書いてあること
- 主な読者:プレゼンに慣れていないが、プレゼンが上手になりたい人
- 課題:上手にプレゼンをするコツが分からない
- 解決策:ストーリーを明確にし、話す順番を心得る。情熱的に振る舞い、少し遊びを入れる
1 プレゼンに必要なのはストーリー
プレゼンテーション(以下「プレゼン」)はビジネスシーンに欠かせないものです。特にオンラインだと、「1対多」でコミュニケーションをとるため、正式な「プレゼン」の場でなくても、ちょっとした説明でプレゼンの能力が求められます。
プレゼンで大切なのは、
ストーリー、話す順番(構成)、情熱、遊び
です。この4つが備わっていれば、そうそう失敗することはないでしょう。そこで、この記事では、慣れていない人もプレゼンの達人に近づける「プレゼンのコツ」をお伝えします。
2 何といってもストーリー
プレゼンで最も重要なのは、「伝えたいこと」を明確にし、ストーリーを練ることです。進め方は次の通りです。
- 頭の中でストーリーを整理
- 紙に簡単に流れを書いてみる
- 声に出して説明してみる
- 支離滅裂なところや、強引な展開のところを修正する
- 1~4を繰り返す
となります。
また、プレゼンに慣れていない人はスライドに余白があることを恐れ、たくさんの情報を盛り込もうとしますが、これは間違いです。余白を恐れずに、
1枚のスライドに、伝えたいこと1つ
と徹底しましょう。スライドの中央にメッセージがたった一つある場合、聞き手は「大切なポイントなのだな」と認識してくれます。
ストーリーを練るときの注意点は次の通りです。
3 マスターしたい3つの話す順番(構成)
1)SDSとは
SDSは、
1.Summary(全体要約)→2.Details(詳細説明)→3.Summary(全体要約)
の流れでプレゼンを進めます。要約をプレゼンの始めと終わりに伝えることで、比較的短い時間で、聞き手に要点を伝えることができます。
2)PREPとは
PREPは、
1.Point(要点)→2.Reason(理由)→3.Example(具体例)→4.Point(要点)
の流れでプレゼンを進めます。要点(最も伝えたいこと)をプレゼンの始めと終わりに伝えるのはSDSと似ていますが、3.Exampleのように、具体例を織り込むことで、聞き手の共感を得て、プレゼン内容を「自分たちのこと」と捉えてもらいやすくなります。
簡潔にまとめるSDSと対象的に、話の内容で共感を得ることが狙いの一つでもあるので、身近な例を分かりやすく伝えることがPREPのポイントです。具体例の内容にもよりますが、SDSよりもプレゼンの時間は長くなります。
3)提核背補とは
提核背補は、
1.提案→2.核心→3.背景→4.補足
の流れでプレゼンを進めます。冒頭でも紹介したように、プレゼンを行うのは正式なプレゼンの場に限りません。商談中に、突然、「軽くサービスを説明してもらえますか?」と求められることもあり、この説明も立派なプレゼンとなります。
限られた時間で、相手を飽きさせずに話すためには、提核背補が必要です。具体的には次のように内容を組み立てます。
- 提案:なぜ、相手があなたのプレゼンを聞く必要があるのかを明確に提案
- 核心:提案の核心として、最も大きいメリットやデメリットを説明
- 背景:提案をした社会的な背景を説明
- 補足:補足があれば説明。ないようであれば、プレゼンを打ち切る
提核背補は、話すときはもちろん、資料を作る際にも役立ちます。
4 情熱的に振る舞う
1)身ぶり手ぶりはオーバー気味に
話し手が聞き手に与える印象もプレゼンの結果に大きく影響します。印象は、態度・身ぶり・手ぶり・姿勢・外見・表情・視線・声・服装などから判断されるため、特に次の点に注意しましょう。
- 熱意ある態度で接する
- ジェスチャーを効果的に使う
- 背筋を真っすぐに伸ばす
- 話の内容に表情を合わせる
- 話し掛けるほうへ顔を向ける
- 全員に目配りをし、特定の人ばかりを見ない
- 大きな声でゆっくりと話す
2)プレゼン中は「大統領」になりきる
大勢の前でプレゼンする場合などは、「怖い」「恥ずかしい」と感じる人もいるでしょう。そのようなときは、アメリカ大統領などリーダーたちのスピーチをマネし、聴衆に語り掛けるようにするのもよいでしょう。視線は、会場の後方左側から始めて、アルファベットのZを描くように動かすと聞き手に好印象を与えます。悠然と構え、議会全体を見渡す外国のリーダーのように、ゆっくりと視線を移していくとよいでしょう。
3)原稿に頼らず、自分の言葉で話す
原稿を準備するのは大切ですが、それを読むだけでは「魅力的なプレゼン」とは言えません。重要なポイントをしっかりと覚え、それ以外はアドリブでも話せるようにします。そうすることで、突然の事態にも対応できます。
また、「専門用語を多用せず、分かりやすい言葉を選ぶ」「自分自身が経験していることを話す」といった点も重要です。聞き手への気配りを示しつつ、経験を語ることでリアリティーも増します。
5 遊びを取り入れる
プレゼンでは、「笑いがとれたら一人前」とも言われます。これがなかなか難しいことなのですが、一つ言えるのは、
芸人でもない限り、あらかじめ仕込んだネタ(ギャグ)で笑いをとるのは難しい。自然と笑みがあふれるような和やかな場をつくることが大切
ということです。
場づくりのコツはいくつかあるのですが、代表的な方法は、
聞き手に質問したりして、巻き込むこと
です。聞き手を「聞くだけの受け身の存在」にしてしまうと、ほとんどリアクションがなくなってしまいます。ですので、聞き手を「聞くだけではなく、答える存在」とし、良い意味で「聞き手いじり」をします。芸人がする「客いじり」と同じです。
その際、話し手と聞き手で共通のフレーズがあると理想的です。例えば、話し手が「激辛料理が大好き」であれば、それを最初に宣言しておき、プレゼンの途中に「激辛料理」に関するネタをいくつか仕込んでおきます。「激辛料理」というキーワードが出てきたら、そこは反応するところという雰囲気が聞き手に生まれてきたら成功です。
最後に、「全くウケない」「無反応」に負けない勇気を持ってください。話し手にとっては相当ショックですが、聞き手は気にもとめていないことがほとんどなので大丈夫です。
6 「リモートプレゼン」は勝手が違う
リモートプレゼンは、相手が目の前にいないために相手の反応が分かりにくいのが大きな違いです。相手の反応をつかめないままプレゼンを進めると、聞き手が置いてきぼりになる可能性があります。
こうしたリスクを避けるため、聞き手に対してこまめに質問の有無を確認し、プレゼン中にも気軽に質問できるようにチャットでの質疑応答に対応することなどは効果的です。
また、プレゼン資料も、これまで以上にイラストや図表、場合によっては説明動画などを追加し、聞き手の注意を引きつけることなども重要になるでしょう。
以上(2021年7月)
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画像:unsplash