書いてあること

  • 主な読者:「会社の名刺」として会社案内を作成したい経営者・担当者
  • 課題:取引先や顧客向けに会社案内が必要
  • 解決策:自社が属する「業界イメージ」などを踏まえて、「冊子の形状や色」「載せる内容」などを決定する

1 会社案内のコンセプト

「会社案内」は自社の“顔”です。住所や連絡先などの基本情報の他に、事業内容などを簡潔に記載することで、ウェブサイトと並び自社のことを知ってもらうための有効なツールになります。

新たに会社案内を制作する際は、まずはコンセプトを明確にしましょう。その際、業界の特徴を考慮することが大切です。例えば、介護・福祉業界の場合は「温かさや清潔感」といったように、消費者が各業界に期待しているイメージがあり、それを無視するのは得策ではありません。洗練されているとはいえ、介護・福祉業界の会社がデザイン会社のような会社案内を作成すると、介護・福祉サービスの利用者である高齢者などから敬遠されてしまう恐れがあるのです。

そのため、会社案内を作成する際は、同業他社の会社案内を入手するなどして、必ず次のような業界特有の雰囲気を確認しておきましょう。

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会社案内を構成する代表的な要素は「形、素材、色、内容」です。コンセプトから大きく逸脱することなく、これらの要素をうまく組み合わせながらオリジナルの会社案内を制作しましょう。

会社案内の制作代行サービスを行う会社に相談してみるのも一策です。各社ともノウハウ、価格、デザイン性、スピードなどそれぞれの持ち味を売りにしているようです。近年は紙媒体だけでなく、ウェブサイトや動画による会社案内とコラボレーションしたプランも提案してくれます。

2 会社案内のアイデア:形

よく見られるA4サイズの会社案内の形状はさまざまで、表紙と裏表紙に挟まれた見開きの形のものから、表紙と裏表紙を含めて数十ページを超えるものまであります。レストランのメニュー表のように細長い形状の会社案内もあります。また、細長い三つ折りのものなどもあり、その形状の例は次の通りです。こうした会社案内は、「センス良く見える」「スマートに見える」などの理由で人気があるようです。

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さらに楕円形や、表紙をくりぬいたものなど、さまざまな形状の会社案内があります。従来の形にとらわれない形状の例は次の通りです。

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図表3以外にも、例えば楽器メーカーの会社案内であればピアノの形状、住宅メーカーであれば表紙に長方形のドアが貼ってあり、ドアを開けて会社案内に「入っていく」ような形状などさまざまな例が考えられます。ただし、斬新な形状で目を引くものであっても、自社の事業内容との関係性が感じられないようでは意味がありません。

3 会社案内のアイデア:素材

会社案内で使用される紙質は、表面に光沢がありツルツルしている「コート紙」が中心ですが、この他にもさまざまな種類があります。面白い素材としては、和紙・わら半紙・段ボールなどがあります。また、紙以外では麻布などが使用されることもあります。

和紙やアルミ箔など一般的に会社案内には使われない素材をそのまま会社案内に使用すると、印刷コストが高くなったり、「読みにくい」「ページがめくりにくい」などの問題が出てきたりします。この場合、和紙などはそのまま使用するのではなく、コート紙などに和紙などの模様を印刷して和紙風にするなどの工夫をするとよいでしょう。

この他、梱包材やジグソーパズルなどをコート紙に印刷して背景や模様にすると、デザイン性の高いユニークな会社案内になります。

4 会社案内のアイデア:色

1)基本の配色パターン

会社案内にたくさんの色を使用すると、読み手は「楽しそう」という印象を持ちます。一方、使う色を減らせば、「落ち着いている」という印象を持つでしょう。同様に、配色のコントラスト(対照)がはっきりしていれば、読み手は「メリハリがある」という印象を持ちますし、同系色でまとめていれば「統一感がある」という印象を持つでしょう。

実際に会社案内を制作する際は、コンセプトに基づいた色使いをします。例えば次のように、最初からある程度、使用する色の方向性を決めておくとよいでしょう。

  • 明るい元気な色を中心:オレンジ、黄色、赤系統などの色
  • 爽やかな自然を感じさせる色を中心:緑、黄緑、茶系統などの色
  • クールさを感じさせる色を中心:青、水色、白、グレーなどの色

また、色の系統は次のような配色で考えることもできます。

2)コントラスト配色

色の明るさ、暗さなどのバランスで配色をまとめる方法です。例えば、黒に対してオレンジなどの対照的な色を組み合わせることによって、人目を引く効果が期待できます。チラシや看板広告などによく用いられる配色です。

3)アクセント配色

コントラスト配色と類似したイメージですが、似たような色使いの中にアクセントとなる色を配色することで、目立たせる効果があります。例えば、薄い緑色と薄い黄緑色をベースに、目立たせたい部分にオレンジや黒などの強い色をアクセントカラーとして配色すると、見た目が引き締まります。

4)優しい配色

パステル調の淡い配色でまとめると、全体的に優しい雰囲気に仕上がります。例えば淡い黄色、淡いピンク色、淡い水色、白などを基調としてまとめる方法です。

5)鮮やかな配色

ビビッドカラー(他の色の混ざっていない純粋な赤、青、緑などの鮮やかな色)の配色でまとめる方法です。純粋な強い色はビビッドの名の通り鮮やかに目に飛び込んでくるため、イベントのチラシやショーウインドーなどによく見かけられます。ただし、ビビッドカラーを使用する際に注意したいのは、それだけでまとめてしまうと全てが鮮やかになってしまい、目立たせたい部分が埋もれてしまう恐れがあることです。ビビッドカラーを効果的に使用したい場合には、淡い色などと組み合わせるほうがよいかもしれません。

6)配色パターンの応用編

配色パターンによって読み手の感じ方は変わります。会社案内を制作する際に、配色について勉強してみてもよいでしょう。

また、変わった色使いとしては、印刷会社などで本刷りする前に、校正・確認用に青くプリントアウトする「青焼き」という状態の印刷物をそのまま使用したり、昔の写真のようなセピア調でシックにまとめたりするなどの方法が考えられます。例えば、社屋や社屋周辺の地域の写真を全てセピア調にして、昔懐かしい風景に仕上げると面白いかもしれません。

5 会社案内のアイデア:内容

内容にはキャッチコピーや文章、写真などがあります。写真であれば社屋や代表者、また従業員一同の写真、研究開発装置や機械の写真などの他に、次のような案も考えられます。従業員一人一人に自由な意見を求めると、より幅広い意見が集まってくるでしょう。

  • 読み手が会社の入り口から入って社内を散策しているかのように、道順に沿った社内風景を写真で順番に掲載する
  • 会社の窓から見える四季折々の風景を掲載する

また、掲載する文章としては、事業概要や会社の沿革の他に、次のような内容を盛り込んでみるのもよいでしょう。

  • 機械や品種などの研究開発に関する秘話
  • 商品にまつわる小話や歴史
  • 従業員の座右の銘や尊敬する人物

会社案内の中で新商品を開発する際のアイデア募集の告知を行ったり、クーポン券やクジなどを付けたりしても面白いかもしれません。この他、自社・商品のキャッチコピーを工夫するとより効果的でしょう。キャッチコピーは、伝えたいことを簡潔かつ的確に表現するものであることが重要です。

6 さまざまなアイデア例

これまでに紹介してきた4つのアイデアをベースに、営業や採用など目的に合わせて工夫を凝らした会社案内を制作している会社が多くあります。そうした事例のいくつかを以下に紹介します。なお、現在さらにリニューアルなどが加えられ、表にまとめた形態とは異なるものもあります。

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7 会社案内は「自社の名刺」

今どきはウェブサイト上で自社の会社案内を紹介するのが一般的です。また、ツイッターやフェイスブックなど手軽に情報発信できるツールを活用して、自社のウェブサイトへのアクセスを促したり、商品やサービスの情報を公開したりする会社も増えています。広い意味で捉えると、こうした方法も会社案内の1つといえるでしょう。

会社案内は自社の“顔”であり、自社のことを知ってもらう「名刺」のようなものです。会社案内を制作する際には、コンセプトを明確にした上で、従業員それぞれがアイデアを持ち寄りながら、世界でたった1つの「名刺」を目指してみましょう。

以上(2018年4月)

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画像:pexels

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