書いてあること
- 主な読者:今よりレベルアップしたい営業担当者と、営業担当者を指導する営業管理職
- 課題:現場ですぐに使えて顧客と信頼関係を築けるトークスクリプト的なものが欲しい
- 解決策:シーンごとに「最強フレーズ」を、少なくとも1つは持っておく。あとは応用
これ以上は検討も難しい、という金額はどのくらいですか?
「予算」のことは聞きにくい?
営業担当者なら、こんな経験があると思います。オンライン終了後、会談内容を上司に報告。すると、上司から「で、先方の予算は?」と質問されました。相手に予算を確認していなかったので、冷や汗をかきながら上司に「確認していません」と答えるしかなく……。
上司からは「え、なんで予算を確認しないの? それが今日一番知りたいことでしょ」と指摘されるも、「そうは言ってもお金のことは聞きづらいんだよな、どうすればいいんだろう」と思ってしまいます。
営業では、予算などお金の話はとても大事です。購入の決定打になることもあるので、ある意味、一番肝心と言ってもいいでしょう。「お金の話ができない営業(担当者)は営業じゃない」と言う人もいるくらいです。にもかかわらず、お金の話をヒアリングできない営業担当者は少なくありません。「聞いてもはっきり答えてくれないのではないか」と思って二の足を踏むからです。
はっきり答えてくれない相手には……
「できるだけ確度の高い金額を提示して成約に結び付けたい。だから予算が知りたい」と考えるのが営業担当者です。
それに対して相手は、「具体的に予算が決まっているわけじゃない。まず、どの程度なのか、提示された金額を見てから考えたい」と思うものです。そのため、はっきりと答えてくれなかったりするのです。
そんなとき、ぜひ試したいのが冒頭で紹介した営業最強フレーズです。
この質問には大きく2つの意味があります。1つ目は、相手の予算感を確認するためです。多くの場合、相手は、「これ以上言ったら無理」という金額よりも少し下を答えるものです。そのため、相手の答えで、ある程度予算感がつかめます。
どうやったら相手は答えやすいのか
2つ目は、相手が答えやすくするためです。商談の初めの段階では、予算は決まっておらず、相手も答えようがありません。そこで「これ以上は」という“絞り込む”言葉を添えてみるのです。
「先日購入したとおっしゃっていた電気自動車の値段より下ですか?」など相手と自分との間で共通認識のある金額や、一般的に金額の相場が浸透しているものを例にしてもよいでしょう。
次の質問にもつなげやすくなる
予算を尋ねる質問は、相手の答え次第で次の質問もしやすくなります。例えば「1000万円くらい」と相手が答えたら、その金額はどこから出てきたのかを聞きましょう。例えば、同業他社から同じような提案を受けていて、その金額なのかもしれません。
繰り返しになりますが、お金のことは、営業担当者にとって最重要事項の1つです。相手が「答えやすいように」という点を考慮して質問を工夫してみましょう。ただし、相手との関係性や話の流れによっては、回りくどく質問するより、「今回、予算はどのくらいですか?」と率直に尋ねるほうがいい場合もあります。
以上(2022年7月)
pj70069
画像:Mariko Mitsuda