書いてあること
- 主な読者:ビジネスマッチング(商談会、紹介、ウェブサイトなど)に参加する経営者
- 課題:ビジネスマッチングで、少しでも成果を上げたい
- 解決策:事前に【誰の、何を、解決できるか】を明確に。「商談シート」の事前準備も有効
1 ビジネスマッチングで重要なのは「最初の商談」
ビジネスマッチングを利用することで、ビジネスの可能性を広げることができます。ビジネスマッチングの仕組みはさまざまですが、とにかく最初の商談が重要です。面識のない人同士が商談をするため、“最初のつかみ”ができないと、なかなか次に進めません。
最初の商談がうまくいくかどうかは、事前準備で変わってきます。そこで本稿では「ビジネスマッチング応用編」として、必要な事前準備を幾つかご提案します。ビジネスマッチングの基本的な仕組みなどを知りたい方は、以下のコンテンツをお読みください。
2 事前に【誰の、何を、解決できるか】を明らかにする
限られた時間でビジネスマッチングの相手に興味を持ってもらうためには、「何を伝えるか」が非常に重要です。そこでまず、事前に、商品やサービスが【誰の、何を、解決できるか】を明らかにしておきましょう。これが最も基本かつ重要で、これに尽きるといっても過言ではありません。相手が経営者の場合、「御社のサービスで何が実現できますか?」と単刀直入に聞かれたりします。要は、詳しい機能の説明よりも、「この商品やサービスは自分たちに関係があるかどうか」を知りたいということです。
よく、営業活動の中で、メリットは「できること」、ベネフィットは「メリットの結果、得られるいいこと、変化」と言いますが、ビジネスマッチングの「最初の商談」では、このベネフィットを伝えるのが大切です。そこに興味関心があれば、次に具体的な話に進めやすくなるからです。
例えば、「人々の興味関心を把握して、それぞれに合ったテーマのメールを自動配信するツール」の場合で考えてみましょう。メリットは「効率的にメールの開封数・クリック数を増やすことができる」であり、ベネフィットは「今より効率よく営業成果が上がり、新規事業の原資とリソースが捻出できる(興味関心に合った“滑らない”内容のメールを送って営業活動ができるから)」などになります。
こうした【誰の、何を、解決できるか】は、次のようなイメージで事前にまとめておくと、頭の中が整理でき、限られた時間の中でも慌てずに大切なことを伝えられるようになります。また、多くの会社(経営者)が参加する商談会の場合などは、もう一歩進めて、分かりやすいキャッチコピーも用意しておくとよいでしょう。
この【誰の、何を、解決できるか】は、商談会などだけではなく、ウェブサイトのビジネスマッチングサービスで案件を登録する際にも役に立ちます。ウェブサイト上では、上記のように整理しておいた内容を参考にする他、実績や金額例なども併せて登録しておくとよいでしょう。
3 「商談シート」を準備する
もう一つの事前準備としてお勧めしたいのは、「商談シート」です。商談シートにまとめた内容は、「営業活動のログ(履歴)」になるので、次回のビジネスマッチングや今後の営業活動、商品開発に役立てることができます。また、商談会や紹介された人と会うときに、相手に確認するのを忘れたり、こちらが伝え忘れたりするのを防ぐのにも使えます。
商談シートはエクセルなどの他、書き込みやすい紙ベースのものを手元に用意するのも一策です。今どきはオンラインでの商談会や紹介も多いので、手元でメモできるほうが活用しやすいかもしれません。商談シートには、例えば次の1)から4)の項目などを盛り込みましょう。
1)属性:相手の企業名、氏名、業種、事業概要、実績、社員数など
ビジネスマッチングする相手の基本情報です。紹介者がいる場合は、その情報も入れておきます。オンラインの場合、名刺情報が入手しにくいので、企業名や氏名はしっかり確認しましょう。その場でSNSでつながると、基本情報が入手しやすいかもしれません。
2)内容:相手(もしくはこちら側)の商品やサービスの提案内容、対する反応など
相手から提案のあった商品やサービスの内容、もしくはこちら側から提案した内容を入れておきます。重要なのは、それに対する反応です。相手からの提案であればこちら側の関心度を、こちら側からの提案であれば、相手の反応を忘れずに記録に残し、次につなげます。
3)確認:相手に確認したこと、相手から質問されたことなど
具体的な価格や仕様など相手に確認したことを入れておきます。逆に、相手から質問されたことを商談シートにメモしておけば、「どのようなことを聞かれやすいか」が分かるので、次回のビジネスマッチングにも役に立ちます。
4)次回:次回のアクション、ランクなど
資料をいつまでに送るのか、見積もりをいつまでに出すのかなど、次回のアクションも忘れずに残します。また、すぐにビジネスになりそうなのか、ひとまず情報交換にとどめて様子を見るのかなど、今後の進め方をランク付けしておくと営業の優先度がつけやすくなります。
商談シートの記入例は次の通りです。
4 紹介者には「思い」も伝える
ここまで紹介した内容のうち、【誰の、何を、解決できるか】は、ビジネスマッチングの紹介者に、自社の商品やサービスを説明する際にも役に立ちます。例えば、金融機関のビジネスマッチングを利用する場合、金融機関の担当者にもきちんと【誰の、何を、解決できるか】を伝えましょう。金融機関の担当者はさまざまな会社(経営者)を知っているため、商品やサービスで得られる「効果」だけでなく、「思い」が合いそうな先、経営者同士で共感できそうな先を紹介してくれることもあります。
以上(2021年1月)
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画像:vectorfusionart-shutterstock