このプロジェクト、今の体制で必ず成功させましょう!
人事異動の恐怖……
営業担当者にとって、クライアントの人事異動は大きな関心事です。営業をテーマにした書籍などには、「クライアントの人事異動はピンチにもチャンスにもなる」と書かれています。しかし、多くの営業担当者の実感は、人事異動はピンチにつながることが多い、厄介なイベントといったものではないでしょうか。
考えてみれば当然のことです。営業担当者は相手との関係構築に腐心します。正直、苦手な相手もいます。しかし、営業担当者は何とかそれを克服して、良好な人間関係を築いてきているはずです。ところが、そうした努力が人事異動によって、一瞬にして水泡に帰してしまう恐れがあるのだから、たまったものではありません。
思い入れなし? 引き継ぎ不十分?
人事異動がピンチにつながる理由はさまざまあります。
例えば、人事異動によって着任してきた新任担当者には、現行サービスに対する思い入れがほぼありません。そのため、着任後の初仕事として、サービスの量や取引金額に大ナタを振るわれることがあります。
また、人事異動は新規プロジェクトが動き始める時期に重なることが多いため、「これから!」というタイミングで相手の担当者が代わり、もう一度、基本的なところからの擦り合わせを余儀なくされたり、方針転換を迫られることもあります。
人事異動を乗り越えろ
このように、営業担当者にとって人事異動には危険がいっぱいですが、営業担当者の力でこれを防ぐことはできません。
そこで、営業担当者が行うべきことは、人事異動の気配をできるだけ早く察知し、事前に体制を整えることです。そんなときに使えるのが今回の最強フレーズです。人事異動のタイミングで、今の体制に変更がないかを暗に確認することができます。
とはいえ、人事異動に関する情報はクライアントにとっても重要機密なので、正式な辞令が出る前に教えてくれることは、まずありません。関係がとても良好な場合でも、「私もこの部署が長いので、そろそろかな……」など、含みを持たせた回答をしてくれる程度でしょう。
周囲を固めて先手を打つ
人事異動の可能性を感じたら、何らかの理由をつけて、「ご挨拶に伺います。ぜひ、チームの方とも名刺交換をさせてください」などと持ちかけて、すぐに会いに行くのが理想的です。それが人事異動の直前のタイミングであれば、現行の担当者は何らかのシグナルを送ってくれるかもしれません。そして、味方である現行の担当者同席のもと、他のメンバーと名刺交換をして、面識を持っておきます。今の自社の努力を理解してくれる人物を一人でも多く持つことは、クライアントの人事異動への備えとして、とても大切なことです。
以上(2018年8月)
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画像:Mariko Mitsuda