書いてあること

  • 主な読者:ウェブを活用して売上アップにつなげたい物販事業の経営者
  • 課題:ネットショップを開設し売上アップを図りたいが、どうすれば成功するか分からない
  • 解決策:キラリと光る商品づくりが重要で、ウェブの知識は専門家を使えば済む。「何を売るか」「誰に売るか」「どのように売るか」をしっかり設計すれば、商圏が広がる

1 町の布団屋さんに全国から注文が舞い込む「ウェブの力」

コロナ禍で減少した売り上げが戻らず、お悩みの経営者の皆さま。ここで劣勢を挽回するための一手を打たれてはいかがでしょうか? お薦めは、ウェブを活用した手法の導入です。自社ネットショップ、SNS、メールマーケティングなどのウェブツールを活用することで、「商圏」を確実に広げることができます。

このシリーズでは、ウェブを活用して売り上げをアップさせるための方法を、3回にわたってご紹介します。インターネットに不慣れな方でも分かりやすいように、基本的な仕組みやビジネスを行う上での考え方を中心にご説明いたします。

第1回目にご紹介するのは、店舗などで物販事業を行っている経営者の方にお薦めしたい、

自社ネットショップの開設

です。実際に、

町の布団屋さんに全国各地から注文が舞い込むようになった

酒屋さんの地ビールの品ぞろえが評判となり、遠方からの再購入が増えた

というケースもあります。

「そうはいっても、ウェブの知識がないので…」との心配はご無用。専門家との連携でカバーできます。それよりも重要なのは、従来の販売手法とは異なる、ネットショップならではの

売れる仕組みづくり

です。かく言う当社も、ネットショップではありませんが、コロナ禍に商圏を拡大することができました。コロナ前は本社のある新潟県とその隣県のお客さまへの個別支援が中心でしたが、コロナ後は全国のお客さまにオンラインでのセミナーやコンサルティングでご支援させていただいています。今回は、当社がアドバイスをさせていただいている、ネットショップを成功させるための手法をご紹介いたします。

2 「キラリと光る商品」がネットショップ成功のキーワード

1)ウェブの活用による販売機会の増大

今まで地域密着で商売をしてきた店舗・企業がウェブを活用することで、商圏を全国、全世界に広げることが可能となっています。

町の布団屋さんが自社ネットショップを開設した結果、全国に商圏を広げることに成功したのは冒頭の通りです。

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2)ウェブの活用による脅威

ウェブを活用することで商圏を広げられるということは、一方で脅威でもあります。逆に考えれば、既存の商圏内には、ネットショップを通じて、全国そして全世界から今まで以上に競合が攻めてくるということです。「うちは地域密着だから…」と油断していると、全国の競合からあっという間にお客さまを取られてしまう可能性もあります。

3)町の布団屋さんを全国クラスに押し上げた、オーダーメードのお昼寝布団

このような状況下で生き残り、売り上げを伸ばしていくためのキーワードは、ズバリ「キラリと光る商品・サービス」です。

ウェブの活用が進む世界では、競合は全国・全世界

です。そこで通用する「キラリと光る商品・サービス」があれば、それをウェブツールに乗せて、いくらでも売り上げを伸ばすことができるでしょう。

一方で、商品・サービスに魅力がなく、差異化要素がなければ、競争に負けて顧客を奪われてしまいます。

例えば、冒頭の布団屋さんの「キラリと光る商品・サービス」は、「オーダーメードのお昼寝布団」です。子育て経験のある方はご存じの通り、子供を保育園などに預ける際に、子供を寝かしつけるためのお昼寝布団を用意する必要があります。そのお昼寝布団を、オーダーメードで作るサービスが店舗で大人気でした。

そこに目を付け、店舗で人気のお昼寝布団という「キラリと光る商品・サービス」を自社のネットショップを開設して発信したところ、全国から注文が舞い込みました。そして、全国のお客さまからお喜びの声をたくさんいただきました。

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余談ですが、このお布団屋さんでは、商圏を広げたことでスタッフさんの士気が向上しました。「自分たちの商品・サービスは全国に通用することが分かった」「全国のお客さまとつながっている感じがしてうれしい」と、自店の商品・サービスに対して自信を深め、誇りを持てるようになったそうです。

3 ネットショップで商圏を拡大する3つのステップ

自社でもネットショップで商圏を広げて、全国に販路を開拓したいと思った方は、次の3つのステップで、具体的にご検討ください。

1)STEP1:キラリと光る商品を見つける

どこでも買える、どこにでもある商品であれば、ECモールと呼ばれる巨大なネットショップ群であるAmazonや楽天で、既に誰かが売っているでしょう。そうなると、価格勝負の世界になってしまいます。

まずは、自社や自店で既存のお客さまから喜んでいただいている、評判のよい商品・サービス、他社に負けない商品・サービスは何かを分析してみましょう。

ある酒屋さんは、珍しい「地ビールの品ぞろえ」が評判で、お客さまからよく「初めて出合う全国の地ビールがあって楽しい」との声をいただいていました。そこで、「出合ったことのない全国の地ビール」を売りにネットショップを展開することにしました。

2)STEP2:理想のお客さまを明確にする

「何を売るか」を考えた次は、「誰に売るか」、つまりターゲットを考えます。ターゲットというと難しそうですが、どんな方に買ってもらいたいか、「理想のお客さま像」を膨らませてください。

先ほどの酒屋さんは、理想のお客さまを、「遠方から店舗に来てくれたお客さま」に設定しました。このお店では、評判を聞いて店舗のある市内だけでなく、県内居住者や観光客など遠方からも店舗にお客さまがいらっしゃいます。遠方のお客さまは、どうしても来店頻度は下がってしまいます。観光客となれば、再度の来店は難しいかもしれません。しかし、ネットショップがあれば、遠方のお客さまでも来店せずに、ネットショップから再購入していただくことが可能です。

3)STEP3:アプローチ手法を設計する

「何を売るか」「誰に売るか」を考えたら、最後に「どのように売るか」というアプローチ手法を考えます。

最近では、特別な知識がなくてもネットショップを作って運営することができるようになりました。BASE(ベイス)、STORES(ストアーズ)など、簡単にネットショップを作れ、初期費用や月額費用が抑えられるネットショップ構築・運営サービスが多く出ています。お付き合いのあるホームページ制作会社に相談してみるのもよいでしょう。

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とはいえ、ただネットショップを作っただけでは、砂漠の真ん中にお店を出すのと同じことです。重要なのは、その

ネットショップをどうやって知ってもらい、どうやって訪れてもらうのかを設計すること

です。

事例でご紹介している酒屋さんは、理想のお客さまは「遠方から店舗に来てくれたお客さま」ですので、次のような施策を設計して、ネットショップに誘導することを考えました。

  • 来店時に顧客にショップカードを渡してネットショップを告知する
  • LINEへの登録を促し、LINEで定期的にネットショップ限定商品の案内を送る

4 重要なのは、ツールの知識よりも「売れる仕組みづくり」

お伝えした3つのステップ「何を売るか」「誰に売るか」「どのように売るか」という3要素を設計して、売れる仕組みをつくっていく活動を「マーケティング」といいます。

ウェブ活用で重要なことは、ネットショップやSNSなどウェブツールの使い方の前に、この「マーケティング=売れる仕組みづくり」を考えることです。いくら優れたウェブツールを使っても、商品・サービスに魅力がなかったり、お客さま像が不明確だったりすれば、売ることは難しいですよね。

ウェブやデジタルが苦手な方も多いかもしれませんが、そんな方でも大丈夫。ウェブツールの活用は専門家と連携して進めればよいでしょう。大切なのは、売れる仕組みの設計力です。まずは、今回お伝えした自社・自店の「キラリと光る商品・サービス」を探し、それを誰に、どのようにして届けていくか、その構想を練ってみてください。

以上(2022年5月)

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画像:Pixel-Shot-Adobe Stock
執筆者サイト:https://glocal-marketing.jp/

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