一つだけ、お耳に入れておきたいことがあります
営業担当者と相手との間には……
今年度もいよいよ大詰めです。計画達成に向けてラストスパートをかけつつ、将来の有力な見込み客を獲得するために、営業活動に一層力が入る時期です。年度末の営業では、“予算消化”で思わぬ成果が上がることもあります。
しかし、基本的には相手も忙しく、アポイントが取りにくい時期です。「今は時間がないので、年度が替わってからにして!」と門前払いされる先が増えることも覚悟しなければなりません。年度末は、「年度末に何とか成果を上げたい!」という営業担当者と、「忙しくて営業の相手をしている暇はない……」という相手の間に、いつも以上に大きなギャップが生まれる時期なのです。
ギャップを埋める言い方
営業担当者と相手とのギャップを埋めるには、相手に「忙しくても聞く価値がある」と感じてもらうことが肝要です。そんなとき、ぜひ試してみたいのが冒頭の営業最強フレーズです。このフレーズには二つのエッセンスが隠されています。
一つ目は、「一つだけ」が示す希少性。あれもこれもではなく、たった一つに絞り込まれた情報に、相手は「何か特に重要な話かも=聞く価値がありそう」と感じます。
二つ目は、「お耳に入れておきたい」というプレミア感。お耳に入れるとは、内緒話の感覚です。相手は、ある情報を自分だけが知ることができる状況に優越感を覚えます。
これは大勢が参加するパーティー会場のヒソヒソ話に似ています。大勢の中からわざわざ自分に近寄ってきて、しかも耳元でそっと情報を伝えてくれたら、誰でも悪い気はしません。これと同じ心理で、相手も営業担当者の話を「聞いてあげてもいいよ」という気になるのです。
「一つだけ」に秘められた別の機能
「一つだけ」と言うのには、もう一つ理由があります。相手に「短い時間で済む=それなら聞いてみようか」と思ってもらえる確率が高くなるからです。
ただでさえ忙しい年度末。営業の話を聞く時間は取りにくいですが、「自分だけに重要な情報を“短時間で”教えてくれるならいいかな」と感じる人は少なくありません。
言葉を付け足せば「聞く価値」を高められる
今回は年度末を想定して説明しましたが、冒頭の営業最強フレーズは、時期を選ばずに使える便利モノです。
例えば、「今年の12月から義務化されるストレスチェックに関連して、一つだけ、お耳に……」といったアレンジをすれば、相手はますます興味を持ってくれるでしょう。
このように、会ってもらうのが難しいアプローチの段階では、「時期に応じたキーワード」「相手の仕事内容」などをしっかりと捉え、「聞きたい」と思わせるプレミア感を演出することが成功の秘訣です。
以上(2018年8月)
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画像:Mariko Mitsuda