書いてあること
- 主な読者:今よりレベルアップしたい営業担当者と、営業担当者を指導する営業管理職
- 課題:現場ですぐに使えて顧客と信頼関係を築けるトークスクリプト的なものが欲しい
- 解決策:シーンごとに「最強フレーズ」を、少なくとも1つは持っておく。あとは応用
これが、御社からの宿題の答えです
プレゼンの最終目的は何か?
プレゼンの目的は相手を動かすことですから、そうなるような「一言」を添えてみましょう。相手の心を動かす一言は、相手の考え、立場、状況によって変わるので、相手をよく見て、何を考えているか想像してみなければなりません。
今回は、相手の考えていることについてある例を挙げ、その場合の「相手の心を動かす一言」を考えてみましょう。
営業担当者を困らせる欲張りな相手
「相手のニーズを聞き、それに応える提案をする」。これは営業のセオリーです。しかし、相手が「こういう課題があり、これを実現したいから、そのための提案をしてください」と分かりやすく説明してくれることは、まずありません。
「あれもこれもやってほしい。やりたいことがあり過ぎて絞り込めない」
という“欲張りな相手”のときもあるでしょう。こうした“欲張りな相手”に対して、営業担当者の応え方はだいたい3つのタイプに分かれます。
1.従順タイプ
まず考えられるのは、「従順タイプ」です。このタイプは、セオリー通り、とにかく相手のニーズに応えようと1つ1つの要望に応えるプレゼンをします。一見、誠実な対応に感じますが、結局まとまりが無く、現実的ではないプレゼンをすることになりかねません。場合によっては、本当に相手のためになっているのかどうかも疑問です。
2.質問攻めタイプ
2つ目は、「質問攻めタイプ」です。このタイプの営業担当者は、相手の欲張りなニーズをなんとか絞り込もうと、たくさん質問をします。「一番優先したいのは何ですか?」「上司の方は、どれを重視されていますか?」などなど。
従順タイプと同じように、一見誠実な対応に見えますが、実はそうでもありません。忙しい相手から見れば、時間が取られてかえって迷惑に感じることもあります。
3.答えを出すタイプ
営業担当者が実践したいのは3つ目の「答えを出すタイプ」です。“欲張りな相手”の話から「相手が実現すべきこと」を導き出し、必要な内容に絞ってプレゼンします。「お話の内容と、御社や御社の競合他社の現状から今必要と考えられるプラン△△をお持ちしました」と伝えた上で、冒頭の営業最強フレーズを添えてみましょう。
“欲張りな相手”は、自分では取捨選択できなくなっています。そうした相手の心を動かすのは、明確な答えを示す一言です。また、オンラインのときには、相手のさまざまな要望と自社が示すプランとの関係、そしてプランによって最終的にどのような価値を相手に提供できるか、一目で分かるよう図示して見せるのもよいでしょう。
営業担当者は、相手の言うことにただ応えればいいのではありません。相手が見えていなかった「相手自身の中にあるはずの答え」を見つけて示すのも、営業担当者の重要な役割の1つです。
以上(2022年7月)
pj70074
画像:Mariko Mitsuda