過去最大の引き上げ額 最低賃金引き上げによる企業への影響と実務

地域別最低賃金が、過去最大の引き上げ率により、全国加重平均1,002円へと改定されてから2か月が経過しました。

都道府県別に見ると、最高は東京都の1,113円で、最も低い岩手県では、従前から39円引き上げられて893円となっています。

政府の最重要課題に位置付けられた賃上げを実行する形での改定となりましたが、企業ではどんな影響があるのか、求められている実務的対応とともにまとめました。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

「年休の買い取り」で社員の不満解消と新しい福利厚生を実現!(就業規則の規定例付き)

書いてあること

  • 主な読者:社員から「使わない年休を買い取ってほしい」と言われた経営者・労務担当者
  • 課題:そもそも年休の買い取りは法的に認められるのか?
  • 解決策:原則NGだが、「時効になった年休を買い取る場合」など例外はある

1 年休の買い取りはあくまで例外的な対応

労働基準法により、会社は入社後6カ月以上勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した社員に「年休(年次有給休暇)」を付与します。問題は、実際に社員が取得する年休の日数が、付与日数の58.3%(厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」)にとどまることです。年10日の年休が付与される社員であれば、約4日の年休を取得できずにいる計算です。

画像1

同調査での年休の取得率は、年々少しずつ伸びてきていますが、会社の規模が小さくなるほど、仕事が忙しくて年休を取得する余裕がない社員が増えてきます。そうした社員の中には、

使わない年休を買い取ってほしい(使わない年休分の賃金を支払ってほしい)

と考えたり、実際に請求したりする人がいます。

経営者や労務担当者も、「年休が取れないなら、せめて社員が損をしないよう買い取ってあげたい」と考えるかもしれませんし、

見方を変えれば、年休の買い取りは新しい福利厚生

になります。法令上、年休は社員の疲労回復やリフレッシュのために「休暇」として与えるのが原則で、買い取りは法的には認められてはいませんが、例外的な対応として一定の条件を満たせば可能とすることができます。

この記事では、年休の買い取りに関する実務のポイントとして、

  • 会社も社員も、年休の買い取りの「強制」はできない
  • 年休の買い取りが認められやすいケースが3つある
  • 買い取った年休分の賃金は「賞与」扱い、社会保険料に注意する

を紹介します。また、この記事の最後には、これらのポイントを踏まえた就業規則の規定例を載せているので、併せてご確認ください。

2 会社も社員も、年休の買い取りの「強制」はできない

まず押さえておきたいのは、

  • 会社は社員に「年休を買い取るから、休まず出勤しろ」と強制することはできない
  • 社員も会社に「使わない(使えなかった)年休を買い取れ」と強制することはできない

という点です。

前述した通り、年休は社員が疲労を回復して心身ともにリフレッシュするための制度です。買い取りが当たり前になってしまうと、休暇としての意味がなくなってしまいますから、制度の趣旨を損なうような買い取りの仕方はNGとされているのです。

労働基準法には、年休の買い取りに関する具体的な定めがありませんが、行政通達では

会社が年休の買い取りを予約することや、本来なら請求できるはずの年休日数を減らしたり与えなかったりすることは違法である

とされています(昭和30年11月30日基収4718号)。つまり、会社が社員に「年休を買い取るから、休まず出勤しろ」と強制することはできません。逆に、社員が会社に「使わない(使えなかった)年休を買い取れ」と強制するケースについては、

未消化の年休を事後に使用者が買い取る義務はない

とした裁判例があります(大阪高裁平成14年11月26日判決)。他の言葉に言い換えると、

年休の買い取りは、会社と社員が自由な意思に基づき合意した場合に初めて認められる

ということです。

3 年休の買い取りが認められやすいケースが3つある

会社と社員が年休の買い取りについて合意していても、買い取りが無制限に認められるわけではありません。例えば、労働基準法には

年10日以上の年休が付与されている社員には、会社が時季を指定して年5日の年休を取得させなければならない

というルールがあり、仮に会社と社員が合意していても、付与された10日以上の年休を全て買い取るといった対応は認められません(最低5日は休暇として取得させなければならない)。

そんなわけなので、会社は労働基準法の年休のルールに違反しないよう、買い取りを認めるケースを明確に決めておく必要があります。一般的に、次の3つのケースは、年休の買い取りが認められやすいとされています。

  1. 時効により消滅した年休の買い取り
  2. 退職により取得されない年休の買い取り
  3. 法定の付与日数を上回る部分の年休の買い取り

1.時効により消滅した年休の買い取り

労働基準法では、社員が年休を取得しない場合、その年休は付与された日(基準日)から2年が経過したタイミングで、時効により消滅します。時効により消滅した年休はもう取得できないので、買い取っても問題ありません。

2.退職により取得されない年休の買い取り

退職が近い社員は、退職日までに残っている年休を使いきれない場合があります。こうした場合に、使いきれなかった日数分の年休を買い取ることは問題ありません。退職時の引き継ぎなどの関係で、年休を取得したかったのに退職日直前まで出勤をした結果、取得しきれなかった年休が発生した場合、社員と相談して買い取るという対応も可能です。

ただし、前述した通り、社員に年休の買い取りを条件として出社を強制するのは違法です。

3.法定の付与日数を上回る部分の年休の買い取り

会社によっては、法定の付与日数を上回る年休を社員に付与しているところがあります。例えば、法令上は「年10日」の年休を付与すべき社員に、会社ルールで「年15日」の年休を付与している場合、5日(15日-10日)分については、買い取っても問題ありません。

4 買い取った年休分の賃金は「賞与」扱い、社会保険料に注意

年休の買い取り金額に関して法的な決まりはありません(例外的な対応であるため)が、実際に年休を取得した場合の賃金額と同じとするケースが一般的です。具体的には、

  • 平均賃金(直近3カ月間の賃金総額(賞与等を除く)÷直近3カ月間の総日数)
  • 1日働いた場合の通常の賃金(月給制などの場合、1日単位に換算した金額)
  • 標準報酬日額(標準報酬月額÷30日)

のいずれかになります。どれを選択するかは、就業規則に定めます。

問題は買い取った年休分の賃金の支払いで、

年休を買い取った場合、その分の賃金は「賞与」として計上しなければならない

という点に注意が必要です。通常の賃金や退職金に上乗せして支払うのではなく、これらと区別できる形で賞与として社員に支払わなければなりません。

また、社員が社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者の場合、買い取った年休分の賃金(賞与)には社会保険料がかかってきます。賞与の社会保険料は、

支給日から5日以内に日本年金機構に提出する「被保険者賞与支払届」

に基づいて決まりますので、書類の提出漏れがないように注意しましょう。なお、被保険者賞与支払届は賞与を支払うたびに提出が必要になりますので、業務の煩雑さを考えるのであれば、

年休の買い取り分の賃金は、賞与支給月(6月、12月など)に通常の賞与と合算して支払う(賞与明細の内訳などで、年休の買い取り分の賃金がいくらかを明らかにする)

といった対応にするのもよいでしょう。

5 年休の買い取りに関する就業規則の規定例

最後に、年休の買い取りに関する就業規則の規定例を紹介します。なお、実際にこうした規定を盛り込む際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受け、自社に沿った内容で対応されることをお勧めします。

【規定例】

第◯条(年次有給休暇の買い取り)

1)会社は、次の各号について社員から年次有給休暇の買い取りの請求があり、会社が法の定める年次有給休暇の趣旨などを考慮して問題がないと判断した場合、その買い取りを行う。

  1. 時効(基準日から2年後)により消滅した年次有給休暇の買い取り
  2. 退職により取得されない年次有給休暇の買い取り
  3. 法定の付与日数を上回る部分の年次有給休暇の買い取り

2)会社は、社員からの請求に基づき、年次有給休暇の付与日数、基準日および時効、その他年次有給休暇の買い取りに関し必要な情報を提供する。

3)年次有給休暇の買い取り日数は、会社と社員が協議の上決定する。なお、労働基準法第39条第7項に基づき時季を指定して付与する年次有給休暇については、買い取りの対象としない。

4)年次有給休暇を買い取る場合、その1日当たりの賃金額は、就業規則第◯条で定める、実際に年次有給休暇を取得した場合の賃金額と同額とする。

5)年次有給休暇を買い取る場合、会社はその賃金額を明らかにした上で、毎年6月または12月に支給する賞与に合算して社員に支払う。ただし、第1項第2号に基づく年次有給休暇の買い取りの場合においては、当該社員の退職月に臨時賞与として支払う。

以上(2023年11月作成)
(監修 人事労務すず木オフィス 特定社会保険労務士 鈴木快昌)

pj00682
画像:umaruchan4678-Adobe Stock

【収支シミュレーション】フィットネスクラブの開業収支モデル

書いてあること

  • 主な読者:フィットネスクラブの開設を検討している人
  • 課題:賃借物件を借りてフィットネスクラブを運営する
  • 解決策:開業、運営に掛かる費用の目安を押さえ、収支計画をシミュレーションしてみる

1 フィットネスクラブ業界の動向

1)フィットネスクラブの形態

フィットネスクラブは、室内プール、トレーニングジム、スタジオなどを設けて、インストラクターやトレーナーが運動の指導を行う施設です。

昨今では、利用者のニーズに合わせて、パーソナルトレーニングを行う施設や、トレーニングマシンのみを設置し、24時間利用できる施設など、サービスを特化させることで他社との差異化を図る動きがあります。

主な施設の形態と特徴は次の通りです。

1.スポーツクラブといわれる複合施設

トレーニングマシン以外にもスタジオやプール、お風呂などが併設されている複合施設です。昔からあるものも多く、施設自体が大きく会員数も多いのが特徴となっています。利用者の年齢層も幅広いです。運営側からすると、さまざまな施設を保有するため施設の管理費や賃料などが高額になるデメリットがあります。

2.パーソナルトレーニング

パーソナルトレーニングは、専属のトレーナーがつき、基本的にマンツーマンでトレーニングをサポートします。本格的に体を鍛えたいスポーツ選手や自分の意思ではサボってしまう人、金銭的に余裕のある人などが利用するサービスです。利用者はトレーナーの専門性やコミュニケーションの取りやすさを重視するため、運営側からすると、どのようなトレーナーを雇用できるか(もしくは業務委託できるか)も重要となります。

3.マシン特化ジム

マシンのみを設置しているジムです。24時間営業している場合も多く、利用者が好きなタイミングで利用できます。また、近年は簡易的なマシンのみを設置して無人で営業する施設もあり、複合施設などと比べて利用料が安いのが特徴です。ただし、マシンの使い方がわからない人は利用しづらいといったデメリットもあります。

4.スタジオ特化型フィットネススタジオ

マシンなどは設置せず、ヨガやダンス、ピラティスなどのスタジオでのエクササイズに特化して運営する形態です。トレーニングというよりは、女性などが運動目的で利用することも多いです。スタジオという環境から、会員同士のつながりも生まれやすくなっています。 また、定員を設けることが一般的なため、利用者の混雑に悩まされることもありません。運営側からすると、いかに人気があるインストラクターを起用できるかも集客アップや継続率アップに欠かせないポイントです。

2)フィットネスクラブの市場規模について

フィットネスクラブの市場規模は調査資料によって異なります。ここでは経済産業省「経済構造実態調査」のフィットネスクラブに関するデータを用います。最新データである2022年のフィットネスクラブの売上総額(市場規模)は5344億8900万円です。

また、資本金や事業従事者規模別の売上高が出ている2020年のデータは図表1の通りです。

画像1

2020年におけるフィットネスクラブの事業所数は4840事業所、年間売上高は5899億1300万円です。1事業所当たりの年間売上高は1億2200万円となります。

総務省「人口推計」によると2020年10月1日時点の人口は1億2614万6000人なので、1人当たりマーケットサイズは4676円(5899億1300万円/1億2614万6000人)です。

3)消費者ニーズについて

一般的に、フィットネスクラブの利用目的として次のようなものが挙げられます。

  • 日々の運動不足を解消して、健康維持と体力向上を目指したい
  • 運動やトレーニングにより理想的な体・スタイルを手に入れたい
  • トレーナーから自分に合ったトレーニング方法を教わりたい
  • 運動を通じてストレスを解消したい
  • 会員同士の交流により交友関係を広げたい

どの消費者ニーズに応えたいかによって、開業するフィットネスクラブの形態は変わってくるでしょう。

2 フィットネスクラブの最新技術・店舗の事例

1)破格の月会費で手軽にジムを利用できる

低価格で手軽にジムを利用できる「chocoZAP」の利用者が急増中です。chocoZAPはRIZAPグループ(東京都新宿区)が運営する全国に800店舗以上あるジムです。月額3278円(税込)で24時間・365日全店舗のジムが使い放題となっており、普段着のままでトレーニングやエクササイズができることが特徴です。

2022年7月にサービスを開始し、2023年8月時点の会員数は80万人となっています。同じく、Fast Fitness Japan(東京都新宿区)が運営する24時間営業フィットネスの「エニタイムフィットネス」の会員数が約78万人(2023年6月末時点)なので、サービス開始から約1年でエニタイムフィットネスの会員数を追い抜きました。

低価格で手軽に利用できることから、本格的なトレーニングやハードなメニューに壁を感じる若年層の利用が多いです。

2)サウナブームを取り入れる

昨今のサウナブームに乗じて、併設されたお風呂やサウナを売りにするフィットネスクラブもあります。

例えば、コナミスポーツ(東京都品川区)では、「コナスポ的湯るジム通い」をキャッチコピーに、運動後だけでなく、仕事帰りや体調を整えるためにお風呂やサウナを利用できることをアピールしています。店舗によっては、プール・お風呂・サウナのみの利用が可能な「アクア&スパ・アクアプラン」があります。

3)アミューズメント型フィットネスクラブで集客を狙う

フィットイージー(岐阜県岐阜市)では、ジムやスタジオ以外にもさまざまなサービスを用意して入会者の獲得を狙っています。

フィットイージーが用意するサービスには、次のようなものがあります。

  • ゴルフシミュレーター
  • ドライブシミュレーター
  • エステマシン
  • タンニングマシン
  • サウナ
  • ボルダリング
  • 高濃度酸素ルーム
  • コワーキングスペース

コワーキングスペースがある店舗は、フリーランスやテレワークが多い人にも人気です。

4)働きながら運動できる

快眠グッズ製造直販を手掛けるムーンムーン(熊本県熊本市)では、オフィスチェアとフィットネスバイクが合体した「コズクワール」を開発しました。コズクワールを使えば、仕事や勉強をしながらフィットネスバイクをこぐことができます。忙しいビジネスパーソンにとっては、運動のために時間を取るのではなく、仕事と運動を同時に行える本商品は魅力的かもしれません。

5)AIトレーナーによるトレーニング指導を受けられる

AIヘルステックスタートアップのLifeform AI(オーストラリア・シドニー)では、人間の姿勢や運動の状態を分析できるAIを開発しています。2023年2月から3月にかけて東京ドームシティ内のフィットネスクラブで、AIトレーナーによるコーチングのデモンストレーションが行われました。さまざまなプロフェッショナルのトレーナーの動きを学習したAIコーチから、トレーニングのやり方を評価され、フィードバックが受けられる仕組みです。

AI技術が進展していくなかで、いつでも手軽に高度なトレーニングを受けられるAIトレーナーのニーズは高まっていくかもしれません。

3 新規開業・運営に当たっての留意点

1)新規開業で必要な各種届出を確認する

フィットネスクラブ内にシャワーやジャグジー設備などを用意する場合、公衆浴場法による届出が必要です。事前にフィットネスクラブ所在地を所管する保健所へ届け出て、営業許可をもらいましょう。

2)開業する地域の需要を見極める

フィットネスクラブを開業するに当たって、あらかじめ需要を見極めることは重要です。開業する地域にどのような人が多いかによって、フィットネスクラブの形態は変わってきます。忙しいビジネスパーソンや若年層が多いのであれば、いつでも気軽に利用できる24時間営業の店舗の需要が高いでしょう。また、家族連れや高齢者が多いのであれば、さまざまな利用用途があり会員同士のつながりもできやすい複合型のフィットネスクラブがいいでしょう。

3)トレーナーやインストラクターを確保する

スタジオでのレッスンやパーソナルトレーニングを行うフィットネスクラブでは、トレーナーやインストラクターが必要です。どのようなトレーナーやインストラクターを雇用するかによって、集客力や継続率が変わります。トレーニングに関する専門性だけでなく、人柄なども含めて採用しましょう。また、人気インストラクターなどに業務委託やスポットで講師を依頼して、集客力を高める方法も考えられるでしょう。

4)衛生管理に注意する

フィットネスクラブは、人が密集することに加え、1つのトレーニング機器を多くの人で利用するため、感染症のリスクが高い施設です。消毒液の設置や空気の入れ替えなどで、できるだけ感染リスクを下げましょう。

フィットネスクラブにおける新型コロナウイルス感染症対策はこちらで紹介されているので、参考にしてみてください。

■日本フィットネス産業協会「FIAフィットネス関連施設における新型コロナウイルス感染拡大対応ガイドライン」■

https://fia.or.jp/covid19-fitness/

5)安全面に注意する

フィットネスクラブでは、トレーニング機器の故障や破損などによる事故に注意が必要です。トレーニング機器の定期的な検査やメンテナンスが必要になります。また、万が一のことが起きた際に備えてAEDを設置し、スタッフにAEDの使い方の訓練を受けてもらいましょう。さらに、施設の不備などが原因で事故が起きた場合には高額な賠償請求を受けることもあります。賠償請求に備えて、賠償責任保険への加入も検討してみてください。

6)個人情報の管理に注意する

フィットネスクラブは1施設あたり300~数千人の会員がいることが一般的です。会員数や施設規模を問わず、個人情報の管理には特に注意しましょう。他会員への会員情報の開示禁止、会員情報の持ち出し禁止などを徹底し、個人情報の流出が発生しないような管理体制を作りましょう。

4 開業収支を考える

1)前提条件

1.売上高

ここでは、会員1人当たりの平均年会費10万1283円(注)×見込会員数1500人=1億5192万円を3年度目に達成すると仮定し、シミュレーションをします。

また、1年度目の売上高は1億634万円(1億5192万円×70%)、2年度目の売上高を1億3673万円(1億5192万円×90%)とし、4年度目以降は10%ずつ売上が増えるものと仮定します。

(注)経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」における、2022年のフィットネスクラブの売上高と会員数を基に算出した数値です。

2.原価率

日本政策金融公庫「小企業の経営指標2021」を参考に、売上高の15%とします。

3.人件費

日本政策金融公庫「小企業の経営指標2021」を参考に、売上高1億5192万円の35.2%となる5348万円とします。

4.店舗設備整備費用等

  • 内装工事費、トレーニング機器、設備等の整備費用:1億5000万円
  • 開設する物件の賃借料:月額126万6000円

画像2

画像3

画像4

5 経営指標

日本政策金融公庫「小企業の経営指標2021」によると、フィットネスクラブの経営指標は次の通りです。

画像5

以上(2023年11月作成)

pj80168
画像:gajj-Adobe Stock

先急ぎ運転に注意!(2023/11号)【交通安全ニュース】

活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

年末が近づくにつれ何かと慌ただしくなると、車の運転も早く目的地に着こうと先急ぎ運転になりがちです。先急ぎ運転は、ちょっとしたことで焦りやイライラを感じ、スピードを出す、安全確認を疎かにするなど危険な運転行動をしてしまうため、事故を起こす危険が高まります。

これから年末に向けて事故を起こさないよう先急ぎ運転に注意しましょう。

先急ぎ運転に注意

1.「急ぎの心理」と先急ぎ運転

月別交通事故件数は、例年10月から12月にかけて増加傾向にあります。その一因として先急ぎ運転が考えられますが、その背後には「急ぎの心理」があると言われています。

月別交通事故件数

出典:公益社団法人交通事故分析センター 令和4年版「交通事故統計年報」から当社作成

①「急ぎの心理」

太古から人類は、“急ぐこと”で外敵などの危険から身を守ったり、貴重な食料を獲得したりして生存競争を生き抜いてきました。そのため、人間のDNAには、“急ぐこと”が本能として刷り込まれているそうです。
例えば、運転中に誰かに追い越されただけで不快に感じる、それは「急ぎの心理」によるものと考えられます。

②先急ぎ運転の危険

目的地に早く着こうと急いでいる場面で、前にノロノロ運転している車がいたり、渋滞に巻き込まれたりするなどちょっとしたきっかけで、潜在している「急ぎの心理」が顔を出すと言われています。
「急ぎの心理」が顔を出すと無意識に先急ぎ運転になってしまいます。先急ぎ運転は、焦りやイライラの感情が生じやすく、危険な運転行動を誘発するため、事故を起こす危険が高まります。

<先急ぎ運転における危険な運転行動>

  • スピードを出す。
  • 前の車との車間距離を詰める。
  • 無理な追い越しや割り込みをする。
  • 注意が散漫になり、安全確認を疎かにする。
  • 信号の変わり目に強引に交差点を通行する。
  • 車線変更を繰り返す。

など

2.先急ぎ運転への対処法

目的地に早く着こうと先を急いでも、事故を起こしては取り返しがつきません。「急ぎの心理」になることで、事故の当事者とならないようにするための対処法をご紹介します。

◆先急ぎ運転の要因を作らない

運転するときは、時間に余裕を持って、早めに出発することを心がける。

約束の時間に遅れそうなときは、早めに先方へ連絡することを習慣づける。

先急ぎ運転

◆「急がば回れ」を意識する

先を急いでも到着時間はさほど短縮されないと考える。先急ぎ運転は危険な運転行動につながることはあっても、決して得になることはないため、「急がば回れ」を意識する。

◆自分の運転特性を把握した運転をする

「運転適性診断」を受診し、自分の運転特性(運転のクセ)を把握する。性格面で感情的な傾向がみられる場合は、診断のアドバイスを踏まえて運転を見直す。

自分の運転特性を把握した運転

◆エコドライブを習慣化する

エコドライブを習慣化することによって、急加速や急減速などを減らし、「急ぎの心理」が顔を出したとしても先急ぎ運転になりにくくする。(日頃からエコドライブを実践する。)

3.運転中にイライラを感じたら

近年注目されている「アンガーマネジメント」に「6秒ルール」があります。

人の怒りのピークは6秒と言われており、「6秒ルール」とは、6秒をやり過ごすことで冷静さを取り戻すというものです。

6秒の間に深呼吸をしたり、あるいは子どもの名前やペットの名前などを口に出したりすると効果的です。

もしも運転中に焦りやイライラを感じたら、「6秒ルール」を試すことをおすすめします。

6秒ルール

出典:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会「アンガーマネジメントイライラ・怒りのコントロール術」から当社作成

以上(2023年11月)

sj09094
画像:amanaimages

年収の壁・支援強化パッケージについて

厚生労働省は、年収が一定額を超えると手取りが減ることから、パートタイム労働者等が就労調整をする事例がみられる、いわゆる「年収の壁問題」の支援強化パッケージを発表し、「106万円の壁」「130万円の壁」への当面の対応策を示しました。

年金制度の改正が予定される令和7年度までの措置として、令和5年10月から実施していくとのことです。

本稿では、厚生労働省から公表された「年収の壁・支援強化パッケージ」について、説明いたします。

この記事は、こちらからお読みいただけます。pdf

年収の壁・支援強化パッケージについて

厚生労働省は、年収が一定額を超えると手取りが減ることから、パートタイム労働者等が就労調整をする事例がみられる、いわゆる「年収の壁問題」の支援強化パッケージを発表し、「106万円の壁」「130万円の壁」への当面の対応策を示しました。

年金制度の改正が予定される令和7年度までの措置として、令和5年10月から実施していくとのことです。

本稿では、厚生労働省から公表された「年収の壁・支援強化パッケージ」について、説明いたします。

1 年収の壁とは

厚生労働省が実施した「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」によると、会社員などの配偶者で扶養されていて保険料の負担がない「第3号被保険者(社会保険上の被扶養配偶者)」のうちおよそ4割が就労していることが明らかになっています。

第3号被保険者の手取り収入の変化(イメージ)

(厚生労働省「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」)

上記のように、一定以上の収入増となった場合、新たに発生する社会保険料の負担や収入要件が定められている配偶者手当等が無支給となるなど、手取り収入が減少することを恐れ、就業調整をしている方が存在します。

これにより、本人の働く意欲が阻害され、さらには企業にとっても貴重な労働戦力を有効活用できないジレンマが常態化していました。

2 支援強化の内容

厚生労働省は、「年収の壁・支援強化パッケージ」の中で、大きく分けて3つの対応を行うとしております。

年収の壁・支援強化パッケージ

(厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」)

3 さいごに

厚生労働省が発表した具体的な施策の概要は、次の通りとなります。

  1. キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」の新設
  2. 社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外
  3. 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
  4. 企業の配偶者手当の見直し促進
  5. 業務改善助成金の活用促進

同省は、この「年収の壁・支援強化パッケージ」の各対応策について、今後所要の手続きを経た上で、関係者と連携し、着実に進めていくこととしています。企業は、このパッケージの趣旨や制度内容を良く理解し、適切に活用していきましょう。

※本内容は2023年10月6日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

sj09093
画像:photo-ac

「成果を生む会議」に変える “ファシリテーター”が押さえる3つの手順

書いてあること

  • 主な読者:初めて会議で進行役を任されたビジネスパーソン
  • 課題:経験がないので会議をどのように進めたらよいのか分からない
  • 解決策:会議のファシリテーターとして、プロセス・デザイン、プロセス・マネジメント、コンフリクト・マネジメントという3つの手順を押さえる

1 会議の成否はファシリテーターの力量次第

皆さん、社内外や対面・非対面を問わず、会議で次のような経験をしたことはありませんか?

  • 時間を割いて集まっているのに、一部のメンバーからしか意見が出ない
  • 議論がかみ合わず一向に先に進まない
  • 意見が対立したまま時間ばかりが経過し、結論に至らない

会議が、このような「うんざり」なものになってしまうかどうか、鍵を握るのがファシリテーターです。ファシリテーターとは、会議のメンバーや議長をサポートし、

全員が意見を出しやすいよう、環境を整え、論点を整理し、全員が納得するかたちで結論に導く役割を担う人

です。

一朝一夕に「できる」ファシリテーターになれるわけではありませんが、この記事では、成果を生み出す会議にするために、ファシリテーターとして押さえておくべき3つの手順について解説します。

  1. プロセス・デザイン(会議の場のデザイン)
  2. プロセス・マネジメント(会議のかじ取り)
  3. コンフリクト・マネジメント(衝突の解消)

2 プロセス・デザイン

プロセス・デザインとは、

会議に先立ち、会議の効率を上げるために行う準備

です。必要なのは、主に次の4つのポイントを明らかにしておくことです。

  1. 会議の目的
  2. 具体的なアウトプット
  3. 会議のルール
  4. メンバーの役割

1)会議の目的

「何のために会議を行うか」を明確にします。会議の目的が曖昧だと、議論は的外れでまとまりのないものとなります。事前に目的を確認し、会議の方向性を決めましょう。会議の目的をその都度確認することで、月例会議(月ごとに行われる部内会議)のような定型業務でも形骸化しにくくなります。

2)具体的なアウトプット

「会議によってどのようなアウトプットを目指すか」を明確にします。例えば、営業部が行う会議で方向性が「営業部の売り上げを伸ばす」ならば、アウトプットはこれを具体的にした「3カ月以内に、営業部の売り上げを前年度比105%とする」とします。

アウトプットの具体的なイメージを共有することにより、メンバーは、より具体的なアイデアを出しやすくなります。

3)会議のルール

「どのようなルールに基づいて会議を行うか」を明確にします。ファシリテーションではメンバーの自主性を尊重しますが、ともすればメンバーが自由に発言をし過ぎて会議が混乱することもあります。そこで、「発言は最後まで聞く」「部署や肩書の違いにとらわれない」「会議時間は60分までとする」などのおおまかなルールを決定しておきます。

このルールは、メンバーがいつでも確認できるようにしておくとより効果的です。

4)メンバーの役割

「メンバーがどのような役割を担うか」を明確にします。例えば、

  • 活発に発言をするメンバーは、会議前半でアイデア出しをする際のムードメーカー
  • 発言回数は多くないが、話をよく聞いているメンバーは書記

など、メンバーの特性を活かした役割をある程度決定しておくことで、会議を円滑に進めることができます。

3 プロセス・マネジメント(発散のプロセス)

プロセス・マネジメントとは会議のかじ取りのことで、「発散のプロセス」「収束のプロセス」の2つから成り立ちます。

  • 発散のプロセス:メンバーからアイデアを広く集めることが目的
  • 収束のプロセス:集めたアイデアをまとめて、最終的な意思決定を行うことが目的

ここでは、発散のプロセスについて紹介します。

1)傾聴・復唱

ファシリテーターはメンバーの発言をしっかりと聞き、発言の一部やキーワードを繰り返したり、メンバーの発言を自分の言葉でまとめて相手に伝えたりします。メンバーはファシリテーターが自分の発言を復唱することで、「自分の意見がちゃんと伝わっている」という安心感を持ちます。

ただし、ファシリテーターは中立性を保たなくてはならないため、「今までで一番素晴らしい発言ですね」といった、中立性を欠くような言い方は避けましょう。

メンバーからさまざまな発言が出てきたら、今度はそれらに対して質問を行い、発言の本質を探ります。このときの質問には、「オープン・クエスチョン」「クローズド・クエスチョン」の2つの種類があります。

1.「オープン・クエスチョン」

自由に答えられる質問です。「売り上げ減少の原因は何だと思いますか?」などの質問がオープン・クエスチョンに当たります。オープン・クエスチョンは答えを限定しないため、メンバーの自由な発想を膨らませる上で役立ちます。

2.「クローズド・クエスチョン」

「はい」「いいえ」のいずれかで答えられる質問です。「売り上げ減少の原因は、自社の営業力の低下だと思いますか?」などの質問がクローズド・クエスチョンに当たります。クローズド・クエスチョンは答えを限定するため、メンバーの発言を細かい点まで絞り込む上で役立ちます。

ファシリテーターは基本的には意見を言わない「黒子」ですが、時としてメンバーの発言を喚起して会議をより活性化させるために発言することもあります。例えば、発言が途絶えて会議全体が停滞した場合、メンバーの発言を促すために、ファシリテーターが自分の意見に基づいてメンバーに問いかけるケースが考えられます。その際、メンバーの発言を否定するのではなく、メンバーの発言を十分に受け入れた上で問いかけをします。

2)言葉以外のメッセージ

メンバーによる言葉以外のメッセージを読み取ることも重要です。例えば、感情的になったメンバーは、イライラとした表情となり、発言の際は声のトーンが高くなります。このような場合、ファシリテーターは、感情的になったメンバーと視線を合わせ、発言に対してはっきりとうなずき、そのメンバーのことを理解しようとしていることを伝えます。

言葉以外のメッセージは、言葉以上にメンバーの本音を伝えるものです。ファシリテーターは、言葉と言葉以外のメッセージの両方を十分に理解するように努めましょう。

4 プロセス・マネジメント(収束のプロセス)

発散された発言をまとめ、絞り込む上で重要なのは論理性です。論理とは、話が「どこから」「どこを通って」「どこに着くのか」を明確にすることです。メンバーの論理の偏りや飛躍を取り除くことで、全体の認識が統一されます。その際に重要なのは、相手を否定しないことです。相手の主張に対して、冷静に質問の形式で、相手に自分で答えを探させることが重要です。

1)ファシリテーション・グラフィック

メンバーから出た発言は、ファシリテーターがホワイトボードなどに逐次記録していきます。これをファシリテーション・グラフィックといいます。

ファシリテーション・グラフィックは、会議の流れを視覚化し、発言したメンバーの意図をグループ全体に分かりやすく認識してもらうための重要なツールです。ですが、メンバーの発言を一言一句漏らさず記録する必要はありません。発言を要約したり、キーワードを抽出して短くまとめたりすることで、会議の全体的な流れを書くことが重要です。

2)ロジックツリー

発言のポイントを漏れや重複がないように整理するために、問題の原因などをツリー状に並べて整理する方法です。ロジックツリーでは、下位の項目は上位の項目をさらに細かく分析したものとなっています。営業部門の売り上げ減少を例にしたロジックツリーは次の通りです。

画像1

メンバーの発言から得られた情報をこのように並べると、現状の問題および目標がよく分かります。

この会議では、メンバーの発言を分析した結果、売り上げ減少の原因は、「『個々の営業社員が提供するサービスの質の低下』による『自社の営業力低下』」であることが分かりました。従って、目標は「営業社員の販売スキルアップ」とします。

ファシリテーターは、この目標に対して、再度発散のプロセスを用いてメンバーから解決策についての発言を募ります。ただし、最初の発散のプロセスとは異なり、今回はより直接的な目標が定まっているため、より具体的かつ内容が絞り込まれた発言が期待できます。

3)意思決定

ここまでで、「営業社員の販売スキルアップ」という目標が設定され、その解決策についての発言が集まりました。次は、「これらの発言を基に、どのような解決策を決定するか」という意思決定を行います。

意思決定には幾つかの方法がありますが、ここでは多重投票を活用します。多重投票が多数決と異なるのは、メンバー1人が1票ではなく、多数の票を持っている点です。多数集まった発言について、メンバー各自は良いと思う案全てに投票します。多重投票を何度か繰り返し、獲得票が少ない案を外していくと、最終的に1つの案が残ります。この案についてグループで議論し、最終的な意思決定を行います。

コンセンサスによる意思決定で重要なのは、次に挙げる点です。

  • 合理的かつ民主的に意思決定を行う
  • 少数派の意見を尊重する
  • 全員が納得できるアイデアを完成させるまで諦めない

5 コンフリクト・マネジメント

多くの会議では、コンフリクト(対立・衝突)が発生します。このコンフリクトを協調的に解消することをコンフリクト・マネジメントといいます。

1)互いの意見の確認

例えば、多重投票の結果、Aさんが発言した「営業社員は、毎週2時間は新商品の勉強会のために時間を割く」という解決策が最後まで残ったとします。しかし、Bさんからは、「現場にはそんな余裕はない。時間を割けるのは30分が限界」という発言があり、コンフリクトが発生しました。

コンフリクトが発生した場合、ファシリテーターは、まずメンバーに互いの意見を説明してもらい、双方で正確に理解しているかどうかを確認します。例えば、ここで「本当は同じ意見であるにもかかわらず、どちらかのメンバーが相手の意見を誤って解釈していた」ということが分かれば、コンフリクトはすぐに解消されます。

2)相互理解の橋渡し

一方で、互いの意見が異なることが分かった場合は、「どのようにして自分が異なる意見を持つに至ったか」について双方に説明してもらいます。さらに、「自分が相手の立場であったらどう考えるか」についても質問します。

このプロセスでは、コンフリクトにあるメンバー同士に、それぞれ相手の判断基準に基づいて考えてもらうことで、相手の判断基準を受け入れ、理解することができるようになります。ファシリテーターはこの相互理解の橋渡しを行うのです。

3)全体にとってプラスの状態をつくる

ファシリテーターによるコンフリクト・マネジメントにより、前述のAさんとBさんとで相互理解することができ、「各営業所で、異なる商品について週に30分の新商品知識勉強会を開催する。そして、その結果を部内で回覧し、メンバーは空いている時間に他の営業所の資料に目を通し、商品知識の獲得に努める」という解決策が新たに生まれました。このように、メンバー同士、そして全体にとってプラスの状態をつくり出すことこそが、ファシリテーションの最終的な目標です。ここで重要なのは、

コンフリクトは解消しなくてはならないが、意見の違いは解消しなくてもよい

ということです。

違いを違いとして受け入れ、そこからさらにプラスを取り出すことが、コンフリクトの協調的な解決方法です。

4)メンバーに会議についての気付きを促す

また、ファシリテーションでは会議の終了後にも重要なプロセスがあります。それは、メンバーに、会議についての気付きを促すことです。会議を通して、メンバーは今までにない本音の意見を発言し、協力して1つの解決策をまとめ上げました。その中でメンバーが、次の点をしっかりと認識することで、ファシリテーションの効果はさらに高まります。

  • 自分は何をしたか、何をしなかったか
  • 自分は何をどのように考えたか
  • 解決策に対して、自分は何をどのように実践するか

ファシリテーションを通じて各メンバーが、「自分はどのように自主性を発揮できたか、できなかったか。また、これからどのように発揮するか」ということに気付き、考えることが、さらにメンバーの自主性を育成することにつながります。ファシリテーターは、会議を振り返りながら、これらについてメンバーに問いかけます。

5)ファシリテーターのフィードバックを求める

そして、ファシリテーター自身にも、フィードバックが必要です。ファシリテーションについて、メンバーから意見をもらうことは、自身の成長にとって非常に重要です。

メンバーからの意見はファシリテーターのファシリテーションスキルを高め、そしてそのファシリテーションスキルが、さらに次のメンバーを育てることにもつながります。

以上(2023年11月更新)

pj00105
画像:photo-ac

今だけ! りそな銀行の貸金庫5カ月間無料キャンペーン!

最近、法人向け貸金庫のニーズが高まっています。
情報漏洩のニュースが頻繁に報道される昨今、企業の資産管理や情報管理がますます重要になってきているからです。特に、権利書や法律文書などの重要書類、バックアップデータを保存したUSBなどは、安全かつ確実に保管したいところです。
ただ、紛失や災害などのリスクを考えると、オフィスにこれらの重要書類や貴重品を置いておくことに不安に感じる経営者の方も多いのではないでしょうか。

そうした場合におすすめなのが、銀行が提供する「法人向け貸金庫」です。皆さまの重要書類などを安心して預けることができます。
この記事では、法人向け貸金庫のメリットを整理した上で、りそな銀行が実施している期間限定のお得なキャンペーンを紹介します。このキャンペーンでは、なんと法人向け貸金庫の利用料金が5カ月間無料になります。記事の最後に取り扱い支店の電話番号を記載していますので、気になる方はお問い合わせください。この機会をお見逃しなく!

1 法人向け貸金庫のメリット

メリット1.重要書類や貴重品を安心して保管できる

法人向け貸金庫のメリット1つ目は、重要書類や貴重品をとにかく安心して保管できることです。重要書類や貴重品をオフィスに置いておくと、紛失してしまったり、盗難にあったりする恐れもあります。

それに対して、法人向け貸金庫は銀行がセキュリティに細心の注意を払いながら管理する金庫です。そのため、安心して重要書類などを預けられます。防犯面で不安を感じる方は、法人向け貸金庫の利用を検討してみるのも一策です。

メリット2.火災や地震などの災害に備えられる

法人向け貸金庫のメリット2つ目は、火災や地震などの災害に備えられることです。重要書類や貴重品をオフィスで保管している場合、火災で燃えてしまうことや地震で破損してしまうこともないとはいえません。

法人向け貸金庫の多くは、耐火性や耐震性に優れています。万が一の際に備えてできるだけ安全に重要書類や貴重品を保管したい経営者の方は、法人向け貸金庫の利用を検討してみるのもよいでしょう。

メリット3.営業時間内はいつでも引き出せる

法人向け貸金庫のメリット3つ目は、営業時間内であればいつでも引き出しが可能なことです。

金庫に重要書類や貴重品を預けると気軽に出し入れがしにくくなると考える方もいるでしょう。ただし、銀行の貸金庫は一般的に営業時間内であればいつでも自由に出し入れできます。そのため、法人向け貸金庫に重要書類や貴重品を預けることで出し入れが不自由になるという心配は不要です。

2.りそな銀行の「貸金庫(AAA)キャンペーン」

りそな銀行の貸金庫は、長きにわたり特別なお客さまのみに付帯するサービスでした。
ただし、昨今の国内における災害や詐欺犯罪の増加を背景に、当社の貸金庫を気軽にお使いいただけるようにいたします。

これに際し、りそな銀行では期間限定の「貸金庫(AAA)キャンペーン」を実施しています。

キャンペーンの実施店舗(下記)にて新規で貸金庫をご契約のお客さまに限り、年間利用手数料2万4000円(月当たり2000円)(注1)のうち、契約月の翌月より5カ月分の利用手数料を無料(注2)とさせていただきます。

キャンペーンは2024年2月29日(木)までです。ぜひ、この機会に法人向け貸金庫を利用した重要書類や貴重品の安心・安全な保管を検討してみはいかがでしょうか。お申し込みやお問い合わせは、該当店舗までご連絡ください。

(注1)権利書が入るサイズの貸金庫の参考価格。
(注2)契約月は通常無料。

●キャンペーン実施店舗と連絡先

本郷支店 03-3944-2131
茗荷谷支店 03-3944-2131
上野支店 03-3831-1161
青戸支店 03-3602-5141
小岩支店 03-3657-1131
浅草支店 03-3844-4181
江戸川南支店 03-3654-3211
千住支店 03-3882-5111
市川支店 047-334-0185
北習志野支店 047-465-7311
土浦支店 029-822-6721
柏支店 04-7145-7121
千葉支店 043-225-1133
茂原支店 0475-23-6211
札幌支店 011-221-5151
宇都宮支店 028-622-5281
仙台支店 022-262-1161

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2023年10月31日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

【電子メールでのお問い合わせ先】
inquiry01@jim.jp

(株式会社日本情報マートが、皆様からのお問い合わせを承ります。なお、株式会社日本情報マートの会社概要は、ウェブサイト https://www.jim.jp/company/をご覧ください)

【業務効率化】小口現金を廃止しよう

書いてあること

  • 主な読者:経理業務を効率化したい経営者、経理担当者
  • 課題:小口現金の管理に手間がかかっている
  • 解決策:従業員による立て替え払いと後日精算、法人カードの利用などで小口現金を廃止

1 小口現金の管理は面倒

小口現金の管理は面倒な経理業務の一つです。現金出納帳への記録、出金の承認手続き、現金残高の実査、一定額を下回った際の入金、経費精算時の領収書の確認など、煩雑だからです。

小口現金を廃止できないでしょうか? もし実現すれば、次のように経理担当者の手間が減り、現金を紛失した際に疑われるといった精神的負担も和らぎます。

  • 現金出納帳への記録や現金残高の実査が不要になる
  • ちょうどピッタリの金額を渡すための小銭の用意や両替に行く手間が不要になる
  • 盗難・紛失や横領・着服など現金特有のリスクが低減する

2 小口現金を廃止するには?

1)従業員が経費を立て替え、立替金の精算は給与とともに振り込む

従業員が経費を立て替え、小口現金で精算している場合、

立替金の精算を給与とともに振り込む方法への変更

を検討しましょう。給与とともに振り込むのは、振込手数料の節約のためです。

この場合、経費精算のタイミングが月1回になるので、従業員に十分に説明し、理解してもらうことが大切です。例えば、出張などで経費の立替金がかさむ場合は、従業員のお財布事情も考慮し、仮払いを併用するとよいかもしれません。

また、給与明細書に経費精算分の項目を設けると支給内容が明確になります。ただし、経費精算分の金額は、原則として所得税や社会保険料・労働保険料の計算対象に含まれないため、項目を設ける際は、給与計算システムの仕様などを事前に確認しておく必要があります。

2)法人専用クレジットカードを利用する

発行に当たって審査が必要ですが、経費の立て替えが多い従業員に、法人専用クレジットカード(法人カード)を持たせることも一考です。

法人カードは、1契約につき、複数枚を発行できます。外出や出張の多い営業担当者や、備品購入などに携わる総務担当者に貸与するとよいでしょう。これにより、現金や個人所有のクレジットカードを使って代金を立て替え、経費申請書に購入日や金額などを1件ずつ入力する必要がなくなります。

また、経理担当者は、クレジットカード会社から送付される利用明細で、各従業員の購入日、購入品目、支払金額を把握できます。経費申請書の記載ミスをチェックする必要もなくなります。ただし、従業員が誤って私用で法人カードを利用してしまった場合には、返金してもらわなければなりません。本人も認識していない場合が多いので、利用明細のチェックには細心の注意を払いましょう。

なお、利用明細をさらに効果的に活用するには、会計システムとの連携が必要です。連携させることで、利用明細を手入力で1件ずつ会計システムに登録する手間が省けます。自社で使用する会計ソフトウエアやクラウド型会計サービスが、法人カードの利用明細を取り込めるかを事前に確認しておくとよいでしょう。

3)(法人向け)プリペイドカードを利用する

クレジットカードに比べて手軽なのが、プリペイドカードです。例えば、来客用のお茶などを切らしていることに気付いて近所のコンビニエンスストアに買いに行く場合、あらかじめ会社で購入しておいた「QUOカード」を使えば、従業員が現金などで代金を立て替えなくて済みます。

また、ここ数年で、経費精算の手間をなくす法人向けプリペイドカードのサービスも登場しています。プリペイドカードのため与信審査が不要で、短期間で導入できる点が特長です。

例えば、次のようなサービスが挙げられます。

■クラウドキャスト「Stapleカード」■

https://staple.jp/card/

■ペイルド「paild」■

https://www.paild.io/

■TOMOWEL Payment Service「Bizプリカ」■

https://bizpreca.jp/

3 電磁的記録の保存要件が緩和

経費精算の際の領収書は、国税関係の法律に従って一定期間保存する義務があります(法人の場合、法人税法に従って原則7年保存)。従来、紙での保存が必要でしたが、「電子帳簿保存法」の施行によって電子保存が認められるようになり、その要件も何度かの法改正を経て緩和されてきています。

2022年1月1日施行の電子帳簿保存法改正では、クレジットカードなどでのキャッシュレス決済の利用明細データそのものを、紙のスキャンデータの保存に代えられるようになりました。キャッシュレス決済を行えば、わざわざ領収書を発行してもらったり、撮影・スキャンしたりする手間は不要になります。

クレジットカードなどでのキャッシュレス決済を利用することで、経理担当者の業務負担や、一般従業員の経費精算にまつわる業務負担が軽減され、全社的な業務効率化が進むことが期待されます。

以上(2023年11月更新)

pj40052
画像:shisu_ka-shutterstock

他人に自社の名刺を持たせると、思わぬ「損害賠償」を求められる?

書いてあること

  • 主な読者:業務委託先に自社の名刺を持たせている会社の経営者
  • 課題:自社の名刺を持つ業務委託先がトラブルを起こすと、「名板貸し責任」などを問われる恐れがある
  • 解決策:業務委託先に自社の名刺を持たせないことが本来の解決策。これが難しい場合、少なくともリスクを認識しておく必要がある

1 他人に自社の名刺を持たせてはいけない?

IT会社(いわゆる「SIer(エスアイアー)」)が、要件定義や開発の一部を下請け業者に委託する際、下請け業者の社員に自社の名刺を持たせているケースも見受けられます。しかし、これには問題があります。具体的には、

下請け業者の社員が起こしたトラブルの責任を負うことになったり、偽装請負とみなされたりする

ことがあるのです。自社の社員以外に自社の名刺を持たせなければよいのですが、営業上、なかなか難しいこともあります。この記事では、他人が自社の名刺を持つリスクについて、具体例を交えて紹介しますので、まずはそちらを確認した上で、慎重にご判断いただければと思います。

2 ありがちな事例で考えてみる

下請け業者の社員に自社の名刺を持たせている「ITベンダーA社」の事例です(この事例は架空のものです)。

A社は、ネット通販を行うB社のサイト運用・保守の業務委託を受けています。ただし、実際にB社のサイトの保守を担当しているのは、A社の下請けであるC社の山田さんです。下請けに任せるのはよくあることで、A社は特に違和感などはありませんでした。

そんなある日、B社ではサイトがダウンしたため、山田さんから貰った名刺を見て、山田さんに「サイトがダウンしているので、至急、復旧してほしい」と連絡を試みました。急ぎの対応が必要ですが、山田さんとなかなか連絡がつかず、結局、サイトの復旧まで1日を費やしました。

復旧後、A社はB社に提出した顛末(てんまつ)書において、山田さんが下請けであるC社の社員であることを明らかにしました。今回のサイトのダウンでB社には少なからぬ損害が生じており、その賠償について今も話し合いがされています。

画像1

さて、この事例において、A社、C社、山田さんにどのような法的責任を追及することができるのでしょうか。それぞれの立場から、生じ得る法的責任を説明します。

3 A社(ITベンダー)に生じ得る法的責任

1)再委託契約の規定があるか?

A社とB社が準委任契約を交わしていた場合で考えます。準委任契約とは、

当事者の一方が法律行為でない事務を相手方に委託し、相手方がこれを承諾することを内容とする契約

です。請負契約が成果物を納品するなど仕事の完成を目的とするのに対して、準委任契約は規定された業務を行うことを目的としています。

サイトの運用・保守は、請負契約ではなく準委任契約に基づいて行われることが多いですが、ITサービス関連の契約では、請負契約、準委任契約のどちらの場合もあり得ます。契約内容として、請負契約と準委任契約のどちらの契約なのか、また、運用・保守の範囲についてもトラブルになりやすいため、あらかじめ明確にしなければなりません。

原則として、準委任契約の場合、再委託は認められていません。準委任契約の目的は、規定された業務を行うことです。事例でいえば、B社はA社の業務遂行能力に期待して契約を結んでいるのであり、B社に断りなく、A社は他社にB社の業務を委託することはできません。

そのため、A社がC社に再委託する場合は、あらかじめA社とB社の間との契約で、再委託を認める規定がなければ契約違反となります。当然、C社所属の山田さんをA社所属の社員であるかのように名刺を持たせて業務を行わせることも契約違反です。

2)名板貸し責任

B社は山田さんがA社の人間であると信じて、サイトの復旧をお願いしていました。山田さんのミスでサイトの復旧が遅れてしまい、損害が発生したとしても、山田さんはC社の社員であるため、B社が山田さんの責任をA社に追及するのは難しいようにも思われます。とはいえ、それでは、A社の名刺を持つ山田さんを信じたB社は厳しい立場となります。

こうした問題を避けるため、会社法では「名板(ないた)貸し責任」という規定があります。具体的には、「自己の商号を使用して事業または営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う」(会社法第9条)というものです。

A社は、山田さんに自社の名刺を持たせていたので、自社の商号使用を許諾していたといえ、山田さんをA社所属の社員と誤認したB社に対して名板貸し責任を負います。名板貸し責任が認められると、

その範囲には制限がなく、取引によって生じた債務を全て連帯して負う

ことになります。他人に自社の名刺を持たせて業務をさせることについては、相当のリスクがあることを認識しなければなりません。

3)偽装請負

A社とC社が業務委託(準委任)契約を交わしている場合、A社が山田さんに「他よりも優先してB社サイトを復旧して」などのように行うべき業務を直接指示すると、「偽装請負」となる恐れがあります。

A社が山田さんに指揮命令を下すには、C社が派遣業として許可を受けて、A社に山田さんを派遣しなければなりません。仮に偽装請負に当たると判断された場合、A社・C社とも会社名が公表されたり、労働局から是正措置命令などの行政処分が下されたりすることになります。

4 C社に生じ得る法的責任

A社がB社に対して名板貸し責任を負う場合、C社も連帯して責任を負います。対外的には、C社はA社と連帯してB社に対する責任を負う形となります。ただし、山田さんのミスでB社に対して責任を負うことになった場合、A社とC社との内部的な責任割合は等分ではなく、C社が相応に負うべきケースもあり得ます。その場合、C社はA社に対して求償債務を負います。

なお、C社が山田さんに、A社の名刺を持って業務を行わせることに関する雇用者としての法的責任についてですが、A社から承諾を受けている限り、ほとんど考えられません。

5 山田さんに生じ得る法的責任

最後に、山田さん自身についての責任です。所属していない会社の名刺を持つことについて、捉え方によっては経歴を詐称しているようにも思われます。しかし、山田さんがこれによってB社から財産上の利益を得るなどしていない限り、詐欺などで刑事責任を追及することは難しいといえます。

以上(2023年10月更新)
(監修 三浦法律事務所 弁護士 磯田翔)

pj60080
画像:pexels