その件、論点を整理したいのでメールで送っておいてください

営業担当者の「外交機密」

ビジネスでは、契約書には定められていない条件に基づいてサービスが提供されることが意外と少なくありません。同様に、本来ならば契約書の疑義事項に該当し、正式な協議が必要であるところを、双方の担当者が暗黙の了解で条件を取り決めているケースもあります。

以上は、俗にいう「担当者間で握っている」、つまり「担当者間で独自の運用をしている」状態です。

文書にすると仰々しいことですが、営業の現場で担当者やごく一部の関係者しか知らないルールは無数に存在します。ベテランの営業担当者になると、相手の上司の合意が得られるか微妙な条件は明文化せず、担当者レベルの「握り」を前提に商談を進めることだってあるのです。

「握り」は時に必要か?

「そこを握っておかなければビジネスが前に進まない……」というケースは少なくありません。それが社会や会社のルールに反する内容であってはいけませんが、“柔軟な運用”といえるレベルであれば、ビジネスをスムーズに進めるために仕方のないことだともいえます。

もし、相手から「握り」を持ち掛けられたら、条件はもちろんのこと、担当者の人間性までよくよく考えて対応を検討するようにしましょう。少しでも迷ったら、上司に相談することも忘れてはなりません。

備えは怠らない

相手と「握る」ことになっても、口約束しかしていない状態は問題です。その時はよいかもしれませんが、ビジネスは、いずれ必ず見直しが入ります。また、わずか数カ月後に人事異動があり、担当者やその上司が変わることだってあります。

このようなとき、握っている事柄に注目が集まると、「いつ、誰が、どのように決めたんだ?」ということが必ず議題に上ります。こうなった時、口約束だけではきちんと経緯を説明することができず、信ぴょう性もありません。

そこで、相手から「握り」を持ち掛けられたときに実践したいのが今回の最強フレーズです。このフレーズを使い、メールの平文であっても、「握り」の内容を形に残しておくのです。

基準を持つ

柔軟にやり方を変えることで、ビジネスがスムーズに進むことはよくあります。特に営業には、臨機応変な姿勢が強く求められます。

ただし、柔軟に運用することと、ルールに違反することは全く別です。相手からルールに違反する「握り」を求められた時は、きっぱりと断る強さも持たなければなりません。断りのフレーズには、「それは当社としてはお引き受けしかねます。次回、上司も同席の上、ご相談させてください」といったものがあります。

以上(2018年8月)

pj70083
画像:Mariko Mitsuda

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です