囲で説明できるようにしておきましょう。

2)時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)

2024年4月1日より、

建設業、自動車運転業務、医師、砂糖製造業(鹿児島県・沖縄県)にも「時間外労働の上限規制」が適用される

ようになります(改正労働基準法による)。時間外労働の上限規制は、36協定に定められる時間数に上限を設けるというルールで、多くの会社は2019年4月(中小企業は2020年4月)から適用されています。建設業や自動車運転業務については、業務の特性や取引慣行の問題などから適用が猶予されていましたが、それが終了し、図表3の上限規制が適用されるようになります。

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「自動車運転業務」については、上限規制の他、拘束時間や勤務間インターバルについて定めた改善基準告示の改正も行われます。また、「医師」については、医療機関の区分に応じて規制内容が異なり、さらに区分に応じた計画作成や申請手続きを求められる場合もあります。

  • クライアント等との適正な納期の取り決め、スケジュールの緩和
  • 業界内の慣行の見直し、待機時間や再配達業務などの削減
  • 人材確保、後継人材の育成
  • IT機器・アプリケーションなどを活用した業務効率化
  • 上記により増加する負担費用を、取引価格等に転嫁していく取り組み

など、さまざまな角度から長時間労働の改善を検討し、上限規制に対応していきましょう。

3)社会保険の適用拡大

2024年10月1日より、

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の適用対象となるパート等の範囲が拡大

されます(改正健康保険法、改正厚生年金保険法による)。ここでの「パート等」とは、

週の所定労働時間または月の所定労働日数が、正従業員の4分の3未満の短時間労働者

のことです。現行の制度では、「厚生年金保険の被保険者数が常時100人超の会社に雇用されていること」など、一定の要件を満たしたパート等が社会保険の被保険者になりますが、法改正後はこの被保険者要件が、図表4のように変更されます。

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注目すべき要件は、「1.厚生年金保険の被保険者数」で、

2024年10月1日より「常時100人超」→「常時50人超」への引き下げ

が行われ、より規模の小さな会社でもパート等が被保険者になるケースが出てきます。事前に

  • 現状、被保険者となっていないパート等の労働条件の確認
  • 2024年10月1日より社会保険の被保険者となるパート等に対し、配偶者等の扶養から外れる旨、社会保険加入のメリットやそれに伴う働き方の変化などについて説明
  • 2024年10月1日より社会保険の被保険者となるパート等の資格取得届の準備

などを行い、社会保険の適用拡大に備えましょう。

4 今後の対応について

2024年度、全ての会社で実務対応が必要になる法改正は、「労働条件の明示ルール改正」です。テレワークや時差出勤など、働き方が多様化する中で労働条件に関するトラブルが発生しやすくなっていますが、今回の法改正がさらに拍車をかける可能性があります。前述した通り、労働条件通知書のひな型のアップデートなどを欠かさないようにしましょう。

また、中小企業への影響が特に大きいのは、「社会保険の適用拡大」です。社会保険料は労使折半なので、対象となるパート等が多ければ、その分会社の保険料負担も増えます。配偶者等の扶養から外れない働き方を希望するパート等もいるでしょうから、場合によってはそうしたパート等が社会保険に加入しないで済むよう、人員確保に取り組む必要も出てくるでしょう。

今後の法改正の動向を把握した上で、人員確保や人件費の検討など、早めに対応を進めるようにしましょう。

以上(2024年3月作成)
(監修 社会保険労務士法人AKJパートナーズ)

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なぜ人は「肩こり」になるのか? 職場でできる解消法と併せて紹介

書いてあること

  • 主な読者:肩こりに悩むビジネスパーソン
  • 課題:そもそも、なぜ肩こりになるのか? どうすれば改善できるのか?
  • 解決策:主な原因は「筋肉の過度な緊張」。机や椅子の高さなどオフィス環境の改善を図ったり、こりをほぐすマッサージなどを行ったりすることで改善できる

1 軽く見てはいけない「肩こり」

ずしりと何かが乗っかるような不快感に、鈍い痛み……。「肩こり」はいつの時代も、多くのビジネスパーソンを悩ませます。有訴者率の上位5症状(2022年)を見ても、男女ともに、肩こりは「腰痛」に次いで第2位にランクインしています(厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」)。

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「肩こりや腰痛がもたらす経済損失は約3兆円」と試算した研究結果もあるほどで、会社の生産性を考える上でも、実は肩こりはとても重要な問題です。

「肩こりはあって当たり前、一生付き合うもの」と考えている人が多いでしょうが、

実は「オフィス環境」「マッサージやストレッチ」「生活習慣」を少し見直すだけで、肩こりを和らげられる可能性

があります。産業医監修のもと、肩こり解消のポイントをまとめましたので、気になる人はぜひこのコンテンツをご確認ください。

2 なぜ、肩こりになるの?

肩こりの主な原因は、「筋肉の過度な緊張」です。

人間は、首の骨を支柱として重い頭や腕を支えていて、その周りの首や肩の筋肉には常に大きな負担がかかっています。これらの筋肉が過度に緊張すると、血行不良が生じて酸素や栄養分が末端まで行き届かなくなり、筋肉は酸欠状態になります。

そして、酸欠状態でエネルギーを発生させると、乳酸などの老廃物が生み出されます。

血行が悪いと、老廃物は十分に排せつされず筋肉内に蓄積され、それが神経を刺激することで痛みや不快感が発生します。これが「肩こり」の正体

です。筋肉が過度に緊張する理由は、主に3つあります。

1)姿勢

人間の背骨は横から見ると緩やかなS字形に湾曲していて、全身のバランスを取ることにより、重心が偏らないようになっています。ですが、不自然な姿勢を取り続けると、全身のバランスが崩れてしまい、一部の筋肉が過度に緊張して、肩こりが起こります。うつぶせや腕枕などの不自然な姿勢で寝ている場合なども、肩こりになりやすいです。

2)運動不足

運動不足が続くと、筋肉の柔軟性が低下して次第に硬くなり、血管が圧迫されて血行が悪くなります。全身の筋力が弱ることにより、首や肩の筋肉に大きな負担がかかり、肩こりが起こります。

3)ストレス

ストレスがたまると、自律神経のうちの交感神経が刺激され、筋肉が緊張して血管が収縮し、肩こりが起こります。ストレスの原因は、多忙や人間関係、性格などさまざまですが、急激な環境の変化(「部署異動や転勤」など)があったときなどは、特に注意が必要です。

以上が、筋肉が過度に緊張する理由ですが、この他に、

内臓疾患(狭心症などの心疾患、肝炎・胆のう炎など)の症状で、肩こりが起こるケース

もあります。ですから、「頭痛や目まいなどを伴う」「肩以外の部分にも痛みがある」といった場合は、できるだけ早く医師に相談することをお勧めします。

3 オフィス環境を整えよう

デスクワークで長時間同じ姿勢を取ったり、パソコンを使用したりすることが多い職種では、特に肩こりに悩む人が多くいます。ここでは、肩こり対策としてのオフィス環境の改善法を紹介します。

1)机や椅子

机や椅子の高さが自分に合っていないと、首や肩、腕に力が入りすぎて肩こりが起こりやすくなるため、デスクワークでは机や椅子の高さの調節が重要になります。

理想的な椅子の高さは、座ったときに「膝と腰の角度が90度」になるのがよいといわれます。また、机の高さは椅子に座った際に「肘と同じくらい」が理想です。

2)デスクワークの姿勢

パソコンで作業をしていると、気付かないうちにディスプレーに近づいてしまうことがありますが、そのような場合、下を向く時間が長くなり、首の筋肉を過度に使ってしまいます。また、考え事をしているときなどは、足を組んだり、頬杖をついたりしがちですが、こうした姿勢も、首や背中の一部の筋肉に大きな負担がかかります。

デスクワークの姿勢は、

  • ディスプレーから40センチメートル以上目を離す
  • 視線を水平よりも少し下くらいに保つ

のが理想です。背筋をしっかりと伸ばして座り、体重は左右均等に配分するよう意識しましょう。また、机の周りが暗いと前かがみの姿勢になりやすく、これも肩こりの原因になります。ですから、スタンドライトなどを利用して十分な明るさを確保するようにしましょう。

なお、長時間パソコンに向かっていると、疲れ目による肩こりが起こりやすくなります。適宜休憩を取り、遠くの景色を眺めたり目薬を差したりして、目を休めることを心掛けましょう。

4 その場でできる簡単なマッサージやストレッチ

こり固まった筋肉をほぐすには、マッサージやストレッチを行うとよいです。首筋や肩の筋肉をもむ、軽くたたく、さらには肩こりに効くツボを指圧すると効果的です。ただ、その日の体調などによりマッサージやストレッチが逆効果になる恐れもあるので、自己判断はせず、医師・専門家の指示に従い、自分に合ったものを取り入れましょう。

1)マッサージ

人間の体には、内臓の働きや血行に大きく関係するツボ(経絡)があり、これらのツボを指圧することによって血行が良くなります。肩こりに効くツボは次の通りです。

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  • 風池(ふうち):後頭部、髪の毛の生え際のくぼんだ部分
  • 天柱(てんちゅう):後頭部、髪の毛の生え際にある太い2本の筋肉の外側の部分
  • 肩井(けんせい):肩のほぼ中央。肩先の中心点と首の付け根を結んだ真ん中部分
  • 肩髃(けんぐう):肩の前側にある腕との境目のくぼんだ部分
  • 曲垣(きょくえん):肩甲骨の内端のすぐ上にあるくぼんだ部分
  • 膏肓(こうこう):背骨の中心部分から指4本分外側に行った部分

これらのツボを、親指・人さし指・中指などで、体の中心に向かって押し込むように、ゆっくりと指圧します。その際、一定のリズムで繰り返し指圧して刺激を与えるとよいでしょう。なお、首・肩周り以外にも、次のような肩こりに効くとされるツボがあります。

  • 曲池(きょくち):肘を曲げた際にできるしわの外側の部分
  • 手三里(てさんり):肘を曲げるとできるしわから、指3本分手首寄りの親指側の部分
  • 外関(がいかん):手首の中央から指3本分肘寄りの部分
  • 合谷(ごうこく):手の甲。親指と人さし指の付け根の骨に近い部分
  • 頸頂点(けいちょうてん):人さし指と中指の付け根の間の部分

2)ストレッチ

筋肉をゆっくりと引っ張ったり伸ばしたりするストレッチも、肩こり解消に有効です。 ストレッチの基本は、首と肩の筋肉をほぐすことです。

  • 両手の指を組んで大きく背伸びをする
  • 手を伸ばして後ろで交差させて、ゆっくりと前屈する
  • 30秒ほど時間をかけて、首を大きくゆっくりと回す

などをしてみましょう。

なお、ストレッチを行う際は、深く息を吸い込んで、吐き出すようにすることで、さらに血行が良くなります。腹式呼吸(おなかを膨らませながら息を吸い、おなかをへこませながら息を吐く呼吸法)を取り入れると、より効果的です。

5 生活習慣(食生活、歩き方や立ち方、服装など)に注目

肩こりの症状は、日ごろの生活習慣でも、ある程度改善されます。日常生活の中での見直しのポイントを紹介します。

1)食生活

肩こりの主な原因は筋肉の過度な緊張による疲労や血行不良なので、「筋肉の疲労を解消する」「血行を良くする」などの効果がある食べ物を取るのも効果的です。肩こりに効くとされる主な栄養素は次の通りです。

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これらの栄養素が含まれる食べ物をバランスよく取ることが重要です。なお、表中の栄養素は食事の他、サプリメントで補ってもよいでしょう。

2)歩き方や立ち方

歩くときは背筋を伸ばして顎を引き、腕を歩く速度に合わせて軽く振るようにすると、正しい姿勢を保つことができます。通勤途中の電車などでも、「かばんなどを持つ手を時々左右で替える」「片側だけに体重をかけない」など、体のバランスを取ることを意識しましょう。

寝るときも、枕のサイズや柔らかさなど、自分に合ったものを選ぶなどして、バランスの良い姿勢で眠ることが大切です。

3)服装など

重い洋服は肩こりにつながりやすくなります。特に、冬場は厚着をすることが多いため、コートなどの防寒具はなるべく軽めのものを選びましょう。

また、靴選びも肩こり対策として重要です。足に合わない靴やヒールの高い靴を履いていると、歩き方に無理が生じて全身のバランスが崩れてしまい、一部の筋肉に負担をかけることになります。靴を買う際には、店で専門家の意見を聞きながら、自分に合ったものを選ぶとよいでしょう。

4)運動

運動不足は筋肉の硬化による血行不良を招きます。「休憩時間に簡単な体操をする」「エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を利用する」「休日にウオーキングや水泳など、全身を動かすスポーツをする」など、日常から意識して運動を行うことが重要です。

5)ストレス対策

ストレスは、仕事や日ごろの生活の中で少しずつ蓄積され、やがて大きくなると肩こりを引き起こします。「小まめにストレッチをする」「一日のうちでゆっくりできる時間を持つ」「趣味に没頭する」などで、ストレス解消を心掛けましょう。

6)その他

肩こりは血行不良によって起こるため、こっている部分を温めて血行を良くすることが解消につながります。例えば、「入浴時に温かいシャワーを当てて刺激する」「乾いたタオルをのせ、その上から温めた蒸しタオルを当てる」「ドライヤーの温風やカイロを当てる」などの方法が効果的です。

以上(2024年3月更新)
(監修 株式会社フェアワーク 吉田健一)

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忙しい経営者のダイエットは無理をせず、“コツコツ”がポイント

書いてあること

  • 主な読者:健康管理の一環としてダイエットを考えている経営者
  • 課題:忙しくて運動をする時間が取れないし、会食が多くてダイエットが難しい
  • 解決策:隙間時間を活用した運動や、緩やかな糖質制限ダイエットなどに取り組む

1 あなたの健康管理は万全ですか?

「体が資本。ビジネスをする上で、健康が第一」です。

言われなくても分かっていることですが、経営者は「多忙でなかなか運動をする時間が取れない」「会食に行く頻度が高い」といったケースが多く、ダイエットがしにくい環境に置かれています。

とはいえ、経営のかじ取りをする経営者の身に、何か起きてからでは手遅れです。最近、体重が気になるという人は、できるだけ早い時期からダイエットに努め、健康な体をつくっていくことが大切です。この記事では、忙しい経営者がダイエットを成功させるポイントと、具体的なダイエット方法を紹介します。

2 ダイエットを成功させるポイント

1)無理をせず、“コツコツ型”で進める

ダイエットの目標は、健康な体を手に入れることであり、無理をして体を壊してしまっては本末転倒です。短期間で大きな成果を上げようとするのではなく、時間をかけて少しずつ減量にチャレンジしましょう。

大幅な減量を目指す場合も、いきなり過大な目標を立てるのではなく、まずは無理のない範囲で設定してください。それを達成できたら、改めて次の目標を設定するといったように、“コツコツ型”のダイエットがお勧めです。

なお、健康面で不安がある場合は、必ず医師に相談してからダイエットに取り組みましょう。

2)「隙間時間」をうまく使う

ダイエットに取り組む際は、毎日同じ時間に食事や運動をするなど、生活リズムを整えることが大切です。また、朝は体内の血糖値が低い関係で比較的脂肪が燃焼しやすいため、午前中の運動はダイエットに効果的といわれています。

ただ、午前中はメールの確認や打ち合わせ、業務指示などで特に忙しい経営者も多いでしょう。そうした場合は、無理に午前中に運動しようとせず、業務の合間や帰宅後のプライベートな時間など、自分の生活時間に合わせて、小まめにダイエットに取り組むとよいでしょう。

3)ダイエット(運動)仲間と一緒に取り組む

1人でダイエットを続けるのはなかなか大変ですが、仲間がいると、モチベーションが上がって取り組みやすくなることもあります。例えば、週に1度ランニングをする仲間などがいれば、「自分も頑張ろう」と張り合いが生まれます。

4)自分の現状をしっかりと把握する

ダイエットに取り組む場合、食事の摂取カロリー量や運動量の参考とするために、BMIなど自分の体に関するデータを把握しましょう。

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また、ダイエット中は毎食の摂取カロリーを記録しておきましょう。そうすると、例えば「1日に必要なエネルギーは2200キロカロリーなのに、今日の摂取カロリーは2800キロカロリーだった。600キロカロリーオーバーだから、明日からはもう少し食事量を調整しよう」といった具合に、自分の状況に合わせてダイエットの方針を決められます。

毎食の摂取カロリーを記録するのが難しい場合は、手帳にその日に食べたものをメモしておき、後でまとめて計算すればよいでしょう。

3 日々の食生活を見直す

1)糖質制限ダイエットを試してみる

糖質制限ダイエットは、パンや甘いものなどの糖質の摂取量を抑えるダイエット法です。制限する糖質量によって異なりますが、外食でも対応しやすく、前述したような細かいカロリー計算をしなくても、ある程度成果が出やすく、ダイエットの定番としてよく知られています。

手軽に取り組む場合は、朝食のパンを低糖質の商品に置き換える、朝食と昼食は通常通り食べて夕食のみおかずだけでご飯を抜くなど、糖質の高いメニューをあらかじめ把握しておき、無理のない範囲で糖質の摂取を控えるとよいでしょう。

2)かむ回数を増やして食事の量をコントロールする

かむ回数が増えると、満腹中枢や摂食中枢が刺激され、脳が満腹だと感じるため、食事の量を減らしても満腹感を得やすくなります。また、がんや虫歯・歯周病の予防、全身の体力向上にも効果があるといわれています。

日本歯科衛生士会「よく噛んで食べるための7カ条」を意識するとよいでしょう。

  1. 一口30回、噛んで食べる
  2. 右で10回、左で10回、両方で10回、噛んで食べる
  3. 飲み込もうと思ったら、あと10回噛む
  4. 食べ物の形がなくなるまで、よく噛む
  5. 先の食べ物を飲み込んだら、次のものを口に入れる
  6. 口に食べ物が入っている間は、水分を摂らない
  7. 一口食べたら、箸を置く

3)低カロリーで満腹感を得る

カロリーを抑えたものを多く食べて満腹感を得る方法もあります。例えば、白米に刻んだしらたき(こんにゃく)を混ぜて、かさを増やすなどの方法もお勧めです。

また、野菜サラダを多く食べた後に肉などのメイン料理に手を付けるなど、食べる順番も工夫しましょう。一般的に、最初に野菜をよくかんで食べると満腹感が高まり、炭水化物などの過剰摂取を防げるといわれています。さらに、野菜に入っている食物繊維は、血糖値の上昇を抑える効果があり、糖尿病の予防にもつながります。

4)夜遅くに食べない

ダイエットをする場合、夜遅くの食事は避けましょう。なぜなら、エネルギーが消費されにくく、余ったエネルギーが体脂肪として蓄積され、肥満の原因になります。また、翌朝は食欲がなくなり朝食が食べられなくなることで生活リズムにも悪影響が出ます。

ただし、忙しい経営者はどうしても食事が夜遅くになってしまうこともあるでしょう。そのような場合、できるだけ低脂肪で消化の良いものを食べるようにしましょう。野菜などを多く取り、お肉や揚げ物などは少なめにするのがお勧めです。

4 運動によって代謝しやすい体をつくる

1)運動をする際の参考

運動をして消費カロリーを増やすことは、ダイエットの基本です。運動で消費されるカロリーはそれほど多くないものの、筋肉がついて基礎代謝が上がれば、太りにくい体質に近づきます。

継続的に取り組む運動の例は次の通りです。なお、性別や体重を選択して、簡単に運動の消費カロリーを調べることができるウェブサイトやスマートフォン用のアプリなどがあるため、運動をする際の消費カロリーの参考にしてみるとよいでしょう。

2)ウオーキング(散歩)に取り組む

昼食後のウオーキングを日課にするなど、小まめに歩くようにしましょう。歩くことは運動の基本であり、生活に手軽に取り入れられます。また、ウオーキングは、外の風に当たり体を動かすことで、気分をリフレッシュできます。行き詰まったときなどに思考を整える効果も期待できるでしょう。

3)ランニングやマラソンに取り組む

ランニングやマラソンに取り組むことも検討しましょう。ランニングやマラソンは体力をつけられるため、ハードに働きたい経営者にはお勧めです。

ただし、いきなりランニングやマラソンに取り組むのは、普段運動をしていない人にはハードルが高いかもしれません。そのため、例えば、東京マラソンへの参加を最終目標として、最初は短い距離から始めて少しずつ走行距離を延ばしていくなど、楽しみを見つけながら取り組むことがポイントになります。

4)筋トレに取り組む

ダイエットには筋トレもお勧めです。筋トレで筋肉量を増やして基礎代謝を上げれば、カロリーを消費しやすい体をつくれます。

筋トレというと、ジムにある器具を使っての本格的なトレーニングを想像する人も多いかもしれませんが、筋トレは自宅でも可能です。

腕立て伏せや腹筋、スクワットなどの自重トレーニングでも十分に筋肉をつけられます。忙しくてジムに通う時間が取れない経営者は、自宅などでの自重トレーニングを検討してみてください。

5)プロの手を借りるのも手

忙しい経営者は、限られた時間で効率的に運動をして、成果を上げたいと思う人も多いのではないでしょうか。こうした場合、トレーナーの力を借りるのも1つの方法です。体への負担を軽減させながら、自分に合ったトレーニングメニューを提案してもらえます。

最近は、トレーナーがマンツーマンで指導をしてくれる「パーソナルトレーニング」も増えているので、ぜひ利用を検討してみてください。

以上(2024年3月更新)

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画像:photo-ac

【朝礼】管理職の皆さん、もっと闘ってください

おはようございます。今日は、特に管理職の皆さんに伝えたいメッセージがあります。それは、「もっと闘ってください」です。

今どきはすぐに「何とかハラスメント」と言われたり、SNSに投稿されたりするので、とにかく“空気”を読み、波風を立てないことが良しとされがちです。そうなると、物事に異を唱えたり、主張すべきことを主張しなかったり、指導を怖がったりして、「闘わない管理職」が出てきます。

これは由々しき事態です。私は管理職の皆さんに、声を大にして伝えます。おかしいと思うことには、堂々と異を唱えてください。主張すべきところは、相手がどこの誰であろうと、真正面からきちんと主張してください。部下やメンバーが間違っていて正す必要があるなら、しっかりと厳しく指導をしてください。管理職の皆さんには、その権利がありますし、もっと言えば、そうする義務があるのです。

昔、私は、社外の人と契約を結ぶとき、主張すべきことを主張せず、大失敗したことがあります。大企業との初取引で、売り上げが欲しいと焦った私は、相手にとって有利な条件の契約を、ほぼ相手の要求通りの内容で通してしまったのです。契約は締結できましたが、後になってから、金額的にも納期的にも、こちら側が一方的に無理をしなければならなくなり、部下にも大変な思いをさせ、結局、たった1年でこちらから契約解消を申し出ることになってしまいました。

この大失敗で、私は「相手がどこの誰であろうと、こちら側の主張すべきことは、しっかり主張して闘うことが、部下や会社、そして相手、顧客をも守ることなのだ」と実感しました。

闘うのは、社内でも同じです。管理職の皆さん、上長や、たとえ社長の私であろうとも、おかしいと思うなら、指摘して闘ってください。部下に対してもそうです。嫌われること、波風が立つことを恐れていたら、指導はできません。時には厳しい指導も必要です。それで部下や周りから何か言われるようなら、そのときは私が管理職の皆さんを守ります。

ただし、「闘うこと」と「争うこと」とは違います。相手を打ち負かそうと批判したり、傷つけたり、自分勝手に主張したりするのは闘いではなく争いです。闘いはより良い結果を導くためのものですが、争いは何も生み出しません。むしろ、相手を打ち負かそうという思いが強くなることで、本当にハラスメントになってしまうケースもあります。私は「闘うこと」は応援しますが、「争うこと」には厳しく対処します。何のために闘うのかを見失わないようにしてください。

異を唱えたり、主張したり、厳しく指導したりするのは、正直に言って、面倒で手間のかかることでもあります。「闘う」とは、「面倒で手間のかかることから逃げ出そうとする自分と闘う」ことに他なりません。管理職の皆さん。もう一度言います。逃げずに、しっかり闘ってください。

以上(2024年3月作成)

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画像:Mariko Mitsuda

【規程・文例集】「ストレスチェック制度実施規程」のひな型

書いてあること

  • 主な読者:ストレスチェック制度を実施するための規程のひな型が欲しい経営者
  • 課題:具体的に何を定めればよいかが分からない。健康診断と似たような運用でいいの?
  • 解決策:実施者、受検結果などの扱いが健康診断と異なるので、明確にルールを定める

1 健康診断とのルールの違いに注意する

ストレスチェック制度とは、

社員が所定の質問に答えて自身のストレス状態を把握する「ストレスチェック」や、高ストレス者に対する「医師による面接指導」などの一連の施策のこと

です。社員数が常時50人以上の会社は、年1回以上、ストレスチェックを実施しなければなりません(社員数が常時50人未満の会社は努力義務)。

ストレスチェック制度を実施するには、制度の実施者や受検結果の取り扱いなどについて、就業規則(ストレスチェック制度実施規程など)で定める必要があります。問題は、

ストレスチェック制度と健康診断のルールを混同している会社が少なくないこと

です。どちらも社員の健康状態をチェックするための制度ですが、両者は似て非なるものです。

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「健康診断と混同している部分があるかもしれない……」という人は、次章で専門家が監修したストレスチェック制度実施規程のひな型を紹介していますので、自社の就業規則と照らし合わせながら確認してみましょう。

2 ストレスチェック制度実施規程のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【ストレスチェック制度実施規程のひな型】

第1章 総則

第1条(目的)

本規程は、株式会社○○○○(以下「会社」)が、労働安全衛生法第66条の10の規定に基づく「心理的な負担の程度を把握するための検査等」(以下「ストレスチェック制度」)を実施するに当たり、その実施方法等を定めるものである。本規程に定めのない事項は、労働安全衛生法その他の関係法令によるものとする。

第2条(定義)

本規程において使用する語句の定義は次の各号に定める通りである。

  1. ストレスチェック:
    ストレスに関する質問票に従業員が記入し(またはITシステムに入力し)、それを集計・分析することで、従業員が自らのストレスの状態を調べる検査。
  2. ストレスチェック制度:
    ストレスチェックの結果を踏まえた医師による面接指導や集団分析等、一連の施策の総称。
  3. 衛生委員会:
    労働安全衛生法第18条に定められている組織で、従業員の健康障害を防止するための基本となるべき対策などを調査審議する。
  4. 衛生管理者:
    労働安全衛生法第12条に定められている者で、従業員の安全または衛生のための教育の実施など、衛生にかかわる技術的事項を管理する者。
  5. 産業医:
    労働安全衛生法第13条に定められている者で、従業員の健康管理および、健康診断や面接指導等、作業環境の維持管理、健康教育などの項目について医学に関する専門的知識を必要とする業務を行う医師。
  6. 集団分析:
    ストレスチェックの結果を、個人が特定されない一定の規模で分析すること。

第3条(適用範囲)

1)ストレスチェック制度の適用範囲は、次の各号のいずれにも該当する従業員である。

  1. 会社と期間の定めのない労働契約を交わしている従業員。次のいずれかに該当する期間の定めのある労働契約を交わしている従業員を含む。

    a.労働契約の契約期間が1年以上の従業員

    b.契約更新により1年以上使用される予定の従業員

    c.1年以上継続して使用されている従業員

  2. 1週間の労働時間が、当該事業場の同種の業務に従事する通常の従業員の所定労働時間の4分の3以上の従業員。

2)会社は、原則として人材派遣会社等から当社に派遣されている派遣労働者をストレスチェック制度の適用対象としない。

第4条(趣旨等の周知)

会社は、次の各号に定める内容を社内掲示板に掲示する他、本規程を配布する等の方法により、ストレスチェック制度の趣旨等を従業員に周知する。

  1. ストレスチェック制度は、従業員自身のストレスへの気付きおよびその対処の支援並びに職場環境の改善を通じて、メンタルヘルス不調となることを未然に防止する一次予防を目的とするものであり、メンタルヘルス不調者の発見を一義的な目的とはしないものである。
  2. 従業員にストレスチェックの受検義務はない。ただし、専門医療機関に通院中等の特別な事情がない限り、受検することが望ましい。
  3. ストレスチェックの結果は直接本人に通知され、本人の同意なく会社が結果を入手することはない。従って、ストレスチェックを受検するときは、正直に回答することが重要である。
  4. 本人がストレスチェックの結果を会社に提供することに同意した場合や、医師による面接指導を申し出た場合、会社はそれらによって得た情報を本人の健康管理のために限って使用する。
  5. 本規程第37条に定める事項。

第2章 ストレスチェック制度の実施体制

第5条(ストレスチェック制度担当者)

1)ストレスチェック制度担当者(以下「担当者」)は、ストレスチェック制度の実施計画の策定や計画に基づく実施の管理等の実務を行う。

2)担当者は人事労務課の従業員および衛生管理者とし、その氏名は社内掲示板に掲示する等の方法により従業員に周知する。

3)人事異動等により担当者の変更があった場合は、その都度、同様の方法により従業員に周知する。本規程第6条のストレスチェックの実施者、第7条のストレスチェックの実施事務従事者、第8条の面接指導の実施者についても同様の扱いとする。

第6条(ストレスチェックの実施者)

1)ストレスチェックの実施者(以下「実施者」)は、実際にストレスチェックを行う他、ストレスチェック制度の実施計画の策定などにも積極的に協力する。

2)実施者は会社の産業医および保健師の2名とし、産業医を実施代表者、保健師を共同実施者とする。

第7条(ストレスチェックの実施事務従事者)

1)ストレスチェックの実施事務従事者(以下「実施事務従事者」)は、実施者の指示のもとストレスチェックの日程調整、従業員等への連絡、調査票の配布と回収、結果のデータ入力等の各種事務処理を担当する。

2)実施事務従事者は人事労務課の従業員および衛生管理者とするが、人事に関する権限を有する者は実施事務従事者になることはできない。

第8条(面接指導の実施者)

ストレスチェックの結果に基づく面接指導の実施者は会社の産業医とする。

第3章 ストレスチェック制度の実施方法

第1節 ストレスチェック

第9条(ストレスチェックの実施時期)

ストレスチェックは1年以内ごとに1回実施するものとし、実施時期は業務の状況を勘案して部門ごとに設定する。

第10条(対象者)

1)適用対象となる従業員は、専門医療機関に通院中等の特別な事情がない限り、実施時期にストレスチェックを受検するように努めなければならない。

2)ストレスチェック受検の意思があるものの、出張等の業務上の都合により、ストレスチェックの実施期間にストレスチェックを受検することができなかった従業員は、会社が別途指定する実施時期にストレスチェックを受検するものとする。

3)ストレスチェックの実施時期の全期間に休職しており、休職期間が1カ月以上の従業員については、ストレスチェックの対象外とする。

第11条(受検の勧奨)

会社は、従業員の受検状況を把握し、未受検の従業員に対して、実施事務従事者または各職場の管理者を通じて受検の勧奨を行うことがある。

第12条(調査票および方法)

1)ストレスチェックは、厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」を用いて行う。

2)ストレスチェックは、社内LANを用いてオンラインで実施する。社内LANが利用できない従業員は、紙媒体で実施する。

第13条(ストレスの程度の評価方法・高ストレス者の選定方法)

1)ストレスチェックの個人結果の評価は、厚生労働省「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(以下「マニュアル」)に示されている素点換算表を用いて換算し、その結果をレーダーチャートに示すことにより行う。

2)高ストレス者の選定は、マニュアルに示されている「評価基準の例(その1)」に準拠し、以下のいずれかに該当する者を高ストレス者とする。

  1. 「心身のストレス反応」(29項目)の合計点数が77点以上である者。
  2. 「仕事のストレス要因」(17項目)および「周囲のサポート」(9項目)を合算した合計点数が76点以上であって、かつ「心身のストレス反応」(29項目)の合計点数が63点以上の者。

第14条(ストレスチェックの結果の通知方法)

ストレスチェックの個人結果の通知は、「実施者または実施者の指示を受けた実施事務従事者」(以下「ストレスチェックの結果通知者」)が実施者名で行う。通知方法は、原則として各従業員に電子メールを送信することで行うが、電子メールが利用できない従業員および電子メールを希望しない従業員に対しては封筒に封入し、紙媒体で通知する。

第15条(セルフケア)

従業員は、ストレスチェックの結果および結果に記載された実施者の助言・指導に基づき、ストレスを軽減するためのセルフケアを適切に行うように努めなければならない。

第16条(会社への結果提供に関する同意の取得方法)

実施者は、ストレスチェックの結果を従業員に通知する際、その内容を会社に提供することについて同意するか否かの意思確認を行う。従業員が同意する場合は、従業員は結果通知の電子メールに添付または封筒に同封された「同意書」(省略。以下、同様)に入力または記入し、発信者宛てに送付するものとする。同意書の提出が確認された場合、ストレスチェックの結果通知者は、実施者の指示により、ストレスチェックの結果の写しおよび「同意書」の写しを人事労務課に提供する。

第17条(ストレスチェック受検時の賃金の取り扱い等)

1)ストレスチェックの受検に要する時間は業務時間として取り扱う。

2)従業員は、業務時間中にストレスチェックを受検するものとし、管理者は従業員がストレスチェックを受検する時間を確保できるように配慮しなければならない。

第2節 医師による面接指導

第18条(面接指導の申出の方法)

1)ストレスチェックの結果、医師による面接指導を受ける必要があると判定された従業員が医師の面接指導を希望する場合、結果通知の電子メールに添付または封筒に同封された「面接指導申出書」(省略。以下、同様)に入力または記入し、結果通知の電子メールあるいは封筒を受け取ってから30日以内に、発信者宛てに送付するものとする。

2)医師による面接指導を受ける必要があると判定された従業員から、結果通知後20日以内に「面接指導申出書」の提出がなされない場合は、ストレスチェックの結果通知者は、実施者の指示により、実施者名で電子メールまたは電話により申出の勧奨および最終的な意思確認を行う。この際、第三者にその従業員が面接指導の対象者であることが知られないよう配慮する。

3)医師による面接指導を受ける必要があると判定された従業員以外の従業員から、面接指導の申出を受けた場合、会社はこれを拒むことができる。

第19条(面接指導の実施方法)

1)面接指導の実施日時および場所は、面接指導の実施者または面接指導の実施者の指示を受けた実施事務従事者が、該当する従業員およびその管理者に電子メールまたは電話により通知する。この際、第三者にその従業員が面接指導の対象者であることが知られないよう配慮する。なお、面接指導の実施日時は、「面接指導申出書」が提出されてから、30日以内に設定する。

2)通知を受けた従業員は、指定された日時に面接指導を受けるものとし、管理者は従業員が指定された日時に面接指導を受けることができるよう配慮しなければならない。

第20条(面接指導結果に基づく医師の意見聴取方法)

会社は、面接指導が終了してから30日以内に、「面接指導結果報告書兼意見書」(省略。以下、同様)により、面接指導の実施者から結果の報告および意見の提出を受ける。

第21条(面接指導結果を踏まえた措置の実施方法)

1)面接指導の実施者から、面接指導の結果を踏まえた就業上の措置が必要であるとの意見書が提出され、これに基づいて会社が人事異動を含めた就業上の措置を実施する場合、人事労務課の担当者が該当する従業員に就業上の措置の内容およびその理由等を説明する。なお、前記説明を行う際は面接指導の実施者も同席するものとする。

2)従業員は、正当な理由がない限り、会社が指示する就業上の措置に従わなければならない。

第22条(面接指導を受けるのに要する時間の賃金の取り扱い)

面接指導を受けるのに要する時間は業務時間として取り扱う。

第3節 集団ごとの集計・分析

第23条(集計・分析の対象集団)

ストレスチェックの結果の「集団ごとの集計・分析」(以下「集団分析」)は、原則として、課ごとの単位で行う。ただし、10人未満の課については、他の課と合算する等して個人が特定されない規模で行う。

第24条(集計・分析の方法)

集団分析は、マニュアルに示されている仕事のストレス判定図を用いて行う。

第25条(集計・分析結果の利用方法)

1)ストレスチェックの結果通知者は、実施者の指示により、人事労務課に集団分析の結果(個人のストレスチェックの結果が特定されないもの)を提供する。

2)会社は、集団分析の結果に基づき、必要に応じて、職場環境の改善のための措置、管理者に対する研修を行う。従業員は、会社が行う職場環境の改善のための措置の実施に協力しなければならない。

第4章 記録の保存

第26条(ストレスチェックの結果の記録の保存担当者)

ストレスチェックの結果の記録の保存担当者は、実施事務従事者である衛生管理者とする。

第27条(ストレスチェックの結果の記録の保存期間・保存場所)

ストレスチェックの結果の記録は、会社のサーバーまたは金庫内に5年間保存する。

第28条(ストレスチェックの結果の記録の保存に関するセキュリティーの確保)

保存担当者は、会社のサーバーまたは金庫内に保管されているストレスチェックの結果が第三者に閲覧されることがないよう、パスワードの設定等、必要な管理を徹底しなければならない。

第29条(会社に提供されたストレスチェックの結果・面接指導結果の保存方法)

1)人事労務課は、従業員の同意を得て会社に提供されたストレスチェックの結果の写しおよび「同意書」の写し、ストレスチェックの結果通知者から提供された集団分析の結果、「面接指導結果報告書兼意見書」を、社内の金庫に5年間保存する。

2)人事労務課は、第三者に社内に保管されている前項の資料が閲覧されることがないよう、必要な管理を徹底しなければならない。

第5章 ストレスチェック制度に関する情報管理

第30条(ストレスチェックの結果の共有範囲)

従業員の同意を得て会社に提供されたストレスチェックの結果の写しは、人事労務課内のみで保有する。

第31条(面接指導結果の共有範囲)

「面接指導結果報告書兼意見書」は、人事労務課内のみで保有する。そのうち就業上の措置の内容等、職務遂行上必要な情報に限定して、該当する従業員の管理者に提供する。

第32条(集団分析結果の共有範囲)

1)実施者から提供された集団分析の結果は、人事労務課内で保有するとともに、課ごとの結果については当該課の管理者に提供する。

2)会社は、集団分析の結果とそれに基づいて実施した措置の内容を、衛生委員会に報告する。

第33条(健康情報の取り扱いの範囲)

ストレスチェック制度に関して取り扱われる従業員の健康情報のうち、診断名、検査値等の生データや詳細な医学的情報は実施者が取り扱うものとする。人事労務課に関連情報を提供する際は、適切に加工しなければならない。

第6章 情報開示、訂正、追加および削除と苦情処理

第34条(情報開示等の手続き)

従業員は、ストレスチェック制度に関して情報の開示等を求める際には、「ストレスチェック制度の情報開示請求」(省略)を人事労務課に提出するものとする。

第35条(苦情申し立ての手続き)

従業員は、ストレスチェック制度に関する情報の開示等について苦情の申し立てを行う際には、「ストレスチェック制度の苦情申立書」(省略)を人事労務課に提出するものとする。

第36条(守秘義務)

従業員からの情報開示や苦情申し立てに対応した人事労務課の従業員は、それらの職務を通じて知り得た従業員の秘密を第三者に漏らしてはならない。

第7章 不利益な取り扱いの防止

第37条(会社が行わない行為)

会社は、ストレスチェック制度に関して次の行為を行わない。

  1. 医師による面接指導の申出を行った従業員に対して、申出を行ったことを理由として、その従業員に不利益となる取り扱いを行うこと。
  2. 従業員の同意を得て会社に提供されたストレスチェックの結果を理由として、その従業員に不利益となる取り扱いを行うこと。
  3. ストレスチェックを受検しないことを理由として、その従業員に不利益となる取り扱いを行うこと。
  4. ストレスチェックの結果を会社に提供することに同意しないことを理由として、その従業員に不利益となる取り扱いを行うこと。
  5. 医師による面接指導が必要とされたにもかかわらず、その申出を行わないことを理由として、その従業員に不利益となる取り扱いを行うこと。
  6. 就業上の措置を行うに当たって、面接指導の実施者から意見を聴取する等、労働安全衛生法および労働安全衛生規則に定められた手順を踏まずに、その従業員に不利益となる取り扱いを行うこと。
  7. 面接指導の結果に基づく就業上の措置を行うに当たって、面接指導の実施者の意見と内容・程度が著しく異なるなど必要と認められる範囲内となっていないものや、従業員の実情が考慮されていないものなど、労働安全衛生法その他の法令に定められた要件を満たさない内容で、その従業員に不利益となる取り扱いを行うこと。
  8. 面接指導の結果に基づく就業上の措置として、次に掲げる措置を行うこと。

    a.解雇すること。

    b.期間を定めて雇用される従業員について契約の更新をしないこと。

    c.退職勧奨を行うこと。

    d.不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換や職位(役職)の変更を命じること。

    e.その他の労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること。

第8章 雑則

第38条(改廃)

本規程の改廃は、衛生委員会において調査審議を行い、その結果に基づいて変更を行うものとする。

附則

本規程は、○年○月○日より実施する。

以上(2024年3月更新)
(監修 社会保険労務士 志賀碧)

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画像:ESB Professional-shutterstock

【健康経営】ストレスチェック制度の実務チェックリスト47項目

1 特有のルールがあり、実務も多いストレスチェック制度

ストレスチェック制度とは、

社員が所定の質問に答えて自身のストレス状態を把握する「ストレスチェック」や、高ストレス者に対する「医師による面接指導」などの一連の施策のこと

です。社員数が常時50人以上の会社は、年1回以上、ストレスチェック制度を実施する義務があります。現状、社員数が常時50人未満の会社は努力義務ですが、政府は近年のメンタルヘルス不調の増加などを考慮し、これらの会社も義務化の対象に加える方針のようです。

そんな状況なので、今後中小企業においてもストレスチェック制度の実施に取り組む会社が増えてくることが予想されますが、注意しなければならないのは、

ストレスチェック制度には、「健康診断と違って社員に受検を強制できない上に、受検結果も社員の同意がないと取得は不可」など特有のルール

があり、場当たり的に取り組むと法令違反や実務の抜け漏れが起きかねないという点です。

そこで、この記事では、

ストレスチェック制度で最低限押さえるべき47項目の実務チェックリスト

を紹介します。ストレスチェック制度を実施する前に、この記事の実務チェックリストを確認してみてください。なお、ストレスチェック制度の実施に当たって疑問や悩みがある場合は、労働者健康安全機構の「ストレスチェック制度サポートダイヤル」などをご利用ください。

■労働者健康安全機構「ストレスチェック制度サポートダイヤル」■

https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/helpline/tabid/1008/Default.aspx

2 これだけは押さえる! 実務チェックリスト47項目

ストレスチェック制度を実施する際は、次のチェックリストを実務の抜け漏れ防止にご活用ください。

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なお、最後(その他)の「心理的な負担の程度を把握するための検査等報告書」については、

2025年1月1日から「電子政府の総合窓口(e-Gov)」によるオンラインでの提出(電子申請)が義務化

されているのでご注意ください。

■厚生労働省「労働局・労働基準監督署への申請・届出はオンラインをご活用ください」■

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/denshishinsei.html

以上(2025年4月更新)
(監修 有村総合法律事務所 弁護士 渡邉和也)

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画像:pixabay