この内容で、これ以上のお値引はできません

「今月はノルマがきつくて……」

決まり文句というのは、どこにでもあるものです。例えば、昔の営業担当者は「今月のノルマが厳しくて……」などと言って、懇意にしているお客様に助けを求めたものです。お客様は決まり文句と分かっていながらも、いつも良くしてくれる営業担当者から頼まれると、思わず助けてしまうことがあるのでしょう。

ただし、この営業担当者は同じことを別のお客様にも言っています。ピンチのときにお願いできる先をどれだけ持っているかということは、営業担当者が数字をつくる上で大切なことです。

当然、相手にも決まり文句がある

営業担当者と同様に、お客様の側にも決まり文句があります。内定をもらい、よほどのことが無ければ導入してもらえるという局面で飛び出す決まり文句。そう、「もうちょっと安くならないの?」という一言です。お客様としては、1円でも安く買いたいわけですから、当然のお申し出だといえます。しかも、導入間際の絶妙のタイミングで繰り出してきます。

これを言われると、経験の浅い営業担当者は思わずたじろぎ、「え、いくらくらい下げればいいですか?」などと、真正面から受け止めてしまうことがあります。

しかし、待ってください。内定は予算込みでもらえるもの。ここまできて値引をする必要は、通常の場合は無いはずです。

正当性を伝えましょう

土壇場でお客様から値下げ要請を受けたときに使えるのが今回のフレーズです。

お客様の顔を見て、「今のサービス内容だと、これ以上のお値引はできません」と伝えましょう。このフレーズには、こちらがしっかりとした根拠で金額設定しているという意志が込められています。この局面に至るまでの間、営業担当者はお客様と何度も商談し、条件を1つ1つ詰めてきているはずです。にもかかわらず、ここで簡単に値下げをしてしまうようでは、「もともとの金額は何だったの?」と、逆に不信感を抱かせることになります。

ただし、逃げ道も用意しておく

今回のフレーズは、多少強気に伝えてもよいものです。ただし、実は同業他社が最後の攻勢をしかけてきているかもしれません。お客様側の意思決定権者が値下げを要請している可能性もあります。

こうした事態に対応するために、「サービス内容を変更すれば、値下げの余地はあります。今回、このようなお申し出を受けた理由を教えていただけますか?」と付け加えておきましょう。

決まり文句で言っただけならお客様が引き下がるのが通常です。何か理由があるなら、そこから新しい商談が始まります。

値決めは難しいものですが、主張すべきは主張し、引くべきことは引くを心掛ければ、不要な値下げは必要ありません。

以上(2018年8月)

pj70081
画像:Mariko Mitsuda

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